JP2000016047A - ばね上質量推定装置 - Google Patents

ばね上質量推定装置

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JP2000016047A
JP2000016047A JP10190548A JP19054898A JP2000016047A JP 2000016047 A JP2000016047 A JP 2000016047A JP 10190548 A JP10190548 A JP 10190548A JP 19054898 A JP19054898 A JP 19054898A JP 2000016047 A JP2000016047 A JP 2000016047A
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sprung
damping force
sprung mass
acceleration
mass
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Satoru Osaku
覚 大作
Hideo Nakai
英雄 中井
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Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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    • B60G17/015Resilient suspensions having means for adjusting the spring or vibration-damper characteristics, for regulating the distance between a supporting surface and a sprung part of vehicle or for locking suspension during use to meet varying vehicular or surface conditions, e.g. due to speed or load the regulating means comprising electric or electronic elements
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
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    • B60G2400/102Acceleration; Deceleration vertical
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エアサスペンション装置を搭載した車両にお
いて、走行中であっても、ばね上質量を簡単な構成で精
度よく推定できるようにする。 【解決手段】 ステップ202にて、加速度センサ及び
ストロークセンサにより検出されたばね上加速度a及び
ばね下部材に対するばね上部材の相対変位量sを入力す
る。ステップ204にて相対変位量sを微分処理して相
対速度ds/dtを計算し、ステップ206にて減衰力特性
テーブルを参照して相対速度ds/dt及び設定制御されて
いる減衰係数の切り換え段数iに対応した減衰力Fを導
出する。ステップ208〜220の処理により、ばね上
質量Mに対するばね定数βがほぼ一定とみなせる程度に
充分に長い時間に渡るばね上加速度a、相対変位量s及
び減衰力Fをそれぞれ表すデータ列a(k),s(k),F
(k)(k=1,2…N)に基づいて最小二乗法によりば
ね上質量Mを計算する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両のばね上部材
の質量を推定するばね上質量推定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の装置は、実開平7−27
907号公報及び特開平1−293211号公報に示さ
れているように、エアばね機構における空気圧を検出す
ることにより、同空気圧がばね上質量(積載荷重)に比
例することに鑑みてばね上質量を推定し、同推定したば
ね上質量に応じて減衰力発生機構における減衰力特性を
変更制御したり、エアばね機構の空気の出し入れ量を制
御するものは知られている。また、特開平8−3041
54号公報に示されているように、車軸と車体との間に
設けたスプリングの変位量に基づいてばね上質量(積載
重量)を検出し、同ばね上質量を運転席に表示するよう
にしたものも知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の装
置にあっては、車体が停止していてばね上部材(車体)
が振動していない場合には、ばね上質量を正確に検出す
ることができるが、車両走行中であってばね上部材が振
動している場合には、エアばね機構内の空気圧が変動す
るので、ばね上質量を精度よく検出することができな
い。また、上記前者の二つの従来技術にあっては、エア
ばね機構内に圧力センサを格別に設ける必要がある。
【0004】
【発明の概要】本発明は上記問題に対処するためになさ
れたもので、その目的は、エアばね機構のばね定数とば
ね上質量との比が静的にほぼ一定であることを利用する
ことにより、簡単な構成でばね上質量を常時精度よく推
定できるばね上質量推定装置を提供することにある。
【0005】前記目的を達成するために、本発明の構成
上の特徴は、ばね上部材とばね下部材との間にエアばね
機構及び減衰力発生機構を介装したサスペンション装置
を備えた車両に適用され、ばね上部材の質量を推定する
ばね上質量推定装置において、ばね上部材の上下方向の
加速度を検出する加速度検出手段と、ばね下部材に対す
るばね上部材の上下方向の相対変位量を検出する相対変
位量検出手段と、減衰力発生機構により発生される減衰
力を検出する減衰力検出手段と、加速度検出手段、相対
変位量検出手段及び減衰力検出手段によりそれぞれ検出
された加速度、相対変位量及び減衰力をそれぞれ表すデ
ータセットであって、所定時間に渡る複数組のデータセ
ットを用いてばね上部材の質量を演算する演算手段とを
設けたことにある。
【0006】エアばね機構を有するサスペンション装置
においては、前述のように、エアばね機構のばね定数と
ばね上質量との比は静的にほぼ一定であり、このこと
は、ばね上部材の共振周期の10倍程度以上の充分に長
い時間を前提とすれば前記比を一定とみなすことができ
る。一方、ばね上質量をMとし、加速度をaとし、相対
変位量をsとし、減衰力をFとし、前記比をβとすれ
ば、M・(a−β・s)=Fなる運動方程式が成立する。し
たがって、この比βを一定とみなせる程度に充分長い時
間(ばね上部材の共振周期の10倍程度以上の時間)に
渡る加速度、相対変位量及び減衰力をそれぞれ表す複数
組のデータセットを用いることにより、前記演算手段は
ばね上質量を車両の走行中であっても精度よく推定する
ことができる。
【0007】また、減衰力発生機構において発生される
減衰力は、同機構の構造とばね下部材に対するばね上部
材の相対速度とにより決まるので、同減衰力を検出する
ための減衰力検出手段を、ばね下部材に対するばね上部
材の上下方向の相対速度を検出する相対速度検出手段
と、相対速度に対応して減衰力を表すデータを記憶した
テーブル手段と、テーブル手段を参照して検出された相
対速度に対応した減衰力を導出する導出手段とにより構
成できる。この場合、前記相対速度は通常の減衰力制御
などに用いる相対変位量を検出するセンサ出力に基づい
て簡単に計算できるので、従来技術で説明した圧力セン
サなどの格別のセンサを設けなくても、マイクロコンピ
ュータなどによるソフト的な処理を工夫するだけでよ
く、ばね上質量を簡単な構成で推定できるようになる。
【0008】
【発明の実施の形態】a.理論的説明 本発明に係るばね上質量推定装置を具体的に説明する前
に、同推定装置にて利用されるばね上質量の推定方法に
ついて説明しておく。
【0009】車両のばね上質量をMとし、ある瞬間にお
けるばね上部材の上下加速度をa(k)とし(ただし、上
方を正とする)、同瞬間におけるサスペンション装置内
のエアばね機構のばね定数をKs(k)とし、同瞬間にお
けるばね下部材に対するばね上部材の相対変位量をs
(k)とし(ただし、サスペンション装置の縮み側を正と
する)、同瞬間における同サスペンション装置のダンパ
による減衰力をF(k)とすると(ただし、上方を正とす
る)、同瞬間におけるばね上部材の運動方程式は下記数
1のように表される。ただし、kは正の整数である。
【0010】
【数1】M・a(k)=Ks(k)・s(k)+F(k) ここで、ばね上質量Mに対するばね定数Ks(k)の比を
β(k)(=Ks(k)/M)とすれば、前記数1は下記数
2のように変形される。
【0011】
【数2】M・{a(k)−β(k)・s(k)}=F(k) 一方、エアばね機構を用いた車両用サスペンション装置
においては、ばね上質量Mに対するばね定数Ksの比β
(k)が静的にほぼ一定となるように設計されている。し
たがって、前記比β(k)が一定値β(平均値)と扱える
程度に充分長い時間(ばね上部材の共振周期の10倍程
度以上)、すなわち下記数3が成立する程度の時間に渡
る上下加速度a(k)、ばね定数Ks(k)、相対変位量s
(k)及び減衰力F(k)に対しては上記数2を下記数4の
ように変形することができる。
【0012】
【数3】
【0013】
【数4】M・{a(k)−β・s(k)}=F(k) そして、例えば最小二乗法による下記数5を用いれば、
ばね上質量Mを正確に推定できる。
【0014】
【数5】
【0015】b.具体的実施形態 次に、上記理論を用いた本発明の一実施形態について図
面を用いて説明すると、図1は本発明に係るばね上質量
推定装置を適用した車両用サスペンション装置の全体を
概略的に示している。
【0016】このサスペンション装置は、左右前輪及び
左右後輪の各車輪位置にて、エアばね機構としてのエア
チャンバ11a〜11dと、減衰力発生機構としてのダ
ンパ12a〜12dとを備えている。
【0017】エアチャンバ11a〜11dは弾性的に車
体を支持するもので、それぞれ電磁バルブ13a〜13
dを介してコンプレッサ14に接続されている。電磁バ
ルブ13a〜13dは、電気的に切り換え制御されて、
エアチャンバ12a〜12dに対する空気流路を選択的
に開閉する。コンプレッサ14は、電動モータ14aに
より駆動制御されて、フィルタ15及びチェックバルブ
16を介して外気を吸引して、チェックバルブ17、乾
燥器18及びチェックバルブ21を介して電磁バルブ1
3a〜13dに圧縮空気を選択的に吐出する。チェック
バルブ17と乾燥器18との間には、電磁バルブ22が
接続されている。電磁バルブ22も、電気的に切り換え
制御されて、エアチャンバ11a〜11dから電磁バル
ブ13a〜13d及び固定オリフィス23を介して供給
された空気を外部に選択的に排出する。
【0018】ダンパ12a〜12dは、前記エアチャン
バ11a〜11dと協働して車体を各車輪位置にて支持
するとともに車体の振動を減衰させるもので、上端面か
らピストンロッド24a〜24dを突出させている。ピ
ストンロッド24a〜24dにはステップモータ等の電
動アクチュエータ25a〜25dがそれぞれ組み付けら
れており、同電動アクチュエータ25a〜25dは電気
的に制御されてダンパ12a〜12dにおける減衰係数
を複数段階(例えばq段階)に切り換える。
【0019】また、サスペンション装置内には、各車輪
位置にて、加速度センサ31a〜31d及びストローク
センサ32a〜32dがそれぞれ組み込まれている。加
速度センサ31a〜31dはばね上部材に固定されて、
ばね上部材の上下方向の加速度aをそれぞれ検出する。
この場合、加速度aは上方向を正で表すとともに下方向
を負で表している。ストロークセンサ32a〜32d
は、ばね下部材とばね上部材との間に介装されて、ばね
下部材に対するばね上部材の上下方向の相対変位量sを
それぞれ検出する。この場合、相対変位量sは、所定の
基準値に対して減少方向(ダンパ12a〜12dの縮み
側)を正で表すとともに増加方向(ダンパ12a〜12
dの伸び側)を負で表している。
【0020】これらの加速度センサ31a〜31d及び
ストロークセンサ32a〜32dは、マイクロコンピュ
ータ33に接続されている。マイクロコンピュータ33
は、図2及び図3のフローチャートに対応したプログラ
ムを短時間毎に繰り返し実行して、各車輪位置のばね上
質量Mを計算し、電気アクチュエータ25a〜25dを
制御してサスペンション装置の減衰係数を切り換え制御
し、かつ電磁バルブ13a〜13d,22及び電動モー
タ14aを制御して車高調整を行う。また、このマイク
ロコンピュータ33内には、図4に示すような減衰力特
性テーブルが設けられている。この減衰力特性テーブル
は、ダンパ12a〜12dの減衰係数の切り換え段数1
〜q毎に測定されたデータを予め記憶したもので、同切
り換え段数1〜q毎にばね下部材に対するばね上部材の
相対速度ds/dtに対応して変化する減衰力Fを記憶して
いる。
【0021】次に、上記のように構成した実施形態の動
作を図2及び図3のフローチャートに沿って説明する。
マイクロコンピュータ33は、イグニッションスイッチ
(図示しない)が投入されると、ステップ100〜10
8からなるメインプログラムを所定の短時間毎に繰り返
し実行する。ステップ100のメインプログラムの実行
開始後、ステップ102にてばね上質量推定ルーチンを
実行する。
【0022】このばね上質量推定ルーチンは図3に詳細
に示されているように、その実行がステップ200にて
開始され、ステップ202にて加速度センサ31a〜3
1d及びストロークセンサ32a〜32dからばね上加
速度a及び相対変位量sをそれぞれ入力して記憶してお
く。なお、これらのばね上加速度a及び相対変位量sを
表す値に関しては、後述する微分処理及びバンドパス処
理に利用するために、今回入力された値と共に適宜数だ
け過去に溯った値も記憶されている。次に、前記ステッ
プ204にて今回及び前回入力した相対変位量sを用い
て相対変位量sを微分処理して、ばね下部材に対するば
ね上部材の相対速度ds/dtを各車輪位置毎にそれぞれ計
算する。なお、以下の処理においては、これらのばね上
加速度a、相対変位量s及び相対速度ds/dtを用いた種
々の計算が各車輪位置毎に行われるが、説明を簡単にす
るために一つの車輪位置の計算についてのみ説明する。
【0023】次に、ステップ206にて、マイクロコン
ピュータ33のメモリ内に予め用意されている減衰力特
性テーブルを参照し、減衰係数の切り換え段数i(iは
1〜qのうちのいずれか)及び前記計算した相対速度d
s/dtに対応した減衰力Fを導出して記憶しておく。こ
の場合、減衰係数の切り換え段数iとしては、後述する
メインプログラムのステップ104の減衰力制御ルーチ
ンにより設定される値が利用される。なお、この減衰力
Fに関しても、後述するバンドパス処理に利用するため
に、今回導出された値と共に適宜数だけ過去に溯った値
も記憶されている。
【0024】次に、ステップ208にて、前記ステップ
206の処理により今回及び過去に導出された減衰力F
を用いて、同減衰力Fに含まれる直流成分及びノイズ成
分を除去するために同減衰力Fにバンドパスフィルタ処
理を施す。そして、ステップ210にて、時間経過に従
って減衰力Fを表すN個のデータ列F(k)(k=1,2
…N)を更新する。このデータ列F(k)は、値kが1か
ら順にNに向かうに従って新しいデータを表しており、
前記データ列F(k)の更新においては、データF(1)を
消去するとともにデータF(1),F(2)…F(k−1)を
データF(2),F(3)…F(k)にそれぞれ更新し、前記
バンドパスフィルタ処理により得た新たな減衰力Fをデ
ータF(k)として記憶する。なお、このデータ列F(k)
は、後述する他のデータ列x(k)と共に、各車輪位置に
おけるばね上質量Mに対するエアチャンバ11a〜11
dのばね定数Ksの比Ks/Mを一定と扱える程度に充分
に長い時間(ばね上部材の共振周期0.5〜1.0秒の
10倍程度以上)に渡るデータセットを構成するもので
あり、本実施形態ではサンプリング周期(データセット
の更新周期)は5〜20ミリ秒程度に設定されていると
ともに、値Nは3000程度の値に設定されている。
【0025】前記ステップ210の処理後、ステップ2
12にて、前記ステップ202の処理により今回及び過
去に入力されたばね上加速度aを用いて、加速度センサ
31a(又は31b〜31d)により検出されたばね上
加速度aに含まれる直流成分及びノイズ成分を除去する
ために、同ばね上加速度aにバンドパスフィルタ処理を
施す。次に、ステップ214にて、前記ステップ202
の処理により今回及び過去に入力された相対変位量sを
用いて、ストロークセンサ32a(又は32b〜32
d)により検出された相対変位量sに含まれる直流成分
及びノイズ成分を除去するために、同相対変位量sにバ
ンドパスフィルタ処理を施す。そして、ステップ216
にて下記数6の演算の実行により値xを計算し、ステッ
プ218にて、前記データ列F(k)(k=1,2…N)
と同様に、時間経過に従って値xを表すN個のデータ列
x(k)(k=1,2…N)を更新する。なお、下記数6
中の値βは、ばね上質量Mに対するばね定数Ksの比Ks
/Mが一定値として扱える程度に充分に長い時間に渡る
同比Ks/Mの平均値に相当する予め与えられた定数値で
ある。
【0026】
【数6】x=a−β・s そして、ステップ220にて、最小二乗法を用いた下記
数7の演算の実行によりばね上質量Mを計算して、ステ
ップ222にてこのばね上質量推定ルーチンの実行を終
了する。
【0027】
【数7】
【0028】上記ばね上質量推定ルーチンの実行後、マ
イクロコンピュータ33は、図2のステップ104,1
06にて減衰力制御ルーチン及び車高制御ルーチンをそ
れぞれ実行して、ステップ108にてメインプログラム
の実行を終了する。
【0029】このステップ104の減衰力制御ルーチン
においては、ダンパ12a〜12dの減衰係数の切り換
え段数iを周知の方法で決定するとともに前記決定した
切り換え段数iを上記推定したばね上質量Mに応じて補
正し、電気アクチュエータ25a〜25dを駆動制御す
ることにより、ダンパ12a〜12dの減衰係数を前記
補正した切り換え段数iに対応した値に設定する。この
場合、前記周知の方法としては、例えば上記ばね上質量
推定ルーチンにて入力及び計算したばね上加速度a及び
相対速度ds/dtに基づいて同相対速度ds/dtに対するば
ね上加速度aの比に比例してダンパ12a〜12dの減
衰係数を決定したり、ばね上加速度aの大きさに応じて
路面状態を推定してダンパ12a〜12dの減衰係数を
決定するとよい。また、前記ばね上質量Mを用いた補正
においては、前記周知の方法で決定した減衰係数に対す
る制御ゲインをばね上質量Mが大きくなるに従って大き
くするように修正したり、ダンパ12a〜12dの減衰
係数の最小値をばね上質量Mが大きくなるにしたがって
大きくするように規定して、車両の走行安定性を確保す
るようにするとよい。なお、この減衰力制御ルーチンに
おいては、前記補正した切り換え段数iを上述したばね
上質量推定ルーチンで利用するためにマイクロコンピュ
ータ33内に記憶しておく。
【0030】前記ステップ106の車高制御ルーチンに
おいては、目標車高と上記ばね上質量推定ルーチンにて
入力した相対変位量(実車高)sとが一致するように、
電動モータ14a及び電磁バルブ13a〜13d,22
を制御することによってエアチャンバ11a〜11d内
の空気量を調整し、各車輪位置の車高を目標車高に調整
する。また、この車高制御ルーチンにおいても、上記推
定したばね上質量Mを用い、同ばね上質量Mが大きいと
きには前記目標車高が大きくなることを制限して、車両
の走行安定性を確保するようにするとよい。
【0031】上記説明からも理解できるように、上記実
施形態によれば、エアチャンバ11a〜11dによるば
ね定数がほぼ一定として扱える程度に充分に長い時間に
渡るばね上加速度a、相対変位量s及び減衰力Fをそれ
ぞれ表すデータ列a(k),s(k),F(k)(k=1,2
…N)を用いれば、車両の走行中であってもばね上質量
Mを精度よく推定できる。この場合、ばね上加速度a及
び相対変位量sは通常の減衰力制御に用いられる加速度
センサ31a〜31d及び相対変位量センサ32a〜3
2dを用いて検出されるものであるとともに、減衰力F
は、減衰力特性テーブルを用いることにより、相対変位
量sに基づいて計算される相対速度ds/dt及び減衰力制
御ルーチンにて設定されるダンパ12a〜12dの減衰
係数の切り換え段数iに基づいて導出され得る。したが
って、上記実施形態によれば、格別なセンサを用いるこ
となく、マイクロコンピュータ33によるソフト的な処
理を工夫するだけでばね上質量Mを計算でき、簡単な構
成でばね上質量Mを推定できるようになる。
【0032】なお、上記実施形態においては、ステップ
220の処理によりデータ列F(k),x(k)(k=1,
2…N)を用いた上記数7に従ってばね上質量Mを推定
するようにしたが、ステップ220の演算に代えて減衰
力F、ばね上加速度a及び相対変位量sをそれぞれ表す
データ列F(k),a(k),s(k)(k=1,2…N)及
び予め決められた比β(定数)を用いた下記数8の演算
に従ってばね上質量Mを計算することもできる。
【0033】
【数8】
【0034】この場合、上記実施形態のステップ21
6,218の処理を省略して、ステップ212,214
の処理により計算したばね上加速度a及び相対変位量s
に基づいて前記比βを定数と見なせる時間に渡るデータ
列a(k),s(k)(k=1,2…N)を作成し、同作成
したデータ列a(k),s(k)を上記減衰力Fを表すデー
タ列F(k)と共に前記数8の演算に利用するようにすれ
ばよい。
【0035】また、上記実施形態においては、ステップ
206にて減衰係数の切り換え段数i及び相対速度ds/
dtに対応した減衰力Fを導出するようにしたが、減衰係
数を切り換え不能なダンパを用いた場合にはステップ2
06にて相対速度ds/dtのみに対応した減衰力Fを導出
するようにすればよい。この場合、減衰力特性テーブル
としては、相対速度ds/dtのみに応じて変化する減衰力
Fを記憶したテーブルをマイクロコンピュータ内に用意
しておけばよい。
【0036】また、上記実施形態では、ステップ220
の1回の演算処理による結果をばね上質量Mとして決定
するようにしたが、前記1回の演算処理結果だけではな
く、複数回のステップ220の演算処理結果を平均して
ばね上質量Mとして決定するようにしてもよい。
【0037】また、上記実施形態においては、常にばね
上質量推定ルーチンを実行してばね上質量Mを繰り返し
推定するようにしたが、ばね上質量Mの変化は通常乗員
又は荷物の変化によってのみもたらされるので、車両が
停止してドアが開かれたり、トランクが開かれた後に1
回だけ前記ばね上質量推定ルーチンを実行してばね上質
量Mを更新するようにしてもよい。この場合、車速を検
出するための車速センサ、及びドア及びトランクの開閉
をそれぞれ検出するために検出スイッチを設け、検出車
速が所定の微小車速以下であり、かつ前記検出スイッチ
によりドア又はトランクが開かれたことが検出されたと
き、同ドア又はトランクが閉じられた後に、前記ばね上
質量Mの推定を1回だけ行い、以降再び車両が停止し、
かつドア又はトランクが開かれるまで前記推定したばね
上質量Mを利用し続けるようにしてもよい。
【0038】さらに、上記実施形態においては、最小二
乗法を用いてばね上質量Mを推定するようにしたが、同
最小二乗法以外の例えば、一般化最小二乗法、最尤法、
補助変数法などによってもばね上質量を計算することが
できる。補助変数法によれば、センサ観測ノイズe(k)
を考慮して上記数4は下記数9のように書き換えられ
る。
【0039】
【数9】M・{a(k)−β・s(k)}=F(k)+e(k) そして、補助変数として、センサ観測ノイズe(k)と相
関を持たず、真の出力であるデータ列F(k)と相関の強
い制御指令値fcr(k)を用いる。この制御指令値f
cr(k)は、減衰力F(k)がダンパ12a〜12dの実際
の減衰力であるのに対して、図2のステップ104にて
計算される目標減衰力であり、同ステップ104にて計
算された目標減衰力を時系列的に記憶しておいて用いる
ことができる。これによれば、ばね上質量Mは下記数1
0により計算できる。
【0040】
【数10】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るばね上質量推定装
置を適用した車両用サスペンション装置の全体概略図で
ある。
【図2】 図1のマイクロコンピュータにより実行され
るメインプログラムを表すフローチャートである。
【図3】 図2のばね上質量推定ルーチンの詳細を示す
フローチャートである。
【図4】 マイクロコンピュータ内に設けた減衰力特性
テーブルの減衰力特性を表すグラフである。
【符号の説明】
11a〜1d…エアチャンバ、12a〜12d…ダン
パ、13a〜13d,22…電磁バルブ、14…コンプ
レッサ、24a〜24d…ピストンロッド、25a〜2
5d…電気アクチュエータ、31a〜31d…加速度セ
ンサ、32a〜32d…ストロークセンサ、33…マイ
クロコンピュータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中井 英雄 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 3D001 AA00 DA02 DA03 DA17 EA01 EA09 EA22 EA24 EA34 EB17 EB32 EC00 EC02 EC06 EC07 ED02 ED05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ばね上部材とばね下部材との間にエアばね
    機構及び減衰力発生機構を介装したサスペンション装置
    を備えた車両に適用され、ばね上部材の質量を推定する
    ばね上質量推定装置において、 ばね上部材の上下方向の加速度を検出する加速度検出手
    段と、 ばね下部材に対するばね上部材の上下方向の相対変位量
    を検出する相対変位量検出手段と、 前記減衰力発生機構により発生される減衰力を検出する
    減衰力検出手段と、 前記加速度検出手段、相対変位量検出手段及び減衰力検
    出手段によりそれぞれ検出された加速度、相対変位量及
    び減衰力をそれぞれ表すデータセットであって、所定時
    間に渡る複数組のデータセットを用いてばね上部材の質
    量を演算する演算手段とを設けたことを特徴とするばね
    上質量推定装置。
  2. 【請求項2】前記請求項1に記載のばね上質量推定装置
    において、前記減衰力検出手段を、 ばね下部材に対するばね上部材の上下方向の相対速度を
    検出する相対速度検出手段と、 前記相対速度に対応して前記減衰力を表すデータを記憶
    したテーブル手段と、 前記テーブル手段を参照して前記検出された相対速度に
    対応した減衰力を導出する導出手段とで構成したばね上
    質量推定装置。
  3. 【請求項3】前記請求項1又は2に記載のばね上質量推
    定装置において、 前記所定時間を前記エアばね機構のばね定数とばね上質
    量との比が一定と扱える程度に充分長い時間に設定した
    ことを特徴とするばね上質量推定装置。
  4. 【請求項4】前記請求項1乃至3のうちのいずれか一つ
    に記載のばね上質量推定装置において、前記演算手段
    は、前記ばね上質量をMとし、前記加速度をaとし、前
    記相対変位量をsとし、前記減衰力をFとし、前記ばね
    上質量に対する前記エアばね機構のばね定数の比をβと
    して、同比βが一定であるとの条件下でM・(a−β・s)
    =Fなる関係を用いて前記ばね上質量Mを算出するもの
    であるばね上質量推定装置。
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