JP3680469B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は硬化性組成物に関し、さらに詳しくは、フィルム状レンズ、反射防止膜など、高い屈折率が要求される光学部品を効率的に製造することができる硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
フィルム状レンズ、反射防止膜など、薄膜状乃至薄板状の光学部品を製造する方法として、熱硬化性組成物を基材上に塗布し、塗膜を加熱(焼成)して硬化させることが行われている。
かかる熱硬化性組成物(コーティング組成物)としては、▲1▼ ラダー構造のポリチタノキサンを有機溶剤に溶解してなる熱硬化性組成物(特開平1−129032号公報参照)、▲2▼ アルコキシシランの加水分解物とテトラアルコキシチタンの加水分解物とを含有してなる熱硬化性組成物(特開平6−242432号公報参照)、▲3▼ アルコキシシランの加水分解物とテトラアルコキシチタンとを含有してなる熱硬化性組成物(特開平6−33000号公報参照)などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような熱硬化性組成物を用いて薄膜状の光学部品を製造する場合には、塗膜を硬化するために高温で加熱する必要があるため、使用できる基材が制限されており、また、塗膜の硬化に必要な加熱処理時間が長いため、光学部品を効率的に製造することができなかった。具体的には、上記▲1▼の組成物の塗膜を硬化させるためには500℃で加熱することが必要とされ、また、上記▲2▼〜▲3▼の組成物の塗膜を硬化させるためには、200℃で30分間以上の加熱処理が必要とされる。さらに、上記のような熱硬化性組成物を用いて、膜厚の大きい光学部品(例えば1μm以上)を形成しようとすると、当該光学部品にクラックなどが生じることがある。
【0004】
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の第1の目的は、低い温度条件で熱硬化させることができ、屈折率が高くて透明性に優れる硬化物を得ることができる硬化性組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、短い時間で熱硬化させることができ、屈折率が高くて透明性に優れる硬化物を効率的に得ることができる硬化性組成物を提供することにある。
本発明の第3の目的は、クラックなどの不具合を生じさせることなく膜厚の大きな硬化膜を形成することができる硬化性組成物を提供することにある。
本発明の第4の目的は、薄膜状乃至薄板状の光学部品を製造することができる硬化性組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の硬化性組成物は、(A)ポリチタノキサン〔以下「(A)成分」ともいう〕と、(B)ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルまたはポリシロキサンであって分子構造中にカルボキシル基および/または酸無水物基を含み、当該カルボキシル基および/または酸無水物基を導入するためのカルボン酸および/またはカルボン酸無水物に由来する構造部分の割合が0.1〜50重量%である、透明性を有する高分子〔以下「(B)成分」ともいう〕とを含有し、前記(A)成分と(B)成分の割合は「(A)成分:(B)成分(重量)」が30〜90:70〜10であることを特徴とする。
本発明の硬化性組成物においては、(A)成分におけるチタン含量が20重量%以上であることが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の硬化性組成物について詳細に説明する。
<(A)成分>
本発明の硬化性組成物を構成する(A)成分は、Ti−O−Ti結合を繰り返し単位として有する高度に縮合したポリチタノキサンである。
(A)成分として使用されるポリチタノキサン中のチタン含量は、最終的に得られる硬化物に高い屈折率を付与する観点から、通常20重量%以上とされ、好ましくは21〜48重量%、更に好ましくは24〜48重量%とされる。チタン含量が20重量%未満である場合には、得られる硬化物に高い屈折率を与えることができない。一方、チタン含量が過大であるポリチタノキサンを使用する場合には、最終的に得られる硬化物の透明性が低下することがある。ここに、ポリチタノキサン中のチタン含量は、原子吸光法により定量することができる。
【0007】
(A)成分として使用されるポリチタノキサンの縮合度としては、当該ポリチタノキサンがラダー構造のものと仮定して、通常10〜10,000とされ、好ましくは30〜5,000とされる。この縮合度が過小である場合には、得られる硬化物に高い屈折率を与えることができない。一方、縮合度が過大である場合には、硬化膜の透明性、成膜性が低下することがある。
【0008】
(A)成分として使用されるポリチタノキサンには、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジロキシ基、フェニルエトキシ基、フェノキシエトキシ基、ナフチロキシ基などのアルコキシ基、水酸基などが含まれていてもよい。
【0009】
(A)成分として使用されるポリチタノキサンは、有機溶剤の存在下にテトラアルコキシチタンを加水分解してチタノールを生成し、これを縮合させる通常の方法により製造することができる。
【0010】
ポリチタノキサンの合成反応に供されるテトラアルコキシチタンとしては、例えばテトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラキス(メトキシプロポキシ)チタン、テトラノニロキシチタン、テトラフェノキシチタン、テトラベンジロキシチタン、テトラフェニルエトキシチタン、テトラフェノキシエトキシチタン、テトラナフチロキシチタン、これらのテトラアルコキシチタンとアルコール類との交換反応により得られるアルコキシチタンなどを挙げることができる。テトラアルコキシチタンの市販品としては、「TPT」、「TBT」〔以上、日本曹達(株)製〕を挙げることができる。
【0011】
ポリチタノキサンを合成する際に使用される有機溶剤としては、反応物質であるテトラアルコキシチタンおよび水、並びに生成物質であるポリチタノキサンを均一に溶解することができ、沸点が40〜300℃であるものを挙げることができる。かかる有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メトキシプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、アミルアルコール、オクタノールなどの脂肪族アルコール類;フェノール、ベンジルアルコール、キシリルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノールなどの芳香族アルコール類;トルエン、キシレンなどの炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、γ−ブチロラクトンなどのエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどの水酸基含有エーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの水酸基を含有しないエーテル類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類を挙げることができ、これらは、単独で、または2種以上混合して使用することができる。これらのうち、脂肪族鎖状アルコール類、芳香族アルコール類、炭化水素類、水酸基含有エーテル類、水酸基を含有しないエーテル類、ケトン類が好ましく、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノール、トルエン、キシレン、エチレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが特に好ましい。
【0012】
なお、これらの有機溶剤のうち、アルコール類(脂肪族アルコール類・芳香族アルコール)を使用すると、当該アルコール類の有するアルコキシ基と、アルコキシチタンおよび/またはポリチタノキサンの有するアルコキシ基との交換反応により、アルコール類に由来の置換基を有するポリチタノキサンを得ることができる。
【0013】
テトラアルコキシチタンを加水分解するために添加される水の量は、得られるポリチタノキサンの縮合度を好ましい範囲に調整するなどの観点から、テトラアルコキシチタン1モルあたり、通常1.5モル以上とされ、好ましくは1.7〜2.2モルとされる。
なお、炭化水素類、エステル類、ケトン類など、水との相溶性の低い有機溶剤の存在下に加水分解を行う場合には、加水分解のための水を、これとの相溶性の高い溶剤に溶解した状態で添加することが好ましい。
【0014】
加水分解・縮合反応における反応温度は、テトラアルコキシチタンおよび有機溶剤の沸点以下の温度、例えば20〜300℃とされる。なお、加水分解・縮合反応を促進する観点から、塩酸、酢酸、トルエンスルフォン酸などの酸、アンモニア、トリエチルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化ナトリウムなどの塩基を反応系に添加してもよい。
また、カルボン酸、カルボン酸無水物、β−ジケトン類、β−ケトカルボン酸エステル類、アルコールアミン類、α−ヒドロキシカルボン酸類などの配位化合物を反応系に添加してもよい。
【0015】
さらに、上記のようにして得られるポリチタノキサンとテトラアルコキシチタンとを共縮合させたり、上記のようにして得られるポリチタノキサン同士を共縮合させたりすることにより得られるポリチタノキサンを(A)成分として使用することもできる。
本発明において、(A)成分の屈折率(ナトリウムD線またはこれに相当する波長589nmにおける屈折率)は1.6以上であることが好ましく、さらに好ましくは1.65以上とされる。
【0016】
<(B)成分>
本発明の硬化性組成物を構成する(B)成分は、カルボキシル基(−COOH)および/または酸無水物基(−CO−O−CO−)を分子構造中に含む透明性を有する高分子である。
【0017】
(B)成分として使用される高分子の種類としては、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリオレフィンなどのビニル系高分子;ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリシロキサンなどの縮合系高分子など、特に限定されるものではない。
また、(B)成分の分子量も特に限定されるものではないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められるポリスチレン換算の平均分子量が1,000〜100,000であることが好ましい。(B)成分の分子量が過小である場合には、得られる組成物の成膜性が低下することがあり、一方、分子量が過大である場合には、最終的に得られる硬化物の透明性が低下することがある。
【0018】
(B)成分中におけるカルボキシル基および酸無水物基の含有割合としては、これらの基を導入するために用いられた化合物(カルボン酸・カルボン酸無水物)に由来する構造部分の割合として、通常0.1〜50重量%とされ、好ましくは1〜30重量%とされる。この割合が過小である場合には、得られる組成物が十分な硬化性を有するものとならず、この割合が過大である場合には、得られる組成物の保存安定性が低下することがある。
(B)成分の分子構造中、カルボキシル基および/または酸無水物基が結合されている位置は、特に限定されるものではなく、主鎖、側鎖および末端の何れであってもよい。
【0019】
(B)成分として使用される高分子の製造方法(カルボキシル基および/または酸無水物基の導入方法)としては、特に限定されるものではなく、例えば下記(1)〜(3)に記載の方法を挙げることができる。
【0020】
(1)カルボキシル基を含有する化合物(カルボン酸)および/または酸無水物基を含有する化合物(カルボン酸無水物)と、重合性モノマーとを共重合させる方法。
(2)予め合成された高分子と、カルボン酸および/またはカルボン酸無水物とを反応させる方法。
(3)カルボキシル基前駆体および/または酸無水物基前駆体を含む高分子に、加水分解や脱水処理を施すことにより、カルボキシル基前駆体および/または酸無水物基前駆体をカルボキシル基および/または酸無水物基に変換する方法。
【0021】
上記(1)〜(2)の方法において、高分子中にカルボキシル基を導入するために用いられるカルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸などの不飽和カルボン酸類;コハク酸アクリロキシエチル、コハク酸メタクリロキシエチル、マロン酸アクリロキシエチル、マロン酸メタクリロキシエチル、フタル酸アクリロキシエチル、フタル酸メタクリロキシエチルビニルフェニルカルボン酸、アジピン酸アクリロキシエチル、アジピン酸メタクリロキシエチルなどのジカルボン酸のモノエステル類;ビニルフェニルカルボン酸、ビニルフェニル酢酸などのビニル基含有芳香族カルボン酸類を挙げることができる。
また、高分子中に酸無水物基を導入するために用いられるカルボン酸無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸無水物;ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物などの多価カルボン酸無水物を挙げることができる。これらのうち、ジカルボン酸のモノエステル類および不飽和ジカルボン酸無水物が好ましい。
これらのカルボン酸およびカルボン酸無水物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
上記(1)の方法において用いられる重合性モノマーとしては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレンなどの芳香族モノマー;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレートなどの(メタ)アクリルエステル類;N−ブチルマレインイミド、N−シクロヘキシルマレインイミド、N−フェニルマレインイミド、N−ナフチルマレインイミドなどのマレインイミド類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類などのビニル系モノマーを例示することができる。これらのうち、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、N−フェニルマレインイミド、N−ナフチルマレインイミドなどが好ましい。また、最終的に得られる硬化物に高い屈折率を与える観点から、重合性モノマーの屈折率は1.50以上であることが好ましい。
【0023】
上記(2)の方法により得られる高分子〔(B)成分〕としては、
▲1▼ メルカプト基含有高分子および/またはアミノ基含有高分子と、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸無水物とのマイケル付加反応を利用して得られる高分子、
▲2▼ Si−H基を有する高分子と、不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸無水物および/またはマレインイミド類とのヒドロシリル化反応を利用して得られる高分子などを挙げることができる。
【0024】
上記(3)の方法において用いられるカルボキシル基前駆体および/または酸無水物基前駆体を含む高分子としては、エステル結合、エーテル結合、アミド基などを分子構造中の主鎖、側鎖、末端に有する高分子を挙げることができる。
【0025】
(B)成分として使用される高分子の市販品としては、SMA RESIN〔Elf Atochem North America,Inc.製:スチレン−無水マレイン酸共重合体〕、VEMA A101,103,106〔以上、ダイセル化学工業(株)製:メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体〕などを挙げることができる。
【0026】
(B)成分として使用される高分子は、カルボキシル基や酸無水物基に対して反応性を有する化合物により変性されていてもよい。
具体的には、アルコールとの反応によるエステル化物、アミン化合物との反応によるアミド化物およびイミド化物、エポキシ化合物との付加反応物などであってもよい。
【0027】
(B)成分として使用される高分子には、透明性を有することが要求される。また、最終的に得られる硬化物に高い屈折率を与える観点から、(B)成分の屈折率(ナトリウムD線またはこれに相当する波長589nmにおける屈折率)は1.45以上であることが好ましく、更に好ましくは1.50以上とされる。
【0028】
<必須成分の含有量>
本発明の硬化性組成物における(A)成分(ポリチタノキサン)と(B)成分(カルボキシル基および/または酸無水物基を含む高分子)の使用割合としては、「(A)成分:(B)成分(重量)」が、30〜90:70〜10であることが好ましく、更に好ましくは40〜80:60〜20とされる。(A)成分の使用割合が過小〔(B)成分の使用割合が過大〕である場合には、得られる組成物によっては屈折率の高い硬化物を形成することが困難となる。他方、(A)成分の使用割合が過大〔(B)成分の使用割合が過小〕である場合には、得られる組成物によって膜厚の大きい硬化物を形成しようとすると、当該硬化膜にクラックなどを生じることがある。
【0029】
<任意成分>
本発明の硬化性組成物には、上記必須成分である(A)成分および(B)成分と共に各種の任意成分が添加含有されていてもよい。
かかる任意成分としては、(B)成分以外の高分子、酸化防止剤、光吸収剤、色素、顔料、無機充填剤などを挙げることができる。ここに、無機充填剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア、酸化亜鉛、酸化アンチモンなどを例示することができる。
【0030】
<有機溶剤>
本発明の硬化性組成物は、通常、必須成分および任意成分を有機溶剤により溶解することにより調製される。
かかる有機溶剤としては、必須成分および任意成分を均一に溶解することができるとともに、加熱乾燥により容易に除去できるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、(A)成分であるポリチタノキサンを合成する際に使用されるものとして例示した有機溶剤を挙げることができ、これらのうち、ケトン類、エステル類、炭化水素類が好ましい。
【0031】
<塗布方法>
本発明の硬化性組成物は、バーコーター、アプリケーター、スプレー、ロールコーター、ディッピング、スピンコータなどを用いて基材上に塗布することができる。本発明の硬化性組成物によれば、形成される塗膜の硬化処理を高温で行う必要がないため、基材の種類も制限されず、ガラス、セラミックス、金属などの無機材料のほか、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリエステルなどの透明樹脂材料を使用することができる。
【0032】
<硬化方法>
本発明の硬化性組成物の塗膜(未硬化塗膜)は、従来の組成物を硬化する場合よりも低い温度条件(例えば20℃〜150℃)の加熱処理により、比較的短い時間(例えば5〜30分間)で硬化される。ここに、加熱処理のための熱源としては、例えば熱風乾燥機、赤外線加熱炉、ホットプレートなどを挙げることができる。加熱温度としては、基材の変形を発生させない温度とされ、具体的には、樹脂材料よりなる基材を用いる場合には20〜150℃程度とされ、無機材料よりなる基材を用いる場合には20〜300℃程度とされ、好ましくは20〜150℃程度とされる。
【0033】
本発明の硬化性組成物により形成される硬化物は、屈折率が高く、透明性に優れている。かかる硬化物の屈折率としては、ナトリウムD線またはこれに相当する589nmにおける屈折率として、1.65以上とされ、好ましくは1.7以上とされる。このような高屈折率の硬化膜を、例えば多層反射防止膜の高屈折層として利用することにより、十分な反射防止効果が得られる。
本発明の硬化性組成物により形成される硬化物は、例えば多層反射防止膜の高屈折率層や液晶ディスプレイのバックライト用プリズムシートなどに好適に使用することができる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において、「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を意味するものとする。
【0035】
<合成例A−1>
テトラブトキシチタン200部(0.588モル)を無水トルエン100部に溶解して溶液を調製し、この溶液を85℃に加熱した。次いで、この溶液中に、イオン交換水20.1部(1.12モル)とn−ブチルアルコール400部との混合溶液を85℃で1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに85℃で3時間加熱撹拌した。このようにして得られた反応生成液を、減圧下(0.1mmHg)150℃に加熱して揮発成分を溜去することにより、白色固体状の物質(ブトキシ基を有するポリチタノキサン)を得た。このポリチタノキサン中のチタン含量を原子吸光法により測定したところ33.6%であった。以下、このポリチタノキサンを「(A−1)成分」という。
【0036】
<合成例A−2>
テトラブトキシチタン100部をベンジルアルコール232部に溶解して溶液を調製し、この溶液を180℃に加熱し、副生するブタノールを蒸留により除去した後、減圧下(0.1mmHg)で150℃に加熱して揮発成分を溜去することによりテトラベンジロキシチタン135部を得た。
得られたテトラベンジロキシチタン100部(0.21モル)に対し、イオン交換水7.2部(0.40モル)と、ベンジルアルコール150部との混合溶液を85℃で1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに85℃で2時間加熱撹拌した。このようにして得られた反応生成液を、減圧下(0.1mmHg)で150℃に加熱して揮発成分を溜去することにより、淡黄色固体状の物質(ベンジロキシ基を有するポリチタノキサン)を得た。このポリチタノキサン中のチタン含量を原子吸光法により測定したところ26.4%であった。以下、このポリチタノキサンを「(A−2)成分」という。
【0037】
<合成例B−1>
窒素ガスにより置換された反応容器内に、スチレン90部(0.88モル)と、メタクリル酸10部(0.12モル)と、ベンソイルパーオキサイド0.5部と、トルエン500部とを仕込み、反応系を80℃に加熱して8時間撹拌した。このようにして得られた反応生成液をシクロヘキサン中に注いで固形物を分離し、当該固形物を洗浄・乾燥して白色粉末状の生成物を得た。この生成物について、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量を測定したところ11,000であった。また、NMRにより分析したところ、この生成物は、メタクリル酸に由来する構造部分〔−HC−C(CH3 )(COOH)−〕の割合が10%であるスチレン−メタクリル酸共重合体であることが認められた。以下、この高分子を「(B−1)成分」という。
【0038】
<実施例1〜6>
表1に示す処方に従って、(A)成分(ポリチタノキサン)と、(B)成分((カルボキシル基または酸無水物基を含む高分子)と、トルエン(有機溶剤)と、メチルイソブチルケトン(有機溶剤)とを25℃で1時間混合することにより、本発明の硬化性組成物を調製した。
なお、実施例2および実施例5において使用した(B−2)成分は、スチレン−無水マレイン酸共重合体「SMA 3000」〔Elf Atochem North America,Inc.製:共重合モル比=3/1:分子量9270〕である。
【0039】
<比較例1>
表1に示す処方に従って、(A−1)成分20部をトルエン80部に溶解して比較用の硬化性組成物を調製した。
【0040】
<比較例2>
表1に示す処方に従って、(B−1)成分20部をメチルイソブチルケトン80部に溶解して比較用の硬化性組成物を調製した。
【0041】
<硬化性組成物の評価>
以上のようにして調製された本発明の組成物および比較用の組成物の各々について、組成物の熱硬化性(膜の耐溶剤性)を評価し、組成物による硬化膜についての透明性、各種基材に対する密着性、厚膜許容性(クラック発生の有無)について評価し、さらに、組成物による硬化膜について鉛筆硬度および屈折率を測定した。以上の結果を表1に併せて示す。ここに、評価用試験片の作製方法、並びに評価方法および測定方法は下記のとおりである。
【0042】
〔試験片の作製方法〕
(1)実施例1〜6および比較例1〜2により調製された硬化性組成物の各々をバーコーターでガラス基板上に塗布した後、このガラス基板を、熱風乾燥機を用いて150℃で30分間加熱処理することにより、所定の膜厚を有する評価用の試験片〔これを「試験片(I)」とする〕を作製した。
(2)実施例1〜6および比較例1〜2により調製された硬化性組成物の各々をスピンコート法でシリコンウエハ上に塗布した後、このシリコンウエハを150℃で30分間加熱処理することにより、所定の膜厚を有する評価用の試験片〔これを「試験片(II)」とする〕を作製した。
(3)実施例1〜6および比較例1〜2により調製された硬化性組成物の各々をバーコーターでポリカーボネート基板上に塗布した後、このポリカーボネート基板を、熱風乾燥機を用いて150℃で30分間加熱処理することにより、所定の膜厚を有する評価用の試験片〔これを「試験片(III) 」とする〕を作製した。(4)実施例1〜6および比較例1〜2により調製された硬化性組成物の各々をスピンコート法でシリコンウエハ上に塗布した後、このシリコンウエハを80℃で30分間加熱処理することにより、所定の膜厚を有する評価用の試験片〔これを「試験片(IV)」とする〕を作製した。
【0043】
〔評価方法・測定方法〕
(1)熱硬化性(膜の耐溶剤性):
メチルエチルケトンが含浸されている布により、試験片(I)上に形成された硬化膜(膜厚1μm)を擦過した後、その表面状態を観察し、変化が認められない場合を「○」、硬化不足に起因する擦過傷などが認められる場合を「×」とした。
(2)硬化膜の透明性:
試験片(I)における硬化膜(膜厚1μm)を目視により観察し、膜の全面が均一な透明性を有している場合を「○」、透明性が損なわれている部分がある場合を「×」とした。
(3)基材に対する硬化膜の密着性:
JIS K 5400に準じ、試験片(I)〜(III) における硬化膜(膜厚1μm)の各々について、1mm間隔のクロスカットで100個のマス目をつくり、粘着テープによる剥離試験で、基材に残存する膜片の数を測定した。評価としては、残存膜片が100個である場合を「○」、99個以下である場合を「×」とした。
(4)厚膜許容性(クラック発生の有無):
試験片(II)における硬化膜(膜厚0.5μm/膜厚2.0μm)について、クラックの有無を目視により確認した。
(5)硬化膜の鉛筆硬度:
試験片(I)における硬化膜(膜厚1μm)について、JIS K 5400に準じて測定した。
(6)硬化膜の屈折率:
試験片(II)および試験片(IV)における硬化膜(膜厚0.1μm)について、エリプソメーターを用いて波長589nmにおける屈折率を求めた。
【0044】
【表1】
Figure 0003680469
【0045】
【発明の効果】
本発明の硬化性組成物によれば、優れた熱硬化性により、低い温度条件(例えば20〜150℃)であっても、短い時間(例えば5〜30分間)で硬化物を得ることができる。
本発明の硬化性組成物によれば、屈折率が高く(例えば1.65以上)、透明性に優れ、適正な硬度(例えば、鉛筆硬度でH以上)を有し、基材との密着性、耐溶剤性などの諸特性にも優れた硬化物を効率的に得ることができる。
本発明の硬化性組成物によれば、クラックなどの不具合を生じさせることなく膜厚の大きな硬化膜(1μm以上)を形成することができる。
本発明の硬化性組成物によれば、薄膜状乃至薄板状の光学部品を効率よく製造することができる。

Claims (3)

  1. (A)ポリチタノキサンと、
    (B)ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルまたはポリシロキサンであって分子構造中にカルボキシル基および/または酸無水物基を含み、当該カルボキシル基および/または酸無水物基を導入するためのカルボン酸および/またはカルボン酸無水物に由来する構造部分の割合が0.1〜50重量%である、透明性を有する高分子と
    を含有し、
    前記(A)成分と(B)成分の割合は「(A)成分:(B)成分(重量)」が30〜90:70〜10であることを特徴とする硬化性組成物。
  2. (A)成分のポリチタノキサンが、Ti−O−Ti結合を繰り返し単位として有し、縮合度が10〜10,000のものであることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. (B)成分が、ポリスチレンであって分子構造中にカルボキシル基および/または酸無水物基を含み、当該カルボキシル基および/または酸無水物基を導入するためのカルボン酸および/またはカルボン酸無水物に由来する構造部分の割合が0.1〜50重量%である、透明性を有する高分子であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の硬化性組成物。
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