JP6254732B1 - 非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法及び非水電解質二次電池の製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法及び非水電解質二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電池特性に優れた二次電池を製造可能な正極活物質を提供する。【解決手段】本発明の製造方法は、LixNi1-y-zCoyMzO2(1.00≦x≦1.10、0<y≦0.15、0<z≦0.15、0<y+z≦0.2、MはAl、Mg、Mn、Tiより選ばれた少なくとも1種類以上の金属元素である)で表される複合酸化物を主成分とする粒子を得る焼成工程と、その粒子からLiを除去する除去工程とを有する。複合酸化物粒子についての窒素脱吸着等温線の、相対圧力(P/P0)0.5〜0.9の範囲のヒステリシスエリアを算出したときに、除去工程後のエリアAaから除去工程前のエリアAbを除した値が10〜100になるように、除去工程を行う。【選択図】図1

Description

本発明は、正極活物質の製造方法と、それを用いた非水電解質二次電池の製造方法に関する。
近年、AV機器、パソコン、携帯電話等の電子機器のポータブル化、コードレス化が急速に進んでおり、これらの駆動用電源として小型、軽量で高エネルギー密度を有する二次電池への要求が高くなっている。また、上記のような比較的小型の電子機器のみならず、二次電池の用途は多様にわたり、例えば、地球環境への配慮から、電気自動車、ハイブリッド自動車の開発及び実用化がなされ、大型用途として耐久特性の優れたリチウムイオン二次電池への要求が高くなっている。このような状況下において、繰り返しの充放電寿命に優れるリチウムイオン二次電池が注目されている。
リチウムイオン二次電池の正極には、活物質としてはリチウム含有複合酸化物が通常使用されており、近年ではリチウムニッケルコバルト複合酸化物−LiNiCoMO−などが、高容量を有する二次電池の正極用材料(正極活物質)として期待され、その実用化が進んでいる。そして、上記のリチウムニッケルコバルト複合酸化物を用いたリチウムイオン二次電池では、優れた初期容量特性やサイクル特性を得るための開発がこれまで数多く行われてきた。
しかし、上記のようなリチウムイオン二次電池は、サイクル特性の劣化や、高温環境下での使用又は保存した場合に電池性能が比較的損なわれやすいという欠点があった。
上記欠点の一因として、正極活物質を構成する複合酸化物粒子の表面にLi分が残存し、これが正極形成時に使用する塗料のゲル化や、電池としたときのガス発生を生じさせると考えられている。上記のような二次電池の欠点を解決することを目的として、種々の提案がなされている。
特許文献3〜5には焼成後の複合酸化物を水洗し、残存Li分や不純物を除去する方法が開示されている。例えば、特許文献3にはNiを含むリチウム複合酸化物の製造方法が開示されており、リチウム複合酸化物100gに対し500ml以上の多量な水により水洗して炭酸リチウムや硫酸リチウムを除去し、更に、最終的な水分量が800ppm以下になるよう乾燥し、水の電気分解によるガス発生を防止している(特許文献3の段落0009)。
その他、特許文献2は、特定の組成を持つ層状結晶構造リチウムニッケルコバルト複合酸化物が開示しており、この複合酸化物を正極活物質として用いることでリチウムイオン二次電池の自己放電特性やサイクル特性を向上させる。
特開平5−242891号公報 特開平8−213015号公報 特開2005−97087号公報 特開2003−17054号公報 特開2007−273108号公報
上記のように、リチウムイオン二次電池の特性を向上させるため、多様な試みがなされているがいずれも十分ではなく、例えば特許文献1〜5に記載の技術では、繰返し充放電に対しての劣化が少ない安定な充放電や、高い生産性などの全ての要求を充足させることは困難であった。
本発明は上記課題を鑑みて成されたものであり、その目的は、高い生産性と電池性能を兼ね備えた二次電池用の正極活物質を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者等が鋭意検討を行った結果、正極活物質粒子の表面にLi化合物が残存することで、電池の寿命特性および負荷特性が損なわれており、本発明で特定する条件で微細な細孔が形成される程度に、細孔を塞いでいたLi化合物を除去する除去工程を行った場合に、電池性能が向上することが判明した。
係る知見に基づいてなされた本発明は、下記の構成を有する。
(1)焼成により、下記式
LiNi1-y-zCo
(1.00≦x≦1.10、0<y≦0.15、0<z≦0.15、0<y+z≦0.2、MはAl、Mg、Mn、Tiより選ばれた少なくとも1種類以上の金属元素である)
で表されるリチウム複合酸化物を主成分とする複合酸化物粒子を得る焼成工程と、最終焼成後に得られた複合酸化物粒子表面に残存する過剰なリチウムを除去する除去工程とを有し、複合酸化物粒子についての窒素脱吸着等温線の、相対圧力(P/P)0.5〜0.9の範囲のヒステリシスエリア(面積)を算出したとき、除去工程後のエリアAから除去工程前のエリアAを除した値が10〜100になるように、除去工程を行って非水電解質二次電池用正極活物質を製造する。
(2)相対圧力(P/P)0.5〜0.9の範囲における除去工程後のエリアAが、0.03〜0.55cm/gになるように除去工程を行うことが好ましい。
(3)除去工程後は、複合酸化物粒子の吸着等温線からBJH法により求めたlog微分細孔容積分布曲線において、ピークトップの細孔径が10〜100Åに位置し、かつ、ピークの高さが0.0005cm/g以上になるプロファイルのピークが出現することが好ましい。
(4)除去工程は、例えば、焼成工程により得た複合酸化物粒子を洗浄水で洗浄する水洗工程と、水洗後の複合酸化物粒子を乾燥させる乾燥工程とを有し、水洗工程では、前記複合酸化物の質量Aと、前記洗浄水の質量Bとの比A/Bが0.25〜4となるスラリーを9分以内撹拌することが好ましい。
(5)乾燥工程は、大気よりも二酸化炭素分圧が低い脱二酸化炭素ガスを含む本乾燥雰囲気下で、150℃以上250℃以下の加熱温度で複合酸化物粒子を加熱乾燥することが好ましい。
(6)上記本乾燥雰囲気には、好ましくは過熱水蒸気を導入する。
(7)本発明は、更に、上記いずれかの方法で製造した正極活物質を用いて正極を製造する非水電解質二次電池の製造方法にも関する。
本発明の正極活物質は二次電池の正極としたときの電池特性が特に優れており、またその生産性も高い。
水洗装置の一例を説明する模式図 脱水装置の一例を説明する模式図 乾燥装置の一例を説明する断面図 非水電解質二次電池の一例を示す断面図 実施例10(参考例)の脱吸着等温線を示すグラフ 実施例10(参考例)のlog微分細孔容積分布曲線を示すグラフ 実施例10(参考例)の積算細孔容積曲線を示すグラフ
本発明は、正極活物質の製造方法及びその正極活物質を用いた非水電解質二次電池に関する。本発明は特定の具体例に限定されるものではないが、先ず、正極活物質並びにその製造方法について具体的に説明する。
[正極活物質]
正極活物質は、下記式で表される複合酸化物を主成分とする粒子であり、好ましくは実質的に下記式の複合酸化物からなる。
LiNi1-y-zCo
上記式中、xは1.00以上1.10以下であり、yはゼロを超え、かつ、0.15以下であり、zはゼロを超え、かつ、0.15以下であり、yとzの合計はゼロを超え、かつ、0.2以下である。Mは、Al、Mg、Mn、Tiからなる群より選択される少なくとも1種以上の金属元素であり、即ち、上記式の複合酸化物は、リチウムとニッケルとコバルトを必須成分として含む三元系以上の複合酸化物である。
上記式中、x、yのより好ましい範囲は1.00≦x≦1.08で、0<y≦0.13である。また、M元素は好ましくはAl及び/またはMnで、更により好ましくはAlである。
上記複合酸化物の結晶構造は特に限定されず、層状岩塩型、スピネル型、オリビン型など多様な結晶構造のものを1種以上採用できるが、本発明の製造方法は、特に層状岩塩型に適している。
正極活物質は、原則、上記複合酸化物を主成分(含有率50質量%以上、好ましくは80質量%以上)とするが、他成分を含有してもよい。また、上述した複合酸化物粒子の表面に被膜を形成したものも本発明方法の権利範囲から除外されるものではない。
正極活物質となる複合酸化物粒子は酸素雰囲気で焼成することにより製造されるが、焼成後の複合酸化物粒子は表面にLi化合物(残存リチウム)が残存していると発明者らは考えている。本発明の製造方法により得られる正極活物質は、該複合酸化物粒子の表面から残存リチウムが適度に除去され、微細な細孔が露出する。以下に本発明の製造方法を具体的に説明する。
[正極活物質の製造方法]
正極活物質の製造方法は、焼成により複合酸化物粒子を得る焼成工程と、焼成後の複合酸化物粒子から残存リチウムを除去する除去工程とを有するが、その他任意の工程は特に限定されない。以下に具体的に説明する。
[前駆体の製造工程]
通常、焼成工程の前に、Ni化合物、Co化合物、その他金属元素Mの化合物を、水酸化ナトリウム、アンモニアなどと共沈して前駆体複合化合物を生成し、必要であれば、脱水、仮焼成工程などの任意の工程を経て、前駆体化合物を得る。
脱水工程にはベルトフィルター、フィルタープレスなど任意の脱水装置を使用することが可能である。仮焼成も特に限定されるものではなく、ロータリーキルン、流動焼成炉、その他公知の焼成装置を用いることができる。
仮焼成は、例えば、前駆体複合化合物(例:Coとその他金属Mを含むニッケル水酸化物又はニッケルオキシ水酸化物)を、略大気圧の仮焼成雰囲気で加熱する。ここで、略大気圧とは、0.07MPa〜0.15MPa(約0.7気圧〜1.5気圧)程度の圧力を意味する。
仮焼成雰囲気は酸化反応を起こさせることが出来れば、大気に接続してもよいし、大気から遮断してもよい。仮焼成温度は特に限定されないが、例えば、500℃〜700℃であり、好ましくは600℃未満である。仮焼成雰囲気には、大気(空気)に加え添加ガスを導入することも可能である。
仮焼成用の添加ガスは特に限定されず、酸化性ガス(酸素等)、過熱水蒸気(SHS)、脱二酸化炭素ガスなどを1種以上使用することができる。SHS(過熱水蒸気)を含む雰囲気では、仮焼成温度をより低くしても、短時間で効率的に仮焼成を行うことができる。この場合、仮焼成雰囲気を排気しながらSHSを導入するため、仮焼成雰囲気は大気圧よりもやや負圧(−100Pa程度、例えば−45Pa)になる。添加ガスとして酸素ガスを用いる場合、仮焼成雰囲気の酸素分圧を大気より約0.1程度高くすることが好ましい。
[焼成工程(本焼成工程)]
前駆体化合物は、直接又は仮焼成工程などを経て、LiOH等のリチウム源と混合し、本焼成に付す。本焼成の雰囲気も特に限定されないが、酸素を含む気流中が好ましく、好ましい本焼成温度は650〜850℃である。
ここで、本焼成工程に用いる焼成装置は、仮焼成同様に特に限定されず、ロータリーキルン、流動焼成炉、その他公知の装置を用いることが可能である。このような焼成装置を用いる場合、仮焼成と本焼成の温度は装置の設定温度で定義することも可能である。
ロータリーキルンの場合、設定温度は通常炉心管の温度であり、この炉心管の温度と焼成対象物の温度との間には、誤差(炉心管温度−80℃の範囲、一般的な装置では炉心管温度−50℃程度)が生じる場合もある。
得られた複合酸化物粒子は、必要であれば解砕等の処理を施して粉体とする。次に、焼成後の複合酸化物粒子から残存リチウムを除去する工程について説明する。
[除去工程]
除去工程は特に限定されず、多様な手法を採用することができるが、手法を誤ると過剰なリチウム除去によって複合酸化物粒子の内部からのLiの引抜をもたらし、複合酸化物粒子本来の結晶構造が破壊される原因となる。
本発明の手法をもちることで、結晶構造を破壊することなく残存リチウムを除去することができる。残存リチウムの除去により粒子内部にオープンポアが出来るため、除去工程前後で微細細孔のプロファイルを測定することで、残存リチウム除去の条件を決定することが出来る。細孔プロファイルの測定には、細孔分析に広く使用される窒素ガス(N)吸着法を用いる。
具体的には、通常の測定装置(島津製作所社製トライスター3000など)を用い、予め物理吸着成分を取り除いた試料、約6gに減圧下で窒素を徐々に投入し、サンプルに吸着された窒素の平衡圧を測定することで、0気圧から1気圧までの窒素の吸着等温線をとった。大気圧まで到達後、窒素を徐々に減らしていき、1気圧から0気圧までの脱着等温線をとった。
後述する図5に示すように、吸着等温線と脱着等温線との間に不一致(ヒステリシス)が生じることを観察することが出来る。
本発明は、残存リチウム除去の制御にこのヒステリシスを利用する製造方法であって、相対圧力(P/P)が0.5〜0.9の範囲における脱着等温線と吸着等温線との間の面積(エリア)Aを求められる。即ち、相対圧力(P/P)が0.5以上0.9以下の範囲で積分により脱着等温線の面積及び吸着等温線の面積を求め、脱着等温線の面積から吸着等温線の面積を引いた差分がエリアとなる。
上記のようなエリアAを、除去工程前と除去工程後の複合酸化物粒子についてそれぞれ測定し、除去工程後のエリアAから除去工程前のエリアAを除した値(変化率A/A)が10〜100、好ましくは20〜90になるように除去工程を制御する。
相対圧力P/Pが0.5〜0.9の範囲での小さすぎる変化率(A/A)はLiが十分に除去されずに残存することを意味し、大きすぎる変化率(A/A)はリチウムの過剰引抜が起こったことを意味する。
また、相対圧力(P/P)が0.7〜0.9の範囲に着目した場合は、その範囲におけるエリアの変化率(Aa’/Ab’)は9〜110が好ましく、より好ましくは20〜90である。
エリアAa、a‘、Ab、b’の具体的数値は、変化率が上記の範囲になるのであれば特に限定されないが、好ましくは除去工程後の複合酸化物粒子の相対圧力(P/P)0.5〜0.9でのエリアA(ヒステリシス部分の体積)が0.03〜0.55cm/g、より好ましくは0.06〜0.5cm/g、特に好ましくは0.1〜0.5cm/gとする。
相対圧力(P/P)0.7〜0.9での除去工程後のエリアAa’は、0.04〜0.35cm/gが好ましく、より好ましくは0.05〜0.3cm/gである。
本発明は製造の具体的条件に束縛されずに変化率(A/A)を基準とし、変化率の算出だけで最終製品の品質までも推定されるので、組成や装置など製造条件を大きく変更しても、温度や時間などの具体的条件の再設定が容易である。
上記変化率に加え、他の細孔分布プロファイルを除去工程の判断に用いることも可能である。図6は、複合酸化物粒子について上記窒素ガス吸着法で測定したガス吸着データから、BJH法により求められるlog微分細孔容積分布曲線を示すグラフであって、横軸が細孔径(直径、Å)、縦軸はlog微分細孔容積(cm/g)を示す。
本発明により除去工程を行った複合酸化物粒子では、log微分細孔容積分布曲線において特徴的なピークが出現する。このピークはピークトップ(極大値)が10〜100Åの間、より好ましくは10〜50Åの間に位置する。ピークトップの高さは、0.0005cm/g以上が好ましく、より好ましくは0.0007cm/g以上である。
また、細孔径10Å以上100Å以下の範囲の細孔占有率、すなわち、全細孔体積に占める、細孔径10Å以上100Å以下の範囲の細孔体積の割合が10〜40%となることが好ましい。この値は、積算細孔容積曲線(図7)から計算することが出来る。
その他粉体特性としては、除去工程後の複合酸化物粒子のBET法による比表面積は0.2m/g〜3m/gが好ましく、より好ましくは0.2m/g〜2.5m/gであり、更に好ましくは0.2m/g〜2.0m/gである複合酸化物粒子の総細孔容積は0.01cm/g未満が好ましい。ここで、比表面積は、例えば、試料を窒素ガス下で120℃、45分間乾燥脱気した後、BET比表面積測定装置[MONOSORB、ユアサアイオニックス(株)製]を用いて測定することができる値である。
上記のような細孔プロファイルを得るための除去工程は特に限定されず、湿式、乾式、化学的除去、機械的除去など多様な方法を用いることができる。例えば、湿式の場合は、複合酸化物粒子を水や有機溶媒を含む洗浄溶液と接触させて、機械的又は化学的方法により残存リチウムを除去する。
以下、除去条件の一例として、洗浄水を用いた湿式の水洗法について説明する。この具体例では、除去工程は、焼成後の複合酸化物粒子と洗浄水との混合物(スラリー)を撹拌する撹拌工程と、複合酸化物粒子から洗浄水を除去する乾燥工程とを有する。
ここで、洗浄水とは水を主成分(50質量%以上)とし、好ましくは水の含有量が80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、特に好ましくは実質的に水からなる洗浄水を用いる。この洗浄水の導電率は1μS/cm〜10μS/cmが好ましい。
撹拌工程の前に、撹拌とは別の装置(スラリー化装置)を用いて複合酸化物粒子と水を混合し馴染ませる工程を設けてもよいが、スラリー状態が長すぎると複合酸化物粒子からLiの過剰引抜が起こる恐れがあるので、混合工程を含む撹拌工程の時間は9分以内、好ましくは、1分〜6分、より好ましくは5分以内とする。
撹拌工程は、複合酸化物粒子が多量の水と接触する工程であり、具体的には、複合酸化物粒子の質量Aと洗浄水の質量Bとの比(固液比A/B)が0.25〜4、好ましくは0.3〜3、より好ましくは0.5〜2となる条件で複合酸化物粒子を洗浄する。スラリー濃度が上記固液比の範囲よりも低すぎると複合酸化物粒子からLiが過剰に溶出してしまう。逆にスラリー濃度が高すぎると撹拌洗浄が不十分となり、残存リチウム分が高くなってしまう。
撹拌工程は、上記撹拌時間と固液比の条件が適切なLi除去をもたらすのであれば特に限定されず、連続式、バッチ式など多様な方法で実施可能であり、使用する装置の種類や台数も特に限定されない。以下、具体例について説明する。
図1の符号20は撹拌工程に用いる水洗装置を示しており、この水洗装置20は上記スラリーを撹拌する撹拌槽21を有している。複合酸化物粒子と洗浄水は、この撹拌槽21に直接添加して混合してもよいが、好ましくは撹拌槽21の前段にスラリー化装置11を設置する。
スラリー化装置11は短時間で複合酸化物粒子と洗浄水を均一混合できる装置であれば特に限定されず、市販のスパイラルミキサーなどを用いることができる。複合酸化物粒子と洗浄水は供給源13、14から供給されると均一に混合され、すり鉢状のスラリー化装置11下方から均一なスラリー26となって撹拌槽21へ排出される。
ここで、上記撹拌時間は、スラリー化装置11を用いる場合はスラリー化装置11での混合時間と撹拌槽21での撹拌時間との合計であり、スラリー化装置11を用いない場合は撹拌槽21での撹拌時間である。
撹拌工程は撹拌槽21にスラリー26を連続して供給する連続式であってもよいし、スラリー26を所定量毎に撹拌槽21で撹拌するバッチ式のいずれも採用することができる。連続式の場合、撹拌槽21からのオーバーフローにより、スラリー26を次工程に連続して送ることができる。
連続式の撹拌槽21では、撹拌槽21の容量Vからスラリーの供給速度Sを除した値V/Sを撹拌槽21での撹拌時間と仮定することができる。
撹拌工程終了後に、追加洗浄工程、脱水工程などの1以上の後処理工程を実施することができる。以下に、後処理工程について具体的に説明する。
図2の符号30は撹拌工程の後処理に用いる脱水装置の一例を示しており、脱水装置は特に限定されず、ベルトフィルター、フィルタープレスなど公知の装置を用いることができるが、ここでは連続式の脱水装置としてベルトフィルター型の脱水装置30を具体例として説明する。
この脱水装置30は、ベルト31と、ベルト31が架け渡されたロール32、33とを有しており、スラリー26はベルト31上に排出され、ロール32、32の回転によりベルト31上を運搬される。
不純物や粒子表面に残留したLi分を除去するため、撹拌終了後のスラリー26を追加洗浄することが好ましく、追加洗浄は水洗装置35から洗浄水を供給する追加洗浄をすることが出来る。スラリー26はその後ベルト31を通りながら真空排気によって脱水され、スラリー26から分離した水分が排水として装置下部に排出されてケーキ状となる。真空排気に加え、下流側にエアブロー装置37を設け、回収工程前のスラリーケーキにエアブローをすることによって更に脱水を行うことも出来る。
前記のように連続式の脱水装置30の場合、ベルト31上で運搬する間にスラリー26を連続洗浄可能である。この追加洗浄は連続式に限定されず、バッチ式で追加洗浄を行ってもよい。バッチ式の場合、追加洗浄は、スラリーの供給と同じ入口部から洗浄水を供給する正洗でもよく、スラリー供給方向とは逆側から洗浄水を供給しスラリー供給方向に備えられたろ液排出口に洗浄水を排出させる逆洗浄でもよい。
撹拌工程後又は追加洗浄後のスラリー26は、加圧脱水(圧搾)、エアブローなどの1以上の工程で脱水して過剰な水分を除去して含水率を10質量%以下程度に減少させ、脱水後のスラリー(ケーキ状態)を回収し、次の乾燥工程に用いる。
上記撹拌工程、追加洗浄工程、及び脱水工程における温度は特に限定されないが、10〜30℃程度の温度で各工程を行うことが好ましい。
次に、乾燥工程について説明する。
[乾燥工程]
乾燥工程は特に限定されず、多様な装置、方法を採用可能であるが、水洗後の複合酸化物粒子(ケーキ状態)を140℃以上270℃以下、好ましくは150℃以上250℃以下、より好ましくは160℃以上250℃以下の温度で加熱する本乾燥工程を有する。本乾燥の加熱時間は特に限定されないが、長すぎると正極活物質としての性能が劣化し、短すぎると含水率が十分に低下しないので、10時間未満が好ましく、より好ましくは1〜7時間である。
乾燥装置も特に限定されず、真空乾燥装置、流動焼成炉、ロータリーキルンなど多様な装置を用いることができるが、本乾燥は真空雰囲気よりも、上記仮焼成と同様、略大気雰囲気で行うことが好ましい。
本乾燥は大気雰囲気に接続した状態で行うこともできるが、より好ましくは、二酸化炭素分圧を大気よりも低くした乾燥ガスや、脱二酸化炭素ガス(CFA)を用いて行う。更に、過熱水蒸気を本乾燥雰囲気に供給して本乾燥を行うと、乾燥効率がより向上する。
このような本乾燥に適した装置は例えばロータリーキルン、流動焼成炉であって、ロータリーキルンがより好ましい。
図3の符号50はロータリーキルン型の乾燥装置の一例を示しており、この乾燥装置50は、キルン本体52に挿通された炉心管(チャンバー、レトルト)51を有しており、キルン本体52と炉心管51のいずれか一方又は両方には加熱手段53が取り付けられ、炉心管51が直接又は間接的に加熱される。
炉心管51には乾燥用ガスとしてキャリアガスが供給されると共に、排ガスとして水蒸気ガスが排気され、炉心管51内部の本乾燥雰囲気は常に略一定圧力(0.7気圧〜1.5気圧程度、即ち約0.07MPa〜0.15MPa)に維持される。
乾燥用ガスとしてキャリアガスは特に限定されないが、脱二酸化炭素ガス(CFA)を用いることが好ましい。より好ましくは、更に過熱水蒸気(SHS)をキャリアガスとして更に供給すれば、乾燥効率がより向上する。
ここで、過熱水蒸気(SHS)とは飽和水蒸気をさらに加熱した水蒸気である。脱二酸化炭素ガス(CFA)とはCO濃度が0.1〜100ppmであり、水分量の少ない乾燥ガスである。
脱水後の複合酸化物粒子(ケーキ状態)は、必要に応じて真空乾燥などの前乾燥を行った後、供給源54から炉心管51に供給される。本乾燥工程はバッチ式、連続式のいずれの方式でもよいが、連続式で行う場合は、供給手段55により所定速度で複合酸化物粒子(ケーキ状態)を炉心管51に供給する。
ここで、炉心管51の温度を140℃以上270℃以下、好ましくは150℃以上250℃以下、より好ましくは160℃以上250℃以下、より好ましくは170℃以上250℃以下に設定すると、複合酸化物が炉心管の温度から若干低い温度(炉心管温度マイナス10〜60℃、通常炉心管温度より50℃程度低い)まで加熱され、脱水後に残った水分が乾燥除去される。
炉心管51はその管の中心軸線を中心に回転し、回転により複合酸化物粒子(ケーキ状態)は本乾燥雰囲気で加熱されながら移動する。従って、連続式の場合は、複合酸化物粒子(ケーキ状態)の移動速度(炉心管51の回転速度)と炉心管51の角度、複合酸化物粒子(ケーキ状態)の供給速度の少なくとも一方を調整して本乾燥の時間を制御する。
例えば、本乾燥終了後の複合酸化物の含水率が所定値まで減少するように乾燥時間を設定し、その設定時間内に複合酸化物が炉心管51を通過するように、炉心管51の回転速度と角度、複合酸化物粒子(ケーキ状態)の供給速度を調整する。
乾燥工程は上記に限定されず、予備乾燥で含水率をある程度減少させてから、上記本乾燥を行うこともできる(二段階乾燥)。予備乾燥は、本乾燥と同じ装置で温度を変えて行うこともできるが、好ましくは本乾燥とは異なる装置、例えば真空乾燥装置などを用い、本乾燥よりも減圧雰囲気で行うことが出来る。
予備乾燥用の真空乾燥機については各種の真空乾燥機を用いることができるが、均一な乾燥ができるように撹拌羽根を有する装置や流動床タイプのもの用いることが好ましい。混合の際に摺動面がない移動、もしくは振動で混合するタイプの乾燥機は特に好ましい。
予備乾燥を行う場合も行わない場合も、最終的な含水率が高すぎると正極活物質を塗料化した際にゲル化したり、電池特性が悪化するおそれがあるので、カールフィッシャー法による含水率が0.01質量%〜0.10質量%になることが好ましく、より好ましい含水率は0.04質量%〜0.1質量%である。乾燥後の複合酸化物粒子は、必要に応じて更なる加工を経た後、電池の正極材料(正極活物質)として使用可能である。以下に具体的に説明する。
[非水電解質二次電池]
本発明により製造される非水電解質二次電池は特に限定されるものではないが、以下に一例を示す。
図4は非水電解質二次電池の一例を示す断面図であり、この二次電池100は正極1と負極2とを有している。正極1及び負極2はセパレータ3を挟んで対向した状態で、正極ケース4及び負極ケース5とで構成される外装体内部に収容され、正極ケース4と負極ケース5は互いの間にガスケット6を挟み込んだ状態で、外縁部4a、5eでカシメ加工されている。正極ケース4は正極1に、そして負極ケース5は負極2にそれぞれ電気的に接続されている。
(i)正極1
正極1は、本発明の製造方法により得られた正極活物質(粉体)を用い製造される。正極1の製造方法は特に限定されず、多様な方法を採用可能であり、添加剤(他の製造による正極活物質も含む)の種類も特に限定されないが、例えば、本発明により製造した正極活物質に導電剤と結着剤とを添加して形成する。
導電剤と結着剤の種類も特に限定されないが、例えば、導電剤は、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛からなる群より選択される1種以上を用いることができ、結着剤は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンからなる群より選択される1種以上を用いることができる。正極活物質、導電剤、結着剤の配合比率も特に限定されないが、例えば、下記実施例では活物質:導電剤:バインダーの比率(質量比)を90:6:4として混練し、正極1を形成する。
(ii)負極2
負極2も特に限定されないが、例えば、リチウム金属、リチウム金属、リチウム/アルミニウム合金、リチウム/スズ合金、ケイ素、ケイ素/カーボン複合体、グラファイト等を用いることができる。例えば、下記実施例では、黒鉛とケイ素酸化物(SiOx)の混合物を用いている。
(iii)電解液
電解液は、電解液と、電解液に溶解した電解質とを有する。電解液における溶媒は非水系溶媒であれば特に限定されないが、炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)の組み合わせ、炭酸プロピレン(PC)、炭酸ジメチル(DMC)等を基本構造としたカーボネート類や、ジメトキシエタン(DME)等のエーテル類の少なくとも1種類を含む有機溶媒を用いることができる。
電解質は特に限定されないが、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)などの1種以上のリチウム塩を用いることが可能である。
例えば、下記実施例に係る非水電解質二次電池100では、一例として、1mol/LのLiPF6が添加されてなる非水電解質溶液(EC:FEC:DEC=2:1:7の割合で混合)を用いている。
以下、本発明を実施例(参考例)と共に更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1(参考例)
オーバーフロー管を備えた羽根型撹拌機を具備した反応器内で水酸化ナトリウム水溶液(pH=12.0)を調整した。ここにアンモニア水溶液を滴下した。硫酸コバルト、硫酸ニッケル、アルミン酸ナトリウム混合水溶液を、連続的に反応器に供給した。この間、反応溶液のpHが12.0、アンモニア濃度が0.80mol/lになるように水酸化ナトリウム水溶液およびアンモニア水溶液を連続的に供給して、目標平均二次粒子径まで成長させた。この間、懸濁液に機械的なせん断力を加え、オーバーフローによって得られた懸濁液を、フィルタープレスを用いて水洗を行った後、110℃で10時間乾燥を行い、ニッケル・コバルト・アルミニウム系化合物粒子(ニッケル・コバルト・アルミニウム複合水酸化物粒子)を得た。
該前駆体の組成比についてNi/Co/Al=0.86/0.10/0.04であり、540℃に設定したロータリーキルン(回転条件:0.5rpm)にて2時間仮焼成を行った。その後、水酸化リチウムと該遷移金属混合球状酸化物(Li/(Ni+Co+Al))比=1.02とし、酸素雰囲気下で740℃にて10時間焼成した。これを解砕して複合酸化物粒子の粉末を得た。
得られた複合酸化物粒子を連続的に水洗用の撹拌槽21に導電率1μS/cmの水と共にスクリューにて切り出し投入し、撹拌槽21で固液比A/Bが3のスラリーを作製し、9分間撹拌した(バッチ式、スラリー化装置なし)。
撹拌後のスラリーをフィルタープレス型の脱水装置内に排出し、プレスしながら正洗を1回行い、水洗工程を終了した。水洗工程終了後は、引続きフィルタープレス型脱水装置で含水率が6重量%に低下するまで圧搾し、最後にエアブローを行って脱水工程を終了した。
脱水工程後のスラリーケーキは、予備乾燥を行わず(二段階乾燥なし)、直接真空乾燥機に投入し、下記表1に記載の圧力及び温度で10時間真空乾燥させ、実施例1の正極活物質を得た。
[実施例2(参考例)
固液比を0.3に変えた以外は実施例1と同じ条件で水洗を行った。次いで、フィルタープレスをベルトフィルターに代えて含水率10重量%となるように連続式脱水を行い、該複合酸化物のケーキ状態を真空乾燥装置で3時間予備乾燥を行った後、下記表1記載の条件で真空乾燥を7時間行い(二段階乾燥)、実施例2の正極活物質を得た。
[実施例3]
実施例1とは異なり、スラリー化装置で固液比1のスラリーを形成し、そのスラリーをバッチ式により撹拌温度35℃で撹拌した。撹拌後のスラリーをフィルタープレスに移送し正洗と逆洗を1回ずつ行い、含水率5質量%になるまで脱水を行った。脱水後、実施例2と同じ条件で予備乾燥を行った。予備乾燥後は、炉心管温度を250℃に設定したロータリーキルンに脱二酸化炭素ガス(CFA)を導入しながら連続式乾燥を行った。炉心管への導入から排出に要した乾燥時間は5時間であった。
[実施例4]
撹拌温度を25℃に変え、かつ、水洗工程をバッチ式から連続式に変えた以外は、実施例3と同じ条件で水洗工程を行った。水洗後、実施例3と同様に脱水、予備乾燥を行った。予備乾燥後、乾燥温度及び乾燥圧力を下記表1の値に変えた以外は、実施例3と同じ条件で乾燥工程を行い、実施例4の正極活物質を得た。
[実施例5]
撹拌温度を25℃に変えた以外は実施例3と同じ条件で水洗、脱水工程を行った。脱水後、予備乾燥を行わずに該複合酸化物のケーキ状態をロータリーキルンに導入し、下記表1の条件で乾燥させ、実施例5の正極活物質を得た。
[実施例6]
水洗の撹拌時間と、乾燥の圧力及び温度を下記表1のように変えた以外は実施例5と同じ条件で実施例6の正極活物質を得た。
[実施例7]
乾燥圧力を0.1MPaから0.13MPaに変えた以外は実施例6と同じ条件で実施例7の正極活物質を得た。
[実施例8(参考例)
撹拌時間を4分と短くした以外は実施例4と同じ条件で連続式水洗とバッチ式脱水を行った。脱水後、予備乾燥を行わず、該複合酸化物のケーキ状態を設定温度250℃のロータリーキルンに連続供給し、排気しながら一定流量(10kg/時間)で過熱水蒸気を導入し、圧力0.08MPaの本乾燥雰囲気を形成して、実施例8の正極活物質を得た。
[実施例9(参考例)
水洗の撹拌温度と脱水工程後の含水率を下記表1の値に変え、更に、乾燥圧力、乾燥温度及び乾燥時間を下記表1のように変えた以外は実施例8と同じ条件で実施例9の正極活物質を得た。
[実施例10(参考例)
水洗の固液比及び温度並びに撹拌時間を下記表1のように変えた以外は実施例4と同様連続式水洗を行った。水洗後は、最終含水率を5重量%に変えた以外は実施例2と同様の連続式脱水を行い、乾燥圧力、乾燥温度及び乾燥時間を下記表1のように変えた以外は実施例8、9と同じ条件で連続式乾燥を行った。すなわち、実施例10は、水洗から乾燥まで全て連続式である。
[比較例1]
焼成後の複合酸化物をそのまま正極活物質とした(除去工程なし)。
[比較例2、3]
固液比と撹拌時間を下記表1のように変えた以外は、実施例1と同じ条件でバッチ式で水洗を行い、それぞれ含水率5、10質量%まで実施例1と同様にバッチ式で脱水した。比較例2については実施例1と同様に予備乾燥なしで、比較例3については予備乾燥有りで、真空乾燥装置により本乾燥を行った。
本乾燥は、室温から80℃まで昇温させ(1時間)、更に180℃で真空乾燥を行い(10時間)、比較例2、3の正極活物質を得た。
上記実施例1〜10(参考例1、2、8〜10及び実施例3〜7)及び比較例1〜3の製造条件を下記表1に記載する。
Figure 0006254732
[評価試験]
上記実施例1〜10及び比較例1〜3で得た正極活物質について、粉体物性と電池特性の評価試験を行った。
‐粉体物性
残存リチウム量はWarder法で測定した。その他粉体特性については、細孔分布に関しては、島津製作所社製トライスター3000を用い、窒素を導入して脱吸着等温線を得、窒素分圧0.5〜0.9及び0.7〜0.9の範囲についてヒステリシスエリアA、A、Aa’、Ab’を求め、除去工程(水洗〜本乾燥)前後の変化率(A/A)、(Aa’/Ab’)を算出した。
更に、複合酸化物粒子の吸着等温線からBJH法によりlog微分細孔容積分布曲線を求め、10〜100Åに存在するピークのピークトップの高さと細孔径を求めた。
‐電池特性
初回充放電効率:3.0−4.3Vの電圧範囲を0.1C(cc−cv)で充電し、その後、0.1C(cc)で放電した。その時の充電容量と放電容量を測定し、初期充放電効率(%)=(放電容量/充電容量)×100 を求めた。このとき初期充放電効率が88%以上であることが必要である。
3C/1Cの放電容量維持率は、最初に3.0−4.3Vの電圧範囲で0.1C(cc−cv)で充電し、その後、1.0C(cc)で放電した。その際の放電容量をtとする。その後、3.0−4.3Vの電圧範囲で0.1C(cc−cv)で充電し、それから、3.0C(cc)で放電した。このときの放電容量をtとする。このとき、3C/1Cの放電容量維持率(%)=(t/s)×100を算出した。
サイクル特性試験:55℃の環境で、0.5Cで3.0V−4.3Vの電圧範囲で充電し(cc−cv)、その後1.0Cで放電させた(cc)。この充放電を500サイクル繰返し、1サイクル目の放電容量dと500サイクル目の放電容量eとから500サイクル目の放電容量維持率(%)=(e/d)×100を算出した。
上記評価試験の結果を下記表に記載した。
Figure 0006254732
上記表1、2から明らかなように、窒素分圧0.5−0.9のエリア変化率が10〜100の範囲にある実施例1〜10は、実用上十分な88%以上の初回充放電効率が得られ、3C/1C放電容量維持率、500サイクル容量放電維持率のいずれも良好な結果が得られた。
また、比較例1の細孔分布曲線では10〜100Åの範囲に特徴的なピークが見られなかったのに対し、実施例1〜10の細孔分布曲線は、いずれもピークトップ細孔径が10〜100Åの間に位置する特徴的なピークが得られた。
11…スラリー化装置
20…水洗装置
21…撹拌槽
30…脱水装置
50…乾燥装置
100…二次電池

Claims (10)

  1. 焼成により、下記式
    LiNi1-y-zCo
    (1.00≦x≦1.10、0<y≦0.15、0<z≦0.15、0<y+z≦0.2、MはAl、Mg、Mn、Tiより選ばれた少なくとも1種類以上の金属元素である)
    で表される複合酸化物を主成分とする複合酸化物粒子を得る焼成工程と、
    焼成後の複合酸化物粒子表面に残存する過剰なリチウムを除去する除去工程と、を有し、
    前記除去工程は、前記焼成工程により得た複合酸化物粒子を洗浄水で洗浄する水洗工程と、水洗後の複合酸化物粒子を含水率が10質量%以下になるよう脱水する脱水工程と、脱水後の複合酸化物粒子を乾燥させる乾燥工程とを有し、
    前記乾燥工程は、大気よりも二酸化炭素濃度が低い脱二酸化炭素ガスを含む本乾燥雰囲気下で、150℃以上250℃以下の加熱温度で複合酸化物粒子を加熱する本乾燥工程を有する非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  2. 前記脱水工程は、水洗後の複合酸化物粒子を加圧脱水した後、エアブローにより更に脱水する請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  3. 前記本乾燥雰囲気の圧力は0.07MPa〜0.15MPaである請求項1又は請求項2に記載の非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  4. 前記乾燥工程は、前記本乾燥工程の前に、本乾燥雰囲気よりも減圧の雰囲気で複合酸化物粒子を乾燥する前乾燥工程を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  5. 前記水洗工程は前記洗浄水と前記複合酸化物粒子の混合物を撹拌する撹拌工程を有し、
    前記撹拌工程と前記脱水工程と前記乾燥工程のうち、いずれか1以上の工程を、前記複合酸化物粒子を所定量毎処理するバッチ式と、複合酸化物粒子を連続して処理する連続式のいずれか一方の方法で処理する請求項1〜のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  6. 前記本乾燥雰囲気に過熱水蒸気を導入する請求項1〜のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  7. 記脱水工程は、水洗後の前記複合酸化物を連続して脱水処理する請求項1〜のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  8. 前記水洗工程は、前記複合酸化物の質量Aと、前記洗浄水の質量Bとの比A/Bが0.25〜4となるスラリーを9分以内撹拌する撹拌工程を有する請求項1〜のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  9. 前記乾燥工程は、脱水後の複合酸化物粒子を10時間未満乾燥させる請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の方法で製造した正極活物質を用いて正極を製造する工程を有する非水電解質二次電池の製造方法。
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