JP2000011927A - 立体グリッド付蛍光表示管の電極構造及び製造方法 - Google Patents

立体グリッド付蛍光表示管の電極構造及び製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エミッション特性を向上させ、寿命特性の改
善を図る。 【解決手段】 表示パターン16をなす各セグメント1
1の蛍光体層13の周囲には、蛍光体層13を取り囲む
ように鉛系ガラスの絶縁ペーストにより隔壁14が印刷
形成される。隔壁14の頂上部には、有機金属又はリン
酸系ガラスの何れかを主成分とするペーストにより中間
層30が印刷形成される。中間層30の頂上部には、リ
ン酸系ガラス又は有機金属の少なくとも一方を含むAl
系金属の導電ペーストによりグリッド電極27が形成さ
れる。これにより、隔壁14とグリッド電極27との間
の導通が中間層30で遮断され、隔壁14とグリッド電
極27との界面において、焼成時のAlの酸化による鉛
系ガラスの還元が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばカーオーデ
ィオ、VTR、計測器等のディスプレイとして、表示パ
ターンをなす各セグメントの蛍光体層を取り囲むように
形成された立体グリッドを用いた立体グリッド付蛍光表
示管の電極構造及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図3は従来の立体グリッド付蛍光表示管
の一構成例を示す図、図4は同表示管の電極構造の部分
拡大断面図である。図3に示すように、立体グリッド付
蛍光表示管1は、内部が高真空状態に気密保持された箱
状の外囲器2を有している。外囲器2は、絶縁性を有す
る陽極基板3と、絶縁性及び透光性を有する平面板(前
面板)4と絶縁性を有する枠状の側面板5とにより形成
された蓋状の容器部6とを備えている。外囲器2は、各
基板3,4,5がガラス基板で構成され、陽極基板3の
外周部に容器部6を封着剤で封着し、排気した後に封止
することにより、内部が高真空状態に気密保持されてい
る。
【0003】図4に示すように、陽極基板3の内面に
は、Al等の導電材からなる配線7が所定パターン形状
に形成されている。陽極基板3上には、配線7を覆うよ
うにしてスルーホール8を有した絶縁層9が形成されて
いる。スルーホール8は、例えばAg等の導電材10に
よって穴埋めされている。
【0004】図4に示すように、スルーホール8の導電
材10上には、黒鉛等の導電材がセグメント11の形状
に形成され、陽極電極12を構成している。この陽極電
極12上にはセグメント11の形状に蛍光体層13が形
成されている。
【0005】図3及び図4に示すように、蛍光体層13
の周囲には、絶縁材料からなる隔壁14が形成されてい
る。この隔壁14は、蛍光体層13を取り囲むようにし
て蛍光体層13よりも高く形成される。これにより、セ
グメント11毎に区画された陽極15が形成される。各
セグメント11は、一つの表示パターン16単位で隔壁
14により一体に連結されている。
【0006】図3に示すように、各表示パターン16毎
の隔壁14は、一つのセグメント11から陽極基板3の
外側に向けて所定距離だけ延長して導出される。各表示
パターン16毎の隔壁14の頂上部には、導電材による
グリッド電極17が印刷形成され、立体グリッド18を
構成している。
【0007】図3に示すように、外囲器2内における表
示パターン16の上方には、表示パターン16に対向し
てフィラメント状の陰極19が複数本張架配設されてい
る。各陰極19は、加熱制御により表示パターン16に
向かって電子を放出している。
【0008】上記構成による立体グリッド付蛍光表示管
によれば、もれ発光を生じることなく表示パターンの密
集部分でのグリッド電極の分割が可能で、表示パターン
の自由度が高まり、確実に電子の加速、遮断の制御が行
える。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来、上記
立体グリッド18を形成するにあたっては、鉛系ガラス
フリットの絶縁ペーストをスクリーン印刷して隔壁14
を形成し、この隔壁14の頂上部にAlに鉛系ガラスフ
リットを混合した導電ペーストをスクリーン印刷してグ
リッド電極17を形成していた。
【0010】なお、上記隔壁14を構成する鉛系ガラス
フリットとしては、例えばPbO−B2 3 、PbO−
2 3 −SiO2 、PbO−B2 3 −ZnO、Pb
O−B2 3 −ZnO−SiO2 、PbO−SiO2
何れかを主成分(70%以上)とするものが使用され、
これらの材料に流動防止フィラーとしてアルミナやTi
2 等を混入する場合もある。また、グリッド電極17
を構成するAlに鉛系ガラスフリットを混合した導電ペ
ーストは、例えばAl粉の平均粒径は1〜10μm程度
の微粉からなり、Al微粉の表面は酸化膜で覆われてい
る。
【0011】そして、上記のように隔壁14及びグリッ
ド電極17が印刷形成されると、隔壁14とグリッド電
極17とは例えば550〜600℃で同時に焼成される
が、そのときの過激な燃焼反応によってグリッドを構成
する導電ペーストの表面の酸化膜が溶け、導電ペースト
中のAlが酸化する時にPbOが還元されてPbが析出
される。また、隔壁14を構成する絶縁ペーストとして
鉛系ガラスフリットを使用しているので、隔壁14とグ
リッド電極17の界面においても、上記導電ペースト中
のAlが酸化する時にPbOが還元されてPbが析出さ
れる。
【0012】ここで、本件発明者等は、従来の電極構造
においてPbが析出されることを確認するため、マック
サイエンス製の示差熱分析装置を用い、昇温10℃/m
in、30℃〜570℃を条件として焼成を行い、示差
熱分析(TG−DTA)を試みた。図5〜図7はそのと
きの示差熱分析結果を示す図である。
【0013】まず、図5にAl微粉の示差熱分析結果を
示す。540℃付近より急激な酸化反応が見られる。図
6はこのAl微粉に低融点PbOガラスフリットを混ぜ
たペーストを570℃で1度焼成したものを30〜57
0℃の条件で示差熱分析を行った結果である。図6はP
bのメルティング温度である327.3℃付近で吸熱に
よるピークが現れていることを示す。このことは、上述
した導電ペースト中のAlの酸化時にPbOが還元され
てPbが析出していることを意味している。
【0014】そして、上記のように、Pbが析出される
と、その後の焼成工程(420〜500℃の封着工程・
封止工程、300〜350℃の排気工程)で析出したP
bがガス化して陰極19の表面に付着する。このため、
陰極19を加熱駆動したときに、表面に付着したPbが
焼き付くというシンター現象を引き起こし、エミッショ
ン特性を低下させるという問題があった。しかも、エミ
ッション特性が低下した従来の立体グリッド付蛍光表示
管では、1000時間で陰極19の直下位置での表示が
暗くなる暗線が発生して寿命を縮め、寿命特性にも悪影
響を及ぼしていた。
【0015】そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてな
されたものであり、従来に比べてエミッション特性を向
上させることができ、寿命特性の改善も図れる立体グリ
ッド付蛍光表示管の電極構造及び製造方法を提供するこ
とを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の発明は、表示パターン16をなす各セグ
メント11の蛍光体層13を取り囲むように鉛系ガラス
フリットの絶縁材料からなる隔壁14が形成され、前記
隔壁14の頂上部にグリッド電極27が形成された立体
グリッド付蛍光表示管の電極構造において、前記グリッ
ド電極27は、有機金属又はリン酸系ガラスフリットの
少なくとも一方を含むAl系金属からなることを特徴と
する。
【0017】請求項2の発明は、請求項1の立体グリッ
ド付蛍光表示管の電極構造において、前記隔壁14と前
記グリッド電極27との間には、有機金属又はリン酸系
ガラスフリットの何れかを主成分とする中間層30が設
けられたことを特徴とする。
【0018】請求項3の発明は、請求項1の立体グリッ
ド付蛍光表示管の電極構造において、前記隔壁14と前
記グリッド電極27との間には、リン酸系ガラスフリッ
トを主成分とする中間層30が設けられ、焼成時におけ
る前記中間層30の軟化点が前記グリッド電極27の焼
結温度より高く、前記中間層30の焼結温度が前記隔壁
14の軟化点より低く設定されていることを特徴とす
る。
【0019】請求項4の発明は、請求項1〜3の何れか
の立体グリッド蛍光表示管の電極構造において、前記有
機金属が有機Ti化合物からなり、前記リン酸系ガラス
フリットがP2 5 −SnO系、P2 5 −SnO−Z
nO系、P2 5 −ZnO系の何れかのガラス主成分で
なることを特徴とする。
【0020】請求項5の発明は、表示パターン16をな
す各セグメント11の蛍光体層13を取り囲むように鉛
系ガラスフリットの絶縁部材からなる隔壁14が形成さ
れ、前記隔壁14の頂上部にグリッド電極27が形成さ
れた立体グリッド付蛍光表示管の製造方法において、有
機金属又はリン酸系ガラスフリットの少なくとも一方を
含むAl導電ペーストを前記隔壁14の頂上部に印刷し
てグリッド電極27を形成する工程を含むことを特徴と
する。
【0021】請求項6の発明は、請求項5の立体グリッ
ド付蛍光表示管の製造方法において、有機金属又はリン
酸系ガラスフリットの何れかを主成分とするペーストを
前記隔壁14の頂上部に印刷して中間層30を形成し、
前記中間層30の頂上部に前記グリッド電極27を形成
する工程を含むことを特徴とする。
【0022】請求項7の発明は、請求項5の立体グリッ
ド付蛍光表示管の製造方法において、リン酸系ガラスフ
リットを主成分とするペーストを前記隔壁14の頂上部
に印刷して中間層30を形成し、この中間層30の頂上
部に前記グリッド電極27を形成した後に焼成する工程
を含み、焼成時における前記中間層30の軟化点を前記
グリッド電極27の焼結温度より高く、前記中間層30
の焼結温度を前記隔壁14の軟化点より低く設定したこ
とを特徴とする。
【0023】請求項8の発明は、請求項5の立体グリッ
ド付蛍光表示管の製造方法において、前記グリッド電極
を形成する前記Al導電ペーストは、Alに有機Ti化
合物とビークルを混合したもの、Alにリン酸系ガラス
フリットとビークルを混合したもの、Alに有機Ti化
合物とリン酸系ガラスフリットとビークルを混合したも
のの何れかでなることを特徴とする。
【0024】請求項9の発明は、請求項6又は7の立体
グリッド付蛍光表示管の製造方法において、前記中間層
を形成する前記ペーストは、リン酸系ガラスフリットに
ビークルを混合したもの、リン酸系ガラスフリットに酸
化物とビークルを混合したもの、リン酸系ガラスフリッ
トに有機Ti化合物とビークルを混合したもの、リン酸
化合物に有機Ti化合物と酸化物とビークルを混合した
ものの何れかでなることを特徴とする。
【0025】本発明によれば、有機金属又はリン酸系ガ
ラスフリットの少なくとも一方を含むAlによる無鉛の
導電ペーストのスクリーン印刷によりグリッド電極が形
成されているので、従来のように焼成時のAlの酸化に
よりPbOが還元されてPbを析出することがない。
【0026】また、有機金属又はリン酸系ガラスフリッ
トの何れかを主成分とするペーストのスクリーン印刷に
よって隔壁とグリッド電極との間に中間層を設けた積層
構造とすれば、隔壁としてPbO系ガラスフリットを含
む絶縁ペーストを使用した場合でも、グリッド電極と隔
壁との間の導通を中間層で遮断することができる。そし
て、隔壁とグリッド電極との界面において、焼成時のA
lの酸化によるPbOの還元を防止でき、従来に比べて
エミッション特性が向上し、寿命の改善が図れる。
【0027】
【発明の実施の形態】図1は本発明による立体グリッド
付蛍光表示管の電極構造の第1実施の形態を示す部分拡
大断面図である。なお、以下に説明する各実施の形態
は、電極構造と製造方法が従来と相違しており、その他
の構成は図3の立体グリッド付蛍光表示管と同一なの
で、電極構造と製造方法以外の説明については省略す
る。
【0028】図1に示すように、第1実施の形態の電極
構造では、絶縁層9上の隔壁14の頂上部にグリッド電
極27が形成されて立体グリッド28を構成している。
【0029】グリッド電極27は、PbO系ガラスフリ
ットを含まない有機金属又はリン酸系ガラスフリットの
少なくとも一方を含むAl導電ペーストのスクリーン印
刷により形成される。このグリッド電極27を印刷形成
するための具体的な導電材料としては、Alに有機Ti
化合物とビークルを混合したもの、AlにP2 5 系ガ
ラスフリットとビークルを混合したもの、Alに有機T
i化合物とP2 5 系ガラスフリットとビークルを混合
したものの何れかが用いられる。
【0030】ここで、Alに有機Ti化合物とビークル
を混合した導電ペーストを用いる場合には、例えばAl
微粉60〜80%、有機Ti化合物3〜25%、ビーク
ル15〜25%の割合で調合される。AlにP2 5
ガラスフリットとビークルを混合した導電ペーストを用
いる場合には、例えばAl微粉40〜80%、P2 5
系ガラスフリット3〜40%、ビークル15〜30%の
割合で調合される。
【0031】なお、上記ビークルは、所定パターン形状
のグリッド電極27をスクリーン印刷するために必要な
もので、有機高分子を有機溶剤に溶解した粘性のある液
体で、焼成時には除去されるものである。
【0032】次に、図2は本発明による立体グリッド付
蛍光表示管の電極構造の第2実施の形態を示す部分拡大
断面図である。
【0033】図2に示すように、第2実施の形態の電極
構造は、図1の第1実施の形態における隔壁14とグリ
ッド電極27との間に中間層30が積層されたもので、
絶縁層9上に隔壁14、中間層30、グリッド電極27
の順に積層形成され、立体グリッド38を構成してい
る。その他の構成については第1実施の形態と同一であ
る。
【0034】中間層30は、有機金属又はリン酸系ガラ
スフリットの何れかを主成分とするペーストのスクリー
ン印刷により形成される。更に説明すると、有機金属を
主成分するペーストとしては、有機Ti化合物にビーク
ルを混合したもの、有機Ti化合物に酸化物とビークル
を混合したものが用いられる。リン酸系ガラスフリット
を主成分とするペーストとしては、結晶質のP2 5
ガラスフリットにビークルを混合したもの、P2 5
ガラスフリットに酸化物とビークルを混合したもの、P
2 5 系ガラスフリットに有機Ti化合物とビークルを
混合したもの、P2 5 系ガラスフリットに有機Ti化
合物と酸化物とビークルを混合したものが用いられる。
酸化物は、流動防止フィラーとして用いられるものであ
り、例えばアルミナやTiO2 等がある。
【0035】なお、上述した各実施の形態において、有
機Ti化合物としては、有機Ti,有機Ti−Zn,有
機Ti−P等が用いられる。また、P2 5 系ガラスフ
リットとしては、P2 5 −SnO系,P2 5 −Sn
O−ZnO系,P2 5 −ZnO系等がガラス主成分と
して用いられる。
【0036】次に、第1実施の形態による電極構造の立
体グリッド付蛍光表示管の製造方法について説明する。
まず、陽極基板3にAl等の導電材をパターンニングし
て所定パターン形状の配線(陽極配線、グリッド配線)
7を形成する。次に、配線7を覆うようにして陽極基板
3上にスルーホール8を有する絶縁層9を印刷形成す
る。その際、表示パターン16を構成する各セグメント
11と、後工程で形成されるグリッド電極27と不図示
のグリッド配線導体との間の接続箇所にそれぞれスルー
ホール8が位置するように絶縁層9を印刷形成する。
【0037】次に、各セグメント11に位置する絶縁層
9のスルーホール8内にAg等の導電材10を印刷形成
してスルーホール8を穴埋めする。同時に、後工程で形
成されるグリッド電極27と不図示のグリッド配線導体
との配線箇所に位置するスルーホール8内にもAg等の
導電材10を印刷形成してスルーホール8を穴埋めす
る。
【0038】次に、穴埋めされた導電材10上に黒鉛等
の導電材ペーストをセグメント11の形状に印刷して陽
極電極12を形成し、更に陽極電極12上に蛍光体層1
3をセグメント11の形状に印刷形成する。次に、鉛系
ガラスフリットの絶縁ペーストを所定幅でスクリーン印
刷して隔壁14を形成する。この隔壁14の印刷は、一
度に印刷可能な高さ(例えば一層当たり20μm)に制
限があるため、印刷と乾燥(80〜200℃)とを複数
回繰り返す。これにより、所定高さの隔壁14が印刷形
成され、セグメント11毎に区画された陽極15が形成
される。
【0039】次に、リン酸系ガラスフリット又は有機金
属の少なくとも一方を含むAl系金属による無鉛の導電
ペーストを隔壁14の頂上部にスクリーン印刷し、55
0〜600℃で焼成する。このとき、隔壁14を構成す
る導電ペーストは鉛を含まないので、Alの酸化により
Pbが析出されることなく、隔壁14の頂上部にグリッ
ド電極27が形成される。
【0040】ここで、フィラメント状の陰極19が張架
配設されたフレームを上記作業とは別の工程で組み上げ
ておく。そして、容器部6における側面板5の底周面
を、ペースト状の低融点ガラスからなる接着材が塗布さ
れた陽極基板3の外周部に位置させ、陽極基板3及び容
器部6を上下から加圧し、陽極基板3の外周部と容器部
6との間を封着して外囲器2を組み立てる。その後、外
囲器2内を高真空状態に排気して封止することにより、
立体グリッド付蛍光表示管が完成する。
【0041】次に、第2実施の形態による電極構造の立
体グリッド付蛍光表示管を製造する場合には、上記製造
工程において、絶縁層9上に隔壁14を印刷形成した
後、有機金属又はリン酸系ガラスフリットを主成分とす
るペーストを隔壁14の頂上部にスクリーン印刷して中
間層30を形成する。次に、有機金属又はリン酸系ガラ
スフリットの少なくとも一方を含むAlによる無鉛の導
電ペーストを隔壁14の頂上部にスクリーン印刷して5
50〜600℃で焼成する。その後の製造工程について
は、第1実施の形態による電極構造の立体グリッド付蛍
光表示管の製造方法と同一である。これにより、隔壁1
4とグリッド電極27との間が中間層30により遮断さ
れ、焼成時にグリッド電極27の構成要素であるAlペ
ーストが隔壁14に流入して溶け込むことがなく、隔壁
14とグリッド電極27の導通が防止される。
【0042】なお、上記製造工程において、リン酸系ガ
ラスフリットを主成分とするペーストを隔壁14の頂上
部にスクリーン印刷して中間層30を形成する場合に
は、中間層30の軟化点がグリッド電極27の焼結温度
より高く、中間層30の焼結温度が隔壁14の軟化点よ
り低く設定される。これにより、焼成時には、グリッド
電極27を構成するAl導電ペーストが溶けて固まり、
その後、中間層30を構成するリン酸系ガラスフリット
を主成分とするペーストが溶けて固まり、最後に隔壁1
4を構成するPbO系ガラスフリットを主成分とするペ
ーストが溶けて固まることになる。その結果、中間層3
0が結晶化する前に隔壁14が溶けてポーラスが生じる
のを防ぐことができる。
【0043】また、有機Ti化合物にビークルを混合し
た絶縁ペーストを隔壁14の頂上部にスクリーン印刷す
ると、形成される中間層30が薄膜となるため、印刷と
乾燥を複数回繰り返して複数層に形成する。これによ
り、ポーラスを生じることなく、隔壁14とグリッド電
極27との間のPbの還元反応を中間層30で防止する
ことができる。
【0044】このように、第1実施の形態の電極構造に
よれば、有機金属又はリン酸系ガラスフリットの少なく
とも一方を含むAlによる無鉛の導電ペーストのスクリ
ーン印刷によりグリッド電極27が形成されるので、従
来のように焼成時のAlの酸化によりPbOが還元さ
れ、グリッド電極27にPbを析出することがない。
【0045】第2実施の形態の電極構造によれば、有機
金属又はリン酸系ガラスフリットを主成分とする絶縁ペ
ーストのスクリーン印刷により隔壁14とグリッド電極
27との間に中間層30を形成した積層構造となってい
るので、隔壁14としてPbO系ガラスフリットを含む
絶縁ペーストを使用した場合に、隔壁14とグリッド電
極27との界面における焼成時のAlの酸化によるPb
Oの還元を防止できる。この結果、従来に比べてエミッ
ション特性が向上し、寿命の改善を図ることができる。
【0046】図8に典型的な2極管の静特性を示す。図
中Iの領域は初速電流領域と呼ばれ、カソードから放出
される電子のうち負のアノード電圧に打ち勝つエネルギ
ーを持っている電子がアノードに流入する領域である。
【0047】アノード電圧を負から正に上げていくと、
さらにカソードから多数の電子がアノード方向に加速さ
れて放出され、放出電子がアノードとカソードの空間に
充満し、カソードが電子によって遮蔽された状態で平衡
を保つ。この領域IIを空間電荷制限領域という。さらに
アノード電圧を大きくしていくと、カソードの電子放出
能力でアノード電流が制限されてしまう温度制限領域II
I となる。このときのカソードからの全電流Isは下記
のリチャードソン・ダッシュマンの式(1)で表され
る。
【0048】 Is=SATn exp(−eφ/KT)…(1)
【0049】したがって、温度制限領域で温度Tを一定
に保ち、Isを測定することによってカソードの出来、
不出来を評価できる。このIsをエミッションと呼ぶ。
【0050】そこで、本件発明者は上記測定原理に基づ
き、従来の構成の鉛系ガラスフリットを含むAl導体ペ
ーストと本実施の形態の構成の無鉛のAl導電ペースト
を2極管構造の蛍光表示管に実装し、それぞれについて
エミッションの評価を行った。
【0051】その結果、従来の電極構造によるエミッシ
ョンを100とした場合、第1実施の形態の電極構造で
はグリッド電極27を構成する導電ペーストの選択材料
に応じて200〜300に、第2実施の形態の電極構造
ではグリッド電極27を構成する導電ペースト及び中間
層30を構成する絶縁ペーストの選択材料に応じて15
00以上にそれぞれエミッションが向上することが判っ
た。
【0052】また、従来の電極構造では、1000時間
で暗線を発生していたのに対し、本実施の形態の電極構
造によれば、10000時間経過しても暗線を発生する
ことがなく、従来よりも寿命を向上させることができ
る。
【0053】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、有機金属又はリン酸系ガラスフリットの少なく
とも一方を含むAlによる無鉛の導電ペーストのスクリ
ーン印刷によりグリッド電極が形成されるので、従来の
ように焼成時のAlの酸化によりPbOが還元されてグ
リッド電極にPbを析出することがなく、従来に比べて
エミッションを向上させることができる。
【0054】有機金属又はリン酸系ガラスフリットの何
れかを主成分とするペーストのスクリーン印刷によって
隔壁とグリッド電極との間に中間層を設けた積層構造と
すれば、隔壁としてPbO系ガラスフリットを含む絶縁
ペーストを使用した場合に、グリッド電極と隔壁との間
の導通を中間層で遮断することができる。これにより、
隔壁とグリッド電極との界面において、焼成時のAlの
酸化によるPbOの還元を防止でき、従来に比べてエミ
ッション特性が更に向上し、寿命の改善も図れる。
【0055】リン酸系ガラスフリットを主成分とするペ
ーストにより中間層を印刷形成する場合、焼成時におけ
る中間層の軟化点がグリッド電極の焼結温度より高く、
中間層の焼結温度が隔壁の軟化点より低く設定すること
により、中間層が結晶化する前に隔壁が溶けてポーラス
が生じるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による立体グリッド付蛍光表示管の第1
実施の形態の電極構造を示す部分拡大断面図
【図2】本発明による立体グリッド付蛍光表示管の第2
実施の形態の電極構造を示す部分拡大断面図
【図3】立体グリッド付蛍光表示管の一構成例を示す一
部裁断平面図
【図4】従来の立体グリッド付蛍光表示管の電極構造を
示す部分断面図
【図5】Al微粉を570℃で焼成したときの示差熱分
析結果
【図6】Al微粉にPbOガラスフリットを加え焼成し
た試料を再度570℃まで示差熱分析を行った結果
【図7】図6の部分拡大図
【図8】典型的な2極管の静特性を示す図
【符号の説明】
1…立体グリッド付蛍光表示管、11…セグメント、1
3…蛍光体層、14…隔壁、16…表示パターン、27
…グリッド電極、28,38…立体グリッド、30…中
間層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 利儀 千葉県茂原市大芝629 双葉電子工業株式 会社内 Fターム(参考) 5C027 BB03 5C036 EE01 EE08 EF02 EF05 EG15 EH11 EH22 EH23

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表示パターンをなす各セグメントの蛍光
    体層を取り囲むように鉛系ガラスフリットの絶縁材料か
    らなる隔壁が印刷形成され、前記隔壁の頂上部にグリッ
    ド電極が印刷形成された立体グリッド付蛍光表示管の電
    極構造において、 前記グリッド電極は、有機金属又はリン酸系ガラスフリ
    ットの少なくとも一方を含むAl系金属からなることを
    特徴とする立体グリッド付蛍光表示管の電極構造。
  2. 【請求項2】 前記隔壁と前記グリッド電極との間に
    は、有機金属又はリン酸系ガラスフリットの何れかを主
    成分とする中間層が設けられた請求項1記載の立体グリ
    ッド付蛍光表示管の電極構造。
  3. 【請求項3】 前記隔壁と前記グリッド電極との間に
    は、リン酸系ガラスフリットを主成分とする中間層が設
    けられ、焼成時における前記中間層の軟化点が前記グリ
    ッド電極の焼結温度より高く、前記中間層の焼結温度が
    前記隔壁の軟化点より低く設定されている請求項1記載
    の立体グリッド付蛍光表示管の電極構造。
  4. 【請求項4】 前記有機金属が有機Ti化合物からな
    り、 前記リン酸系ガラスフリットがP2 5 −SnO系、P
    2 5 −SnO−ZnO系、P2 5 −ZnO系の何れ
    かのガラス主成分でなる請求項1〜3の何れかに記載の
    立体グリッド蛍光表示管の電極構造。
  5. 【請求項5】 表示パターンをなす各セグメントの蛍光
    体層を取り囲むように鉛系ガラスフリットの絶縁部材か
    らなる隔壁が印刷形成され、前記隔壁の頂上部にグリッ
    ド電極が印刷形成された立体グリッド付蛍光表示管の製
    造方法において、 有機金属又はリン酸系ガラスフリットの少なくとも一方
    を含むAl導電ペーストを前記隔壁の頂上部に印刷して
    グリッド電極を形成する工程を含むことを特徴とする立
    体グリッド付蛍光表示管の製造方法。
  6. 【請求項6】 有機金属又はリン酸系ガラスフリットの
    何れかを主成分とするペーストを前記隔壁の頂上部に印
    刷して中間層を形成し、前記中間層の頂上部に前記グリ
    ッド電極を形成する工程を含む請求項5記載の立体グリ
    ッド付蛍光表示管の製造方法。
  7. 【請求項7】 リン酸系ガラスフリットを主成分とする
    ペーストを前記隔壁の頂上部に印刷して中間層を形成
    し、この中間層の頂上部に前記グリッド電極を形成した
    後に焼成する工程を含み、焼成時における前記中間層の
    軟化点を前記グリッド電極の焼結温度より高く、前記中
    間層の焼結温度を前記隔壁の軟化点より低く設定した請
    求項5記載の立体グリッド付蛍光表示管の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記グリッド電極を形成する前記Al導
    電ペーストは、Alに有機Ti化合物とビークルを混合
    したもの、Alにリン酸系ガラスフリットとビークルを
    混合したもの、Alに有機Ti化合物とリン酸系ガラス
    フリットとビークルを混合したものの何れかでなる請求
    項5記載の立体グリッド付蛍光表示管の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記中間層を形成する前記ペーストは、
    リン酸系ガラスフリットにビークルを混合したもの、リ
    ン酸系ガラスフリットに酸化物とビークルを混合したも
    の、リン酸系ガラスフリットに有機Ti化合物とビーク
    ルを混合したもの、リン酸化合物に有機Ti化合物と酸
    化物とビークルを混合したものの何れかでなる請求項6
    又は7記載の立体グリッド付蛍光表示管の製造方法。
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WO2011104859A1 (ja) * 2010-02-26 2011-09-01 株式会社日立製作所 電子部品、導電性ペーストおよび電子部品の製造方法

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