JP2015122234A - 非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電池の正極活物質に用いた場合に、高容量を維持するとともに、高出力化する際に求められる低い正極抵抗と高い初期充放電効率が得られる非水系電解質二次電池用正極活物質を提供することを目的とする。【解決手段】 一般式:Li1+uNixCoyMnzAtO2+α(0.1≰u<0.3、0.03≰x≰0.25、0.03≰y≰0.25、0.4≰z<0.6、x+y+z+u+t=1、0≰α<0.3、0≰t<0.1、Aは2価から6価までの価数のいずれかをとる金属元素のうち少なくとも1種)で表され、一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたリチウム過剰金属複合酸化物粒子からなる非水系電解質二次電池用正極活物質であって、その正極活物質の比表面積が4.0〜10.0m2/gであり、かつ、一次粒子が板状粒子であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質。【選択図】 なし
Description
本発明は、非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法、および該正極活物質を用いた非水系電解質二次電池に関するものである。
近年、携帯電話やノート型パソコンなどの携帯電子機器の普及に伴い、高いエネルギー密度を有する小型で軽量な非水系電解質二次電池の開発が強く望まれている。また、ハイブリット自動車を始めとする電気自動車用の電池として高出力の二次電池が強く望まれている。
この要求を満たす二次電池として、リチウムイオン二次電池がある。このリチウムイオン二次電池は、負極および正極と電解液等で構成され、負極および正極の活物質は、リチウムを脱離および挿入することの可能な材料が用いられている。
この要求を満たす二次電池として、リチウムイオン二次電池がある。このリチウムイオン二次電池は、負極および正極と電解液等で構成され、負極および正極の活物質は、リチウムを脱離および挿入することの可能な材料が用いられている。
このリチウムイオン二次電池は、現在研究、開発が盛んに行われているところであるが、中でも、層状またはスピネル型のリチウム金属複合酸化物を正極材料に用いたリチウムイオン二次電池は、4V級の高い電圧が得られるため、高いエネルギー密度を有する電池として実用化が進んでいる。
これまで主に提案されている材料としては、合成が比較的容易なリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)や、コバルトよりも安価なニッケルを用いたリチウムニッケル複合酸化物(LiNiO2)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2)、マンガンを用いたリチウムマンガン複合酸化物(LiMn2O4)などを挙げることができる。
このうちリチウムニッケル複合酸化物、及びリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物は、サイクル特性が良く、低抵抗で高出力が得られる材料として注目されており、近年では高出力化に必要な低抵抗化が重要視されている。
このリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物の中でもさらに高い容量が得られる材料として、リチウム過剰ニッケルコバルトマンガン複合酸化物が知られている。しかしながら、リチウム過剰ニッケルコバルトマンガン複合酸化物には、抵抗が高い課題以外にも初期の充放電効率が80%前後と他の正極活物質よりも10%以上低い問題があり、そのため余分な負極面積が必要となる課題があった。
そこで、初期の充放電効率を改善したリチウム過剰ニッケルコバルトマンガン複合酸化物として、例えば、非特許文献1では、リチウム過剰系正極活物質を(NH4)2SO4水溶液中で攪拌後、水を除去することで表面に(NH4)2SO4をコートし、300℃で熱処理することで表面にLi2SO4を形成し、それを水洗・除去することで、表面にスピネルライク層を形成し、一次粒子サイズを減少させずにレート特性が向上することが記載されている。
しかしながら、出力特性としてのレート特性の向上に関して記載されているものの、初期の充放電効率に関して考慮したものとはなっていない。
しかしながら、出力特性としてのレート特性の向上に関して記載されているものの、初期の充放電効率に関して考慮したものとはなっていない。
また、非特許文献2では、リチウム過剰系正極活物質を0.1MのHNO3中で攪拌・ろ過・水洗後、100℃で乾燥することで、初回の不可逆容量が減少することが記載されている。一方、出力特性としてのレート特性は処理する前に比べて劣るとされ、高い出力と効率を両立したものとはなっていない。
一方、特許文献1では、リチウム過剰系正極活物質を水洗又は0.1MのHNO3中で処理後、NH3ガス流通下、200℃で還元処理した正極活物質が開示されている。
この発明によれば、初回の不可逆容量が減少して充放電効率が増加するとされているが、レート特性については記載されておらず、出力特性に対する効果は不明である。
この発明によれば、初回の不可逆容量が減少して充放電効率が増加するとされているが、レート特性については記載されておらず、出力特性に対する効果は不明である。
また、特許文献2では、リチウム過剰系正極活物質をpH5以上の溶液中で加熱処理した後、200℃以上、900℃以下の温度で24時間以内熱処理することによって得られた一次粒子表面の二乗平均平方根粗さ(RMS)が、1.5nm以下の正極活物質が開示されている。しかしながら、この発明においては、初回の充放電効率が高く、レート特性に優れるとされているが、充放電効率や出力特性の改善は十分なものとは言い難く、更なる改善が期待されている。
Denis Y.W.Yu,Katsunori Yanagida,and Hiroshi Nakamura,Journal of The Electrochemical Society,157(2010)A1177−A1182
S.−H.Kang,C.S.Johnson,J.T.Vaughey,K.Amine,and M.M.Thackeray, Journal of The Electrochemical Society, 153(2006)A1186−A1192
本発明は、かかる問題点に鑑み、電池の正極活物質に用いた場合に、高容量を維持するとともに、高出力化する際に求められる低い正極抵抗と高い初期充放電効率が得られる非水系電解質二次電池用正極活物質を提供することを目的とする。
さらに、本発明では、上記非水電解液二次電池用正極活物質の工業的な製造方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明では、上記非水電解液二次電池用正極活物質の工業的な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、非水系電解質二次電池用正極活物質として用いられているリチウム過剰系のリチウム金属複合酸化物の粒子構造および粉体特性が、電池の正極抵抗、初期充放電効率に及ぼす影響について鋭意研究したところ、特定の粒子構造を有するとともにLi2MO3とLiMO2とからなり、比表面積が大きいリチウム過剰金属複合酸化物は、電池の正極活物質として用いた際に高容量であり、初期充放電効率が高く、低い正極抵抗を実現できるとの知見を得た。
さらに、このリチウム過剰金属複合酸化物は、酸洗浄によって粒子構造を維持したままリチウム濃度を下げ、比表面積を大きくすることが可能であるとの知見を得て、本発明を完成させるに至った。
さらに、このリチウム過剰金属複合酸化物は、酸洗浄によって粒子構造を維持したままリチウム濃度を下げ、比表面積を大きくすることが可能であるとの知見を得て、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、一般式:Li1+uNixCoyMnzAtO2+α(0.1≦u<0.3、0.03≦x≦0.25、0.03≦y≦0.25、0.4≦z<0.6、x+y+z+u+t=1、0≦α<0.3、0≦t<0.1、Aは2価から6価までの価数のいずれかをとる金属元素のうち少なくとも1種)で表され、一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたリチウム過剰金属複合酸化物粒子からなる非水系電解質二次電池用正極活物質であって、その一次粒子が、4.0〜10.0m2/gの比表面積を有する板状粒子であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質である。
本発明の第2の発明は、第1の発明における一次粒子の平均長軸方向径が、0.3μm〜2.0μmであることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質である。
本発明の第3の発明は、第1及び第2の発明におけるリチウム過剰金属複合酸化物粒子が、粉末X線回折測定において、2θ=20〜22°の範囲でLi2MO3由来の(020)、(110)面のピークを有することを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質である。
本発明の第4の発明は、第1から第3の発明における二次粒子の平均粒径D50が、3〜10μm、最大径Dmaxが50μm未満、且つタップ密度が1.5〜2.4g/cm3であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質である。
本発明の第5の発明は、一般式:Li1+uNixCoyMnzAtO2+α(0.1≦u<0.3、0.03≦x≦0.25、0.03≦y≦0.25、0.4≦z<0.6、x+y+z+u+t=1、0≦α<0.3、0≦t<0.1、Aは2価から6価までの価数のいずれかをとる金属元素のうち少なくとも1種)で表され、一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたリチウム過剰金属複合酸化物粒子からなる非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、少なくともニッケル、コバルト、マンガンを含む水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、及び炭酸塩の少なくとも1種からなる一次粒子が凝集した二次粒子とリチウム化合物を混合してリチウム混合物を得る混合工程と、得られたリチウム混合物を、酸化性雰囲気中にて800〜1050℃の温度で焼成して焼成物を得る焼成工程と、0.5〜5Nの濃度である無機酸を用いて、酸洗前後での焼成物のリチウム含有量の差を酸洗前の焼成物のリチウム含有量で除したリチウム除去率が10〜30%となるように制御して酸洗を、得られた焼成物に施した後、水洗する酸洗工程とを含むことを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。
本発明の第6の発明は、第5の発明における焼成物が、板状の一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたリチウム過剰金属複合酸化物粒子であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。
本発明の第7の発明は、第5及び第6の発明における一次粒子の平均長軸方向径が、0.3〜2.0μmであることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。
本発明の第8の発明は、第5〜第7の発明におおける焼成物の二次粒子の平均粒径D50が、3〜10μm、最大径Dmaxが50μm未満、且つタップ密度が1.5〜2.4g/m3であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。
本発明の第9の発明は、第5〜第8の発明における混合工程において、少なくともニッケル、コバルト、マンガンを含む水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、及び炭酸塩の少なくとも1種からなる一次粒子が凝集した二次粒子とリチウム化合物を、リチウム混合物中のリチウム以外の金属元素の合計(Me)に対するリチウム(Li)の比(Li/Me)が1.25〜1.85となるように混合することを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。
本発明の第10の発明は、第5〜第9の発明における酸洗工程において酸洗終了時の焼成物と酸からなるスラリーのpHが1〜4となるように制御することを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。
本発明の第11の発明は、第5〜第10の発明における無機酸が、塩酸または硫酸であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。
本発明の第12の発明は、第5〜第11の発明における酸洗工程において、酸洗する際のスラリー濃度が、100〜1500g/Lであることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。
本発明によれば、電池の正極活物質に用いた場合に、低い正極抵抗と高い初期充放電効率を示すことから、高い初期充放電効率と共に高容量と高出力を有する優れた電池特性を示す非水系電解質二次電池用正極活物質が得られる。
さらに、その製造方法は、容易で工業的規模での生産に適したものであり、工業的価値が極めて大きい。
以下、本発明について、まず本発明の正極活物質について説明した後、その製造方法と本発明による正極活物質を用いた非水系電解質二次電池について説明する。
(1)正極活物質
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質(以下、単に正極活物質という)は、一般式:Li1+uNixCoyMnzAtO2+α(0.1≦u<0.3、0.03≦x≦0.25、0.03≦y≦0.25、0.4≦z<0.6、0≦α<0.3、0≦t<0.1、x+y+z+u+t=1、Aは2価から6価までの価数のいずれかをとる金属元素のうち少なくとも1種)で表され、一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたリチウム過剰金属複合酸化物粒子からなるものである。
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質(以下、単に正極活物質という)は、一般式:Li1+uNixCoyMnzAtO2+α(0.1≦u<0.3、0.03≦x≦0.25、0.03≦y≦0.25、0.4≦z<0.6、0≦α<0.3、0≦t<0.1、x+y+z+u+t=1、Aは2価から6価までの価数のいずれかをとる金属元素のうち少なくとも1種)で表され、一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたリチウム過剰金属複合酸化物粒子からなるものである。
このリチウム過剰金属複合酸化物粒子は、Li以外の金属元素をMとした一般式によって表されるLi2MO3とLiMO2とらかなり、好ましくはLi2MO3のMをMnとしたLi2MnO3とLiMO2とからなり、より好ましくはこれらの固溶体であり、LiMO2に含有されるリチウムの過剰量を低減したものである。
LiMO2に含有されるリチウムの過剰量を低減することにより、初期充電時にリチウム過剰金属複合酸化物粒子から引き抜くことが必要なリチウム原子の量と放電時にリチウム過剰金属複合酸化物粒子に挿入されるリチウム原子の量との差を抑制することが可能となり、高い初期充放電効率を得ることができる。
LiMO2に含有されるリチウムの過剰量を低減することにより、初期充電時にリチウム過剰金属複合酸化物粒子から引き抜くことが必要なリチウム原子の量と放電時にリチウム過剰金属複合酸化物粒子に挿入されるリチウム原子の量との差を抑制することが可能となり、高い初期充放電効率を得ることができる。
すなわち、LiMO2に含有されるリチウムの過剰量が多いと、初期充電時に引き抜くことが必要なリチウム原子の量が、本来LiMO2のLi席からリチウムを引き抜いて充電するために必要な量より、過剰分だけ多くなり、充電量が多くなってしまう。一方、放電時はLi席にリチウムが挿入されるのみであるため、放電量が少なくなり、初期の充電量に対する放電量の効率である初期充放電効率が低下する。
したがって、リチウムの過剰量を低減することにより、充電時に過剰なリチウムを引き抜くために用いられる充電量を抑制することができ、Li席からリチウムを引く抜くことに充電量が効率的に用いられ、初期充放電効率を向上することが可能となる。
したがって、リチウムの過剰量を低減することにより、充電時に過剰なリチウムを引き抜くために用いられる充電量を抑制することができ、Li席からリチウムを引く抜くことに充電量が効率的に用いられ、初期充放電効率を向上することが可能となる。
正極活物質全体としてのリチウム(Li)の過剰量を示す上記一般式におけるuを0.1以上、0.3未満の範囲とすることで、Li2MO3とLiMO2とからなり、LiMO2に含有されるリチウムの過剰量を、高い初期充放電効率が得られるまでに低減することができる。
そのuが0.1未満になると、正極活物質を構成するリチウム過剰金属複合酸化物粒子中の層状化合物(LiMO2)のリチウム含有量が少なくなり過ぎて、高い放電容量が得られない。一方、uが0.3以上では、正極活物質全体としてのリチウムの過剰量が大きくなりすぎるため、初期充電時にリチウム過剰金属複合酸化物粒子から過大に過剰量のリチウム原子を引き抜くことが必要となって、放電時にリチウム過剰金属複合酸化物粒子に挿入されるリチウム原子の量との差が大きくなり、初期充放電効率が低下する。
そのuが0.1未満になると、正極活物質を構成するリチウム過剰金属複合酸化物粒子中の層状化合物(LiMO2)のリチウム含有量が少なくなり過ぎて、高い放電容量が得られない。一方、uが0.3以上では、正極活物質全体としてのリチウムの過剰量が大きくなりすぎるため、初期充電時にリチウム過剰金属複合酸化物粒子から過大に過剰量のリチウム原子を引き抜くことが必要となって、放電時にリチウム過剰金属複合酸化物粒子に挿入されるリチウム原子の量との差が大きくなり、初期充放電効率が低下する。
さらに、本発明の正極活物質は、上記Li2MO3とLiMO2とからなるリチウム過剰金属複合酸化物粒子で構成されたものであれば、高容量かつ高い初期充放電効率が得られるが、粉末X線回折測定において、2θ=20〜22°の範囲でLi2MO3由来の(020)、(110)面のピークを有することが好ましい。
この状態においては、十分な量のLi2MO3とリチウムの過剰量が低減されたLiMO2とからなるものとすることができ、より高い電池容量を得ることができる。
この状態においては、十分な量のLi2MO3とリチウムの過剰量が低減されたLiMO2とからなるものとすることができ、より高い電池容量を得ることができる。
上記一般式におけるxは、正極活物質全体としてのニッケル(Ni)の含有量を示すものである。
xを0.03以上、0.25以下の範囲とすることで、電池に用いた際に高容量と高出力が得られる。xが0.03未満になると、Li2MO3が多くなり過ぎ、電池に用いた際に抵抗が増加するため高出力が得られない。一方、xが0.25を超えると、Li2MO3が少なくなり過ぎ、電池に用いた際に高容量が得られない。
xを0.03以上、0.25以下の範囲とすることで、電池に用いた際に高容量と高出力が得られる。xが0.03未満になると、Li2MO3が多くなり過ぎ、電池に用いた際に抵抗が増加するため高出力が得られない。一方、xが0.25を超えると、Li2MO3が少なくなり過ぎ、電池に用いた際に高容量が得られない。
また、正極活物質全体としてのコバルト(Co)の含有量を示す上記一般式におけるyの範囲を0.03以上、0.25以下とすることで、電池に用いた際に優れたサイクル特性と高出力が得られる。
yが0.03未満になると、LiMO2の結晶構造の安定に寄与するコバルトが少なくなり、サイクル特性が悪化する。一方、yが0.25を超えると、Li2MO3が少なくなり過ぎ、電池に用いた際に高容量が得られない。
yが0.03未満になると、LiMO2の結晶構造の安定に寄与するコバルトが少なくなり、サイクル特性が悪化する。一方、yが0.25を超えると、Li2MO3が少なくなり過ぎ、電池に用いた際に高容量が得られない。
さらに、正極活物質全体としてのマンガン(Mn)の含有量を示すzを、0.4以上、0.6未満の範囲とすることで、電池に用いた際に高容量と高出力が得られる。
zが0.4未満になると、Li2MO3が少なくなり過ぎ、電池に用いた際に高容量が得られない。一方、zが0.6以上では、Li2MO3、特にLi2MnO3が多くなり過ぎ、電池に用いた際に抵抗が増加するため高出力が得られない。
zが0.4未満になると、Li2MO3が少なくなり過ぎ、電池に用いた際に高容量が得られない。一方、zが0.6以上では、Li2MO3、特にLi2MnO3が多くなり過ぎ、電池に用いた際に抵抗が増加するため高出力が得られない。
次に、上記一般式におけるtは、正極活物質全体としての添加元素Aの含有量を示すものである。この添加元素Aは、電池特性を改善するために添加されるものであるが、tが0.1以上になると、Li2MO3やLiMO2が少なくなり過ぎ、電池に用いた際に高容量が得られない。
また添加元素Aは、2価から6価までの価数のいずれかをとる金属元素からなる群から選択される少なくとも1種であるが、電池特性を改善する効果が高いAl、Ti、Mg、W、Nb、Moからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
また添加元素Aは、2価から6価までの価数のいずれかをとる金属元素からなる群から選択される少なくとも1種であるが、電池特性を改善する効果が高いAl、Ti、Mg、W、Nb、Moからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
これまで説明してきた正極活物質は、十分な量のLi2MO3とリチウムの過剰量が低減されたLiMO2とにより効果が得られるものであり、上記一般式に示される組成範囲であれば、添加元素による効果と上記効果が両立できることを確認している。
リチウム過剰金属複合酸化物における一次粒子は板状粒子であり、その一次粒子の平均長軸方向径が0.3μm〜2.0μmであることが好ましい。
一次粒子が板状粒子であることで、比表面積が大きくなり一次粒子間に電解液が侵入可能な間隙が形成され、二次粒子内部まで電解液の浸透が可能であり、電解液とリチウム過剰金属複合酸化物粒子の反応面積が増加するため、高い電池容量と出力特性が得られる。また、板状粒子は、粒子径が大きくなっても粒子内部から電解液と反応する粒子表面までの距離が短く維持されるとともに粒子間の接触面積も高くすることが可能であるため、高い電池容量と出力特性を得るために有利である。
一次粒子が板状粒子であることで、比表面積が大きくなり一次粒子間に電解液が侵入可能な間隙が形成され、二次粒子内部まで電解液の浸透が可能であり、電解液とリチウム過剰金属複合酸化物粒子の反応面積が増加するため、高い電池容量と出力特性が得られる。また、板状粒子は、粒子径が大きくなっても粒子内部から電解液と反応する粒子表面までの距離が短く維持されるとともに粒子間の接触面積も高くすることが可能であるため、高い電池容量と出力特性を得るために有利である。
一方、通常の活物質の多くの構成に見られる球状若しくは略球状の一次粒子では、比表面積を大きくするとともに、粒子表面までの距離を短くするために微細化する必要があり、微細化し、かつ電解液が侵入可能な間隙を形成させると、一次粒子間の接触面積が少なくなり、粒界抵抗の増加を招いたり、電極充填性を損ねるなど高出力、高容量を引き出せなくなる問題が生ずる。さらに、上記球状若しくは略球状などの一次粒子で構成された二次粒子の粒径を小さくしても、二次粒子間で同様に高出力、高容量を引き出せなくなる問題が生ずる。
そこで、リチウム過剰金属複合酸化物における一次粒子の平均長軸方向径を、上記範囲とすることで、比表面積、すなわち電解液とリチウム過剰金属複合酸化物粒子の反応面積を十分なものとするとともに、一次粒子間の接触面積も高く維持することができる。
その平均長軸方向径が0.3μm未満では、一次粒子間の接触面積が少なくなって高出力、高容量を引き出せなくなる問題が生ずることがある。また、平均長軸方向径が2.0μmを超えると、反応面積が十分に得られないことがある。
したがって、反応面積を十分なものとするとともに一次粒子間の接触面積も高く維持するためには、この平均長軸方向径が0.5〜1.5μmであるとともに、一次粒子の長軸方向径が0.1〜2.0μmの範囲内にあることが好ましい。
その平均長軸方向径が0.3μm未満では、一次粒子間の接触面積が少なくなって高出力、高容量を引き出せなくなる問題が生ずることがある。また、平均長軸方向径が2.0μmを超えると、反応面積が十分に得られないことがある。
したがって、反応面積を十分なものとするとともに一次粒子間の接触面積も高く維持するためには、この平均長軸方向径が0.5〜1.5μmであるとともに、一次粒子の長軸方向径が0.1〜2.0μmの範囲内にあることが好ましい。
ここで、本発明における板状粒子の形態は、平均長軸方向径に対する粒子の平均厚み、すなわちアスペクト比が0.5以下のものである。
また、長軸方向径は、任意の方向から撮影された走査型電子顕微鏡写真上で測定される一次粒子の板面方向の最大粒径であり、各二次粒子における一次粒子の平均長軸方向径は測定された長軸方向径の個数平均値である。
粒子の厚みも同様に走査型電子顕微鏡写真上で測定される一次粒子の厚みであり、各二次粒子における一次粒子の平均厚みはその個数平均値を示す。
また、長軸方向径は、任意の方向から撮影された走査型電子顕微鏡写真上で測定される一次粒子の板面方向の最大粒径であり、各二次粒子における一次粒子の平均長軸方向径は測定された長軸方向径の個数平均値である。
粒子の厚みも同様に走査型電子顕微鏡写真上で測定される一次粒子の厚みであり、各二次粒子における一次粒子の平均厚みはその個数平均値を示す。
正極活物質における一次粒子の平均長軸方向径及び平均厚みは、二次粒子を任意に5〜10個程度測定して得られた各粒子のそれぞれの平均値を、さらに測定した二次粒子個数で平均することで得られ、一次粒子の長軸方向径の範囲は、正極活物質を測定する際に測定された長軸方向径の範囲である。
各測定値は、走査型電子顕微鏡写真上での測定値であればよく、一次粒子の傾きなどによる実際の粒との間の誤差が含まれてもよい。
各測定値は、走査型電子顕微鏡写真上での測定値であればよく、一次粒子の傾きなどによる実際の粒との間の誤差が含まれてもよい。
本発明に係る正極活物質の比表面積は、4.0〜10.0m2/gであり、電解液とリチウム過剰金属複合酸化物粒子の反応面積が大きく、界面抵抗が小さくなるため、高い電池容量と出力特性を得ることができる。
比表面積が4.0m2/g未満では、反応面積が不足して高い電池容量と出力特性を得ることができない。一方、比表面積が10.0m2/gを超えると、正極を得る際に電極に塗布するスラリーの製造における混練工程において、ゲル化を引き起こしやすくなる。また、NMPに代表される有機溶剤を多量に使うことになり、工業的に適さない。
比表面積が4.0m2/g未満では、反応面積が不足して高い電池容量と出力特性を得ることができない。一方、比表面積が10.0m2/gを超えると、正極を得る際に電極に塗布するスラリーの製造における混練工程において、ゲル化を引き起こしやすくなる。また、NMPに代表される有機溶剤を多量に使うことになり、工業的に適さない。
さらに、この正極活物質においては、二次粒子の平均粒径D50が3〜10μm、最大径Dmaxが50μm未満であり、タップ密度が1.5〜2.4g/cm3であることが好ましい。
この二次粒子の平均粒径D50及び最大径Dmax、タップ密度を上記範囲とすることで、充填性を高めて電池の容積当たりの充放電容量を高めるとともに、反応面積を確保して優れた出力特性を得ることができる。
この二次粒子の平均粒径D50及び最大径Dmax、タップ密度を上記範囲とすることで、充填性を高めて電池の容積当たりの充放電容量を高めるとともに、反応面積を確保して優れた出力特性を得ることができる。
二次粒子の平均粒径D50が3μm未満では、充填性が低下して電池の容積当たりの電池容量が低下することがある。また、二次粒子間の接触面積が少なくなる問題も生じる。一方、平均粒径D50が10μmを超えると、電解液と接触面積が少なくなって前記反応面積が不足することがある。
また、最大径Dmaxが50μm以上になると、電池を製造する際に均一な正極膜を得ることができず、電池特性が低下することがある。
また、最大径Dmaxが50μm以上になると、電池を製造する際に均一な正極膜を得ることができず、電池特性が低下することがある。
さらに、タップ密度が1.5g/cm3未満になると、正極への充填性が十分に得られないことがある。一方、タップ密度が2.4g/cm3を超えると、一次粒子間の空隙が少なくなり、電解液とリチウム過剰金属複合酸化物粒子の接触面積が十分に得られないことがある。
(2)正極活物質の製造方法
本発明に係る製造方法は、一般式:Li1+uNixCoyMnzAtO2+α(0.1≦u<0.3、0.03≦x≦0.25、0.03≦y≦0.25、0.4≦z<0.6、x+y+z+u+t=1、0≦α<0.3、0≦t<0.1、Aは2価から6価までの価数のいずれかをとる金属元素のうち少なくとも1種)で表され、一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたリチウム過剰金属複合酸化物粒子からなる非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法で、少なくともニッケル、コバルト、マンガンを含む水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、炭酸塩の少なくとも1種からなる一次粒子が凝集した二次粒子とリチウム化合物を混合し焼成して得られた焼成物を、0.5〜5Nの濃度である無機酸を用いて、酸洗前後での焼成物のリチウム含有量の差を酸洗前の焼成物のリチウム含有量で除したリチウム除去率を10〜30%に制御して酸洗した後、水洗することに特徴を有するものである。
本発明に係る製造方法は、一般式:Li1+uNixCoyMnzAtO2+α(0.1≦u<0.3、0.03≦x≦0.25、0.03≦y≦0.25、0.4≦z<0.6、x+y+z+u+t=1、0≦α<0.3、0≦t<0.1、Aは2価から6価までの価数のいずれかをとる金属元素のうち少なくとも1種)で表され、一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたリチウム過剰金属複合酸化物粒子からなる非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法で、少なくともニッケル、コバルト、マンガンを含む水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、炭酸塩の少なくとも1種からなる一次粒子が凝集した二次粒子とリチウム化合物を混合し焼成して得られた焼成物を、0.5〜5Nの濃度である無機酸を用いて、酸洗前後での焼成物のリチウム含有量の差を酸洗前の焼成物のリチウム含有量で除したリチウム除去率を10〜30%に制御して酸洗した後、水洗することに特徴を有するものである。
特に、無機酸による洗浄の酸洗で、活物質全体のリチウム濃度を酸洗前後で10〜30%下げ、リチウム過剰金属複合酸化物粒子を得るために過剰に添加されたリチウムを粒子表面及び粒内から除去することで、充電時に過剰なリチウムを引き抜くために用いられる充電量を抑制することができ、初期充放電効率の向上を可能とするものである。
さらに、この酸洗により、一次粒子径を小さくすることなく比表面積を4.0〜10.0m2/gと高くすることもできる。
これらにより、リチウム過剰金属複合酸化物を用いることにより得られる高い充放電容量と、界面抵抗を下げるだけでなく、初期充放電効率も向上させるものである。
さらに、この酸洗により、一次粒子径を小さくすることなく比表面積を4.0〜10.0m2/gと高くすることもできる。
これらにより、リチウム過剰金属複合酸化物を用いることにより得られる高い充放電容量と、界面抵抗を下げるだけでなく、初期充放電効率も向上させるものである。
リチウム除去率が10%未満の場合、洗浄不足で充電容量はあまり改善されず、初期充放電効率は高くならない。また、30%を超えた洗浄をすると初期充放電効率は100%を超えるまでに達するが、過度の洗浄によってプロトン置換が激しく起こり始め、充電容量が抑制されるとともに放電容量まで大幅に低下してしまうため、本来有する高容量の優位性を失ってしまう。
一般的に、比表面積を高める手法としては、焼成温度を下げるあるいは焼結防止剤を添加して一次粒子径を小さくする、二次粒子径を小さくするといった方法が挙げられる。しかし、これらの方法では高出力、高容量を引き出せなくなる問題が生じてしまう。
そこで、本発明においては、リチウム過剰金属複合酸化物粒子を強酸で酸洗することで二次粒子を形成する一次粒子の表面を溶解し、凹凸を形成させることで、抵抗に大きく影響する比表面積を飛躍的に上昇させ、電解液との接触面を増やすことで高出力に係わる界面抵抗を下げることを可能とするものである。また、二次粒子径を構成する要素である、一次粒子径や二次粒子径自体に変化を与えないため、出力特性や電池容量を阻害することはない。
以下、本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法を工程ごとに詳細に説明する。
そこで、本発明においては、リチウム過剰金属複合酸化物粒子を強酸で酸洗することで二次粒子を形成する一次粒子の表面を溶解し、凹凸を形成させることで、抵抗に大きく影響する比表面積を飛躍的に上昇させ、電解液との接触面を増やすことで高出力に係わる界面抵抗を下げることを可能とするものである。また、二次粒子径を構成する要素である、一次粒子径や二次粒子径自体に変化を与えないため、出力特性や電池容量を阻害することはない。
以下、本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法を工程ごとに詳細に説明する。
[混合工程]
混合工程は、少なくともニッケル、コバルト、マンガンを含む水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、炭酸塩の少なくとも1種からなる一次粒子が凝集した二次粒子とリチウム化合物を混合してリチウム混合物を得る工程である。
本発明の正極活物質は、板状の一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたリチウム過剰金属複合酸化物粒子からなるものである。このような正極活物質の粒子構造は、原料となる水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、炭酸塩(以下、これらを合わせて原料化合物という)の構造を継承するため、原料化合物の構造を板状の一次粒子が凝集した二次粒子とすることが必要である。原料化合物の中でも、上記構造を有するものが容易に得られる水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物の少なくとも1種が好ましい。
混合工程は、少なくともニッケル、コバルト、マンガンを含む水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、炭酸塩の少なくとも1種からなる一次粒子が凝集した二次粒子とリチウム化合物を混合してリチウム混合物を得る工程である。
本発明の正極活物質は、板状の一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたリチウム過剰金属複合酸化物粒子からなるものである。このような正極活物質の粒子構造は、原料となる水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、炭酸塩(以下、これらを合わせて原料化合物という)の構造を継承するため、原料化合物の構造を板状の一次粒子が凝集した二次粒子とすることが必要である。原料化合物の中でも、上記構造を有するものが容易に得られる水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物の少なくとも1種が好ましい。
さらに、これらの原料化合物の粒子構造を制御することにより、正極活物質としての好ましい態様を実現することができる。すなわち、一次粒子の平均長軸方向径を0.3〜2.0μmとすることが好ましい。また、二次粒子の平均粒径D50が3〜10μm、最大径Dmaxが50μm未満であることが好ましい。
上記正極活物質は、上記一般式にあるようにマンガンを含むため、例えば、晶析法により金属塩水溶液を中和して水酸化物粒子を得る際に、非酸化性にして一次粒子を発達させることで、上記構造を有する水酸化物粒子が得られ、その晶析条件を制御することにより上記特性を有する粒子とすることができる。さらに、この水酸化物粒子を酸化させることで、オキシ水酸化物粒子あるいは酸化物粒子を得る。
上記正極活物質は、上記一般式にあるようにマンガンを含むため、例えば、晶析法により金属塩水溶液を中和して水酸化物粒子を得る際に、非酸化性にして一次粒子を発達させることで、上記構造を有する水酸化物粒子が得られ、その晶析条件を制御することにより上記特性を有する粒子とすることができる。さらに、この水酸化物粒子を酸化させることで、オキシ水酸化物粒子あるいは酸化物粒子を得る。
また、この正極活物質は、リチウム混合物中の金属元素の組成比も継承するため、リチウム混合物中の組成比を、一般式における金属元素の組成比と同様にする。したがって、原料化合物として一般式と同様の組成比を有するものを用いるとよい。また、添加元素などで被覆され、粒子全体として一般式と同様の組成比を有するものを用いることもでき、リチウム混合物中に添加元素の化合物を別途添加して組成を調整することも可能である。
本発明の製造方法においては、リチウム過剰金属複合酸化物粒子から余剰のリチウムの酸洗による除去を特徴とするものであり、焼成物中にLi2MO3が生成されればよいが、リチウム混合物中のリチウム以外の金属元素の合計(Me)に対するリチウム(Li)の比(Li/Me)が1.25〜1.85となるように混合することが好ましい。これにより、焼成物中にLi2MO3を十分に生成させ、得られた正極活物質を電池に用いた際に高い放電容量が得られる。
Li/Meが1.25未満であると、得られた正極活物質中のLi2MO3が少なくなりすぎて、放電容量が低下してしまうことがある。また、Li/Meが1.85を超えると、不活性なLi2MO3が多くなって電気的特性が落ちて正極活物質の初期放電容量が低下するとともに、正極の反応抵抗も増加してしまうことがある。
混合機については、均一にする必要があるため、一般的な混合機を使用することも可能であるが、シェーカーミキサーやVブレンダーではなく、ジュリアミキサーやスパルタンリューザーやノビルタといった攪拌羽根を有し高速精密混合が可能な装置を用いることがより好ましい。
[焼成工程]
焼成工程は、混合工程で得られたリチウム混合物を、酸化性雰囲気中にて800〜1050℃の温度で焼成して焼成物を得る工程である。
この工程により、一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたリチウム過剰金属複合酸化物粒子が得られる。
焼成工程は、混合工程で得られたリチウム混合物を、酸化性雰囲気中にて800〜1050℃の温度で焼成して焼成物を得る工程である。
この工程により、一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたリチウム過剰金属複合酸化物粒子が得られる。
焼成温度が800℃未満になると、結晶性が非常に低く、電池特性として放電容量の低い正極活物質となる。また、1050℃を超えると、焼結による粒成長が激しくなり、比表面積が大幅に低下し、放電容量が低い正極活物質となってしまう。
焼成時の雰囲気は、酸化性雰囲気であればよいが、安価で取扱いが容易な大気雰囲気とすることが好ましい。
焼成時に用いられる炉は、通常のリチウム過剰金属複合酸化物が製造可能な炉であればよく、バッチ式の焼成炉やローラーハースキルンなどの連続炉を用いることができる。
焼成時に用いられる炉は、通常のリチウム過剰金属複合酸化物が製造可能な炉であればよく、バッチ式の焼成炉やローラーハースキルンなどの連続炉を用いることができる。
得られる正極活物質の粒子構造は、次工程の酸洗工程でも変化しないため焼成工程によって得られる焼成物と同様となる。したがって、使用した原料化合物と焼成条件の制御により、得られる焼成物の好ましい態様としては、板状の一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたリチウム過剰金属複合酸化物粒子である。また、その一次粒子の平均長軸方向径は、0.3〜2.0μmであることが好ましく、0.5〜1.5μmであることがより好ましい。さらに、前記一次粒子の長軸方向径の範囲が0.1〜2.0μmであることがより好ましい。
[酸洗工程]
酸洗工程は、焼成工程で得られた焼成物を、酸洗前後での焼成物のリチウム含有量の差を酸洗前の焼成物のリチウム含有量で除したリチウム除去率を10〜30%に制御して酸洗した後、水洗する工程で、得られた焼成物を酸により洗浄することで、充電容量を抑制し、90%以上という高い初期充放電効率に至らせる。また、二次粒子を形成する一次粒子の表面に凹凸を形成させることで、一次粒子を微細化することなく比表面積を高くすることを可能とし、界面抵抗の小さい活物質が得られるのである。
酸洗工程は、焼成工程で得られた焼成物を、酸洗前後での焼成物のリチウム含有量の差を酸洗前の焼成物のリチウム含有量で除したリチウム除去率を10〜30%に制御して酸洗した後、水洗する工程で、得られた焼成物を酸により洗浄することで、充電容量を抑制し、90%以上という高い初期充放電効率に至らせる。また、二次粒子を形成する一次粒子の表面に凹凸を形成させることで、一次粒子を微細化することなく比表面積を高くすることを可能とし、界面抵抗の小さい活物質が得られるのである。
ここで、リチウム除去率は、下記化学式(1)により算出した過剰なLiの溶解に用いられる酸の量を、予備実験により補正して求めた酸洗における酸の必要量を混合して酸洗することにより制御することができる。
予備実験によって決定されれば、酸の必要量は安定しており、酸濃度とスラリー濃度により容易にリチウム除去率を制御することが可能である。
予備実験によって決定されれば、酸の必要量は安定しており、酸濃度とスラリー濃度により容易にリチウム除去率を制御することが可能である。
この酸洗に用いる酸は、0.5〜5Nの濃度である無機酸を用いる。
この濃度の無機酸を用いることで、粒子表面への不純物の付着を抑制することができるが、0.5N未満の濃度の無機酸では、酸の溶解力が低く、4.0m2/g以上の比表面積が得られない。一方、5Nを越える濃度の無機酸では、酸の溶解力が高く、比表面積が10.0m2/g以上となってしまう。また、プロトン交換が起こりやすくなるため、放電容量が低下する。
この濃度の無機酸を用いることで、粒子表面への不純物の付着を抑制することができるが、0.5N未満の濃度の無機酸では、酸の溶解力が低く、4.0m2/g以上の比表面積が得られない。一方、5Nを越える濃度の無機酸では、酸の溶解力が高く、比表面積が10.0m2/g以上となってしまう。また、プロトン交換が起こりやすくなるため、放電容量が低下する。
上記無機酸は、解離定数の高い強酸性を示す酸が好ましく、塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸のいずれかとすることがより好ましく、塩酸、硫酸のいずれかとすることがさらに好ましい。
塩酸、硫酸は非酸化性の酸であり、酸化性の酸である硝酸より焼成物に対する溶解力が弱く、余剰リチウムを焼成物から引き抜いて除去するが、焼成物自体の溶解を抑える。一方、硝酸を用いると焼成物自体を溶解して十分な比表面積が得られないおそれがある。
塩酸、硫酸は非酸化性の酸であり、酸化性の酸である硝酸より焼成物に対する溶解力が弱く、余剰リチウムを焼成物から引き抜いて除去するが、焼成物自体の溶解を抑える。一方、硝酸を用いると焼成物自体を溶解して十分な比表面積が得られないおそれがある。
そこで、強酸を用いない場合、一次粒子の表面に微細な凹凸を形成するだけの溶解を引き起こせないため、界面抵抗を下げることが出来ないことがある。さらに、酢酸以上に分子量の大きい有機酸を用いた場合は粒子表面にカーボン由来の不純物が付着・残留して抵抗成分となることがあり好ましくない。カーボン付着を防止するためには無機酸を用いることが好ましい。
酸洗工程においては、酸洗終了時の焼成物と酸からなるスラリーのpHが1〜4となるように調整することが好ましい。
酸洗終了時のスラリーのpHが4を超える条件では、酸の溶解力が低く、十分な比表面積が得られないことがある。一方、酸洗終了時のスラリーのpHが1未満となる条件では、プロトン交換が起こりやすくなるため、放電容量がさらに低下することがある。
酸洗終了時のスラリーのpHが4を超える条件では、酸の溶解力が低く、十分な比表面積が得られないことがある。一方、酸洗終了時のスラリーのpHが1未満となる条件では、プロトン交換が起こりやすくなるため、放電容量がさらに低下することがある。
また、酸洗する際のスラリー濃度は、100〜1500g/Lとすることが好ましい。
スラリー濃度を薄くしすぎると、酸洗浄に長い時間がかかりプロトン交換が進んで放電容量の低下が起こることがある。一方、濃すぎると、酸の反応が局所的に激しく起こりやすく、全体が均一なリチウム濃度になるのを妨げる要因になるため好ましくない。
スラリー濃度を薄くしすぎると、酸洗浄に長い時間がかかりプロトン交換が進んで放電容量の低下が起こることがある。一方、濃すぎると、酸の反応が局所的に激しく起こりやすく、全体が均一なリチウム濃度になるのを妨げる要因になるため好ましくない。
さらに、水洗、ろ過後に、150〜500℃で真空乾燥することが好ましい。
その乾燥温度が150℃未満では、残留水分率が高すぎて電池製造工程におけるペースト混練の際にゲル化したり、電解液と反応して沸酸を発生するなどの問題を生ずることがある。一方、500℃を超えた場合は粒子の焼結が再び起こり、粉砕等の必要が生じて工程を1つ増やす必要が出るほか、比表面積が小さくなり抵抗が増す要因になるため好ましくない。
その乾燥温度が150℃未満では、残留水分率が高すぎて電池製造工程におけるペースト混練の際にゲル化したり、電解液と反応して沸酸を発生するなどの問題を生ずることがある。一方、500℃を超えた場合は粒子の焼結が再び起こり、粉砕等の必要が生じて工程を1つ増やす必要が出るほか、比表面積が小さくなり抵抗が増す要因になるため好ましくない。
(3)非水系電解質二次電池
本発明の非水系電解質二次電池は、正極、負極および非水系電解液などからなり、一般の非水系電解質二次電池と同様の構成要素により構成される。なお、以下で説明する実施形態は例示に過ぎず、本発明の非水系電解質二次電池は、本明細書に記載されている実施形態を基に、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。また、本発明の非水系電解質二次電池は、その用途を特に限定するものではない。
本発明の非水系電解質二次電池は、正極、負極および非水系電解液などからなり、一般の非水系電解質二次電池と同様の構成要素により構成される。なお、以下で説明する実施形態は例示に過ぎず、本発明の非水系電解質二次電池は、本明細書に記載されている実施形態を基に、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。また、本発明の非水系電解質二次電池は、その用途を特に限定するものではない。
(a)正極
先に述べた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いて、例えば、以下のようにして、非水系電解質二次電池の正極を作製する。
先に述べた非水系電解質二次電池用正極活物質を用いて、例えば、以下のようにして、非水系電解質二次電池の正極を作製する。
まず、粉末状の正極活物質、導電材、結着剤を混合し、さらに必要に応じて活性炭、粘度調整等の目的の溶剤を添加し、これを混練して正極合材ペーストを作製する。
その正極合材ペースト中のそれぞれの混合比も、非水系電解質二次電池の性能を決定する重要な要素となる。溶剤を除いた正極合材の固形分の全質量を100質量部とした場合、一般の非水系電解質二次電池の正極と同様、正極活物質の含有量を60〜95質量部とし、導電材の含有量を1〜20質量部とし、結着剤の含有量を1〜20質量部とすることが望ましい。
その正極合材ペースト中のそれぞれの混合比も、非水系電解質二次電池の性能を決定する重要な要素となる。溶剤を除いた正極合材の固形分の全質量を100質量部とした場合、一般の非水系電解質二次電池の正極と同様、正極活物質の含有量を60〜95質量部とし、導電材の含有量を1〜20質量部とし、結着剤の含有量を1〜20質量部とすることが望ましい。
得られた正極合材ペーストを、例えば、アルミニウム箔製の集電体の表面に塗布し、乾燥して、溶剤を飛散させる。必要に応じ、電極密度を高めるべく、ロールプレス等により加圧することもある。このようにして、シート状の正極を作製することができる。
このシート状の正極は、目的とする電池に応じて適当な大きさに裁断等をして、電池の作製に供することができる。ただし、正極の作製方法は、例示のものに限られることなく、他の方法によってもよい。
このシート状の正極は、目的とする電池に応じて適当な大きさに裁断等をして、電池の作製に供することができる。ただし、正極の作製方法は、例示のものに限られることなく、他の方法によってもよい。
正極の作製にあたって、導電材としては、例えば、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛など)や、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック系材料などを用いることができる。
結着剤は、活物質粒子をつなぎ止める役割を果たすもので、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエン、セルロース系樹脂、ポリアクリル酸などを用いることができる。
なお、必要に応じ、正極活物質、導電材、活性炭を分散させ、結着剤を溶解する溶剤を正極合材に添加する。
溶剤としては、具体的には、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
また、正極合材には、電気二重層容量を増加させるために、活性炭を添加することができる。
溶剤としては、具体的には、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
また、正極合材には、電気二重層容量を増加させるために、活性炭を添加することができる。
(b)負極
負極には、金属リチウムやリチウム合金等、あるいは、リチウムイオンを吸蔵および脱離できる負極活物質に、結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布し、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
負極には、金属リチウムやリチウム合金等、あるいは、リチウムイオンを吸蔵および脱離できる負極活物質に、結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布し、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体、コークス等の炭素物質の粉状体を用いることができる。この場合、負極結着剤としては、正極同様、PVDF等の含フッ素樹脂等を用いることができ、これらの活物質および結着剤を分散させる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
(c)セパレータ
正極と負極との間には、セパレータを挟み込んで配置する。
使用するセパレータは、正極と負極とを分離し、電解質を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い膜で、微少な孔を多数有する膜を用いることができる。
正極と負極との間には、セパレータを挟み込んで配置する。
使用するセパレータは、正極と負極とを分離し、電解質を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い膜で、微少な孔を多数有する膜を用いることができる。
(d)非水系電解液
非水系電解液は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。
有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート等の環状カーボネート、また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート、さらに、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物、エチルメチルスルホン、ブタンスルトン等の硫黄化合物、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチル等のリン化合物等から選ばれる1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
非水系電解液は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。
有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート等の環状カーボネート、また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート、さらに、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物、エチルメチルスルホン、ブタンスルトン等の硫黄化合物、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチル等のリン化合物等から選ばれる1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
支持塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiN(CF3SO2)2等、およびそれらの複合塩を用いることができる。
さらに、非水系電解液は、ラジカル捕捉剤、界面活性剤および難燃剤等を含んでいてもよい。
さらに、非水系電解液は、ラジカル捕捉剤、界面活性剤および難燃剤等を含んでいてもよい。
(e)電池の形状、構成
以上のように説明してきた正極、負極、セパレータおよび非水系電解液で構成される本発明の非水系電解質二次電池の形状は、円筒型、積層型等、種々のものとすることができる。
いずれの形状を採る場合であっても、正極および負極を、セパレータを介して積層させて電極体とし、得られた電極体に、非水系電解液を含浸させ、正極集電体と外部に通ずる正極端子との間、および、負極集電体と外部に通ずる負極端子との間を、集電用リード等を用いて接続し、電池ケースに密閉して、非水系電解質二次電池を完成させる。
以上のように説明してきた正極、負極、セパレータおよび非水系電解液で構成される本発明の非水系電解質二次電池の形状は、円筒型、積層型等、種々のものとすることができる。
いずれの形状を採る場合であっても、正極および負極を、セパレータを介して積層させて電極体とし、得られた電極体に、非水系電解液を含浸させ、正極集電体と外部に通ずる正極端子との間、および、負極集電体と外部に通ずる負極端子との間を、集電用リード等を用いて接続し、電池ケースに密閉して、非水系電解質二次電池を完成させる。
(f)特性
本発明の正極活物質を用いた非水系電解質二次電池は、高容量で高出力となる。
特により好ましい形態で得られた本発明による正極活物質を用いた非水系電解質二次電池は、例えば、2032型コイン電池の正極に用いた場合、250mAh/g以上の高い初期放電容量が得られ、さらに低い抵抗、高出力である。また、熱安定性が高く、安全性においても優れているといえる。
なお、本発明における正極抵抗の測定方法を例示すれば、次のようになる。電気化学的評価手法として一般的なDC−IR法、およびインピーダンス測定法にて電池抵抗の測定を行った。
本発明の正極活物質を用いた非水系電解質二次電池は、高容量で高出力となる。
特により好ましい形態で得られた本発明による正極活物質を用いた非水系電解質二次電池は、例えば、2032型コイン電池の正極に用いた場合、250mAh/g以上の高い初期放電容量が得られ、さらに低い抵抗、高出力である。また、熱安定性が高く、安全性においても優れているといえる。
なお、本発明における正極抵抗の測定方法を例示すれば、次のようになる。電気化学的評価手法として一般的なDC−IR法、およびインピーダンス測定法にて電池抵抗の測定を行った。
本発明により得られた正極活物質を用いた正極を有する二次電池について、その性能(初期放電容量、正極抵抗)を測定した。
以下、本発明の実施例を用いて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
以下、本発明の実施例を用いて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
以下、実施例に係る電池の製造及びその評価により本発明をさらに説明する。
(電池の製造および評価)
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質の評価は、以下のように電池を作製し、充放電容量および正極界面抵抗を測定することで行なった。
得られた非水系電解質二次電池用正極活物質の評価は、以下のように電池を作製し、充放電容量および正極界面抵抗を測定することで行なった。
非水系電解質二次電池用正極活物質52.5mg、アセチレンブラック15mg、およびポリテトラフッ化エチレン樹脂(PTFE)7.5mgを混合し、100MPaの圧力で直径11mm、厚さ100μmにプレス成形して図1に示す正極1(評価用電極)を作製した。
次に、その作製した正極1を真空乾燥機中120℃で12時間乾燥した。
そして、この正極1を用いて2032型コイン電池B(以下、コイン型電池Bと称す場合もある。)を、露点が−80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス内で作製した。
そして、この正極1を用いて2032型コイン電池B(以下、コイン型電池Bと称す場合もある。)を、露点が−80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス内で作製した。
負極2には、直径17mm厚さ1mmのLi金属を用い、電解液には、1MのLiPF6を支持電解質とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の3:7混合液(富山薬品工業株式会社製)を用いた。
セパレータ3には膜厚25μmのポリエチレン多孔膜を用いた。
また、コイン型電池Bは、ガスケット4とウェーブワッシャー5を有し、正極缶6と負極缶7とでコイン状の電池に組み立てられた。
セパレータ3には膜厚25μmのポリエチレン多孔膜を用いた。
また、コイン型電池Bは、ガスケット4とウェーブワッシャー5を有し、正極缶6と負極缶7とでコイン状の電池に組み立てられた。
製造したコイン型電池Bの性能を示す初期放電容量、正極抵抗は、以下のように評価した。
初期放電容量は、コイン型電池Bを製作してから24時間程度放置し、開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.1mA/cm2としてカットオフ電圧4.8Vまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧2.5Vまで放電したときの容量を初期放電容量とし、充電に対する放電の容量比を初期充放電効率とした。
初期放電容量は、コイン型電池Bを製作してから24時間程度放置し、開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.1mA/cm2としてカットオフ電圧4.8Vまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧2.5Vまで放電したときの容量を初期放電容量とし、充電に対する放電の容量比を初期充放電効率とした。
正極界面抵抗の測定は、インピーダンス測定法を用い、コイン型電池Bを充電電位4.4Vで充電し、周波数応答アナライザおよびポテンショガルバノスタット(ソーラトロン製、1255B)を使用することで、図2(a)のようなナイキストプロットが得られる。
この図2(a)に示すナイキストプロットは、溶液抵抗、負極抵抗とその容量、および、正極界面抵抗(界面抵抗)とその容量を示す特性曲線の和として表しているため、このナイキストプロットに基づき、図2(b)に示す等価回路を用いてフィッティング計算して、正極界面抵抗の値を算出した。また界面抵抗については、酸洗浄を行っていない活物質を用いた場合を基準とし、これに対する抵抗減少率を算出・表記することとする。
なお、本実施例では、複合水酸化物製造、正極活物質および二次電池の作製には、和光純薬工業株式会社製試薬特級の各試料を使用した。
予め40℃に加温した純水の入った反応槽に硫酸ニッケルと硫酸コバルト、硫酸マンガンの水和物の結晶を純水に溶解した混合原液(金属元素モル比でNi:Co:Mn=2:1:7)、アンモニア水を規定の流量で滴下しつつpHを11.5に維持するよう水酸化ナトリウム水溶液を滴下することで反応晶析によって、まず前駆体であるニッケルコバルトマンガン複合水酸化物スラリーを生成させた。
次に得られた複合水酸化物をろ過、乾燥し粉末を得る。この粉末化した複合水酸化物中のニッケル、コバルト、マンガンの原子数の総量に対して150原子%の量を計算し秤量した炭酸リチウムをスパルタンリューザーで混合する。このときの複合水酸化物の平均粒子径は6.4μmだった。
次に雰囲気を大気とし、950℃で10時間保持するように焼成を行い、リチウム過剰金属複合酸化物を得た。このリチウム過剰金属複合酸化物に対し、1N塩酸を用い、スラリー濃度200g/Lでリチウムを20%除去するように洗浄し、さらにろ過を行い真空乾燥器で200℃に加熱して乾燥させることで所望のリチウム過剰金属複合酸化物の粉末を作製した。酸洗終了時のスラリーのpHは3.2であった。
図3に得られた正極活物質の走査型電子顕微鏡写真を示す。
この図3を含めた5視野から測定した一次粒子の平均長軸方向径は、0.89μmであり、その範囲は0.23〜1.73μmであった。
この図3を含めた5視野から測定した一次粒子の平均長軸方向径は、0.89μmであり、その範囲は0.23〜1.73μmであった。
作製したリチウム過剰金属複合酸化物の粉末を、正極活物質に用いてコイン型電池Bを作製し、電池評価測定を行い、その結果を表1に示す。
初期放電容量は258.7mAh/g、比較例1を基準としたインピーダンス測定による界面抵抗の相対的な削減率は59%、初期充放電効率は95.4%の測定結果を得た。
初期放電容量は258.7mAh/g、比較例1を基準としたインピーダンス測定による界面抵抗の相対的な削減率は59%、初期充放電効率は95.4%の測定結果を得た。
スラリー濃度を300g/Lに調整して塩酸によるリチウムの除去する量を20%から10%に変更した以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造した。酸洗終了時のスラリーのpHは2.9であった。実施例1と同様にして、電池評価を行ったところ、初期放電容量は261.8mAh/g、界面抵抗削減率は50%、初期充放電効率は90.3%であった。表1に、その結果を纏めて示す。
スラリー濃度を100g/Lに調整して塩酸によるリチウムの除去する量を20%から30%に変更した以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造した。酸洗終了時のスラリーのpHは3.1であった。実施例1と同様にして、電池評価を行ったところ、初期放電容量は252.2mAh/g、界面抵抗削減率は53%、初期充放電効率は103%の結果を得た。測定結果を表1に纏めて示す。
コバルトの一部をアルミニウムに3原子%だけ置換した組成に変更した以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造し、電池評価を行ったところ、初期放電容量は256.2mAh/g、界面抵抗削減率は56%、初期充放電効率は95.0%の結果を得た。測定結果を表1に纏めて示す。
1N塩酸を1N硫酸に変更した以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造した。酸洗終了時のスラリーのpHは3.0であった。実施例1と同様にして、電池評価を行ったところ、初期放電容量は260.5mAh/g、界面抵抗削減率は58%、初期充放電効率は96.4%の結果を得た。測定結果を表1に纏めて示す。
塩酸の濃度を1Nから0.5Nに変更するとともにスラリー濃度を100g/Lに調整した以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造した。酸洗終了時のスラリーのpHは3.6であった。実施例1と同様にして、電池評価を行ったところ、初期放電容量は257.3mAh/g、界面抵抗削減率は48%、初期充放電効率は94.7%の結果を得た。測定結果を表1に纏めて示す。
塩酸の濃度を1Nから5Nに変更するとともにスラリー濃度を1000g/Lに調整した以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造した。酸洗終了時のスラリーのpHは2.2であった。実施例1と同様にして、電池評価を行ったところ、初期放電容量は256.0mAh/g、界面抵抗削減率は57%、初期充放電効率は94.9%の結果を得た。測定結果を表1に纏めて示す。
金属元素モル比 Ni:Co:Mn:Mg=1.85:1:7:0.15になるように、炭酸リチウムをスパルタンリューザーで混合する際に、酸化マグネシウムMgOも秤量・混合した以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造し、電池評価を行ったところ、初期放電容量は256.8mAh/g、界面抵抗削減率は58%、初期充放電効率は94.8%の結果を得た。測定結果を表1に纏めて示す。
金属元素モル比 Ni:Co:Mn:Ti=2:1:6.85:0.15になるように、炭酸リチウムをスパルタンリューザーで混合する際に、酸化チタンTiO2も秤量・混合した以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造し、電池評価を行ったところ、初期放電容量は259.0mAh/g、界面抵抗削減率は55%、初期充放電効率は95.3%の結果を得た。測定結果を表1に纏めて示す。
金属元素モル比 Ni:Co:Mn:W=1.99:0.99:6.99:0.03になるように、炭酸リチウムをスパルタンリューザーで混合する際に、酸化タングステンWO3も秤量・混合した以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造し、電池評価を行ったところ、初期放電容量は262.1mAh/g、界面抵抗削減率は59%、初期充放電効率は94.7%の結果を得た。測定結果を表1に纏めて示す。
(比較例1)
酸洗浄を行わないこと以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造し、電池評価を行ったところ、初期放電容量は268.8mAh/g、界面抵抗削減率は0%、初期充放電効率は78.4%の結果を得た。測定結果を表1に纏めて示す。
酸洗浄を行わないこと以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造し、電池評価を行ったところ、初期放電容量は268.8mAh/g、界面抵抗削減率は0%、初期充放電効率は78.4%の結果を得た。測定結果を表1に纏めて示す。
なお、比較例1に係る正極活物質の走査型電子顕微鏡写真を図4に示す。
この図4を含めた5視野から測定した一次粒子の平均長軸方向径は、0.92μmであり、その範囲は0.27〜1.87μmで、酸洗によっても一次粒子の変化はないことが確認された。
この図4を含めた5視野から測定した一次粒子の平均長軸方向径は、0.92μmであり、その範囲は0.27〜1.87μmで、酸洗によっても一次粒子の変化はないことが確認された。
(比較例2)
スラリー濃度を150g/Lに調整して塩酸によるリチウムの除去する量を20%から5%に変更した以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造した。酸洗終了時のスラリーのpHは2.6であった。実施例1と同様にして、電池評価を行ったところ、初期放電容量は267.6mAh/g、界面抵抗削減率は16%、初期充放電効率は79.1%の結果を得た。測定結果を表1に纏めて示す。
スラリー濃度を150g/Lに調整して塩酸によるリチウムの除去する量を20%から5%に変更した以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造した。酸洗終了時のスラリーのpHは2.6であった。実施例1と同様にして、電池評価を行ったところ、初期放電容量は267.6mAh/g、界面抵抗削減率は16%、初期充放電効率は79.1%の結果を得た。測定結果を表1に纏めて示す。
(比較例3)
スラリー濃度を100g/Lに調整して塩酸によるリチウムの除去する量を20%から40%に変更した以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造した。酸洗終了時のスラリーのpHは3.7であった。実施例1と同様にして、電池評価を行ったところ、初期放電容量は226.2mAh/g、界面抵抗削減率は58%、初期充放電効率は109%の結果を得た。測定結果を表1に纏めて示す。
スラリー濃度を100g/Lに調整して塩酸によるリチウムの除去する量を20%から40%に変更した以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造した。酸洗終了時のスラリーのpHは3.7であった。実施例1と同様にして、電池評価を行ったところ、初期放電容量は226.2mAh/g、界面抵抗削減率は58%、初期充放電効率は109%の結果を得た。測定結果を表1に纏めて示す。
(比較例4)
塩酸の濃度を1Nから0.1Nに変更するとともにスラリー濃度を20g/Lに調整した以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造した。酸洗終了時のスラリーのpHは3.6であった。実施例1と同様にして、電池評価を行ったところ、初期放電容量は240.3mAh/g、界面抵抗削減率は20%、初期充放電効率は90.3%の結果を得た。測定結果を表1に纏めて示す。
塩酸の濃度を1Nから0.1Nに変更するとともにスラリー濃度を20g/Lに調整した以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造した。酸洗終了時のスラリーのpHは3.6であった。実施例1と同様にして、電池評価を行ったところ、初期放電容量は240.3mAh/g、界面抵抗削減率は20%、初期充放電効率は90.3%の結果を得た。測定結果を表1に纏めて示す。
(比較例5)
塩酸の濃度を1Nから8Nに変更するとともにスラリー濃度を1600g/Lに調整した以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造した。酸洗終了時のスラリーのpHは0.9であった。実施例1と同様にして、電池評価を行ったところ、初期放電容量は214.6mAh/g、界面抵抗削減率は59%、初期充放電効率は113%の結果を得た。測定結果を表1に纏めて示す。
塩酸の濃度を1Nから8Nに変更するとともにスラリー濃度を1600g/Lに調整した以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造した。酸洗終了時のスラリーのpHは0.9であった。実施例1と同様にして、電池評価を行ったところ、初期放電容量は214.6mAh/g、界面抵抗削減率は59%、初期充放電効率は113%の結果を得た。測定結果を表1に纏めて示す。
(比較例6)
1N塩酸を1N酢酸に変更した以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造した。酸洗終了時のスラリーのpHは4.6であった。実施例1と同様にして、電池評価を行ったところ、初期放電容量は260.5mAh/g、界面抵抗削減率は23%、初期充放電効率は91.0%の結果を得た。測定結果を表1に纏めて示す。
1N塩酸を1N酢酸に変更した以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造した。酸洗終了時のスラリーのpHは4.6であった。実施例1と同様にして、電池評価を行ったところ、初期放電容量は260.5mAh/g、界面抵抗削減率は23%、初期充放電効率は91.0%の結果を得た。測定結果を表1に纏めて示す。
(比較例7)
950℃で10時間保持する焼成条件を、1100℃で10時間保持に変更した以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造し、電池評価を行ったところ、初期放電容量は213.0mAh/g、界面抵抗削減率は−18.2%、初期充放電効率は84.0%の結果を得た。測定結果を表1に纏めて示す。
950℃で10時間保持する焼成条件を、1100℃で10時間保持に変更した以外は、実施例1と同様にして正極活物質のリチウム過剰金属複合酸化物を製造し、電池評価を行ったところ、初期放電容量は213.0mAh/g、界面抵抗削減率は−18.2%、初期充放電効率は84.0%の結果を得た。測定結果を表1に纏めて示す。
本発明の非水系二次電池は、高容量の優れた電気特性を有することから、最近の携帯電話やノート型パソコンなどの携帯電子機器などの高エネルギー密度が要求される小型電源装置として好適である。
また、本発明の非水系二次電池は、優れた安全性を有することから、純粋に電気エネルギーで駆動される電気自動車、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃焼機関と併用するハイブリッド自動車もしくはプラグインハイブリッド自動車などの大型電源装置としても好適に用いることができる。
1 正極(評価用電極)
2 Li金属負極
3 セパレータ
4 ガスケット
5 ウェーブワッシャー
6 正極缶
7 負極缶
B (2032型)コイン型電池
2 Li金属負極
3 セパレータ
4 ガスケット
5 ウェーブワッシャー
6 正極缶
7 負極缶
B (2032型)コイン型電池
すなわち、本発明の第1の発明は、一般式:Li1+uNixCoyMnzAtO2+α(0.1≦u<0.3、0.03≦x≦0.25、0.03≦y≦0.25、0.4≦z<0.6、x+y+z+u+t=1、0≦α<0.3、0≦t<0.1、Aは2価から6価までの価数のいずれかをとる金属元素のうち少なくとも1種)で表され、一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたリチウム過剰金属複合酸化物粒子からなる非水系電解質二次電池用正極活物質であって、その前記正極活物質の比表面積が4.0〜10.0m 2 /gであり、かつ、一次粒子が板状粒子であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質である。
Claims (12)
- 一般式:Li1+uNixCoyMnzAtO2+α(0.1≦u<0.3、0.03≦x≦0.25、0.03≦y≦0.25、0.4≦z<0.6、x+y+z+u+t=1、0≦α<0.3、0≦t<0.1、Aは2価から6価までの価数のいずれかをとる金属元素のうち少なくとも1種)で表され、一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたリチウム過剰金属複合酸化物粒子からなる非水系電解質二次電池用正極活物質であって、
前記一次粒子が、4.0〜10.0m2/gの比表面積を有する板状粒子であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質。 - 前記一次粒子の平均長軸方向径が、0.3μm〜2.0μmであることを特徴とする請求項1に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
- 前記リチウム過剰金属複合酸化物粒子が、粉末X線回折測定において、2θ=20〜22°の範囲でLi2MO3由来の(020)、(110)面のピークを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
- 前記二次粒子の平均粒径D50が3〜10μm、最大径Dmaxが50μm未満、且つタップ密度が1.5〜2.4g/cm3であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
- 一般式:Li1+uNixCoyMnzAtO2+α(0.1≦u<0.3、0.03≦x≦0.25、0.03≦y≦0.25、0.4≦z<0.6、x+y+z+u+t=1、0≦α<0.3、0≦t<0.1、Aは2価から6価までの価数のいずれかをとる金属元素のうち少なくとも1種)で表され、一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたリチウム過剰金属複合酸化物粒子からなる非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法であって、
少なくともニッケル、コバルト、マンガンを含む水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、及び炭酸塩の少なくとも1種からなる一次粒子が凝集した二次粒子とリチウム化合物を混合してリチウム混合物を得る混合工程と、
前記リチウム混合物を、酸化性雰囲気中にて800〜1050℃の温度で焼成して焼成物を得る焼成工程と、
0.5〜5Nの濃度である無機酸を用いて、酸洗前後での焼成物のリチウム含有量の差を酸洗前の焼成物のリチウム含有量で除したリチウム除去率が10〜30%となるように制御して酸洗を前記焼成物に施した後、水洗する酸洗工程と、
を含むことを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。 - 前記焼成物が、板状の一次粒子が凝集した二次粒子で構成されたリチウム過剰金属複合酸化物粒子であることを特徴とする請求項5に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記一次粒子の平均長軸方向径が、0.3〜2.0μmであることを特徴とする請求項5又は6に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記焼成物の二次粒子の平均粒径D50が3〜10μm、最大径Dmaxが50μm未満、且つタップ密度が1.5〜2.4g/m3であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記混合工程において、少なくともニッケル、コバルト、マンガンを含む水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、及び炭酸塩の少なくとも1種からなる一次粒子が凝集した二次粒子とリチウム化合物を、リチウム混合物中のリチウム以外の金属元素の合計(Me)に対するリチウム(Li)の比(Li/Me)が1.25〜1.85となるように混合することを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記酸洗工程において酸洗終了時の焼成物と酸からなるスラリーのpHが1〜4となるように制御することを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記無機酸が、塩酸または硫酸であることを特徴とする請求項5〜10のいずれか1項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記酸洗工程において、酸洗する際のスラリー濃度が、100〜1500g/Lであることを特徴とする請求項5〜11のいずれか1項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
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