JP3830674B2 - グラフト共重合体及び塗料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グラフト共重合体の製造方法及びその製造方法によって得られるグラフト共重合体を含有する塗料に関する。本発明によるグラフト共重合体の製造方法及びその製造方法によって得られるグラフト共重合体を含有する塗料は、優れた水滴滑り性、撥水性、及び防汚性を同時に付与することができる。
【0002】
【従来の技術】
近年、特に高層建築物や車輌の外装面等において美観を保つためや清掃作業の省力化等の観点から、塗膜のメインテナンスフリーが求められ、それを実現するために、高耐候性及び防汚性を有する塗料が熱望されている。高耐候性及び防汚性を有する塗料を得るためには、高耐候性及び防汚性等の機能を有する樹脂が必要である。一般に、これらの機能を有する樹脂としては、有機溶剤可溶性フッ素樹脂が用いられている。この有機溶剤可溶性フッ素樹脂は、硬化剤と組み合わせて用いられ、従前のアクリル樹脂系塗料に比べ耐候性及び撥水性については格段に優れているが、塗膜としたときの光沢や防汚性については問題があった。
【0003】
塗膜としたときの光沢を改良するものとして、例えば、特開平7−247324号公報には、有機溶剤可溶性有機溶剤可溶性フッ素樹脂の存在下にラジカル重合性単量体を重合し、グラフト共重合体を得る方法が記載されている。しかし、上記共重合体は耐候性は良好であるものの、防汚性については不十分なものである。また、上記公報記載の方法によると、有機溶剤可溶性フッ素樹脂に何ら変性が加えられていないため、グラフト反応の効率が非常に低く、往々にして反応混合物が濁り、経時的に二層分離するという問題点があった。
【0004】
また、特公昭59−46964号公報には、耐候性に優れ、かつ顔料分散性の良好なグラフト共重合体の製造法として、有機溶剤可溶性フッ素樹脂にα,β−不飽和カルボン酸(例えば、無水マレイン酸)を反応させ、残余の二重結合の存在下にラジカル重合性単量体を重合する方法が記載されている。しかし、前記公報記載の方法で得られた共重合体も防汚性については依然不十分なものである。また、無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸を反応させた有機溶剤可溶性フッ素樹脂はラジカル重合性が良好とはいえず、グラフト効率が低くなってしまうために、前記のグラフト共重合体同様に往々にして反応混合物に濁りが生じる。従って、より撥水性及び防汚性に優れたグラフト共重合体及び塗料の開発が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような状況下で、本発明の解決しようとしている課題は、塗膜としたときに耐候性及び光沢に優れ、かつ優れた水滴滑り性、撥水性、及び防汚性を有するグラフト共重合体の製造方法、及びその製造方法によって得られるグラフト共重合体を含有してなる塗料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の課題は、本発明により、(A)ウレタン結合を介してラジカル重合性不飽和結合部分を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(以下、単に、ラジカル重合性フッ素樹脂と称することがある)2〜70重量%、
(B)下記一般式(1):
【化3】
Figure 0003830674
(式中、R1は水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、R2、R3、R4、R5、及びR6は互いに同一でも異なっていてもよい水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、nは2以上の整数である)
で示される片末端ラジカル重合性ポリシロキサン及び/又は下記一般式(2):
【化4】
Figure 0003830674
(式中、R7は水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、R8、R9、R10、R11、及びR12は互いに同一でも異なっていてもよい水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、pは0〜10の整数であり、qは2以上の整数である)
で示される片末端ラジカル重合性ポリシロキサン4〜40重量%、及び
(C)ラジカル重合反応条件下において、前記のウレタン結合を介してラジカル重合性不飽和結合部分を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A)〔すなわち、前記ラジカル重合性フッ素樹脂(A)〕と、二重結合による重合反応以外には反応しないラジカル重合性単量体(以下、非反応性ラジカル重合性単量体と称することがある)15〜94重量%
を共重合することを特徴とするグラフト共重合体の製造方法によって解決することができる。
【0007】
また、本発明は、前記の製造方法によって得られるグラフト共重合体を含有することを特徴とする塗料に関する。
本発明による前記のグラフト共重合体を用いた塗料は、耐候性に優れ、かつ優れた水滴滑り性、撥水性、及び防汚性を同時に有する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のグラフト共重合体の製造方法及びその製造方法によって得られるグラフト共重合体を含有する塗料について詳細に説明する。
本発明に用いられるウレタン結合を介してラジカル重合性不飽和結合部分を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A)は、例えば、水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)とイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体(A−2)とを反応させることによって得ることができる。
【0009】
前記の水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)は、その構成成分として少なくとも水酸基含有単量体部分とポリフルオロパラフィン部分とを含むものであれば特に限定されるものではないが、例えば、繰り返し単位として、一般式(3):
【化5】
Figure 0003830674
〔式中、R21及びR22は、各繰り返し単位毎に独立して、かつ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、又は塩素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例えば、メチル基、又はエチル基)、炭素数6〜8のアリール基(例えば、フェニル基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数1〜10のアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、又はトリクロロメチル基)、あるいはハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数6〜8のアリール基(例えば、ペンタフルオロフェニル基)であり、xは2以上の整数である〕
で表される繰り返し単位、及び一般式(4):
【化6】
Figure 0003830674
〔式中、R23は、繰り返し単位毎に独立して、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例えば、メチル基、又はエチル基)、炭素数6〜8のアリール基(例えば、フェニル基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数1〜10のアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、又はトリクロロメチル基)、あるいはハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数6〜8のアリール基(例えば、ペンタフルオロフェニル基)であり、R24は、繰り返し単位毎に独立して、OR25a基、CH2OR25b基、及びCOOR25c基から選択した2価の基であり、R25a、R25b、及びR25cは、炭素数1〜10のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、又はヘキサメチレン基)、炭素数6〜10のシクロアルキレン基(例えば、シクロへキシレン基)、炭素数2〜10のアルキリデン基(例えば、イソプロピリデン基)、及び炭素数6〜10選択した2価の基であり、yは2以上の整数である〕
で表される繰り返し単位を含むものであることができる。
【0010】
更に、前記の水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)は、その構成成分として場合により、例えば、一般式(5):
【化7】
Figure 0003830674
〔式中、R26は、各繰り返し単位毎に独立して、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、又は塩素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例えば、メチル基、又はエチル基)、炭素数6〜10のアリール基(例えば、フェニル基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数1〜10のアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、又はトリクロロメチル基)、あるいはハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数6〜10のアリール基(例えば、ペンタフルオロフェニル基)であり、R27は、繰り返し単位毎に独立して、OR28a基又はOCOR28b基であり、R28a及びR28bは、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例えば、メチル基、又はエチル基)、炭素数6〜10のアリール基(例えば、フェニル基)、炭素数6〜10のシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数1〜10のアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、又はトリクロロメチル基)、あるいはハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数6〜10のアリール基(例えば、ペンタフルオロフェニル基)であり、zは2以上の整数である〕
で表される繰り返し単位を含むことができる。この一般式(5)で表される繰り返し単位を含むことにより、有機溶剤に対する溶解性を向上することができる。
【0011】
前記の水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)の水酸基価は、5〜250であることが好ましく、10〜200であることがより好ましく、20〜150であることが更に好ましい。水酸基価が5未満であると、イソシアネート基を有するラジカル重合性単量体(A−2)の導入量が著しく少なくなるために反応混合物が濁る傾向がある。一方、水酸基価が250を越えると後述の片末端ラジカル重合性ポリシロキサン〔成分(B)〕との相溶性が悪化し、グラフト共重合が進行しなくなる場合がある。前記水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)は酸価を有していることもできる。すなわち、遊離カルボン酸基を有していることができる。遊離カルボン酸基を有していると、後述のメラミン、イソシアネートプレポリマー、又はブロック化イソシアネートプレポリマー等の硬化剤と組み合わせたときの反応率が上昇し、塗膜硬度、水滴滑り性、撥水性、及び/又は防汚性が向上するため好ましい。
【0012】
本発明で用いる水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)は、公知の方法で調製した化合物を用いることができるが、あるいは市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、ビニルエーテル系フッ素樹脂(ルミフロンLF−100,LF−200,LF−302,LF−400,LF−554,LF−600,LF−986N;旭硝子株式会社製)、アリルエーテル系フッ素樹脂(セフラルコートPX−40,A606X,A202B,CF−803;セントラル硝子株式会社製)、カルボン酸ビニル/アクリル酸エステル系フッ素樹脂(ザフロンFC−110,FC−220,FC−250,FC−275,FC−310,FC−575,XFC−973;東亞合成株式会社製)、又はビニルエーテル/カルボン酸ビニル系フッ素樹脂(フルオネート;大日本インキ化学工業株式会社製)等を挙げることができる。前記の水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)は、単独で使用するか又は2種類以上を混合して使用することができる。
【0013】
イソシアネート基を有するラジカル重合性単量体(A−2)は、イソシアネート基とラジカル重合性を有する部分とを含む単量体であれば特に限定されるものではないが、イソシアネート基を有し、それ以外の官能基(例えば、水酸基又はポリシロキサン鎖)を有していないラジカル重合体単量体を用いるのが好ましい。好適なイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体(A−2)としては、例えば一般式(6):
【化8】
Figure 0003830674
〔式中、R31は水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基、例えば、炭素原子数1〜10のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基)、炭素原子数6〜10のアリール基(例えば、フェニル基)、又は炭素原子数3〜10のシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基であり、R32は酸素原子又は炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐状の2価炭化水素基、例えば、炭素原子数1〜10のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、又はテトラメチレン基)、炭素原子数2〜10のアルキリデン基(例えば、イソプロピリデン基)、又は炭素原子数6〜10のアリーレン基(例えば、フェニレン基、トリレン基、又はキシリレン基)、又は炭素原子数3〜10のシクロアルキレン基(例えば、シクロヘキシレン基)である〕
で表されるラジカル重合性単量体、あるいは一般式(7):
【化9】
Figure 0003830674
〔式中、R41は水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基、例えば、炭素原子数1〜10のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基)、炭素原子数6〜10のアリール基(例えば、フェニル基)、又は炭素原子数3〜10のシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基であり、R42は酸素原子又は炭素原子数1〜10の直鎖状又は分岐状の2価炭化水素基、例えば、炭素原子数1〜10のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、又はテトラメチレン基)、炭素原子数2〜10のアルキリデン基(例えば、イソプロピリデン基)、又は炭素原子数6〜10のアリーレン基(例えば、フェニレン基、トリレン基、又はキシリレン基)、又は炭素原子数3〜10のシクロアルキレン基(例えば、シクロヘキシレン基)である〕
で表されるラジカル重合性単量体を用いるのが好ましい。
【0014】
前記のイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体(A−2)としては、メタクリロイルイソシアネート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、又はm−若しくはp−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートの1種又は2種以上を用いるのが好ましい。
【0015】
前記の水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)と前記のイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体(A−2)とから前記のラジカル重合性フッ素樹脂(A)を調製する反応では、前記のイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体(A−2)を、前記の水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)の水酸基1当量あたり、好ましくは0.001モル以上0.1モル未満の量、より好ましくは0.01モル以上0.08モル未満の量で反応させる。このイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体(A−2)が0.001モル未満であるとグラフト共重合が困難となり、反応混合物が濁り、経時的に二層分離するために好ましくない。また、0.1モル以上であるとグラフト共重合の際にゲル化が起こりやすくなり好ましくない。また、水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)とイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体(A−2)の反応は、無触媒下あるいは触媒存在下、室温〜80℃で行うことができる。
【0016】
こうして得られた前記のラジカル重合性フッ素樹脂(A)は、使用する単量体全量に対して2〜70重量%、好ましくは4〜60重量%の範囲で用いられる。2重量%未満とすると塗膜としたときの耐候性が低下することがあり、70重量%を越えるとグラフト重合時にゲル化を起こすことがある。
【0017】
本発明においては、片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B)として、前記一般式(1)で示される単量体を用いることができる。前記一般式(1)中のR1は水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基である。本明細書において炭素数1〜10の炭化水素基とは、例えば、炭素数1〜10のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基)、炭素数6〜10のアリール基(例えば、フェニル基)、又は炭素数3〜10のシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基)を挙げることができる。R1は、好ましくは水素原子又はメチル基である。また、前記一般式(1)中のR2、R3、R4、R5、及びR6は互いに同一でも異なっていてもよい。R2、R3、R4、及びR5は、それぞれ独立してメチル基、又はフェニル基であることが好ましく、R6はメチル基、ブチル基、又はフェニル基であることが好ましい。また、前記一般式(1)中のnは2以上の整数であり、好ましくは10以上の整数、より好ましくは30以上の整数である。
【0018】
また、本発明においては、片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B)として、前記一般式(2)で示される単量体を用いることもできる。前記一般式(2)において、R7は水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、好ましくは水素原子又はメチル基である。また、前記一般式(2)中のR8、R9、R10、R11、及びR12は互いに同一でも異なっていてもよい。R8、R9、R10、及びR11は、それぞれ独立してメチル基又はフェニル基であることが好ましく、R12はメチル基、ブチル基、又はフェニル基であることが好ましい。また、前記一般式(2)中のpは0〜10の整数であり、好ましくは3である。また、前記一般式(2)中のqは2以上の整数であり、好ましくは10以上の整数、より好ましくは30以上の整数である。
【0019】
このような片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B)は、公知の方法で調製した化合物を用いるか、あるいは市販品を用いることができる。市販品として、例えば、サイラプレーンFM−0711(数平均分子量1,000、チッソ株式会社製)、サイラプレーンFM−0721(数平均分子量5,000、チッソ株式会社製)、サイラプレーンFM−0725(数平均分子量10,000、チッソ株式会社製)、X−22−174DX(数平均分子量4,600、信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
【0020】
本発明においては、前記一般式(1)で表される片末端ラジカル重合性ポリシロキサンを単独で又は2種類以上混合して、あるいは前記一般式(2)で表される片末端ラジカル重合性ポリシロキサンを単独で又は2種類以上混合して使用することができ、更には前記一般式(1)で表される片末端ラジカル重合性ポリシロキサンの1種若しくはそれ以上と前記一般式(2)で表される片末端ラジカル重合性ポリシロキサンの1種若しくはそれ以上とを混合して使用することができる。
【0021】
これらの片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B)は、使用する単量体全量に対して4〜40重量%、好ましくは10〜30重量%の範囲で用いられる。4重量%未満とすると所期の目的である水滴滑り性、撥水性、又は防汚性が不十分となることがあり、40重量%を越えると重合後の未反応単量体成分が多くなり、塗膜の軟化や未反応単量体成分のブリード等の好ましくない事態を招くことがある。
【0022】
前記の非反応性ラジカル重合性単量体(C)、すなわち、ラジカル重合反応条件下において前記ラジカル重合性フッ素樹脂(A)と二重結合による重合反応以外には反応しないラジカル重合性単量体(C)は、その二重結合部分において、ラジカル重合反応条件下で前記ラジカル重合性フッ素樹脂(A)と二重結合による重合反応によって結合することは言うまでもない。この非反応性ラジカル重合性単量体(C)は、置換基を有しているかあるいは置換基を有していない単量体であり、その置換基は官能基(二重結合を除く)であることができる。但し、この官能基(二重結合を除く)は、ラジカル重合反応条件下において前記ラジカル重合性フッ素樹脂(A)とは反応しないものであることが必要である。このような官能基(二重結合を除く)を含む置換基としては、具体的には、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子)、炭素数1〜20のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ラウリル基、又はステアリル基)、炭素数6〜10のアリール基(例えば、フェニル基、トリル基、又はキシリル基)、又はアルキル部分の炭素数が1〜10でアリール部分の炭素数が6〜10のアラルキル基(例えば、ベンジル基)〔前記のアルキル基、アリール基及びアラルキル基をまとめて、以下単に「炭化水素基R」と称することがある〕、水酸基1個又は複数個を有する前記炭化水素基R(例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、ヒドロキシフェニル基、又は4−ヒドロキシメチルフェニル基)、ニトリル基1個又は複数個を有する前記炭化水素基R(例えば、シアノエチル基)、エーテル基1個又は複数個を有する前記炭化水素基R(例えば、メトキシメチル基、エトキシエチル基、又はメトキシメトキシメチル基)、エステル基1個又は複数個を有する前記炭化水素基R(例えば、アセトキシメチル基)、第3アミノ基1個又は複数個を有する前記炭化水素基R(例えば、ジメチルアミノメチル基、又はジエチルアミノエチル基)、エポキシ基1個又は複数個を有する前記炭化水素基R(例えば、グリシジル基、又は3,4−エポキシシクロヘキシルメチル基)、アミド基1個又は複数個を有する前記炭化水素基R、カルボキシル基1個又は複数個を有する前記炭化水素基R(例えば、カルボキシメチル基)、ウレタン基1個又は複数個を有する前記炭化水素基R、尿素基1個又は複数個を有する前記炭化水素基R、アルコキシシリル基1個又は複数個を有する前記炭化水素基R(例えば、トリメトキシシリルメチル基、又はジメトキシメチルシリルメチル基)等を挙げることができる。
【0023】
一方、前記のラジカル重合の際に、前記のラジカル重合性フッ素樹脂(A)と反応する可能性がある置換基(官能基)としては、例えば、酸ハロゲン化物(例えば、カルボン酸塩化物、カルボン酸臭化物、リン酸塩化物、又はスルホン酸塩化物)、酸無水物(例えば、無水マレイン酸)、イソシアネート化合物等を挙げることができる。前記の非反応性ラジカル重合性単量体(C)は、これらの官能基をもつことはできないが、前記のラジカル重合性フッ素樹脂(A)と前記の条件下で反応しない任意の官能基を有することができる。
【0024】
本発明において用いることのできる非反応性ラジカル重合性単量体(C)としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、又はビニルトルエン等のスチレン系単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、又はベンジル(メタ)アクリレート等の炭化水素基をもつ(メタ)アクリレート系単量体;これらの(メタ)アクリレート系単量体の水素原子をフッ素原子、塩素原子、又は臭素原子等で置換した(メタ)アクリレート系単量体;酢酸ビニル、安息香酸ビニル、又は分岐状モノカルボン酸のビニルエステル(ベオバ;シェル化学株式会社製)等のビニルエステル系単量体;アクリロニトリル、又はメタクリロニトリル等のアクリロニトリル系単量体;エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、又はシクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、又はジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド系単量体;ビニルピリジン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、4−(N,N−ジメチルアミノ)スチレン、又はN−{2−(メタ)アクリロイルオキシエチル}ピペリジン等の塩基性窒素含有ビニル化合物系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、又は3,4−エポキシビニルシクロヘキサン等のエポキシ基含有ビニル化合物系単量体;(メタ)アクリル酸、アンゲリカ酸、クロトン酸、マレイン酸、4−ビニル安息香酸、p−ビニルベンゼンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、又はモノ{2−(メタ)アクリロイルオキシエチル}アシッドホスフェート等の酸性ビニル化合物系単量体;p−ヒドロキシメチルスチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジ−2−ヒドロキシエチルフマレート、ポリエチレングリコール若しくはポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、又はこれらのε−カプロラクトン付加物、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸若しくはシトラコン酸のようなα,β−エチレン性不飽和カルボン酸とε−カプロラクトンとの付加物、又は前記のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸とブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、分岐状モノカルボン酸グリシジルエステル(カージュラE,シェル化学株式会社製)のようなエポキシ化合物との付加物等の水酸基含有ビニル化合物系単量体;ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシエチルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシエチルメチルジメトキシシラン等のシラン化合物系単量体;エチレン、又はプロピレン等のオレフィン系単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、又はクロロトリフルオロエチレン等のハロゲン化オレフィン系単量体;その他マレイミド、ビニルスルホン等を挙げることができる。
【0025】
前記の非反応性ラジカル重合性単量体(C)としては、前記の単量体を単独で用いても、あるいは2種類以上を混合して用いてもよく、主として共重合性の観点から(メタ)アクリレート系単量体が好ましく用いられる。
【0026】
前記の非反応性ラジカル重合性単量体(C)は、使用する単量体全量に対し15〜94重量%、好ましくは30〜70重量%の範囲で用いられる。15重量%未満では共重合体のガラス転移点の調整が困難となり、94重量%を越えると水滴滑り性、撥水性、又は防汚性が不十分となる。
【0027】
本発明において、前記の片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B)と前記の非反応性ラジカル重合性単量体(C)との合計使用重量に対する前記のラジカル重合性フッ素樹脂(A)の使用重量の比率〔すなわち、A/(B+C);以下、「フッ素樹脂/アクリル比」と称することがある〕は、2/1〜1/50の範囲であることが好ましい。フッ素樹脂/アクリル比が2/1未満の場合には、塗膜としたときに光沢が低下することがある。また、フッ素樹脂/アクリル比が1/50を越える場合には耐候性が低下することがある。
【0028】
前記のラジカル重合性フッ素樹脂(A)と、前記の片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B)と、前記の非反応性ラジカル重合性単量体(C)とを用いて本発明による共重合体を調製するには、公知慣用の任意の重合方法を用いることができ、特には溶液ラジカル重合法又は非水分散ラジカル重合法を用いるのが最も簡便であり、特に好ましい。
【0029】
重合の際に用いられる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、又は芳香族炭化水素の混合物(ソルベッソ100,エッソ石油株式会社製)等の芳香族炭化水素系化合物;n−ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、ミネラルスピリット、又はケロシン等の脂肪族、脂環族炭化水素系化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、又はブチルセロソルブアセテート等のエステル系化合物;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチルセロソルブ、又はブチルセロソルブ等のアルコール系化合物等が挙げることができ、それらの溶剤を単独で又は2種類以上を組合せて用いることができる。
【0030】
前記の重合は、公知慣用の種々のラジカル重合開始剤、例えば、アゾ系化合物又は過酸化物のラジカル重合開始剤を用いて、常法により実施することができる。重合時間は特に制限されないが、通常1〜48時間の範囲が選ばれる。また、重合温度は通常30〜120℃、好ましくは60〜100℃である。前記の重合は、更に必要に応じて公知慣用の連鎖移動剤、例えば、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、又はα−メチルスチレンダイマー等を添加して実施することもできる。
【0031】
本発明の製造方法によって得られるグラフト共重合体の分子量は特に限定されるものではないが、その重量平均分子量が、ポリスチレン換算のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、好ましくは約5,000〜2,000,000(より好ましくは約10,000〜1,000,000)の範囲である。5,000未満とすると造膜性、耐候性、又は耐薬品性が低下することがあり、2,000,000を越えると重合時にゲル化する危険がある。
【0032】
このようにして得られたグラフト共重合体は、塗料のバインダー成分として使用することができる。
本発明の塗料は、前記グラフト共重合体を含有してなるものである。本発明の前記グラフト共重合体の溶液をそのまま用いて塗料としてもよいが、前記グラフト共重合体と硬化剤とを組み合わせて硬化型塗料とすることが好ましい。
【0033】
硬化型塗料とする場合には、アクリル硬化型塗料用の硬化剤として知られている化合物と、前記グラフト共重合体とを組合せて調製することができる。このような硬化剤としては、例えば、アニリンアルデヒド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、又はイソシアネートプレポリマー等を挙げることができる。
【0034】
本発明の製造方法によって得られるグラフト共重合体の水酸基価は、硬化塗膜の性質を左右する因子の一つである。この水酸基価は、前記のラジカル重合性フッ素樹脂(A)成分の水酸基価で調整することができ、更に、前記の非反応性ラジカル重合性単量体(C)成分中に、水酸基を有する単量体が含まれる場合には、その使用量によって調整することができる。グラフト共重合体の水酸基価は特に制限されるものではないが、10〜200とすることが塗膜硬度、耐薬品性、及び防汚性の点から好ましい。
【0035】
また、本発明の塗料の樹脂固形分は特に制限されるものではなく、用途や塗装方法によって適宜選択されるが、通常10〜40重量%とすることが好ましい。
本発明の塗料における乾燥条件も特に制限されないが、通常、室温〜200℃の範囲で1分間〜7日間程度の乾燥を行って塗装工程を完了することができる。
更に、本発明の塗料は、必要に応じて各種添加剤、例えば、界面活性剤、増量剤、着色顔料、防錆顔料、フッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、防錆剤、染料、及び/又はワックス等を含有していることができる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。以下の製造例などにおいて「部」及び「%」は特に示さない限り「重量部」及び「重量%」を意味するものとする。
【0037】
(A)以下の製造例において用いられた材料の市販品名を次に示す。
(1)水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)
セフラルコートCF−803(水酸基価60,数平均分子量15,000;セントラル硝子株式会社製)
ルミフロンLF−600(水酸基価60,数平均分子量15,000;旭硝子株式会社製)
ザフロンFC−275(水酸基価60;東亞合成株式会社製)
(2)片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B)
サイラプレーンFM−0721(数平均分子量5,000;チッソ株式会社製)
X−22−174DX(数平均分子量4,600;信越化学工業株式会社製)
(3)ラジカル重合開始剤
パーブチルO(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート;日本油脂株式会社製)
(4)硬化剤
スミジュールN3200(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット型プレポリマー;住友バイエルウレタン株式会社製)
【0038】
また、下記の塗膜形成例における物性評価試験の試験方法を以下に示す。
(1)キシレンスポット試験
硬化塗膜上にキシレンを1滴載せ、キシレンが蒸発するまで室温で放置し、塗膜の状態を観察した。以下の3段階で評価し、その結果を表3に示す。すなわち、変化が全く認められないものを◎、リング状の跡が残るものを△、塗膜が膨潤あるいは溶解するものを×で表した。
【0039】
(2)初期防汚性
硬化塗膜上にマジックインキ(赤色)で線を引き、そのはじき具合を調べた。以下の3段階で評価し、その結果を表3に示す。すなわち、油滴状にはじき、布で簡単に拭き取れるものを◎、油滴状にはじき、一部分は簡単に拭き取れるが、拭き取れずに硬化塗膜上に一部分が残存するものを△、はじかずに線が引け、布で拭き取れないものを×で表した。
【0040】
(3)汚染除去性
硬化塗膜上にマジックインキ(青色、黒色、赤色、及び緑色の4種)で線を引き、室温で24時間乾燥した後、青色及び黒色のマジックインキについてはエタノールをしみ込ませた布で拭き取り、赤色及び緑色のマジックインキについてはキシレンをしみ込ませた布で拭き取った。その結果を以下の3段階で評価し、表3に示す。すなわち、マジックインキの跡が全く残らないものを◎、僅かに跡が残るものを○、はっきりと跡が残るものを×で表した。
【0041】
(4)水滴滑り性
水平に保った硬化塗膜上に、脱イオン水の水滴(20μl又は30μl)をそれぞれ5滴ずつ載せ、硬化塗膜を水平状態から徐々に傾け、前記の5滴の水滴が滑り始めた角度をそれぞれ測定した。測定値の内で最も小さい測定値と最も大きい測定値を捨て、残った3つの測定値の平均値を10゜単位で評価し、表3に示す。
【0042】
【参考例1】
《ラジカル重合性フッ素樹脂(A−I)の合成》
機械式撹拌装置、温度計、コンデンサー及び乾燥窒素ガス導入口を備えたガラス製反応器に、セフラルコートCF−803(1554部)、キシレン(233部)、及び2−イソシアナトエチルメタクリレート(6.3部)を入れ、乾燥窒素雰囲気下で80℃に加熱した。80℃で2時間反応し、サンプリング物の赤外吸収スペクトルによりイソシアネートの吸収が消失したことを確認した後、反応混合物を取り出し、ウレタン結合を介してラジカル重合性不飽和結合部分を有するフッ素樹脂(A−I)を得た。
【0043】
【参考例2〜3】
《ラジカル重合性フッ素樹脂(A−II)及び(A−III)の合成》
前記参考例1に記載の化合物を用いる代わりに、表1に記載した化合物を用いて前記参考例1に記載の操作を繰り返すことにより、ラジカル重合性フッ素樹脂(A−II)及び(A−III)を得た。
【0044】
【表1】
Figure 0003830674
【0045】
【製造例1】
本例では、本発明の製造方法によって得られるグラフト共重合体の合成手順を示す。
機械式撹拌装置、温度計、コンデンサー及び乾燥窒素ガス導入口を備えたガラス製反応器に、参考例1で合成したラジカル重合性フッ素樹脂(A−I)(26.1部)、キシレン(19.5部)、酢酸n−ブチル(16.3部)、メチルメタクリレート(2.4部)、n−ブチルメタクリレート(1.8部)、ラウリルメタクリレート(1.8部)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(1.8部)、FM−0721(5.2部)、及びパーブチルO(0.1部)を入れ、窒素雰囲気中で90℃まで加熱した後、90℃で2時間保持した。パーブチルO(0.1部)を追加し、更に90℃で5時間保持することによって、不揮発分が35%で、重量平均分子量が171,000である目的とするグラフト共重合体の溶液を得た。
【0046】
【製造例2〜10及び製造比較例1〜2】
本例では、本発明の製造方法によって得られるグラフト共重合体の合成手順と、比較用のグラフト共重合体の合成手順とを示す。
溶剤、単量体、及び開始剤類の仕込量を表2に示したように変更したこと以外は、製造例1と同様に操作して目的とするグラフト共重合体の溶液を得た。製造例2〜10では本発明によるグラフト共重合体が得られるが、製造比較例1では片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B)の使用量を全体の3重量%とし、製造比較例2では片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B)の使用量を全体の50重量%とした。
【0047】
【表2】
Figure 0003830674
【0048】
【塗膜形成例1】
製造例1で得られたグラフト共重合体の水酸基当量に対して当量のスミジュールN3200を加え、更に塗料中の不揮発分が35重量%になるようにキシレンで希釈した。予めトルエン/イソプロピルアルコール(2/1)混合溶剤で脱脂し、乾燥した電気メッキブリキ板(66×100mm)上に、前記の塗料組成物をバーコーター#20を用いて塗布した。この塗膜を140℃で30分間加熱硬化して硬化塗膜を得た。前述の各種試験を行い、結果を表3に示す。この硬化塗膜の初期水滴滑り性は30°/20μl未満及び〜20°/30μl未満と良好であり、しかも初期防汚性及び汚染除去性も良好な結果を示した。
【0049】
【塗膜形成例2〜10及び塗膜形成比較例1〜2】
製造例2〜10及び製造比較例1〜2で得られたグラフト共重合体に対して前記の塗膜形成例1と同様にして硬化塗膜を作製し、各種物性評価試験を行った。その結果を表3に示す。塗膜形成例2〜10においては全ての評価項目において良好なる結果を示したが、塗膜形成比較例1においては、初期の段階から防汚性、及び水滴滑り性に難点が観察された。また、塗膜形成比較例2においては硬化塗膜表面に未反応残存単量体のブリードが観察された。
【0050】
【表3】
Figure 0003830674
【0051】
以上のデータより、本発明のグラフト共重合体及び塗料が、被塗物の表面に優れた水滴滑り性、撥水性、及び防汚性を与えることができることは明らかである。
【0052】
【発明の効果】
本発明のグラフト共重合体の製造方法及び塗料は、造膜したときに基材表面に優れた水滴滑り性、撥水性、及び防汚性を付与することができ、耐候性、耐薬品性、及び光沢等に優れるという特徴を有することから、各種基材の表面処理に適用することができる。具体的には、自動車、鉄道車輌、その他の車輌、又は建築物(住宅、若しくはビル)等の外板又は外壁、また、便器、洗面器、浴槽、又はキッチンシンク等の水周り器具、また、エアコン、又は冷蔵庫等の熱交換器、また道路標識、又はカーブミラー等に適用することができ、防汚性、視認性、及び難着氷雪性の改善に有効である。

Claims (4)

  1. (A)ウレタン結合を介してラジカル重合性不飽和結合部分を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂2〜70重量%、
    (B)下記一般式(1):
    Figure 0003830674
    (式中、R1は水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、R2、R3、R4、R5、及びR6は互いに同一でも異なっていてもよい水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、nは2以上の整数である)
    で示される片末端ラジカル重合性ポリシロキサン及び/又は下記一般式(2):
    Figure 0003830674
    (式中、R7は水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、R8、R9、R10、R11、及びR12は互いに同一でも異なっていてもよい水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、pは0〜10の整数であり、qは2以上の整数である)
    で示される片末端ラジカル重合性ポリシロキサン4〜40重量%、及び
    (C)ラジカル重合反応条件下において、前記のウレタン結合を介してラジカル重合性不飽和結合部分を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A)と、二重結合による重合反応以外には反応しないラジカル重合性単量体15〜94重量%
    を共重合することを特徴とするグラフト共重合体の製造方法
  2. 前記のウレタン結合を介してラジカル重合性不飽和結合部分を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A)が、
    (A−1)水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂と
    (A−2)イソシアネート基を有するラジカル重合性単量体と
    の反応生成物である請求項1に記載のグラフト共重合体の製造方法
  3. 前記のイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体(A−2)が、メタクリロイルイソシアネート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、又はm−若しくはp−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートから選ばれた単量体1種又は2種以上である請求項2に記載のグラフト共重合体の製造方法
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法によって得られるグラフト共重合体を含有することを特徴とする塗料。
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