JP3842387B2 - 耐摩環およびその製造方法ならびに耐摩環を装着したピストン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関用ピストンのリング溝部に鋳包む焼結合金製耐摩環に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム合金製ピストンのトップリング溝部の耐熱性・耐摩耗性を向上する技術として、
1.耐摩環をピストンのリング溝部に鋳包む技術
2.リング溝部をFRMとする技術
3.電子ビームによってピストンのリング溝部を高合金化する技術
4.ピストンのリング溝部を陽極酸化する技術
等がある。
【0003】
上記1.の耐摩環材料はニレジスト鋳鉄が一般的である。このニレジスト鋳鉄製耐摩環は、重量が大きく、材料費や機械加工費が高く、また熱伝導性が悪いのでトップリング位置を上げることが困難になる。この場合、未燃焼ガスが多くなるので、排ガス対策上不利である。
【0004】
上記欠点を解消するために、耐摩環を焼結合金製とする提案がある(特公昭57−32743号、特開平8−332562号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、耐摩環を焼結合金製とする上記技術は、耐摩環を一体焼結するので、粉末の圧粉成形や機械加工でリング溝部形状の耐摩環を形成することが困難であった。このため、ピストンのリング溝部に焼結合金製耐摩環は使用されていない。
【0006】
本発明の目的は、製造性がよく、熱伝導性が良好な焼結合金製耐摩環を提供することである。本発明のさらに別の目的は、冷却路を有する耐摩環を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ピストンのリング溝部に鋳包む焼結合金製の耐摩環において、前記耐摩環は、外周下部に切り欠きが形成されている断面L字状の上環状片と、外周上部に切り欠きが形成されている断面L字状の下環状片とが接合された構造を有し、前記上環状片と下環状片の接合面が水平面で、上環状片の上面及び下環状片の下面は、水平面と外周側に向かって切り欠き側に傾斜している円錐面を有し、かつ、前記上環状片及び下環状片が銅合金で溶浸されていることを特徴とする。
【0008】
ピストンのリング溝部を冷却するために、耐摩環には冷却路が設けられるのが望ましく、下記の構成を備えているのがよい。
【0009】
すなわち、前記上環状片および下環状片の各接合面に環状凹部が形成され、これらの環状凹部が組み合わされて冷却空洞を形成し、かつ、この冷却空洞に連通する入口孔が前記上下の環状片のいずれかに形成されているとともに、前記冷却空洞に連通する出口孔が前記上下の環状片のいずれかに形成される。
【0010】
あるいは、次のように構成してもよい。
すなわち、前記上環状片および下環状片の内周面と接合面とが交わる各稜部に切り欠きが形成され、これらの切り欠きが組み合わされて形成された環状凹部に環状の冷却用パイプが配置され、この冷却用パイプに入口孔と出口孔とが形成される。
【0011】
本発明の耐摩環は、上環状片と下環状片とが接合されている構造を有しているため、上下の環状片をそれぞれ圧粉成形し、焼結で製造できる。したがって、製造性がよい。上下の環状片は圧粉成形金型から容易に抜くことができ、完成寸法に近い素材を製造できる。そのため、重量が少なく、機械加工費も少なくできる。
【0012】
そして、本発明の耐摩環は銅合金の溶浸工程で溶浸と上下の環状片の接合を同時に行うことができる。溶浸工程でスケルトンの空孔が銅合金で溶浸されて、熱伝導性が向上し、鋳包み性のよい耐摩環が得られる。本発明の上記焼結合金製耐摩環の製造方法は、粉末成形体としての上環状片と下環状片を溶浸用銅合金板を介装して積層し、さらにこの積層品を複数組、溶浸用銅合金板を介装して上下に積層し、焼結と同時に銅合金溶浸して上環状片と下環状片を接合し、その後、各耐摩環同士を分離することを特徴とする。また、焼結工程と銅合金溶浸工程は分離して行ってもよい。すなわち、粉末成形体としての上環状片と下環状片を焼結し、この上環状片と下環状片を溶浸用銅合金板を介装して積層し、さらにこの積層品を複数組、溶浸用銅合金板を介装して上下に積層し、銅合金溶浸して上環状片と下環状片を接合し、その後、各耐摩環同士を分離するようにしてもよい。
【0013】
また、本発明の耐摩環に上述したようにして冷却路を形成するようにすれば、可溶性中子を用いて冷却空洞を形成する鋳造法によらず、容易に冷却路を形成することができる。本発明は、耐摩環に冷却路が設けられているので、鋳包みの際の取扱いが容易であり、ピストンのリング溝部を直接冷却できる利点の他、コンパクトにできてピストン設計上の自由度が大きくなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1〜図3により、本発明の一実施形態を説明する。
【0015】
ピストン1はアルミニウム合金製で、外周面2に形成されているトップリング溝3にトップリング4が装着されている。5はトップリング4が摺動するシリンダ6の内壁面である。
【0016】
トップリング溝3は耐摩環10が鋳包まれて構成されている。耐摩環10は外周に切欠部が形成されている断面コ字状の環状部材であり、ピストン1のリング溝部に鋳包まれてトップリング溝3の上面と下面と底面とを形成している。
【0017】
耐摩環10は焼結合金製で、銅合金で溶浸されている。焼結合金の組成は例えばC0.5%以下、Cr5〜7%、Mo1〜5%、Co2〜10%、Ni1〜20%、V0.2〜0.8%、残りFeおよび不純物からなっている。
【0018】
以下、耐摩環の詳細な構造を説明する。
【0019】
耐摩環10は、リング溝上面とリング溝底面上部とを形成する断面L字状の上環状片11と、リング溝下面とリング溝底面下部とを形成する断面L字状の下環状片12とが接合されて形成されている。
【0020】
上環状片11は、外周下部に切り欠き13が形成されている断面L字状の環状部材であり、上面14と2つの下面15,16と内周面17と2つの外周面18,19とを有している。上面14はピストン1のリング溝部の上壁面と接合する面であり、リング溝底面側の端部は水平面に形成され、残りの面は外周側に向かって切り欠き13側に傾斜している円錐面に形成されている。上面14の端部の水平面は耐摩環の製造時に圧粉成形体を積層しやすくする。2つの下面15,16のうち、切り欠き13に臨んでいる下面15は水平面に形成されてリング溝上面になり、下側の下面16は水平な接合面を形成している。内周面17はピストン1のリング溝部の底壁面と接合する面で垂直面に形成されている。2つの外周面18,19のうち、外側の外周面18は垂直面に形成されてピストン1の外周面になり、切り欠き13に臨んでいる外周面19は垂直面に形成されてリング溝底面になる。
【0021】
下環状片12は上環状片11と上下対称に形成されている。すなわち、下環状片12は外周上部に切り欠き20が形成されている断面L字状の環状部材であり、下面21と2つの上面22,23と内周面24と2つの外周面25,26とを有している。下面21はピストン1のリング溝部の下壁面と接合する面であり、リング溝底面側の端部は水平面に形成され、残りの面は外周側に向かって切り欠き20側に傾斜している円錐面に形成されている。2つの上面22,23のうち、切り欠き20に臨んでいる上面22は水平面に形成されてリング溝下面になり、上側の上面23は水平な接合面を形成している。内周面24はピストン1のリング溝部の底壁面と接合する面で垂直面に形成されている。2つの外周面25,26のうち、外側の外周面25は垂直面に形成されてピストン1の外周面になり、切り欠き20に臨んでいる外周面26は垂直面に形成されてリング溝底面になる。
【0022】
上環状片11と下環状片12は上下対称に配置され、上環状片11の下面(接合面)16と下環状片12の上面(接合面)23とが接合されて耐摩環10が形成され、上環状片11と下環状片12の外周側の切り欠き13,20は合体してリング溝を構成する。
【0023】
以下、上記焼結合金製耐摩環10の製造方法を説明する。
【0024】
Fe粉、フェロクロム粉末、フェロモリブデン粉末、フェロバナジウム粉末およびCo粉末、Ni粉末を上述した組成範囲となるように混合して、上環状片11(下環状片12)の形状に圧粉成形する。
【0025】
次に、粉末成形体としての上環状片11と下環状片12を、上環状片11の下面(接合面)16と下環状片12の上面(接合面)23との間に環状の溶浸用銅合金板27を介装して積層し、さらにこの積層品を多数組、環状の溶浸用銅合金板28を介装して上下に積層し、焼結と同時に銅合金溶浸する。この溶浸工程で、上環状片11の下面(接合面)16と下環状片12の上面(接合面)23が接合されるとともに、上下の環状片11,12が銅合金で溶浸される。焼結および銅合金溶浸後、耐摩環10同士を分離する。
【0026】
なお、耐摩環10同士は上環状片11の上面14端部と下環状片12の下面21端部の水平面部分が銅合金で接合されるが、前記水平面部分の長さは短く、さらに溶浸用銅合金の量を所要量に比べて過大にならないようにすれば、溶浸後、耐摩環10同士は容易に分離可能である。
【0027】
上記耐摩環10をピストン1に鋳包むには、耐摩環10を予熱し、圧力鋳造機のピストン金型にセットして、アルミニウム合金を注湯、充填後、加圧して、凝固後、取り出せばよい。
【0028】
図4および図5は本発明の別の実施形態2を示している。本実施形態2の耐摩環10Aは、前記実施形態1で説明した耐摩環10の内周側に全周にわたって冷却空洞形成部分が突出形成されているものである。
【0029】
すなわち、本実施形態2の耐摩環10Aの上環状片11Aは、前記実施形態1で説明した上環状片11の内周面の全周にわたって下面(接合面)16が内周側に延長するようにして冷却空洞形成部分30が突出形成されており、この環状の冷却空洞形成部分30の下面(接合面)16に環状凹部31が形成されている。なお、冷却空洞形成部分30の上面14aは前記実施形態1で説明した上環状片11の上面14の水平面よりも少し下側に位置されている。
【0030】
下環状片12Aは、上環状片11Aと上下対称に形成されている。すなわち、下環状片12Aは、前記実施形態1で説明した下環状片12の内周面の全周にわたって上面(接合面)23が内周側に延長するようにして冷却空洞形成部分32が突出形成されており、この環状の冷却空洞形成部分32の上面(接合面)23に環状凹部33が形成されている。冷却空洞形成部分32の下面21aは前記実施形態1で説明した下環状片12の下面21の水平面よりも少し上側に位置されている。なお、下環状片12Aには冷却空洞形成部分32の環状凹部33にそれぞれ連通する冷却液の入口孔34と出口孔35とが、円周上の所定位置に冷却空洞形成部分32を軸方向に貫通するように形成されており、この部分が上環状片11Aと相違している。
【0031】
上環状片11Aと下環状片12Aは上下対称に配置され、上環状片11Aの下面(接合面)16と下環状片12Aの上面(接合面)23とが接合されて耐摩環10Aが形成され、上環状片11Aと下環状片12Aの外周側の切り欠き13,20は合体してリング溝を構成し、さらに、上環状片11Aと下環状片12Aの内周側の環状凹部31,33は合体して冷却空洞36を構成する。
【0032】
耐摩環10Aは、前記実施形態1で説明したのと同じようにして製造する。すなわち、粉末成形体としての上環状片11Aと下環状片12Aを、上環状片11Aの下面(接合面)16と下環状片12Aの上面(接合面)23との間に環状の溶浸用銅合金板を介装して積層し、さらにこの積層品を多数組、環状の溶浸用銅合金板を介装して上下に積層し、焼結と同時に銅合金溶浸する。この溶浸工程で、上環状片11Aの下面(接合面)16と下環状片12Aの上面(接合面)23が接合されるとともに、上下の環状片11A,12Aが銅合金で溶浸される。焼結および銅合金溶浸後、耐摩環10A同士を分離する。
【0033】
上記耐摩環10Aをピストン1に鋳包む際は、耐摩環10Aの冷却空洞36に連通している入口孔34と出口孔35にそれぞれスチール製の冷却用パイプの一端を差し込み、それを予熱し、圧力鋳造機のピストン金型にセットする。次に、アルミニウム合金を注湯、充填後、加圧して、凝固後、取り出せばよい。
【0034】
図4に上記冷却用パイプが示されている。ただし、図4は入口側の冷却用パイプ37を示しており、一端は入口孔34に接続し、他端はピストン1の中空部内に突出配置されている。出口側の冷却用パイプも入口側の冷却用パイプ37と同じように構成され、一端は出口孔35に接続し、他端はピストン1の中空部内に突出配置されている。40はセカンドリング溝41に装着されているセカンドリングであり、42はオイルリング溝43に装着されている組合せオイルリングである。
【0035】
したがって、冷却油が図示外の冷却油供給手段により、入口側の冷却用パイプ37を通じて冷却空洞36内に送り込まれると、冷却油は冷却空洞36内を流れてピストン1のトップリング溝3を冷却した後、出口側の冷却用パイプからピストン1の中空部内に排出する。スケルトンの空孔は銅合金の溶浸工程で溶浸され封孔されるので、冷却空洞36からトップリング溝3へ冷却油が漏れることはない。
【0036】
図6および図7は本発明のさらに別の実施形態3を示している。本実施形態3の耐摩環10Bは、前記実施形態1で説明した耐摩環10の内周側に全周にわたって環状の冷却用パイプ50が配置されているものである。
【0037】
すなわち、本実施形態3の耐摩環10Bの上環状片11Bは、前記実施形態1で説明した上環状片11の内周面17と下面(接合面)16とが交わる稜部に全周にわたって断面円弧状の切り欠き51が形成されている。
【0038】
下環状片12Bは、上環状片11Bと上下対称に形成されている。すなわち、下環状片12Bは、前記実施形態1で説明した下環状片12の内周面24と上面(接合面)23とが交わる稜部に全周にわたって断面円弧状の切り欠き52が形成されている。なお、下環状片12Bの内周面には、後述する入口用冷却パイプと出口用冷却パイプが配置するための断面半円状の軸方向溝が円周上の所定位置に2箇所形成されている。図7に入口用冷却パイプが配置するための軸方向溝53が示されており、出口用冷却パイプが配置するための軸方向溝も同じように構成されている。
【0039】
上環状片11Bと下環状片12Bは上下対称に配置され、上環状片11Bの下面(接合面)16と下環状片12Bの上面(接合面)23とが接合されて耐摩環10Bが形成され、上環状片11Bと下環状片12Bの外周側の切り欠き13,20は合体してリング溝を構成し、さらに、上環状片11Bと下環状片12Bの内周側の切り欠き51,52が合体して断面半円状の環状凹部が構成され、その環状凹部に環状のスチール製冷却用パイプ50が配置される。冷却用パイプ50には円周上の所定位置の下面に入口孔54と出口孔55とが形成されている。
【0040】
耐摩環10Bは、前記実施形態1で説明したのと同じようにして製造する。すなわち、粉末成形体としての上環状片11Bと下環状片12Bを、上環状片10Bの下面(接合面)16と下環状片12Bの上面(接合面)23との間に環状の溶浸用銅合金板を介装して積層する。この際、内周側に形成される環状凹部に環状の冷却用パイプ50を配置する。冷却用パイプ50はスチール製のパイプを環状に成形し、合口を溶接した後、入口孔54と出口孔55を孔あけ加工して形成される。そして、上記積層品を多数組、環状の溶浸用銅合金板を介装して上下に積層し、焼結と同時に銅合金溶浸する。この溶浸工程で、上環状片10Bの下面(接合面)16と下環状片12Bの上面(接合面)23が接合されるとともに、上下の環状片11B,12Bが銅合金で溶浸される。焼結および銅合金溶浸後、耐摩環10B同士を分離する。以上により、内周に環状の冷却用パイプ50が配置固定されている耐摩環10Bが製造される。
【0041】
上記耐摩環10Bをピストン1に鋳包む際は、耐摩環10Bの内周に配置されている環状パイプ50の入口孔54と出口孔55にそれぞれスチール製の冷却用パイプの一端を差し込み、それを予熱し、圧力鋳造機のピストン金型にセットする。次に、アルミニウム合金を注湯、充填後、加圧して、凝固後、取り出せばよい。
【0042】
各冷却用パイプは上記実施形態2で説明したと同じように、入口側の冷却用パイプは一端が入口孔54に接続し、他端はピストン1の中空部内に突出配置され、出口側の冷却用パイプは一端が出口孔55に接続し、他端はピストン1の中空部内に突出配置される。図6において、40はセカンドリング溝41に装着されているセカンドリングであり、42はオイルリング溝43に装着されている組合せオイルリングである。
【0043】
したがって、冷却油が図示外の冷却油供給手段により、入口側の冷却用パイプを通じて環状の冷却用パイプ50内に送り込まれると、冷却油は環状の冷却用パイプ50内を流れてピストン1のトップリング溝3を冷却した後、出口側の冷却用パイプからピストン1の中空部内に排出する。
【0044】
なお、以上の実施形態で示したように、上環状片と下環状片を上下対称に構成すると、1種類の焼結素材を上環状片と下環状片の両方に使用可能である。
【0045】
また、上記実施形態では、焼結と銅合金溶浸を同時に行っているが、焼結工程と銅合金溶浸工程を分離して行ってもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、製造性がよく、熱伝導性が良好な焼結合金製耐摩環を提供することができる。また、冷却路を有する耐摩環を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】(a)は図1に示す耐摩環の平面図、(b)は(a)におけるX−X線断面図である。
【図3】上下の環状片と溶浸用銅合金板との積層状態を示す縦断面図である。
【図4】本発明の別の実施形態を示す縦断面図である。
【図5】(a)は図4に示す耐摩環の底面図、(b)は(a)におけるY−Y線断面図である。
【図6】本発明のさらに別の実施形態を示す縦断面図である。
【図7】(a)は図6に示す耐摩環の底面図、(b)は(a)におけるZ−Z線断面図である。
【符号の説明】
1…ピストン、2…外周面、3…トップリング溝、4…トップリング、5…シリンダ内壁面、6…シリンダ、10,10A,10B…耐摩環、11,11A,11B…上環状片、12,12A,12B…下環状片、13…切り欠き、14…上面、15,16…下面、17…内周面、18,19…外周面、20…切り欠き、21…下面、22,23…上面、24…内周面、25,26…外周面、27,28…溶浸用銅合金板、30,32…冷却空洞形成部分、31,33…環状凹部、34…入口孔、35…出口孔、36…冷却空洞、37…冷却用パイプ、40…セカンドリング、41…セカンドリング溝、42…組合せオイルリング、43…オイルリング溝、50…冷却用パイプ、51,52…切り欠き、53…軸方向溝、54…入口孔、55…出口孔。
Claims (8)
- ピストンのリング溝部に鋳包む焼結合金製の耐摩環において、前記耐摩環は、外周下部に切り欠きが形成されている断面L字状の上環状片と、外周上部に切り欠きが形成されている断面L字状の下環状片とが接合された構造を有し、前記上環状片と下環状片の接合面が水平面で、上環状片の上面及び下環状片の下面は、水平面と外周側に向かって切り欠き側に傾斜している円錐面を有し、かつ、前記上環状片及び下環状片が銅合金で溶浸されていることを特徴とする耐摩環。
- 前記上環状片および下環状片の各接合面に環状凹部が形成され、これらの環状凹部が組み合わされて冷却空洞を形成しており、かつ、この冷却空洞に連通する入口孔が前記上下の環状片のいずれかに形成されているとともに、前記冷却空洞に連通する出口孔が前記上下の環状片のいずれかに形成されていることを特徴とする請求項1記載の耐摩環。
- 前記上環状片および下環状片の内周面と接合面とが交わる各稜部に切り欠きが形成され、これらの切り欠きが組み合わされて形成された環状凹部に環状の冷却用パイプが配置されており、この冷却用パイプに入口孔と出口孔とが形成されていることを特徴とする請求項1記載の耐摩環。
- 請求項1記載の耐摩環がリング溝部に鋳包まれていることを特徴とするアルミニウム合金製ピストン。
- 請求項2記載の耐摩環がリング溝部に鋳包まれているとともに、この耐摩環の冷却空洞に連通している入口孔に一端部が接続し他端部がピストンの中空部内に臨んでいる冷却用パイプと、前記耐摩環の冷却空洞に連通している出口孔に一端部が接続し他端部がピストンの中空部内に臨んでいる冷却用パイプとがピストン内部に鋳包まれていることを特徴とするアルミニウム合金製ピストン。
- 請求項3記載の耐摩環がリング溝部に鋳包まれているとともに、この耐摩環の内周に配置されている環状の冷却用パイプの入口孔に一端部が接続し他端部がピストンの中空部内に臨んでいる冷却用パイプと、前記環状の冷却用パイプの出口孔に一端部が接続し他端部がピストンの中空部内に臨んでいる冷却用パイプとがピストン内部に鋳包まれていることを特徴とするアルミニウム合金製ピストン。
- 外周下部に切り欠きが形成されている断面L字状の上環状片と、外周上部に切り欠きが形成されている断面L字状の下環状片とが接合された構造を有し、前記上環状片と下環状片の接合面が水平面で、上環状片の上面及び下環状片の下面は、水平面と外周側に向かって切り欠き側に傾斜している円錐面を有し、かつ、前記上環状片及び下環状片が銅合金で溶浸されている焼結合金製耐摩環の製造方法であって、粉末成形体としての上環状片と下環状片を溶浸用銅合金板を介装して積層し、さらにこの積層品を複数組、溶浸用銅合金板を介装して上下に積層し、焼結と同時に銅合金溶浸して上環状片と下環状片を接合し、その後、各耐摩環同士を分離することを特徴とする耐摩環の製造方法。
- 外周下部に切り欠きが形成されている断面L字状の上環状片と、外周上部に切り欠きが形成されている断面L字状の下環状片とが接合された構造を有し、前記上環状片と下環状片の接合面が水平面で、上環状片の上面及び下環状片の下面は、水平面と外周側に向かって切り欠き側に傾斜している円錐面を有し、かつ、前記上環状片及び下環状片が銅合金で溶浸されている焼結合金製耐摩環の製造方法であって、粉末成形体としての上環状片と下環状片を焼結し、この上環状片と下環状片を溶浸用銅合金板を介装して積層し、さらにこの積層品を複数組、溶浸用銅合金板を介装して上下に積層し、銅合金溶浸して上環状片と下環状片を接合し、その後、各耐摩環同士を分離することを特徴とする耐摩環の製造方法。
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