JP2000053750A - N−アリル化芳香族アミン樹脂、その製造方法および用途 - Google Patents

N−アリル化芳香族アミン樹脂、その製造方法および用途

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JP2000053750A
JP2000053750A JP10223365A JP22336598A JP2000053750A JP 2000053750 A JP2000053750 A JP 2000053750A JP 10223365 A JP10223365 A JP 10223365A JP 22336598 A JP22336598 A JP 22336598A JP 2000053750 A JP2000053750 A JP 2000053750A
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varnish
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maleimide
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JP10223365A
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Tatsunobu Uragami
達宣 浦上
Takuo Tajima
卓雄 田島
Kotaro Suzuki
孝太郎 鈴木
Hirosuke Takuma
啓輔 詫摩
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 一般式(1)で表されるN−アリル化芳
香族アミン樹脂、および該樹脂とマレイミド樹脂とを必
須成分とする熱硬化性樹脂組成物。 (式中、Aはアミノ基、モノアリルアミノ基、またはジ
アリルアミノ基を示し、同一でも異なっていてもよい。
但し、アリル基の総量はアミノ基に対し20〜200モ
ル%である。R1 はアルキル基、アルコキシ基、アリー
ル基、アラルキル基またはハロゲン原子を示し、mは
0、1または2を示し、nは0〜50の整数を示す。) 【効果】 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、非常に優れ
た柔軟性および作業性を有するグリーンシートおよびプ
リプレグを与え、さらに、優れた耐熱性および電気絶縁
性を有する半導体基板用積層板を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性、機械的強
度および電気特性(特に電気絶縁性)に優れ、且つ、作
業性や生産性の良い熱硬化性樹脂組成物、および、それ
を与える芳香族アミン樹脂誘導体に関するものであり、
さらにそれを用いたワニス、充填材入りワニス、プリプ
レグおよび半導体基板用積層板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電気絶縁性に優れる高耐熱性樹脂
として、イミド骨格を有する樹脂が知られている。この
ため、耐熱性、電気絶縁性を求められる半導体基板用途
においては、イミド構造を有する樹脂、特にマレイミド
樹脂が広く用いられている。代表的なものは、N,N’
−ビスマレイミド−ジアミノメタン(BMI−Sと略
す)であるが、一般に、マレイミド樹脂の単独重合体
は、耐熱性には優れるものの非常に脆く、可とう性にか
けるため、機械的強度においては満足できるものではな
い。その改良方法として、4,4’−ジアミノジフェニ
ルメタン(MDA)を硬化剤として、前記のBMI−S
と共重合させることにより、可とう性、機械的強度を向
上させることが提案され、そのBステージ化物がローヌ
・プーラン社より商品名ケルイミドとして販売されてい
る。しかしながら、このケルイミドをはじめとして、従
来のマレイミドを用いた熱硬化性樹脂は、耐熱性以外の
可とう性、機械的強度、耐衝撃性等において充分なもの
ではない。また、このMDAは変異原性等における安全
性に関しての問題が指摘されている。
【0003】一方、本発明者らは、特願平9−3119
53において、耐熱性、機械的強度、可とう性、電気絶
縁性等において満足し得る物性を有し、且つ、プリプレ
グやグリーンシートの状態、すなわち、完全硬化前のB
ステージにおける状態での可とう性、柔軟性に優れ、か
つ、作業性、生産性に優れた樹脂組成物として、芳香族
アミン樹脂とポリマレイミド樹脂との組み合わせに、特
定の2官能性架橋剤を添加したポリマレイミド樹脂組成
物を提案している。該ポリマレイミド樹脂組成物は、完
全硬化後の諸物性は非常に優れているものの、Bステー
ジ状態での可とう性、柔軟性については、乾燥条件を調
整する必要があり、なお改良の余地があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、優れ
た耐熱性、機械的強度および電気絶縁性を保ち、且つ、
グリーンシートやプリプレグとした際、充分な柔軟性を
有し、かつ、作業性、生産性に優れる熱硬化性樹脂組成
物を提供すること、およびその目的を達成しうるマレイ
ミド樹脂に対する硬化剤となるべき物質を提供すること
にあり、さらには、それを用いて有用な半導体基板用積
層板を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに
至ったものである。すなわち、本発明は、一般式
(1)(化4)で表されるN−アリル化芳香族アミン樹
脂、
【0006】
【化4】 (式中、Aはアミノ基、モノアリルアミノ基、またはジ
アリルアミノ基を示し、同一でも異なっていてもよい。
但し、アリル基の総量はアミノ基に対し20〜200モ
ル%である。R1 はアルキル基、アルコキシ基、アリー
ル基、アラルキル基またはハロゲン原子を示し、mは
0、1または2を示し、nは0〜50の整数を示す。) 一般式(2)(化5)で表される芳香族アミン樹脂
と、そのアミノ基1モルに対して0.2モル以上のハロ
ゲン化アリルとを、塩基の存在下に反応させること特徴
とする前記記載のN−アリル化芳香族アミン樹脂の製
造方法、
【0007】
【化5】 (式中、R1 、mおよびnは前記と同じ) アリル基の総量がアミノ基に対して20〜150モル
%である前記記載のN−アリル化芳香族アミン樹脂
と、一分子中に2個以上のマレイミド基を含有するマレ
イミド樹脂とを必須の成分として含有する熱硬化性樹脂
組成物、 マレイミド樹脂が、一般式(3)(化6)で表される
芳香族マレイミド樹脂である請求項3記載の熱硬化性樹
脂組成物、
【0008】
【化6】 (式中、R1 、mおよびnは前記と同じ)
【0009】N−アリル化芳香族アミン樹脂のアミノ
基と、マレイミド樹脂のマレイミド基の当量比が、0.
1:1〜1:1である前記またはに記載の熱硬化性
樹脂組成物、 前記いずれかの熱硬化性樹脂組成物に有機および/ま
たは無機充填剤を分散させて得られる充填剤入り熱硬化
性樹脂組成物、 前記いずれかの熱硬化性樹脂組成物を有機溶剤に溶解
させたワニス、該ワニスに有機および/または無機充填
剤を含有させて得られる充填剤入りのワニス、 前記の熱硬化性樹脂組成物、ワニスを用いて得られる
プリプレグ、グリーンシート、さらには、これらを積層
して成型物とした半導体基板用積層板、に関するもので
ある。
【0010】本願発明は、前記一般式(2)で表される
芳香族アミン樹脂のアミノ基を、N−アリル化した前記
一般式(1)で表されるN−アリル化芳香族アミン樹脂
が、非常に低い溶融粘度を有すること、該N−アリル化
芳香族アミン樹脂を一分子中に2個以上のマレイミド基
を有する芳香族マレイミド樹脂と組み合わせることによ
り、耐熱性、機械的強度および電気絶縁性に優れた硬化
物が得られ、さらにワニスから完全に溶媒を乾燥させた
状態でも十分に柔軟なグリーンシートやプリプレグが得
られることを見出したことを基にするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のN−アリル化芳香族アミ
ン樹脂は、前記一般式(2)で表される芳香族アミン樹
脂のアミノ基を、N−アリル化することによって得られ
るもので、新規な芳香族アミン樹脂である。前記一般式
(2)で表される芳香族アミン樹脂は、特公平8−16
151号公報等に、その製造方法が開示されており、例
えば、一般式(4)(化7)で表されるアニリン誘導体
と、一般式(5)(化7)で表されるハロゲンノキシリ
レン、キシリレングリコールおよびその誘導体とを反応
させて得られるものである。
【0012】
【化7】 (上式中、R1 およびmは前記と同じであり、R3 はハ
ロゲン原子、水酸基、または炭素数1〜4の低級アルコ
キシ基を示す。)
【0013】本発明において、好ましいのは、前記一般
式(2)において、GPC分析の結果、繰り返し単位n
=0が30〜90Area%、より好ましいのは、n=0が
50〜80Area%のものである。また、ポリスチレン換
算の重量平均分子量はおよそ300〜1000程度、よ
り好ましくは300〜600程度のものである。なお、
一般式(2)において、R1 が水素原子、すなわち、ア
ニリン−キシリレン樹脂は、三井化学(株)よりAni
lix(アニリックス)の商品名で販売されている。
【0014】一般式(4)で表されるアニリン誘導体に
おいて、R1 としては、具体的には、水素原子;フッ素
原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−
ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペ
ンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert
−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n
−ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、n−オクチル
基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の
炭素数1〜8の直鎖、分岐または環状のアルキル基;メ
トキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポ
キシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−
ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキ
シ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ
基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2
−エチルシクロヘキシルオキシ基等の炭素数1〜8の直
鎖、分岐または環状アルコキシ基;フェニル基、2−メ
チルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフ
ェニル基、4−エチルフェニル基、4−n−プロピルフ
ェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、2−メト
キシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−エトキ
シフェニル基、3−フルオロフェニル基、1−ナフチル
基、2−ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基等
である。中でも好ましいのは、水素原子、炭素数1〜4
のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、または炭
素数6〜10のアリール基であり、最も好ましいのは水
素原子、メチル基、またはメトキシ基である。
【0015】また、一般式(5)で表されるハロゲノキ
シリレン、キシリレングリコールおよびその誘導体にお
けるR3 としては、具体的には、塩素原子、臭素原子、
よう素原子等のハロゲン原子;水酸基;メトキシ基、エ
トキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−
ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等
の炭素数1〜4のアルコキシ基であり、好ましくは塩素
原子、臭素原子、水酸基、またはメトキシ基である。な
お、キシリレン誘導体は、オルソ、メタ、パラ体のいず
れでもよく、好ましくはメタ体またはパラ体である。
尚、アニリン誘導体、および、ハロゲノキシリレン、キ
シリレングリコールおよびその誘導体は、いずれも1種
類を単独で用いてもよく、複数の種類を混合して用いて
もよい。
【0016】反応は、アニリン誘導体を過剰に用いて行
う。特に上限はないが、反応効率等コスト的なものも考
慮すれば、一般式(4)と(5)のモル比は、1.5:
1〜50:1の範囲、好ましくは2:1〜20:1の範
囲、更に好ましくは3:1〜15:1の範囲で行うこと
が望ましい。反応においては、酸触媒が必要であり、塩
酸、硫酸、リン酸等の鉱酸類、p−トルエンスルホン
酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ジエチル硫
酸等の有機酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の超強
酸、アルカンスルホン酸型の様な強酸性イオン交換樹
脂、パーフルオロアルカンスルホン酸型の様な超強酸性
イオン交換樹脂等が用いられ、特に塩酸が好ましい。そ
の使用量はアニリン誘導体に対して10モル%〜100
モル%、好ましくは25モル%〜70モル%の範囲であ
る。反応終了後、酸触媒を中和、除去し、過剰のアニリ
ン誘導体を、減圧蒸留等の任意の方法で除去することに
より、目的とする一般式(2)の芳香族アミン樹脂が得
られる。
【0017】一般式(1)で表されるN−アリル化芳香
族アミン樹脂は、一般式(2)で表される芳香族アミン
樹脂をN−アリル化することにより得られる。N−アリ
ル化は、塩基の存在下に、一般式(2)の芳香族アミン
樹脂中のアミノ基に対し、アリル化剤を反応させること
により行われるが、その際のN−アリル化率は任意に決
定できる。本発明のN−アリル化芳香族アミン樹脂は、
原料となる芳香族アミン樹脂の全アミノ基の20モル%
以上がN−アリル化されたものである。N−アリル化の
際に用いられるアリル化剤とは、ハロゲン化アリルであ
り、具体的には塩化アリル、臭化アリルであり、好まし
くはその反応性から臭化アリルである。
【0018】N−アリル化率とは、アミノ基のモル数に
対するアリル基のモル数で表され、最大では200モル
%となる。しかし、マレイミド樹脂に対する硬化剤とし
ての本発明の用途においては、アミノ基が全てN−アリ
ル化された場合は、マレイミド樹脂と共重合させた時に
マレイミド基と反応する活性水素基を失うことになるた
め好ましくない。本発明において、熱硬化性樹脂組成物
として用いる場合の好ましいN−アリル化率は、20〜
150モル%の範囲であり、より好ましくは50〜12
0モル%の範囲である。尚、本発明において、N−アリ
ル化剤は、アミノ基の水素原子に対し、ランダムに反応
するため、N−アリル化率100モル%以上であって
も、一般式(1)で表されるN−アリル化芳香族アミン
樹脂は、通常、無置換であるアミノ基、モノ置換である
モノアリルアミノ基、ジ置換であるジアリルアミノ基が
共存している場合がある。
【0019】N−アリル化反応においては、反応溶媒を
用いることが望ましい。用いられる反応溶媒としては、
アリル化剤および一般式(2)の芳香族アミン樹脂に対
して安定なものであれば用いることができる。具体的に
は、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロ
ルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、
エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリ
コールジメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフ
ラン、エチルカルビトールアセテート、ヘキサン、シク
ロヘキサン、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジ
クロロエタン、四塩化炭素、アセトニトリル、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−
2−イミダゾリジノン、スルホラン等が挙げられ、これ
らは単独で、あるいは複数を併用して用いられる。反応
溶媒の使用量は、特に制限させるものではないが、原料
となる芳香族アミン樹脂に対して、重量で0.1倍〜2
0倍、好ましくは0.5倍〜10倍、更に好ましくは1
倍〜5倍程度である。
【0020】また、N−アリル化反応は塩基の存在下に
行われるが、塩基としては、具体的には、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリ
ウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシ
ウム、水酸化リチウム等を挙げることができる。中でも
好ましいものとしては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。
塩基の使用時の形態としては、固体をスラリー状で用い
る場合と、水溶液として用いる場合とがあるが、アリル
化剤の加水分解を考慮に入れると、固体をスラリーとし
て用いることがより好ましい。その使用量は、用いるア
リル化剤と当量以上であることが必要であり、当量で
1.0〜5倍、好ましくは1.05〜3倍、より好まし
くは1.05〜2倍の範囲である。
【0021】N−アリル化反応の形態は任意でよいが、
一つの例として、芳香族アミン樹脂を溶媒に完溶させ、
塩基を添加してスラリーとし、その中にアリル化剤を滴
下する方法を挙げることができる。反応温度は、0℃〜
120℃の範囲、好ましくは20℃〜100℃の範囲、
より好ましくは20℃〜80℃の範囲である。反応時間
は、反応温度等にも左右されるが、一般的には0.5H
r〜5Hrの反応時間で反応は終了する。しかし、高速
液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等で
原料を追跡し、組成が一定になった点を反応終点とする
ことが望ましい。
【0022】反応終了後、反応により副生する無機塩類
および過剰量の塩基を、濾過、水洗等、任意の方法を用
いて除去する。尚、この時十分に洗浄し、イオン性の不
純物の混入を防ぐことが望ましい。最後に、溶媒を減圧
留去等、任意の方法で留去することにより、目的とする
一般式(1)で表されるN−アリル化芳香族アミン樹脂
が得られる。本発明において、好ましいのは、一般式
(1)において、GPC分析の結果、繰り返し単位n=
0が30〜90Area%、より好ましいのは、n=0が5
0〜80Area%のものである。また、ポリスチレン換算
の重量平均分子量はおよそ300〜1500程度、より
好ましくは300〜800程度のものである。
【0023】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、この様に
して得られるアリル化率が20〜150モル%のN−ア
リル化芳香族アミン樹脂と、一分子中に2個以上のマレ
イミド基を含有するマレイミド樹脂を必須成分として含
有するものである。本発明の熱硬化性樹脂組成物におい
ては、一分子中に2個以上のマレイミド基を含有するも
のであれば、どのようなマレイミド樹脂でも用いること
ができる。具体的には、先に挙げたBMI−Sの他、
1,4−ビスマレイミドベンゼン、下記式(6)(化
8)で表される4,4’−ビス(4−マレイミドフェノ
キシ)ビフェニル、下記式(7)(化8)で表される
1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、
下記式(8)(化8)で表される1,3−ビス〔4−
(4−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベン
ジル〕ベンゼン等が挙げられる。特に好ましいのは、前
記一般式(3)で表される芳香族アミン樹脂のマレイミ
ド化物、すなわち、芳香族マレイミド樹脂である。
【0024】
【化8】 このマレイミド樹脂は、既に本出願人が特開平3−17
2324号公報に開示しているものであり、前記一般式
(2)で表される芳香族アミン樹脂をトルエン、キシレ
ン、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒中、酸触媒
の存在下に、あるいは無水酢酸の様な脱水剤の存在下
に、無水マレイン酸と脱水縮合することにより製造でき
る。尚、本発明においては、マレイミド樹脂は、一種類
を単独で、あるいは複数種類を併用して用いることがで
きる。
【0025】本発明の熱硬化性樹脂組成物において、一
般式(1)で表されるN−アリル化芳香族アミン樹脂と
マレイミド樹脂との使用割合は、官能基数の比で、アミ
ノ基:マレイミド基が、1:10〜10:10、好まし
くは2:10〜8:10の範囲である。N−アリル化芳
香族アミン樹脂の比が、この範囲より小さくなれば、先
に挙げたようなマレイミド樹脂の単独重合に見られる欠
点である脆さ、可とう性のなさが顕著になり、逆にN−
アリル化芳香族アミン樹脂の比が大きくなれば、硬化に
関与しない樹脂がでてくることにより硬化物物性が低下
する傾向がある。
【0026】また、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、有
機および/または無機充填剤を分散させることにより、
充填剤入の熱硬化性樹脂組成物とすることができる。こ
の樹脂組成物に充填剤を分散させる方法としては、加熱
溶融状態において、練り込むか、溶媒に溶解させたワニ
スの状態で充填剤を添加した後、溶媒を乾燥させる方法
が挙げられる。充填剤以外の添加剤、顔料や離型剤、難
燃剤等を加えることは問題ない。
【0027】本発明のワニスとしては、上記熱硬化性樹
脂組成物を溶剤に溶解させたワニス、そのワニスに有機
および/または無機充填剤を分散させた充填剤入りワニ
スが挙げられる。上記熱硬化性樹脂組成物を溶解させる
時に用いられる溶剤としては、一般に用いられる有機溶
剤全般であり、好ましくは、N−アリル化芳香族アミン
樹脂および用いるマレイミド樹脂を溶解するものであ
る。本発明では、単独では上記2種の樹脂を溶解しない
貧溶媒であっても、混合溶媒としてワニスとできるもの
であれば用いることができる。
【0028】溶剤としては、例えば、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサ
ノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソ
ブチル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、メシチレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素
類;n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の炭化
水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、
ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン等のハ
ロゲン化炭化水素類;クロロベンゼン、o−ジクロロベ
ンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;メタノール、
エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の
アルコール類;ジオキサン、トリオキサン、テトラヒド
ロフラン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、エ
チレングリコールジメチルエーテル(グライム)、ジエ
チレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)等の
エーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル
−2−イミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒;エ
チレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコ
ールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチ
ルエーテル等のセロソルブ類;エチレングリコールモノ
メチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエ
チルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチ
ルエーテルアセテート等のセロソルブアセテート類、等
を挙げることができる。これらの溶剤は、単独で、ある
いは、2種類以上を併用して用いることが出来るが、そ
の際、析出物が無いような組成にすることが必要であ
る。ワニス中の樹脂組成物の濃度としては、通常、固形
分として、30%〜70%の範囲である。
【0029】本発明の充填剤入りワニスは、このワニス
に有機および/または無機充填剤を添加することで得る
ことができる。この時に用いる有機および/または無機
充填剤とは、具体的に例示すれば次のようなものであ
る。すなわち、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、
酸化ジルコニウム等の金属酸化物類、水酸化アルミニウ
ム等の金属水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム等の金属炭酸化物類、チタン酸アルミニウム、ちっ化
珪素、ちっ化硼素、炭化珪素、炭化タングステン、炭化
チタン、コーディエライト(2MgO・2Al2 3
5SiO2 、ムライト(3Al2 3 ・2SiO2 )、
ケイソウ土粉、塩基性ケイ酸マグネシウム、焼成クレ
イ、微粉末シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、セラミッ
ク粉、カーボンブラック、カオリン、微粉末マイカ、石
英粉末、グラファイト、二硫化モリブデン、三酸化アン
チモン、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、ロッ
クウール、アルミナ繊維、チタン酸カリウム繊維、アラ
ミド繊維等が挙げられる。これらは単独で、あるいは複
数を併用して用いられるが、その粒径は0.5〜50μ
mの範囲が好ましい。その使用量は、樹脂成分100部
に対して100〜600部の範囲であり、均一に分散し
ていることが望ましい。また、本発明におけるワニス
は、保存安定性に優れ、低温保存のみならず、室温(2
5℃)における保存性にも優れるものであり、25℃に
おいて1ケ月以上、粘度の増加は10%以内である。
【0030】この様な充填剤入りワニスを、ポリエチレ
ンテレフタレートやポリイミド等のキャリヤーフィルム
(シート)上に、望む所定の厚さに調節して塗布し、4
0℃〜180℃において熱風加熱乾燥した後、剥離し
て、いわゆる、グリーンシートを得ることができる。本
発明では、ワニス中の溶剤を、事実上ほとんど乾燥した
後も、得られるグリーンシートは柔軟性を保っているこ
とを特徴とする。
【0031】本発明においては、前記の熱硬化性樹脂組
成物(充填剤は含まない)を、有機および/または無機
繊維布に含浸させたプリプレグ、また、前記のワニス
(充填剤は含まない)を有機および/または無機繊維布
に含浸させたプリプレグをも提供する。この時用いられ
る有機および/または無機繊維布とは、ガラス繊維布、
炭素繊維布、アラミド繊維布等であり、ワニスをこれら
繊維布100重量部に対して、樹脂分が20〜100重
量部になるように含浸塗布し、40℃〜180℃におい
て熱風加熱乾燥して、所定の厚さに調整したプリプレグ
を得ることができる。また、本発明の熱硬化性樹脂組成
物が液状の場合には、そのままで、これら繊維布に含浸
塗布してプリプレグを得ることができる。
【0032】本発明の半導体基板用積層板は、前記の方
法で得られた所定の厚さ、一般的には0.05〜2mm
の厚さのグリーンシートあるいはプリプレグを、複数枚
重ねて、プレスおよび熱キュアーすることにより作製す
ることができる。積層する枚数としては2枚〜100
枚、プレス条件としては、100℃〜280℃、好まし
くは150℃〜270℃、5〜200Kg/cm2 、好
ましくは10〜150Kg/cm2 の条件で、10分〜
3時間程度である。さらに、150〜270℃の範囲に
おいて数時間アフターキュアーすることが望ましい。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものでは
ない。 実施例1 攪拌装置、温度計、還流冷却器を備え付けたガラス製反
応装置に、下記式(9)(化9)で表される芳香族アミ
ン樹脂〔商品名:Anlix A−110、三井化学
(株)社製、アミン価0.64eq/100g、重量平
均分子量Mw=420(GPC、ポリスチレン換算)〕
100g(アミノ基:0.64モル)、トルエン500
g、炭酸カリウム48.6g(0.352モル)を装入
し、50℃において攪拌した。
【0034】
【化9】 (式中、nは0〜15の整数を示す。) 芳香族アミン樹脂が完全に溶解したところで、77.4
g(0.64モル)の臭化アリルを2時間で滴下した。
さらに同温度において3時間熟成し、反応を終了した。
【0035】この反応マスに、10%水酸化ナトリウム
水溶液281.6g(0.704モル)を装入し、充分
攪拌したところ、トルエン層と水層に分離した。分液し
た後、150gの蒸留水でトルエン層が中和されるまで
水洗を繰り返した。その後、トルエンを減圧蒸留により
留去して、目的とするN−アリル化芳香族アミン樹脂:
133g(収率95%)を得た。この樹脂の溶融粘度
は、50℃において2.7ポイズであった(ICIコー
ン型溶融粘度計)。 IR(薄膜法)918cm-1,992cm-1:アリル基メチン変角面外振動 1456cm-1:アリル基メチレン変角振動 1617cm-1:アリル基炭素−炭素二重結合伸縮振動 この樹脂のIRチャートを(図1)に示した。
【0036】実施例2 実施例1において合成したN−アリル化芳香族アミン樹
脂66重量部(アミノ基:0.47当量)、および式
(10)(化10)で表される芳香族アミン樹脂のマレ
イミド化物〔商品名:Anilix MI、三井化学
(株)社製、マレイミド価0.42eq/100g〕重
量100部(マレイミド基:0.42当量)を、酢酸エ
チル90重量部、トルエン10重量部からなる混合溶液
に攪拌溶解し、均一なワニスを得た。このワニスの粘度
は23℃において20センチポイズ(B型粘度計)であ
った。
【0037】
【化10】 (式中、nは0〜15の整数を示す。)
【0038】実施例3 実施例2のワニスに、582部のアルミナ粉(アルミナ
AL−45−2)を加え、よく撹拌して、均一な充填
剤入りワニスを得た。この充填剤入りワニスの粘度は、
25℃において2300センチポイズ(B型粘度型)で
あった。この充填剤入りワニスを、25℃で、一ヶ月保
存した。その後、その粘度を測定したところ、25℃で
2350センチポイズであり、保存中での変化はほとん
ど無く、非常に保存安定性の高いものであった。この充
填剤入りワニスを、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)フィルム上に、YBA型ベーカーアプリケーター
〔ヨシミツ精機(株)製〕を用いて塗布し、80℃で1
時間乾燥して150mm×150mm、厚さ300μm
のグリーンシートを得た。このグリーンシートは、キャ
リヤーシートとの剥離性も良好であった。尚、後の硬化
時の重量減少率も0.3%以下であり溶剤の残存もなか
った。また、このグリーンシートは、5mmのアルミ棒
にも容易に巻き付けることが可能であり、打ち抜き成型
性や穴あけ加工性も非常に容易、且つ良好であった。本
グリーンシートを5枚重ねて、乾燥器中において150
℃で10分間、続いて180℃で10分間乾燥した後、
200℃において50Kg/cm2 の圧力下、1時間プ
レス加工し、さらに250℃のオーブンで4時間ポスト
キュアーして積層板を得た。この積層板の物性は以下の
通り良好なものであった。 ・Tg:315℃ ・誘電率:3.5 ・誘電正接:0.006 ・曲げ強度:13Kg/cm2 尚、グリーンシートの柔軟性を示すものとして、50m
m/minにおける引っ張り伸び率を測定したところ、
40%であった。
【0039】実施例4 実施例2と同様の20センチポイズのワニスを含浸槽に
入れ、アミノシラン処理したガラスクロス〔日東紡
(株)製ガラスクロス、商品名WF230−100BS
6、厚さ0.25mm、標準質量203g/m2 〕を1
0秒間浸した。取り出した後、余分なワニスをピンチロ
ーラーで取り除いた。これを30分間室温にて風乾した
後、100℃で40分間、続けて130℃で10分間乾
燥して、厚さ500μmの柔軟性の高いプリプレグを得
た。このものは打ち抜き加工性や穴あけ加工性も非常に
容易、且つ良好であった。このプリプレグを実施例と同
様に5枚重ねて積層板を得た。この積層板の物性は以下
の通り良好なものであった。 ・Tg:316℃ ・誘電率:3.4 ・誘電正接:0.005 ・曲げ強度:15Kg/cm2
【0040】実施例5 実施例2において、マレイミド樹脂を4,4’−ビスマ
レイミドジフェニルメタン〔大和化成工業(株)製:B
MI−S〕に代えた他は、同様にしてワニスを得た。次
いで、このワニスを用いて、実施例3と同様にして、充
填剤入りワニスを得た。このワニスの粘度は25℃にお
いて2400センチポイズ(B型粘度型)であった。こ
の充填剤入りワニスを、25℃で、一ヶ月保存した。保
存後の粘度は、25℃で、2450センチポイズであ
り、保存前と殆ど変化がなく、非常に安定性の高いもの
であった。この充填剤入りワニスを用いて、実施例3と
同様にして、グリーンシートを作製したところ、実施例
3と同様に5mmのアルミ棒に容易に巻き付けることの
できる、打ち抜き加工性や穴あけ加工性の非常に容易、
且つ良好なものが得られた。このグリーンシートを5枚
重ね、同様にして積層板を得た。この積層板の物性は以
下の通り良好なものであった。 ・Tg:302℃ ・誘電率:3.6 ・誘電正接:0.006 ・曲げ強度:13Kg/cm2 尚、グリーンシートの柔軟性を示すものとして、50m
m/minにおける引っ張り伸び率を測定したところ、
35%であった。
【0041】実施例6 実施例2において、マレイミド樹脂を、1,3’−ビス
(マレイミドフェノキシ)ベンゼン〔三井化学(株)
製:APB−MI〕に代えた他は、同様にしてワニスを
得た。次いで、このワニスを用いて、実施例3と同様に
して、充填剤入りワニスを得た。この充填剤入りワニス
の粘度は25℃において2400センチポイズ(B型粘
度型)であった。この充填剤入りワニスの25℃、一ヶ
月保存後の粘度は、2430センチポイズであり、非常
に安定性の高いものであった。この充填剤入りワニスを
用いて、実施例3と同様にしてグリーンシートを作製し
たところ、同様に5mmのアルミ棒に容易に巻き付ける
ことのできる、打ち抜き加工性や穴あけ加工性の非常に
容易且つ良好なものが得られた。このグリーンシートを
5枚重ね、同様にして積層板を得た。この積層板の物性
は以下の通り良好なものであった。 ・Tg:312℃ ・誘電率:3.5 ・誘電正接:0.006 ・曲げ強度:13Kg/cm2 尚、グリーンシートの柔軟性を示すものとして、50m
m/minにおける引っ張り伸び率を測定したところ、
38%であった。
【0042】実施例7 攪拌装置、温度形、還流冷却器および塩化水素ガス導入
管を備え付けたガラス製反応装置に、p−アニシジン:
1230g(10モル)、p−キシリレンジクロライ
ド:175g(1モル)を装入し、攪拌を行いながら徐
々に昇温した。内温が125℃に達したとき、塩化水素
ガス導入管より、同ガスを毎分約200mlの流量で、
約5時間、合計67.2l(109.5g=3モル)装
入した。この時内温は徐々に昇温を続け、装入終了時に
は180℃であった。その後更に昇温を続け、205〜
215℃において、17時間反応を続けた後、高速液体
クロマトグラフィーおよびゲルパーミエーションクロマ
トグラフィーにより組成を分析したところ、反応中間生
成物である、2級アミンの消失が確認されたので反応を
終了した。反応液を冷却し、110℃となったところで
トルエン1000gを加え、さらに75℃となったとこ
ろで15%水酸化ナトリウム水溶液1467g(5.5
モル)を、同温度を維持しながら滴下し、一時間攪拌し
た。系内のpHが11以上であり、完全に中和されたこ
とを確認した後静置、分液し、1lの水道水で2回、純
粋で1回水洗した。最後の排水中には硝酸銀滴定により
遊離クロルが存在しないことが確認された。この有機層
からトルエン、続けてアニリンを、さらに副生物である
ビス(4−メトキシフェニル)アミンを減圧蒸留により
除去し、式(11)(化11)で表される芳香族アミン
樹脂273gを得た。この樹脂のアミン価は0.54e
q/100gであり、GPCによる重量平均分子量Mw
は495(ポリスチレン換算)であり、繰り返し単位n
=0が75Area%であった。
【0043】
【化11】 (式中、nは0〜15の整数を示す。) 実施例1における芳香族アミン樹脂に代えて、この樹脂
100gを用いた以外は、同様にして、対応するN−ア
リル化芳香族アミン樹脂117gを得た(収率96
%)。この樹脂の溶融粘度は、50℃において2.5ポ
イズ(ICIコーン型溶融粘度型)であった。
【0044】実施例8 実施例2において、N−アリル化芳香族アミン樹脂とし
て実施例7で得られたN−アリル化芳香族アミン樹脂を
用いた以外は、同様にしてワニスを得た。このワニスの
23℃における粘度は、20センチポイズ(B型粘度
型)であった。次いで、このワニスを用いて、実施例3
と同様にして、充填材入りワニスを得た。この充填剤入
りワニスの粘度は25℃において2200センチポイズ
(B型粘度型)であった。この充填剤入りワニスの25
℃における一ヶ月保存後の粘度は、22100センチポ
イズであり、非常に安定性の高いものであった。この充
填剤入りワニスを用いて、実施例3と同様にしてグリー
ンシートを作製したところ、同様に5mmのアルミ棒に
容易に巻き付けることのできる、打ち抜き加工性や穴あ
け加工性の非常に容易且つ良好なものが得られた。この
グリーンシートを5枚重ね、同様にして積層板を得た。
この積層板の物性は以下の通り良好なものであった。 ・Tg:302℃ ・誘電率:3.5 ・誘電正接:0.005 ・曲げ強度:13Kg/cm2 尚、グリーンシートの柔軟性を示すものとして、50m
m/minにおける引っ張り伸び率を測定したところ、
40%であった。
【0045】実施例9 実施例7の4−アニシジン:1230gを、3−メチル
アニリン:1070g(10モル)に代えた以外は、同
様にして、式(12)(化12)で表される芳香族アミ
ン樹脂251gを得た。この樹脂のアミン価は0.59
eq/100gであり、GPCによる重量平均分子量M
wは450(ポリスチレン換算)であり、繰り返し単位
n=0が73Area%であった。
【0046】
【化12】 (但し、式中nは0〜15の整数を示す。) この樹脂200g(1.18モル)およびトルエン35
0g、DMF50gからなる溶液(A)を調製した。
【0047】攪拌装置、温度計、ディーン・スターク水
分離器および還流冷却器を備えたガラス製反応装置に、
無水マレイン酸:156.2g(1.593モル)、ト
ルエン:600gおよびp−トルエンスルホン酸:10
gを装入し、攪拌しながら昇温した。内温が120℃に
達したところで、先に調製した溶液(A)を徐々に滴下
した。この時、縮合により生成する水は、ディーン・ス
ターク水分離器により系外へトラップし、トルエンは還
流させた。また、滴下速度は水/トルエンの共沸還流が
コントロールでき、且つ内温が100℃以上を保てる様
にし、4時間30分で終了した。反応終了後、p−トル
エンスルホン酸および過剰の無水マレイン酸を除くた
め、廃水が中性になるまで繰り返し水洗を行った。その
後、トルエンを最高130℃までの温度において減圧蒸
留により留去し、式(13)(化13)で表されるマレ
イミド樹脂:260gを得た。GPCによる重量平均分
子量Mwは760(ポリスチレン換算)であった。
【0048】
【化13】 (但し、式中nは0〜15の整数を示す。) この樹脂を、実施例2におけるマレイミド樹脂に代えた
以外は、同様にして、ワニスを得た。
【0049】実施例10 実施例3におけるワニスを、実施例9により得られたワ
ニスに代えた以外は、同様にして充填剤入りワニスを得
た。このワニスの粘度は25℃において2400センチ
ポイズ(B型粘度型)であった。この充填剤入りワニス
の25℃における一ヶ月保存後の粘度は、2430セン
チポイズであり、非常に安定性の高いものであった。こ
の充填剤入りワニスを用いて、実施例3と同様にしてグ
リーンシートを作製したところ、同様に5mmのアルミ
棒に容易に巻き付けることのできる、打ち抜き加工性や
穴あけ加工性の非常に容易且つ良好なものが得られた。
このグリーンシートを5枚重ね、同様にして積層板を得
た。この積層板の物性は以下の通り良好なものであっ
た。 ・Tg:309℃ ・誘電率:3.6 ・誘電正接:0.006 ・曲げ強度:13Kg/cm2 尚、グリーンシートの柔軟性を示すものとして、50m
m/minにおける引っ張り伸び率を測定したところ、
38%であった。
【0050】比較例1 実施例2において、N−アリル化芳香族マレイミド樹脂
を、N−アリル化する前の芳香族アミン樹脂:Anil
ix A−110に代えてワニスを得た。次いで、この
ワニスを用いて、実施例3と同様にして充填剤入りワニ
スを得た。この充填剤入りワニスの粘度は25℃におい
て2400センチポイズ(B型粘度型)であった。この
充填剤入りワニスの25℃における一ヶ月保存後の粘度
は、2430センチポイズであり、非常に安定性の高い
ものであった。この充填剤入りワニスを用いて、実施例
3と同様にしてグリーンシートを作製したが、柔軟性が
ほとんどなく、非常に脆いものであり、キャリヤーフィ
ルムから剥離する際、簡単にひび割れてしまった。ま
た、無理に積層板を作製しようとしたが、きれいなもの
は得られなかった。
【0051】
【発明の効果】本発明のN−アリル化芳香族アミン樹脂
は、マレイミド樹脂と組み合わせて熱硬化性樹脂組成物
として用いることにより、非常に柔軟性のある、作業性
の高いグリーンシートおよびプリプレグを与えることが
できる。また、それを用いて得られる本発明の積層板
は、耐熱性および電気絶縁性において、非常に優れた性
能を示し、半導体基板用積層板として、極めて高い有用
性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたN−アリル化芳香族アミン
樹脂のIRチャート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 179/00 C09D 179/00 (72)発明者 詫摩 啓輔 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AA01B AK01B AK35A AK49A BA01 BA02 BA03 BA05 BA06 BA13 CA23A DG11B DH01 EH462 EJ82B EJ862 EJ933 GB43 JB13A JG00 JJ03 JK13 4J002 CE001 GH01 GQ01 HA05 4J032 CA04 CA07 CG06 4J038 DA131 DA132 GA01 KA06 KA08 PB03 4J043 PA02 PA04 PA05 PA15 QB51 QC05 QC07 QC08 QC09 QC10 QC27 RA08 SA06 SA07 SA08 SA09 SA49 SB01 TA45 TA72 TA73 TB01 WA01 WA16 WA29 YB18 YB19 ZB01 ZB50

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)(化1)で表されるN−ア
    リル化芳香族アミン樹脂。 【化1】 (式中、Aはアミノ基、モノアリルアミノ基、またはジ
    アリルアミノ基を示し、同一でも異なっていてもよい。
    但し、アリル基の総量はアミノ基に対し20〜200モ
    ル%である。R1 はアルキル基、アルコキシ基、アリー
    ル基、アラルキル基またはハロゲン原子を示し、mは
    0、1または2を示し、nは0〜50の整数を示す。)
  2. 【請求項2】 一般式(2)(化2)で表される芳香族
    アミン樹脂と、 【化2】 (式中、R1 はアルキル基、アルコキシ基、アリール
    基、アラルキル基またはハロゲン原子を示し、mは0、
    1または2を示し、nは0〜50の整数を示す。) そのアミノ基1モルに対して0.2モル以上のハロゲン
    化アリルとを、塩基の存在下に反応させること特徴とす
    る請求項1記載のN−アリル化芳香族アミン樹脂の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 アリル基の総量がアミノ基に対して20
    〜150モル%である請求項1記載のN−アリル化芳香
    族アミン樹脂と、一分子中に2個以上のマレイミド基を
    含有するマレイミド樹脂とを必須の成分として含有する
    熱硬化性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 マレイミド樹脂が、一般式(3)(化
    3)で表される芳香族マレイミド樹脂である請求項3記
    載の熱硬化性樹脂組成物。 【化3】 (式中、R1 はアルキル基、アルコキシ基、アリール
    基、アラルキル基またはハロゲン原子を示し、mは0、
    1または2を示し、nは0〜50の整数を示す。)
  5. 【請求項5】 N−アリル化芳香族アミン樹脂のアミノ
    基と、マレイミド樹脂のマレイミド基の当量比が、0.
    1:1〜1:1である請求項3または4に記載の熱硬化
    性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 請求項3〜5のいずれかに記載の熱硬化
    性樹脂組成物に、有機および/または無機充填剤を分散
    させて得られる充填剤入り熱硬化性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項3〜5のいずれかに記載の熱硬化
    性樹脂組成物を、有機溶剤に溶解させたことを特徴とす
    るワニス。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のワニスに、有機および/
    または無機充填剤を含有させて得られる充填剤入りワニ
    ス。
  9. 【請求項9】 請求項3〜5のいずれかに記載の熱硬化
    性樹脂組成物を、有機および/または無機繊維布に含浸
    させたことを特徴とするプリプレグ。
  10. 【請求項10】 請求項7記載のワニスを、有機および
    /または無機繊維布に含浸させたことを特徴とするプリ
    プレグ。
  11. 【請求項11】 請求項8記載のワニスを樹脂シートに
    塗布、乾燥後、剥離して得られたことを特徴とする柔軟
    なグリーンシート。
  12. 【請求項12】 請求項11記載のグリーンシートを、
    複数枚積層して成型物としたことを特徴とする半導体基
    板用積層板。
  13. 【請求項13】 請求項9または10に記載のプリプレ
    グを、複数枚積層して成型物としたことを特徴とする半
    導体基板用積層板。
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