WO2022230818A1 - 電解コンデンサ - Google Patents

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Abstract

電解コンデンサは、弁作用金属を含む多孔質体および多孔質体を覆う誘電体層を有する陽極体と、多孔質体の孔内に充填され、誘電体層を覆う固体電解質層と、を備える。多孔質体は、多孔質体の外表面側の第1領域と、第1領域以外の第2領域と、を有する。第1領域は、多孔質体の外表面から中心までの最短距離をDとするとき、多孔質体の外表面からの距離が0.5Dよりも近い領域である。多孔質体中の固体電解質層の充填率は、第1領域よりも第2領域の方で、小さくなっている。第1領域における固体電解質層の充填率R1に対する、第2領域における固体電解質層の充填率R2の比:R2/R1は、1/10以下である。

Description

電解コンデンサ
 本発明は、電解コンデンサに関する。
 近年、等価直列抵抗(ESR)が小さく、周波数特性に優れている電解コンデンサの開発が進められている。電解コンデンサは、弁作用金属を含む多孔質体および多孔質体を覆う誘電体層を有する陽極体と、多孔質体の孔内に充填され、誘電体層を覆う固体電解質層と、を備える。
 特許文献1では、コンデンサ素子の中心部の導電性高分子化合物層の厚さが少なくとも0.02μm以上、0.14μm以下である固体電解コンデンサが提案されている。また、特許文献1では、上記固体電解コンデンサにおいて、コンデンサ素子の中心部の導電性高分子化合物層の厚さと、コンデンサ素子の外表面近傍の導電性高分子化合物層の厚さの差を0.08μm以内とすることが提案されている。
特開平11-87177号公報
 近年、電解コンデンサのESRの低減が求められている。特許文献1に記載の電解コンデンサでは、高温環境下でのESR上昇が抑制されるが、電解コンデンサの低ESR化は依然として不十分である。
 本発明の一側面は、弁作用金属を含む多孔質体および前記多孔質体を覆う誘電体層を有する陽極体と、前記多孔質体の孔内に充填され、前記誘電体層を覆う固体電解質層と、を備え、前記多孔質体は、前記多孔質体の外表面側の第1領域と、前記第1領域以外の第2領域と、を有し、前記第1領域は、前記多孔質体の外表面から中心までの最短距離をDとするとき、前記多孔質体の外表面からの距離が0.5Dよりも近い領域であり、前記多孔質体中の前記固体電解質層の充填率は、前記第1領域よりも前記第2領域の方で、小さくなっており、前記第1領域における前記固体電解質層の充填率R1に対する、前記第2領域における前記固体電解質層の充填率R2の比:R2/R1は、1/10以下である、電解コンデンサに関する。
 本発明によれば、ESRが低い電解コンデンサを提供することができる。
 本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成および内容の両方に関し、本発明の他の目的および特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの一例を模式的に示す断面図である。 表面に固体電解質層が形成された陽極体を模式的に示す断面図である。 多孔質体の第1領域および第2領域を示す断面図である。 図3のIV-IV線断面図である。
 以下では、本開示に係る電解コンデンサの実施形態について例を挙げて説明するが、本開示は以下で説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本開示の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。この明細書において、「数値A~数値B」という記載は、数値Aおよび数値Bを含み、「数値A以上で数値B以下」と読み替えることが可能である。以下の説明において、特定の物性や条件などに関する数値の下限と上限とを例示した場合、下限が上限以上とならない限り、例示した下限のいずれかと例示した上限のいずれかを任意に組み合わせることができる。複数の材料が例示される場合、その中から1種を選択して単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 また、本開示は、添付の特許請求の範囲に記載の複数の請求項から任意に選択される2つ以上の請求項に記載の事項の組み合わせを包含する。つまり、技術的な矛盾が生じない限り、添付の特許請求の範囲に記載の複数の請求項から任意に選択される2つ以上の請求項に記載の事項を組み合わせることができる。
 「電解コンデンサ」は、「固体電解コンデンサ」と読み替えてもよく、「コンデンサ」は「キャパシタ」と読み替えてもよい。
 本発明の一実施形態に係る電解コンデンサは、弁作用金属を含む多孔質体および多孔質体を覆う誘電体層を有する陽極体と、多孔質体の孔内に充填され、誘電体層を覆う固体電解質層と、を備える。以下、陽極体と固体電解質層とを合わせて(若しくは陽極体と固体電解質層と後述の陰極層とを合わせて)、コンデンサ素子とも称する。多孔質体は、多孔質体の外表面側の第1領域と、第1領域以外の第2領域と、を有する。第1領域は、多孔質体の外表面から中心までの最短距離をDとするとき、多孔質体の外表面からの距離が0.5Dよりも近い領域である。
 多孔質体中の固体電解質層の充填率は、第1領域よりも第2領域の方で、小さくなっており、第1領域における固体電解質層の充填率R1に対する、第2領域における固体電解質層の充填率R2の比:R2/R1は、1/10以下である。この場合、電解コンデンサの低ESR化を図ることができる。
 電流が多く流れる第1領域(多孔質体の外表面側)では、固体電解質層が多く充填され、導電性が向上する。これにより、多孔質体の孔内に充填された固体電解質層を介した導電パスが多く形成され、多孔質体を構成する金属骨格内とともに多孔質体の孔内に充填された固体電解質層を介して金属骨格間にも効率的に電流が流れる。一方、第2領域(多孔質体の中心側)では、容量を確保できる程度に固体電解質層の充填量が抑えられ、これにより多孔質体を構成する低抵抗の金属骨格に電流が流れ易くなり、固体電解質層に電流が流れることによる抵抗の増大が抑制される。R2/R1が1/10以下の場合、上述した第1領域および第2領域での作用が相俟って、ESRを効果的に低減することができる。
 ESRが低減され易い観点から、R2/R1は、好ましくは3/100以下であり、より好ましくは1/100以下である。容量が確保され易い観点から、R2/R1は、好ましくは1/1000以上であり、より好ましくは3/1000以上である。ESRの低減および容量の確保の観点から、R2/R1の範囲としては、1/1000以上、1/10以下であってもよく、1/1000以上、3/100以下あってもよく、1/1000以上、1/100以下であってもよい。
 ESRが低減され易い観点から、R1は80%以上であることが好ましい。同様に、R2は9%以下が好ましく、2.5%以下がより好ましい。容量確保の観点から、R2は、0.08%以上であってもよく、0.25%以上であってもよい。
 固体電解質層の充填率R(%)は、電子顕微鏡により観察される陽極体の断面(最短距離Dを規定する線分を含む断面)において、当該断面に占める空隙(陽極体の孔)の面積に対する当該断面に占める固体電解質層の面積の割合を意味する。当該断面に占める空隙の面積は、当該断面全体の面積から当該断面に占める陽極体(多孔質体および誘電体層の合計)の面積を除いた値を意味する。電子顕微鏡には、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いることができる。
 上記のR1およびR2は、以下の方法により求めることができる。
 電解コンデンサを分解して取り出したコンデンサ素子にクロスセクションポリッシャ(CP)加工を施し、SEM観察用の試料断面を得る。試料断面(陽極体の断面)をSEMにより観察し、その画像(例えば、倍率:100倍~100000倍)を得る。SEM画像より、当該画像全体の面積S0(例えば、0.9μm~1000μm)と、陽極体(多孔質体および誘電体層の合計)が占める面積S1と、固体電解質層が占める面積S2とを求める。{S2/(S0-S1)}×100を充填率R(%)として求める。なお、S0からS1を差し引いた値は、空隙が占める面積である。
 第1領域における固体電解質層の充填率R1は、第1領域の任意の深さの任意の数領域(例えば3領域~5領域)について、それぞれSEM画像を用いて充填率Rを求め、それらの中の最大値を求めることにより得られる。上記の数領域のうちの少なくとも1領域は、多孔質体の外表面近傍に含まれる。なお、多孔質体の外表面近傍とは、多孔質体の外表面からの距離が0.2Dよりも近い領域を意味する。多孔質体の外表面近傍における固体電解質層の充填率がR1となり得る。例えば、0.5Dが225μm~410μmである場合、上記の3領域の中心は、多孔質体の外表面付近(0μm付近)、当該外表面からの深さが50μm、および当該外表面からの深さが100μmであり得る。
 第2領域における固体電解質層の充填率R2は、第2領域の任意の深さの任意の数領域(例えば3領域~5領域)について、それぞれSEM画像を用いて充填率Rを求め、それらの平均値を求めることにより得られる。上記の数領域のうちの少なくとも1領域は、多孔質体の中心近傍に含まれる。なお、多孔質体の中心近傍とは、多孔質体の中心からの距離が0.2Dよりも近い領域を意味する。多孔質体の中心に後述の陽極ワイヤが存在する場合、多孔質体の中心近傍とは陽極ワイヤ近傍を意味する。多孔質体の中心近傍における固体電解質層の充填率がR2となり得る。上記では、試料断面の観察は、SEMにより行っているが、TEMにより行ってもよい。
 上記の第1領域および第2領域の任意の深さにおける任意の数領域に対して求められる充填率Rにより、第1領域よりも第2領域の方で充填率Rが小さくなっていることを確認することができる。
 R2/R1を1/10以下とすることによる低ESR化の効果が得られ易い観点から、固体電解質層の導電率は、好ましくは15S/cm以上(若しくは20S/cm以上)、500S/cm以下であり、より好ましくは15S/cm以上(若しくは20S/cm以上)、300S/cm以下である。同様に、固体電解質層の導電率は、更に好ましくは15S/cm以上(若しくは20S/cm以上)、200S/cm以下であり、特に好ましくは15S/cm以上(若しくは20S/cm以上)、150S/cm以下である。
 ESRの低減および容量の確保の観点から、固体電解質層の導電率が15S/cm以上(若しくは20S/cm以上)、150S/cm以下である場合、R1が80%以上であり、かつ、R2/R1が1/1000以上、1/10以下(好ましくは1/100以上、1/10以下)であってもよい。
 同様に、固体電解質層の導電率が150S/cm超、200S/cm以下である場合、R1が80%以上であり、かつ、R2/R1が1/1000以上、1/10未満(好ましくは1/100以上、1/10未満)であってもよい。
 同様に、固体電解質層の導電率が200S/cm超、300S/cm以下である場合、R1が80%以上であり、かつ、R2/R1が1/1000以上、3/100未満(好ましくは1/100以上、3/100未満)であってもよい。
 同様に、固体電解質層の導電率が300S/cm超、500S/cm以下である場合、R1が80%以上であり、かつ、R2/R1が1/1000以上、1/100未満であってもよい。
 固体電解質層の導電率は、以下の方法により求めることができる。
 電解コンデンサを分解して、コンデンサ素子を取り出し、固体電解質層の成分について分析を行う。第1処理液または第2処理液を用いて固体電解質層を形成する場合、第1処理液または第2処理液の成分について分析を行ってもよい。分析法としては、TEM(透過型電子顕微鏡)-EELS法(電子エネルギー損失分光法)、NMR法(核磁気共鳴分光法)、ラマン分光法等を用いることができる。
 分析結果に基づいて、固体電解質層と同じ成分を含む試料膜(例えば、厚み20μm~40μm)を形成し、当該試料膜の導電率を固体電解質層の導電率として求める。導電率の測定装置には、日東精工アナリテック社製のロレスタ-GXおよびPSPプローブを用いることができる。
 後述の第1処理液または第2処理液を用いて固体電解質層を形成する場合、後述の第1処理液または第2処理液を用いて試料膜を形成してもよい。固体電解質層が後述の第1層および第2層で構成される場合、固体電解質層と同様の第1層および第2層の積層構造の試料膜を形成してもよい。試料膜における第1層と第2層との厚み比は、後述の厚み比T2/T1に応じて適宜決めればよい。当該厚みT1は、第1層および第2層の合計厚みとみなすことができる。当該厚みT2は、第1層の厚みとみなすことができる。
 多孔質体の外表面近傍(外表面からの距離が0.2Dよりも近い領域)における固体電解質層の厚みT1に対する、多孔質体の中心近傍(中心からの距離が0.2Dよりも近い領域)における固体電解質層の厚みT2の比:T2/T1は、例えば、0.1以下であり、0.01以上、0.1以下であってもよい。多孔質体の中心近傍における固体電解質層の厚みT2は、例えば、0.02μm未満(若しくは0.017μm以下)である。厚みT1の固体電解質層は、例えば、後述の第1層および第2層により形成することができる。厚みT2の固体電解質層は、例えば、後述の第1層により形成することができる。
 なお、上記の固体電解質層の厚みT1は、上記のR1およびR2を求める場合と同様に試料断面のSEM画像を得、当該画像を用いて多孔質体の外表面近傍における任意の10点の厚みを測定し、それらの平均値を算出して求められる。上記の固体電解質層の厚みT2は、多孔質体の中心近傍における任意の10点の厚みを測定し、それらの平均値を算出して求められる。
 (多孔質体)
 多孔質体は、弁作用金属を含む。弁作用金属としては、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)等が用いられる。
 多孔質体として、例えば、弁作用金属を含む原料粒子(原料粉体)の成形体の焼結体が用いられる。当該粒子は、弁作用金属の粒子でもよく、弁作用金属を含む合金の粒子でもよく、弁作用金属を含む化合物の粒子でもよい。当該粒子は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
 多孔質体は、例えば、原料粒子を所定の形状に加圧成形して成形体を得、成形体を焼結して得ることができる。例えば、陽極ワイヤを金型の所定位置に配置し、当該金型に原料粒子を投入し、加圧成形して成形体を得てもよい。当該成形体を焼結することで、陽極ワイヤの一部が埋設された多孔質体を得てもよい。多孔質体は、通常、直方体である。
 (陽極ワイヤ)
 陽極体は、多孔質体に一部が埋設された棒状の陽極ワイヤを備えてもよい。陽極ワイヤの一部は、多孔質体の中心を通るように多孔質体に埋設されていてもよい。多孔質体が直方体である場合、陽極ワイヤは直方体の一端面より植立されている。陽極ワイヤは、弁作用金属を含んでもよい。陽極ワイヤの一部は多孔質体に埋設され、残部は多孔質体から突き出している。当該残部は、溶接等により陽極リード端子に接続される。
 (誘電体層)
 誘電体層は、多孔質体の外表面および多孔質体の孔の内壁面を覆うように形成されている。誘電体層は、例えば、多孔質体に化成処理を施し、多孔質体の表面に酸化被膜を成長させることにより形成される。化成処理は、化成液中に多孔質体を浸漬して多孔質体の表面を陽極酸化することによって施してもよい。あるいは、酸素を含む雰囲気下で多孔質体を加熱して多孔質体の表面を酸化してもよい。
 (固体電解質層)
 固体電解質層は、誘電体層の少なくとも一部を覆うように配置される。固体電解質層は、誘電体層を介して、多孔質体の孔内に充填され、多孔質体の外表面に形成されていてもよい。固体電解質層は、2層以上の異なる固体電解質層の積層体であってもよい。
 固体電解質層は、例えば、導電性高分子を含む。導電性高分子はπ共役系高分子であってもよく、導電性高分子の例には、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、およびこれらの誘導体等が含まれる。これらは、単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。また、導電性高分子は、2種以上のモノマーの共重合体でもよい。なお、導電性高分子の誘導体とは、導電性高分子を基本骨格とする高分子を意味する。例えば、ポリチオフェンの誘導体の例には、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)等が含まれる。
 導電性高分子にはドーパントが添加されていてもよい。すなわち、固体電解質層は、導電性高分子およびドーパントを含んでもよい。導電性高分子は、ドーパントがドープされた状態で固体電解質層に含まれていてもよい。ドーパントは、導電性高分子に応じて選択でき、公知のドーパントを用いてもよい。ドーパントの例には、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、およびこれらの塩等が含まれる。固体電解質層は、例えば、PSSがドープされたPEDOTを含む。
 導電性高分子を含む固体電解質層は、例えば、表面に誘電体層が形成された多孔質体(陽極体)に、モノマー(若しくはオリゴマー)を含む第1処理液を含浸させ、その後、化学重合または電解重合によりモノマー(若しくはオリゴマー)を重合させることにより形成することができる。化学重合の場合、第1処理液は、例えば、モノマー(若しくはオリゴマー)と、酸化剤と、溶媒(若しくは分散媒)とを含む。モノマーとしては、例えば、3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)、ピロール等が挙げられる。第1処理液は、ドーパントを含んでもよい。
 また、固体電解質層は、表面に誘電体層が形成された多孔質体(陽極体)に、導電性高分子を含む第2処理液を含浸させ、乾燥させて形成してもよい。第2処理液は、例えば、導電性高分子と、溶媒(若しくは分散媒)と、必要に応じてドーパントとを含む。
 固体電解質層の導電率は、例えば、導電性高分子、ドーパント、重合条件(重合方法、酸化剤等)等を変えることにより調節することができる。
 固体電解質層の形成工程は、第1領域および第2領域に、厚みが小さい固体電解質層(以下、第1層とも称する)を薄く形成する第1工程と、第1工程の後、第1領域(特に多孔質体の外表面近傍)に、厚みが大きい固体電解質層(以下、第2層とも称する)を形成する第2工程と、を含んでもよい。この場合、R2/R1を1/10以下に制御し易い。R1を、第1層と第2層の合計に基づく充填率に制御し易い。R2を、第1層に基づく充填率に制御し易い。第1層および第2層に含まれる成分(導電性高分子、ドーパント等)は、互いに、同じであってもよく、異なっていてもよい。
 第1工程では、化学重合を低温下(例えば、10℃以下で、化学重合が可能な温度の範囲内)で行ってもよい。この場合、第1処理液(重合液)の拡散が抑制され、第1領域および第2領域に厚みが小さい固体電解質層が形成され易い。
 第2工程では、第1領域において厚みが大きい第2層が形成されるように、電解重合を行ってもよい。例えば、電流値を変えて複数のステップで電解重合を行ってもよい。例えば、大きい電流で電解重合を行う工程(2a)を行い、工程(2a)の後、小さい電流で比較的長時間の電解重合を行う工程(2b)を行ってもよい。工程(2a)では、厚みが大きい第2層が、第1領域において、多孔質体の孔を塞ぐように、ある程度形成され得る。よって、工程(2b)での第2層の形成は、第1領域で行われ、第2領域では抑制される。これにより、工程(2b)で、小さい電流で比較的長時間の電解重合を行うことで、R2/R1が1/10以下となるように第1領域で固体電解質層の充填率を十分に高めることができる。
 (その他)
 コンデンサ素子は、固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極層を備えてもよい。電解コンデンサは、コンデンサ素子に電気的に接続された陽極リード端子および陰極リード端子と、コンデンサ素子の周囲に配置された外装樹脂とを備えてもよい。陰極リード端子は、導電性部材を介して陰極部と接続される。陽極リード端子は、陽極ワイヤの多孔質体より突き出された端部と接続される。コンデンサ素子の形状、サイズ等に特に限定はなく、公知のコンデンサ素子またはそれと同様の構成を有するコンデンサ素子であってもよい。
 (陰極層)
 陰極層は、固体電解質層上に形成されたカーボン層と、カーボン層上に形成された金属ペースト層とを含んでもよい。カーボン層は、黒鉛等の導電性炭素材料と樹脂とによって形成されてもよい。金属ペースト層は、金属粒子(例えば銀粒子)と樹脂とによって形成されてもよく、例えば公知の銀ペーストによって形成されてもよい。
 (導電性部材)
 陰極層は、導電性部材によって陰極リード端子の接続部に接続される。すなわち、陰極層(陰極部)は、陰極リード端子に電気的に接続される。導電性部材は、導電性を有する材料で構成される。導電性部材は、金属粒子(例えば銀粒子)と樹脂とを含む材料を用いて形成されてもよく、例えば公知の金属ペースト(例えば銀ペースト)用いて形成されてもよい。金属ペーストを加熱することによって導電性部材が形成される。なお、導電性部材は、種類が異なる複数の導電層で構成されてもよい。
 (外装樹脂)
 外装樹脂は、電解コンデンサの表面にコンデンサ素子が露出しないように、コンデンサ素子の周囲に配置される。さらに、外装樹脂は、陽極リード端子と陰極リード端子とを絶縁する。外装樹脂には、電解コンデンサに用いられる公知の外装樹脂を適用してもよい。例えば、外装樹脂は、コンデンサ素子の封止に用いられる絶縁性の樹脂材料を用いて形成してもよい。外装樹脂は、コンデンサ素子を金型に収容し、トランスファー成型法、圧縮成型法等により未硬化の熱硬化性樹脂およびフィラーを金型に導入して硬化させることにより形成してもよい。
 外装樹脂の例には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、および不飽和ポリエステル等が含まれる。外装樹脂は、樹脂以外の物質(無機フィラー等)を含んでもよい。
 (陰極リード端子)
 陰極リード端子の一部は、外装樹脂から露出し、陰極外部端子として使用される。陰極リード端子の材料は、電解コンデンサの陰極リード端子の材料として使用できるものであればよい。例えば、電解コンデンサに用いられている公知の陰極リード端子の材料を用いてもよい。陰極リード端子は、金属(銅、銅合金等)からなる金属シート(金属板および金属箔を含む)を、公知の金属加工法で加工することによって形成してもよい。
 (陽極リード端子)
 陽極リード端子の一部は、外装樹脂から露出し、陽極外部端子として使用される。陽極リード端子の材料は、電解コンデンサの陽極リード端子の材料として使用できるものであればよい。例えば、電解コンデンサに用いられている公知の陽極リード端子の材料を用いてもよい。陽極リード端子は、金属(銅、銅合金等)からなる金属シート(金属板および金属箔を含む)を、公知の金属加工法で加工することによって形成してもよい。
 図1は、本実施形態に係る電解コンデンサの一例を模式的に示す断面図である。図2は、表面に固体電解質層が形成された陽極体を模式的に示す断面図である。図3は、多孔質体の第1領域および第2領域を示す断面図である。図4は図3のIV-IV線断面図である。図3および4は、多孔質体の中心Cを含む断面図である。なお、各図は模式的に示すものであり、各構成要素の寸法(長さ、幅、厚み等)の比率等は、実際のものと同一とは限らない。
 電解コンデンサ20は、コンデンサ素子10と、コンデンサ素子10を封止する外装樹脂11と、コンデンサ素子10と電気的に接続される陽極リード端子12および陰極リード端子13と、を備える。陽極リード端子12および陰極リード端子13の一部は、それぞれ、外装樹脂11から露出している。陽極リード端子12および陰極リード端子13の一部は、コンデンサ素子10とともに外装樹脂11で覆われている。
 コンデンサ素子10は、陽極体1と、陽極体1の上に形成された固体電解質層2と、固体電解質層2の上に形成された陰極層3と、を備える。陽極体1は、弁作用金属を含む多孔質体4と、多孔質体4を覆う誘電体層5と、を備える。誘電体層5は、多孔質体4の外表面Sおよび孔7の内壁面を覆うように形成されている。陽極体1は、多孔質体4とほぼ同じ多孔質な形状を有する。
 多孔質体4は、ほぼ直方体の形状を有し、6つの側面を有する。多孔質体4の一側面から陽極ワイヤ6の一部が延出している。すなわち、陽極ワイヤ6は、多孔質体4の一側面から多孔質体4の内部へ埋設された第1部分6aと、多孔質体4の一側面から延出した第2部分6bとを有する。第2部分6bは、溶接等により、陽極リード端子12と接合されている。本実施形態では、第1部分6aは、多孔質体4の中心Cを通るように多孔質体4に埋設されているが、多孔質体4の中心Cを通らないように多孔質体4に埋設されていてもよい。
 固体電解質層2は、誘電体層5の少なくとも一部を覆うように形成されている。固体電解質層2は、多孔質体4(陽極体1)の孔7に充填されている。固体電解質層2は、誘電体層5を介して、多孔質体4の外表面Sおよび孔7の内壁面を覆うように形成されている。
 図3および図4に示すように、多孔質体4は、多孔質体4の外表面側の第1領域4aと、第1領域4a以外の第2領域4bと、を有する。第1領域4aは、多孔質体4の外表面Sから中心Cまでの最短距離をDとするとき、多孔質体4の外表面Sからの距離が0.5Dよりも近い領域(図3および図4の網掛け部分)である。多孔質体4中の固体電解質層2の充填率は、第1領域4aよりも第2領域4bの方で、小さくなっている。第1領域4aにおける固体電解質層2の充填率R1に対する、第2領域4bにおける固体電解質層2の充填率R2の比:R2/R1は、1/10以下である。
 陰極層3は、固体電解質層2の表面を覆うように形成されている。陰極層3は、固体電解質層2を覆うように形成されたカーボン層3aと、カーボン層3aの表面に形成された金属ペースト層3bと、を有する。陰極リード端子13は、導電性部材8を介して、陰極層3(金属ペースト層3b)に接合されている。カーボン層3aは、黒鉛等の導電性炭素材料と樹脂を含む。金属ペースト層3bは、例えば、金属粒子(例えば、銀)と樹脂とを含む。なお、陰極層3の構成は、この構成に限定されない。陰極層3は、集電機能を有する構成であればよい。
[実施例]
 以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
《実施例1~6》
 (多孔質体の作製)
 陽極ワイヤの一端をTa粒子に埋め込んでTa粒子を直方体に成形し、その後、成形体を真空中で焼結した。このようにして、陽極ワイヤの一部が埋設された多孔質体(Ta焼結体)を得た。多孔質体の外表面から中心までの最短距離Dは450μmであった。陽極ワイヤには、Taワイヤを用いた。
 (誘電体層の形成)
 電解水溶液であるリン酸水溶液が満たされた化成槽に、陽極ワイヤの一部が埋設された多孔質体を浸漬し、陽極酸化を行った。このようにして、多孔質体の表面に酸化被膜(誘電体層)を形成した。なお、陽極酸化において、リン酸の濃度は0.01~5質量%、化成電圧は2~100V、温度は20~80℃の範囲で適宜選択することができる。
 (固体電解質層の形成)
 (第1工程)
 まず、表面に誘電体層を有する多孔質体の第1領域および第2領域に、ポリピロールおよびドーパントを含む第1層(導電率21S/cm)を薄く形成した(第1工程)。ドーパントには、ナフタレン骨格を有するスルホン酸塩を用いた。第1層の形成は化学重合により行った。化学重合は、ピロールと、ドーパントと、酸化剤と、水と、を含む処理液を用いて行った。低温(10℃以下で化学重合が可能な温度の範囲内)で化学重合を行うことにより、第1領域および第2領域に第1層を薄く形成し、多孔質体の中心近傍における固体電解質層の厚みT2を表1に示す値とした。
 (第2工程)
 次に、表面に誘電体層を有する多孔質体の第1領域に、ポリピロールおよびドーパントを含む第2層(導電率21S/cm)を厚く形成した(第2工程)。ドーパントには、第1層の形成に用いるドーパントと同じものを用いた。第2層の形成は電解重合により行った。電解重合は、ピロールと、ドーパントと、水と、を含む処理液を用いて行った。25℃で、大きい電流で電解重合を行う工程(2a)を行い、工程(2a)の後、小さい電流で比較的長時間の電解重合を行う工程(2b)を行った。これにより、第1領域に第2層を厚く形成し、多孔質体の外表面近傍における固体電解質層の厚みT1を表1に示す値とした。
 このようにして、第2領域では、ほぼ第1層により固体電解質層を形成した。第1領域(特に多孔質体の外表面側)では第1層および第2層により固体電解質層を形成した。このようにして、多孔質体中の固体電解質層の充填率が、第1領域よりも第2領域の方で、小さくなるように固体電解質層を形成した。固体電解質層の導電率は、21S/cmであった。
 上記において、第1工程(第1層の形成工程)での化学重合時の温度を調節して、第2領域における固体電解質層の充填率R2を表1に示す値とした。第2工程(第2層の形成工程)での電解重合時の電流の大きさおよび電流を流す時間を調節して、第1領域における固体電解質層の充填率R1を表1に示す値とした。
 なお、第1領域における固体電解質層の充填率R1、および、第2領域における固体電解質層の充填率R2は、固体電解質層を形成した時点で、既述の方法により求めた。また、既述の方法により、多孔質体の外表面近傍における固体電解質層の厚みT1、および、多孔質体の中心近傍における固体電解質層の厚みT2も求めた。求められたT1値およびT2値をそれぞれ表1に示す。
 (陰極層の形成)
 固体電解質層にカーボン粒子の分散液(カーボンペースト)を塗布し、加熱し、固体電解質層の表面にカーボン層を形成した。カーボン層の表面に、銀粒子とバインダ樹脂と溶媒とを含む金属ペーストを塗布し、加熱し、金属ペースト層を形成し、カーボン層および金属ペースト層で構成される陰極層を得た。このようにして、コンデンサ素子を得た。
 (電解コンデンサの作製)
 金属ペースト層に導電性部材となる導電性接着材を塗布し、陰極リード端子と金属ペースト層とを接合した。陽極ワイヤと陽極リード端子とを抵抗溶接により接合した。次いで、各リード端子が接合されたコンデンサ素子を外装樹脂で封止した。このようにして、電解コンデンサを得た。表1中、X1~X6は、それぞれ、実施例1~6の電解コンデンサを示す。
《比較例1》
 固体電解質層の形成工程の第2工程において、25℃で、小さい電流で比較的長時間の電解重合を行うことで(工程(2a)を行わないことで)、第2領域(多孔質体の中心近傍)にも第2層をある程度形成し、多孔質体の中心近傍における固体電解質層の厚みT2を表1に示す値とした。第2領域における固体電解質層の充填率R2を表1に示す値とし、R2/R1を3/10とした。
 上記以外、実施例1の電解コンデンサX1と同様にして、電解コンデンサY1を作製した。
 [評価1]
 上記で得られた各電解コンデンサについて、20℃の環境下で、4端子測定用のLCRメータを用いて、周波数120Hzにおける静電容量(μF)および周波数100kHzにおけるESR(mΩ)の測定を行った。静電容量は、Y1の静電容量を100とするときの相対値で表し、静電容量が75以上の場合、良好であると評価した。評価結果を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 電解コンデンサX1~X6では、電解コンデンサY1よりも低いESRが得られた。電解コンデンサX1~X5では、良好な静電容量が得られた。
《実施例7~9》
 固体電解質層の導電率を表2に示す値とした。固体電解質層の導電率は、第1層および第2層の形成に用いるドーパントの種類を変えることにより調節した。上記以外、実施例1の電解コンデンサX1と同様にして、それぞれ実施例7~9の電解コンデンサX7~X9を作製した。
《比較例2~4》
 固体電解質層の導電率を表2に示す値とした。固体電解質層の導電率は、第1層および第2層の形成に用いるドーパントの種類を変えることにより調節した。上記以外、比較例1の電解コンデンサY1と同様にして、それぞれ比較例2~4の電解コンデンサY7~Y9を作製した。
《実施例10~13》
 固体電解質層の形成工程は、以下のようにして行った。
 (第1工程)
 まず、表面に誘電体層を有する多孔質体の第1領域および第2領域に、PEDOTおよびドーパントを含む第1層を薄く形成した(第1工程)。第1層の形成は化学重合により行った。化学重合は、EDOTと、ドーパントと、酸化剤と、水と、を含む処理液を用いて行った。低温(10℃以下で化学重合が可能な温度の範囲内)で化学重合を行うことで、第1領域および第2領域に第1層を薄く形成した。
 (第2工程)
 次に、表面に誘電体層を有する多孔質体の第1領域に、PEDOTおよびドーパントを含む第2層を厚く形成した(第2工程)。ドーパントには、第1層の形成に用いるドーパントと同じものを用いた。第2層の形成は電解重合により行った。電解重合は、EDOTと、ドーパントと、水と、を含む処理液を用いて行った。25℃で、大きい電流で電解重合を行う工程(2a)を行い、工程(2a)の後、小さい電流で比較的長時間の電解重合を行う工程(2b)を行うことにより、第1領域に第2層を厚く形成した。
 固体電解質層の導電率を表2に示す値とした。固体電解質層の導電率は、第1層および第2層の形成に用いるドーパントの種類を変えることにより調節した。
 このようにして、第2領域では、ほぼ第1層により固体電解質層を形成した。第1領域(特に多孔質体の外表面側)では第1層および第2層により固体電解質層を形成した。このようにして、多孔質体中の固体電解質層の充填率が、第1領域よりも第2領域の方で、小さくなるように固体電解質層を形成した。
 上記において、第1工程(第1層の形成工程)での化学重合時の温度を調節して、第2領域における固体電解質層の充填率R2を0.25%とした。第2工程(第2層の形成工程)での電解重合時の電流の大きさおよび電流を流す時間を調節して、第1領域における固体電解質層の充填率R1を84%とした。R2/R1は、3/1000であった。多孔質体の外表面近傍における固体電解質層の厚みT1は、170nmであった。多孔質体の中心近傍における固体電解質層の厚みT2は、0.51nmであった。
 上記以外、実施例1の電解コンデンサX1と同様にして、それぞれ実施例10~13の電解コンデンサX10~X13を作製した。
《比較例5~8》
 固体電解質層の形成工程の第2工程において、25℃で、小さい電流で比較的長時間の電解重合を行うことで(工程(2a)を行わないことで)、第2領域(多孔質体の中心近傍)にも第2層をある程度形成した。多孔質体の中心近傍における固体電解質層の厚みT2を51nmとし、第2領域における固体電解質層の充填率R2を25%とし、R2/R1を3/10とした。
 上記以外、実施例10~13の電解コンデンサX10~X13と同様にして、それぞれ、比較例5~8の電解コンデンサY10~Y13を作製した。
 [評価2]
 評価1と同様の方法により、各電解コンデンサのESRを測定した。さらに、測定結果に基づいて、固体電解質層の導電率を一定にして、R2/R1を3/10から3/1000とすることによる低ESR化の度合いを調べた。具体的には、固体電解質層の導電率が互いに同じである、R2/R1が3/1000である電解コンデンサおよびR2/R1が3/10である電解コンデンサのESRが、それぞれ、xおよびyであるとき、x/yをESR比として求めた。例えば、電解コンデンサX1の場合のESR比とは、電解コンデンサY1のESR値に対する電解コンデンサX1のESR値の比を意味する。ESR比の値が小さいほど、ESRの低減効果が大きいことを示す。電解コンデンサX1、X7~X13に対して、それぞれ、ESR比を求めた。評価結果を表2に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 電解コンデンサX1、X7~X13は、それぞれ、電解コンデンサY1、Y7~Y13よりも低いESRを示した。中でも、固体電解質層の導電率が15~500S/cmである電解コンデンサX1、X7~X12では、ESR比が0.95以下であり、R2/R1を1/10以下とすることによる優れた低ESR化の効果が示された。特に、固体電解質層の導電率が15~200S/cmである電解コンデンサX1、X7~X10では、ESR比が0.87以下であり、R2/R1を1/10以下とすることによる低ESR化の効果が顕著に得られた。
 本発明は、多孔質の陽極体と、陽極体に一部が埋設された陽極ワイヤとを備える電解コンデンサに利用することができる。本発明に係る電解コンデンサは、低いESRが求められる様々な用途に利用できる。
 本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形および改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、すべての変形および改変を包含する、と解釈されるべきものである。
 1:陽極体、2:固体電解質層、3:陰極層、3a:カーボン層、3b:金属ペースト層、4:多孔質体、4a:第1領域、4b:第2領域、5:誘電体層、6:陽極ワイヤ、6a:第1部分、6b:第2部分、7:孔、8:導電性部材、10:コンデンサ素子、11:外装樹脂、12:陽極リード端子、13:陰極リード端子、20:電解コンデンサ

Claims (6)

  1.  弁作用金属を含む多孔質体および前記多孔質体を覆う誘電体層を有する陽極体と、
     前記多孔質体の孔内に充填され、前記誘電体層を覆う固体電解質層と、
    を備え、
     前記多孔質体は、前記多孔質体の外表面側の第1領域と、前記第1領域以外の第2領域と、を有し、
     前記第1領域は、前記多孔質体の外表面から中心までの最短距離をDとするとき、前記多孔質体の外表面からの距離が0.5Dよりも近い領域であり、
     前記多孔質体中の前記固体電解質層の充填率は、前記第1領域よりも前記第2領域の方で、小さくなっており、
     前記第1領域における前記固体電解質層の充填率R1に対する、前記第2領域における前記固体電解質層の充填率R2の比:R2/R1は、1/10以下である、電解コンデンサ。
  2.  前記R2/R1は、1/1000以上、1/10以下である、請求項1に記載の電解コンデンサ。
  3.  前記R2/R1は、1/1000以上、3/100以下である、請求項2に記載の電解コンデンサ。
  4.  前記R1は、80%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  5.  前記R2は、9%以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  6.  前記固体電解質層の導電率は、15S/cm以上、500S/cm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
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