JP2000016948A - コンプレスタチンまたはその誘導体を有効成分とするfgf阻害剤、血管新生阻害剤および抗腫瘍剤 - Google Patents

コンプレスタチンまたはその誘導体を有効成分とするfgf阻害剤、血管新生阻害剤および抗腫瘍剤

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bfgf
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Tsutomu Masuda
力 増田
Ryohei Tsuji
亮平 辻
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Noda Institute for Scientific Research
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 医薬品等として有用なFGF阻害剤、血管新
生阻害剤および抗腫瘍剤を提供することを目的とする。 【解決手段】コンプレスタチンまたはその誘導体を有効
成分とするFGF阻害剤、血管新生阻害剤および抗腫瘍
剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンプレスタチン
またはその誘導体を有効成分とするFGF阻害物質、血
管新生阻害剤および抗腫瘍剤に関する。
【0002】
【従来の技術】血管新生は胎生前期の血管系の形成や各
組織の形態形成、あるいは体の成長に伴う血管系の増
殖、進展に不可欠な生物現象であるが、思春期以降、女
性の性周期や妊娠に伴う一過性の血管新生以外では、成
熟固体において血管新生は観察されない。
【0003】一方、血管新生の病的増加は多くの疾患、
たとえば各種炎症性疾患(リウマチ、乾癬)、糖尿病性
網膜症、癌などの発症や進行過程と関係している。特に
固形腫瘍の増殖、転移は血管新生と深く関与していると
考えられている。
【0004】血管新生の最初のステップは、種々の細胞
成長因子などが血管内皮細胞の表面にあるレセプターに
結合し血管内皮細胞の増殖や遊走を促すことから始まる
と考えられている。繊維芽細胞成長因子(Fibroblast G
rowth Factor、FGF)は、in vivoおよびin vitroの
モデル実験系において、血管新生因子として機能するこ
とが示されてきており、病的状態における血管新生因子
の一つと考えられている。
【0005】一方、自立的な細胞増殖と腫瘍の形成には
細胞成長因子が癌細胞表面のレセプターに結合すること
が必要と考えられている。たとえば多くのグリオーマな
どでFGFが過剰に作られ、FGFのレセプターも発現
していることが知られている。従って自分の産生したF
GFにより自分自身を刺激するオートクリン機構がグリ
オーマなどの腫瘍形成の過程で働いていることが考えら
れている。脳の正常部位ではFGFの一種であるbFGF
(塩基性繊維芽細胞成長因子)の発現はきわめてわずか
であるが、脳腫瘍ではほとんどの場合、bFGFの異常発現
が見られ、また、bFGFに対するレセプターが脳腫瘍の細
胞で発現している。さらに、動物実験において脳腫瘍の
増殖はbFGFの抗体で阻害されることが知られている。こ
れらのことから、脳腫瘍における腫瘍細胞はオートクリ
ン機構により増殖していると考えられている。脳腫瘍以
外でも、肺癌、腎臓癌の患者の血中bFGF量が著しく増加
していることが知られており、bFGFが腫瘍増殖のオート
クリンシグナルとして働いていると考えられている(参
考文献:畑中正一 Molecular Medicine30, 1057, 199
3)。
【0006】以上のことからFGF阻害剤は、血管新生
阻害剤・抗腫瘍剤として、種々の疾患の予防薬・治療薬
・改善薬、あるいは研究用試薬等となることが期待され
る。これまでいくつかのFGF阻害物質に関する報告は
あるが、いまだに実用化に耐える有効な物質は見出され
ていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、医薬品等と
して有用なFGF阻害剤、血管新生阻害剤および抗腫瘍
剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記現状に鑑み、本発明
者等は微生物培養液を原料として、阻害活性がより強力
なFGF阻害物質の探索を行なった。その結果、ストレ
プトミセス属に属する微生物がFGF阻害物質を産生す
ること、該FGF阻害物質がコンプレスタチンであるこ
と、更には、コンプレスタチンがFGF阻害剤、血管新
生阻害剤および抗腫瘍剤として有用であることを初めて
見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち本発明は、コンプレスタチンまた
はその誘導体を有効成分とするFGF阻害剤、血管新生
阻害剤および抗腫瘍剤に関する。また、本発明はコンプ
レスタチンの製造法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】1.コンプレスタチンおよびその
誘導体について コンプレスタチン(complestatin)は、ストレプトミセス
・ラベンデュラ(Streptomyces lavendulae)の培養液か
ら抗補体活性物質として単離構造決定された化合物であ
り(藤岡等、 Jpn J Antibiotics、41、 606、1988)、特
開昭53-141201、特開平3-264535において、それぞれ補
体活性の阻害、および抗ヒト免疫不全ウイルス作用を示
すことが開示されている。また血栓溶解促進作用を示す
ことも報告されている(Tachikawa K. et al.、Thromb.
Haemost.、 77、 137、 1997)。しかしながら、該明細
書中、あるいは報文中には、コンプレスタチンがFGF
阻害作用、血管新生阻害作用あるいは抗腫瘍作用を有す
ることは記載されていない。コンプレスタチンの構造式
は下記の通りである。
【0011】
【化1】
【0012】上記の構造式においては、種々の光学異性
体が全て単一の式で示されている。従って、本発明でい
うコンプレスタチンには、これらの光学異性体およびそ
の混合物もすべて含まれる。
【0013】コンプレスタチンの誘導体とは、コンプレ
スタチンの構造の一部が改変あるいは修飾された化合物
であって、FGF阻害活性、血管新生阻害活性、抗腫瘍
活性のいずれかを有するものであれば特に限定されな
い。該誘導体としては、例えば、コンプレスタチンの薬
理上許容される塩、エステルあるいはプロドラック等が
挙げられる。
【0014】コンプレスタチンの薬理上許容される塩と
しては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属
(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(マグネ
シウム、カルシウム等)。これらの水酸化物または炭酸
塩、アルカリ金属アルコキサイド(ナトリウムメトキサ
イド、カリウムt-プトキサイド等)との塩が挙げられ
る。また、塩としては、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸)
や有機酸(マレイン酸、クエン酸、フマル酸等)を付加
した酸付加塩、更にはアミンの付加塩、アミノ酸の付加
塩等が挙げられる。なお、上記の塩の水和物もここでい
う塩に含まれる。
【0015】コンプレスタチンのエステルは、アルコー
ルまたはカルボン酸とのエステル化反応で生じるエステ
ルであれば特に限定されない。アルコールとしてはメタ
ノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノ
ール等が挙げられ、またはカルボン酸としてはギ酸、酢
酸、乳酸等が挙げられる。
【0016】コンプレスタチンのプロドラックとは、生
体に投与された後にコンプレスタチンに変化してFGF
阻害作用、血管新生阻害作用あるいは抗腫瘍作用を発現
する化合物を意味する。安定性や吸収性の改善、副作用
の低減等を目的としてプロドラック化されたコンプレス
タチンも、本発明でいうコンプレスタチンの誘導体に含
まれる。 2.コンプレスタチンまたはその誘導体の製造法 コンプレスタチンまたはその誘導体(以下これらを「コ
ンプレスタチン類」と総称する)は、どのような方法で
製造されたものであってもよく、微生物培養液から採取
・精製する方法、化学合成法、半合成法等が広く採用で
きる。
【0017】コンプレスタチンは、例えば、コンプレス
タチンを産生する微生物の培養物から採取・精製するこ
とができる。また、コンプレスタチンの薬理上許容され
る塩は、微生物の培養物から採取・精製したコンプレス
タチンにアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金
属アルコキサイド、無機酸あるいは有機酸を作用させる
ことにより製造できる。さらに、コンプレスタチンのエ
ステルは、酸触媒の存在下で、コンプレスタチンにアル
コールまたはカルボン酸を作用させることにより製造で
きる。以下に、微生物の培養物からコンプレスタチンを
採取・精製する方法について説明する。
【0018】微生物としては、コンプレスタチンを産生
する菌株であれば、いずれの菌株も使用可能である。そ
のような微生物としては、ストレプトミセス属に属する
もの、例えば、Streptomyces lavendulae SANK60477、S
treptomyces sp.WK-3419、Streptomyces sp.A1631、
(特開昭53-141201; H.Tanaka et al.,J Antibiotic
s,50, 58, 1997; Tachikawa K. et al.,Thromb. Haemo
st., 77,137,1997)等が挙げられる。特に好適な菌株と
しては、本発明者等が秋田県の土壌より分離したStrept
omyces sp. No.989(FERM BP-6331)が挙げられる。コ
ンプレスタチンを産生する微生物を、通常の適切な培養
条件下で培養した後、培養物に有機溶媒(酢酸エチル、
アセトンまたはこれらの混合溶媒等)を加え、FGF阻
害活性を有する画分を抽出し、さらに該画分を精製す
る。精製方法としては、例えば、水、有機溶媒またはこ
れらの混合溶媒による溶媒抽出、各種クロマトグラフィ
ー、単一溶媒、または混合溶媒からの再結晶等の常法
が、適宜単独あるいは組み合わせて使用できる。また、
必要によりさらに凍結乾燥処理を行なう。以上により、
高度に精製されたコンプレスタチンを得ることができ
る。
【0019】コンプレスタチンを産生する微生物を土壌
等から単離する場合は、検定菌がFGF阻害物質を産生
することを指標とすればよい。その場合は、A.Yayon等
の方法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,10643,1993)が採
用し得る。この方法は、放射性同位元素で標識したFG
Fの、細胞表面に発現している特異的レセプターヘの結
合阻害を指標とする方法である。また、コンプレスタチ
ンの採取・精製の各段階で得られた画分のFGF阻害活
性を測定する場合にもA.Yayon等の方法が採用できる。
【0020】精製したコンプレスタチンの構造解析は、
元素分析、質量分析、核磁気共鳴分析(NMR)、融点測
定など常法によって行うことができる。 3.コンプレスタチン類を有効成分とする剤について (1)コンプレスタチン類を有効成分とするFGF阻害
剤 実施例3に示す通り、コンプレスタチンは優れたFGF
阻害活性を有する。従って、コンプレスタチン類を有効
成分とするFGF阻害剤は、FGFを阻害することが有
効である疾患の予防薬・治療薬・改善薬等として有用で
ある。そのような疾患としては、例えば、FGFの刺激
による血管新生を伴う疾患、FGFの刺激による細胞増
殖を伴う腫瘍、あるいはFGFの異常発現が見られる腫
瘍(脳腫瘍、肺癌、腎臓癌等)等が挙げられる。また本
発明のFGF阻害剤は、FGF研究用試薬およびFGF
を阻害することが有効である疾患の研究用試薬としても
有用である。 (2)コンプレスタチン類を有効成分とする血管新生阻
害剤 実施例4に示す通り、コンプレスタチンは優れた血管新
生阻害活性を有する。従って、コンプレスタチン類を有
効成分とする血管新生阻害剤は、血管新生を阻害するこ
とが有効である疾患の予防薬・治療薬・改善薬等として
有用である。そのような疾患としては、例えば、血管新
生を伴う各種疾患、具体的には、炎症性疾患(リウマ
チ、リュウマチ性関節炎、乾癬等)、アテローム性動脈
硬化症、糖尿病性網膜症、各種固形腫瘍(胃癌、大腸
癌、肺癌、膵臓癌等)等が挙げられる。
【0021】また本発明の血管新生阻害剤は、血管新生
および血管新生を阻害することが有効である疾患の研究
用試薬としても有用である。
【0022】なお、本発明の血管新生阻害剤は、FGF
が関与しない血管新生の阻害剤としても使用可能であ
り、そのような血管新生が関与する各種疾患の予防薬・
治療薬・改善剤あるいは研究用試薬として有用である。 (3)コンプレスタチン類を有効成分とする抗腫瘍剤 実施例5に示す通り、コンプレスタチンは優れた抗腫瘍
活性を有する。従って、コンプレスタチン類を有効成分
とする抗腫瘍剤は、医学上・学術研究上、非常に有用で
ある。
【0023】本発明の抗腫瘍剤は、FGFが関与する腫
瘍あるいは血管新生が関与する固形腫瘍(胃癌、大腸
癌、肺癌、膵臓癌等)のみならず、FGFあるいは血管
新生が関与しないその他の腫瘍の予防薬・治療薬・改善
薬あるいは研究用試薬としても非常に有用である。血管
新生が関与しない腫瘍としては、例えば、血液の癌、腹
水癌等が挙げられる。 4.コンプレスタチン類を有効成分とする剤の使用法 コンプレスタチン類を有効成分とする剤は、そのまま
で、あるいは他の成分を含有する組成物の形で、医薬品
・医薬部外品、研究用試薬等として使用できる。また上
記の剤は、皮膚外用剤・入浴剤等の化粧品、飲食品等に
添加して使用することも可能である。
【0024】本発明で使用されるコンプレスタチン類
は、上述した方法により高度に精製されたものでもよ
く、また、粗精製物であってもよい。コンプレスタチン
類が微生物由来である場合、粗精製物とは、微生物の培
養物、微生物の菌体を溶菌した後の培養物、精製の各段
階で得られるコンプレスタチン類を含有する画分等であ
る。
【0025】上記でいう他の成分とは、特に限定されな
いが、例えば、FGF阻害活性、血管新生阻害活性ある
いは抗腫瘍活性を有する化合物であって、コンプレスタ
チン類以外のものである。また、他の成分とは、医薬品
・医薬部外品、研究用試薬等を調製する際に通常使用さ
れるpH調整剤、賦形剤、着色剤、矯味矯臭剤等である。
【0026】以下に、コンプレスタチン類を有効成分と
するFGF阻害剤、血管新生阻害剤および抗腫瘍剤の使
用法の例を示す。なお、上記の剤の使用法は、例示され
たものに限定されず、それ以外の使用法の採用も可能で
ある。 (1)医薬品・医薬部外品としての使用法 コンプレスタチン類を各種疾患の予防・治療・改善等の
ための医薬品・医薬部外品として使用する場合は、錠剤、
散剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤などとして経口的
に投与してもよい。また噴霧剤、坐剤、注射剤、外用
剤、点滴剤として非経口的に投与してもよい。投与量は
症状の程度、年齢、疾患の種類などにより著しく異なる
が、通常成人一人当たり一日10mg以上、好ましくは、
50mg〜1000mgを投与することができる。コンプレスタチ
ン類を製剤化する際は、通常の製剤担体を用い、常法に
より製造する。すなわち、経口用固形製剤を調製する場合
は、主薬に賦形剤、さらに必要に応じて結合剤、崩壊
剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤などを加えた後、常法
により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散在、カプセル剤などと
する。これらの錠剤、顆粒剤には糖衣、ゼラチン衣等のコ
ーテイングをしてもよい。注射剤を調製する場合には、主
薬であるコンプレスタチン類にpH調整剤、緩衝剤、安定
化剤、可溶化剤などを添加し、常法により皮下、筋肉
内、静脈内用注射剤とする。 (2)研究用試薬としての使用法 コンプレスタチン類を研究用試薬として使用する場合、
該試薬の形状、試薬に含まれるコンプレスタチン類以外
の成分等は特に限定されない。試薬の形状は、溶液状で
もよく、また粉末状や顆粒状であってもよい。試薬を溶
液状とする場合は、コンプレスタチン類を適当な溶液
(例えば、蒸留水、生理的食塩水、リン酸緩衝液、トリ
ス緩衝液、トリシン緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)に
溶解すればよい。
【0027】コンプレスタチン類以外の成分としては、
例えば、浸透圧調製、pH調製、試薬の保存性向上に関
与する物質が挙げられ、具体的には、シュークロース、
HEPES、トリシン、トリス、EDTA・2Na、ジチオ
スレイトール(DTT)、硫酸アンモニウム、2−メルカ
プトエタノール等が挙げられる。 (3)化粧品・飲食品等に添加する場合の使用法 コンプレスタチン類を各種疾患の予防薬・治療薬・改善
薬等として使用する場合、コンプレスタチン類を化粧
品、飲食品等に添加して使用してもよい。
【0028】化粧品は特に限定されないが、例えば、皮
膚外用剤、入浴剤等が挙げられる。これらの化粧品には
通常用いられる他の成分、例えば、油分、アルコール
分、香料、水、増粘剤、色材等を適宜配合することがで
きる。また、飲食品も特に限定されないが、例えば、食
用粉類、加工野菜、加工水産物、調味料、菓子、パン、
清涼飲料、果汁飲料、野菜ジュース、乳製品、酒類等が
挙げられる。化粧品・飲食品等に対するコンプレスタチ
ン類の添加量は、対象とする疾患の種類、化粧品・飲食
品を使用・摂食する患者等の容態などに応じて適宜設定
すればよい。
【0029】
【実施例】以下実施例によりさらに詳細に説明するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】[実施例1] FGF阻害物質を産生する微
生物の単離および同定 1.FGF阻害物質を産生する微生物の単離 以下の方法により、FGF阻害物質を産生する微生物を
土壌から単離した。 (1)秋田県にて採取した土壌を乾燥させた後、生理的
食塩水を加えて適当に希釈した。次いで、希釈液1ml
と、55℃に保温した15mlの分離培地[フミン酸 1
g、りん酸二カリウム 0.5g、MEM用ビタミン
(ニッスイ製薬社製)1g、サイクロヘキシイミド(シ
グマ社製) 25mg、寒天 15g、水道水1L (p
H7.2)]を混合した後、プレートに播き、28℃で7日
間培養した。 (2)出現した複数個のコロニーを、それぞれC4培地
[肉エキス 0.1%、グルコース 2%、塩化ナトリウム
0.2%、りん酸二カリウム 0.005%、澱粉(溶性)1%、
乾燥酵母 0.4%、大豆粉2.5%を混合した後に4N水酸化
ナトリウムでpHを7.2に調整]を5ml入れた大型試験管に
1白金耳接種し、30℃で5日間培養した。培養物に2倍
量のアセトンを加えて4℃で一晩抽出し、得られた上澄
をサンプル溶液とした。 (3)上記のサンプル溶液について、bFGFのレセプター
への結合に対する阻害効果を、A.Yayon等の方法(Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA 90,10643,1993)に従って調べた。 すなわち、24穴の培養プレートに、マウス繊維芽細胞Ba
lb/3T3 cloneA31細胞を1×105個/mlの濃度で含む培地
(10%子牛血清(CS)、25mM HEPES(pH7.5)、10ユニット/
mlのペニシリン、10μg/mlのストレプトマイシンを含有
したダルベッコ改変イーグル培地(10%CS/DME
M))1mlを加え、CO2インキュベーター中で、37℃一日
培養した。なお、マウス繊維芽細胞は、細胞表面にFG
Fのレセプターを発現することが知られている(J.Bi
ol. Chem. 268, 9611, 1993)。培養後のプレートは冷
蔵庫中で2時間あらかじめ冷却した。以下の操作は全て
氷冷下で行い培地、緩衝液等は冷却したものを用いた。
培地を捨て、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)を加えたDM
EM(結合培地)で2回洗浄した後、サンプル溶液10μlおよ
び2ng/mlの125Iで標識したbFGF(NEN社製)を加えた結
合培地0.35mlを加え、4℃で1.5時間インキュベートし
た。以上により、bFGFが細胞表面のレセプターに結合す
る。反応終了後、結合培地を除き、氷冷した結合培地で
1回洗浄した後、1.6M食塩を含むpH7.5の冷リン酸緩衝液
(PBS)でさらに2回洗浄した。次に2M食塩を含むpH4.0の20
mM酢酸ナトリウム溶液0.5mlを加え、レセプターに結合
した125I-bFGFを回収した。この操作を再度行い、先の溶
液と合わせRIAチューブに移しガンマ-カウンタ-(ファ
ルマシア社製)で放射活性を測定した。レセプターに結
合したbFGF量(特異的結合量)は、以下の式により求め
た。 特異的結合量 = 総結合量 ― 非特異的結合量 なお、結合培地にサンプル溶液を加えなかった場合の放
射活性を総結合量とし、標識していないbFGF(R&D syste
ms社製)を125I-bFGFの1000倍加えた場合の放射活性を非
特異的結合量とした。 (4)上記の結果、bFGFのレセプターヘの結合を阻害す
る物質、すなわちFGF阻害物質を産生している菌株と
して、No.989株を選抜した。 2.FGF阻害物質を産生する微生物No.989株の同定 No.989株は、基生菌糸、気菌糸ともに存在し、輪生岐、
鞭毛胞子、胞子嚢は形成しないが、気菌糸に多数の螺旋
状連鎖胞子を形成する。生育温度は30℃付近で最も良く
生育し、35℃では生育しない。
【0031】さらに本菌株は、細胞壁中にLL-DAP(LL
−ジアミノピメリン酸)を持つことから、Nocardioides
属、Kineosporia属、Sporichthya属、Streptomyces属の
いすれかに属すると考えられた。またメナキノンタイプ
がMK-9(H6)、(H8)であることから、Sporichthya属、Str
eptomyces属のいずれかの属に属することがわかった。S
porichthya属の放線菌には基生菌糸が存在せず、生育(2
2-42℃)も一般に貧弱であることから、本菌株とは異な
っている。
【0032】上記の試験結果は、Streptomyces属の特徴
と合致することから、本菌株をStreptomyces属の放線菌
と同定し、Streptomyces sp.No.989と命名した。Strep
tomyces sp.No.989は、工業技術院生命工学工業技術研
究所にFERM BP-6331として寄託されている。
【0033】[実施例2]FGF阻害物質の精製および構
造解析 以下の方法により、Streptomyces sp. No.989株の培養
物からFGF阻害物質を採取・精製し、その構造解析を
行なった。なお、精製の各段階で得られた画分のFGF
阻害活性は、実施例1(3)で用いたA.Yayon等の方法
(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,10643,1993)により調
べた。 1.FGF阻害物質の精製 (1)Streptomyces sp. No.989株の斜面培養物を、10m
lの改変C4培地[肉エキス 0.1%、グルコース 2%、塩
化ナトリウム 0.2%、りん酸二カリウム 0.005%、澱
粉(溶性) 1%、乾燥酵母 0.4%、ポリペプトン1%、セ
ライト 2%を混合した後に4N水酸化ナトリウムでpHを7.
2に調整]を入れた大型試験管6本に1白金耳ずつ接種
し、30℃で3日間培養した。次にこの培養物を20mlず
つ、改変C4培地1.5Lを入れた3L容ジャーファーメンタ
ー2基に加えて5日間培養した(通気量1vvM、回転数35
0rpm、温度28℃)。 (2)培養終了後、6Lのアセトンを加えて4℃で一晩抽
出後、濾過助剤を加えて濾過し8Lの抽出液を得た。この
抽出液を減圧下濃縮し2Lの水溶液を得た。この水溶液を
HP-20樹脂(三菱化学社製)600mlに吸着させ、脱イオン
水1.8Lで洗浄後、80%メタノール1.8Lで吸着画分を溶
出した。この溶出液を減圧下濃縮し400mlとした後に、9N
塩酸でpH2.5とし、400mlの酢酸エチルを加え攪拌後酢酸
エチル層を得た。さらにこの操作を2回繰り返し、先に得
た酢酸エチル層と合わせ減圧下乾固し、630mgの乾燥物
を得た。 (3)この乾燥物を20mlのYMC-ODSゲル(YMC社製)にまぶ
し、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を含む40%アセトニト
リル溶液で充填したODSカラム200mlに付した。0.1%TFA
を含む 40%アセトニトリル溶液1Lでカラムを洗浄した
後、0.1%TFAを含む45%アセトニトリルを用いて吸着画
分を溶出した。FGF阻害活性を有する画分(200ml)を
直ちに、1N水酸化ナトリウム溶液で中和した。 (4)中和後の溶出液を減圧下で濃縮して100mlとした
後に、HP-20SS樹脂(三菱化学社製)40mlに吸着させ、脱
イオン水120mlで洗浄後、80%メタノール120mlで吸着画
分を溶出した。この溶出液を減圧下乾固した後、20mlの
脱イオン水に溶かし、さらに凍結乾燥を行い、120mgの
黄色結晶粉末を得た。 2.FGF阻害物質の構造解析 上記で得られた黄色結晶粉末、すなわちFGF阻害物質
の物理化学的性質を、以下の項目について測定した。ま
た、各測定チャートを図1〜4に示した。
【0034】(1)融点の測定 Micro melting point apparatus model MP-S2 (柳本製
作所) を使用して測定した。 (2)分子量 質量分析法(FAB Massスペクトル)により分子量を測定
した。使用機械:JMSHX-110(日本電子社製)。 (3)元素分析 柳本製作所CHNコーダーMT−3型を使用して有機元
素分析を行なった。 (4)比旋光度 SEPA-300(HORIBA社製)を用いて比旋光度を測定した。 (5)紫外吸収スペクトル 以下の3種類の溶媒を用いて紫外吸収スペクトルを測定
した。使用機械:U-3000(日立社製)。 (a)メタノール[図1(a)] (b)0.1N塩酸を含むメタノール[図1(b)] (c)0.1N水酸化ナトリウムを含むメタノール[図1
(c)] (6)赤外吸収スペクトル:FGF阻害物質と臭化カリ
ウムとを混和して赤外吸収スペクトルを測定した。使用
機械:FT/IR-7300(日本分光工業社製)。(図2) (7)13C核磁気共鳴スペクトル(13C-NMR):塩酸ガス
を用いて酸性状態にしたDMSOを溶媒とし、外部標準とし
てテトラメチルシラン(TMS)を用いて測定した。使用
機械:JNM GX-400 FT(日本電子社製)。(図3) (8)1H核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR):塩酸ガスを
用いて酸性状態にしたジメチルスルホキシド(DMSO)を
溶媒とし、外部標準としてテトラメチルシラン(TMS)
を用いて測定した。使用機械:JNM GX-400 FT(日本電
子社製)。(図4) 上記の測定結果と、J. Antibiotics, 42, 236, 1989
(文献1)およびTetorahedoron Letters, 30,4987, 198
9(文献2)に記載されたコンプレスタチンの物理化学的
性質とを比較し、上記で精製したFGF阻害物質がコン
プレスタチンであると判断した。
【0035】精製したFGF阻害物質および各文献に記
載されたコンプレスタチンの物理化学的性質を表1に示
す。また、1H -NMRの化学シフト(Chemical shift)の
値を表2に、13C-NMRの化学シフトの値を表3に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】[実施例3] コンプレスタチンのFGF阻
害活性の測定 FGFは、血管内皮細胞等の細胞表面のレセプターに結
合し、細胞の増殖や遊走を促進する。実施例1および2
の方法で得られたコンプレスタチンについて、そのFG
F阻害活性を3つの方法で調べた。FGFとしては、bFGF
(塩基性繊維芽細胞成長因子)を使用した。 1.bFGFのレセプターへの特異的結合に対するコンプレ
スタチンの阻害効果 bFGFのレセプターへの特異的結合に対するコンプレスタ
チンの阻害効果を、実施例1の1.(3)で用いたA.Y
ayon等の方法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90、10643、199
3)に従って調べた。ここでは、サンプル溶液として各種
濃度のコンプレスタチンを含む結合培地を使用した。な
お、対照では、コンプレスタチンを含まない結合培地を
サンプル溶液として上記と同様の操作を行なった。
【0040】結果を図5に示す。コンプレスタチンは濃
度依存的に、125I-bFGFのレセプターへの特異的結合を
阻害することが示された。コンプレスタチンがFGF阻
害活性を有することが明らかである。 2.bFGFの細胞遊走促進活性に対するコンプレスタチン
の阻害効果 あらかじめゼラチンでコートした8μmのフレームフィ
ルター( NEURO PROBE社製)をセットした96穴ケモタキ
シスチャンバー( NEURO PROBE社製)を用いて、bFGFに
よる細胞の遊走刺激活性に対するコンプレスタチンの効
果を調べた。 実験の原理を図6に示す。ボトムウエルにbFGFを入れる
と、トップウエル側のフレームフィルターに付着してい
た細胞が、ボトムウエル側に移動する。ボトムウエルに
コンプレスタチンを加えることにより、細胞の移動に対
するコンプレスタチンの阻害効果を調べることができ
る。 (1)トップウエルには細胞浮遊液(Balb/3T3 cloneA3
1細胞を5×105個/mlの濃度で含む0.5%CS/DME
M)100μlを入れた。また、ボトムウエルには、種々の
濃度のコンプレスタチンと1ng/mlのbFGFを含んだ35μl
の0.5%CS/DMEMを入れた。 (2)チャンバーをCO2インキュベーター中で、37℃、5
時間インキュベートした後、フレームフィルターをチャ
ンバーよりはずし、デフクイック染色液(国際試薬社
製)で細胞を染色しフィルターのボトム面へ遊走した細
胞数を数えた。なお、対照として、ボトムウエルにコン
プレスタチンを加えないこと以外は上記と同様の操作を
行なった。 (3)結果を図7に示す。コンプレスタチンは、濃度依
存的にbFGFのBalb/3T3 cloneA31細胞の遊走促進活性を
阻害することが示された。コンプレスタチンがFGF阻
害活性を有することが明らかである。 3.bFGFの細胞増殖促進活性に対するコンプレスタチン
の阻害効果 ウシ胎児心臓内皮細胞(FBHE)、ヒト臍帯静脈内皮細胞(H
UVEC)はともにbFGFを培地中に添加することにより増殖
が促進される。これらの細胞を用いて、bFGFの細胞増殖
促進活性に対するコンプレスタチンの阻害効果を調べ
た。 (1)細胞浮遊液としてFBHEを1×104個/mlの濃度で含
む10%CS/DMEMを調製し、これを12穴プレートの
各ウエルに1mlずつ播き込みCO2インキュベーター中で、
37℃一日培養した。各ウエルに1ng/mlのbFGFと種々の濃
度のコンプレスタチンを加えさらにCO2インキュベータ
ー中で、37℃2日間培養した。その後各ウェルの細胞数
をコールターカウンター(コールターエレクトロニクス
社製)で数えた。 (2)一方、細胞浮遊液としてHUVECを1×104個/mlの
濃度で含む培地〔10%ウシ胎児血清、25mMHEPES(pH7.
5)、10ユニット/mlのペニシリン、10μg/mlのストレプ
トマイシンを含有したMCDB131培地〕を調製した。あら
かじめI型コラーゲンでコートした12穴プレートの各ウ
エルに細胞浮遊液を1mlずつ播き込み、CO2インキュベー
ター中で、37℃一日培養した。各ウエルに10ng/mlのbFG
Fと種々の濃度のコンプレスタチンを加えさらにCO2イン
キュベーター中で、37℃2日間培養した。その後各ウェ
ルの細胞数をコールターカウンター(コールターエレク
トロニクス社製)で数えた。なお、対照として、コンプレ
スタチンを加えずに上記と同様の操作を行なった。 (3)結果を図8に示す。コンプレスタチンは濃度依存
的に、bFGFで促進されるFBHE,HUVECの増殖を
阻害することが示された。コンプレスタチンがFGF阻
害活性を有することが明らかである。
【0041】[実施例4] 血管新生に対するコンプレス
タチンの阻害効果 血管新生に対するコンプレスタチンの阻害効果を、古林
等の方法(日薬理誌105、 357、 1995)を改変して調べ
た。この方法では、コラーゲンゲル中で、血管内皮細胞
が管腔(血管様の管状構造)を形成する。この系にコン
プレスタチンを加えることにより血管新生に対するコン
プレスタチンの阻害効果を調べることができる。 (1)以下によりコラーゲンゲルを作製した。まずI型
コラーゲン溶液(3mg/ml、和光純薬社製)、10倍濃度のHE
PESを含まないDMEM、再構成用緩衝液(0.05N水酸化ナト
リウム溶液100mlに対し、重炭酸ナトリウム2.2g、HEPES
4.77gを溶かしたもの)および脱イオン水を氷中で5:1:
1:3の割合で混合し、12穴プレートの各ウエルに0.75ml
ずつ分注した。このプレートを37℃のインキュベーター
中で20分間インキュベートしてゲル化した。 (2)1ml当たり3×105個のウシ頚部大動脈内皮細胞(BA
EC)を10%CS/DMEMに懸濁した細胞浮遊液を作製
し、これをコラーゲンゲル上に1.5mlずつ播き込み、CO2
インキュベーター中で37℃一日培養した。培地を除きDM
EMで4回洗浄した後、上記I型コラーゲン溶液を0.75ml
ずつ重層し、37℃のインキュベーター中でゲル化させ
た。得られたゲルに、種々の濃度のコンプレスタチンを
含んだ1.5mlの0.5%CS/DMEMを加え、37℃のCO2
インキュベーター中で2日間培養した。 (3)培養後、各ウエル当たり無作為に選んだ4視野を
写真撮影した、オリンパス画像処理解析装置SP500F型を
用いて画像解析することによりすべての管腔の長さを求
めた。これを視野面積で割って、単位面積当たりの管腔
の長さを求めた。 (4)一方、比較実験として、コンプレスタチンのかわ
りに種々の濃度の抗bFGFモノクローナル抗体クローン3H
3(和光純薬社製)を含む0.5%CS/DMEMを用いた
以外は上記(1)〜(3)と同様の操作を行なった。コ
ンプレスタチンによる管腔形成抑制率を以下の式により
計算した。 {1-(各濃度での単位面積当たりの管腔の長さ/コンプ
レスタチン無添加時の単位面積当たりの管腔の長さ)}×
100 結果を表4に示す。
【0042】
【表4】 表4より、コンプレスタチンは濃度依存的にBAECの管腔
形成を阻害すること、すなわち血管新生阻害活性を有す
ることが明らかである。以上からコンプレスタチンは、
血管新生阻害剤として有用であり、FGFまたは血管新
生が関与する各種疾患の予防薬・治療薬・改善剤等とし
て非常に有用であることが示された。また、抗bFGモノ
クローナル抗体もBAECの管腔形成を阻害したが、高濃度
の抗体を使用したにもかかわらずコンプレスタチンの様
に完全には阻害されなかった。 [実施例5]漿尿膜での血管新生に対するコンプレスタ
チンの阻害効果 ニワトリ受精卵の漿尿膜における血管新生に対するコン
プレスタチンの阻害効果を、T.Oikawa等の方法(J. Ant
ibiotics 44, 1033, 1991)に従って調べた。まず、3日
齢のニワトリ受精卵の気室上部の卵殻約1cm四方を除去
し、加湿した孵卵器でさらに2日間培養した。5日齢漿尿
膜の上に外径5mm、内径3mmのシリコンリングを置き、実
施例2で得たコンプレスタチンを各種濃度で含有する1
%メチルセルロース溶液10μlをリングの内側に添加し
た。さらに2日間培養した後、顕微鏡での観察を容易に
するために適当量の脂肪乳剤(イントラリポス:ミドリ
十字社製)を漿尿膜の下に注入し、漿尿膜における血管
新生を観察した。漿尿膜において血管のない領域(直径
3mm以上)が認められた受精卵を、コンプレスタチン
による血管新生阻害が認められたと判定した。血管新生
阻害率(%)を、以下の式により計算した。 100×(血管新生阻害が認められた受精卵の個数)/
(試験に供した受精卵の個数) 結果を表5に示す。
【表5】 表5より、コンプレスタチンは濃度依存的に、漿尿膜で
の血管新生を阻害することが明らかである。
【0043】[実施例6]コンプレスタチンの抗腫瘍活
性の測定 コンプレスタチンの抗腫瘍活性を、マウス繊維肉腫(Met
hA)細胞を用いた実験で確認した。まず、BALB/c-nu/nu
マウス腹腔内で培養したMethA細胞1×106個を、BALB/c-
nu/nuマウス(対照群5匹、実験群5匹)の皮下に移植
し、10日後に腫瘍サイズを測定した。コンプレスタチン
は、PBS(塩化カリウム 0.2g、りん酸一カリウム
0.2g、塩化ナトリウム 8g、りん酸二ナトリウム
1.15g、脱イオン水 1L)に溶解し、第1日目から
第4日目および第7日目から第9日目まで、一日1回、250
μlを腹腔内に投与した。コンプレスタチンの投与濃度
は5mg/kgおよび10mg/kgとした。コンプレスタチンによ
る腫瘍の増殖抑制率を以下の式により計算した。{1-
(各投与濃度での腫瘍サイズ/投与濃度0mg/kgでの腫瘍
サイズ)}×100結果を表6に示す。
【0044】
【表6】 表6より、コンプレスタチンは腫瘍細胞の増殖抑制作用、
すなはち抗腫瘍活性を有することが明らかである。コン
プレスタチンは抗腫瘍剤として有用であることが示され
た。
【0045】[実施例7]コンプレスタチンの抗腫瘍活
性の測定 コンプレスタチンの抗腫瘍活性を、ヒト白血病(HL-60)
細胞を用いた実験で確認した。まず、HL-60細胞5×106
個を、CB17.SCIDマウス(対照群4匹、実験群4匹)の皮
下に移植し、20日後に腫瘍サイズを測定した。コンプレ
スタチンは、PBS(塩化カリウム 0.2g、りん酸一カ
リウム 0.2g、塩化ナトリウム 8g、りん酸二ナト
リウム 1.15g、脱イオン水 1L)に溶解し、第1
日目から第3日目、第5日目から第9日目および第12日
目、第13日目に、一日1回、250μlを腹腔内に投与し
た。コンプレスタチンの投与濃度は5mg/kgとした。コン
プレスタチンによる腫瘍の増殖抑制率を以下の式により
計算した。 {1-(投与濃度での腫瘍サイズ/投与濃度0mg/kgでの腫
瘍サイズ)}×100 結果を表7に示す。
【表7】 表7より、コンプレスタチンがすぐれた抗腫瘍活性を示
すことが明らかである。 [実施例8]製剤例 1.錠剤の製造 コンプレスタチン 100 g ラクトース 100 g コーンスターチ 148.8 g ステアリン酸マグネシュウム 1.2 g 上記の粉末を混合し、20メッシュのふるいを通した後、
2号ゼラチンカプセルに入れ、1カプセルあたりコンプ
レスタチン100mgの入ったカプセル剤を製造した。 2.注射剤の製造 コンプレスタチン 5g 食塩 9g クロロブタノール 5g 炭酸水素ナトリウム 1g 上記の成分を蒸留水1000mlに溶解した後アンプルに分注
し、1アンプルあたりコンプレスタチン5mgの入った注
射剤を製造した。
【0046】
【発明の効果】以上によりコンプレスタチンが優れたF
GF阻害活性、血管新生阻害活性および抗腫瘍活性を有
することが示された。コンプレスタチン類を有効成分と
するFGF阻害剤、血管新生阻害剤および抗腫瘍剤は、
FGFまたは血管新生が関与する各種疾患(例えば、炎
症性疾患、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性網膜症、
固形腫瘍等)の他、血管新生が関与しない各種腫瘍に対
する予防薬・治療薬・改善剤等として使用可能である。
また、上記の剤は、FGF、血管新生あるいは上記疾患
を研究するための研究用試薬としても非常に有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で得られたFGF阻害物質(コンプレ
スタチン)の各溶媒中での紫外吸収スペクトルを示す図
である。
【図2】実施例2で得られたFGF阻害物質(コンプレ
スタチン)の赤外吸収スペクトルを示す図である。
【図3】実施例2で得られたFGF阻害物質(コンプレ
スタチン)の13C核磁気共鳴スペクトルを示す図であ
る。
【図4】実施例2で得られたFGF阻害物質(コンプレ
スタチン)の1H 核磁気共鳴スペクトルを示す図であ
る。
【図5】実施例3の1.で行ったbFGFのレセプターへの
特異的結合に対するコンプレスタチンの阻害効果を示す
図である。
【図6】実施例3の2.で行なった実験系のモデル図。
【図7】実施例3の2.で行ったbFGFの細胞遊走促進活
性に対するコンプレスタチンの阻害効果を示す図であ
る。
【図8】実施例3の3.で行ったbFGFの細胞増殖促進活
性に対するコンプレスタチンの阻害効果を示す図であ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C12P 21/04 C12R 1:465)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コンプレスタチンまたはその誘導体を有効
    成分とするFGF阻害剤。
  2. 【請求項2】コンプレスタチンまたはその誘導体を有効
    成分とする血管新生阻害剤。
  3. 【請求項3】コンプレスタチンまたはその誘導体を有効
    成分とする抗腫瘍剤。
  4. 【請求項4】ストレプトミセス(Streptomyces)sp. N
    o.989(FERM BP-6331)を培地中で培養し、その培養物
    からコンプレスタチンを採取することを特徴とするコン
    プレスタチンの製造方法。
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