JP2000007787A - ポリアミド樹脂の低粘度水性エマルジョン及び当該水性エマルジョンの製造方法 - Google Patents

ポリアミド樹脂の低粘度水性エマルジョン及び当該水性エマルジョンの製造方法

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JP2000007787A JP19106698A JP19106698A JP2000007787A JP 2000007787 A JP2000007787 A JP 2000007787A JP 19106698 A JP19106698 A JP 19106698A JP 19106698 A JP19106698 A JP 19106698A JP 2000007787 A JP2000007787 A JP 2000007787A
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Mikihiro Goto
幹裕 後藤
Norihito Ikeda
則仁 池田
Yasuyoshi Sanada
安祥 真田
Yorishige Matsuba
頼重 松葉
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Harima Chemical Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリアミド樹脂の水性エマルジョンに関し、
常温でも低粘度で経時安定性に優れたきわめて実用的な
水性エマルジョンを提供する。 【解決手段】 ダイマー酸変性ポリアミド樹脂を初めと
する各種ポリアミド樹脂の水性エマルジョンにおいて、
乳化剤とC〜Cジアミン及びC〜C二塩基酸の
混合物とを含有させ、或は乳化剤とC〜Cアミノス
ルホン酸化合物とを含有させる。通常の乳化剤に加え
て、特定のジアミンと二塩基酸の混合物、或は特定のア
ミノスルホン酸化合物を併用するため、ポリアミド樹脂
の低粘度水性エマルジョンを有効に製造でき、分散経時
安定性にも優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリアミド樹脂の水
性エマルジョンに関し、常温でも低粘度であり、分散経
時安定性に優れたきわめて実用的な水性エマルジョンを
提供する。
【0002】
【発明の背景】ポリアミド樹脂は、基本的にアジピン酸
やグルタル酸などの二塩基酸とエチレンジアミンやヘキ
サメチレンジアミンなどの各種ポリアミン類とを加熱縮
合反応で脱水させて得られる樹脂の総称である。また、
トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸などの植物油脂肪酸中に
はオレイン酸やリノール酸などの不飽和脂肪酸が多く含
まれるが、この不飽和脂肪酸を二量化して得られるダイ
マー酸を(主成分として)上記二塩基酸に選択したものが
ダイマー酸変性ポリアミド樹脂であり、このダイマー酸
変性ポリアミド樹脂においては液状物から軟化点180
℃程度に至る固形樹脂までの様々な性状のものが合成で
きる。
【0003】上記ダイマー酸変性ポリアミド樹脂は、設
計段階でアミノ基/カルボキシル基の比率を変えること
によって反応性タイプと非反応性タイプの樹脂を夫々作
り分けることができ、例えば、アミノ基の比率をカルボ
キシル基よりも多くすると反応性タイプの樹脂、また、
アミノ基とカルボキシル基の比率を同程度にすると非反
応性タイプのものが合成できる。通常、上記反応性タイ
プのポリアミド樹脂はエポキシ樹脂の硬化剤として常用
され、塗料用樹脂や土木建築用途などの構造用接着剤
(リベットやボルトの代替或はコンクリート補強用)など
にも幅広く使用される。一方、非反応性タイプのポリア
ミド樹脂は熱可塑性樹脂であるため、主としてホットメ
ルト型接着剤に使用されるが、具体的用途面では、優れ
た剪断接着強度を有することから梱包用接着剤に、ま
た、優れた電気絶縁性から電機や電子部品などの固定用
接着剤に広く用いられる。さらに、印刷インキ分野では
特殊グラビヤインキ用のビヒクルとしても使用されてい
る。
【0004】しかしながら、上記ポリアミドの固形樹脂
は100%の固体であるために加熱しなければ使用に適
した液状にならないことや、VOC問題(揮発性化学物
質の規制問題)のクローズアップ及びトルエンなどへの
溶剤溶解性に限界があり、溶剤の種類も限定されること
などの理由により、紙や各種プラスチックフィルムに薄
膜塗工することは難しく、紙やフィルム製品の接着剤用
途には殆ど使われていないのが現状である。
【0005】
【従来の技術】一方、ダイマー酸変性ポリアミド樹脂を
初めとする各種ポリアミド樹脂を水中に分散できれば上
記問題点も克服できると思われるが、ポリアミド樹脂は
分子中に強い極性のアミド結合を有するため、ポリアミ
ド樹脂の粒子同士が水中で多価の電解質的挙動を示し、
凝集しようとする相互作用が働いて、安定な分散相を形
成することは容易でない。ちなみに、通常の水分散技術
でも加熱時には低粘度の水性エマルジョンが得られる
が、冷却すると急激に増粘して高粘度になったり、極端
な場合には固化するため、実用性に乏しいという問題が
ある。
【0006】以上のように、近年、安定に分散したポリ
アミド樹脂の水性エマルジョンはその開発が強く求めら
れており、この要求に対応するものとして、特表平5−
507521号公報、或は特表平5−507114号公
報などには、通常の界面活性剤に加えて、グリシン、p
−アミノ安息香酸、アルギニン、フェニルアラニンなど
の特定のアミノ酸或はその塩を併用することによって、
ポリアミド樹脂を水中に安定に分散するようにしたポリ
アミド樹脂の水性エマルジョンが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、特定
のアミノ酸或はその塩を使用することにより、ポリアミ
ド樹脂を水中に常温でも増粘することなく安定に分散し
ようとするものであり、アミノ酸としては、特にグリシ
ンやp−アミノ安息香酸が好ましいと述べている(特表
平5−507521号公報の第4頁右上欄第6行〜第7
行、特表平5−507114号公報の第8頁左上欄の最
下寄り2行参照)。しかしながら、実際には、グリシン
と乳化剤を併用してポリアミド樹脂の水性エマルジョン
を製造しても、加温状態にある製造直後から冷却する過
程でエマルジョンの増粘が始まり、常温では充分な低粘
度が得られずに強い粘稠性を帯びることから、アミノ酸
類を用いた水性エマルジョンは最低限の実用レベルの具
備という点で問題が多いことが判る。本発明は、上記ア
ミノ酸類とは異なる別種の化合物を用いて、常温でも低
粘度を示すとともに、分散経時安定性に優れたポリアミ
ド樹脂の水性エマルジョンを得ることを技術的課題とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特定炭素
数を有する特定のアミンと酸の組み合わせ、或は特定の
アミノスルホン酸化合物は、適性な両性的性質と適性な
分子量や分子容などの兼備が推測されることから、水中
に存在するポリアミド樹脂粒子のアミド結合部分に働く
相互作用に対して有効な阻害活性が期待できることを着
想し、鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成した。
【0009】即ち、本発明1は、ポリアミド樹脂の水性
エマルジョンにおいて、(a)乳化剤、(b)C2〜C8ジア
ミンとC2〜C8二塩基酸の混合物を含有することを特徴
とするポリアミド樹脂の低粘度水性エマルジョンであ
る。
【0010】本発明2は、ポリアミド樹脂の水性エマル
ジョンにおいて、(a)乳化剤、(b)C1〜C8アミノスル
ホン酸化合物を含有することを特徴とするポリアミド樹
脂の低粘度水性エマルジョンである。
【0011】本発明3は、上記本発明1の(b)のジアミ
ンと二塩基酸の混合物又は上記本発明2の(b)のアミノ
スルホン酸化合物を、ポリアミド樹脂の固形分に対して
0.01〜10重量%含有させることを特徴とするポリ
アミド樹脂の低粘度水性エマルジョンである。
【0012】本発明4は、上記本発明1〜3のいずれか
において、ポリアミド樹脂が、ダイマー酸とポリアミン
類を縮合反応させたダイマー酸変性ポリアミド樹脂であ
ることを特徴とするダイマー酸変性ポリアミド樹脂の低
粘度水性エマルジョンである。
【0013】本発明5は、上記本発明1の(b)のジアミ
ンと二塩基酸の混合物又は上記本発明2の(b)のアミノ
スルホン酸化合物と、乳化剤との存在下で、転相乳化或
は機械乳化などにより、水中にポリアミド樹脂を分散さ
せることを特徴とするポリアミド樹脂の低粘度水性エマ
ルジョンの製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明1の(b)のジアミンは基本
的に水溶性を具備し、炭素数が2〜8個の鎖状又は環状
の低分子化合物をいい、具体的には、エチレンジアミ
ン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、
ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ト
リエチレンジアミン、ピペラジン、イミダゾール、イミ
ダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリジン、2−ピラゾリ
ン、3−ピラゾリン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジ
ン、フェニレンジアミンなどをいうが、好ましくはC2
〜C4ジアミンであるエチレンジアミン、ピペラジンな
どが挙げられる。また、上記ジアミンの鎖状又は環状の
基本骨格には、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、メ
ルカプト基、アセチル基、ニトロ基、ハロゲンなどの各
種置換基が1個以上結合しても良いが、水溶性を促進す
る見地からは水酸基などが好ましい。
【0015】本発明1の(b)の二塩基酸は基本的に水溶
性を具備し、炭素数が2〜8個の鎖状又は環状の飽和脂
肪族、不飽和脂肪族、或は芳香族などのジカルボン酸、
ジスルホン酸、スルホカルボン酸などの低分子酸をい
い、具体的には、シュウ酸、(無水)コハク酸、マロン
酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、リンゴ酸、
酒石酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、
メサコン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、
スルホ安息香酸、スルホコハク酸、ベンゼンジスルホン
酸、などをいうが、好ましくはC2〜C4二塩基酸である
シュウ酸、(無水)コハク酸、マロン酸などが挙げられ
る。また、上記二塩基酸の鎖状又は環状の基本骨格に
は、上記リンゴ酸や酒石酸などのような水酸基の他、ア
ルキル基、アルコキシ基、メルカプト基、アセチル基、
ニトロ基、ハロゲンなどの各種置換基が1個以上結合し
ても良いが、水溶性を促進する見地からは水酸基などが
好ましい。
【0016】上記ジアミンと二塩基酸の組み合わせとし
ては、ピペラジンとマロン酸、エチレンジアミンとマロ
ン酸、エチレンジアミンとシュウ酸、ピペラジンとシュ
ウ酸、エチレンジアミンと(無水)コハク酸、ピペラジン
と(無水)コハク酸などが好ましい。
【0017】上記ジアミンと二塩基酸は変性ポリアミド
樹脂の分散時に併存していること(即ち、両化合物の混合
物であること)が重要である。例えば、上記ジアミンと
二塩基酸を水に溶解させると、塩基と酸の極性基間の相
互作用で塩を形成したり、或は、一方の化合物のアミノ
基やカルボキシル基などが他方の化合物との間に水素結
合を形成して緩やかに会合することなどが推測できる
が、本発明1の基本原理としては、混合物としての両化
合物が相互に作用を及ぼし合って変性ポリアミド樹脂に
対して分散能を働きかける場合だけではなく、当該混合
物のうちの各化合物が夫々並列的に変性ポリアミド樹脂
に働きかける場合をも包含する。
【0018】上記ジアミン、二塩基酸は夫々単用又は併
用でき、ジアミンと二塩基酸の混合物の添加量は変性ポ
リアミド樹脂の固形分に対して0.01〜10重量%で
あり、好ましくは0.5〜3重量%である。この場合、
ジアミンと二塩基酸の配合比率はモル比換算でジアミン
/二塩基酸=1/3〜3/1であり、好ましくは8/1
0〜10/8である。
【0019】本発明2の上記アミノスルホン酸化合物
は、分子中にアミノ基とスルホン酸基を夫々1個以上有
する炭素数1〜8個の低分子酸、及びその塩であり、具
体的には、アミノメタンスルホン酸、アミノエタンスル
ホン酸(タウリン)、1−アミノプロパン−2−スルホン
酸、1−アミノプロパン−3−スルホン酸、アミノプロ
パンジスルホン酸、アミノベンゼンスルホン酸、アミノ
ベンゼンジスルホン酸など、及びこれらのアルカリ金
属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アミンなどの塩
であるが、好ましくはC1〜C2アミノスルホン酸である
アミノメタンスルホン酸やタウリンなどが挙げられる。
また、上記アミノスルホン酸化合物は、前述したよう
に、アミノ基とスルホン酸基を1個以上有して炭素数が
1〜8個である条件を備えていれば、当該化合物の基本
骨格は鎖状又は環状、その他どのような化学構造のもの
でも差し支えない。当該アミノスルホン酸化合物の基本
骨格には、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、メルカ
プト基、アセチル基、ニトロ基、ハロゲンなどの各種置
換基が1個以上結合しても良く、水溶性を促進する見地
からは水酸基などが好ましい。上記アミノスルホン酸化
合物は単用又は併用でき、そのポリアミド樹脂固形分に
対する添加量は0.01〜10重量%、好ましくは0.5
〜5重量%である。
【0020】また、本発明1のC2〜C8ジアミン及びC
2〜C8二塩基酸の混合物と、本発明2のC1〜C8アミノ
スルホン酸化合物とは併用することができ、その場合の
添加量は、当該混合物とアミノスルホン化合物との合計
量がポリアミド樹脂固形分に対して0.01〜10重量
%になるように調整すると良い。
【0021】上記ポリアミド樹脂は、基本的に二塩基酸
とジアミンの重縮合、アミノカルボン酸の重縮合、或は
ラクタムの開環重合などの各種反応で得られるアミド結
合を有する高分子樹脂の総称であり、各種の変性ポリア
ミド樹脂を初め、一部水素添加された反応物で製造され
たもの、他のモノマーが一部共重合された製造物、或は
各種添加剤などの他の物質が混合されたものなどを含む
広い概念であり、具体的には、ダイマー酸変性ポリアミ
ド樹脂などが好ましい。
【0022】上記ダイマー酸変性ポリアミド樹脂を製造
する際のダイマー酸としては、トール油脂肪酸、大豆油
脂肪酸などに含まれる天然の一塩基性不飽和脂肪酸を重
合したダイマー酸が工業的に広く用いられるが、原理的
には、飽和脂肪族、不飽和脂肪族、脂環式、或は芳香族
などの各種ジカルボン酸などであっても良い。上記重合
脂肪酸にはC36やC54などのダイマー酸が広く用いら
れ、各種のジカルボン酸にはC2〜C22酸、具体的に
は、シュウ酸、マロン酸、(無水)コハク酸、(無水)マレ
イン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリ
ン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソ
フタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,3
−又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,18−
オクタデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジ
カルボン酸などが用いられる。当該ダイマー酸の市販品
としては、ハリダイマー200、300(ハリマ化成社
製)、バーサダイム228(日本ヘンケル社製)、エンポ
ール1022(米国ヘンケル社製)などが挙げられる。さ
らに、水素添加されたダイマー酸も使用でき、水添ダイ
マー酸の市販品としてはプリポール1009(Unichema
社製)などが挙げられる。また、上記ダイマー酸は、相
当する酸無水物、エステル、酸ハロゲン化物などを包含
する概念である。
【0023】上記ダイマー酸変性ポリアミド樹脂を製造
する際の反応物としてのポリアミン類は、例えば、C2
〜C20の脂肪族、脂環式、芳香族などの各種ジアミン、
トリアミン、ポリアミンなどである。上記ジアミンの具
体例としては、エチレンジアミン、トリエチレンジアミ
ン、テトラエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、p−又はm−キシレンジアミン、4,4′−メチレ
ンビス(シクロヘキシルアミン)、2,2−ビス−(4−シ
クロヘキシルアミン)、ポリグリコールジアミン、イソ
ホロンジアミン、1,2−、1,3−又は1,4−シクロ
ヘキサンジアミン、1,4−ビス−(2′−アミノエチ
ル)ベンゼン、ピペラジンなどが挙げられる。また、ト
リアミンにはジエチレントリアミンなどが挙げられ、ポ
リアミンにはトリエチレンテトラミン、テトラエチレン
ペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどが挙げられ
る。好ましくは、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジ
アミン、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミ
ン)などである。
【0024】上記ポリアミン類とダイマー酸或は各種ジ
カルボン酸とは常法により加熱縮合され、脱水を伴った
アミド化工程によりダイマー酸変性ポリアミド樹脂を初
めとする各種ポリアミド樹脂が製造される。一般に、反
応温度は100〜300℃程度、反応時間は1〜8時間
程度である。上記ダイマー酸変性ポリアミド樹脂の市販
品としては、ニューマイド940、945、825、8
50(ハリマ化成社製)などが挙げられる。また、上記ダ
イマー酸変性ポリアミド樹脂は、(メタ)アクリル酸など
の他の反応性化合物で変性されていても良い。さらに、
種々の酸価又はアミン価を有する(変性)ポリアミド樹脂
は、水性エマルジョンを形成させる前に、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウムなどの塩基、或は、ギ酸、酢酸、
塩酸などの酸を加えて、樹脂に残留するカルボキシル基
やアミノ基などを塩形成させ(中和させ)、補助的に乳化
を促進させることができる。
【0025】上記乳化剤は通常のカチオン系、アニオン
系或はノニオン系などの界面活性剤をいう。上記カチオ
ン系界面活性剤としては、ラウリルトリアルキルアンモ
ニウム塩、ステアリルトリアルキルアンモニウム塩、ト
リアルキルベンジルアンモニウム塩などの第四級アンモ
ニウム塩、第一級〜第三級アミン塩、ラウリルピリジニ
ウム塩などのピリジニウム塩、ベンザルコニウム塩、ベ
ンゼトニウム塩、或は、ラウリルアミンアセテートなど
が挙げられる。上記アニオン系界面活性剤としては、脂
肪酸塩、ロジン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキ
ルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン
酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニル
エーテルジスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル
(アリール)硫酸エステル塩などが挙げられる。上記ノニ
オン系界面活性剤としては、C1〜C20アルカノール、
フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、C1〜C
20アルキルフェノール、アリールアルキルフェノール、
1〜C20アルキルナフトール、ポリオキシエチレン(プ
ロピレン)グリコール、脂肪族アミンなどにエチレンオ
キシド及び/又はプロピレンオキシドなどを付加したも
の、アミンオキシドなどが挙げられる。尚、この外にも
カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカル
ボン酸型、イミダゾリン誘導体型などの両性界面活性剤
も使用できる。上記乳化剤の添加量は、ポリアミド樹脂
固形分に対して0.1〜8重量%、好ましくは0.5〜3
重量%である。
【0026】上記ダイマー酸変性ポリアミド樹脂を初め
とする各種ポリアミド樹脂の水性エマルジョンは、転相
乳化、機械乳化、その他の常法により製造される。上記
転相乳化方式は、最初にポリアミド樹脂中の水のエマル
ジョンを生成させ、次いで、逆転水を添加して水中のポ
リアミド樹脂のエマルジョンを生成させる手法であり、
油中水型エマルジョンを水中油型エマルジョンに変換す
るものである。本発明1のジアミンと二塩基酸の混合物
及び/又は本発明2のアミノスルホン酸化合物は逆転水
の中や、最初の油中水型エマルジョンの水の中に加えた
り、その他の常法により添加される。本発明1〜2の乳
化剤の添加方式も同様である。上記機械乳化は、単純パ
ドルミキサーによる撹拌乳化法、或は、コロイドミル、
ホモミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波分散機など
による機械乳化法などのように、強制的にポリアミド樹
脂を水中に分散させる方式である。
【0027】
【作用】水中に存在するポリアミド樹脂粒子は分子中の
アミド結合の会合的な相互作用で分散系を安定に持続す
ることは難しいが、特定のジアミンと二塩基酸を組み合
わせて乳化剤と併存させると、上記ポリアミド樹脂粒子
の相互作用を有効に阻害して、当該樹脂粒子の分散系を
安定化するように働くと推定できる。即ち、後述の試験
例に示すように、上記特定のジアミンと二塩基酸の混合
物では、各化合物を単用した場合には、両化合物を混合
物として使用したときのような作用を奏さないことか
ら、両化合物の組み合わせでは塩形態、或は緩い会合形
態などが形成されて両性的性質などを帯びるため、上記
ポリアミド樹脂粒子の相互作用に対して適性な阻害活性
を示すものと推定できる。また、上記特定のジアミンや
二塩基酸の夫々が適性な分子量、分子容などに基づく良
好な活動度を期待できることもこの樹脂粒子への阻害作
用に有効に寄与するものと推定できる。一方、特定のア
ミノスルホン酸化合物も上記特定のジアミンと二塩基酸
の組み合わせに類した機能をもって水中のポリアミド樹
脂粒子の相互作用に有効に作用するものと思われる。
【0028】ちなみに、冒述の従来技術に開示されたア
ミノ酸類を用いた水性エマルジョンは、実際には、常温
での低粘度安定性に問題が多く、アミノ酸類と対比する
ことにより、本発明の特定ジアミンと二塩基酸の組み合
わせ及び/又は特定アミノスルホン酸化合物の選択的有
効性が明確になる。
【0029】
【発明の効果】(1)本発明1〜2では、通常の乳化剤に
加えて、特定のジアミン及び二塩基酸の混合物、或は特
定のアミノスルホン酸化合物を併用するので、後述の試
験例に示すように、常温でも低粘度で安定に分散したダ
イマー酸変性ポリアミド樹脂を初めとする各種ポリアミ
ド樹脂の水性エマルジョンを製造できる。具体的な水準
で説明すると、当該水性エマルジョンは有効な実用レベ
ルである1000mPa・s以下を示し、さらに詳しく
は約600mPa・s以下の良好な低粘度を実現できる
ことから、接着剤用途、水性塗料用途での塗布などに好
適であり、特に、紙や各種プラスチックなどへの薄膜塗
工も容易であり、高い実用性を具備している。しかも、
本発明は、後述の試験例に示すように、様々な酸価、或
はアミン価を有する(即ち、各種設計比率の)ポリアミド
樹脂に対しても低粘度の水性エマルジョンを有効に得る
ことができ、ポリアミド樹脂自体の性状を問わず広く適
用できる。
【0030】(2)本発明のポリアミド樹脂の水性エマル
ジョンは良好な低粘度を示すとともに、当該粘度や濾過
性などは数カ月以上の長期間に亘り良好な水準を維持す
ることから、分散経時安定性にも優れている。尚、乳化
剤の存在下で、本発明1の特定のジアミン及び二塩基酸
の混合物と、本発明2の特定のアミノスルホン酸化合物
とを併用した場合にも、当然に上記(1)及び当該(2)と同
様の効果が期待できる。
【0031】(3)冒述のように、ダイマー酸変性ポリア
ミド樹脂を初めとする各種ポリアミド樹脂はアミノ基と
カルボキシル基の設計比率を変えることで反応性タイプ
と非反応性タイプに作り分けることができるが、本発明
の水性エマルジョンのうち、前者のタイプは土木建築用
の構造用接着剤、水性塗料、アスファルトバインダーな
どの用途に適しており、後者のタイプは梱包用接着剤、
電機や電子部品等の固定用接着剤、印刷インキ用ビヒク
ルなどの用途に適している。
【0032】
【実施例】以下、ダイマー酸変性ポリアミド樹脂の水性
エマルジョンの製造実施例を順次説明するとともに、各
実施例で得られた水性エマルジョンの粘度、濾過性など
に関する各種試験例を併記する。尚、本発明は下記の実
施例に拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の
範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
【0033】下記の実施例1〜9に用いたダイマー酸変
性ポリアミド樹脂と実施例10では樹脂の残酸価、或は
残アミン価が異なる。また、実施例1〜7及び10は特
定のジアミンと二塩基酸を組み合わせた例、実施例8〜
9は特定のアミノスルホン酸化合物の含有例である。
尚、実施例1〜7及び10では、ジアミンと二塩基酸は
全て等モル比で添加した。一方、比較例1〜6に用いた
ダイマー酸変性ポリアミド樹脂と比較例7では樹脂の残
酸価、或は残アミン価が異なる。また、比較例1と7は
ジアミンと二塩基酸の両方を含まず乳化剤のみを用いた
ブランク例、比較例2〜4は特定の二塩基酸のみの含有
例、比較例5〜6は特定のジアミンのみの含有例であ
る。
【0034】《実施例1》攪拌機、窒素導入管、温度
計、冷却管及び滴下漏斗を備えた反応容器に、ダイマー
酸変性ポリアミド樹脂(ニューマイド940(ハリマ化成
(株)製品):アミン価1.0、酸価11.5、軟化点12
0℃)を100重量部仕込んだ後、窒素ガスを導入しな
がら加熱を開始し、ポリアミド樹脂を溶解した。ポリア
ミド樹脂が溶解した時点で、攪拌を開始し溶解温度が1
40℃になるまで冷却した。次いで、85%の苛性カリ
0.88重量部とエマルゲン935(花王(株)製品:ポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル)3重量部を秤
量し、温めた軟化水36.12重量部を加えて溶解した
水溶液を滴下漏斗に仕込んだ。そして、反応容器内温を
90〜95℃に維持しながら攪拌を継続して当該水溶液
を徐々に滴下し、粘稠分散物を形成させた。但し、当該
苛性カリは変性ポリアミド樹脂の残カルボキシル基部を
中和し、上記ノニオン系界面活性剤の乳化作用を補助・
促進する目的で加えた。次いで、マロン酸1.09重量
部とピペラジン0.91重量部を採取し、軟化水158
重量部を加えて希釈した水溶液を滴下漏斗に仕込み、引
き続き同温度下で滴下しながら攪拌添加して白色の水分
散物を得た。当該分散物を40℃まで冷却し200メッ
シュ金網でろ過を行い、変性ポリアミド樹脂の水性エマ
ルジョンを得た。
【0035】《実施例2》上記実施例1において、マロ
ン酸添加量を0.55重量部とし、ピペラジン添加量を
0.45重量部として軟化水156重量部に溶解した水
溶液を使用した以外は実施例1と同様の条件で操作し、
変性ポリアミド樹脂の水性エマルジョンを得た。
【0036】《実施例3》上記実施例1において、マロ
ン酸添加量を1.27重量部とし、ピペラジン0.91重
量部の代わりにエチレンジアミン0.73重量部を使用
し、軟化水158重量部に溶解した水溶液を使用した以
外は実施例1と同様の条件で操作して、変性ポリアミド
樹脂の水性エマルジョンを得た。
【0037】《実施例4》上記実施例3において、マロ
ン酸添加量を0.64重量部とし、エチレンジアミン添
加量を0.36重量部として、軟化水156重量部に溶
解した水溶液を使用した以外は実施例3と同様の条件で
操作して、変性ポリアミド樹脂の水性エマルジョンを得
た。
【0038】《実施例5》上記実施例1において、マロ
ン酸とピペラジンを軟化水に溶解した水溶液の代わり
に、95%のシュウ酸1.20重量部とエチレンジアミ
ン0.80重量部を軟化水156重量部に溶解した水溶
液を使用した以外は実施例1と同様の条件で操作して、
変性ポリアミド樹脂の水性エマルジョンを得た。
【0039】《実施例6》上記実施例1において、マロ
ン酸とピペラジンを軟化水に溶解した水溶液の代わり
に、95%のシュウ酸1.02重量部とピペラジン0.9
8重量部を軟化水158重量に溶解した水溶液を使用し
た以外は実施例1と同様の条件で操作して、変性ポリア
ミド樹脂の水性エマルジョンを得た。
【0040】《実施例7》上記実施例1において、マロ
ン酸とピペラジンを軟化水に溶解した水溶液の代わり
に、無水コハク酸1.25重量部とエチレンジアミン0.
75重量部を軟化水158重量部に溶解した水溶液を使
用した以外は実施例1と同様の条件で操作して、変性ポ
リアミド樹脂の水性エマルジョンを得た。
【0041】《実施例8》上記実施例1において、マロ
ン酸とピペラジンを軟化水に溶解した水溶液の代わり
に、タウリン3重量部を軟化水160重量部に溶解した
水溶液を使用した以外は実施例1と同様の条件で操作
し、変性ポリアミド樹脂の水性エマルジョンを得た。
【0042】《実施例9》上記実施例8において、タウ
リンの代わりにアミノメタンスルホン酸1.5重量部を
軟化水157重量部に溶解した水溶液を使用した以外は
実施例1と同様の条件で操作して、変性ポリアミド樹脂
の水性エマルジョンを得た。
【0043】《実施例10》上記実施例1において、ニ
ューマイド940の代わりにニューマイド945(アミ
ン価10.0、酸価0.8、軟化点125℃)100重量
部を用い、また、85%の苛性カリ0.88重量部と3
重量部のエマルゲン935を軟化水36.12重量部に
加えた水溶液の代わりに、76%のギ酸0.76重量部
と3重量部のエマルゲン935を軟化水36.24重量
部に加えた水溶液を用いた以外は実施例1と同様の条件
で操作して、変性ポリアミド樹脂の水性エマルジョンを
得た。但し、上記ギ酸は変性ポリアミド樹脂の残アミノ
基部を中和し、乳化作用を補助する目的で加えた。
【0044】《比較例1》攪拌機、窒素導入管、温度
計、冷却管及び滴下漏斗を備えた反応容器に、ポリアミ
ド樹脂(ニューマイド940)を100重量部仕込んだ
後、窒素ガスを導入しながら加熱を開始し、ポリアミド
樹脂を溶解した。そして、ポリアミド樹脂が溶解した時
点で、攪拌を開始し溶解温度が140℃になるまで冷却
した。次いで、0.88重量部の85%苛性カリと3重
量部のエマルゲン935を秤量し、温めた軟化水36.
12重量部を加えて溶解した水溶液を滴下漏斗に仕込ん
だ。そして、反応容器内温を90〜95℃に維持しなが
ら攪拌を継続して当該水溶液を徐々に滴下し、粘稠分散
物を形成させた。次いで、軟化水154重量部を滴下漏
斗に仕込み、引き続き同温度下で滴下しながら攪拌添加
して白色の水性エマルジョンを得た。当該エマルジョン
を40℃まで冷却して200メッッシュ金網でろ過を試
みたが、粘度が高いために濾過できなかった。
【0045】《比較例2》上記比較例1において、軟化
水154重量部の代わりに、95%のシュウ酸1重量部
を軟化水156重量部に溶解した水溶液を使用した以外
は比較例1と同様の条件で操作して、白色、低粘度の水
性エマルジョンを得た。当該エマルジョンを90℃前後
から40℃まで冷却して200メッシュ金網で濾過を試
みたが、エマルジョンの破壊が顕著であるために濾過で
きなかった。
【0046】《比較例3》比較例1において、軟化水1
54重量部の代わりに、無水コハク酸1重量部を軟化水
156重量部に溶解した水溶液を使用した以外は比較例
1と同様の条件で操作して、白色、低粘度の水性エマル
ジョンを得た。当該エマルジョンを90℃前後から40
℃まで冷却して200メッシュ金網で濾過を試みたが、
エマルジョンの破壊が顕著であるために濾過できなかっ
た。
【0047】《比較例4》比較例1において、軟化水1
54重量部の代わりに、マロン酸1重量部を軟化水15
3重量部に溶解した水溶液を使用した以外は比較例1と
同様の条件で操作して、白色、低粘度の水性エマルジョ
ンを得た。当該エマルジョンを90℃前後から40℃ま
で冷却して200メッシュ金網で濾過を試みたが、エマ
ルジョンの破壊が顕著であるために濾過できなかった。
【0048】《比較例5》比較例1において、軟化水1
54重量部の代わりに、エチレンジアミン1重量部を軟
化水153重量部に溶解した水溶液を使用した以外は比
較例1と同様の条件で操作して、白色、高粘度の水性エ
マルジョンを得た。当該エマルジョンを90℃前後から
40℃まで冷却して200メッシュ金網で濾過を試みた
が、エマルジョンが非常に高粘度となったので濾過でき
なかった。
【0049】《比較例6》比較例1において、軟化水1
54重量部の代わりに、ピペラジン1重量部を軟化水1
53重量部に溶解した水溶液を使用した以外は比較例1
と同様の条件で操作して、白色、高粘度の水性エマルジ
ョンを得た。当該エマルジョンを90℃前後から40℃
まで冷却して200メッシュ金網で濾過を試みたが、粘
度が高いために濾過できなかった。
【0050】《比較例7》比較例1において、ニューマ
イド940の代わりに100重量部のニューマイド94
5を用い、また、85%の苛性カリ0.88重量部の代
わりに76%のギ酸0.76重量部を用いた以外は比較
例1と同様の条件で操作して、白色、高粘度の水性エマ
ルジョンを得た。当該エマルジョンを90℃前後から4
0℃まで冷却して200メッシュ金網で濾過を試みた
が、半固化状態となったので濾過できなかった。
【0051】《水性エマルジョンの性状試験例》そこ
で、上記実施例1〜10並びに比較例1〜7で得られた
水性エマルジョンを常温に冷却して、当該水性エマルジ
ョンの濾過性、固形分、25℃における粘度及びpHの
各種性状を調べた。測定は冷却時点と1カ月経過時点で
行った。尚、水性エマルジョンの粘度は、E型粘度計
(トキメック社製)を用いて回転数10回転/分の条件で
25℃の粘度を測定した。また、水性エマルジョンの濾
過性は200メッシュ金網を用いて目視で測定し、目詰
まりなく良好に金網濾過できた場合には○の評価、メッ
シュの目詰まりが激しかったり、エマルジョン自体が破
壊していた場合には×の評価をした。
【0052】図1〜図2はその試験結果を示す。但し、
実施例1〜10の水性エマルジョンでは、冷却時の性状
は1カ月経過時点でも変化がなく安定であったので、図
1は各実施例の1カ月経過時点での結果のみを示した。
また、図2は各比較例の冷却時点での結果のみを示し
た。尚、比較例7では、エマルジョンが冷却に伴い固化
状態になったので、PH及び粘度は測定しなかった。
【0053】先ず、実施例1〜10の水性エマルジョン
の濾過性は、1カ月経過後でも全て良好で○の評価であ
った。これに対して、比較例1〜7では、冷却時点で既
にエマルジョン自体が破壊されてペースト状を呈した
り、ゲル化が進んで半固形状を呈するなどして濾過性が
なく、全て×であった。
【0054】特定ジアミンと二塩基酸を組み合わせた
(等モル比で混合)実施例1〜7の粘度(1カ月経過時点)
を見ると、ピペラジンとマロン酸を組み合わせた実施例
1〜2では、添加モル量が多い実施例1は少ない実施例
2より粘度が顕著に低下した。この点は、エチレンジア
ミンとマロン酸を組み合わせた実施例3〜4でも同様の
傾向を示した。但し、添加モル量が少ない方の実施例2
の粘度は580mPa・s、同様に実施例4は630m
Pa・sであり、共に1000mPa・s以下の粘度を示
すため、実用レベルに問題はなかった。また、特定ジア
ミンと二塩基酸の組み合わせを変えた実施例1、3、5
〜7の関係を見ると、いずれの場合も粘度は400mP
a・s以下を示して、低粘度で安定分散した水性エマル
ジョンが得られることを確認した。また、実施例1と1
0(共に、ピペラジンとマロン酸の組み合わせ)を見る
と、変性ポリアミド樹脂自体の酸価、或はアミン価を問
わず、特定のジアミンと二塩基酸の組み合わせは、低粘
度で安定分散した水性エマルジョンの製造に広く適用で
きることが判る。
【0055】一方、実施例8〜9は特定のアミノスルホ
ン酸化合物を用いた例であり、1カ月経過後の水性エマ
ルジョンの粘度は共に400mPa・s以下を示し、特
に、タウリンを用いた実施例8では160mPa・sを
示し、前記特定のジアミンと二塩基酸の組み合わせと同
様の良好な分散安定作用が確認できた。
【0056】これに対して、比較例1〜7の粘度は、前
記濾過性の結果とも照合するが、エマルジョンを常温に
冷却した時点で、既に分散系が破壊されていた。比較例
1と7のブランク例(通常のノニオン系界面活性剤のみ
を使用)ではペースト状や固化状を呈したが、特定のジ
アミンのみを用いた比較例5〜6も同様のペースト状を
呈した。特定の二塩基酸のみを用いた比較例2〜4の粘
度は低く、サラサラした状態であったが、前述のように
エマルジョン自体の破壊が顕著であった。即ち、通常の
ノニオン系界面活性剤のみを用いても、常温で安定した
変性ポリアミド樹脂の水性エマルジョンは得られず、特
定のジアミン或は特定の二塩基酸についても、これらを
単用した場合には、やはり分散安定性のある水性エマル
ジョンが得られないことが判った。
【0057】他方、冒述の従来技術では、乳化剤に加え
てアミノ酸を併用すること、及びアミノ酸にはグリシン
などが好ましいことが述べられているため、前記実施例
8において、タウリン3重量部の代わりにグリシン3重
量部を軟化水160重量部に溶解した水溶液を使用した
以外は実施例8と同様の条件で操作して、変性ポリアミ
ド樹脂の水性エマルジョンを追加的に製造し、試験し
た。しかしながら、当該グリシン含有エマルジョンは、
冷却過程で増粘が始まり、常温での粘度は1400mP
a・s程度を示し、濾過も容易でないという試験結果で
あった(図示省略)。従って、アミノ酸類を用いた水性エ
マルジョンは、特定ジアミンと二塩基酸の組み合わせ、
或は特定アミノスルホン酸化合物を用いた本発明の水性
エマルジョンに比べて、常温での粘度や濾過性などに劣
り、最低限の実用レベルの具備という点で問題が多いこ
とが確認できた。また、この対比によって、本発明の特
定ジアミンと二塩基酸の組み合わせ、或は特定アミノス
ルホン酸化合物の選択的有効性が明確になった。
【0058】尚、実施例1〜10の水性エマルジョンの
ポリアミド樹脂固形分は概ね35%前後を示し、pHも
概ね弱酸性〜弱アルカリ性の範囲内にあった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜10のダイマー酸変性ポリアミド樹
脂の水性エマルジョンの組成、並びに粘度や濾過性など
の試験結果を示す図表である。
【図2】比較例1〜7に関する図1相当図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C09D 177/00 C09J 177/00 C09J 177/00 (72)発明者 真田 安祥 兵庫県加古川市野口町水足671番地の4 ハリマ化成株式会社内 (72)発明者 松葉 頼重 兵庫県加古川市野口町水足671番地の4 ハリマ化成株式会社内 Fターム(参考) 4F070 AA54 AC12 AC40 AC46 AC50 AE14 AE28 CA02 CA17 CB02 CB13 4J002 AF022 CH052 CL011 CL021 CL031 CL041 CL051 EC036 EC066 EF068 EF078 EF118 EG016 EJ016 EJ026 EJ036 EL148 EN037 EN077 EN096 EN097 EN107 EN116 EN136 ES007 ES008 EU046 EU116 EU117 EU127 EU137 EU147 EV068 EV087 EV186 EV236 EV238 EV256 FD312 FD316 GG02 GH00 GH01 GJ01 GL00 GQ00 HA07 4J038 DH001 DH021 JA39 JB04 JC13 KA09 MA08 MA10 4J040 EG021 HD13 JA03 KA38 LA01 LA05 QA01 QA08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド樹脂の水性エマルジョンにお
    いて、 (a)乳化剤、 (b)C2〜C8ジアミンとC2〜C8二塩基酸の混合物を含
    有することを特徴とするポリアミド樹脂の低粘度水性エ
    マルジョン。
  2. 【請求項2】 ポリアミド樹脂の水性エマルジョンにお
    いて、 (a)乳化剤、 (b)C1〜C8アミノスルホン酸化合物を含有することを
    特徴とするポリアミド樹脂の低粘度水性エマルジョン。
  3. 【請求項3】 請求項1の(b)のジアミン及び二塩基酸
    の混合物又は請求項2の(b)のアミノスルホン酸化合物
    を、ポリアミド樹脂の固形分に対して0.01〜10重
    量%含有させることを特徴とするポリアミド樹脂の低粘
    度水性エマルジョン。
  4. 【請求項4】 ポリアミド樹脂が、ダイマー酸とポリア
    ミン類を縮合反応させたダイマー酸変性ポリアミド樹脂
    であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に
    記載のダイマー酸変性ポリアミド樹脂の低粘度水性エマ
    ルジョン。
  5. 【請求項5】 請求項1の(b)のジアミン及び二塩基酸
    の混合物又は請求項2の(b)のアミノスルホン酸化合物
    と、乳化剤との存在下で、転相乳化或は機械乳化などに
    より、水中にポリアミド樹脂を分散させることを特徴と
    するポリアミド樹脂の低粘度水性エマルジョンの製造方
    法。
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