JP2000053758A - ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法 - Google Patents

ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法

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JP2000053758A
JP2000053758A JP10220452A JP22045298A JP2000053758A JP 2000053758 A JP2000053758 A JP 2000053758A JP 10220452 A JP10220452 A JP 10220452A JP 22045298 A JP22045298 A JP 22045298A JP 2000053758 A JP2000053758 A JP 2000053758A
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hydroxy
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polyhydroxycarboxylic
solution
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Kenichi Goto
謙一 後藤
Yukihiro Kumamoto
行宏 熊本
Katsuji Watanabe
勝治 渡辺
Masaji Tamai
正司 玉井
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 量産可能なプロセスで、高品質のポリヒドロ
キシカルボン酸を製造する方法の提供。 【解決手段】 ヒドロキシカルボン酸および/またはそ
のオリゴマーにハロイミニウム塩および有機塩基を作用
させることによってポリヒドロキシカルボン酸の有機溶
媒溶液を得て、該溶液に脂肪族アルコール類を混合して
ポリヒドロキシカルボン酸を析出、単離する製造方法に
おいて、回収される有機溶媒、脂肪族アルコール類、ハ
ロイミニウム塩が反応した後に生成するアミド類および
/またはウレア類および/またはイミダゾリジノン類、
および有機塩基の塩が混合する溶液を、160℃以上2
50℃以下の温度で加熱処理をした後、それぞれを蒸留
分離し、反応に再利用するポリヒドロキシカルボン酸の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療用材料および
汎用樹脂代替の生分解性ポリマーとして有用なポリヒド
ロキシカルボン酸に関し、ハロイミニウム塩を用いて得
られるポリヒドロキシカルボン酸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリヒドロキシカルボン酸は機械的性
質、物理的性質、化学的性質に優れている上に、他に害
を与えることなく自然環境下で分解され、最終的には微
生物によって水と炭酸ガスになるという生分解性の機能
を有しており、近年医療用材料や、汎用樹脂代替等、様
々な分野で注目されており、今後もその需要が大きく伸
びることが期待されている。特に、既存の汎用樹脂製品
に関してリサイクルが義務づけられるようになると、生
分解性ポリマーへの代替が進むことが予想され、飲料
品、洗剤、化粧品用の各種容器類、衣類、雑貨等の収納
ケース、食品こん包材、被覆用フィルムなどの用途に需
要が大きくなると見込まれる。
【0003】通常、ポリヒドロキシカルボン酸の製造方
法としては、モノマーの環状二量体、例えば乳酸であれ
ばラクチドを合成した後精製し、各種触媒の存在下、開
環溶融重合することで高分子量のポリマ−が得られるこ
とが知られている(米国特許明細書第2,703,31
6、同第2,758,987)。これらの方法は、環状
二量体であるラクチドの製造に際して多大の労力と費用
を必要とするため経済的でなく、最終的な製品が高価な
ものとなってしまう。
【0004】一方、ヒドロキシカルボン酸及びそのオリ
ゴマーから直接脱水法によって、ポリヒドロキシカルボ
ン酸を得る方法が幾つか開示されている(特開昭59−
096123号公報、特開昭61−028521号公
報)。しかしながら、これらの方法では得られる該ポリ
マーの固有粘度は約0.3dl/g程度が限界で十分な
機械物性を有さず、その用途、目的によっては使用でき
ない。ヒドロキシカルボン酸の直接重合法は、二塩基酸
と多価アルコールによるエステル化反応と同様に逐次反
応であり、反応時間と共に分子量は増大するが、この際
生成する水分子は、加水分解作用による逆反応により、
重縮合体の分子量を低下させる作用を有するので、生成
する水分を系外へ効率よく除去することが高分子量ポリ
マ−を得るために必要である。その方法としては、反応
時に撹拌速度を高める方法、減圧度を高める方法、不活
性ガスを反応系に導入し水を揮散させる方法、等がある
が、分子量の増大と共に反応系の粘度が著しく上昇する
ため水分除去効率にも限界があり、所望の機械物性を有
する高分子量のポリヒドロキシカルボン酸とするのに非
常に長い処理時間を要する問題や、理論的な限界分子量
に到達させるのが困難であるといった問題が残されてい
た。
【0005】既存の汎用樹脂製品の代替用としては、従
来の技術で得られるポリヒドロキシカルボン酸は未だ高
価格であることが大きな問題であり、量産が可能なプロ
セスで効率的に生分解性ポリマーを製造することは重要
な課題となっている。
【0006】そして、近年新たにヒドロキシカルボン酸
にハロイミニウム塩を作用させて重合を行いポリヒドロ
キシカルボン酸を得る方法が見いだされた(特開平10
−152550号公報)。この方法は、ヒドロキシカル
ボン酸のカルボキシル基をハロイミニウム塩によりハロ
ゲン化して酸ハライドを生成する反応と、次いで起こる
酸ハライドとヒドロキシル基の反応よりなる。これによ
り、前記の方法に比較して単純な操作で容易にポリヒド
ロキシカルボン酸を得ることが可能となった。
【0007】しかし、ハロイミニウム塩を用いてポリヒ
ドロキシカルボン酸を製造する場合、ハロイミニウム塩
が反応した後に生成するアミド類および/またはウレア
類および/またはイミダゾリジノン類が反応液中に混在
することになる。また、反応に有機塩基を使用するの
で、反応後にはその塩も混在する。これらの化合物をポ
リマーから分離して製品を取り出すことが必要である
し、工業的には、溶媒、ハロイミニウム塩の原料である
アミド類、ウレア類、イミダゾリジノン類、および有機
塩基を回収し、反応に再利用する必要がある。中でも有
機塩基は、塩の状態から遊離化させて再利用する必要が
ある。有機塩基の塩を遊離化させる場合、反応に使用す
る有機塩基より塩基性の強い無機塩基、または有機塩基
を用いて中和、もしくは塩交換を行う方法がある。しか
し、無機塩基による中和を行う場合、分離回収を行おう
とする液中に大量の水を混在させることになったり、有
機塩基を用いる塩交換では、分離回収成分の増加や、塩
交換した有機塩基の遊離化が必要であるなど、いずれも
工業的には労力が多大で効率の悪いプロセスとなってし
まうため、解決が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の技
術では、量産可能なプロセスで、高品質のポリヒドロキ
シカルボン酸を製造する方法が確立されておらず、解決
が求められていた。本発明は、この課題を解決しようと
するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】本発明者等は、量産可能なプロセスで、高
品質のポリヒドロキシカルボン酸を製造する方法を提供
することを課題とし鋭意検討した。その結果、驚くべき
ことに、ヒドロキシカルボン酸および/またはそのオリ
ゴマーにハロイミニウム塩および有機塩基を作用させる
ことによってポリヒドロキシカルボン酸の有機溶媒溶液
を得て、該溶液に脂肪族アルコール類を混合してポリヒ
ドロキシカルボン酸を析出、単離させ、この時に回収さ
れる混合液を特定の温度範囲で加熱処理した後に蒸留分
離することで、溶媒、有機塩基等を効率よく回収し、こ
れらを再び用いてポリヒドロキシカルボン酸の製造が可
能であることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明はヒドロキシカルボン酸およ
び/またはそのオリゴマーにハロイミニウム塩および有
機塩基を作用させることによってポリヒドロキシカルボ
ン酸の有機溶媒溶液を得て、該溶液に脂肪族アルコール
類を混合してポリヒドロキシカルボン酸を析出、単離す
る製造方法において、回収される有機溶媒、脂肪族アル
コール類、ハロイミニウム塩が反応した後に生成するア
ミド類および/またはウレア類および/またはイミダゾ
リジノン類、および有機塩基の塩が混合する溶液を、1
60℃以上250℃以下の温度で加熱処理をした後、そ
れぞれを蒸留分離し、反応に再利用することを特徴とす
るポリヒドロキシカルボン酸の製造方法であり、ヒドロ
キシカルボン酸が乳酸である前記のポリヒドロキシカル
ボン酸の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるヒドロキシカ
ルボン酸の具体例としては、以下のものが上げられる。
グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシブタノイックアシ
ッド、2−ヒドロキシペンタノイックアシッド、2−ヒ
ドロキシヘキサノイックアシッド、2−ヒドロキシヘプ
タノイックアシッド、2−ヒドロキシオクタノイックア
シッド、2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノイックア
シッド、2−ヒドロキシ−2−メチルブタノイックアシ
ッド、2−ヒドロキシ−2−エチルブタノイックアシッ
ド、2−ヒドロキシ−2−メチルペンタノイックアシッ
ド、2−ヒドロキシ−2−エチルペンタノイックアシッ
ド、2−ヒドロキシ−2−プロピルペンタノイックアシ
ッド、2−ヒドロキシ−2−ブチルペンタノイックアシ
ッド、2−ヒドロキシ−2−メチルヘキサノイックアシ
ッド、2−ヒドロキシ−2−エチルヘキサノイックアシ
ッド、2−ヒドロキシ−2−ブチルヘキサノイックアシ
ッド、2−ヒドロキシ−2−ペンチルヘキサノイックア
シッド、2−ヒドロキシ−2−メチルヘプタノイックア
シッド、2−ヒドロキシ−2−メチルヘプタノイックア
シッド、2−ヒドロキシ−2−エチルヘプタノイックア
シッド、2−ヒドロキシ−2−プロピルヘプタノイック
アシッド、2−ヒドロキシ−2−ペンチルヘプタノイッ
クアシッド、2−ヒドロキシ−2−ヘキシルヘプタノイ
ックアシッド、2−ヒドロキシ−2−メチルオクタノイ
ックアシッド、2−ヒドロキシ−2−エチルオクタノイ
ックアシッド、2−ヒドロキシ−2−プロピルオクタノ
イックアシッド、2−ヒドロキシ−2−ブチルオクタノ
イックアシッド、2−ヒドロキシ−2−ペンチルオクタ
ノイックアシッド、2−ヒドロキシ−2−ヘキシルオク
タノイックアシッド、3−ヒドロキシプロパノイックア
シッド、3−ヒドロキシブタノイックアシッド、3−ヒ
ドロキシペンタノイックアシッド、3−ヒドロキシヘキ
サノイックアシッド、3−ヒドロキシヘプタノイックア
シッド、3−ヒドロキシオクタノイックアシッド、3−
ヒドロキシ−3−メチルブタノイックアシッド、3−ヒ
ドロキシ−3−メチルペンタノイックアシッド、3−ヒ
ドロキシ−3−エチルペンタノイックアシッド、3−ヒ
ドロキシ−3−メチルヘキサノイックアシッド、3−ヒ
ドロキシ−3−エチルヘキサノイックアシッド、3−ヒ
ドロキシ−3−プロピルヘキサノイックアシッド、3−
ヒドロキシ−3−メチルヘプタノイックアシッド、3−
ヒドロキシ−3−エチルヘプタノイックアシッド、3−
ヒドロキシ−3−プロピルヘプタノイックアシッド、3
−ヒドロキシ−3−ブチルヘプタノイックアシッド、3
−ヒドロキシ−3−メチルオクタノイックアシッド、3
−ヒドロキシ−3−エチルオクタノイックアシッド、3
−ヒドロキシ−3−プロピルオクタノイックアシッド、
3−ヒドロキシ−3−ブチルオクタノイックアシッド、
3−ヒドロキシ−3−ペンチルオクタノイックアシッ
ド、4−ヒドロキシブタノイックアシッド、4−ヒドロ
キシペンタノイックアシッド、4−ヒドロキシヘキサノ
イックアシッド、4−ヒドロキシヘプタノイックアシッ
ド、4−ヒドロキシオクタノイックアシッド、4−ヒド
ロキシ−4−メチルペンタノイックアシッド、4−ヒド
ロキシ−4−メチルヘキサノイックアシッド、4−ヒド
ロキシ−4−エチルヘキサノイックアシッド、4−ヒド
ロキシ−4−メチルヘプタノイックアシッド、4−ヒド
ロキシ−4−エチルヘプタノイックアシッド、4−ヒド
ロキシ−4−プロピルヘプタノイックアシッド、4−ヒ
ドロキシ−4−メチルオクタノイックアシッド、4−ヒ
ドロキシ−4−エチルオクタノイックアシッド、4−ヒ
ドロキシ−4−プロピルオクタノイックアシッド、4−
ヒドロキシ−4−ブチルオクタノイックアシッド、5−
ヒドロキシペンタノイックアシッド、5−ヒドロキシヘ
キサノイックアシッド、5−ヒドロキシヘプタノイック
アシッド、5−ヒドロキシオクタノイックアシッド、5
−ヒドロキシ−5−メチルヘキサノイックアシッド、5
−ヒドロキシ−5−メチルヘプタノイックアシッド、5
−ヒドロキシ−5−エチルヘプタノイックアシッド、5
−ヒドロキシ−5−メチルオクタノイックアシッド、5
−ヒドロキシ−5−エチルオクタノイックアシッド、5
−ヒドロキシ−5−プロピルオクタノイックアシッド、
6−ヒドロキシヘキサノイックアシッド、6−ヒドロキ
シヘプタノイックアシッド、6−ヒドロキシオクタノイ
ックアシッド、6−ヒドロキシ−6−メチルヘプタノイ
ックアシッド、6−ヒドロキシ−6−メチルオクタノイ
ックアシッド、6−ヒドロキシ−6−エチルオクタノイ
ックアシッド、7−ヒドロキシヘプタノイックアシッ
ド、7−ヒドロキシオクタノイックアシッド、7−ヒド
ロキシ−7−メチルオクタノイックアシッド、8−ヒド
ロキシオクタノイックアシッド等の脂肪族ヒドロキシカ
ルボン酸が挙げられる。これらは単独でも或は二種以上
混合して用いてもよい。特に好ましく用いられるヒドロ
キシカルボン酸は、乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキ
シブタノイックアシッド、4−ヒドロキシブタノイック
アシッド、3−ヒドロキシペンタノイックアシッド、ま
たはそれらの混合物である。
【0012】本発明方法では前述のヒドロキシカルボン
酸から誘導されるオリゴマーを原料として用いることも
出来る。オリゴマーの製法としては、ヒドロキシカルボ
ン酸を単に窒素雰囲気下で加熱脱水する方法で良く、オ
リゴマーの平均重合度はいかなるものであっても良いの
で、縮合水が系外へ除去されるのであれば製法の条件に
特に制約はない。
【0013】本発明に使用されるハロイミニウム塩は、
下式(1)
【化1】 (式中X1、X2はハロゲン原子を表し同一であっても異
なっていてもよい。)で表される構造を分子内に含有し
ている化合物であり、環状化合物であってもなくても、
上記構造さえ有している化合物であれば何ら問題ない。
一般的なハロイミニウム塩としては、N,N−ジメチル
クロロメチレンイミニウムクロライド、N,N−ジフェ
ニルクロロフェニルメチレンイミニウムクロライド、
N,N−ジフェニルクロロ−p−メトキシフェニルメチ
レンイミニウムクロライド、N,N,N’,N’−テト
ラメチルクロロホルムアミジニウムクロライド、N,
N,N’,N’−テトラエチルクロロホルムアミジニウ
ムクロライド、N,N,N’,N’−テトラブチルクロ
ロホルムアミジニウムクロライド、N,N−ジエチル−
N’,N’−ジプロピルクロロホルムアミジニウムクロ
ライド、N,N−ジエチル−N’,N’−ジアリルクロ
ロホルムアミジニウムクロライド、N,N−ジエチル−
N’,N’−ジブチルクロロホルムアミジニウムクロラ
イド、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム
クロライド、2−クロロ−1,3−ジエチルイミダゾリ
ニウムクロライド、2−クロロ−1,3−ジプロピルイ
ミダゾリニウムクロライド、2−クロロ−1,3−ジブ
チルイミダゾリニウムクロライド、2−クロロ−1,3
−ジヘキシルイミダゾリニウムクロライド、2−クロロ
−1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリニウムクロライ
ド、2−クロロ−1,3−ジフェニルイミダゾリニウム
クロライド、2−クロロ−1,3−ジメチル−3,4,
5,6−テトラヒドロピリミジニウムクロライド等のク
ロライド類が挙げられるがフルオライド類、ブロマイド
類、アイオダイド類でも同様に使用できる。またこれら
ハロイミニウム塩は、粉体として使用することもできる
し、適当な溶剤に溶解または懸濁させた状態においても
なんら問題なく使用することができ、数種のハロイミニ
ウム塩を併用することもできる。
【0014】本発明において使用されるハロイミニウム
塩の使用量は、反応させるヒドロキシカルボン酸および
/またはそのオリゴマーのカルボキシル基に対し、等モ
ル以上、好ましくは1.1倍モル〜2倍モルである。ハ
ロイミニウム塩がカルボキシル基に対し、等モルより少
ない場合、残存したカルボキシル基が反応停止末端とな
る。
【0015】本発明方法でハロイミニウム塩を作用させ
る方法でポリヒドロキシカルボン酸を製造する場合、重
合反応は、ハロゲン化水素を放出しながら進行するの
で、これを速やかに完結させるためには反応系内のハロ
ゲン化水素を除去する必要がある。ハロゲン化水素の除
去方法としては、加熱によりハロゲン化水素ガスとして
除去する方法や、有機塩基を用いて塩の形で系外に除去
する方法が一般的である。有機塩基を用いて系内のハロ
ゲン化水素を中和する場合、用いられる有機塩基として
は、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコ
リン、キノリン、イソキノリン、N,N−ジメチルピペ
ラジン、N,N−ジエチルピペラジン、キナルジン、2
−エチルピリジン、4−エチルピリジン、3,5−ルチ
ジン、2,6−ルチジン、4−メチルモルホリン、4−
エチルモルホリン、2,4,6−コリジン等が挙げられ
る。また、これらを併用することも可能である。
【0016】本発明において使用される、塩基の使用量
は、反応により生成し得るハロゲン化水素に対して化学
量論量以上であれば問題ないが、通常化学量論量に対し
て1〜5倍量用いる。好ましくは1.1〜3倍量であ
る。
【0017】本発明方法でハロイミニウム塩を作用させ
てポリヒドロキシカルボン酸を製造する際の反応温度
は、0℃以上100℃以下が好ましい。100℃を超え
る温度では、原料またはポリマー鎖末端のヒドロキシ基
がハロゲン原子に置換される副反応が起こるため好まし
くない。一方、0℃よりも低い温度での反応も可能では
あるが、0℃よりも低い温度での反応は冷媒を必要と
し、不経済である。
【0018】本発明において、反応に使用される溶媒
は、目的とする重合体の骨格構造、分子量により異なる
が、反応中の条件でポリマーを溶解し、用いるハロイミ
ニウム塩及び反応原料と反応しないものならば基本的に
いかなるものでも使用できる。溶媒の具体例としては、
ジクロロメタン、エチレンジクロライド、クロロホル
ム、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロ
ロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等が挙げられるが何
ら限定されるものではない。
【0019】本発明においてポリヒドロキシカルボン酸
の反応溶液からの析出、単離に使用される脂肪族アルコ
ール類は、炭素数1〜10の直鎖、環状または分岐を有
するもので、水酸基を1〜3個有するものが好ましく用
いられる。具体的には、メチルアルコール、エチルアル
コール、プロピルアルコール、イソプピルアルコール、
n−ブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブ
チルアルコール、n−ペンチルアルコール、イソペンチ
ルアルコール、t−ペンチルアルコール、n−ヘキシル
アルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルア
ルコール、n−デシルアルコール、シクロペンタノー
ル、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−
ブタンジオール、1,2,3−プロパントリオール等が
挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0020】脂肪族アルコールの反応溶液との混合方法
は、バッチ式に反応液中に脂肪族アルコールを加える方
法もしくは脂肪族アルコール中に反応液を加える方法、
または連続式に両液を混合する方法等が採られるが、特
に制限はない。得られるポリヒドロキシカルボン酸の粉
体を脂肪族アルコールで洗浄を行うが、洗浄方法として
は、濾別した粉体を脂肪族アルコール中で再びスラリー
とする方法や濾過器内の粉体に脂肪族アルコールを通液
するリンス法等が行えるが特に限定されるものではな
い。
【0021】この様にして反応溶液よりポリヒドロキシ
カルボン酸を単離した際、反応に用いた溶媒、脂肪族ア
ルコール類、ハロイミニウム塩が反応した後に生成する
アミド類および/またはウレア類および/またはイミダ
ゾリジノン類、および有機塩基の塩が混合する溶液が得
られる。本発明ではこの溶液を160℃以上250℃以
下の温度で加熱処理を行う。温度条件が満たされていれ
ば処理の方法に特に制限はなく、バッチ式でも連続式に
も行うことができる。また系は密閉系、解放系のいずれ
でも良い。160℃より低い温度では処理時に有機塩基
の塩が遊離化されにくくなるので好ましくない。250
℃より高い温度では、回収すべき成分の劣化が進むので
好ましくない。
【0022】熱処理後の混合液は、公知の蒸留技術によ
り分離を行い、各成分を回収することができる。反応に
用いた溶媒、脂肪族アルコール類、ハロイミニウム塩が
反応した後に生成するアミド類および/またはウレア類
および/またはイミダゾリジノン類、および有機塩基の
各成分は、それぞれを単一に回収することが好ましい
が、反応に用いた溶媒と有機塩基に関しては、これらを
混合した状態で回収しても、そのまま次の反応に再利用
することができる。回収したアミド類および/またはウ
レア類および/またはイミダゾリジノン類は、ホスゲ
ン、オキザリルハロゲニド、三ハロゲン化燐、五ハロゲ
ン化燐、オキシハロゲン化燐等との公知の反応により再
びハロイミニウム塩としてポリヒドロキシカルボン酸の
製造に用いることができる。
【0023】
【実施例】以下実施例を示すが、本発明はこれに限定さ
れるものではない。尚、重合体の重量平均分子量(M
w)は、shodex GPC system−11
(昭和電工 製)を用い、クロロホルム溶媒、40℃で
測定した。Mw値はポリスチレン換算値である。オリゴ
マーのカルボキシル基量は、サンプル(W;g)をジク
ロロメタン/メタノール=7/3(容量比)に溶解さ
せ、ナトリウムメチラートのメタノール溶液で滴定して
求めた。
【数1】 カルボキシル基量:a(mol/g)=E
×10-3×c/W E:滴定量(ml) c:滴定液の規定濃度(mol/l)
【0024】色調の評価は、サンプルを200℃で溶融
させて2mm厚のプレスシートを作成し、スガ試験機
(株)社製カラーコンピューター SM−5によりYI
値を測定した。
【0025】合成例1 90%L−乳酸(ADM社製)1000g(10.00
mol)を1500mlフラスコに装入し、窒素下、1
60℃で8時間脱水した。得られたオリゴマーは、収量
804.0g、カルボキシル基量が0.0011mol
/gであった。
【0026】実施例1 合成例1で得た乳酸オリゴマー500g(カルボキシル
基0.55mol)をクロロベンゼン1500gととも
に3000mlフラスコに装入し、60℃とし、均一に
溶解させた後、2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾ
リニウムクロライド(以下DMCとする)103.1g
(0.61mol)とβ−ピコリン125.0g(1.
34mol)を装入し、窒素雰囲気下60℃で3時間反
応させた。反応後、反応液をイソプロピルアルコール3
000gと混合し重合体を析出させた。このスラリー液
を濾過し、濾液については回収操作を行った。濾過後の
粉体にはイソプロピルアルコール2500gを通液して
洗浄し、その後、粉体を80℃で12時間窒素通風乾燥
しポリ乳酸を得た。収量448.4g、収率91.5
%、Mwは131,000であった。このサンプルを、
50mm四方2mm厚の金型内において200℃で10
分間溶融させ、10MPaの荷重をかけて成形物を作成
した。成形物のYI値を測定したところ2.0であっ
た。一方、重合体の濾過時に得られた濾液3920gを
耐圧容器中密閉系で、200℃の温度で4時間加熱処理
を行った。次に、この処理後の液を蒸留により分離し、
イソプロピルアルコール2485.0g、クロロベンゼ
ン1252.5gとβ−ピコリン98.5gの混合液、
1,3−ジメチルイミダゾリジノン55.1gを回収し
た。
【0027】合成例2 実施例1で回収して得た得た1,3−ジメチルイミダゾ
リジノン30g(0.26mol)をクロロベンゼン6
0gとともに200mlフラスコに装入し、70℃と
し、そこにホスゲン32.7g(0.33mol)を吹
き込み3時間反応させた。その後、70℃に保持しなが
ら、窒素を通気して2時間撹拌を続けた。析出した結晶
を窒素雰囲気下で濾過後、クロロベンゼン60gを通液
して洗浄し、その後、粉体を50℃、10mmHgで1
2時間乾燥しDMC33.0gを得た。
【0028】実施例2 合成例1で得た乳酸オリゴマー100g(カルボキシル
基0.11mol)をクロロベンゼン92.3gと実施
例1で回収したβ−ピコリン24.2g(0.26mo
l)とクロロベンゼン307.7gの混合液とともに1
000mlフラスコに装入し、60℃とし、均一に溶解
させた後、合成例2で得たDMC20.45g(0.1
2mol)装入し、窒素雰囲気下60℃で3時間反応さ
せた。反応後、反応液をイソプロピルアルコール800
gと混合し重合体を析出させた。このスラリー液を濾過
し、濾過後の粉体にイソプロピルアルコール500gを
通液して洗浄し、その後、粉体を80℃で12時間窒素
通風乾燥しポリ乳酸を得た。収量90.5g、収率9
2.3%、Mwは133,000であった。このサンプ
ルを、50mm四方2mm厚の金型内において200℃
で10分間溶融させ、10MPaの荷重をかけて成形物
を作成した。成形物のYI値を測定したところ1.8で
あった。
【0029】
【発明の効果】本発明は、ハロイミニウム塩および有機
塩基を用いる重合および脂肪族アルコール類を用いた単
離精製によりポリヒドロキシカルボン酸を製造する方法
において、溶媒、試剤の回収方法を簡便にすることによ
り、高品質のポリヒドロキシカルボン酸を効率的に製造
することを可能とし、その工業的な製造に寄与するもの
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 玉井 正司 福岡県大牟田市浅牟田町30番地 三井化学 株式会社内 Fターム(参考) 4J029 AA02 AB04 AB07 AE06 AE18 EA02 EA03 EA05 JB123 JC141 JC221 JC231 JC233 JC261 JC263 JC293 JC303 KH03 KH05 KJ01 KJ03

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒドロキシカルボン酸および/またはそ
    のオリゴマーにハロイミニウム塩および有機塩基を作用
    させることによってポリヒドロキシカルボン酸の有機溶
    媒溶液を得て、該溶液に脂肪族アルコール類を混合して
    ポリヒドロキシカルボン酸を析出、単離する製造方法に
    おいて、回収される有機溶媒、脂肪族アルコール類、ハ
    ロイミニウム塩が反応した後に生成するアミド類および
    /またはウレア類および/またはイミダゾリジノン類、
    および有機塩基の塩が混合する溶液を、160℃以上2
    50℃以下の温度で加熱処理をした後、それぞれを蒸留
    分離し、反応に再利用することを特徴とするポリヒドロ
    キシカルボン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 ヒドロキシカルボン酸が乳酸である請求
    項1記載のポリヒドロキシカルボン酸の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003037956A1 (fr) * 2001-10-31 2003-05-08 Kureha Chemical Industry Company, Limited Acide polyglycolique cristallin, composition a base d'acide polyglycolique et procedes de fabrication correspondants

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WO2003037956A1 (fr) * 2001-10-31 2003-05-08 Kureha Chemical Industry Company, Limited Acide polyglycolique cristallin, composition a base d'acide polyglycolique et procedes de fabrication correspondants

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