JP2000002959A - 感光性ハロゲン化銀乳剤 - Google Patents

感光性ハロゲン化銀乳剤

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JP2000002959A
JP2000002959A JP16550298A JP16550298A JP2000002959A JP 2000002959 A JP2000002959 A JP 2000002959A JP 16550298 A JP16550298 A JP 16550298A JP 16550298 A JP16550298 A JP 16550298A JP 2000002959 A JP2000002959 A JP 2000002959A
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emulsion
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mol
silver halide
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Shigeji Urabe
茂治 占部
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】多くの吸着色素を有し且つ光反射の少ない平板
状ハロゲン化銀粒子からなる感光性ハロゲン化銀乳剤を
提供する事にある。 【解決手段】分散媒と(111)を主表面とするハロゲ
ン化銀平板状粒子からなる感光性ハロゲン化銀乳剤にお
いて、該平板状粒子はホスト平板粒子とその主表面上の
ゲスト微少突起物(エピタキシー)からなり、該ホスト
平板粒子が、その厚さが0.1μm 以下で、少なくとも
70モル%の臭化銀を含有し、該ホスト平板粒子の50
%以上(個数)がその主表面上に投影面積径が0.15
μm 以下の突起物を10〜10,000個/μm2有し、
該突起物は少なくともヨウ化銀を1モル%、且つ少なく
とも塩化銀を60モル%含有している事を特徴とする感
光性ハロゲン化銀乳剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は感光性ハロゲン化銀
乳剤、特に写真用ハロゲン化銀平板粒子乳剤に関する。
【0002】
【従来の技術】平板状ハロゲン化銀粒子(以下「平板状
粒子」という)は、その写真特性として 1)体積に対する表面積の比率(以下比表面積という)
が大きく、多量の増感色素を表面に吸着させることがで
きる為、固有感度に対して、色増感感度が相対的に高
い。 2)平板状粒子を含む乳剤を塗布し、乾燥した場合、そ
の粒子が支持体表面に平行に配列する為塗布層の厚さを
薄くでき、その写真感光材料のシャープネスが良い。 3)レントゲン写真システムでは、平板状粒子に増感色
素を加えると、ハロゲン化銀クロスオーバー光を顕著に
減少させることができ、画質の劣化を防止できる。 4)光散乱が少なく、解像力の高い画像が得られる。 5)ブルー光に対する感度が低い為、緑感光層または、
赤感光層に用いた場合に乳剤中からイエローフィルター
を除去できる。 この様に多くの利点を有する為、従来から高感度の市販
感光材料に用いられてきている。特公平6−44132
号、特公平5−16015号には、アスペクト比8以上
の平板状粒子乳剤が開示されている。ここでいうアスペ
クト比とは、平板状粒子の厚さに対する直径の比率で示
される。さらに粒子の直径とは、乳剤粒子を顕微鏡また
は電子顕微鏡で観察した時、粒子の投影面積と等しい面
積を有する円の直径を指すものとする。また厚みは平板
状ハロゲン化銀を構成する二つの平行な面の距離で示さ
れる。
【0003】また、特公平4−36374号には、緑感
乳剤層、赤感乳剤層の少なくとも一層に、厚さ0.3μ
未満、直径0.6μ以上である平板状粒子を用いること
により、鮮鋭度と感度及び粒状性を向上させたカラー写
真感光材料が記載されている。しかるに近年、ハロゲン
化銀感光材料の高感度化及び小フォーマット化が進み、
より高感度で画質の改良されたカラー感光材料が強く望
まれている。その為、より高感度で、より粒状性の優れ
たハロゲン化銀粒子乳剤が要求されており、従来の平板
状ハロゲン化銀乳剤では、これらの要求に応えるには、
不十分であり、より一層の性能向上が望まれていた。
【0004】また、アスペクト比の大きい平板状粒子ほ
ど比表面積が大きくなるので上記の平板状粒子の利点を
大きく活用する事ができる。高いアスペクト比を実現す
る為には、平板状粒子の厚さを減少させる事が必要にな
ってくる。特開平8−69069号には、(111)主
表面を有し、銀に対して70モル%以上の臭化物を含有
する平均等価円相当径が0.7μm 以上で平均厚さが
0.07μm 未満である粒子が全投影面積の90%を超
える割合を占めるハロゲン化銀乳剤で、該粒子上に化学
増感部位が、粒子表面上にエピタキシアル位置されたハ
ロゲン化銀平板状粒子乳剤が記載されている。ここでは
該エピタキシーは光吸収により放出された電子を有効に
集める必要からその生成位置が限定される事が好まし
く、平板状粒子のエッジ又はコーナーに成長すると効果
的であると記載されている。
【0005】即ち、0.07μm 未満の「超薄平板状粒
子」は、より大きい表面積を有する事により、より多く
の増感色素を吸着する事ができ、1粒子当たりの光の吸
収量を多くし、高感度を得る事を可能にする。一方、特
開平6−43605号、同6−43606号には、平板
状粒子の厚さが0.1μm より薄くなると、入射光がそ
れに垂直に配向した平板状粒子の主表面でより反射する
程度が激しくなり、結果的に平板粒子を薄くして表面積
を増やしより多くの増感色素を吸着せさる事により、平
板状粒子の光吸収を増加させる効果が減少してしまうの
で、0.07μm 未満の「極薄平板状粒子」ではなくて
アスペクト比10以上で厚さが0.14〜0.17μm
である平板状粒子乳剤を赤色感光層に用いる事が開示さ
れている。
【0006】かくして平板状粒子の厚さ0.1μm 未満
に減少させて平板状粒子の表面積を増加させる事は、よ
り多くの増感色素を吸着可能にする事と同時に、入射光
をより多く反射させる事となり、期待通りの光吸収の増
加を得る事が困難になる。
【0007】平板状粒子の厚さを薄くする事なく表面積
を増加させる方法として、特開昭63−264739号
に、粒子表面に投影面積径が0.15μm 以下の突起物
が10〜10000個/μm2存在し、且つ該ハロゲン化
銀乳剤硫黄化合物、セレン化合物及び金化合物から選ば
れる化合物で化学増感され、さらにメチン色素により分
光増感される事を特徴とするハロゲン化銀粒子乳剤が開
示されている。該特許においてこれらの突起物を粒子表
面に多数存在させる事により表面積が増加する事が示さ
れている。該特許においては、突起物のハライド組成は
臭化銀、塩臭化銀、塩化銀に限定されており、この突起
物の安定性の為に化学増感前にメルカプト化合物とか増
感色素を吸着させる事が開示されている。しかし塩化銀
は臭化銀やヨウ臭化銀に比較して、分光増感色素の吸着
が弱く、この方法では使用できる分光増感色素が吸着力
がかなり強い色素に制限されてしまうと言う問題点があ
っった。
【0008】特公平8−12390号には、ホスト粒子
表面上に主表面のハロゲン化銀格子を延長して微少突起
物からなるラッフル面を有するハロゲン化銀粒子が開示
されている。該発明においては、この微小突起物によっ
て、粒子の表面積を増加させるものであるが、ホスト粒
子と該突起物のハライド組成は同一であり、該突起物の
形成の為には特別の吸着物の使用が必要である。従って
粒子形成後、分光増感の為に増感色素を粒子表面に吸着
させる時に、この吸着物を除去する必要がある為、実用
上の困難を伴う。また分光増感色素の吸着でこの突起物
を形成できる場合があるが、その色素が限定されてお
り、一般的な増感色素で分光増感する事が制限されると
言う問題点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、多く
の吸着色素を有し且つ光反射の少ない平板状ハロゲン化
銀粒子からなる感光性ハロゲン化銀乳剤とその製造法、
及び該乳剤を用いた感光性ハロゲン化銀材料を提供する
事にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、次項に
よって達成された。 (1)分散媒と(111)を主表面とするハロゲン化銀
平板状粒子からなる感光性ハロゲン化銀乳剤において、
該平板状粒子はホスト平板粒子とその主表面上のゲスト
微少突起物(エピタキシー)からなり、該ホスト平板粒
子が、その厚さが0.1μm 以下で、少なくとも70モ
ル%の臭化銀を含有し、該ホスト平板粒子の50%以上
(個数)がその主表面上に投影面積径が0.15μm 以
下の突起物を10〜10,000個/μm2有し、該突起
物は少なくともヨウ化銀を1モル%、且つ少なくとも塩
化銀を60モル%含有している事を特徴とする感光性ハ
ロゲン化銀乳剤。 (2)ホスト平板粒子の主表面上の突起物が少なくとも
ヨウ化銀を3モル%、塩化銀を80モル%含有する事を
特徴とする(1)に記載の感光性ハロゲン化銀乳剤。 (3)転位線が一粒子当たり平均10本以上存在する平
板粒子乳剤である事を特徴とする(1)に記載のハロゲ
ン化銀写真材料。 (4)分散媒と(111)を主表面とするハロゲン化銀
平板状粒子からなる感光性ハロゲン化銀乳剤において、
ホスト平板粒子とその主表面上のゲスト微少突起物(エ
ピタキシー)からなり、該ホスト平板粒子が、その厚さ
が0.1μm 以下で、少なくとも70モル%の臭化銀を
含有し、該ホスト平板粒子の50%以上(個数)がその
主表面上に投影面積径が0.15μm 以下の突起物を1
0〜10,000個/μm2有し、該突起物は少なくとも
ヨウ化銀を1モル%、且つ少なくとも塩化銀を60モル
%含有しており、該突起物を+110mV以上の高銀電位
で形成する事を特徴とする感光性ハロゲン化銀乳剤の製
造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明におけるホスト平板状ハロ
ゲン化銀粒子(以下、「ホスト平板粒子」という)と
は、2つの対向する平行な主表面を有し該主表面の円相
当直径(該主表面と同じ投影面積を有する円の直径)が
主表面の距離(即ち粒子の厚み)より5倍以上大きな粒
子をいう。本発明のホスト平板粒子の平均粒子直径/粒
子厚み比は、5〜100が好ましく、10〜80である
事がさらに好ましく、さらに20から80が好ましい。
ここに、平均粒子直径/粒子厚みとは、全平板粒子の粒
子直径/厚み比を平均することにより得られるが簡便な
方法としては、全平板粒子の平均直径と、全平板粒子の
平均厚みとの比として求める事も出来る。
【0012】本発明のホスト平板粒子の直径(円相当)
は0.3〜20μm 、好ましくは0.5〜15μm 、さ
らに好ましくは0.5から10μm である。粒子厚みは
0.1μm 以下、好ましくは0.07μm 、さらに好ま
しくは0.05〜0.01μm である。本発明に於ける
粒子直径、粒子厚みの測定は米国特許第4,434,2
26号に記載の方法の如く粒子の電子顕微鏡写真より求
める事ができる。即ち粒子の厚みの測定は、参照用のラ
テックスとともに粒子の斜め方向から金属を蒸着し、そ
のシャドーの長さを電子顕微鏡写真上で測定し、ラテッ
クスのシャドーの長さを参照にして計算する事により容
易に知る事ができる。
【0013】本発明のホスト平板粒子は、その主表面が
(111)面である。(111)面を主表面にする平板
粒子は、1枚の双晶面か2枚以上の平行な双晶面を有す
るハロゲン化銀粒子の総称である。双晶面とは(11
1)面の両側ですべての格子点のイオンが鏡像関係にあ
る場合にこの(111)面の事をいう。この平板粒子は
上から見た時に三角形状、6角形状もしくはこれらが丸
みを帯びた形状をしており、三角形状のものは三角形
の、6角形状のものは6角形の、丸みをおびた平板粒子
はそれぞれの角が丸くなった形の互いに平行な外表面を
有している。
【0014】本発明に用いられるホスト平板粒子であ
る、(111)主表面型平板状粒子の製法としては、米
国特許第4,434,226号、同4,439,520
号、同4,414,310号、同4,433,048
号、同4,414,306号、同4,459,353号
等にその製法及び使用技術が開示されている。また特開
平6−214331号に開示されているように、一旦核
形成をして種晶乳剤を得た後、それを成長に都合の良い
様に、pH、pAg等の条件を設定して、銀及びハロゲ
ン溶液を添加して成長せしめ、平板状粒子を形成する事
もできる。また好ましい一つの方法として、保護コロイ
ド水溶液を保持する反応容器に銀塩水溶液とハライド水
溶液を添加するかわりにハロゲン化銀微粒子を添加して
平板状粒子を形成する。この方法については、米国特許
第4,879,208号、特開平1−183644号、
同2−4435号、同2−43535号、同2−685
38号にその技術が開示されている。また平板状粒子形
成におけるヨウ素イオンの供給法として、微粒子ヨウ化
銀(粒子径0.1μm 以下、好ましくは0.06μm 以
下)乳剤を添加しても良く、この際、ヨウ化銀微粒子の
供給法として米国特許第4,879,208号に開示さ
れている製造法を用いる事が好ましい。
【0015】本発明のホスト平板粒子には、単分散平板
状粒子を用いる事が好ましい。これに関しては、特開昭
63−11928号、特公平5−61205号に単分散
六角形平板状粒子が、特開平1−131541号には、
円形単分散平板状粒子が開示されている。また特開平2
−838号には全投影面積の95%以上が主表面に平行
な2枚の双晶面を持つ平板状粒子で占められており、か
つ該平板状粒子のサイズ分布が単分散である乳剤が開示
されている。欧州特許第514,742A号には、ポリ
アルキレンオキサイドブロックコポリマーを用いて調製
された粒子サイズの変動係数が10%以下の平板状粒子
乳剤が開示されている。
【0016】本発明のホスト平板粒子に用いられる高臭
化銀(111)平板状粒子に関しては下記の特許に記載
されている。米国特許第4,425,425号、同4,
425,426号、同443,426号、同4,43
9,520号、同4,414,310号、同4,43
3,048号、同4,647,528号、同4,66
5,012号、同4,672,027号、同4,67
8,745号、同4,684,607号、同4,59
3,964号、同4,722,886号、同4,72
2,886号、同4,755,617号、同4,75
5,456号、同4,806,461号、同4,80
1,522号、同4,835,322号、同4,83
9,268号、同4,914,014号、同4,96
2,015号、同4,977,074号、同4,98
5,350号、同5,061,609号、同5,06
1,616号、同5,068,173号、同5,13
2,203号、同5,272,048号、同5,33
4,469号、同5,334,495号、同5,35
8,840号、同5,372,927号。
【0017】本発明のホスト平板粒子に用いられる高ア
スペクト比或いは超薄平板の製造においては、核形成工
程及び/又は成長工程を行う反応容器の外に混合容器を
設け、混合容器に水溶性銀塩の水溶液と水溶性ハロゲン
塩の水溶液を供給して混合し、ハロゲン化銀微粒子を形
成し、直ちに該微粒子を該反応容器に供給し、該反応容
器中でハロゲン化銀粒子の核形成及び/又は成長を行わ
せることが好ましい。この方法に関しては米国特許第
4,879,208号、米国特許第5,035,991
号、米国特許第5,270,159号、欧州特許第50
7,701号、米国特許第5,250,403号。以下
に本発明で用いるハロゲン化銀微粒子形成用混合容器に
ついて述べるが、詳細は、特願平8−207219号の
記載を参考に出来る。混合容器とは、攪拌対象の水溶性
銀塩と水溶性ハロゲン塩を流入させる所定数の供給口と
攪拌処理を終えて生成したハロゲン化銀微粒子乳剤を排
出する排出口を備えた攪拌槽と、該攪拌槽内で少なくと
も一つの攪拌羽根が回転駆動されることで該攪拌槽内の
液体の攪拌状態を制御する攪拌手段とを備えた攪拌装置
のことである。前記攪拌手段の望ましい一形態として
は、攪拌槽内で二つ以上の回転駆動される攪拌羽根によ
り攪拌混合が行われ、かつ少なくとも二つの攪拌羽根が
攪拌槽内の相対向する位置に離間して配置され互いに逆
向きに回転駆動される。該攪拌羽根はそれぞれの攪拌羽
根が近接する槽壁の外側に配置された外部磁石と磁気カ
ップリングによって、槽壁を貫通する軸を持たない構造
を構成し、それぞれの外部磁石を槽外に配備されたモー
ターで回転駆動することで各攪拌羽根が回転される。該
磁気カップリングで連結される攪拌羽根および外部磁石
の一方には、N極面とS極面とが回転中心軸線に対して
平行で各該回転中心軸を挟んで重なる如く配置された両
面2極型磁石を使用し、他方にはN極面とS極面とが前
記回転中心軸線に直交する平面上で前記回転中心軸に対
して対称位置に並ぶ左右2局型磁石を使用する。(図
1)に本発明に関わる混合容器(攪拌装置)の一実施形
態を示す。
【0018】(図1)において、攪拌槽18は、上下方
向に中心軸を向けた槽本体19と、該槽本体19の上下
の開口端を塞ぐ槽壁となるシールプレート20とで構成
される。攪拌羽根21、22は攪拌槽18内の相対向す
る上下端に離間して配置されて、互いに逆向きに回転駆
動される。各攪拌羽根21、22はそれぞれの攪拌羽根
21、22が近接する槽壁の外側に配置された外部磁石
26と磁気カップリングCを構成している。すなわち、
各攪拌羽根21、22は磁力でそれぞれの外部磁石26
に連結されており、各外部磁石26を独立したモーター
28、29で回転駆動することで互いに逆向きに回転操
作できる。攪拌槽18は、攪拌される銀塩水溶液、ハロ
ゲン塩水溶液、および必要に応じてコロイド溶液を液供
給口11、12、13と攪拌処理を終えたハロゲン化銀
微粒子乳剤を排出する排出口16を持つ。本発明におい
ては、該混合容器内で、相対向する攪拌羽根を駆動する
際、その回転数は、1000rpm 以上、好ましくは30
00rpm 以上である。また、逆向きに回転する攪拌羽根
は同じ回転数でも良く、異なった回転数でも良い。
【0019】本発明のホスト平板粒子のハロゲン組成と
しては、ヨウ臭化銀、塩ヨウ臭化銀、臭化銀である。本
発明のホスト平板粒子のハロゲン組成に関する構造につ
いては、X線回折、EPMA(XMAという名称もあ
る)法(電子線でハロゲン化銀粒子を走査して、ハロゲ
ン化銀組成を検出する方法)、ESCA(X線を照射し
て粒子表面から出てくる光電子を分光する方法)などを
組み合わせる事により確認する事ができる。本発明にお
いて粒子表面とは、表面より50Å程度の深さまでの領
域を表し、そのハロゲン組成は通常ESCA法により測
定できる。粒子内部とは、上記の表面領域以外の領域を
いう。
【0020】本発明のホスト平板の主表面上の微少突起
物(エピタキシー)は、形状を規定する二つの定数で表
わされる。即ち一つは投影面積径で0.15〜0.01
μm、好ましくは0.13〜0.02μm 、より好まし
くは0.1〜0.03μm 以下である。ここに投影面積
径とは該突起物の上部からの投影面積と同面積を有する
円の直径で表わされる。もう一つは突起物の高さであ
る。突起物の高さは高いほど有効である。(100)面
からなる三角錐が突起物の場合、三角錘の高さは三角錘
の投影面積径の0.55倍である。本発明で示す突起物
は、その高さが投影面積径の0.4倍以上のものを言
う。この突起物の場合、突起物の側面の面積は、突起物
の底面積の1.73倍になり、この突起物によって平板
粒子の表面積は増加する。一方この突起物の付着により
平板粒子は実質的にその厚さを増加させる事になる。
【0021】厚さが0.1μm 未満の超薄平板状粒子
は、より大きい表面積を有する事により、1粒子当たり
より多くの増感色素を吸着する事ができ、1粒子当たり
の光の吸収量を多くし、高感度を得る事を可能にする。
一方、特開平6−43605号、同6−43606号に
記載されている様に、平板粒子の厚さが0.1μm より
薄くなると、入射光がそれに垂直に配向した平板粒子の
主表面でより反射する程度が激しくなり、結果的に平板
粒子を薄くして表面積を増やし、より多くの増感色素を
吸着させる事により、粒子の光吸収を増加させると言う
効果が減少してしまうので、0.07μm 未満の極薄平
板状粒子ではなくてアスペクト比10以上で厚さが0.
14〜0.17μm である平板状粒子乳剤を赤色感光層
に、厚さが0.11〜0.13μm である平板状粒子を
緑色感光層に、厚さが0.08〜0.10μm である平
板状粒子を青色感光層に用いる事が開示されている。
【0022】本発明ではこの問題を一挙に解決する手段
を提示した。即ち本発明においては、ホスト平板粒子は
0.1μm 未満の超薄平板状粒子で、粒子当たりの表面
積は非常に大きく、さらにその主表面に微少突起物を多
数形成する事により、さらに表面積を増加させる事がで
きる。一方、上記の平板状粒子の厚さが減少して0.1
μm 未満になる事による光反射の増大は、この微小突起
物を平板粒子の主表面上に多数形成する事により、実質
的に平板状粒子の厚さが増大し、光反射の増加を防ぐ事
ができる。本発明の平板状粒子は、表面積の顕著な増大
による増感色素吸着量の大きな増加を実現し、且つ光反
射が増加する問題を解決する事によって、平板状粒子当
たりの光吸収量を顕著に増加させる事により、これまで
にない高感度を実現するものである。
【0023】一般に塩化銀含量が多いとその水に対する
溶解度が高く、本発明に言う微少な突起物(エピタキシ
ー)は、溶解しやすくその形体を保持しにくい。また一
般的に、写真用ハロゲン化銀粒子の分光増感に用いられ
る増感色素の吸着は、ヨウ臭化銀、臭化銀、塩化銀の順
番で弱くなる。本発明ではこの塩化銀含量の多い突起物
にヨウ化銀を含有させる事によって、上記の問題点を解
決した。即ちヨウ化銀を含有させる事で突起物の溶解度
が低下してその形体が安定に保持され、かつ突起物の表
面にヨウドイオンが存在する事により増感色素の吸着が
強化される。このヨウ化銀の効果は後述の実施例で明ら
かに示される。
【0024】突起物の単位面積(μm2)当たりの個数は
1×10〜104 ケ、好ましくは2×10〜104 ケ、
より好ましくは3×10〜104 ケである。本発明のよ
うにホスト平板粒子の主表面上に多数の微少突起物が形
成される主な理由は粒子母体成分と突起物成分の格定数
の違いから起こるものと考えられる。ハロゲン化銀組成
の格子定数は、例えばT.H.James "The Theory of the P
hotographic Process"4th. ed. p.3 〜4(1977年 MaCmil
lan社 N.Y.)に示されている。ホスト平板粒子の格子定
数と突起物の格子定数が大きく異なると、ホスト平板の
面方向の成長に対して効し構造の歪みを緩和できなくな
るまで突起物成分による成長がすすみ、その後或いは同
時に面方向以外に成長する為ホスト平板粒子の主表面上
に多数の突起物が形成されるものと考えられる。
【0025】本発明の突起物の好ましいハライド組成
は、塩化銀含量が60〜99モル%、好ましくは75〜
99%、より好ましくは80〜97%であり、且つヨウ
化銀含量が1〜12モル%、好ましくは3〜12モル
%、より好ましくは5〜12モル%である。さらに本発
明の突起物は臭化銀を1〜30モル%、好ましくは1〜
15モル%含む事ができる。該突起物は塩化銀を多く含
む為、溶解しやすく、その形体が変化しやすい。この塩
化銀突起物にヨウ化銀を含有させる事により、この突起
物の形体が安定化し、且つ増感色素の吸着が容易にな
る。ヨウ化銀は突起物全体に均一に含有させてもよい
が、また突起物の表面近く或いは表面に局在させても良
い。またこれらの突起物の表面に粒子成長停止剤を吸着
させる事でも該突起物の形体安定化を実現させる事がで
きる。この粒子成長停止剤の添加は特に突起物形成直
後、水洗工程前である事が好ましい。本発明で言う粒子
成長停止剤とはハロゲン化銀粒子表面に強く吸着し粒子
形体の変化を防ぐ素材、例えばメルカプト化合物、アゾ
ール化合物、増感色素またはその組み合わせである。メ
ルカプト化合物、アゾール化合物では次のようなものが
挙げられる。
【0026】すなわちアゾール類、例えばベンゾチアゾ
リウム塩、ニトロイミダゾール類、ニトロベンズイミダ
ゾール類、クロロベンズイミダゾール類、プロモベンズ
イミダゾール類、メルカプトチアゾール類、メルカプト
ベンゾチアゾール類、メルカプトベンズイミダゾール
類、メルカプトチアジアゾール類、アミノトリアゾール
類、ベンゾトリアゾール類、ニトロベンゾトリアゾール
類、メルカプトテトラゾール類(特に1−フェニル−5
−メルカプトテトラゾール)など;メルカプトピリミジ
ン類;メルカプトトリアジン類:例えばオキサドリンチ
オンのようなチオケト化合物;アザインデン類、例えば
トリアザインデン類、テトラアザインデン類(特に4−
ヒドロキシ置換(1,3,3a,7)テトラアザインデ
ン類)、ペンタアザインデン類など;ベンゼンチオスル
フォン酸、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフォン
酸アミド等のようなカブリ防止剤または安定剤として知
られた、多くの化合物を加えることができる。またアデ
ニン類も含むことができる。色素では次のようなものが
挙げられる。シアニン色素、メロシアニン色素、複合シ
アニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシア
ニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素およびヘミ
オキソノール色素が包含される。特に有用な色素は、シ
アニン色素、メロシアニン色素、および複合メロシアニ
ン色素に属する色素である。これらの色素類には、塩基
性異節環核としてシアニン色素類に通常利用される核の
いずれをも適用できる。すなわち、ピロリン核、オキサ
ゾリン核、チアゾリン核、ピロール核、オキサゾール
核、チアゾール核、セレナゾール核、イミダゾール核、
テトラゾール核、ピリジン核など;これらの核に脂環式
炭化水素環が融合した核;およびこれらの核に芳香族炭
化水素環が融合した後、すなわち、インドレニン核、ベ
ンズインドレニン核、インドール核、ベンズオキサドー
ル核、ナフトオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、ナ
フトチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンズイミ
ダゾール核、キノリン核などが適用できる。これらの核
は炭素原子上に置換基を有していてもよい。メロシアニ
ン色素または複合メロシアニン色素にはケトメチレン構
造を有する核としてピラゾリン−5−オン核、チオヒダ
ントイン核、2−チオオキサゾリジン−2,4−ジオン
核、チアゾリジン−2,4−ジオン核、ローダニン核、
チオバルビツール酸核などの5〜6員異節環核を適用す
ることができる。粒子形成停止剤としては前記のメルカ
プト化合物アゾール類、色素類などいづれでもよいが、
その後の化学増感、分光増感の過程等に存在しても障害
にならないように色素類−例えば後述の色素例D−1〜
D−45等を用いるのが特に好ましい。また色素の中で
はメロシアニン色素が粒子形成停止能力が大きく好まし
い。粒子形成停止能力の大きいメロシアニン色素は特開
昭63−264739号公報に記載の一般式(I)で表
わされる化合物である。
【0027】本発明の微少突起物をホスト平板粒子の主
表面上に形成するには、該突起物を+110mV(参照電
極は飽和カロメル電極)以上、+250mV以下、好まし
くは+130mV以上、+220mV以下の銀電位で形成す
る。突起物の形成温度は低い方がよく60℃以下10℃
以上、好ましくは55℃以下20℃以上である。具体的
な製造法は実施例に示されるが、電位を制御したダブル
ジェット法が好ましいが、シングルジェット法でも製造
可能である。
【0028】本発明のホスト平板粒子の主表面上に微少
突起物を形成した時の平板状粒子の厚さの増加は、簡単
に見積もる事ができる。主表面が(111)である平板
粒子の場合、本発明に開示した方法で塩化銀で微少突起
物を形成した場合、その突起物の形状は、立方体の角を
切り取った三角錐になる。微少突起物の底面(正三角
形)の一辺が0.1μm とすると、その高さは0.06
5μm となりそれが平板粒子の両面に形成されるので、
平板粒子としてはその2倍の0.13μm となる。連続
層ではないので、これがそのまま平板粒子の厚さとはな
らないが、実質的に平板粒子を厚くできた事は疑う余地
がない。これによって表面積を増大させる事と光反射を
減少させる事が一挙に可能になる。
【0029】本発明の平板状ハロゲン化銀粒子はゼラチ
ンを保護コロイドとして調製される。ゼラチンはアルカ
リ処理が通常良く用いられる。特に不純物イオンや不純
物を除去した脱イオン処理や限外濾過処理を施したアル
カリ処理ゼラチンを用いる事ができる。アルカリ処理ゼ
ラチンの他、酸処理ゼラチン、低分子量ゼラチン(分子
量1000〜8万で具体例として、酵素で分解したゼラ
チン、酸及び/またはアルカリで加水分解したゼラチ
ン、熱で分解したゼラチンを挙げる事ができる)、高分
子量ゼラチン(分子量11万〜30万)メチオニン含量
が50μモル/g以下のゼラチン、チロシン含量が20
μモル/g以下のゼラチン、メチオニン基を減少させた
酸化処理ゼラチン、メチオニンがアルキル化によって不
活性化したゼラチン及び下記の各種修飾ゼラチンを用い
る事ができる。アミノ基を修飾したフタル化ゼラチン、
琥珀化ゼラチン、トリメリットゼラチン、ピロメリット
ゼラチン、カルボキシル基を修飾したメチルエステル化
ゼラチンに代表されるエステル化ゼラチン、及びアミド
化ゼラチン、エトキシホルミル化ゼラチンの様なイミダ
ゾール基を修飾したゼラチン。上に述べたゼラチンは単
独で用いても良いし、二種類以上の混合物をもちいる事
もできる。本発明において粒子形成工程で用いられるゼ
ラチンの量は、1〜60g/銀モル、好ましくは3〜4
0g/銀モルである。本発明の化学増感工程におけるゼ
ラチンの濃度は1〜100g/銀モルが好ましく、1〜
70g/銀モルがより好ましい。
【0030】本発明に基づいてハロゲン化銀乳剤を製造
するに当って、粒子形成時から塗布時までに添加するこ
とのできる添加剤に特に制限はない。また、既知のあら
ゆる技術との組み合せを用いることができる。これらに
関しては、次の文献の記載を参考にすることができる。
結晶形成過程で成長を促進する為に、また、粒子形成お
よび/または化学増感時に化学増感を効果的にならしめ
るためにハロゲン化銀溶剤を用いることができる。しば
しば用いられるハロゲン化銀溶剤としては、水溶性チオ
シアン酸塩、アンモニア、チオエーテル、チオ尿素類な
どを挙げることができる。例えば、チオシアン酸塩(米
国特許第2,222,264号、同2,448,534
号、同3,320,069号各明細書など)、アンモニ
ア、チオエーテル化合物(例えば米国特許第3,27
1,157号、同3,574,628号、同3,70
4,130号、同4,297,439号、同4,27
6,347号各明細書など)、チオン化合物(例えば特
開昭53−144319号、同53−82408号、同
55−77737号各公報など)、アミン化合物(例え
ば特開昭54−100717号公報など)、チオ尿素誘
導体(例えば、特開昭55−2982号公報)、イミダ
ゾール類(特開昭54−100717号公報)、置換メ
ルカプトテトラゾール(特開昭57−202531号公
報)などを挙げることができる。
【0031】本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤の製
造は、これまで知られているあらゆる方法を用いること
ができる。すなわち、ゼラチン水溶液を有する反応容器
に効率の良い攪拌のもとに銀塩水溶液およびハロゲン塩
水溶液を添加する。具体的方法としては、P. Glafkides
著 Chemie et Phisique Photographique (Paul Montel
社刊、1967年) 、G.F.Duffin著 Photographic Emulsion
Chemistry (The Focal Press 刊、1966年) 、V.L.Zeli
kman et al著 Making and Coating Photographic Emuls
ion (The Focal Press刊、1964年) などに記載された方
法を用いて調製することができる。すなわち、酸性法、
中性法、アンモニア法等のいずれでもよく、また可溶性
銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形式としては、片
側混合法、同時混合法、それらの組合せなどのいずれを
用いてもよい。同時混合法の一つの形式として、ハロゲ
ン化銀が生成される液相中のpAgを一定に保つ方法、
すなわち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法
を用いることもできる。また、英国特許第1,535,
016号明細書、特公昭48−36890号、同52−
16364号各公報等に記載されているような、硝酸銀
なハロゲン化アルカリ水溶液の添加速度を粒子成長速度
に応じて変化させる方法や、米国特許第4,242,4
45号明細書、特開昭55−158124号公報等に記
載されているような水溶液濃度を変化させる方法を用い
て臨界過飽和度を越えない範囲において早く成長させる
ことが好ましい。これらの方法は、再核発生を起こさ
ず、ハロゲン化銀粒子が均一に成長するため、好ましく
用いられる。
【0032】反応容器に銀塩溶液とハロゲン塩溶液を添
加する代りに、あらかじめ調製された微粒子を反応容器
に添加して、核形成および/または粒子成長を起こさせ
て、ハロゲン化銀粒子を得る方法を使うことが好まし
い。この技術に関しては特開平1−183644号、特
開平1−183645号各公報、米国特許第4,87
9,208号明細書、特開平2−44335号、特開平
2−43534号、特開平2−43535号各公報に記
載されている。この方法によれば、乳剤粒子結晶内のハ
ロゲンイオンの分布を完全に均一にすることができ、好
ましい写真特性を得ることがきる。さらに本発明におい
ては、種々の構造を持った乳剤粒子を用いることができ
る。粒子の内部(コア部)と外側(シェル部)から成
る、いわゆるコア/シェル二重構造粒子、さらに特開昭
60−222844号公報に開示されているような三重
構造粒子や、それ以上の多層構造粒子が用いられる。乳
剤粒子の内部に構造をもたせる場合、上述のような包み
込む構造だけでなく、いわゆる接合構造を有する粒子を
作ることもできる。これらの例は、特開昭59−133
540号、特開昭58−108526号各公報、欧州特
許199290A2号明細書、特公昭58−24772
号、特開昭59−16254号各公報などに開示されて
いる。接合する結晶は、ホストとなる結晶と異なる組成
をもってホスト結晶のエッジやコーナー部、あるいは面
部に接合して生成させることができる。このうよな接合
結晶は、ホスト結晶がハロゲン組成に関して均一であっ
ても、あるいはコア−シェル型の構造を有するものであ
っても形成させることができる。接合構造の場合には、
ハロゲン化銀同志の組み合わせは当然可能であるが、ロ
ダン銀、炭酸銀などの岩塩構造でない銀塩化合物をハロ
ゲン化銀と組み合わせ結合構造をとることが可能であれ
ば用いてもよい。
【0033】これらの構造を有するヨウ臭化銀粒子の場
合、例えばコア−シェル型の粒子において、コア部のヨ
ウ化銀含有量が高く、シェル部のヨウ化銀含有量が低く
ても、また逆に、コア部のヨウ化銀含有量が低く、シェ
ル部のヨウ化銀含有量が高い粒子でもよい。同様に接合
構造を有する粒子についても、ホスト結晶のヨウ化銀含
有率が高く、接合結晶のヨウ化銀含有率が相対的に低い
粒子であっても、その逆の粒子であってもよい。また、
これらの構造を有する粒子の、ハロゲン組成の異なる境
界部分は、明確な境界であっても、組成差により混晶を
形成して不明確な境界であってもよく、また積極的に連
続的な構造変化をつけたものでもよい。本発明に用いる
ハロゲン化銀乳剤は、EP−0096727B1、EP
−0064412B1各明細書などに開示されているよ
うな、粒子に丸みをもたらす処理、あるいはDE−23
06447C2明細書、特開昭60−221320号公
報に開示されているような表面の改質を行なってもよ
い。
【0034】本発明における化学増感としては、硫黄増
感、セレン増感、テルル増感、といったカルコゲン増感
と、貴金属増感及び還元増感をそれぞれ単独あるいは組
み合わせて用いる事ができる。
【0035】硫黄増感においては、不安定硫黄化合物を
用い、P.Grafkides 著、Chimie etPhysique Photograph
ique (Paul Momtel社刊、1987年、第5版)、Research
Disclosure 誌 307巻307105号などに記載されている不
安定硫黄化合物を用いることができる。具体的には、チ
オ硫酸塩(例えば、ハイポ)、チオ尿素類(例えば、ジ
フェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、N−エチル−
N’−(4−メチル−2−チアゾリル)チオ尿素、カル
ボキシメチルトリメチルチオ尿素)、チオアミド類(例
えば、チオアセトアミド)、ローダニン類(例えば、ジ
エチルローダニン、5−ベンジリデン−N−エチル−ロ
ーダニン)、フォスフィンスルフィド類(例えば、トリ
メチルフォスフィンスルフィド)、チオヒダントイン
類、4−オキソ−オキサゾリジン−2−チオン類、ジポ
リスルフィド類(例えば、ジモルフォリンジスルフィ
ド、シスチン、ヘキサチオカン−チオン)、メルカプト
化合物(例えば、システィン)、ポリチオン酸塩、元素
状硫黄などの公知の硫黄化合物および活性ゼラチンなど
も用いることができる。
【0036】セレン増感においては、不安定セレン化合
物を用い、特公昭43−13489号、同44−157
48号、特開平4−25832号、同4−109240
号、特願平3−53693号、同3−82929号各公
報などに記載されている不安定セレン化合物を用いるこ
とができる。具体的には、コロイド状金属セレン、セレ
ノ尿素類(例えば、N,N−ジメチルセレノ尿素、トリ
フルオロメチルカルボニル−トリメチルセレノ尿素、ア
セチル−トリメチルセレノ尿素)、セレノアミド類(例
えば、セレノアセトアミド、N,N−ジエチルフェニル
セレノアミド)、フォスフィンセレニド類(例えば、ト
リフェニルフォスフィンセレニド、ペンタフルオロフェ
ニル−トリフェニルフォスフィンセレニド)、セレノフ
ォスフェート類(例えば、トリ−p−トリルセレノフォ
スフェート、トリ−n−ブチルセレノフォスフェー
ト)、セレノケトン類(例えば、セレノベンゾフェノ
ン)、イソセレノシアネート類、セレノカルボン酸類、
セレノエステル類、ジアシルセレニド類などを用いれば
よい。また更に、特公昭46−4553号、同52−3
4492号各公報などに記載の非不安定セレン化合物、
例えば亜セレン酸、セレノシアン化カリウム、セレナゾ
ール類、セレニド類なども用いることができる。
【0037】テルル増感においては、不安定テルル化合
物を用い、カナダ特許800,958号、英国特許第
1,295,462号、同1,396,696号各明細
書、特願平2−333819号、同3−53693号、
同3−131598号、同4−129787号各公報な
どに記載されている不安定テルル化合物を用いることで
きる。具体的には、テルロ尿素類(例えば、テトラメチ
ルテルロ尿素、N,N’−ジメチルエチレンテルロ尿
素、N,N’−ジフェニルエチレンテルロ尿素)、フォ
スフィンテルリド類(例えば、ブチル−ジイソプロピル
フォスフィンテルリド、トリブチルフォスフィンテルリ
ド、トリブトキシフォスフィンテルリド、エトキシ−ジ
フェニルフォスフィンテルリド)、ジアシル(ジ)テル
リド類(例えば、ビス(ジフェニルカルバモイル)ジテ
ルリド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイ
ル)ジテルリド、ビス(N−フェニル−N−メチルカル
バモイル)テルリド、ビス(エトキシカルボニル)テル
リド)、イソテルロシアナート類、テルロアミド類、テ
ルロヒドラジド類、テルロエステル類(例えば、ブチル
ヘキシルテルロエステル)、テルロケトン類(例えば、
テルロアセトフェノン)、コロイド状テルル、(ジ)テ
ルリド類、その他のテルル化合物(ポタシウムテルリ
ド、テルロペンタチオネートナトリウム塩)などを用い
ればよい。
【0038】貴金属増感については、前述のP.Grafkide
s 著、Chimie et Physique Photographique (Paul Momt
el社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure 誌3
07巻307105号などに記載されている金、白金、
パラジウム、イリジウムなどの貴金属塩を用いることが
でき、中でも特に金増感が好ましい。具体的には、塩化
金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオ
シアネート、硫化金、金セレナイドにくわえて米国特許
第2,642,361号、同5,049,484号、同
5,049,485号各明細書などに記載の金化合物も
用いることができる。還元増感については、前述のP.Gr
afkides 著、Chimie et Physique Photographique (Pau
l Momtel社刊、1987年、第5版)、Research Disclosur
e 誌307巻307105号などに記載されている公知
の還元性化合物を用いることができる。具体的には、ア
ミノイミノメタンスルフィン酸(別名、二酸化チオ尿
素)、ボラン化合物(例えば、ジメチルアミンボラ
ン)、ヒドラジン化合物(例えば、ヒドラジン、p−ト
リルヒドラジン)、ポリアミン化合物(例えば、ジエチ
レントリアミン、トリエチレンテトラミン)、塩化第1
スズ、シラン化合物、レダクトン類(例えば、アスコル
ビン酸)、亜硫酸塩、アルデヒド化合物、水素ガスなど
を用いればよい。また高pHや銀イオン過剰(いわゆる
銀熟成)の雰囲気で還元増感を施してもよい。
【0039】これらの化学増感は単独でも2種以上を組
合せてもよいが、組合せるときは、特にカルコゲン増感
と金増感の組合せが好ましい。また、還元増感は、ハロ
ゲン化銀粒子の形成時に施すのが好ましい。本発明で用
いられるカルコゲン増感剤の使用量は、使用するハロゲ
ン化銀粒子、化学増感条件などにより変わるが、ハロゲ
ン化銀1モル当り10-8〜10-2モル、好ましくは、1
-7〜5×10-3モル程度を用いる。本発明で用いられ
る貴金属増感剤の使用量は、ハロゲン化銀1モル当り1
-7〜10-2モル程度を用いる。本発明における化学増
感の条件に特に制限はないが、pAgとしては6〜1
1、好ましくは7〜10であり、pHとしては4〜10
が好ましく、温度としては40〜95℃が、さらには4
5〜85℃が好ましい。
【0040】
【実施例】実施例−1 乳剤1−A 極薄ヨウ臭化銀ホスト平板粒子乳剤 第2図に示したシステムにおいて、第1図に示した混合
器(混合器内体積2cc)を用いて、下記の様にして平板
粒子を調製した。反応容器1に水1.0リットルと低分子量
骨ゼラチン(平均分子量1万)2gを添加、溶解し35
℃に保った。混合器7に0.6Mの硝酸銀水溶液50cc
と、低分子量ゼラチン0.8重量%を含む0.16Mの
KBr水溶液200ccを2分間添加し、得られた乳剤を
連続的に反応容器に2分間かけて添加した。その際混合
器の攪拌回転数は2000rpm であった。(核形成) トリメリットゼラチンの10%溶液300cc、及びKB
rを添加して反応容器内の乳剤のpBrを2.1にした
後、温度を上昇させ80℃にした。(熟成) その後再び混合器に1.4Mの硝酸銀水溶液1100cc
と、100gの低分子量ゼラチンを含む1.36MのK
Br及び0.041MのKIを含む混合溶液1100cc
を60分間で一定の流量で添加した。混合器で生成した
微粒子は連続的に反応容器に添加された。その際混合器
の攪拌回転数は2000rpm であった。(成長) 粒子成長中、硝酸銀を70%添加した時点でIrCl6
を8×10-8mol/molAg添加しドープした。さらに、粒
子成長終了前に黄血塩溶液が混合器に添加された。黄血
塩は粒子のシェル部3%(添加銀量換算で)に局所濃度
で3×10-4mol/molAg の濃度になる様にドープされ
た。添加終了後、乳剤を35℃に冷却し、通常のフロキ
ュレイションで水洗し、水を350cc、石灰処理骨ゼラ
チン70gを添加、溶解しpAgを8.7、pHを6.
5に調製後、冷暗所に保存した。得られた平板粒子は、
円相当径が2.3μm 、平均厚さが0.045μm 、平
均アスペクト比が51で、円相当径の変動係数が16%
の、超薄単分散平板粒子であった。ここで、円相当径と
は、平板粒子の投影面積を円に換算した時の円の直径を
表し、変動係数は円相当径の標準偏差/平均円相当径×
100である。
【0041】乳剤1−B 主表面に突起物を形成した極
薄平板状粒子乳剤(比較) 乳剤1−Aを350g(硝酸銀、80gに相当)に30
0ccを添加し50℃に保ち、硝酸銀水溶液(硝酸銀、1
5gに相当)と塩化ナトリウム水溶液を、銀電位+17
0mV(参照電極;飽和カロメル電極)に保ちながらダブ
ルジェット法によって添加して平板粒子上に微少な突起
物を形成させた。 乳剤1−C 主表面に突起物を形成した極薄平板状粒子
乳剤(本発明) 塩化ナトリウム溶液の代わりに、硝酸銀に対して、ヨウ
化銀が1モル%含まれるように、塩化ナトリウム溶液に
沃化カリウムを混合した溶液を使用した以外は、乳剤1
−Bと同様に行った。 乳剤1−D 主表面に突起物を形成した極薄平板状粒子
乳剤(本発明) 塩化ナトリウム溶液の代わりに、硝酸銀に対して、ヨウ
化銀が3モル%含まれるように、塩化ナトリウム溶液に
沃化カリウムを混合した溶液を使用した以外は、乳剤1
−Bと同様に行った。 乳剤1−E 主表面に突起物を形成した極薄平板状粒子
乳剤(比較) 塩化ナトリウム溶液の代わりに、硝酸銀に対して、ヨウ
化銀が3モル%含まれるように、塩化ナトリウム溶液に
沃化カリウムを混合した溶液を使用し、且つ突起物の形
成を+100mVで行った以外は、乳剤1−Bと同様に行
った。 乳剤1−F 主表面に突起物を形成した極薄平板状粒子
乳剤(本発明) 塩化ナトリウム溶液の代わりに、硝酸銀に対して、ヨウ
化銀が7モル%含まれるように、塩化ナトリウム溶液に
沃化カリウムを混合した溶液を使用した以外は、乳剤1
−Bと同様に行った。 乳剤1−G 主表面に突起物を形成した極薄平板状粒子
乳剤(本発明) 塩化ナトリウム溶液の代わりに、塩化ナトリウム70
%、臭化カリウム20%、沃化カリウム10%を含む溶
液を使用した以外は、乳剤1−Bと同様に行った。電子
顕微鏡によって粒子形状を観察したところ、次の様であ
った。
【0042】
【表1】
【0043】表1において、乳剤1−Eでは、突起物の
サイズが大きく、且つその形状は丸くつぶれていた。本
発明の乳剤1−C、1−D、1−F、1−Gでは突起物
は明確な三角錐で、そのサイズが小さく良く揃ってい
た。乳剤1−Bは確かに、微少サイズの突起物が生成し
たが、表2で示す様に、増感色素の吸着が少なかった。
【0044】得られた乳剤1−Aから1−Gの各々に、
増感色素〔化1〕を1.1×10-3モル/モル銀を40
℃で添加し、続いて温度を55℃に上げた後、チオ硫酸
ナトリウムと塩化金酸カリウムとチオシアン酸カリウム
を添加して最適に化学増感した。
【0045】
【化1】
【0046】下塗り層をもうけてある三酢酸セルロース
フィルム支持体上に下記の条件で乳剤および保護層を塗
布し、塗布試料を作成した。 〔乳剤塗布条件〕 (1)乳剤層 ・乳剤……各種の乳剤(銀3.6×10-2モル/m2) ・下記「化2」に示すカプラー(1.5×10-3モル/m2
【0047】
【化2】
【0048】 ・トリクレジルフォスフェート (1.10g/m2) ・ゼラチン (2.30g/m2) (2)保護層) ・2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩 (0.08g/m2) ・ゼラチン (1.80g/m2) これらの試料を40℃、相対湿度70%の条件下に14
時間放置した後、イエローフィルターと連続ウェッジを
通して1/100秒間露光し、下記のカラー現像を行っ
た。
【0049】〔カラー現像〕 工 程 処理時間 処理温度 発色現像 2分00秒 40℃ 漂白定着 3分00秒 40℃ 水洗(1) 20秒 35℃ 水洗(2) 20秒 35℃ 安 定 20秒 35℃ 乾 燥 50秒 65℃ 次に、処理液の組成を示す。 (発色現像) (単位g) ジエチレントリアミン五酢酸1−ヒドロキシエチリデン −1,1−ジスルホン 2.0 亜硫酸ナトリウム 4.0 炭酸カリウム 30.0 臭化カリウム 1.4 ヨウ化カリウム 1.5mg ヒドロキシアミン硫酸 2.4 4−〔N−エチル−N−β−ヒドロキシエチルアミノ〕−2− メチルアニリン硫酸塩 4.5 水を加えて 1.0リットル pH 10.05 (漂白定着液) (単位g) エチレンジアミン四酢酸第二鉄アンモニウム二水塩 90.0 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 5.0 亜硫酸ナトリウム 12.0 チオ硫酸アンモニウム水溶液(70%) 260.0ml 酢酸(98%) 5.0ml 下記〔化3〕に示す漂白促進剤 0.01モル
【0050】
【化3】
【0051】 水を加えて 1.0リットル pH 6.0 (水洗液)水道水をH型カチオン交換樹脂(ロームアン
ドハース社製アンバーライトIR-120B)と、OH型アニオ
ン交換樹脂(同アンバーライトIR-400) を充填した混床
式カラムに通水してカルシウム及びマグネシウムイオン
濃度を3mg/リットル以下に処理し、続いて二塩化イソシア
ヌール酸ナトリウム20mg/リットルと硫酸ナトリウム1.
5g/リットルを添加した。
【0052】この液はpHは6.5〜7.5の範囲にあ
る。 (安定液) (単位mg) ホルマリン(37%) 2.0ml ポリオキシエチレン−p−モノノニルフェニルエーテル (平均重合度10) 0.3 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.05 水を加えて 1.0リットル pH 5.0〜8.0 得られた結果を表−2に示す。感度はカブリ上0.1の
濃度を与えるルックス・秒で表示する露光量の逆数の対
数の相対値で表示した。
【0053】
【表2】
【0054】表2に示す様に、本発明の乳剤1−C、1
−D、1−F、1−Gでは、増感色素の吸着量が多く、
従って感度が高かった。比較乳剤1−Bは、表1で示す
様に多数の突起物を有しているが、突起物が塩化銀であ
る為、増感色素の吸着量が少なく従って感度が低かっ
た。
【0055】実施例2 乳剤2−A 主表面に突起物を形成した極薄平板状粒子
乳剤(比較) 乳剤1−Aを350g(硝酸銀、80gに相当)に30
0ccを添加し50℃に保ち、硝酸銀水溶液(硝酸銀、1
5gに相当)と塩化ナトリウム水溶液を、銀電位+17
0mv(参照電極;飽和カロメル電極)に保ちながらダブ
ルジェット法によって添加して平板粒子上に微少な突起
物を形成させた後、水洗をした。ゼラチン20gと水3
00ccを添加して45℃で乳剤を再分散させた後、増感
色素〔化1〕を1.1×10-3モル/モル銀を40℃で
添加し、続いて温度を55℃に上げた後、チオ硫酸ナト
リウムと塩化金酸カリウムとチオシアン酸カリウムを添
加して最適に化学増感した。化学増感に要した時間は5
0分であった。 乳剤2−B 主表面に突起物を形成した極薄平板状粒子
乳剤(本発明) 塩化ナトリウム溶液の代わりに、硝酸銀に対して、ヨウ
化銀が3モル%含まれるように、塩化ナトリウム溶液に
沃化カリウムを混合した溶液を使用した以外は、乳剤2
−Aと同様に行った。 乳剤2−C 主表面に突起物を形成した極薄平板状粒子
乳剤(本発明) 塩化ナトリウム溶液の代わりに、硝酸銀に対して、ヨウ
化銀が6モル%含まれるように、塩化ナトリウム溶液に
沃化カリウムを混合した溶液を使用した以外は、乳剤2
−Aと同様に行った。
【0056】レプリカ法による電子顕微鏡で粒子を観察
したところ、乳剤2−Aでは、微少な突起物の角が丸く
なりまた突起物の合体が起っており、形成した時の明確
な形を失っていた。結果として乳剤2−Aでは、0.1
5μm 以下突起物の数は6個/μm2であった。一方本発
明の乳剤2−B、2−Cでは、微少突起物の三角錐の形
がしっかりと保持されており、0.15μm 以下突起物
の数は、各々40個/μm2及び50個/μm2であった。
乳剤2−Aでは、突起物にヨウ化銀が含まれていない
為、水洗及び分散時に溶解が起り、突起物の形がくずれ
てしまったと考えられる。この様な現象が起ると、微少
突起物による表面積の増加は少なくなり、且つ微少突起
物の高さは減少してしまい、平板粒子の厚さの増加の効
果は少なくなってしまう。結果として乳剤2−Aは、増
感色素吸着量が乳剤2−B、2−Cに比べ非常に少な
く、かつ光反射も多く、その為光吸収量が少なく、結果
として感度が低かった。
【0057】実施例3 乳剤3−A フリンジ転位を有する超薄ヨウ臭化銀ホス
ト平板粒子乳剤 第2図に示したシステムにおいて、第1図に示した混合
器(混合器内体積2cc)を用いて、下記の様にしてホス
ト平板粒子を調製した。反応容器1に水1.0リットルと低
分子量骨ゼラチン(平均分子量1万)2g及び1%KB
rを40cc添加し、溶解して35℃に保った。反応容器
に0.6Mの硝酸銀水溶液と0.6MのKBr溶液を4
0秒間で添加した。(核形成) トリメリットゼラチンの10%溶液300cc、及びKB
rを添加して反応容器内の乳剤のpBrを2.1にした
後、温度を上昇させ80℃にした。(熟成)その後再び
混合器に1.4Mの硝酸銀水溶液750ccと、67gの
低分子量ゼラチンを含む1.36MのKBr及び0.0
41MのKIを含む混合溶液750ccを40分間で一定
の流量で添加した。混合器で生成した微粒子は連続的に
反応容器に添加された。その際混合器の攪拌回転数は2
000rpm であった。全銀量の5モル%にあたる予め調
製した粒子サイズが0.02μm のヨウ化銀微粒子と
2.5MのKBr溶液を80cc添加した後、反応容器に
1.4Mの硝酸銀溶液と0.7MのKBr溶液をそれぞ
れ300ccを10分間、一定の流量で添加しシェルを形
成した。粒子成長終了前に黄血塩溶液が反応容器に添加
された。黄血塩は粒子のシェル部3%(添加銀量換算
で)に局所濃度で3×10-4mol/molAg の濃度になる様
にドープされた。添加終了後、乳剤を35℃に冷却し、
通常のフロキュレイションで水洗し、水を350cc、石
灰処理骨ゼラチン70gを添加、溶解しpAgを8.
7、pHを6.5に調製後、冷暗所に保存した。得られ
たホスト平板粒子は、円相当径が2.5μm 、平均厚さ
が0.08μm、平均アスペクト比が31で、円相当径
の変動係数が20%の、超薄単分散平板状粒子であっ
た。ここで、円相当径とは、平板状粒子の投影面積を円
に換算した時の円の直径を表し、変動係数は円相当径の
標準偏差/平均円相当径×100である。窒素温度で形
成されたホスト平板粒子を観察すると、平板状粒子に多
数の転位線が観察された。
【0058】乳剤3−B 主表面に突起物を形成した極
薄平板状粒子乳剤(比較) 乳剤3−Aを350g(硝酸銀、80gに相当)に30
0ccを添加し50℃に保ち、硝酸銀水溶液(硝酸銀、1
5gに相当)と塩化ナトリウム水溶液を、銀電位+17
0mV(参照電極;飽和カロメル電極)に保ちながらダブ
ルジェット法によって添加して平板粒子上に微少な突起
物を形成させた後、水洗した。ゼラチン20gと水30
0ccを添加して45℃で乳剤を再分散させた後、増感色
素〔化1〕を1×10-3モル/モル銀を40℃で添加
し、続いて温度を55℃に上げた後、チオ硫酸ナトリウ
ムと塩化金酸カリウムとチオシアン酸カリウムを添加し
て最適に化学増感した。化学増感に要した時間は50分
であった。
【0059】乳剤3−C 主表面に突起物を形成した極
薄平板粒子乳剤(本発明) 塩化ナトリウム溶液の代わりに、硝酸銀に対して、ヨウ
化銀が3モル%含まれるように、塩化ナトリウム溶液に
沃化カリウムを混合した溶液を使用した以外は、乳剤3
−Bと同様に行った。
【0060】乳剤3−D 主表面に突起物を形成した極
薄平板粒子乳剤(本発明) 塩化ナトリウム溶液の代わりに、硝酸銀に対して、ヨウ
化銀が6モル%含まれるように、塩化ナトリウム溶液に
沃化カリウムを混合した溶液を使用した以外は、乳剤3
−Bと同様に行った。
【0061】レプリカ法による電子顕微鏡で粒子を観察
したところ、何れの乳剤粒子も微少突起物はホスト平板
粒子の周辺部には形成されておらず、フリンジ部の内部
に形成されていた。乳剤3−Bでは、微少な突起物の角
が丸くなり形成した時の明確な形を失っていた。一方本
発明の乳剤3−C、3−Dでは、微少突起物の三角錐の
形がしっかりと保持されていた。乳剤3−Bでは、突起
物にヨウ化銀が含まれていない為、水洗及び分散時に溶
解が起り、突起物の形がくずれてしまったと考えられ
る。この様な現象が起ると、微少突起物による表面積の
増加は少なくなってしまう。
【0062】得られた乳剤3−B、3−C、3−Dを実
施例1と同様にして塗布試料を作成し、実施例1と同様
に露光、現像処理を行った。結果を表3に示す。
【0063】
【表3】
【0064】表3に示す結果の様に、本発明の乳剤で
は、色素吸着量が多く、感度が高い。別途塗布フィルム
の光反射を測定したところ、微少突起物が形成されてい
る本発明の乳剤3−C、3−Dは、微少突起物のない乳
剤3−Aに比べ光反射率が低く、光吸収の点で有利であ
る事が確認された。
【0065】実施例4 実施例−1で調製された乳剤1−Cを特開平9−325
450号の実施例1の試料111の各乳剤層の乳剤とし
て用いる試料を作成し、同実施例と同様な処理をして良
好な結果を得た。
【0066】実施例5 本願の実施例−1で調製された乳剤1−Gを特開平9−
325446号の実施例1の試料101の各乳剤層の乳
剤として用いる試料を作成し、同実施例と同様な処理を
して良好な結果を得た。
【0067】実施例6 本願の実施例−2で調製された乳剤2−Bを特開平9−
288336号の実施例1の試料128の第5層の乳剤
として用いる試料を作成し、同実施例と同様な処理をし
て良好な結果を得た。
【0068】実施例7 本願の実施例−3で調製された乳剤3−Cを特開平9−
329875号の実施例1の感材Aの各乳剤層の乳剤と
して用いる試料を作成し、同実施例と同様な処理をして
良好な結果を得た。
【0069】実施例8 本願の実施例−3で調製された乳剤3−Dを特開平10
−62938号の実施例1の試料101の構成乳剤とし
て用いた試料を調製し、同実施例と同様な処理をして良
好な結果を得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の攪拌装置の概略構成を示す
断面図である。
【図2】本発明の実施形態のハロゲン化銀乳剤の製造工
程を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 反応容器 2 保護コロイド水溶液 3 攪拌羽根 10 攪拌装置 11、12、13 液供給口 16 液排出口 18 攪拌槽 19 槽本体 20 シールプレート 21、22 攪拌羽根 26 外部磁石 28、29 モータ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散媒と(111)を主表面とするハロ
    ゲン化銀平板状粒子からなる感光性ハロゲン化銀乳剤に
    おいて、該平板状粒子はホスト平板粒子とその主表面上
    のゲスト微少突起物(エピタキシー)からなり、該ホス
    ト平板粒子が、その厚さが0.1μm 以下で、少なくと
    も70モル%の臭化銀を含有し、該ホスト平板粒子の5
    0%以上(個数)がその主表面上に投影面積径が0.1
    5μm以下の突起物を10〜10,000個/μm2
    し、該突起物は少なくともヨウ化銀を1モル%、且つ少
    なくとも塩化銀を60モル%含有している事を特徴とす
    る感光性ハロゲン化銀乳剤。
  2. 【請求項2】 ホスト平板粒子の主表面上の突起物が少
    なくともヨウ化銀を3モル%、塩化銀を80モル%含有
    する事を特徴とする請求項1に記載の感光性ハロゲン化
    銀乳剤。
  3. 【請求項3】 転位線が一粒子当たり平均10本以上存
    在する平板状粒子である事を特徴とする請求項1に記載
    の感光性ハロゲン化銀乳剤。
  4. 【請求項4】 分散媒と(111)を主表面とするハロ
    ゲン化銀平板状粒子からなる感光性ハロゲン化銀乳剤の
    製造法において、ホスト平板粒子とその主表面上のゲス
    ト微少突起物(エピタキシー)からなり、該ホスト平板
    粒子が、その厚さが0.1μm 以下で、少なくとも70
    モル%の臭化銀を含有し、該ホスト平板粒子の50%以
    上(個数)がその主表面上に投影面積径が0.15μm
    以下の突起物を10〜10,000個/μm2有し、該突
    起物は少なくともヨウ化銀を1モル%、且つ少なくとも
    塩化銀を60モル%含有しており、該突起物を+110
    mV以上の高銀電位で形成する事を特徴とする感光性ハロ
    ゲン化銀乳剤の製造方法。
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