JP2000136221A - グラフト共重合体及び塗料 - Google Patents

グラフト共重合体及び塗料

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JP2000136221A
JP2000136221A JP10310356A JP31035698A JP2000136221A JP 2000136221 A JP2000136221 A JP 2000136221A JP 10310356 A JP10310356 A JP 10310356A JP 31035698 A JP31035698 A JP 31035698A JP 2000136221 A JP2000136221 A JP 2000136221A
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修一 ▼また▲川
Shuichi Matakawa
Toshihiko Abe
俊彦 阿部
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Fuji Kasei Kogyo Co Ltd
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Fuji Kasei Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗膜としたときに優れた水滴滑り性,撥水
性,耐汚染性を付与できる新規のグラフト共重合体を提
供する。 【解決手段】 グラフト共重合体は,(A)ウレタン結
合を介してラジカル重合性不飽和結合部分を有し,かつ
有機溶剤に可溶なる硬化性基含有アクリル系(共)重合
体2〜66重量%,(B)片末端ラジカル重合性ポリシ
ロキサン0.1〜40重量%,及び(C) 成分(A)
及び(B)以外のラジカル重合性単量体15〜98重量
%を共重合してなり,塗料は前記グラフト共重合体を含
有してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,グラフト共重合体
及びこのグラフト共重合体を含有することを特徴とする
塗料に関する。本発明によるグラフト共重合体及びこの
グラフト共重合体を含有することを特徴とする塗料は,
優れた水滴滑り性,撥水性,耐汚染性を同時に付与する
ことができる。
【0002】
【従来の技術】これまでにも,建築物,車輌の外装面等
において美観を保つためや構造物の表面保護のために塗
装することが一般に行われてきている。この塗装に用い
る樹脂としては,アクリル系(共)重合体,ポリエステ
ル樹脂あるいはアルキド樹脂等が用いられ,この中で
も,比較的耐候性の良好なアクリル系(共)重合体が単
独で,あるいは硬化剤と組み合わせて用いられることが
多い。このアクリル系(共)重合体は,耐候性や光沢は
良好であるが,撥水性や耐汚染性は良好とはいえず,表
面に付着した汚れが美観を損ね,清掃作業が必要となっ
たり,ひんぱんに塗装の剥離/塗り替えが必要である等
の問題点があった。
【0003】これらアクリル系(共)重合体の耐汚染性
を改良するものとして,例えば,アクリル系(共)重合
体にポリシロキサン化合物を添加する方法がある。しか
し,上記のごときアクリル系(共)重合体は,撥水性や
耐汚染性は一時的に良好となるものの,添加しただけで
あるので耐汚染性の維持性は十分ではなかった。
【0004】耐汚染性の維持性を改良する方法として,
特開昭60−231720号公報,特開平2−2804
15号公報,特開平8−333546号公報に代表され
るように,官能基を有するポリシロキサンを共重合体鎖
中に組み込むことが考えられる。これらのポリシロキサ
ン鎖含有アクリル系共重合体は,耐汚染性の維持性に優
れ,また,耐候性の良好なポリシロキサン鎖が組み込ま
れたことによって耐候性が向上するといった副次的効果
もみられた。しかし,これらのポリシロキサン鎖含有ア
クリル系共重合体においては,ポリシロキサン鎖の自由
度が比較的小さいので,耐汚染性を発現させるために大
量のポリシロキサン鎖を組み込む必要があり,このため
に価格が高価となってしまう上に,塗膜の硬度低下が生
じたり,塗膜と基材との密着性が低下する等の問題点が
あった。
【0005】塗膜の硬度低下を改良するものとして,特
開平8−48734号公報に代表されるように,重合体
中に更に官能基含有ポリオルガノシルセスキオキサンを
導入する方法がある。これらは塗膜の硬度低下には有効
であるが,共重合体の価格が更に上昇してしまい,この
ため適用範囲が非常に限定されてしまうという問題点が
あった。従って,より低価格で,かつ,前記諸特性,特
に耐汚染性に優れたグラフト共重合体及び塗料の開発が
望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような状況下
で,本発明の解決しようとしている課題は,塗膜とした
ときに,硬度,耐候性,光沢に優れ,同時に優れた水滴
滑り性,撥水性,及び耐汚染性を有し,かつ低価格のグ
ラフト共重合体,及びそのグラフト共重合体を含有して
なる塗料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の課題は,本発明に
より,(A) ウレタン結合を介してラジカル重合性不
飽和結合部分を有し,かつ有機溶剤に可溶なる硬化性基
含有アクリル系(共)重合体(以下,単にラジカル重合
性アクリル系重合体と称することがある) 2〜66重
量%,(B) 下記一般式(1):
【化3】 (式中,Rは水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化
水素基であり,R,R ,R,R,及びRは互
いに同一でも異なっていてもよい水素原子又は炭素原子
数1〜10の炭化水素基であり,nは2以上の整数であ
る。)で示される片末端ラジカル重合性ポリシロキサン
及び/又は、下記一般式(2):
【化4】 (式中,Rは水素原子または炭素原子数1〜10の炭
化水素基であり,R,R,R10,R11,及びR
12は互いに同一でも異なっていてもよい水素原子また
は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり,pは0〜1
0の整数であり,qは2以上の整数である。)で示され
る片末端ラジカル重合性ポリシロキサン 0.1〜40
重量%,及び(C) 成分(A)及び(B)以外のラジ
カル重合性単量体(以下,単に非反応性ラジカル重合性
単量体と称することがある) 15〜98重量%,を共
重合してなるグラフト共重合体によって解決することが
できる。
【0008】また,本発明は,前記のグラフト共重合体
を含有することを特徴とする塗料に関する。本発明によ
る前記のグラフト共重合体を用いた塗料は,耐候性に優
れ,加えて優れた水滴滑り性,撥水性,耐汚染性を同時
に有し,かつ低価格で提供することが可能である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下,本発明のグラフト共重合体
及び塗料について詳細に説明する。本発明に用いられる
ウレタン結合を介してラジカル重合性不飽和結合部分を
有し,かつ有機溶剤に可溶なる硬化性基含有アクリル系
(共)重合体(A),即ち,ラジカル重合性アクリル系
重合体(A)は,例えば,水酸基を有し,かつ有機溶剤
に可溶なる硬化性基含有アクリル系(共)重合体(A−
1)とイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体
(A−2)を反応させることによって得ることができ
る。
【0010】前記の水酸基を有し,かつ有機溶剤に可溶
なる硬化性基含有アクリル系(共)重合体(A−1)
は,その構成成分として少なくとも水酸基含有単量体と
(メタ)アクリル酸エステル類とから構成されるもので
あれば特に限定されるものではない。硬化性基とは、グ
ラフト共重合体を硬化剤と反応させて硬化塗膜等を形成
するために用いられる基であって、明細書の後で説明さ
れる。水酸基含有単量体の具体例としては,例えば,2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,3−ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート,4−ヒドロキシブ
チル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート,グリセリンモノ(メタ)アクリ
レート,ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート,ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート,又はこれらのε−カプロラクトン付加物,(メ
タ)アクリル酸,クロトン酸,マレイン酸,フマル酸,
イタコン酸,若しくはシトラコン酸のようなα,β−エ
チレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステ
ル類,前記のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸とε
−カプロラクトンとの付加物,又は,前記のα,β−エ
チレン性不飽和カルボン酸とブチルグリシジルエーテ
ル,フェニルグリシジルエーテル,分岐状モノカルボン
酸のグリシジルエステル(カージュラE;シェル化学株
式会社製)のようなエポキシ化合物との付加物,p−ヒ
ドロキシスチレン,p−ヒドロキシメチルスチレン等を
挙げることができる。
【0011】また,(メタ)アクリル酸エステル類の具
体例としては,例えば,メチル(メタ)アクリレート,
エチル(メタ)アクリレート,n−プロピル(メタ)ア
クリレート,i−プロピル(メタ)アクリレート,n−
ブチル(メタ)アクリレート,i−ブチル(メタ)アク
リレート,tert−ブチル(メタ)アクリレート,n
−ヘキシル(メタ)アクリレート,シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート,2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート,ラウリル(メタ)アクリレート,ステアリル
(メタ)アクリレート,イソボルニル(メタ)アクリレ
ート,アダマンチル(メタ)アクリレート,フェニル
(メタ)アクリレート,又はベンジル(メタ)アクリレ
ート等の炭化水素基をもつ(メタ)アクリレート系単量
体;これらの(メタ)アクリレート系単量体の水素原子
をフッ素原子,塩素原子,又は臭素原子等1個又は複数
個置換した(メタ)アクリレート系単量体;N,N−ジ
メチルアミノエチル(メタ)アクリレート,N,N−ジ
エチルアミノエチル(メタ)アクリレート,又はN−
{2−(メタ)アクリロイルオキシエチル}ピペリジン
等の塩基性窒素含有(メタ)アクリレート系単量体;グ
リシジル(メタ)アクリレート,又は3,4−エポキシ
シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキ
シ基含有(メタ)アクリレート系単量体;2−(メタ)
アクリロイルオキシエタンスルホン酸,又はモノ{2−
(メタ)アクリロイルオキシエチル}アシッドホスフェ
ート等の酸性(メタ)アクリレート系単量体;前記水酸
基含有(メタ)アクリレート系単量体のアルキルエステ
ル,アルキルエーテル;γ−メタクリルオキシエチルト
リメトキシシラン,γ−メタクリルオキシエチルメチル
ジメトキシシラン等のシラン化合物系単量体等を挙げる
ことができる。
【0012】更に,前記水酸基を有し,かつ有機溶剤に
可溶なる硬化性基含有アクリル系(共)重合体(A−
1)は,必ずしも必須の成分ではないが,その構成成分
として,例えば,スチレン,p−メチルスチレン,p−
クロロメチルスチレン,又はビニルトルエン等のスチレ
ン系単量体;酢酸ビニル,安息香酸ビニル,又は分岐状
モノカルボン酸のビニルエステル(ベオバ:シェル化学
株式会社製)等のビニルエステル系単量体;アクリロニ
トリル,又はメタクリロニトリル等のアクリロニトリル
系単量体;エチルビニルエーテル,n−ブチルビニルエ
ーテル,i−ブチルビニルエーテル,又はシクロヘキシ
ルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体;(メ
タ)アクリルアミド,ジメチル(メタ)アクリルアミ
ド,又はジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド
系単量体;ビニルピリジン,N,N−ジメチル(メタ)
アクリルアミド,又は4−(N,N−ジメチルアミノ)
スチレン等の塩基性窒素含有ビニル化合物系単量体;
3,4−エポキシビニルシクロヘキサン等のエポキシ基
含有ビニル化合物系単量体;(メタ)アクリル酸,アン
ゲリカ酸,クロトン酸,マレイン酸,4−ビニル安息香
酸,p−ビニルベンゼンスルホン酸,2−(メタ)アク
リロイルオキシエタンスルホン酸,又はモノ{2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチル}アシッドホスフェート
等の酸性ビニル化合物系単量体;前記α,β−エチレン
性不飽和カルボン酸系単量体;前記α,β−エチレン性
不飽和カルボン酸系単量体のモノアルキルエステル類,
又はジアルキルエステル類;ビニルトリメトキシシラ
ン,又はビニルメチルジメトキシシラン等のシラン化合
物系単量体;エチレン,プロピレン等のオレフィン系単
量体;塩化ビニル,塩化ビニリデン,臭化ビニル,フッ
化ビニル,テトラフルオロエチレン,又はクロロトリフ
ルオロエチレン等のハロゲン化オレフィン系単量体;そ
の他マレイミド,ビニルスルホン等を含むこともでき
る。
【0013】前記の水酸基を有し,かつ有機溶剤に可溶
なる硬化性基含有アクリル系(共)重合体(A−1)の
水酸基価は,5〜250であることが好ましく,10〜
200であることがより好ましく,20〜150である
ことが更に好ましい。水酸基価が5未満であると,イソ
シアネート基を有するラジカル重合性単量体(A−2)
の導入量が著しく少なくなりグラフト点が減少するた
め,グラフト共重合時に反応混合物が濁り,経時的に二
層分離することがある。一方,水酸基価が250を越え
ると後述の片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B)
との相溶性が悪化し,グラフト共重合が進行しなくなる
場合がある。前記水酸基を有し,かつ有機溶剤に可溶な
る硬化性基含有アクリル系(共)重合体(A−1)は酸
価を有していることもできる。即ち,遊離カルボキシル
基を有していることによって,後述のメラミン,イソシ
アネートプレポリマー,ブロック化イソシアネートプレ
ポリマー等の硬化剤と組み合わせたときの反応率が上昇
し,塗膜硬度,水滴滑り性,撥水性,及び耐汚染性が向
上するため好ましい。
【0014】前記の水酸基を有し,かつ有機溶剤に可溶
なる硬化性基含有アクリル系(共)重合体(A−1)の
数平均分子量は3,000〜30,000であることが
好ましく,5,000〜20,000であることがより
好ましい。数平均分子量が3,000未満であると,造
膜性,耐候性,耐薬品性が低下することがある。一方,
数平均分子量が30,000を越えると重合時にゲル化
する危険がある。
【0015】本発明で用いる水酸基を有し,かつ有機溶
剤に可溶なる硬化性基含有アクリル系(共)重合体(A
−1)は公知の方法で調製することができるが,あるい
は市販品を用いることもできる。市販品としては,アク
リディックA−801,A−801−P,A−807,
A−808,A−809,A−810−45,A−81
1,A−814,A−815−45,A−817,A−
825−HV,A−832,A−834,AU−104
2,FU−409,GU−1023,HU−596,K
U−697(大日本インキ化学工業株式会社製),デス
モフェンA160,A260,A365,A450,A
565,A665,TPLS2790(住友バイエルウ
レタン株式会社製),ヒタロイド3008,3020
(日立化成工業株式会社製)等を挙げることができる。
前記の水酸基を有し,かつ有機溶剤に可溶なる硬化性基
含有アクリル系(共)重合体(A−1)は,単独で使用
するか又は2種類以上を混合して使用することができ
る。
【0016】イソシアネート基を有するラジカル重合性
単量体(A−2)は,イソシアネート基とラジカル重合
性を有する部分とを含むものであれば特に限定されるも
のではないが,好適なイソシアネート基を有するラジカ
ル重合性単量体(A−2)としては,例えば一般式
(3):
【化5】 (式中,R31は,水素原子又は炭素数1〜10の炭化
水素基,例えば炭素数1〜10のアルキル基(例えば,
メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル
基又はヘキシル基),炭素数6〜10のアリール基(例
えば,フェニル基),又は炭素数3〜10のシクロアル
キル基(例えばシクロヘキシル基)であり,R32は酸
素原子又は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の2価炭
化水素基,例えば,炭素数1〜10のアルキレン基(例
えば,メチレン基,エチレン基,トリメチレン基,テト
ラメチレン基,又はヘキサメチレン基),炭素数2〜1
0のアルキリデン基(例えばプロピリデン基),炭素数
6〜10のアリーレン基(例えば,フェニレン基,トリ
レン基,又はキシリレン基),又は炭素数3〜10のシ
クロアルキレン基(例えばシクロヘキシレン基)であ
る)で表されるラジカル重合性単量体,あるいは一般式
(4):
【化6】 (式中,R41は,水素原子又は炭素数1〜10の炭化
水素基,例えば炭素数1〜10のアルキル基(例えば,
メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル
基又はヘキシル基),炭素数6〜10のアリール基(例
えば,フェニル基),又は炭素数3〜10のシクロアル
キル基(例えばシクロヘキシル基)であり,R42は酸
素原子又は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の2価炭
化水素基,例えば,炭素数1〜10のアルキレン基(例
えば,メチレン基,エチレン基,トリメチレン基,テト
ラメチレン基,又はヘキサメチレン基),炭素数2〜1
0のアルキリデン基(例えばプロピリデン基),炭素数
6〜10のアリーレン基(例えば,フェニレン基,トリ
レン基,又はキシリレン基),又は炭素数3〜10のシ
クロアルキレン基(例えばシクロヘキシレン基)であ
る)で表されるラジカル重合性単量体を用いるのが好ま
しい。
【0017】前記のイソシアネート基を有するラジカル
重合製単量体(A−2)としては,メタクリロイルイソ
シアネート,2−イソシアナトエチルメタクリレート,
又はm−若しくはp−イソプロペニル−α,α−ジメチ
ルベンジルイソシアネートの1種又は2種以上を用いる
のが好ましい。
【0018】前記の水酸基を有し,かつ有機溶剤に可溶
なる硬化性基含有アクリル系(共)重合体(A−1)と
前記のイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体
(A−2)とから前記のラジカル重合性アクリル系重合
体(A)を調製する反応では,前記のイソシアネート基
を有するラジカル重合性単量体(A−2)を,前記の水
酸基を有し,かつ有機溶剤に可溶なる硬化性基含有アク
リル系(共)重合体(A−1)の水酸基1当量あたり,
好ましくは0.001モル以上0.1モル未満の量,よ
り好ましくは0.01モル以上0.08モル未満の量で
反応させる。このイソシアネート基を有するラジカル重
合性単量体(A−2)が0.001モル未満であるとグ
ラフト共重合が困難となり,反応混合物が濁り,経時的
に二層分離することがあり好ましくない。また,0.1
モル以上であるとグラフト共重合の際にゲル化が起こり
やすくなり好ましくない。また,水酸基を有し,かつ有
機溶剤に可溶なる硬化性基含有アクリル系(共)重合体
(A−1)とイソシアネート基を有するラジカル重合性
単量体(A−2)の反応は,無触媒下あるいは触媒存在
下,室温〜80℃で行うことができる。
【0019】こうして得られた前記のラジカル重合性ア
クリル系重合体(A)は,使用する成分全量に対して2
〜66重量%,好ましくは5〜50重量%の範囲で用い
られる。2重量%未満とすると塗膜としたときの水滴滑
り性,撥水性及び耐汚染性が低下することがあり,66
重量%を越えるとグラフト共重合時にゲル化することが
ある。
【0020】本発明においては,片末端ラジカル重合性
ポリシロキサン(B)として,前記一般式(1)で示さ
れる単量体を用いることができる。前記一般式(1)中
のR は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基で
ある。本明細書において炭素数1〜10の炭化水素基と
は,例えば,炭素数1〜10のアルキル基(例えばメチ
ル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,
ヘキシル基),炭素数6〜10のアリール基(例えばフ
ェニル基),又は炭素数3〜10のシクロアルキル基
(例えばシクロヘキシル基)を挙げることができる。R
は,好ましくは水素原子,メチル基である。また,前
記一般式(1)中のR,R,R,R ,Rは互
いに同一でも異なっていてもよい。R,R,R
は,それぞれ独立してメチル基,フェニル基である
ことが好ましく,Rはメチル基,ブチル基,又はフェ
ニル基であることが好ましい。また,前記一般式(1)
中のnは2以上の整数であり,好ましくは10以上の整
数,より好ましくは30以上の整数である。
【0021】また,本発明においては,片末端ラジカル
重合性ポリシロキサン(B)として,前記一般式(2)
で示される単量体を用いることもできる。前記一般式
(2)において,Rは水素原子または炭素原子数1〜
10の炭化水素基であり,好ましくは水素原子,メチル
基である。また,前記一般式(2)式のR,R,R
10,R11,R12は互いに同一でも異なっていても
よい。R,R,R ,R11はそれぞれ独立して
メチル基,フェニル基であることが好ましく,R 12
メチル基,ブチル基,又はフェニル基であることが好ま
しい。また前記一般式(2)中のpは0〜10の整数で
あり,好ましくは3である。また,前記一般式(2)中
のqは2以上の整数であり,好ましくは10以上の整
数,より好ましくは30以上の整数である。
【0022】このような片末端ラジカル重合性ポリシロ
キサン(B)は公知の方法で調製することができるが,
市販品を用いることもできる。市販品として,例えば,
サイラプレーンFM−0711(数平均分子量100
0,チッソ株式会社製),サイラプレーンFM−072
1(数平均分子量5000,チッソ株式会社製),サイ
ラプレーンFM−0725(数平均分子量10000,
チッソ株式会社製),X−22−174DX(数平均分
子量4600,信越化学工業株式会社製)等を挙げるこ
とができる。
【0023】本発明においては,前記一般式(1)で表
される片末端ラジカル重合性ポリシロキサンを単独で又
は2種類以上混合して,あるいは前記一般式(2)で表
される片末端ラジカル重合性ポリシロキサンを単独で又
は2種類以上混合して使用することができ,更には前記
一般式(1)で表される片末端ラジカル重合性ポリシロ
キサンの1種若しくはそれ以上と前記一般式(2)で表
される片末端ラジカル重合性ポリシロキサンの1種若し
くはそれ以上とを混合して使用することができる。
【0024】これらの片末端ラジカル重合性ポリシロキ
サン(B)は,使用する成分全量に対して0.1〜40
重量%,好ましくは2〜30重量%の範囲で用いられ
る。0.1重量%未満とすると所期の目的である水滴滑
り性,撥水性,耐汚染性が不十分となることがあり,4
0重量%を越えると重合後の未反応単量体成分が多くな
り,塗膜の軟化,未反応単量体成分のブリード等好まし
くない事態を招くことがある。
【0025】成分(A)及び(B)以外のラジカル重合
性単量体(C),即ち,前記の非反応性ラジカル重合性
単量体(C)とは,その単量体が,ラジカル重合に関与
する部分とともに,少なくとも,ラジカル重合の際の条
件下で,前記のラジカル重合性アクリル系重合体(A)
とラジカル重合以外の反応をしない官能基を有していて
もよいということを意味する。このような官能基として
は,具体的には,例えば,ハロゲン原子(例えば,フッ
素原子,塩素原子,又は臭素原子),炭素数1〜20の
アルキル基(例えば,メチル基,エチル基,プロピル
基,ブチル基,ヘキシル基,ラウリル基,又はステアリ
ル基),炭素数6〜10のアリール基(例えば,フェニ
ル基,トリル基,又はキシリル基),又はアルキル部分
の炭素数が1〜10でアリール部分の炭素数が6〜10
のアラルキル基(例えば,ベンジル基),(前出のアル
キル基,アリール基,及びアラルキル基をまとめて,以
下単に“炭化水素基R”と称することがある),水酸基
1個又は複数個を有する前記炭化水素基R(例えば,ヒ
ドロキシメチル基,ヒドロキシエチル基,ヒドロキシプ
ロピル基,2,3−ジヒドロキシプロピル基,ヒドロキ
シブチル基,ヒドロキシフェニル基,又は4−ヒドロキ
シメチルフェニル基),ニトリル基1個又は複数個を有
する前記炭化水素基R(例えば,シアノエチル基),エ
ーテル基1個又は複数個を有する前記炭化水素基R(例
えば,メトキシメチル基,エトキシエチル基,又はメト
キシメトキシメチル基),エステル基1個又は複数個を
有する前記炭化水素基R(例えば,アセトキシメチル
基),第3アミノ基1個又は複数個を有する前記炭化水素
基R(例えば,ジメチルアミノメチル基,又はジエチル
アミノエチル基),エポキシ基1個又は複数個を有する
前記炭化水素基R(例えば,グリシジル基,又は3,4
−エポキシシクロヘキシルメチル基),アミド基1個又
は複数個を有する前記炭化水素基R,カルボキシル基1
個又は複数個を有する前記炭化水素基R(例えば,カル
ボキシメチル基),ウレタン基1個又は複数個を有する
前記炭化水素基R,尿素基1個又は複数個を有する前記
炭化水素基R,アルコキシシリル基1個又は複数個を有
する前記炭化水素基R(例えば,トリメトキシシリルメ
チル基,又はジメトキシメチルシリルメチル基)等を挙
げることができる。
【0026】一方,前記のラジカル重合の際に,前記の
ラジカル重合性アクリル系重合体(A)とラジカル重合
反応以外の反応をする可能性のある官能基としては,例
えば,単量体を酸ハロゲン化物(例えば,カルボン酸塩
化物,カルボン酸臭化物,リン酸塩化物,又はスルホン
酸塩化物),酸無水物(例えば,無水マレイン酸),イ
ソシアネート化合物等とする官能基を挙げることができ
る。前記の非反応性ラジカル重合性単量体(C)は,こ
れらの官能基を持つことはできないが,前記のラジカル
重合性アクリル系重合体(A)と前記の条件下で反応し
ない任意の官能基を有することができる。
【0027】具体的には,例えば,スチレン,p−メチ
ルスチレン,p−クロロメチルスチレン,又はビニルト
ルエン等のスチレン系単量体;メチル(メタ)アクリレ
ート,エチル(メタ)アクリレート,n−プロピル(メ
タ)アクリレート,i−プロピル(メタ)アクリレー
ト,n−ブチル(メタ)アクリレート,i−ブチル(メ
タ)アクリレート,tert−ブチル(メタ)アクリレ
ート,n−ヘキシル(メタ)アクリレート,シクロヘキ
シル(メタ)アクリレート,2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート,ラウリル(メタ)アクリレート,ス
テアリル(メタ)アクリレート,イソボルニル(メタ)
アクリレート,アダマンチル(メタ)アクリレート,フ
ェニル(メタ)アクリレート,又はベンジル(メタ)ア
クリレート等の炭化水素基をもつ(メタ)アクリレート
系単量体;これらの(メタ)アクリレート系単量体の水
素原子をフッ素原子,塩素原子,又は臭素原子等で置換
した(メタ)アクリレート系単量体;酢酸ビニル,安息
香酸ビニル,又は分岐状モノカルボン酸のビニルエステ
ル(ベオバ:シェル化学株式会社製)等のビニルエステ
ル系単量体;アクリロニトリル,又はメタクリロニトリ
ル等のアクリロニトリル系単量体;エチルビニルエーテ
ル,n−ブチルビニルエーテル,i−ブチルビニルエー
テル,又はシクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエ
ーテル系単量体;(メタ)アクリルアミド,ジメチル
(メタ)アクリルアミド,又はジアセトンアクリルアミ
ド等のアクリルアミド系単量体;ビニルピリジン,N,
N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート,N,
N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート,N,
N−ジメチル(メタ)アクリルアミド,4−(N,N−
ジメチルアミノ)スチレン,又はN−{2−(メタ)ア
クリロイルオキシエチル}ピペリジン等の塩基性窒素含
有ビニル化合物系単量体;グリシジル(メタ)アクリレ
ート,3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)
アクリレート,又は3,4−エポキシビニルシクロヘキ
サン等のエポキシ基含有ビニル化合物系単量体;(メ
タ)アクリル酸,アンゲリカ酸,クロトン酸,マレイン
酸,4−ビニル安息香酸,p−ビニルベンゼンスルホン
酸,2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン
酸,又はモノ{2−(メタ)アクリロイルオキシエチ
ル}アシッドホスフェート等の酸性ビニル化合物系単量
体;p−ヒドロキシメチルスチレン,2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート,3−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート,2−ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレート,4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレー
ト,ジ−2−ヒドロキシエチルフマレート,ポリエチレ
ングリコール若しくはポリプロピレングリコールモノ
(メタ)アクリレート,又はこれらのε−カプロラクト
ン付加物,(メタ)アクリル酸,クロトン酸,マレイン
酸,フマル酸,イタコン酸,若しくはシトラコン酸のよ
うなα,β−エチレン性不飽和カルボン酸とε−カプロ
ラクトンとの付加物,前記のα,β−エチレン性不飽和
カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類,又は前記
のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸とブチルグリシ
ジルエーテル,フェニルグリシジルエーテル,分岐状カ
ルボン酸グリシジルエステル(カージュラE;シェル化
学株式会社製)のようなエポキシ化合物との付加物等の
水酸基含有ビニル化合物系単量体;ビニルトリメトキシ
シラン,γ−メタクリルオキシエチルトリメトキシシラ
ン,γ−メタクリルオキシエチルメチルジメトキシシラ
ン等のシラン化合物系単量体;エチレン,プロピレン等
のオレフィン系単量体;塩化ビニル,塩化ビニリデン,
臭化ビニル,フッ化ビニル,テトラフルオロエチレン,
又はクロロトリフルオロエチレン等のハロゲン化オレフ
ィン系単量体;その他マレイミド,ビニルスルホン等を
挙げることができる。
【0028】前記の非反応性ラジカル重合性単量体
(C)としては,前記の単量体を単独で用いても,ある
いは2種類以上を混合して用いてもよく,主として共重
合性,及び塗膜としたときの耐候性の観点から(メタ)
アクリレート系が好ましく用いられる。
【0029】前記の非反応性ラジカル重合性単量体
(C)は,使用する成分全量に対し15〜98重量%,
好ましくは25〜80重量%の範囲で用いられる。15
重量%未満では,グラフト共重合時に相対的に前記のラ
ジカル重合性アクリル系重合体(A)又は前記の片末端
ラジカル重合性ポリシロキサン(B)成分が多くなるた
め,重合時にゲル化したり,未反応単量体の残存を招く
ことがある。また,前記の非反応性ラジカル重合性単量
体(C)の使用量が98重量%を越えると水滴滑り性,
撥水性,耐汚染性が不十分となる。
【0030】本発明において,前記の片末端ラジカル重
合性ポリシロキサン(B)と前記の非反応性ラジカル重
合性単量体(C)との合計使用重量に対する前記のラジ
カル重合性アクリル系重合体(A)の使用重量の比率
(即ち,A/(B+C);以下,「ベース/グラフト
比」と称することがある)は,2/1〜1/50の範囲
であることが好ましい。ベース/グラフト比が2/1を
越えてベースの量が多い場合には,グラフト共重合時に
ゲル化する危険がある。また,ベース/グラフト比が1
/50を越えてグラフトの量が多い場合には,生成グラ
フト共重合体に相溶性に起因する二層分離が生じる場合
がある。
【0031】前記のラジカル重合性アクリル系重合体
(A)と,前記の片末端ラジカル重合性ポリシロキサン
(B)と前記の非反応性ラジカル重合性単量体(C)と
を用いて本発明の共重合体を調製するには,公知慣用の
任意の重合方法を用いることができ,中でも溶液ラジカ
ル重合法又は非水分散ラジカル重合法によるのが最も簡
便であり,特に好ましい。
【0032】重合の際に用いられる溶剤としては,例え
ば,トルエン,キシレン,又は芳香族炭化水素の混合溶
剤(ソルベッソ100;エッソ石油株式会社製)等の芳
香族炭化水素化合物;n−ヘキサン,シクロヘキサン,
オクタン,ミネラルスピリット,又はケロシン等の脂肪
族,脂環族炭化水素化合物;酢酸エチル,酢酸n−ブチ
ル,酢酸i−ブチル,又はブチルセロソルブアセテート
等のエステル系化合物;メタノール,エタノール,n−
プロパノール,i−プロパノール,n−ブタノール,i
−ブタノール,エチレングリコール,プロピレングリコ
ール,エチルセロソルブ,ブチルセロソルブ等のアルコ
ール系化合物等を挙げることができ,これらの溶剤は単
独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができ
る。
【0033】前記の重合は,公知慣用の種々のラジカル
重合開始剤,例えば,アゾ系化合物又は過酸化物系化合
物のようなラジカル重合開始剤を用いて,常法により実
施することができる。重合時間は特に制限されないが,
通常1〜48時間の範囲が選ばれる。また,重合温度は
通常30〜120℃,好ましくは60〜100℃であ
る。前記の重合は,更に必要に応じて公知慣用の連鎖移
動剤,例えば,ブチルメルカプタン,ドデシルメルカプ
タン,又はα−メチルスチレンダイマー等を添加して実
施することもできる。
【0034】本発明におけるグラフト共重合体の分子量
は特に限定されるものではないが,その重量平均分子量
が,ポリスチレン換算のGPC(ゲルパーミエーション
クロマトグラフィー)により,好ましくは約5,000
〜2,000,000,より好ましくは約10,000
〜1,000,000の範囲である。5,000未満と
すると造膜性,耐候性,又は耐薬品性が低下し,2,0
00,000を越えると重合時にゲル化する危険があ
る。
【0035】このようにして得られた本発明のグラフト
共重合体は,塗料のバインダー成分として使用すること
ができる。本発明の塗料は,前記グラフト共重合体を含
有してなるものである。本発明の前記グラフト共重合体
の溶液をそのまま用いて塗料としてもよいが,前記グラ
フト共重合体と硬化剤とを組み合わせて硬化型塗料とす
ることがより好ましい。
【0036】硬化型塗料とする場合には,本発明のグラ
フト共重合体中の構成成分である,前記ラジカル重合性
アクリル系単量体(A)及び/又は前記非反応性ラジカ
ル重合性単量体(C)に含まれる硬化性基含有単量体と
反応しうる任意の硬化剤を用いることができる。例え
ば,成分(A)及び/又は(C)中に水酸基を有する単
量体が含まれている場合には,アニリンアルデヒド樹
脂,尿素樹脂,メラミン樹脂,イソシアネートプレポリ
マー,ブロック化イソシアネートプレポリマー,あるい
は酸無水物基含有共重合体等の硬化剤を用いることがで
きる。また,成分(A)及び/又は(C)中にエポキシ
基を有する単量体が含まれている場合には,酸無水物
(例えば,ヘキサヒドロ無水フタル酸,メチルヘキサヒ
ドロ無水フタル酸,又は無水マレイン酸含有共重合
体),アミン類(例えば,トリエチレンテトラミン,テ
トラエチレンペンタミン,又はこれらの変性物)等の硬
化剤を用いることができる。また,成分(A)及び/又
は(C)中にアルコキシシリル基を有する単量体が含ま
れる場合には,特に硬化剤を必要とせず,空気中の水分
で硬化せしめることもできる。
【0037】これら本発明のグラフト共重合体と硬化剤
の組み合わせは膨大なものとなるが,中でも,成分
(A)及び/又は(C)中に水酸基を有する単量体を含
有させ,硬化剤にメラミン樹脂,イソシアネートプレポ
リマー,ブロック化イソシアネートプレポリマーを用い
ると水滴滑り性,撥水性,耐汚染性が向上するので好ま
しい。
【0038】本発明のグラフト共重合体中の成分(A)
及び/又は(C)中に水酸基を有する単量体を含有させ
る場合には,水酸基含有単量体の量,いわゆる水酸基価
が,硬化塗膜の性質を左右する因子の一つとなる。この
水酸基価は,前記のラジカル重合性アクリル系重合体
(A)成分の水酸基価で調整することができ,更に,前
記の非反応性ラジカル重合性単量体(C)成分中に水酸
基を有する単量体が含まれる場合にはその使用量によっ
て調整することができる。グラフト共重合体の水酸基価
は特に制限されるものではないが,10〜200とする
ことが塗膜硬度,耐薬品性,及び耐汚染性の点から好ま
しい。
【0039】また,本発明の塗料の樹脂固形分は特に制
限されるものではなく,用途,塗装方法によって適宜選
択されるが,通常5〜40重量%とすることが好まし
い。本発明の塗料における乾燥条件も特に制限されない
が,通常,室温〜200℃の範囲で1分間〜7日間程度
の乾燥を行って塗装せしめる。更に,本発明の塗料は必
要に応じて各種添加剤,例えば,界面活性剤,増量剤,
着色顔料,防錆顔料,フッ素樹脂粉末,シリコーン樹脂
粉末,防錆剤,染料,ワックス等を添加してもよい。
【0040】
【実施例】以下,実施例によって本発明を具体的に説明
するが,これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。以下の製造例等において“部”及び“%”は特に示
さない限り“重量部”及び“重量%”を意味するものと
する。
【0041】以下の製造例等において用いられた材料の
市販品名を次に示す。 (1)片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B) サイラプレーンFM−0721 (数平均分子量5,0
00;チッソ株式会社製) (2)ラジカル重合開始剤 パーブチルO (t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサノエート;日本油脂株式会社製) (3)硬化剤 スミジュールN3200 (ヘキサメチレンジイソシア
ネートのビウレット型プレポリマー;住友バイエルウレ
タン株式会社製)
【0042】また、下記の実施例及び比較例における物
性評価試験方法を以下に示す。 (1)キシレンスポット試験 硬化塗膜上にキシレンを1滴載せ,キシレンが蒸発する
まで室温で放置し,塗膜の状態を観察した。以下の3段
階で評価し,その結果を表2に示す。即ち,変化が全く
認められないものを◎,リング状の跡が残るものを△,
塗膜が膨潤あるいは溶解するものを×で表した。
【0043】(2)塗膜硬度試験 JIS K5400(1990)の鉛筆硬度試験法に準
拠して測定した。結果を表2に示す。
【0044】(2)初期耐汚染性 硬化塗膜上にマジックインキ(赤色)で線を引き,その
はじき具合を調べた。以下の3段階で評価し,結果を表
2に示す。即ち,油滴状にはじき,布で簡単にふき取れ
るものを◎,油滴状にはじき,一部分はふき取れるが,
ふき取れずに硬化塗膜上に一部が残存するものを△,は
じかず線が引け,布でふき取れないものを×で表した。
【0045】(3)汚染除去性(耐汚染性) 硬化塗膜上にマジックインキ(青色,黒色,赤色,及び
緑色の4色)で線を引き,室温で24時間乾燥後,青色
及び黒色のマジックインキについてはエタノールをしみ
込ませた布でふき取り,赤色及び緑色のマジックインキ
についてはキシレンをしみ込ませた布で拭き取った。そ
の結果を以下の3段階で評価し,表2に示す。即ち,マ
ジックインキの跡が全く残らないものを◎,僅かに跡が
残るものを○,はっきりと跡が残るものを×で表した。
【0046】(4)水滴滑り性 水平に保った硬化塗膜上に,脱イオン水の水滴(20μ
l又は30μl)をそれぞれ5滴づつ載せ,硬化塗膜を
水平状態からに徐々に傾け,前記の5滴の水滴が滑り始
めた角度をそれぞれ測定した。測定値のうちで最も小さ
い測定値と最も大きい測定値を捨て,残った3つの測定
値の平均値を10゜単位で評価し,表2に示す。
【0047】
【参考例】《ラジカル重合性アクリル系共重合体(A)
の合成》機械式撹拌装置,温度計,コンデンサー及び乾
燥窒素ガス導入口を備えたガラス製反応器に,キシレン
(119部),酢酸n−ブチル(60部),メチルメタ
クリレート(60部),n−ブチルメタクリレート(2
0部),ラウリルメタクリレート(20部),2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート(16部),及びパーブチ
ルO(2部)を入れ,乾燥窒素雰囲気中で90℃まで加
熱した後,90℃で2時間保持した。パーブチルO(1
部)を追加し,更に90℃で5時間保持した。反応混合
物を30℃に冷却し,同温度で1時間保持して重合を停
止した。同温度で2−イソシアナトエチルメタクリレー
ト(0.8部)を入れ,70℃に加熱した。70℃で1
時間反応し,サンプリング物の赤外吸収スペクトルにお
いてイソシアネートの吸収が消失したことを確認した
後、反応混合物を取り出し,ウレタン結合を介してラジ
カル重合性不飽和結合を有し,かつ有機溶剤に可溶なる
硬化性基含有アクリル系(共)重合体(A)を得た。
【0048】
【製造例1】本例では,本発明によるグラフト共重合体
の合成手順を示す。機械式撹拌装置,温度計,コンデン
サー及び乾燥窒素ガス導入口を備えたガラス製反応器
に,参考例で合成したラジカル重合性アクリル系共重合
体(A)(25.0部),キシレン(20.4部),酢
酸n−ブチル(10.2部),メチルメタクリレート
(9.4部),n−ブチルメタクリレート(4.7
部),ラウリルメタクリレート(1.6部),2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート(2.9部),FM−07
21(1.5部),パーブチルO(0.3部)を入れ,
窒素雰囲気中で90℃まで加熱した後,90℃で2時間
保持した。パーブチルO(0.2部)を追加し,更に9
0℃で5時間保持することによって,不揮発分が40%
で,重量平均分子量が122000である目的とするグ
ラフト共重合体の溶液を得た。
【0049】
【製造例2〜4,及び比較製造例1〜3】溶剤,単量
体,開始剤類の仕込量を表1に示したように変更したこ
と以外は,製造例1と同様に操作して目的とするグラフ
ト共重合体の溶液を得た。製造例2〜4では本発明によ
るグラフト共重合体が得られる。一方,比較製造例1で
は片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B)を使用し
ない場合について示した,比較製造例2ではラジカル重
合性アクリル系共重合体(A)を用いず,1段階の重合
のみの場合について示した。比較製造例3ではラジカル
重合性アクリル系共重合体(A)を用いず,グラフト共
重合を行わない場合において片末端ラジカル重合性ポリ
シロキサン(B)を多量に用いた場合について示した。
【0050】
【表1】
【0051】
【実施例1】製造例1で得られたグラフト共重合体の水
酸基当量に対して当量のスミジュールN3200を加
え,更に塗料中の不揮発分が35重量%になるようにキ
シレンで希釈した。予めトルエン/イソプロピルアルコ
ール(2/1)混合溶剤で脱脂,乾燥した電気メッキブ
リキ板(66×100mm)上に,前記の塗料組成物を
バーコーター#20を用いて塗布した。これを140℃
で30分間加熱硬化して硬化塗膜を得た。前述の各種試
験を行い,結果を表2に示す。この硬化塗膜の初期水滴
滑り性は〜30°/20μl,〜20°/30μlと良
好であり,しかも初期防汚性及び汚染除去性も良好な結
果を示した。
【0052】
【実施例2〜4及び比較例1〜3】製造例2〜4及び比
較製造例1〜3で得られたグラフト共重合体に対して,
前記の実施例1と同様にして硬化塗膜を作製し,前述の
各種物性評価試験を行った。結果を表2に示す。実施例
2〜4においては全ての評価項目において良好なる結果
を示したが。比較例1及び比較例2においては初期耐汚
染性及び汚染除去性に難点が観察された。また,比較例
3においては全ての評価項目において良好なる結果を示
したが,同程度の性能を出すためには片末端ラジカル重
合性ポリシロキサン(B)が多量に必要となるため,結
果的に高価格となる。
【0053】
【表2】
【0054】以上のデータより,本発明のグラフト共重
合体及び塗料が,被塗物の表面に優れた水滴滑り性,撥
水性,及び耐汚染性を同時に与えることができ,かつ低
価格化が可能であることは明らかである。
【0055】
【発明の効果】本発明のグラフト共重合体及び塗料は,
造膜したときに基材表面に優れた水滴滑り性,撥水性,
及び防汚性を付与することができ,耐候性,耐薬品性及
び光沢等に優れ,かつ低価格であるという特徴を有する
ことから,広範な各種基材の表面処理に適用することが
できる。具体的には,自動車,鉄道車輌,その他の車
輌,又は建築物(住宅,若しくはビル)等の外板又は外
壁,また,便器,洗面器,浴槽,キッチンシンク等の水
周り器具,また,エアコン,冷蔵庫等の熱交換器,また
道路標識,カーブミラー等に適用することができ,防汚
性,視認性,難着氷雪性の改善に有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 151/06 C09D 151/06 Fターム(参考) 4J027 AA02 AF01 AF03 AF05 AJ02 AJ08 AJ09 BA02 BA04 BA05 BA06 BA07 BA08 BA09 BA10 BA11 BA12 BA13 BA14 BA16 CD08 4J038 CP061 CP071 DL141 GA03 GA08 GA11 GA15 JA02 JA03 JA05 JA19 JA20 JA26 JA56 KA06 MA07 MA09 NA01 NA03 NA05 NA07 NA11 PB05 PB07 PC02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) ウレタン結合を介してラジカル重
    合性不飽和結合部分を有し,かつ有機溶剤に可溶なる硬
    化性基含有アクリル系(共)重合体 2〜66重量%,
    (B)下記一般式(1): 【化1】 (式中,Rは水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化
    水素基であり,R,R ,R,R,及びRは互
    いに同一でも異なっていてもよい水素原子又は炭素原子
    数1〜10の炭化水素基であり,nは2以上の整数であ
    る)で示される片末端ラジカル重合性ポリシロキサン及
    び/又は下記一般式(2): 【化2】 (式中,Rは水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化
    水素基であり,R,R ,R10,R11,及びR
    12は互いに同一でも異なっていてもよい水素原子又は
    炭素原子数1〜10の炭化水素基であり,pは0〜10
    の整数であり,qは2以上の整数である)で示される片
    末端ラジカル重合性ポリシロキサン 0.1〜40重量
    %,及び(C) 成分(A)及び(B)以外のラジカル
    重合性単量体 15〜98重量%,をランダム共重合し
    てなるグラフト共重合体。
  2. 【請求項2】前記のウレタン結合を介してラジカル重合
    性不飽和結合部分を有し,かつ有機溶剤に可溶なる硬化
    性基含有アクリル系(共)重合体(A)が,(A−1)
    水酸基を有し,かつ有機溶剤に可溶なる硬化性基含有ア
    クリル系(共)重合体と(A−2)イソシアネート基を
    有するラジカル重合性単量体との反応生成物である請求
    項1に記載のグラフト共重合体。
  3. 【請求項3】前記のイソシアネート基を有するラジカル
    重合性単量体(A−2)が,メタクリロイルイソシアネ
    ート,2−イソシアナトエチルメタクリレート,又はm
    −若しくはp−イソプロペニル−α,α−ジメチルベン
    ジルイソシアネートから選ばれた単量体1種又は2種以
    上である請求項2に記載のグラフト共重合体。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか一項に記載のグラ
    フト共重合体を含有することを特徴とする塗料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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