JPH11130847A - ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法 - Google Patents

ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法

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JPH11130847A
JPH11130847A JP31123497A JP31123497A JPH11130847A JP H11130847 A JPH11130847 A JP H11130847A JP 31123497 A JP31123497 A JP 31123497A JP 31123497 A JP31123497 A JP 31123497A JP H11130847 A JPH11130847 A JP H11130847A
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hydroxycarboxylic acid
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Mitsuru Hoshino
満 星野
Michitomo Kawakami
進盟 川上
Kazuyuki Yamane
和行 山根
Yasushi Okada
康 岡田
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Kureha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融成形性と機械的物性に優れ、高分子量
で、高品質のポリヒドロキシカルボン酸を経済的に製造
する方法を提供すること。 【解決手段】 ヒドロキシカルボン酸アルキルエステル
の少なくとも一部を加水分解してヒドロキシカルボン酸
とし、該ヒドロキシカルボン酸を含む加水分解生成物を
重縮合してプレポリマーを生成させ、次いで、生成した
プレポリマーを、該プレポリマーが固体状態を維持する
温度で、固相重合するポリヒドロキシカルボン酸の製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリヒドロキシカ
ルボン酸の製造方法に関し、さらに詳しくは、溶融成形
性と機械的物性に優れ、高分子量で、高品質のポリヒド
ロキシカルボン酸を経済的に製造する方法に関する。本
発明の製造方法により得られるポリヒドロキシカルボン
酸は、高分子量のポリマーで、かつ、生分解性を有して
おり、例えば、医療材料や汎用樹脂の代替物などとして
有用である。
【0002】
【従来の技術】ポリグリコール酸やポリ乳酸などのポリ
ヒドロキシカルボン酸は、自然環境下で分解され、最終
的には微生物によって水と炭酸ガスになるという生分解
性を有している。このために、ポリヒドロキシカルボン
酸は、医療用材料や汎用樹脂代替等の分野で注目されて
いる。特に環境問題がクローズアップされている現在、
生分解性を有するポリマーは、時代のニーズに合致した
ものといえる。しかしながら、高分子量で高品質のポリ
ヒドロキシカルボン酸を経済的に得ることは困難であっ
た。従来、ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法として
は、ラクチド(乳酸の環状二量体)やグリコリド(グリ
コール酸の環状二量体)などの環状二量体を合成した
後、該環状二量体を触媒(例えば、オクタン酸スズ)の
存在下に開環溶融重合する方法が知られている。この方
法によれば、高分子量のポリマーを得ることができる。
しかしながら、この方法は、反応工程や操作が複雑で、
しかも得られたポリマーが高価になりやすい。
【0003】特開平6−65360号公報には、実質的
に水の非存在下で、ヒドロキシカルボン酸類またはその
オリゴマーを、有機溶媒を含む反応混合物中で脱水重縮
合反応して、重量平均分子量が15,000以上である
ポリヒドロキシカルボン酸を製造する方法が記載されて
いる。該公報の実施例には、重量平均分子量が約18万
までの高分子量のポリ乳酸の得られたことが示されてい
る。しかしながら、この方法では、有機溶媒を使用する
ため、有機溶媒の脱水乾燥、回収等の複雑な装置が必要
である。また、該公報には、ポリグリコール酸に関する
実施例の記載がない。ポリグリコール酸は、クロロホル
ムや塩化メチレンに溶解しないため、該公報に記載の平
均分子量測定法(クロロホルム溶液中でのゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー)や、塩化メチレン溶液に
よるウベローデ型粘度計を用いた対数粘度の測定方法
は、ポリグリコール酸には適用できない。したがって、
該公報の記載内容からは、前記方法により、ポリグリコ
ール酸が充分な機械的物性を示すのに必要な重量平均分
子量15万以上のポリマーとして得られると推定するこ
とができない。
【0004】特開平7−173264号公報には、ヒド
ロキシカルボン酸エステル類またはその混合物、または
そのオリゴマーを触媒の存在下に縮合反応し、重量平均
分子量が約15,000以上のポリヒドロキシカルボン
酸を製造する方法が開示されている。しかし、該公報に
は、その方法で得られるポリヒドロキシカルボン酸の重
量平均分子量は、約15,000〜100,000程度
と低いことが記載されている。したがって、この製造方
法では、充分な機械的物性を有する高分子量のポリヒド
ロキシカルボン酸を得ることができない。
【0005】従来、短時間で高分子量のポリヒドロキシ
カルボン酸を得る方法として、ヒドロキシカルボン酸の
重縮合により低分子量のポリマーを調製し、この低分子
量ポリマーを結合剤と反応させることにより、鎖延長す
る方法が知られている。具体的に、特開昭62−280
220号公報には、乳酸やグリコール酸を(共)重縮合
して、低分子量のポリラクチド、ポリグリコリドまたは
それらの共重縮合を調製し、次いで、ジクロリド化合物
または塩化チオニルから選ばれた酸塩化物と反応させた
後、溶融重縮合反応を行わせるか、またはアミン化合物
を添加反応させることにより、高分子量のポリラクチ
ド、ポリグリコリドまたはそれらの共重縮合体を製造す
る方法が記載されている。しかし、該公報の実施例に
は、得られたポリマーの分子量が2万に満たないことが
示されており、用途に制限がある。したがって、この方
法では、充分な機械物性を示すポリヒドロキシカルボン
酸を得ることはできない。
【0006】特開平1−156319号公報には、グリ
コール酸及び/または乳酸を重縮合して脂肪族ポリエス
テルを製造する際、エチレングリコールや1,2−プロ
ピレングリコールなどのグリコールを添加して、固相重
合によって高分子量化する脂肪族ポリエステルの製造方
法が示されている。しかしながら、この方法では、生成
ポリマー中に望ましくない異種構造が導入されるという
問題点がある。すなわち、特表平6−501268号公
報に記載されているように、工業的等級の70%グリコ
ール酸水溶液の典型的な試料の成分は、以下に示すとお
りである。 グリコール酸・・・・・・・・・・・62.4重量% グリコール酸二量体・・・・・・・・・8.8重量% ジグリコール酸・・・・・・・・・・・2.2重量% メトキシ酢酸・・・・・・・・・・・・2.2重量% 蟻酸・・・・・・・・・・・・・・・・0.24重量%
【0007】グリコール酸中に不純物として含まれるジ
グリコール酸、メトキシ酢酸、及び蟻酸は、ポリマー中
に異種構造を導入するばかりでなく、反応系のカルボキ
シル基をヒドロキシル基より過剰にしてしまう。特開平
1−156319号公報に記載の発明において、重縮合
時にグリコールを添加するのは、この不足のヒドロキシ
ル基を補うためであると推定される。しかし、この方法
により合成されたポリグリコール酸は、グリコール酸の
結合単位以外の異種結合を相当量含んだ構造とならざる
を得ない。一方、グリコール酸などのヒドロキシカルボ
ン酸は、蒸溜などの汎用の精製方法では、単離・精製が
難しいことから、高純度物を得るには、操作が煩雑であ
る上、収率が低くなるという問題がある。したがって、
高純度のヒドロキシカルボン酸は、非常に高価であり、
工業的利用はかなり限定される。
【0008】このように従来のポリヒドロキシカルボン
酸の製造方法には、結合剤を使用する方法を含め、いず
れも一長一短がある。一般に、ポリヒドロキシカルボン
酸をフィルムや成形品の用途に適用する場合、これらの
用途に必要な機械的強度を安定して発揮するには、その
重量平均分子量が150,000以上、場合によっては
200,000以上であることが望ましい。また、結合
剤成分の含有量の少ないポリヒドロキシカルボン酸を短
時間で得られる製造方法が望ましい。しかしながら、高
分子量で高品質のポリヒドロキシカルボン酸を得ること
ができ、工業的にも適している製造方法は、未だ提案さ
れていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、溶融
成形性と機械的物性に優れ、高分子量で、高品質のポリ
ヒドロキシカルボン酸を経済的に製造する方法を提供す
ることにある。本発明者らは、前記従来技術の問題点を
克服するために鋭意研究する過程で、グリコール酸アル
キルエステルを重縮合してグリコール酸プレポリマーを
生成させ、次いで、該プレポリマーが固体状態を維持す
る温度で固相重合することにより、高分子量のポリグリ
コール酸の得られることを見いだした。この方法によれ
ば、重量平均分子量が150,000以上の高分子量ポ
リグリコール酸を比較的低コストで得ることができ、し
かも原料のポリグリコール酸アルキルエステルは、精製
が容易なため、生成ポリマー中への望ましくない異種構
造の導入の問題が解消される。
【0010】しかし、グリコール酸アルキルエステルを
原料として使用すると、重縮合時または固相重合時に触
媒を用いると、生成ポリマーが着色する傾向を示し、残
存する触媒の取り扱いにも問題があった。一方、触媒を
使用しない場合は、重縮合や固相重合に長時間を要し、
工業的に不利であった。そこで、本発明者らは、さらに
研究を重ねた結果、ヒドロキシカルボン酸アルキルエス
テルの少なくとも一部を加水分解してヒドロキシカルボ
ン酸とし、該ヒドロキシカルボン酸を含む加水分解生成
物を重縮合してプレポリマーを生成させ、次いで、生成
したプレポリマーを、該プレポリマーが固体状態を維持
する温度で、固相重合することにより、高分子量で高品
質のポリヒドロキシカルボン酸の得られることを見いだ
した。
【0011】本発明の製造方法によれば、重量平均分子
量が150,000以上の高分子量ポリヒドロキシカル
ボン酸を比較的低コストで得ることができ、しかも望ま
しくない異種構造の導入の問題が少ない。また、本発明
の製造方法によれば、着色の少ないポリヒドロキシカル
ボン酸を得ることができる。本発明の製造方法は、とり
わけ、ポリグリコール酸の製造方法として適している。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったも
のである。
【0012】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、(1)ヒドロキシカルボン酸アルキルエステルの少
なくとも一部を加水分解してヒドロキシカルボン酸と
し、(2)該ヒドロキシカルボン酸を含む加水分解生成
物を重縮合してプレポリマーを生成させ、次いで、
(3)生成したプレポリマーを、該プレポリマーが固体
状態を維持する温度で、固相重合するポリヒドロキシカ
ルボン酸の製造方法が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
<ヒドロキシカルボン酸アルキルエステルの加水分解>
本発明では、出発原料としてヒドロキシカルボン酸アル
キルエステルを使用して、先ず、工程(1)において、
ヒドロキシカルボン酸アルキルエステルの一部/または
全てを加水分解してヒドロキシカルボン酸を生成させ
る。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、グ
リコール酸、2−ヒドロキシイソブタン酸、3−ヒドロ
キシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、6−ヒドロキ
シカプロン酸などを挙げることができる。
【0014】本発明で使用するヒドロキシカルボン酸ア
ルキルエステルとしては、ヒドロキシカルボン酸と低級
アルコールとのエステルが好ましい。低級アルコールと
しては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ
プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノー
ル、ヘプタノール、オクタノールなどを挙げることがで
きる。低級アルコールの中でも、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど
の炭素原子数が1〜4のアルコールが特に好ましい。何
故ならば、アルキル基の炭素原子数が1〜4のヒドロキ
シカルボン酸アルキルエステルを使用すると、加水分解
時に容易に脱アルコールできるからである。これらヒド
ロキシカルボン酸アルキルエステルは、蒸留等による単
離が可能なため、高純度品を比較的容易に得ることがで
きる。
【0015】ヒドロキシカルボン酸アルキルエステルの
純度は、特に限定はされないが、高分子量ポリマーを得
るには、重合反応を停止させるような不純物となる低分
子化合物の含有量をできるだけ低減しておくことが望ま
しい。このような不純物として、例えば、ヒドロキシカ
ルボン酸アルキルエステルとしてグリコール酸メチルを
使用する場合には、メトキシ酢酸メチル、ジグリコール
酸メチル等が挙げられる。これらの不純物の含有量は、
通常1重量%以下、好ましくは0.3重量%以下、より
好ましくは0.1重量%以下にすることが、充分に高分
子量化する上で望ましい。
【0016】これらヒドロキシカルボン酸アルキルエス
テルは、通常、それぞれ単独で用いるが、所望により2
種以上を組み合わせて使用することができる。ただし、
2種以上のヒドロキシカルボン酸アルキルエステル混合
物を用いる場合、生成するプレポリマーの結晶性が阻害
されないことが、固相重合を行う上で望ましい。また、
ヒドロキシカルボン酸アルキルエステルに、例えば、乳
酸、グリコール酸、2−ヒドロキシイソブタン酸、3−
ヒドロキシブタン酸、4−ヒドロキシブタン酸、6−ヒ
ドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸;シュ
ウ酸エチレン、ラクチド、ラクトン類(例えば、β−プ
ロピオラクトン、β−ブチロラクトン、ピバロラクト
ン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メ
チル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン)、ト
リメチレンカーボネート、及び1,3−ジオキサンなど
の環状モノマー;エチレングリコール、プロピレングリ
コール、1,4−ブタンジオールなどの脂肪族ジオール
と、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸また
はそのアルキルエステルとの実質的に等モルの混合物;
またはこれらの2種類以上を加えることができる。その
際もプレポリマーの結晶性を阻害しない範囲が望まし
い。
【0017】ヒドロキシカルボン酸アルキルエステルの
加水分解は、ヒドロキシカルボン酸アルキルエステルに
水を添加して、加熱することにより容易に実施すること
ができる。水は、加水分解反応の開始時に全量を投入し
てもよいが、必要に応じて、何回かに分けて添加した
り、連続的に添加してもよい。ヒドロキシカルボン酸ア
ルキルエステルの加水分解を行う際、必要に応じて、固
体触媒を用いてもよい。固体触媒の例としては、スルホ
ン酸系やアンモニウム塩系のイオン交換樹脂などが挙げ
られる。これら固体触媒は、加水分解反応終了後、濾過
等により容易に除去可能である。また、固体触媒をカラ
ムに充填して、そこにヒドロキシカルボン酸アルキルエ
ステル及び/または水との混合物を通すことにより、加
水分解させることも可能である。
【0018】加水分解反応は、ヒドロキシカルボン酸ア
ルキルエステルのエステル基と水酸基の脱離平衡反応な
ので、水の添加量を多くするか、及び/または生成アル
コールを系外に除去することにより、効率的に進行させ
ることができる。水の添加量は、ヒドロキシカルボン酸
アルキルエステルに対して、通常、等量以上、好ましく
は2等量以上、20等量以下である。水の添加量が等量
より少ないと、加水分解反応が定量的に行われないばか
りでなく、反応速度も著しく遅くなる。20等量を越え
て水を添加しても、加水分解反応の効率を上昇させる効
果はもはや大きくない。
【0019】ヒドロキシカルボン酸アルキルエステルの
加水分解は、必ずしも定量的に行われる必要はないが、
仕込みヒドロキシカルボン酸アルキルエステルの通常5
0モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好まし
くは99モル%以上がヒドロキシカルボン酸に加水分解
されることが望ましい。加水分解反応率があまりに低す
ぎると、ヒドロキシカルボン酸アルキルエステルは、無
触媒下では反応が遅いため、重縮合物や固相重合物の収
率が低下する。一方、触媒を添加してヒドロキシカルボ
ン酸アルキルエステルの反応速度を上げると、生成ポリ
マーが着色する傾向を示す。
【0020】脱水反応と加水分解反応は、同時に進行さ
せることも可能である。加水分解反応時に未反応で残っ
たヒドロキシカルボン酸アルキルエステルは、重縮合反
応を行う前に、及び/または重縮合反応中に、反応系か
ら除去してもよい。加水分解反応後、反応系内に、水や
脱離したアルコールが残っていてもよい。脱水及び脱ア
ルコールの操作は、重縮合反応を伴うため、加水分解反
応と重縮合反応とは、必ずしも段階的に明確に区別でき
ないことがある。したがって、加水分解反応時に、重縮
合反応が少なくとも一部進行していてもよい。
【0021】<プレポリマーの合成>本発明では、工程
(2)において、ヒドロキシカルボン酸を含む加水分解
生成物を重縮合してポリヒドロキシカルボン酸プレポリ
マー(以下、単にプレポリマーと呼ぶ)を生成させる。
加水分解生成物は、加水分解反応率が99モル%以上の
場合には、殆どがヒドロキシカルボン酸である。加水分
解反応率が例えば80モル%のときには、80モル%が
ヒドロキシカルボン酸であり、残りの20モル%はヒド
ロキシカルボン酸アルキルエステルである。
【0022】ヒドロキシカルボン酸を含有する加水分解
生成物を重縮合する際、ヒドロキシカルボン酸アルキル
エステルを加水分解した系で重縮合反応を行ってもよい
し、加水分解反応及び重縮合反応をそれぞれ別の装置で
行ってもよい。加水分解生成物を重縮合する際、脱水反
応、または脱水と脱アルコール反応を容易するため、窒
素ガス等の不活性ガスを流し続けたり、減圧にしたりし
てもよい。重縮合反応は、通常100〜230℃、好ま
しくは110〜220℃、より好ましくは120〜21
0℃の温度範囲で行われる。反応温度が低すぎると、反
応速度が著しく長くなる。反応温度が高すぎると、生成
プレポリマーの熱安定性が損なわれ、着色しやすい。反
応温度は、前述した温度の範囲内であれば、反応中一定
である必要はない。
【0023】本発明の製造方法では、ヒドロキシカルボ
ン酸を含む加水分解生成物の重縮合により、比較的低分
子量で多くは結晶性のプレポリマーを生成させる。プレ
ポリマーが結晶性でないと、固相反応中に溶融状態とな
り、副反応が発生しやすい。プレポリマーの重量平均分
子量は、通常5,000以上、150,000未満であ
り、好ましくは8,000〜100,000の範囲内で
ある。プレポリマーの重量平均分子量が低すぎると、固
相重合によって高分子量のポリヒドロキシカルボン酸を
得るのに長時間を要し、経済的でない。一方、固相重合
を組み合わせることなく、ヒドロキシカルボン酸を含む
加水分解生成物の重縮合によって、重量平均分子量が1
50,000以上のポリマーを得ることは困難である。
【0024】プレポリマーのガラス転移温度は、通常1
00℃以下であり、多くは20〜50℃程度である。プ
レポリマーが適度なガラス転移温度を有し、かつ、結晶
性であることにより、固相重合を容易に行うことができ
る。プレポリマーの融点は、130〜230℃の範囲で
あることが好ましい。プレポリマーの融点が低すぎる
と、固相重合温度を高く設定して反応時間を短縮するこ
とが困難となる。ヒドロキシカルボン酸を含む加水分解
生成物の重縮合は、生成プレポリマーが所定の分子量に
達したときを反応の終点とする。生成プレポリマーが比
較的低分子量の場合は、重縮合反応終了時液状であり、
冷却により結晶固化する。生成プレポリマーが比較的高
分子量の場合は、固化した段階で反応の終点とする。反
応の終点後、そのまま固相重合を行ってもかまわない
が、総表面積を拡大させるため、プレポリマーを粉砕等
の処理により粒状化させた後、固相重合を行った方が効
果的である。
【0025】プレポリマーは、融解エンタルピー量で調
べた場合に、少なくとも10%の結晶化度を有している
ことが好ましい。結晶化度が低すぎると、固相重合が困
難となり、副反応も起こりやすい。プレポリマーの結晶
化度は、好ましくは20%以上、より好ましくは30%
以上であり、多くの場合40%以上となる。プレポリマ
ーの合成は、触媒なしで行うことができるが、重合時間
短縮のために触媒を用いてもよい。触媒としては、塩化
第一錫、塩化第二錫、硫酸第一錫、酸化第一錫、酸化第
二錫、テトラフェニル錫、オクタン酸第一錫、酢酸第一
酸、酢酸第二錫などの錫系触媒;四塩化チタン、チタン
酸イソプロピオネート、チタン酸ブチルなどのチタン系
触媒;金属ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、酸化ゲ
ルマニウム等のゲルマニウム系触媒;酸化亜鉛、三酸化
アンチモン、酸化鉛、酸化アルミニウム、酸化鉄等の金
属酸化物系触媒;が挙げられる。これらの重縮合触媒
は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて
使用することができる。
【0026】重縮合触媒を用いる場合は、重縮合触媒
を、その金属原子を基準として、単量体1モルに対し、
好ましくは1×10-5〜1×10-2当量、より好ましく
は3×10-5〜5×10-2当量の割合で添加する。重縮
合触媒の添加量が少なすぎると、重合時間が長くなり、
触媒を添加した目的が達成できない。重縮合触媒の添加
量が多すぎると、生成ポリマーの着色が大きくなり、商
品価値を損なうことがある。重縮合触媒は、そのまま
で、あるいは適当な液体に溶解または混合して反応系に
添加する。添加は、一括でも分割でもよい。重縮合触媒
は、実質的に重縮合反応が完結するまでの間であれば、
いずれの時期に反応系に添加してもよい。
【0027】プレポリマーの合成は、ポリヒドロキシカ
ルボン酸の着色の抑制や残存する触媒の取り扱いを考慮
すると、無触媒で実施することが好ましい。重縮合反応
を行う際、必要であれば着色防止剤を添加してもよい。
着色防止剤としては、リン化合物を好適に用いることが
できる。リン化合物としては、例えば、リン酸、リン酸
トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル、
ポリリン酸モノエチルエステル、ポリリン酸ジエチルエ
ステル、ピロリン酸、ピロリン酸トリエチル、ピロリン
酸ヘキサメチルアミド、亜リン酸、亜リン酸トリエチ
ル、亜リン酸トリフェニル等を挙げることができる。こ
れらのリン化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以
上を組み合わせて使用することができる。
【0028】リン化合物は、重縮合反応により理論的に
得られる生成物100重量部に対して、好ましくは0.
001〜10重量部、より好ましくは0.003〜3重
量部の割合で添加する。上記添加量が少なすぎると着色
防止効果が小さく、多すぎると重縮合の反応速度が遅く
なることがある。リン化合物は、そのままで、あるいは
適当な液体に溶解または混合して反応系に添加する。添
加は、一括でも分割でもよい。リン化合物は、実質的に
重縮合反応が完結するまでの間であれば、いずれの時期
に反応系に添加してもよい。
【0029】<固相重合>本発明では、前記方法で得ら
れたプレポリマーを、該プレポリマーが固体状態を維持
する温度で、固相重合させることにより、高分子量のポ
リヒドロキシカルボン酸を製造する。固相重合を行うに
当り、プレポリマーの形状は、塊状、ペレット、粒状、
粉末等のいずれであってもよく、その形状は、特に限定
されない。プレポリマーを粉砕等により細粒にしておく
と、総表面積が増えるので、固相反応を促進することが
できる。
【0030】固相重合では、文字どおり固体状態で重合
反応が行われる。したがって、プレポリマーの融点によ
って、固相重合の反応温度の上限値が決定される。反応
温度は、プレポリマーの融点の通常5℃以下、好ましく
は10℃以下である。融点近くで反応を行うと、副反応
が起こりやすく、分子量低下、ガス発生、着色などが起
こって好ましくない。プレポリマーの融点以上での反応
は、プレポリマーが溶融するため、もはや固相重合とは
呼ばれず、副反応が非常に起こりやすくなり、高分子量
化もしにくくなる。
【0031】固相反応中、分子量の増加やアニール効果
により、プレポリマーの融点が上昇する場合、固相重合
反応温度を段階的に上げていくことができる。したがっ
て、固相反応中にプレポリマーの融点が上昇する場合、
工程(2)において生成したプレポリマーの融点よりも
高い温度に上げて固相重合を行うことも可能である。し
かし、その場合でも反応温度は、プレポリマーが固体状
態を維持する温度に保持することが必要であり、その時
点におけるプレポリマーの融点の5℃以下、好ましくは
10℃以下とすることが好ましい。
【0032】固相重合の反応温度は、反応速度と生成ポ
リマーの物性等の観点から、100〜230℃の範囲内
で決定されることが好ましい。より具体的には、固相重
合をプレポリマーのガラス転移温度以上であって、好ま
しくは100℃以上に加熱して、工程(2)で得られた
直後のプレポリマーの融点より低い温度で開始し、固相
反応中にプレポリマーの融点が上昇するにつれて、反応
温度を上昇させ、その場合230℃以下の温度であっ
て、かつ、プレポリマーが固体状態を保持する温度にし
て、固相反応を継続することが好ましい。
【0033】固相重合は、通常、窒素やアルゴン等の
不活性ガス雰囲気下、減圧下、または流動パラフィ
ンのような不活性溶媒下で、プレポリマーを加熱するこ
とにより行われる。これによって、望ましくない副反応
を避けて、高分子量のポリマーを得ることが容易とな
る。固相重合により生成するポリマーの分子量は、フィ
ルムや成形品などの用途に安定して充分な機械的物性を
発揮するには、重量平均分子量が150,000以上、
より好ましくは200,000以上であることが望まし
い。
【0034】固相重合は、触媒なしで行うことができる
が、重合時間短縮のために触媒を用いてもよい。触媒と
しては、塩化第一錫、塩化第二錫、硫酸第一錫、酸化第
一錫、酸化第二錫、テトラフェニル錫、オクタン酸第一
錫、酢酸第一酸、酢酸第二錫などの錫系触媒;四塩化チ
タン、チタン酸イソプロピオネート、チタン酸ブチルな
どのチタン系触媒;金属ゲルマニウム、四塩化ゲルマニ
ウム、酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム系触媒;酸化
亜鉛、三酸化アンチモン、酸化鉛、酸化アルミニウム、
酸化鉄等の金属酸化物系触媒;が挙げられる。これらの
触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わ
せて使用することができる。
【0035】固相重合に際し触媒を用いる場合は、触媒
を、プレポリマー100重量部に対して、通常、0.0
01〜2重量部、好ましくは0.005〜0.5重量部
の割合で添加する。触媒の添加量が少なすぎると、固相
重合時間が長くなり、触媒を添加した目的が達成できな
い。触媒の添加量が多すぎると、生成ポリマーの着色が
大きくなり、商品価値を損なうことがある。触媒は、そ
のままで、あるいは適当な液体に溶解または混合して反
応系に添加する。添加は、一括でも分割でもよい。触媒
は、実質的に固相重合反応が完結するまでの間であれ
ば、いずれの時期に反応系に添加してもよい。ただし、
固相重合反応において、生成ポリマーの着色の抑制や残
存する触媒の取り扱いを考慮すると、無触媒で実施する
ことが好ましい。
【0036】固相重合反応を行なう際、必要であれば着
色防止剤を用いてもよい。着色防止剤としては、リン化
合物を好適に用いることができる。リン化合物として
は、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リ
ン酸トリフェニル、ポリリン酸モノエチルエステル、ポ
リリン酸ジエチルエステル、ピロリン酸、ピロリン酸ト
リエチル、ピロリン酸ヘキサメチルアミド、亜リン酸、
亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル等を挙げる
ことができる。これらのリン化合物は、それぞれ単独
で、あるいは2種以上を組合せて使用することができ
る。リン化合物は、プレポリマー100重量部に対し
て、通常、0.001〜10重量部、好ましくは0.0
03〜3重量部の割合で添加する。上記添加量が少なす
ぎると着色防止効果が小さく、多すぎると重合速度が遅
くなることがある。リン化合物は、そのままで、あるい
は適当な液体に溶解または混合して反応系に添加する。
添加は、一括でも分割でもよい。リン化合物は、実質的
に固相重合反応が完結するまでの間であれば、いずれの
時期に反応系に添加してもよい。固相重合は、好ましく
は、重量平均分子量が150,000以上のポリヒドロ
キシカルボン酸が生成した任意の時点で終了させること
ができる。固相重合により、重量平均分子量が200,
000以上のポリマーを生成させることが、より好まし
い。
【0037】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明
についてより具体的に説明する。なお、物性等の測定法
は、次のとおりである。 (1)重量平均分子量 重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィー)分析装置を用い、以下の条件で求め
た。HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)を溶
媒とし、40℃、1mL/分で、カラム(HFIP−L
G+HFIP−806M×2本:SHODEX)を通
し、分子量82.7万、10.1万、3.4万、1.0
万、0.2万の分子量既知のPMMA(ポリメタクリル
酸メチル)標準物質のRI検出による溶出時間から求め
た検量線をあらかじめ作成し、その溶出時間から、重量
平均分子量を計算した。
【0038】(2)融点 融点は、DSC(示差走査熱量計)を用い、以下の条件
で求めた。約10mgの試料をアルミパンに詰め、メト
ラー社製DSC25を用い、50mL/分の窒素雰囲気
下、30℃から10℃/分の速度で260℃まで昇温
し、吸熱ピークの温度を融点として求めた。 (3)ガラス転移温度 本発明におけるガラス転移温度とは、示差走査熱量計
(DSC)を用いガラス状態からゴム状態への転移領域
において、熱量の二次転移の開始温度とする。実施例に
おいては、生成プレポリマーの結晶化度が高いため、一
度非晶状態とした後DSCを用いて次の方法に従って、
熱量の変化から求めた。すなわち、プレポリマーをアル
ミシートにはさみ、求めた融点プラス10℃の温度で溶
融プレスし、氷水で急冷してシート状の非晶のポリマー
を得た。これを切抜き、アルミパンに約10mgを詰
め、メトラー社製DSC25を用い、50mL/分の窒
素雰囲気下、−50℃から10℃/分の速度で260℃
まで昇温し、ガラス状態からゴム状態への転移領域に相
当する二次転移領域における熱量の二次転移の開始温度
をガラス転移温度とした。
【0039】(4)原料の純度 ヒドロキシカルボン酸アルキルエステル中の重合を停止
させるような不純物となる低分子化合物は、ガスクロマ
トグラフィーにて定量分析した。本実施例にて使用した
グリコール酸メチル中の不純物含有量は、ガスクロマト
グラフィーの検出限界以下の0.01重量%未満であっ
た。また、比較例3で用いたグリコール酸は、関東化学
工業株式会社製の特級試薬である。 (5)結晶化度 プレポリマーの結晶化度は、DSCを用い、以下の方法
に従って、融解エンタルピー量から求めた。アルミパン
に約10mgのプレポリマーを詰め、メトラー社製DS
C25を用い、50mL/分の窒素雰囲気下、30℃か
ら10℃/分の速度で260℃まで昇温し、結晶融解部
の融解エンタルピーを求めた。ポリグリコール酸の場合
は、Journal of Applied Poly
mer Science,Vol.26,1727−1
734(1981)に報告されているポリグリコール酸
の結晶部の融解エンタルピー量206.5J/gを基
に、得られたプレポリマーの融解エンタルピー量から以
下の計算式にて求めた。 結晶化度(%)=〔プレポリマーの融解エンタルピー/
206.5〕×100
【0040】[実施例1] (1)加水分解 グリコール酸メチル500g(5.56モル)と水30
0g(16.67モル)を1Lチタン製オートクレーブ
に仕込み、120℃に加熱し、65〜85℃の循環水を
通したコンデンサーによって、生成メタノールを除去し
た。7時間後、オートクレーブ内に、グリコール酸メチ
ルは、仕込み量の約15モル%が残っていた(加水分解
反応率=約85.0モル%)。 (2)プレポリマーの合成 上記オートクレーブからコンデンサーを取り外し、15
0℃まで徐々に加熱して、脱水(脱水と脱アルコール)
操作を行った。水の留出がほとんどなくなった時点で、
180℃に昇温し、2時間50mbarの減圧下にて、
縮合水の除去を続けた。さらに、200℃に昇温し、2
時間1mbarの減圧下、縮合水の除去を続けた。室温
に冷却後、385gの白色の固体を取り出した。得られ
たプレポリマーは、結晶化度52%、重量平均分子量が
2.2万、融点が205℃、ガラス転移温度は37℃で
あった。 (3)固相重合 上記で得られたプレポリマーを乳鉢で粉砕した後、20
gを茄子型フラスコに仕込み、0.1mbarの減圧
下、200℃で2時間、215℃で38時間、固相重合
を行なった。反応後の生成ポリマーは、ほとんど白色
で、重量平均分子量が26.8万、融点が228℃であ
った。
【0041】[実施例2] (1)加水分解 グリコール酸メチル500g(5.56モル)と水90
0g(50モル)を2Lチタン製オートクレーブに仕込
み、120℃に加熱し、65〜85℃の循環水を通した
コンデンサーによって、生成メタノールを除去した。7
時間後、オートクレーブ内には、グリコール酸メチル
は、仕込み量の約0.5モル%が残っていた(加水分解
反応率=約99.5モル%)。 (2)プレポリマーの合成 上記オートクレーブからコンデンサーを取り外し、15
0℃まで徐々に加熱して、脱水操作を行った。水の留出
がほとんどなくなった時点で180℃に昇温し、2時間
50mbarの減圧下にて、縮合水の除去を続けた。さ
らに、200℃に昇温し、2時間1mbarの減圧下、
縮合水の除去を続けた。室温に冷却した後、393gの
白色の固体を取り出した。得られたプレポリマーは、結
晶化度が49%、重量平均分子量が1.8万、融点が2
04℃、ガラス転移温度は37℃であった。 (3)固相重合 上記で得られたプレポリマーを乳鉢で粉砕した後、20
gを茄子型フラスコに仕込み、100mL/分で乾燥窒
素を流しながら、200℃で1時間、210℃で1時
間、220℃で18時間、225℃で10時間、固相重
合を行なった。反応後の生成ポリマーは、ほとんど白色
で、重量平均分子量が45.1万、融点が236℃であ
った。
【0042】[実施例3]実施例2で得られたプレポリ
マーを乳鉢で粉砕した後、流動パラフィン50gとプレ
ポリマー20gを茄子型フラスコに仕込み、攪拌しなが
ら、190℃で1時間、210℃で4時間加熱し、固相
重合を行なった。ポリマーを濾別後、ヘキサンで洗浄、
乾燥した。乾燥後の生成ポリマーは、ほとんど白色で、
重量平均分子量が16.3万、融点が226℃であっ
た。
【0043】[実施例4] (1)加水分解 グリコール酸メチル500g(5.56モル)と水90
0g(50モル)を2Lチタン製オートクレーブに仕込
み、120℃に加熱し、65〜85℃の循環水を通した
コンデンサーによって、生成メタノールを除去した。7
時間後、オートクレーブ内には、グリコール酸メチル
は、仕込み量の約0.5モル%が残っていた(加水分解
反応率=約95.5モル%)。 (2)プレポリマーの合成 上記オートクレーブからコンデンサーを取り外し、15
0℃まで徐々に加熱して、脱水操作を行った。水の留出
がほとんどなくなった時点で、塩化第二錫0.05gを
加え、180℃に昇温し、2時間50mbarの減圧下
にて、縮合水の除去を続けた。さらに、200℃に昇温
し、1時間1mbarの減圧下、縮合水の除去を続け
た。室温に冷却後、390gの白色の固体を取り出し
た。得られたプレポリマーは、結晶化度が56%、重量
平均分子量が4.8万、融点が206℃、ガラス転移温
度は38℃であった。 (3)固相重合 上記で得られたプレポリマーを乳鉢で粉砕した後、20
gを茄子型フラスコに仕込み、100mL/分で乾燥窒
素を流しながら、200℃で1時間、210℃で1時
間、220℃で18時間、225℃で10時間、固相重
合を行なった。反応後の生成ポリマーは、ほとんど白色
で、重量平均分子量が43.2万、融点が234℃であ
った。
【0044】[比較例1]実施例2で得られたプレポリ
マー20gを茄子型フラスコに仕込み、235℃に加熱
したところ、プレポリマーは溶融し、褐色に着色した。
0.3mbarで10時間、減圧下反応を行った後、ポ
リマーを取り出したところ、重量平均分子量が4.2
万、融点が217℃であった。
【0045】[比較例2] (1)プレポリマーの合成 グリコール酸メチル500gと塩化第二錫0.5gを1
Lチタン製オートクレーブに仕込み、130℃から15
0℃に徐々に昇温しながら加熱し、縮合メタノールを除
去した。3時間後、180℃に昇温し、2時間50mb
arの減圧下にて、縮合アルコールの除去を続けた。さ
らに、200℃に昇温し、2時間1mbarの減圧下、
縮合アルコールの除去を続けた。室温に冷却後、265
gの白色の固体を取り出した。得られたプレポリマー
は、結晶化度が48%、重量平均分子量が6.2万、融
点が207℃、ガラス転移温度は38℃であった。 (2)固相重合 上記で得られたプレポリマーを乳鉢で粉砕した後、20
gを茄子型フラスコに仕込み、100mL/分で乾燥窒
素を流しながら、200℃で1時間、210℃で1時
間、220℃で18時間、225℃で10時間、固相重
合を行なった。反応後の生成ポリマーは、褐色の着色が
みられ、重量平均分子量が44.8万、融点が234℃
であった。
【0046】[比較例3] (1)プレポリマーの合成 70%グリコール酸水溶液700gを1Lチタン製オー
トクレーブに仕込み、130℃から150℃に徐々に昇
温しながら加熱し、縮合水を除去した。3時間後、18
0℃に昇温し、2時間50mbarの減圧下にて、縮合
水の除去を続けた。さらに、200℃に昇温し、2時間
1mbarの減圧下、縮合水の除去を続けた。室温に冷
却後、275gの白色の固体を取り出した。生成プレポ
リマーは、結晶化度が44%、重量平均分子量が4.6
万、融点が208℃、ガラス転移温度は36℃であっ
た。 (2)固相重合 上記で得られたプレポリマーを乳鉢で粉砕した後、20
gを茄子型フラスコに仕込み、100mL/分で乾燥窒
素を流しながら、200℃で1時間、210℃で1時
間、220℃で18時間、225℃で10時間、固相重
合を行なった。反応後の生成ポリマーは、ほとんど白色
で、重量平均分子量が10.8万、融点が216℃であ
った。
【0047】[比較例4]グリコール酸メチル500g
と塩化第二錫0.5gを1Lチタン製オートクレーブに
仕込み、130℃から150℃に徐々に昇温しながら加
熱し、縮合メタノールを除去した。30時間反応させて
も、除去されたメタノール量は、理論量の半分にも満た
なかったため、反応を中止した。以上の各実施例及び比
較例の結果を一括して表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】(脚注) *1:減圧下、 *2:窒素下、 *3:流動パラフィン下、 *4:窒素下、 *5:減圧下、 *6:窒素下、 *7:窒素下。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、溶融成形性と機械的物
性に優れ、高分子量で、高品質のポリヒドロキシカルボ
ン酸を経済的に製造する方法が提供される。本発明の製
造方法により得られるポリヒドロキシカルボン酸は、高
分子量で、かつ、高品質のポリマーであって、生分解性
を有しており、例えば、医療用材料や汎用樹脂の代替物
などとして有用である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)ヒドロキシカルボン酸アルキルエ
    ステルの少なくとも一部を加水分解してヒドロキシカル
    ボン酸とし、(2)該ヒドロキシカルボン酸を含む加水
    分解生成物を重縮合してプレポリマーを生成させ、次い
    で、(3)生成したプレポリマーを、該プレポリマーが
    固体状態を維持する温度で、固相重合するポリヒドロキ
    シカルボン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記工程(1)において、ヒドロキシカ
    ルボン酸アルキルエステルの少なくとも50モル%を加
    水分解してヒドロキシカルボン酸とする請求項1に記載
    のポリヒドロキシカルボン酸の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記工程(1)において、ヒドロキシカ
    ルボン酸アルキルエステルとして、アルキル基の炭素原
    子数が1〜4のヒドロキシカルボン酸アルキルエステル
    を使用する請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記工程(2)において、加水分解生成
    物を重縮合して、重量平均分子量が5,000以上、1
    50,000未満のプレポリマーを生成させる請求項1
    ないし3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記工程(2)において、加水分解生成
    物を無触媒下にて重縮合する請求項1ないし4のいずれ
    か1項に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記工程(3)において、プレポリマー
    を、不活性ガス雰囲気下または減圧下または不活性溶媒
    下に、固相重合する請求項1ないし5のいずれか1項に
    記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記工程(3)において、プレポリマー
    を、100〜230℃の温度に加熱して、固相重合する
    請求項1ないし6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記工程(3)において、プレポリマー
    を無触媒下にて固相重合する請求項1ないし7のいずれ
    か1項に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記工程(3)において、プレポリマー
    を固相重合して、重量平均分子量が150,000以上
    のポリヒドロキシカルボン酸を生成させる請求項1ない
    し8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記工程(1)において、ヒドロキシ
    カルボン酸アルキルエステルとしてグリコール酸アルキ
    ルエステルを使用し、工程(2)において、ポリグリコ
    ール酸プレポリマーを生成させ、そして、工程(3)に
    おいて、ポリグリコール酸を製造する請求項1ないし9
    のいずれか1項に記載の製造方法。
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