JP2021133687A - リサイクル炭素繊維の製造方法 - Google Patents

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秀生 沓屋
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克典 小西
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Abstract

【課題】本発明は、炭素繊維強化プラスチック廃材の破砕粉砕時に発生する鉄成分含有量を制御することによって鉄成分含有量の少ないリサイクル炭素繊維を得ることを目的とする。【解決手段】炭素繊維及びマトリックス樹脂を含有する炭素繊維強化プラスチックからリサイクル炭素繊維を得るリサイクル炭素繊維の製造方法であって、炭素繊維強化プラスチック廃材を破砕し所定の繊維長を有する炭素繊維強化プラスチック破砕片を作製する破砕処理工程と、前記炭素繊維強化プラスチック破砕片を加熱し、前記炭素繊維強化プラスチック破砕片に含まれる前記マトリックス樹脂を除去してリサイクル炭素繊維を得る熱分解処理工程を少なくとも有し、熱分解処理工程前の前記炭素繊維強化プラスチック破砕片における鉄成分量を0.03質量%以下とする。【選択図】図1

Description

本発明は、炭素繊維強化プラスチックのマトリックス樹脂を熱分解して、炭素繊維強化プラスチックからリサイクル炭素繊維を製造するリサイクル炭素繊維の製造方法に関する。
炭素繊維強化プラスチックは、比強度や比弾性率といった力学的特性に優れていることから、航空・宇宙用途や、釣竿、ゴルフシャフト、テニスラケット等のスポーツ・レジャー用途、その他の用途において広く用いられているが、製造工程で発生する屑類や、不要になったものの廃棄処理が大きな問題であった。炭素繊維は不燃性であり、しかも、決して腐らないことから、現状では埋立処理によるほかないが、埋立処理による地下汚染の観点から少しでも廃棄を回避できれば環境負荷低減に大きく貢献できる。また、炭素繊維は、よく知られているように、ポリアクリロニトリル繊維等のプリカーサー繊維を1000〜3000℃もの高温で焼成して得られることもあり、その製造に消費されるエネルギーは莫大なものであるから、そのまま埋め立てて廃棄するのではなく、有効に再利用することが重要である。
ところで、炭素繊維は不燃性であるが、マトリックス樹脂を構成している熱硬化性樹脂は可燃性であるので、炭素繊維強化プラスチックを加熱炉に入れ、熱硬化性樹脂を燃焼すれば、リサイクル炭素繊維を回収することは可能である。ただし、リサイクル炭素繊維中に鉄成分が混入していれば、加工時にコンパウンド装置や射出成形機内のスクリュー摩耗や吐出口の傷等の工程不良や最終製品の性能不具合に繋がるため、リサイクル炭素繊維中の鉄除去が求められている。
特許文献1では、熱分解後の分級工程後にリサイクル炭素繊維から磁気力により金属粉を取り除く除鉄処理工程が記載されている。
特許文献2では、炭素繊維チョップド糸表面の金属成分を規定しマトリックス樹脂との接着性を高める製造方法が記載されている。
特許文献3では、炭素材料表面の金属成分を均一に坦持させる方法が記載されている。
特許文献4では、炭素繊維強化プラスチックを粉砕後、任意の繊維長取り出す方法が記載されている。
特許文献5では、炭素繊維強化プラスチック中の熱硬化性樹脂を熱分解させた後、炭素繊維を取り出し切断してから再利用する方法が記載されている。
特開2019−127040号公報 特開2004−244531号公報 特開2018−162177号公報 特開平11−50338号公報 特許第6630991号
特許文献1の方法では、除鉄処理工程を有しかつ高い連続生産性や粉塵が少ないなど作業環境に優れたものであるものの、熱分解工程後の分級工程後に除鉄するために熱分解炉前に発生した鉄成分が熱分解処理工程で炭素繊維強化プラスチック破砕片の溶融した樹脂とリサイクル炭素繊維表面上に融着し、鉄成分が融着したリサイクル炭素繊維が生成されてしまう。そのため十分に除鉄されないままリサイクル炭素繊維中に鉄分が混入し最終製品の品質低下や除鉄装置内の詰まりによる生産性の低下に繋がった。
特許文献2、3の方法においては、炭素繊維材のチョップド糸中の金属成分に関するものや炭素材料表面に水処理効率を向上させるものであり、リサイクル炭素繊維の製造方法では適用が難しいものであった。
さらに、特許文献4の方法では、繊維長をコントロールする技術としては優れているものの、製造プロセス中の除鉄は難しく、十分に除鉄がされずにリサイクル炭素繊維中に鉄成分が混入する恐れがあった。
特許文献5では、熱分解後の繊維を任意の繊維長に切断する工程が必要であるが、熱分解後の繊維は柔らかいため炭素繊維の切断が難しい。また炭素繊維強化プラスチックは一般に複数の積層角度からなる層を含んでいるため、切断前に熱分解後の繊維を一方向に引きそろえる必要があり、作業効率が悪いものであった。
そこで本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、炭素繊維強化プラスチック廃材の破砕粉砕時に発生する鉄成分含有量を制御することによって鉄成分含有量の少ないリサイクル炭素繊維を得ることを目的とするものである。具体的には、リサイクル炭素繊維の原料である炭素繊維強化プラスチック廃材より鉄成分含有量の少ないリサイクル炭素繊維を高い収率で回収するリサイクル炭素繊維の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は以下の手段を採用するものである。すなわち、炭素繊維及びマトリックス樹脂を含有する炭素繊維強化プラスチック廃材からリサイクル炭素繊維を得るリサイクル炭素繊維の製造方法であって、炭素繊維強化プラスチック廃材を破砕し所定の繊維長を有する炭素繊維強化プラスチック破砕片を作製する破砕処理工程と、前記炭素繊維強化プラスチック破砕片を加熱し、前記炭素繊維強化プラスチック破砕片に含まれる前記マトリックス樹脂を除去してリサイクル炭素繊維を得る熱分解処理工程を少なくとも有し、熱分解処理工程前の前記炭素繊維強化プラスチック破砕片における鉄成分量を0.03質量%以下とすることを特徴とする。
本発明によれば、炭素繊維強化プラスチック廃材の破砕粉砕時に発生する鉄成分含有量を制御することによって鉄成分含有量の少ないリサイクル炭素繊維を得ることが出来る。
本発明のリサイクル炭素繊維の製造方法の工程の流れを示すフロー図である。 本発明のリサイクル炭素繊維の製造方法における破砕処理工程の概略図である。 本発明のリサイクル炭素繊維の製造方法における除鉄処理工程の概略図である。 本発明のリサイクル炭素繊維の製造方法における熱分解処理工程の概略図である。 本発明のリサイクル炭素繊維の製造方法により得られるリサイクル炭素繊維の概略図である。
以下に、本発明の実施の形態について順次説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施例形態に限定されるものではない。また、以下の説明において、炭素繊維強化プラスチックはマトリックス樹脂の種類、炭素繊維の種類(例えば炭素繊維は高弾性率炭素繊維である黒鉛化繊維であってもよい)を問わない。
本発明の原料である炭素繊維強化プラスチック廃材は出来るだけ入手時の形態のままで破砕するのが好ましく、最大長3000mm以下、幅300mm以下、層厚40mm以下が好ましい。
本リサイクル炭素繊維の製造方法のプロセスは、破砕した炭素繊維強化プラスチック廃材から熱分解法を用いてリサイクル炭素繊維を取り出す製造方法で、図1の製造方法フローに示すとおり、炭素繊維強化プラスチック廃材を原料として、破砕処理工程、熱分解処理工程を行い、製品としてリサイクル炭素繊維を得るものである。図1に示す製造方法フローでは、破砕処理工程と熱分解処理工程の間に除鉄処理工程を行っている。以下に工程毎の詳細を述べる。
(a)破砕処理工程
図2に破砕処理工程の概略図を示す。原料である炭素繊維強化プラスチック廃材1は、まず一次破砕機2に投入され二軸方式の刃3で大まかに破砕された後、ベルトコンベヤ4によって二次破砕機5へと搬送される。ベルトコンベヤ4にて搬送された炭素繊維強化プラスチック廃材1は二次破砕機5へと投入され、スクリーン6の網目以下の大きさになるまで固定刃7と回転刃8で破砕される。この時、炭素繊維強化プラスチック破砕片9が発生する。その後、炭素繊維強化プラスチック破砕片9を次工程(矢印10方向)に搬送する。ここで、硬い炭素繊維強化プラスチック廃材の破砕において破砕片の形状の均一性、刃の耐久性、加熱熱処理時の均一性、安定生産性などの点から、せん断式破砕機、衝撃式粉砕機、切断式粉砕機または圧縮式粉砕機によって炭素繊維強化プラスチック廃材を破砕することが好ましい。
(b)除鉄処理工程
本発明において、熱分解処理工程前の炭素繊維強化プラスチック破砕片における鉄成分量は0.03質量%以下、より好ましくは0.02質量%以下である。ここで、鉄成分量を0.03質量%以下とする方法は特に限定されないが、図3に除鉄処理工程の概略図を示すように、炭素繊維強化プラスチック破砕片9から鉄粉を取り除く除鉄装置12までベルトコンベア4で搬送することにより、処理中に発生した鉄粉13を回収して熱分解処理工程前の炭素繊維強化プラスチック破砕片に鉄粉が混入しないようにすることが好ましい(以下、熱分解処理工程前に磁力により炭素繊維強化プラスチック破砕片から除鉄することを「除鉄処理工程」という。)。その後、除鉄後の炭素繊維強化プラスチック破砕片11を次工程(矢印14方向)に搬送する。
除鉄を行う除鉄装置としては、例えばマグネットバー、格子型、プレート式、プーリー式、ドラム式、電磁式等が挙げられる。複数の形式を組み合わせもよい。本発明においては詰まり防止のためプレート式が好ましい。
さらに、炭素繊維強化プラスチック破砕片9を除鉄装置12から100mm以内の距離に移送することにより、除鉄装置12を用いて磁力により炭素繊維強化プラスチック破砕片9から除鉄するのが好ましく、当該距離は80mm以内がより好ましく、60mm以内がさらに好ましい。当該距離が100mm以内であれば、炭素繊維強化プラスチック破砕片9と除鉄装置12の除鉄処理を効率的に行うのに必要な磁界密度を有するため、十分な除鉄を行うことが可能である。
(c)熱分解処理工程
図4に熱分解処理工程の概略図を示す。除鉄後の炭素繊維強化プラスチック破砕片11を熱分解炉ホッパー15に貯蔵した後、定量的に熱分解炉17に搬送する(矢印16方向)。除鉄後の炭素繊維強化プラスチック破砕片11は熱分解炉17内で熱分解された後、リサイクル炭素繊維19として排出される(矢印18方向)。また、熱分解によって発生したガスはガス処理装置20で適切に処理された後に大気に放出される。熱分解炉17の加熱方式は電気ヒーター、熱風等が挙げられる。本発明においては導電性のある炭素繊維を扱うため熱風方式が好ましい。
ここで、熱分解炉内での材料搬送方式として、ベルトコンベア式、バケットコンベア式、また、熱分解炉自身が回転するロータリーキルン式等がある。熱分解炉内は高温になっているため、設備寿命の観点からコンベアを使用しないロータリーキルン式が好ましい。
また熱分解処理工程後のリサイクル炭素繊維は高温状態のため、梱包までに冷却しながら搬送する必要がある。搬送方法は特に限定はないが、高温状態のため耐熱性を有するベルトコンベア式、バケットコンベア式でよい。また冷却方式も特に限定はなく、風冷、自然冷却でよいが、冷却設備の不要な自然冷却が好ましい。本発明のリサイクル炭素繊維は粉体状のため、バケットコンベア式で自然冷却するのが好ましい。
また本発明の熱分解処理工程後のリサイクル炭素繊維における鉄成分量は0.03質量%以下が好ましく、0.02質量%以下がより好ましく、0.01質量%以下がさらに好ましい。
本発明の除鉄処理工程は熱分解処理工程前に行うことが好ましく、発生した鉄成分が熱分解処理工程で炭素繊維強化プラスチック破砕片の溶融した樹脂とリサイクル炭素繊維表面上に融着するのを防ぐために熱分解処理工程前の破砕工程と熱分解処理工程の間に行うことが好ましい。破砕工程が複数に分かれる場合は破砕工程間で実施することも好ましい。また、除鉄の効果を強化するために、熱分解処理工程前の除鉄処理に加えて熱分解処理工程後にも除鉄処理を行うことで除鉄強化となり流出防止となるため好ましい。
本発明では、熱分解処理工程において、酸素濃度2〜8%の低酸素雰囲気下にて450〜650℃の加熱処理温度、10〜40分の加熱処理時間により乾留処理を実施し、熱分解後のリサイクル炭素繊維19に含まれるマトリックス樹脂の残留量を、リサイクル炭素繊維100質量%に対して5〜20質量%まで熱分解を進めることが好ましい。乾留処理によりマトリックス樹脂成分は熱分解され、CO、CO、CHなどや、油状のベンゼン、トルエン、スチレンなどの分解物を排出し、分解残渣の炭化物が残される。
ここで、酸素濃度は2〜8%で、より好ましくは3〜7%、さらに好ましくは4〜6%である。酸素濃度が2%以上にすると熱分解炉に不活性ガスを充填する必要がなく、生産コストが低下する。酸素濃度が8%以内であれば炭素繊維強化プラスチック破砕片11が熱分解炉内で発火する可能性がなく安全に生産できる。
また、加熱処理温度は400〜650℃で、より好ましくは480〜620℃、さらに好ましくは500〜600℃である。加熱処理温度が450℃以上であると熱分解速度が速く、生産性が高い。また、650℃以内である、熱分解炉の温度を保持するための消費エネルギーを少なく生産性として好ましい。
また、加熱処理時間は10〜40分で、より好ましくは12〜35分、さらに好ましくは15〜30分である。加熱処理時間が40分以内であると熱分解が進み過ぎず、リサイクル炭素繊維19の適正な形態保持が可能である。10分以上であると十分な熱分解が進んでおり、短い時間で処理が完了するため生産性が高い。
さらに、熱分解後のリサイクル炭素繊維19に含まれるマトリックス樹脂の残留量は、リサイクル炭素繊維100質量%に対して5〜20質量%の範囲で、より好ましくは6〜19質量%の範囲、さらに好ましくは7〜18質量%の範囲である。熱分解後の残留マトリックス樹脂は、リサイクル炭素繊維同士を互いに結着する、いわゆる接着剤の役目をしている。すなわち、リサイクル炭素繊維同士の結着の強さは、熱分解前の炭素繊維強化プラスチック破砕片11における炭素繊維とマトリックス樹脂とのそれよりも弱くなっており、マトリックス樹脂残留量が5質量%未満ではリサイクル炭素繊維の形態保持力が低く、輸送中に綿状になったりする。一方、20質量%を超えると、結着力が低下しているとはいっても利用時におけるリサイクル炭素繊維の分離が難しくなり、リサイクル炭素繊維の他材料中における分散性が低下するようになる。
本発明の製品形態は、1〜20mmの繊維長、0.1〜10mmの繊維束幅、0.1〜1mmの繊維束厚で実施される。
ここで、リサイクル炭素繊維の繊維長は、より好ましくは2〜19mmの範囲、さらに好ましくは3〜18mmの範囲である。リサイクル炭素繊維の繊維長が1mm以上であると、繊維束が重くペレット設備のフィーダー通過性が良好である。一方、リサイクル炭素繊維の繊維長が20mm以内では、ペレット設備のフィーダー通過性が良好である。繊維長が1〜20mmの範囲にあるリサイクル炭素繊維の用途はペレットに限定されず、不織布やマットに利用することもできる。
また、リサイクル炭素繊維の繊維束幅は0.2〜9mmの範囲、さらに好ましくは0.3〜8mmの範囲である。リサイクル炭素繊維の繊維束幅が0.1mm以上であると、ペレット設備への投入時に単糸が飛散しにくく、工程での取扱性が良好である。一方、リサイクル炭素繊維の繊維束幅が10mm以内では、ペレット中の分散性が良好のため、このリサイクル炭素繊維を用いた成形品としての十分な補強強化が得られる。
さらに、リサイクル炭素繊維の繊維束厚は、より好ましくは0.2〜0.9mmの範囲、さらに好ましくは0.3〜0.8mmの範囲である。リサイクル炭素繊維はナイロン等の熱可塑性樹脂と混錬してペレットとして使用する。そのような用途において、繊維束厚が0.3mm以上であると、リサイクル炭素繊維が重くペレット設備のフィーダー通過性が良好である。また、繊維束厚が1mm以内であると、ペレット設備のフィーダーに詰まりにくいため、機器損傷のリスクを低減することができる。
本発明において用いられる各種物性値の測定方法は、次の通りである。
<炭素繊維強化プラスチック破砕片/リサイクル炭素繊維の鉄成分量の測定>
熱分解処理工程前の炭素繊維強化プラスチック破砕片中の鉄成分量は蛍光X線分析法で評価する。蛍光X線分析装置は理学電機工業製のZSX PrimusIIで評価し鉄成分量を求める。3gの炭素繊維強化プラスチック破砕片をアズワン製の乳鉢・乳棒で粉砕し粉末状にしてから評価を実施する。リサイクル炭素繊維も同様に評価する。
<リサイクル炭素繊維中のマトリックス樹脂残留量>
樹脂残留量は次の方法で測定する。5gのリサイクル炭素繊維を電気炉で600℃、3.5時間、窒素雰囲気下でマトリックス樹脂を焼き飛ばす。その後、マトリックス樹脂の焼き飛ばし前後の質量からマトリックス樹脂残留量(%)=((1−マトリックス樹脂焼き飛ばし後質量/マトリックス樹脂焼き飛ばし前質量)x100)として計算する。
<リサイクル炭素繊維の繊維長・繊維束幅・繊維束厚>
リサイクル炭素繊維の模式図を図5に示す。リサイクル炭素繊維の上面概略図5の繊維方向の長さ方向を繊維長L、同図の繊維直交方向の幅を繊維束幅Wと定義する。繊維方向と繊維束幅方向の両方と直行する断面方向である繊維束厚みを示すリサイクル炭素繊維の断面概略図5の最大厚みを繊維束厚tとし、これをリサイクル炭素繊維の繊維束厚と定義する。任意に取り出した15個のリサイクル炭素繊維の繊維長(L)・繊維束幅(W)・繊維束厚(t)をシンワ測定(株)製のノギスで測定した平均値とする。
次に、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
2200mm長×170mm幅×23mm厚の炭素繊維強化プラスチック廃材を二軸方式の一次破砕機で粗破砕後、ベルトコンベアによって一軸の二次破砕機で破砕し、8mmのスクリーンを通して所定の繊維長の炭素繊維強化プラスチック破砕片を得た。その後、破砕処理工程と熱分解処理工程の間のパケットコンベア上部に高さ60mmの位置に固定した4500ガウスのプレート型マグネットの除鉄装置(株式会社下西製作所)へ炭素繊維強化プラスチック破砕片を供給し除鉄を行った(除鉄処理工程)。除鉄後の得られた熱分解処理工程前の炭素繊維強化プラスチック破砕片中の鉄成分量は0.017質量%であった。除鉄後の炭素繊維強化プラスチック粉砕片をロータリーキルン方式の熱分解炉に投入して酸素濃度5%、熱処理温度550℃、加熱処理時間20分条件で熱分解処理工程を実施し、得られたリサイクル炭素繊維のマトリックス樹脂残留量は17%であり、鉄成分量は0.017質量%であった。またノギスで測定した結果、繊維長は7.0mm、繊維束幅は1.2mm、繊維束厚は0.5mmであった。
得られたリサイクル炭素繊維を、コンパウンド化したところ、コンパウンド工程の原料投入前の除鉄処理工程においては鉄成分の付着はなく、コンパウンド工程での加工性は問題なかった。
(実施例2)
除鉄処理工程を破砕処理工程と熱分解処理工程の間で行うことに加え、破砕処理工程中にも実施するようにした変更以外は実施例1と同様にしてリサイクル炭素繊維を得た。すなわち、破砕処理工程においては、2200mm長×170mm幅×23mm厚の炭素繊維強化プラスチック廃材を二軸方式の一次破砕機で粗破砕後、ベルトコンベア上部に高さ60mmの位置に固定した4500ガウスのプレート型マグネットの除鉄装置(株式会社下西製作所)へ炭素繊維強化プラスチック破砕片を供給し1回目の除鉄処理工程を行い、その後にベルトコンベアによって一軸の二次破砕機で破砕し、8mmのスクリーンを通して所定の繊維長の炭素繊維強化プラスチック破砕片を得た。引き続き、破砕処理工程と熱分解処理工程の間で実施例1と同様に、パケットコンベア上部に高さ60mmの位置に固定した4500ガウスのプレート型マグネットの除鉄装置(株式会社下西製作所)へ炭素繊維強化プラスチック破砕片を供給して2回目の除鉄処理工程を行った。2回目の除鉄処理工程後に得られた熱分解処理工程前の炭素繊維強化プラスチック破砕片中の鉄成分量は0.010質量%で、熱分解処理工程後に得られたリサイクル炭素繊維の鉄成分量は0.010質量%であった。またコンパウンド工程の原料投入前の除鉄処理工程においては鉄成分の付着はなく、コンパウンド工程での加工性は問題なかった。
(実施例3)
3回目の除鉄処理工程を熱分解処理工程後に追加実施した以外は実施例2と同様にしてリサイクル炭素繊維を得た。すなわち、実施例2における熱分解処理工程後に得られたリサイクル炭素繊維を、パケットコンベア上部に高さ60mmの位置に固定した4500ガウスのプレート型マグネットの除鉄装置(株式会社下西製作所)へ供給することによって、3回目の除鉄処理工程を行った。2回目の除鉄処理工程後に得られた熱分解処理工程前の炭素繊維強化プラスチック破砕片中の鉄成分量は0.010質量%で、3回目の除鉄処理工程後に得られたリサイクル炭素繊維中の鉄成分量は0.007質量%であった。またコンパウンド工程の原料投入前の除鉄処理工程においては鉄成分の付着はなく、コンパウンド工程での加工性は問題なかった。
(実施例4)
実施例3における1回目の除鉄処理工程(破砕処理工程中の除鉄処理工程)を実施しなかった以外は実施例3と同様にしてリサイクル炭素繊維を得た。1回目の除鉄後に得られた熱分解処理工程前の炭素繊維強化プラスチック破砕片中の鉄成分量は0.017質量%で、熱分解処理工程後の除鉄処理工程後に得られたリサイクル炭素繊維中の鉄成分量は0.013質量%であった。またコンパウンド工程の原料投入前の除鉄処理工程においては鉄成分の付着はなく、コンパウンド工程での加工性は問題なかった。
(比較例1)
実施例3における1回目および2回目の除鉄処理工程(破砕処理工程中の除鉄処理工程、および、破砕処理工程と熱分解処理工程の間の除鉄処理工程)を実施しなかった以外は実施例3と同様にしてリサイクル炭素繊維を得た。熱分解処理工程前の炭素繊維強化プラスチック破砕片中の鉄成分量は0.040質量%であった。熱分解処理工程後の除鉄処理工程後に得られたリサイクル炭素繊維中の鉄成分量は0.035質量%であった。またコンパウンド工程の原料投入前の除鉄処理工程において、リサイクル炭素繊維に鉄成分が融着し磁力を帯びたものが5個回収され、コンパウンド工程での加工性に不具合が発生した。
(比較例2)
リサイクル炭素繊維の製造工程中に除鉄処理工程を実施しなかった以外は実施例1と同様にしてリサイクル炭素繊維を得た。熱分解処理工程前の炭素繊維強化プラスチック破砕片中の鉄成分量は0.050質量%であった。熱分解処理工程後に得られたリサイクル炭素繊維中の鉄成分量は0.050質量%であった。またコンパウンド工程の原料投入前の除鉄処理工程において、リサイクル炭素繊維に鉄成分が融着し磁力を帯びたものが9個回収され、コンパウンド工程での加工性に不具合が発生した。
Figure 2021133687
本発明の方法によって製作したリサイクル炭素繊維は、粉砕し、ゴムや熱可塑性樹脂中に混入してその耐摩擦性を向上させたり、セメント、モルタル、コンクリートなどに混入してその力学的特性を向上させたりするのに使用することができる。
1 炭素繊維強化プラスチック廃材
2 一次破砕機
3 二軸方式の刃
4 ベルトコンベヤ
5 二次破砕機
6 スクリーン
7 固定刃
8 回転刃
9 炭素繊維強化プラスチック破砕片
10 破砕処理工程から除鉄処理工程に炭素繊維強化プラスチック破砕片が移動する方向
11 除鉄処理後の炭素繊維強化プラスチック破砕片
12 除鉄装置
13 鉄粉
14 除鉄処理工程から熱分解炉に除鉄後の炭素繊維強化プラスチック破砕片が移動する方向
15 熱分解炉ホッパー
16 熱分解炉ホッパーから熱分解炉に除鉄後の炭素繊維強化プラスチック破砕片が移動する方向
17 熱分解炉
18 熱分解炉内でリサイクル炭素繊維が移動する方向
19 リサイクル炭素繊維
20 ガス処理装置
21 リサイクル炭素繊維の上面概略図
22 リサイクル炭素繊維の繊維束厚を示す断面概略図

Claims (9)

  1. 炭素繊維及びマトリックス樹脂を含有する炭素繊維強化プラスチックからリサイクル炭素繊維を得るリサイクル炭素繊維の製造方法であって、炭素繊維強化プラスチック廃材を破砕し所定の繊維長を有する炭素繊維強化プラスチック破砕片を作製する破砕処理工程と、前記炭素繊維強化プラスチック破砕片を加熱し、前記炭素繊維強化プラスチック破砕片に含まれる前記マトリックス樹脂を除去してリサイクル炭素繊維を得る熱分解処理工程を少なくとも有し、熱分解処理工程前の前記炭素繊維強化プラスチック破砕片における鉄成分量を0.03質量%以下とするリサイクル炭素繊維の製造方法。
  2. 熱分解処理工程前の炭素繊維強化プラスチック破砕片における鉄成分量を0.02質量%以下とする請求項1に記載のリサイクル炭素繊維の製造方法。
  3. 熱分解処理工程前に、磁力により炭素繊維強化プラスチック破砕片から除鉄する除鉄処理工程を行う請求項1または2に記載のリサイクル炭素繊維の製造方法。
  4. 破砕処理工程中に除鉄処理工程を行う請求項3に記載のリサイクル炭素繊維の製造方法。
  5. 炭素繊維強化プラスチック破砕片を除鉄装置から100mm以内の距離に移送することにより、除鉄装置を用いて磁力により炭素繊維強化プラスチック破砕片から除鉄する請求項2〜4のいずれかに記載のリサイクル炭素繊維の製造方法。
  6. 最大長3000mm以下、幅300mm以下、層厚40mm以下の炭素繊維強化プラスチック廃材を破砕する請求項1〜5のいずれかに記載のリサイクル炭素繊維の製造方法。
  7. 前記炭素繊維強化プラスチック廃材をせん断式破砕機、衝撃式粉砕機、切断式粉砕機または圧縮式粉砕機によって破砕する請求項1〜6のいずれかに記載のリサイクル炭素繊維の製造方法。
  8. 前記熱分解処理工程において、酸素濃度2〜8%、加熱処理温度400〜650℃、加熱処理時間10〜40分とする乾留処理を実施し、前記マトリックス樹脂の残留量をリサイクル炭素繊維100質量%に対して5〜20質量%とする請求項1〜7のいずれかに記載のリサイクル炭素繊維の製造方法。
  9. 得られるリサイクル炭素繊維の繊維長が1〜20mm、繊維束幅が0.1〜10mmかつ繊維束厚が0.1〜1mmである請求項1〜8のいずれかに記載のリサイクル炭素繊維の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023037943A1 (ja) * 2021-09-10 2023-03-16 三菱ケミカル株式会社 再生炭素繊維の製造方法

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WO2023037943A1 (ja) * 2021-09-10 2023-03-16 三菱ケミカル株式会社 再生炭素繊維の製造方法

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