JP6603882B2 - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性高分子を含む固体電解質層を有する電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化および軽量化に伴って、小型かつ大容量の高周波用コンデンサが求められている。このようなコンデンサとして、等価直列抵抗(ESR)が小さく、周波数特性に優れている電解コンデンサの開発が進められている。電解コンデンサは、タンタル、ニオブ、チタン、アルミニウムなどの弁作用金属を含む陽極体と、陽極体上に形成された誘電体層と、陰極体とを含む。中でも、誘電体層上に陰極部材として導電性高分子を含む固体電解質層が形成された電解コンデンサは、固体電解コンデンサとも呼ばれている。
固体電解質層は、導電性高分子に加え、導電性高分子以外の高分子を含む場合がある。特許文献1では、誘電体層との密着性を付与するため、固体電解質層にポリビニルアルコールなどの結合剤を添加することが提案されている。
特開2001−102255号公報
しかし、ポリビニルアルコールを固体電解質層に添加しても、固体電解質層に割れが生じ易いため、漏れ電流の抑制効果が小さく、耐電圧の向上効果が不十分になる。また、固体電解質層の膜質が低下し、十分な導電率を得ることができず、ESRを十分に低減できない。
そこで、本発明は、固体電解質層を有する電解コンデンサにおいて、耐電圧を向上し、且つESRを低減することを目的とする。
本発明の一局面は、陽極体と、前記陽極体上に形成された誘電体層と、前記誘導体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、を備え、前記固体電解質層は、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う第1導電性高分子層と、前記第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆う第2導電性高分子層とを含み、前記第1導電性高分子層は、第1導電性高分子を含み、前記第2導電性高分子層は、第2導電性高分子と、水溶性高分子とを含み、前記水溶性高分子は、親水性基を有する親水性モノマーユニットを含む共重合体であり、前記親水性基は、カルボキシル基、酸無水物基、フェノール性ヒドロキシル基、およびC2-3アルキレンオキサイド基よりなる群から選択される少なくとも一種である、電解コンデンサに関する。
本発明の他の一局面は、陽極体を準備する第1工程と、前記陽極体上に誘電体層を形成する第2工程と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を形成する第3工程と、を含み、前記第3工程は、第1導電性高分子または第1導電性高分子の原料を含む第1処理液により、前記第1導電性高分子を含み、かつ前記誘電体層の少なくとも一部を覆う第1導電性高分子層を形成する工程Aと、前記工程Aの後、第2導電性高分子または第2導電性高分子の原料と、水溶性高分子または水溶性高分子の原料とを含む第2処理液により、前記第2導電性高分子および前記水溶性高分子を含み、かつ前記第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆う第2導電性高分子層を形成する工程Bと、を含み、前記水溶性高分子は、親水性基を有する親水性モノマーユニットを含む共重合体であり、前記親水性基は、カルボキシル基、酸無水物基、フェノール性ヒドロキシル基、およびC2-3アルキレンオキサイド基よりなる群から選択される少なくとも一種である、電解コンデンサの製造方法に関する。
本発明によれば、高い耐電圧を有し、且つESRを低減した電解コンデンサを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの断面模式図である。 図1の実線αで囲まれた領域の拡大図である。
以下に、図面を適宜参照しながら、本発明の電解コンデンサおよび電解コンデンサの製造方法の実施形態について説明する。
(電解コンデンサ)
本発明の一実施形態に係る電解コンデンサは、陽極体と、陽極体上に形成された誘電体層と、誘導体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、を備える。固体電解質層は、誘電体層の少なくとも一部を覆う第1導電性高分子層と、第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆う第2導電性高分子層とを含む。第1導電性高分子層は、第1導電性高分子を含み、第2導電性高分子層は、第2導電性高分子と、水溶性高分子とを含み、水溶性高分子は、親水性基を有する親水性モノマーユニットを含む共重合体である。親水性モノマーユニットが有する親水性基は、カルボキシル基、酸無水物基、フェノール性ヒドロキシル基、およびC2-3アルキレンオキサイド基よりなる群から選択される少なくとも一種である。
このような水溶性高分子は共重合体であるため、単独重合体に比べて、ポリマー鎖の三次元的なネットワークが形成され易い。また、水溶性高分子は、上記の親水性基を含むため、ポリビニルアルコールなどと比べて、第2導電性高分子に対する親和性が高い。これらの点から、第2導電性高分子層におけるひび割れの形成を抑制して、膜質を緻密化することができるため、高い補強効果が得られる。固体電解質層において、外部からの応力が加わり易い、より表層側に位置する第2導電性高分子層を緻密化できるため、固体電解質層全体の強度を高めることができる。固体電解質層の強度が高いことにより、漏れ電流を抑制することができ、高い耐電圧を確保することができる。また、このような固体電解質層は、導電率を高めることができ、ESRを低減することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの断面模式図である。図2は、図1の実線αで囲まれた領域の拡大図である。
電解コンデンサ1は、コンデンサ素子11と、コンデンサ素子11を封止する樹脂外装体12と、樹脂外装体12の外部にそれぞれ露出する陽極端子13および陰極端子14と、を備えている。コンデンサ素子11は、箔状または板状の陽極体2(または陽極部)と、陽極体2の一端部側を覆う誘電体層3と、誘電体層3を覆う陰極部(または陰極部材)15とを含む。陽極端子13は、陽極体2と電気的に接続し、陰極端子14は、陰極部15と電気的に接続している。樹脂外装体12はほぼ直方体の外形を有しており、これにより、電解コンデンサ1もほぼ直方体の外形を有している。
陽極体2と陰極部15とは、誘電体層3を介して対向している。陰極部15は、誘電体層3を覆う固体電解質層4と、固体電解質層4を覆う陰極層5とを有している。図示例の陰極層5は、2層構造であり、固体電解質層4と接触するカーボン層5aと、カーボン層5aの表面を覆う銀ペースト層5bと、を有している。
陰極部15から突出した陽極体2の他端部のうち、陰極部15側の領域には、陽極体2の表面を帯状に覆うように絶縁性の分離部16が形成され、陰極部15と陽極体2との接触が規制されている。陰極部15から突出した陽極体2の他端部は、陽極端子13の第1端部13aと、溶接などにより電気的に接続されている。一方、陰極部15の最外層に形成された陰極層5は、陰極端子14の第1端部14aと、導電性接着17(例えば熱硬化性樹脂と金属粒子との混合物)を介して、電気的に接続されている。陽極端子13の第2端部13bおよび陰極端子14の第2端部14bは、それぞれ樹脂外装体12の異なる側面から引き出され、一方の主要平坦面(図1では下面)まで露出状態で延在している。この平坦面における各端子の露出箇所は、電解コンデンサ1を搭載すべき基板(図示せず)との半田接続などに用いられる。
誘電体層3は、多孔質体である陽極体2を構成する導電性材料の表面の一部に形成されている。具体的には、誘電体層3は、陽極体2を構成する導電性材料の表面を陽極酸化することにより形成することができる。従って、誘電体層3は、図2に示すように、陽極体2を構成する多孔質体の表面(細孔の内壁面を含む)に沿って形成されている。
誘電体層3を覆うように形成される固体電解質層4は、誘電体層3を覆う第1導電性高分子層4aと、第1導電性高分子層4aを覆う第2導電性高分子層4bと、を有する。第1導電性高分子層4aは、必ずしも誘電体層3の全体(表面全体)を覆う必要はなく、誘電体層3の少なくとも一部を覆うように形成されていればよいが、できるだけ多くの領域を覆うように形成することが望ましい。同様に、第2導電性高分子層4bは、必ずしも第1導電性高分子層4aの全体(表面全体)を覆う必要はなく、第1導電性高分子層4aの少なくとも一部を覆うように形成されていればよいが、できるだけ多くの領域を覆うように形成することが望ましい。本発明の一実施形態によれば、第2導電性高分子層4bが第2導電性高分子とともに、上記のような水溶性高分子を含むことで、第2導電性高分子層4bのひび割れが抑制されるため、高い補強効果が得られる。
誘電体層3は、陽極体2を構成する多孔質体の表面に沿って形成されるため、誘電体層3の表面には、陽極体2の表面の形状に応じて、凹凸が形成されている。第1導電性高分子層4aは、このような誘電体層3の凹凸を埋没するように形成することが好ましい。
以上の構成において、陽極体2は、コンデンサ素子11の陽極部材であり、固体電解質層4および陰極層5は、コンデンサ素子11の陰極部材である。誘電体層3は、コンデンサ素子11の誘電体部材である。
以下に、電解コンデンサの構成について、より詳細に説明する。
(陽極体)
陽極体としては、導電性を有する多孔質体が使用できる。
多孔質体を形成する導電性材料としては、弁作用金属、弁作用金属を含む合金、および弁作用金属を含む化合物などが例示できる。これらの材料は一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。弁作用金属としては、例えば、チタン、タンタル、アルミニウム、および/またはニオブが好ましく使用される。これらの金属は、その酸化物も含め、誘電率が高いため、陽極体の構成材料として適している。
弁作用金属を含む合金としては、例えば、2種類以上の弁作用金属を含む合金、弁作用金属と典型元素(ケイ素、ホウ素など)との合金などが挙げられる。合金は、弁作用金属を主成分とするものが好ましく、合金に占める弁作用金属の比率は、50原子%以上であることが好ましい。弁作用金属を含む化合物としては、例えば、弁作用金属と典型元素(窒素など)とを含む化合物が挙げられる。
多孔質体としては、例えば、導電性材料で形成された基材(箔状または板状の基材など)の表面を粗面化したもの、および導電性材料の粒子を所定形状(板状など)に成形した成形体を焼結した焼結体(または結合体)などが挙げられる。焼結体を多孔質体として用いる場合、必要に応じて、陽極リードの一端部を一体化させた状態の焼結体を形成し、他端部を陽極端子と電気的に接続させてもよい。陽極リードの材料としては、公知のものが使用でき、多孔質体について例示したものから適宜選択してもよい。
(誘電体層)
誘電体層は、陽極体表面(多孔質体の細孔の内壁面を含む表面)の導電性材料を、化成処理などにより陽極酸化することで形成されるため、導電性材料(特に、弁作用金属)の酸化物を含む。例えば、弁作用金属としてタンタルを用いた場合の誘電体層はTa25を含み、弁作用金属としてアルミニウムを用いた場合の誘電体層はAl23を含む。尚、誘電体層はこれに限らず、誘電体として機能するものであれば良い。
(固体電解質層)
固体電解質層は、誘電体層の少なくとも一部を覆う第1導電性高分子層と、第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆う第2導電性高分子層とを含む。第2導電性高分子層は、第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆うように形成されていればよく、第1導電性高分子層の表面全体を覆うように形成されていてもよい。また、誘電体層の表面に第1導電性高分子層が形成されていない領域では、第2導電性高分子層が誘電体層と接触していてもよい(つまり、第2導電性高分子層が誘電体層を覆うように形成されていてもよい)。
(第1導電性高分子層)
第1導電性高分子層は、第1導電性高分子を含む。第1導電性高分子層は、さらにドーパントを含んでもよい。
(第1導電性高分子)
第1導電性高分子としては、電解コンデンサに使用される公知のもの、例えば、π共役系導電性高分子などが使用できる。このような導電性高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、および/またはポリチオフェンビニレンなどを基本骨格とする高分子が挙げられる。
このような高分子には、単独重合体、二種以上のモノマーの共重合体、およびこれらの誘導体(置換基を有する置換体など)も含まれる。例えば、ポリチオフェンには、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)などが含まれる。このような導電性高分子は、導電性が高く、ESR特性に優れている。
導電性高分子は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
導電性高分子の重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば1000〜1,000,000である。
(ドーパント)
第1導電性高分子層は、さらにドーパントを含むことができる。ドーパントは、第1導電性高分子にドープされた状態で第1導電性高分子層に含まれていてもよい。また、ドーパントは、第1導電性高分子と結合した状態で第1導電性高分子層に含まれていてもよい。
ドーパントとしては、例えば、酸性基(またはアニオン性基)を有する低分子化合物(低分子系ドーパントとも言う)または高分子化合物(高分子系ドーパントとも言う)が使用される。高分子系ドーパントを用いると、より均質な第1導電性高分子層を形成することができる。ドーパントは、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。
低分子系ドーパントとしては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、および/またはホスホン酸基などのアニオン性基を有する化合物(低分子化合物(モノマー化合物))を用いることができる。このような化合物としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、およびアントラセンなどの芳香環(C6-14芳香環など)、または芳香環(C6-14芳香環など)と脂肪族環との縮合環に、アニオン性基が結合した環状化合物を用いることができる。アニオン性基としては、スルホン酸基が好ましく、スルホン酸基とスルホン酸基以外のアニオン性基との組み合わせでもよい。環状化合物を構成する芳香環および/または脂肪族環は、アニオン性基以外の置換基(例えば、メチル基などのアルキル基、オキソ基(=O)など)を有していてもよい。このような化合物の具体例としては、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのアルキルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、およびアントラキノンスルホン酸などが挙げられる。
高分子系ドーパントとしては、例えば、スルホン酸基、リン酸基、および/またはホスホン酸基などのアニオン性基を有する高分子化合物を用いることができる。アニオン性基のうち、スルホン酸基が好ましい。スルホン酸基を有する高分子系ドーパントとしては、スルホン酸基を有するモノマー(例えば、スルホン酸基を有するビニルモノマー、イソプレンスルホン酸などのスルホン酸基を有するジエンモノマー)の単独重合体または共重合体が例示できる。スルホン酸基を有するビニルモノマーとしては、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのスルホン酸基を有する脂肪族ビニルモノマー、およびスチレンスルホン酸などのスルホン酸基を有する芳香族ビニルモノマーなどが例示できる。これらのビニルモノマーは、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。共重合体は、二種類以上のスルホン酸基を有するモノマーを用いた共重合体であってもよく、スルホン酸基を有するモノマーと他のモノマーとの共重合体であってもよい。高分子系ドーパントには、ポリエステルスルホン酸、および/またはフェノールスルホン酸ノボラック樹脂なども含まれる。
高分子系ドーパントの重量平均分子量は、例えば、1,000〜1,000,000であり、好ましくは10,000〜500,000である。このような分子量を有する高分子系ドーパントを用いると、第1導電性高分子層をさらに均質化し易い。スルホン酸基を有するモノマーの単独重合体および共重合体では、重量平均分子量は、10,000〜500,000であることがより好ましい。ポリエステルスルホン酸およびフェノールスルホン酸ノボラック樹脂では、重量平均分子量は、5,000〜80,000であることがより好ましい。
第1導電性高分子層に含まれるドーパントの量は、第1導電性高分子100質量部に対して、10〜1000質量部であることが好ましく、50〜200質量部であることがさらに好ましい。
陽極体は、通常、多孔質体であるため、外表面だけでなく、内側にも誘電体層が形成される。このような内側に形成された誘電体層上にも第1導電性高分子層を形成して、第1導電性高分子層による被覆率を高めることが好ましい。第1導電性高分子層による被覆率を高める観点から、第1導電性高分子層は、第2導電性高分子層に含まれるような水溶性高分子を含まないか、または、含む場合であっても、水溶性高分子の含有量はできるだけ少ないことが好ましい。第1導電性高分子層が水溶性高分子を含む場合、第1導電性高分子層における水溶性高分子の含有量は、例えば、第2導電性高分子層に含まれる水溶性高分子の含有量より少ないことが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
(第2導電性高分子層)
第2導電性高分子層は、第2導電性高分子と、水溶性高分子とを含む。第2導電性高分子層が、水溶性高分子を含むことで、第2導電性高分子層の強度(ひいては、固体電解質層の強度)を高めることができ、耐電圧を向上でき、更に固体電解質層の導電率を高めることができ、ESRを低減できる。
(第2導電性高分子)
第2導電性高分子としては、電解コンデンサに使用される公知のものが使用でき、具体的には、第1導電性高分子について例示した導電性高分子から適宜選択することができる。第2導電性高分子の重量平均分子量も、第1導電性高分子について例示した範囲から適宜選択できる。第1導電性高分子と、第2導電性高分子とは、同じものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。
第2導電性高分子層は、さらにドーパントを含むことができる。ドーパントとしては、電解コンデンサで使用される公知のものが使用でき、具体的には、第1導電性高分子層について例示したものから適宜選択することができる。ドーパントは、第1導電性高分子層と、第2導電性高分子層とで、同じものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。ドーパントは、第2導電性高分子にドープされた状態で第2導電性高分子層に含まれていてもよい。また、ドーパントは、第2導電性高分子と結合した状態で第2導電性高分子層に含まれていてもよい。
第2導電性高分子層に含まれるドーパントの量は、第2導電性高分子100質量部に対して、10〜1000質量部であることが好ましく、50〜200質量部であることがさらに好ましい。
(水溶性高分子)
水溶性高分子は、親水性基を有する親水性モノマーユニットを含む共重合体である。親水性基は、カルボキシル基、酸無水物基、フェノール性ヒドロキシル基、およびC2-3アルキレンオキサイド基よりなる群から選択される少なくとも一種である。なお、C2-3アルキレンオキサイド基は、鎖状である。
親水性モノマーユニットに対応する親水性モノマーは、上記の親水性基と、重合性基または重合性部位とを含む。親水性モノマーは、親水性基と、重合性基とが直接連結したものであってもよく、親水性基と、重合性基と、これらを連結する連結基とを有するものであってもよい。親水性モノマーは、脂肪族、脂環族、および芳香族のいずれであってもよい。芳香族親水性モノマーユニットを含む水溶性高分子を用いる場合、芳香環の存在により、導電性高分子との親和性が高まるため、導電性高分子層の成膜性を高めることが期待できる。
1つの親水性モノマー(または親水性モノマーユニット)における親水性基の個数は特に制限されず、1つであってもよく、複数であってもよい。親水性モノマー(または親水性モノマーユニット)が複数の親水性基を有する場合、親水性基の種類は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
共重合体に含まれる親水性モノマーユニット(またはこれに対応する親水性モノマー)は、一種類であってもよく、二種類以上であってもよい。例えば、共重合体に含まれる親水性モノマーユニットのうち、少なくとも一部(または全部)が、(a)親水性基として、カルボキシル基、酸無水物基および/またはフェノール性ヒドロキシル基を有する親水性モノマーユニット(第1親水性モノマーユニット)を含む場合、および(b)親水性基として、C2-3アルキレンオキサイド基を有する親水性モノマーユニット(第2親水性モノマーユニット)を含む場合が好ましい。親水性モノマーユニットとして、第1親水性モノマーユニットと、第2親水性モノマーユニットとを含む共重合体も好ましい。
共重合体が第1親水性モノマーユニットおよび/または第2親水性モノマーユニットを含む場合、共重合体に含まれる第1親水性モノマーユニットおよび第2親水性モノマーユニットのそれぞれは、一種類であってもよく、二種類以上であってもよい。
なお、本明細書中、親水性基のうち、カルボキシル基、酸無水物基および/またはフェノール性ヒドロキシル基を第1親水性基と称し、C2-3アルキレンオキサイド基を第2親水性基と称する場合がある。
親水性モノマーの重合性基または重合性部位としては、ビニル基、エーテル環(エチレンオキサイド環、オキセタン環など)などが例示できる。ビニル基およびエーテル環は、それぞれ、置換基(アルキル基、ハロゲン原子など)を有していてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基などのC1-4アルキル基(特にC1-2アルキル基)が好ましい。
連結基としては、アルキリデン基、アルキレン基(エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基などのC2-10アルキレン基など)、シクロヘキサンジイル基などのシクロアルキレン基(C5-8シクロアルキレン基など)、またはアリーレン基(フェニレン基およびナフチレン基などのC6-10アリーレン基など)などが例示できる。シクロアルキレン基およびアリーレン基は、それぞれ、置換基(アルキル基、Cl、Brなどのハロゲン原子など)を有していてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基などのC1-4アルキル基(特にC1-2アルキル基)が好ましい。
第1親水性モノマーユニットに対応する親水性モノマー(第1親水性モノマー)としては、第1親水性基とともに、重合性基としてビニル基を有するビニルモノマーが好ましい。
第1親水性モノマーのうち、カルボキシル基および/または酸無水物基を有する親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、2−エチル−2−プロペン酸などの2−アルキル−2−プロペン酸、マレイン酸、フマル酸などの重合性不飽和ポリカルボン酸またはその無水物(無水マレイン酸など)、4−カルボキシスチレンなどのカルボキシル基を有する芳香族ビニル化合物が例示できる。これらのうち、アクリル酸、2−C1-4アルキル−2−プロペン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、およびフマル酸よりなる群から選択される少なくとも一種が好ましく、アクリル酸および2−C1-2アルキル−2−プロペン酸よりなる群から選択される少なくとも一種がさらに好ましい。
第1親水性モノマーのうち、フェノール性ヒドロキシル基を有する親水性モノマーとしては、ヒドロキシ−ビニルC6-10アレーン、例えば、ビニルフェノール(4−ビニルフェノール、および1−メチル−4−ビニルフェノールなど)、1,4−ジヒドロキシ−3−ビニルベンゼンなどが例示できる。これらのうち、ビニルフェノールが好ましい。ヒドロキシビニルC6-10アレーンは、C6-10アレーン環に、置換基、例えば、アルキル基(メチル基、およびエチル基などのC1-4アルキル基など)、ハロゲン原子などを有していても
よい。
第2親水性基であるC2-3アルキレンオキサイド基としては、エチレンオキサイド基(−CH2CH2O−)、プロピレンオキサイド基(−CH2CH(CH3)O−または−CH(CH3)CH2O−)、およびトリメチレンオキサイド基(−CH2CH2CH2O−)などが例示できる。第2親水性モノマーユニットは、具体的には、C2-3アルキレンオキサイド基に対応するC2-3アルキレンオキサイドユニットである。第2親水性モノマーユニットのうち、第2親水性基としてエチレンオキサイド基を有するユニット、つまり、エチレンオキサイドユニットが好ましい。
第2親水性モノマーユニットに対応する親水性モノマー(第2親水性モノマー)としては、第2親水性基を有するビニルモノマーを用いることもできるが、第2親水性基に対応する環状エーテル(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、およびオキセタンなど)、および/または第2親水性基に対応するグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、およびトリメチレングリコールなどのC2-3アルキレングリコールなど)
が好ましい。
共重合体において、第2親水性モノマーユニットは、ランダムに存在していてもよく、第2親水性モノマーユニットが複数連結したセグメント(具体的には、ポリC2-3アルキレンオキサイドセグメント)を形成していてもよい。ポリC2-3アルキレンオキサイドセグメントにおけるC2-3アルキレンオキサイドユニットの繰り返し数の平均(平均重合度)は、例えば、5〜100、好ましくは10〜50である。共重合体がこのようなセグメントを含む場合、第2親水性モノマーユニットがランダムに存在する場合に比べて、共重合体の水溶性を高め易い。
上記のような親水性モノマーユニットを含む共重合体では、親水性モノマーユニットは、ポリマー鎖中にランダムに配列し易いため、ポリマー鎖が三次元的に成長する。第2親水性モノマーユニットを含むセグメントを含む場合にも、ユニットの繰り返し数が比較的少ないため、ポリマー鎖の三次元的な構造を確保し易い。共重合体が三次元的なネットワークを有することで、ひび割れが生じにくく、緻密な第2導電性高分子層を得ることができる。特に第1親水性モノマーユニットは、ランダムに連結し易いため、ランダム共重合体が得られ易い。このようなランダム共重合体を用いることで、第2導電性高分子層の強度をさらに高めることができる。
共重合体は、二種類以上の親水性モノマーユニットを含む共重合体であってもよく、一種類または二種類以上の親水性モノマーユニットと、他のモノマーユニット(第3モノマーユニット)とを含む共重合体であってもよい。異なる第1親水性モノマーユニットを二種以上(例えば、二種または三種)含む共重合体も好ましい。共重合体が二種以上の第1親水性モノマーユニットを含む場合にも、共重合体において、各第1親水性モノマーユニットはランダムに存在することが好ましい。
共重合体に占める親水性モノマーユニットの比率は、例えば、30mol%以上、好ましくは40mol%以上または50mol%以上であり、65mol%以上であってもよい。共重合体に占める親水性モノマーユニットの比率は、100mol%以下であり、第3モノマーユニットを含む共重合体では、例えば、95mol%以下または90mol%以下であってもよい。これらの下限値と上限値とは任意に組み合わせることができる。共重合体に示す親水性モノマーユニットの比率は、例えば、30〜100mol%、40〜100mol%、または50〜100mol%であってもよい。
共重合体が二種以上の第1親水性モノマーユニットを含む場合、一種の第1親水性モノマーユニットが共重合体に占める割合を20〜80モル%とし、残りを、他の一種以上の第1親水性モノマーユニットで構成することが好ましい。例えば、共重合体に占めるアクリル酸ユニットの割合を20〜80モル%とし、残りを、アクリル酸ユニットを除く一種以上の第1親水性モノマーユニット(カルボキシル基および/または酸無水物基を有する親水性モノマーユニットなど)で構成してもよい。
第3モノマーユニットおよび/または第3モノマーユニットに対応するモノマー(第3モノマー)は、疎水性および親水性のいずれであってもよい。水溶性高分子の水溶性(または親水性)は、親水性モノマーユニットの種類、第3モノマーユニットの種類、および/または共重合体におけるモノマーユニットの比率などを調節することにより制御できる。
第3モノマーとしては、エステル基を有するビニルモノマー((メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニルなど)、シアン化ビニルモノマー(アクリロニトリルなど)、および芳香族ビニルモノマー(スチレン、ビニルトルエンなどのビニルC6-10アレーンなど)などが例示できる。共重合体は、第3モノマーユニットとして、ビニルアルコールユニットを含んでもよい。共重合体がビニルアルコールユニットを含む場合でも、上記の親水性モノマーユニットを含むことで、ポリビニルアルコールの場合とは異なり、固体電解質層において高い補強効果を得ることができる。第3モノマーユニットとしてビニルアルコールユニットを用いる場合において、共重合体に占めるビニルアルコールユニットの比率は10mol%以下が好ましい。これにより、共重合体がビニルアルコールユニットを含む場合であっても、固体電解質層の導電率の低下を抑制できる。なお、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルを、(メタ)アクリル酸エステルと総称する。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸アルキル((メタ)アクリル酸C1-4アルキルなど)
;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル((メタ)アクリル酸ヒドロキシC1-4
アルキルなど)などが例示できる。
共重合体は、一種類の第3モノマーユニットを含んでもよく、二種類以上の第3モノマーユニットを含んでもよい。
第3モノマーのうち、エステル基を有するビニルモノマー((メタ)アクリル酸エステルなど)、および芳香族ビニルモノマーよりなる群から選択される少なくとも一種が好ましい。前者は、エステル基を有することで第2導電性高分子層の耐湿性を高める効果を期待でき、後者は、芳香環の存在により導電性高分子との親和性が高まるため、第2導電性高分子層の成膜性を高める効果を期待できる。
水溶性高分子の重量平均分子量は、例えば、10,000〜500,000、好ましくは15,000を超え300,000未満、さらに好ましくは20,000〜200,000または30,000〜150,000である。水溶性高分子がこのような重量平均分子量を有する場合、固体電解質層の補強効果をさらに高めることができ、高い耐電圧が得られ、ESRを低減し易い。
高分子系ドーパントの重量平均分子量に対する、水溶性高分子の重量平均分子量の比は、例えば、0.1〜10であり、0.15〜5または0.15〜2.5であることが好ましく、0.25〜2.5または0.4〜2であることがより好ましい。重量平均分子量の比がこのような範囲である場合、固体電解質層の補強効果をさらに高めることができる。また、固体電解質層の経時安定性の低下を抑制し易い。
水溶性高分子は、25℃において、水100gに溶解する水溶性高分子の質量が、例えば、1g以上、または5g以上であるものが好ましい。このような水溶性高分子は、水溶性が高いため、第2導電性高分子層を形成するための第2処理液中において均一に存在することができる。
第2導電性高分子層における水溶性高分子の量は、第2導電性高分子100質量部に対して、例えば、1〜100質量部、好ましくは10〜50質量部である。
第2導電性高分子層の平均厚みは、例えば、5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。平均厚みがこのような範囲である場合、第2導電性高分子層の強度をさらに高めることができる。
第1導電性高分子層の平均厚みに対する第2導電性高分子層の平均厚みの比は、例えば、5倍以上、好ましくは10倍以上である。平均厚みの比がこのような範囲である場合、固体電解質層において外部からの応力が加わり易い、第2導電性高分子層により固体電解質層全体の強度を高めることができる。
上記実施形態では、固体電解質層が、第1導電性高分子層と第2導電性高分子層とを有する2層構造である場合について説明したが、固体電解質層は、3層以上の構造を有するものであってもよい。この場合、第1導電性高分子層と、第2導電性高分子層との間に、1層または2層以上の導電性高分子層を形成することができる。
固体電解質層は、必要に応じて、さらに、公知の添加剤、および/または導電性高分子以外の公知の導電性材料(例えば、二酸化マンガンなどの導電性無機材料;および/またはTCNQ錯塩など)を含んでもよい。
なお、誘電体層と第1導電性高分子層との間、および/または第1導電性高分子層と第2導電性高分子層との間には、他の層、例えば、第1または第2導電性高分子層の被覆性を高めるための層、および/または各層間の密着性を高める層などを介在させてもよい。
(電解コンデンサの製造方法)
本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの製造方法は、陽極体を準備する第1工程と、陽極体上に誘電体層を形成する第2工程と、誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を形成する第3工程とを含む。ここで、第3工程は、第1導電性高分子層を形成する工程Aと、第2導電性高分子層を形成する工程Bとを含む。
以下に、各工程についてより詳細に説明する。
(第1工程)
第1工程では、陽極体の種類に応じて、公知の方法により陽極体を形成する。
陽極体は、多孔質体であり、例えば、導電性材料で形成された箔状または板状の基材の表面を粗面化することにより準備することができる。粗面化は、基材表面に凹凸を形成できればよく、例えば、基材表面をエッチング(例えば、電解エッチング)することにより行ってもよく、蒸着などの気相法を利用して、基材表面に導電性材料の粒子を堆積させることにより行ってもよい。
(第2工程)
第2工程では、陽極体上に誘電体層を形成する。誘電体層は、陽極体の表面を陽極酸化することにより形成される。陽極酸化は、公知の方法、例えば、化成処理などにより行うことができる。化成処理は、例えば、陽極体を化成液中に浸漬することにより、陽極体の表面(多孔質体の細孔の内壁面を含む表面)まで化成液を含浸させ、陽極体をアノードとして、化成液中に浸漬したカソードとの間に電圧を印加することにより行うことができる。化成液としては、例えば、リン酸水溶液、リン酸アンモニウム水溶液、またはアジピン酸アンモニウム水溶液などを用いることが好ましい。
(第3工程)
(工程A)
工程Aでは、第1処理液により、第1導電性高分子を含み、かつ誘電体層の少なくとも一部を覆う第1導電性高分子層を形成する。具体的には、例えば、誘電体層が形成された陽極体を、第1処理液に浸漬することにより、誘電体層が形成された陽極体の表面(誘電体層が形成された多孔質体の細孔の内壁面を含む表面)まで第1処理液を含浸させ、取り出して、乾燥する。乾燥の際、必要に応じて、陽極体を加熱してもよい。
第1導電性高分子層としては、例えば、誘電体層が形成された陽極体を、第1導電性高分子を含む第1処理液と接触させ、乾燥させることで形成される被膜(またはコーティング膜)が挙げられる。このような被膜は、特に制限されず、例えば、各種塗布法(例えば、浸漬法(ディップコート法)、スプレーコート法など)に限らず、印刷法、もしくはこれらの組み合わせなどを利用して形成することができる。
第1導電性高分子を含む第1処理液としては、溶媒と、この溶媒に溶解した第1導電性高分子とを含む溶液、または、分散媒と、この分散媒に分散した第1導電性高分子の分散質(または分散相)とを含む分散液が挙げられる。第1処理液として、このような溶液または分散液を用いる場合、第1導電性高分子層を容易に形成することができ、品質が安定した第1導電性高分子層が得られ易い。中でも、分散液を用いることが好ましい。分散液中の分散質の形態は、特に制限されず、繊維であってもよいが、粒子(または粉末)であることが好ましい。分散液中の分散質粒子の平均粒径は、5〜100nmであることが好ましい。平均粒径は、例えば、動的光散乱法による粒径分布から求めることができる。
第1処理液に含まれる溶媒または分散媒としては、水、有機媒体、およびこれらの混合物が例示できる。有機媒体としては、例えば、炭素数1〜5の脂肪族アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、1−ブタノールなどの脂肪族モノオール;エチレングリコール、グリセリンなどの脂肪族ポリオールなど);アセトンなどの脂肪族ケトン;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド;および/またはジメチルスルホキシドなどのスルホキシドなどが挙げられる。
また、第1処理液は、必要に応じて、第1導電性高分子層の構成成分のうち、第1導電性高分子以外の成分(例えば、ドーパントなど)を含むことができる。
また、第1導電性高分子層は、誘電体層が形成された陽極体に、第1導電性高分子の原料を含む第1処理液を含浸させ、重合(化学重合、または電解重合など)させることにより、形成された重合膜であってもよい。第1導電性高分子の原料としては、第1導電性高分子の前駆体、例えば、第1導電性高分子を構成するモノマー、および/またはモノマーがいくつか連なったオリゴマーなどが例示できる。
重合膜の形成には、第1導電性高分子の原料を重合させるために酸化剤が使用される。酸化剤は、第1処理液に添加してもよい。また、酸化剤は、誘電体層が形成された陽極体を第1処理液に浸漬する前又は後に、陽極体に塗布してもよい。このような酸化剤としては、スルホン酸金属塩が例示できる。スルホン酸金属塩は、酸化剤としての機能に加え、ドーパントとしての機能も有する。スルホン酸金属塩のスルホン酸を構成する部分としては、アルキルスルホン酸、および/または芳香族スルホン酸(ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸など)などが挙げられる。金属塩を構成する金属部分としては、鉄(III)、銅(II)、クロム(IV)、および/または亜鉛(II)などが例示できる。
重合膜の形成に使用される第1処理液は、溶媒を含むことができる。溶媒としては、上記の被膜(コーティング膜)の形成に使用される第1処理液について例示した溶媒から適宜選択できる。
重合膜の形成に使用される第1処理液も、必要に応じて、第1導電性高分子層の構成成分のうち、第1導電性高分子(の原料)以外の成分(例えば、ドーパントなど)を含むことができる。
(工程B)
工程Bでは、工程Aの後、第2処理液により、第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆う第2導電性高分子層を形成する。工程Bにより、より表層側の第2導電性高分子層を緻密化することができるため、固体電解層の強度を高めることができ、耐電圧を高めることができる。工程Bは、処理液の組成が異なり、第1導電性高分子層の表面を覆うように第2導電性高分子層を形成する以外は、工程Aと同様のまたは工程Aに準じた手順で実施することができる。
第2処理液は、第2導電性高分子またはその原料と、水溶性高分子またはその原料とを含む。第2処理液としては、第2導電性高分子の原料および水溶性高分子の原料を含むものを使用することもできるが、第2導電性高分子と水溶性高分子とを含むもの、第2導電性高分子と水溶性高分子の原料とを含むもの、または第2導電性高分子の原料と水溶性高分子とを含むものが好ましい。
第2処理液が、第2導電性高分子および水溶性高分子を含む場合、第2導電性高分子層は、第1導電性高分子層が形成された誘電体層を有する陽極体を、第2処理液に浸漬することにより、第1導電性高分子層が形成された誘電体層を有する陽極体の表面(第1導電性高分子層が形成された多孔質体の細孔の内壁面を含む表面)まで第2処理液を含浸させ、乾燥させることで得られる被膜である。このような被膜は、第1導電性高分子を含む被膜の場合に準じた方法を利用して形成することができる。
また、第2処理液が、第2導電性高分子の原料、および/または水溶性高分子の原料を含む場合、第2導電性高分子層は、第1導電性高分子層が形成された誘電体層を有する陽極体を、第2処理液に浸漬することにより、第1導電性高分子層が形成された誘電体層を有する陽極体の表面(第1導電性高分子層が形成された多孔質体の細孔の内壁面を含む表面)まで第2処理液を含浸させ、原料を重合(化学重合、または電解重合など)することにより形成された重合膜である。
第2処理液が、第2導電性高分子および/または水溶性高分子を含む場合、原料を用いる場合に比べて、第2導電性高分子層を容易に形成できるとともに、高分子の品質が安定になり易い。特に、第2導電性高分子と水溶性高分子とを含む第2処理液(つまり、上記の被膜を形成する第2処理液)を用いると、一方の高分子が相分離することが抑制され、両方の高分子がより均一に分散した状態の第2導電性高分子層が得られ易い。よって、ひび割れを抑制して、膜質をさらに緻密化できるため、強度を高める上で有利である。なお、一方の高分子(特に、水溶性高分子)が、相分離すると、第2導電性高分子層を形成した後の洗浄処理等により、相分離した高分子が流出することがある。
被膜の形成に用いられる第2処理液としては、例えば、溶媒と、この溶媒に溶解した第2導電性高分子および水溶性高分子とを含む溶液、または、分散媒と、第2導電性高分子と、水溶性高分子とを含む分散液が挙げられる。これらのうち、特に、分散液を用いることが好ましい。
分散液において、第2導電性高分子および水溶性高分子のうち、少なくとも第2導電性高分子は、分散媒に分散した分散質(または分散相)として存在する。分散媒の種類および組成などに応じて、水溶性高分子は、分散媒(つまり、分散液の液相)に溶解した状態であったり、および/または分散質(または分散相)として存在したりする。水溶性高分子は分散媒に溶解した状態で存在することが好ましい。この場合、第2導電性高分子と水溶性高分子との相分離が抑制され易くなり、より均一な膜質で、さらに強度が高い第2導電性高分子層を形成することができる。
分散液中の分散質の形態は、特に制限されず、繊維であってもよいが、粒子(または粉末)であることが好ましい。分散液中に分散した分散質粒子の平均粒径は、第1処理液について記載した範囲であってもよい。
第2処理液に含まれる溶媒または分散媒としては、第1処理液について例示したものから適宜選択できる。分散液の分散媒(液相)中に水溶性高分子を存在させる観点からは、分散媒は、少なくとも水を含むことが好ましい。
第2処理液は、必要に応じて、第2導電性高分子層の構成成分のうち、第2導電性高分子および水溶性高分子以外の成分(例えば、ドーパントなど)を含むことができる。
重合膜を形成する第2処理液には、第2導電性高分子の原料および/または水溶性高分子の原料が含まれる。第2導電性高分子の原料としては、第2導電性高分子の前駆体、例えば、第2導電性高分子を構成するモノマー、および/またはモノマーがいくつか連なったオリゴマーなどが例示できる。水溶性高分子の原料としては、水溶性高分子の前駆体、例えば、水溶性高分子を構成するモノマー、および/またはモノマーがいくつか連なったオリゴマーなどが例示できる。
第1導電性高分子層の場合と類似して、重合膜の形成には、第2導電性高分子の原料および/または水溶性高分子の原料を重合させるための酸化剤が使用される。酸化剤は、第2処理液に添加してもよく、第2処理液への浸漬前または浸漬後に、陽極体に塗布してもよい。酸化剤としては、第1導電性高分子層について例示したものから適宜選択できる。
重合膜の形成に使用される第2処理液は、溶媒を含むことができる。溶媒としては、上記の被膜(コーティング膜)の形成に使用される第2処理液について例示した溶媒から適宜選択できる。
重合膜の形成に使用される第2処理液も、必要に応じて、第2導電性高分子層の構成成分のうち、第2導電性高分子(またはその原料)および水溶性高分子(またはその原料)以外の成分(例えば、ドーパントなど)を含むことができる。
(陰極層を形成する工程)
電解コンデンサの製造方法は、さらに陰極層を形成する工程(第4工程)を含むことができる。
第4工程では、第3工程で得られた固体電解質層の表面に、カーボン層と銀ペースト層とを順次積層することにより陰極層が形成される。
カーボン層は、カーボン(例えば、黒鉛などの導電性炭素材料)の水分散液中に固体電解質層が形成された誘電体層を有する陽極体を浸漬したり、またはカーボンペーストを固体電解質層の表面に塗布したりすることにより形成することができる。カーボンペーストは、黒鉛などの導電性炭素材料を含む組成物である。カーボン層の厚さは、例えば、1〜20μmである。
銀ペーストは、銀粒子と樹脂(バインダ樹脂)とを含む組成物である。樹脂としては、熱可塑性樹脂を用いることもできるが、熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。銀ペースト層の厚さは、例えば、50〜100μmである。
なお、陰極層の構成は、これに限られず、集電機能を有する構成であればよい。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
下記の要領で、図1に示す電解コンデンサ1を作製し、その特性を評価した。
(1)陽極体2を準備する工程(第1工程)
基材としてのアルミニウム箔(厚み:100μm)の両方の表面をエッチングにより粗面化することで、陽極体2を作製した。
(2)誘電体層3を形成する工程(第2工程)
陽極体2の一端部側の部分(分離部から一端部までの部分)を、化成液に浸漬し、70Vの直流電圧を、20分間印加して、酸化アルミニウムを含む誘電体層3を形成した。
(3)第1導電性高分子層4aを形成する工程(工程A)
攪拌下で、ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量:75,000)の水溶液に、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーを添加し、次いで、酸化剤(硫酸鉄(III)
および過硫酸ナトリウム)を添加して、化学酸化重合を行った。得られた重合液を、イオン交換装置によりろ過して不純物を除去することにより、第1導電性高分子としてのポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)と、ドーパントとしてのポリスチレンスルホン酸(PSS)とを含む溶液を得た。
得られた溶液に、純水を加えて、高圧ホモジナイザーでホモジナイズし、さらにフィルターでろ過することにより分散液状の第1処理液を調製した。
上記(2)で得られた誘電体層3が形成された陽極体2を、第1処理液に浸漬した後、第1処理液から取り出し、さらに120℃で10〜30分の乾燥を行った。第1処理液への浸漬と、乾燥とをさらに1回ずつ繰り返すことで、誘電体層3の表面を覆うように第1導電性高分子層4aを形成した。第1導電性高分子層4aの平均厚みを走査型電子顕微鏡(SEM)により測定したところ、約1μmであった。
(4)第2導電性高分子層4bを形成する工程(工程B)
上記(3)と同様にして、第2導電性高分子としてのPEDOTと、ドーパントとしてのPSS(重量平均分子量:75,000)とを含む溶液を得た。得られた溶液に、純水を加えて、高圧ホモジナイザーでホモジナイズし、さらにフィルターでろ過することにより分散液を調製した。得られた分散液に、水溶性高分子としてのアクリル酸−メタクリル酸共重合体(p1)(ランダム共重合体、共重合比(モル比):アクリル酸:メタクリル酸=50:50、重量平均分子量100,000)を添加し、攪拌することにより分散液状の第2処理液を調製した。なお、水溶性高分子は、混合物中の量がPEDOT100質量部に対して30質量部となるような量で分散液に添加した。
上記(3)で得られた第1導電性高分子層4aで覆われた誘電体層3を有する陽極体2を、第2処理液に浸漬した後、第2処理液から取り出し、さらに120℃で10〜30分の乾燥を行った。第2処理液への浸漬と乾燥とを交互にさらに2回ずつ繰り返すことで、第1導電性高分子層4aの表面を覆うように第2導電性高分子層4bを形成した。第2導電性高分子層4bの平均厚みを、第1導電性高分子層4aの場合と同様にして測定したところ、約30μmであった。
このようにして、第1導電性高分子層4aおよび第2導電性高分子層4bを含む固体電解質層4を誘電体層3の表面を覆うように形成した。
(5)陰極層5の形成工程(第4工程)
上記(4)で得られた固体電解質層4で覆われた誘電体層3を有する陽極体2を、黒鉛粒子を水に分散した分散液に浸漬し、分散液から取り出し後、乾燥することによりカーボン層5aを形成した。乾燥は、130〜180℃で10〜30分間行った。
次いで、カーボン層5aの表面に、銀粒子とバインダ樹脂(エポキシ樹脂)とを含む銀ペーストを塗布し、150〜200℃で10〜60分間加熱することでバインダ樹脂を硬化させ、銀ペースト層5bを形成した。こうして、カーボン層5aと銀ペースト層5bとで構成される陰極層5を形成した。
上記のようにして、コンデンサ素子11を作製した。
(6)電解コンデンサの組み立て
上記(5)で得られたコンデンサ素子11の陰極層5と、陰極端子14の一端部(第1端部)14aとを導電性接着剤17で接合した。コンデンサ素子11から突出した陽極体2の他端部と、陽極端子13の一端部(第1端部)13aとをレーザ溶接により接合した。
次いで、トランスファモールド法により、コンデンサ素子11の周囲に、絶縁性樹脂で形成された樹脂外装体12を形成した。このとき、陽極端子13の他端部(第2端部)13bと、陰極端子14の他端部(第2端部)14bとは、樹脂外装体12から引き出した状態とした。
このようにして、電解コンデンサ1を完成させた。上記と同様にして、電解コンデンサ1を合計250個作製した。
(7)評価
固体電解質層で覆われた誘電体層を有する陽極体、または電解コンデンサを用いて、下記の評価を行った。
(a)ESR
電解コンデンサからランダムに120個選び、4端子測定用のLCRメータを用いて、固体電解コンデンサの周波数100kHzにおけるESR値(mΩ)を測定し、平均値を求めた。
(b)漏れ電流
電解コンデンサの陽極体2と陰極層5との間に10Vの電圧を印加し、40秒後の漏れ電流を測定した。そして、所定の基準値と対比することにより、良否判定を行い、歩留まりを求めた。
(c)耐電圧
1.0V/秒のレートで昇圧しながら、電解コンデンサに電圧を印加し、1Aの過電流が流れる破壊耐電圧(BDV)を測定した。250個の電解コンデンサの平均値を求めた。
(実施例2〜3および比較例1〜2)
工程Bにおいて、アクリル酸−メタクリル酸共重合体(p1)に代えて、表1に示す水溶性高分子(p2)〜(p5)を用いる以外は、実施例1と同様にして、固体電解質層を形成し、電解コンデンサを作製した。そして、実施例1と同様の評価を行った。
なお、実施例および比較例で使用した水溶性高分子をまとめると以下の通りである。
(p1)アクリル酸−メタクリル酸共重合体:ランダム共重合体、共重合比(モル比):アクリル酸:メタクリル酸=50:50、重量平均分子量100,000
(p2)アクリル酸−マレイン酸共重合体:ランダム共重合体、共重合比(モル比):アクリル酸:マレイン酸=50:50、重量平均分子量50,000
(p3)ビニルフェノール−スチレン共重合体:ランダム共重合体、共重合比(モル比):ビニルフェノール:スチレン=50:50、重量平均分子量80,000
(p4)ポリビニルアルコール:ケン化度95%、重量平均分子量80,000
(p5)ポリアクリル酸:重量平均分子量40,000
表1に、実施例1〜3および比較例1〜2の評価結果を示す。
Figure 0006603882
表1に示すように、比較例1では、耐電圧が低く、ESR値が著しく大きくなっている。これは、固体電解質層の膜質が悪く、ひび割れが生じ、固体電解質層の導電性が低下したためと考えられる。また、比較例2では、ESR値はある程度低く抑えることができるものの、耐電圧が大きく低下している。これは、固体電解質層の膜質が低下したことによるものと考えられる。それに対し、実施例では、比較例1および2と比べて、高い耐電圧が得られ、ESR値も低くなった。これは、実施例では、比較例に比べて、固体電解質層(特に、第2導電性高分子層)の膜質が向上し、ひび割れも抑制されたことで、固体電解質層の強度が高くなったためと考えられる。このような理由で、実施例は、比較例1および2と比べて、漏れ電流も低減されたと考えられる。
(実施例4〜10)
実施例1の工程Bにおいて、アクリル酸−メタクリル酸共重合体(p1)に代えて、表に示す重量平均分子量を有するアクリル酸−メタクリル酸共重合体(ランダム共重合体)を用いる以外は、実施例1と同様にして、固体電解質層を形成し、電解コンデンサを作製した。そして、実施例1と同様の評価を行った。
(実施例11)
実施例1の工程Bにおいて、ドーパントとしてPSS(重量平均分子量:200,000)を用い、アクリル酸−メタクリル酸共重合体(p1)に代えてアクリル酸−メタクリル酸共重合体(ランダム共重合体、重量平均分子量:30,000)を用いる以外は、実施例1と同様にして固体電解質層を形成し、電解コンデンサを作製した。そして、実施例1と同様の評価を行った。
実施例4〜11の評価結果を表2に示す。表2には、実施例1の評価結果、ならびに各実施例について、使用した水溶性高分子の重量平均分子量、およびドーパントの重量平均分子量に対する水溶性高分子の重量平均分子量の比を合わせて示した。
Figure 0006603882
表2に示すように、実施例4〜11でも、実施例1と同様に、比較例1および2と比べ、高い耐電圧が得られており、ESR値が低減されている。高分子系ドーパントの重量平均分子量に対する、水溶性高分子の重量平均分子量の比が0.15〜2の範囲では、ESRがより低くなっている。重量平均分子量の比が0.4〜2の範囲では、ESR値はさらに低くなっている。また、より低いESR値が得られる観点からは、水溶性高分子の重量平均分子量は、15,000よりも大きく、300,000よりも小さい場合が好ましい。
本発明の実施形態に係る電解コンデンサは、高い耐電圧性および低いESRが求められる様々な用途に利用できる。
1:電解コンデンサ、2:陽極体、3:誘電体層、4:固体電解質層、4a:第1導電
性高分子層、4b:第2導電性高分子層、5:陰極層、5a:カーボン層、5b:銀ペースト層、11:コンデンサ素子、12:樹脂外装体、13:陽極端子、13a:陽極端子の第1端部、13b:陽極端子の第2端部、14:陰極端子、14a:陰極端子の第1端部、14b:陰極端子の第2端部、15:陰極部、16:分離部、17:導電性接着剤

Claims (8)

  1. 陽極体と、前記陽極体上に形成された誘電体層と、前記誘体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、を備え、
    前記固体電解質層は、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う第1導電性高分子層と、前記第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆う第2導電性高分子層とを含み、
    前記第1導電性高分子層は、第1導電性高分子を含み、
    前記第2導電性高分子層は、第2導電性高分子と、水溶性高分子とを含み、
    前記水溶性高分子は、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体およびビニルフェノール−スチレン共重合体よりなる群から選択される少なくとも一種である、電解コンデンサ。
  2. 前記第2導電性高分子層は、さらに、酸性基を有する高分子系ドーパントを含み、
    前記第2導電性高分子は、π共役系導電性高分子であり、
    前記高分子系ドーパントの重量平均分子量に対する、前記水溶性高分子の重量平均分子量の比は、0.15以上、5以下である、請求項1に記載の電解コンデンサ。
  3. 前記水溶性高分子の重量平均分子量は、20,000以上、200,000以下である、請求項1または2に記載の電解コンデンサ。
  4. 陽極体と、前記陽極体上に形成された誘電体層と、前記誘体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、を備え、
    前記固体電解質層は、導電性高分子と、水溶性高分子とを含み、
    前記水溶性高分子は、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体およびビニルフェノール−スチレン共重合体よりなる群から選択される少なくとも一種である、電解コンデンサ。
  5. 前記固体電解質層は、さらに、酸性基を有する高分子系ドーパントを含み、
    前記導電性高分子は、π共役系導電性高分子であり、
    前記高分子系ドーパントの重量平均分子量に対する、前記水溶性高分子の重量平均分子量の比は、0.15以上、5以下である、請求項4に記載の電解コンデンサ。
  6. 前記水溶性高分子の重量平均分子量は、20,000以上、200,000以下である、請求項4または5に記載の電解コンデンサ。
  7. 陽極体を準備する第1工程と、
    前記陽極体上に誘電体層を形成する第2工程と、
    前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を形成する第3工程と、を含み、
    前記第3工程は、
    第1導電性高分子または第1導電性高分子の原料を含む第1処理液により、前記第1導電性高分子を含み、かつ前記誘電体層の少なくとも一部を覆う第1導電性高分子層を形成する工程Aと、
    前記工程Aの後、第2導電性高分子または第2導電性高分子の原料と、水溶性高分子または水溶性高分子の原料とを含む第2処理液により、前記第2導電性高分子および前記水溶性高分子を含み、かつ前記第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆う第2導電性高分子層を形成する工程Bと、を含み、
    前記水溶性高分子は、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体およびビニルフェノール−スチレン共重合体よりなる群から選択される少なくとも一種である、電解コンデンサの製造方法。
  8. 陽極体を準備する第1工程と、
    前記陽極体上に誘電体層を形成する第2工程と、
    前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を形成する第3工程と、を含み、
    前記第3工程は、導電性高分子または導電性高分子の原料と、水溶性高分子または水溶性高分子の原料とを含む処理液により、前記導電性高分子および前記水溶性高分子を含む導電性高分子層を形成する工程と、を含み、
    前記水溶性高分子は、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体およびビニルフェノール−スチレン共重合体よりなる群から選択される少なくとも一種である、電解コンデンサの製造方法。
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