JP2009220747A - 鞍乗り型車両のエンジン懸架構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベルコン冷却ダクト付きエンジンの懸架部の締結を容易に行うことができ、エンジンハンガの重量を増加させないようにした鞍乗り型車両のエンジン懸架構造を提供する。
【解決手段】ハンドル16を回動自在に軸支するヘッドパイプ11から後下方に延びるメインパイプ12と、メインパイプ12の後部に懸架される、ベルト式の無段変速機52を搭載した内燃機関50と、内燃機関50の無段変速機収容部57に接続されるとともに、変速ベルトを冷却する冷却ダクト43とを備えるとともに、内燃機関50の上部に、内燃機関50をメインパイプ12に懸架する前側懸架部90が設けられた鞍乗り型車両のエンジン懸架構造において、冷却ダクト43を内燃機関50上方で内燃機関50と隙間81を持って配置し、内燃機関50の前側懸架部90は、冷却ダクト43の無段変速機収容部57との接続部の後方で、側面視で隙間81に配置されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、ベルコン冷却ダクトを有するエンジンを車体に懸架するための鞍乗り型車両のエンジン懸架構造に関する。
従来の自動2輪車において、ベルト式無段変速機付エンジンを搭載したものが知られている。このベルト式無段変速機付エンジンは、ベルコン室を冷却するためのベルコン冷却ダクトを有している。また、ベルト式無段変速機付エンジンは、ヘッドパイプから車体後方斜め下側に向けて延びるメインパイプの下方に懸架されている。
ベルト式無段変速機付エンジンの前側懸架部は、クランクケースの上面前端に設けられている。また、ベルコン冷却ダクトは、エンジンの前側懸架部後方であって、ベルコン室の無段変速機収容部分の上部に接続されている。このベルコン冷却ダクトは、ベルコン室の上部に予め取り付けられた状態で、フレームのエンジンハンガに取り付けられる(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−62715号公報
しかしながら、従来構造では、車体後方斜め下側に延びるメインパイプの下方で、水平エンジンのクランクケース前端にエンジンの前側懸架部が設けられるため、エンジンの前側懸架部がメインパイプから離れてしまい、エンジンハンガが長く幅広になり、車体の重量増を招いていた。
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、ベルコン冷却ダクト付きエンジンの懸架部の締結を容易に行うことができ、エンジンハンガの重量を増加させないようにした鞍乗り型車両のエンジン懸架構造を提供することにある。
上述課題を解決するため、本発明は、ハンドルを回動自在に軸支するヘッドパイプから後下方に延びるメインパイプと、当該メインパイプの後部に懸架される、ベルト式の無段変速機を搭載した内燃機関と、当該内燃機関の無段変速機収容部に接続されるとともに、変速ベルトを冷却する冷却ダクトとを備えるとともに、前記内燃機関の上部に、前記内燃機関をメインパイプに懸架する前側懸架部が設けられた鞍乗り型車両のエンジン懸架構造において、前記冷却ダクトを前記内燃機関上方で前記内燃機関と隙間を持って配置し、前記内燃機関の前側懸架部は、前記冷却ダクトの前記無段変速機収容部との接続部の後方で、側面視で前記隙間に配置されたことを特徴とする。
この構成によれば、内燃機関の前側懸架部をメインパイプに近い位置に設けることができると共に、冷却ダクトと内燃機関との隙間から内燃機関をメインパイプに取り付けることができる。
また、前記冷却ダクトはベルコン室の無段変速機収容部の上面に接続され、前記エンジンの前側懸架部が、プライマリシーブの軸心とセカンダリシーブの軸心との間で、クランクケース上面に設けられていてもよい。
この構成によれば、プライマリシーブの軸心とセカンダリシーブの軸心との間でパワーユニットを固定することができる。
さらに、鞍乗り型車両は、前記内燃機関の後上方に配置される収納ボックスをさらに備え、前記冷却ダクトは、前記無段変速機に接続される樹脂製ダクトと、当該樹脂製ダクトに接続されるとともに前記収納ボックスに接続されるゴム製ダクトから構成されていてもよい。
この構成によれば、樹脂製ダクトをパワーユニットに一体に小組して、車体フレーム内に取り付けることができると共に、ゴム製ダクトを収納ボックスに一体にし小組して、車体フレーム内に取り付けることができる。
本発明に係る鞍乗り型車両のエンジン懸架構造では、前記冷却ダクトを前記内燃機関上方で前記内燃機関と隙間を持って配置し、前記内燃機関の前側懸架部は、前記冷却ダクトの前記無段変速機収容部との接続部の後方で、側面視で前記隙間に配置されているので、内燃機関の前側懸架部をメインパイプに近い位置に設けることができ、メインパイプに設けたエンジンハンガを小型化、軽量化することができる。また、冷却ダクトと内燃機関との隙間から内燃機関をメインパイプに取り付けることができ、内燃機関と冷却ダクトとを小組した状態であっても、内燃機関を容易にエンジンハンガに取り付けることができる。
また、前記冷却ダクトはベルコン室の無段変速機収容部の上面に接続され、前記エンジンの前側懸架部が、プライマリシーブの軸心とセカンダリシーブの軸心との間で、クランクケース上面に設けられているので、プライマリシーブの軸心とセカンダリシーブの軸心との間で内燃機関を固定することができる。また、より安定した取付位置で内燃機関を支持することができる。
さらに、鞍乗り型車両は、前記内燃機関の後上方に配置される収納ボックスをさらに備え、前記冷却ダクトは、前記無段変速機に接続される樹脂製ダクトと、当該樹脂製ダクトに接続されるとともに前記収納ボックスに接続されるゴム製ダクトから構成されているので、樹脂製ダクトをパワーユニットに一体に小組して、車体フレーム内に取り付けることができると共に、ゴム製ダクトを収納ボックスに一体に小組して、車体フレーム内に取り付けることができ、組み立て作業を容易に行うことができる。また、一方をゴム製ダクトで構成しているので、樹脂製ダクトとの接続を容易に行うことができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の一例たる自動2輪車を示す側面図である。なお、以下の説明中、前後左右及び上下といった方向の記載は車体に対してのものとする。また、図中矢印FRは車体前方を、矢印Rは車体右方を、矢印UPは車体上方をそれぞれ示している。
自動2輪車1は、ヘッドパイプ11と、ヘッドパイプ11から車体後方斜め下方に延びる一本のメインパイプ12と、メインパイプ12の後端部から下方に延びる左右一対のピボットプレート13と、ピボットプレート13及びメインパイプ12の後端部に結合されて後方斜め上方に延びる左右一対のリアフレーム14とで構成される車体フレーム10を備える。このリアフレーム14は、メインパイプ12後部から車体後方斜め上側に延びる左右一対のリアアッパーパイプ14Aと、このリアアッパーパイプ14Aの下側でピボットプレート13とリアアッパーパイプ14Aとをつなぐ左右一対のリアロアパイプ14Bとで構成されている。
ヘッドパイプ11の上側には、ステアリングステム15を介して、左右に延びる操舵用のハンドル16が取り付けられている。また、ヘッドパイプ11の下側には、左右一対のフロントフォーク17が延在しており、このフロントフォーク17に前輪18が回転自在に支持されている。この前輪18は、その上方をフロントフェンダ38で覆われている。
さらに、ヘッドパイプ11の前方には、後述するフロントトップカバー37Bから車体前方に表出する態様でヘッドライト25が設けられている。
メインパイプ12には、主に、パワーユニット50(内燃機関)及びエアクリーナ19が取り付けられている。このパワーユニット50は、その上部がメインパイプ12の前後方向の中央部に取り付けられたエンジンハンガ50Aに固定され(前側懸架部)、その後部がピボットプレート13に2箇所で固定されている。すなわち、パワーユニット50は、メインパイプ12の後部の下側に吊り下げられる態様で懸架されている。
エアクリーナ19は、メインパイプ12の前側下方であって、パワーユニット50の前方に取り付けられている。このエアクリーナ19は、パワーユニット50とエアクリーナ19との間に配置されたスロットルボディ30Aに吸気パイプ30を介して接続されており、このスロットルボディ30Aは、パワーユニット50と接続されている。エアクリーナ19で取り込んだ走行中の外気は、スロットルボディ30Aへと供給される。スロットルボディ30Aは、燃料と空気を混合し、パワーユニット50へと供給する。
パワーユニット50は、エンジン51と、このエンジン51の右側のベルト式無段変速機(以下、CVTという)52とで構成されている。エンジン51は、ピストンの移動方向を車体前後方向に向けたものであり、ユニット全体として車体前後方向に長く扁平な形状をなしている。
エンジン51の下側に位置する排気口には、排気パイプ31の一端が接続されている。この排気パイプ31は、排気口から下側に延びた後に、車体後方に向かって引き回され、排気パイプ31の他端がパワーユニット50の後方に設けられたマフラ32に連結されている。この排気パイプ31の途中には、ピボットプレート13の後方に配置され、排気ガス中の炭化水素と一酸化炭素と酸化窒素等を酸化、還元反応によって除去する触媒33が設けられている。
また、パワーユニット50の下方中央部であって、車体右側には、エンジン51を始動させるキックペダル34が設けられている。また、パワーユニット50の車体左側には、車体を傾けた状態で停めるためのサイドスタンド35が設けられている。
また、ピボットプレート13の下部であって、パワーユニット50の後方には、車体を直立した状態で停めるためのメインスタンド36が回動自在に取り付けられている。このメインスタンド36は、図1のように車体を直立した状態で停めるために立てられた場合でも、また、メインスタンド36が使用されずに後方略水平に延びる場合でも、キックペダル34の回動を妨げないように配置されている。これにより、運転者は、メインスタンド36を立てた場合でも、メインスタンド36を使用しない場合でも、キックペダル34を踏み込むことができる。
さらに、エンジン51の下方後端部には、運転者の足で操作するブレーキペダル60が回動自在に支持されている。
ピボットプレート13の上下方向の中間部には、ピボット軸20が設けられている。このピボット軸20には、リアフォーク22が上下方向に揺動自在に支障されており、このリアフォーク22の後部には、後輪21が回転自在に支持されている。後輪21とパワーユニット50とは、図示しない駆動チェーンによって連結されており、パワーユニット50からの回転動力が駆動チェーンを介して後輪21へと伝達される。また、リアフォーク22は、このリアフォーク22の後端部とリアフレーム14との間に介装されたリアクッション23によって衝撃が吸収されるようになっている。
左右のリアフレーム14の前部には、上面に開口を有する収納ボックス27が取り付けられている。この収納ボックス27の下側には、パワーユニット50の上面から引き回された冷却ダクト43が接続されている。この冷却ダクト43は、収納ボックス27の外部から取り込まれた空気を詳細は後述するベルコン室57Cに供給するためのものである。また、収納ボックス27の内部には、バッテリー44などを収納する電装品室27Bも形成されている。
収納ボックス27の後方には、燃料タンク28が配置されている。この燃料タンク28には燃料ポンプ28Aが内蔵されており、この燃料ポンプ28Aによって燃料がスロットルボディ30Aへと供給される。
これらの収納ボックス27及び燃料タンク28の上方は、タンデム式のシート29によって覆われている。このシート29は、収納ボックス27の前側に設けられたヒンジ軸66を中心に回動させることができ、これにより、収納時及び給油時にシート29を開閉させることができるようになっている。また、収納ボックス27の上側開口の上縁部には、シート29の底板と当接して内部に雨水等が入り込まないように、シール部材(図示せず)が設けられている。
リアロアパイプ14Bには、左右一対のステップ支持フレーム26がそれぞれ設けられており、このステップ支持フレーム26には、同乗者が足を乗せる左右一対のピリオンステップ25がそれぞれ取り付けられている。
また、リアフレーム14の後端部には、後輪21の上方を覆うリアフェンダ39及びテールランプ40が取り付けられている。
自動2輪車1は、車体が主として樹脂材料からなる車体カバー37で覆われている。具体的には、この車体カバー37は、ハンドル16の前部を覆うハンドルカバー37Aと、車体フレーム10の前部を覆うフロントトップカバー37Bと、メインパイプ12の上部を覆うメインパイプカバー37Cと、メインパイプ12の側部及びエアクリーナ19の開口部(不図示)を覆うメインパイプサイドカバー37Dと、図示は省略するが、車体フレーム10の下方を覆うロアカバーと、車体フレーム10の中央部を覆うボディセンターカバーと、車体フレーム10の側部を覆うボディーサイドカバーと、車体フレーム10の後方側部を覆うリアサイドカバーとを備えている。
メインパイプカバー37Cの上方かつシート29の前方には、側面視で略U字状に窪んだ空間S、つまり、運転者が乗降する際に足をまたぐ足またぎ空間Sが確保される。
図2は、自動2輪車1を下方から示す図であって、メインスタンド36等を省略したものである。
パワーユニット50の下部には、車体幅方向の両側方に延出するステップバー42が設けられている。このステップバー42の両端には、運転者が足を乗せるための一対のステップ41が取り付けられている。このステップバー42は、クランクケース53の下面にステップバーブラケット42A、42Bを介して取り付けられている。
また、パワーユニット50の外側形状は、メインパイプ12の車体前後方向に延びる中心軸線Xに対して、左右対称になっていない。詳細には、エンジン51の中心線Qは、中心軸線Xよりも車体幅方向の左側に位置する。また、CVT52の無段変速機収容部57が車体右側にせり出すように突出している。すなわち、右斜め前方に延びるブレーキペダル60とエンジン51との間に、無段変速機収容部57が配置されている。
なお、図2において、符号41はステップ、42はステップバー、62はブレーキペダル60のアーム、63はアーム62を踏み込むためのペダル部である。
図3は、パワーユニット50の水平方向における断面を上方から示す図である。
エンジン51は、車体後方(図4の下側)に位置するクランクケース53(クランク収容部)と、クランクケース53の前側に接続されたシリンダブロック54と、シリンダブロック54の前側に接続されたシリンダヘッド55と、エンジン51の前端を覆うシリンダカバー45とを備えている。
クランクケース53は、左クランクケース53Aと右クランクケース53Bとを有し、左クランクケース53Aと右クランクケース53Bとは、車幅方向に対向して配置されている。
クランクケース53内には、車幅方向に水平に延びるクランクシャフト53Cのクランク部53Dが収容され、クランクシャフト53Cはクランクケース53に回転自在に支持されている。
また、クランクケース53には、キックペダル34(図1)が取り付けられており、エンジン51の始動時には、運転者がキックペダル34を踏み下ろすことにより、クランクシャフト53Cに回転力が与えられ、エンジン51が始動する。
シリンダブロック54には、車体前後方向に向けてシリンダ54Aが形成されており、シリンダ54A内には、ピストン54Bが摺動可能に挿入されている。なお、本実施の形態では、シリンダ54Aの中心をエンジン51の中心線Qとする。
ピストン54Bにはコンロッド54Cの一端部が連結され、コンロッド54Cの他端部は、クランクシャフト53Cに連結されている。
シリンダヘッド55には燃焼室55Aと、燃焼室55Aに連通する図示しない吸気ポート及び排気ポートとが形成され、燃焼室55Aの内部に点火プラグ55Bが挿入されている。吸気ポートにはスロットルボディ30A(図1)が接続され、排気ポートには排気パイプ31(図1)が接続される。
シリンダヘッド55にはカムシャフト55Cが設けられ、カムシャフト55Cは、カムチェーン55Dによりクランクシャフト53Cに連結され、クランクシャフト53Cと連動して回転し、図示しない吸気バルブ及び排気バルブを開閉させる。
クランクケース53の左方には、発電機56Aを収容する発電機ケース56が取り付けられ、クランクケース53の右方には、CVT52を収容する無段変速機収容部57が設けられている。
無段変速機収容部57は、潤滑油等の油液が介在する状態で使用されるクランクケース53等から独立して形成され、乾燥した状態で使用されている。無段変速機収容部57は、車幅方向内側(左方)を覆うベルコンケース57Aと、車幅方向外側(右方)を覆うベルコンカバー57Bとを備えて構成されている。ベルコンケース57Aとベルコンカバー57Bとの内部には、CVT52を収容するベルコン室57Cが設けられている。
クランクシャフト53Cの右端部は、クランクケース53及びベルコンケース57Aを貫通してベルコン室57Cにまで延びている。クランクシャフト53Cの右端部には、CVT52のプライマリシーブ57Dが嵌め込まれているため、プライマリシーブ57Dはクランクシャフト53Cの回転に従って回転する。
また、クランクシャフト53Cの左端部は、クランクケース53を貫通して発電機ケース56内に延びている。クランクシャフト53Cの左端部には、発電機56Aが取り付けられている。
また、クランクケース53の後方には、クランクシャフト53Cに平行してセカンダリシーブ軸57Eが配置されている。セカンダリシーブ軸57Eの右端部は、クランクケース53及びベルコンケース57Aを貫通して、ベルコン室57Cまで延びている。このセカンダリシーブ軸57Eの右端部には、CVT52のセカンダリシーブ57Fが嵌め込まれている。
CVT52は、プライマリシーブ57Dと、セカンダリシーブ57Fと、これらプライマリシーブ57Dとセカンダリシーブ57Fとに巻き掛けられた図示しないVベルトとを備えて構成される。
セカンダリシーブ57Fの右方部分には、送風用の複数の羽根57Hが形成され、この羽根57Hにより、冷却ダクト43(図3)からベルコン室57Cに空気が導かれ、また、ベルコン室57C内の空気が図示しない空気孔から外部に搬送されて、ベルコン室57Cが冷却される。
遠心式クラッチ58は、クラッチシュー58Aが設けられる支持プレート58Bとクラッチ板58Cとを備える。支持プレート58Bは、セカンダリシーブ軸57Eの左側に取り付けられ、セカンダリシーブ軸57Eと一体となって回転する。
遠心式クラッチ58の左側には、減速機59が設けられている。この減速機59は、クラッチ板58Cに設けられた入力歯車59Aと、クランクケース53に回転自在に支持される中間歯車59B、59Cと、クランクケース53に回転自在に支持される出力軸59Eに設けられる最終段歯車59Dを有する。入力歯車59Aは中間歯車59Bに噛み合い、中間歯車59Bと同軸に設けられる中間歯車59Cは最終段歯車59Dと噛み合う。
支持プレート58Bの回転数、換言すれば、エンジン回転数が所定以上になると、遠心力の増大によりクラッチシュー58Aがクラッチ板58Cに当接する。これにより、クラッチ板58Cがセカンダリシーブ軸57Eと連動して回転し、入力歯車59A、中間歯車59B、59Cおよび最終段歯車59Dを介して出力軸59Eが回転される。
出力軸59Eの左端部は、左クランクケース53Aを貫通してクランクケース53の外側に突出し、上述した伝動機構(不図示)が取り付けられている。出力軸59Eの回転出力は、伝動機構を介して後輪21(図1)に伝達され、後輪21が回転する。
このように、本発明におけるパワーユニット50は、クランクシャフト53Cの右側にCVT52を備えるので、CVT52を収容する無段変速機収容部57がクランクケース53から車体右側にせり出すように突出することになる。
図4は、車体フレーム10内にパワーユニット50と収納ボックス27とを収容し、それぞれを冷却ダクト43で接続した図であって、車体右側から見た側面図である。また、図5は、図4の上面図である。さらに、図6は、収納ボックス27内を示す斜視図、図7は、図6にバッテリーを搭載した状態を示す斜視図である。
冷却ダクト43は、図4に示すように、パワーユニット50側に取り付けられる樹脂製ダクト43Aと、収納ボックス27側に取り付けられるゴム製ダクト43Bとで構成されており、これらの樹脂製ダクト43Aとゴム製ダクト43Bを接続部85で接続することにより、パワーユニット50のベルコン室57C(図3参照)内と収納ボックス27内とが連通するようになる。この接続部85は、冷却ダクト43内の空気が漏れないように気密に接続される。
樹脂製ダクト43Aは、図4に示すように、パワーユニット50のベルコン室57Cの上側面で接続されている。樹脂製ダクト43Aは、このベルコン室57Cの上面と略直交する方向であって車体前方斜め上側に向けて突出する第1ダクト部80Aと、この第1ダクト部80Aの上端部からパワーユニット50のクランクケース53の上面と隙間81をあけて、クランクケース53の上面に沿って車体後方斜め上側に向かって延びる第2ダクト部80Bと、この第2ダクト部80Bの後端部からリアアッパーパイプ14Aとメインパイプ12との接続部分67を避けるようにしてメインパイプ12に沿って車体後方斜め下側に延びる第3ダクト部80C(曲げ部)と、この第3ダクト部80Cの下端部から車体後方斜め上側に延びる第4ダクト部80Dとから構成されている。
これらの第1ダクト部80A〜第4ダクト部80Dは、図5に示すように、平面視において、無段変速機収容部57の上側であって、ベルコン室57Cの上側を車体前後方向に略直線状に延在している。なお、第4ダクト部80Dの後端部は接続部85となっており、ゴム製ダクト43Bが接続される。また、樹脂製ダクト43Aは、リアアッパーパイプ14Aとメインパイプ12との接続部分67の付近でリアアッパーパイプ14Aにボルト183によって取り付けられている。
第1ダクト部80A及び第2ダクト部80Bは、その断面形状が楕円になるように形成されている。
この楕円形状の長軸は、第1ダクト部80Aでは、図5に示すように、車体前後方向に向けられており、短軸は、車体幅方向に向けられている。
また、第2ダクト部80Bでは、楕円形状の長軸は上下方向に向けられ、楕円形状の短軸方向は車体幅方向に向けられている。
このように、第1ダクト部80A、第2ダクト部80Bの短軸を車体幅方向に向けることにより、樹脂製ダクト43Aの車体幅方向における占有スペースを小さくし、他の部品の設置スペースを確保することができるようになる。また、冷却ダクト43が車体側方に張り出すことで、車体カバーが外側方へ張り出すのを回避している。
一方、及び第3ダクト部80C及び第4ダクト部80Dは、その断面形状が円形状になるように形成されている。これは、第3ダクト部80C及び第4ダクト部80Dの上方に位置するリアアッパーパイプ14A、収納ボックス27との干渉を避けるためであり、収納ボックス27の収納スペースをより大きく確保するために、第3ダクト部80C及び第4ダクト部80Dの高さ寸法を小さくしている。また、第3ダクト部80C及び第4ダクト部80Dの断面積は、他の第1ダクト部80A及び第2ダクト部80Bと等しくなるようにしている。
一方、収納ボックス27は、メインパイプ12の後部上面、及びリアフレーム14に図示しない弾性部材を介してラバーマウントされている。この収納ボックス27の内部には、図4〜図7に示すように、その前側に荷物を収納可能な収納室27Aと、この収納室27Aの後側にバッテリー44等の電装品が収納される電装品室27Bとに画成されている。
電装品室27Bの上部には、図5に示すように、蓋部86が開閉可能に設けられている。この蓋部86の上側には、工具89が取り付け可能に構成されている。詳細には、蓋部86の前側に設けられたピン87と後側に設けられたフック部91に紐部材88が引っ掛けられ、この紐部材88によって工具89が取り付けられている。
この電装品室27Bの側壁部の下側には、図6に示すように、ゴム製ダクト43Bが接続されるゴム製ダクト取付開口部65が形成されている。また、このゴム製ダクト取付開口部65の上側には、図7に示すように、バッテリー44が取り付けられる。
また、この電装品室27Bの側壁には、バッテリー44等と接続される電気配線を通す開口(図示せず)や、電装品室27B内に外気を取り込むための通気穴(図示せず)も形成されている。これにより、収納ボックス27の外側の空気は、電装品室27Bに取り込まれてバッテリー44等の電装品を冷却するとともに、その後に冷却ダクト43へと流れるようになる。
このゴム製ダクト43Bは、収納ボックス27に小組され、収納ボックス27と一体になった状態で車体フレーム10内に組み立てられる。
ゴム製ダクト43Bは、図4に示すように、収納ボックス27から車体前方斜め下側に延び、その下端部で樹脂製ダクト43Aの第4ダクト部80Dと接続部85で接続される。上述したゴム製ダクト取付開口部65は、図4に示すように、リアアッパーパイプ14Aとリアロアパイプ14Bとの間に位置するように形成されており、ゴム製ダクト43Bがこれらのリアアッパーパイプ14Aとリアロアパイプ14Bとの間から接続されるようになる。
ゴム製ダクト43Bは、弾性を有するゴム材料で形成されており、収納ボックス27の位置や、樹脂製ダクト43Aの位置に合わせて自由に変形することができるようになっている。すなわち、ゴム製ダクト43Bは、電装品を保護するために防振構造を有する収納ボックス27にパワーユニット50からの振動が伝わらないようにするために、弾性を有するゴム材料が使用されている。なお、ゴム製ダクト43Bは、弾性を有していればゴム材料に限られず、例えばシリコン製であってもよい。
ゴム製ダクト43Bの断面形状は、楕円形状に形成されており、ゴム製ダクト43Bは、この楕円の長軸が車体上下方向に向くように取り付けられている。
図8は、図4の状態から収納ボックス27を取り除いた側面図である。
樹脂製ダクト43Aは、パワーユニット50に小組され、パワーユニット50と一体になった状態で車体フレーム10内に組み立てられる。以下、パワーユニット50、エンジンハンガ50A、及び冷却ダクト43との関係について説明する。
パワーユニット50のベルコン室57Cの上面は、図8に示すように、パワーユニット50を車体フレーム10内に収容した状態で、車体前側から後側に向かって斜め上側に昇り傾斜となっている。一方、メインパイプ12は、図1でも説明したとおり、車体前側から後側に向かって斜め下側に下り傾斜になっている。また、メインパイプ12とベルコン室57Cの上面との間には、側面視において隙間を有しており、パワーユニット50の後端部の近傍で最も近くなる。そのため、パワーユニット50を取り付けるための前側懸架部90は、メインパイプ12の下方であって、このメインパイプ12とベルコン室57Cの上面との間にエンジンハンガ50Aを突出させることで構成し、この前側懸架部90に車体側方からボルト182を挿入できるようにしている。
また、冷却ダクト43は、ベルコン室57Cから収納ボックス27までの長さを長く確保することで、その内部を通過する空気をより効率よく冷却する必要がある。
すなわち、冷却ダクト43の冷却効率確保の観点から、樹脂製ダクト43Aの第1ダクト部80Aとベルコン室57Cとの接続位置は、ベルコン室57Cの車体前側に位置するようにしている。
また、エンジンハンガ50Aは、その形状を小型化するために、メインパイプ12とパワーユニット50とが近い位置であって、第1ダクト部80Aとベルコン室57Cの上面との接続部よりも車体後方側に配置している。さらに、この前側懸架部90の位置は、図4に示すように、車体前後方向において、プライマリシーブ57Dの軸心57Pとセカンダリシーブ57Fの軸心57Qとの間であって、クランクケース53の上面に設けられている。
また、このエンジンハンガ50Aとパワーユニット50とを車体側面からボルト182で固定可能なように、第2ダクト部80Bとベルコン室57Cの上面との間に隙間81(図4において網掛けして示す部分)を設けている。
本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両のエンジン懸架構造によれば、冷却ダクト43をパワーユニット50の上方でパワーユニット50のベルコン室57Cの上面と隙間81を持って配置し、パワーユニット50の前側懸架部90は、冷却ダクト43の無段変速機収容部57との接続部の後方で、側面視で隙間81に配置されているので、パワーユニット50の前側懸架部90を車体後方下側に向かって下り傾斜に形成されたメインパイプ12に近い位置に設けることができ、メインパイプ12に設けたエンジンハンガ50Aを小型化、軽量化することができる。また、冷却ダクト43とパワーユニット50との隙間81に位置する前側懸架部90でパワーユニット50を車体側方からボルト182で取り付けることができ、パワーユニット50と冷却ダクト43とを小組した状態であっても、パワーユニット50を容易にエンジンハンガ50Aに取り付けることができる。
また、冷却ダクト43はベルコン室57Cの上面に接続され、パワーユニット50の前側懸架部90が、プライマリシーブ57Dの軸心57Pとセカンダリシーブ57Fの軸心57Qとの間で、クランクケース53の上面に設けられているので、プライマリシーブ57Dの軸心57Pとセカンダリシーブ57Fの軸心57Qとの間でパワーユニット50を固定することができ、より安定した取付位置でパワーユニット50を支持することができる。
さらに、自動2輪車1は、パワーユニット50の後上方に配置される収納ボックス27を備え、冷却ダクト43は、CVT52に接続される樹脂製ダクト43Aと、この樹脂製ダクト43Aに接続されるとともに収納ボックス27に接続されるゴム製ダクト43Bから構成されているので、樹脂製ダクト43Aをパワーユニット50に一体に小組して、車体フレーム10内に取り付けることができると共に、ゴム製ダクト43Bを収納ボックス27に一体に小組して、車体フレーム10内に取り付けることができ、組み立て作業を容易に行うことができる。また、一方をゴム製ダクト43Bで構成しているので、樹脂製ダクト43Aとの接続を容易に行うことができる。
以上、本発明の実施の形態について述べたが、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
本実施の形態では、樹脂製ダクト43Aの第2ダクト部80Bが、パワーユニット50のクランクケース53の上面に沿って車体後方斜め上側に向けて延在させているが、樹脂製ダクト43Aとパワーユニット50の上面との間に隙間を設けることができればこれに限られない。例えば、図9に示すように、第1ダクト部180Aをメインパイプ12の近傍まで突出させ、この第1ダクト部180Aの後端部からメインパイプ12に沿って車体後方斜め下側に延在させることにより、クランクケース53の上面と樹脂製ダクト43Aとの間に隙間181を形成することもできる。これによれば、パワーユニット50に樹脂製ダクト43Aを仮組した状態でパワーユニット50をエンジンハンガ50Aに組み付ける際に、隙間181を用いて車体側方からボルト182を挿入し組み付けることができる。
また、樹脂製ダクト143Aの長さを長くして、冷却ダクト143全体の長さをより長く構成することができるので、供給する空気を効果的に冷却することができる。
また、図10に示すように、樹脂製ダクト43Aをパワーユニット50の前部から突出させてもよい。詳細には、ベルコン室57Cの側面に導入口283を形成し、この導入口283から樹脂製ダクト243Aを突出させることにより、冷却ダクト243全体の長さ(空気を送流させる長さ)をより長くすることができる。この樹脂製ダクト243Aは、導入口283から車体前側に突出し、ベルコン室57Cの前側部に沿って車体上方へ延在した後に、ベルコン室57Cの上面に沿って車体後方斜め上側に延びている。この構造であっても、樹脂製ダクト243Aとベルコン室57Cの上面との隙間81からパワーユニット50をエンジンハンガ50Aに取り付けることができるとともに、冷却ダクト243の全長を長くすることで、冷却効率を向上させることができる。
また、図10に示すように冷却ダクト243をベルコン室57Cの前側に引き回す場合には、ベルコン室57Cの前端部に冷却ダクト243をベルコン室57に支持させる支持部284を設けてもよい。これにより、冷却ダクト243が全体として長尺になったとしても、冷却ダクト243が振動しないように取り付けることができる。
本発明に係る一実施の形態の自動二輪車を示す側面図である。 自動2輪車を下側から見た図であって、メインスタンド等を省略したものである。 パワーユニットの水平方向における断面を上方から示す平面図である。 車体右側から見た図であって、収納ボックスを取り付けた状態を示す側面図である。 図4の上面図である。 収納ボックス内を示す斜視図である。 図6にバッテリーを搭載した状態を示す斜視図である。 図4から収納ボックスを取り外した状態を示す側面図である。 本発明の第1変形例であって、車体右側から見た図である。 本発明の第2変形例であって、車体右側から見た図である。
符号の説明
1 自動2輪車
10 車体フレーム
11 ヘッドパイプ
12 メインパイプ
13 ピボットプレート
14 リアフレーム
14A リアアッパーパイプ
14B リアロアパイプ
27 収納ボックス
27A 収納室
27B 電装品室
29 シート
43、143、243 冷却ダクト
43A、143A、243A 樹脂製ダクト
43B ゴム製ダクト
44 バッテリー
50 パワーユニット(内燃機関)
50A エンジンハンガ
51 エンジン
52 CVT(無段変速機)
53 クランクケース
57 無段変速機収容部
57C ベルコン室
57D プライマリシーブ
57F セカンダリシーブ
57P プライマリシーブの軸心
57Q セカンダリシーブの軸心
65 ゴム製ダクト取付開口部
80A、180A 第1ダクト部
80B 第2ダクト部
80C 第3ダクト部
80D 第4ダクト部
81、181 隙間
90 前側懸架部
91 フック部
283 導入口
284 支持部

Claims (3)

  1. ハンドルを回動自在に軸支するヘッドパイプから後下方に延びるメインパイプと、
    当該メインパイプの後部に懸架される、ベルト式の無段変速機を搭載した内燃機関と、
    当該内燃機関の無段変速機収容部に接続されるとともに、変速ベルトを冷却する冷却ダクトとを備えるとともに、
    前記内燃機関の上部に、前記内燃機関をメインパイプに懸架する前側懸架部が設けられた鞍乗り型車両のエンジン懸架構造において、
    前記冷却ダクトを前記内燃機関上方で前記内燃機関と隙間を持って配置し、前記内燃機関の前側懸架部は、前記冷却ダクトの前記無段変速機収容部との接続部の後方で、側面視で前記隙間に配置されたことを特徴とする鞍乗り型車両のエンジン懸架構造。
  2. 前記冷却ダクトはベルコン室の無段変速機収容部の上面に接続され、前記エンジンの前側懸架部が、プライマリシーブの軸心とセカンダリシーブの軸心との間で、クランクケース上面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両のエンジン懸架構造。
  3. 鞍乗り型車両は、前記内燃機関の後上方に配置される収納ボックスをさらに備え、前記冷却ダクトは、前記無段変速機に接続される樹脂製ダクトと、当該樹脂製ダクトに接続されるとともに前記収納ボックスに接続されるゴム製ダクトから構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鞍乗り型車両のエンジン懸架構造。
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