JP6970873B2 - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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本開示は、導電性高分子層を有する電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
小型かつ大容量で低ESR(Equivalent Series Resistance)のコンデンサとして、誘電体層を形成した陽極体と、誘電体層の少なくとも一部を覆うように形成された導電性高分子層とを具備する電解コンデンサが有望視されている。導電性高分子層は、π共役系高分子などの導電性高分子を含んでいる。
特許文献1では、誘電体層の表面に、導電性高分子およびポリアニオンを含む溶液を塗布して導電性高分子膜を形成する成膜処理を2回以上繰り返して、固体電解質層を形成している。このとき、2回目以降の少なくとも1回の成膜処理において、1回目の成膜処理に用いる溶液よりも粘度が高い溶液を用いることが提案されている。
特開2010−87401号公報
第1導電性高分子層および第2導電性高分子層を形成する場合、第1導電性高分子層による誘電体層の被覆や第1および第2導電性高分子層間の密着性が不十分になると、静電容量が低下する。
特許文献1のように溶液の粘度を変更するだけでは、導電性高分子層の導電性を十分に高めることができず、ESRを低減することが難しい。
そこで、本開示は、導電性高分子層を有する電解コンデンサにおいて、ESRを低減し、高い静電容量を確保することを目的とする。
本開示の一局面における電解コンデンサは、誘電体層を有する陽極体、誘体層の少なくとも一部を覆う第1導電性高分子層、および第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆う第2導電性高分子層を含む。第1導電性高分子層は、第1導電性高分子と、スルホン酸基を有する第1高分子ドーパントとを含む。第2導電性高分子層は、第2導電性高分子と、スルホン酸基を有する第2高分子ドーパントとを含む。第1導電性高分子は、第2導電性高分子よりも重合度が低い。
本開示の他の一局面における電解コンデンサの製造方法は、スルホン酸基を有する第1高分子ドーパントの存在下、第1導電性高分子の第1前駆体を第1溶媒中で重合させることにより、第1導電性高分子と、第1高分子ドーパントと、第1溶媒とを含む第1処理液を調製する第1ステップと、スルホン酸基を有する第2高分子ドーパントの存在下、第2導電性高分子の第2前駆体を第2溶媒中で重合させることにより、第2導電性高分子と、第2高分子ドーパントと、第2溶媒とを含む第2処理液を調製する第2ステップと、誘電体層を有する陽極体に、第1処理液を含浸させて、誘電体層の少なくとも一部を覆い、かつ第1導電性高分子および第1高分子ドーパントを含む第1導電性高分子層を形成する第3ステップと、第3ステップで得られた陽極体に、第2処理液を含浸させて、第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆い、かつ第2導電性高分子および第2高分子ドーパントを含む第2導電性高分子層を形成する第4ステップとを含む。第1ステップにおいて、酸素を含む第1雰囲気下で第1前駆体を重合させる。第2ステップにおいて、酸素濃度が第1雰囲気とは異なる第2雰囲気下で第2前駆体を重合させる。
本開示によれば、電解コンデンサにおいて、ESRを低減することができるとともに、高い静電容量を得ることができる。
図1は、本開示の一実施形態に係る電解コンデンサの断面模式図である。 図2は、図1の実線αで囲まれた領域の拡大図である。
[電解コンデンサ]
本開示の一実施形態に係る電解コンデンサは、誘電体層を有する陽極体、誘体層の少なくとも一部を覆う第1導電性高分子層、および第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆う第2導電性高分子層を含む。第1導電性高分子層は、第1導電性高分子と、スルホン酸基を有する第1高分子ドーパントとを含み、第2導電性高分子層は、第2導電性高分子と、スルホン酸基を有する第2高分子ドーパントとを含む。ここで、第1導電性高分子は、第2導電性高分子よりも重合度が低い。
誘電体層は、一般に、陽極体の表面に形成されるため、陽極体の表面形状に応じて、誘電体層の表面には、ピットと呼ばれる孔や窪みが多く形成され、複雑な形状を有している。そのため、誘電体層のピットの内壁面まで、第1導電性高分子層で覆うことは難しい。本実施形態では、第1導電性高分子層に、比較的重合度が低い第1導電性高分子を用いるため、誘電体層のピットの内壁面まで覆い易くなる。第1導電性高分子層による被覆率が高まると、静電分極が起こり易くなるため、高い静電容量を確保することができる。
第1および第2導電性高分子層に高分子ドーパントを用いることで、導電性が高まり、ESRが低減される。また、双方の導電性高分子層に、スルホン酸基を有する高分子ドーパントを用いることで、ドーパント間の親和性が高くなるため、各導電性高分子層間の密着性を向上することができる。導電性高分子層間の界面抵抗を低減することができるため、密着性の向上によってもESRを低減することができる。
また、重合度が比較的低い第1導電性高分子を陽極体に近い内層の第1導電性高分子層に用いることで、外層の第2導電性高分子層に比べると、内層の抵抗を大きくすることができる。内層の抵抗が外層よりも大きいことで、万一、電解コンデンサが破損した場合に、電解コンデンサ内で部分的に急激な反応が生じにくくなり、内層の高分子ドーパントを緩やかに絶縁化させることができる。よって、急激なショートを抑制することができる。
図1は、本開示の一実施形態に係る電解コンデンサの断面模式図である。図2は、図1の実線αで囲まれた領域の拡大図である。電解コンデンサ1は、コンデンサ素子11と、コンデンサ素子11を封止する樹脂外装体12と、樹脂外装体12の外部にそれぞれ露出する陽極端子13および陰極端子14と、を備えている。コンデンサ素子11は、箔状または板状の陽極体2と、陽極体2を覆う誘電体層3と、誘電体層3を覆う陰極部15とを含む。陽極端子13は、陽極体2と電気的に接続し、陰極端子14は、陰極部15と電気的に接続している。樹脂外装体12はほぼ直方体の外形を有しており、これにより、電解コンデンサ1もほぼ直方体の外形を有している。
陽極体2と陰極部15とは、誘電体層3を介して対向している。陰極部15は、誘電体層3を覆う導電性高分子層4と、導電性高分子層4を覆う陰極層5とを有している。図示例の陰極層5は、2層構造であり、導電性高分子層4と接触するカーボン層5aと、カーボン層5aの表面を覆う銀ペースト層5bと、を有している。
陰極部15から突出した陽極体2の端部のうち、陰極部15に隣接する領域には、陽極体2の表面を帯状に覆うように絶縁性の分離部16が形成され、陰極部15と陽極体2との接触が規制されている。陰極部15から突出した陽極体2の端部は、陽極端子13の第1端部13aと、溶接などにより電気的に接続されている。一方、陰極部15の最外層に形成された陰極層5は、陰極端子14の第1端部14aと、導電性接着材17(例えば熱硬化性樹脂と金属粒子との混合物)を介して、電気的に接続されている。陽極端子13の第2端部13bおよび陰極端子14の第2端部14bは、それぞれ樹脂外装体12の異なる側面から引き出され、一方の主要平坦面(図1では下面)まで露出状態で延在している。この平坦面における各端子の露出箇所は、電解コンデンサ1を搭載すべき基板(図示せず)との半田接続などに用いられる。
誘電体層3は、陽極体2を構成する導電性材料の表面の一部に形成されている。具体的には、誘電体層3は、陽極体2を構成する導電性材料の表面を陽極酸化することにより形成することができる。従って、誘電体層3は、図2に示すように、陽極体2の表面(より内側の表面のピットの内壁面を含む)に沿って形成されている。
第1導電性高分子層4aは、誘電体層3を覆うように形成されており、第2導電性高分子層4bは、第1導電性高分子層4aを覆うように形成されている。第1導電性高分子層4aおよび第2導電性高分子層4bの構造は特に限定されず、それぞれ、単層構造でもよく、2層以上の多層構造でもよい。
第1導電性高分子層4aは、必ずしも誘電体層3の全体(表面全体)を覆う必要はなく、誘電体層3の少なくとも一部を覆うように形成されていればよい。同様に、第2導電性高分子層4bは、必ずしも第1導電性高分子層4aの全体(表面全体)を覆う必要はなく、第1導電性高分子層4aの少なくとも一部を覆うように形成されていればよい。図示例では、第1導電性高分子層4a、および第2導電性高分子層4bを導電性高分子層4として示したが、一般に、第1導電性高分子層4a、第2導電性高分子層4b、および導電性高分子層4などの導電性高分子を含む層を、固体電解質層と称する場合がある。
誘電体層3は、陽極体2の表面に沿って形成されるため、誘電体層3の表面には、陽極体2の表面の形状に応じて、凹凸が形成されている。第1導電性高分子層4aは、このような誘電体層3の凹凸を埋めるように形成することが好ましい。
以下に、電解コンデンサの構成について、より詳細に説明する。
(陽極体)
陽極体としては、表面積の大きな導電性材料が使用できる。導電性材料としては、弁作用金属、弁作用金属を含む合金、および弁作用金属を含む化合物などが例示できる。これらの材料は一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。弁作用金属としては、例えば、チタン、タンタル、アルミニウム、および/またはニオブが好ましく使用される。これらの金属は、その酸化物も含め、誘電率が高いため、陽極体の構成材料として適している。陽極体は、例えば、導電性材料で形成された基材(箔状または板状の基材など)の表面を粗面化したもの、および導電性材料の粒子の成形体またはその焼結体などが挙げられる。
(誘電体層)
誘電体層は、陽極体表面の導電性材料を、化成処理などにより陽極酸化することで形成されるため、導電性材料(特に、弁作用金属)の酸化物を含む。例えば、弁作用金属としてタンタルを用いた場合の誘電体層はTa25を含み、弁作用金属としてアルミニウムを用いた場合の誘電体層はAl23を含む。尚、誘電体層はこれに限らず、誘電体として機能するものであれば良い。
陽極体が箔状または板状であり、その表面が粗面化されている場合、誘電体層は、図2に示すように、陽極体の表面のピットの内壁面に沿って形成される。
(第1導電性高分子層および第2導電性高分子層)
第1導電性高分子層は、第1導電性高分子およびドーパントを含み、第2導電性高分子層は、第2導電性高分子およびドーパントを含む。各層において、ドーパントは、第1導電性高分子または第2導電性高分子にドープされた状態で含まれていてもよい。また、ドーパントは、第1導電性高分子または第2導電性高分子と結合した状態で各層に含まれていてもよい。
(第1導電性高分子および第2導電性高分子)
第1導電性高分子および第2導電性高分子のそれぞれとしては、電解コンデンサに使用される公知のもの、例えば、π共役系導電性高分子などが使用できる。このような導電性高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、および/またはポリチオフェンビニレンなどを基本骨格とする高分子が挙げられる。
このような高分子には、単独重合体、二種以上のモノマーの共重合体、およびこれらの誘導体(置換基を有する置換体など)も含まれる。例えば、ポリチオフェンには、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)などが含まれる。このような導電性高分子は、導電性が高く、ESR特性に優れている。第1導電性高分子および第2導電性高分子は、それぞれ、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
第1導電性高分子および第2導電性高分子としては、それぞれ種類の異なるものを用いてもよいが、第1導電性高分子層と第2導電性高分子層との密着性を高める観点からは、同じ種類または類似の種類のものを用いることが好ましい。同じ種類の導電性高分子としては、例えば、第1導電性高分子と第2導電性高分子とで、同じモノマー単位を含むもの、または構造が類似するモノマー単位を含むものが挙げられる。構造が類似するモノマー単位とは、モノマー単位の主骨格が同じものを意味する。同じモノマー単位を含む場合の具体例としては、第1および第2導電性高分子の双方が、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェンをモノマー単位として含む場合が挙げられる。構造が類似するモノマー単位を含む場合の具体例としては、例えば、第1導電性高分子が3,4−エチレンジオキシチオフェンをモノマー単位として含み、第2導電性高分子がチオフェンをモノマー単位として含む場合などが挙げられる。
第1導電性高分子として、第2導電性高分子よりも重合度が低いものを用いることで、誘電体層表面のできるだけ多くの領域を被覆することができ、高い静電容量を確保することができる。また、第1導電性高分子層の抵抗が第2導電性高分子層よりも大きくなるため、急激に局所的な反応が起こることが抑制されるため、ショートを抑制することもできる。重合度は、例えば、各導電性高分子の平均重合度で比較してもよく、各導電性高分子の分子量(例えば、重量平均分子量)で比較してもよい。
第1導電性高分子の重量平均分子量Mwp1は、例えば、1,000〜500,000から選択でき、5,000〜100,000であってもよい。Mwp1と第2導電性高分子の重量平均分子量Mwp2との差:Mwp2−Mwp1は、例えば、1,000〜500,000、10,000〜500,000であることが好ましく、20,000〜100,000であることがより好ましい。
第1導電性高分子層は、第1導電性高分子に加え、重合度が比較的高い第3導電性高分子を含んでもよい。第3導電性高分子としては、上記の導電性高分子が例示できる。第3導電性高分子の平均重合度や重量平均分子量は、第2導電性高分子と同程度であってもよい。Mwp1と第3導電性高分子の重量平均分子量Mwp3との差:Mwp3−Mwp1は、Mwp2−Mwp1について記載した範囲から選択できる。第1導電性高分子層に含まれる第1導電性高分子と第3導電性高分子の合計に占める第1導電性高分子の量は、50〜100質量%であることが好ましい。
第2導電性高分子層は、第2導電性高分子に加え、重合度が比較的低い第4導電性高分子を含んでもよい。第4導電性高分子としては、上記の導電性高分子が例示できる。第4導電性高分子の平均重合度や重量平均分子量は、第1導電性高分子と同程度であってもよい。第4導電性高分子の重量平均分子量Mwp4と第2導電性高分子の重量平均分子量Mwp2との差:Mwp2−Mwp4は、Mwp2−Mwp1について記載した範囲から選択できる。第2導電性高分子層に含まれる第2導電性高分子と第4導電性高分子の合計に占める第2導電性高分子の量は、50〜100質量%であることが好ましい。
(ドーパント)
第1導電性高分子層は、スルホン酸基を有する第1高分子ドーパントを含み、第2導電性高分子層は、スルホン酸基を有する第2高分子ドーパントを含む。このような高分子ドーパントを第1および第2導電性高分子層が含むことで、各層の導電性が向上し、ESRを低減することができる。
第1高分子ドーパントおよび第2高分子ドーパントは、それぞれスルホン酸基を有する限り、その高分子の構造(または骨格)は特に制限されない。第1高分子ドーパントおよび第2高分子ドーパントとしては、スルホン酸基を有するモノマー(第1モノマー)の単独重合体、第1モノマーと他のモノマー(第2モノマー)との共重合体、スルホン化フェノール樹脂(スルホン化フェノールノボラック樹脂など)などが例示できる。単独重合体または共重合体は、ラジカル重合を利用するラジカル重合系高分子(ビニルポリマー、ジエンポリマーなど)であってもよく、縮合反応を利用する縮合系高分子(ポリエステルなど)であってもよい。
ラジカル重合系高分子としては、例えば、スルホン酸基を有するラジカル重合系モノマー(第1モノマー)の単独重合体または共重合体、スルホン酸基を有するラジカル重合系モノマー(第1モノマー)と他の共重合性モノマー(第2モノマー)との共重合体が挙げられる。
第1モノマーとしてのラジカル重合性モノマーとしては、スルホン酸基を有するビニルモノマー、スルホン酸基を有するジエンモノマーなどが例示される。スルホン酸基を有するビニルモノマーとしては、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2−アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸などのスルホン酸基を有する脂肪族ビニルモノマー、およびスチレンスルホン酸などのスルホン酸基を有する芳香族ビニルモノマーなどが例示できる。スルホン酸基を有するジエンモノマーとしては、イソプレンスルホン酸などが例示できる。これらの第1モノマーは一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて使用できる。これらの第1モノマーのうち、スルホン酸基を有する芳香族ビニルモノマーを少なくとも用いることが好ましい。具体例としては、スルホン酸基を有する芳香族ビニルポリマー、例えば、スルホン酸基を有する芳香族ビニルモノマーの単独重合体、スルホン酸基を有する芳香族ビニルモノマーと他のスルホン酸基を有するモノマー(スルホン酸基を有する脂肪族ビニルモノマー、および/またはスルホン酸基を有するジエンモノマーなど)との共重合体などが挙げられる。
第1モノマーと共重合させる他の共重合性モノマー(第2モノマー)としては、アニオン性基を有さないモノマー(ビニルモノマーなど)などを用いてもよく、スルホン酸基以外のアニオン性基(リン酸基、ホスホン酸基、カルボキシル基など)を有するモノマー(ビニルモノマーなど)を用いてもよい。
縮合系高分子であるスルホン酸基を有するポリエステルとしては、例えば、第1モノマーとして、スルホン酸基を有するポリカルボン酸(ジカルボン酸など)および/またはスルホン酸基を有するポリオール(ジオールなど)を用い、第2モノマーとして、ポリカルボン酸(ジカルボン酸など)およびポリオール(ジオールなど)を用いたポリエステルなどが挙げられる。第1モノマーとしては、スルホン酸基を有するポリカルボン酸が好ましく使用される。スルホン酸基を有するポリカルボン酸としては、スルホン化フタル酸、スルホン化イソフタル酸、スルホン化テレフタル酸などのスルホン酸基を有するジカルボン酸(芳香族ジカルボン酸など)などが好ましい。第2モノマーとしてのポリカルボン酸としては、スルホン酸基を有さないものが使用され、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などのジカルボン酸(芳香族ジカルボン酸など)などが好ましい。第2モノマーとしてのポリオールとしては、スルホン酸基を有さないものが使用され、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの脂肪族ジオール(C2-4アルキレングリコールなど)が好ま
しい。第1モノマーおよび第2モノマーは、それぞれ、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
第1高分子ドーパントおよび第2高分子ドーパントは、それぞれ、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、異なるラジカル重合系高分子を二種以上組み合わせてもよく、異なる縮合系高分子を二種以上組み合わせてもよく、ラジカル重合系高分子と、縮合系高分子とを組み合わせてもよい。
第1導電性高分子層と第2導電性高分子層との密着性を高め易い観点から、第1高分子ドーパントと第2高分子ドーパントとは、共通するモノマー単位または構造が類似するモノマー単位を含むことが好ましい。共通するモノマー単位および構造が類似するモノマー単位は、それぞれ、第1モノマーおよび第2モノマーのいずれであってもよい。例えば、第1高分子ドーパントおよび第2高分子ドーパントの双方が、スルホン酸基を有する芳香族ビニルモノマーユニットを含む単独重合体または共重合体である場合、スルホン酸基を有するポリエステルである場合などが挙げられる。
ポリエステルにおいては、スルホン酸基を有するモノマーユニットが、第1高分子ドーパントと第2高分子ドーパントとで共通していたり、構造が類似していたりすることが好ましい。例えば、第1高分子ドーパントが、スルホン化イソフタル酸ユニットを含むポリエステルであり、第2高分子ドーパントが、スルホン酸基を有する芳香族ジカルボン酸ユニットを含むポリエステルであってもよい。
第1導電性高分子層が二種以上の第1高分子ドーパントを含む場合、および/または第2導電性高分子層が二種以上の第2高分子ドーパントを含む場合には、少なくとも1つの第1高分子ドーパントが、少なくとも1つの第2高分子ドーパントと、同じモノマー単位または構造が類似するモノマー単位を含むことが好ましい。第1導電性高分子層に多く含まれる第1高分子ドーパントが、第2導電性高分子層に多く含まれる第2高分子ドーパントと同じモノマー単位または構造が類似するモノマー単位を含むようにしてもよい。
第1高分子ドーパントおよび第2高分子ドーパントのスルホン化度は、それぞれ、例えば、10〜100モル%の範囲から適宜選択でき、20〜100モル%または10〜90モル%であってもよい。スルホン化度は、20〜90モル%であることが好ましく、50〜90モル%または70〜90モル%がさらに好ましい。各高分子ドーパントに含まれる第1モノマーユニットの割合を調節することで、スルホン化度を調節することができる。
第1導電性高分子層と第2導電性高分子層との密着性を高め易い観点から、第1高分子ドーパントのスルホン化度と第2高分子ドーパントのスルホン化度とを同程度とすることも好ましい。第1高分子ドーパントのスルホン化度と第2高分子ドーパントのスルホン化度との差は、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがさらに好ましい。
第1導電性高分子層が二種以上の第1高分子ドーパントを含む場合および/または第2導電性高分子層が二種以上の第高分子ドーパントを含む場合には、少なくとも1つの第1高分子ドーパントのスルホン化度を、少なくとも1つの第2高分子ドーパントのスルホン化度と同程度とすればよい。第1導電性高分子層に多く含まれる第1高分子ドーパントのスルホン化度を、第2導電性高分子層に多く含まれる第2高分子ドーパントのスルホン化度と同程度としてもよい。
なお、本明細書中、高分子ドーパントのスルホン化度とは、高分子ドーパントの分子を構成する繰り返し単位全体に占める、スルホン酸基(その塩またはそのエステルも含む)を有する繰り返し単位の割合(モル%)を意味する。高分子ドーパントは、1つの繰り返し単位当たり2個またはそれ以上のスルホン酸基(その塩またはそのエステルも含む)を含んでいてもよいが、スルホン酸基(その塩またはそのエステルも含む)を1個有することが好ましい。
誘電体層のピットに浸透させ易い観点から、第1高分子ドーパントとしては、ポリスチレンスルホン酸および/またはスルホン酸基を有するポリエステルが好ましい。第1導電性高分子層と第2導電性高分子層との密着性を高め易い観点から、第2高分子ドーパントとしては、スルホン酸基を有するポリエステルが好ましい。
第1高分子ドーパントおよび第2高分子ドーパントの重量平均分子量は、それぞれ、例えば、1,000〜1,000,000であり、好ましくは10,000〜500,000である。このような分子量を有する高分子ドーパントを用いると、導電性高分子層をさらに均質化し易い。高分子ドーパントのうち、スルホン化フェノール樹脂の重量平均分子量は、5,000〜80,000であってもよい。第1高分子ドーパントでは、重量平均分子量は、10,000〜500,000であることがより好ましい。
容量を高め易い観点からは、分子量が小さい第1高分子ドーパントを用いることが好ましい。成膜性や耐電圧を向上する観点からは、分子量が大きい第2高分子ドーパントを用いることが好ましい。従って、これらの観点からは、第1高分子ドーパントの重量平均分子量Mwd1および第2高分子ドーパントの重量平均分子量Mwd2が、Mwd1<Mwd2とな
るようにしてもよい。
一方、第1導電性高分子層と第2導電性高分子層との密着性をさらに高める観点からは、第1高分子ドーパントおよび第2高分子ドーパントとしては、できるだけ分子量が近いものを用いることが好ましい。第1高分子ドーパントの重量平均分子量Mwd1と第2高分子ドーパントの重量平均分子量Mwd2との差:Mwd1−Mwd2の絶対値は、例えば、1,000以下であり、500以下または300以下であることが好ましい。
第1導電性高分子層に含まれる第1高分子ドーパントの量は、第1導電性高分子100質量部に対して、10〜1000質量部であることが好ましく、50〜200質量部であることがさらに好ましい。
第2導電性高分子層に含まれる第2高分子ドーパントの量は、第2導電性高分子100質量部に対して、10〜1000質量部であることが好ましく、50〜200質量部であることがさらに好ましい。
なお、第1および第2高分子ドーパントにおいて、スルホン酸基およびその他のアニオン性基は、解離した状態でアニオンを生成することができる限り特に制限されず、上記のアニオン性基の塩、またはエステルなどであってもよい。
第2導電性高分子層の平均厚みは、例えば、5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。第1導電性高分子層の平均厚みに対する第2導電性高分子層の平均厚みの比は、例えば、5倍以上、好ましくは10倍以上である。平均厚みや平均厚みの比がこのような範囲である場合、導電性高分子層の強度を高めることができる。
第1導電性高分子層および第2導電性高分子層は、それぞれ1層で形成されていてもよく、複数の層で形成されていてもよい。第1導電性高分子層および第2導電性高分子層のそれぞれは、必要に応じて、さらに、公知の添加剤、および/または導電性高分子以外の公知の導電性材料(例えば、二酸化マンガンなどの導電性無機材料;および/またはTCNQ錯塩など)を含んでもよい。なお、誘電体層と第1導電性高分子層との間には、密着性を高める層などを介在させてもよい。
(陰極層)
カーボン層は、導電性を有していればよく、例えば、黒鉛などの導電性炭素材料を用いて構成することができる。銀ペースト層には、例えば、銀粉末とバインダ樹脂(エポキシ樹脂など)を含む組成物を用いることができる。なお、陰極層の構成は、これに限られず、集電機能を有する構成であればよい。
陽極端子および陰極端子は、例えば銅または銅合金などの金属で構成することができる。また、樹脂外装体の素材としては、例えばエポキシ樹脂を用いることができる。
本開示の電解コンデンサは、上記構造の電解コンデンサに限定されず、様々な構造の電解コンデンサに適用することができる。具体的に、巻回型の電解コンデンサ、金属粉末の焼結体を陽極体として用いる電解コンデンサなどにも、本開示を適用できる。
[電解コンデンサの製造方法]
電解コンデンサは、第1導電性高分子と、第1高分子ドーパントと、第1溶媒とを含む第1処理液を調製する第1ステップ、第2導電性高分子と、第2高分子ドーパントと、第2溶媒とを含む第2処理液を調製する第2ステップ、誘電体層を有する陽極体に、第1処理液を含浸させて第1導電性高分子層を形成する第3ステップ、ならびに第3ステップで得られた陽極体に、第2処理液を含浸させて、第2導電性高分子層を形成する第4ステップ、を経ることにより製造できる。電解コンデンサの製造方法は、陽極体を準備するステップ、および陽極体上に誘電体層を形成するステップを含んでもよく、さらに陰極層を形成するステップ(第5ステップ)を含んでもよい。以下に、各ステップについてより詳細に説明する。
(第1ステップ)
第1ステップでは、ドーパントの存在下、第1導電性高分子の原料(第1導電性高分子の前駆体(第1前駆体))を第1溶媒中で重合させることにより、第1処理液を調製する。重合により、ドーパントが結合したまたはドーパントがドープされた第1導電性高分子が生成する。ドーパントとしては、少なくとも第1高分子ドーパントが用いられ、必要に応じて他のドーパントを併用してもよい。第1導電性高分子の前駆体としては、第1導電性高分子を構成するモノマー、および/またはモノマーがいくつか連なったオリゴマーなどが例示できる。
第1ステップでは、酸素を含む雰囲気下(第1雰囲気下)で第1前駆体を重合させることが好ましい。第1雰囲気の酸素濃度Co1は、例えば、10体積%以上であり、15体積%以上であることが好ましく、15〜40体積%または15〜30体積%であってもよい。このような酸素濃度を有する第1雰囲気下で重合を行うことで、第1導電性高分子の重合度を調節し易くなる。第1雰囲気の酸素以外の残部は、不活性ガス(窒素、アルゴン、ヘリウムなど)などであってもよい。また、第1雰囲気として大気中で第1ステップを行ってもよい。
重合方法としては、化学酸化重合および電解酸化重合のどちらも採用することができる。電解酸化重合は、導電性高分子の原料およびドーパントを含む重合液に、例えば、0.05mA/cm2〜10mA/cmの定電流、または0.5V〜10Vの定電圧を印加すれば進行する。重合液には、重合を促進させるために触媒を加えてもよい。触媒としては、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄などを用いることができる。
化学酸化重合は、ドーパントの存在下、導電性高分子の原料を酸化剤と混合することで進行する。化学酸化重合の際に用いる酸化剤としては、例えば、過硫酸塩(過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなど)、スルホン酸金属塩などが用いられる。このとき、触媒として硫酸第一鉄、硫酸第二鉄などを用いてもよい。
重合の際の温度は、例えば、5〜90℃であり、10〜30℃であることが好ましい。このような温度で重合を行うことで、第1導電性高分子の重合度を調節し易くなる。
重合には、導電性高分子の原料(およびドーパント)を溶解または分散させる溶媒(第1溶媒)が使用される。第1溶媒としては、水、水溶性有機溶媒、およびこれらの混合物などが挙げられる。水溶性有機溶媒としては、特に限定されず、例えば、アセトン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、および/またはN−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。第1溶媒を用いて導電性高分子を合成する場合、導電性高分子は、第1溶媒に分散した状態で得られる。その後、必要に応じて、未反応のモノマー、未ドープもしくは過剰なドーパント、過硫酸塩、触媒などの不純物を、透析、イオン交換法などにより、除去することが好ましい。
不純物を除去して得られる混合物に、必要に応じて、第3溶媒を添加してもよい。第3溶媒としては、水、有機溶媒、およびこれらの混合物が例示でき、第1溶媒と同じであってもよく、異なっていてもよい。有機溶媒としては、例えば、炭素数1〜5の脂肪族アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、1−ブタノールなどの脂肪族モノオール;エチレングリコール、グリセリンなどの脂肪族ポリオールなど);アセトンなどの脂肪族ケトン;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド;および/またはジメチルスルホキシドなどのスルホキシドなどが挙げられる。第3溶媒は、一種を単独で二種以上を組み合わせて用いてもよい。
このようにして得られる第1処理液は、第1溶媒中、または第1溶媒および第3溶媒の混合溶媒中に、第1導電性高分子およびドーパントが分散した分散体または溶解した溶液である。分散体中に分散した第1導電性高分子およびドーパントは、粒子(または粉末)であることが好ましい。分散体中に分散された粒子の平均粒径は、5〜500nmであることが好ましい。平均粒径は、例えば、動的光散乱法による粒径分布から求めることができる。
第1処理液の固形分濃度は、例えば、0.1〜10質量%であり、0.5〜5質量%であることが好ましい。第1処理液には、公知の添加剤を添加してもよい。
第1導電性高分子と第3導電性高分子とを含む第1導電性高分子層は、双方の導電性高分子を含む第1処理液を用いることで形成することができる。このような第1処理液は、後述の第2ステップと同様にして第3導電性高分子を含む処理液を調製し、この処理液と上述のように調製される第1導電性高分子を含む処理液とを混合することにより得ることができる。
(第2ステップ)
第2ステップでは、ドーパントの存在下、第2導電性高分子の原料(第2導電性高分子の前駆体(第2前駆体))を第2溶媒中で重合させることにより、第2処理液を調製する。重合により、ドーパントが結合したまたはドーパントがドープされた第2導電性高分子が生成する。ドーパントとしては、少なくとも第2高分子ドーパントが用いられ、必要に応じて他のドーパントを併用してもよい。
第1導電性高分子の原料および第1高分子ドーパントに代えて、第2導電性高分子の原料および第2高分子ドーパントを用い、重合の際の雰囲気(第2雰囲気)の酸素濃度が異なる以外は、第1ステップと同様にして、第2処理液を調製することができる。第2溶媒としては、第1溶媒として例示したものから適宜選択できる。
第2ステップでは、第2雰囲気下、ドーパントの存在下で第2前駆体を重合させるが、第2雰囲気の酸素濃度は第1雰囲気の酸素濃度とは異なることが好ましい。第2雰囲気は酸素を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。このような第2雰囲気下で重合を行うことで、導電性高分子の重合度(つまり、導電性高分子の分子鎖の長さ)を制御し易くなる。例えば、導電性高分子分子鎖が短くなり、エッチングピットへ入りやすくなるので、容量を引き出しやすくなる。酸素濃度が高い雰囲気で重合すれば、耐電圧の高い導電性高分子を得ることができる。一方、酸素濃度が低い雰囲気で重合すれば、電導度が高い導電性高分子を得ることができる。これらを組み合わせると、高耐圧で低ESRのコンデンサを得ることができる。特に、第2雰囲気より第1雰囲気の酸素濃度を高くすると、高耐圧で低ESRのコンデンサが得られ易い。
第2雰囲気の酸素濃度Co2は、第1雰囲気の酸素濃度Co1より高くてもよいが、第1雰囲気の酸素濃度Co1が第2雰囲気の酸素濃度Co2より高いことが好ましい。第2雰囲気の酸素濃度Co2は、例えば、30体積%以下であり、10体積%以下であることが好ましく、5体積%以下であることがさらに好ましい。第2雰囲気の酸素以外の残部は、不活性ガス(窒素、アルゴン、および/またはヘリウムなど)であることが好ましい。第1雰囲気の酸素濃度Co1と第2雰囲気の酸素濃度Co2との差:Co1−Co2は、5体積%以上であることが好ましく、10体積%以上または15体積%以上であることがさらに好ましい。
第2ステップでは、重合により得られた重合液から不純物を除去した後、第1ステップの場合と同様に、第3溶媒を添加してもよい。第2処理液は、第2溶媒中、または第2溶媒および第3溶媒の混合溶媒中に、第2導電性高分子およびドーパントが分散した分散体または溶解した溶液である。分散体中に分散した粒子(または粉末)の平均粒径は、第1処理液について記載した範囲であってもよい。
第2処理液の固形分濃度は、例えば、0.1〜10質量%であり、2〜7質量%であることが好ましい。第2処理液には、公知の添加剤を添加してもよい。
第2導電性高分子と第4導電性高分子とを含む第2導電性高分子層は、双方の導電性高分子を含む第2処理液を用いることで形成することができる。このような第2処理液は、第1ステップの場合と同様にして第4導電性高分子を含む処理液を調製し、この処理液と上述のように調製される第2導電性高分子を含む処理液とを混合することにより得ることができる。
(陽極体を準備するステップ)
陽極体を準備するステップでは、陽極体の種類に応じて、公知の方法により陽極体を形成する。陽極体は、例えば、導電性材料で形成された箔状または板状の基材の表面を粗面化することにより準備することができる。粗面化は、基材表面に凹凸を形成できればよく、例えば、基材表面をエッチング(例えば、電解エッチング)することにより行ってもよく、蒸着などの気相法を利用して、基材表面に導電性材料の粒子を堆積させることにより行ってもよい。陽極体を準備するステップは、第3ステップに先立って行われる。
(誘電体層を形成するステップ)
誘電体層は、陽極体の表面を陽極酸化することにより形成される。陽極酸化は、公知の方法、例えば、化成処理などにより行うことができる。化成処理は、例えば、陽極体を化成液中に浸漬することにより、陽極体の表面(より内側の表面の孔や窪みの内壁面)まで化成液を含浸させ、陽極体をアノードとして、化成液中に浸漬したカソードとの間に電圧を印加することにより行うことができる。化成液としては、例えば、リン酸水溶液、リン酸アンモニウム水溶液、またはアジピン酸アンモニウム水溶液などを用いることが好ましい。誘電体層を形成するステップは、第3ステップに先立って行われる。
(第3ステップ)
第3ステップでは、誘電体層を有する陽極体に、第1ステップで得られた第1処理液を含浸させて、第1導電性高分子層を形成する。第3ステップにより、第1導電性高分子層は、誘電体層の少なくとも一部を覆うように形成される。
第3ステップでは、例えば、誘電体層が形成された陽極体を第1処理液に浸漬させたり、または誘電体層が形成された陽極体に第1処理液を滴下したりする。浸漬や滴下により誘電体層が形成された陽極体の表面(誘電体層が形成された、より内側の表面の孔や窪みの内壁面)まで第1処理液を含浸させる。第1処理液を含浸させた後、陽極体は、必要に応じて、乾燥してもよい。乾燥の際、必要に応じて、陽極体を加熱してもよい。第3ステップにより、誘電体層が形成された陽極体の表面に第1導電性高分子およびドーパントを付着させることができ、これにより第1導電性高分子層を形成することができる。
(第4ステップ)
第4ステップは、第1処理液で処理された陽極体を用い、第1処理液に代えて、第2ステップで得られた第2処理液を用いる以外は、第3ステップと同様のまたは類似の手順で行うことができる。第4ステップにより、第2導電性高分子層が、第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆うように形成される。
(第5ステップ)
第5ステップでは、第4ステップで得られた陽極体の(好ましくは形成された導電性高分子層の)表面に、カーボン層と銀ペースト層とを順次積層することにより陰極層が形成される。
以下、本開示を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
下記の要領で、図1に示す電解コンデンサ1を作製し、その特性を評価した。
(1)陽極体2を準備するステップ
基材としてのアルミニウム箔(厚み:100μm)の両方の表面をエッチングにより粗面化することで、陽極体2を作製した。
(2)誘電体層3を形成するステップ
陽極体2の一端部側の部分(分離部から一端部までの部分)を、化成液に浸漬し、70Vの直流電圧を、20分間印加して、酸化アルミニウムを含む誘電体層3を形成した。
(3)第1処理液を調製するステップ
攪拌下で、ポリスチレンスルホン酸(PSS)の水溶液に、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーを添加し、次いで、酸化剤(硫酸鉄(III)および過硫酸ナトリウム)を添加して、化学酸化重合を行った。化学酸化重合は、大気雰囲気下(酸素濃度:20体積%)で行った。得られた重合液を、イオン交換装置によりろ過して不純物を除去することにより、第1導電性高分子としてのポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)と、第1高分子ドーパントとしてのPSSとを含む溶液を得た。得られた溶液に、純水を加えて、高圧ホモジナイザーでホモジナイズし、さらにフィルターでろ過することにより分散液状の第1処理液を調製した。第1処理液中の固形分含有量は、1.5質量%であり、第1高分子ドーパントの量は、PEDOT100質量部に対して100質量部であった。
(4)第2処理液を調製するステップ
攪拌下で、PSSの水溶液に、3,4−エチレンジオキシチオフェンモノマーを添加し、次いで、酸化剤(硫酸鉄(III)および過硫酸ナトリウム)を添加して、化学酸化重合を行った。化学酸化重合は、アルゴン雰囲気下(酸素濃度:0体積%)で行った。得られた重合液を、イオン交換装置によりろ過して不純物を除去することにより、第2導電性高分子としてのポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)と、第2高分子ドーパントとしてのPSSとを含む溶液を得た。得られた溶液に、純水を加えて、高圧ホモジナイザーでホモジナイズし、さらにフィルターでろ過することにより分散液状の第2処理液を調製した。
第2処理液中の固形分含有量は、4.0質量%であり、第2高分子ドーパントの量は、PEDOT100質量部に対して100質量部であった。
第1処理液と第2処理液における粒子サイズまたはこれらの処理液を遠心分離した際の沈降速度の違いなどから、第1処理液中の第1導電性高分子の重合度が、第2処理液中の第2導電性高分子の重合度よりも低いことを確認した。
(5)第1導電性高分子層4aを形成するステップ
上記(2)で得られた誘電体層3が形成された陽極体2を、上記(3)で調製した第1処理液に浸漬した後、第1処理液から取り出し、さらに120℃で10〜30分の乾燥を行った。第1処理液への浸漬と、乾燥とをさらに1回ずつ繰り返すことで、誘電体層3の表面を覆うように第1導電性高分子層4aを形成した。
(6)第2導電性高分子層4bを形成するステップ
上記(5)で処理された陽極体2を、上記(4)で調製した第2処理液に浸漬した後、取り出し、さらに120℃で10〜30分の乾燥を行った。第2処理液への浸漬と乾燥とを交互にさらに2回ずつ繰り返すことで、第1導電性高分子層4aの表面を覆うように第2導電性高分子層4bを形成した。このようにして、第1導電性高分子層4aおよび第2導電性高分子層4bを、誘電体層3の表面を覆うように形成した。
(7)陰極層5の形成ステップ
上記(6)で得られた陽極体2を、黒鉛粒子を水に分散した分散液に浸漬し、分散液から取り出し後、乾燥することにより、少なくとも第2導電性高分子層4bの表面にカーボン層5aを形成した。乾燥は、130〜180℃で10〜30分間行った。次いで、カーボン層5aの表面に、銀粒子とバインダ樹脂(エポキシ樹脂)とを含む銀ペーストを塗布し、150〜200℃で10〜60分間加熱することでバインダ樹脂を硬化させ、銀ペースト層5bを形成した。こうして、カーボン層5aと銀ペースト層5bとで構成される陰極層5を形成した。上記のようにして、コンデンサ素子11を作製した。
)電解コンデンサの組み立て
上記()で得られたコンデンサ素子11の陰極層5と、陰極端子14の一端部(第1端部)14aとを導電性接着剤17で接合した。コンデンサ素子11から突出した陽極体2の他端部と、陽極端子13の一端部(第1端部)13aとをレーザ溶接により接合した。次いで、トランスファモールド法により、コンデンサ素子11の周囲に、絶縁性樹脂で形成された樹脂外装体12を形成した。このとき、陽極端子13の他端部(第2端部)13bと、陰極端子14の他端部(第2端部)14bとは、樹脂外装体12から引き出した状態とした。このようにして、電解コンデンサ1(A1)を完成させた。上記と同様にして、電解コンデンサ1を合計250個作製した。
)評価
電解コンデンサを用いて、下記の(a)〜(c)の評価を行った。
(a)静電容量およびESR
4端子測定用のLCRメータを用いて、電解コンデンサの周波数120Hzにおける静電容量(初期静電容量)(μF)を測定した。4端子測定用のLCRメータを用いて、電解コンデンサの周波数100kHzにおけるESR値(初期ESR値)(mΩ)を測定した。静電容量およびESR値は、それぞれ、ランダムに選択した120個の電解コンデンサについて測定し、平均値を算出した。
(b)耐湿変化率
電解コンデンサを、60℃、90%RHの雰囲気下で、500時間保持した。次いで、上記(a)と同様にして、ESR値を測定して平均値を求めた。この平均値と初期ESR値との差を求め、この差の初期ESRに対する比率(つまり、変化率)(%)を耐湿性の指標とした。
(c)漏れ電流(LC)
電解コンデンサの陽極体2と陰極層5との間に10Vの電圧を印加し、40秒後の漏れ電流を測定した。そして、漏れ電流量が100μAを超えるものを不良品と判断して、各実施例および各比較例におけるLC不良品率(%)を算出し、漏れ電流の指標とした。
<比較例1>
実施例1の(3)において、化学酸化重合をアルゴン雰囲気下(酸素濃度:0体積%)で行った以外は実施例1と同様にして第1処理液を調製した。第1処理液中の固形分含有量は、4.0質量%であり、第1高分子ドーパントの量は、PEDOT100質量部に対して100質量部であった。
実施例1の(4)において、化学酸化重合を大気雰囲気下(酸素濃度:20体積%)で行った以外は、実施例1と同様にして第2処理液を調製した。第2処理液中の固形分含有量は、1.5質量%であり、第2高分子ドーパントの量は、PEDOT100質量部に対して100質量部であった。実施例1と同様にして、第1処理液中の第1導電性高分子の重合度が、第2処理液中の第2導電性高分子の重合度よりも高いことを確認した。得られた第1処理液および第2処理液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサを作製し、評価を行った。
比較例2
比較例1と同様にして調製した第2処理液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサを作製し、評価を行った。実施例1と同様にして、第1処理液中の第1導電性高分子の平均重合度が、第2処理液中の第2導電性高分子と同じであることを確認した。
実施例2
実施例1の(4)において、化学酸化重合をアルゴンと酸素とを95:5の体積比で含む雰囲気下(酸素濃度:5体積%)で行ったこと以外は、実施例1と同様にして第2処理液を調製した。第2処理液中の固形分含有量は、4.0質量%であり、第2高分子ドーパントの量は、PEDOT100質量部に対して100質量部であった。実施例1と同様にして、第1処理液中の第1導電性高分子の重合度が、第2処理液中の第2導電性高分子の重合度よりも低いことを確認した。得られた第2処理液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサを作製し、評価を行った。
実施例3
実施例1の(3)において、化学酸化重合をアルゴンと酸素とを95:5の体積比で含む雰囲気下(酸素濃度:5体積%)で行ったこと以外は、実施例1と同様にして第1処理液を調製した。第1処理液中の固形分含有量は、1.5質量%であり、第1高分子ドーパントの量は、PEDOT100質量部に対して100質量部であった。実施例1と同様にして、第1処理液中の第1導電性高分子の重合度が、第2処理液中の第2導電性高分子の重合度よりも低いことを確認した。得られた第1処理液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサを作製し、評価を行った。
実施例4
実施例1の(3)において、化学酸化重合をアルゴンと酸素とを50:50の体積比で含む雰囲気下(酸素濃度:50体積%)で行ったこと以外は、実施例1と同様にして第1処理液を調製した。第1処理液中の固形分含有量は、1.5質量%であり、第1高分子ドーパントの量は、PEDOT100質量部に対して100質量部であった。
実施例1の(4)において、化学酸化重合をアルゴンと酸素とを90:10の体積比で含む雰囲気下(酸素濃度:10体積%)で行ったこと以外は、実施例1と同様にして第2処理液を調製した。第2処理液中の固形分含有量は、4.0質量%であり、第2高分子ドーパントの量は、PEDOT100質量部に対して100質量部であった。実施例1と同様にして、第1処理液中の第1導電性高分子の重合度が、第2処理液中の第2導電性高分子の重合度よりも低いことを確認した。得られた第1処理液および第2処理液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサを作製し、評価を行った。
実施例5
実施例1の(3)において、PSSに代えて第1高分子ドーパントとしてスルホン酸基を有するポリエステルを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、第1処理液を調製した。第1処理液中の固形分含有量は、1.5質量%であり、第1高分子ドーパントの量は、PEDOT100質量部に対して100質量部であった。
スルホン酸基を有するポリエステルとしては、スルホン酸基を有する第1モノマーユニットとしてスルホン化イソフタル酸ユニットと、イソフタル酸ユニットと、エチレングリコールユニットとを含むものを用いた。スルホン酸基を有するポリエステルのスルホン化度は20モル%で、重量平均分子量は50,000であった。実施例1と同様にして、第1処理液中の第1導電性高分子の重合度が、第2処理液中の第2導電性高分子の重合度よりも低いことを確認した。得られた第1処理液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサを作製し、評価を行った。
比較例3
化学酸化重合を、アルゴン雰囲気下(酸素濃度:0体積%)で行ったこと以外は、実施例5と同様にして、第1処理液を調製した。第1処理液中の固形分含有量は、4.0質量%であり、第1高分子ドーパントの量は、PEDOT100質量部に対して100質量部であった。なお、第1高分子ドーパントであるスルホン酸基を有するポリエステルのスルホン化度は20モル%で、重量平均分子量は45,000であった。実施例1と同様にして、第1処理液中の第1導電性高分子の重合度が第2処理液中の第2導電性高分子の重合度よりも高いことを確認した。得られた第1処理液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサを作製し、評価を行った。
実施例6
実施例1の(3)と同様にして、PEDOTとPSSとを含む処理液(第1処理液a)を調製した。実施例5の第1処理液の場合と同様にして、PEDOTとスルホン酸基を有するポリエステルとを含む処理液(第1処理液b)を調製した。第1処理液aと第1処理液bとを1:1の質量比で混合することにより第1処理液を調製した。
実施例1の(4)と同様にして、PEDOTとPSSとを含む処理液(第2処理液a)を調製した。比較例3の第1処理液の場合と同様にして、PEDOTとスルホン酸基を有するポリエステルとを含む処理液(第2処理液b)を調製した。第2処理液aと第2処理液bとを1:1の質量比で混合することにより第2処理液を調製した。実施例1と同様にして、第1処理液中の第1導電性高分子の重合度が第2処理液中の第2導電性高分子の重合度よりも低いことを確認した。得られた第1処理液および第2処理液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサを作製し、評価を行った。
実施例7
実施例1の(4)と同様にして、PEDOTとPSSとを含む処理液(第1処理液a)を調製した。実施例6と同様にして、PEDOTとスルホン酸基を有するポリエステルとを含む第1処理液bを調製した。第1処理液aと第1処理液bとを1:1の質量比で混合することにより第1処理液を調製した。実施例6と同様にして、第2処理液を調製した。実施例1と同様にして、第1処理液中の第1導電性高分子の重合度が、第2処理液中の第2導電性高分子の重合度よりも低いことを確認した。得られた第1処理液および第2処理液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサを作製し、評価を行った。
参考例1
実施例7と同様にして、第1処理液を調製した。第1処理液と同様にして、第2処理液を調製した。得られた第1処理液および第2処理液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサを作製し、評価を行った。
表1に、実施例1〜7、参考例1、および比較例1〜3の評価結果を示す。実施例1〜7は、A1〜A7であり、比較例1〜3は、B1〜B3であり、参考例1はC1である。
Figure 0006970873
表1に示されるように、実施例では、比較例に比べて、高い静電容量が得られ、ESRも低く抑えられている。また、実施例では、優れた耐湿性が得られ、漏れ電流も抑制されている。高容量および低ESRの観点からは、実施例7および参考例1のように、第1導電性高分子層および/または第2導電性高分子層に含まれる導電性高分子として、異なる酸素濃度の雰囲気下で前駆体を重合させることにより得られる2種以上の導電性高分子を用いてもよい。
本開示に係る電解コンデンサは、高い静電容量およびESRの低減が求められる様々な用途に利用できる。
1:電解コンデンサ
2:陽極体
3:誘電体層
4:導電性高分子層(固体電解質層)
4a:第1導電性高分子層
4b:第2導電性高分子層
5:陰極層、5a:カーボン層
5b:銀ペースト層
11:コンデンサ素子
12:樹脂外装体
13:陽極端子
13a:陽極端子の第1端部
13b:陽極端子の第2端部
14:陰極端子
14a:陰極端子の第1端部
14b:陰極端子の第2端部
15:陰極部
16:分離部
17:導電性接着剤

Claims (8)

  1. 誘電体層を有する陽極体、前記誘体層の少なくとも一部を覆う第1導電性高分子層、および前記第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆う第2導電性高分子層を含み、
    前記第1導電性高分子層は、第1導電性高分子と、スルホン酸基を有する第1高分子ドーパントとを含み、
    前記第2導電性高分子層は、第2導電性高分子と、スルホン酸基を有する第2高分子ドーパントとを含み、
    前記第1導電性高分子は、前記第2導電性高分子よりも重合度が低く、
    前記第1導電性高分子の重量平均分子量は、前記第1高分子ドーパントの重量平均分子量より小さい、
    電解コンデンサ。
  2. 前記第1高分子ドーパントは、前記第2高分子ドーパントに含まれるモノマー単位と同じ、または、構造が類似するモノマー単位を含む、
    請求項1に記載の電解コンデンサ。
  3. 前記第1高分子ドーパントおよび前記第2高分子ドーパントのスルホン化度は、それぞれ、10〜90モル%である、
    請求項1または2に記載の電解コンデンサ。
  4. 前記第1高分子ドーパントおよび第2高分子ドーパントは、それぞれ、スルホン酸基を有するポリエステルである、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  5. スルホン酸基を有する第1高分子ドーパントの存在下、第1導電性高分子の第1前駆体を第1溶媒中で重合させることにより、前記第1導電性高分子と、前記第1高分子ドーパントと、前記第1溶媒とを含む第1処理液を調製する第1ステップと、
    スルホン酸基を有する第2高分子ドーパントの存在下、第2導電性高分子の第2前駆体を第2溶媒中で重合させることにより、前記第2導電性高分子と、前記第2高分子ドーパントと、前記第2溶媒とを含む第2処理液を調製する第2ステップと、
    誘電体層を有する陽極体に、前記第1処理液を含浸させて、前記誘電体層の少なくとも一部を覆い、かつ前記第1導電性高分子および前記第1高分子ドーパントを含む第1導電性高分子層を形成する第3ステップと、
    前記第3ステップで得られた前記陽極体に、前記第2処理液を含浸させて、前記第1導電性高分子層の少なくとも一部を覆い、かつ前記第2導電性高分子および前記第2高分子ドーパントを含む第2導電性高分子層を形成する第4ステップと、を含み、
    前記第1ステップにおいて、酸素を含む第1雰囲気下で前記第1前駆体を重合させ、
    前記第2ステップにおいて、酸素濃度が前記第1雰囲気とは異なる第2雰囲気下で前記第2前駆体を重合させる、
    電解コンデンサの製造方法。
  6. 前記第1雰囲気は、前記第2雰囲気よりも酸素濃度が高い、
    請求項5に記載の電解コンデンサの製造方法。
  7. 前記第1雰囲気の酸素濃度は、15体積%以上であり、
    前記第2雰囲気の酸素濃度は、5体積%以下である、
    請求項5または6に記載の電解コンデンサの製造方法。
  8. 前記第1高分子ドーパントは、前記第2高分子ドーパントに含まれるモノマー単位と同じ、または、構造が類似するモノマー単位を含む、
    請求項5〜7のいずれか1項に記載の電解コンデンサの製造方法。
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