JP2009105932A - 音波拡散装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スピーカ載置台10と、音波拡散体20と、それらを挟み込むようにして取り付けられた2つの支柱部30とを備えている。2つの支柱部30の間の距離と、各々の支柱部30の高さは伸縮自在となっている。そして、スピーカ載置台10に、音波放射面を上に向けてスピーカを載置することができ、その音波放射面に対する音波拡散体20の傾斜角度を自在に調節できるようになっている。
【選択図】図1
Description
最も一般的に行なわれているのは、音波放射面を室内の天井に向けてスピーカを備え付けるというものである。スピーカの音波放射面が天井に向けられた場合、スピーカから放射される音の多くは、天井を経由する際に音の虚像を生み出し、残響音を付加する効果が得られる。
一方、スピーカの配置を室内の形状に合わせるのではなく、スピーカ自体に音を拡散させる特殊な機能を搭載させるといった試みもなされている。この種の機能を搭載したスピーカを開示した文献として、例えば特許文献1がある。
この文献に開示された拡散器は、スピーカの前面に上下方向に延びた支持部材を固定し、この支持部材を回転軸として回転し得るように、一対の矩形状の拡散板の各端部を支持部材に取り付けてなるものである。この拡散器によれば、スピーカから放射された音波を、2枚の拡散板の裏面を介してスピーカの側方に拡散させることができる。また、両拡散板はスピーカの前面の支持部材を回転軸として回動自在に取り付けられているので、音の広がり具合が最も良好となる傾きに適宜調節することもできるようになっている。
これに対し、天井で反射された音が他の壁面を経由してからリスナーに到達するような入射角度にすることで十分な経路長(伝播距離)を確保すべく、スピーカの音波放射面を天井に対して幾分傾けて配置するといった試みも一部行なわれてはいるものの、ほとんどのスピーカが傾斜角度を調整する機能を搭載していない中で、好適な傾斜角度を見つけ出し、その傾斜角度を保持したままスピーカを室内に固定するといった作業を行なうのは煩わしさに耐えない。
一方、特許文献1に開示されたような拡散器を備え付けたスピーカであれば、天井への入射角度を調節することは比較的容易であり、小規模空間に設置する際のデメリットを回避できる。しかしながら、現実にはこのような拡張器を備え付けたスピーカは極めて少ないため、小規模空間において十分な音場効果の実現を希望するとなると、極めて限定された選択肢の中から室内に設置すべきスピーカを選ばなければならなかった。
本発明は、このような背景の下に案出されたものであり、小規模空間にいかなる種別のスピーカを配置する場合であっても、そのスピーカと組み合わせて使用されることで良好な音場効果を実現することができる音波拡散装置を提供することを目的とする。
この態様において、前記音波拡散体を板状の部材によって形成してもよいし、前記音波拡散体を前記音波放射面に向けて湾曲させた部材により形成してもよい。
また、前記支柱における前記音波拡散体を支持した部位と当該支柱の下端との距離を伸縮自在としてもよい。更に、前記音波拡散体は2つの支柱によって挟持され、前記2つの支柱間の距離を伸縮自在としてもよい。
本発明の別の好適な態様である音波拡散装置は、音波拡散体と、前記音波拡散体を、スピーカの音波放射領域の位置と前記音波放射領域外の位置の間において移動自在に支持する支持部とを備え、前記音波拡散体を、前記スピーカと対向する面が凸形状となるように湾曲させた部材により形成したことを特徴としている。
以下、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態にかかる音波拡散装置は、様々なサイズ、形状のスピーカと自在に組み合わせて使用することが可能となっており、その特徴は、スピーカから放射された音波を拡散させることで、良好な音場効果を付与する点にある。
図1は、本実施形態にかかる音波拡散装置を示す正面図である。また、図2は、音波拡散装置を示す側面図である。
図に示されるように、この音波拡散装置は、スピーカ載置台10と、音波拡散体20と、それらを挟み込むようにして取り付けられた2つの支柱部30とを備えている。
スピーカ載置台10は、板状の部材によって形成されており、その左側端面の中央下寄りの位置から右側端面の中央下寄りの位置に向けて貫通する挿通穴11が設けられている。
音波拡散体20は、板状の部材によって形成されており、その左側端面から右側端面に向けて貫通する挿通穴21と22がそれぞれ設けられている。
一方、支柱部30の各々は、略直方体形状の基底部31の後端に四角柱体32を立設し、この四角柱体32の上端から中ほどにかけて設けられた垂下穴33に、拡散体支持部34の一部を垂下してなる。拡散体支持部34は、棒体34aと34bとを連結してなり、棒体34bの一部が垂下穴33に垂下されている。そして、この棒体34bの下端には、図示しない鍔が設けられる一方、四角柱体32の垂下穴33の上端付近には、鍔を係止することで棒体34bの抜脱を防止する、図示しないストッパが突設されている。四角柱体32の下端から拡散体支持部34までの距離(高さ)は、垂下された棒体34bの位置を垂下穴33に沿って上下方向に変位させることによって、自在に伸縮させることができる。更に、棒体34aと棒体34bの連結部位34cは、ヒンジ機構によって両者を掛け止めており、これにより、棒体34aは、連結部位34cを支点として前後方向に回動自在となっている。なお、以降の説明では、音波拡散体20を構成する各面のうち、支柱部30の連結部位34cが前方向に回動された際に上を向く面を「表面」と呼び、支柱部30の連結部位34cが前方向に回動された際に下を向く面を「裏面」と呼ぶ。
支柱部30の竿体35乃至37の端には、図示しない鍔が設けられると共に、音波拡散体20の挿通穴21と22の左右両端付近、及びスピーカ載置台10の挿通穴11の左右両端付近には、鍔を係止することで竿体の抜脱を防止する、図示しないストッパが突設されている。音波拡散体20を挟持する両支柱部30の間の距離は、挿入された竿体の位置を挿通穴に沿って左右方向に変位させることによって、自在に伸縮させることができる。
図3は、音波拡散装置の設置手順を示すフローチャートである。
音波拡散装置の設置者(以下、「設置者」と呼ぶ)は、まず、室内にて音波拡散装置と共に用いるスピーカを選択する(S100)。
続いて、設置者は、選択したスピーカのサイズと一致するように、音波拡散装置の両支柱部30の高さと両支柱部30の間の距離とを調節する(S110)。具体的には、音波拡散体20とスピーカ載置台10との距離がスピーカの前面から背面までの距離よりも大きくなるように支柱部30の棒体34bの位置を変位させると共に、両支柱部30の間の距離がスピーカの上面から下面までの距離よりも大きくなるように竿体35乃至37の位置を変位させる。
設置者は、設置した音波拡散装置のスピーカ載置台10に、スピーカを載置する(S130)。この際、スピーカは、その前面の音波放射面を音波拡散装置の音波拡散体20に向けて載置されなければならない。
音波拡散体20の傾斜角度の調節について更に説明する。
例えば、図4に示すような一般的な小規模空間に、音波拡散装置を設置する場合を想定する。同図に示すように、この小規模空間は、天井Cと、床Fと、右壁RWと、左壁LWとを備えており、右壁RWに設けられた棚Rの上に、音波拡散体20の表面を右壁RWに向けて音波拡散装置を設置し、更にそのスピーカ載置台10にスピーカSを載置してある。
この図において、音波拡散体20の傾斜角度をθlと設定すると、スピーカSから放射された音波の多くはLに示されるような経路を辿る。即ち、天井Cで反射された後、左壁LWを経由することなく床F上のリスナーに到達する。
音波拡散体20の傾斜角度をθlよりも鋭角なθmと設定すると、スピーカSから放射された音波の多くはMに示されるような経路を辿る。即ち、天井Cで反射された後、左壁LWで一度反射されてから床F上のリスナーに到達する。この場合、傾斜角度をθlとするよりも経路長が長くなることで、受聴位置でのスピーカから放出された音のレベルが室内の拡散音のレベルよりも小さくなる。これにより、スピーカから音が出ているとの印象が薄れ、傾斜角度をθlとするよりも良好な残響音を付加することができる。
なお、図4は、音波拡散体20の表面を右壁RWに向けて設置するケースを図示したものであるが、もちろん音波拡散体20の裏面を右壁RWに向けて設置してもよい。
また、音波拡散体20を支持する支柱部30は、スピーカ載置台10から音波拡散体20までの距離(高さ)を伸縮自在になっており、両支柱部30の間の距離も伸縮自在になっている。このため、如何なるサイズのスピーカと組み合わせて使用することもできる。
次に本発明の第2実施形態を説明する。第1実施形態において、音波拡散体20は、板状の部材のみによって形成されていた。これに対し、本実施形態は、音波拡散体20をスピーカの音波放射面に向けて湾曲させている。
図5は、本実施形態にかかる音波拡散装置の正面図であり、図6は同装置の側面図である。両図に示すように、本実施形態にかかる音波拡散装置は、音波拡散体20の裏面前方に湾曲拡散体20aを配してなる。この湾曲拡散体20aは、音波拡散体20の上端付近を中心とする四半円の弧と一致する形状にその裏面を湾曲させてある。そして、湾曲拡散体20aの下端は音波拡散体20の裏面の下端付近に接合されている。また、湾曲拡散体20aの表面は、棒状の補強部材20bを介して音波拡散体20の裏面の中央付近に支持されている。
以上のような構成を採ることで、スピーカから放射された音波は、湾曲面で拡がるように反射されるので、より高い拡散効果が発揮される。
本発明の第3実施形態を説明する。本実施形態も、第2実施形態と同様に、音波拡散体20をスピーカの音波放射面に向けて湾曲させている。
図7は、本実施形態にかかる音波拡散装置の正面図であり、図8は同装置の側面図である。この音波拡散装置も第2実施形態と同様に、音波拡散体20の裏面前方に湾曲拡散体20cを配してなる。但し、この湾曲拡散体20cは、音波拡散体20の上端付近を中心とする四半円の弧と一致する形状にその裏面の略中央付近を湾曲させてあるだけでなく、更にその両側面を球状に湾曲させてある。そして、湾曲拡散体20cの中央の下端は音波拡散体20の裏面の下端付近に接合されている。また、湾曲拡散体20cの表面は補強部材20dを介して音波拡散体20の裏面の中央付近に支持されている。
以上のような構成を採ることにより、両側面の球状部分での音波の反射がより拡がりを持つようになり、高い拡散効果が期待できる。
本発明の第4実施形態を説明する。本実施形態にかかる音波拡散装置を装着したスピーカは、音場効果を支援するスピーカとしての機能と、サラウンド効果を支援するスピーカとしての機能とを兼ねることができる。
サラウンドとは、複数のスピーカを連携させることによって室内の特定の位置に音像を作り出すものであるから、スピーカから放射される音波が拡散してしまっては十分な効果を奏することが難しい。このような不都合を回避すべく、本実施形態にかかる音波拡散装置は、音波拡散体がスピーカの音波放射面と対向する位置からスピーカの側面と対向する位置へと回動自在に支持されるような構成となっている。
図9は、本実施形態にかかる音波拡散装置の音場支援モード時の状態を示した図であり、図10は、同装置のサラウンドモード時の状態を示した図である。この音波拡散装置は、スピーカ支持棒40を介して室内の右壁RWに固定されたスピーカSに備え付けられるものであり、スピーカSに向けて湾曲された略半円状の音波拡散体41を2つの支持部42の一端によって左右両側から挟持してなる。一方、両支持部42の他端は、スピーカSの左右両側面の略中央付近に設けられた図示しない孔に軸着され、音波拡散体41と支持部42はこの軸着部位を支点として回動自在となっている。つまり、この支持部42は、スピーカの音波放射領域の位置とその領域外の位置の間において音波拡散体41を移動自在に支持するものである。
音場支援モード時には、音波拡散体41をスピーカSの音波放射面Xと対向する位置に設定する。これにより、スピーカSの音波放射面Xから放射された音波の多くは、音波拡散体41を介して上方及び下方へ拡散されるため、良好な音場効果が得られる。
一方、サラウンドモード時には、音波拡散体XをスピーカSの上側面と対向する位置まで回動させる。これにより、スピーカSの音波放射面Xから放出された音波が音波拡散体41によって拡散されることが無くなり、良好なサラウンド効果が得られる。
本発明の第5実施形態を説明する。第1乃至第3実施形態にかかる音波拡散装置は、スピーカ載置台10を備え、この載置台の上に載置されたスピーカと共に用いられることで音場効果を実現していた。これに対し、本実施形態では、音波拡散装置を室内の壁面に固定して用いる。
図11は、本実施形態にかかる音波拡散装置を設置した状態を示す図である。同図において、スピーカSは、室内の右壁RWに設けられた棚Rの上に、音波放射面Xを上に向けて載置される。そして、音波拡散体43は支持部44を介して室内の右壁RWに固定される。音波拡散体43は、スピーカSの音波放射面Xに向けて湾曲した断面略半円形状を有しており、この音波拡散体43を右壁RWに固定する支持部44は、右壁RWから水平方向に立設された棒体44aの左端より棒体44bを垂下してなり、更に棒体44bの下端が音波拡散体43に接合される。
図12は、本実施形態にかかる別の音波拡散装置を設置した状態を示す図である。同図において、スピーカSは、スピーカ支持棒45を介して右壁RWに固定されている。右壁RWには、2つの支持部46がスピーカSを挟み込むようにして立設されており、これら両支持部46が音波拡散体47をスピーカSの音波放射面Xと対向する位置で挟持している。そして、両支持部46の各々は、棒体46aと棒体46bを図示しないヒンジ機構によって連結してなり、音波拡散体47と棒体46bは連結部位を支点として回動自在となっている。このため、この音波拡散装置と併せて使用されるスピーカSは、第4実施形態と同様、音場効果を支援するスピーカとしての機能とサラウンド効果を支援するスピーカとしての機能とを兼ねることもできる。
本願発明は種々の変形実施が可能である。
上記実施形態において、音波拡散装置に備え付けられる音波拡散体の形状は、板状、又は略半円状となっていたが、他の形状によって音波拡散体を形成してもよい。図13及び図14に、好適な変形例となる音波拡散体の形状を示す。図13は、本変形例にかかる音波拡散体の側面図であり、図14は、その断面構造図である。両図に示すように、音波拡散体のスピーカに向けられる面の全体に渡って不規則な凹凸を配置することによって、高い周波数の音波がスピーカから放射された場合と低い周波数の音波が放射された場合とを問わず類似の散乱効果を奏することができる。
第1実施形態にかかる音波拡散装置はスピーカ載置台10を備えていたが、このような載置台を設けることなく、2つの支柱部30の基底部31を設置させる面にスピーカを直に載置し、その音波放射面から放射された音波を音波拡散装置を用いて拡散させるようにしてもよい。
第4実施形態では、音波拡散体を支持する支持部が回動することによって、音波拡散体の位置がスピーカの音波放射領域からその領域外へ移動するようになっていたが、かかる移動をスライド機構やパンダグラフ機構によって実現してもよい。また、この場合において、音波拡散体の設定位置は、スピーカの音波放射面と対向する位置とその側面と対向する位置の2つに限るものではない。例えば、音波放射領域内における音波拡散体の位置を微調整できるようにすることで、音波の拡散のさせ方を好適化できるようにしてもよい。
Claims (4)
- 1又は複数の支柱と、
前記支柱の設置面上に載置されるスピーカと対向する位置で前記支柱に支持され、前記スピーカから放射される音波を拡散する音波拡散体と
を備えた音波拡散装置であって、
前記音波拡散体は、前記スピーカの音波放射面に対する傾斜角度を調節自在に支持され、
前記音波拡散体を、前記支柱の上端付近を中心とする四半円の弧と一致する形状かつ前記スピーカと対向する面が凸形状となるように前記音波放射面に向けて湾曲させた部材であって、さらに両側面を球状に湾曲されて形成したことを特徴とする
音波拡散装置。 - 請求項1記載の音波拡散装置において、
前記支柱における前記音波拡散体を支持した部位と当該支柱の下端との距離を伸縮自在としたことを特徴とする
音波拡散装置。 - 請求項1記載の音波拡散装置において、
前記音波拡散体は2つの支柱によって挟持され、
前記2つの支柱間の距離を伸縮自在としたことを特徴とする
音波拡散装置。 - 音波拡散体と、
前記音波拡散体を、スピーカの音波放射領域の位置と前記音波放射領域外の位置の間において移動自在に支持する支持部と
を備え、
前記音波拡散体を、前記スピーカと対向する面が凸形状となるように湾曲させた部材により形成したことを特徴とする
音波拡散装置。
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