WO2023037943A1 - 再生炭素繊維の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、CFSMCであってもよい炭素繊維プリプレグまたは既硬化CFSMCであってもよいCFRPから、樹脂マトリックスを熱分解により除去し、FRP用の補強材に適した再生短尺炭素繊維を製造するときに好ましく用い得る技法を提供する。 再生炭素繊維の製造方法は、CFSMCまたは既硬化CFSMCを一次熱処理して、複数の炭素繊維が熱硬化性樹脂の熱分解物で結着された構造の炭素繊維集合体を得ること、および;前記炭素繊維集合体からなる処理対象を、第一通気性シートと第二通気性シートとで挟んで酸化性雰囲気下で二次熱処理することにより、前記処理対象から前記熱硬化性樹脂の熱分解物を除去すること;を含む。

Description

再生炭素繊維の製造方法
 本発明は、主として、再生炭素繊維の製造方法に関する。
 本願は、2021年9月10日に日本国特許庁に出願された特願2021-147373号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
 炭素繊維強化プラスチック(以下ではCFRPともいう)を、酸素濃度が3~18体積%の範囲内で、かつ、温度が300~600℃の範囲内のガス雰囲気下で燃焼させないで処理することで、炭素繊維を回収できることが知られている(特許文献1)。
 CFRPを乾留(実質的に酸素の無い雰囲気下での熱処理)した後、酸素濃度が0.1~25体積%の範囲内で、かつ、温度が300~1000℃の範囲内で燃焼させないで処理することで、炭素繊維を回収できることが知られている(特許文献2)。
 CFRPを温度が300~1000℃の範囲内で乾留すると、多数本の炭素繊維が熱硬化性樹脂の熱分解物(残渣)によって一体に結着された構造の炭素繊維集合体が形成されることが知られている(特許文献3)。また、この熱硬化性樹脂の熱分解物の炭素繊維に対する量が1重量%未満では炭素繊維集合体の形態保持力が低く、輸送中に綿状になり得ることが知られている(特許文献3)。
 乾留したCFRPに炭化した状態で残存するマトリックス成分を含酸素雰囲気下で加熱除去する処理を、通気性材料で各ケージ面が形成された加熱ケージの中に乾留したCFRPを入れて行う、炭素繊維の再生処理方法が知られている(特許文献4)。
特開平6-99160号公報 特開平7-33904号公報 特開平7-118440号公報 特開2013-237716号公報
 CFSMC(炭素繊維シートモールディングコンパウンド)を乾留して得られる炭素繊維集合体は、空隙率が高いにもかかわらず樹脂で含浸することが難しいため、FRP用の補強材には適していない。
 本発明の主たる目的は、CFSMCであってもよい炭素繊維プリプレグ、または、既硬化CFSMC(cured CFSMC)であってもよいCFRPから、樹脂マトリックスを熱分解により除去し、FRP用の補強材に適した再生炭素繊維を製造するときに好ましく用い得る技法を提供することにある。
 本明細書中には、本発明の各実施形態により解決され得る課題が明示的にまたは黙示的に開示されている場合がある。
 本発明の一態様においては、CFSMCまたは既硬化CFSMCを一次熱処理して、複数の炭素繊維が熱硬化性樹脂の熱分解物で結着された構造の炭素繊維集合体を得ること、および;前記炭素繊維集合体からなる処理対象を、第一通気性シートと第二通気性シートとで挟んで酸化性雰囲気下で二次熱処理することにより、前記処理対象から前記熱硬化性樹脂の熱分解物を除去すること;を含む再生炭素繊維の製造方法が提供される。
 本発明の他の一態様においては、既硬化CFSMCを破砕して破砕材としたうえで、各破砕片が熱硬化性樹脂の熱分解物で複数の炭素繊維が結着された構造の炭素繊維集合体となるよう、一次熱処理すること、および;前記一次熱処理を受けた前記破砕材を処理対象として、第一通気性シートと第二通気性シートとで挟んで酸化性雰囲気下で二次熱処理することにより、前記処理対象から熱硬化性樹脂の熱分解物を除去すること;を含む、再生炭素繊維の製造方法が提供される。
 本発明の更に他の一態様においては、プリプレグチップを、各チップが熱硬化性樹脂の熱分解物で複数の炭素繊維が結着された構造の炭素繊維集合体となるよう、一次熱処理すること、および;前記一次熱処理を受けた前記プリプレグチップを処理対象として、第一通気性シートと第二通気性シートとで挟んで酸化性雰囲気下で二次熱処理することにより、前記処理対象から熱硬化性樹脂の熱分解物を除去すること;を含む、再生炭素繊維の製造方法が提供される。
 本発明の更に他の一態様においては、CCFRP破砕材を、各破砕片が熱硬化性樹脂の熱分解物で複数の炭素繊維が結着された構造の炭素繊維集合体となるよう、一次熱処理すること、および;前記一次熱処理を受けた前記CCFRP破砕材を処理対象として、第一通気性シートと第二通気性シートとで挟んで酸化性雰囲気下で二次熱処理することにより、前記処理対象から熱硬化性樹脂の熱分解物を除去すること;を含む、再生炭素繊維の製造方法が提供される。
 CCFRPは、連続炭素繊維で補強されたCFRPを表す略称である。
 本発明の更に他の一態様においては、100mm以下の繊維長を有する炭素繊維が熱硬化性樹脂の熱分解物で結着された構造を有し、かつ前記炭素繊維の少なくとも一部が5mm以上の繊維長を有する炭素繊維集合体からなる処理対象を、第一通気性シートと第二通気性シートとで挟んで酸化性雰囲気下で熱処理することにより、前記処理対象から熱硬化性樹脂の熱分解物を除去することを含む、再生炭素繊維の製造方法が提供される。
 本発明の更に他の一態様においては、100mm以下の繊維長を有する炭素繊維が熱硬化性樹脂の熱分解物で結着された構造を有し、かつ前記炭素繊維の少なくとも一部が5mm以上の繊維長を有する炭素繊維集合体からなるばら材料を、第一通気性シートと第二通気性シートで挟んで酸化性雰囲気下で熱処理することにより、前記ばら材料から熱硬化性樹脂の熱分解物を除去することを含む、再生炭素繊維の製造方法が提供される。
 CFSMCであってもよい炭素繊維プリプレグ、または、既硬化CFSMCであってもよいCFRPから、樹脂マトリックスを熱分解により除去し、FRP用の補強材に適した再生炭素繊維を製造するときに好ましく用い得る技法が提供される。
図1は、第一通気性シートと第二通気性シートで炭素繊維集合体を挟む様子を示した模式図である。 図2は、端部において互いに繋がった第一通気性シートと第二通気性シートとで炭素繊維集合体を挟んだところを示した模式図である。 図3は、再生炭素繊維の繊維方向が通気性シートと平行である状態を示した模式図である。 図4は、第一通気性シートと第二通気性シートで挟んだ炭素繊維集合体を第二の大型金網の上に載置し、その上に第一の大型金網を置いたところを示した模式図である。 図5は、第一通気性シートと第二通気性シートの外周部同士を接合して形成された容器内に、炭素繊維集合体が封入されたところを示した模式図である。
1.再生炭素繊維の製造方法
 本発明の一実施形態に係る再生炭素繊維の製造方法は、次のステップ(i)および(ii)を含む。
 (i)CFSMCまたは既硬化CFSMCを一次熱処理して、複数の炭素繊維が熱硬化性樹脂の熱分解物で結着された構造の炭素繊維集合体を得るステップ。
 (ii)前記炭素繊維集合体からなる処理対象を、第一通気性シートと第二通気性シートとで挟み、酸化性雰囲気下で二次熱処理することにより再生炭素繊維を得るステップ。
 ステップ(i)および(ii)はひとつの事業者により実行されてもよいが、限定するものではない。つまり、ステップ(i)を実行する事業者とステップ(ii)を実行する事業者は異なっていてもよい。
 本発明の実施形態には、ステップ(ii)のみを必須とする再生炭素繊維の製造方法が含まれ得る。
 以下、(i)および(ii)の各ステップについて詳しく説明する。
1.1.ステップ(i)
 ステップ(i)では、CFSMCまたは既硬化CFSMCが一次熱処理に供される。
 CFSMCは、繊維長が5~100mmの範囲内にある短尺炭素繊維束で形成された炭素繊維マットを、熱硬化性樹脂で含浸させる方法で製造されるコンポジット成形材料である。典型例では、短尺炭素繊維束の繊維長は約13mm(0.5インチ)、約25mm(1インチ)、約38mm(1.5インチ)、約51mm(2インチ)などであり得る。
 炭素繊維マットはランダムマットであり、典型的には、束当たりフィラメント数が1000~50000の範囲内、とりわけ3000~15000の範囲内にある連続炭素繊維束を切断することにより形成される短尺炭素繊維束を、シート上に散布する方法で形成される。連続炭素繊維束は、切断される前に、部分的にスプリットされることがある。
 炭素繊維は、典型的にはPAN系であるが、ピッチ系であってもよい。
 熱硬化性樹脂に用いられるベース樹脂の例は不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂(エポキシアクリレート樹脂ともいう)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂であるが、限定はされない。ベース樹脂として2種以上の樹脂が使用され得る。
 熱硬化性樹脂には、ベース樹脂の他に、硬化剤、硬化助剤、反応性希釈剤、増粘剤、内部離型剤、低収縮剤、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、乾燥剤、着色剤などの添加剤が必要に応じて配合される。
 既硬化CFSMCの典型例は、CFSMCから成形されたCFRP製品である。CFSMCは熱硬化性の成形材料であり、成形されると同時に硬化される。CFSMCからCFRP製品を成形するときに用いられる成形方法の典型例は圧縮成形法である。
 一例では、端材として廃棄されたCFSMCや、未使用のまま廃棄されたCFSMCが、放置されている間に自発的に硬化することによって、既硬化CFSMCが発生することがある。
 ステップ(i)で行われる一次熱処理は、CFSMCまたは既硬化CSFMCが熱分解して、多数本の炭素繊維が熱硬化性樹脂の熱分解物で結着された構造の炭素繊維集合体が生成するように行われる。
 一次熱処理は乾留であってもよい。乾留では、空気の供給を断つために、加熱炉が密閉されてもよいし、窒素ガスや過熱水蒸気(superheated steam)のような不活性ガスが加熱炉に供給されてもよい。乾留温度は、例えば400~600℃、600~800℃、または、800~1000℃であり、雰囲気ガスの種類や熱処理時間に応じて設定することができる。乾留の条件については、前述の特許文献2~4を参照してもよい。加熱水蒸気雰囲気を用いた乾留については、例えば、特開2011-122032号公報や国際公開第2018/212016号を参照してもよい。
 一次熱処理に酸素含有雰囲気を用いることも可能である。例えば、前述の特許文献4や特開2018-202810号公報には、酸素ガスを含有する雰囲気下でCFRPを熱処理して、多数本の炭素繊維が熱硬化性樹脂の熱分解物で結着された構造の炭素繊維集合体を生成させる方法が記載されており、参照することができる。
 ステップ(i)では、一次熱処理前にCFSMCまたは既硬化CFSMCに含まれる熱硬化性樹脂の好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは85重量%以上が除去される。一次熱処理により得られる炭素繊維集合体に含まれる熱硬化性樹脂の熱分解物の量は、好ましくは、炭素繊維の1重量%以上20重量%以下である。
 未使用のCFSMCを一次熱処理する場合には、生成する炭素繊維集合体がシート形状となるように、CFSMCを平らに広げた状態で一次熱処理することが望ましい。この場合、複数のCFSMCを積層して一次熱処理してもよい。
 既硬化CFSMCが立体的な形状を有するCFRP成形品であるときは、一次熱処理する前に、嵩密度を下げるために破砕してもよい。破砕は、繊維長5mm未満の炭素繊維のみを含む破砕片ができるだけ発生しないように行われる。
 一次熱処理は、性状の異なるCFSMCが混在する状態で行ってもよいし、性状の異なる既硬化CFSMCが混在する状態で行ってもよく、更に、CFSMCと既硬化CFSMCが混在する状態で行ってもよい。
 一次熱処理では、熱硬化性樹脂の熱分解により発生するガスの量が二次熱処理に比べて多いことから、このガスが滞りなく抜けていくように、CFSMCまたは既硬化CFSMCを覆わないで雰囲気ガス流に晒してもよい。
1.2.ステップ(ii)
 一次熱処理で得られる炭素繊維集合体は、炭素繊維同士の結着が強いために、ハンドリングは容易であるが、樹脂で含浸させることができない。よって、そのままではFRP用の補強材として好適とはいえない。
 そこで、実施形態に係る方法ではステップ(ii)として、酸化性雰囲気下で二次熱処理を行い、ステップ(i)で得た炭素繊維集合体から熱硬化性樹脂の熱分解物を除去して再生炭素繊維を得る。
 ステップ(ii)で得られる再生炭素繊維は、熱硬化性樹脂の熱分解物が付着していないか、または、付着しているとしても、その量が炭素繊維同士を結着させるには不足している。
 このことを考慮し、ステップ(ii)では、図1に示すように、ステップ(i)で得た炭素繊維集合体を処理対象10として第一通気性シート21と第二通気性シート22とで挟み、その状態で二次熱処理を行う。
 処理対象10には、複数の炭素繊維集合体が含まれてもよい。一例において、処理対象10は、既硬化CFSMCを破砕後に一次熱処理して形成された炭化破砕材であってもよい。この炭化破砕材は、多数の炭素繊維集合体からなるばら材料(loose material)である。
 第一通気性シート21は、再生炭素繊維が通り抜け難い大きさの開口を多数有している。第二通気性シート22も同様である。
 このように炭素繊維集合体を通気性シートで挟んで二次熱処理を行うと、生成する再生炭素繊維が自由に動き難いため綿状になり難く、また、通気性シートによって再生炭化繊維の舞い上がりが抑制される。更に都合のよいことに、通気性シートの間に挟まれた状態で生じる再生炭素繊維は高い嵩密度を有しており、しかも、通気性シートごと輸送することができる。
 一例において、図2に示すように、処理対象10を挟む第一通気性シート21と第二通気性シート22が端部において互いにつながっていてもよい。つまり、1枚の通気性シートの一部分が第一通気性シートであり、他の一部分が第二通気性シートであってもよい。
 第一通気性シートと第二通気性シートは、それぞれ、追加の通気性シートと重ねて使用することもできる。
 第一通気性シートおよび第二通気性シートの好適例は、限定するものではないが、金属メッシュと不燃性繊維布である。
 金属メッシュの典型例は、織金網(woven wire mesh)、エキスパンドメタルおよびパーフォレーテッドメタルである。
 金属メッシュの材質としては、ステンレス鋼、電熱合金、耐熱合金、高融点金属、鉄、亜鉛メッキ鉄、ニッケル、銅、銅合金が例示される。
 ステンレス鋼の種類には、マルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系、析出硬化系、オーステナイト・フェライト二相系があり、いずれも使用できる。好ましい鋼種の例には日本産業規格のSUS304、SUS304L、SUS310S、SUS316、SUS316L、SUS317L、SUS321、SUS347、SUS430、SUS444が含まれる。
 電熱合金の例には、ニッケル・クロム合金と鉄・クロム・アルミニウム合金が含まれる。
 耐熱合金の例には、ハステロイ(登録商標)、インコネル(登録商標)、モネル(登録商標)が含まれる。
 高融点金属の例には、チタン、モリブデン、タングステンが含まれる。
 銅合金の例には、真鍮、青銅、リン青銅が含まれる。
 耐久性、耐熱性、耐食性、強度および入手容易性を考慮すると、金属メッシュの材質として特に好ましいのはステンレス鋼であり、中でもSUS304である。
 不燃性繊維布とは、金属繊維、無機繊維、炭素繊維のような不燃性繊維からなる布である。金属繊維の好適例はステンレス繊維である。無機繊維の好適例はシリカ繊維とアルミナ繊維である。
 第一通気性シートと第二通気性シートは、両方が金属メッシュであってもよいし、一方が金属メッシュで他方が不燃性繊維布であってもよく、両方が不燃性繊維布であってもよい。
 CFSMCに由来する炭素繊維集合体の二次熱処理により得られる再生炭素繊維の繊維長は、このCFSMCに用いられた短尺炭素繊維束の繊維長と略同じである。このことから、繊維長Lの短尺炭素繊維束を用いて製造されたCFSMCに由来する炭素繊維集合体を二次熱処理するとき、第一通気性シートまたは第二通気性シートとして使用する金属メッシュの各開口の最大長は、好ましくは0.5L以下、より好ましくは0.2L以下、更に好ましくは0.1L以下である。該最大長の下限は、例えば、0.01Lであり得る。金属メッシュが有する各開口の最大長が再生炭素繊維の長さに比べて小さい程、再生炭素繊維は金属メッシュを通り抜けることが難しくなる。
 例えば繊維長Lが25mm(約1インチ)の短尺炭素繊維束を用いたCFSMCに由来する炭素繊維集合体を二次熱処理するときには、各開口の最大長が好ましくは12.5mm以下、より好ましくは5mm以下、更に好ましくは2.5mm以下である金属メッシュを用いればよい。
 CFSMCに用いられる短尺炭素繊維束の繊維長Lは、実際には10mm以上であることが多い。従って、各開口の最大長が5mm以下、更には4mm以下、更には3mm以下、更には2mm以下、更には1mm以下の金属メッシュを準備すれば、たいていのCFSMCに由来する炭素繊維集合体の二次熱処理を好ましく行うことができる。
 金属メッシュにおける開口の最大長とは、寸法が最も大きい方向に沿った開口の寸法をいう。例を挙げると次の通りである。
 開口が矩形のとき、開口の最大長は矩形の対角線の長さである。
 開口が正六角形のとき、開口の最大長は正六角形の外接円の直径である。
 開口が菱形のとき、開口の最大長は菱形の2つの対角線のうち長い方の長さである。
 開口が円形のとき、開口の最大長は円の直径である。
 開口が三角形のとき、開口の最大長は三角形の3つの辺のうち最も長い辺の長さである。例えば正三角形の場合、三辺全てが最も長い辺であるから、正三角形の開口の最大長は正三角形の一辺の長さである。
 織金網とエキスパンドメタルでは、全ての開口が同じ形状と大きさを有するのが一般的である。
 一般的に、織金網の開口の形状は矩形である。エキスパンドメタルの開口の形状は、菱形と六角形のいずれかに似た形状であることが一般的である。
 パーフォレーテッドメタルに設けられる開口は、円、三角形、矩形、六角形など様々な形状を有し得る。パーフォレーテッドメタルには、形状と大きさの少なくとも一方が互いに異なる2種以上の開口が形成され得る。
 第一通気性シートおよび第二通気性シートとして、金属メッシュが充たすべき他の好ましい仕様は次の通りである。
 金属メッシュの開口率(open area)は、例えば25~85%の範囲内である。酸素ガスが炭素繊維集合体に満遍なく供給されるようにするには、該開口率は好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上、更に好ましくは40%以上であり、45%以上や50%以上であってもよい。強度を確保するという観点からは、金属メッシュの開口率は好ましくは80%以下、より好ましくは75%以下である。
 金属メッシュが織金網の場合、線径は好ましくは0.2~2mmの範囲内であるが、限定するものではない。
 金属メッシュがエキスパンドメタルの場合、板厚は好ましくは0.5~1mmの範囲内であるが、限定するものではない。
 金属メッシュがパーフォレーテッドメタルの場合、板厚は好ましくは0.5~3mmの範囲内であるが、限定するものではない。
 不燃性繊維布が一般に有する開口のサイズは、CFSMCに用いられる短尺炭素繊維束の繊維長と比べて十分に小さいのが普通である。
 二次熱処理によって得られる再生炭素繊維に熱硬化性樹脂の熱分解物が付着している場合、その量は炭素繊維に対して例えば2重量%未満であり、1.5重量%未満や1重量%未満であってもよく、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.3重量%未満、更に好ましくは0.1重量%未満である。
 二次熱処理における再生炭素繊維の収率、すなわち、一次熱処理で得た炭素繊維集合体に含まれる炭素繊維の量に対して、これを二次熱処理して得られる再生炭素繊維の量は、100重量%未満であり得る。すなわち、二次熱処理では、熱硬化性樹脂の熱分解物が酸化分解されるだけでなく、炭素繊維も一部が酸化分解により消失し得る。
 二次熱処理で用いられる酸化性雰囲気は、好ましくは酸素ガスを含む雰囲気である。酸素ガスの濃度は、例えば0.1~25体積%の範囲内とすることができる。二次熱処理の温度は、例えば300~1000℃の範囲内とすることができる。二次熱処理の時間は、二次熱処理の雰囲気と温度に応じて設定される。
 二次熱処理においては、雰囲気中の酸素ガス濃度が高い程、また、温度が高い程、熱硬化性樹脂の熱分解物が速く除去されると同時に、炭素繊維の酸化分解も速い。従って、二次熱処理の条件、すなわち、雰囲気中の酸素濃度、温度および時間は、熱硬化性樹脂の熱分解物が十分に除去され、かつ、炭素繊維の酸化分解が過度に生じないように調節される。具体的には、再生炭素繊維の収率が、例えば、70~100%、好ましくは80~100%、より好ましくは90~100%の範囲内となるように調節される。
 二次熱処理の条件については、前述の特許文献1および2を参照してもよい。
 特許文献1には、厚さ2.5mmの板状CFRPを大きさが5~15cm、重量平均で8.5cmとなるように破砕し、その616g(炭素繊維の含有量388g)を電気炉に入れ、酸素を11体積%含む窒素ガスを送りながら600℃で30分間熱処理したところ、CFRP中の樹脂分が熱分解で消失し、炭素繊維の回収率は98%であったことが記載されている。また、温度を400℃、処理時間を2時間にすると炭素繊維の回収率が97.5%となったこと、温度を600℃、処理時間を1時間にすると炭素繊維の回収率が79%となったことが記載されている。
 特許文献2には、CFRP(炭素繊維の含有量63重量%)の破砕片626gを乾留して得た432gの炭素繊維集合体を電気炉に入れ、酸素を13体積%含む窒素ガスを送りながら500℃で30分間熱処理したところ、384gの炭素繊維のみが残り、炭素繊維の回収率は97.5%であったことが記載されている。
 図1に示すように、第一通気性シート21と第二通気性シート22の間に挟まれる処理対象10は、各通気性シートとできるだけ広い面積で接触することが好ましい。
 なぜならば、二次熱処理によって処理対象10から生じる再生炭素繊維の自由な動きが、第一通気性シートおよび第二通気性シートとの接触によって妨げられるため、再生炭素繊維が綿状になり難いからである。
 CFSMCまたは既硬化CFSMCを一次熱処理して得られる炭素繊維集合体は、通常、一次熱処理前の形状を保持している。従って、立体的形状を有する既硬化CFSMC(典型的には、CFRP成形品またはその断片)を一次熱処理すると、立体的形状を有する炭素繊維集合体が得られる。
 好適例では、このような立体的形状を有する炭素繊維集合体を圧し潰して扁平な形状にしてから、二次熱処理に供することができる。
 かかる圧し潰し処理の大きな利点は、第一通気性シートと第二通気性シートの間に挟んだときの処理対象の嵩密度が高くなるので、再生炭素繊維も嵩密度の高い状態で生じることである。
 他の利点は、圧し潰すことにより扁平となった炭素繊維集合体では、多くの炭素繊維の繊維方向が、圧し潰し方向に対し垂直となること、換言すれば、扁平な炭素繊維集合体の厚さ方向に垂直となることである。扁平な炭素繊維集合体の厚さ方向に垂直な炭素繊維は、二次熱処理によって再生炭素繊維となったときに、第一通気性シートまたは第二通気性シートを通り抜けることが難しい。なぜならば、図3に示すように、その繊維方向がこれらの通気性シートと平行だからである。
 炭素繊維集合体を圧し潰すタイミングは、通気性シートで挟む前でもよく、通気性シートで挟んだ後でもよいが、挟む前の方が通気性シートの損傷を確実に避けられるので好ましい。
 圧し潰す方法に限定はないが、例えば、シリンダープレス、ロールプレスなどを用いることができる。
 第一通気性シート21および第二通気性シート22を処理対象10により強く押し付けるために、例えば図4に示すように、第一通気性シート21と第二通気性シート22で挟んだ処理対象10を第二の大型金網40の上に載置し、その上に第一の大型金網30を重石として置くことができる。
 第一通気性シート21が十分に重いときは、第一の大型金網30を用いずに、第一通気性シート21自体を重石として利用することができる。
 その他、第一通気性シート21および第二通気性シート22を処理対象10により強く押し付けるために、機械力や磁力を含む様々な力を利用することができる。
 好ましくは、二次熱処理の前に、第一通気性シートと第二通気性シートからなる容器を形成し、処理対象をこの容器内に封入してもよい。例えば、図5に示すように、第一通気性シート21と第二通気性シート22の外周部同士をカシメ、縫い合わせ、溶接など、各通気性シートの材質および性質を考慮して適宜な方法で接合することで容器20を形成することが可能である。
 容器20を形成して二次熱処理をすると、再生炭素繊維は容器20内に封入された状態で生成するので、熱処理炉内で舞い上がることがない。
 容器20内で生成した再生炭素繊維は、容器20から取り出すことなく、嵩密度が高い状態に保ったまま梱包し、輸送することができる。
 容器20を形成するために外周部同士を接合するとき、第一通気性シート21と第二通気性シート22にそれぞれ適当な張力を印加すると、第一通気性シート21と第二通気性シート22がどちらも処理対象10に強く押し付けられた状態で容器20が形成されるので、容器20内で処理対象10が動き難くなる。
 処理対象10が容器20内で動き難いとき、二次熱処理により生じる再生炭素繊維もまた容器20内で動き難い。よって、容器20を動かしたり、あるいは振動させたりしても、再生炭素繊維が容器20内で綿状となり難い。
 第一通気性シートと第二通気性シートとで容器を形成する態様は、ステップ(ii)における処理対象がばら材料である場合に特に適している。かかる場合には、処理対象が容器内で流動できないように、密に詰め込むことが好ましい。そうすることで、ステップ(ii)の二次熱処理を経て、容器内で動き難い状態にある再生炭素繊維が得られる。
 一例では、ステップ(ii)で用いる第一通気性シートと第二通気性シートからなる容器をステップ(i)の前に準備し、この容器にCFSMCまたは既硬化CFSMCを封入してステップ(i)の一次熱処理を行ってもよい。一次熱処理により生じる炭素繊維集合体は、この容器から取り出されることなく、そのまま二次熱処理に供される。
 ステップ(i)に先立ってCFSMCまたは既硬化CFSMCを容器に封入するときに、容器内でCFSMCまたは既硬化CFSMCが動き難くなるようにすることが望ましい。そうすることで、ステップ(i)およびステップ(ii)を経て、容器内で動き難い状態にある再生炭素繊維が得られる。例えば、破砕した既硬化CFSMCを容器に封入する場合には、破砕材が容器内で流動できないように、密に詰め込めばよい。
 多量の既硬化CFSMCを第一通気性シートと第二通気性シートからなる容器に詰め込む必要がある場合には、詰め込む前に破砕することが好ましい。一次熱処理したとき熱硬化性樹脂の分解により発生する多量のガスが、破砕片同士の隙間を通して容器外に拡散できるようになるからである。
 第一通気性シートと第二通気性シートとからなる容器を開封するときに再生炭素繊維が舞い上がるのを防ぐために、ステップ(ii)の終了後、この容器から取り出す前の再生炭素繊維の全部または一部に有機バインダ材料を添着することができる。
 有機バインダ材料の好適例は、一般に炭素繊維の製造工程で用いられるサイジング剤であり、その組成や製造方法の詳細については炭素繊維のサイジング剤に関する公知文献を参照することができる。
 有機バインダ材料の添着は、例えば、再生炭素繊維を、第一通気性シートと第二通気性シートとからなる容器ごと、有機バインダ材料を分散させた水性エマルジョンに浸漬することにより行うことができる。
 あるいは、かかる水性エマルジョンを、第一通気性シートと第二通気性シートとからなる容器の外側から、容器内の再生炭素繊維に対してスプレーしてもよい。
 いずれの場合も、容器を構成する通気性シートが有する開口を通して、水性エマルジョンが容器内に浸入することで、再生炭素繊維に有機バインダ材料が添着される。
 再生炭素繊維が塊になっていて、その内部まで水性エマルジョンが浸透しない場合には、塊の表面近傍に存在する再生炭素繊維にしか有機バインダ材料が添着されない。しかし、このような場合であっても、容器を開封するときの再生炭素繊維の舞い上がりは抑制される。なぜなら、表面の再生炭素繊維に有機バインダ材料が添着されることによって、再生炭素繊維の塊が崩れ難くなるからである。
 水性エマルジョンへの浸漬または水性エマルジョンの散布をした後は、例えばニップロール、プレスなどにより、容器ごと再生炭素繊維を圧搾して脱水してもよい。
 また、必要に応じてエアドライヤー、IRヒーター、熱ロールなどを用い、容器20に封入された再生炭素繊維を乾燥してもよい。
 有機バインダ材料の添着処理をした再生炭素繊維は、容器に封入された状態のまま梱包してもよいし、あるいは、容器から取り出して梱包してもよい。
 一例では、有機バインダ材料の添着処理に代えて、または有機バインダ材料の添着処理の前処理として、容器に封入されたままの再生炭素繊維に様々な表面処理を施すことができる。表面処理の一例には、限定するものではないが、硝酸やオゾンのような酸化剤を用いた表面酸化処理、シランカップリング剤を用いた表面修飾、金属酸化物粒子を付着させる処理などが含まれる。
 表面酸化処理によってカルボキシル基、水酸基、カルボニル基のような含酸素表面官能基を導入し、表面を親水性とすることにより、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂に対する再生炭素繊維の濡れ性や接着性が改善される。
2.変形実施形態
2.1.第一の変形実施形態
 第一の変形実施形態においては、前記1.で説明した再生炭素繊維の製造方法における出発材料、すなわちステップ(i)で一次熱処理に供されるCFSMCまたは既硬化CFSMCが、プリプレグチップ(Prepreg Chips)に置き換えられる。
 プリプレグチップは、UDプリプレグ、クロスプリプレグ、トウプリプレグのような、連続炭素繊維束を熱硬化性樹脂で含浸させてなるプリプレグを、各チップに含まれる炭素繊維束の繊維長が5~100mmの範囲内となるように、所定のサイズに裁断することにより製造される。
 ステップ(i)では、各チップが熱硬化性樹脂の熱分解物で複数の炭素繊維が結着された構造の炭素繊維集合体となるよう、プリプレグチップに一次熱処理が施される。
 ステップ(ii)では、一次熱処理を受けたプリプレグチップが、処理対象として第一通気性シートと第二通気性シートとで挟まれ、酸化性雰囲気下で二次熱処理される。その結果、一次熱処理を受けたプリプレグチップから更に熱硬化性樹脂の熱分解物が除去されて、再生炭素繊維が得られる。再生炭素繊維には、熱硬化性樹脂の熱分解物が付着していないか、または、付着しているとしても、その量が炭素繊維同士を結着させるには不足している。
 好適例では、ステップ(ii)の二次熱処理の前に、第一通気性シートと第二通気性シートからなる閉じた容器に、ステップ(i)で一次熱処理されたプリプレグチップが封入される。一次熱処理されたプリプレグチップは、多数の炭素繊維集合体からなるばら材料である。
 一次熱処理されたプリプレグチップを上記容器に封入するときは、容器内で流動できない状態となるように密に詰め込むことが好ましい。そうすることで、ステップ(ii)の二次熱処理を経て、容器内で動き難い状態にある再生炭素繊維が得られる。
 一例では、ステップ(ii)で用いる第一通気性シートと第二通気性シートからなる容器をステップ(i)の前に準備し、この容器にプリプレグチップを封入してステップ(i)の一次熱処理を行ってもよい。一次熱処理されたプリプレグチップは、この容器から取り出されることなく、そのままステップ(ii)の二次熱処理に供される。
 ステップ(i)に先立ってプリプレグチップを容器に封入するときには、容器内でプリプレグチップが流動できないように、密に詰め込むことが好ましい。そうすることで、ステップ(i)およびステップ(ii)を経て、容器内で動き難い状態にある再生炭素繊維が得られる。
2.2.第二の変形実施形態
 第二の変形実施形態においては、前記1.で説明した再生炭素繊維の製造方法における出発材料、すなわちステップ(i)で一次熱処理に供されるCFSMCまたは既硬化CFSMCが、CCFRP破砕材(shredded CCFRP)に置き換えられる。
 CCFRP破砕材は、繊維長が5~100mmの範囲内の炭素繊維を含有する破砕片が形成されるように、連続炭素繊維で補強されたCFRPであるCCFRP(continuous carbon fiber reinforced plastic)を破砕することにより製造される。
 CCFRPの典型例には、既硬化UDプリプレグ、既硬化ファブリックプリプレグ、RTM(resin transfer molding)により製造されたCFRP、フィラメントワインディングにより製造されたCFRP、および、プルトルージョンにより製造されたCFRPが含まれる。
 ステップ(i)では、各破砕片が熱硬化性樹脂の熱分解物で複数の炭素繊維が結着された構造の炭素繊維集合体となるよう、CCFRP破砕材に一次熱処理が施される。
 ステップ(ii)では、一次熱処理を受けたCCFRP破砕材が、処理対象として第一通気性シートと第二通気性シートとで挟まれ、酸化性雰囲気下で二次熱処理される。その結果、一次熱処理を受けたCCFRP破砕材から更に熱硬化性樹脂の熱分解物が除去されて、再生炭素繊維が得られる。再生炭素繊維には、熱硬化性樹脂の熱分解物が付着していないか、または、付着しているとしても、その量が炭素繊維同士を結着させるには不足している。
 好適例では、ステップ(ii)の二次熱処理の前に、第一通気性シートと第二通気性シートからなる閉じた容器に、ステップ(i)で一次熱処理されたCCFRP破砕材が封入される。一次熱処理されたCCFRP破砕材は、多数の炭素繊維集合体からなるばら材料である。
 一次熱処理されたCCFRP破砕材を上記容器に封入するときは、容器内で流動できない状態となるように密に詰め込むことが好ましい。そうすることで、ステップ(ii)の二次熱処理を経て、容器内で動き難い状態にある再生炭素繊維が得られる。
 一例では、ステップ(ii)で用いる第一通気性シートと第二通気性シートからなる容器をステップ(i)の前に準備し、この容器にCCFRP破砕材を封入してステップ(i)の一次熱処理を行ってもよい。一次熱処理されたCCFRP破砕材は、この容器から取り出されることなく、そのままステップ(ii)の二次熱処理に供される。
 ステップ(i)に先立ってCCFRP破砕材を容器に封入するときには、容器内でCCFRP破砕材が流動できないように、密に詰め込むことが好ましい。そうすることで、ステップ(i)およびステップ(ii)を経て、容器内で動き難い状態にある再生炭素繊維が得られる。
2.3.第三の変形実施形態
 第三の変形実施形態においては、前記1.で説明した再生炭素繊維の製造方法における出発材料、すなわちステップ(i)で一次熱処理に供されるCFSMCまたは既硬化CFSMCがCCFRPに置き換えられる。
 ステップ(i)の一次熱処理は、CCFRPが熱分解して、多数本の炭素繊維が熱硬化性樹脂の熱分解物で結着された構造の炭素繊維集合体が生成するように行われる。
 ステップ(ii)の前に、ステップ(i)で得られた炭素繊維集合体は、繊維長5~100mmの範囲内の炭素繊維を含有する破砕片が形成されるように破砕される。こうして得られる破砕材は、多数の炭素繊維集合体からなるばら材料である。
 ステップ(ii)では、この破砕材が、処理対象として第一通気性シートと第二通気性シートとで挟まれ、酸化性雰囲気下で二次熱処理される。その結果、破砕材から更に熱硬化性樹脂の熱分解物が除去されて、再生炭素繊維が得られる。再生炭素繊維には、熱硬化性樹脂の熱分解物が付着していないか、または、付着しているとしても、その量が炭素繊維同士を結着させるには不足している。
 好適例では、ステップ(ii)の二次熱処理の前に、第一通気性シートと第二通気性シートからなる閉じた容器に、破砕材が封入される。封入するときは、この破砕材が容器内で流動できないように密に詰め込むことが好ましい。そうすることで、ステップ(ii)の二次熱処理を経て、容器内で動き難い状態にある再生炭素繊維が得られる。
3.実施形態のまとめ
 本発明の実施形態には以下が含まれるが、限定するものではない。
 [実施形態1]CFSMCまたは既硬化CFSMCを一次熱処理して、複数の炭素繊維が熱硬化性樹脂の熱分解物で結着された構造の炭素繊維集合体を得ること、および;前記炭素繊維集合体からなる処理対象を、第一通気性シートと第二通気性シートとで挟んで酸化性雰囲気下で二次熱処理することにより、前記処理対象から前記熱硬化性樹脂の熱分解物を除去すること;を含む再生炭素繊維の製造方法。
 [実施形態2]前記第一通気性シートと前記第二通気性シートとを、前記第一通気性シートと前記第二通気性シートとで挟まれる前記処理対象に押し付ける、実施形態1に係る製造方法。
 [実施形態3]前記炭素繊維集合体が扁平な形状を有する、実施形態1または2に係る製造方法。
 [実施形態4]前記二次熱処理の前に前記炭素繊維集合体を圧し潰して形状を扁平にすることを更に含む、実施形態1または2に係る製造方法。
 [実施形態5]前記一次熱処理の終了後に、前記処理対象が前記第一通気性シートと前記第二通気性シートとで挟まれる、実施形態1~4のいずれかに係る製造方法。
 [実施形態6]前記二次熱処理の前に、前記第一通気性シートと前記第二通気性シートとからなる容器が形成され、前記容器内に前記処理対象が封入される、実施形態1~5のいずれかに係る製造方法。
 [実施形態7]前記一次熱処理の前に前記第一通気性シートと前記第二通気性シートとからなる容器が形成され、前記CFSMCまたは既硬化CFSMCは前記容器に封入されて一次熱処理され、前記一次熱処理で得られる前記炭素繊維集合体は前記容器から取り出されることなく前記二次熱処理に供される、実施形態1~3のいずれかに係る製造方法。
 [実施形態8]既硬化CFSMCを破砕して破砕材としたうえで、各破砕片が熱硬化性樹脂の熱分解物で複数の炭素繊維が結着された構造の炭素繊維集合体となるよう、一次熱処理すること、および;前記一次熱処理を受けた前記破砕材を処理対象として、第一通気性シートと第二通気性シートとで挟んで酸化性雰囲気下で二次熱処理することにより、前記処理対象から熱硬化性樹脂の熱分解物を除去すること;を含む、再生炭素繊維の製造方法。
 [実施形態9]前記二次熱処理の前に、前記第一通気性シートと前記第二通気性シートとからなる容器が形成され、前記容器内に前記処理対象が封入される、実施形態8に係る製造方法。
 [実施形態10]前記一次熱処理の前に前記容器が形成され、前記破砕材は前記容器に封入されて前記一次熱処理を受け、更に、前記一次熱処理を受けた前記破砕材は、前記容器から取り出されることなく前記二次熱処理に供される、実施形態9に係る製造方法。
 [実施形態11]前記破砕材が前記容器に封入されるときは、前記容器内で流動できないように前記容器に密に詰め込まれる、実施形態10に係る製造方法。
 [実施形態12]プリプレグチップを、各チップが熱硬化性樹脂の熱分解物で複数の炭素繊維が結着された構造の炭素繊維集合体となるよう、一次熱処理すること、および;前記一次熱処理を受けた前記プリプレグチップを処理対象として、第一通気性シートと第二通気性シートとで挟んで酸化性雰囲気下で二次熱処理することにより、前記処理対象から熱硬化性樹脂の熱分解物を除去すること;を含む、再生炭素繊維の製造方法。
 [実施形態13]前記二次熱処理の前に、前記第一通気性シートと前記第二通気性シートとからなる容器が形成され、前記容器内に前記処理対象が封入される、実施形態12に係る製造方法。
 [実施形態14]前記一次熱処理の前に前記容器が形成され、前記プリプレグチップは前記容器に封入されて前記一次熱処理を受け、更に、前記一次熱処理を受けた前記プリプレグチップは、前記容器から取り出されることなく前記二次熱処理に供される、実施形態13に係る製造方法。
 [実施形態15]前記プリプレグチップが前記容器に封入されるときは、前記容器内で流動できないように前記容器に密に詰め込まれる、実施形態14に係る製造方法。
 [実施形態16]CCFRP破砕材を、各破砕片が熱硬化性樹脂の熱分解物で複数の炭素繊維が結着された構造の炭素繊維集合体となるよう、一次熱処理すること、および;前記一次熱処理を受けた前記CCFRP破砕材を処理対象として、第一通気性シートと第二通気性シートとで挟んで酸化性雰囲気下で二次熱処理することにより、前記処理対象から熱硬化性樹脂の熱分解物を除去すること;を含む、再生炭素繊維の製造方法。CCFRPは、連続繊維で補強されたCFRPを表す略称である。
 [実施形態17]前記二次熱処理の前に、前記第一通気性シートと前記第二通気性シートとからなる容器が形成され、前記容器内に前記処理対象が封入される、実施形態16に係る製造方法。
 [実施形態18]前記一次熱処理の前に前記容器が形成され、前記CCFRP破砕材は前記容器に封入されて前記一次熱処理を受け、更に、前記一次熱処理を受けた前記CCFRP破砕材は、前記容器から取り出されることなく前記二次熱処理に供される、実施形態17に係る製造方法。
 [実施形態19]前記CCFRP破砕材が前記容器に封入されるときは、前記容器内で流動できないように前記容器に密に詰め込まれる、実施形態18に係る製造方法。
 [実施形態20]前記二次熱処理の後に、前記容器から取り出す前の炭素繊維の全部または一部に有機バインダ材料を添着する、実施形態6、7、9~11、13~15および17~19のいずれかに係る製造方法。
 [実施形態21]100mm以下の繊維長を有する炭素繊維が熱硬化性樹脂の熱分解物で結着された構造を有し、かつ前記炭素繊維の少なくとも一部が5mm以上の繊維長を有する炭素繊維集合体からなる処理対象を、第一通気性シートと第二通気性シートとで挟んで酸化性雰囲気下で熱処理することにより、前記処理対象から熱硬化性樹脂の熱分解物を除去することを含む、再生炭素繊維の製造方法。
 [実施形態22]前記第一通気性シートと前記第二通気性シートとを、前記第一通気性シートと前記第二通気性シートとで挟まれた前記処理対象に押し付ける、実施形態21に係る製造方法。
 [実施形態23]前記炭素繊維集合体が扁平な形状を有する、実施形態21または22に係る製造方法。
 [実施形態24]前記熱処理の前に前記炭素繊維集合体を圧し潰して形状を扁平にすることを更に含む、実施形態21または22に係る製造方法。
 [実施形態25]前記熱処理の前に、前記第一通気性シートと前記第二通気性シートとからなる容器が形成され、前記容器内に前記処理対象が封入される、実施形態21~24のいずれかに係る製造方法。
 [実施形態26]100mm以下の繊維長を有する炭素繊維が熱硬化性樹脂の熱分解物で結着された構造を有し、かつ前記炭素繊維の少なくとも一部が5mm以上の繊維長を有する炭素繊維集合体からなるばら材料を、第一通気性シートと第二通気性シートで挟んで酸化性雰囲気下で熱処理することにより、前記ばら材料から熱硬化性樹脂の熱分解物を除去することを含む、再生炭素繊維の製造方法。
 [実施形態27]前記熱処理は、前記第一通気性シートと第二通気性シートとからなる容器に前記ばら材料が封入された状態で行われる、実施形態26に係る製造方法。
 [実施形態28]前記熱処理の開始時点において、前記ばら材料は前記容器内で流動できない状態にある、実施形態27に係る製造方法。
 [実施形態29]既硬化CFSMCを破砕して形成された破砕材を熱処理することにより前記ばら材料を得ることを更に含む、実施形態26~28のいずれかに係る製造方法。
 [実施形態30]プリプレグチップを熱処理することにより前記ばら材料を得ることを更に含む、実施形態26~28のいずれかに係る製造方法。
 [実施形態31]CCFRP破砕材を熱処理することにより前記ばら材料を得ることを更に含む、実施形態26~28のいずれかに係る製造方法。
 [実施形態32]CCFRP破砕材を熱処理した後で破砕することにより前記ばら材料を得ることを更に含む、実施形態26~28のいずれかに係る製造方法。
 [実施形態33]前記熱処理の後に、前記容器から取り出す前の炭素繊維の全部または一部に有機バインダ材料を添着する、実施形態25、27および28のいずれかに係る製造方法。
 [実施形態34]前記第一通気性シートと前記第二通気性シートが、それぞれ、多数の、前記再生炭素繊維が通り抜け難い大きさの開口を有する、実施形態1~33のいずれかに係る製造方法。
 [実施形態35]前記第一通気性シートと前記第二通気性シートは、それぞれが、金属メッシュと不燃性繊維布のいずれかである、実施形態34に係る製造方法。
 [実施形態36]前記第一通気性シートと前記第二通気性シートは、両方が金属メッシュであるか、または、一方が金属メッシュで他方が不燃性繊維布であり、前記金属メッシュにおいては各開口の最大長が5mm以下、4mm以下、3mm以下、2mm以下、または1mm以下である、実施形態1~34のいずれかに係る製造方法。
 [実施形態37]前記第一通気性シートと前記第二通気性シートは、両方が金属メッシュであるか、または、一方が金属メッシュで他方が不燃性繊維布であり、前記金属メッシュにおいては各開口の最大長が0.5L以下、0.2L以下または0.1L以下である、実施形態1~11のいずれかに係る製造方法。ただし、Lは、前記CFSMCまたは既硬化CFSMCの製造に用いられた短尺炭素繊維束の繊維長である。
 [実施形態38]前記金属メッシュの開口率が25~30%、30~35%、35~40%、40~45%、45~50%、50~75%、75~80%または80~85%の範囲内である、実施形態36に係る製造方法。
 [実施形態39]前記金属メッシュが、0.2~2mmの範囲内の線径を有する織金網である、実施形態36~38のいずれかに係る製造方法。
 [実施形態40]前記金属メッシュが、0.5~1mmの範囲内の板厚を有するエキスパンドメタルである、実施形態36~38のいずれかに係る製造方法。
 [実施形態41]前記金属メッシュが、0.5~3mmの範囲内の板厚を有するパーフォレーテッドメタルである、実施形態36~38のいずれかに係る製造方法。
 [実施形態42]前記第一通気性シートと前記第二通気性シートは、それぞれが不燃性繊維布である、実施形態1~34のいずれかに係る製造方法。
 [実施形態43]前記不燃性繊維布が、金属繊維、無機繊維または炭素繊維からなる、実施形態35~42のいずれかに係る製造方法。
 [実施形態44]前記不燃性繊維布が、ステンレス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維または炭素繊維からなる、実施形態35~42のいずれかに係る製造方法。
 [実施形態45]前記再生炭素繊維は、熱硬化性樹脂の熱分解物が付着していないか、または、付着しているとしても、その量が前記再生炭素繊維同士を結着させるには不足している、実施形態1~44のいずれかに係る製造方法。
 以上、本発明を具体的な実施形態に即して説明したが、各実施形態は例として提示されたものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書に記載された各実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、様々に変形することができ、かつ、実施可能な範囲内で、他の実施形態により説明された特徴と組み合わせることができる。
 CFSMCであってもよい炭素繊維プリプレグ、または、既硬化CFSMCであってもよいCFRPから、樹脂マトリックスを熱分解により除去し、FRP用の補強材に適した再生炭素繊維を製造するときに好ましく用い得る技法が提供される。
 10…処理対象、20…容器、21…第一通気性シート、22…第二通気性シート、30…第一の大型金網、40…第二の大型金網。

Claims (45)

  1.  CFSMCまたは既硬化CFSMCを一次熱処理して、複数の炭素繊維が熱硬化性樹脂の熱分解物で結着された構造の炭素繊維集合体を得ること、および、
     前記炭素繊維集合体からなる処理対象を、第一通気性シートと第二通気性シートとで挟んで酸化性雰囲気下で二次熱処理することにより、前記処理対象から前記熱硬化性樹脂の熱分解物を除去すること、
     を含む、再生炭素繊維の製造方法。
  2.  前記第一通気性シートと前記第二通気性シートとを、前記第一通気性シートと前記第二通気性シートとで挟まれる前記処理対象に押し付ける、請求項1に記載の製造方法。
  3.  前記炭素繊維集合体が扁平な形状を有する、請求項1または2に記載の製造方法。
  4.  前記二次熱処理の前に前記炭素繊維集合体を圧し潰して形状を扁平にすることを更に含む、請求項1または2に記載の製造方法。
  5.  前記一次熱処理の終了後に、前記処理対象が前記第一通気性シートと前記第二通気性シートとで挟まれる、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6.  前記二次熱処理の前に、前記第一通気性シートと前記第二通気性シートとからなる容器が形成され、前記容器内に前記処理対象が封入される、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7.  前記一次熱処理の前に前記第一通気性シートと前記第二通気性シートとからなる容器が形成され、前記CFSMCまたは既硬化CFSMCは前記容器に封入されて一次熱処理され、前記一次熱処理で得られる前記炭素繊維集合体は前記容器から取り出されることなく前記二次熱処理に供される、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
  8.  既硬化CFSMCを破砕して破砕材としたうえで、各破砕片が熱硬化性樹脂の熱分解物で複数の炭素繊維が結着された構造の炭素繊維集合体となるよう、一次熱処理すること、および、
     前記一次熱処理を受けた前記破砕材を処理対象として、第一通気性シートと第二通気性シートとで挟んで酸化性雰囲気下で二次熱処理することにより、前記処理対象から熱硬化性樹脂の熱分解物を除去すること、
     を含む、再生炭素繊維の製造方法。
  9.  前記二次熱処理の前に、前記第一通気性シートと前記第二通気性シートとからなる容器が形成され、前記容器内に前記処理対象が封入される、請求項8に記載の製造方法。
  10.  前記一次熱処理の前に前記容器が形成され、前記破砕材は前記容器に封入されて前記一次熱処理を受け、更に、前記一次熱処理を受けた前記破砕材は、前記容器から取り出されることなく前記二次熱処理に供される、請求項9に記載の製造方法。
  11.  前記破砕材が前記容器に封入されるときは、前記容器内で流動できないように前記容器に密に詰め込まれる、請求項10に記載の製造方法。
  12.  プリプレグチップを、各チップが熱硬化性樹脂の熱分解物で複数の炭素繊維が結着された構造の炭素繊維集合体となるよう、一次熱処理すること、および、
     前記一次熱処理を受けた前記プリプレグチップを処理対象として、第一通気性シートと第二通気性シートとで挟んで酸化性雰囲気下で二次熱処理することにより、前記処理対象から熱硬化性樹脂の熱分解物を除去すること、
     を含む、再生炭素繊維の製造方法。
  13.  前記二次熱処理の前に、前記第一通気性シートと前記第二通気性シートとからなる容器が形成され、前記容器内に前記処理対象が封入される、請求項12に記載の製造方法。
  14.  前記一次熱処理の前に前記容器が形成され、前記プリプレグチップは前記容器に封入されて前記一次熱処理を受け、更に、前記一次熱処理を受けた前記プリプレグチップは、前記容器から取り出されることなく前記二次熱処理に供される、請求項13に記載の製造方法。
  15.  前記プリプレグチップが前記容器に封入されるときは、前記容器内で流動できないように前記容器に密に詰め込まれる、請求項14に記載の製造方法。
  16.  CCFRP破砕材を、各破砕片が熱硬化性樹脂の熱分解物で複数の炭素繊維が結着された構造の炭素繊維集合体となるよう、一次熱処理すること、および、
     前記一次熱処理を受けた前記CCFRP破砕材を処理対象として、第一通気性シートと第二通気性シートとで挟んで酸化性雰囲気下で二次熱処理することにより、前記処理対象から熱硬化性樹脂の熱分解物を除去すること、
     を含む、再生炭素繊維の製造方法。
  17.  前記二次熱処理の前に、前記第一通気性シートと前記第二通気性シートとからなる容器が形成され、前記容器内に前記処理対象が封入される、請求項16に記載の製造方法。
  18.  前記一次熱処理の前に前記容器が形成され、前記CCFRP破砕材は前記容器に封入されて前記一次熱処理を受け、更に、前記一次熱処理を受けた前記CCFRP破砕材は、前記容器から取り出されることなく前記二次熱処理に供される、請求項17に記載の製造方法。
  19.  前記CCFRP破砕材が前記容器に封入されるときは、前記容器内で流動できないように前記容器に密に詰め込まれる、請求項18に記載の製造方法。
  20.  前記二次熱処理の後に、前記容器から取り出す前の炭素繊維の全部または一部に有機バインダ材料を添着する、請求項6、7、9~11、13~15および17~19のいずれか一項に記載の製造方法。
  21.  100mm以下の繊維長を有する炭素繊維が熱硬化性樹脂の熱分解物で結着された構造を有し、かつ前記炭素繊維の少なくとも一部が5mm以上の繊維長を有する炭素繊維集合体からなる処理対象を、第一通気性シートと第二通気性シートとで挟んで酸化性雰囲気下で熱処理することにより、前記処理対象から熱硬化性樹脂の熱分解物を除去することを含む、再生炭素繊維の製造方法。
  22.  前記第一通気性シートと前記第二通気性シートとを、前記第一通気性シートと前記第二通気性シートとで挟まれた前記処理対象に押し付ける、請求項21に記載の製造方法。
  23.  前記炭素繊維集合体が扁平な形状を有する、請求項21または22に記載の製造方法。
  24.  前記熱処理の前に前記炭素繊維集合体を圧し潰して形状を扁平にすることを更に含む、請求項21または22に記載の製造方法。
  25.  前記熱処理の前に、前記第一通気性シートと前記第二通気性シートとからなる容器が形成され、前記容器内に前記処理対象が封入される、請求項21~24のいずれか一項に記載の製造方法。
  26.  100mm以下の繊維長を有する炭素繊維が熱硬化性樹脂の熱分解物で結着された構造を有し、かつ前記炭素繊維の少なくとも一部が5mm以上の繊維長を有する炭素繊維集合体からなるばら材料を、第一通気性シートと第二通気性シートで挟んで酸化性雰囲気下で熱処理することにより、前記ばら材料から熱硬化性樹脂の熱分解物を除去することを含む、再生炭素繊維の製造方法。
  27.  前記熱処理は、前記第一通気性シートと第二通気性シートとからなる容器に前記ばら材料が封入された状態で行われる、請求項26に記載の製造方法。
  28.  前記熱処理の開始時点において、前記ばら材料は前記容器内で流動できない状態にある、請求項27に記載の製造方法。
  29.  既硬化CFSMCを破砕して形成された破砕材を熱処理することにより前記ばら材料を得ることを更に含む、請求項26~28のいずれか一項に記載の製造方法。
  30.  プリプレグチップを熱処理することにより前記ばら材料を得ることを更に含む、請求項26~28のいずれか一項に記載の製造方法。
  31.  CCFRP破砕材を熱処理することにより前記ばら材料を得ることを更に含む、請求項26~28のいずれか一項に記載の製造方法。
  32.  CCFRP破砕材を熱処理した後で破砕することにより前記ばら材料を得ることを更に含む、請求項26~28のいずれか一項に記載の製造方法。
  33.  前記熱処理の後に、前記容器から取り出す前の炭素繊維の全部または一部に有機バインダ材料を添着する、請求項25、27および28のいずれか一項に記載の製造方法。
  34.  前記第一通気性シートと前記第二通気性シートが、それぞれ、多数の、前記再生炭素繊維が通り抜け難い大きさの開口を有する、請求項1~33のいずれか一項に記載の製造方法。
  35.  前記第一通気性シートと前記第二通気性シートは、それぞれが、金属メッシュと不燃性繊維布のいずれかである、請求項34に記載の製造方法。
  36.  前記第一通気性シートと前記第二通気性シートは、両方が金属メッシュであるか、または、一方が金属メッシュで他方が不燃性繊維布であり、前記金属メッシュにおいては各開口の最大長が5mm以下、4mm以下、3mm以下、2mm以下、または1mm以下である、請求項1~34のいずれか一項に記載の製造方法。
  37.  前記第一通気性シートと前記第二通気性シートは、両方が金属メッシュであるか、または、一方が金属メッシュで他方が不燃性繊維布であり、前記金属メッシュにおいては各開口の最大長が0.5L以下、0.2L以下または0.1L以下である、請求項1~11のいずれか一項に記載の製造方法。
     ただし、Lは、前記CFSMCまたは既硬化CFSMCの製造に用いられた短尺炭素繊維束の繊維長である。
  38.  前記金属メッシュの開口率が25~30%、30~35%、35~40%、40~45%、45~50%、50~75%、75~80%または80~85%の範囲内である、請求項36に記載の製造方法。
  39.  前記金属メッシュが、0.2~2mmの範囲内の線径を有する織金網である、請求項36~38のいずれか一項に記載の製造方法。
  40.  前記金属メッシュが、0.5~1mmの範囲内の板厚を有するエキスパンドメタルである、請求項36~38のいずれか一項に記載の製造方法。
  41.  前記金属メッシュが、0.5~3mmの範囲内の板厚を有するパーフォレーテッドメタルである、請求項36~38のいずれか一項に記載の製造方法。
  42.  前記第一通気性シートと前記第二通気性シートは、それぞれが不燃性繊維布である、請求項1~34のいずれか一項に記載の製造方法。
  43.  前記不燃性繊維布が、金属繊維、無機繊維または炭素繊維からなる、請求項35~42のいずれか一項に記載の製造方法。
  44.  前記不燃性繊維布が、ステンレス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維または炭素繊維からなる、請求項35~42のいずれか一項に記載の製造方法。
  45.  前記再生炭素繊維は、熱硬化性樹脂の熱分解物が付着していないか、または、付着しているとしても、その量が前記再生炭素繊維同士を結着させるには不足している、請求項1~44のいずれか一項に記載の製造方法。
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