WO2023181775A1

WO2023181775A1 - 建設機械

Info

Publication number: WO2023181775A1
Application number: PCT/JP2023/006607
Authority: WO
Inventors: 哲也角野; 友幸田中; 隆司樋口
Original assignee: 株式会社日立建機ティエラ
Priority date: 2022-03-25
Filing date: 2023-02-23
Publication date: 2023-09-28
Also published as: KR20240064713A

Abstract

油圧ショベル（１）は、エンジン（７）を開閉可能に覆う原動機カバー（９）の上面部（９Ｅ）と運転席（１０）との間に設けられ、運転席（１０）を原動機カバー（９）の上側に固定するシートベース（１１）を備えている。また、シートベース（１１）のベース板（１２）は、運転席（１０）に取付けられる運転席固定部としての４個のねじ孔（１２Ｆ）と、原動機カバー（９）に取付けられる原動機カバー固定部としての６個のボルト挿通孔（１２Ｄ，１２Ｅ）と、を有している。この上で、ベース板（１２）のボルト挿通孔（１２Ｄ，１２Ｅ）は、ねじ孔（１２Ｆ）よりも広範囲に配置されている。この場合、シートベース（１１）は、運転席（１０）を取付ける前に、原動機カバー（９）に取付けることができる。

Description

建設機械

　本発明は、原動機を覆う原動機カバーの上側に運転席が設けられた建設機械に関する。

　建設機械としての油圧ショベルは、自走が可能な下部走行体と、下部走行体上に旋回可能に設けられた上部旋回体と、上部旋回体の前側に回動可能に設けられた作業装置と、により構成されている。

　ここで、油圧ショベルのうち、ミニショベルと呼ばれる超小型の油圧ショベルは、上部旋回体における機器類の設置スペースが小さく制限されている。超小型の油圧ショベルの上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、旋回フレームの後側に設けられたエンジン等の原動機と、原動機を開閉可能に覆う原動機カバーと、原動機カバーの上側に設けられ、オペレータが座る運転席と、を備えている（特許文献１）。

　ここで、原動機カバーは、開閉作業を容易にしたり、コストを削減したりするために、例えば、薄い鋼板によって形成されている。そして、運転席は、例えば、複数本のボルトを用いて原動機カバー上に取付けられている。

特開２０１９－５６２１９号公報

　特許文献１の油圧ショベルは、複数本のボルトを用いて運転席を原動機カバー上に取付ける構成としている。この場合、原動機カバーの運転席を取付ける部分には、運転席や運転席に着座するオペレータの重量等によって負荷が加わる。そして、運転席を原動機カバー上に取付けるボルトの配置は、スパナ等のねじ締め工具が届く位置になるよう、運転席の形状仕様に基づき、運転席の周囲に集中してしまう。このために、原動機カバーの一部に負荷が集中してしまい、原動機カバーが変形し易いという問題がある。

　本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、原動機カバーの一部に負荷が集中することを防止して、原動機カバーの変形を抑えることができるようにした建設機械を提供することにある。

　本発明は、自走可能な下部走行体と、前記下部走行体上に旋回可能に設けられた上部旋回体と、を備え、前記上部旋回体は、支持構造体をなす旋回フレームと、前記旋回フレームの後側に設けられた原動機と、前記原動機を開閉可能に覆う原動機カバーと、前記原動機カバーの上側に設けられた運転席と、を備えた建設機械において、前記原動機カバーの上面部と前記運転席との間に設けられ、前記運転席を前記原動機カバーの上側に固定するシートベースを備え、前記シートベースは、前記運転席に取付けられる運転席固定部と、前記原動機カバーに取付けられる原動機カバー固定部と、を有し、前記シートベースの前記原動機カバー固定部は、前記運転席固定部よりも広範囲に配置されている。

　本発明によれば、原動機カバーの一部に負荷が集中することを防止でき、原動機カバーの変形を抑えることができる。

本発明の実施形態に係る油圧ショベルの斜視図である。原動機カバーを開いた状態の油圧ショベルを示す斜視図である。作業装置とロールバーを省略した油圧ショベルを示す右側面図である。運転席を最前位置とした油圧ショベルを示す図３と同様の右側面図である。運転席を最後位置とした油圧ショベルを示す図３と同様の右側面図である。シートベースにシートベルト、グリスガン、カップホルダを取付けた状態の油圧ショベルを示す斜視図である。図３中の矢示VII－VII方向から見た油圧ショベルの断面図である。上部旋回体の後部を原動機カバーが開いた状態で示す斜視図である。原動機カバーとシートベースを分解した状態で示す斜視図である。シートベースの斜視図である。シートベースの平面図である。シートベースの前面図である。

　以下、本発明に係る建設機械の実施形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、図１ないし図１２を参照しつつ詳細に説明する。

　図１、図２において、油圧ショベル１は、自走が可能なクローラ式の下部走行体２と、下部走行体２上に旋回可能に搭載された上部旋回体３と、上部旋回体３の前側に回動と揺動が可能なスイング式の作業装置４と、により構成されている。ここで、実施形態による油圧ショベル１は、建物の内部での解体作業、路地等の狭い場所での掘削作業に用いることができる、例えば機械重量（総重量）が１トン程度の超ミニショベルと呼ばれる機種である。

　上部旋回体３は、旋回フレーム５、エンジン７、原動機カバー９、運転席１０、シートベース１１、シートベルト１９，２０、グリスガン２１、カップホルダ２２を含んで構成されている。

　旋回フレーム５は、前後方向に延びる長方形状をした金属製の厚板からなる底板５Ａと、底板５Ａの前部に前方に突出して設けられた支持部５Ｂと、底板５Ａの後部に左右方向に延びつつ、上側に延びたカウンタウエイト５Ｃと、を含んで構成されている。支持部５Ｂは、作業装置４を左右方向に揺動可能に支持している。

　カウンタウエイト５Ｃは、作業装置４との重量バランスをとるための重量物として形成されている。カウンタウエイト５Ｃの上面には、後述する原動機カバー９の連結部材９Ｆが取付けられている。これにより、連結部材９Ｆを介してカウンタウエイト５Ｃの上部に原動機カバー９を開閉可能（回動可能）に支持することができる。また、旋回フレーム５（カウンタウエイト５Ｃ）の後側には、後述のロールバー２７が取付けられている。

　側面カバー６は、旋回フレーム５の底板５Ａの周囲を囲むように設けられている。側面カバー６は、カウンタウエイト５Ｃと同等の高さ寸法をもって立設されている。また、側面カバー６は、後側が開放されるようにＵ字状に折り曲げられて形成されている。

　エンジン７は、原動機を構成するもので、旋回フレーム５の後側に設けられている。エンジン７は、カウンタウエイト５Ｃの前側に位置し、左右方向に延びる横置き状態で配設されている。エンジン７は、油圧ポンプ８（図８参照）を駆動するものである。なお、原動機としては、エンジンと電動モータからなるハイブリッド式の原動機、または電動モータを用いることもできる。

　原動機カバー９は、エンジン７を開閉可能に覆っている。原動機カバー９は、後側を支点として前側が上下方向に開閉可能な開閉式カバーとして形成されている。図９に示すように、原動機カバー９は、前面部９Ａ、後面部９Ｂ、左面部９Ｃ、右面部９Ｄおよび上面部９Ｅにより下側が開口したボックス状に形成されている。図３に示すように、前面部９Ａの下側部分は、原動機カバー９の最前部で垂直方向に延びた前面９Ａ１となっている。また、原動機カバー９の上面部９Ｅは、緩やかに湾曲しつつ前下がりに形成されている。

　図８に示すように、後面部９Ｂの下部には、開閉するときの支点となる連結部材９Ｆが設けられている。原動機カバー９は、この連結部材９Ｆを介してカウンタウエイト５Ｃに回動可能に取付けられている。一方、前面部９Ａには、開閉レバー９Ｇが設けられている。原動機カバー９は、開閉レバー９Ｇを操作することで旋回フレーム５側の構造物に対する連結（ロック）が解除されて開くことができる（上側に回動することができる）。

　図９に示すように、上面部９Ｅの前部には、左右方向に延びてブラケット９Ｈが立設されている。ブラケット９Ｈには、左右方向に間隔をもって複数個、例えば、２個のねじ孔９Ｊが設けられている。また、上面部９Ｅの後部には、左右方向に間隔をもって複数個、例えば、４個のねじ孔９Ｋが設けられている。前側のねじ孔９Ｊには、シートベース１１の前部を取付けるためのボルト１３が螺着される。一方、後側のねじ孔９Ｋには、シートベース１１の後部を取付けるためのボルト１３が螺着される。

　ここで、上面部９Ｅに設けられた６個のねじ孔９Ｊ，９Ｋは、上面部９Ｅの広い範囲に配置されている。この上で、６個のねじ孔９Ｊ，９Ｋは、ボルト１３を用いてシートベース１１を取付けた状態では、当該シートベース１１によって繋がっている。従って、１個のねじ孔９Ｊまたはねじ孔９Ｋに負荷が作用したとしても、この負荷を他の５個のねじ孔９Ｊ，９Ｋに分散させることができる。これにより、原動機カバー９は、耐久性（運転席１０を載せるのに必要な強度）を維持しつつ、安価で軽量な薄い鋼板等を用いて形成することができる。

　運転席１０は、原動機カバー９の上側に設けられている。詳しくは、運転席１０は、シートベース１１を介して原動機カバー９の上面部９Ｅに取付けられている。運転席１０は、オペレータの体形や操作姿勢に応じて着座位置を調整できるように、前後方向に移動可能となっている。運転席１０は、スライド機構１０Ａと、スライド機構１０Ａ上に取付けられた座部１０Ｂと、座部１０Ｂの後部から上側に延びた背もたれ部１０Ｃと、を備えている。

　スライド機構１０Ａは、オペレータの着座位置、即ち、座部１０Ｂと背もたれ部１０Ｃの位置を前後方向に移動することができる。スライド機構１０Ａは、シートベース１１（原動機カバー９）に固定される固定部と、固定部上に設けられた移動部と、固定部と移動部との間に位置して固定部上で移動部を前後方向に移動させるスライドレールと、移動部の前側の中央部に設けられ、移動部の移動と固定を切換えるレバー部１０Ａ１と、を備えている。このため、運転席１０は、スライド機構１０Ａによって重量がより大きくなるから、運転席１０を取付ける対象に作用する負荷が大きくなる。

　例えば、スライド機構１０Ａのレバー部１０Ａ１は、上側に引き上げられることで、座部１０Ｂ（移動部）が前後方向に移動するのを許すことができる。一方、レバー部１０Ａ１は、下側に降ろされることで、座部１０Ｂ（移動部）の移動を規制して着座位置を固定することができる。

　運転席１０は、スライド機構１０Ａの下側の固定部がシートベース１１の上面に載せられ、この状態で、固定部のボルト挿通孔に挿通したボルト（いずれも図示せず）をシートベース１１のベース板１２に設けられたねじ孔１２Ｆに螺着する。これにより、運転席１０は、シートベース１１に前後方向に移動可能（着座位置を調整可能）に取付けられている。具体的には、運転席１０の座部１０Ｂおよび背もたれ部１０Ｃは、スライド機構１０Ａによって図４に示す最前位置、図５に示す最後位置および最前位置と最後位置との間の中間位置（図３参照）に移動可能、かつ固定可能となっている。

　次に、本実施形態の特徴部分となるシートベース１１の構成および効果について詳細に説明する。

　シートベース１１は、原動機カバー９の上面部９Ｅと運転席１０との間に設けられている。また、シートベース１１は、運転席１０を原動機カバー９の上側に固定する。シートベース１１は、ベース板１２、把手１４、シートベルト取付部１５，１６、グリスガン取付部１７、カップホルダ取付部１８を備えている。

　図９ないし図１１に示すように、ベース板１２は、角枠状の平板からなる中板部１２Ａと、中板部１２Ａの前端縁から屈曲して下側に延びた前板部１２Ｂと、中板部１２Ａの後側に位置して中板部１２Ａよりも左右方向に大きく延びた後板部１２Ｃと、により形成されている。前板部１２Ｂには、原動機カバー９のブラケット９Ｈに設けられた２個のねじ孔９Ｊに対応する位置に原動機カバー固定部としての２個のボルト挿通孔１２Ｄが設けられている。また、後板部１２Ｃには、原動機カバー９の上面部９Ｅに設けられた４個のねじ孔９Ｋに対応する位置に原動機カバー固定部としての４個のボルト挿通孔１２Ｅが設けられている。

　さらに、ベース板１２には、中板部１２Ａの四隅寄りに位置して運転席固定部としての４個のねじ孔１２Ｆが設けられている。４個のねじ孔１２Ｆには、運転席１０のスライド機構１０Ａに設けられた４個のボルト挿通孔に挿通したボルト（いずれも図示せず）が螺着される。

　そして、図９に示すように、ベース板１２は、原動機カバー９の上面部９Ｅ上に配置された状態で、前側のボルト挿通孔１２Ｄに前側からボルト１３を挿通し、このボルト１３を原動機カバー９のねじ孔９Ｊに螺着する。また、後側のボルト挿通孔１２Ｅに上側からボルト１３を挿通し、このボルト１３を原動機カバー９のねじ孔９Ｋに螺着する。これにより、シートベース１１を原動機カバー９の上面部９Ｅに取付けることができる。

　さらに、ベース板１２には、運転席１０（スライド機構１０Ａ）が載せられ、スライド機構１０Ａの固定部に設けられた４個のボルト挿通孔に挿通したボルトがねじ孔１２Ｆに螺着される。これにより、シートベース１１には、運転席１０（スライド機構１０Ａ）を取付けることができる。

　ここで、ベース板１２は、原動機カバー９と別部材として設けられているから、原動機カバー９を形成する鋼板よりも高い強度、例えば、板厚を厚く（板厚寸法を大きく）したり、高強度な材料を用いて形成したりすることができる。この上で、ベース板１２は、４個のねじ孔１２Ｆよりも広範囲に分散して配置された６箇所のボルト挿通孔１２Ｄ，１２Ｅで、原動機カバー９の上面部９Ｅにボルト止めされている。従って、ベース板１２は、運転席１０からの負荷やシートベルト１９，２０が引っ張られたときの負荷が１箇所に作用しても、この負荷を広範囲の６箇所に分散した状態で原動機カバー９に伝えることができる。また、ベース板１２は、前側を取付けるボルト１３を横倒し（軸線が横向き）とし、前側から螺着する構成としている。これにより、ボルト１３は、運転席１０に邪魔されることなく容易に回すことができ、ベース板１２の着脱作業の作業性を向上することができる。

　把手１４は、ベース板１２の左右両側に対称形状をなすように設けられている。従って、左右の把手１４は、左右のどちらからでも原動機カバー９を開閉操作するときに掴むことができる。把手１４は、ベース板１２の前後方向の中間位置から前側に配置されている。即ち、把手１４は、原動機カバー９を開閉するときの支点となる後側の連結部材９Ｆから大きく離れた原動機カバー９の前側に配置されている。これにより、原動機カバー９を開閉するときには、回動支点から離れた位置で把手１４を掴むことができ、原動機カバー９を小さな力で簡単に開閉操作することができる。また、オペレータは、走行中に揺れた場合、把手１４を掴むことによって身体（姿勢）を安定させることができる。

　図３ないし図５に示すように、把手１４は、原動機カバー９の前面部９Ａの前面９Ａ１よりも後側に配置されている。従って、把手１４は、運転席１０に座ったオペレータの脚（ふくらはぎ等）が不用意に干渉しないようになっている。

　把手１４は、運転席１０の座部１０Ｂよりも左右方向の外側に位置してベース板１２の中板部１２Ａから上向きに突出したブラケット１４Ａと、ブラケット１４Ａの上部から左右方向の外側に延びた外向きバー１４Ｂと、外向きバー１４Ｂの先端部（外側の端部）から屈曲して前側に延びた外側把持部１４Ｃと、外側把持部１４Ｃの先端部（前端部）から屈曲して左右方向の内側に延び、その先端部がベース板１２の前板部１２Ｂに達した前側把持部１４Ｄと、前側把持部１４Ｄの先端部から屈曲して後側に延び、前板部１２Ｂに取付けられた取付バー１４Ｅと、により構成されている。

　そして、外側把持部１４Ｃは、シートベース１１の左右方向の外側に位置して前後方向に延びている。外側把持部１４Ｃは、原動機カバー９の上面部９Ｅに沿うように、前側に向けて下側に傾斜している。例えば、手袋を装着した状態でも、当該外側把持部１４Ｃと上面部９Ｅとの間に手を入れることができるように、外側把持部１４Ｃは、上面部９Ｅとの間に所定の隙間を有している。

　また、外側把持部１４Ｃは、運転席１０の座部１０Ｂに腰掛けるとき、立ち上がるときに邪魔にならないように、座部１０Ｂの座面（上面）よりも低い位置に配置されている。さらに、図１１に示すように、外側把持部１４Ｃは、前側に向けて左右方向の内側に傾斜している。従って、外側把持部１４Ｃは、オペレータの脚に近い前側位置の張出し寸法を小さく抑えることができる。これにより、オペレータが運転席１０に座った状態で脚を原動機カバー９に近い位置に置いた場合でも、脚と外側把持部１４Ｃが干渉しないようになっている。

　前側把持部１４Ｄは、シートベース１１の前側に位置して左右方向に延びている。また、図７、図１２に示すように、前側把持部１４Ｄは、左右方向の外側から内側に向けて下向きに傾斜することにより、スライド機構１０Ａによって前側に移動した運転席１０（スライド機構１０Ａの移動部、座部１０Ｂ）よりも低い位置に配置されている。これにより、運転席１０を、図３に示す中間位置、図４に示す最前位置に移動させた場合でも、運転席１０が前側把持部１４Ｄに干渉するのを回避することができる。さらに、左右の取付バー１４Ｅ（前側把持部１４Ｄの先端）は、スライド機構１０Ａのレバー部１０Ａ１を間に挟み、左右方向に大きく離れている。従って、左右の取付バー１４Ｅは、運転席１０を、図３に示す中間位置、図４に示す最前位置に移動させた場合でも、スライド機構１０Ａのレバー部１０Ａ１との干渉を防止することができる。

　シートベース１１には、追加部品を取付けるための取付部が設けられている。具体的には、シートベース１１には、後述のシートベルト１９，２０を取付けるためのシートベルト取付部１５，１６、グリスガン２１を取付けるためのグリスガン取付部１７、カップホルダ２２を取付けるためのカップホルダ取付部１８等が設けられている。

　一対のシートベルト取付部１５，１６は、ベース板１２の後板部１２Ｃの左右両側に設けられている。シートベルト取付部１５，１６は、Ｌ字状に屈曲した板体からなり、下端縁が後板部１２Ｃに固着されている。また、シートベルト取付部１５，１６のうち前後方向に延びた取付面には、ねじ孔１５Ａ，１６Ａが設けられている。左側のシートベルト取付部１５には、左側のシートベルト１９の基部１９Ａに挿通させたボルトをねじ孔１５Ａに螺着することで、基部１９Ａが取付けられている。一方、右側のシートベルト取付部１６には、右側のシートベルト２０の基部２０Ａに挿通させたボルトをねじ孔１６Ａに螺着することで、基部２０Ａが取付けられている。

　ここで、欧州の規格では、超小型の油圧ショベルにもシートベルトを設置する必要がある。この場合、シートベルトは、運転席以外、例えば原動機カバーに取付けられるのが一般的である。この上で、欧州の規格では、シートベルトの取付強度は、シートベルトを１５０００Ｎの力で引っ張っても耐えることができる強度が必要になる。

　しかし、本実施形態の原動機カバー９は、薄い鋼板等を用いて形成されているために、シートベルト１９，２０を原動機カバー９に直接ボルト止めする構成では、一箇所のボルト止め部分に応力が集中して１５０００Ｎの力に耐えることができない虞がある。

　これに対し、シートベルト取付部１５，１６は、強度を備えたシートベース１１に取付けられ、このシートベース１１を介して原動機カバー９に取付けられている。従って、シートベルト１９，２０が引っ張られてシートベルト取付部１５，１６に作用する負荷は、シートベース１１を介して広範囲に分散させた状態で原動機カバー９に伝えることができる。

　グリスガン取付部１７は、ベース板１２の後部に設けられている。グリスガン取付部１７は、水平方向に延びた取付面に複数個、例えば、２個のねじ孔１７Ａが左右方向に間隔をもって設けられている。グリスガン取付部１７には、グリスガンホルダ２１Ａに挿通させたボルトをねじ孔１７Ａに螺着することで、グリスガンホルダ２１Ａ（グリスガン２１）が取付けられている。

　カップホルダ取付部１８は、右側の把手１４に設けられている。カップホルダ取付部１８は、外向きバー１４Ｂの先端側に固着され、上側に延びている。図９に示すように、カップホルダ取付部１８の上側には、カップホルダ２２を取付けるためのボルト（図示せず）が螺着されるねじ孔１８Ａが設けられている。

　左側のシートベルト１９は、左側のシートベルト取付部１５に取付けられている。左側のシートベルト１９は、基部１９Ａに挿通されたボルトがシートベルト取付部１５のねじ孔１５Ａに螺着されることにより、シートベルト取付部１５に取付けられている。また、右側のシートベルト２０は、右側のシートベルト取付部１６に取付けられている。右側のシートベルト２０は、基部２０Ａに挿通されたボルトがシートベルト取付部１６のねじ孔１６Ａに螺着されることにより、シートベルト取付部１６に取付けられている。左側のシートベルト１９と右側のシートベルト２０とは、運転席１０に座ったオペレータの腹回りで連結されることにより、オペレータを運転席１０に固定することができる。

　グリスガン２１は、シートベース１１の後側に設けられている。グリスガン２１は、油圧ショベル１の給油箇所に潤滑剤としてのグリスを充填するための工具である。グリスガン２１は、グリスガンホルダ２１Ａを備えている。グリスガンホルダ２１Ａは、グリスガン取付部１７上に載置される。この状態で、グリスガンホルダ２１Ａは、挿通されたボルトをねじ孔１７Ａに螺着することにより、グリスガン取付部１７に取付けられている。

　カップホルダ２２は、シートベース１１の右側の把手１４に設けられている。カップホルダ２２は、有底の円筒体からなり、その内部には、飲料の容器を収めることができる。カップホルダ２２は、当該カップホルダ２２の側部に挿通されたボルトをカップホルダ取付部１８のねじ孔１８Ａに螺着することにより、カップホルダ取付部１８に取付けられている。

　フロア２３は、原動機カバー９から前側に延びて設けられている。レバースタンド２４は、フロア２３の前部に立設されている。レバースタンド２４の上部には、走行用の操作レバー２５と作業用の操作レバー２６とが設けられている。

　図１に示すように、ロールバー２７は、旋回フレーム５のカウンタウエイト５Ｃの後側に取付けられている。ロールバー２７は、運転席１０に座ったオペレータよりも高い位置まで延びた逆Ｕ字状の強度部材によって構成されている。これにより、ロールバー２７は、構造物が落下してきたり、油圧ショベル１が上下反転したりしたときに、オペレータを保護することができる。また、図２に示すように、ロールバー２７は、原動機カバー９を開くときには、邪魔にならないように水平方向に回動して退避させることができる。

　本実施形態による油圧ショベル１は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。

　オペレータは、フロア２３上に搭乗し、運転席１０に着座する。このときに、オペレータは、スライド機構１０Ａのレバー部１０Ａ１を操作することにより、座部１０Ｂの位置を好みに応じて前後に移動させることができる。運転席１０を好みの位置に調整したら、オペレータは、シートベルト１９とシートベルト２０を連結する。

　運転席１０に着座したオペレータは、レバースタンド２４の走行用の操作レバー２５を操作することにより、下部走行体２を走行させることができる。一方、オペレータは、作業用の操作レバー２６を操作することにより、上部旋回体３を旋回させたり、作業装置４を回動させたりして土砂の掘削作業等を行うことができる。

　また、エンジン７等のメンテナンスを行う場合には、ロールバー２７を水平方向に移動させた後に、開閉レバー９Ｇを操作してロックを解除し、把手１４を掴んで原動機カバー９を持ち上げる。このときに、把手１４は、原動機カバー９の回動支点となる連結部材９Ｆから離れているから、小さな力で簡単に原動機カバー９を持ち上げて開くことができる。原動機カバー９を開いた状態では、エンジン７等のメンテナンスを行うことができる。エンジン７等のメンテナンスが終了したら、原動機カバー９を閉じて、ロールバー２７を元に戻す。

　かくして、本実施形態によれば、エンジン７を開閉可能に覆う原動機カバー９の上面部９Ｅと運転席１０との間に設けられ、運転席１０を原動機カバー９の上側に固定するシートベース１１を備えている。また、シートベース１１のベース板１２は、運転席１０に取付けられる運転席固定部としての４個のねじ孔１２Ｆと、原動機カバー９に取付けられる原動機カバー固定部としての６個のボルト挿通孔１２Ｄ，１２Ｅと、を有している。この上で、ベース板１２のボルト挿通孔１２Ｄ，１２Ｅは、ねじ孔１２Ｆよりも広範囲に配置されている。換言すると、原動機カバー固定部としての６個のボルト挿通孔１２Ｄ，１２Ｅを頂点とする多角形の面の面積は、運転席固定部としての４個のねじ孔１２Ｆを頂点とする多角形の面の面積よりも大きく設定されている。この場合、シートベース１１は、運転席１０を取付ける前に、原動機カバー９に取付けることができる。即ち、運転席１０を取付けた状態では、スパナ、ソケットレンチ等のねじ締め工具が届かない位置、具体的には、シートベルト取付部１５，１６の内側にも、原動機カバー９に対するシートベース１１の取付位置（ボルト止め位置）を設定することができる。

　従って、シートベース１１の取付位置を原動機カバー９の広範囲に亘って複数個所設けることができる。これにより、運転席１０からシートベース１１に作用した負荷は、シートベース１１によって複数個所の取付位置に分散することができる。この結果、原動機カバー９の一部に負荷が集中することを防止できるから、原動機カバー９の強度を低く抑えた状態でも、原動機カバー９の変形を抑えることができる。

　また、本実施形態では、運転席１０は、着座位置を前後方向に移動させるスライド機構１０Ａを備えているから、運転席１０の重量がより大きくなり、運転席１０の取付部分に加わる負荷がさらに大きくなる。この場合でも、原動機カバー９と運転席１０との間にシートベース１１を介在させた取付構造では、原動機カバー９に加わる負荷を分散して原動機カバー９の変形を防止することができる。

　しかも、原動機カバー９と運転席１０との間にシートベース１１を配置した構成では、運転席１０の仕様が異なる場合でも、原動機カバー９に対するシートベース１１の取付位置を設定することができる。この場合、原動機カバー９の上面部９Ｅに対するシートベース１１の取付位置は、変形し易い上面部９Ｅの中央部から離れた位置、つまり原動機カバー９の上面部９Ｅに負荷が加わった際の支点（変形の起点）となる原動機カバーの曲げ加工部分の近傍の位置に設定できる。具体的には、原動機カバー９の上面部９Ｅのうち、前面部９Ａ、後面部９Ｂ、左面部９Ｃ、右面部９Ｄとの間の曲げ加工部分（稜線部分）の近くに負荷が加わった場合には、作用点と支点の距離が短くなり、同じ負荷に対する曲げモーメントが小さくなる。これにより、原動機カバー９は、曲げ加工部分の近くにねじ孔９Ｊ，９Ｋを設けたことにより、変形が生じ難く、負荷に対する耐久性をより向上することができる。

　シートベース１１には、原動機カバー９を開閉操作するための把手１４が設けられている。これにより、把手１４を掴むことにより、原動機カバー９を容易に開閉することができる。また、走行中に揺れた場合でも、把手１４を掴むことによって身体（姿勢）を安定させることができる。

　さらに、シートベース１１に把手１４を設けた構成では、原動機カバーに把手を直接的に設けた構成と比較し、把手１４を掴んで原動機カバー９を開閉操作するときに原動機カバー９に作用する負荷が分散されるから、原動機カバー９の変形を防止することができる。

　原動機カバー９は、後側を支点として前側が上下方向に開閉可能な開閉式カバーとして形成されている。この上で、把手１４は、シートベース１１の左右方向の外側に位置して前後方向に延びた外側把持部１４Ｃと、シートベース１１の前側に位置して左右方向に延びた前側把持部１４Ｄと、を備えている。これにより、把手１４は、油圧ショベル１の左右のどちらからでも掴むことができる。また、把手１４は、前側からも掴むことができる。

　把手１４は、原動機カバー９の前面部９Ａの前面９Ａ１よりも後側に配置されている。従って、把手１４は、運転席１０に座ったオペレータの脚（ふくらはぎ等）が不用意に干渉するのを防止でき、作業性を向上することができる。

　さらに、運転席１０は、着座位置を前後方向に移動可能なスライド機構１０Ａを備えている。この上で、把手１４の前側把持部１４Ｄは、左右方向の外側から内側に向けて下向きに傾斜することにより、スライド機構１０Ａによって前側に移動した運転席１０（スライド機構１０Ａの移動部、座部１０Ｂ）よりも低い位置に配置されている。これにより、把手１４の前側把持部１４Ｄは、スライド機構１０Ａによって運転席１０を前側に移動させた場合でも、運転席１０（スライド機構１０Ａの移動部、座部１０Ｂ）が干渉するのを回避することができる。

　一方、シートベース１１には、シートベルト取付部１５，１６、グリスガン取付部１７、カップホルダ取付部１８が設けられている。これにより、シートベース１１には、シートベルト取付部１５，１６を利用してシートベルト１９，２０を取付けることができる。グリスガン取付部１７を利用してグリスガン２１を取付けることができる。カップホルダ取付部１８を利用してカップホルダ２２を取付けることができる。

　なお、実施形態では、６本のボルト１３を用いて原動機カバー９の上面部９Ｅにシートベース１１を取付け、４本のボルトを用いてシートベース１１に運転席１０のスライド機構１０Ａを取付けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、２本～５本または７本以上のボルト１３を用いて原動機カバー９の上面部９Ｅにシートベース１１を取付け、２本、３本または５本以上のボルトを用いてシートベース１１に運転席１０のスライド機構１０Ａを取付ける構成としてもよい。

　また、実施形態では、原動機カバー９の上面部９Ｅに対するシートベース１１の取付位置を、前面部９Ａ、後面部９Ｂ、左面部９Ｃ、右面部９Ｄに近いシートベルト取付部１５，１６の内側に設定した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、原動機カバー９の上面部９Ｅに対するシートベース１１の取付位置を、運転席１０の下側に設定してもよい。

　さらに、実施形態では、原動機カバー９の後部を旋回フレーム５のカウンタウエイト５Ｃ上に回動可能に取付けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、原動機カバー９の前部、左部または右部を、車体に対して回動可能に取付ける構成としてもよい。

　１　油圧ショベル
　２　下部走行体
　３　上部旋回体
　５　旋回フレーム
　７　エンジン（原動機）
　９　原動機カバー
　９Ａ　前面部
　９Ａ１　前面
　９Ｅ　上面部
　９Ｆ　連結部材（支点）
　１０　運転席
　１０Ａ　スライド機構
　１１　シートベース
　１２　ベース板
　１２Ｄ，１２Ｅ　ボルト挿通孔（原動機カバー固定部）
　１２Ｆ　ねじ孔（運転席固定部）
　１４　把手
　１４Ｃ　外側把持部
　１４Ｄ　前側把持部
　１５，１６　シートベルト取付部（取付部）
　１７　グリスガン取付部（取付部）
　１８　カップホルダ取付部（取付部）
　１９，２０　シートベルト（追加部品）
　２１　グリスガン（追加部品）
　２２　カップホルダ（追加部品）

Claims

　自走可能な下部走行体と、
　前記下部走行体上に旋回可能に設けられた上部旋回体と、
を備え、
　前記上部旋回体は、
　支持構造体をなす旋回フレームと、
　前記旋回フレームの後側に設けられた原動機と、
　前記原動機を開閉可能に覆う原動機カバーと、
　前記原動機カバーの上側に設けられた運転席と、
を備えた建設機械において、
　前記原動機カバーの上面部と前記運転席との間に設けられ、前記運転席を前記原動機カバーの上側に固定するシートベースを備え、
　前記シートベースは、
　前記運転席に取付けられる運転席固定部と、
　前記原動機カバーに取付けられる原動機カバー固定部と、
を有し、
　前記シートベースの前記原動機カバー固定部は、前記運転席固定部よりも広範囲に配置されていることを特徴とする建設機械。
　請求項１に記載の建設機械において、
　前記シートベースには、前記原動機カバーを開閉操作するための把手が設けられていることを特徴とする建設機械。
　請求項２に記載の建設機械において、
　前記原動機カバーは、後側を支点として前側が上下方向に開閉可能な開閉式カバーとして形成され、
　前記把手は、前記シートベースの左右方向の外側に位置して前後方向に延びた外側把持部と、前記シートベースの前側に位置して左右方向に延びた前側把持部と、を備えていることを特徴とする建設機械。
　請求項３に記載の建設機械において、
　前記把手は、前記原動機カバーの前面よりも後側に配置されていることを特徴とする建設機械。
　請求項３に記載の建設機械において、
　前記運転席は、着座位置を前後方向に移動可能なスライド機構を備え、
　前記把手の前記前側把持部は、左右方向の外側から内側に向けて下向きに傾斜することにより前記スライド機構によって前側に移動した前記運転席よりも低い位置に配置されていることを特徴とする建設機械。
　請求項１に記載の建設機械において、
　前記シートベースには、追加部品を取付けるための取付部が設けられていることを特徴とする建設機械。