JP2020010703A - 1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸誘導体 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしDHNAは酸化により容易に分解され不安定であるため、その分解を防ぐため、(1)DHNA分画を添加する飲食品(乳製品を含む飲料、乳酸菌飲料、野菜汁、果汁、栄養飲料等)、ゲル状食品(ヨーグルト等))等から窒素置換等により溶存酸素を完全に除去する、または(2)抗酸化剤を共存させる等の工程が必要とされていた(特許文献4)。
また従来のDHNAは、特にpH7以上で分解されやすいため、十二指腸から小腸、小腸から大腸へ消化管の移動中に分解されやすく、ビフィズス菌増殖効果等を発現させるためには多くの用量が必要であった。
このようにDHNAを安定化させるために飲食品等の加工時に酸素を除去するという煩雑な操作を必要とすることなく、また飲食品の風味を損ねる抗酸化剤の添加を伴わず、さらに消化管まで分解されることなく到達することのできるDHNAは知られていない。
で表される化合物又はその塩が、優れたビフィズス菌増殖作用を有し、腸内フローラの改善に有用であり、かつ安定であることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]式(I):
で表される化合物又はその塩。
[2]生体内で酵素により加水分解し得る基が、グリコシル基又はオキソ酸基である[1]に記載の化合物又はその塩。
[3]生体内で酵素により加水分解し得る基が、
からなる群より選ばれる基である[1]に記載の化合物又はその塩。
[4]生体内で酵素により加水分解し得る基が、
からなる群より選ばれる基である[1]に記載の化合物又はその塩。
[5][1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を含有してなる医薬。
[6]ビフィズス菌増殖剤である[5]に記載の医薬。
[7]腸内フローラ改善剤である[5]に記載の医薬。
[8][1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を含有してなる食品。
[9]植物の組織培養培地に1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸(DHNA)を添加し培養
することを特徴とする
式(I):
で表される化合物またはその塩の製造方法。
[10]植物がグリコシルトランスフェラーゼを発現している植物である[9]に記載の製造方法。
[11]DHNAがDHNAを産生する微生物を培養して得られた培養液由来のものである[9]又は[10]に記載の製造方法。
内フローラを改善し、便秘や下痢の予防や改善、大腸がんの予防に有効である。
また本願の化合物は、ビフィズス菌を増やし免疫を活性化・調整する効果があるため、花粉症の予防や改善、アトピー性皮膚炎の改善、ガン予防、コレステロールの低下、高血圧の改善に有効である。
さらに本発明によれば、骨粗鬆症等の予防または改善に有効である。
また本発明によれば、飲食品等を製造する際には、煩雑な工程を経ることなく簡便に添加することができ、また飲食品の風味や味に影響を与える抗酸化剤等を添加することなく製造することができる。
本発明によれば、分解せずに大腸に到達するので、少ない用量でのDHNAの投与が可能になり、小児や老人等にも服用しやすく安全に投与することができる。
本願発明は、式(I):
で表される化合物又はその塩(以下本発明の化合物又は化合物(I)ともいう)に関する。
生体内で酵素により加水分解し得る基とは、化合物(I)を投与した場合に生体内の酵素により加水分解されれば特に限定されないが、通常は、
等のグリコシル基(単糖配糖体、二糖配糖体、オリゴ糖配糖体)、又は
等のオキソ酸基等であり、
が好ましく、
がより好ましい。
またR1及びR2のいずれかが特定の基であってもよい。この場合には、特に限定されないが、1位の−OHは2位の−COOHとの水素結合により不活性となっているため、合成の容易さの観点から、R2が特定の基であることが好ましい。
より好ましくは、
式(I)で表される化合物の結晶は、式(I)で表される化合物に自体公知の結晶化法を適用して結晶化することによって製造することができる。式(I)で表される化合物が結晶である場合、結晶形が単一であっても結晶形混合物であっても式(I)で表される化合物に包含される。
さらに式(I)で表される化合物は、水和物であっても、非水和物であっても、無溶媒和物であっても、溶媒和物であってもよい。
さらに、1Hを2H(D)に変換した重水素変換体も、式(I)で表される化合物に包含される。
硫酸化剤としては、例えば、トリメチルアミン三酸化硫黄錯体、トリエチルアミン三酸化硫黄錯体、ジメチルホルムアミド三酸化硫黄錯体、ピリジン三酸化硫黄錯体、クロロスルホン酸などが用いられる。
リン酸化剤としては、例えば、無水リン酸、オルトリン酸、ポリリン酸、五酸化リンなどが用いられる。
硫酸化剤やリン酸化剤等の公知のオキソ酸エステル化剤の使用量は、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸に対して、通常1モル当量から10モル当量である。
上記反応は、通常、溶媒中で行う。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが用いられ、反応温度は、通常、0℃〜100℃であり、反応時間は、通常、0.1〜24時間である。
脱離基としては、例えば、ハロゲン原子、アセチルオキシ基、イミデート基、アルコキシ基、アルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、ピリジルスルファニル基等が挙げられる。
ヒドロキシ基の保護基としては、例えば、アセチル基やベンゾイル基のようなアシル基等が挙げられる。カルボキシ基の保護基としては、例えば、tert−ブチル基やメチル基のようなアルキル基が挙げられる。
保護糖フラグメントは、市販のものを用いてもよいし、公知の方法により得ることもできる。
保護糖フラグメントの使用量は、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸のカルボン酸保護体に対して、通常0.1モル当量から10モル当量である。
1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸のカルボン酸保護体としては、例えば、上記で示したカルボキシ基の保護基で保護されたものが挙げられ、具体的には、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸tert−ブチル、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル等が挙げられる。また、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸のカルボン酸保護体は、必要に応じて、さらに一方のヒドロキシ基を保護しているものを用いてもよい。
活性化剤としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸銀、酸化銀、炭酸銀、過塩素酸銀、塩化第一銀、臭化第一銀、ヨウ化第一銀、ケイ酸銀、四フッ化ホウ素酸銀、銀ゼオライト、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、塩化第二スズ、臭化第二スズ、ヨウ化第二スズ、臭化テトラエチルアンモニウムや塩化テトラエチルアンモニウム、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、エーテル性三フッ化ホウ素、四フッ化ケイ素等が挙げられる。
活性化剤の使用量は、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸のカルボン酸保護体に対して、通常0.01モル当量から100モル当量である。
上記グリコシル化反応は、通常、溶媒中で行う。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、アセトニトリルなどが用いられ、反応温度は、通常、0℃〜100℃であり、反応時間は、通常、0.1〜24時間である。
上記グリコシル化で得られる生成物のα体とβ体の比は使用する試薬や反応条件により異なる。
上記グリコシル化で得られた生成物の脱保護反応は、上記で例示したような保護基を用いた場合、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムやナトリウムメトキシドのような塩基で処理することにより容易に行うことができる。塩基の使用量は、グリコシル化で得られた生成物に対して、通常0.01モル当量から過剰量である。
脱保護反応は、通常、溶媒中で行う。溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ヘプタン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが用いられ、反応温度は、通常、0℃〜100℃であり、反応時間は、通常、0.1〜24時間である。
培地からDHNAS、DHNAG等は単離可能である。またDHNAを培地に添加することによりDHNASやDHNAG等を高収量で得ることが可能である。更にグリコシルトランスフェラーゼ(グルコシル化、ガラクトシル化、グルクロニル化等に関わる酵素)を発現している植物の組織培養培地にDHNAを添加するとグリコシル−DHNAが得られる。
DHNAを産生する菌としては、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)属菌
、エンテロバクター(Enterobacter)属菌、スポロラクトバチルス(Sporolactobacillus)属菌、バチルス(Bacillus)属菌等が挙げられるが、これらにSTあるいはUGT発現ベク
ターを導入することによりDHNASやDHNAG等は高収量で得られる。なかでもプロピオニバクテリウム(Propionibacterium)属菌を用いることが好ましい。更にDHNA
産生株とST、UGT発現株あるいはグリコシルトランスフェラーゼ発現細胞株との混合培養によっても上記化合物は得られる。
植物の組織としては、グリコシルトランスフェラーゼを発現している植物であれば限定されず、例えばタバコ、シロイヌナズナ、ユーカリ、ヨウシュヤマゴボウ、ニチニチソウ等の組織が挙げられる。
植物の組織培養に用いられる培地は、通常この分野で既知の培地が使用される。
培地に含有される成分としては、炭素源としては通常植物組織の培養に利用されるグルコース、蔗糖、酢酸、エタノール、糖蜜、亜硫酸パルプ廃液等が用いられ、窒素源としては、尿素、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム 硝酸塩等が使用される。
燐酸、カリウム源としては燐酸カリウム、燐酸アンモニウム、塩化カリウム等が用いられる。その他微量金属としては、Mg、Ca、Fe、Na、K、Mn、Co、Cu、Zn等の無機塩が有効である。さらに必要に応じて、コーンスチープリカー、カゼイン、酵母エキス、ペプトン等の有機物を添加しても良い。
例えば、培地としては、MS培地、Kano培地、B5培地などが挙げられる。
また上記培地を改変した培地であってもよい。
また添加するDHNAは、上記DHNAを産生する菌を慣用の方法で培養し、当該菌にDHNAを産生させ、その培養液をそのまま植物の組織培養培地に添加してもよい。培養条件等はFuruichi K, et al., Enhancement of 1,4-dihydroxy-2-naphthoic acid production by Propionibacterium freudenreichii ET-3 fed-batch culture, Appl Environ Microbiol,73, 3137-3143 (2007)に記載に準じる。
)又はその塩を得る。
またDHNA投与動物の尿からDHNASやDHNAG等を得る方法が可能である。
明の医薬ともいう)。
本発明の医薬は、本発明の化合物(I)又はその塩をそのままあるいは薬理学的に許容
される担体を配合し、経口的又は非経口的に投与することができる。
注射剤としては、静脈注射剤のほか、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤等が含まれ、また持続性製剤としては、イオントフォレシス経皮剤等が含まれる。かかる注射剤は自体公知の方法、すなわち、本発明の化合物を無菌の水性液もしくは油性液に溶解、懸濁又は乳化することによって調製される。
注射用の水性液としては生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウム等)等が挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール(例えばエタノール)、ポリアルコール(例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例えばポリソルベート80、HCO−50)等と併用してもよい。
油性液としては、ゴマ油、大豆油等が挙げられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等と併用してもよい。
また、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカイン等)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコール等)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノール等)等と配合してもよい。
本発明の化合物は、そのままであるいは適当な添加剤を加えて医薬部外品等とすることができる。
また本発明の腸内フローラ改善剤は、腸内フローラを改善し、免疫を活性化・調整し、花粉症の予防や改善、アトピー性皮膚炎の改善、ガン予防、コレステロールの低下、高血圧の改善に有効である。
腸内フローラとは、ヒトなどの哺乳動物の腸管内において絶えず増殖を続けている多種・多様な細菌が集まって複雑な微生物生態系を構築している、この微生物群集を意味し、「腸内フローラ改善」とは、ヒトに有害な働きをする菌(悪玉菌)を劣勢に保ち、ヒトに有用な働きをする菌(善玉菌)を優勢にすることを意味する。
上記の量を1日1回から数回に分けて食前に摂取することが好ましい。この場合、1日あたり摂取量、又は1回あたりの摂取量を1単位包装とすることができる。
200mLの四つ口コルベンを用いてアルゴン雰囲気下、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸(東京化成)(10.35g、50.69mmol)のDMF溶液(50mL)に、ピリジン−三酸化硫黄コンプレックス(和光純薬)(10.72g、67.35mmol)を添加し、内温25〜28℃で4時間撹拌した。この反応液をそのまま、バス温45℃で減圧濃縮し、得られた残渣にAcOEt/MeOH(5/1v/v)(100mL)を加え、均一な溶液にした。溶液を氷冷し、析出した固体をろ取、冷AcOEt/MeOH(5/1v/v)(20mL,x2)で洗浄後、減圧乾燥し、DHNASの粗体を得た。この粗体を精製水(50mL)に懸濁し、撹拌下、均一溶液になるまで飽和重曹水を添加した。活性炭(2g)を添加し、30分間撹拌後、ろ別した。ろ液を予め調製した強酸性陽イオン交換樹脂Dowex50Wx8(Na)(500mL)を用いて、水で溶出した。目的物を含むフラクションを集め、バス温45℃にて減圧濃縮した。得られた残渣にEtOH−トルエンを添加後、減圧濃縮する操作を2回実施した。残渣にアセトン(50mL)を添加し、40℃にて30分間加温懸濁後、氷冷した。析出した個体をろ取、アセトン(10mL,x2)で洗浄後、50℃にて減圧乾燥し、DHNAS・Naのアセトン1:1付加体を白色個体として13.54g(収率73%)単離した。アセトン付加体(13.53g)を水(300mL)に溶解後、減圧濃縮した。得られた水溶液を凍結乾燥し、DHNAS・Naを淡褐色固体として11.61g(収率73%)得た(HPLCによる検定、純度>99.9%)。
得られたDHNAS・NaのUVスペクトルを図1に示す。UVスペクトルはメタノール(12%)、アセトニトリル(20%)、およびギ酸アンモニウム(8mM)を含む水溶液を溶媒として
使用して測定した。
得られたDHNAS・NaのNMRデータを表1及び表2に示す。シグナルの帰属はcorrelation spectroscopy (COSY)、heteronuclear multiple bond correlation (HMBC)等の二次元NMR法により行った。硫酸エステルの結合位置(C-1 またはC-4)については、シュミレーションソフトでC-4の13C化学シフトを計算したところC-4位に付いた値(136.5ppm)
の方がC-1に付いた値(149.7ppm)より実測値(137.8ppm)に近いことからC-4に結合していると判断した。
得られたDHNAS・Naのマススペクトル;FAB Mass(ネガティブモード)によりM-Hのピークが305 [DHNAS・Na(MW=306)-1=305] に観察された。
ICR系統の雌マウス(7週齢)1匹に、60mg/200μL(2335mg/Kg(1%tween80水溶液))のDHNAを経口単回投与した後、代謝ケージに移し投与後24時間ごとに3日目まで尿、糞を採取し代謝排泄物を得た。代謝排泄物を分析し、図3に示すように、M1を分取しDHNAGを得た。
得られたDHNAGのUVスペクトルを図1に示す。UVスペクトルはメタノール(12%)、アセトニトリル(20%)、およびギ酸アンモニウム(8mM)を含む水溶液を溶媒として使用して測定した。
得られたDHNAGのNMRデータを表1及び表2に示す。
なおシグナルの帰属はcorrelation spectroscopy (COSY)、heteronuclear multiple bond correlation(HMBC)等の二次元NMR法により行った。HMBCにおいてH−1’はC−4と相関が現れているのでグルクロニル基の結合位置はC−4と決定した。
タバコBY−2細胞(理研バイオリソースセンターから入手;培養はpH5.5以外は同セ
ンター指定のBY-2培養法に従った)懸濁液1mlを300mlの三角フラスコを用いてMS培地*95mlに接種し26.5℃で暗黒下、好気的に3日間振とう培養(1分間に100回振とう)を行った。順調な増殖が確認されたところで更にMS培地で2倍に希釈し18時間培養した後、25mlを新たな200mlフラスコへ移し、MS培地を25ml加え、同様の条件で6時間培養後、DHNA(東京化成)を2.04mg添加した(DHNAのDMSO溶液(20.4mg/ml)を100μl添加、最終濃度200μM)。18時間培養後、培養液の一部を採取し遠心分離(15万回転/分)後上清の20μlをHPLC**に注入しグルコシル−DHNA(保持時間16.5分)を分析した(図5)。その結果、DHNAから10−17%の収率でβ−グルコシル−DHNA(DHNAg)が生成することが判明した(分子量はFABマスにより分子量366であることを確認;β−グルコシダーゼにより加水分解を受けることを確認)。DHNAgのUVスペクトルおよびNMRデータを図1、表3及び4に示す。NMRのHMBCにおいてH−1’はC−4と相関が現れているのでグルコシル基の結合位置はC−4と決定した。
*MS培地:Murashige and Skoog用混合塩類(WAKO)にショ糖(30g/l)、KH2PO4(200μg/ml)、ビタミン[Myo−イノシトール(100μg/ml)、Thiamin−HCl(1μg/ml)]及び2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(200μg/l)を加え、pH5.5に調整。
**HPLC条件:カラム、Shiseido CAPCELL PAK C18,4.6x250mm,5μm);溶離、A:15%MeOH,10mMギ酸アンモニウム、B:アセトニトリル、A→30%B(20min)グラジエント;流速、1ml/min;温度、40℃
Furuichi K, et al., Enhancement of 1,4-dihydroxy-2-naphthoic acid production by Propionibacterium freudenreichii ET-3 fed-batch culture, Appl Environ Microbiol,73, 3137-3143 (2007)の方法に従い得られた、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)属菌、エンテロバクター(Enterobacter)属菌、スポロラクトバチルス(Sporolactobacillus)属菌、バチルス(Bacillus)属菌等の培養液をAmberlite XAD-2(Aldrich Chemical Company, Inc, USA)カラムへ導入し培養液中の低分子化合物を吸着させる。カラムを十分に脱イオン水で洗浄後、エタノールで低分子化合物を溶出する。得られたエタノール溶液を濃縮乾固し残渣をDMSOに溶解しその一定量を、タバコ、シロイヌナズナ、ユーカリ、ヨウシュヤマゴボウ、ニチニチソウ等の植物培養細胞の培地に添加する。15〜24時間の培養後、培養液をAmberlite XAD−2カラムへ導入し生成したグリコシル化DHNAを吸着させる。カラムを脱イオン水で十分洗浄後グリコシル化DHNAを10→60%エタノールを含む水溶液でグラジエントにより(又は段階的にエタノール濃度を上げて)溶出する。β−グルコシル−DHNA化合物は40〜60%エタノール濃度で溶出される。
DHNA、DHNAS、DHNAG及びDHNAgの安定性の比較
DHNA、製造例1で得られたDHNAS、製造例2で得られたDHNAG及び製造例3で得られたDHNAgを0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)溶液、0.1Mリン酸緩衝液(pH3.0)溶液および水に、最終濃度が25μg/mlとなるように添加して各溶液を調製した。各溶液を室温(23℃)で放置し、時間を追ってHPLCによりDHNA濃度を測定し、各化合物の分解を調べた。
DHNAは各条件で24時間以内に急速な分解が見られた(図2)。特にpH7.4における分解は著しかった。
DHNAS、DHNAG及びDHNAgについてはいずれの条件でも6日間の観察で分解はほとんど見られなかった。DHNAの急速な分解とDHNAS、DHNAG及びDHNAgの安定性はTLCによっても確認された。
・カラム;InertSustain(登録商標)C18(4.6x250mm,3μ)、ジーエルサイエンス株式会社製
・温度;40℃
・溶離液;12%メタノール、20%アセトニトリル、8mMギ酸アンモニウム
・流速;0.65ml/min
・HPLC装置;Hewlett Packard 1100
TLCの分離条件
・プレート;Merck シリカゲルTLCプレート(5x10cm)
・展開溶媒;1−ブタノール:酢酸:水(4:1:2)
・Rf値;DHNA(0.87)、DHNAS(0.56)、DHNAG(0.43)、DHNAg(0.71)
・検出;UVランプ照射により青色蛍光スポットとして検出
DHNASの毒性試験
ICR系統の雌マウス(7週齢、n=6)に、1匹あたり60mg/200μL水のDHNASを経口単回投与した(2143mg/kg)。コントロール群のマウス6匹には、水200μLを経口単回投与した。DHNASを投与したマウスとコントロールマウス各1匹を、代謝ケージに移し投与後24時間ごとに3日目まで尿、糞を採取し代謝排泄物の分析に供した。その他のマウスは、体重と状態の所見観察を投与後28日目まで行った。観察期間中において毒性は見られなかった。またDHNAS投与群では糞の軟化が見られた。
DHNA急性毒性に関してはDHNA含有抽出物を用い78mg/Kg(DHNAとして1mg/Kg)の量を5週齢ICRマウス5匹に5日間投与後、14日間観察した研究により、体重、行動、臓器解剖所見に異常がなかったと報告されている[北里研究所 毒性試験報告書(1994)]。
DHNA投与実験
ICR系統の雌マウス(7週齢)1匹に、60mg/200μL(2335mg/Kg(1%tween80水溶液))のDHNAを経口単回投与した後、代謝ケージに移し投与後24時間ごとに3日目まで尿、糞を採取し代謝排泄物の分析を行った。
マウスにDHNAを投与後24時間に尿を採取しHPLCにより分析したところ二つの代謝物M1およびM2が検出された(図3)。
・カラム;InertSustain(登録商標)C18(4.6x250mm,3μ)、ジーエルサイエンス株式会社製
・溶離液;直線グラジエント(0−15分)、A液(12.5mMクエン酸、25mM酢酸ナトリウム、10mM酢酸、30mM水酸化ナトリウム)→20%アセトニトリルを含むA液;(15−35分)20%アセトニトリルを含むA液
・流速;0.65ml/min
MRから確定した。
M2はFAB Mass(ネガティブモード)によりM−Hのピークが283に観察されたことから分子量は284でありDHNA硫酸エステル(DHNAS)と推定され、合成品とHPLCにおける保持時間およびUVスペクトルが一致したことから構造は確定した。
一方DHNAS投与マウス24時間尿からもM1(DHNAG)が検出され(図4)、この結果からマウスにおいて、DHNAS→DHNA→DHNAG経路が存在し生体内でDHNAS→DHNA変換が起こっていることが証明された。
Claims (2)
- 式(I):
[式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又は
[式中、*は結合部位を示す。]からなる群より選ばれる生体内で酵素により加水分解し得る基であり;R1及びR2の少なくとも一方が水素原子ではない。]
で表される化合物又はその塩を有効成分として含有してなるビフィズス菌増殖に用いられる食品。 - 式(I):
[式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又は
[式中、*は結合部位を示す。]からなる群より選ばれる生体内で酵素により加水分解し得る基であり;R1及びR2の少なくとも一方が水素原子ではない。]
で表される化合物又はその塩を有効成分として含有してなる腸内フローラ改善に用いられる食品。
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