JP2000110278A - 音響拡散板並びに該音響拡散板を用いた室内音響構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 室内空間を周波数によるムラのない美しい音
が響くような音響特性に後付け施工により容易に改善す
ることができるようにした音響拡散板並びに該音響拡散
板を用いた室内音響構造を提供する。 【解決手段】 音響拡散板１を方形状の骨組みされた取
付枠２と、この取付枠２に設けた凸状の拡散面３ａを形
成する反射板３との一体構造にする。この音響拡散板１
を室内空間Ｒの壁面Ｗまたは天井面に組付け配置する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、例えば建物のリ
ビングルームなどの室内壁面または天井面に用いられる
音響拡散板並びに該音響拡散板を用いた室内音響構造に
関し、特に、既設の室内空間における音響特性の改善を
図るようにしたものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、音響特性を考慮せずに建築され
た通常工法の建物の室内、例えばリビングルームなどの
室内空間では、音の集中や繰返し反射などが発生するた
めに、音が聴き取りにくいという障害がある。特に、既
設の室内空間の壁面間が互いに平行に対峙している場
合、壁面に入射したきた音が同一方向へ繰り返し反射す
るために、フラッターエコー現象が発生し、壁面間の距
離に応じて特定の周波数の音のみが響き、これによっ
て、室内空間が周波数によるムラのある癖の悪い音響特
性となる。

【０００３】このような既設の室内空間の音響特性を改
善するには、通常、室内空間の一方の壁面を斜めに後付
け施工して、平行な壁面を造らないないように内装した
り、あるいは、片側の壁面に吸音材料を貼っている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、既設の
室内空間の一方の壁面を後付け施工により斜めに内装し
て音響特性を改善するには、多大な費用が掛かり、しか
も、これによって、室内空間が狭くなるばかりでなく、
斜めの壁面による異和感で居住性及び快適性に影響を及
ぼす。

【０００５】また、既設の室内空間の壁面に吸音材料を
貼って音響特性を改善した場合、室内空間全体の吸音率
が高くなり、逆に音が響かなくなる。

【０００６】この発明は、上記の事情に鑑みてなされた
もので、室内空間を周波数によるムラのない美しい音が
響くような音響特性に後付け施工により容易に改善する
ことができるようにした音響拡散板並びに該音響拡散板
を用いた室内音響構造を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために、この発明に係る音響拡散板は、請求項１に記載
の発明において、方形状の骨組みされた取付枠と、この
取付枠に設けた凸状の拡散面を形成する反射板との一体
構造を有することを特徴とするものである。

【０００８】請求項２に記載の発明は、請求項１に記載
の発明において、前記反射板の拡散面を三角屋根状の凸
面に形成してなることを特徴とするものである。

【０００９】請求項３に記載の発明は、請求項１に記載
の発明において、前記反射板の拡散面を寄棟屋根状の凸
面に形成してなることを特徴とするものである。

【００１０】請求項４に記載の発明は、請求項１に記載
の発明において、前記反射板の拡散面を円弧状の凸面に
形成してなることを特徴とするものである。

【００１１】請求項５に記載の発明は、方形状に骨組み
された取付枠と、この取付枠に設けた凸状の拡散面を形
成する反射板とを有する音響拡散板を用い、この音響拡
散板を室内空間の壁面に組付け配置してなることを特徴
とするものである。

【００１２】すなわち、この発明の音響拡散板は、方形
状に骨組みされた取付枠と、凸状の拡散面を形成する反
射板とを有する一体構造の形態からなるために、音響拡
散板を室内空間の壁面または天井面に沿って後付け施工
によって組付け配置することにより、音源から入射して
きた音を反射板で拡散反射させ、室内音場で音響エネル
ギを室内全体に均一に分布させることが可能になる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて詳細に説明すると、図１及び図２は、この
発明に係る音響拡散板の全体構成を示す。

【００１４】この音響拡散板１は、正方形の方形に骨組
みされた取付枠２と、この取付枠２に設けた反射板３と
の一体構造を有し、この反射板３は、三角屋根状の傾斜
凸面に形成された拡散面３ａからなる形態を有するとと
もに、例えば天然木材あるいは合板、（ＭＤＦ）、パー
ティクルボード等の木質材料、またはＦＲＰ、スチレン
樹脂その他の発泡体等のプラスチック材料などを用いて
形成されている。

【００１５】この場合、音響拡散板１を構成する取付枠
２の大きさは、縦及び横の寸法が３００〜１８００ｍ
ｍ、好ましくは９００×９００ｍｍの正方形、または９
００×１８００ｍｍの長方形で、反射板３の拡散面３ａ
の傾斜勾配の幅（突出高さ）は、縦及び横の寸法に応じ
て傾斜勾配が１／５から１／２０の範囲、例えば縦及び
横の寸法が９００×９００ｍｍまたは９００×１８００
ｍｍのものでは、傾斜勾配が１／１０、すなわち、幅
（突出高さ）が９０ｍｍに設定されるようになってい
る。

【００１６】そして、音響拡散板１は、図２に示すよう
に、室内空間Ｒの壁面Ｗを形成する下地材Ｐ，Ｐ間に取
付枠２の一方の側端２ａをジョイナ、Ｔバーなどの固定
具４を介して保持し、その他方の側端２ｂをタッカー５
により固定することにより組み付けられるようになって
いる。

【００１７】すなわち、上記した音響拡散板１は、音源
１００から入射する音Ｓを反射板３の拡散面３ａの傾斜
勾配に応じた異方向に反射させるようになっているもの
で、図３に示すように、例えばリビングルームなどの音
響特性を考慮せずに建築された既設の建物の室内空間Ｒ
の壁面Ｗ１，Ｗ２間が互いに平行に対峙している場合に
は、その一方の壁面Ｗ１に組付け配置して施工すること
により、室内空間Ｒの音響特性の改善が後付け施工によ
って簡便かつ容易に行えるようにしてなるものである。

【００１８】図４及び図５は、この発明に係る音響拡散
板１の他の実施形態を示す。図４の実施形態は、反射板
３の拡散面３ａを寄棟屋根状の凸面に形成した例を示
し、図５の実施形態は、反射板３の拡散面３ａを円弧状
の凸面に形成してなる例をそれぞれ示す。

【００１９】また、図６は、この発明に係る音響拡散板
１による室内施工状態の他の実施形態を示すもので、室
内空間Ｒの互いに対峙する壁面Ｗ１，Ｗ２に、例えば図
１及び図５に示すような反射板３の拡散面３ａが異なる
音響拡散板１，１をそれぞれ組付け配置することによ
り、室内空間Ｒの音響特性を一段と向上させるようにし
てなるものである。

【００２０】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、この発
明に係る音響拡散板は、方形状に骨組みされた取付枠
と、凸状の拡散面を形成する反射板とを有する一体構造
の形態からなることから、音源から入射してきた音を反
射板の拡散面で拡散反射させることができる。

【００２１】また、音響拡散板を室内空間の壁面または
天井面に組付け配置することにより、音源から入射して
きた音を反射板の凸状の拡散面を拡散反射させることが
できるために、室内音場で音響エネルギを室内全体に均
一に分布させることができ、従前のような同一方向への
繰り返し反射によって発生するフラッターエコー現象を
防止することができる。これによって、障害や周波数に
よるムラのない美しい音を響かせることができるため
に、既設の室内空間の音響特性の改善を最適にすること
ができるとともに、後付け施工も容易にかつ簡便に行う
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明に係る音響拡散板の一実施形態を示
す説明図。

【図２】 同じく音響拡散板の横断面図。

【図３】 この発明に係る音響拡散板を用いた室内への
施工状態の一実施形態を示す説明図。

【図４】 同じく音響拡散板の他の実施形態を示す説明
図。

【図５】 同じく音響拡散板の他の実施形態を示す説明
図。

【図６】 この発明に係る音響拡散板を用いた室内への
施工状態の他の実施形態を示す説明図。

【符号の説明】

１ 音響拡散板 ２ 取付枠 ３ 反射板 ３ａ 拡散面 １００ 音源 Ｒ 室内空間 Ｓ 音 Ｗ 壁面。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】方形状の骨組みされた取付枠と、この取付
   枠に設けた凸状の拡散面を形成する反射板との一体構造
   を有することを特徴とする音響拡散板。
2. 【請求項２】前記反射板の拡散面を三角屋根状の凸面に
   形成してなることを特徴とする請求項１に記載の音響拡
   散板。
3. 【請求項３】前記反射板の拡散面を寄棟屋根状の凸面に
   形成してなることを特徴とする請求項１に記載の音響拡
   散板。
4. 【請求項４】前記反射板の拡散面を円弧状の凸面に形成
   してなることを特徴とする請求項１に記載の音響拡散
   板。
5. 【請求項５】方形状に骨組みされた取付枠と、この取付
   枠に設けた凸状の拡散面を形成する反射板とを有する音
   響拡散板を用い、この音響拡散板を室内空間の壁面に組
   付け配置してなることを特徴とする室内音響構造。