JP2023095573A - 電解コンデンサの製造方法、および、導電性高分子層の評価方法 - Google Patents

電解コンデンサの製造方法、および、導電性高分子層の評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電解コンデンサの製造において、固体電解質層である導電性高分子層の洗浄を適切な洗浄条件で行うことにより、製造不良の低減及び性能向上を実現する。【解決手段】電解コンデンサの製造方法は、誘電体層が形成された陽極体の表面に導電性高分子を含む固体電解質層を形成する工程を有する。固体電解質層の形成工程は、第1導電性高分子層を形成する工程と、第1導電性高分子層が形成された陽極体を所定の洗浄条件で洗浄する洗浄工程と、を含む。洗浄条件は、洗浄後の陽極体を溶媒に浸漬し、溶媒の電気伝導度を測定したときに、測定される電気伝導度が所定の範囲内に収まるように決定される。【選択図】図4

Description

本発明は、電解コンデンサの製造方法、および、電解コンデンサの固体電解質層を構成する導電性高分子層の評価方法に関する。
電解コンデンサは、等価直列抵抗(ESR)が小さく、周波数特性が優れているため、様々な電子機器に搭載されている。電解コンデンサは、通常、陽極部および陰極部を備えるコンデンサ素子を備える。陽極部は、多孔質の陽極体を含み、陽極体の表面に誘電体層が形成される。誘電体層は、電解質と接触する。電解質として、導電性高分子などの固体電解質を用いた電解コンデンサがある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献2には、陽極体の表面に誘電体皮膜を形成する工程と、誘電体皮膜上で導電性高分子層を構成する高分子の前駆体を重合させることによって、誘電体皮膜上に導電性高分子層を形成する工程と、導電性高分子層を溶媒を用いて洗浄する工程と、洗浄後の導電性高分子層を大気圧下で乾燥させて、溶媒を除去する工程と、その後、導電性高分子層を大気圧よりも低い気圧下で減圧乾燥する工程と、を有する固体電解コンデンサの製造方法が記載されている。
特開2009-182157号公報 特開2011-181605号公報
特許文献2では、誘電体被膜上で重合により形成した導電性高分子層を溶媒を用いて洗浄することにより、重合時に導電性高分子層に付着した不要な前駆体や酸化剤などが除去され、高性能な電解コンデンサが得られるとしている。しかしながら、導電性高分子層を洗浄する際の洗浄条件をどのように制御すべきかについては、特に示唆されていない。
例えば、洗浄時間を長くするほど、導電性高分子層に含まれる不要な前駆体や酸化剤などが除去され、電解コンデンサの性能向上に寄与するといえる。一方で、洗浄時間を長くするほど、導電性高分子層に含まれる必須成分も一緒に除去されたり、導電性高分子の劣化が進行したりすることが考えられ、洗浄条件次第では電解コンデンサの性能向上に結び付かない場合も考えられる。
上記を踏まえ、本発明は、電解コンデンサの製造において、導電性高分子層を洗浄する際の洗浄条件を決定するための指針を提供するとともに、これにより電解コンデンサの製造不良の低減及び性能向上を実現することを目的とする。
上記を鑑み、本開示の一局面は、多孔質の陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極層と、を備える電解コンデンサの製造方法であって、前記誘電体層が形成された前記陽極体の表面に導電性高分子を含む前記固体電解質層を形成する工程を有し、前記固体電解質層の形成工程は、第1導電性高分子層を形成する工程と、前記第1導電性高分子層が形成された前記陽極体を所定の洗浄条件で洗浄する洗浄工程と、を含み、前記洗浄条件は、洗浄後の前記陽極体を溶媒に浸漬し、前記溶媒の電気伝導度を測定したときに、測定される前記電気伝導度が所定の範囲内に収まるように決定される、電解コンデンサの製造方法に関する。
本開示の他の一局面は、多孔質の陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極層と、を備える電解コンデンサの製造において、前記固体電解質層を構成する導電性高分子層を評価する方法であって、前記導電性高分子層が形成された前記陽極体を洗浄する洗浄工程と、洗浄後の前記陽極体を溶媒に浸漬し、前記溶媒の電気伝導度を測定する工程と、を有する、導電性高分子層の評価方法に関する。
電解コンデンサの製造において、導電性高分子層の洗浄工程における洗浄条件を適切に決定することができるため、電解コンデンサの製造不良が低減されるとともに、電解コンデンサの性能を向上できる。
本開示の一実施形態に係る製造方法により製造される電解コンデンサのコンデンサ素子の一例を模式的に示す断面図である。 本開示の一実施形態に係る製造方法により製造される電解コンデンサを模式的に示す断面図である。 本実施形態に係る電解コンデンサの製造方法において、固定電解質層の形成工程の一例を示すフローチャートである。 導電性高分子層を形成した陽極体を純水に浸漬した後の純水の電気伝導度の時間変化の一例を示すグラフである。
本開示の一実施形態に係る電解コンデンサの製造方法は、多孔質の陽極体と、陽極体の表面に形成された誘電体層と、誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極層と、を備える電解コンデンサの製造方法であって、誘電体層が形成された陽極体の表面に導電性高分子を含む固体電解質層を形成する工程を有する。
固体電解質層の形成工程は、第1導電性高分子層を形成する工程と、第1導電性高分子層が形成された陽極体を所定の洗浄条件で洗浄する洗浄工程と、を含む。
第1導電性高分子層が形成された陽極体を洗浄する洗浄工程を設けることにより、第1導電性高分子層に付着していた不要な成分が除去され、耐電圧特性などの電解コンデンサの性能が向上する。
洗浄工程において除去される不要な成分の量は、洗浄条件(洗浄液の種類、洗浄液の温度、液量または流量、洗浄時間など)に依存する。一般に、洗浄時間が長く、洗浄に用いる洗浄液の量が多くなるほど、不要な成分を多く除去でき、電解コンデンサの性能を高められると考えられる。しかしながら、一方で、洗浄時間が長く、洗浄に用いる洗浄液の量が多くなるほど、第1導電性高分子層を構成する必要な成分も一緒に除去されてしまい易くなり、また、第1導電性高分子層の劣化も進行し易くなる。高性能な電解コンデンサを実現する上では、洗浄工程における洗浄条件を適切に設定することが重要である。
そこで、本開示の一実施形態に係る製造方法では、洗浄条件は、洗浄後の陽極体を溶媒に浸漬し、溶媒の電気伝導度を測定したときに、測定される電気伝導度が所定の範囲内に収まるように決定される。溶媒は、特に限定されないが、電気伝導性を殆ど有さないものが好ましく、例えば、純水である。ここでは、陽極体を浸漬せずに測定した電気伝導度が10μS/cm以下のものを純水とする。
第1導電性高分子層が形成された陽極体を溶媒に浸漬することで、陽極体から第1導電性高分子層に含まれていた成分(特に、ドーパント残渣や酸化剤などの不要な成分)が溶出する。これにより、溶媒の電気伝導度が上昇し、溶媒は電気伝導性を示すようになる。よって、溶媒の電気伝導度を測定することで、洗浄により除去された成分量を推し量ることができ、測定される電気伝導度が所定の範囲となるように、洗浄条件を決定することで、除去される成分の量を適切な範囲に収めることができる。結果、電解コンデンサの製造不良が低減され、電解コンデンサの性能が向上する。また、製造後の電解コンデンサの性能ばらつきも低減される。
洗浄条件を決定するための電気伝導度の所定の範囲は、製造される電解コンデンサの構成(陽極体の大きさ(見かけの表面積)、導電性高分子の材料および搭載量など)に依存する。例えば、洗浄条件を変えながら複数の電解コンデンサを試作し、製造不良が少なく、且つ高い性能の電解コンデンサが得られたときの洗浄条件と、電気伝導度との相関関係を導出することにより、電解コンデンサの構成に応じた電気伝導度の所定の範囲を決定できる。具体的には、例えば、一または複数の洗浄後の陽極体を、陽極体が有する導電性高分子層の総質量が純水1kgに対して0.5g~2gの範囲となるような比率で、純水に浸漬したときに、2時間あたりの電気伝導度の変化が5μS/cm以下になったときの電気伝導度が70μS/cm以下となるように、洗浄条件を決定してもよい。0.1gの導電性高分子層を総質量で有する洗浄後の一または複数の陽極体を110gの純水に4時間浸漬した場合に、浸漬後の電気伝導度が70μS/cm以下となるように、洗浄条件を決定してもよい。
複数の洗浄後の陽極体を溶媒に浸漬してもよい。導電性高分子の総質量とは、1つの洗浄後の陽極体を浸漬する場合、その陽極体に含まれる導電性高分子層の質量であり、複数の洗浄後の陽極体を浸漬する場合、複数の陽極体のそれぞれに含まれる導電性高分子層の質量の合計を意味する。
第1導電性高分子層は、第1モノマーの重合により形成されるものであってもよい。重合により形成される第1導電性高分子層は、通常、未反応のモノマーやドーパントを含んでおり、これらを除去することで、電解コンデンサの性能を高めることができる。第1導電性高分子層は、第1モノマーの化学重合により形成されるものであってもよい。なお、第1モノマーには、オリゴマーが含まれる。
固体電解質層は、複数の導電性高分子層により形成されていてもよい。例えば、第1導電性高分子層の上に、さらに第1導電性高分子層を形成し、固体電解質層としてもよい。固体電解質層が複数の導電性高分子層により形成される場合、第1導電性高分子層は、誘電体層を覆うように形成される最も内側の導電性高分子層であってもよく、最も外側の固体電解質層を形成する導電性高分子層であってもよく、固体電解質層内で中間に位置する導電性高分子層であってもよい。換言すると、固体電解質層が複数の導電性高分子層により形成される場合、いずれの導電性高分子層の形成後に洗浄を行ってもよい。しかしながら、固体電解質層が重合により形成される導電性高分子層を含む場合、重合により形成される導電性高分子層を形成した直後に、電気伝導度に基づき決定された所定の洗浄条件で、洗浄を行うことが望ましい。
製造方法は、重合により第1導電性高分子層を形成した後、予め重合された第2導電性高分子(ポリマー分散体)を含む溶液または分散液を陽極体に含侵させ、第1導電性高分子層を覆う第2導電性高分子層を形成する工程をさらに有してもよい。この場合、第1導電性高分子層の形成後、洗浄工程が行われ、洗浄後の第1導電性高分子層の表面を覆うように、第2導電性分子層が形成される。この場合において、第1導電性高分子層が誘電体層を覆うように形成される導電性高分子層であると、本実施形態の洗浄工程が特に有効である。
重合により形成された第1導電性高分子層の表面は、微視的に見ると、微細な凹凸を有している。このため、第1導電性高分子層を覆う第2導電性高分子層を、第2導電性高分子を含む溶液または分散液を第1導電性高分子層が形成された陽極体に含侵させることで形成する場合、第2導電性高分子を含む溶液または分散液が第1導電性高分子層の表面の凹部の奥深くまで入り込み難く、第1導電性高分子層と第2導電性高分子層との間の密着性を高く維持することができない場合がある。
重合により形成される第1導電性高分子層は、上述の通り、未反応のモノマーやドーパント、酸化剤などを含んでおり、水分と結合し易く、重合膜中に多くの水分が残留し得る。第1導電性高分子層と第2導電性高分子層との間の密着性が十分でないと、第1導電性高分子層内に残存する水分等が、後工程で生じる熱により気化膨張し、外側の第2導電性高分子層が第1導電性高分子層から剥がれ、導電性高分子層間の隙間を押し広げて膨らみ、空洞が形成される場合がある。
しかしながら、所定の洗浄条件で第1導電性高分子層の洗浄を行い、膨れの起点となる未反応のモノマー、ドーパントおよび酸化剤を適切に除去しておくことで、導電性高分子層の膨れによる固体電解質層の形成不良を抑制できる。
第1導電性高分子層と第2導電性高分子層との間の密着性を高めるために、洗浄工程の後であって第2導電性高分子層の形成前に、塩基性化合物を含む溶液または溶媒を陽極体に含侵させ、予め第1導電性高分子層の表面に塩基性化合物を付着させてもよい。塩基性化合物に含まれるカチオンは、導電性高分子に含まれるアニオン性ドーパントの反発を抑制して、第2導電性高分子層と第1導電性高分子層との密着性を高める作用を奏する。塩基性化合物としては、例えば、N,N-ジメチルオクチルアミン、1,8-ジアミノオクタンなどのアミン化合物またはアミジン化合物が好ましく用いられ得る。
第1導電性高分子層に含まれる第1導電性高分子と、第2導電性高分子層に含まれる第2導電性高分子とは、同じであってもよいし、異なるモノマーユニットを含んでいてもよい。第2導電性高分子は、第1導電性高分子を構成するモノマーユニットと同じモノマーユニットを含む場合、同じモノマー骨格を有する導電性高分子層を厚く形成することができる。
≪導電性高分子層の評価方法≫
本開示の一実施形態に係る導電性高分子層の評価方法は、多孔質の陽極体と、陽極体の表面に形成された誘電体層と、誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極層と、を備える電解コンデンサの製造において、前記固体電解質層を構成する導電性高分子層を評価する方法であって、導電性高分子層が形成された陽極体を洗浄する洗浄工程と、洗浄後の陽極体を溶媒に浸漬し、溶媒の電気伝導度を測定する工程と、を有する。溶媒は、電気伝導性を殆ど有さないものが好ましく、例えば、純水である。
導電性高分子層が形成された陽極体を溶媒に浸漬することで、陽極体から導電性高分子層に含まれていた成分(特に、ドーパント残渣や酸化剤などの不要な成分)が溶出する。これにより、溶媒の電気伝導度が上昇し、溶媒は電気伝導性を示すようになる。よって、電気伝導度の大きさから、洗浄により除去された成分量を推し量ることができる。
電気伝導度は、陽極体の浸漬時間の経過とともに上昇してゆくが、浸漬時間の経過に伴って上昇が遅くなり、ある一定値に漸近してゆく。導電性高分子層の評価は、任意の浸漬時間の経過後の電気伝導度の測定値に基づき行えばよいが、浸漬から十分時間(例えば、4時間以上)が経過し、ある一定値に十分に接近したときの電気伝導度に基づき行うことか好ましい。
導電性高分子層の評価は、例えば、電気伝導度の測定値の時間変化が、2時間あたり5μS/cm以下になったときの電気伝導度に基づき行うことが好ましい。
溶媒の電気伝導度は、JIS K 0130:2008に準拠した交流二電極法により測定される。電気伝導度は、25℃における値である。
電気伝導度の測定結果に基づき、実際に電解コンデンサを製造する際の導電性高分子層の洗浄工程における洗浄条件が決定され得る。導電性高分子層の評価方法は、洗浄工程において陽極体を洗浄するときに、測定される電気伝導度が所定の範囲内に収まるときの洗浄条件を決定する工程をさらに有し得る。これにより、実際の電解コンデンサの製造において、洗浄工程で除去される成分量を適切な範囲に収めることができる。結果、電解コンデンサの製造不良が低減され、製造された電解コンデンサの性能を高めることができる。
洗浄条件を決定するための電気伝導度の所定の範囲は、かかる洗浄条件で洗浄工程を実施して電解コンデンサを製造したときに、製造不良が少なく、且つ高い性能の電解コンデンサが得られるときの洗浄条件と、そのときの電気伝導度との相関関係に基づき導出され得る。洗浄条件を変えながら複数の電解コンデンサを試作し、製造不良が少なく、且つ高い性能の電解コンデンサが得られるときの洗浄条件と、電気伝導度との相関関係を導出することにより、電解コンデンサの構成に応じた電気伝導度の望ましい範囲を決定できる。
具体的に、例えば、総質量0.1gの導電性高分子層を有する洗浄後の一または複数の陽極体を110gの純水に4時間浸漬した場合に、浸漬後の電気伝導度が70μS/cm以下となるように、洗浄条件を決定してもよい。
電気伝導度の測定値は、陽極体を浸漬する溶媒の質量に対する、陽極体が有する導電性高分子層の総質量の比率に概ね比例すると考えられる。よって、総質量1gの導電性高分子層を有する洗浄後の陽極体を1100gの純水に4時間浸漬しても、上記の洗浄条件と同様の電気伝導度が測定され得る。陽極体を浸漬する純水の質量に対する、陽極体が有する導電性高分子層の総質量との比率が同じであれば、純水の量および導電性高分子層の総質量を増減させてもよい。純水の量を増減させるに伴い、導電性高分子層の総質量も純水の量に応じて調節される。導電性高分子層の総質量を調節するには、純水に浸漬する陽極体の個数を増減させればよい。純水の量は、電気伝導度の測定器の大きさに合わせ、決定することが好ましい。
電気伝導度測定において、陽極体が有する導電性高分子層の総質量は、上記の限定的な例(純水110gに対し0.1g)に限られず、純水1kgに対し、0.5g~2gの範囲であってもよい。陽極体に含まれる導電性高分子層の含有量が総質量で上記範囲となるように、複数個の陽極体を純水に浸漬してもよく、陽極体が大きい場合には、陽極体の一部を切除した個片を純水に浸漬してもよい。また、電気伝導度を測定する時刻についても、浸漬開始から4時間後に限られず、浸漬後、一定値に十分に接近したときの電気伝導度を評価すればよい。例えば、電気伝導度の測定値の時間変化が、2時間あたり5μS/cm以下になったときの電気伝導度に基づき、洗浄条件を決定してもよい。
換言すると、一または複数の洗浄後の陽極体を、陽極体が有する導電性高分子層の総質量が純水1kgに対して0.5g~2gの範囲となるように、純水に浸漬したときに、2時間あたりの電気伝導度の変化が5μS/cm以下になったときの電気伝導度が70μS/cm以下となるように、洗浄条件を決定してもよい。
電気伝導度の測定において、110gの純水に浸漬する陽極体の表面積Aは、100~2000mmの範囲にあってもよい。ここで、陽極体の表面積Aは、導電性高分子層が形成されていない陽極体の(多孔質体の細孔の表面積を考慮しない)見かけの表面積であり、陽極体が略長方体の形状を有する場合、直方体の面を構成する6つの長方形の面積の合計とする。複数の陽極体を浸漬する場合、表面積Aは陽極体のそれぞれの表面積の合計である。陽極体のサイズに応じて、1または複数の陽極体または陽極体の個片を浸漬し、表面積Aが上記範囲に収まるようにしてもよい。表面積Aは、100~1000mmもしくは100~500mmの範囲にあってもよい。
≪電解コンデンサ≫
以下に、本実施形態に係る電解コンデンサおよびその製造方法について、適宜図面を参照しながら説明する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。図1は、本実施形態に係る製造方法により製造される電解コンデンサのコンデンサ素子の一例を模式的に示す断面図である。図2は、本実施形態に係る製造方法により製造される電解コンデンサの断面模式図である。
電解コンデンサ20は、陽極部6および陰極部7を有するコンデンサ素子10と、コンデンサ素子10を封止する外装体11と、陽極部6と電気的に接続し、かつ、外装体11から一部が露出する陽極リード端子13と、陰極部7と電気的に接続し、かつ、外装体11から一部が露出する陰極リード端子14と、を備えている。陽極部6は、陽極体1と陽極ワイヤ2とを有する。陽極体の表面に誘電体層3が形成されている。陰極部7は、誘電体層3の少なくとも一部を覆う固体電解質層4と、固体電解質層4の表面の少なくとも一部を覆う陰極層5とを有する。
<コンデンサ素子>
以下、コンデンサ素子10について、電解質として固体電解質層を備える場合を例に挙げて、詳細に説明する。
陽極部6は、陽極体1と、陽極体1の一面から延出して陽極リード端子13と電気的に接続する陽極ワイヤ2と、を有する。
陽極体1は、例えば、金属粒子を焼結して得られる直方体の多孔質焼結体である。上記金属粒子として、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)などの弁作用金属の粒子が用いられる。陽極体1には、1種または2種以上の金属粒子が用いられる。金属粒子は、2種以上の金属からなる合金であってもよい。例えば、弁作用金属と、ケイ素、バナジウム、ホウ素等とを含む合金を用いることができる。また、弁作用金属と窒素等の典型元素とを含む化合物を用いてもよい。弁作用金属の合金は、弁作用金属を主成分とし、例えば、弁作用金属を50原子%以上含む。
陽極ワイヤ2は、導電性材料から構成されている。陽極ワイヤ2の材料は特に限定されず、例えば、上記弁作用金属の他、銅、アルミニウム、アルミニウム合金等が挙げられる。陽極体1および陽極ワイヤ2を構成する材料は、同種であってもよいし、異種であってもよい。陽極ワイヤ2は、陽極体1の一面から陽極体1の内部へ埋設された第一部分2aと、陽極体1の上記一面から延出した第二部分2bと、を有する。陽極ワイヤ2の断面形状は特に限定されず、円形、トラック形(互いに平行な直線とこれら直線の端部同士を繋ぐ2本の曲線とからなる形状)、楕円形、矩形、多角形等が挙げられる。
陽極部6は、例えば、第一部分2aを上記第1金属の粒子の粉体中に埋め込んだ状態で直方体状に加圧成形し、焼結することにより作製される。これにより、陽極体1の一面から、陽極ワイヤ2の第二部分2bが植立するように引き出される。第二部分2bは、溶接等により、陽極リード端子13と接合されて、陽極ワイヤ2と陽極リード端子13とが電気的に接続する。溶接の方法は特に限定されず、抵抗溶接、レーザー溶接等が挙げられる。
陽極体1の表面には、誘電体層3が形成されている。誘電体層3は、例えば、金属酸化物から構成されている。陽極体1の表面に金属酸化物を含む層を形成する方法として、例えば、化成液中に陽極体1を浸漬して陽極体1の表面を陽極酸化する方法や、陽極体1を、酸素を含む雰囲気下で加熱する方法が挙げられる。誘電体層3は、上記金属酸化物を含む層に限定されず、絶縁性を有していればよい。
(陰極部)
陰極部7は、固体電解質層4と、固体電解質層4を覆う陰極層5とを有している。固体電解質層4は、誘電体層3の少なくとも一部を覆うように形成されている。
固体電解質層4には、例えば、マンガン化合物や導電性高分子が用いられる。導電性高分子としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン、ポリアセチレン、などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。また、導電性高分子は、2種以上のモノマーの共重合体でもよい。導電性に優れる点で、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールであってもよい。特に、撥水性に優れる点で、ポリピロールであってもよい。
上記導電性高分子を含む固体電解質層4は、2層以上の固体電解質層から構成されてもよい。例えば、固体電解質層4は、誘電体層3を覆う第1導電性高分子層と、第1導電性高分子層を覆う第2導電性高分子層を含む。固体電解質層4が2層以上から構成されている場合、各層に用いられる導電性高分子の組成や形成方法(重合方法)等は異なっていてもよい。例えば、第1導電性高分子層を、原料モノマーを誘電体層3上で重合することにより、形成してもよい。あるいは、第2導電性高分子層を、上記導電性高分子を含んだ液を誘電体層3に塗布することにより、形成してもよい。
なお、本明細書では、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリンなどは、それぞれ、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリンなどを基本骨格とする高分子を意味する。したがって、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリンなどには、それぞれの誘導体も含まれ得る。例えば、ポリチオフェンには、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)などが含まれる。
導電性高分子を形成するための重合液、導電性高分子の溶液または分散液には、導電性高分子の導電性を向上させるために、様々なドーパントを添加してもよい。ドーパントは、特に限定されないが、例えば、ナフタレンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸などが挙げられる。
導電性高分子が、粒子の状態で分散媒に分散している場合、その粒子の平均粒径D50は、例えば0.01μm以上、0.5μm以下である。粒子の平均粒径D50がこの範囲であれば、陽極体1の内部にまで粒子が侵入し易くなる。
陰極層5は、例えば、固体電解質層4を覆うように形成されたカーボン層5aと、カーボン層5aの表面に形成された金属ペースト層5bと、を有している。カーボン層5aは、黒鉛等の導電性炭素材料と樹脂を含む。金属ペースト層5bは、例えば、金属粒子(例えば、銀)と樹脂とを含む。なお、陰極層5の構成は、この構成に限定されない。陰極層5の構成は、集電機能を有する構成であればよい。
(塩基性化合物)
固体電解質層4が複数層の導電性高分子層から構成される場合、導電性高分子層間の密着性を向上させるために、導電性高分子層間に塩基性化合物を介在させてもよい。塩基性化合物は、導電性高分子の溶液または分散液に加えてもよい。
塩基性化合物としては、アンモニアなどの無機塩基の他、アミン化合物などの有機塩基が挙げられる。導電性の低下を抑制する効果が高い観点から、塩基性化合物のうち、アミン化合物が好ましい。アミン化合物は、1級アミン、2級アミン、3級アミンのいずれであってもよい。アミン化合物としては、脂肪族アミン、環状アミンなどが挙げられる。塩基性化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。アミン化合物は、必要に応じて、置換基を有していてもよい。導電性高分子層がアミン化合物を含むことは、例えば、ガスクロマグトラフィー(GC)により分析することができる。
<陽極リード端子>
陽極リード端子13は、陽極ワイヤ2の第二部分2bを介して、陽極体1と電気的に接続している。陽極リード端子13の材質は、電気化学的および化学的に安定であり、導電性を有するものであれば特に限定されない。陽極リード端子13は、例えば銅等の金属であってもよいし、非金属であってもよい。その形状は平板状であれば、特に限定されない。陽極リード端子13の厚み(陽極リード端子13の主面間の距離)は、低背化の観点から、25μm以上、200μm以下であってよく、25μm以上、100μm以下であってよい。
陽極リード端子13の一端は、導電性接着材やはんだにより、陽極ワイヤ2に接合されてもよいし、抵抗溶接やレーザ溶接により、陽極ワイヤ2に接合されてもよい。陽極リード端子13の他方の端部は、外装体11の外部へと導出されて、外装体11から露出している。導電性接着材は、例えば後述する熱硬化性樹脂と炭素粒子や金属粒子との混合物である。
<陰極リード端子>
陰極リード端子14は、接合部14aにおいて陰極部7と電気的に接続している。接合部14aは、陰極層5と陰極層5に接合された陰極リード端子14とを、陰極層5の法線方向からみたとき、陰極リード端子14の陰極層5に重複する部分である。
陰極リード端子14は、例えば、導電性接着材8を介して、陰極層5に接合される。陰極リード端子14の一方の端部は、例えば接合部14aの一部を構成しており、外装体11の内部に配置される。陰極リード端子14の他方の端部は、外部へと導出されている。そのため、陰極リード端子14の他方の端部を含む一部は、外装体11から露出している。
陰極リード端子14の材質も、電気化学的および化学的に安定であり、導電性を有するものであれば、特に限定されない。陰極リード端子14は、例えば銅等の金属であってもよいし、非金属であってもよい。その形状も特に限定されず、例えば、長尺かつ平板状である。陰極リード端子14の厚みは、低背化の観点から、25μm以上200μm以下であってもよく、25μm以上100μm以下であってもよい。
<外装体>
外装体11は、陽極リード端子13と陰極リード端子14とを電気的に絶縁するために設けられており、絶縁性の材料(外装体材料)から構成されている。外装体材料は、例えば、熱硬化性樹脂を含む。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、不飽和ポリエステル等が挙げられる。
≪電解コンデンサの製造方法≫
以下に、本実施形態に係る電解コンデンサの製造方法の一例を説明する。
(1)コンデンサ素子の準備工程
先ず、コンデンサ素子を準備する。コンデンサ素子を準備する工程は、例えば、陽極体を準備する工程と、陽極体の少なくとも一部を誘電体層で覆う工程と、誘電体層の少なくとも一部を固体電解質層で覆う工程と、固体電解質層の少なくとも一部をカーボン層で覆う工程と、を含む。コンデンサ素子を準備する工程は、さらに、カーボン層の少なくとも一部を導電性樹脂層で覆う工程を含んでもよい。
(1a)陽極体の準備工程
陽極体1としては、多孔質焼結体を用いることができる。弁作用金属粒子と陽極ワイヤ2とを、第一部分2aが弁作用金属粒子に埋め込まれるように型に入れ、加圧成形した後、焼結することにより、弁作用金属の多孔体である陽極体1を含む陽極部6を得る。陽極ワイヤの第一部分2aは、多孔質焼結体の一面からその内部に埋設されている。加圧成形の際の圧力は特に限定されない。焼結は、減圧下で行なうことが好ましい。弁作用金属粒子には、必要に応じて、ポリアクリルカーボネート等のバインダを混合してもよい。
弁作用金属粒子は、通常、直方体の内部空間を有する型を用いて加圧成形され、焼結される。この場合、焼結後の陽極体1の形状も直方体であり、複数の主面を有している。
(1b)誘電体層の形成工程
次に、陽極体1を化成処理し、陽極体1の少なくとも一部を誘電体層3で覆う。具体的には、電解水溶液(例えば、リン酸水溶液)が満たされた化成槽に、陽極体1を浸漬し、陽極ワイヤ2の第二部分2bを化成槽の陽極体に接続して、陽極酸化を行うことにより、多孔質部分の表面に弁作用金属の酸化被膜からなる誘電体層3を形成することができる。電解水溶液としては、リン酸水溶液に限らず、硝酸、酢酸、硫酸などを用いることができる。
(1c)固体電解質層の形成工程
続いて、誘電体層3の少なくとも一部を固体電解質層4で覆う。これにより、陽極体1、誘電体層3、および固体電解質層4を含むコンデンサ素子10を得る。複数の導電性高分子層を含む固体電解質層4を形成してもよい。
複数の導電性高分子層を含む固体電解質層4を形成する一例として、固体電解質層の形成工程は、第1導電性高分子の原料となる第1モノマーを含む第1溶液を陽極体に含侵させ、誘電体層の表面で前記モノマーを重合させて、誘電体層を覆う第1導電性高分子層を形成する工程(i)と、第1導電性高分子層が形成された陽極体を所定の洗浄条件で洗浄する工程(ii)と、第2導電性高分子を含む溶液または分散液を陽極体に含侵させ、第1導電性高分子層を覆う第2導電性高分子層を形成する工程(iii)と、を有し得る。図3は、本実施形態に係る電解コンデンサの製造方法において、固定電解質層の形成工程の一例を示すフローチャートである。
工程(i)では、モノマーやオリゴマーを含浸させ、その後、化学重合や電解重合によりモノマーやオリゴマーを重合させる方法により、誘電体層3が形成された陽極体1に第1導電性高分子層を形成する。第1導電性高分子には、ドーパントが含まれていてもよい。導電性高分子およびドーパントとしては、それぞれ、固体電解質層4について例示したものから選択すればよい。
第1導電性高分子層を形成する工程(i)では、誘電体層3の上方で第1導電性高分子の原料モノマーを酸化重合(いわゆる「その場重合」)させて、誘電体層3上に第1導電性高分子層を形成する。このため、第1導電性高分子層の表面には、重合反応の不均一や層成長の不均一などに伴う細かい凹凸が生じ得る。
次に、工程(ii)では、第1導電性高分子層が形成された陽極体を所定の洗浄条件で洗浄し、第1導電性高分子層に含まれる未反応のモノマー、ドーパント、および酸化剤などの不要な成分を除去する。洗浄条件は、洗浄後の陽極体を溶媒に浸漬し、溶媒の電気伝導度を測定したときに、測定される電気伝導度が所定の範囲内に収まるように、前述の導電性高分子の評価を予め行っておくことで、製造不良が少なく、且つ高い性能の電解コンデンサが得られる条件に設定されている。
続いて、工程(iii)では、洗浄後の陽極体に対して、第2導電性高分子を含む溶液または分散液を陽極体に含侵させて、第1導電性高分子層の表面を第2導電性高分子層で覆う。第2導電性高分子層は、第1導電性高分子層の表面の凹部に入り込むように形成することで、第1導電性高分子層と第2導電性高分子層との間の密着性を高められる。
工程(iii)では、第2導電性高分子の溶液または分散液を陽極体に含侵させるのに先立って、塩基性化合物を含む溶液または溶媒を陽極体に含侵させてもよい。その後、乾燥により溶媒を除去し、第1導電性高分子層の表面に塩基性化合物を付着させる。溶媒は、例えば、水である。これにより、第1導電性高分子層内の第1導電性高分子にドープされたアニオン性の第1ドーパントと、第2導電性高分子層内の第2導電性高分子にドープされるアニオン性の第2ドーパントとの静電的反発が抑制され、第1導電性高分子層と第2導電性高分子層との密着性が高められる。塩基性化合物は、第1導電性高分子層の表面の凹凸に沿ってプレコートされる。
続いて、第1導電性高分子層が塩基性化合物でプレコートされた陽極体1を、第2導電性高分子の溶液または分散液に浸漬し、取り出して、減圧処理後または減圧処理と同時に乾燥させる。これにより、第2導電性高分子層が第1導電性高分子層の少なくとも一部に形成される。分散液には、バインダ、および/または導電性の無機粒子(例えば、カーボンブラックなどの導電性炭素材料)が含まれていてもよい。
工程(iii)に続いて、第3導電性高分子を含む溶液または分散液を陽極体に含侵させ、第2導電性高分子層を覆う第3導電性高分子層を形成してもよい。
第2導電性高分子には、ドーパントが含まれていてもよい。導電性高分子およびドーパントとしては、それぞれ、固体電解質層4について例示したものから選択すればよい。バインダは、公知のものを利用できる。分散液は、固体電解質層を形成する際に使用される公知の添加剤を含んでもよい。
(1d)カーボン層および導電性樹脂層の形成工程
続いて、固体電解質層4の表面に、カーボンペーストおよび金属ペーストを順次、塗布することにより、カーボン層5aと金属ペースト層5bとで構成される陰極層5を形成する。陰極層5の構成は、これに限られず、集電機能を有する構成であればよい。
(2)コンデンサ素子とリード端子との電気的接続工程
次に、陽極リード端子13と陰極リード端子14とを準備する。陽極体1から植立する陽極ワイヤ2の第二部分2bを、レーザ溶接や抵抗溶接などにより、陽極リード端子13と接合する。また、陰極層5に導電性接着材8を塗布した後、陰極リード端子14を、導電性接着材8を介して陰極部7に接合する。
続いて、コンデンサ素子10および外装体11の材料(例えば、未硬化の熱硬化性樹脂およびフィラー)を金型に収容し、トランスファー成型法、圧縮成型法等により、コンデンサ素子10を封止する。このとき、陽極リード端子13および陰極リード端子14の一部を金型から露出させる。成型の条件は特に限定されず、使用される熱硬化性樹脂の硬化温度等を考慮して、適宜、時間および温度条件を設定すればよい。
最後に、陽極リード端子13および陰極リード端子14の露出部分を、外装体11に沿って折り曲げ、屈曲部を形成する。これにより、陽極リード端子13および陰極リード端子14の一部が外装体11の搭載面に配置される。
以上の方法により、電解コンデンサ20が製造される。
[実施例]
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
下記の要領で電解コンデンサを作製した。
(陽極体の形成)
弁作用金属としてタンタル金属粒子を用いた。タンタル金属からなる陽極ワイヤの一端がタンタル金属粒子に埋め込まれるように、タンタル金属粒子を直方体に成形し、その後、成形体を真空中で焼結した。これにより、タンタルの多孔質焼結体からなる陽極体と、陽極体に一端が埋設され、残りの部分が陽極体の一面から植立した陽極ワイヤと、を含む陽極部を得た。焼結後の陽極体のサイズは約1.0mm×2.3mm×1.7mmの略直方体であり、表面積Aは約16mmである。陽極ワイヤは、1.0mm×1.7mmの面から植立する。
続いて、電解水溶液であるリン酸水溶液が満たされた化成槽に、陽極体および陽極体から植立した陽極ワイヤの一部を浸漬し、陽極ワイヤの他端を化成槽の陽極体に接続した。そして、陽極酸化を行うことにより、陽極体の表面(孔の内壁面を含む多孔質焼結体の表面)および陽極ワイヤの一部の表面に、酸化タンタル(Ta)の均一な誘電体層を形成した。
次に、第1導電性高分子の原料である3,4-エチレンジオキシチオフェンと、p-トルエンスルホン酸鉄(III)と、1-ブタノ-ルとを混合し、第1モノマーを含む分散液(反応液)を調製した。分散液に陽極体を浸漬した後、陽極体を分散液から引き上げ、大気中で熱処理を行った。この場合、p-トルエンスルホン酸鉄(III)は、酸化剤として機能する。このようにして、誘電体層上にて第1モノマーを重合反応させ、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)を含む固体電解質層を、第1導電性高分子層として形成した。
続いて、第1導電性高分子層が形成された陽極体を、洗浄液にて、所定期間洗浄した。
次に、第2導電性高分子としてのポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)と、p-トルエンスルホン酸塩とを混合し、第2分散液を調製した。第2分散液に陽極体を浸漬した後、陽極体を第2分散液から引き上げ、第2分散液を陽極体に含侵させた。その後、大気圧下で、80℃で20分の乾燥処理を行い、第2導電性高分子層を形成し、陽極体を得た。陽極体の質量は、23個の陽極体を合計した総質量が0.6gであり、このうち固体電解質層(第1導電性高分子層)が占める総質量は0.1gである。
本実施例では、第1導電性高分子層が形成された陽極体を洗浄するときの洗浄時間を表1に示す通り異ならせて、複数の陽極体A1~A4を作製した。また、第1導電性高分子層が形成された陽極体を洗浄することなく第2導電性高分子層を形成し、陽極体B1を作製した。
陽極体A1~A4およびB1のそれぞれについて、第2導電性高分子層を形成する前の洗浄後の23個の陽極体を純水110gに浸漬し、浸漬後の電気伝導度の時間変化を測定した。図4に、陽極体A1~A4およびB1のそれぞれについて、電気伝導度の時間変化を示す。図4より、電気伝導度は、浸漬時間の経過とともに上昇するが、概ね4時間程度の浸漬で、電気伝導度の時間変化が2時間あたり5μS/cm以下となり、一定の値に漸近している。
陽極体A1~A4を用いて、固体電解質層の表面の所定の領域に、カーボンペーストおよび金属ペーストを順次、塗布することにより、カーボン層および銀ペースト層からなる陰極層を形成し、コンデンサ素子C1~C4を作製した。同様にして、陽極体B1に陰極層を形成し、コンデンサ素子C5を作製した。
コンデンサ素子C1~C5について、それぞれ複数サンプルを作製し、第2導電性高分子層の形成後、カーボン層の形成後、銀ペースト層の形成後のそれぞれにおいて、導電性高分子層に膨れが発生しているかを目視で確認した。サンプル数Nに対して、膨れが発生したサンプルの個数pを求め、(p/N)×100を膨れ発生率(%)として評価した。評価結果を表1に示す。表1には、コンデンサ素子C1~C5のサンプル数N、および、第1導電性高分子層の洗浄工程における洗浄時間が併せて示されている。
表1より、第1導電性高分子層の洗浄工程を設けたコンデンサ素子C1~C4では、洗浄工程を設けていないコンデンサ素子C5と比較して、第1導電性高分子層と第2導電性高分子層との密着性が高められており、結果、導電性高分子層の膨れの発生が顕著に抑制されていることが分かる。
図4より、コンデンサ素子C1~C4に用いられた陽極体A1~A4の電気伝導度は0.07mS/cm以下(70μS/cm以下)であり、測定される陽極体の電気伝導度が70μS/cm以下であれば、導電性高分子層間の密着性が高められており、膨れの発生が抑制される。サイズが陽極体A1~A4と異なる陽極体を用いる場合には、純水の質量に対する、陽極体に含まれる導電性高分子の総質量の比率を同じにして、電気伝導度を測定すればよい。この場合にも、測定される陽極体の電気伝導度が70μS/cm以下であれば、その陽極体を用いて製造されたコンデンサ素子は、導電性高分子層間の密着性が高められており、膨れの発生が抑制されると推測される。
純水の質量に対する、陽極体に含まれる導電性高分子層の含有量の比率は、本実施例において、純水110gに対して導電性高分子層0.1gであるが、これに限られず、純水1kgに対して0.5g~2gの比率の範囲にあればよい。
Figure 2023095573000002
本発明は、電解コンデンサに利用可能であり、好適には、多孔体を陽極体に用いる電解コンデンサに利用することができる。
20:電解コンデンサ
10:コンデンサ素子
1:陽極体
2:陽極ワイヤ
2a:第一部分
2b:第二部分
3:誘電体層
4:固体電解質層
5:陰極層
5a:カーボン層
5b:金属ペースト層
6:陽極部
7:陰極部
8:導電性接着材
11:外装体
13:陽極リード端子
14:陰極リード端子
14a:接合部

Claims (10)

  1. 多孔質の陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極層と、を備える電解コンデンサの製造方法であって、
    前記誘電体層が形成された前記陽極体の表面に導電性高分子を含む前記固体電解質層を形成する工程を有し、
    前記固体電解質層の形成工程は、
    第1導電性高分子層を形成する工程と、
    前記第1導電性高分子層が形成された前記陽極体を所定の洗浄条件で洗浄する洗浄工程と、を含み、
    前記洗浄条件は、洗浄後の前記陽極体を溶媒に浸漬し、前記溶媒の電気伝導度を測定したときに、測定される前記電気伝導度が所定の範囲内に収まるように決定される、電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記第1導電性高分子層は、第1モノマーの重合により形成される、請求項1に記載の電解コンデンサの製造方法。
  3. 前記第1導電性高分子層は、前記第1モノマーの化学重合により形成される、請求項2に記載の電解コンデンサの製造方法。
  4. 前記第1導電性高分子層は、前記誘電体層を覆うように形成される、請求項2または3に記載の電解コンデンサの製造方法。
  5. 前記第1導電性高分子層の形成後に、第2導電性高分子を含む溶液または分散液を前記陽極体に含侵させ、前記第1導電性高分子層を覆う第2導電性高分子層を形成する工程をさらに有する、請求項2~4のいずれか1項に記載の電解コンデンサの製造方法。
  6. 多孔質の陽極体と、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極層と、を備える電解コンデンサの製造において、前記固体電解質層を構成する導電性高分子層を評価する方法であって、
    前記導電性高分子層が形成された前記陽極体を洗浄する洗浄工程と、
    洗浄後の前記陽極体を溶媒に浸漬し、前記溶媒の電気伝導度を測定する工程と、を有する、導電性高分子層の評価方法。
  7. 前記洗浄工程において陽極体を洗浄するときに、測定される前記電気伝導度が所定の範囲内に収まるときの洗浄条件を決定する工程をさらに有する、請求項6に記載の導電性高分子層の評価方法。
  8. 前記洗浄条件は、洗浄後の前記陽極体を、前記陽極体が有する前記導電性高分子層の総質量が純水1kgに対して0.5g~2gの範囲となるような比率で、前記純水に浸漬し、2時間あたりの電気伝導度の変化が5μS/cm以下になったときの電気伝導度が70μS/cm以下となるように決定される、請求項7に記載の導電性高分子層の評価方法。
  9. 前記洗浄条件は、0.1gの前記導電性高分子層を総質量で有する洗浄後の前記陽極体を110gの純水に4時間浸漬した場合に、浸漬後の電気伝導度が70μS/cm以下となるように決定される、請求項7に記載の導電性高分子層の評価方法。
  10. 浸漬される前記陽極体の表面積は、100~2000mmの範囲にある、請求項9に記載の導電性高分子層の評価方法。
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