JP3797853B2 - 通電接合によるアルミニウム合金複合部材の製造方法 - Google Patents

通電接合によるアルミニウム合金複合部材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム合金鋳造部材を同種のまたは異種の合金からなる鋳造部材または押出し部材に通電接合法によって接合してアルミニウム合金複合部材を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属材料同士を互いに接合して複合部材を製造する方法として、熱間一軸加圧法、熱間静水圧加圧法が代表的な方法として知られており、通常は、接合面を表面粗さ数μm程度の清浄な平滑面としている(例えば、特開昭57−195593号公報)が、加圧力による機械的な食い込み効果を得るためにサンドブラスト等の方法によって被接合材の一方または両方の表面を粗くする方法も知られている(例えば、特開平4−309475号公報、特開平6−15465号公報、特開平10−314964号公報)。
【0003】
これらの高温高圧を用いる接合方法の他に、図2の概略断面図に示すような装置を用いる通電加圧接合方法がある。この通電加圧接合方法は、黒鉛等で作られた側面用加圧型1,1の中に接合する複合部材8を取り付け、接合する複合部材8を黒鉛等の通電加圧用型2,2で上下方向から挟み、上部電極11と下部電極12を加圧装置13で加圧しながら通電し、接合部で発生する抵抗熱と黒鉛等の型で発生する熱によって、接合する複合部材8を拡散接合する方法であり、ニッケル基合金等の接合に用いられている。
【0004】
この通電加圧接合方法では、一般的には、接合面を平坦にすることが接合性を向上させるとの観点から、被接合部材同士の接合面の表面粗さを機械加工で表面粗さ(最大高さRy)10μm以下に加工し、接合面の酸化を防止するために真空容器14内を排気装置15で排気し、温度制御装置9で電源10の電圧、電流を制御して接合する。
【0005】
しかし、通電接合に際しては、被接合部材を直接接触させて接合する方法では、その接合強さは低い。そこで、インサートシートを用いてその融点以上に加熱する方法がある。例えば、インサート材としてNi基合金またはFe基合金を用い、その厚さを20〜100μmとし、溶融したインサート材が接合面の凹凸を充填できるように接合面の粗さをRmax 50μm以下とする方法が知られている(特開平11−207473号公報)。
【0006】
また、図3の概略断面図に示すように、被接合部材3と被接合部材4との接合面間に金属粉末5を均一に分布させて、図2に示した通電加圧接合装置に取り付けて接合する方法がよく行われている。この接合面間に挿入する金属粉末5の量は、接合後の厚さにして1〜2mm程度必要である。
【0007】
なお、自動車用部材等の組立で、金属板材を重ねて溶接する方法としてスポット溶接がある。この方法は、溶接する板材を電極で挟み、加圧しながら1〜2秒通電して、板材の溶接面間の金属を溶融させ、短時間で溶融溶接する方法である。このスポット溶接性の改善の目的で、接合する板材の一方に1個の突起を作製し、その突起部をもつ板材と平坦な板材を接触させ、スポット溶接時と同じように加圧・通電し、溶接部に溶融金属を発生させて溶接するプロジェクション溶接方法があるが、この方法は、通電加圧接合方法とは、溶接手法および接合表面の制御形態等が全く異なる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
自動車の動力は、シリンダー内をピストンが往復運動して発生している。エンジンの燃費や環境対策の観点から、ピストンの軽量化ならびに材質的な性能向上が図られてきた。しかし、今後、さらなる性能向上には、ピストン全体を高性能な単一材料で作製するより、ピストンのそれぞれの場所に適応した材料を配置して、それらの材料を組立接合することが要望されている。
【0009】
例えば、図1に示すように、燃焼ガスに接する箇所には、従来の部材よりも優れた性質の耐熱・耐摩耗性合金部材17を用いて現在使用されているAl合金ピストン鋳造部材18と接合することによって、ピストンの性能向上が期待される。このような複合部材は、ピストンのみならず、各種の機械部品等でその性能向上を可能とする。
【0010】
金属部材の接合には、各種の方法があるが、現在、アルミニウム合金の溶接・接合法としては、アーク溶接、電子ビーム溶接、ろう付け、摩擦圧接、通電加圧接合等各種の方法が適用されている。上記の自動車用ピストンの組立接合に通電加圧接合法の適用が考えられるものの、接合面の平滑な切削・研磨加工にコストがかかり、また、金属粉末を接合面間に均一に分布させることは実験室的には可能であるが、生産現場的ではない。また、接合面積が大きくなるほど金属粉末を均一厚さに分布させることは困難になる。
【0011】
この金属粉末の挿入に代わる接合方法としては、金属のろう付けの際に使用される「有機溶剤で金属粉末を板状に整形したシートろう材」を切断して使用する方法がある。しかし、この方法では、シートろう材が高価格のこと、また、シートろう材が溶融した際に発生するガスの影響が大きいことから、この「シートろう材」に変わる方法が求められている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アルミニウム合金複合部材の製造方法において、低い接合温度・変形度で、接合面全体を同時に接合する通電加圧接合法を提供するものである。
すなわち、本発明は、アルミニウム合金部材を同種のまたは異種の合金からなる部材と接合して複合部材を製造する方法において、少なくとも一方の部材の接合面を加工して表面粗さ(最大高さRy)を30μm〜200μmの粗面にし、各被接合部材の清浄な接合面同士を接触させ、接合面と直交方向に通電加圧し、通電による接合面の加熱温度を400〜500℃、接合面に加える圧力を10〜50MPaとすることを特徴とする通電接合によるアルミニウム合金複合部材の製造方法である。なお、表面粗さ(最大高さRy)は、JIS(B0601,表面粗さ−定義および表示)による。
【0013】
また、本発明は、被接合部材の粗面の全面の凹部に金属粉末を平滑に分布させて接合面同士を接触させて通電加圧することを特徴とする上記の通電接合によるアルミニウム合金複合部材の製造方法である。
【0014】
また、本発明は、被接合材を接合面と直交方向に通電加圧する通電加圧用型の他に被接合材を側面から押圧する側面押圧用型を用いることを特徴とする上記の通電接合によるアルミニウム合金複合部材の製造方法である。
【0015】
通電接合方法では、接合面間のみを効率的に加熱することが望ましい。被接合部材と同種の金属粉末を接合面間に挿入して接合する方法では、被接合部材を直接的に接触させる方法よりも、接合部の電気抵抗が増加し、通電時に効率的に接合部を加熱することができる。しかしながら、前述のとおり、接合面積が大きくなるほど金属粉末を均一厚さに分布させることが困難になり、金属粉末の少ない接合部に空隙等の欠陥が生じやすい。
【0016】
本発明者は、接合面の表面粗さを増加させると接合面間の電気抵抗が大きくなり、粗面の突起部が最初に発熱し、それが全接触面に広がって冶金的な接合を生じ、低い接合温度・変形度で接合面間を効率的に加熱することができ、金属粉末を用いないでもせん断強さで表される接合部の接合強度を増大させることができることを見いだした。
【0017】
本発明の製造方法は、接合面の表面粗さ(最大高さRy)を30μm〜200μmの粗面にすることで、接合する面間において接触する箇所を不特定多数の凹凸状とし、接合後の真実接合面積を大面積、そして均一にすること、さらに接合部を積極的に溶融することなく、全体としては固相状態で接合部を形成するものである。従来の高温高圧による機械的な食い込み作用を利用するものと違って、本発明の方法で形成した接合部の断面は光学顕微鏡写真で見て、かなり滑らかなうねりとなっていることが確認された。表面粗さ(最大高さRy)が30μm未満では、接合部のせん断強さが小さく、また200μmを超えると接合に伴う縮み代が大きくなる。
【0018】
通電による加熱温度は、400〜500℃が好ましい。好適な温度範囲は、被接合部材の合金組成によって多少異なるが、400℃未満では接合面での真実接合面積が少ない。500℃を超えると部分溶融することがある。被接合部材としてアルミニウム鋳造合金AC8Aを用いる場合は、約475℃が好ましい。
接合面に加える圧力は、10〜50MPaが好ましい。10MPa未満では、接合面での真実接合面積が少なく、50MPaを超えると、被接合部材の変形が大きくなる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、鋳造、鍛造、押出し加工、粉末冶金等で製造したアルミニウム合金部材を同種のアルミニウム合金部材や異種の合金部材、例えばアルミニウム青銅等の銅合金、ニレジスト合金(Fe70%,Ni15%,Cu6%他)等の鉄合金等と通電加圧接合を可能にし、その接合強度を大幅に向上させる方法である。
【0020】
通電加圧接合方法において、図4に示すように、接合面の表面粗さ(最大高さRy)7を30μm〜200μmと大きくし、接合箇所の電気抵抗を大きくすることが、接合部の発熱を促進して、接合部の特性を向上させることに効果がある。つまり、図4に示すように、被接合部材6の表面粗さ(最大高さRy)7を3μm、10μm、30μm、200μmと変えて、図6に示すように、側面加圧用型1および通電加圧用型2からなる黒鉛の型の中で接合面を直接接触させて電気抵抗を測定した結果、接合面の表面粗さが30μm〜200μmの部材を直接接触させた時の電気抵抗は、従来の接合面を10μm以下に加工して接合面の間に金属粉末を挿入した図3に示す従来法と同程度である。このように、接合面の表面粗さ(最大高さRy)7が30μm〜200μmの粗面に研磨加工した部材を用いた際、金属粉末を使用しなくても接合面間の電気抵抗が大きくなる。
【0021】
また、接合面の表面粗さ(最大高さRy)7が30μm〜200μmに研削・研磨加工した部材を用いて接合した接合部では、図3に示した従来例のように金属粉末を1mmの厚さに挿入しての接合部と同程度の強さが得られる。本発明の製造方法は、同じ粗さの粗面をもつ被接合部材2個を用いて、接合する方法に限らず、一方の被接合部材のみの表面粗さ(最大高さRy)を30μm〜200μmとしても同様の接合の効果が得られる。
【0022】
接合面の間に金属粉末を挿入してもよい。金属粉末組成は、接合する材料に最適な組成粉末、例えば鋳造材とほぼ同じ組成粉末を使用することが好ましい。接合面の表面粗さ(最大高さRy)7が30μm〜200μmに研磨加工した部材では、図5に示すように、粗面を上向きにして粗面上に金属粉末を散布して金属板等で均して余分の金属粉末を掻き出すことにより、金属粉末を接合表面の全面に均一に分布させることが容易にできる。図7に示すように、片方の被接合部材の粗面の凹部に金属粉末を均一に満たして接合した場合、電気抵抗が大きく接合部のせん断強さが大きくなる。
【0023】
金属粉末を分布させた被接合物の表面に金属薄板等をあてがい上下反転させて下側の被接合材に載せて金属薄板を除去したり、金属粉末を結合剤と混合して分布させたり、分布させた金属粉末を仮焼結すれば、金属粉末を接合表面の全面に均一に分布させた被接合材を通電加圧のために黒鉛型にセットする際に上側に位置させることもできる。このように、挿入する粉末の層の厚みを接合面全面で均一にすることができる。
【0024】
被接合部材の外周に取り付ける側面加圧用型1および通電加圧用型2は、特に黒鉛に限定するものではなく、側面加圧用型1および通電加圧用型2の部品を金属製型、側面加圧用型1をセラミックスにすることもできる。
【0025】
また、被接合部材が大きくなると、接合面間の温度均一性を達成するために、側面加圧用型1および通電加圧用型2の内部に加熱用ヒーターを埋め込むことも有用である。さらに、側面加圧用型1は、接合部材の変形を抑制する効果が大きく、被接合部材が大きいときには、被接合部材の周りに局部的に取り付けることもできる。
【0026】
通電加熱用の電源は周波数300Hzの3相直流全波整流を使用することができる。さらに、直流全波整流波形、周波数が高い5kHz、20kHzを有する電圧波形、それに脈流のない直流電源についても比較検討したが、電源の周波数およびその電圧波形は、接合部の特性には影響しない。
【0027】
通電による加熱温度は400〜500℃が好ましい。好適な温度範囲は、被接合部材の合金組成によって多少異なるが、被接合部材としてアルミニウム鋳造合金AC8Aを用いる場合は、約475℃が好ましい。
【0028】
Proceedings of NEDO International Symposium on Functionally Graded Materials(東京、1999,October,21-22)で、N.Kuroishi(株クボタ)は超塑性粉末を通電焼結装置で成形し、さらにその成形体を超塑性加工成形して単−のアルミニウム合金製のピストン部品を製作できることを、予稿集67-74 で述べている。ピストンに成形する際の超塑性加工時の温度と加圧力は、本発明の製造方法における接合温度と圧力に、ほぼ一致する。
【0029】
したがって、本発明の製造方法によれば、図1に示した形状のピストンを作製するに際し、接合面の表面粗さ(最大高さRy)を30μm〜200μmとした円盤状の耐熱・耐摩耗性合金部材17と円盤状の超塑性特性を有するAl合金製鋳造部材18を接触させ、接合時に鋳造部材18を超塑性変形させ、耐熱・耐摩耗性合金部材17と鋳造部材18を接合すると同時に、鋳造部材18を図1に示すように成形し、成形と接合を同時に達成することができる。耐熱・耐摩耗性合金部材17は、上面は複雑な形状を有しており、耐熱・耐摩耗性合金部材17に超塑性特性を有する材料を用いて、成形と同時に接合を達成することもできる。
【0030】
【実施例】
被接合部材としてアルミニウム鋳造合金AC8A(Al−12Si−1Cu−1Mg−1Ni)、押出し成形アルミニウム合金(Al−12Si−8Fe−1.6Cu−0.1Mn−0.2Mg)を使用した。前者は、従来のピストン用鋳造合金(以下鋳造部材と略す)、後者は、耐熱・耐摩耗性アルミニウム合金(押出し部材と略す)である。いずれも、直径20ミリである。丸棒から厚さ7mmに加工して、旋盤の送り速度を変化させて切削することで、図4に示す接合面の表面粗さ(Ry)7を3μm,10μm,30μm,200μmに変化させた部材を作製した。
【0031】
被接合部材を旋盤による切削加工後、アセトン中で超音波洗浄して、接合に供した。粉末組成は、鋳造材とほぼ同じ組成粉末を使用した。被接合部材を図2に示す通電加圧装置に取り付け、通電して接合した。加熱途上では電圧、電流が大きいが、所定温度475℃に保持する電流、電圧はやや低下し、1.5V,700Aであつた。電源は周波数300Hzの3相直流全波整流を使用した。
【0032】
接合時の加圧力は、図6および図7に示す黒鉛製の側面加圧用型1を用いた実施例では、47MPa,16MPaを加えて実施した。この際の被接合部材の長さ方向の縮み代は、表面粗さの半分程度で、非常に少なく、径方向の形状変化もない。
【0033】
一方、図8および図9に示す黒鉛製の側面加圧用型1を用いない実施例では、16MPaの接合圧力を加えた。この際には、接合方向の縮み代は、約2mmで、直径方向の増加量は約1.5mmであった。
【0034】
接合後に接合体を厚さ5mm、幅18mm、長さ14mmに加工した。長さ方向の中央部に接合部がある。この接合体をせん断試験機に取り付け、せん断強さを測定した。
【0035】
実施例1
接合面の表面粗さ(Ry)7が30μmの鋳造材同士を、図6に示すように接触させ、475℃で真空中で加熱し接合した。その接合部のせん断強さは、100MPaであった。これは鋳造部材の母材と同程度のせん断強さである。
【0036】
実施例2
接合面の表面粗さ(Ry)7が200μmの鋳造部材同士を、図6に示すように接触させ、475℃で真空中で加熱し接合した。その接合部のせん断強さは、100MPaであった。
【0037】
実施例3
接合面の表面粗さ(Ry)7を30μmに加工した鋳造部材と押出し部材とを、図6に示すように接触させ、475℃で真空中で加熱し接合した。その接合部のせん断強さは、100MPaであった。このように、押出し部材と鋳造部材の接合もできる。
【0038】
実施例4
接合面の表面粗さ(Ry)7を30μmに加工した鋳造部材と押出し部材とを、図6に示すように接触させ、475℃で大気中で加熱し接合した。その接合部のせん断強さは、100MPaであった。このように、接合は大気中でも可能である。
【0039】
実施例5
接合面の表面粗さ(Ry)7を30μmに加工した鋳造部材と押出し部材を作製した。押し出し部材の粗面の凹部に、4032アルミニウム合金粉末を図5のように、凹部を埋めるように均一に分布させ、図7に示すように接触させ、475℃で真空中で加熱し接合した。その接合部のせん断強さは、100MPaであった。このように、一部金属粉末を介しても簡単に接合できる。
【0040】
実施例6
接合面の表面粗さ(Ry)7を30μmに加工した鋳造部材と押出し部材とを、図8に示すように接触させ、475℃で真空中で加熱し接合した。その接合部のせん断強さは、100MPaであった。このように、接合部の周りの黒鉛製の型がなくとも接合できる。
【0041】
実施例7
接合面の表面粗さ(Ry)7を30μmに加工した鋳造部材と押出し部材を作製した。押し出し部材の粗面の凹部に、4032アルミニウム合金粉末を図5のように分布させ、図9に示すように、被接合面同士を接触させ、475℃で真空中で加熱し接合した。その接合部のせん断強さは、100MPaであった。このように、一部金属粉末を介しても簡単に接合できる。
【0042】
比較例1
接合面の表面粗さ(Ry)7が3μmの鋳造部材同士を、図6に示すように接触させ、475℃で真空中で加熱し接合した。その接合部のせん断強さは、20MPaであった。
【0043】
比較例2
接合面の表面粗さ(Ry)7が10μmの鋳造部材同士を、図6に示すように接触させ、475℃で真空中で加熱し接合した。その接合部のせん断強さは、20MPaであった。
【0044】
【発明の効果】
従来の通電加圧接合法では、接合面間に均一の厚さに金属粉末を分布させる必要があり、ピストンのように直径5〜10cmとなると非常に困難であった。また、接合面の加工に際して、粗加工と微細加工の2工程を要していた。
【0045】
本発明の製造方法によれば、被接合材の接合面の切削・研磨加工を、接合面の粗さが大きい1工程のみで十分であり、また接合面間に金属粉末を挿入しなくても低温加熱で接合でき、接合強さ(せん断強さ)の大きい接合部を有する複合材を製造することができる。接合部の品質の安定化の目的で、接合面間に金属粉末を挿入する場合でも被接合部材の粗面の凹部に金属粉末を散布して粗面上を金属板等で均して余分の金属粉末を掻き出す等の方法により容易にでき、接合面間に金属粉末を均一に挿入する手間をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、接合により2個の合金部材を複合した自動車用ピストンの断面図である。
【図2】図2は、通電加圧接合装置の概念を示す断面図である。
【図3】図3は、通電加圧接合装置に被接合部材を従来の方法でセットした状態を示す断面図である。
【図4】図4は、接合面の表面粗さを大きくした被接合部材を模式的に示す断面図である。
【図5】図5は、接合面粗さを大きくした被接合部材の表面上に金属粉末を散布した状態を模式的に示す断面図である。
【図6】図6は、図4に示す接合面の表面粗さを大きくした被接合部材を通電加圧接合用型に取り付けた状態を模式的に示す断面図である。
【図7】図7は、図4と図5に示す接合面粗さを大きくした被接合部材を通電加圧接合用型に取り付けた状態を模式的に示す断面図である。
【図8】図8は、図4に示す接合面の表面粗さを大きくした被接合部材を黒鉛製通電加圧用型のみで接合する状態を模式的に示す断面図である。
【図9】図9は、図4と図5に示す接合面の表面粗さを大きくした被接合部材を黒鉛製通電加圧用型のみで接合する状態を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 側面加圧用型
2 通電加圧用型
3 被接合部材
4 被接合部材
5 接合用金属粉末
6 被接合部材
7 接合面の表面粗さ(最大高さRy)
8 接合する複合部材
9 温度制御装置
10 電源
11 上部電極
12 下部電極
13 加圧装置
14 真空容器
15 排気装置
17 耐熱・耐摩耗性合金部材
18 Al合金鋳造部材

Claims (3)

  1. アルミニウム合金部材を同種のまたは異種の合金からなる部材と接合して複合部材を製造する方法において、少なくとも一方の部材の接合面を加工して表面粗さ(最大高さRy)を30μm〜200μmの粗面にし、各被接合部材の清浄な接合面同士を接触させ、接合面と直交方向に通電加圧し、通電による接合面の加熱温度を400〜500℃、接合面に加える圧力を10〜50MPaとすることを特徴とする通電接合によるアルミニウム合金複合部材の製造方法。
  2. 被接合部材の粗面の全面の凹部に金属粉末を平滑に分布させて接合面同士を接触させて通電加圧することを特徴とする請求項1記載の通電接合によるアルミニウム合金複合部材の製造方法。
  3. 被接合材を接合面と直交方向に通電加圧する通電加圧用型の他に被接合材を側面から押圧する側面押圧用型を用いることを特徴とする請求項1記載の通電接合によるアルミニウム合金複合部材の製造方法。
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