JP2000036639A - 半導体レーザ装置およびその製造方法、並びに、ピックアップ装置 - Google Patents

半導体レーザ装置およびその製造方法、並びに、ピックアップ装置

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JP2000036639A
JP2000036639A JP10205164A JP20516498A JP2000036639A JP 2000036639 A JP2000036639 A JP 2000036639A JP 10205164 A JP10205164 A JP 10205164A JP 20516498 A JP20516498 A JP 20516498A JP 2000036639 A JP2000036639 A JP 2000036639A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 780nm帯と650nm帯との発光波長を安定
して得る。 【解決手段】 第1発光部1は、n-GaAs基板5の一
側に形成されてダブルヘテロ接合構造および電流阻止層
でなる。第2発光部2は、n-GaAs基板5の他側に形
成されてダブルヘテロ接合構造および電流阻止層でな
る。第1発光部1のダブルヘテロ接合構造と電流阻止層
との材料はAlGaAsとGaAsである。また、第2発光
部2のダブルヘテロ接合はAlGaInPとGaInPとで
ある。こうして、第1発光部1では、波長が780nmの
光を出射する一方、第2発光部2では、波長が650nm
の光を出射する。こうして、CD-Rメディアを含めた
総てのDVDメディアおよびCDメディアの情報を読み
出すことを可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、光情報記録再生
装置に用いられる半導体レーザ装置、および、この半導
体レーザ装置を用いたピックアップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】次世代の光ディスクであるディジタルバ
ーサタイルディスク(DVD)は、映像記録として135
分の動画を再生可能であること、更に、情報記録として
4.7Gバイトの情報を記録できることから、従来のコ
ンパクトディスク(CD)を受け継いで発展することが期
待されている。
【0003】また、上記DVDメディアの再生装置で
は、DVDメディア(映像記録),DVD-ROMメディア
(情報記録)およびDVD−Rメディア(一回書き込みの
情報記録)の再生やデータの読み出しに加えて、従来か
ら広く使用されてきたCDメディア(音楽記録),CD-R
OMメディア(情報記録)およびCD-Rメディア(一回書
き込みの情報記録)の再生やデータの読み出しの機能を
有することが要望されている。また、このことは、従来
のCDメディアからDVDメディアへの速やかな移行を
実現するためにも重要な技術である。
【0004】ここで、上記DVDメディアは、従来のC
Dメディアに比較して以下の2点で大きな相違を有して
いる。先ず第1に、光ディスクの基板の厚さが1.2mm
から0.6mmに変更されている。これは、記録密度の向
上をねらって集光用のレンズのNA(開口数)を大きくし
た際に、光ディスクの傾きに対する許容度を大きくする
ためである。第2に、ピックアップで使用する半導体レ
ーザの波長がある。ディスク上の集光スポットの大きさ
は波長に比例する。従来のCDメディアでは波長が78
0nmの半導体レーザを使用しているのに対して、DVD
メディアでは波長が650nmの半導体レーザを使用す
る。これは、DVDメディアでのディスク上の集光スポ
ットを小さくするためである。
【0005】情報を読み取るピックアップにとって、基
板の厚さが異なる2種類の光ディスク上の情報を読み取
ることは収差の点で難しい。すなわち、ディスク基板の
厚さが0.6mmで設計されたレンズ系では、そのままで
は厚さが1.2mmのディスク基板状の情報を読み出すこ
とはできない。そこで、従来より、上述の問題を解決す
るために種々の方法が考えられている。
【0006】その一例として、CD用とDVD用の2種
の対物レンズを備えて両者を切り替える方法、2焦点の
レンズを対物レンズに用いる方法、液晶シャッタを使用
する方法等がある(参照文献1:電子材料 1996年6
月 38ページ)。これらの方法によって、ディスク基板
の厚さが異なる2種のディスク上の情報を読み出すこと
が可能になり、DVD再生装置で従来のCDメディアお
よびCD-ROMメディアが読み出し可能となる。とこ
ろが、上述の方法では、現在流通しているCD-Rメデ
ィアの読み出しは困難である。なぜならば、一回書き込
みのCD-Rメディアでは、記録方式として波長が78
0nmの光に反応する色素を使用しているためであり、読
み出しのために半導体レーザの波長が780nmである必
要がある。ところが、上述したように、通常のDVD再
生装置では波長が650nmの半導体レーザを使用してい
るために上記色素が反応しないのである。
【0007】以上のことから、上記CD-Rメディアも
読み出し可能なDVD用ピックアップとしては、以下の
ような構成が考えられる。先ず第1に、CD用ピックア
ップとDVD用ピックアップとの2つのピックアップを
再生装置内に備えることである。この場合、2つのピッ
クアップは独立しており、DVD用ピックアップは65
0nmの半導体レーザとNA=0.6の対物レンズを持
ち、CD用ピックアップは780nmの半導体レーザとN
A=0.45の対物レンズを持つことなる。ところが、
この方法は、再生装置の大型化およびコストアップにつ
ながる。DVD再生装置は、発売当初から低価格にする
必要がありコスト低減は重要なポイントである。
【0008】上述の問題に対処するには、DVD再生装
置に1個のピックアップを搭載し、その発光波長を78
0nmおよび650nmの2種類の光を使用する方法が必要
である。その場合、上記2種類の波長の光を出す半導体
レーザをピックアップに組み込むことで、低コストで且
つCD-Rメディアも含めた総てのCDメディアおよび
CD-ROMメディアの読み出し可能なDVD再生装置
を得ることが可能になる。
【0009】上述のように2種類の波長の光を出すこと
が可能な半導体レーザとして、従来より幾つかの半導体
レーザが提案されている。 (1) 半導体レーザパッケージ内部に2種類の半導体レ
ーザチップを組み込んで2種類の波長の光を出射する。 (2) 参考文献2:特開平3−009589号公報 同一ウエハにおいて、隣接している2つの半導体レーザ
チップ夫々のコート膜の膜厚を変えて異なる波長で発振
させる。 (3) 参考文献3:特開昭61−019186号公報 同一ウエハにおいて、隣接している2つの半導体レーザ
夫々の活性層下部の溝幅を変えることによって各活性層
のAl(アルミニュウム)含有量を変えて、異なる波長で
発振させる。 (4) 参考文献4:特開平3−30388号公報 基板上に第1の活性層と第2,第3のクラッド層から成
るダブルヘテロ接合を形成し、その上部に第2の活性層
と第4,第5のクラッド層から成るダブルヘテロ接合を
形成して、異なる波長で発振させる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の2種類の波長の光を出すことが可能な半導体レーザ
には、以下のような問題がある。
【0011】上記(1)の半導体レーザでは、2つの光に
関する光スポット間の距離の問題がある。ピックアップ
において同一のレンズ系を用いて2つの異なる波長の光
を取り扱うためには、発光スポット間の距離が少なくと
も100μm以下である必要がある。ところが、通常形
状のパッケージでは、半導体レーザチップを並べて配置
するために発光スポット間の距離は100μm以上にな
ってしまい、上記条件を満たすことができない。また、
半導体レーザチップのパッケージへの貼り付けの際に数
10μm程度の誤差が生ずる。
【0012】上記(2),(3)の半導体レーザでは、2つ
の光の波長差を大きく取れないという問題がある。上記
(2),(3)の半導体レーザとも、活性層を1回の成長で
形成するために、両活性層の材料は同一の系統になる。
例えば、狙う波長が780nm帯であれば両活性層の材料
はAlGaAsであり、多少のAl混晶比の差は在るものの
得られる2つの光の波長差は高々10nm程度である。上
述のように、DVD用ピックアップがCD-Rメディア
との互換性を有するためには、780nm帯と650nm帯
との発光波長が必要である。尚、650nm帯の光を発光
させるには、活性層およびクラッド層としてGaInPお
よびAlGaInPを用いる必要があり、全く異なる材料
の活性層とクラッド層から成るダブルヘテロ接合構造に
する必要がある。
【0013】上記(4)の半導体レーザの第1の構造は通
称リッジ構造と呼ばれるタイプの構造であり、気相成長
法(有機金属気相成長法:MOCVD法)あるいは分子線
エピタキシー法(MBE法)で得ることができる。この構
造の場合、ZnSSeを成長させてSiO2を除去した後の
ZnSSeの表面は平坦ではなく凸型の形状となる。その
後、MOCVD法あるいはMBE法によってp-GaAs
コンタクト層およびクラッド層,活性層,クラッド層を成
長させると、その下地であるP-GaAsコンタクト層お
よびZnSSeの形状をそのまま保った状態で成長を行う
ことになり、活性層が湾曲した構造となってしまう。活
性層が湾曲した構造では、半導体レーザを高温下で動作
させた場合の信頼性が悪くなり、実際のピックアップに
組み込んで使用することが不可能である。
【0014】また、上記(4)の半導体レーザの第2の構
造は通称VSIS構造と呼ばれるタイプの構造であり、
気相成長法による作成が難しいために液相成長法(LP
E法)で成長させる。ところが、この構造では、目的と
するDVD用の650nm帯の発光波長を得ることはでき
ないのである。すなわち、波長650nmの光を発するダ
ブルヘテロ構造は、クラッド層をAlGaInPで作成す
る必要があるが、LPE法ではAlGaInPを成長させ
ることは不可能なのである。
【0015】そこで、この発明の目的は、780nm帯と
650nm帯との発光波長を安定して得ることができ、両
発光スポット間の距離を数10μm〜100μmにできる
半導体レーザ装置およびその製造方法、並びに、ピック
アップ装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に係る発明の半導体レーザ装置は、半導体
基板における一方の面側に設けられた第1活性層と、上
記半導体基板における他方の面側に設けられた第2活性
層を備えたことを特徴としている。
【0017】上記構成によれば、1つの半導体基板にお
ける2つの活性層によって2種類の発光波長の光が出射
される。こうして、2つの光を1つの半導体レーザチッ
プから出射することによって、上記2つの光のスポット
間距離を100μm以下にすることが可能になる。
【0018】また、請求項2に係る発明は、請求項1に
係る発明の半導体レーザ装置において、上記半導体基板
における一方の面側に,さらに第1クラッド層および第
1電流阻止層を備え、上記半導体基板における他方の面
側に,さらに第2クラッド層および第2電流阻止層を備
えたことを特徴としている。
【0019】上記構成によれば、1つの半導体基板にお
ける一面側および他面側に設けられた活性層,クラッド
層および電流阻止層の材料の系統を変えることによっ
て、1つの半導体レーザチップの夫々の活性層から出射
される光の発光波長が任意に設定される。したがって、
上記2つの光の波長差を130nm以上にすることが可能
になる。
【0020】また、請求項3に係る発明は、請求項2に
係る発明の半導体レーザ装置において、上記第1活性層
および第1クラッド層は、GaAsあるいはAlGaAsで
形成され、上記第2活性層および第2クラッド層は、G
aInPあるいはAlGaInPで形成されていることを特
徴としている。
【0021】上記構成によれば、1つの半導体基板にお
ける一面側にGaAsあるいはAlGaAsで形成された第
1活性層からは780nm帯の波長の光が出射される。一
方、上記半導体基板における他面側にGaInPあるいは
AlGaInPで形成された第2活性層からは650nm帯
の光が出射される。こうして、1つの半導体レーザチッ
プから、CD-Rメディアを含む総てのDVDメディア,
CDメディアからの情報読み出しに適用可能な2つの光
が得られる。
【0022】また、請求項4に係る発明は、請求項1に
係る発明の半導体レーザ装置において、上記第1活性層
と第2活性層とは任意の層を介して設けられており、上
記層あるいは半導体基板とのコンタクトをとるための不
純物拡散領域を備えたことを特徴としている。
【0023】上記構成によれば、上記第1活性層と第2
活性層との間の任意の層あるいは半導体基板とコンタク
トを取る不純物拡散領域を有している。したがって、上
記第1活性層および第2活性層に対する共通電極は、ウ
エハの表面における不純物拡散領域内に形成可能にな
る。したがって、上記半導体基板に共通電極を設けるた
めに、上記表面から上記半導体基板に達する溝を設ける
必要がなく、ウエハ表面が平坦になる。
【0024】また、請求項5に係る発明は、複数の活性
層を有すると共に,上記各活性層の間には任意の層が形
成されている半導体レーザ装置において、上記層とのコ
ンタクトをとるための不純物拡散領域を備えたことを特
徴としている。
【0025】上記構成によれば、活性層間の任意の層と
コンタクトを取る不純物拡散領域を有している。したが
って、複数の活性層に対する共通電極は、ウエハの表面
における不純物拡散領域内に形成可能になる。したがっ
て、上記共通電極を設けるために上記ウエハに溝を設け
る必要がなく、ウエハ表面が平坦になる。
【0026】また、請求項6に係る発明の半導体レーザ
装置の製造方法は、半導体基板における一方の面側に,
第1活性層,第1クラッド層および第1電流阻止層を形
成し、上記半導体基板における他方の面側に,第2活性
層,第2クラッド層および第2電流阻止層を形成するこ
とを特徴としている。
【0027】上記構成によれば、1つの半導体基板にお
ける一面側および他面側に設けられた活性層,クラッド
層および電流阻止層の材料の系統を変えることによっ
て、1つの半導体基板上の夫々の活性層からの光の発光
波長が任意に設定される。したがって、上記2つの光の
波長差を130nm以上にすることが可能になる。
【0028】また、請求項7に係る発明は、請求項5に
係る発明の半導体レーザ装置の製造方法において、上記
第2活性層,第2クラッド層および第2電流阻止層は、
MBE法で形成されることを特徴としている。
【0029】上記構成によれば、第1活性層,第1クラ
ッド層及び第1電流阻止層が形成された後に形成される
第2活性層,第2クラッド層及び第2電流阻止層は、M
OCVD法やLPE法よりも成長温度が低いMBE法で
成長される。したがって、第2活性層,第2クラッド層
及び第2電流阻止層の成長時における第1活性層,第1
クラッド層および第1電流阻止層の特性劣化が防止され
る。
【0030】また、請求項8に係る発明のピックアップ
装置は、請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の半
導体レーザ装置を搭載したことを特徴としている。
【0031】上記構成によれば、1つの半導体基板から
出射される2つの光のスポット間距離が100μm以下
であり、同一のレンズ系で上記2つの光が取り扱うこと
が可能になる。さらに、一方の発光部をGaAsあるいは
AlGaAsで形成し、他方の発光部をGaInPあるいは
AlGaInPで形成することによって、CD-Rメディア
を含む総てのDVDメディアおよびCDメディア上の情
報が読み出し可能になる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、この発明を図示の実施の形
態により詳細に説明する。図1は、実施の形態の半導体
レーザ装置における正面図である。この半導体レーザ装
置は、ステム4上に、780nm帯の光を発光する第1発
光部1と650nm帯の光を発光する第2発光部2とを有
する半導体レーザチップ3を融着して概略構成されてい
る。
【0033】上記第1発光部1と第2発光部2とはGa
As基板5の両側に形成されており、GaAs基板5にお
ける第1発光部1側の面上に形成された共通電極6には
リードワイヤ7がボールボンディング等で接続されてい
る。また、第1発光部1の表面に形成された第1発光部
1用の電極8には、リードワイヤ9がボールボンディン
グ等で接続されている。そして、ステム4と共通電極6
との間に電流を流すことによって第2発光部2が動作し
て波長650nmの光が出射される。一方、共通電極6と
電極8との間に電流を流すことによって第1発光部1が
動作して波長780nmの光が出射される。
【0034】以下、上記半導体レーザチップ3の作成方
法について詳細に説明する。先ず、第1発光部1の作成
手順を図2に従って説明する。基板として、厚さ100
μmのn-GaAs基板5を用い、表面および裏面とも鏡面
処理を施しておく。MOCVD法によって、n-AlGa
Asクラッド層10、AlGaAs活性層11、p-AlGa
Asクラッド層12、p-AlGaAsエッチングストップ
層13、p-AlGaAsクラッド層14、p-GaAsコン
タクト層15を順次成長させる。その場合の基板温度は
800℃である。
【0035】次に、上記P-GaAsコンタクト層15上
に、マスク層としてAl23膜(図示せず)を蒸着し、フ
ォトリソグラフィを行ってAl23膜をストライプ状に
パターン加工する。その場合に、ウエハのオリエンテー
ションフラットを基準として、Al23のストライプ位
置を設定する。その後、Al23膜をマスクとして湿式
エッチングを行って、p-GaAsコンタクト層15およ
びp-AlGaAsクラッド層14のうちストライプ状のA
l23膜の両側の部分を除去する。これによって、Al2
3膜の直下にメサ部16を形成する。尚、上記フォト
リソグラフィによってp-AlGaAsクラッド層14を除
去する際には、p-AlGaAsエッチングストップ層13
との選択エッチングを行うことによって、エッチングを
確実に停止させるのである。
【0036】その後、2回目のMOCVD成長を行っ
て、メサ部16の両側にn-GaAs電流阻止層17を成
長させる。ここで、n-GaAs電流阻止層17は、上記
Al23膜上(つまり、メサ部16上)には成長しないよ
うな条件で成長させる。以上の手順で第1発光部1が形
成される。以後、上述のように作成されたウエハの第1
発光部1の反対側に、第2発光部2を形成するのであ
る。
【0037】上記n-GaAs基板5における第1発光部
1とは反対側の面上に、上記MBE法によって、n-Al
GaInPクラッド層18、AlGaInP光ガイド層1
9、多重量子井戸活性層20、AlGaInP光ガイド層
21、p-AlGaInPクラッド層22、p-GaInPエ
ッチングストップ層23、p-AlGaInPクラッド層2
4、p-GaInP中間バンドギャップ層25、p-GaAs
コンタクト層26を順次成長させる。その場合の基板温
度は600℃である。
【0038】ここで、本実施の形態における半導体レー
ザチップ3のように、1枚の基板上に2組の発光部を形
成するに際して、第1発光部1を形成した後に第2発光
部2を形成する場合には、第1発光部1が形成されたウ
エハを再度成長装置に導入して第2発光部2の各層を成
長させるために、第1発光部1は高い温度にさらされる
ことになる。その場合、第2発光部2の成長温度が、第
1発光部1の成長温度と同一であるか高い場合には、第
1発光部1のp型またはn型を形成する不純物が拡散し
てしまい、第1発光部1の初期特性および信頼性が悪く
なる。そこで、本実施の形態においては、第1発光部1
の成長には成長温度が高い(800℃)MOCVD法を用
い、第2発光部2の成長にはMOCVD法に比較して成
長温度が低い(600℃)MBE法を用いるのである。こ
うすることによって、第1発光部1の特性劣化を防止で
きるのである。尚、第1発光部1の成長に上記LPE法
を用いる場合にも、同様の理由から第2発光部2の成長
にはMBE法を用いればよい。
【0039】次に、上記p-GaAsコンタクト層26の
上にマスク層としてAl23膜を蒸着し、フォトリソグ
ラフィを行って上記Al23膜をストライプ状にパター
ン加工する。その場合、上記Al23のストライプ位置
は、第1発光部1の作成時と同様に、ウエハのオリエン
テーションフラットを基準として設定する。こうするこ
とによって、第1発光部1のストライプ位置と第2発光
部2のストライプ位置とを正確に合わせることができる
のである。次に、第1発光部1の保護の為に発光部1の
全面にレジストを塗布する。その後、上記ストライプ状
のAl23膜をマスクとして湿式エッチングを行って、
p-GaAsコンタクト層26,p-GaInP中間バンドギ
ャップ層25およびp-AlGaInPクラッド層24のう
ちストライプ状のAl23膜の両側の部分を除去する。
これによって、Al23膜の直下にメサ部27を形成す
る。尚、上記エッチングによってp-AlGaInPクラッ
ド層24を除去する際には、p-GaInPエッチングス
トップ層23との選択エッチングを行うことによって、
エッチングを確実に停止させるのである。次に、第1発
光部1面上のレジストを剥離する。
【0040】その後、2回目のMBE成長を行って、上
記メサ部27の両側にn-GaAs電流阻止層28(Al2
3膜上にはn-GaAs多結晶)を断面凸状に成長させる。
そして、フォトリソグラフィを行ってn-GaAs多結晶
を選択エッチングによって除去する。こうして、第2発
光部2が形成される。
【0041】次に、図4に示すように、上記第1発光部
1側に共通電極6を形成するため、フォトリソグラフィ
によって、n-GaAs電流阻止層17,p-AlGaAsエッ
チングストップ層13,p-AlGaAsクラッド層12,A
lGaAs活性層11およびn-AlGaAsクラッド層10
の一部を除去する。こうして、n-GaAs基板5の一部
を露出させる。そして、第1発光部1側表面のn-GaA
s電流阻止層17上に電極8を形成し、上記エッチング
で露出したn-GaAs基板5に共通電極6を形成し、第
2発光部2側表面のn-GaAs電流阻止層28上に電極
29を形成する。
【0042】こうして作成されたウエハを共通電極6の
中央で分割し、パッケージに装着して半導体レーザ装置
とする。尚、第1発光部1における閾値は50mA、第
2発光部2における閾値は40mAと、共に低い値が得
られた。また、高温一定出力に於ける通電テストによっ
て信頼性の試験を行った結果、70℃,5mWの試験で5
000時間以上の安定動作を得ることができた。
【0043】また、本実施の形態による半導体レーザ装
置を組み込んで構成されたピックアップ装置は、2重焦
点のレンズを用いることによって、単一の光路で650
nmの光と780nmの光とを発生させることが可能とな
る。したがって、現在流通しているCD-Rメディアを
含めた総てのDVDメディア,CDメディア関連のディ
スク上の情報を読み出すことが可能である。
【0044】上述したように、本実施の形態において
は、n-GaAs基板の一側にダブルヘテロ接合構造およ
び電流阻止層でなる第1発光部1を形成する一方、他側
にはダブルヘテロ接合構造および電流阻止層でなる第2
発光部2を形成している。そして、第1発光部1の上記
ダブルヘテロ接合構造はAlGaAsであり、第2発光部
2の上記ダブルヘテロ接合構造はAlGaInPであり、
異なる材料系で構成している。したがって、波長が78
0nmの光を出射する第1発光部1と波長が650nmの光
を出射する第2発光部2とを得ることができる。すなわ
ち、本実施の形態によれば、CD-Rメディアを含めた
総てのDVDメディアおよびCDメディアの情報を読み
出すことができるピックアップを得ることができる。
【0045】また、本実施の形態では、最初に形成され
る第1発光部1をMOCVD法であるいはLPE法で形
成し、次に形成される第2発光部2をMBE法で形成し
ている。こうして、後に行われる膜の成長をMOCVD
法やLPE法よりも成長温度の低いMBE法を適用する
ことによって、第2発光部2の成長時に第1発光部1の
p型あるいはn型の不純物が拡散することがなく、第1
発光部1の特性劣化を防止できる。
【0046】尚、本実施の形態では、AlGaAs系の材
料(第1発光部1)とAlGaInP系の材料(第2発光部
2)との組み合わせの例を挙げたが、例えばInGaAs
P,ZnSSe,GaN等の他の材料を使用しても差し支え
ない。また、成長方法としては、上記MBE法に限らず
MOMBE法やMOMBE法やCBE法等を使用するこ
とが可能である。また、第1発光部1および第2発光部
2共に、p-コンタクト層および電流阻止層の上に、第
2のコンタクト層を形成してもよい。
【0047】また、本実施の形態においては、上記第1
発光部1にAlGaAs系の材料を用い、第2発光部2に
AlGaInP系の材料を用いているが、逆に第1発光部
1にAlGaInP系の材料を用い、第2発光部2にAlG
aAs系の材料を用いることも可能である。また、第1発
光部1と第2発光部2の共通電極6を作成するためにn
-AlGaAsクラッド層10までエッチングしているが、
n側の材料であればどの材料までエッチングしても差し
支えない。具体的に言えば、n-AlGaInPクラッド層
18からn-AlGaAsクラッド層10までのどこかでエ
ッチングを停止して電極を形成してコンタクトを行えば
よい。
【0048】次に、第2実施の形態について説明する。
上記第1実施の形態では、第1発光部1及び第2発光部
2の共通電極6を取り出すために、第1発光部1の一部
をn-GaAs基板5に達するまでエッチングで除去して
いる。ところが、上記エッチングによって、図4に示す
ように、ウエハ表面に溝ができてしまい、100μm以
下と薄いウエハが作業工程中に割れてしまうことがあ
る。そこで、本実施の形態においては、不純物拡散によ
って上記共通電極を形成することによって、ウエハ表面
を平坦状態に維持するのである。
【0049】本実施の形態においては、先ず、図5に示
すように、第1実施の形態と同様にして、n-GaAs基
板33の一側に、n-AlGaAsクラッド層34、AlGa
As活性層35、p-AlGaAsクラッド層36、p-Al
GaAsエッチングストップ層37、p-AlGaAsクラッ
ド層38、p-GaAsコンタクト層39を順次成長させ
る。そして、p-GaAsコンタクト層39およびp-Al
GaAsクラッド層37にメサ部40を形成し、このメサ
部40の両側にn-GaAs電流阻止層41を形成して第
1発光部31を形成する。
【0050】さらに、上記n-GaAs基板33の他側
に、図6に示すように、n-AlGaInPクラッド層4
2、AlGaInP光ガイド層43、多重量子井戸活性層
44、AlGaInP光ガイド層45、p-AlGaInPク
ラッド層46、p-GaInPエッチングストップ層4
7、p-AlGaInPクラッド層48、p-GaInP中間
バンドギャップ層49、p-GaAsコンタクト層50、
n-GaAs電流阻止層51を形成することによって第2
発光部32を形成する。
【0051】そして、上記第1発光部31のメサ部4
0,40間の中央部に、選択イオン打ち込み法によっ
て、加速電圧を調整してAlGaAs活性層35付近に達
成するようにZnイオンを打ち込む。次に、選択イオン
打ち込み法によって、Znイオンよりも深い位置までSi
イオンを打ち込む。こうして、夫々の不純物を打ち込ん
だ後にN2雰囲気中でアニールを行う。そうすると、こ
のアニールによって不純物は拡散するのであるが、その
場合にZnイオンの方が拡散が起こり易いために、図7
に示すような形状にp型不純物Zn拡散領域55とn型
不純物Si拡散領域56とが形成される。ここで、p型
不純物としてZnを用い、n型不純物としてSiを用いた
が、夫々p型あるいはn型となる不純物であれば他の不
純物でも適用可能である。
【0052】次に、上記第2発光部32の表面全体に電
極57を形成する。次に、不純物拡散を行った領域上に
共通電極58を、p-GaAsコンタクト層39上に電極
59を選択的に形成する。このような各電極57,58,
59の選択的形成は次のように行う。各電極57,58,
59を形成しない部分にフォトレジストを残し、その上
から電極層を形成し、フォトレジスト上の電極層を有機
溶剤液中で除去するのである(リフトオフ)。
【0053】上述のようにして作成したウエハを上記共
通電極58の箇所で分割し、パッケージに装着して半導
体レーザ装置とする。この半導体レーザ装置の共通電極
58と電極59との間に電流を流すことによって、第1
発光部31が発振して780nmの光が出射される。ま
た、共通電極58と電極57との間に電流を流すことに
よって、第2発光部32が発振して650nmの光が出射
される。
【0054】上述のように、本実施の形態においては、
上記n-GaAs基板33あるいはn-AlGaAsクラッド
層34とコンタクトを取るためのn型不純物Si拡散領
域56を形成し、そのn型不純物Si拡散領域56の表
面に共通電極58を形成している。したがって、第1実
施の形態のごとく、第1発光部31側をウエハ表面から
n-GaAs基板33に達するまでエッチングで除去する
必要がない。すなわち、本実施の形態によれば、ウエハ
表面に溝がなく、薄いウエハが作業工程中に割れてしま
うことはないのである。
【0055】
【発明の効果】以上より明らかなように、請求項1に係
る発明の半導体レーザ装置は、半導体基板における一方
の面側に設けられた第1活性層と、上記半導体基板にお
ける他方の面側に設けられた第2活性層を有するので、
1つの半導体レーザチップにおける2つの活性層から2
種類の発光波長の光を出射できる。したがって、上記2
つの光のスポット間距離を100μm以下にすることが
可能になる。すなわち、この発明によれば、2つの波長
の異なる光を同一のレンズ系で取り扱うことが可能にな
る。
【0056】また、請求項2に係る発明の半導体レーザ
装置は、半導体基板における一方の面側には、さらに第
1クラッド層および第1電流阻止層を有し、上記半導体
基板における他方の面側には、さらに第2クラッド層お
よび第2電流阻止層を有するので、上記1つの半導体基
板における夫々の面に設けられた活性層,クラッド層お
よび電流阻止層の材料の系統を変えることによって、1
つの半導体レーザチップにおける2つの活性層からの光
の発光波長を任意に設定することができる。したがっ
て、この発明によれば、上記2つの光の波長差を大きく
取ることが可能になる。
【0057】また、請求項3に係る発明の半導体レーザ
装置における上記第1活性層および第1クラッド層は、
GaAsあるいはAlGaAsで形成され、上記第2活性層
および第2クラッド層は、GaInPあるいはAlGaIn
Pで形成されているので、上記GaAsあるいはAlGaA
sで形成された第1活性層からは780nm帯の波長の光
を出射でき、上記GaInPあるいはAlGaInPで形成
された第2活性層からは650nm帯の光を出射できる。
したがって、この発明によれば、1つの半導体レーザチ
ップから、CD-Rメディアを含む総てのDVDメディ
ア,CDメディアの情報の読み出しに適用可能な2つの
光を得ることができる。
【0058】また、請求項4に係る発明の半導体レーザ
装置における上記第1活性層と第2活性層とは任意の層
を介して設けられており、上記層とあるいは半導体基板
のコンタクトをとるための不純物拡散領域を有している
ので、上記第1活性層および第2活性層に対する共通電
極をウエハの表面に形成することができる。したがっ
て、共通電極を設けるために上記半導体基板に達する溝
をウエハに設ける必要がなく、ウエハ表面を平坦にでき
る。すなわち、この発明によれば、作業工程中におい
て、ウエハが割れてしまうことを防止できる。
【0059】また、請求項5に係る発明の半導体レーザ
装置は、複数の活性層間に形成されている任意の層との
コンタクトをとるための不純物拡散領域を有しているの
で、上記複数の活性層に対する共通電極をウエハの表面
に形成することができる。したがって、上記共通電極を
設けるために上記ウエハに溝を設ける必要がなく、ウエ
ハ表面を平坦にできる。すなわち、この発明によれば、
作業工程中において、ウエハが割れてしまうことを防止
できる。
【0060】また、請求項6に係る発明の半導体レーザ
装置の製造方法は、半導体基板における一方の面側に,
第1活性層,第1クラッド層および第1電流阻止層を形
成し、上記半導体基板における他方の面側に,第2活性
層,第2クラッド層および第2電流阻止層を形成するの
で、1つの半導体基板における夫々の面に設けられた活
性層,クラッド層および電流阻止層の材料の系統を変え
ることによって、1つの半導体レーザチップにおける2
つの活性層からの光の発光波長を任意に設定することが
できる。したがって、この発明によれば、上記2つの光
の波長差を大きく取ることができる。
【0061】また、請求項7に係る発明の半導体レーザ
装置の製造方法は、上記第2活性層,第2クラッド層お
よび第2電流阻止層を、MOCVD法やLPE法よりも
成長温度が低いMBE法で形成するので、第2活性層,
第2クラッド層および第2電流阻止層の成長時に、第1
活性層,第1クラッド層および第1電流阻止層の特性が
劣化するのを防止できる。
【0062】また、請求項8に係る発明のピックアップ
装置は、請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の半
導体レーザ装置を搭載したので、1つの半導体レーザチ
ップから出射される2つの光のスポット間距離は100
μm以下であり、同一のレンズ系で上記2つの光が取り
扱うことができる。したがって、この発明によれば、2
つの光の光路を単一にして軽量小型化を図ることができ
る。
【0063】さらに、上記搭載された半導体レーザ装置
における一方の発光部をGaAsあるいはAlGaAsで形
成し、他方の発光部をGaInPあるいはAlGaInPで
形成することによって、単一の光路で650nm帯の光と
780nm帯の光とを発生させることができ、CD-Rメ
ディアを含む総てのDVDメディアおよびCDメディア
のディスク上の情報を読み出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の半導体レーザ装置における正面図で
ある。
【図2】図1における半導体レーザチップの作成手順の
説明図である。
【図3】図2に続く作成手順の説明図である。
【図4】図3に続く作成手順の説明図である。
【図5】図2〜図4とは異なる作成手順の説明図であ
る。
【図6】図5に続く作成手順の説明図である。
【図7】図6に続く作成手順の説明図である。
【符号の説明】
1,31…第1発光部、 2,32…第2
発光部、3…半導体レーザチップ、 4…ス
テム 5,33…n-GaAs基板、 6,58…共通
電極、8,29,57,58…電極、 10,34
…n-AlGaAsクラッド層、11,35…AlGaAs活性
層、 12,36…p-AlGaAsクラッド層、1
3,37…p-AlGaAsエッチングストップ層、14,3
8…p-AlGaAsクラッド層、15,39…p-GaAsコ
ンタクト層、16,27,40…メサ部、 1
7,41…n-GaAs電流阻止層、18,42…n-AlGa
InPクラッド層、19,43…AlGaInP光ガイド
層、20,44…多重量子井戸活性層、 21,45
…AlGaInP光ガイド層、22,46…p-AlGaInP
クラッド層、23,47…p-GaInPエッチングストッ
プ層、24,48…p-AlGaInPクラッド層、25,4
9…p-GaInP中間バンドギャップ層26,50…p-
GaAsコンタクト層、28,51…n-GaAs電流阻止
層。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板における一方の面側に設けら
    れた第1活性層と、 上記半導体基板における他方の面側に設けられた第2活
    性層を備えたことを特徴とする半導体レーザ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の半導体レーザ装置にお
    いて、 上記半導体基板における一方の面側に、さらに第1クラ
    ッド層および第1電流阻止層を備え、 上記半導体基板における他方の面側に、さらに第2クラ
    ッド層および第2電流阻止層を備えたことを特徴とする
    半導体レーザ装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の半導体レーザ装置にお
    いて、 上記第1活性層および第1クラッド層は、GaAsあるい
    はAlGaAsで形成され、 上記第2活性層および第2クラッド層は、GaInPある
    いはAlGaInPで形成されていることを特徴とする半
    導体レーザ装置。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の半導体レーザ装置にお
    いて、 上記第1活性層と第2活性層とは任意の層を介して設け
    られており、 上記層あるいは半導体基板とのコンタクトをとるための
    不純物拡散領域を備えたことを特徴とする半導体レーザ
    装置。
  5. 【請求項5】 複数の活性層を有すると共に、上記各活
    性層の間には任意の層が形成されている半導体レーザ装
    置において、 上記層とのコンタクトをとるための不純物拡散領域を備
    えたことを特徴とする半導体レーザ装置。
  6. 【請求項6】 半導体基板における一方の面側に、第1
    活性層,第1クラッド層および第1電流阻止層を形成
    し、 上記半導体基板における他方の面側に、第2活性層,第
    2クラッド層および第2電流阻止層を形成することを特
    徴とする半導体レーザ装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の半導体レーザ装置の製
    造方法において、 上記第2活性層,第2クラッド層および第2電流阻止層
    は、分子線エピタキシー法で形成されることを特徴とす
    る半導体レーザ装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至請求項4の何れか一つに記
    載の半導体レーザ装置を搭載したことを特徴とするピッ
    クアップ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2013128410A1 (en) * 2012-02-28 2013-09-06 Koninklijke Philips N.V. Integration of gallium nitride leds with aluminum gallium nitride/gallium nitride devices on silicon substrates for ac leds

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