JP2000000270A - 車両用リフトアップシート - Google Patents

車両用リフトアップシート

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JP2000000270A JP10167165A JP16716598A JP2000000270A JP 2000000270 A JP2000000270 A JP 2000000270A JP 10167165 A JP10167165 A JP 10167165A JP 16716598 A JP16716598 A JP 16716598A JP 2000000270 A JP2000000270 A JP 2000000270A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シート本体を回転させて、ドア開口部側に向
けた位置で車両幅方向室外側にスライドする構成とし
て、車椅子利用者の車両への乗降時の負担を軽減するこ
とができる車両用リフトアップシートにおいて、従来シ
ート本体と車椅子との間の乗り移り動作は依然として必
要であったので、この点で車椅子利用者等の負担が大き
かった。本発明では、この点でも負担を軽減できる車両
用リフトアップシートを提供することを目的とする。 【解決手段】 リフトアップ装置50に車幅方向室外側
に向けて下傾する傾斜ベース61を設ける一方、該傾斜
ベース61に対応してシート本体10に連結ベース20
を設け、該連結ベース20と傾斜ベース61を重ね合わ
せ状に連結してシート本体10をリフトアップ装置50
に連結可能であり、両ベース20,61の連結を解除し
てシート本体10をリフトアップ装置50から分離可能
であり、且つ分離したシート本体10は単独で車椅子と
して転用可能な構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば身障者や
老人等(以下「車椅子利用者」と言う)が車両への乗降
を楽に行うことができる車両用リフトアップシートに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の車両用シートは、車両室
内のシート本体を室外に移動させ、室外において車椅子
利用者が車椅子とシート本体との間を乗り移ることによ
り車両への乗降を行う構成としたもので、これによれば
室内への乗り込み或いは室内から室外への移動はシート
本体の移動(リフトアップ)により行うことができ、車
椅子利用者自身が車両室内と室外との間の移動を行う必
要がないので、車両への乗降を楽に行うことができ、ま
たその介護者の負担を大幅に低減することができる。し
かしながら、係る構成の車両用シートにあっては、車両
室外においてシート本体と車椅子との間の移動は依然と
して車椅子利用者自身が介護者の援助を得て行う必要が
あり、この点での不便さ及び労力は解消されていなかっ
た。
【0003】そこで従来、例えば特開平5−85239
号公報に開示されているように、車椅子のシート部分と
これを載置して移動させるための前後の車輪を備えたフ
レーム部分とに分離可能とし、シート部分のみをフレー
ム部分から車両室内に搬入して、そのままこのシート部
分を車両用のシート本体として用いる構成とした車両用
シートが提供されている。この車両用シートによれば、
車椅子利用者は車椅子のシート部分に着座したまま車両
室内に移動でき、また車両室内から車椅子のフレーム部
分上に移動できるので、従来のような車両用のシート本
体と車椅子との間の乗り移り動作を一切する必要がな
く、これにより車椅子利用者及びその介護者の負担を大
幅に低減することができた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の車両用シートによれば、車椅子のシート部分を分離
した後のフレーム部分の取り扱いについて別途考慮する
必要があった。すなわち、車椅子利用者がシート部分に
着座したまま車両室内に移動した後に、車両室外に残さ
れた車椅子のフレーム部分を例えば別途車両に積み込ん
だり、或いは所定の場所に保管しておく必要があり、こ
の点で取り扱い性がよくなかった。また、フレーム部分
から分離するため、降車時にフレーム部分を用意できな
い場合には車椅子利用者は降車できなくなってしまう。
本発明は係る従来の問題に鑑みなされたもので、車椅子
利用者の乗り移り動作を全く必要としないとともに、車
椅子のシート部分とフレーム部分を一体で取り扱うこと
ができる車両用リフトアップシートを提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の車両用リフトアップシートは、シート本体を車両幅方
向にスライド支持し、該方向の室外側にスライドさせる
ほど前記シート本体を低い位置に変位させるようスライ
ド方向を車両幅方向室外側に向けて下傾させた幅方向支
持台を備え、該幅方向支持台に車両幅方向室外側に向け
て下傾する傾斜ベースを設ける一方、該傾斜ベースに対
応して前記シート本体に該傾斜ベースに平行な連結ベー
スを設け、該連結ベースと前記傾斜ベースを重ね合わせ
状に連結して前記シート本体を前記幅方向支持台に連結
可能であり、該連結ベースと前記傾斜ベースの連結を解
除して前記シート本体を前記幅方向支持台から分離可能
であり、且つ分離したシート本体を単独で車椅子として
転用可能な構成とした。この車両用リフトアップシート
によれば、シート本体は単独で車椅子として利用可能で
あり、且つそのまま幅方向支持台に連結して室内に移動
させれば、車両用のシートとして利用されので、車椅子
利用者は、従来のように乗り移り動作を全くすることな
く車両室内に着座でき、また車椅子に着座でき、これに
より車椅子利用者及びその介護者の負担を大幅に低減す
ることができる。また、シート本体は単独で車椅子とし
て利用可能であり、車椅子としての機能を備えた状態の
まま車両室内に搬入されるので、従来のように車椅子フ
レーム部分を分離した場合のその取り扱いを考慮する必
要もない。
【0006】さらに、車椅子として使用した後、幅方向
支持台に連結するには、シート本体の連結ベースを幅方
向支持台の傾斜ベースに重ね合わせ状に連結することに
よりなされる。傾斜ベースは室外側に下傾しており、連
結ベースは傾斜ベースに平行に設けられている。このこ
とから、車椅子としてのシート本体を幅方向支持台に連
結させるべく接近させる段階で、シート本体と幅方向支
持台との間に高さ方向のばらつきがあっても相互に平行
な連結ベースと傾斜ベースの摺接作用によりこのばらつ
きは修正され、これによりシート本体の幅方向支持台へ
の連結作業を容易に行うことができる。これに対して、
例えば車椅子を着座部分とフレーム部分に分離して着座
部分のみをシート本体として車両室内に搬入する構成と
した場合であって、着座部分としてのシート本体を車椅
子フレーム上のレールと車両フロア上のレールとの間を
移動させることにより、車椅子の着座部分としてのシー
ト本体を移動させる構成とした場合には、車椅子フレー
ム上のレールと車両フロア上のレールが高さ方向に一致
している必要があり、従ってシート本体の高さ方向のば
らつきは修正されないため、その連結時作業が面倒にな
る。
【0007】請求項2記載の車両用リフトアップシート
は、請求項1記載の車両用リフトアップシートであっ
て、シート本体の下部に備えた車椅子フレームを、該シ
ート本体の下面に沿って折り畳んで、該シート本体の高
さを縮小可能な構成とした。この車両用リフトアップシ
ートによれば、シート本体の高さをより低くした状態で
車両室内に設置させることができ、これにより当該車両
用リフトアップシートの高さを他のシートに合わせるこ
とが容易になり、ひいては当該車両用リフトアップシー
トに着座する車椅子利用者の車両室内における疎外感を
低減し若しくはなくすことができる。
【0008】請求項3記載の車両用リフトアップシート
は、請求項1又は2記載の車両用リフトアップシートで
あって、幅方向支持台の傾斜ベース若しくはシート本体
の連結ベースの一方に設けた連結突起を、他方に設けた
連結凹部に係合させて前記シート本体を前記幅方向支持
台に連結可能であり、且つ前記シート本体を車両幅方向
斜め側方から前記幅方向支持台に接近させて前記連結突
起を前記連結凹部に係合可能とすべく前記連結凹部を前
記連結突起の相対的な接近経路に沿って長溝形状に形成
した。この車両用リフトアップシートによれば、連結凹
部に連結突起を係合させることによりシート本体が幅方
向支持台に連結される。ここで、シート本体を車椅子と
して使用した後、これを幅方向支持台に連結すべく接近
させる段階で、例えば車両のドアが邪魔になるため当該
シート本体を車両幅方向に対して例えば斜め後方から回
り込むようにして接近させる必要がある場合がある。係
る場合に、連結ピンを係合するための連結凹部が、連結
ピンの相対的な接近経路に合わせて例えばその先端側を
車両後方側に振った湾曲形状に形成しておくことによ
り、両者のスムーズな係合を確保することができ、ひい
てはシート本体の幅方向支持台へのスムーズな連結を確
保することができる。連結ピン及び係合凹部を、シート
本体側若しくは幅方向支持台側のいずれに設けるかは任
意である。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を図1
〜図8に基づいて説明する。図1及び図2は、本実施形
態に係る車両用リフトアップシート1の全体を示してお
り、図1はシート本体10をリフトアップ装置50から
分離した状態であって、これによりシート本体10を車
椅子として単独で使用する状態を示し、図2はシート本
体10を幅方向支持台60に連結して車両室内側に搬入
する様子を示している。本実施形態に係る車両用リフト
アップシート1は、上記したように車椅子として単独で
使用可能なシート本体10と、これを連結して車両室内
に設置するためのリフトアップ装置50とに大別でき
る。
【0010】先ず、シート本体10は、シートクッショ
ン11とシートバック12を有し、シートバック12の
両側部にはアームレスト13,13が、上部にはヘッド
レスト14が装備されている。又、シートバック12の
背面には介護者が操作するためのハンドル15が設けら
れ、このハンドル15にはブレーキレバー16が配置さ
れている。シートクッション11の下面には、連結ベー
ス20が取り付けられ、この連結ベース20の両側部に
は折り畳み式の車輪フレーム21,21が取り付けられ
ている。図4には連結ベース20が単独で示されてい
る。この連結ベース20の下面は、当該シート本体10
を車椅子として接地した状態において、後述する幅方向
支持台60の傾斜ベース61に対して平行に設けられて
いる。又、この連結ベース20の下面には左右一対の連
結ピン22,22と前端部中央のフック23が設けられ
ている。両連結ピン22,22の先端部には所定径のフ
ランジ部22aが形成されている。このフランジ部22
aの機能については後述する。また、この両連結ピン2
2,22が特許請求の範囲に記載した連結突部に相当す
る。
【0011】次に、図3に示すようにこの連結ベース2
0の両側部に取り付けた左右一対の車輪フレーム21,
21は、それぞれ上下に回動するメインアーム24を備
えている。両メインアーム24は、連結ベース20の側
部後端付近に支軸24aを介して上下に回動可能に支持
されている。両メインアーム24,24の前端部はコ字
型の連結アーム25により1本に連結されており、この
連結アーム25にはフットレスト25aが取り付けられ
ている。メインアーム24の後端寄りには支軸26aを
介して後輪アーム26が上下に回動可能に取り付けられ
ており、この後輪アーム26の下端部に後輪27が回転
可能に支持されている。後輪アーム26の中程の位置に
は、長溝孔形状の連結溝26bが形成されており、この
連結溝26bには支軸28aを介して補助アーム28の
下端部が当該連結溝26bに沿って移動可能且つ回転可
能に連結されている。補助アーム28の上端部は支軸2
8bを介してメインアーム24の、支軸26aと支軸2
4aとの間の位置に回転可能に連結されている。
【0012】次に、メインアーム24の前端部には、ブ
ラケット29を介して前輪30が回転可能に支持されて
いる。ブラケット29は筒体部29aを有しており、こ
の筒体部29aをメインアーム24に同軸且つ軸周りに
回転可能に支持することにより、当該ブラケット29が
メインアーム24の軸周りに回転可能に取り付けられて
いる。このため、ブラケット29をメインアーム24の
軸周り下側に回転させると前輪30を使用位置に取り出
すことができ、メインアーム24の軸周り上側に回転さ
せると前輪30をメインアーム24の内側に収納するこ
とができる。図2では両前輪30,30が収納された状
態が示されている。また、メインアーム24の前端部に
は、支軸31aを介してロックアーム31の下端部が回
転可能に連結されている。このロックアーム31の上端
部には鉤形状をなすフック部31bが設けられている。
このフック部31bは、連結ベース20の側部に側方へ
突き出し状に設けたロックピン32に係脱可能に引き掛
けられる。
【0013】以上のように構成した両車輪フレーム2
1,21は、上記連結アーム25により連結されて一体
で折り畳み可能となっている。すなわち、図3において
実線で示すようにメインアーム24,24を下方に回動
させて取り出し、然る後ロックアーム31を立ち上げ方
向に回転させて、そのフック部31bをロックピン32
に引き掛ける。これにより、メインアーム24,24が
取り出し位置にロックされる。次に、ブラケット29,
29を下側に回転させて両前輪30,30を取り出すと
ともに、後輪アーム26,26を下方に回動して両後輪
27,27を取り出す。後輪アーム26,26の回動に
伴って、両補助アーム28,28がそれぞれ支軸28b
を中心にして、且つ支軸28aを連結溝26bに沿って
相対移動させながら下方へ回動する。後輪アーム26,
26は、その支軸26aを通る鉛直線を越えて前側から
後ろ側(図3において左側から右側)に回動し、後ろ側
の位置で補助アーム28及びメインアーム24との間で
構成されるトラス構造により荷重を受ける。このように
して両車輪フレーム21,21を取り出すことによりシ
ート本体10は車椅子として単独で利用することができ
る。
【0014】両車輪フレーム21,21は、当該シート
本体10を車両室内に搬入する段階で収納される。すな
わち、車椅子として利用したシート本体10を車両室内
に搬入する段階では、当該シート本体10をリフトアッ
プ装置50の幅方向支持台60に連結した状態で上記両
車輪フレーム21,21をシートクッション11の側部
に沿って収納する。両車輪フレーム21,21を収納す
るには、先ずロックアーム31のフック部31bをロッ
クピン32から外す。これによりメインアーム24,2
4が上方へ回動可能な状態となる。両メインアーム2
4,24を上方へ回動させるとともに、両ブラケット2
9,29を上側へ回動させて両前輪30,30をメイン
フレーム24,24間に収納する。この前輪30,30
の収納状態が図2によく示されている。また、後輪アー
ム26,26を上方へ回動させてシートクッション11
の両側部にほぼ沿った位置に収納する。シートクッショ
ン11の両側部には、それぞれ後輪アーム26及び後輪
27を収容するための車輪カバー33が取り付けられて
いる。こうして収納したメインアーム24,24、両前
輪30,30及び両後輪27,27は、それぞれ個別に
設けた位置保持手段(図示省略)により収納位置に保持
されるようになっている。このようにして両車輪フレー
ム21,21を収納することにより、当該シート本体1
0を車室内の所定位置に搬入した状態では他のシート
(車室内に固定のシート、例えば運転席等)とほぼ同じ
高さに設置することができ、これにより着座した車椅子
利用者の疎外感を低減若しくはなくすことができる。
【0015】次に、車両室内に設置したリフトアップ装
置50について説明する。このリフトアップ装置50
は、上記シート本体10を連結してこれを車両幅方向に
スライド支持する幅方向支持台60と、この幅方向支持
台60を回転支持してシート本体10をドア開口部に向
けた位置と車両正面に向けた位置との間で回転支持する
回転支持台80と、この回転支持台80ひいてはシート
本体10を車両前後方向にスライド支持する前後方向支
持台90を備えている。幅方向支持台60は、図5及び
図7に示すように左右一対の直線スライド機構62,6
2を備えている。両直線スライド機構62,62は、そ
れぞれ固定側レール62aと移動側レール62bと両レ
ール62a,62bのV溝62d、62d間に挟み込ん
だ多数の鋼球62c〜62cを有する構成となってい
る。両移動側レール62b,62b間に跨って前記傾斜
ベース61及び連結枠69が取り付けられている。傾斜
ベース61は移動レール62b,62b間の前側に取り
付けられ、連結枠69は両移動レール62b,62bの
後端部間に取り付けられている。
【0016】傾斜ベース61は、シート本体10の連結
ベース20に平行に設けられている。この傾斜ベース6
1に連結ベース20を重ね合わせ状に連結することによ
り、シート本体10がリフトアップ装置50に連結され
る。傾斜ベース61の前端中央には、連結時にシート本
体10側のフック23が入り込むための凹部61aが形
成されている。又、傾斜ベース61の後部寄りには左右
一対の連結窓61b,61bが貫通して形成されてい
る。この両連結窓61b、61bが特許請求の範囲に記
載した連結凹部に相当する。両連結窓61b,61b
は、車両外側ほど太くなる長溝形状に形成されている。
車両外側の太い部分は、前記連結ピン22のフランジ部
22aを挿入可能な幅で形成され、車両室内側のより細
い部分は該フランジ部22aよりも小さい幅で、当該連
結ピン22の軸部を挿入可能な幅で形成されている。ま
た、図1に示すようにこの連結窓61b,61bは、車
両外側に至るほど車両のドアパネルDから離れる方向に
湾曲している。この傾斜ベース61の裏側には、上記凹
部61aに対応してトグルクランプ55が取り付けられ
ている。又、同じく傾斜ベース61の裏側であって、両
連結窓61b,61bの側部には、それぞれ鉤形状をな
すストッパ56が支軸56aを中心にして回転可能に取
り付けられており、その頭部間には引っ張りばね57が
介装されている。このため、当該両ストッパ56,56
はその先端側をそれぞれ連結窓61b、61bを横切ら
せる方向に付勢されている。
【0017】次に、両固定側レール62a,62aの後
端部間には略箱体形状の連結枠63が取り付けられてお
り、この連結枠63には当該幅方向支持台60の駆動源
としてのモータ64が取り付けられている。このモータ
64には減速ギヤ列64aを介してねじ軸65の一端が
連結されている。又、両固定側レール62a,62aの
前端部間も連結枠66により連結されており、この連結
枠66に取り付けたブラケット66aを介して上記ねじ
軸65の他端側が回転可能に支持されている。上記ねじ
軸65に噛み合うナット67は、ブラケット68を介し
て連結枠69に固定されている。このため、モータ64
を起動すると、ねじ軸65が回転してナット67が該ね
じ軸65上を移動し、これにより両移動側レール62
b、62bが固定側レール62a,62aに対してスラ
イドし、ひいては傾斜ベース61が車両幅方向(直線ス
ライド機構62のスライド方向)に移動する。両固定側
レール62a,62aのスライド方向中央付近にはそれ
ぞれL型のブラケット70が取り付けられており、この
両ブラケット70,70は回転ベース71上に固定され
ている。この回転ベース71を介して当該幅方向支持台
60が後述する回転支持台80の内輪81に取り付けら
れている。
【0018】回転支持台80も前記直線スライド機構6
2と同様のスライド機構を有している。すなわち、その
内輪81の外周面と外輪82の内周面にはそれぞれV溝
が形成され、両V溝間に多数の鋼球を挟み込ませて当該
回転支持台80が構成されており、これにより幅方向支
持台60ひいてはシート本体10をスムーズ且つガタツ
キなく回転させることができるようになっている。この
回転支持台80は、前後方向支持台90のメインベース
91に取り付けられている。このメインベース91は、
左右一対の直線スライド機構92,92を介して車両フ
ロアF上に前後方向移動可能に取り付けられている。両
直線スライド機構92,92には、前記直線スライド機
構62と同様の構成のものが用いられている。すなわ
ち、両スライド機構92,92は、固定側レール92a
と移動側レール92bを有し、両レール92a,92b
に形成したV溝92c、92c間に多数の鋼球(図示省
略)を挟み込んだ構成となっている。
【0019】次に、シート本体10の回転動作と車両前
後方向のスライド動作は、連動機構95により連動して
なされるようになっている。この連動機構95は、前記
回転ベース71の下面に取り付けた円弧形状のピニオン
ギヤ96と、上記メインベース91に取り付けた中間ギ
ヤ97と、車両フロアF上に取り付けたラック98を有
している。ピニオンギヤ96は中間ギヤ97に噛み合
い、中間ギヤ97はラック98に噛み合っている。この
ピニオンギヤ96と中間ギヤ97との噛み合い、及び中
間ギヤ97とラック98との噛み合いを経てシート本体
10は回転しつつ車両前方へスライドする。逆に、シー
ト本体10をドア開口部側から車両正面向きに回転させ
ると、シート本体10はこの回転動作に連動して車両後
方側へスライドし、これにより着座者の足下を広く確保
することができる。このように構成した連動機構95に
よれば、1操作でシート本体10の回転動作と車両前後
方向へのスライド動作を行わせることができるので、当
該リフトアップシート1の使い勝手が向上し、着座者及
び介護者の負担を大幅に低減することができる。
【0020】以上のように構成した車両用リフトアップ
シート1によれば、シート本体10は車室内のシートと
して用いられる他、車両から離脱してそのまま車椅子と
して単独でも使用することができる。先ず、シート本体
10を単独で車椅子として利用した後、これを車室内に
搬入するには、幅方向支持台60をドア開口部側に向け
た状態(そのスライド方向を車両幅方向に沿わせた状
態)で、傾斜ベース61を最も室外側(前端)に移動さ
せた状態とする。次に、車椅子利用者が着座したままシ
ート本体10を後退させてその連結ベース20を、幅方
向支持台60の傾斜ベース61に重ね合わせるように接
近させて、連結ベース20側の両連結ピン22,22
を、傾斜ベース61側の両連結窓61b、61bに進入
させる。ここで、両連結窓61b,61bは前記したよ
うにその室外側端部を車両後方に振った湾曲形状に形成
されているので、シート本体10はドアDに干渉しない
ようドアDの後方から回り込むように接近させて、両連
結ピン22,22を連結窓61b,61bに進入させる
ことができる。
【0021】こうしてシート本体10を回り込ませるよ
うに接近させて、両連結ピン22,22を連結窓61
b,61bに進入させる段階において、連結ピン22,
22は、先ず連結窓61bの幅の太い部分に進入させ
る。連結窓61bの幅の太い部分は、図6において実線
で示すように連結ピン22のフランジ部22aを挿入可
能であるので、当該連結ピン22の進入及び抜け出しが
許容される。この幅の太い部分に進入させた後、シート
本体10を更に後退させることにより連結ピン22を幅
の細い部分に移動させる。この幅の細い部分は連結ピン
22のフランジ部22aの径よりも小さい幅で形成され
ているので、該フランジ部22aが当該連結窓61bの
両側部に干渉し、従って連結ピン22の連結窓61bか
らの抜け出しが防止され、これにより傾斜ベース61に
対する連結ベース20の重ね合わせ状態が固定され、ひ
いてはシート本体10のリフトアップ装置50に対する
連結状態がロックされる。
【0022】連結ピン22,22を連結窓61b,61
bの幅の太い部分から細い部分に移動させる途中におい
て、当該連結窓61b,61bにはストッパ56の先端
側が横切っているので、連結ピン22はこのストッパ5
6の先端側を押して、当該ストッパ56をその支軸56
aを中心にして、且つ引っ張りばね57に抗してアンロ
ック方向(図6において左側のストッパ56では反時計
回り方向、右側のストッパ56では時計回り方向)に回
動させつつ連結窓61bの幅の細い部分に移動する。連
結ピン22,22がそれぞれストッパ56をアンロック
方向に回動させつつ、幅の細い部分に入り込むと、両ス
トッパ56,56は引っ張りばね57によりロック方向
(図6において左側のストッパ56では時計回り方向、
右側のストッパ56では反時計回り方向)に回動し、従
ってその先端部が連結窓61bを横切るロック位置に戻
される。こうして連結ピン22,22をそれぞれ連結窓
61bの幅の細い部分に進入させると(図6において二
点鎖線示す状態)、前記したようにそのフランジ部22
aが連結窓61bの両側部に係合するため当該連結ピン
22の抜け出しが禁止されるとともに、ストッパ56に
より幅の太い部分への移動も禁止され、これにより両連
結ピン22,22の連結窓61b,61bに対する係合
状態が確実に維持される。
【0023】また、上記のように両連結ピン22,22
を連結窓61b,61bに進入させるとともに、フック
23を傾斜ベース61の凹部61aに進入させる。この
フック23が凹部61内に入り込み、且つ上記したよう
に両連結ピン22,22が連結窓61b,61bの幅の
細い部分に進入した状態となると、連結ベース20が傾
斜ベース61に対してほぼ重ね合わさった状態となり、
然る後、トグルクランプ55の引き掛け部55aをフッ
ク23に引き掛けてロックすることにより、連結ベース
20の傾斜ベース61に対する重ね合わせ状態が固定さ
れ、ひいてはシート本体10のリフトアップ装置50へ
の連結が完了する。こうしてシート本体10をリフトア
ップ装置50に連結した後、両側の車輪フレーム21,
21を前記した手順で折り畳む。これにより折り畳んで
両車輪フレーム21,21はシートクッション11の下
面及び側部に収納される。以上のようにしてシート本体
10をリフトアップ装置50に連結し、且つ両車輪フレ
ーム21,21を収納した後、リフトアップ装置50を
動作させて、連結したシート本体10を車両室内に搬入
する。すなわち、先ず幅方向支持台60のモータ64を
起動させて、連結したシート本体10を室内側に移動さ
せる。シート本体10が幅方向室内側の端部に至った時
点でモータ64を停止する。
【0024】次に、手動操作によりシート本体10をド
ア側に向いた位置から車両正面向きの位置に回転させ
る。前記したように本実施形態におけるリフトアップ装
置50は連動手段95を備えているので、シート本体1
0はこの回転操作による回転動作に連動して車両後方へ
移動する。シート本体10を車両正面向きに至るまで回
転操作すると、当該シート本体10は前後方向支持台9
0によるスライド範囲の後端位置に至り、これにより着
座者の足元が広く確保される。以上の間、車椅子利用者
はシート本体10に着座したままの状態でよい。一方、
上記車室内設置状態からシート本体10を室外に移動
し、車椅子として用いるには、先ず同じく車椅子利用者
がシート本体10に着座した状態のまま、例えば介護者
の手操作により該シート本体10を車両正面向きの位置
からドア開口部側にほぼ90度回転操作する。この回転
操作に連動してシート本体10は車両前方に移動する。
次に、シート本体10を回転させてドア開口部側に向け
た状態で、幅方向支持台60のモータ64を起動してシ
ート本体10を車両幅方向外側に移動させる。シート本
体10を車両幅方向外側の端位置に移動させた後、モー
タ64を停止する。こうしてシート本体10を車両幅方
向外側の端位置に移動させた後、両側の車輪フレーム2
1,21を前記した手順で取り出す。
【0025】次に、トグルクランプ55をアンロック操
作してその引き掛け部55aをフック23から外す。こ
れとともに、両ストッパ56,56を引っ張りばね57
に抗して、その先端が連結窓61bから退避する方向に
それぞれ回動させ、この状態でシート本体10を例えば
介護者の手操作により前進させる。シート本体10を前
進させると、連結ピン22,22,はストッパ56の先
端部を連結窓61b,61bの幅の細い部分から幅の太
い部分に向けて移動する。両連結ピン22,22が連結
窓61b,61bの幅の大きい部分に至ると、この幅の
大きい部分は連結ピン22のフランジ部22aを挿入可
能な幅で形成されているので、当該両連結ピン22,2
2は連結窓61b,61bから抜け出し可能な状態とな
る。又、この段階でフック23が凹部61aから抜け出
る。連結ピン22,22が連結窓61b,61bから抜
け出し可能な状態とした後、当該シート本体10を前進
させることにより連結ベース20は傾斜ベース61から
離間する。以上により当該シート本体10をリフトアッ
プ装置50から離脱させることができる。このようにし
てリフトアップ装置50から離脱した状態のシート本体
10は、車椅子として単独で利用することができる。
【0026】以上のように構成した車両用リフトアップ
シート1によれば、シート本体10は単独で車椅子とし
て利用可能であり、且つそのまま幅方向支持台60に連
結して室内に移動させれば、車両用のシートとして利用
することができる。このことから、車椅子利用者は、従
来のように車両専用シートと車椅子との間の乗り移り動
作を全くすることなく車両室内に着座でき、また逆に車
椅子に着座でき、これにより車椅子利用者及びその介護
者の負担を大幅に低減することができる。また、シート
本体10は単独で車椅子として利用可能であり、車椅子
としての機能(主として着座機構及び車輪フレーム2
1,21による走行機能)を備えた状態のまま車両室内
に搬入されるので、従来のように車椅子フレーム部分を
分離した場合におけるその取り扱いを考慮する必要もな
い。
【0027】さらに、車椅子として使用した後、幅方向
支持台60に連結するには、シート本体10の連結ベー
ス20を幅方向支持台60の傾斜ベース61に重ね合わ
せ状に連結することによりなされる。傾斜ベース61は
室外側に下傾しており、連結ベース21はこの傾斜ベー
ス61に平行に設けられている。このことから、車椅子
としてのシート本体10を幅方向支持台60に連結させ
るべく接近させる段階で、シート本体10と幅方向支持
台60との間に高さ方向のばらつきがあっても相互に平
行な連結ベース21と傾斜ベース61の摺接作用により
このばらつきは修正され、これによりシート本体10の
幅方向支持台60への連結作業を容易に行うことができ
る。
【0028】また、シート本体10の両側部に備え付け
た左右の車輪フレーム21,21は、折り畳んでシート
クッション11の下面あるいは側部に沿って収納するこ
とができ、これによりシート本体の高さをより低くした
状態で車両室内に搬入することができる。これによれ
ば、当該車両用リフトアップシート1の高さを、例えば
運転席等車室内固定の他のシートに合わせることが容易
になり、これにより当該車両用リフトアップシート1に
着座する車椅子利用者の車両室内における疎外感を低減
し若しくはなくすことができる。
【0029】さらに、本実施形態の車両用リフトアップ
シート1によれば、連結凹部としての連結窓61b,6
1bが車両幅方向外側に至るほどドアパネルから離れる
方向に湾曲する形状に形成されているので、シート本体
10をリフトアップ装置50に接近させる段階におい
て、ドアパネルに当該シート本体10を干渉させること
なく、回り込むようにして接近させることができ、これ
により限られたスペースを有効に活用して、シート本体
10のリフトアップ装置50に対する連結及び離脱操作
をスムーズに行うことができる。
【0030】以上説明した実施形態には種々変更を加え
ることができる。例えば、連結凹部に対する連結突部の
係合により、傾斜ベースと連結ベースを相互に重ね合わ
せ状に固定し、これによりシート本体10をリフトアッ
プ装置50に連結する構成を例示したが、傾斜ベースに
対する連結ベースの固定手段は種々形態のものに変更す
ることができる。例えば、連結ベースに3カ所のフック
を設け、この3カ所のフックに対応して傾斜ベースに3
個のトグルクランプを配置し、各フックに対するトグル
クランプの引き掛けロックにより連結ベースを傾斜ベー
スに固定する構成としてもよい。また、連結凹部に対す
る連結突部の係合により固定する構成とする場合におい
ても、連結凹部として貫通する連結窓61bを例示した
が、必ずしも貫通して設ける必要はなく、シート本体側
の連結突部を係合可能な凹部であればよい。なお、連結
凹部を貫通して設けない場合にはストッパ56を傾斜ベ
ースの表面側に配置すればよい。さらに、連結突部とし
て連結ピンを連結ベース20側に設け、連結凹部を傾斜
ベース61側に設ける構成を例示したが、逆に設けても
よい。すなわち、連結突部を傾斜ベース側に設け、連結
凹部を連結ベース側に設ける構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す図であり、シート本体
をリフトアップ装置から分離した状態を示す斜視図であ
る。
【図2】同じく本発明の実施形態を示す図であり、シー
ト本体をリフトアップ装置に連結し、車両室内に搬入す
る状態を示す斜視図である。
【図3】シート本体をリフトアップ装置の傾斜ベースに
連結した状態を示す側面図である。本図において、車輪
フレームを取り出した状態が実線で示され、収納した状
態が二点鎖線で示されている。
【図4】連結ベースの斜視図である。
【図5】幅方向支持台の斜視図である。
【図6】傾斜ベースを裏側から見た図である。
【図7】図5の(7)−(7)線断面矢視図である。
【図8】回転支持台及び前後方向支持台の斜視図であ
る。
【符号の説明】
1…車両用リフトアップ 10…シート本体 20…連結ベース 21…車輪フレーム 22…連結ピン(連結突部) 23…フック 24…メインアーム 27…後輪 30…前輪 33…車輪カバー 50…リフトアップ装置 56…ストッパ 60…幅方向支持台 61…傾斜ベース、61b…連結窓(連結凹部) 80…回転支持台 90…前後方向支持台 95…連動機構 D…ドア

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート本体を車両幅方向にスライド支持
    し、該方向の室外側にスライドさせるほど前記シート本
    体を低い位置に変位させるようスライド方向を車両幅方
    向室外側に向けて下傾させた幅方向支持台を備え、 該幅方向支持台に車両幅方向室外側に向けて下傾する傾
    斜ベースを設ける一方、該傾斜ベースに対応して前記シ
    ート本体に該傾斜ベースに平行な連結ベースを設け、該
    連結ベースと前記傾斜ベースを重ね合わせ状に連結して
    前記シート本体を前記幅方向支持台に連結可能であり、
    該連結ベースと前記傾斜ベースの連結を解除して前記シ
    ート本体を前記幅方向支持台から分離可能であり、且つ
    分離したシート本体を単独で車椅子として転用可能な構
    成とした車両用リフトアップシート。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の車両用リフトアップシー
    トであって、シート本体の下部に備えた車椅子フレーム
    を、該シート本体の下面に沿って折り畳んで、該シート
    本体の高さを縮小可能な構成とした車両用リフトアップ
    シート。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の車両用リフトアッ
    プシートであって、幅方向支持台の傾斜ベース若しくは
    シート本体の連結ベースの一方に設けた連結突起を、他
    方に設けた連結凹部に係合させて前記シート本体を前記
    幅方向支持台に連結可能であり、且つ前記シート本体を
    車両幅方向斜め側方から前記幅方向支持台に接近させて
    前記連結突起を前記連結凹部に係合可能とすべく前記連
    結凹部を前記連結突起の相対的な接近経路に沿って長溝
    形状に形成した車両用リフトアップシート。
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