JP2000145539A - 冷却空洞付きピストン耐摩環およびその製造方法 - Google Patents

冷却空洞付きピストン耐摩環およびその製造方法

Info

Publication number
JP2000145539A
JP2000145539A JP10319583A JP31958398A JP2000145539A JP 2000145539 A JP2000145539 A JP 2000145539A JP 10319583 A JP10319583 A JP 10319583A JP 31958398 A JP31958398 A JP 31958398A JP 2000145539 A JP2000145539 A JP 2000145539A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ring
piston
wear
cooling cavity
resistant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10319583A
Other languages
English (en)
Inventor
Sekihin Yo
楊  積彬
Kunio Hanada
久仁夫 花田
Hidetsugu Yamamoto
英継 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Motors Corp
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Motors Corp, Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Motors Corp
Priority to JP10319583A priority Critical patent/JP2000145539A/ja
Publication of JP2000145539A publication Critical patent/JP2000145539A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
    • F05C2201/00Metals
    • F05C2201/02Light metals
    • F05C2201/021Aluminium

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピストンリングの冷却効果を高める。製造性
および信頼性を向上させる。 【解決手段】 それぞれ金属系焼結材料からなる第1の
耐摩環構成材33と第2の耐摩環構成材34とをプロジェク
ション溶接により接合して、これらの耐摩環構成材33,3
4間に冷却空洞32を形成する。アルミニウム合金からな
るピストン本体11への鋳ぐるみに先立って、ピストン耐
摩環31にはアルミニウム合金を溶浸することが好まし
い。ピストン耐摩環31に冷却空洞32を形成することによ
り、この冷却空洞32をピストンリング19,20に近付ける
ことが可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関用エンジ
ンなどに利用される冷却空洞付きピストン耐摩環に関す
る。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】図9は内燃機関用エン
ジンに用いられる従来のピストンの一例を示している。
同図において、1はピストン本体で、このピストン本体
1は、例えばアルミニウム合金を材料として鋳造により
成形されたものである。2はピストン本体1に形成され
たピストンピン孔である。ピストン本体1の外周面には
複数のピストンリング溝3,4,5が形成されている。
これらのピストンリング溝3,4,5は、図示していな
いが、シリンダーの内周面を摺動するピストンリングが
それぞれ組み込まれる為のものである。特に頂面6側の
ピストンリング溝3,4に組み込まれるピストンリング
は燃焼室側に位置し、ガスシールと散熱作用を果たすも
のである。他のピストンリング溝5に組み込まれるピス
トンリングは潤滑管理用のオイルリングである。
【0003】特に頂面6側のピストンリング溝3と4は
高温耐摩耗性が要求される。このピストンリング溝3に
組み込まれるピストンリングよりも燃焼室側でピストン
の外周面とシリンダーの内周面との間の隙間の燃焼ガス
は未燃焼のまま排気ガスとして排出されてしまうので、
排気ガスの浄化のためには、頂面6とピストンリング溝
3との間の距離aを極力小さくするのが望ましいが、こ
の距離aを小さくすると、ピストンリング溝3の温度が
高くなり、摩耗が多くなってガス漏れが発生するおそれ
がある。そこで、図9に示すピストンでは、頂面6側の
2つのピストンリング溝3,4をピストン本体1とは別
のニレジスト鋳鉄からなるトレーガとも称するピストン
耐摩環7に形成している。ピストン耐摩環7は、ピスト
ン本体1の鋳造に際してこのピストン本体1に鋳ぐるま
れる。
【0004】さらに、燃焼熱などに対してのピストンリ
ング溝3,4,5の冷却のために、その内側に冷却用の
オイルを通す環状の冷却空洞8を形成している。従来
は、例えば実公昭58−52346号公報などにも記載
されているように、ピストン本体1の鋳造に際して塩中
子を用いることにより冷却空洞8を形成するようにして
いる。塩中子は、ピストン本体1の鋳造後に水により溶
解されて取り出される。
【0005】しかし、このように塩中子を利用して冷却
空洞8を形成する場合、この冷却空洞8とピストンリン
グ溝3,4との間の距離bを小さくすることには限界が
ある。ピストンリング溝3,4の冷却効果を高めるに
は、前記距離bをより小さくした方がよい。
【0006】これに対して、例えば特開平5−2403
47号公報などに記載されているように、冷却空洞をピ
ストンリング溝に近付けることを目的として、ピストン
本体とも耐摩環本体部分とも別体の環状の部品(成型
体)を耐摩環本体部分の内周側に接合することにより冷
却空洞を形成することも提案されている。耐摩環本体部
分と成型体とを接合してなるピストン耐摩環は、ピスト
ン本体の鋳造時にこのピストン本体に鋳ぐるまれる。そ
して、前記公報に記載のピストン耐摩環では、成型体を
ステンレス鋼などの金属板により形成し、耐摩環本体部
分の内周面に形成したインロー状の嵌挿部に成型体を嵌
挿してアーク溶接などによって接合するようにしてい
る。なお、耐摩環本体部分はニレジスト鋳鉄などからな
る。
【0007】しかし、前記特開平5−240347号公
報に記載のピストン耐摩環では、耐摩環本体部分と成型
体との接合が不確実である問題がある。特に接合手段と
してアーク溶接を用いた場合、接合部にブローホールな
どの溶接欠陥が生じやすい。また、ピストン本体がアル
ミニウム合金からなる場合、前記公報に記載のようにニ
レジスト鋳鉄からなる耐摩環本体部分やステンレス鋼製
の板金からなる成型体ではピストン本体との鋳ぐるみ性
が悪いため、鋳ぐるみに先立ってピストン耐摩環にアル
ミニウム系の材料からなるメッキを施す必要があるが、
充分な接合強度が得られない上に、このような工程を加
えるとコストがかさむ。
【0008】本発明は、このような問題点を解決しよう
とするもので、ピストンリングの冷却効果を高めること
ができるとともに、製造性および信頼性を向上できる冷
却空洞付きピストン耐摩環およびその製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、前記
目的を達成するために、ピストン本体に鋳ぐるみにより
埋設されピストンリングが組み込まれる冷却空洞付きピ
ストン耐摩環において、それぞれ金属系焼結材料からな
る複数の耐摩環構成材をプロジェクション溶接により接
合して、これらの耐摩環構成材間に冷却空洞を形成して
なるものである。
【0010】このように複数の耐摩環構成材を接合して
冷却空洞を形成することにより、この冷却空洞をピスト
ンリングに近付けて冷却効果を高めることが可能にな
る。また、金属焼結材料からなる耐摩環構成材は形状付
与が比較的自由であるとともに、材料の選定の幅が広
く、高温耐摩耗性に優れるとともにピストン本体の材料
と熱膨張率が近い材料を選定できる点などに利点があ
り、溶浸などによってピストン本体との鋳ぐるみ性を向
上させることも容易である。さらに、複数の耐摩環構成
材をプロジェクション溶接で接合することにより、複数
の耐摩環構成材を容易にかつ確実に接合することができ
る。
【0011】請求項2の発明は、請求項1の発明の冷却
空洞付きピストン耐摩環において、環状の第1の耐摩環
構成材と環状の第2の耐摩環構成材とを軸方向に接合し
て、これらの耐摩環構成材間に冷却空洞を形成してなる
ものである。
【0012】プロジェクション溶接では電流を流しなが
ら溶接される複数の部材を加圧するが、冷却空洞付きピ
ストン耐摩環が環状のものであることから、その軸方向
に加圧を行うのが確実な加圧を行うためには好ましい。
したがって、請求項2の発明の冷却空洞付きピストン耐
摩環のように耐摩環構成材を環状にして軸方向に接合す
れば、この接合を確実に行える。
【0013】請求項3の発明は、請求項1または2の発
明の冷却空洞付きピストン耐摩環において、前記耐摩環
構成材に、前記ピストン本体と同系のAl合金材料を溶
浸させてなるものである。
【0014】これにより、ピストン本体に冷却空洞付き
ピストン耐摩環を鋳ぐるむ際、焼結材料の気孔からのガ
スの発生がなくなるとともに、ピストン本体と冷却空洞
付きピストン耐摩環との密着性が向上する。また、ピス
トン本体と冷却空洞付きピストン耐摩環との間の熱伝導
性も向上する。
【0015】請求項4の発明は、前記目的を達成するた
めに、ピストン本体に鋳ぐるみにより埋設されピストン
リングが組み込まれる冷却空洞付きピストン耐摩環の製
造方法において、金属を主成分とする原料粉末を圧縮し
て圧粉体を成形した後、これらの圧粉体を加熱して焼結
することにより耐摩環構成材をなす焼結体を製造し、つ
ぎに、複数の耐摩環構成材をプロジェクション溶接によ
り接合して、これらの耐摩環構成材間に冷却空洞を形成
するものである。
【0016】請求項5の発明は、請求項4の発明の冷却
空洞付きピストン耐摩環の製造方法において、前記プロ
ジェクション溶接前に、焼結体からなる前記耐摩環構成
材に前記冷却空洞を形成する凹部を加工するものであ
る。
【0017】複数の耐摩環構成材を接合する手段として
は焼結接合も考えられるが、焼結接合では組み合わせた
複数の圧粉体を焼結に伴って接合するため、冷却空洞を
形成する凹部を切削などの加工により形成することは難
しい。これに対して、焼結後に溶接するのであれば、請
求項4の発明のように、溶接前に、焼結体からなる耐摩
環構成材に冷却空洞を形成する凹部を加工することが可
能である。これにより、冷却空洞の形状をより自由に設
定できるようになる。
【0018】
【発明の実施形態】以下、本発明の冷却空洞付きピスト
ン耐摩環およびその製造方法の実施形態について、図面
を参照しながら説明する。最初に、ピストン本体及びピ
ストン耐摩環の構成について詳述する。本実施形態のピ
ストン耐摩環が用いられるピストンは内燃機関エンジン
用のものであり、図1、図5および図7に示すピストン
本体11により大部分が構成されている。このピストン本
体11は、アルミニウム合金であるAl−Si系合金を材
料として鋳造されたもので、内部に空洞部12を有してい
るとともに、この空洞部12に臨むピストンピン孔13を有
している。また、ピストン本体11の頂面14つまり燃焼室
に面する先端面には凹部15が形成されている。
【0019】そして、ピストンの外周面には複数の環状
のピストンリング溝16,17,18が形成されている。これ
らのピストンリング溝16,17,18は、図示していないシ
リンダーの内周面を摺動するピストンリング19,20,21が
それぞれ組み込まれるものである。頂面14から最も離れ
たピストンリング溝18はピストン本体11に直接形成され
ているが、他のピストンリング溝16,17は、ピストン本
体11とは別体の冷却空洞付きピストン耐摩環31に形成さ
れている。このピストン耐摩環31は、ピストン本体11に
一体的に鋳ぐるみにより埋設されたものである。また、
ピストン耐摩環31内には、冷却用のオイルを通すための
冷却空洞32が一体に形成されており、この冷却空洞32に
オイルを供給するための通路孔(図示していない)がピ
ストン本体11に形成されている。
【0020】ここで、前記ピストン耐摩環31の第1例に
ついて、図1から図4を参照しながら説明する。ピスト
ン耐摩環31は、それぞれ導電性を有する金属系焼結材料
からなる第1の耐摩環構成材33と第2の耐摩環構成材34
とを抵抗溶接の一種であるプロジェクション溶接により
接合してなり、これらの耐摩環構成材33,34間に前記冷
却空洞32を形成したものである。そして、両耐摩環構成
材33,34はともに黒鉛析出鉄系焼結材料からなってい
る。材料成分の一例を示すと、次の通りである。Cr:
0.5〜5%,Mn:0.2〜1%,S:0.05〜1%,B:0.
05〜1%,C:0.5〜5%,Ni:1〜12%,Ti:0.5
〜5%,Cu:1〜4%を含有し、かつ素地はオーステ
ナイト相を主体とし、気孔中に遊離黒鉛が析出し、成長
した組織を有する鉄系焼結材料。
【0021】前記耐摩環構成材33,34はいずれも円環状
でほぼ同形状になっており、その軸方向つまり上下方向
に接合されている。また、下側の第1の耐摩環構成材33
には上方へ開口した凹部35が形成され、上側の第2の耐
摩環構成材34には下方へ開口した凹部36が形成され、こ
れらの凹部35,36により冷却空洞32が形成されている。
【0022】つぎに、前記冷却空洞付きピストン耐摩環
31およびこの冷却空洞付きピストン耐摩環31を用いたピ
ストンの製造方法について説明する。ピストン耐摩環31
を構成する第1の耐摩環構成材33および第2の耐摩環構
成材34はそれぞれ別個に粉末成形する(粉末成形工
程)。すなわち、原料粉末を粉末成形プレスで加圧、圧
縮して圧粉体を成形する。その際の成形圧力は5〜7t/
cm2とし、成形された圧粉体の密度比を80〜95%とす
る。なお、この粉末成形の段階では、耐摩環構成材33,3
4にピストンリング溝16,17は形成されず、耐摩環構成材
33,34の外周面は図2から図4に示すように円柱面にな
っている。一方、凹部35,36は粉末成形の段階に形成で
きる。なお、後にピストンリング溝16,17を形成するた
めに、耐摩環構成材33,34の外周面と凹部35,36との間に
はある程度の肉厚を確保しておく必要がある。また、粉
末成形時に、上側の第2の耐摩環構成材34の下面つまり
第1の耐摩環構成材33への接合面にプロジェクション溶
接用の複数の突起部37を形成する。なお、この突起部37
は、第2の耐摩環構成材34ではなく第1の耐摩環構成材
33に形成してもよく、また、両耐摩環構成材33,34にそ
れぞれ形成してもよい。
【0023】つぎに、圧粉体からなる第1の耐摩環構成
材33および第2の耐摩環構成材34を焼結炉で加熱して焼
結する(焼結工程)。この焼結時の温度は1120〜1150
℃、焼結時間は30分〜1時間とする。また、雰囲気ガス
としては天然ガスの変成ガス、N2−H2あるいはアンモ
ニア分解ガスを用い、吸熱性還元雰囲気とする。
【0024】つぎに、第1の耐摩環構成材33と第2の耐
摩環構成材34とを同軸的に重ね合わせてプロジェクショ
ン溶接する(溶接工程)。この溶接工程では、図4に示
すように第1の耐摩環構成材33をプロジェクション溶接
機の下電極プラテン41上に載せ、第1の耐摩環構成材33
上に第2の耐摩環構成材34を載せてこれらの耐摩環構成
材33,34を軸方向に重ね合わせ、さらに第2の耐摩環構
成材34上に上電極プラテン42を載せる。そして、エアシ
リンダなどの加圧装置43により上電極プラテン42を下方
へ加圧して両耐摩環構成材33,34を軸方向に互いに加圧
しながら、下電極プラテン41と上電極プラテン42とに電
源44から直流電圧またはパルス電圧を10〜300V印加
し、500〜1500Aの電流を流す。これにより、突起部37
を介して一方の耐摩環構成材33(34)から他方の耐摩環
構成材34(33)に電流が流れるが、この耐摩環構成材3
3,34における電気抵抗による発熱によって突起部37が溶
融し、両耐摩環構成材33,34が一体に直接接合される。
なお、突起部37は電気抵抗を高くするためのものであ
り、抵抗加熱溶接であるプロジェクション溶接に際して
は突起部37付近が局部的に高温になる。このようにして
両耐摩環構成材33,34を接合すると、それらの凹部35,36
によりピストン耐摩環31内に冷却空洞32が形成される。
【0025】つぎに、焼結体からなる第1の耐摩環構成
材33と第2の耐摩環構成材34とを接合してなるピストン
耐摩環31にピストン本体11と同系の材料であるアルミニ
ウム合金を溶浸させる(溶浸工程)。溶浸材であるアル
ミニウム合金としては、ピストン本体11と同じくAC8
AあるいはAC8C(JIS規格)を用い、溶浸は真空
含浸により行う。より詳しく説明すると、ピストン耐摩
環31となる焼結体を700〜750℃に保持し、真空容器中で
1時間ほど真空引きすることにより、焼結体内の気孔に
溶浸材が円滑に含浸されるようにこの気孔内のガスを除
去した後、焼結体をアルミニウム合金の溶湯中に浸漬す
るとともに、8気圧を加圧して5〜60分保持する。これ
により、焼結体内の気孔中にアルミニウム合金が含浸さ
れる。
【0026】このようにして完成したピストン耐摩環31
をピストン本体11の重力鋳造に際してこのピストン本体
11に鋳ぐるむ(鋳造工程)。この鋳造においては、ピス
トン耐摩環31を鋳造用金型内に設置し、ピストン本体11
の材料であるAl−Si系合金を溶解して鋳造用金型内
に注入し、ピストン耐摩環31を一体化したピストン本体
11を成形する。
【0027】さらに、ピストン耐摩環31の外周部にピス
トンリング溝16,17を機械加工(切削加工)により形成
する。なお、このようにピストンリング溝16,17を後加
工により形成するのは、これらのピストンリング溝16,1
7の位置および寸法の精度を向上させるためである。
【0028】前述のように第1の耐摩環構成材33と第2
の耐摩環構成材34とを接合してピストン耐摩環31を構成
するとともに、このピストン耐摩環31内に冷却空洞32を
形成したので、この冷却空洞32をピストンリング溝16,1
7およびピストンリング19,20に近付けることができる。
つまり、冷却空洞32とピストンリング溝16,17との間の
距離bを小さくでき、これにより冷却効果を高めること
ができる。したがって、ピストン耐摩環31の高温下での
摩耗を抑制できる。その結果、ピストン本体11の頂面14
とピストンリング溝16との間の距離aを小さくすること
も可能になり、未燃焼のまま排気ガスとして排出されて
しまう燃焼ガスの量を少なくでき、排気ガスの浄化を図
れる。
【0029】さらに、第1の耐摩環構成材33と第2の耐
摩環構成材34とをプロジェクション溶接により接合した
ので、容易にかつ確実に接合できる。例えばアーク溶接
などに比べ、溶接材の必要がなく、接合部にブローホー
ルなどの溶接欠陥が生じることも少なく、信頼性が向上
するとともに高い接合強度が得られる。焼結材料からな
る複数の耐摩環構成材を接合する手段としては、焼結に
伴って接合する焼結接合(焼結ばめあるいは拡散接合)
も考えられる。しかし、焼結ばめは、複数の耐摩環構成
材の焼結時の寸法変化率の相違を利用するものであるこ
とから、材料に制約が生じ、また、接合面での合金元素
の拡散により接合を行う拡散接合が可能な材料も制約が
ある。これに対して、プロジェクション溶接による接合
では材料などの条件に対する制約がより少なく、汎用性
が高くなる。例えば同種材料の接合も異種材料の接合も
可能である。
【0030】また、ピストン耐摩環31は円環状のものな
ので、プロジェクション溶接時の加圧方向はピストン耐
摩環31の軸方向とするのが、容易で確実な加圧のために
は好ましい。第1例のピストン耐摩環31では、これを軸
方向に分割して第1の耐摩環構成材33および第2の耐摩
環構成材34としたものである。この実施例に於いては第
1の耐摩環構成材33と第2の耐摩環構成材34との接合に
寄与する接触面積、つまり加圧方向と直交する接合面の
面積も最大限大きくなる。これらのことにより、プロジ
ェクション溶接による接合をより容易にかつ確実にでき
る。そして、接合の信頼性が高いことから、使用時に冷
却空洞32からの冷却用のオイルの漏れも確実に防止でき
る。
【0031】加えて、耐摩環構成材33,34の材料である
金属系焼結材料には、形状付与が比較的自由で材料の選
定の幅が広いなどの利点もある。例えば、前記実施例の
ように、耐摩環構成材33,34の材料として黒鉛析出鉄系
焼結材料を用いることができるが、この黒鉛析出鉄系焼
結材料は高温耐摩耗性に優れている一方、ピストン本体
11の材料であるAl−Si系合金と熱膨張率が近く、ピ
ストン本体11との高い接合強度が得られる。また、相手
攻撃性も小さい。
【0032】さらに、ピストン本体11への鋳ぐるみに先
立ってピストン耐摩環31にアルミニウム合金を溶浸させ
ることにより、鋳ぐるみに際し、焼結体からなるピスト
ン耐摩環31の気孔からのガスの発生がなくなって、この
ガスの発生による鋳造不良を防止できるとともにピスト
ン本体11とピストン耐摩環31との密着性を向上させるこ
とができる。また、ピストン本体11とピストン耐摩環31
との間の熱伝導性が向上し、ピストン耐摩環31の高温下
での摩耗の抑制効果も得られる。しかも、溶浸は比較的
低コストで実施できる。
【0033】以上のようにして、高い冷却効果が得られ
るとともに製造性および信頼性に優れた冷却空洞付きピ
ストン耐摩環を提供できる。
【0034】なお、本発明は、前記実施例に限定される
ものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、
ピストン耐摩環31全体の形状は前記第1例のものには限
らず、種々の形状が可能である。例えば図5および図6
に示す第2例のピストン耐摩環31は、その内周部31aを
テーパー状に傾斜させたものである。この傾斜は、ピス
トン本体11の頂面14にある凹部15の角部の湾曲15aに合
わせたものである。これにより、凹部15とピストン耐摩
環31との間にある程度の間隔を確保しなければならない
という制約下で冷却空洞32を極力大きくして、冷却効果
を高めることが可能になる。
【0035】前記第2例において、内周が第2の耐摩環
構成材34より径小になっている第1の耐摩環構成材33の
凹部35は、前記内周部31aの形状に合わせてピストン耐
摩環31の軸方向に対しアンダーカット形状になってい
る。このようなアンダーカット形状の凹部35を形成する
ことは、粉末成形の段階では困難である。そこで、図6
に実線で示すように、粉末成形の段階では凹部35aをア
ンダーカットにならない形状に形成しておき、焼結後で
溶接前に切削加工を行うことによりアンダーカット形状
の凹部35を形成するようにするとよい。そして、このよ
うに凹部35をアンダーカット形状にすることにより、冷
却空洞32を極力大きくして、冷却効果を高めることがで
きる。なお、凹部35,36全体を機械加工により形成する
ことも可能であるが、材料の歩留りの点では不利であ
る。
【0036】前述のように焼結材料からなる複数の耐摩
環構成材を接合する手段としては焼結接合も考えられる
が、焼結接合では組み合わせた複数の圧粉体を焼結に伴
って接合させる為、焼結前の圧粉体に前記凹部35,36の
形状を付与しなければならない。しかし、焼結前の圧粉
体は脆いため、冷却空洞を形成する凹部を切削などの機
械加工により形成することは難しい。これに対して、本
発明のように焼結後に溶接するのであれば、冷却空洞32
の形状をより自由に設定できるようになる。また、ピス
トン耐摩環を複数の耐摩環構成材に分割する際の分割位
置も前記第1例および第2例のものには限らず、種々の
ものがあり得る。例えば図7および図8に示す第3例の
ピストン耐摩環31は、第1の耐摩環構成材33が上部内周
面51とこの上部内周面51の下縁から径方向内方へ水平に
屈曲した段差面52とを有しており、この段差面52に凹部
35が形成されている。そして、第2の耐摩環構成材34
は、第1の耐摩環構成材33の段差面52上に載った状態で
上部内周面51の内周側に嵌合されている。このように、
第1の耐摩環構成材33の上部内周面51に第2の耐摩環構
成材34を嵌合することにより、プロジェクション溶接に
際して両耐摩環構成材33,34を軸方向のみならず径方向
においても互いに確実に位置規制できる。また、プロジ
ェクション溶接用の突起部は第1の耐摩環構成材33の段
差面52または第2の耐摩環構成材34における前記段差面
52への接合面に形成する。したがって、プロジェクショ
ン溶接による接合面積は、前記第1例の方が大きくでき
る。
【0037】なお、本第3例のピストン耐摩環31ではそ
の外周部、つまりピストンリング19,20が組み込まれる
部分全体が第1の耐摩環構成材33により構成されるた
め、この第1の耐摩環構成材33のみを高温耐摩耗性に優
れた黒鉛析出鉄系焼結材料により形成すればよく、第2
の耐摩環構成材34の材料はより自由に選定できる。
【0038】さらに、各耐摩環構成材の材料や製法の細
部なども、前述のものには限らず、種々の変形があり得
る。
【0039】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、ピストン本体
に鋳ぐるみにより埋設される冷却空洞付きピストン耐摩
環において、それぞれ金属系焼結材料からなる複数の耐
摩環構成材をプロジェクション溶接により接合して、こ
れらの耐摩環構成材間に冷却空洞を形成したので、冷却
空洞をピストンリングに近付けて冷却効果を高めること
ができるとともに、冷却空洞を形成する複数の耐摩環構
成材を容易にかつ確実に接合できる。また、複数の耐摩
環構成材がそれぞれ金属焼結材料からなるので、形状を
自由に付与したり、例えば高温耐摩耗性に優れるととも
にピストン本体の材料と熱膨張率が近い材料を選定した
り、溶浸などによってピストン本体との鋳ぐるみ性を向
上させたりすることも可能になる。
【0040】請求項2の発明の冷却空洞付きピストン耐
摩環によれば、請求項1の発明の効果に加えて、環状の
第1の耐摩環構成材と環状の第2の耐摩環構成材とを軸
方向に接合して、これらの耐摩環構成材間に冷却空洞を
形成したので、プロジェクション溶接時の加圧を容易に
かつ確実に行うことができ、第1の耐摩環構成材と環状
の第2の耐摩環構成材とをより容易にかつ確実に接合で
きる。
【0041】請求項3の発明の冷却空洞付きピストン耐
摩環によれば、請求項1または2の発明の効果に加え
て、耐摩環構成材に、ピストン本体と同系の材料を溶浸
させたので、ピストン本体に冷却空洞付きピストン耐摩
環を鋳ぐるむ際、焼結材料の気孔からのガスの発生がな
くなってこのガスの発生による鋳造不良を防止できると
ともに、ピストン本体と冷却空洞付きピストン耐摩環と
の密着性を向上できる。また、ピストン本体と冷却空洞
付きピストン耐摩環との間の熱伝導性を向上でき、冷却
空洞付きピストン耐摩環の摩耗の抑制効果も得られる。
【0042】請求項4の発明によれば、ピストン本体に
鋳ぐるみにより埋設されピストンリングが組み込まれる
冷却空洞付きピストン耐摩環の製造方法において、金属
を主成分とする原料粉末を圧縮して圧粉体を成形した
後、これらの圧粉体を加熱して焼結することにより耐摩
環構成材をなす焼結体を製造し、つぎに、複数の耐摩環
構成材をプロジェクション溶接により接合して、これら
の耐摩環構成材間に冷却空洞を形成するので、冷却空洞
をピストンリングに近付けて冷却効果を高めることがで
きるとともに、冷却空洞を形成する複数の耐摩環構成材
を容易にかつ確実に接合できる。また、複数の耐摩環構
成材がそれぞれ金属焼結材料からなるので、例えば高温
耐摩耗性に優れるとともにピストン本体の材料と熱膨張
率が近い材料を選定したり、溶浸などによってピストン
本体との鋳ぐるみ性を向上させたりすることも可能にな
る。
【0043】請求項5の発明の冷却空洞付きピストン耐
摩環の製造方法によれば、請求項1の発明の効果に加え
て、プロジェクション溶接前に、焼結体からなる耐摩環
構成材に冷却空洞を形成する凹部を加工するので、冷却
空洞の形状を比較的自由に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のピストン耐摩環の実施形態を示すもの
で、第1例のピストン耐摩環を鋳ぐるんだピストン本体
の断面図である。
【図2】同上ピストン耐摩環のみの断面図である。
【図3】同上ピストン耐摩環の一部を断面にした分解斜
視図である。
【図4】同上プロジェクション溶接の工程を示す概略断
面図である。
【図5】本発明のピストン耐摩環の実施形態を示すもの
で、第2例のピストン耐摩環を鋳ぐるんだピストン本体
の断面図である。
【図6】同上凹部の加工前の耐摩環構成材の断面図であ
る。
【図7】本発明のピストン耐摩環の実施形態を示すもの
で、第3例のピストン耐摩環を鋳ぐるんだピストン本体
の断面図である。
【図8】同上ピストン耐摩環の一部を断面にした分解斜
視図である。
【図9】従来のピストンの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
11 ピストン本体 19,20 ピストンリング 31 ピストン耐摩環 32 冷却空洞 33 第1の耐摩環構成材 34 第2の耐摩環構成材 35 凹部 36 凹部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 花田 久仁夫 東京都千代田区丸の内1−5−1 三菱マ テリアル株式会社加工事業本部内 (72)発明者 山本 英継 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動車 工業株式会社内 Fターム(参考) 3J044 AA09 AA18 CA07 DA09 EA10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピストン本体に鋳ぐるみにより埋設され
    ピストンリングが組み込まれる冷却空洞付きピストン耐
    摩環において、それぞれ金属系焼結材料からなる複数の
    耐摩環構成材をプロジェクション溶接により接合して、
    これらの耐摩環構成材間に冷却空洞を形成してなること
    を特徴とする冷却空洞付きピストン耐摩環。
  2. 【請求項2】 環状の第1の耐摩環構成材と環状の第2
    の耐摩環構成材とを軸方向に接合して、これらの耐摩環
    構成材間に冷却空洞を形成してなることを特徴とする請
    求項1記載の冷却空洞付きピストン耐摩環。
  3. 【請求項3】 前記耐摩環構成材に、前記ピストン本体
    と同系の材料を溶浸させてなることを特徴とする請求項
    1または2記載の冷却空洞付きピストン耐摩環。
  4. 【請求項4】 ピストン本体に鋳ぐるみにより埋設され
    ピストンリングが組み込まれる冷却空洞付きピストン耐
    摩環の製造方法において、金属を主成分とする原料粉末
    を圧縮して圧粉体を成形した後、これらの圧粉体を加熱
    して焼結することにより耐摩環構成材をなす焼結体を製
    造し、つぎに、複数の耐摩環構成材をプロジェクション
    溶接により接合して、これらの耐摩環構成材間に冷却空
    洞を形成することを特徴とする冷却空洞付きピストン耐
    摩環の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記プロジェクション溶接前に、焼結体
    からなる前記耐摩環構成材に前記冷却空洞を形成する凹
    部を加工することを特徴とする請求項3記載の冷却空洞
    付きピストン耐摩環の製造方法。
JP10319583A 1998-11-10 1998-11-10 冷却空洞付きピストン耐摩環およびその製造方法 Pending JP2000145539A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10319583A JP2000145539A (ja) 1998-11-10 1998-11-10 冷却空洞付きピストン耐摩環およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10319583A JP2000145539A (ja) 1998-11-10 1998-11-10 冷却空洞付きピストン耐摩環およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000145539A true JP2000145539A (ja) 2000-05-26

Family

ID=18111896

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10319583A Pending JP2000145539A (ja) 1998-11-10 1998-11-10 冷却空洞付きピストン耐摩環およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000145539A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101366562B1 (ko) 2007-06-26 2014-02-25 삼성전자주식회사 압축기용 커넥팅로드 및 그 제조방법
US11208175B2 (en) 2015-12-16 2021-12-28 Simon James Faneco Continuously variable transmission for a bicycle

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101366562B1 (ko) 2007-06-26 2014-02-25 삼성전자주식회사 압축기용 커넥팅로드 및 그 제조방법
US11208175B2 (en) 2015-12-16 2021-12-28 Simon James Faneco Continuously variable transmission for a bicycle

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8074617B2 (en) Piston for an internal combustion engine and method for its production
JP2011506830A5 (ja)
JP2001032748A (ja) 冷却空洞付きピストン耐摩環およびその製造方法
JP2008121095A (ja) 複合焼結機械部品の製造方法およびシリンダブロック
CN104550969B (zh) 一种粉末冶金凸轮轴端头组合烧结连接方法
JP3797853B2 (ja) 通電接合によるアルミニウム合金複合部材の製造方法
JP2011505513A (ja) 多重ピースからなる薄肉の金属粉末シリンダライナー
JP2000145539A (ja) 冷却空洞付きピストン耐摩環およびその製造方法
JP2000145540A (ja) 冷却空洞付きピストン耐摩環およびその製造方法
JP2000145541A (ja) 冷却空洞付きピストン耐摩環およびその製造方法
JP2000145538A (ja) 冷却空洞付きピストン耐摩環およびその製造方法
JP3626827B2 (ja) シリンダライナ
JPS6184304A (ja) セラミツク部材と金属部材との接合方法
KR20140109912A (ko) 차량 엔진용 복합 소결 인서트링 일체형 엔진 피스톤의 제조 방법 및 이를 이용하여 제조된 엔진 피스톤
JP3749809B2 (ja) 高温耐摩耗性および熱伝導性の優れた冷却空洞付きピストンリング複合耐摩環
JP3842387B2 (ja) 耐摩環およびその製造方法ならびに耐摩環を装着したピストン
JPH0619083B2 (ja) 燃焼室
KR101424007B1 (ko) 디젤 엔진 피스톤용 오일 갤러리 접합 소결 인서트링 및 이의 제조 방법과 이를 이용한 오일 갤러리 접합 소결 인서트링 일체형 피스톤
JP2002147606A (ja) 冷却空洞付きピストン耐摩環およびその製造方法
JP3569429B2 (ja) 内燃機関用ピストンの耐摩環
JP2003079082A (ja) 永久磁石型ロータおよびその製造方法
JP3595420B2 (ja) 二層シリンダライナ及びその製造方法
JPH063171B2 (ja) セラミックスー金属の摩擦圧接体およびそれから成るセラミックス鋳ぐるみピストン
JPH10266816A (ja) 焼結バルブシート部材及びその製造方法
JPH067915A (ja) 耐摩耗性アルミニウム合金鋳物及びその製法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050809

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20060120

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20060217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080107

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080428