JP2000130531A - 無段変速機 - Google Patents

無段変速機

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JP2000130531A
JP2000130531A JP10308869A JP30886998A JP2000130531A JP 2000130531 A JP2000130531 A JP 2000130531A JP 10308869 A JP10308869 A JP 10308869A JP 30886998 A JP30886998 A JP 30886998A JP 2000130531 A JP2000130531 A JP 2000130531A
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JP
Japan
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continuously variable
variable transmission
shaft
toroidal
output shaft
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JP10308869A
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English (en)
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Hidetaka Koga
英隆 古賀
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Isuzu Motors Ltd
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Isuzu Motors Ltd
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H37/00Combinations of mechanical gearings, not provided for in groups F16H1/00 - F16H35/00
    • F16H37/02Combinations of mechanical gearings, not provided for in groups F16H1/00 - F16H35/00 comprising essentially only toothed or friction gearings
    • F16H37/06Combinations of mechanical gearings, not provided for in groups F16H1/00 - F16H35/00 comprising essentially only toothed or friction gearings with a plurality of driving or driven shafts; with arrangements for dividing torque between two or more intermediate shafts
    • F16H37/08Combinations of mechanical gearings, not provided for in groups F16H1/00 - F16H35/00 comprising essentially only toothed or friction gearings with a plurality of driving or driven shafts; with arrangements for dividing torque between two or more intermediate shafts with differential gearing
    • F16H37/0833Combinations of mechanical gearings, not provided for in groups F16H1/00 - F16H35/00 comprising essentially only toothed or friction gearings with a plurality of driving or driven shafts; with arrangements for dividing torque between two or more intermediate shafts with differential gearing with arrangements for dividing torque between two or more intermediate shafts, i.e. with two or more internal power paths
    • F16H37/084Combinations of mechanical gearings, not provided for in groups F16H1/00 - F16H35/00 comprising essentially only toothed or friction gearings with a plurality of driving or driven shafts; with arrangements for dividing torque between two or more intermediate shafts with differential gearing with arrangements for dividing torque between two or more intermediate shafts, i.e. with two or more internal power paths at least one power path being a continuously variable transmission, i.e. CVT
    • F16H37/086CVT using two coaxial friction members cooperating with at least one intermediate friction member

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  • Friction Gearing (AREA)
  • Transmission Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は,一方向クラッチを用いて直結段
を得ることで,油圧機構の追加が不要な軽量,省スペー
ス及び低コストの無段変速機を提供する。 【解決手段】 無段変速機のトロイダル変速部1,2の
入力側の主軸3と出力軸26との間に,一方向クラッチ
35が配設されている。トロイダル変速部1,2の最大
変速比のときよりも僅かに小さい変速比のとき,トロイ
ダル変速部1,2の出力回転が減速機構36を経て出力
軸26に生じる回転速度が,主軸3の回転速度と一致す
るように減速機構36の減速比が設定されている。発進
時の高トルク時には,一方向クラッチ35がロックして
主軸3が出力軸26と直結し,トロイダル変速部1,2
を介することなく出力軸26に動力伝達される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,トロイダル変速
部等の無段変速機を有し,発進時のような高トルク伝達
時に入力軸を出力軸に直結し,無段変速機を経由するこ
となくトルクを出力軸に伝達する無段変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来,対向して配置された入力ディスク
と出力ディスク,及び両ディスクに摩擦接触するパワー
ローラからなるトロイダル変速部を備えたトロイダル型
無段変速機が知られている。このトロイダル型無段変速
機においては,パワーローラの傾転角度を変えることに
よって,入力ディスクの回転が無段階に変速されて出力
ディスクに伝達される。
【0003】トロイダル型無段変速機にはトロイダル変
速部を同一軸上に複数組配置するものがあり,特に二組
のトロイダル変速部を並置したものは,所謂,ダブルキ
ャビティ式トロイダル型無段変速機として知られてい
る。図4は,2組のトロイダル変速部1,2を主軸3上
に並べて配置した,従来のダブルキャビティ式トロイダ
ル型無段変速機の一例を示す概略図である。図示された
トロイダル型無段変速機は,例えば,車両のエンジンが
発生させた動力を変速して伝達する変速機として用いら
れている。
【0004】トロイダル変速部1は,入力ディスク4,
入力ディスク4に対向して配置された出力ディスク5,
及び入力ディスク4と出力ディスク5との間に配置され
且つ両ディスク4,5のトロイド曲面に摩擦係合するパ
ワーローラ6から構成されている。トロイダル変速部2
もトロイダル変速部1と同様に,入力ディスク7,入力
ディスク7に対向して配置された出力ディスク8,及び
入力ディスク7と出力ディスク8との間に配置され且つ
両ディスク7,8のトロイド曲面に摩擦係合するパワー
ローラ9から構成されている。各トロイダル変速部1,
2には,パワーローラ6,9がそれぞれ少なくとも2個
設けられている。パワーローラ6,9は,それぞれ自己
の回転軸線10の周りに回転自在であり,且つ回転軸線
10に直交する傾転軸11(紙面に垂直)の回りに傾転
可能である。
【0005】トロイダル変速部1,2において,入力デ
ィスク4,7は,主軸3の軸方向に変位可能で且つ主軸
3と一体回転可能である。エンジンからの動力は,トル
クコンバータ12を介して主軸3と同一軸線上に配置さ
れている入力軸13に入力される。入力軸13の先端に
は周方向に波形に形成されたローディングカム14が配
設されており,ローディングカム14からカムローラ1
5を介して入力ディスク4が回転し,更に主軸3を介し
て入力ディスク7が回転する。したがって,入力ディス
ク7に対して,主軸3は入力軸として機能している。ま
た,ローディングカム14のカム作用によって,入力ト
ルクの大きさに応じて,入力ディスク4,7をパワーロ
ーラ6,9に押し付けるスラスト力(主軸3の軸方向
力)が発生する。上記スラスト力は,入力ディスク4,
7と出力ディスク5,8との間で伝達トルクの大きさに
応じてパワーローラ6,9を挟み付ける。入力ディスク
4,7の回転は,オイルの剪断力に基づいて,パワーロ
ーラ6,9を介して出力ディスク5,8に伝達される。
【0006】トロイダル変速部1,2において,入力デ
ィスク4,7の回転は,パワーローラ6,9の傾転軸1
1の回りの傾転角に応じて出力ディスク5,8に無段階
に変速されて伝達される。パワーローラ6,9は,パワ
ーローラ6,9を支持するトラニオン(図示せず)をそ
の端部に配設された油圧アクチュエータによって傾転軸
11の軸方向に変位させて入力ディスクと出力ディスク
との接触点を変更することにより,傾転軸11の回りに
傾転可能とされる。パワーローラ6,9は,トラニオン
に対して回転自在に且つ揺動自在に支持されており,ス
ラスト力に応じて生じる主軸3の軸方向変位に対応して
揺動することができる。
【0007】出力ディスク5,8は,一体回転できるよ
うに背面同士を連結軸16上にスプライン嵌合等で連結
されている。連結軸16は主軸3に相対回転可能に嵌合
された中空軸であって,該中空軸の中間部にスプロケッ
ト18が一体的に形成されている。また,連結軸16
は,後述するように出力軸26に繋がるものである。出
力ディスク5,8は,連結軸16を介してスラスト方向
及びラジアル方向の荷重を支持する軸受(図示せず)に
よってケーシング19に支持されている。出力ディスク
5,8に伝達された動力は,チェーン伝動機構17,即
ち,スプロケット18からチェーン20及び中間スプロ
ケット21を経て,一端側で中間スプロケット21が取
付けられたカウンタ軸22に取り出される。
【0008】カウンタ軸22の他端には,前進用クラッ
チ23が配設されている。前進用クラッチ23の出力側
は,減速歯車機構33を介して出力軸26に連結されて
いる。減速歯車機構33は,前進用クラッチ23の出力
側が連結されている第1歯車24,及び第1歯車24に
噛み合い且つ変速機全体の出力軸26に取付けられた第
2歯車25から構成されている。前進用クラッチ23は
カウンタ軸22と第1歯車24とを空転状態又はトルク
伝達状態に切り換え可能である。入力ディスク4,7の
回転はトロイダル変速部1,2で逆回転に変換され,出
力ディスク5,8の回転はチェーン伝動機構17から,
カウンタ軸22,減速歯車機構33を介して更に逆転さ
れる。このときの出力軸26の回転は,前進回転とな
る。
【0009】主軸3と出力軸26との間には,遊星歯車
機構27が配設されている。遊星歯車機構27は,主軸
3に連結されたサンギヤ28,サンギヤ28と噛み合う
と共にキャリヤ29を備えたピニオン30,及びピニオ
ン30と噛み合い且つ出力軸26に連結されたリングギ
ヤ31から成っている。キャリヤ29とケーシング19
との間には,キャリヤ29をケーシング19に対して空
転状態又は固定状態に切り換える後進用クラッチ32が
組み込まれている。後進用クラッチ32が作動するとき
には,キャリヤ29がケーシング19に固定されるた
め,ピニオン30については公転が阻止されて自転のみ
可能であり,また,前進クラッチ23は当然にオフとさ
れている。このとき,入力ディスク4,7,即ち,主軸
3の回転は,遊星歯車機構27のサンギヤ28,自転の
み可能なピニオン30,及びリングギヤ31を介して出
力軸26に逆回転状態で伝達される。
【0010】パワーローラ6,9の傾転は,トラニオン
に配設された油圧アクチュエータへ供給される油圧によ
って制御される。油圧アクチュエータへは,例えばスプ
ール弁から成る変速比制御弁から出力される油圧が供給
される。変速比制御弁が各種のセンサによって検出され
た車両の運転状態に対応してコントローラが設定した目
標変速比と,トラニオンの傾転軸に設けられたプリセス
カム等の手段が検出した傾転軸の軸方向変位量及び傾転
軸回転量の合成変位量に応じた現実の変速比とに対応し
て作動することで,変速比のフィードバック制御が行わ
れる。パワーローラ6,9は,傾転軸方向変位量がゼロ
である中立位置にある状態では,パワーローラ6,9の
傾転角はその時の状態を維持しており,変速比はその時
の一定の値を保持している。即ち,この中立位置では,
パワーローラ6,9はその変速比に対応した一定の傾転
角変位量で回動している。変速比は,トラニオンを中立
位置から傾転軸11の軸方向に変位させることによって
変更させることができる。
【0011】図5に示すトロイダル型無段変速機は,図
4に示すトロイダル型無段変速機に,前進用直結クラッ
チ34を配設したものである。前進用直結クラッチ34
は,遊星歯車機構27のリングギヤ31とキャリヤ29
との間に配設されており,前進用直結クラッチ34が作
動したときには,遊星歯車機構27は,キャリヤ29と
リングギヤ31とがロックされるために,一体的に回転
し,出力軸26は主軸3と直結状態となる。なお,この
とき,後進用クラッチ32は当然に非作動状態とされて
いる。前進用直結クラッチ34を配設することにより,
前進段でもトロイダル変速部1,2を経由することな
く,トルクを出力軸26に伝達することができ,伝達効
率を向上することができる。後進用クラッチ32と前進
用直結クラッチ34とを備えた遊星歯車機構27は,前
後進切換装置38を構成している。
【0012】上記のような前進用直結クラッチ34を備
えた無段変速機では,その利点は充分あるものの,前進
時の直結専用にクラッチを部品として追加し,更にその
クラッチを作動するために油圧機構をも追加する必要が
ある。そのため,重量が増大すると共に製造コストが増
加し,クラッチの油圧制御自体も複雑になる。
【0013】入力軸上に設けたトロイダル変速部の入力
側と出力軸とをクラッチを介して断続可能に連結し,ト
ロイダル変速部の出力側と出力軸とを,トロイダル変速
部から出力軸へ向かう動力を伝達することができるワン
ウェイクラッチ及びその動力伝達系選択機構を介して連
結したトロイダル型無段変速機が提案されている(実開
昭62−199557号公報)。このトロイダル型無段
変速機では,エンジンの駆動力をトロイダル変速部を介
して出力軸に伝達する状態,即ち,直結状態以外の通常
の変速状態では,トロイダル変速部の後方に設置される
ワンウェイクラッチを介して駆動力を出力軸に伝達する
ことにより,小さなクラッチ装置で大きなトルク伝達を
確保することを図っている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】そこで,トロイダル型
無段変速機構のような無段変速機構を有する変速機にお
いては,高トルクが伝達されるのは発進時のような出力
軸の回転速度が入力軸の回転速度よりも充分遅いという
回転状態にあることに着目して,無段変速機構を介する
ことなく入力軸から出力軸へ動力を伝達する直結用のク
ラッチとして,回転速度の差で作動又は非作動となる一
方向クラッチを用いることにより,油圧作動による前進
用直結クラッチと同等の作用を得る点で解決すべき課題
がある。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は,上記
問題を解決し,発進時等のトルクコンバータによって得
られる高トルクをそのままトロイダル変速機構のような
無段変速機構に入力することなく,一方向クラッチが前
進直結用のクラッチと同等の働きをするように配設し
て,一方向クラッチを介して入力軸の回転を出力軸に直
接伝達することにより,無段変速機構の高トルク伝達に
よる破損を防止し,従来の前進直結用に配設される摩擦
多板クラッチに比較して,更に直結用クラッチのための
複雑な油圧制御を不要とし,小型化され,軽量で,低コ
ストな無段変速機を提供することである。
【0016】この発明は,入力軸の回転を無段階に変速
する無段変速機構,該無段変速機構の後続に配置され且
つ前記無段変速機構の出力回転を一定の減速比で減速す
る減速機構,及び減速機構の後続に配置された出力軸,
及び前記入力軸と前記出力軸との間に配設された一方向
クラッチを具備し,前記一方向クラッチは,前記入力軸
の回転速度が前記出力軸の回転速度よりも速いときにの
みロックされることから成る無段変速機に関する。
【0017】この無段変速機によれば,一方向クラッチ
は,前記入力軸の回転速度が前記出力軸の回転速度より
も速いときのみにロックされる。したがって,前記入力
軸の回転速度が前記出力軸の回転速度よりも遅いときに
は,一方向クラッチは空転する。このように構成した一
方向クラッチを入力軸と出力軸との間に配設したので,
発進時のような高トルクが必要とされる入力軸の回転が
出力軸よりも速くなるときには,入力軸の回転は自動的
に一方向クラッチを介して出力軸に伝達され,トルクは
トロイダル型無段変速機構のような無段変速機構を介し
て伝達されることがないので,無段変速機構が高トルク
に起因して損傷することがない。
【0018】前記減速機構の前記減速比は,該減速比に
前記無段変速機構の最大変速比を乗じた値が1よりも僅
かに小さい値であるときに,前記入力軸と前記出力軸と
の回転速度が等しくなるように設定されている。このよ
うに減速機構の減速比と無段変速機構の最大変速比との
関係を定めると,発進時には,無段変速機構の変速比は
最も大きな変速比に選択され,この状態では入力軸の回
転速度が出力軸の回転速度よりも大きくなって一方向ク
ラッチが自動的にオンとなり,入力軸の回転は直結状態
で出力軸に伝達される。発進後に通常の走行状態に移行
すると,出力軸の回転速度が僅かに上昇し(即ち,変速
比が小さくなる),一方向クラッチが自動的に非作動状
態となる。入力軸の回転は,無段変速機構及び減速機構
を介して出力軸に伝達される。このときの入力軸からの
伝達トルクは発進時のトルクに比べて充分小さいので,
トロイダル変速部のような無段変速機構を介して伝達し
ても,無段変速機構が損傷することはない。
【0019】前記無段変速機構は,対向して配置された
入力ディスクと出力ディスク,及び前両ディスク間に配
置され且つ前記両ディスクに対する傾転角度に応じて前
記入力ディスクの回転を無段階に変速して前記出力ディ
スクに伝達するパワーローラを有する少なくとも一組の
トロイダル変速部から成るトロイダル型無段変速機構で
ある。
【0020】更に,前記トロイダル型無段変速機構は,
前記入力軸とローディングカムを介して連結された主
軸,及び前記主軸上に並置された二組の前記トロイダル
変速部を有したものであり,前記一方向クラッチが前記
主軸と前記出力軸との間に配設されている。或いは,前
記トロイダル型無段変速機構は,前記入力軸及びローデ
ィングカムに一体的に連結された主軸,及び前記主軸上
に並置された二組の前記トロイダル変速部を有したもの
であり,前記一方向クラッチが前記主軸と前記出力軸と
の間に配設されている。
【0021】
【発明の実施の形態】以下,図面を参照して,この発明
による無段変速機の実施例について説明する。図1はこ
の発明による無段変速機の一実施例を示す概略図であ
り,図2はこの発明による無段変速機による変速比と入
力軸及び出力軸の回転速度との関係を示すグラフであ
る。図1に示した無段変速機は,図4又は図5に示した
無段変速機と比較して,トロイダル型無段変速機構や減
速機構等の基本的な構造については,図4又は図5に示
した従来の無段変速機の構造と同じであるので,同じ構
成要素には同じ符号を付し,それらの構造,及びそれら
の構造に基づく変速比の基本的な制御動作についての再
度の説明を省略する。
【0022】トロイダル変速部1,2は,この発明によ
る無段変速機構を構成しており,前進段では,入力軸1
3の回転はトロイダル変速部1,2によって変速され,
無段変速機構の直接の出力軸である連結軸16の回転
は,減速機構36を経て,出力軸26に伝達される。減
速機構36は,トロイダル変速部1,2の後続に配置さ
れており,主軸3と平行に配設されたカウンタ軸22,
トロイダル変速部1,2の連結軸16とカウンタ軸22
との間に配設されたチェーン伝動機構17,及びカウン
タ軸22と出力軸26との間に配設され且つ第1歯車2
4と第2歯車25とから成る減速歯車機構33から構成
されている。図2のグラフに示すように,車両の発進時
に選択されるようなトロイダル変速部1,2で最大減速
される変速比(最大変速比のこと。なお,変速比=入力
側の回転数/出力側の回転数)e1よりも僅かに小さい
変速比e2 のときに,入力軸13(即ち,主軸3)と出
力軸26との回転速度が同じになるように,減速歯車機
構33のギヤ比が設定されている。即ち,〔トロイダル
変速部1,2における最大変速比e1 〕×〔減速歯車機
構33のギヤ比〕が1よりも僅かに大きく設定されてい
る。前進用クラッチ23は,この発明における無段変速
機構と減速機構とを通じた動力伝達の断続を行うクラッ
チを構成している。
【0023】図1に示した無段変速機においては,主軸
3と出力軸26との間に一方向クラッチ35が配設され
ている。一方向クラッチ35は,主軸3の回転が出力軸
26の回転よりも速いときにロックして,主軸3と出力
軸26とを直結状態とする。反対に,出力軸26の回転
が主軸3の回転よりも速いときには,一方向クラッチ3
5は空転して非作動状態となり,主軸3からのトルクは
出力軸26に伝達されない。出力軸26の後段には,更
に後進用の歯車機構(図示せず)が配設されているが,
その詳細については省略する。
【0024】このように構成された無段変速機を車両に
搭載した場合,発進時のように高いトルクが必要なとき
には,トロイダル変速部1,2及び減速歯車機構33は
減速側,即ち,変速比が最も大きくなるような変速操作
が選択される。このとき,〔トロイダル変速部1,2に
おける変速比e〕×〔減速歯車機構33のギヤ比〕は1
より大きくなっており,トロイダル変速部1,2におけ
る入力軸13(主軸3)の回転数は出力軸26の回転数
より大きく,一方向クラッチ35の作動は自動的にオン
となり,大きなトルクはトロイダル変速部1,2を経由
することなく,一方向クラッチ35を介して入力軸13
(主軸3)と直結状態となった出力軸26に伝達され
る。
【0025】その後,この状態からトロイダル変速部
1,2を増速側に変速させた場合には,前進段の変速状
態に移行する。出力軸26の回転数が上昇していくの
で,変速比eはe2 より小さくなり,〔トロイダル変速
部1,2における変速比e〕×〔減速歯車機構33のギ
ヤ比〕は1より小さくなる。この状態では,出力軸26
の回転が入力軸13の回転よりも速いため,一方向クラ
ッチ35は何らの操作を必要とすることなく,自動的に
空転する。前進用クラッチ23は常にオン状態に作動さ
れているので,トロイダル変速部1,2で変速された回
転が,減速機構36,即ち,チェーン伝動機構17,カ
ウンタ軸22,前進用クラッチ23,及び減速歯車機構
33を介して出力軸26に出力される。前進段の変速状
態では,伝達されるトルクは発進時と比較して充分小さ
く,トルクは,トロイダル変速部1,2を介しても,ト
ロイダル変速部1,2に損傷を与えることなく伝達可能
となる。ここで,エンジンをコースト状態とすると,一
方向クラッチ35は空転するので,トロイダル変速部
1,2を介してエンジンブレーキが作動することにな
る。なお,前進用クラッチ23は,エンジンが停止の牽
引中や登り坂で車両が後ずさりするときのように,無段
変速機が逆転される時,又は停車中に変速させる時以外
は,常時オンとされている。また,前進用クラッチ23
の配設位置は,図のカウンタ軸22と第1歯車24との
間に限らず,第2歯車25の下流側の出力軸26に移し
てもよい。
【0026】この発明による無段変速機の別の実施例を
図3に基づいて説明する。図3は,この発明による無段
変速機の別の実施例を示す概略図である。図3に示す実
施例においては,図1に示した実施例と比較して,主軸
3が入力軸13と一体的に回転すること,入力ディスク
4はローディングカム14によって駆動されるが主軸3
とは連結されていないこと,前進用クラッチ23が出力
軸26の下流に移動している(図示せず)こと,及び出
力軸26には後進用クラッチ32と前進用直結クラッチ
34とを備えた遊星歯車機構27から成る前後進切換装
置38が配設されている点が相違するが,かかる相違点
以外には,実質的に変わるところはないので,同じ構成
要素及び部位には同じ符号を付して,重複する説明を省
略する。また,前後進切換装置38は,図5に示す従来
の無段変速機における,後進用クラッチ32を備えた遊
星歯車機構27と前進用直結クラッチ34とから構成さ
れるものと同様の構造を有している。したがって,一方
向クラッチ35の作動,非作動状態に係わらず前後進を
切り換えることが可能である。
【0027】この発明による無段変速機の実施例におい
ては,無段変速機構としてトロイダル変速部を有するも
のとして説明したが,無段変速機構は,伝達トルクが高
いときに損傷を生じ易いような,他の摩擦車式の変速機
構であってもよいことは,明らかである。また,一定の
減速比を有する減速機構の例として減速歯車機構を挙げ
て説明したが,歯車に限らず,チェーン伝動機構のよう
な他の一定の減速比を有する噛合い式の減速機構であっ
てもよいことも明らかである。
【0028】
【発明の効果】この発明によるトロイダル型無段変速機
は,上記のように構成されているので,次のような効果
を奏する。即ち,この発明による無段変速機において
は,無段変速機構と減速機構とを介した動力の伝達と,
入力軸と出力軸とを直結する一方向クラッチを介した動
力の伝達とが選択的に行われ,且つ一方向クラッチの動
力伝達方向が高回転速度で回転する入力軸から低回転速
度で回転する出力軸への方向に限られているので,油圧
作動による前進用直結クラッチと同等の作用が得られ
る。したがって,発進時には,トルクコンバータによっ
て得られる高トルクは前進直結用としての一方向クラッ
チを介して出力側に伝達され,高トルクがそのままトロ
イダル変速機に導入されるということがないので,トロ
イダル変速機構が高トルク伝達によって破損するのが防
止される。また,従来の前進直結用に配設される摩擦多
板クラッチに比較して,更に直結用クラッチのための複
雑な油圧制御が不要となり,無段変速機が軽量,且つ小
型化され,製造低コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による無段変速機の一実施例を示す概
略図である。
【図2】図1に示す無段変速機の変速比と入力軸及び出
力軸の回転速度との関係を示すグラフである。
【図3】この発明による無段変速機の別の実施例を示す
概略図である。
【図4】従来のトロイダル型無段変速機の概略図であ
る。
【図5】別の従来のトロイダル型無段変速機を示す概略
図である。
【符号の説明】
1,2 トロイダル変速部 3 主軸 4,7 入力ディスク 5,8 出力ディスク 6,9 パワーローラ 11 傾転軸 13 入力軸 14 ローディングカム 16 連結軸 17 チェーン伝動機構 19 ケーシング 23 前進用クラッチ 24 第1歯車 25 第2歯車 26 出力軸 33 減速歯車機構 35 一方向クラッチ 36 減速機構 e1 最大変速比 e2 最大変速比よりも僅かに小さい変速比
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年11月24日(1998.11.
24)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 無段変速機
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,トロイダル変速
部等の無段変速機を有し,発進時のような高トルク伝達
時に入力軸を出力軸に直結し,無段変速機を経由するこ
となくトルクを出力軸に伝達する無段変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来,対向して配置された入力ディスク
と出力ディスク,及び両ディスクに摩擦接触するパワー
ローラからなるトロイダル変速部を備えたトロイダル型
無段変速機が知られている。このトロイダル型無段変速
機においては,パワーローラの傾転角度を変えることに
よって,入力ディスクの回転が無段階に変速されて出力
ディスクに伝達される。
【0003】トロイダル型無段変速機にはトロイダル変
速部を同一軸上に複数組配置するものがあり,特に二組
のトロイダル変速部を並置したものは,所謂,ダブルキ
ャビティ式トロイダル型無段変速機として知られてい
る。図4は,2組のトロイダル変速部1,2を主軸3上
に並べて配置した,従来のダブルキャビティ式トロイダ
ル型無段変速機の一例を示す概略図である。図示された
トロイダル型無段変速機は,例えば,車両のエンジンが
発生させた動力を変速して伝達する変速機として用いら
れている。
【0004】トロイダル変速部1は,入力ディスク4,
入力ディスク4に対向して配置された出力ディスク5,
及び入力ディスク4と出力ディスク5との間に配置され
且つ両ディスク4,5のトロイド曲面に摩擦係合するパ
ワーローラ6から構成されている。トロイダル変速部2
もトロイダル変速部1と同様に,入力ディスク7,入力
ディスク7に対向して配置された出力ディスク8,及び
入力ディスク7と出力ディスク8との間に配置され且つ
両ディスク7,8のトロイド曲面に摩擦係合するパワー
ローラ9から構成されている。各トロイダル変速部1,
2には,パワーローラ6,9がそれぞれ少なくとも2個
設けられている。パワーローラ6,9は,それぞれ自己
の回転軸線10の周りに回転自在であり,且つ回転軸線
10に直交する傾転軸11(紙面に垂直)の回りに傾転
可能である。
【0005】トロイダル変速部1,2において,入力デ
ィスク4,7は,主軸3の軸方向に変位可能で且つ主軸
3と一体回転可能である。エンジンからの動力は,トル
クコンバータ12を介して主軸3と同一軸線上に配置さ
れている入力軸13に入力される。入力軸13の先端に
は周方向に波形に形成されたローディングカム14が配
設されており,ローディングカム14からカムローラ1
5を介して入力ディスク4が回転し,更に主軸3を介し
て入力ディスク7が回転する。したがって,入力ディス
ク7に対して,主軸3は入力軸として機能している。ま
た,ローディングカム14のカム作用によって,入力ト
ルクの大きさに応じて,入力ディスク4,7をパワーロ
ーラ6,9に押し付けるスラスト力(主軸3の軸方向
力)が発生する。上記スラスト力は,入力ディスク4,
7と出力ディスク5,8との間で伝達トルクの大きさに
応じてパワーローラ6,9を挟み付ける。入力ディスク
4,7の回転は,オイルの剪断力に基づいて,パワーロ
ーラ6,9を介して出力ディスク5,8に伝達される。
【0006】トロイダル変速部1,2において,入力デ
ィスク4,7の回転は,パワーローラ6,9の傾転軸1
1の回りの傾転角に応じて出力ディスク5,8に無段階
に変速されて伝達される。パワーローラ6,9は,パワ
ーローラ6,9を支持するトラニオン(図示せず)をそ
の端部に配設された油圧アクチュエータによって傾転軸
11の軸方向に変位させて入力ディスクと出力ディスク
との接触点を変更することにより,傾転軸11の回りに
傾転可能とされる。パワーローラ6,9は,トラニオン
に対して回転自在に且つ揺動自在に支持されており,ス
ラスト力に応じて生じる主軸3の軸方向変位に対応して
揺動することができる。
【0007】出力ディスク5,8は,一体回転できるよ
うに背面同士を連結軸16上にスプライン嵌合等で連結
されている。連結軸16は主軸3に相対回転可能に嵌合
された中空軸であって,該中空軸の中間部にスプロケッ
ト18が一体的に形成されている。また,連結軸16
は,後述するように出力軸26に繋がるものである。出
力ディスク5,8は,連結軸16を介してスラスト方向
及びラジアル方向の荷重を支持する軸受(図示せず)に
よってケーシング19に支持されている。出力ディスク
5,8に伝達された動力は,チェーン伝動機構17,即
ち,スプロケット18からチェーン20及び中間スプロ
ケット21を経て,一端側で中間スプロケット21が取
付けられたカウンタ軸22に取り出される。
【0008】カウンタ軸22の他端には,前進用クラッ
チ23が配設されている。前進用クラッチ23の出力側
は,減速歯車機構33を介して出力軸26に連結されて
いる。減速歯車機構33は,前進用クラッチ23の出力
側が連結されている第1歯車24,及び第1歯車24に
噛み合い且つ変速機全体の出力軸26に取付けられた第
2歯車25から構成されている。前進用クラッチ23は
カウンタ軸22と第1歯車24とを空転状態又はトルク
伝達状態に切り換え可能である。入力ディスク4,7の
回転はトロイダル変速部1,2で逆回転に変換され,出
力ディスク5,8の回転はチェーン伝動機構17から,
カウンタ軸22,減速歯車機構33を介して更に逆転さ
れる。このときの出力軸26の回転は,前進回転とな
る。
【0009】主軸3と出力軸26との間には,遊星歯車
機構27が配設されている。遊星歯車機構27は,主軸
3に連結されたサンギヤ28,サンギヤ28と噛み合う
と共にキャリヤ29を備えたピニオン30,及びピニオ
ン30と噛み合い且つ出力軸26に連結されたリングギ
ヤ31から成っている。キャリヤ29とケーシング19
との間には,キャリヤ29をケーシング19に対して空
転状態又は固定状態に切り換える後進用クラッチ32が
組み込まれている。後進用クラッチ32が作動するとき
には,キャリヤ29がケーシング19に固定されるた
め,ピニオン30については公転が阻止されて自転のみ
可能であり,また,前進クラッチ23は当然にオフとさ
れている。このとき,入力ディスク4,7,即ち,主軸
3の回転は,遊星歯車機構27のサンギヤ28,自転の
み可能なピニオン30,及びリングギヤ31を介して出
力軸26に逆回転状態で伝達される。
【0010】パワーローラ6,9の傾転は,トラニオン
に配設された油圧アクチュエータへ供給される油圧によ
って制御される。油圧アクチュエータへは,例えばスプ
ール弁から成る変速比制御弁から出力される油圧が供給
される。変速比制御弁が各種のセンサによって検出され
た車両の運転状態に対応してコントローラが設定した目
標変速比と,トラニオンの傾転軸に設けられたプリセス
カム等の手段が検出した傾転軸の軸方向変位量及び傾転
軸回転量の合成変位量に応じた現実の変速比とに対応し
て作動することで,変速比のフィードバック制御が行わ
れる。パワーローラ6,9は,傾転軸方向変位量がゼロ
である中立位置にある状態では,パワーローラ6,9の
傾転角はその時の状態を維持しており,変速比はその時
の一定の値を保持している。即ち,この中立位置では,
パワーローラ6,9はその変速比に対応した一定の傾転
角変位量で回動している。変速比は,トラニオンを中立
位置から傾転軸11の軸方向に変位させることによって
変更させることができる。
【0011】図5に示すトロイダル型無段変速機は,図
4に示すトロイダル型無段変速機に,前進用直結クラッ
チ34を配設したものである。前進用直結クラッチ34
は,遊星歯車機構27のリングギヤ31とキャリヤ29
との間に配設されており,前進用直結クラッチ34が作
動したときには,遊星歯車機構27は,キャリヤ29と
リングギヤ31とがロックされるために,一体的に回転
し,出力軸26は主軸3と直結状態となる。なお,この
とき,後進用クラッチ32は当然に非作動状態とされて
いる。前進用直結クラッチ34を配設することにより,
前進段でもトロイダル変速部1,2を経由することな
く,トルクを出力軸26に伝達することができ,伝達効
率を向上することができる。後進用クラッチ32と前進
用直結クラッチ34とを備えた遊星歯車機構27は,前
後進切換装置38を構成している。
【0012】上記のような前進用直結クラッチ34を備
えた無段変速機では,その利点は充分あるものの,前進
時の直結専用にクラッチを部品として追加し,更にその
クラッチを作動するために油圧機構をも追加する必要が
ある。そのため,重量が増大すると共に製造コストが増
加し,クラッチの油圧制御自体も複雑になる。
【0013】入力軸上に設けたトロイダル変速部の入力
側と出力軸とをクラッチを介して断続可能に連結し,ト
ロイダル変速部の出力側と出力軸とを,トロイダル変速
部から出力軸へ向かう動力を伝達することができるワン
ウェイクラッチ及びその動力伝達系選択機構を介して連
結したトロイダル型無段変速機が提案されている(実開
昭62−199557号公報)。このトロイダル型無段
変速機では,エンジンの駆動力をトロイダル変速部を介
して出力軸に伝達する状態,即ち,直結状態以外の通常
の変速状態では,トロイダル変速部の後方に設置される
ワンウェイクラッチを介して駆動力を出力軸に伝達する
ことにより,小さなクラッチ装置で大きなトルク伝達を
確保することを図っている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】そこで,トロイダル型
無段変速機構のような無段変速機構を有する変速機にお
いては,高トルクが伝達されるのは発進時のような出力
軸の回転速度が入力軸の回転速度よりも充分遅いという
回転状態にあることに着目して,無段変速機構を介する
ことなく入力軸から出力軸へ動力を伝達する直結用のク
ラッチとして,回転速度の差で作動又は非作動となる一
方向クラッチを用いることにより,油圧作動による前進
用直結クラッチと同等の作用を得る点で解決すべき課題
がある。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は,上記
問題を解決し,発進時等のトルクコンバータによって得
られる高トルクをそのままトロイダル変速機構のような
無段変速機構に入力することなく,一方向クラッチが前
進直結用のクラッチと同等の働きをするように配設し
て,一方向クラッチを介して入力軸の回転を出力軸に直
接伝達することにより,無段変速機構の高トルク伝達に
よる破損を防止し,従来の前進直結用に配設される摩擦
多板クラッチに比較して,更に直結用クラッチのための
複雑な油圧制御を不要とし,小型化され,軽量で,低コ
ストな無段変速機を提供することである。
【0016】この発明は,入力軸の回転を無段階に変速
する無段変速機構,該無段変速機構の後続に配置され且
つ前記無段変速機構の出力回転を一定の減速比で減速す
る減速機構,及び減速機構の後続に配置された出力軸,
及び前記入力軸と前記出力軸との間に配設された一方向
クラッチを具備し,前記一方向クラッチは,前記入力軸
の回転速度が前記出力軸の回転速度よりも速いときにの
みロックされることから成る無段変速機に関する。
【0017】この無段変速機によれば,一方向クラッチ
は,前記入力軸の回転速度が前記出力軸の回転速度より
も速いときのみにロックされる。したがって,前記入力
軸の回転速度が前記出力軸の回転速度よりも遅いときに
は,一方向クラッチは空転する。このように構成した一
方向クラッチを入力軸と出力軸との間に配設したので,
発進時のような高トルクが必要とされる入力軸の回転が
出力軸よりも速くなるときには,入力軸の回転は自動的
に一方向クラッチを介して出力軸に伝達され,トルクは
トロイダル型無段変速機構のような無段変速機構を介し
て伝達されることがないので,無段変速機構が高トルク
に起因して損傷することがない。
【0018】前記減速機構の前記減速比は,該減速比に
前記無段変速機構の最大変速比を乗じた値が1よりも僅
かに大きい値であるときに,前記入力軸と前記出力軸と
の回転速度が等しくなるように設定されている。このよ
うに減速機構の減速比と無段変速機構の最大変速比との
関係を定めると,発進時には,無段変速機構の変速比は
最も大きな変速比に選択され,この状態では入力軸の回
転速度が出力軸の回転速度よりも大きくなって一方向ク
ラッチが自動的にオンとなり,入力軸の回転は直結状態
で出力軸に伝達される。発進後に通常の走行状態に移行
すると,出力軸の回転速度が僅かに上昇し(即ち,変速
比が小さくなる),一方向クラッチが自動的に非作動状
態となる。入力軸の回転は,無段変速機構及び減速機構
を介して出力軸に伝達される。このときの入力軸からの
伝達トルクは発進時のトルクに比べて充分小さいので,
トロイダル変速部のような無段変速機構を介して伝達し
ても,無段変速機構が損傷することはない。
【0019】前記無段変速機構は,対向して配置された
入力ディスクと出力ディスク,及び前両ディスク間に配
置され且つ前記両ディスクに対する傾転角度に応じて前
記入力ディスクの回転を無段階に変速して前記出力ディ
スクに伝達するパワーローラを有する少なくとも一組の
トロイダル変速部から成るトロイダル型無段変速機構で
ある。
【0020】更に,前記トロイダル型無段変速機構は,
前記入力軸とローディングカムを介して連結された主
軸,及び前記主軸上に並置された二組の前記トロイダル
変速部を有したものであり,前記一方向クラッチが前記
主軸と前記出力軸との間に配設されている。或いは,前
記トロイダル型無段変速機構は,前記入力軸及びローデ
ィングカムに一体的に連結された主軸,及び前記主軸上
に並置された二組の前記トロイダル変速部を有したもの
であり,前記一方向クラッチが前記主軸と前記出力軸と
の間に配設されている。
【0021】
【発明の実施の形態】以下,図面を参照して,この発明
による無段変速機の実施例について説明する。図1はこ
の発明による無段変速機の一実施例を示す概略図であ
り,図2はこの発明による無段変速機による変速比と入
力軸及び出力軸の回転速度との関係の一例を示すグラフ
である。図1に示した無段変速機は,図4又は図5に示
した無段変速機と比較して,トロイダル型無段変速機構
や減速機構等の基本的な構造にっいては,図4又は図5
に示した従来の無段変速機の構造と同じであるので,同
じ構成要素には同じ符号を付し,それらの構造,及びそ
れらの構造に基づく変速比の基本的な制御動作について
の再度の説明を省略する。
【0022】トロイダル変速部1,2は,この発明によ
る無段変速機構を構成しており,前進段では,入力軸1
3の回転はトロイダル変速部1,2によって変速され,
無段変速機構の直接の出力軸である連結軸16の回転
は,減速機構36を経て,出力軸26に伝達される。減
速機構36は,トロイダル変速部1,2の後続に配置さ
れており,主軸3と平行に配設されたカウンタ軸22,
トロイダル変速部1,2の連結軸16とカウンタ軸22
との間に配設されたチェーン伝動機構17,及びカウン
タ軸22と出力軸26との間に配設され且つ第1歯車2
4と第2歯車25とから成る減速歯車機構33から構成
されている。図2のグラフに示すように,車両の発進時
に選択されるようなトロイダル変速部1,2で最大減速
される変速比(最大変速比のこと。なお,変速比=入力
側の回転数/出力側の回転数)eよりも僅かに小さい
変速比eのときに,入力軸13(即ち,主軸3)と出
力軸26との回転速度が同じになるように,減速機構3
6のギヤ比が設定されている。即ち,〔トロイダル変速
部1,2における最大変速比e〕×〔減速機構36の
ギヤ比〕が1よりも僅かに大きく設定されている。前進
用クラッチ23は,この発明における無段変速機構と減
速機構とを通じた動力伝達の断続を行うクラッチを構成
している。
【0023】図1に示した無段変速機においては,主軸
3と出力軸26との間に一方向クラッチ35が配設され
ている。一方向クラッチ35は,主軸3の回転が出力軸
26の回転よりも速いときにロックして,主軸3と出力
軸26とを直結状態とする。反対に,出力軸26の回転
が主軸3の回転よりも速いときには,一方向クラッチ3
5は空転して非作動状態となり,主軸3からのトルクは
一方向クラッチ35を介しては出力軸26に伝達されな
い。出力軸26の後段には,更に後進用の歯車機構(図
示せず)が配設されているが,その詳細については省略
する。
【0024】このように構成された無段変速機を車両に
搭載した場合,発進時のように高いトルクが必要なとき
には,トロイダル変速部1,2及び減速機構36は減速
側,即ち,変速比が最も大きくなるような変速操作が選
択される。このとき,〔トロイダル変速部1,2におけ
る変速比e〕×〔減速機構36のギヤ比〕は1より僅か
に大きくなっており,トロイダル変速部1,2における
入力軸13(主軸3)の回転数は出力軸26の回転数よ
り大きく,一方向クラッチ35の作動は自動的にオンと
なり,大きなトルクはトロイダル変速部1,2を経由す
ることなく,一方向クラッチ35を介して入力軸13
(主軸3)と直結状態となった出力軸26に伝達され
る。
【0025】その後,この状態からトロイダル変速部
1,2を増速側に変速させた場合には,前進段の変速状
態に移行する。出力軸26の回転数が上昇していくの
で,変速比eはeより小さくなり,〔トロイダル変速
部1,2における変速比e〕×〔減速機構36のギヤ
比〕は1より小さくなる。この状態では,出力軸26の
回転が入力軸13の回転よりも速いため,一方向クラッ
チ35は何らの操作を必要とすることなく,自動的に空
転する。前進用クラッチ23は常にオン状態に作動され
ているので,トロイダル変速部1,2で変速された回転
が,減速機構36,即ち,チェーン伝動機構17,カウ
ンタ軸22,前進用クラッチ23,及び減速歯車機構3
3を介して出力軸26に出力される。前進段の変速状態
では,伝達されるトルクは発進時と比較して充分小さ
く,トルクは,トロイダル変速部1,2を介しても,ト
ロイダル変速部1,2に損傷を与えることなく伝達可能
となる。ここで,エンジンをコースト状態とすると,一
方向クラッチ35は空転するので,トロイダル変速部
1,2を介してエンジンブレーキが作動することにな
る。なお,前進用クラッチ23は,エンジンが停止の牽
引中や登り坂で車両が後ずさりするときのように,無段
変速機が逆転される時,又は停車中に変速させる時以外
は,常時オンとされている。また,前進用クラッチ23
の配設位置は,図のカウンタ軸22と第1歯車24との
間に限らず,第2歯車25の下流側の出力軸26に移し
てもよい。
【0026】この発明による無段変速機の別の実施例を
図3に基づいて説明する。図3は,この発明による無段
変速機の別の実施例を示す概略図である。図3に示す実
施例においては,図1に示した実施例と比較して,主軸
3が入力軸13と一体的に回転すること,入力ディスク
4はローディングカム14によって駆動されるが主軸3
とは連結されていないこと,前進用クラッチ23が出力
軸26の下流に移動している(図示せず)こと,及び出
力軸26には後進用クラッチ32と前進用直結クラッチ
34とを備えた遊星歯車機構27から成る前後進切換装
置38が配設されている点が相違するが,かかる相違点
以外には,実質的に変わるところはないので,同じ構成
要素及び部位には同じ符号を付して,重複する説明を省
略する。また,前後進切換装置38は,図5に示す従来
の無段変速機における,後進用クラッチ32を備えた遊
星歯車機構27と前進用直結クラッチ34とから構成さ
れるものと同様の構造を有している。したがって,一方
向クラッチ35の作動,非作動状態に係わらず前後進を
切り換えることが可能である。
【0027】この発明による無段変速機の実施例におい
ては,無段変速機構としてトロイダル変速部を有するも
のとして説明したが,無段変速機構は,伝達トルクが高
いときに損傷を生じ易いような,他の摩擦車式の変速機
構であってもよいことは,明らかである。また,一定の
減速比を有する減速機構の例として減速歯車機構を挙げ
て説明したが,歯車に限らず,チェーン伝動機構のよう
な他の一定の減速比を有する噛合い式の減速機構であっ
てもよいことも明らかである。
【0028】
【発明の効果】この発明によるトロイダル型無段変速機
は,上記のように構成されているので,次のような効果
を奏する。即ち,この発明による無段変速機において
は,無段変速機構と減速機構とを介した動力の伝達と,
入力軸と出力軸とを直結する一方向クラッチを介した動
力の伝達とが選択的に行われ,且つ一方向クラッチの動
力伝達方向が高回転速度で回転する入力軸から低回転速
度で回転する出力軸への方向に限られているので,油圧
作動による前進用直結クラッチと同等の作用が得られ
る。したがって,発進時には,トルクコンバータによっ
て得られる高トルクは前進直結用としての一方向クラッ
チを介して出力側に伝達され,高トルクがそのままトロ
イダル変速機に導入されるということがないので,トロ
イダル変速機構が高トルク伝達によって破損するのが防
止される。また,従来の前進直結用に配設される摩擦多
板クラッチに比較して,更に直結用クラッチのための複
雑な油圧制御が不要となり,無段変速機が軽量,且つ小
型化され,製造低コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による無段変速機の一実施例を示す概
略図である。
【図2】図1に示す無段変速機の変速比と入力軸及び出
力軸の回転速度との関係の一例を示すグラフである。
【図3】この発明による無段変速機の別の実施例を示す
概略図である。
【図4】従来のトロイダル型無段変速機の概略図であ
る。
【図5】別の従来のトロイダル型無段変速機を示す概略
図である。
【符号の説明】 1,2 トロイダル変速部 3 主軸 4,7 入力ディスク 5,8 出力ディスク 6,9 パワーローラ 11 傾転軸 13 入力軸 14 ローディングカム 16 連結軸 17 チェーン伝動機構 19 ケーシング 23 前進用クラッチ 24 第1歯車 25 第2歯車 26 出力軸 33 減速歯車機構 35 一方向クラッチ 36 減速機構 e 最大変速比 e 最大変速比よりも僅かに小さい変速比
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力軸の回転を無段階に変速する無段変
    速機構,該無段変速機構の後続に配置され且つ前記無段
    変速機構の出力回転を一定の減速比で減速する減速機
    構,及び減速機構の後続に配置された出力軸,及び前記
    入力軸と前記出力軸との間に配設された一方向クラッチ
    を具備し,前記一方向クラッチは,前記入力軸の回転速
    度が前記出力軸の回転速度よりも速いときにのみロック
    されることから成る無段変速機。
  2. 【請求項2】 前記減速機構の前記減速比は,該減速比
    に前記無段変速機構の最大変速比を乗じた値が1よりも
    僅かに小さい値であるときに,前記入力軸と前記出力軸
    との回転速度が等しくなるように設定されていることか
    ら成る請求項1に記載の無段変速機。
  3. 【請求項3】 前記無段変速機構は,対向して配置され
    た入力ディスクと出力ディスク,及び前両ディスク間に
    配置され且つ前記両ディスクに対する傾転角度に応じて
    前記入力ディスクの回転を無段階に変速して前記出力デ
    ィスクに伝達するパワーローラを有する少なくとも一組
    のトロイダル変速部から成るトロイダル型無段変速機構
    であることから成る請求項1又は2に記載の無段変速
    機。
  4. 【請求項4】 前記トロイダル型無段変速機構は,前記
    入力軸とローディングカムを介して連結された主軸,及
    び前記主軸上に並置された二組の前記トロイダル変速部
    を有しており,前記一方向クラッチは前記主軸と前記出
    力軸との間に配設されていることから成る請求項3に記
    載の無段変速機。
  5. 【請求項5】 前記トロイダル型無段変速機構は,前記
    入力軸及びローディングカムに一体的に連結された主
    軸,及び前記主軸上に並置された二組の前記トロイダル
    変速部を有しており,前記一方向クラッチは前記主軸と
    前記出力軸との間に配設されていることから成る請求項
    3に記載の無段変速機。
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