JP2000119355A - グラフト共重合体及び塗料 - Google Patents

グラフト共重合体及び塗料

Info

Publication number
JP2000119355A
JP2000119355A JP10298397A JP29839798A JP2000119355A JP 2000119355 A JP2000119355 A JP 2000119355A JP 10298397 A JP10298397 A JP 10298397A JP 29839798 A JP29839798 A JP 29839798A JP 2000119355 A JP2000119355 A JP 2000119355A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
carbon atoms
graft copolymer
radically polymerizable
hydrocarbon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10298397A
Other languages
English (en)
Inventor
Shuichi Matagawa
修一 俣川
Toshihiko Abe
俊彦 阿部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fuji Kasei Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Fuji Kasei Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Kasei Kogyo Co Ltd filed Critical Fuji Kasei Kogyo Co Ltd
Priority to JP10298397A priority Critical patent/JP2000119355A/ja
Publication of JP2000119355A publication Critical patent/JP2000119355A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗膜としたときに優れた水滴滑り性,撥水
性,耐汚染性及び初期耐汚染性を付与できる新規のグラ
フト共重合体及びそれを含有する塗料を提供する。 【構成】 グラフト共重合体は,(A)ウレタン結合を
介してラジカル重合性不飽和結合部分を有する有機溶剤
可溶性フッ素樹脂2〜66重量%,(B)片末端ラジカ
ル重合性ポリシロキサン4〜40重量%,(C)片末端
ラジカル重合性アルコキシポリアルキレングリコール1
〜25重量%,及び成分(A),(B),及び(C)以
外のラジカル重合性単量体28〜92重量%を共重合し
てなり,塗料はこのグラフト共重合体を含有してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,グラフト共重合体
及びそのグラフト共重合体を含有する塗料に関する。本
発明によるグラフト共重合体及びそのグラフト共重合体
を含有する塗料は,優れた水滴滑り性,撥水性,耐汚染
性及び初期耐汚染性を同時に付与することができる
【0002】
【従来の技術】近年,特に高層建築物,車輌の外装面等
において美観を保つためや清掃作業の省力化等の観点か
ら,塗膜のメインテナンスフリーが求められ,それを実
現するために,高耐候性及び防汚性を有する塗料が熱望
されている。高耐候性及び防汚性を有する塗料を得るた
めには,高耐候性及び防汚性等の機能を有する樹脂が必
要である。一般に,これらの機能を有する樹脂として
は,有機溶剤可溶性フッ素樹脂が用いられている。この
有機溶剤可溶性フッ素樹脂は,硬化剤と組み合わせて用
いられ,従前のアクリル樹脂系塗料に比べ耐候性,撥水
性については格段に優れているが,塗膜としたときの光
沢,耐汚染性や初期耐汚染性については問題があった。
【0003】塗膜としたときの光沢を改良するものとし
て,例えば,特開平7−247324号公報には,有機
溶剤可溶性フッ素樹脂の存在下にラジカル重合性単量体
を重合し,グラフト共重合体を得る方法が記載されてい
る。しかし,上記共重合体は耐候性は良好であるもの
の,耐汚染性及び初期耐汚染性については不十分なもの
である。また,上記公報記載の方法によると,有機溶剤
可溶性フッ素樹脂に何ら変性が加えられていないため,
グラフト反応の効率が非常に低く,往々にして反応混合
物に濁りが生じ,経時的に二層分離するという問題点が
あった。
【0004】特公昭59−46964号公報には,耐候
性に優れ,かつ顔料分散性の良好なグラフト共重合体の
製造法として,有機溶剤可溶性フッ素樹脂にα,β−不
飽和カルボン酸(例えば,無水マレイン酸)を反応さ
せ,残余の二重結合の存在下にラジカル重合性単量体を
重合する方法が記載されている。しかし,前記公報記載
の方法で得られた共重合体も耐汚染性及び初期耐汚染性
については依然不十分なものである。また,無水マレイ
ン酸等のα,β−不飽和カルボン酸を反応させたフッ素
樹脂はラジカル重合性が良好とはいえず,グラフト効率
が低くなってしまうために,前記のグラフト共重合体同
様に往々にして反応混合物に濁りが生じ,経時的に二層
分離が起こる場合があるという問題点があった。
【0005】特開平10−158341号公報には,耐
汚染性に優れ,塗料に好適なグラフト共重合体及び耐汚
染性に優れた塗料が記載されている。しかし,前記公報
記載のグラフト共重合体及び塗料は耐候性,耐汚染性は
比較的良好であるものの,未だ十分であるとはいえな
い。また,初期耐汚染性,即ち汚染物質の付着自体を防
ぐことについては全くといってよいほど効果がない。
従って,より耐汚染性,特に初期耐汚染性に優
れたグラフト共重合体及び塗料の開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような状況下
で,本発明の解決しようとしている課題は,塗膜とした
ときに耐候性,光沢に優れ,かつ優れた水滴滑り性,撥
水性,及び耐汚染性,特に,優れた初期耐汚染性を有す
るグラフト共重合体,及びこのグラフト共重合体を含有
してなる塗料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の課題は,本発明に
より,(A) ウレタン結合を介してラジカル重合性不
飽和結合を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(以下,単
にラジカル重合性フッ素樹脂と称することがある) 2
〜66重量%,(B) 下記一般式(1):
【化4】 (式中,Rは水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化
水素基であり,R,R ,R,R,及びRは互
いに同一でも異なっていてもよい水素原子又は炭素原子
数1〜10の炭化水素基であり,nは2以上の整数であ
る。)で示される片末端ラジカル重合性ポリシロキサン
及び/又は、下記一般式(2):
【化5】 (式中,Rは水素原子または炭素原子数1〜10の炭
化水素基であり,R,R,R10,R11,及びR
12は互いに同一でも異なっていてもよい水素原子また
は炭素原子数1〜10の炭化水素基であり,pは0〜1
0の整数であり,qは2以上の整数である。)で示され
る片末端ラジカル重合性ポリシロキサン 4〜40重量
%,及び(C) 下記一般式(3):
【化6】 (式中,R13は水素原子又は炭素原子数1〜10の炭
化水素基であり,R14は炭素原子数1〜10の炭化水
素基であり,R15はは炭素原子数1〜10の直鎖状又
は分岐状のハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水
素基であり,lは1以上の整数であり,mは任意の整数
である)で示される片末端ラジカル重合性アルコキシポ
リアルキレングリコール 1〜25重量%,及び(D)
成分(A),(B),及び(C)以外のラジカル重合
性単量体(以下,単に非反応性ラジカル重合性単量体と
称することがある) 28〜92重量%,を共重合して
なるグラフト共重合体によって解決することができる。
【0008】また,本発明は,前記のグラフト共重合体
を含有することを特徴とする塗料に関する。本発明によ
る前記のグラフト共重合体を用いた塗料は,耐候性に優
れ,かつ優れた水滴滑り性,撥水性,耐汚染性,初期耐
汚染性を同時に有する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下,本発明のグラフト共重合体
及びこのグラフト共重合体を含有する塗料について詳細
に説明する。本発明に用いられるウレタン結合を介して
ラジカル重合性不飽和結合部分を有する有機溶剤可溶性
フッ素樹脂(A),即ち,ラジカル重合性フッ素樹脂
(A)は,例えば,水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ
素樹脂(A−1)とイソシアネート基を有するラジカル
重合性単量体(A−2)を反応させることによって得る
ことができる。
【0010】前記の水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ
素樹脂(A−1)は,その構成成分として少なくとも水
酸基含有単量体部分とポリフルオロパラフィン部分とを
含むものであれば特に限定されるものではないが,例え
ば,繰り返し単位として,一般式(4):
【化7】 (式中,R21及びR22は,各繰り返し単位毎に独立
して,かつ同一でも異なっていてもよく,水素原子,ハ
ロゲン原子(例えばフッ素原子,又は塩素原子),炭素
数1〜10のアルキル基(例えば,メチル基,エチル
基,プロピル基,ブチル基又はヘキシル基),炭素数6
〜10のアリール基(例えば,フェニル基),ハロゲン
原子(例えばフッ素原子,又は塩素原子)で1個又は複
数個置換された炭素数1〜10のアルキル基(例えば,
トリフルオロメチル基,2,2,2−トリフルオロエチ
ル基,トリクロロメチル基),あるいはハロゲン原子
(例えばフッ素原子,又は塩素原子)で1個又は複数個
置換された炭素数6〜10のアリール基(例えば,ペン
タフルオロフェニル基)であり,rは2以上の整数であ
る)で表される繰り返し単位,及び,一般式(5):
【化8】 (式中,R23は,各繰り返し単位毎に独立して,水素
原子,ハロゲン原子(例えば,フッ素原子,又は塩素原
子),炭素数1〜10のアルキル基(例えば,メチル
基,エチル基,プロピル基,ブチル基又はヘキシル
基),炭素数6〜10のアリール基(例えば,フェニル
基),ハロゲン原子(例えばフッ素原子,又は塩素原
子)で1個又は複数個置換された炭素数1〜10のアル
キル基(例えば,トリフルオロメチル基,2,2,2−
トリフルオロエチル基,トリクロロメチル基),あるい
はハロゲン原子(例えばフッ素原子,又は塩素原子)で
1個又は複数個置換された炭素数6〜10のアリール基
(例えば,ペンタフルオロフェニル基)であり,R24
は,繰り返し単位毎に独立して,OR25a基,CH
OR 5b基,COOR25c基から選択した2価の基
であり,R25a,R25b,及びR25cは,炭素数
1〜10のアルキレン基(例えば,メチレン基,エチレ
ン基,トリメチレン基,テトラメチレン基,又はヘキサ
メチレン基),炭素数6〜10のシクロアルキレン基
(例えば,シクロヘキシレン基),炭素数2〜10のア
ルキリデン基(例えばイソプロピリデン基),及び炭素
数6〜10のアリーレン基(例えば,フェニレン基,ト
リレン基,キシリレン基)から選択した2価の残基であ
り,sは2以上の整数である)で表される繰り返し単位
を含むものであることができる。更に,前記の水酸基を
有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)は,その構
成成分として,例えば,一般式(6):
【化9】 (式中,R26は,各繰り返し単位毎に独立して,水素
原子,ハロゲン原子(例えば,フッ素原子,又は塩素原
子),炭素数1〜10のアルキル基(例えば,メチル
基,エチル基,プロピル基,ブチル基又はヘキシル
基),炭素数6〜10のアリール基(例えば,フェニル
基),ハロゲン原子(例えばフッ素原子,又は塩素原
子)で1個又は複数個置換された炭素数1〜10のアル
キル基(例えば,トリフルオロメチル基,2,2,2−
トリフルオロエチル基,トリクロロメチル基),あるい
はハロゲン原子(例えばフッ素原子,又は塩素原子)で
1個又は複数個置換された炭素数6〜10のアリール基
(例えば,ペンタフルオロフェニル基)であり,R27
は,繰り返し単位毎に独立して,OR28a基又はOC
OR 8b基であり,R28a及びR28bは,水素原
子,ハロゲン原子(例えば,フッ素原子,又は塩素原
子),炭素数1〜10のアルキル基(例えば,メチル
基,エチル基,プロピル基,ブチル基又はヘキシル
基),炭素数6〜10のアリール基(例えば,フェニル
基),ハロゲン原子(例えばフッ素原子,又は塩素原
子)で1個又は複数個置換された炭素数1〜10のアル
キル基(例えば,トリフルオロメチル基,2,2,2−
トリフルオロエチル基,トリクロロメチル基),あるい
はハロゲン原子(例えばフッ素原子,又は塩素原子)で
1個又は複数個置換された炭素数6〜10のアリール基
(例えば,ペンタフルオロフェニル基)であり,tは2
以上の整数である)で表される繰り返し単位を含むこと
ができる。この一般式(6)で表される繰り返し単位を
含むことにより,有機溶剤に対する溶解性を向上させる
ことができる。
【0011】前記の水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ
素樹脂(A−1)の水酸基価は,5〜250であること
が好ましく,10〜200であることがより好ましく,
20〜150であることが更に好ましい。水酸基価が5
未満であると,イソシアネート基を有するラジカル重合
性単量体(A−2)の導入量が著しく少なくなるために
反応混合物が濁り,経時的に二層分離することがある。
一方,水酸基価が250を越えると後述の片末端ラジカ
ル重合性ポリシロキサン(B)との相溶性が悪化し,グ
ラフト共重合が進行しなくなる場合がある。前記水酸基
を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)は酸価を
有していることもできる。即ち,遊離カルボキシル基を
有していることによって,後述のメラミン,イソシアネ
ートプレポリマー,ブロック化イソシアネートプレポリ
マー等の硬化剤と組み合わせたときの反応率が上昇する
ため,塗膜硬度,水滴滑り性,撥水性,耐汚染性,及び
初期耐汚染性が向上するため好ましい。
【0012】本発明で用いる水酸基を有する有機溶剤可
溶性フッ素樹脂(A−1)は公知の方法で調製すること
ができるが,あるいは市販品を用いることもできる。市
販品としては,ビニルエーテル系フッ素樹脂(ルミフロ
ンLF−100,LF−200,LF−302,LF−
400,LF−554,LF−600,LF−986
N:旭硝子株式会社製),アリルエーテル系フッ素樹脂
(セフラルコートPX−40,A606X,A202
B,CF−803:セントラル硝子株式会社製),カル
ボン酸ビニル/アクリル酸エステル系フッ素樹脂(ザフ
ロンFC−110,FC−220,FC−250,FC
−275,FC−310,FC−575,XFC−97
3:東亞合成株式会社製),又はビニルエーテル/カル
ボン酸ビニル系フッ素樹脂(フルオネート;大日本イン
キ株式会社製)等を挙げることができる。前記の水酸基
を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)は,単独
で使用するか又は2種類以上を混合して使用することが
できる。市販品の数平均分子量は,3,500ないし3
0,000程度のものが知られている。
【0013】イソシアネート基を有するラジカル重合性
単量体(A−2)は,イソシアネート基とラジカル重合
性を有する部分とを含むものであれば特に限定されるも
のではないが,好適なイソシアネート基を有するラジカ
ル重合性単量体(A−2)としては,例えば一般式
(7):
【化10】 (式中,R31は,水素原子又は炭素数1〜10の炭化
水素基,例えば炭素数1〜10のアルキル基(例えば,
メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル
基又はヘキシル基),炭素数6〜10のアリール基(例
えば,フェニル基),又は炭素数3〜10のシクロアル
キル基(例えばシクロヘキシル基)であり,R32は酸
素原子又は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の2価炭
化水素基,例えば,炭素数1〜10のアルキレン基(例
えば,メチレン基,エチレン基,トリメチレン基,テト
ラメチレン基,又はヘキサメチレン基),炭素数2〜1
0のアルキリデン基(例えばプロピリデン基),炭素数
6〜10のアリーレン基(例えば,フェニレン基,トリ
レン基,又はキシリレン基),又は炭素数3〜10のシ
クロアルキレン基(例えばシクロヘキシレン基)であ
る)で表されるラジカル重合性単量体,あるいは一般式
(8):
【化11】 (式中,R41は,水素原子又は炭素数1〜10の炭化
水素基,例えば炭素数1〜10のアルキル基(例えば,
メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル
基又はヘキシル基),炭素数6〜10のアリール基(例
えば,フェニル基),又は炭素数3〜10のシクロアル
キル基(例えばシクロヘキシル基)であり,R42は酸
素原子又は炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状の2価炭
化水素基,例えば,炭素数1〜10のアルキレン基(例
えば,メチレン基,エチレン基,トリメチレン基,テト
ラメチレン基,又はヘキサメチレン基),炭素数2〜1
0のアルキリデン基(例えばプロピリデン基),炭素数
6〜10のアリーレン基(例えば,フェニレン基,トリ
レン基,又はキシリレン基),又は炭素数3〜10のシ
クロアルキレン基(例えばシクロヘキシレン基)であ
る)で表されるラジカル重合性単量体を用いるのが好ま
しい。
【0014】前記のイソシアネート基を有するラジカル
重合製単量体(A−2)としては,メタクリロイルイソ
シアネート,2−イソシアナトエチルメタクリレート,
又はm−若しくはp−イソプロペニル−α,α−ジメチ
ルベンジルイソシアネートの1種又は2種以上を用いる
のが好ましい。
【0015】前記の水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ
素樹脂(A−1)と前記のイソシアネート基を有するラ
ジカル重合性単量体(A−2)とから前記のラジカル重
合性フッ素樹脂(A)を調製する反応では,前記のイソ
シアネート基を有するラジカル重合性単量体(A−2)
を,前記の水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂
(A−1)の水酸基1当量あたり,好ましくは0.00
1モル以上0.1モル未満の量,より好ましくは0.0
1モル以上0.08モル未満の量で反応させる。このイ
ソシアネート基を有するラジカル重合性単量体(A−
2)が0.001モル未満であるとグラフト共重合が困
難となり,反応混合物が濁り,経時的に二層分離するこ
とがあり好ましくない。また,0.1モル以上であると
グラフト共重合の際にゲル化が起こりやすくなり好まし
くない。また,水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹
脂(A−1)とイソシアネート基を有するラジカル重合
性単量体(A−2)の反応は,無触媒下あるいは触媒存
在下,室温〜80℃で行うことができる。
【0016】こうして得られた前記のラジカル重合性フ
ッ素樹脂(A)は,使用する成分全量に対して2〜66
重量%,好ましくは5〜50重量%の範囲で用いられ
る。2重量%未満とすると塗膜としたときの耐候性が低
下することがあり,66重量%を越えるとグラフト共重
合時にゲル化することがある。
【0017】本発明においては,片末端ラジカル重合性
ポリシロキサン(B)として,前記一般式(1)で示さ
れる単量体を用いることができる。前記一般式(1)中
のR は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基で
ある。本明細書において炭素数1〜10の炭化水素基と
は,例えば,炭素数1〜10のアルキル基(例えばメチ
ル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,
ヘキシル基),炭素数6〜10のアリール基(例えばフ
ェニル基),又は炭素数3〜10のシクロアルキル基
(例えばシクロヘキシル基)を挙げることができる。R
は,好ましくは水素原子,メチル基である。また,前
記一般式(1)中のR,R,R,R ,Rは互
いに同一でも異なっていてもよい。R,R,R
は,それぞれ独立してメチル基,フェニル基である
ことが好ましく,Rはメチル基,ブチル基,又はフェ
ニル基であることが好ましい。また,前記一般式(1)
中のnは2以上の整数であり,好ましくは10以上の整
数,より好ましくは30以上の整数である。
【0018】また,本発明においては,片末端ラジカル
重合性ポリシロキサン(B)として,前記一般式(2)
で示される単量体を用いることもできる。前記一般式
(2)において,Rは水素原子または炭素原子数1〜
10の炭化水素基であり,好ましくは水素原子,メチル
基である。また,前記一般式(2)式のR,R,R
10,R11,R12は互いに同一でも異なっていても
よい。R,R,R ,R11はそれぞれ独立して
メチル基,フェニル基であることが好ましく,R 12
メチル基,ブチル基,又はフェニル基であることが好ま
しい。また前記一般式(2)中のpは0〜10の整数で
あり,好ましくは3である。また,前記一般式(2)中
のqは2以上の整数であり,好ましくは10以上の整
数,より好ましくは30以上の整数である。
【0019】このような片末端ラジカル重合性ポリシロ
キサン(B)は公知の方法で調製することができるが,
市販品を用いることもできる。市販品として,例えば,
サイラプレーンFM−0711(数平均分子量100
0,チッソ株式会社製),サイラプレーンFM−072
1(数平均分子量5000,チッソ株式会社製),サイ
ラプレーンFM−0725(数平均分子量10000,
チッソ株式会社製),X−22−174DX(数平均分
子量4600,信越化学工業株式会社製)等を挙げるこ
とができる。
【0020】本発明においては,前記一般式(1)で表
される片末端ラジカル重合性ポリシロキサンを単独で又
は2種類以上混合して,あるいは前記一般式(2)で表
される片末端ラジカル重合性ポリシロキサンを単独で又
は2種類以上混合して使用することができ,更には前記
一般式(1)で表される片末端ラジカル重合性ポリシロ
キサンの1種若しくはそれ以上と前記一般式(2)で表
される片末端ラジカル重合性ポリシロキサンの1種若し
くはそれ以上とを混合して使用することができる。
【0021】これらの片末端ラジカル重合性ポリシロキ
サン(B)は,使用する成分全量に対して5〜40重量
%,好ましくは5〜30重量%の範囲で用いられる。5
重量%未満とすると所期の目的である水滴滑り性,撥水
性,耐汚染性,初期耐汚染性が不十分となることがあ
り,40重量%を越えると重合後の未反応単量体成分が
多くなり,塗膜の軟化,未反応単量体成分のブリード等
好ましくない事態を招くことがある。
【0022】本発明における片末端ラジカル重合性アル
コキシポリアルキレングリコール(C)としては,前記
一般式(3)で示される単量体を用いることができる。
前記一般式(3)中のR13は水素原子又は炭素数1〜
10の炭化水素基であり,好ましくは水素原子又はメチ
ル基である。また,前記一般式(3)中のR14は炭素
数1〜10の炭化水素基であり,好ましくはメチル基で
ある。また,前記一般式(3)中のR15は炭素数1〜
10の直鎖状又は分岐状のハロゲン原子で置換されてい
てもよい炭化水素基であり,好ましくはアルキル基(例
えば,メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基),
フェニル基,又はアルキル置換フェニル基である。ま
た,前記一般式(3)中のlは1以上の整数であり,好
ましくは2〜100の整数である。また,前記一般式
(3)中のmは任意の整数であり,好ましくは0〜1
0,より好ましくは0である。
【0023】このような片末端ラジカル重合性アルコキ
シポリアルキレングリコール(C)は公知の方法で調製
することができるが,市販品を用いることもできる。市
販品としては,例えば,ブレンマーPME−100,P
ME−200,PME−400,PME−4000,5
0POEP−800B(日本油脂株式会社製),ライト
エステルMC,MTG,130MA,041MA(共栄
社化学株式会社製),ライトアクリレートBO−A,E
C−A,MTG−A,130A(共栄社化学株式会社
製)等を挙げることができる。
【0024】本発明においては,前記一般式(3)で表
される片末端ラジカル重合性アルコキシポリアルキレン
グリコール(C)は単独で又は2種類以上を混合して用
いることができる。
【0025】これらの片末端ラジカル重合性アルコキシ
ポリアルキレングリコール(C)は,使用する成分全量
に対して1〜25重量%,好ましくは1〜15重量%の
範囲で用いられる。1重量%未満とすると所期の目的で
ある耐汚染性が不十分となる場合があり,25重量%を
越えると塗膜の耐水性が低下することがある。
【0026】成分(A),(B),及び(C)以外のラ
ジカル重合性単量体(D),即ち,前記の非反応性ラジ
カル重合性単量体(D)とは,その単量体が,ラジカル
重合に関与する部分とともに,少なくとも,ラジカル重
合の際の条件下で,前記のラジカル重合性フッ素樹脂
(A)とラジカル重合以外の反応をしない官能基を有し
ていてもよいということを意味する。このような官能基
としては,具体的には,例えば,ハロゲン原子(例え
ば,フッ素原子,塩素原子,又は臭素原子),炭素数1
〜20のアルキル基(例えば,メチル基,エチル基,プ
ロピル基,ブチル基,ヘキシル基,ラウリル基,又はス
テアリル基),炭素数6〜10のアリール基(例えば,
フェニル基,トリル基,又はキシリル基),又はアルキ
ル部分の炭素数が1〜10でアリール部分の炭素数が6
〜10のアラルキル基(例えば,ベンジル基),(前出
のアルキル基,アリール基,及びアラルキル基をまとめ
て,以下単に“炭化水素基R”と称することがある),
水酸基1個又は複数個を有する前記炭化水素基R(例え
ば,ヒドロキシメチル基,ヒドロキシエチル基,ヒドロ
キシプロピル基,2,3−ジヒドロキシプロピル基,ヒ
ドロキシブチル基,ヒドロキシフェニル基,又は4−ヒ
ドロキシメチルフェニル基),ニトリル基1個又は複数
個を有する前記炭化水素基R(例えば,シアノエチル
基),エーテル基1個又は複数個を有する前記炭化水素
基R(例えば,メトキシメチル基,エトキシエチル基,
又はメトキシメトキシメチル基),エステル基1個又は
複数個を有する前記炭化水素基R(例えば,アセトキシ
メチル基),第3アミノ基1個又は複数個を有する前記炭
化水素基R(例えば,ジメチルアミノメチル基,又はジ
エチルアミノエチル基),エポキシ基1個又は複数個を
有する前記炭化水素基R(例えば,グリシジル基,又は
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル基),アミド基
1個又は複数個を有する前記炭化水素基R,カルボキシ
ル基1個又は複数個を有する前記炭化水素基R(例え
ば,カルボキシメチル基),ウレタン基1個又は複数個
を有する前記炭化水素基R,尿素基1個又は複数個を有
する前記炭化水素基R,アルコキシシリル基1個又は複
数個を有する前記炭化水素基R(例えば,トリメトキシ
シリルメチル基,又はジメトキシメチルシリルメチル
基)等を挙げることができる。
【0027】一方,前記のラジカル重合の際に,前記の
ラジカル重合性フッ素樹脂とラジカル重合反応以外の反
応をする可能性のある官能基としては,例えば,単量体
を酸ハロゲン化物(例えば,カルボン酸塩化物,カルボ
ン酸臭化物,リン酸塩化物,又はスルホン酸塩化物),
酸無水物(例えば,無水マレイン酸),イソシアネート
化合物等とする官能基を挙げることができる。前記の非
反応性ラジカル重合性単量体(D)は,これらの官能基
を持つことはできないが,前記のラジカル重合性フッ素
樹脂(A)と前記の条件下で反応しない任意の官能基を
有することができる。
【0028】具体的には,例えば,スチレン,p−メチ
ルスチレン,p−クロロメチルスチレン,又はビニルト
ルエン等のスチレン系単量体;メチル(メタ)アクリレ
ート,エチル(メタ)アクリレート,n−プロピル(メ
タ)アクリレート,i−プロピル(メタ)アクリレー
ト,n−ブチル(メタ)アクリレート,i−ブチル(メ
タ)アクリレート,tert−ブチル(メタ)アクリレ
ート,n−ヘキシル(メタ)アクリレート,シクロヘキ
シル(メタ)アクリレート,2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート,ラウリル(メタ)アクリレート,ス
テアリル(メタ)アクリレート,イソボルニル(メタ)
アクリレート,アダマンチル(メタ)アクリレート,フ
ェニル(メタ)アクリレート,又はベンジル(メタ)ア
クリレート等の炭化水素基をもつ(メタ)アクリレート
系単量体;これらの(メタ)アクリレート系単量体の水
素原子をフッ素原子,塩素原子,又は臭素原子等で置換
した(メタ)アクリレート系単量体;酢酸ビニル,安息
香酸ビニル,又は分岐状モノカルボン酸のビニルエステ
ル(ベオバ:シェル化学株式会社製)等のビニルエステ
ル系単量体;アクリロニトリル,又はメタクリロニトリ
ル等のアクリロニトリル系単量体;エチルビニルエーテ
ル,n−ブチルビニルエーテル,i−ブチルビニルエー
テル,又はシクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエ
ーテル系単量体;(メタ)アクリルアミド,ジメチル
(メタ)アクリルアミド,又はジアセトンアクリルアミ
ド等のアクリルアミド系単量体;ビニルピリジン,N,
N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート,N,
N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート,N,
N−ジメチル(メタ)アクリルアミド,4−(N,N−
ジメチルアミノ)スチレン,又はN−{2−(メタ)ア
クリロイルオキシエチル}ピペリジン等の塩基性窒素含
有ビニル化合物系単量体;グリシジル(メタ)アクリレ
ート,3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)
アクリレート,又は3,4−エポキシビニルシクロヘキ
サン等のエポキシ基含有ビニル化合物系単量体;(メ
タ)アクリル酸,アンゲリカ酸,クロトン酸,マレイン
酸,4−ビニル安息香酸,p−ビニルベンゼンスルホン
酸,2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン
酸,又はモノ{2−(メタ)アクリロイルオキシエチ
ル}アシッドホスフェート等の酸性ビニル化合物系単量
体;p−ヒドロキシメチルスチレン,2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート,3−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート,2−ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレート,4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレー
ト,ジ−2−ヒドロキシエチルフマレート,ポリエチレ
ングリコール若しくはポリプロピレングリコールモノ
(メタ)アクリレート,又はこれらのε−カプロラクト
ン付加物,(メタ)アクリル酸,クロトン酸,マレイン
酸,フマル酸,イタコン酸,若しくはシトラコン酸のよ
うなα,β−エチレン性不飽和カルボン酸とε−カプロ
ラクトンとの付加物,前記のα,β−エチレン性不飽和
カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類,又は前記
のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸とブチルグリシ
ジルエーテル,フェニルグリシジルエーテル,分岐状カ
ルボン酸グリシジルエステル(カージュラE;シェル化
学株式会社製)のようなエポキシ化合物との付加物等の
水酸基含有ビニル化合物系単量体;ビニルトリメトキシ
シラン,γ−メタクリルオキシエチルトリメトキシシラ
ン,γ−メタクリルオキシエチルメチルジメトキシシラ
ン等のシラン化合物系単量体;エチレン,プロピレン等
のオレフィン系単量体;塩化ビニル,塩化ビニリデン,
臭化ビニル,フッ化ビニル,テトラフルオロエチレン,
又はクロロトリフルオロエチレン等のハロゲン化オレフ
ィン系単量体;その他マレイミド,ビニルスルホン等を
挙げることができる。
【0029】前記の非反応性ラジカル重合性単量体
(D)としては,前記の単量体を単独で用いても,ある
いは2種類以上を混合して用いてもよく,主として共重
合性の観点から(メタ)アクリレート系が好ましく用い
られる。
【0030】前記の非反応性ラジカル重合性単量体
(D)は,使用する成分全量に対し28〜92重量%,
好ましくは30〜70重量%の範囲で用いられる。28
重量%未満では共重合体のガラス転移点,即ち塗膜とし
たときの硬度の調整が困難となり,92重量%を越える
と水滴滑り性,撥水性,耐汚染性,初期耐汚染性が不十
分となる。
【0031】本発明において,前記の片末端ラジカル重
合性ポリシロキサン(B)と前記の片末端アルコキシポ
リアルキレングリコール(C)と前記の非反応性ラジカ
ル重合性単量体(D)との合計使用重量に対する前記の
ラジカル重合性フッ素樹脂(A)の使用重量の比率(即
ち,A/(B+C+D);以下,「フッ素樹脂/アクリ
ル比」と称することがある)は,2/1〜1/50の範
囲であることが好ましい。フッ素樹脂/アクリル比が2
/1未満の場合には,塗膜としたときに光沢が低下する
ことがある。また,フッ素樹脂/アクリル比が1/50
を越える場合には耐候性が低下することがある。
【0032】前記のラジカル重合性フッ素樹脂(A)
と,前記の片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B)
と前記の片末端アルコキシポルアリキレングリコール
(C)と前記の非反応性ラジカル重合性単量体(D)と
を用いて本発明の共重合体を調製するには,公知慣用の
任意の重合方法を用いることができ,中でも溶液ラジカ
ル重合法又は非水分散ラジカル重合法によるのが最も簡
便であり,特に好ましい。
【0033】重合の際に用いられる溶剤としては,例え
ば,トルエン,キシレン,又は芳香族炭化水素の混合溶
剤(ソルベッソ100;エッソ石油株式会社製)等の芳
香族炭化水素化合物;n−ヘキサン,シクロヘキサン,
オクタン,ミネラルスピリット,又はケロシン等の脂肪
族,脂環族炭化水素化合物;酢酸エチル,酢酸n−ブチ
ル,酢酸i−ブチル,又はブチルセロソルブアセテート
等のエステル系化合物;メタノール,エタノール,n−
プロパノール,i−プロパノール,n−ブタノール,i
−ブタノール,エチレングリコール,プロピレングリコ
ール,エチルセロソルブ,ブチルセロソルブ等のアルコ
ール系化合物等を挙げることができ,これらの溶剤は単
独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができ
る。
【0034】前記の重合は,公知慣用の種々のラジカル
重合開始剤,例えば,アゾ系化合物又は過酸化物系化合
物のようなラジカル重合開始剤を用いて,常法により実
施することができる。重合時間は特に制限されないが,
通常1〜48時間の範囲が選ばれる。また,重合温度は
通常30〜120℃,好ましくは60〜100℃であ
る。前記の重合は,更に必要に応じて公知慣用の連鎖移
動剤,例えば,ブチルメルカプタン,ドデシルメルカプ
タン,又はα−メチルスチレンダイマー等を添加して実
施することもできる。
【0035】本発明におけるグラフト共重合体の分子量
は特に限定されるものではないが,その重量平均分子量
が,ポリスチレン換算のGPC(ゲルパーミエーション
クロマトグラフィー)により,好ましくは約5,000
〜2,000,000,より好ましくは約10,000
〜1,000,000の範囲である。5,000未満と
すると造膜性,耐候性,又は耐薬品性が低下し,2,0
00,000を越えると重合時にゲル化する危険があ
る。
【0036】このようにして得られた本発明のグラフト
共重合体は,塗料のバインダー成分として使用すること
ができる。本発明の塗料は,前記グラフト共重合体を含
有してなるものである。本発明の前記グラフト共重合体
の溶液をそのまま用いて塗料としてもよいが,前記グラ
フト共重合体と硬化剤とを組み合わせて硬化型塗料とす
ることが好ましい。
【0037】硬化型塗料とする場合には,一般にアクリ
ル硬化型塗料の硬化剤として知られているものと,前記
グラフト共重合体とを組み合わせて調製することができ
る。このような硬化剤としては,例えば,アニリンアル
デヒド樹脂,尿素樹脂,メラミン樹脂,イソシアネート
プレポリマー,又はブロック化イソシアネートプレポリ
マー等を挙げることができる。
【0038】本発明のグラフト共重合体の水酸基価は,
硬化塗膜の性質を左右する因子の一つである。この水酸
基価は,前記のラジカル重合性フッ素樹脂(A)成分の
水酸基価で調整することができ,更に,前記の非反応性
ラジカル重合性単量体(D)成分中に水酸基を有する単
量体が含まれる場合にはその使用量によって調整するこ
とができる。グラフト共重合体の水酸基価は特に制限さ
れるものではないが,10〜200とすることが塗膜硬
度,耐薬品性,及び耐汚染性の点から好ましい。
【0039】また,本発明の塗料の樹脂固形分は特に制
限されるものではなく,用途,塗装方法によって適宜選
択されるが,通常10〜40重量%とすることが好まし
い。本発明の塗料における乾燥条件も特に制限されない
が,通常,室温〜200℃の範囲で1分間〜7日間程度
の乾燥を行って塗装せしめる。更に,本発明の塗料は必
要に応じて各種添加剤,例えば,界面活性剤,増量剤,
着色顔料,防錆顔料,フッ素樹脂粉末,シリコーン樹脂
粉末,防錆剤,染料,ワックス等を添加してもよい。
【0040】
【実施例】以下,実施例によって本発明を具体的に説明
するが,これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。以下の製造例等において“部”及び“%”は特に示
さない限り“重量部”及び“重量%”を意味するものと
する。
【0041】以下の製造例等において用いられた材料の
市販品名を次に示す。 (1)水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−
1) セフラルコートCF−803 (水酸基価60,数平均
分子量15,000;セントラル硝子株式会社製) (2)片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B) サイラプレーンFM−0721 (数平均分子量5,0
00;チッソ株式会社製) (3)片末端アルコキシポリアルキレングリコール
(C) ブレンマーPME−400(分子量470;日本油脂株
式会社製) (4)ラジカル重合開始剤 パーブチルO (t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサノエート;日本油脂株式会社製) (5)硬化剤 スミジュールN3200 (ヘキサメチレンジイソシア
ネートのビウレット型プレポリマー;住友バイエルウレ
タン株式会社製)
【0042】また、下記の実施例及び比較例における物
性評価試験方法を以下に示す。 (1)キシレンスポット試験 硬化塗膜上にキシレンを1滴載せ,キシレンが蒸発する
まで室温で放置し,塗膜の状態を観察した。以下の3段
階で評価し,その結果を表2に示す。即ち,変化が全く
認められないものを◎,リング状の跡が残るものを△,
塗膜が膨潤あるいは溶解するものを×で表した。 (2)耐水性 硬化塗膜を水道水中に1ヶ月浸漬し,塗膜の状態を観察
した。以下の2段階で評価し,結果を表2に示す。即
ち,変化が全く認められないものを◎,塗膜が膨潤又は
白亜化するものを×で表した。 (3)初期耐汚染性 硬化塗膜上にマジックインキ(赤色)で線を引き,その
はじき具合を調べた。以下の3段階で評価し,結果を表
2に示す。即ち,油滴状にはじき,布で簡単にふき取れ
るものを◎,油滴状にはじき,一部分はふき取れるが,
ふき取れずに硬化塗膜上に一部が残存するものを△,は
じかず線が引け,布でふき取れないものを×で表した。 (4)汚染除去性(耐汚染性) 硬化塗膜上にマジックインキ(青色,黒色,赤色,及び
緑色の4色)で線を引き,室温で24時間乾燥後,青色
及び黒色のマジックインキについてはエタノールをしみ
込ませた布でふき取り,赤色及び緑色のマジックインキ
についてはキシレンをしみ込ませた布で拭き取った。そ
の結果を以下の3段階で評価し,表2に示す。即ち,マ
ジックインキの跡が全く残らないものを◎,僅かに跡が
残るものを○,はっきりと跡が残るものを×で表した。 (5)水滴滑り性 水平に保った硬化塗膜上に,脱イオン水の水滴(20μ
l又は30μl)をそれぞれ5滴づつ載せ,硬化塗膜を
水平状態からに徐々に傾け,前記の5滴の水滴が滑り始
めた角度をそれぞれ測定した。測定値のうちで最も小さ
い測定値と最も大きい測定値を捨て,残った3つの測定
値の平均値を10゜単位で評価し,表2に示す。
【0043】
【参考例1】本例では,本発明におけるラジカル重合性
フッ素樹脂(A)の合成手順を示す。機械式撹拌装置,
温度計,コンデンサー及び乾燥窒素ガス導入口を備えた
ガラス製反応器に,セフラルコートCF−803(15
54部),キシレン(233部),2−イソシアナトエ
チルメタクリレート(6.3部)を入れ,乾燥窒素雰囲
気下80℃に加熱した。80℃で2時間反応し,サンプ
リング物の赤外吸収スペクトルによりイソシアネートの
吸収が消失したことを確認した後、反応混合物を取り出
し,ラジカル重合性フッ素樹脂(A−I)を得た。
【0044】
【製造例1】本例では,本発明によるグラフト共重合体
の合成手順を示す。機械式撹拌装置,温度計,コンデン
サー及び乾燥窒素ガス導入口を備えたガラス製反応器
に,参考例1で合成したラジカル重合性フッ素樹脂(A
−I)(26.7部),キシレン(14.2部),酢酸
n−ブチル(13.7部),メチルメタクリレート
(5.4部),n−ブチルメタクリレート(2.7
部),ラウリルメタクリレート(0.9部),2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート(1.8部),FM−07
21(1.3部),PME−400(1.3部),パー
ブチルO(0.1部)を入れ,窒素雰囲気中で90℃ま
で加熱した後,90℃で2時間保持した。パーブチルO
(0.1部)を追加し,更に90℃で5時間保持するこ
とによって,不揮発分が40%で,重量平均分子量が1
46000である目的とするグラフト共重合体の溶液を
得た。
【0045】
【製造例2〜10及び比較製造例1〜4】本例では,本
発明によるグラフト共重合体の合成手順と,比較用のグ
ラフト共重合体の合成手順とをを示す。溶剤,単量体,
開始剤類の仕込量を表1に示したように変更したこと以
外は,製造例1と同様に操作して目的とするグラフト共
重合体の溶液を得た。製造例2〜10では本発明による
グラフト共重合体が得られる。一方,比較製造例1では
片末端アルコキシポリアルキレングリコール(C)を使
用しない場合,比較製造例2では片末端ラジカル重合性
ポリシロキサン(B)を使用しない場合,比較製造例3
では片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B)を本発
明の請求項を逸脱する50重量%とした場合,比較製造
例4では片末端アルコキシポリアルキレングリコール
(C)を本発明の請求項を逸脱する40重量%とした場
合について示した。
【0046】
【表1】
【0047】
【実施例1】製造例1で得られたグラフト共重合体の水
酸基当量に対して当量のスミジュールN3200を加
え,更に塗料中の不揮発分が35重量%になるようにキ
シレンで希釈した。予めトルエン/イソプロピルアルコ
ール(2/1)混合溶剤で脱脂,乾燥した電気メッキブ
リキ板(66×100mm)上に,前記の塗料組成物を
バーコーター#20を用いて塗布した。これを140℃
で30分間加熱硬化して硬化塗膜を得た。前述の各種試
験を行い,結果を表2に示す。この硬化塗膜の初期水滴
滑り性は〜30°/20μl,〜20°/30μlと良
好であり,しかも初期防汚性及び汚染除去性も良好な結
果を示した。
【0048】
【実施例2〜10及び比較例1〜4】製造例2〜10及
び比較製造例1〜4で得られたグラフト共重合体に対し
て,前記の実施例1と同様にして硬化塗膜を作製し,前
述の各種物性評価試験を行った。結果を表2に示す。実
施例2〜10においては全ての評価項目において良好な
る結果を示したが。比較例1及び比較例2においては初
期耐汚染性及び汚染除去性に難点が観察された。比較例
3においては硬化塗膜表面に未反応残存単量体のブリー
ドが観察された。また,比較例4においては初期耐汚染
性及び耐水性が著しく悪かった。
【0049】
【表2】
【0050】以上のデータより,本発明のグラフト共重
合体及び塗料が,被塗物の表面に優れた水滴滑り性,撥
水性,防汚性及び初期防汚性を同時に与えることができ
ることは明らかである。
【0051】
【発明の効果】本発明のグラフト共重合体及び塗料は,
造膜したときに基材表面に優れた水滴滑り性,撥水性,
防汚性及び初期耐汚染性を付与することができ,耐候
性,耐薬品性及び光沢等に優れるという特徴を有するこ
とから,各種基材の表面処理に適用することができる。
具体的には,自動車,鉄道車輌,その他の車輌,又は建
築物(住宅,若しくはビル)等の外板又は外壁,また,
便器,洗面器,浴槽,キッチンシンク等の水周り器具,
また,エアコン,冷蔵庫等の熱交換器,また道路標識,
カーブミラー等に適用することができ,防汚性,視認
性,難着氷雪性の改善に有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J027 AA08 AC06 AF05 CB03 CD08 4J038 DL121 GA08 GA12 MA07 MA09 NA01 NA03 NA04 NA05 NA07 PB02 PB05 PB06 PB07 PC02 PC04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) ウレタン結合を介してラジカル重
    合性不飽和結合部分を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂
    2〜66重量%に対して,(B)下記一般式(1): 【化1】 (式中,Rは水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化
    水素基であり,R,R ,R,R,及びRは互
    いに同一でも異なっていてもよい水素原子又は炭素原子
    数1〜10の炭化水素基であり,nは2以上の整数であ
    る)で示される片末端ラジカル重合性ポリシロキサン及
    び/又は下記一般式(2): 【化2】 (式中,Rは水素原子又は炭素原子数1〜10の炭化
    水素基であり,R,R ,R10,R11,及びR
    12は互いに同一でも異なっていてもよい水素原子又は
    炭素原子数1〜10の炭化水素基であり,pは0〜10
    の整数であり,qは2以上の整数である)で示される片
    末端ラジカル重合性ポリシロキサン 4〜40重量%,
    及び(C) 下記一般式(3): 【化3】 (式中,R13は水素原子又は炭素原子数1〜10の炭
    化水素基であり,R14は炭素原子数1〜10の炭化水
    素基であり,及びR15は炭素原子数1〜10の直鎖状
    又は分岐状のハロゲン原子で置換されていてもよい炭化
    水素基であり,lは1以上の整数であり,mは任意の整
    数である)で示される片末端ラジカル重合性アルコキシ
    ポリアルキレングリコール 1〜25重量%,及び
    (D) 成分(A),(B),及び(C)以外のラジカ
    ル重合性単量体 28〜92重量%,をランダム共重合
    してなるグラフト共重合体。
  2. 【請求項2】前記のウレタン結合を介してラジカル重合
    性不飽和結合部分を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂
    (A)が, (A−1)水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂と (A−2)イソシアネート基を有するラジカル重合性単
    量体との反応生成物である請求項1に記載のグラフト共
    重合体。
  3. 【請求項3】前記のイソシアネート基を有するラジカル
    重合性単量体(A−2)が,メタクリロイルイソシアネ
    ート,2−イソシアナトエチルメタクリレート,又はm
    −若しくはp−イソプロペニル−α,α−ジメチルベン
    ジルイソシアネートから選ばれた単量体1種又は2種以
    上である請求項2に記載のグラフト共重合体。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか一項に記載のグラ
    フト共重合体を含有することを特徴とする塗料。
JP10298397A 1998-10-20 1998-10-20 グラフト共重合体及び塗料 Pending JP2000119355A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10298397A JP2000119355A (ja) 1998-10-20 1998-10-20 グラフト共重合体及び塗料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10298397A JP2000119355A (ja) 1998-10-20 1998-10-20 グラフト共重合体及び塗料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000119355A true JP2000119355A (ja) 2000-04-25

Family

ID=17859181

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10298397A Pending JP2000119355A (ja) 1998-10-20 1998-10-20 グラフト共重合体及び塗料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000119355A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001019884A1 (fr) * 1999-09-14 2001-03-22 Daikin Industries, Ltd. Polymere greffe, procede de production dudit polymere, et compositions hydrofuges et oleofuges solubles contenant ledit polymere
WO2006109496A1 (ja) * 2005-04-06 2006-10-19 Jsr Corporation 放射線硬化性樹脂組成物及び反射防止膜
US7638589B2 (en) 2005-12-19 2009-12-29 E. I. Du Pont De Nemours And Company Triazole-containing fluorocarbon-grafted polysiloxanes
JP2018095879A (ja) * 2016-12-15 2018-06-21 ダイキン工業株式会社 撥水剤
JP2020100691A (ja) * 2018-12-20 2020-07-02 中国塗料株式会社 防汚塗料組成物、防汚塗膜、防汚塗膜付き基材、基材の防汚方法および防汚塗膜付き基材の製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001019884A1 (fr) * 1999-09-14 2001-03-22 Daikin Industries, Ltd. Polymere greffe, procede de production dudit polymere, et compositions hydrofuges et oleofuges solubles contenant ledit polymere
JP4815731B2 (ja) * 1999-09-14 2011-11-16 ダイキン工業株式会社 グラフトポリマー、その製法およびそれを用いた溶液型撥水撥油剤組成物
WO2006109496A1 (ja) * 2005-04-06 2006-10-19 Jsr Corporation 放射線硬化性樹脂組成物及び反射防止膜
TWI402281B (zh) * 2005-04-06 2013-07-21 Jsr Corp Radiation hardening resin composition and anti-reflection film
US7638589B2 (en) 2005-12-19 2009-12-29 E. I. Du Pont De Nemours And Company Triazole-containing fluorocarbon-grafted polysiloxanes
JP2018095879A (ja) * 2016-12-15 2018-06-21 ダイキン工業株式会社 撥水剤
JP2020100691A (ja) * 2018-12-20 2020-07-02 中国塗料株式会社 防汚塗料組成物、防汚塗膜、防汚塗膜付き基材、基材の防汚方法および防汚塗膜付き基材の製造方法
JP7335068B2 (ja) 2018-12-20 2023-08-29 中国塗料株式会社 防汚塗料組成物、防汚塗膜、防汚塗膜付き基材、基材の防汚方法および防汚塗膜付き基材の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4049670B2 (ja) 顔料分散用樹脂
EP1153983B1 (en) Top coating composition
JPH06207145A (ja) ポリシロキサン含有バインダー、その製造、それらを含有するコーティング剤及びその使用
JP2006306994A (ja) 水性塗料組成物及び該水性塗料組成物の塗装方法
JP4242531B2 (ja) グラフト共重合体及び組成物
JP2019099728A (ja) 共重合体、レベリング剤、塗料組成物及び塗装物品
JP2002523569A (ja) 原子移動ラジカル重合を使用して調製されるカルバメート官能性ポリマーを含む熱硬化性組成物
JP3830674B2 (ja) グラフト共重合体及び塗料
JPS62283163A (ja) 被覆用樹脂組成物
JP2000119355A (ja) グラフト共重合体及び塗料
KR20010061957A (ko) 페인트 조성물
JP2000136221A (ja) グラフト共重合体及び塗料
JP2001316474A (ja) 水性有機無機複合樹脂組成物の製造方法
JP2003292870A (ja) 被覆組成物及び該被覆組成物を用いた被覆物品
JP2000136222A (ja) グラフト共重合体及び塗料
JP2006131809A (ja) 被覆用組成物及び該被覆用組成物の硬化被膜を有する物品
JP4622042B2 (ja) 塗料用組成物
JP2000212474A (ja) 撥水性塗料用硬化性樹脂組成物及び被塗物
JP2003206437A (ja) 被覆用組成物および塗料
JP2003313426A (ja) 有機無機複合樹脂の水系分散体
JP2000095833A (ja) 一液型自己硬化性撥水性樹脂
JP2550614B2 (ja) フッ素系グラフト重合体硬化性組成物
JP2801504B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、塗料組成物および塗膜形成方法
JP2000034440A (ja) 耐汚染性コーティング剤
JPH09296149A (ja) 上塗り塗料用硬化性組成物、及びそれを用いてなる塗装物

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050118