JP2003292870A - 被覆組成物及び該被覆組成物を用いた被覆物品 - Google Patents

被覆組成物及び該被覆組成物を用いた被覆物品

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JP2003292870A
JP2003292870A JP2002052419A JP2002052419A JP2003292870A JP 2003292870 A JP2003292870 A JP 2003292870A JP 2002052419 A JP2002052419 A JP 2002052419A JP 2002052419 A JP2002052419 A JP 2002052419A JP 2003292870 A JP2003292870 A JP 2003292870A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、建築物外壁等の構造物に塗布
すると落書の簡単除去を可能とする、構造物や航空機、
鉄道車輌、船舶等に塗布すると氷雪付着防止し除去を容
易にする、又は構造物に塗布すると貼り紙をされてもそ
れが自然にはがれてしまうか容易に除去されうる、被覆
組成物及びそれを被覆した物品の提供である。 【構成】被覆組成物は(a)ラジカル重合性を有するフ
ッ素樹脂の存在下に片末端ラジカル重合性ポリシロキサ
ン、アルコキシシリル基を有する単量体、水酸基を有す
る単量体、及び上記成分とラジカル重合以外に実質的に
反応しない官能基を有する単量体を共重合してなる基体
樹脂及び(b)該基体樹脂と架橋反応可能な硬化剤より
構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被覆表面に付着物
が付きにくい、又は被覆表面についてしまった付着物を
剥がれやすくする被覆組成物に関する。即ち、本発明
は、建築物外壁、電柱、橋脚等の構造物に塗布してラッ
カースプレー、フェルトペン等による落書きを乾拭き等
の簡単な方法で除去することを可能とするための被覆組
成物及び該被覆組成物を被覆してなる被覆物品を提供す
る。また本発明は、建築物外壁、屋根、電柱、電線、送
電鉄塔、看板、交通標識、航空機、鉄道車輌、船舶等に
塗布して雪や氷の付着を防ぐ、あるいは容易に除去する
ことを可能とする、又は傾斜面に積もった雪の滑落を促
すための被覆組成物及び該被覆組成物を被覆してなる被
覆物品を提供する。また本発明は、建築物外壁、電柱、
橋脚、看板、電話ボックス等の構造物に塗布されるとそ
の表面上に貼られたポスター、広告ビラ等の貼り紙が自
然にはがれるかあるいは容易に除去されることができる
被覆組成物及び該被覆組成物を被覆してなる被覆物品を
提供する。
【0002】
【従来の技術】建築物外壁、門扉、電柱、橋脚等の構造
物に塗布される被覆組成物は、構造物に対し外観の美し
さ、及び防食性を付与することができる。しかし、近
年、特に都市部においてラッカースプレー、フェルトペ
ン等による落書きが多発し、構造物の美麗さを著しく損
なっている。このような落書きを除去するためには、溶
剤を用いてあるいは強制的にこすり落として除去した
り、既設塗膜をはく離して再塗装すること等が必要であ
り、非常に手間がかかっている。従って、被覆組成物に
は単に美しさ、防食性のみならず落書きを容易に除去で
きる機能が求められている。また、特に寒冷地におい
て、建築物外壁、屋根、電柱、送電鉄塔、看板等の構造
物において、雪や氷がそれらに付着して落下することに
より物的、人的被害が生じる、パラボラアンテナに着雪
することにより通信障害が生じる、電線に着雪すること
により断線する、傾斜した屋根に積もった雪が滑り落ち
にくくなり屋根の雪下ろしが必要となる等の問題を生じ
ている。また、航空機、鉄道車輌、船舶等でも着氷する
ことによる氷の落下、燃費の増大等の問題を生じてい
る。従って、被覆組成物には単に美しさ、防食性のみな
らず着氷雪を防止する機能が求められている。また、建
築物外壁、電柱、橋脚、看板、電話ボックス等につい
て、特に都市部においてはポスター、広告ビラ等の貼り
紙が多発し、構造物の美麗さを著しく損なっている。こ
のような貼り紙を除去するためには、紙の部分は勿論、
接着剤の部分までも人力によってはがす必要があり、非
常に手間がかかっている。従って、被覆組成物には単に
美しさ、防食性のみならず貼り紙を容易に除去できる機
能が求められている。
【0003】そこで、落書きの除去及び貼紙除去を容易
にすることに関し、被覆組成物にシリコーンオイル、ポ
リエチレンワックス、流動パラフィン等の潤滑性を有す
る物質を添加した被覆組成物を用いて落書き又は貼紙を
簡単に除去する方法が提案されている。しかし、上記シ
リコーンオイル、ポリエチレンワックス、流動パラフィ
ン等を添加した被覆組成物では経時的に上記添加物がブ
リードアウトしてくるため落書き除去の機能が維持し難
く、また貼り紙除去の機能が維持し難い。また往々にし
て被覆組成物と上記添加物の相溶性が悪く、塗膜の透明
性が低下し美麗さが損なわれたり、表面に粘着性が生じ
る場合があった。また雪や氷の付着を防止することに関
し、水に対する接触角が大きい、即ち表面エネルギーの
小さいポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリ
デン、ポリ(パーフルオロアルキルアクリレート)、テ
トラフルオロエチレンまたはクロロトリフルオロエチレ
ン/アルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素含有化
合物、あるいはポリアルキルシロキサン含有化合物で被
覆することが行われている。ところが、前記フッ素含有
化合物を被覆に用いると、その接触角は比較的高いにも
かかわらず、氷との接着力は大きいことが分かってきた
(例えば、日本接着学会誌、Vol.30,No.9
(1994))。着雪着氷防止に関しては、更に接触角
を増大させるため、特開平10−36707のように被
覆組成物にフッ素樹脂微粒子を添加したタイプの塗料が
市販されている。しかし、この種の塗料では、バインダ
ー樹脂自体の表面エネルギーが小さいため、粒子のバイ
ンダー中への固着が十分でなく、表面を擦ったり、風雨
や砂粒の衝突によって粒子が塗膜から脱離して着氷雪防
止機能が低下する問題があった。一方、ポリアルキルシ
ロキサン含有化合物を構成成分とする被覆組成物の検討
も多数行われている。例えば、シリコーン樹脂等に代表
されるバインダー樹脂にシリコーンオイル、ポリエチレ
ンワックス、流動パラフィン等の潤滑性を有する物質を
添加した被覆組成物を用いて氷や雪の付着を防止する方
法が提案されている。上に述べたと同様に、上記シリコ
ーンオイル、ポリエチレンワックス、流動パラフィン等
を添加した被覆組成物では経時で上記添加物がブリード
アウトしてくるため着氷雪機能が維持し難く、往々にし
て被覆組成物と上記添加物の相溶性が悪く塗膜の透明性
が低下し美麗さが損なわれたり、表面に粘着性が生じ、
汚れ成分が付着することによって美麗さが損なわれる場
合があった。
【0004】そこで、反応性シリコーンオイルを用いる
ことによって被覆組成物中の基体樹脂にシリコーン成分
を内在させることが考えられた。例えば、特開平10−
140075に代表される技術では、ラジカル重合性を
有するポリジメチルシロキサンオイルと(メタ)アクリ
ル酸エステルを共重合して、ポリジメチルシロキサンを
グラフト型に配した基体樹脂が記載されている。[注:
本明細書中(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリルアミドの表記の「(メタ)アク
リ」の部分は、「アクリ」と「メタクリ」の両方を記載
することを意味するものとする。]
【0005】しかし、上記基体樹脂を用いた場合、前記
添加物系よりは落書き除去機能、着氷雪防止機能、及び
貼り紙除去機能が維持されるものの期待されるほど十分
とは言い難いものであった。即ち、塗装して間もないう
ちは乾拭き等の簡単な操作でラッカースプレー、フェル
トペン等による落書きが除去でき、何ら手を加えること
なく雪、氷が容易に落下し、又は貼り紙が容易に除去で
きるが、太陽光、降雨等の外部環境によりおそらくはポ
リジメチルシロキサン部分の脱落、及び/又は架橋部分
の切断によると推測される塗膜の劣化が生じて性能が低
下してしまい、結局溶剤を用いるかあるいは強制的にこ
すり落とすことにより落書きを除去するなど、結局多大
な労力を必要とし、上記の機能の維持性という観点から
は問題があった。
【0006】また、特開平9−100445にはアゾ
基、パーオキシ基等のラジカル発生可能なポリジメチル
シロキサン化合物を用いて(メタ)アクリル酸エステル
を共重合し、ポリジメチルシロキサンを分子鎖中にブロ
ック型に配した基体樹脂が記載されている。
【0007】しかし、上記アゾ基、パーオキシ基等のラ
ジカル発生可能なポリジメチルシロキサン化合物は非常
に高価であるが故に樹脂そのものが非常に高価となる。
このラジカル発生可能なポリジメチルシロキサンの使用
量を減少せしめて安価にしようとすれば、落書き除去機
能、着氷雪防止機能、及び貼り紙除去機能が低下してし
まうという二律背反に陥る欠点があった。また、落書き
除去機能、着氷雪防止機能、及び貼り紙除去機能の長期
間維持という観点からみると、ポリジメチルシロキサン
の脱落はないと推測されるにもかかわらず、予想外に
も、機能の維持性が良好でないという問題もあった。特
開平11−349893、特開2000−7995等に
は、従来の着氷雪防止機能イコール基体樹脂の撥水性を
上げるといった観点とは全く別に、例え接触角が大きく
なくても、水滴を滑り落とすことによって着氷雪防止機
能を生じせしめる技術が記載されている。上記技術はシ
ロキサン/スルホン酸付加物を添加し、これを一種の界
面活性剤として機能させることによって水滴の滑り性を
生じさせているものであり、この添加剤を比較的多量に
加えているために被覆の強度に劣り、更に、結局、添加
物が流失してしまえばその効果を失うといった問題点が
あった。また、同様の考え方で、特開2000−160
132には、フッ素樹脂とポリシロキサンを直接反応さ
せグラフト化物を得る技術が記載されている。しかし、
この型のグラフト化物にも被覆の機械的強度の不足、機
能の維持性に問題があった。
【0008】前記した諸問題点を解決する手段として本
発明者らは特開2000−119354において、ラジ
カル重合性不飽和結合を有するフッ素樹脂の存在下にお
いてラジカル重合性を有するポリジメチルシロキサン及
び他の単量体を重合し、ポリジメチルシロキサンを“幹
−枝−葉”の“葉”の部分に配した基体樹脂を提案し
た。
【0009】しかし、上記基体樹脂は水や油の接触角の
維持性は良好であったものの、依然落書き除去機能、着
氷雪防止機能、貼り紙除去機能の長期間維持という観点
からみると不十分なものであった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記のような状況下
で、本発明の課題の一つは、建築物外壁、電柱、橋脚等
の構造物に塗布してラッカースプレー、フェルトペン等
による落書きを乾拭き等の簡単な方法で除去することを
可能とし、かつ落書き除去機能を長期間維持するための
被覆組成物及び該被覆組成物を被覆してなる被覆物品を
提供することにある。本発明の課題のもう一つは、建築
物外壁、屋根、電柱、電線、送電鉄塔、看板、交通標
識、航空機、鉄道車輌、船舶等に塗布して雪や氷の付着
を防ぎ、あるいは付着した雪や氷を容易に除去すること
を可能とし、又は傾斜した屋根等に積もった雪が滑り落
ちることを容易にするための被覆組成物及び該被覆組成
物を被覆してなる被覆物品を提供することにある。本発
明の課題の更に別の一つは、建築物外壁、電柱、橋脚、
看板、電話ボックス等の構造物に塗布してその表面に貼
られたポスター、広告ビラ等の貼り紙が自然にはがれる
ようにする、あるいは容易に除去することを可能とする
ための被覆組成物及び該被覆組成物を被覆してなる被覆
物品を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の落書きを除去する
機能に対する課題は、(A)ウレタン結合を介してラジ
カル重合性不飽和結合を有するフッ素樹脂2〜70重量
%、(B)下記一般式(1)
【化5】 (但し、式中Rは水素原子または炭素原子数1〜10
の炭化水素基、R、R 、R、R、Rは互いに
同一でも異なっていてもよい水素原子または炭素原子数
1〜10の炭化水素基、nは2以上の整数である。)で
示される片末端ラジカル重合性ポリシロキサン及び/ま
たは下記一般式(2)
【化6】 (但し、式中Rは水素原子または炭素原子数1〜10
の炭化水素基、R、R 、R10、R11、R12
互いに同一でも異なっていてもよい水素原子または炭素
原子数1〜10の炭化水素基、pは0〜10の整数、q
は2以上の整数である。)で示される片末端ラジカル重
合性ポリシロキサン5〜40重量%、(C) アルコキ
シシリル基を有する単量体 5〜55重量%、(D)
水酸基を有する単量体 15〜50重量%、(E) 成
分(A)〜(D)とラジカル重合以外に反応しない官能
基を有する単量体0〜73重量%、(但し、(A)〜
(E)はそれらの総和が100重量%となる値をとる)
を共重合してなる基体樹脂(a)及び該基体樹脂(a)
と架橋反応することが可能である硬化剤(b)を含有し
てなる被覆組成物を用いる本発明によって解決すること
が可能である。上記雪や氷の付着を防ぎ、又は貼り紙が
自然にはがれるようにすることについての課題は、
(A) ウレタン結合を介してラジカル重合性不飽和結
合を有するフッ素樹脂2〜70重量%、(B)下記一般
式(1)
【化7】 (但し、式中Rは水素原子または炭素原子数1〜10
の炭化水素基、R、R 、R、R、Rは互いに
同一でも異なっていてもよい水素原子または炭素原子数
1〜10の炭化水素基、nは2以上の整数である。)で
示される片末端ラジカル重合性ポリシロキサン及び/ま
たは下記一般式(2)
【化8】 (但し、式中Rは水素原子または炭素原子数1〜10
の炭化水素基、R、R 、R10、R11、R12
互いに同一でも異なっていてもよい水素原子または炭素
原子数1〜10の炭化水素基、pは0〜10の整数、q
は2以上の整数である。)で示される片末端ラジカル重
合性ポリシロキサン 5〜40重量%、(C) アルコキ
シシリル基を有する単量体 5〜55重量%、(D)
水酸基を有する単量体 3〜30重量%、(E) 成分
(A)〜(D)とラジカル重合以外に反応しない官能基
を有する単量体 0〜85重量%、(但し、(A)〜
(E)はそれらの総和が100重量%となる値をとる)
を共重合してなる基体樹脂(a)及び該基体樹脂(a)
と架橋反応することが可能である硬化剤(b)を必須構
成成分として構成される被覆組成物を用いるという本発
明によって解決することが可能である。
【0012】また、本発明は上記被覆組成物を用いた被
覆物品に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の被覆組成物及び該
被覆組成物を用いた被覆物品について詳細に説明する。
本発明に用いられるウレタン結合を介してラジカル重合
性を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A)は、水酸基
を有するフッ素樹脂(A−1)とイソシアネート基を有
するラジカル重合性単量体(A−2)を反応させること
によって得られる。イソシアネート基を有するラジカル
重合性単量体(A−2)はジイソシアネート(A−2−
1)と水酸基を有するラジカル重合性単量体(A−2−
2)の反応物、メタクリロイルイソシアネート、2−イ
ソシアナトエチルメタクリレート、m−またはp−イソ
プロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート
から1種または2種以上を選択して用いられ、好ましく
はメタクリロイルイソシアネート、2−イソシアナトエ
チルメタクリレート、m−またはp−イソプロペニル−
α,α−ジメチルベンジルイソシアネートの1種または
2種以上が用いられる。
【0014】前記ジイソシアネート(A−2−1)は、
例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロン
ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリ
レンジイソシアネート、1,3−ビス(ジイソシアナト
メチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(α,α−ジメ
チルイソシアナトメチル)ベンゼン、4,4’−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン
−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられ、単独又は
2種類以上を混合して用いることができる。また、前記
水酸基を有するラジカル重合性単量体(A−2−2)
は、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒド
ロキシブチル(メタ)アクリレート、p−ヒドロキシス
チレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等が挙げられ、
同様に単独又は2種類以上を混合して用いることができ
る。
【0015】ジイソシアネート(A−2−1)と水酸基
を有するラジカル重合性単量体(A−2−2)の反応は
公知の方法によりモル比1/1にて実施することができ
る。
【0016】前記水酸基を有するフッ素樹脂(A−1)
の水酸基価は5〜250とすることが好ましく、10〜
200とすることがより好ましく、20〜150とする
ことが更に好ましい。水酸基価が5未満であると、イソ
シアネート基を有するラジカル重合性単量体(A−2)
の導入量が著しく少なくなるためにグラフト化が十分に
進行せず反応混合物が濁る傾向にある。また、結果的に
基体樹脂(a)の水酸基価が小さくなるために落書き除
去機能が低下する。一方、水酸基価が250を越えると
後述の片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B)との
相溶性が悪化して相分離を起こし、グラフト共重合自体
が進行しなくなる場合がある。また、後述する硬化剤
(b)の添加量が必然的に増えるため被覆物の親水部
(ウレタン結合による架橋部)が増加して表面エネルギ
ーが大きくなり、結果的に着氷雪防止機能及び貼り紙防
止機能が低下するため好ましくない。
【0017】このような水酸基を有するフッ素樹脂(A
−1)は公知の方法で調製することができるが、市販品
を用いることもできる。市販品としては、ルミフロン
(登録商標)LF−100、LF−200、LF−30
2、LF−400、LF−554、LF−600、LF
−986N(旭硝子社製)、セフラルコート(登録商
標)PX−40、A606X、A202B、CF−80
3(セントラル硝子社製)、ザフロン(登録商標)FC
−110、FC−220、FC−250、FC−27
5、FC−310、FC−575、XFC−973(東
亞合成社製)、ゼッフル(登録商標)GK−510(ダ
イキン工業社製)、フルオネート(登録商標)K−70
0、K−702、K−703、K−704、K−705
(大日本インキ化学工業社製)等が挙げられる。
【0018】これらの水酸基を有するフッ素樹脂(A−
1)は、単独で使用してもよく、又は2種類以上混合し
て使用しても良い。
【0019】イソシアネート基を有するラジカル重合性
単量体(A−2)は、水酸基を有するフッ素樹脂(A−
1)の水酸基1当量あたり0.001モル以上0.1モ
ル未満の量を反応させる。好ましくは水酸基を有するフ
ッ素樹脂(A−1)の水酸基1当量あたり0.01モル
以上0.08モル未満である。このイソシアネート基を
有するラジカル重合性単量体(A−2)が0.001モ
ル未満であるとグラフト共重合が困難となり、反応混合
物が濁るおそれがある。また、0.1モル以上であると
グラフト共重合の際にゲル化が起こりやすくなり好まし
くない。
【0020】また、水酸基を有するフッ素樹脂(A−
1)とイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体
(A−2)の反応は、無触媒下あるいは触媒存在下で、
室温〜80℃で行えばよい。
【0021】本発明に用いられる片末端ラジカル重合性
ポリシロキサン(B)は一般式(1)
【化9】 〔式中のRは水素原子または炭素原子数1〜10の炭
化水素基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基、
シクロヘキシル基が挙げられ、好ましくは水素原子、メ
チル基である。また式中のR、R、R、R、R
は互いに同一でも異なっていてもよい水素原子または
炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、例えばメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基、フェニル基、シクロヘキシル基が挙げられ、
好ましくはR、R、R、Rについてはメチル
基、フェニル基、Rについてはメチル基、ブチル基、
フェニル基である。また式中のnは2以上の整数であ
り、好ましくは10以上の整数、より好ましくは30以
上の整数である。〕で、及び/または、一般式(2)
【化10】 〔式中のRは水素原子または炭素原子数1〜10の炭
化水素基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基、
シクロヘキシル基が挙げられ、好ましくは水素原子、メ
チル基である。また式中のR、R、R10
11、R12は互いに同一でも異なっていてもよい水
素原子または炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、
例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペ
ンチル基、ヘキシル基、フェニル基、シクロヘキシル基
が挙げられ、好ましくはR、R、R10、R11
ついてはメチル基、フェニル基、R12についてはメチ
ル基、ブチル基、フェニル基である。また式中のpは0
〜10の整数であり、好ましくは3である。また、式中
のqは2以上の整数であり、好ましくは10以上の整
数、より好ましくは30以上の整数である。〕で示され
る。
【0022】このような片末端ラジカル重合性ポリシロ
キサン(B)は公知の方法にて調製することができる
が、市販品を用いることもでき、市販品の例としては、
サイラプレーン(登録商標)FM−0711(数平均分
子量1,000;チッソ社製)、サイラプレーン(登録
商標)FM−0721(数平均分子量5,000;チッ
ソ社製)、サイラプレーン(登録商標)FM−0725
(数平均分子量10,000;チッソ社製)、X−22
−174DX(数平均分子量4,600;信越化学工業
社製)等が挙げられる。
【0023】これらの片末端ラジカル重合性ポリシロキ
サン(B)は、単独でも又は2種類以上混合して使用し
ても良い。
【0024】これらの片末端ラジカル重合性ポリシロキ
サン(B)は基体樹脂全量に対して5〜40重量%の範
囲で用いられ、好ましくは10〜30重量%の範囲であ
る。5重量%未満とすると、初期の落書き除去機能が不
十分及び/又は落書き除去機能の維持性が悪化し、初期
の着氷雪防止機能が不十分及び/又は着氷雪防止機能の
維持性が悪化し、又は初期の貼り紙防止機能が不十分及
び/又は貼り紙防止機能の維持性が悪化し、40重量%
を越えると被覆組成物の単位体積あたりの架橋密度が低
下するためにラッカースプレー、フェルトペン等のラッ
カーやインキのしみ込みが起こりやすくなり、結果的に
初期の落書き除去機能が不十分となり、また被覆の強度
が低下して着氷雪防止機能の維持性が不十分となり、ま
た貼り紙防止機能の維持性が不十分となる。
【0025】本発明に用いられるアルコキシシリル基を
有する単量体(C)はジアルコキシアルキル基又はトリ
アルコキシシリル基とラジカル重合性二重結合を有する
ものであれば特に制限なく用いられ、例えば、γ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリ
ロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキ
シプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキ
シシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス
(β−メトキシエトキシ)シラン、グリシジル(メタ)
アクリレートや3,4−エポキシシクロヘキシルメチル
(メタ)アクリレートとγ−アミノプロピルトリメトキ
シシランやγ−アミノプロピルトリエトキシシランのモ
ル比1/1反応物、グリシジル(メタ)アクリレートや
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリ
レートとγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランや
γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランのモル比1
/1反応物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
トや2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとγ
−イソシアナトプロピルトリメトキシシランのモル比1
/1反応物等が挙げられる。中でも、共重合性の観点か
ら、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−
メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好
ましく、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランが
特に好ましい。
【0026】これらのアルコキシシリル基を有する単量
体(C)は、単独で使用しても又は2種類以上混合して
使用しても良い。
【0027】これらのアルコキシシリル基を有する単量
体(C)は、基体樹脂(a)全量に対して5〜55重量
%の範囲で用いられ、好ましくは10〜50重量%、更
に好ましくは15〜40重量%である。5重量%未満と
すると被覆組成物の架橋密度が上がらなくなるため、初
期の落書き除去機能が低下し、又は被覆の強度に問題が
生じ結果的に着氷雪防止機能と貼り紙防止機能の維持性
が低下する。また、55重量%を越えると架橋密度が上
がりすぎ被覆が脆くなったり、後述する成分(E)の導
入量が少なくなるため基体樹脂(a)のガラス転移温度
(Tg)調整が困難となり結果的に落書き除去機能が低
下することがある。
【0028】本発明に用いられる水酸基を有する単量体
(D)は水酸基とラジカル重合性二重結合を有するもの
であれば特に制限なく用いられ、例えば、p−ヒドロキ
シスチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、2−ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)
アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ
ート、ジ−2−ヒドロキシエチルフマレートをはじめ、
ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、またはこれらのε−カプ
ロラクトン付加物、プラクセル(登録商標)FM乃至は
FAシリーズ(ダイセル化学社製;カプロラクトン付加
単量体)のごとき各種のα,β−エチレン性不飽和カル
ボン酸のヒドロキシアルキルエステル類、(メタ)アク
リル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン
酸、シトラコン酸のごときα,β−エチレン性不飽和カ
ルボン酸とε−カプロラクトンとの付加物、またはこれ
らのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸とブチルグリ
シジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、カージ
ュラ(登録商標)E(シェル化学社製)のごときエポキシ
化合物との付加物等が挙げられる。中でも、主として重
合体のTg調整という観点から2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレー
ト、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ま
しく用いられる。
【0029】これらの水酸基を有する単量体(D)は、
単独で使用しても又は2種類以上混合して使用しても良
い。
【0030】落書き除去機能に関しては、この水酸基を
有する単量体(D)は基体樹脂(a)全量に対して15
〜50重量%の範囲で用いられ、好ましくは20〜30
重量%の範囲である。着氷雪防止機能と貼り紙防止機能
に関しては、この水酸基を有する単量体(D)は基体樹
脂(a)全量に対して3〜30重量%の範囲で用いら
れ、好ましくは5〜15重量%の範囲である。水酸基を
有する単量体(D)を3%未満とすると被覆組成物の架
橋密度が上がらず被覆の強度や耐溶剤性が低下する。落
書き除去機能には、15%未満でも被覆組成物の架橋密
度が不十分なため初期の落書き除去機能が低下する。一
方30重量%を越えると、後述する硬化剤(b)の添加
量が必然的に増えるため被覆単位体積あたりの親水部
(ウレタン結合による架橋部)が増加し、着氷雪防止機
能又は貼り紙防止機能が低下するため好ましくない。ま
た、50重量%を越えると架橋密度が上がりすぎ被覆が
脆くなったり、基体樹脂(a)が分子ミセルを形成して
濁ってしまい、被覆外観が低下することがある。
【0031】本発明における成分(A)〜(D)とラジ
カル重合以外に反応しない官能基を有する単量体(E)
は、ラジカル重合するときの反応温度、反応条件におい
て成分(A)〜(D)と反応しないものが選ばれ、例え
ば、スチレン、p−メチルスチレン、p−クロロメチル
スチレン、ビニルトルエン等のスチレン類、メチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−
プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)
アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−
ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メ
タ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレー
ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチル
ヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アク
リレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボル
ニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アク
リレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル
(メタ)アクリレート等の炭化水素基をもつ(メタ)ア
クリレート類、これらの水素原子をフッ素、塩素、臭素
原子等で置換した(メタ)アクリレート類、酢酸ビニ
ル、安息香酸ビニル、ベオバ(登録商標)(シェル化学
社製;分岐状モノカルボン酸のビニルエステル)等のビ
ニルエステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル等のアクリロニトリル類、エチルビニルエーテル、n
−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、
シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、
これらの水素原子をフッ素、塩素、臭素原子等で置換し
たビニルエーテル類、(メタ)アクリルアミド、ジメチ
ル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド
等のアクリルアミド類、これらの水素原子をフッ素、塩
素、臭素原子等で置換したアクリルアミド類、グリシジ
ル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキ
シルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシビ
ニルシクロヘキサン等のエポキシ基含有ビニル化合物
類、エチレン、プロピレン等のオレフィン類、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、テト
ラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン等の
ハロゲン化オレフィン類、その他マレイミド、ビニルス
ルホン等が挙げられ、これらは適宜組み合わせて複数が
用いられるが、主として共重合性の観点から(メタ)ア
クリレート類が好ましく用いられる。
【0032】一方、成分(E)として好ましくないもの
としては、ビニルピリジン、N,N−ジメチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)
アクリルアミド、4−(N,N−ジメチルアミノ)スチ
レン、N−{2−(メタ)アクリロイルオキシエチル}
ピペリジン等の塩基性窒素含有ビニル化合物類、(メ
タ)アクリル酸、アンゲリカ酸、クロトン酸、マレイン
酸、4−ビニル安息香酸、p−ビニルベンゼンスルホン
酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン
酸、モノ{2−(メタ)アクリロイルオキシエチル}ア
シッドホスフェート等の酸性ビニル化合物類が挙げられ
る。上記塩基性窒素含有ビニル化合物類及び酸性ビニル
化合物類はアルコキシシリル基を有する単量体(C)の
アルコキシシリル基を解離、縮合させる触媒の働きをな
すので、重合中あるいは基体樹脂(a)を長期保存する
ときに増粘、ゲル化する場合がある。
【0033】落書き除去機能に関しては、上記成分
(E)は、最終的な基体樹脂(a)のTgが40℃以上
となるように組み合わせて用いるのが好ましい。最終的
な基体樹脂(a)のTgが40℃未満の場合には該被覆
組成物が硬化した後の被覆のTgがあまり上がらないた
め、特に夏季、被覆物が直射日光等によって高温にさら
された場合の落書き除去機能が低下する場合がある。落
書き除去機能に関しては、これら成分(E)は、全量に
対し0〜73重量%の範囲で用いられる。73重量%を
越えると他の成分、特に架橋密度を上げるための成分
(C)、(D)の導入量が低下するため落書き除去機能
あるいはその維持性が不十分となる。着氷雪防止機能又
は貼り紙防止機能に関しては、上記成分(E)は、全量
に対し0〜85重量%の範囲で用いられる。85重量%
を越えると他の成分(B)〜(D)の導入量が低下する
ことになる。成分(B)の導入量が低下した場合にはそ
れらの機能あるいはその維持性が不十分となり、成分
(C)及び/又は(D)の導入量が低下した場合には被
覆物の強度が低下する。ここで、0重量%とは、成分
(E)が存在しないことを意味する。
【0034】本発明における成分(A)と(B)〜
(D)の比率[(A)/((B)+(C)+(D));
以下ベースグラフト比と略]は70/30〜2/98の
範囲が選ばれる。ベースグラフト比が70/30を越え
て成分(A)の比率が多い場合は成分(B)〜(D)の
導入量が少なくなるため、被覆の光沢が低下し、また、
落書き除去機能、着氷雪防止機能、及び貼り紙防止機能
が低下する。また、ベースグラフト比が2/98より小
さく成分(B)+(C)+(D)の比率が多い場合には
被覆の耐候性及び接触角維持性が低下し、また、落書き
除去機能、着氷雪防止機能及び貼り紙防止機能の維持性
が低下する。
【0035】以上に挙げられたような単量体類を用いて
基体樹脂(a)を調製するには公知慣用の重合方法のう
ち、溶液ラジカル重合法または非水分散ラジカル重合法
によるのが最も簡便であり、特に推奨される。
【0036】重合の際に用いられる溶剤としては例え
ば、トルエン、キシレン、ソルベッソ(登録商標)100
(エッソ石油社製)等の芳香族炭化水素類、n−ヘキサ
ン、シクロヘキサン、オクタン、ミネラルスピリット、
ケロシン等の脂肪族、脂環族炭化水素類、酢酸エチル、
酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル,ブチルセロソルブア
セテート等のエステル類、メタノール、エタノール、n
−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、
i−ブタノール等のアルコール類、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、エチルセロソルブ、ブチル
セロソルブ等のグリコールまたはグリコールエーテル類
が挙げられ、単独または2種類以上を併用して用いるこ
とができる。
【0037】重合はアゾ系または過酸化物のような公知
慣用の種々のラジカル重合開始剤を用いて常法により実
施できる。
【0038】重合時間は特に制限されないが、通常工業
的には1〜48時間の範囲が選ばれる。また、重合温度
は通常30〜150℃、好ましくは60〜120℃であ
る。
【0039】重合時、更に必要に応じて副反応を起こさ
なければ、公知慣用の連鎖移動剤、例えばブチルメルカ
プタン、ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダ
イマー等を添加することもできる。
【0040】本発明における基体樹脂(a)は、概ね重
量平均分子量がポリスチレン換算のGPC(ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー)により5,000〜
2,000,000なる範囲が適切である。5,000
未満とすると造膜性、被覆物の耐候性、及び耐薬品性が
悪化するために結果的に落書き除去機能の維持性、着氷
雪防止機能の維持性又は貼り紙防止機能の維持性が低下
し、2,000,000を越えると重合時ゲル化の危険
があり好ましくない。
【0041】本発明の基体樹脂(a)と架橋反応するこ
とができる硬化剤(b)は基体樹脂(a)の水酸基と反
応できる硬化剤が適宜選ばれ、一般にアクリル硬化型塗
料の硬化剤として知られているものを使用することがで
きる。このような硬化剤としては、例えば、アニリンア
ルデヒド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリイソシア
ネート、ブロック化ポリイソシアネート等が挙げられ
る。被塗物が鋼板、れんが、ブロック、看板、交通標
識、パラボラアンテナ(小型)等のプレコートが可能で
あるものであれば任意のものが使用可能であるが、一般
に、アフターコートとして既設の建築物外壁、電柱、橋
脚、看板、電話ボックス等の構造物に被覆する場合が多
いため、このような場合には常温で硬化が可能であるポ
リイソシアネートが選ばれる。このように、常温で硬化
する場合には、イソシアネート基を基体樹脂の水酸基価
の0.5〜1.5当量用い、好ましくは落書き除去機能
に関しては1〜1.4当量、着氷雪防止機能又は貼り紙
防止機能に関しては0.8〜1.2当量用いる。
【0042】また、本発明の被覆組成物は任意公知の塗
装方法が適用でき、その不揮発分は特に制限されるもの
ではなく、適宜選択されるが、通常10〜50重量%と
することが好ましい。
【0043】更に、本発明の被覆組成物は必要に応じて
本発明の趣旨を損なわない範囲で他の樹脂、例えば、フ
ッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッ
ド樹脂、シリコーン樹脂等を添加することもできる。本
発明の被覆組成物は必要に応じて本発明の趣旨を損なわ
ない範囲で各種添加剤、例えば界面活性剤、増量剤、着
色顔料、防錆顔料、フッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉
末、防錆剤、染料、ワックス等を添加することもでき
る。落書き除去機能に関しては、一般に、上記添加剤は
被覆単位体積あたりの架橋密度を低下させ、ラッカース
プレー、フェルトペン等のラッカーやインキがしみ込み
やすくなるので、必要最小限の量に留めるべきである。
【0044】また、本発明の「被覆物品」とは本発明の
被覆組成物を被覆したものであり、落書き除去機能が必
要とされる物、着氷雪防止機能が必要とされる物、又は
貼り紙防止機能が必要とされる物であれば特に制限され
ないが、建築物外壁及び屋根、門扉、電柱、橋脚、電
線、送電鉄塔、看板、交通標識、航空機、鉄道車輌、船
舶、電話ボックス等の屋外構造物等も含むものとし、一
般には、そのような屋外構造物に適用される場合も多い
と考えられる。
【0045】
【実施例】以下本発明を参考例、製造例、実施例により
説明するが、本発明は以下に示される例示例に何ら限定
されるものではない。以下の例示例において特に記載の
ない限り“部”は重量部を表すものとする。
【0046】以下の例示例において用いられた材料の市
販品名を次に示す。水酸基を有するフッ素樹脂(A−1) ・セフラルコート(商標)CF−803 (セントラル
硝子社製,水酸基価;60,数平均分子量;15,00
0)片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B) ・サイラプレーン(登録商標)FM−0721 (チッ
ソ社製,数平均分子量5,000)ラジカル重合開始剤 ・パーブチル(登録商標)O (t−ブチルパーオキシ
−2−エチルヘキサノエート;日本油脂社製)硬化剤;成分(b) ・コロネート(登録商標)HX (ヘキサメチレンジイ
ソシアネートのイソシアヌレート型ポリイソシアネー
ト;日本ポリウレタン社製)
【0047】また、実施例における試験項目を以下に示
す。被覆組成物硬化物の皮膜の外観 皮膜の異常を目視にて確認した。落書き除去性(初期) 被覆組成物硬化物の皮膜表面上に黒色のマジックインキ
(株式会社内田洋行の登録商標、寺西化学工業株式会社
製フェルトペン)で線を引き、室温で24時間乾燥後、
布で乾拭きし、マジックインキ(登録商標)の跡が全く
残らないものを ○、僅かに跡が残るものを△、はっきりと跡が残るもの
を×で表した。撥水性(初期、曝露後) 機器として協和界面科学社製CA−W型自動接触角計を
用い、被覆組成物を被覆した被覆板上に約5μlの脱イ
オン水を載せ、このときの接触角を測定した。載せる位
置を変えて6点測定し、最も小さい値と最も大きい値を
除いた4点で平均値を計算して四捨五入によって整数値
に丸めた。結果を図1と図2に示す。また、ATLAS
社製Ci4000サンシャインウェザオメーターを用
い、キセノンを光源としてISO11341;meth
od1屋外(塗料、ワニスの促進耐候性試験法)に従っ
て被覆板を曝露した。最大600時間まで、100時間
経過する毎に被覆板をとりだし、十分水分を取り除いた
後、上記同様に接触角測定を行った。結果を図1と図2
に併せて示す。落書き除去性(曝露後) 上記曝露条件で600時間曝露した被覆組成物硬化物の
表面に、マジックインキ(登録商標)黒で線を引いてマ
ジックインキ(登録商標)の溶剤が十分乾燥した(約2
時間)後、その表面を前記同様に乾拭きして評価した。耐溶剤性 被覆板上にキシレンを一滴のせてキシレンが揮発するま
で常温で放置し、塗膜の状態を目視で観察した。着氷防止性 被覆板を−20℃の冷凍庫中に入れ、一晩放置した。こ
の被覆板上にスポイトで50μlの水道水を、水滴がそ
れぞれ一滴となるように3個載せ、更に2時間−20℃
に保って氷結させた。被覆板を水平に保ったまま、被覆
板を手で軽くたたくだけで氷が落ちた場合を○、氷に手
で触れることによって落ちた場合を△、氷が除去できな
いもの、あるいは氷が破壊して表面に氷の一部が残存す
るものを×として評価した。測定は上記サンシャインウ
ェザオメーター100時間曝露する毎に行った。結果を
表4に示す。貼り紙防止性1 被覆板を23℃、相対湿度50%の恒温室中に入れ、一
晩放置し状態調節した。この被覆板に、裏面に水性糊
(トンボ鉛筆社製;アクアピット(登録商標))を全面
に塗布した紙(30×50mm)を貼り付け、被覆板を
垂直に保った。糊の乾燥につれて自動的にはがれたもの
を○、はがれなかったものを×で評価した。評価は、上
記サンシャインウェザオメーター0時間(照射前)と6
00時間経過したものについて行った。結果を表5に示
す。貼り紙防止性2 上記同様に状態調節した被覆板に、布ガムテープ(積水
化学工業社製;布テープNo.600)を貼り付けて手
ではがし、はがれたものを○、被覆表面に糊が残った
り、被覆が破損した場合を×で評価した。評価は、上記
サンシャインウェザオメーター0時間(照射前)と60
0時間経過したものについて行った。結果を表5に示
す。
【0048】
【参考例1】ウレタン結合を介してラジカル重合性を有
するフッ素樹脂(A)の合成例 機械式撹拌装置、温度計、コンデンサー、乾燥窒素ガス
導入口を備えたガラス製反応器に、セフラルコートCF
−803 1,554部、キシレン 233部、2−イ
ソシアナトエチルメタクリレート 6.3部を入れ、乾
燥窒素雰囲気下80℃に加熱した。80℃で2時間反応
し、サンプリング物の赤外吸収スペクトルによりイソシ
アネートの吸収が消失したことを確認した後、反応混合
物を取り出し、不揮発分50%の成分(A)を得た。
【0049】
【製造例<表1>1】落書き防止被覆組成物用基体樹脂
(a)の合成例<表1>1 機械式撹拌装置、温度計、コンデンサー、乾燥窒素ガス
導入口を備えたガラス製反応器に、参考例1で合成した
成分(A) 40部、酢酸n−ブチル 80部を入れ、
窒素雰囲気中で90℃まで加熱した後、予め混合したメ
チルメタクリレート 20部、2−エチルヘキシルメタ
クリレート 7部、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト 23部、FM−0721 10部,γ−メタクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン 20部、パーブチル
O 2部、キシレン 22部の混合物を同温度で2時間
かけて滴下した。2時間同温度で保持した後パーブチル
O1部を追加し、更に90℃で5時間保持することによ
って、不揮発分が45%、重量平均分子量が58,00
0である目的とする基体樹脂(a)の溶液を得た。
【製造例<表2>1】着氷雪防止被覆組成物及び貼紙防
止被覆組成物用基体樹脂(a)の合成例<表2>1 機械式撹拌装置、温度計、コンデンサー、乾燥窒素ガス
導入口を備えたガラス製反応器に、参考例1で合成した
成分(A) 60部、酢酸n−ブチル 90部を入れ、
窒素雰囲気中で90℃まで加熱した後、予め混合したメ
チルメタクリレート 15部、2−エチルヘキシルメタ
クリレート 10部、2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート 10部、FM−0721 15部,γ−メタクリ
ロキシプロピルトリメトキシシラン 20部、パーブチ
ルO 2部、キシレン 30部の混合物を同温度で2時
間かけて滴下した。2時間同温度で保持した後パーブチ
ルO 1部を追加し、更に90℃で5時間保持すること
によって、不揮発分が40%、重量平均分子量が96,
000である目的とする基体樹脂(a)の溶液を得た。
【0050】
【製造例<表1>2〜10】落書き防止被覆組成物用基
体樹脂(a)又はその比較用基体樹脂の合成例<表1>
2〜10 各成分の仕込量を表1に示したように変更した以外は、
製造例<表1>1と同様に操作して表1の基体樹脂
(a)又はその比較用基体樹脂の溶液を得た。これらの
うち、製造例<表1>2及び<表1>3は本発明の請求
項の基体樹脂(a)に合致した例である。また、製造例
4は成分(A)が入っていない場合、製造例<表1>5
及び<表1>6は成分(B)が基体樹脂全体のそれぞれ
3重量%、45重量%の場合、製造例<表1>7及び<
表1>8は成分(C)が基体樹脂全体のそれぞれ3重量
%、60重量%の場合、製造例<表1>9及び<表1>
10は成分(D)が基体樹脂全体のそれぞれ10重量
%、55重量%の例であって、いずれも本発明の請求項
で定義される基体樹脂(a)には該当しない例である。
【製造例<表2>2〜10】着氷雪防止被覆組成物及び
貼紙防止被覆組成物用基体樹脂(a)又はその比較用基
体樹脂の合成例<表2>2〜10 各成分の仕込量を表2に示したように変更した以外は、
製造例<表2>1と同様に操作して表2の基体樹脂
(a)又はその比較用基体樹脂の溶液を得た。これらの
うち、製造例<表2>2及び<表2>3は本発明の請求
項の基体樹脂(a)に合致した例である。また、製造例
<表2>4は成分(A)が入っていない場合、製造例<
表2>5及び<表2>6は成分(B)が基体樹脂(a)
全体のそれぞれ3重量%、55重量%の場合、製造例<
表2>7及び<表2>8は成分(D)が基体樹脂(a)
全体のそれぞれ0重量%、40重量%の場合、製造例<
表2>9及び<表2>10は成分(C)が基体樹脂
(a)全体のそれぞれ3重量%、60重量%の例であっ
て、いずれも本発明の請求項で定義される基体樹脂
(a)には該当しない例である。
【0051】
【表1】
【表2】
【0052】
【実施例<表3>1】予め紙ヤスリで研磨した冷間圧延
鋼板(50×150mm)上に、2液型フッ素樹脂塗料
である大日本塗料社製Vフロン(登録商標)#100
(白色)を、バーコーター#75を用いて、乾燥膜厚約
50μmとなるよう塗装し、24時間養生し白色塗膜を
形成した。製造例<表1>1で得られた基体樹脂(a)
に該樹脂の水酸基当量に対して1.2倍当量のコロネー
ト(登録商標)HXを加え、更に塗料中の不揮発分が3
5重量%になるように酢酸n−ブチルで希釈して、被覆
組成物を調製し、上記白色塗膜上に塗装した。これを2
3℃、相対湿度50%下で7日間養生して被覆板を得
た。前述の各種試験を行い、結果を表3及び図1に示
す。この被覆の落書き除去性は○、接触角は102°と
良好で、かつ曝露後の落書き除去性、接触角の維持性も
良好な結果を示した。
【実施例<表4>1】予め紙ヤスリで研磨した冷間圧延
鋼板(50×150mm)上に、2液型フッ素樹脂塗料
である大日本塗料社製Vフロン(登録商標)#100
(白色)を、バーコーター#75を用いて、乾燥膜厚約
50μmとなるよう塗装し、24時間養生し白色塗膜を
形成した。製造例<表2>1で得られた基体樹脂(a)
に該樹脂の水酸基当量に対して1.0当量のコロネート
(登録商標)HXを加え、更に塗料中の不揮発分が35
重量%になるように酢酸n−ブチルで希釈して、被覆組
成物を調製し、上記白色塗膜上に塗装した。これを23
℃、相対湿度50%下で7日間養生して被覆板を得た。
前述の各種試験を行い、結果を表4及び図2に示す。こ
の被覆は全ての試験項目において良好な結果を示した。
【実施例<表5>1】予め紙ヤスリで研磨した冷間圧延
鋼板(50×150mm)上に、2液型フッ素樹脂塗料
である大日本塗料社製Vフロン(登録商標)#100
(白色)を、バーコーター#75を用いて、乾燥膜厚約
50μmとなるよう塗装し、24時間養生し白色塗膜を
形成した。製造例<表2>1で得られた基体樹脂(a)
に該樹脂の水酸基当量に対して1.0当量のコロネート
(登録商標)HXを加え、更に塗料中の不揮発分が35
重量%になるように酢酸n−ブチルで希釈して、被覆組
成物を調製し、上記白色塗膜上に塗装した。これを23
℃、相対湿度50%下で7日間養生して被覆板を得た。
前述の各種試験を行い、結果を表5及び図2に示す。こ
の被覆は全ての試験項目において良好な結果を示した。
【0053】
【実施例<表3>2、<表3>3、比較例<表3>1〜
<表3>7】実施例<表3>1で用いた基体樹脂(a)
に代えて製造例<表1>2〜<表1>10で得られた基
体樹脂(a)又は比較用基体樹脂を用い、実施例<表3
>1と同様にして被覆板を作製した。結果を表3に示
す。実施例<表3>2および<表3>3においては全て
の評価項目において良好なる結果を示した。しかし、比
較例<表3>1、<表3>2においては初期の落書き除
去性は良好なるものの、曝露後の落書き除去性維持性に
難点がみられた。また、接触角も曝露によって大きく低
下した。比較例3において被覆表面に未反応残存モノマ
ーのブリードがみられ、べたつく上に、被覆の単位体積
あたりの架橋密度が低下するため初期より落書きのしみ
込みがみられた。同様に比較例<表3>4、<表3>6
でも初期より落書きのしみ込みがみられた。比較例<表
3>5、<表3>7では基体樹脂(a)がミセルを形成
して濁ってしまい、このため被覆外観も濁り外観不良を
呈した。なお、図1に実施例<表3>1、実施例<表3
>2、実施例<表3>3、比較例<表3>1、比較例<
表3>2(図中では単に実施例1、実施例2、実施例
3、比較例1、比較例2と記載)の被覆組成物硬化物表
面の前記「撥水性(初期、曝露後)」試験結果を示す。
【0054】
【表3】
【実施例<表4>2、<表4>3、比較例<表4>1〜
<表4>7】実施例<表4>1で用いた基体樹脂(a)
に代えて製造例<表2>2〜<表2>10で得られた基
体樹脂(a)又は比較用基体樹脂を用い、実施例<表4
>1と同様にして被覆板を作製した。結果を表4に示
す。実施例<表4>2および<表4>3においては全て
の評価項目において良好なる結果を示した。しかし、比
較例<表4>1、<表4>2においては着氷防止性は良
好なるものの、曝露後の着氷防止性に難点がみられた。
また、接触角も曝露によって大きく低下した。比較例<
表4>3において被覆表面に未反応残存モノマーのブリ
ードがみられ、べたついていた。比較例<表4>4、<
表4>6は被覆の耐溶剤性に難点があった。比較例<表
4>5、<表4>7では基体樹脂(a)がミセルを形成
して濁ってしまい、このため被覆外観も濁り外観不良を
呈した。なお、図2に実施例<表4>1、実施例<表4
>2、実施例<表4>3、比較例<表4>1、比較例<
表4>2(図中では単に実施例1、実施例2、実施例
3、比較例1、比較例2と記載)の被覆組成物硬化物表
面の前記「撥水性(初期、曝露後)」試験結果を示す。
【0055】
【表4】
【実施例<表5>2、<表5>3、比較例<表5>1〜
<表5>7】実施例<表4>1で用いた基体樹脂(a)
に代えて製造例<表2>2〜<表2>10で得られた基
体樹脂(a)又は比較用基体樹脂を用い、実施例<表4
>1と同様にして被覆板を作製し、更に貼紙防止性の試
験をした。結果を表5に示す(外観と耐溶剤性は表4と
重複)。実施例<表5>2および<表5>3においては
全ての評価項目において良好なる結果を示した。しか
し、比較例<表5>1、<表5>2においては初期の貼
り紙防止性1,2とも良好であったが、曝露後の貼り紙
防止性に難点がみられた。また、接触角も曝露によって
大きく低下した。比較例<表5>3において被覆表面に
未反応残存モノマーのブリードがみられ、初期の貼り紙
防止性2で被覆が破損した。比較例<表5>4、<表5
>6は被覆の耐溶剤性に難点があり、また、初期の貼り
紙防止性2で被覆が破損した。比較例<表5>5、<表
5>7では、基体樹脂(a)がミセルを形成して濁って
しまい、このため被覆外観も濁り外観不良を呈し、ま
た、曝露後の貼り紙防止性1,2とも良好でなかった。
【表5】
【0056】表6は図1の接触角の値を参考までに表に
したものである。表7は図2の接触角の値を参考までに
表にしたものである。
【表6】
【表7】
【0057】以上のデータより、本発明の被覆組成物を
用いることによって得られる被覆物品は、表面に優れた
落書き除去性、接触角維持性を与えることが可能であ
り、表面に優れた着氷雪防止性を与えることが可能であ
り、また表面に優れた貼り紙防止性を与えることが可能
であるのは明らかである。
【0058】
【発明の効果】本発明の被覆用の組成物及び該組成物を
用いた被覆物品は、被覆したときに落書き除去機能を付
与でき、その機能の維持性が良好であることから、各種
基材の表面処理に適用することができる。具体的には、
自動車、鉄道車輌、その他の車輌、建築物(住宅、ビ
ル)等屋外構造物の外板及び外壁、門扉、橋脚、あるい
は洗濯機、冷蔵庫等電気機器の外板、また道路標識、カ
ーブミラー等に適用され、耐汚染性、落書き除去に有効
である。本発明の被覆組成物及び該組成物を用いた被覆
物品は、被覆したときに着氷雪防止機能を付与でき、そ
の機能の維持性が良好であることから、各種基材の表面
処理に適用することができる。具体的には、自動車、鉄
道車輌、船舶、その他の車輌、建築物(住宅、ビル、鉄
塔、門扉)等屋外構造物の外板、外壁及び屋根、熱交換
器、エアコンディショナーの放熱フィン、道路標識、看
板、案内板、カーブミラー、パラボラアンテナ等に適用
され、着氷雪防止に有効である。本発明の被覆組成物及
び該組成物を用いた被覆物品は、被覆したときに貼り紙
防止機能を付与でき、その機能の維持性が良好であるこ
とから、各種基材の表面処理に適用することができる。
具体的には、建築物外壁、電柱、橋脚、看板、電話ボッ
クス等に適用され、貼り紙防止に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、脱イオン水の接触角により示される
本発明の実施例<表3>1被覆組成物硬化物の表面の撥
水性の、耐候試験条件下における経時的変化を、比較例
の硬化物表面と比較したグラフである。
【図2】 図2は、脱イオン水の接触角により示される
本発明の実施例<表4>1又は実施例<表5>1被覆組
成物硬化物の表面の撥水性の、耐候試験条件下における
経時的変化を、比較例の硬化物表面と比較したグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 俊彦 埼玉県入間郡三芳町竹間沢253番地の2 富士化成工業株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4J038 CD091 DG181 DG191 DG271 DG281 DL111 DL121 FA11 FA21 FA23 GA01 GA03 GA15 PB05

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ウレタン結合を介してラジカル重合
    性不飽和結合を有するフッ素樹脂2〜70重量%、
    (B)下記一般式(1) 【化1】 (但し、式中Rは水素原子または炭素原子数1〜10
    の炭化水素基、R、R 、R、R、Rは互いに
    同一でも異なっていてもよい水素原子または炭素原子数
    1〜10の炭化水素基、nは2以上の整数である。)で
    示される片末端ラジカル重合性ポリシロキサン及び/ま
    たは下記一般式(2) 【化2】 (但し、式中Rは水素原子または炭素原子数1〜10
    の炭化水素基、R、R 、R10、R11、R12
    互いに同一でも異なっていてもよい水素原子または炭素
    原子数1〜10の炭化水素基、pは0〜10の整数、q
    は2以上の整数である。)で示される片末端ラジカル重
    合性ポリシロキサン5〜40重量%、(C) アルコキ
    シシリル基を有する単量体 5〜55重量%、(D)
    水酸基を有する単量体 15〜50重量%、(E) 成
    分(A)〜(D)とラジカル重合以外に反応しない官能
    基を有する単量体0〜73重量%、(但し、(A)〜
    (E)はそれらの総和が100重量%となる値をとる)
    を共重合してなる基体樹脂(a)、及び該基体樹脂
    (a)と架橋反応することが可能である硬化剤(b)を
    含有してなる被覆組成物。
  2. 【請求項2】ウレタン結合を介してラジカル重合性を有
    するフッ素樹脂(A)が、水酸基を有するフッ素樹脂
    (A−1)とイソシアネート基を有するラジカル重合性
    単量体(A−2)との反応物である、請求項1に記載の
    被覆組成物。
  3. 【請求項3】基体樹脂(a)と架橋反応することが可能
    である硬化剤(b)が、ポリイソシアネートであること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の被覆組成物。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか一に記載の被覆組
    成物で被覆し該組成物を硬化させることにより得られる
    物品。
  5. 【請求項5】(A) ウレタン結合を介してラジカル重
    合性不飽和結合を有するフッ素樹脂2〜70重量%、
    (B)下記一般式(1) 【化3】 (但し、式中Rは水素原子または炭素原子数1〜10
    の炭化水素基、R、R 、R、R、Rは互いに
    同一でも異なっていてもよい水素原子または炭素原子数
    1〜10の炭化水素基、nは2以上の整数である。)で
    示される片末端ラジカル重合性ポリシロキサン及び/ま
    たは下記一般式(2) 【化4】 (但し、式中Rは水素原子または炭素原子数1〜10
    の炭化水素基、R、R 、R10、R11、R12
    互いに同一でも異なっていてもよい水素原子または炭素
    原子数1〜10の炭化水素基、pは0〜10の整数、q
    は2以上の整数である。)で示される片末端ラジカル重
    合性ポリシロキサン 5〜40重量%、(C) アルコキ
    シシリル基を有する単量体 5〜55重量%、(D)
    水酸基を有する単量体 3〜30重量%、(E) 成分
    (A)〜(D)とラジカル重合以外に反応しない官能基
    を有する単量体 0〜85重量%、(但し、(A)〜
    (E)はそれらの総和が100重量%となる値をとる)
    を共重合してなる基体樹脂(a)、及び該基体樹脂
    (a)と架橋反応することが可能である硬化剤(b)を
    含有してなる被覆組成物。
  6. 【請求項6】ウレタン結合を介してラジカル重合性を有
    するフッ素樹脂(A)が、水酸基を有するフッ素樹脂
    (A−1)とイソシアネート基を有するラジカル重合性
    単量体(A−2)との反応物である、請求項5に記載の
    被覆組成物。
  7. 【請求項7】基体樹脂(a)と架橋反応することが可能
    である硬化剤(b)が、ポリイソシアネートであること
    を特徴とする請求項5又は6に記載の被覆組成物。
  8. 【請求項8】請求項5〜8のいずれか一に記載の被覆組
    成物で被覆し該組成物を硬化させることにより得られる
    物品。
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