JP2000079892A - スクータ型車両 - Google Patents

スクータ型車両

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JP2000079892A
JP2000079892A JP11256042A JP25604299A JP2000079892A JP 2000079892 A JP2000079892 A JP 2000079892A JP 11256042 A JP11256042 A JP 11256042A JP 25604299 A JP25604299 A JP 25604299A JP 2000079892 A JP2000079892 A JP 2000079892A
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Koji Kurata
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Abstract

(57)【要約】 【課題】スイングケース内のVベルト無段変速機構の冷
却効率を向上させる。 【解決手段】クランクシャフト28と発進クラッチ20
間の壁面をケースカバ14前部の壁面14aに比べて車
幅方向外側へ突出させることによりケースカバ14の前
部壁14aに設けられた段差部14bと、この段差部に
配設された導風口31と、ドライブVプーリ16に配設
されたファンと、Vベルト40に対して減速ミッション
機構22の反対側であって上端部が前記ケースカバ14
の後部外周壁と補強壁で連結された排風口32と、ユニ
ットスイング型エンジン5の上下揺動を可能とする屈曲
部を有するとともに一端を車体側に固定して外気をケー
スカバ内に送る吸入管と、を備えてなることを特徴とす
るVベルト冷却装置付きユニットスイング型エンジンを
搭載した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の目的〕
【0002】
【産業上の利用分野】この発明は、Vベルト無段変速機
構空冷用の通風孔および排風孔を備えたユニットスイン
グ型エンジンのスイングケース構造に関する。
【0003】
【従来の技術】スクータタイプの自動2輪車の多くは、
ユニットスイング型エンジンが採用されている。
【0004】ユニットスイング型エンジンは、周知の通
りエンジン部のクランクケースに連接されて後方に延び
るスイングケースの後端部に後輪を軸支しており、エン
ジン部、スイングケース、後輪は1つのユニットとして
まとめられている。
【0005】ユニットスイング型エンジンは一般的に、
エンジン部下方のピボット部が自動2輪車の車体フレー
ム中央下部に枢支され、ユニットスイング型エンジン全
体がピボット部の水平支軸廻りに上下自在に揺動し、後
輪のサスペンションアームの役割を果す。
【0006】大半のユニットスイング型エンジンは、エ
ンジン部の動力を後輪へ伝えるための手段として、構造
が単純で安価なVベルト無段変速機構をスイングケース
内に装備している。Vベルト無段変速機構は、Vベルト
が懸架されるドライブVプーリとドリブンVプーリの有
効径を回転数によって変化させ、変速比を変えるもので
ある。
【0007】この方式では、Vベルトと各Vプーリ間と
の滑りによるパワーロスの発生を防止するためVベルト
の張力を大きくして各Vプーリへ強力に押圧させてい
る。そのため作動中の摩擦熱が高く、放っておくと熱に
よりVベルトが劣化してしまうので、多くのユニットス
イング型エンジンでは、スイングケースの外側に装着さ
れるケースカバに通風口および排風口を開口し、ドライ
ブVプーリ側面等に設けたファンによって強制的に外気
をスイングケース内に導入してVベルト無段変速機構を
空冷している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たスイングケースのケースカバは、スイングケースのケ
ース本体にネジ止めされ、一体となってスイングケース
を形造っており、剛性を確保している。このようなスイ
ングケースにおいて前述の通風口や排風口は剛性を低下
させる原因となっていた。
【0009】特に排風口は、ケースカバの最後部に設け
る必要があるが、この位置は後輪の揺動ショックを吸収
するリヤ・ショックアブソーバの固定部に近く、絶えず
強い荷重が伝わる部分である。このため排風口の存在に
よるスイングケース後部の剛性ダウンは、ケース本体の
リヤ・ショックアブソーバ取付部付近に大きな補強リブ
を設けることによって補われてきた。
【0010】ところで、ケース本体の鋳造製作時におい
て上記補強リブは、湯口より遠方に位置するため、湯廻
りが悪く、不良発生の大きな原因となっていた。また、
補強リブによるスイングケースの重量アップ、外観の低
下などの弊害があった。
【0011】さらに、従来よりケースカバに設けられて
きた排風口は、単純な構造であり、効率の良い排風を促
す形状ではなかった。
【0012】本発明はこのような問題を考慮してなされ
たもので、ケースカバの排風口をスイングケースの補強
メンバとして活用することにより、ケース本体の補強リ
ブを小型化し、スイングケースの鋳造性および外観の向
上に貢献すると共に効率の良い排風ができるユニットス
イング型エンジンのスイングケース構造を提供すること
を目的とする。
【0013】〔発明の構成〕
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の請求項1に係るスクータ型車両は、クラン
クシャフトと発進クラッチ間の壁面をケースカバ前部の
壁面に比べて車幅方向外側へ突出させることによりケー
スカバ前部の壁に設けられた段差部と、この段差部に配
設された導風口と、ドライブVプーリに配設されたファ
ンと、Vベルトに対して減速ミッション機構の反対側で
あって上端部が前記ケースカバの後部外周壁と補強壁で
連結された排風口と、ユニットスイング型エンジンの上
下揺動を可能とする屈曲部を有するとともに一端を車体
側に固定して外気をケースカバ内に送る吸入管と、を備
えてなることを特徴とするVベルト冷却装置付きユニッ
トスイング型エンジンを搭載したものである。
【0015】また、本発明の請求項2に係るスクータ型
車両は、前記排風口を、リヤアクスルシャフトの反対側
かつ発進クラッチの車両後方側に配設したものである。
【0016】
【作用】ユニットスイング型エンジンのスイングケース
を上記のように構成したことにより、排風口がスイング
ケースの補強メンバとなり、リヤ・ショックアブソーバ
取付部付近の剛性が向上する。
【0017】また、スイングケース内後部形状が排風口
への気流を整流し、スイングケース内の冷却効率が向上
する。
【0018】
【実施例】以下に、本発明の一実施例を示す図に基づい
て説明する。
【0019】図2はユニットスイング型エンジンを搭載
したスクータタイプの自動2輪車である。
【0020】この自動2輪車1において、車体フレーム
2の中央下部にあるピボット部3には懸架ブラケット4
を介してユニットスイング型エンジン5がその水平支軸
6廻りに上下揺動自在に枢支されている。ユニットスイ
ング型エンジン5の後部には後輪7が回転自在に軸支さ
れており、ユニットスイング型エンジン5自身が後輪7
のサスペンションアームの役割を果す。ここで、ユニッ
トスイング型エンジン5後部上端のリヤ・ショックアブ
ソーバ取付ブラケット8と車体フレーム2はリヤ・ショ
ックアブソーバ9によって連結されており、後輪7の揺
動ショックはリヤ・ショックアブソーバ9の伸縮によっ
て緩衝される。
【0021】図3は上記ユニットスイング型エンジン5
の部品構成を示す横断面図、図4は左側面図である。
【0022】図3に示すように、このユニットスイング
型エンジン5においてエンジン部10のクランクケース
11には、スイングケース12が連接されて後方に延び
ている。
【0023】スイングケース12は、上記クランクケー
ス11と一体であるケース本体13と、ケースカバ14
とが複数の締結ボス15によって固定されてなるケース
で、ケース本体13にはドライブVプーリ16、ドリブ
ンVプーリ17、Vベルト18よりなるVベルト無段変
速機構19と、発進クラッチ20と、減速ミッション機
構21が軸架される。減速ミッション機構21は、ケー
ス本体13最後部の後輪7側に形成されたミッションケ
ース22およびミッションケース22に液密に被装され
るミッションカバ23によってなるミッション室24内
に軸架されており、常にオイル中に浸されている。一
方、ケース本体13に被装されるケースカバ14は、ケ
ース本体13に軸架された機構類を外気より隔離する。
【0024】このユニットスイング型エンジン5で、エ
ンジン部10のシリンダ25内を往復するピストン26
の運動は、コンロッド27を介してクランクシャフト2
8に伝えられ、回転運動に変換される。スイングケース
12内部に片端が突出するクランクシャフト28の回転
は、Vベルト無段変速機構19と発進クラッチ20を経
てドリブンシャフト29に伝達され、減速ミッション機
構21により減速されてリヤアクスルシャフト30を回
転させ、リヤアクスルシャフト30の自由端に挿嵌され
た後輪7が駆動される。
【0025】前記ケースカバ14には、導風口31およ
び排風口32が開口している。導風口31はドライブV
プーリ16と一体回転するファン33の真横に位置し、
この導風口31には図4に示すように吸入管34および
車体フレーム2に固定されるエアクリーナ35が順次挿
嵌され、固定バンド36で固定されている。エアクリー
ナ35内部にはクリーナエレメント37が入っている。
また排風口32はリヤ・ショックアブソーバ9のほぼ延
長線上に当たる、ケースカバ14の後部下方に位置して
おり、スイングケース12内部から下方に延びて外部へ
抜ける、例えば、角形のスリーブ形である。図4および
図1に示すように、この排風口32の上端部とケースカ
バ14の外周壁面とはリブ状の補強壁38で結ばれてい
る。この補強壁38がケースカバ14に接続される部分
は、ケース本体13とケースカバ14を正確に位置付け
するためのノックピン39が埋設されている。このノッ
クピン39は、ケース本体13とケースカバ14に半分
ずつ挿嵌されているものであり、通常スイングケースの
前後に1カ所ずつ配置される。
【0026】ところで、スイングケース12は、内部に
収容される機構類を保護するため、水や塵の侵入を防ぐ
密閉構造を持つ必要がある。このため、ケース本体13
とケースカバ13との間には薄いガスケット40が挟ま
れる。このガスケット40は、図4に二点鎖線で示して
ある通り、ケース本体13とケースカバ14との接触面
と同一の形状でカットされているが、ケースカバ14最
後部の排風口32上方部においてのみ、上から徐々に排
風口32上端部に向ってスイングケース12内部に突出
し、この部分が整流板41となっている。
【0027】自動2輪車1の走行時、ファン33はドラ
イブVプーリ16と一体回転して導風口31より外気を
吸引する。エアクリーナ35によって除塵された外気は
吸入管34を通ってスイングケース12内に入り、図4
の矢印で示すように後方へ向って、作動中の摩擦で熱を
持ったドライブVプーリ16、ドリブンVプーリ17お
よびVベルト18を空冷した後、排風口32より外部へ
排出されるが、このとき、前述した補強板38およびガ
スケット40が突出してなる整流板41によりスムーズ
に排風口32へ導かれる。このため、スイングケース1
2内の冷却効率が向上し、Vベルト無段変速機構19の
耐久性が上がる。
【0028】このような構造を持つスイングケース12
は、自動2輪車1の走行中、後輪7が揺動して図1に示
すようにリヤ・ショックアブソーバ9の反力Fがリヤ・
ショックアブソーバ取付ブラケット8を通ってケース本
体13へ伝わると、この力Fは、ケース本体13外周壁
面を廻ってノックピン39へ掛かる。ノックピン39は
ケース本体13とケースカバ14に挟まれるようにして
挿嵌されているので上記反力Fはケース本体13とケー
スカバ14両方に分散しFおよびFとなる。ケース
カバ14側に掛かる力Fは補強壁38を通って排風口
32に伝わるが、排風口32はケースカバ14を上下に
貫くスリーブ形となっており、かつリヤ・ショックアブ
ソーバ9のほぼ延長線上に配置されているので、受けた
力Fをケースカバ14の側面および底面へ満遍なく分
散させ、ケース本体13に掛かる力Fを軽減する。
【0029】このため、従来ではリヤ・ショックアブソ
ーバ9の反力Fがもろに掛かっていたケース本体13
を、大型の補強リブA,Bで補強していたが、本発明の
実施により補強リブは小型化され、図1中の42のよう
な形状で済むようになった。これにより、ケース本体の
鋳造性が大幅に向上し、コストダウンされる上、スイン
グケース12が小型に見えて外観上有利である。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように本発明は排風口をケ
ースカバ後部に配置させるとともに排気口上端部とケー
ス外周壁面とを補強壁で結んだので、スイングケース内
のVベルト無段変速機構の冷却効率が向上し、その耐久
性が上がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るユニットスイング型エンジンのス
イングケース構造の一実施例を示す斜視断面図。
【図2】ユニットスイング型エンジンを備えたスクータ
タイプの自動2輪車の側面図。
【図3】本発明を採用したユニットスイング型エンジン
の平断面図。
【図4】図3に示したユニットスイング型エンジンの左
側面図。
【符号の説明】
5 ユニットスイクング型エンジン 7 後輪 9 リヤ・ショックアブソーバ 10 エンジン部 11 クランクケース 12 スイングケース 13 ケース本体 14 ケースカバ 19 Vベルト無段変速機構 31 導風口 32 排風口 38 補強壁 40 ガスケット 41 整流板
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年10月7日(1999.10.
7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 スクータ型車両
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の目的〕
【0002】
【産業上の利用分野】この発明は、Vベルト無段変速機
構空冷用の通風孔および排風孔を備えたユニットスイン
グ型エンジンのスクータ型車両に関する。
【0003】
【従来の技術】スクータタイプの自動2輪車の多くは、
ユニットスイング型エンジンが採用されている。
【0004】ユニットスイング型エンジンは、周知の通
りエンジン部のクランクケースに連接されて後方に延び
るスイングケースの後端部に後輪を軸支しており、エン
ジン部、スイングケース、後輪は1つのユニットとして
まとめられている。
【0005】ユニットスイング型エンジンは一般的に、
エンジン部下方のピボット部が自動2輪車の車体フレー
ム中央下部に枢支され、ユニットスイング型エンジン全
体がピボット部の水平支軸廻りに上下自在に揺動し、後
輪のサスペンションアームの役割を果す。
【0006】大半のユニットスイング型エンジンは、エ
ンジン部の動力を後輪へ伝えるための手段として、構造
が単純で安価なVベルト無段変速機構をスイングケース
内に装備している。Vベルト無段変速機構は、Vベルト
が懸架されるドライブVプーリとドリブンVプーリの有
効径を回転数によって変化させ、変速比を変えるもので
ある。
【0007】この方式では、Vベルトと各Vプーリ間と
の滑りによるパワーロスの発生を防止するためVベルト
の張力を大きくして各Vプーリへ強力に押圧させてい
る。そのため作動中の摩擦熱が高く、放っておくと熱に
よりVベルトが劣化してしまうので、多くのユニットス
イング型エンジンでは、スイングケースの外側に装着さ
れるケースカバに通風口および排風口を開口し、ドライ
ブVプーリ側面等に設けたファンによって強制的に外気
をスイングケース内に導入してVベルト無段変速機構を
空冷している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たスイングケースのケースカバは、スイングケースのケ
ース本体にネジ止めされ、一体となってスイングケース
を形造っており、剛性を確保している。このようなスイ
ングケースにおいて前述の通風口や排風口は剛性を低下
させる原因となっていた。
【0009】特に排風口は、ケースカバの最後部に設け
る必要があるが、この位置は後輪の揺動ショックを吸収
するリヤ・ショックアブソーバの固定部に近く、絶えず
強い荷重が伝わる部分である。このため排風口の存在に
よるスイングケース後部の剛性ダウンは、ケース本体の
リヤ・ショックアブソーバ取付部付近に大きな補強リブ
を設けることによって補われてきた。
【0010】ところで、ケース本体の鋳造製作時におい
て上記補強リブは、湯口より遠方に位置するため、湯廻
りが悪く、不良発生の大きな原因となっていた。また、
補強リブによるスイングケースの重量アップ、外観の低
下などの弊害があった。
【0011】さらに、従来よりケースカバに設けられて
きた排風口は、単純な構造であり、効率の良い排風を促
す形状ではなかった。
【0012】本発明はこのような問題を考慮してなされ
たもので、ケースカバの排風口をスイングケースの補強
メンバとして活用することにより、ケース本体の補強リ
ブを小型化し、スイングケースの鋳造性および外観の向
上に貢献すると共に効率の良い排風ができるVベルト冷
却装置付きユニットスイング型エンジンを搭載したスク
ータ型車両を提供することを目的とする。
【0013】〔発明の構成〕
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の請求項1に係るスクータ型車両は、クラン
クシャフトと発進クラッチ間の壁面をケースカバ前部の
壁面に比べて車幅方向外側へ突出させることによりケー
スカバ前部の壁に設けられた段差部と、この段差部に配
設された導風口と、ドライブVプーリに配設されたファ
ンと、Vベルトに対して減速ミッション機構の反対側で
あって上端部が前記ケースカバの後部外周壁と補強壁で
連結された排風口と、ユニットスイング型エンジンの上
下揺動を可能とする屈曲部を有するとともに一端を車体
側に固定して外気をケースカバ内に送る吸入管と、を備
えてなることを特徴とするVベルト冷却装置付きユニッ
トスイング型エンジンを搭載したものである。
【0015】また、本発明の請求項2に係るスクータ型
車両は、前記排風口を、リヤアクスルシャフトの反対側
かつ発進クラッチの車両後方側に配設したものである。
【0016】
【作用】ケースカバの前部に、ファンとの通風間隙を狭
くする段差部を形成し、この段差部に導風口を配設した
ので、この導風口に吸入される外気の吸入量を増大させ
てケースカバ内の通風量を増大させることができる。こ
のために、ケースカバ内の通風により冷却されるVベル
トを含むVベルト無段変速機構の冷却効率を向上させる
ことができる。
【0017】また、排風口の上端部がケースカバ後部外
周壁と補強壁で連結されているので、この排風口上端部
がスイングケースを補強するメンバとなり、リヤ・クッ
ションアブソーバ取付部付近の剛性を向上させることが
できる。
【0018】さらに、排風口をリヤアクスルシャフトの
反対側かつ発進クラッチの車両後方側に配設したので、
この排風口の通風上流側にあるVベルトを含むVベルト
無段変速機構のほぼ全長を冷却することができるうえ
に、排風口が、車体の内側にあるリヤアクスルシャフト
の反対側、すなわち車体の外側で開口しているので、こ
の排風口から外部へ排気される排風効率を向上させるこ
とができる。このために、さらに、ケースカバ内の通風
量を増大させることができるので、Vベルト有無段変速
機構の冷却効率をさらに向上させることができる。
【0019】
【実施例】以下に、本発明の一実施例を示す図に基づい
て説明する。
【0020】図2は冷却装置付きユニットスイング型エ
ンジンを搭載したスクータタイプの自動2輪車である。
【0021】この自動2輪車1において、車体フレーム
2の中央下部にあるピボット部3には懸架ブラケット4
を介してユニットスイング型エンジン5がその水平支軸
6廻りに上下揺動自在に枢支されている。ユニットスイ
ング型エンジン5の後部には後輪7が回転自在に軸支さ
れており、ユニットスイング型エンジン5自身が後輪7
のサスペンションアームの役割を果す。ここで、ユニッ
トスイング型エンジン5後部上端のリヤ・ショックアブ
ソーバ取付ブラケット8と車体フレーム2はリヤ・ショ
ックアブソーバ9によって連結されており、後輪7の揺
動ショックはリヤ・ショックアブソーバ9の伸縮によっ
て緩衝される。
【0022】図3は上記ユニットスイング型エンジン5
の部品構成を示す横断面図、図4は左側面図である。
【0023】図3に示すように、このユニットスイング
型エンジン5においてエンジン部10のクランクケース
11には、スイングケース12が連接されて後方に延び
ている。
【0024】スイングケース12は、上記クランクケー
ス11と一体であるケース本体13と、ケースカバ14
とが複数の締結ボス15によって固定されてなるケース
で、ケース本体13にはドライブVプーリ16、ドリブ
ンVプーリ17、Vベルト18よりなるVベルト無段変
速機構19と、発進クラッチ20と、減速ミッション機
構21が軸架される。減速ミッション機構21は、ケー
ス本体13最後部の後輪7側に形成されたミッションケ
ース22およびミッションケース22に液密に被装され
るミッションカバ23によってなるミッション室24内
に軸架されており、常にオイル中に浸されている。一
方、ケース本体13に被装されるケースカバ14は、ケ
ース本体13に軸架された機構類を外気より隔離する。
【0025】このユニットスイング型エンジン5で、エ
ンジン部10のシリンダ25内を往復するピストン26
の運動は、コンロッド27を介してクランクシャフト2
8に伝えられ、回転運動に変換される。スイングケース
12内部に片端が突出するクランクシャフト28の回転
は、Vベルト無段変速機構19と発進クラッチ20を経
てドリブンシャフト29に伝達され、減速ミッション機
構21により減速されてリヤアクスルシャフト30を回
転させ、リヤアクスルシャフト30の自由端に挿嵌され
た後輪7が駆動される。
【0026】そして、図3,図4に示すようにケースカ
バ14は、発進クラッチ20とクランクシャフト28の
間の壁面14aを、クランクシャフト28よりも前の前
部の壁面14bよりも車幅方向外側へ突出させることに
より、この前部壁面14bに段差部14cを形成し、こ
の段差部14cの内側方にあるファン33の一部との通
風路間隙を狭く形成している。
【0027】前記ケースカバ14には、導風口31およ
び排風口32が開口している。導風口31はドライブV
プーリ16と一体回転するファン33の真横に位置し、
この導風口31には図4に示すように吸入管34および
車体フレーム2に固定されるエアクリーナ35が順次挿
嵌され、固定バンド36で固定されている。エアクリー
ナ35内部にはクリーナエレメント37が入っている。
また排風口32はリヤ・ショックアブソーバ9のほぼ延
長線上に当たる、ケースカバ14の後部下方に位置して
おり、スイングケース12内部から下方に延びて外部へ
抜ける、例えば、角形のスリーブ形である。図4および
図1に示すように、この排風口32の上端部とケースカ
バ14の外周壁面とはリブ状の補強壁38で結ばれてい
る。この補強壁38がケースカバ14に接続される部分
は、ケース本体13とケースカバ14を正確に位置付け
するためのノックピン39が埋設されている。このノッ
クピン39は、ケース本体13とケースカバ14に半分
ずつ挿嵌されているものであり、通常スイングケースの
前後に1カ所ずつ配置される。
【0028】ところで、スイングケース12は、内部に
収容される機構類を保護するため、水や塵の侵入を防ぐ
密閉構造を持つ必要がある。このため、ケース本体13
とケースカバ13との間には薄いガスケット40が挟ま
れる。このガスケット40は、図4に二点鎖線で示して
ある通り、ケース本体13とケースカバ14との接触面
と同一の形状でカットされているが、ケースカバ14最
後部の排風口32上方部においてのみ、上から徐々に排
風口32上端部に向ってスイングケース12内部に突出
し、この部分が整流板41となっている。
【0029】自動2輪車1の走行時、ファン33はドラ
イブVプーリ16と一体に回転するので、スイングケー
ス12内のファン33周辺の空間が負圧になり、外気が
吸入管34の吸入口から、その内部に吸入され、さら
に、エアクリーナ35によって除塵されてから吸入管3
4を通って導風口31からスイングケース12内に入
り、図4の矢印で示すように後方へ向って、作動中の摩
擦で熱を持ったドライブVプーリ16、ドリブンVプー
リ17およびVベルト18を空冷した後、排風口32よ
り外部へ排出されるが、このとき、前述した補強板38
およびガスケット40が突出してなる整流板41により
スムーズに排風口32へ導かれる。このため、スイング
ケース12内の冷却効率が向上し、Vベルト無段変速機
構19の耐久性が上がる。
【0030】また、ケースカバ14の段差部14cによ
りファン33の一部との通風間隙を狭くしているので、
その分、その通風間隙の負圧を大きくすることができ、
吸入管34を通して外気をスイングケース12内へ吸入
する吸入効率を向上させることができる。このために、
スイングケース12内に吸入されて通風される通風量を
増大させることができるので、ベルト無段変速機構19
の通風冷却効率を向上させることができる。
【0031】このような構造を持つスイングケース12
は、自動2輪車1の走行中、後輪7が揺動して図1に示
すようにリヤ・ショックアブソーバ9の反力Fがリヤ・
ショックアブソーバ取付ブラケット8を通ってケース本
体13へ伝わると、この力Fは、ケース本体13外周壁
面を廻ってノックピン39へ掛かる。ノックピン39は
ケース本体13とケースカバ14に挟まれるようにして
挿嵌されているので上記反力Fはケース本体13とケー
スカバ14両方に分散しFおよびFとなる。ケース
カバ14側に掛かる力Fは補強壁38を通って排風口
32に伝わるが、排風口32はケースカバ14を上下に
貫くスリーブ形となっており、かつリヤ・ショックアブ
ソーバ9のほぼ延長線上に配置されているので、受けた
力Fをケースカバ14の側面および底面へ満遍なく分
散させ、ケース本体13に掛かる力Fを軽減する。
【0032】このため、従来ではリヤ・ショックアブソ
ーバ9の反力Fがもろに掛かっていたケース本体13
を、大型の補強リブA,Bで補強していたが、本発明の
実施により補強リブは小型化され、図1中の42のよう
な形状で済むようになった。これにより、ケース本体の
鋳造性が大幅に向上し、コストダウンされる上、スイン
グケース12が小型に見えて外観上有利である。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、ケースカ
バの前部に、ファンとの通風間隙を狭くする段差部を形
成し、この段差部に導風口を配設したので、この導風口
に吸入される外気の吸入量を増大させてケースカバ内の
通風量を増大させることができる。このために、ケース
カバ内の通風により冷却されるVベルトを含むVベルト
無段変速機構の冷却効率を向上させることができる。
【0034】また、排風口の上端部がケースカバ後部外
周壁と補強壁で連結されているので、この排風口上端部
がスイングケースを補強するメンバとなり、リヤ・クッ
ションアブソーバ取付部付近の剛性を向上させることが
できる。
【0035】さらに、排風口をリヤアクスルシャフトの
反対側かつ発進クラッチの車両後方側に配設したので、
この排風口の通風上流側にあるVベルトを含むVベルト
無段変速機構のほぼ全長を冷却することができるうえ
に、排風口が、車体の内側にあるリヤアクスルシャフト
の反対側、すなわち車体の外側で開口しているので、こ
の排風口から外部へ排気される排風効率を向上させるこ
とができる。このために、さらに、ケースカバ内の通風
量を増大させることができるので、Vベルト有無段変速
機構の冷却効率をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るユニットスイング型エンジンのス
イングケース構造の一実施例を示す斜視断面図。
【図2】ユニットスイング型エンジンを備えたスクータ
タイプの自動2輪車の側面図。
【図3】本発明を採用したユニットスイング型エンジン
の平断面図。
【図4】図3に示したユニットスイング型エンジンの左
側面図。
【符号の説明】 5 ユニットスイクング型エンジン 7 後輪 9 リヤ・ショックアブソーバ 10 エンジン部 11 クランクケース 12 スイングケース 13 ケース本体 14 ケースカバ 19 Vベルト無段変速機構 31 導風口 32 排風口 38 補強壁 40 ガスケット 41 整流板
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クランクシャフトと発進クラッチ間の壁
    面をケースカバ前部の壁面に比べて車幅方向外側へ突出
    させることによりケースカバ前部の壁に設けられた段差
    部と、この段差部に配設された導風口と、ドライブVプ
    ーリに配設されたファンと、Vベルトに対して減速ミッ
    ション機構の反対側であって上端部が前記ケースカバの
    後部外周壁と補強壁で連結された排風口と、ユニットス
    イング型エンジンの上下揺動を可能とする屈曲部を有す
    るとともに一端を車体側に固定して外気をケースカバ内
    に送る吸入管と、を備えてなることを特徴とするVベル
    ト冷却装置付きユニットスイング型エンジンを搭載した
    スクータ型車両。
  2. 【請求項2】 前記排風口を、リヤアクスルシャフトの
    反対側かつ発進クラッチの車両後方側に配設したことを
    特徴とする請求項1記載のスクータ型車両。
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