JP2000232255A - 半導体レーザ装置およびその製造方法 - Google Patents

半導体レーザ装置およびその製造方法

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JP2000232255A
JP2000232255A JP11032882A JP3288299A JP2000232255A JP 2000232255 A JP2000232255 A JP 2000232255A JP 11032882 A JP11032882 A JP 11032882A JP 3288299 A JP3288299 A JP 3288299A JP 2000232255 A JP2000232255 A JP 2000232255A
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laser device
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Koji Iwamoto
浩治 岩本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】異なる波長のレーザ光が独立に駆動可能であ
り、光ディスクのデータ読み出しに適したモノリシック
構造の半導体レーザ装置およびその製造方法を提供す
る。 【解決手段】基板2上に形成された、2層のクラッド層
3、5およびそれらに挟まれた第1の活性層4を有し、
第1の活性層4の端面からレーザ光が出射される第1の
レーザダイオードと、第1のレーザダイオード上の少な
くとも一部に形成された、2層のクラッド層9、11お
よびそれらに挟まれた第2の活性層10を有し、第2の
活性層10の端面から第1のレーザダイオードと異なる
波長のレーザ光が出射される第2のレーザダイオードと
を有する半導体レーザ装置およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、異なる2波長(例
えば770〜800nm領域および630nm〜670
nm領域)のレーザ光を発振するレーザダイオードが同
一基板上に形成され、それぞれ独立に駆動することが可
能である2波長モノリシック構成の半導体レーザ装置お
よびその製造方法に関し、特に、光ディスク用の光ピッ
クアップを構成する半導体レーザ装置およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】DVD(デジタルビデオディスク)用光
ディスクと従来のCD用光ディスクの両方のデータ読み
込みが可能である光ピックアップの開発が進められてい
る。従来のCD用光ピックアップに搭載されるレーザダ
イオードは、波長0.78nm程度であるが、DVDデ
ィスク用のレーザダイオードは波長650nm程度のも
のが用いられる。
【0003】データ記録後の特性がCDの規格を満た
し、記録可能なCDとしてCD−R用光ディスクが用い
られているが、CD−R用光ディスクは650nm帯レ
ーザダイオードではデータ読み込みが不可能である。こ
れは、CD用ディスクの場合、ディスク盤面上のピット
の有無により信号が表現されるのに対して、CD−R用
ディスクではプリグルーブと呼ばれる案内溝の物理的な
変形により、信号が記録されるためである。
【0004】CD−R用光ディスクの場合、ディスク基
板であるプラスチックと、あらかじめプリグルーブ内に
埋め込まれている色素とが書き込み用のレーザ光の照射
により加熱され、反応することにより凹凸が形成され
る。したがって、CD用光ディスクは基板上にアルミニ
ウムからなる反射膜と保護膜が積層された構造となって
いるが、CD−R用ディスクは基板上に色素層からなる
記録膜と金からなる反射膜を有し、その上層に保護膜が
形成された構造となっている。
【0005】CD−R用光ディスクに記録された信号を
CD再生機で読み出す際には、再生光の反射が基板/記
録膜界面と、記録膜/反射膜界面との両方で起こり、こ
れらの反射光が干渉することにより信号の読み出しが可
能となる。CD−R用光ディスクの記録膜に用いられる
色素は緑色に近く、これにより、CD−R用光ディスク
においてはCDの再生波長である780nm付近の光に
対してのみ70%以上の反射率が達成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、CD−
R用光ディスクでは、DVDの再生波長である650n
m付近の光に対しては信号の読み出しに必要な反射率が
得られない。したがって、CD−R用光ディスクを含む
CDと、DVDに互換性を有する再生装置には、2つの
異なる発振波長のレーザダイオードが必要となる。2つ
のレーザダイオードを別個の光ピックアップとして形成
すると、部品点数あるいは製造工程数を削減することが
困難であり、装置の小型化の観点からも好ましくない。
【0007】異なった波長のレーザ光を発振可能である
多重波長モノリシックレーザーが、例えば特開平10−
65277号公報あるいは特開平6−283812号公
報に開示されている。いずれも表面放射型(面発光型)
のレーザであり、特開平10−65277号公報記載の
レーザは780nmの赤色レーザ光と830nmの近赤
外レーザ光を発振する構成となっている。このレーザ
は、例えばカラー印刷、フルカラーデジタルフィルム記
録等の分野に有用である。また、特開平6−28381
2号公報記載のレーザによれば、赤色の波長域630n
m付近、緑色の波長域530nm付近および青色の波長
域460nm付近のレーザ光が得られ、3原色の混合し
た白色レーザ光源としての動作、あるいは独立した駆動
により各発振波長のレーザ光の高速変調が可能となって
いる。
【0008】半導体レーザは、活性層に平行にレーザ光
が出射される端面発光型と、上記の公報に記載されてい
るような面発光型に大別される。面発光型レーザは並列
光情報処理や並列光伝送(光通信)用の光源として注目
されている。長距離・高速の光ファイバ通信を実現する
ためには単一モード発振する半導体レーザが必要であ
る。共振器長を小さくすることにより、利得スペクトル
内の縦モードを1本とした垂直共振器型面発光レーザ
は、上記のような光通信等の分野に特に適している。
【0009】一方、CD方式の場合、縦モードについて
は複数であっても空間的コヒーレンスが特に悪化しない
ことと、光がディスクから反射されてレーザに戻った場
合のノイズの問題から、縦モードとしては複数の方が望
ましいとされている。端面発光型レーザは、共振器長が
結晶内波長に対して圧倒的に長く、共振器内に多数の共
振モードが存在する。前述した特開平10−65277
号公報あるいは特開平6−283812号公報に記載さ
れている従来の多重波長モノリシックレーザは、いずれ
も面発光型であり、DVDあるいはCD等の光ディスク
用の光ピックアップとは異なる用途に適したものであ
る。
【0010】本発明は上記の問題点を鑑みてなされたも
のであり、したがって本発明は、異なる波長のレーザ光
が独立に駆動可能であり、光ディスクのデータ読み出し
に適した、モノリシック構造の半導体レーザ装置を提供
することを目的とする。また、本発明は、発振波長の異
なる2つのレーザダイオードを、部品点数および製造工
程数を大幅に削減して、同一基板上に形成することがで
きる半導体レーザ装置の製造方法を提供することを目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の半導体レーザ装置は、基板上に形成され
た、第1の下側クラッド層と、前記第1の下側クラッド
層上に形成された、前記第1の下側クラッド層よりも相
対的にバンドギャップが小さい第1の活性層と、前記第
1の活性層上に形成された、前記第1の下側クラッド層
とバンドギャップが等しく、導電型が逆である第1の上
側クラッド層とを有し、前記第1の活性層の少なくとも
一方の端面からレーザ光が出射される第1のレーザダイ
オードと、前記第1のレーザダイオード上に選択的に形
成された、第2の下側クラッド層と、前記第2の下側ク
ラッド層上に形成された、前記第2の下側クラッド層よ
りも相対的にバンドギャップが小さい第2の活性層と、
前記第2の活性層上に形成された、前記第2の下側クラ
ッド層とバンドギャップが等しく、導電型が逆である第
2の上側クラッド層とを有し、前記第2の活性層の少な
くとも一方の端面から前記第1のレーザダイオードと異
なる波長のレーザ光が出射される第2のレーザダイオー
ドとを有することを特徴とする。
【0012】本発明の半導体レーザ装置は、好適には、
前記第1の下側クラッド層、前記第1の活性層、前記第
1の上側クラッド層、前記第2の下側クラッド層、前記
第2の活性層および前記第2の上側クラッド層は、II
I−V族化合物半導体のエピタキシャル層であることを
特徴とする。
【0013】本発明の半導体レーザ装置は、好適には、
前記第1の活性層に、レーザ光の進行方向と同軸上にス
トライプ状に電流が集中する第1の光導波路と、前記第
2の活性層に、レーザ光の進行方向と同軸上にストライ
プ状に電流が集中する第2の光導波路とを有することを
特徴とする。本発明の半導体レーザ装置は、さらに好適
には、前記第1の上側クラッド層表面に、前記第1の光
導波路に対応する所定の間隔をストライプ状にあけて形
成された1対の第1の高抵抗層と、前記第2の上側クラ
ッド層表面に、前記第2の光導波路に対応する所定の間
隔をストライプ状にあけて形成された1対の第2の高抵
抗層とを有することを特徴とする。あるいは、本発明の
半導体レーザ装置は、好適には、前記第1の上側クラッ
ド層上に、前記第1の光導波路に対応する所定の間隔を
ストライプ状にあけて形成された第1の絶縁膜と、前記
第2の上側クラッド層上に、前記第2の光導波路に対応
する所定の間隔をストライプ状にあけて形成された第2
の絶縁膜とを有することを特徴とする。好適には、本発
明の半導体レーザ装置は、前記第1および第2の絶縁膜
は、酸化シリコンからなることを特徴とする。
【0014】本発明の半導体レーザ装置は、好適には、
前記第1および第2の活性層は、多重量子井戸構造を有
することを特徴とする。本発明の半導体レーザ装置は、
好適には、前記第1および第2の活性層は、III−V
族化合物半導体のエピタキシャル層の積層膜からなるこ
とを特徴とする。
【0015】これにより、レーザ光の発振波長が異なる
レーザダイオードを別個に形成する場合に比較して、大
幅に部品点数が削減される。また、レーザ共振器長がフ
ォトリソグラフィーの精度により決定されるため、高精
度な加工を行うことが可能である。
【0016】さらに、上記の目的を達成するため、本発
明の半導体レーザ装置の製造方法は、基板上に、第1の
レーザダイオードを構成する第1の下側クラッド層、前
記第1の下側クラッド層よりも相対的にバンドギャップ
が小さい第1の活性層、および前記第1の下側クラッド
層とバンドギャップが等しく、導電型が逆である第1の
上側クラッド層を順に積層する工程と、前記第1のレー
ザダイオード上に、前記第1のレーザダイオードと発振
波長の異なる第2のレーザダイオードを構成する第2の
下側クラッド層、前記第2の下側クラッド層よりも相対
的にバンドギャップが小さい第2の活性層、および前記
第2の下側クラッド層とバンドギャップが等しく、導電
型が逆である第2の上側クラッド層を順に積層する工程
と、前記第2のレーザダイオードの少なくとも一部をエ
ッチングにより除去して、前記第1のレーザダイオード
の少なくとも一部を露出させる工程と、前記第1の活性
層に、レーザ光の進行方向と同軸上にストライプ状に電
流が集中する第1の光導波路を形成する工程と、前記第
2の活性層に、レーザ光の進行方向と同軸上にストライ
プ状に電流が集中する第2の光導波路を、前記第1の光
導波路と同時に形成する工程と、前記第1および第2の
レーザダイオードの上端および下端に、それぞれ電極を
形成する工程と、前記基板をへき開させ、前記第1およ
び第2の活性層の端面に、レーザ光を増幅するミラー面
をそれぞれ形成する工程とを有することを特徴とする。
【0017】本発明の半導体レーザ装置の製造方法は、
好適には、前記第1の下側クラッド層、前記第1の活性
層、前記第1の上側クラッド層、前記第2の下側クラッ
ド層、前記第2の活性層および前記第2の上側クラッド
層を積層する工程は、III−V族化合物半導体をエピ
タキシャル成長させる工程であることを特徴とする。
【0018】本発明の半導体レーザ装置の製造方法は、
好適には、前記第1および第2の光導波路を形成する工
程は、前記第1の上側クラッド層および前記第2の上側
クラッド層表面に、前記第1または第2の光導波路に対
応する所定の間隔をストライプ状にあけてイオン注入を
行い、高抵抗層を形成する工程であることを特徴とす
る。あるいは、本発明の半導体レーザ装置の製造方法
は、好適には、前記第1および第2の光導波路を形成す
る工程は、前記第1の上側クラッド層および前記第2の
上側クラッド層上に、前記第1または第2の光導波路に
対応する所定の間隔をストライプ状にあけて絶縁膜を形
成する工程であることを特徴とする。好適には、本発明
の半導体レーザ装置の製造方法は、前記絶縁膜は酸化シ
リコンからなることを特徴とする。
【0019】本発明の半導体レーザ装置の製造方法は、
好適には、前記第1および第2の活性層を形成する工程
は、組成の異なる複数のIII−V族化合物半導体層を
エピタキシャル成長により積層させ、多重量子井戸構造
を形成する工程であることを特徴とする。
【0020】これにより、発振波長の異なる2つのレー
ザダイオードを、製造工程を大幅に簡略化して同一基板
上に形成することが可能となる。したがって、例えば、
光ディスクのデータ読み出しに用いられる光ピックアッ
プ等の装置を小型化し、製造コストを下げることができ
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の半導体レーザ装
置およびその製造方法の実施の形態について、図面を参
照して説明する。図1は、本実施形態の半導体レーザ装
置の主要部分を表す断面図である。図1に示すように、
下部にn−電極1が設けられたn−GaAs基板2の上
に、n−Alx Ga1-x As層(クラッド層)3、Al
x Ga1-x As層(活性層)4、p−Alx Ga1-x
s層(クラッド層)5が積層され、その上層にp−Ga
As層(キャップ層)6が設けられている。これらがC
D用光ディスクの信号読み出しに用いられる780nm
付近の光を出射する部分となっている。
【0022】p−GaAs層(キャップ層)6の上層
に、エッチングストッパー層であるn−GaInP層
7、さらに、n−電極とオーミックコンタクトを形成す
るためのn型キャップ層として機能するn−GaAs層
8が形成されている。その上層に、DVD用光ディスク
の信号読み出しに用いられる650nm付近の光を出射
する部分が形成されており、具体的には、n−(Alx
Ga1-x yIn1-y P層(クラッド層)9、Gax
1-x P層(活性層)10、p−(Alx Ga1-x y
In1-y P層(クラッド層)11、p−Gax In1-x
P層(中間層)12、およびp−GaAs層(キャップ
層)13が積層されている。p−GaAs層(キャップ
層)13の上層にp−電極14が、n−GaAs層8の
上層にn−電極15が、また、p−GaAs層(キャッ
プ層)6の上層にp−電極16が形成されている。p−
電極14の下部には高抵抗層17が、p−電極16の下
部には高抵抗層18が形成されている。
【0023】上記の構造の半導体レーザ装置によれば、
同一基板上に異なる波長のレーザを発振するダイオード
が形成されており、別個にレーザダイオードを形成する
場合に比較して部品点数が削減される。したがって、装
置の小型化が可能となる。また、これらのレーザダイオ
ードは独立に駆動することが可能であり、DVDとCD
に互換性を有する光ピックアップに好適に用いることが
できる。
【0024】次に、上記の本実施形態の半導体レーザ装
置の製造方法について説明する。まず、図2(A)に示
すように、n−GaAs基板2の上に、n−Alx Ga
1-x As層3、Alx Ga1-x As層4、p−Alx
1-x As層5、p−GaAs層6、n−Gax In
1-x P層7、n−GaAs層8、n−(Alx
1-x y In1-y P層9、Gax In1-x P層10、
p−(Alx Ga1-x yIn1-y P層11、p−Ga
x In1-x P層(中間層)12、およびp−GaAs層
13をエピタキシャル成長により順に形成する。このエ
ピタキシャル成長は、例えば有機金属気相成長(MOC
VD)法により行うことができる。また、上記の化合物
半導体の組成は、基板と格子定数のマッチングが得ら
れ、ダブルヘテロ構造がつくれるように決定される。
【0025】次に、図2(B)に示すように、p−Ga
As層13の上層にレジスト19を堆積させ、フォトリ
ソグラフィ工程によりレジスト19のパターニングを行
う。レジスト19をマスクとして、p−GaAs層(キ
ャップ層)13にエッチングを行う。このエッチング
は、例えばリン酸:過酸化水素水:水=3:1:50を
用いたウェットエッチングにより行うことができる。
【0026】次に、図3(A)に示すように、レジスト
19およびパターニングされたp−GaAs層(キャッ
プ層)13をマスクとして、AlGaInP系の膜にエ
ッチングを行い、n−GaAs層8を露出させる。具体
的には、p−GaInP中間層12、p−(Alx Ga
1-x y In1-y P層11、Gax In1-x P層10、
およびn−(Alx Ga1-x y In1-y P層9に、塩
酸を用いてエッチングを行う。
【0027】次に、図3(B)に示すように、n−Ga
As層8およびp−GaAs層13上層の全面に、レジ
スト20を堆積させ、CD用レーザダイオードを形成す
る部分のレジスト20をフォトリソグラフィ工程により
除去する。レジスト20をマスクとして、n−GaAs
層8にエッチングを行う。このエッチングは、例えばリ
ン酸:過酸化水素水:水=3:1:50を用いたウェッ
トエッチングにより行うことができる。さらに、パター
ニングされたn−GaAs層8をマスクとして、n−G
x In1-x P層7にエッチングを行う。このエッチン
グは、例えば塩酸を用いて行うことができる。
【0028】その後、レジスト(不図示)をマスクとし
て、p−電極14、16形成領域にn型不純物のイオン
注入を行い、それぞれ中央部にストライプ状の低抵抗層
を残して高抵抗層17、18を形成する。高抵抗層を電
極下部に選択的に形成することにより利得導波構造とな
り、ある程度電流の流れる領域(光利得の生じる領域)
を制限することが可能となる。これにより、レーザ光の
水平横モードが制御される。本発明の半導体レーザ装置
の製造方法によれば、高抵抗層を形成するイオン注入に
よりDVD用レーザダイオードとCD用レーザダイオー
ドの両方に、同時に導波路を形成することが可能であ
り、製造工程が大幅に簡略化される。
【0029】高抵抗層17、18を形成後、n−GaA
s基板2の下部にn−電極1を形成し、モノリシックレ
ーザ装置の表面にp−電極14、16およびn−電極1
5を形成する。これらの電極は、例えばスパッタリング
等の方法により金属層を成膜した後、金属層にエッチン
グを行うことにより形成することができる。以上の工程
はウェハ状態で行われ、同一のウェハ上で複数の半導体
レーザ素子がバッチ処理される。
【0030】続いて、図4(A)および(B)に示すよ
うに、ウェハをへき開させ、端面をレーザ共振器のミラ
ー面とする。図4(B)に示すように、紙面手前側がp
−電極14(図1の半導体レーザ装置断面図における上
側)であり、その裏面がn−電極1に対応する。あるい
は、へき開するかわりに、エッチングによりミラー面を
形成してもよい。また、反射率を制御したり、へき開面
の劣化を防ぐ目的で、へき開面に誘電体膜を形成しても
よい。その後、図4(C)に示すように、へき開された
ブロックを個々の半導体レーザ素子にペレット化する。
以上の工程により、図1に断面図を示す半導体レーザ装
置が得られる。
【0031】次に、図1の半導体レーザ装置における活
性層の具体的な構成例について、図5を参照して説明す
る。本発明のレーザ装置は、活性層が複数の量子井戸構
造をもつ多重量子井戸(MQW;multiple q
uantum well)レーザである。
【0032】図5(A)に、CD用レーザダイオードを
構成するAlx Ga1-x As層4の量子井戸のバンド構
造を示す。Al0.5 Ga0.5 As層101は、図1にお
けるクラッド層3、5のポテンシャルエネルギーに対応
し、Al0.3 Ga0.7 As102は活性層に含まれる光
ガイド層あるいはバリア層のポテンシャルエネルギーに
対応する。Al0.07Ga0.93As103は量子井戸層の
ポテンシャルエネルギーであり、光波の閉じ込められる
領域に複数の量子井戸層を形成することにより光閉じ込
め係数を大きくし、発振しきい電流密度の増大を防止し
ている。図5(A)に示すように、バリア層の膜厚Lb
は例えば5nm、光ガイド層の膜厚は例えば40nm、
量子井戸層の膜厚Lz は例えば10nmとすることがで
きる。
【0033】図5(B)に、DVD用レーザダイオード
を構成するGax In1-x P層10の量子井戸のバンド
構造を示す。(Al0.7 Ga)InP層201は、図1
におけるクラッド層9、11のポテンシャルエネルギー
に対応し、(Al0.5 Ga)InP202は活性層に含
まれる光ガイド層あるいはバリア層の、また、GaIn
P203は量子井戸層のポテンシャルエネルギーに対応
する。上記のAlGaAs層4の場合と同様に、複数の
量子井戸層を形成することにより光閉じ込め係数を大き
くし、発振しきい電流密度の増大を防止している。図5
(B)に示すように、バリア層の膜厚Lb は例えば5n
m、光ガイド層の膜厚は例えば50nm、量子井戸層の
膜厚Lz は例えば6nmとすることができる。
【0034】上記のようなモノリシック半導体レーザ素
子に形成された、発振波長の異なる2つのレーザダイオ
ードを独立に駆動するための実装に用いられるサブマウ
ントについて、以下に説明する。図6に、本実施形態の
半導体レーザ装置に用いられる電極分離サブマウントの
例を示す。図6(A)の断面図に示すように、例えばA
lNからなるサブマウント基板31上に、配線用のTi
PtAu層32およびPt層33を積層させる。図1に
示すような半導体レーザ素子を、エピタキシャル成長に
よりヘテロ接合レーザが形成された面(図1の上側)が
電極分離サブマウント側となるように、PbSnハンダ
34を用いてサブマウント基板31上にマウントさせる
(J−downマウント)。J−downマウントによ
れば、熱抵抗の低い実装を行うことが可能である。
【0035】図6(B)の上面図に示すように、サブマ
ウントにはワイヤボンド用PADが形成されており、2
つのビームを駆動する回路に接続可能となっている。図
6に示すような電極分離サブマウントを、適当なヒート
シンク上にAgペースト等を用いてマウントさせること
により、光ディスクの記録・再生用光学系と結合され
る。
【0036】上記の本発明の実施形態の半導体レーザ装
置によれば、DVD用とCD用の光ピックアップに用い
られるレーザダイオードを、それぞれ別個に形成する場
合に比較して、大幅に部品点数を削減することができ
る。また、本実施形態の半導体レーザ装置によれば、発
振波長の異なる2つのビーム間隔がフォトリソグラフィ
ーの精度により決定されるため、高精度な制御を行うこ
とが可能となる。本実施形態の半導体レーザ装置の製造
方法によれば、発振波長の異なる2つのレーザダイオー
ドを、製造工程を大幅に簡略化して同一基板上に形成す
ることができる。
【0037】本発明の半導体レーザ装置およびその製造
方法の実施形態は、上記の説明に限定されない。例え
ば、本発明の半導体レーザ装置の製造方法において、イ
オン注入により高抵抗層を電極下部に選択的に形成する
かわりに、例えば酸化シリコン等の絶縁膜を形成して利
得導波構造としてもよい。これにより、イオン注入の場
合と同様に、DVD用レーザダイオードとCD用レーザ
ダイオードの両方に、同時に光導波路を形成することが
可能となり、製造工程を大幅に簡略化することができ
る。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の
変更が可能である。
【0038】
【発明の効果】本発明の半導体レーザ装置によれば、発
振波長の異なる、独立に駆動可能なレーザダイオードが
モノリシック構造で形成され、光ディスク情報の読み出
しに好適に用いることができる。また、本発明の半導体
レーザ装置の製造方法によれば、発振波長の異なる2つ
のレーザダイオードを、部品点数および製造工程数を大
幅に削減して、同一基板上に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体レーザ装置の断面図である。
【図2】(A)および(B)は、本発明の半導体レーザ
装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図3】(A)および(B)は、本発明の半導体レーザ
装置の製造方法の製造工程を示す断面図である。
【図4】(A)〜(C)は、本発明の半導体レーザ装置
の製造方法の製造工程を示す模式図である。
【図5】(A)および(B)は、本発明の半導体レーザ
装置における活性層の量子井戸のバンド構造を表す図で
ある。
【図6】本発明の半導体レーザ装置に用いられるサブマ
ウントを表す図であり、(A)は断面図、(B)は上面
図である。
【符号の説明】
1…n−電極、2…n−GaAs基板、3…n−Alx
Ga1-x As層(クラッド層)、4…Ax lGa1-x
s層(活性層)、5…p−Alx Ga1-x As層(クラ
ッド層)、6…p−GaAs層(キャップ層)、7…n
−GaInP層、8…n−GaAs層、9…n−(Al
x Ga1-x y In1-y P層(クラッド層)、10…G
x In1-x P層(活性層)、11…p−(Alx Ga
1-x yIn1-y P層(クラッド層)、12…p−Ga
x In1-x P層(中間層)、13…p−GaAs層(キ
ャップ層)、14…p−電極、15…n−電極、16…
p−電極、17、18…高抵抗層、19、20…レジス
ト、101…Al0.5 Ga0.5 As層、102…Al
0.3 Ga0.7 As、103…Al0.07Ga0.93As、2
01…(Al0.7 Ga)InP、202…(Al0.5
a)InP、203…GaInP、31…サブマウント
基板、32…TiPtAu層、33…Pt層、34…P
bSnハンダ。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に形成された、第1の下側クラッド
    層と、前記第1の下側クラッド層上に形成された、前記
    第1の下側クラッド層よりも相対的にバンドギャップが
    小さい第1の活性層と、前記第1の活性層上に形成され
    た、前記第1の下側クラッド層とバンドギャップが等し
    く、導電型が逆である第1の上側クラッド層とを有し、 前記第1の活性層の少なくとも一方の端面からレーザ光
    が出射される第1のレーザダイオードと、 前記第1のレーザダイオード上に選択的に形成された、
    第2の下側クラッド層と、前記第2の下側クラッド層上
    に形成された、前記第2の下側クラッド層よりも相対的
    にバンドギャップが小さい第2の活性層と、前記第2の
    活性層上に形成された、前記第2の下側クラッド層とバ
    ンドギャップが等しく、導電型が逆である第2の上側ク
    ラッド層とを有し、 前記第2の活性層の少なくとも一方の端面から、前記第
    1のレーザダイオードと異なる波長のレーザ光が出射さ
    れる第2のレーザダイオードとを有する半導体レーザ装
    置。
  2. 【請求項2】前記第1の下側クラッド層、前記第1の活
    性層、前記第1の上側クラッド層、前記第2の下側クラ
    ッド層、前記第2の活性層および前記第2の上側クラッ
    ド層は、III−V族化合物半導体のエピタキシャル層
    である請求項1記載の半導体レーザ装置。
  3. 【請求項3】前記第1の活性層に、レーザ光の進行方向
    と同軸上にストライプ状に電流が集中する第1の光導波
    路と、 前記第2の活性層に、レーザ光の進行方向と同軸上にス
    トライプ状に電流が集中する第2の光導波路とを有する
    請求項2記載の半導体レーザ装置。
  4. 【請求項4】前記第1の上側クラッド層表面に、前記第
    1の光導波路に対応する所定の間隔をストライプ状にあ
    けて形成された、1対の第1の高抵抗層と、 前記第2の上側クラッド層表面に、前記第2の光導波路
    に対応する所定の間隔をストライプ状にあけて形成され
    た、1対の第2の高抵抗層とを有する請求項3記載の半
    導体レーザ装置。
  5. 【請求項5】前記第1の上側クラッド層上に、前記第1
    の光導波路に対応する所定の間隔をストライプ状にあけ
    て形成された、第1の絶縁膜と、 前記第2の上側クラッド層上に、前記第2の光導波路に
    対応する所定の間隔をストライプ状にあけて形成され
    た、第2の絶縁膜とを有する請求項2記載の半導体レー
    ザ装置。
  6. 【請求項6】前記第1および第2の絶縁膜は、酸化シリ
    コンからなる請求項5記載の半導体レーザ装置。
  7. 【請求項7】前記第1および第2の活性層は、多重量子
    井戸構造を有する請求項3記載の半導体レーザ装置。
  8. 【請求項8】前記第1および第2の活性層は、III−
    V族化合物半導体のエピタキシャル層の積層膜からなる
    請求項7記載の半導体レーザ装置。
  9. 【請求項9】基板上に、第1のレーザダイオードを構成
    する第1の下側クラッド層、前記第1の下側クラッド層
    よりも相対的にバンドギャップが小さい第1の活性層、
    および前記第1の下側クラッド層とバンドギャップが等
    しく、導電型が逆である第1の上側クラッド層を順に積
    層する工程と、 前記第1のレーザダイオード上に、前記第1のレーザダ
    イオードと発振波長の異なる第2のレーザダイオードを
    構成する第2の下側クラッド層、前記第2の下側クラッ
    ド層よりも相対的にバンドギャップが小さい第2の活性
    層、および前記第2の下側クラッド層とバンドギャップ
    が等しく、導電型が逆である第2の上側クラッド層を順
    に積層する工程と、 前記第2のレーザダイオードの少なくとも一部をエッチ
    ングにより除去して、前記第1のレーザダイオードの少
    なくとも一部を露出させる工程と、 前記第1の活性層に、レーザ光の進行方向と同軸上にス
    トライプ状に電流が集中する第1の光導波路を形成する
    工程と、 前記第2の活性層に、レーザ光の進行方向と同軸上にス
    トライプ状に電流が集中する第2の光導波路を、前記第
    1の光導波路と同時に形成する工程と、 前記第1および第2のレーザダイオードの上端および下
    端に、それぞれ電極を形成する工程と、 前記基板をへき開させ、前記第1および第2の活性層の
    端面に、レーザ光を増幅するミラー面をそれぞれ形成す
    る工程とを有する半導体レーザ装置の製造方法。
  10. 【請求項10】前記第1の下側クラッド層、前記第1の
    活性層、前記第1の上側クラッド層、前記第2の下側ク
    ラッド層、前記第2の活性層および前記第2の上側クラ
    ッド層を積層する工程は、III−V族化合物半導体を
    エピタキシャル成長させる工程である請求項9記載の半
    導体レーザ装置の製造方法。
  11. 【請求項11】前記第1および第2の光導波路を形成す
    る工程は、前記第1の上側クラッド層および前記第2の
    上側クラッド層表面に、前記第1または第2の光導波路
    に対応する所定の間隔をストライプ状にあけてイオン注
    入を行い、高抵抗層を形成する工程である請求項10記
    載の半導体レーザ装置の製造方法。
  12. 【請求項12】前記第1および第2の光導波路を形成す
    る工程は、前記第1の上側クラッド層および前記第2の
    上側クラッド層上に、前記第1または第2の光導波路に
    対応する所定の間隔をストライプ状にあけて絶縁膜を形
    成する工程である請求項10記載の半導体レーザ装置の
    製造方法。
  13. 【請求項13】前記絶縁膜は、酸化シリコンからなる請
    求項12記載の半導体レーザ装置の製造方法。
  14. 【請求項14】前記第1および第2の活性層を形成する
    工程は、組成の異なる複数のIII−V族化合物半導体
    層をエピタキシャル成長により積層させ、多重量子井戸
    構造を形成する工程である請求項10記載の半導体レー
    ザ装置の製造方法。
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