JP2020010703A - 1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸誘導体 - Google Patents

1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸誘導体 Download PDF

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Abstract

【課題】ビフィズス菌増殖作用を有する安定な新規化合物を提供すること。【解決手段】 式(I):[式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子又は生体内で酵素により加水分解し得る基であり;R1及びR2の少なくとも一方が水素原子ではない。]で表される化合物又はその塩。【選択図】図2

Description

本発明は、腸内フローラの改善に有効なビフィズス菌の増殖作用を有する1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸誘導体に関する。詳しくは、本発明は安定化された1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸(DHNA)誘導体に関し、さらに詳しくは、1)DHNA水酸基の硫酸エステル、DHNA水酸基のグルクロン酸化化合物及びグルコシル化化合物、2)これらの化合物を含有する医薬や食品に関する。
1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸(1,4-dihydroxy-2-naphthoic acid:DHNA)は、従来から染料、顔料及び感光材料等、工業材料として用いられてきた。近年、DHNAがプロピオン酸菌培養液から発見され、ビフィズス菌増殖因子やビタミンK前駆体であることが報告され(特許文献1、2、非特許文献1)、プロピオン酸菌培養液から精製、濃縮されたDHNA分画は腸内フローラの改善、代謝性骨疾患の予防等に有効であり(特許文献3)、他にもIBS(炎症性腸疾患)、ヘリコバクター・ピロリ菌除菌、アレルギー、骨粗鬆症に有効であると考えられ、健康食品や医薬の分野で注目されている。
しかしDHNAは酸化により容易に分解され不安定であるため、その分解を防ぐため、(1)DHNA分画を添加する飲食品(乳製品を含む飲料、乳酸菌飲料、野菜汁、果汁、栄養飲料等)、ゲル状食品(ヨーグルト等))等から窒素置換等により溶存酸素を完全に除去する、または(2)抗酸化剤を共存させる等の工程が必要とされていた(特許文献4)。
また従来のDHNAは、特にpH7以上で分解されやすいため、十二指腸から小腸、小腸から大腸へ消化管の移動中に分解されやすく、ビフィズス菌増殖効果等を発現させるためには多くの用量が必要であった。
このようにDHNAを安定化させるために飲食品等の加工時に酸素を除去するという煩雑な操作を必要とすることなく、また飲食品の風味を損ねる抗酸化剤の添加を伴わず、さらに消化管まで分解されることなく到達することのできるDHNAは知られていない。
特開平8−98677号公報 WO 01/28547 WO 03/016544 WO 2004/085364
Isawa K, et al, Isolation and identification of a new bifidogenic growth stimulator produced by propionibacterium freudenreichiiET-3, Biosci. Biotechnol. Biochem., 66, 679-681 (2002)
本発明の目的は、腸内フローラの改善に有用であり、ビフィズス菌増殖作用を有する安定な化合物及び、それらを含有する医薬及び食品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、
式(I):
[式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は生体内で酵素により加水分解し得る基であり;R及びRの少なくとも一方が水素原子ではない。]
で表される化合物又はその塩が、優れたビフィズス菌増殖作用を有し、腸内フローラの改善に有用であり、かつ安定であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記の通りである。
[1]式(I):
[式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は生体内で酵素により加水分解し得る基であり;R及びRの少なくとも一方が水素原子ではない。]
で表される化合物又はその塩。
[2]生体内で酵素により加水分解し得る基が、グリコシル基又はオキソ酸基である[1]に記載の化合物又はその塩。
[3]生体内で酵素により加水分解し得る基が、
[式中、*は結合部位を示す。]
からなる群より選ばれる基である[1]に記載の化合物又はその塩。
[4]生体内で酵素により加水分解し得る基が、
[式中、*は結合部位を示す。]
からなる群より選ばれる基である[1]に記載の化合物又はその塩。
[5][1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を含有してなる医薬。
[6]ビフィズス菌増殖剤である[5]に記載の医薬。
[7]腸内フローラ改善剤である[5]に記載の医薬。
[8][1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を含有してなる食品。
[9]植物の組織培養培地に1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸(DHNA)を添加し培養
することを特徴とする
式(I):
[式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は生体内で酵素により加水分解し得る基であり;R及びRの少なくとも一方が水素原子ではない。]
で表される化合物またはその塩の製造方法。
[10]植物がグリコシルトランスフェラーゼを発現している植物である[9]に記載の製造方法。
[11]DHNAがDHNAを産生する微生物を培養して得られた培養液由来のものである[9]又は[10]に記載の製造方法。
本発明によれば、式(I)の化合物は、優れたビフィズス菌増殖作用を有するので、腸
内フローラを改善し、便秘や下痢の予防や改善、大腸がんの予防に有効である。
また本願の化合物は、ビフィズス菌を増やし免疫を活性化・調整する効果があるため、花粉症の予防や改善、アトピー性皮膚炎の改善、ガン予防、コレステロールの低下、高血圧の改善に有効である。
さらに本発明によれば、骨粗鬆症等の予防または改善に有効である。
また本発明によれば、飲食品等を製造する際には、煩雑な工程を経ることなく簡便に添加することができ、また飲食品の風味や味に影響を与える抗酸化剤等を添加することなく製造することができる。
本発明によれば、分解せずに大腸に到達するので、少ない用量でのDHNAの投与が可能になり、小児や老人等にも服用しやすく安全に投与することができる。
図1は、DHNAS(下記(a1)で表される化合物)・Na、DHNAG(下記式(c1)で表される化合物)及びDHNAg(下記(d1)で表される化合物)のUVスペクトルを示す。 図2は、DHNA(1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸)、DHNAS、DHNAGおよびNHNAgのpH7.4、pH3.0のリン酸緩衝液、および水における、室温における安定性を比較した図を示す。縦軸は最初の濃度を100としたときの各濃度を示し、横軸は時間(時間または日)を示す。 図3は、DHNAを投与したマウスの尿中の代謝産物のHPLCによる分析結果を示す。 図4は、DHNASを投与したマウスの尿中の代謝産物のHPLCによる分析結果を示す。 図5は、DHNAgを投与したマウスの尿中の代謝産物のHPLCによる分析結果を示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
本願発明は、式(I):
[式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は生体内で酵素により加水分解し得る基であり;R及びRの少なくとも一方が水素原子ではない。]
で表される化合物又はその塩(以下本発明の化合物又は化合物(I)ともいう)に関する。
本明細書中のR及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は生体内で酵素により加水分解し得る基(以下特定の基と略す時もある)を示し、R及びRの少なくとも一方が水素原子ではない。
生体内で酵素により加水分解し得る基とは、化合物(I)を投与した場合に生体内の酵素により加水分解されれば特に限定されないが、通常は、
[式中、*は結合部位を示す。]
等のグリコシル基(単糖配糖体、二糖配糖体、オリゴ糖配糖体)、又は
[式中、*は結合部位を示す。]
等のオキソ酸基等であり、
[式中、*は結合部位を示す。]
が好ましく、
[式中、*は結合部位を示す。]
がより好ましい。
生体内の酵素としては、腸内に存在する酵素が挙げられる。例えば硫酸エステル化された化合物(DHNAS)を加水分解するスルファターゼ、β−グルクロン酸化された化合物(DHNAG)を加水分解するβ−グルクロニダーゼ、同様にリン酸エステル化された化合物(DHNAP)を加水分解するホスファターゼ、β−グルコシル化されたDHNAを加水分解するβ−グルコシダーゼ、β−ガラクトシル化されたDHNAを加水分解するβ−ガラクトシダーゼが挙げられる。なかでもスルファターゼ、β−グルクロニダーゼ、ホスファターゼが好ましく、スルファターゼおよびβ−グルクロニダーゼがより好ましい。
また上記酵素は、細菌、真菌、植物、動物由来のものであってもよいが、ヒトなど動物の体内にある酵素が好ましい。
化合物(I)においては、R及びRがどちらも特定の基であってもよく、R及びRが同じであっても異なっていてもよい。
またR及びRのいずれかが特定の基であってもよい。この場合には、特に限定されないが、1位の−OHは2位の−COOHとの水素結合により不活性となっているため、合成の容易さの観点から、Rが特定の基であることが好ましい。
式(I)で表される化合物の好適な具体例としては、
で表される化合物等が挙げられ、
より好ましくは、
であり、さらに好ましくは、
である。
式(I)で表される化合物の塩としては、薬理学的に許容しうる塩等が挙げられ、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等との金属塩;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン等の有機塩基との塩;トリフルオロ酢酸、酢酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ケイ皮酸、フマル酸、ホスホン酸、塩酸、硝酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、スルファミン酸、硫酸等の酸との酸付加塩等が挙げられる。
式(I)で表される化合物は、結晶であってもよい。
式(I)で表される化合物の結晶は、式(I)で表される化合物に自体公知の結晶化法を適用して結晶化することによって製造することができる。式(I)で表される化合物が結晶である場合、結晶形が単一であっても結晶形混合物であっても式(I)で表される化合物に包含される。
式(I)で表される化合物は、同位元素(例、H、14C、35S、125I等)等で標識されていてもよい。
さらに式(I)で表される化合物は、水和物であっても、非水和物であっても、無溶媒和物であっても、溶媒和物であってもよい。
さらに、HをH(D)に変換した重水素変換体も、式(I)で表される化合物に包含される。
式(I)で表される化合物又はその塩は、化学合成法、動物や植物に由来する天然のもの、発酵法又は遺伝子組換法によって得られるもののいずれを使用してもよい。
化合物(I)は、公知の化学合成法を用いて製造することができる。
例えば、Rおよび/またはRがオキソ酸基である化合物(I)は、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸を、硫酸化剤やリン酸化剤等の公知のオキソ酸エステル化剤と反応させることにより得ることができる。
硫酸化剤としては、例えば、トリメチルアミン三酸化硫黄錯体、トリエチルアミン三酸化硫黄錯体、ジメチルホルムアミド三酸化硫黄錯体、ピリジン三酸化硫黄錯体、クロロスルホン酸などが用いられる。
リン酸化剤としては、例えば、無水リン酸、オルトリン酸、ポリリン酸、五酸化リンなどが用いられる。
硫酸化剤やリン酸化剤等の公知のオキソ酸エステル化剤の使用量は、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸に対して、通常1モル当量から10モル当量である。
上記反応は、通常、溶媒中で行う。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが用いられ、反応温度は、通常、0℃〜100℃であり、反応時間は、通常、0.1〜24時間である。
一方、例えば、Rおよび/またはRがβ−グリコシル基である化合物(I)は、公知の糖分子に対して、1位のヒドロキシ基を脱離基とし、その他の活性基(ヒドロキシ基、カルボキシ基)に保護基を導入した保護糖フラグメントを、ルイス酸や金属塩等の活性化剤の存在下、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸のカルボン酸保護体と反応させることによりグリコシル化反応に付し、得られた生成物を公知の方法で脱保護することにより得ることができる。
脱離基としては、例えば、ハロゲン原子、アセチルオキシ基、イミデート基、アルコキシ基、アルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、ピリジルスルファニル基等が挙げられる。
ヒドロキシ基の保護基としては、例えば、アセチル基やベンゾイル基のようなアシル基等が挙げられる。カルボキシ基の保護基としては、例えば、tert−ブチル基やメチル基のようなアルキル基が挙げられる。
保護糖フラグメントは、市販のものを用いてもよいし、公知の方法により得ることもできる。
保護糖フラグメントの使用量は、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸のカルボン酸保護体に対して、通常0.1モル当量から10モル当量である。
1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸のカルボン酸保護体としては、例えば、上記で示したカルボキシ基の保護基で保護されたものが挙げられ、具体的には、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸tert−ブチル、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル等が挙げられる。また、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸のカルボン酸保護体は、必要に応じて、さらに一方のヒドロキシ基を保護しているものを用いてもよい。
活性化剤としては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸銀、酸化銀、炭酸銀、過塩素酸銀、塩化第一銀、臭化第一銀、ヨウ化第一銀、ケイ酸銀、四フッ化ホウ素酸銀、銀ゼオライト、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、塩化第二スズ、臭化第二スズ、ヨウ化第二スズ、臭化テトラエチルアンモニウムや塩化テトラエチルアンモニウム、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート、エーテル性三フッ化ホウ素、四フッ化ケイ素等が挙げられる。
活性化剤の使用量は、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸のカルボン酸保護体に対して、通常0.01モル当量から100モル当量である。
上記グリコシル化反応は、通常、溶媒中で行う。溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、アセトニトリルなどが用いられ、反応温度は、通常、0℃〜100℃であり、反応時間は、通常、0.1〜24時間である。
上記グリコシル化で得られる生成物のα体とβ体の比は使用する試薬や反応条件により異なる。
上記グリコシル化で得られた生成物の脱保護反応は、上記で例示したような保護基を用いた場合、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムやナトリウムメトキシドのような塩基で処理することにより容易に行うことができる。塩基の使用量は、グリコシル化で得られた生成物に対して、通常0.01モル当量から過剰量である。
脱保護反応は、通常、溶媒中で行う。溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ヘプタン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが用いられ、反応温度は、通常、0℃〜100℃であり、反応時間は、通常、0.1〜24時間である。
上記の方法により得られた化合物は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィーなどにより、反応液から単離精製して次の反応に用いてもよい。
式(I)で表される化合物又はその塩の製造のための出発物質である1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸やその保護体は、市販のものを用いてもよいし、公知の方法により得ることもできる
式(I)で表される化合物又はその塩は、微生物や植物組織を培養して得られる培養液由来のものも本発明に含まれる。硫酸転移酵素(sulfotransferase, ST)やUDP−グルクロン酸転移酵素(UDP-glucuronosyltransferase,UGT)等を発現している培養微生物の
培地からDHNAS、DHNAG等は単離可能である。またDHNAを培地に添加することによりDHNASやDHNAG等を高収量で得ることが可能である。更にグリコシルトランスフェラーゼ(グルコシル化、ガラクトシル化、グルクロニル化等に関わる酵素)を発現している植物の組織培養培地にDHNAを添加するとグリコシル−DHNAが得られる。
DHNAを産生する菌としては、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)属菌
、エンテロバクター(Enterobacter)属菌、スポロラクトバチルス(Sporolactobacillus)属菌、バチルス(Bacillus)属菌等が挙げられるが、これらにSTあるいはUGT発現ベク
ターを導入することによりDHNASやDHNAG等は高収量で得られる。なかでもプロピオニバクテリウム(Propionibacterium)属菌を用いることが好ましい。更にDHNA
産生株とST、UGT発現株あるいはグリコシルトランスフェラーゼ発現細胞株との混合培養によっても上記化合物は得られる。
植物の組織培養は常法に準じて実施される。
植物の組織としては、グリコシルトランスフェラーゼを発現している植物であれば限定されず、例えばタバコ、シロイヌナズナ、ユーカリ、ヨウシュヤマゴボウ、ニチニチソウ等の組織が挙げられる。
植物の組織培養に用いられる培地は、通常この分野で既知の培地が使用される。
培地に含有される成分としては、炭素源としては通常植物組織の培養に利用されるグルコース、蔗糖、酢酸、エタノール、糖蜜、亜硫酸パルプ廃液等が用いられ、窒素源としては、尿素、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム 硝酸塩等が使用される。
燐酸、カリウム源としては燐酸カリウム、燐酸アンモニウム、塩化カリウム等が用いられる。その他微量金属としては、Mg、Ca、Fe、Na、K、Mn、Co、Cu、Zn等の無機塩が有効である。さらに必要に応じて、コーンスチープリカー、カゼイン、酵母エキス、ペプトン等の有機物を添加しても良い。
例えば、培地としては、MS培地、Kano培地、B5培地などが挙げられる。
また上記培地を改変した培地であってもよい。
植物の組織培養培地に添加するDHNAの量は、例えば培地に対して、最終濃度が100〜400μMとなるように添加する。
また添加するDHNAは、上記DHNAを産生する菌を慣用の方法で培養し、当該菌にDHNAを産生させ、その培養液をそのまま植物の組織培養培地に添加してもよい。培養条件等はFuruichi K, et al., Enhancement of 1,4-dihydroxy-2-naphthoic acid production by Propionibacterium freudenreichii ET-3 fed-batch culture, Appl Environ Microbiol,73, 3137-3143 (2007)に記載に準じる。
培地のpHは中性または弱塩基性、弱酸性でよい。通常、pH4.5〜6.5である。
培養温度は、通常6〜35℃、好ましくは20〜35℃、より好ましくは25〜32℃である。6〜35℃の温度条件下においては、植物の組織培養に望ましい。
当該培養に先立って前培養を行うことが好ましい。
本培養の培養時間は、前培養液の細胞濃度や本培養の培地の量に対する前培養液の液量により変わりうるが、対数増殖期に入った後新しい培地およびDHNAを加え15〜24時間程度である。培養は静置または振盪、攪拌、通気下に回分培養法や半回分培養法あるいは連続培養法により実施される。
培養終了後、植物組織や培養液から、慣用の方法により抽出・精製し、上記化合物(I
)又はその塩を得る。
またDHNA投与動物の尿からDHNASやDHNAG等を得る方法が可能である。
本発明の化合物(I)又はその塩を含有してなる医薬も本発明に包含される(以下本発
明の医薬ともいう)。
本発明の医薬は、本発明の化合物(I)又はその塩をそのままあるいは薬理学的に許容
される担体を配合し、経口的又は非経口的に投与することができる。
本発明の医薬は、経口投与する場合の剤形としては、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等が挙げられ、また、非経口投与する場合の剤形としては、例えば注射剤、注入剤、点滴剤、坐剤等が挙げられる。また、適当な基剤と組み合わせ、徐放性製剤とすることも有効である。
本発明の医薬を上記の剤形に製造する方法としては、当該分野で一般的に用いられている公知の製造方法を適用することができる。また、上記の剤形に製造する場合には、必要に応じて、その剤形に製する際に製剤分野において通常用いられる賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、界面活性剤、懸濁化剤、乳化剤等を適宜、適量を含有させて製造することができる。
例えば、本発明の医薬を錠剤に製する場合には、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を含有させて製造することができ、丸剤及び顆粒剤に製する場合には、賦形剤、結合剤、崩壊剤等を含有させて製造することができる。また、散剤及びカプセル剤に製する場合には賦形剤等を、シロップ剤に製する場合には甘味剤等を、乳剤又は懸濁剤に製する場合には懸濁化剤、界面活性剤、乳化剤等を含有させて製造することができる。
賦形剤の例としては、乳糖、白糖、ブドウ糖、でんぷん、蔗糖、微結晶セルロース、カンゾウ末、マンニトール、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。
結合剤の例としては、5ないし10重量%デンプンのり液、10ないし20重量%アラビアゴム液又はゼラチン液、1ないし5重量%トラガント液、カルボキシメチルセルロース液、アルギン酸ナトリウム液、グリセリン等が挙げられる。
崩壊剤の例としては、でんぷん、炭酸カルシウム等が挙げられる。
滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、精製タルク等が挙げられる。
甘味剤の例としては、ブドウ糖、果糖、転化糖、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、単シロップ等が挙げられる。
界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル40等が挙げられる。
懸濁化剤の例としては、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ベントナイト等が挙げられる。
乳化剤の例としては、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン、ポリソルベート80等が挙げられる。
更に、本発明の医薬を上記の剤形に製造する場合には、所望により、製剤分野において通常用いられる着色剤、保存剤、芳香剤、矯味剤、安定剤、粘稠剤等を適量、添加することができる。
本発明の医薬を経口投与する場合の投与量は、投与する患者の性別、症状、年齢、投与方法によって異なるが、通常、成人体重1kgあたりの本発明の化合物の1日の投与量は、0.003μg〜3μgであり、好ましくは0.03μg〜3μg、より好ましくは0.1μg〜1μgである。上記1日あたりの量を一度にもしくは数回に分けて投与することができる。食前、食後、食間を問わないが食前が好ましい。また投与期間は特に限定されない。
本発明の医薬を非経口的に投与する場合は、通常、液剤(例えば注射剤)の形で投与する。その1回投与量は投与対象、症状、投与方法等によっても異なるが、例えば注射剤の形にして、上記経口投与量を勘案して適量を静脈注射により投与することができる。
注射剤としては、静脈注射剤のほか、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤等が含まれ、また持続性製剤としては、イオントフォレシス経皮剤等が含まれる。かかる注射剤は自体公知の方法、すなわち、本発明の化合物を無菌の水性液もしくは油性液に溶解、懸濁又は乳化することによって調製される。
注射用の水性液としては生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウム等)等が挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール(例えばエタノール)、ポリアルコール(例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例えばポリソルベート80、HCO−50)等と併用してもよい。
油性液としては、ゴマ油、大豆油等が挙げられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等と併用してもよい。
また、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカイン等)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコール等)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノール等)等と配合してもよい。
本発明の医薬を経皮吸収型外用剤として投与(適用)する場合には、必要に応じて公知の添加剤等を混合して常法により、クリーム剤、液剤、ローション剤、乳剤、チンキ剤、軟膏剤、水性ゲル剤、油性ゲル剤、エアゾール剤、パウダー剤、シャンプー、石鹸等の外用製剤等とすることができる。
本発明の化合物は、そのままであるいは適当な添加剤を加えて医薬部外品等とすることができる。
上記外用剤には、上記成分の他に水溶性成分、油性成分、粉末成分、界面活性剤、高分子成分、増粘剤、粘着性改良剤、被膜形成剤、pH調整剤、抗酸化剤、防腐剤、保存剤、賦形剤、保湿剤、皮膚保護剤、清涼化剤、香料、着色剤、キレート剤、潤沢剤、鎮痒剤、血行促進剤、収斂剤、組織修復促進剤、制汗剤、植物抽出成分、動物抽出成分、化粧品や医薬部外品等に必要な添加剤等を必要に応じて配合することができる。
本発明の医薬はビフィズス菌増殖剤又は腸内フローラ改善剤として、哺乳動物(例、ヒト、サル、ネコ、ブタ、ウマ、ウシ、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ウサギ等)に対し有用である。
本発明のビフィズス菌増殖剤は、腸内ビフィズス菌量を増加させることができ、それにより、便秘や下痢の予防や改善、大腸がんの予防に有効であり、便秘の予防や改善に好ましく適用される。
また本発明の腸内フローラ改善剤は、腸内フローラを改善し、免疫を活性化・調整し、花粉症の予防や改善、アトピー性皮膚炎の改善、ガン予防、コレステロールの低下、高血圧の改善に有効である。
腸内フローラとは、ヒトなどの哺乳動物の腸管内において絶えず増殖を続けている多種・多様な細菌が集まって複雑な微生物生態系を構築している、この微生物群集を意味し、「腸内フローラ改善」とは、ヒトに有害な働きをする菌(悪玉菌)を劣勢に保ち、ヒトに有用な働きをする菌(善玉菌)を優勢にすることを意味する。
本発明の化合物は、該化合物の作用の増強又は該化合物の投与量の低減等を目的として、整腸剤、消化薬、止瀉薬、抗アレルギー剤、抗炎症剤、抗ヒスタミン薬等の薬剤と組み合わせて用いることができる。この際、本発明の化合物と併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。さらに、本発明の化合物と併用薬剤とは、それぞれの活性成分を含む2種類の製剤として投与されてもよいし、両方の活性成分を含む単一の製剤として投与されてもよい。
本発明の化合物又はその塩を含む食品も本発明に包含される(以下本発明の食品ともいう)。本発明の食品においては、DHNAS、DHNAG、グルコシル−DHNA(DHNAg)等を産生する菌または細胞を培養して得られる培養液のみからなる食品であってよい。
本発明の食品は、本発明の化合物を含む一般的な食品形態であれば如何なるものでも良い。例えば、それ自体、又はそれに適当な風味を加えてドリンク剤、例えば清涼飲料、粉末飲料とすることもできる。具体的には、ジュース、牛乳、菓子、ゼリー等に混ぜて飲食することができる。また、このような食品を保健機能食品として提供することも可能である。この保健機能食品には、ビフィズス菌増殖や腸内フローラ改善等の本発明の用途に用いるものであるという表示を付した飲食品、特に、特定保健用食品、栄養機能食品等も含まれる。
さらに、本発明の食品を食品補助剤として利用することも可能である。食品補助剤として使用する場合、例えば錠剤、カプセル、散剤、顆粒、懸濁剤、チュアブル剤、シロップ剤等の形態に調製することができる。本発明における食品補助剤とは、食品として摂取されるもの以外に栄養を補助する目的で摂取されるものをいい、栄養補助剤、ダイエタリーサプリメント等もこれに含まれる。
本発明の化合物を食品として摂取する場合、成人体重1kgあたりの本発明の化合物の1日の摂取量は、0.003μg〜3μgであり、好ましくは0.03μg〜3μg、より好ましくは0.1μg〜1μgである。
上記の量を1日1回から数回に分けて食前に摂取することが好ましい。この場合、1日あたり摂取量、又は1回あたりの摂取量を1単位包装とすることができる。
植物の組織培養培地にDHNAを添加し培養することを特徴とする上記式(I)で表される化合物の製造方法も本発明に包含される。植物の組織は、グリコシルトランスフェラーゼを発現しているものが好ましい。各種定義は既述に準じる。
植物の組織培養培地に1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸(DHNA)を添加し培養することにより得られる上記式(I)で表される化合物又はその塩も本発明に包含される。各種定義は既述に準じる。
以下、製造例及び試験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、試験例等は本発明の説明のために記載するものであり、本発明を限定するものではない。
(製造例1)DHNAS・Na(上記式(a1)で表される化合物のNa塩)の合成方法
200mLの四つ口コルベンを用いてアルゴン雰囲気下、1,4−ジヒドロキシ−2−ナフトエ酸(東京化成)(10.35g、50.69mmol)のDMF溶液(50mL)に、ピリジン−三酸化硫黄コンプレックス(和光純薬)(10.72g、67.35mmol)を添加し、内温25〜28℃で4時間撹拌した。この反応液をそのまま、バス温45℃で減圧濃縮し、得られた残渣にAcOEt/MeOH(5/1v/v)(100mL)を加え、均一な溶液にした。溶液を氷冷し、析出した固体をろ取、冷AcOEt/MeOH(5/1v/v)(20mL,x2)で洗浄後、減圧乾燥し、DHNASの粗体を得た。この粗体を精製水(50mL)に懸濁し、撹拌下、均一溶液になるまで飽和重曹水を添加した。活性炭(2g)を添加し、30分間撹拌後、ろ別した。ろ液を予め調製した強酸性陽イオン交換樹脂Dowex50Wx8(Na)(500mL)を用いて、水で溶出した。目的物を含むフラクションを集め、バス温45℃にて減圧濃縮した。得られた残渣にEtOH−トルエンを添加後、減圧濃縮する操作を2回実施した。残渣にアセトン(50mL)を添加し、40℃にて30分間加温懸濁後、氷冷した。析出した個体をろ取、アセトン(10mL,x2)で洗浄後、50℃にて減圧乾燥し、DHNAS・Naのアセトン1:1付加体を白色個体として13.54g(収率73%)単離した。アセトン付加体(13.53g)を水(300mL)に溶解後、減圧濃縮した。得られた水溶液を凍結乾燥し、DHNAS・Naを淡褐色固体として11.61g(収率73%)得た(HPLCによる検定、純度>99.9%)。
得られたDHNAS・NaのUVスペクトルを図1に示す。UVスペクトルはメタノール(12%)、アセトニトリル(20%)、およびギ酸アンモニウム(8mM)を含む水溶液を溶媒として
使用して測定した。
得られたDHNAS・NaのNMRデータを表1及び表2に示す。シグナルの帰属はcorrelation spectroscopy (COSY)、heteronuclear multiple bond correlation (HMBC)等の二次元NMR法により行った。硫酸エステルの結合位置(C-1 またはC-4)については、シュミレーションソフトでC-4の13C化学シフトを計算したところC-4位に付いた値(136.5ppm)
の方がC-1に付いた値(149.7ppm)より実測値(137.8ppm)に近いことからC-4に結合していると判断した。
得られたDHNAS・Naのマススペクトル;FAB Mass(ネガティブモード)によりM-Hのピークが305 [DHNAS・Na(MW=306)-1=305] に観察された。

(製造例2)DHNAG(上記式(c1)で表される化合物)の製造方法
ICR系統の雌マウス(7週齢)1匹に、60mg/200μL(2335mg/Kg(1%tween80水溶液))のDHNAを経口単回投与した後、代謝ケージに移し投与後24時間ごとに3日目まで尿、糞を採取し代謝排泄物を得た。代謝排泄物を分析し、図3に示すように、M1を分取しDHNAGを得た。
得られたDHNAGのUVスペクトルを図1に示す。UVスペクトルはメタノール(12%)、アセトニトリル(20%)、およびギ酸アンモニウム(8mM)を含む水溶液を溶媒として使用して測定した。
得られたDHNAGのNMRデータを表1及び表2に示す。
なおシグナルの帰属はcorrelation spectroscopy (COSY)、heteronuclear multiple bond correlation(HMBC)等の二次元NMR法により行った。HMBCにおいてH−1’はC−4と相関が現れているのでグルクロニル基の結合位置はC−4と決定した。
(製造例3)DHNAg(上記式(d1)で表される化合物)の製造方法
タバコBY−2細胞(理研バイオリソースセンターから入手;培養はpH5.5以外は同セ
ンター指定のBY-2培養法に従った)懸濁液1mlを300mlの三角フラスコを用いてMS培地95mlに接種し26.5℃で暗黒下、好気的に3日間振とう培養(1分間に100回振とう)を行った。順調な増殖が確認されたところで更にMS培地で2倍に希釈し18時間培養した後、25mlを新たな200mlフラスコへ移し、MS培地を25ml加え、同様の条件で6時間培養後、DHNA(東京化成)を2.04mg添加した(DHNAのDMSO溶液(20.4mg/ml)を100μl添加、最終濃度200μM)。18時間培養後、培養液の一部を採取し遠心分離(15万回転/分)後上清の20μlをHPLC**に注入しグルコシル−DHNA(保持時間16.5分)を分析した(図5)。その結果、DHNAから10−17%の収率でβ−グルコシル−DHNA(DHNAg)が生成することが判明した(分子量はFABマスにより分子量366であることを確認;β−グルコシダーゼにより加水分解を受けることを確認)。DHNAgのUVスペクトルおよびNMRデータを図1、表3及び4に示す。NMRのHMBCにおいてH−1’はC−4と相関が現れているのでグルコシル基の結合位置はC−4と決定した。
MS培地:Murashige and Skoog用混合塩類(WAKO)にショ糖(30g/l)、KHPO(200μg/ml)、ビタミン[Myo−イノシトール(100μg/ml)、Thiamin−HCl(1μg/ml)]及び2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(200μg/l)を加え、pH5.5に調整。
**HPLC条件:カラム、Shiseido CAPCELL PAK C18,4.6x250mm,5μm);溶離、A:15%MeOH,10mMギ酸アンモニウム、B:アセトニトリル、A→30%B(20min)グラジエント;流速、1ml/min;温度、40℃
(製造例4)グリコシル化DHNAの培養による製造方法
Furuichi K, et al., Enhancement of 1,4-dihydroxy-2-naphthoic acid production by Propionibacterium freudenreichii ET-3 fed-batch culture, Appl Environ Microbiol,73, 3137-3143 (2007)の方法に従い得られた、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)属菌、エンテロバクター(Enterobacter)属菌、スポロラクトバチルス(Sporolactobacillus)属菌、バチルス(Bacillus)属菌等の培養液をAmberlite XAD-2(Aldrich Chemical Company, Inc, USA)カラムへ導入し培養液中の低分子化合物を吸着させる。カラムを十分に脱イオン水で洗浄後、エタノールで低分子化合物を溶出する。得られたエタノール溶液を濃縮乾固し残渣をDMSOに溶解しその一定量を、タバコ、シロイヌナズナ、ユーカリ、ヨウシュヤマゴボウ、ニチニチソウ等の植物培養細胞の培地に添加する。15〜24時間の培養後、培養液をAmberlite XAD−2カラムへ導入し生成したグリコシル化DHNAを吸着させる。カラムを脱イオン水で十分洗浄後グリコシル化DHNAを10→60%エタノールを含む水溶液でグラジエントにより(又は段階的にエタノール濃度を上げて)溶出する。β−グルコシル−DHNA化合物は40〜60%エタノール濃度で溶出される。
(試験例1)
DHNA、DHNAS、DHNAG及びDHNAgの安定性の比較
DHNA、製造例1で得られたDHNAS、製造例2で得られたDHNAG及び製造例3で得られたDHNAgを0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)溶液、0.1Mリン酸緩衝液(pH3.0)溶液および水に、最終濃度が25μg/mlとなるように添加して各溶液を調製した。各溶液を室温(23℃)で放置し、時間を追ってHPLCによりDHNA濃度を測定し、各化合物の分解を調べた。
DHNAは各条件で24時間以内に急速な分解が見られた(図2)。特にpH7.4における分解は著しかった。
DHNAS、DHNAG及びDHNAgについてはいずれの条件でも6日間の観察で分解はほとんど見られなかった。DHNAの急速な分解とDHNAS、DHNAG及びDHNAgの安定性はTLCによっても確認された。
HPLCの分離条件
・カラム;InertSustain(登録商標)C18(4.6x250mm,3μ)、ジーエルサイエンス株式会社製
・温度;40℃
・溶離液;12%メタノール、20%アセトニトリル、8mMギ酸アンモニウム
・流速;0.65ml/min
・HPLC装置;Hewlett Packard 1100
TLCの分離条件
・プレート;Merck シリカゲルTLCプレート(5x10cm)
・展開溶媒;1−ブタノール:酢酸:水(4:1:2)
・Rf値;DHNA(0.87)、DHNAS(0.56)、DHNAG(0.43)、DHNAg(0.71)
・検出;UVランプ照射により青色蛍光スポットとして検出
(試験例2)
DHNASの毒性試験
ICR系統の雌マウス(7週齢、n=6)に、1匹あたり60mg/200μL水のDHNASを経口単回投与した(2143mg/kg)。コントロール群のマウス6匹には、水200μLを経口単回投与した。DHNASを投与したマウスとコントロールマウス各1匹を、代謝ケージに移し投与後24時間ごとに3日目まで尿、糞を採取し代謝排泄物の分析に供した。その他のマウスは、体重と状態の所見観察を投与後28日目まで行った。観察期間中において毒性は見られなかった。またDHNAS投与群では糞の軟化が見られた。
DHNAの毒性に関する知見
DHNA急性毒性に関してはDHNA含有抽出物を用い78mg/Kg(DHNAとして1mg/Kg)の量を5週齢ICRマウス5匹に5日間投与後、14日間観察した研究により、体重、行動、臓器解剖所見に異常がなかったと報告されている[北里研究所 毒性試験報告書(1994)]。
(試験例3)
DHNA投与実験
ICR系統の雌マウス(7週齢)1匹に、60mg/200μL(2335mg/Kg(1%tween80水溶液))のDHNAを経口単回投与した後、代謝ケージに移し投与後24時間ごとに3日目まで尿、糞を採取し代謝排泄物の分析を行った。
(DHNAおよびDHNASの代謝産物の同定)
マウスにDHNAを投与後24時間に尿を採取しHPLCにより分析したところ二つの代謝物M1およびM2が検出された(図3)。
HPLCの分離条件
・カラム;InertSustain(登録商標)C18(4.6x250mm,3μ)、ジーエルサイエンス株式会社製
・溶離液;直線グラジエント(0−15分)、A液(12.5mMクエン酸、25mM酢酸ナトリウム、10mM酢酸、30mM水酸化ナトリウム)→20%アセトニトリルを含むA液;(15−35分)20%アセトニトリルを含むA液
・流速;0.65ml/min
分取したM1についてはFAB Mass(ネガティブモード)(JEOL JMS−SX102)による質量分析からM−Hのピークが379に観察され分子量は380でありグルクロン酸化DHNAと推定され、またM1はβ−グルクロニダーゼ(β−glucuronidase(Type H−1,SIGMA))処理により加水分解されDHNAを生じることからβ-グルクロン酸化DHNA(DHNAG)と同定された。構造はN
MRから確定した。
M2はFAB Mass(ネガティブモード)によりM−Hのピークが283に観察されたことから分子量は284でありDHNA硫酸エステル(DHNAS)と推定され、合成品とHPLCにおける保持時間およびUVスペクトルが一致したことから構造は確定した。
一方DHNAS投与マウス24時間尿からもM1(DHNAG)が検出され(図4)、この結果からマウスにおいて、DHNAS→DHNA→DHNAG経路が存在し生体内でDHNAS→DHNA変換が起こっていることが証明された。

Claims (2)

  1. 式(I):

    [式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は

    [式中、*は結合部位を示す。]からなる群より選ばれる生体内で酵素により加水分解し得る基であり;R及びRの少なくとも一方が水素原子ではない。]
    で表される化合物又はその塩を有効成分として含有してなるビフィズス菌増殖に用いられる食品。
  2. 式(I):

    [式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は

    [式中、*は結合部位を示す。]からなる群より選ばれる生体内で酵素により加水分解し得る基であり;R及びRの少なくとも一方が水素原子ではない。]
    で表される化合物又はその塩を有効成分として含有してなる腸内フローラ改善に用いられる食品。
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