JP2010109265A - 固体電解コンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】熱サイクル試験において、静電容量の低下、並びにESR及び漏れ電流の増大を抑制することができ、高温における信頼性を高めることができる固体電解コンデンサを得る。
【解決手段】弁作用金属からなる陽極2と、誘電体層3と、電解質層と、陰極層5と、陽極2、陽極リード1から構成されるコンデンサ素子10aを覆う樹脂外装体9とを備える固体電解コンデンサであって、電解質層が、誘電体層3の上に設けられる第1の電解質領域4aと、第1の電解質領域4aの上に設けられ、かつ陰極層5と接するように設けられる第2の電解質領域4bと、陰極層5が形成されていない領域において、第2の電解質領域または第1の電解質領域と接するように設けられる第3の電解質領域4cから構成され、これらの電解質領域の線膨張係数が、第1の電解質領域4a、第2の電解質領域4b、第3の電解質領域4cの順に大きくなっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、弁作用金属またはその合金からなる陽極を用いた固体電解コンデンサに関するものである。
一般に、固体電解コンデンサは、タンタル(Ta)やニオブ(Nb)などの弁作用を有する金属粒子粉末を陽極リード線と共に加圧成形して成形体を形成し、この成形体を焼結して得られる多孔質体を陽極として用いている。この陽極を陽極酸化することにより、陽極の表面に、主に酸化物からなる誘電体層を形成し、誘電体層の上に、例えば、ポリピロールやポリチオフェンなどの導電性高分子からなる電解質層を形成した後、その上に陰極層を形成し、コンデンサ素子としている。コンデンサ素子に、陽極端子及び陰極端子を接続した後、トランスファー法によりエポキシ樹脂などの樹脂でコンデンサ素子を覆うように樹脂外装体を形成し、固体電解コンデンサとしている。
このような固体電解コンデンサの半田耐熱性を改善するため、特許文献1においては、導電性高分子化合物と、線膨張係数が1×10−5(K−1)以下で、かつ融点が260℃以上である無機物または無機化合物の微粒子との複合体からなる固体電解質を用いた固体電解コンデンサが提案されている。
しかしながら、このような構成の固体電解コンデンサでは、陰極層中の金属ペースト層や外装体樹脂との線膨張係数の差が大きく、熱サイクル試験を行った場合、剥離や欠陥生成の原因となり、コンデンサ特性が劣化するという問題があった。
特開平1−297811号公報
本発明の目的は、高温における信頼性を高めることができる固体電解コンデンサを提供することにある。
本発明の固体電解コンデンサは、弁作用金属またはその合金から形成された陽極と、陽極の表面に形成された誘電体層と、誘電体層の上に形成された電解質層と、電解質層の上に形成された陰極層と、陽極、誘電体層、電解質層、及び陰極層から構成されるコンデンサ素子を覆う樹脂外装体とを備える固体電解コンデンサであって、電解質層が、誘電体層の上に設けられる第1の電解質領域と、第1の電解質領域の上に設けられ、かつ陰極層と接するように設けられる第2の電解質領域と、陰極層が形成されていない領域において、第2の電解質領域または第1の電解質領域と接するように設けられる第3の電解質領域から構成されており、これらの電解質領域の線膨張係数が、第1の電解質領域、第2の電解質領域、第3の電解質領域の順に大きくなっていることを特徴としている。
本発明において、例えば、電解質層上に陰極層が形成されていない領域における電解質層は、誘電体層上に第1の電解質領域と第2の電解質領域と第3の電解質領域とが順次設けられている場合と、誘電体層上に第1の電解質領域と第3の電解質領域とが順次設けられている場合とがある。このように、本発明においては、陰極層が形成されていない領域における電解質層に第2の電解質領域が含まれていなくてもよい。
本発明においては、電解質層を、第1の電解質領域と、第2の電解質領域と、第3の電解質領域とから構成し、これらの電解質領域の線膨張係数を、第1の電解質領域、第2の電解質領域、第3の電解質領域の順に大きくしている。最も線膨張係数が小さい第1の電解質領域は、誘電体層の上に設けられる。陽極は、一般に陰極層及び樹脂外装体などに比べると線膨張係数の小さい材料から形成される。例えば、ニオブの線膨張係数は、7.1×10−6(K−1)である。また、タンタルの線膨張係数は、6.5×10−6(K−1)である。陰極層に使用されているカーボン及び銀の線膨張係数は、それぞれ約7×10−6(K−1)及び約19×10−6(K−1)であるが、これら各層の粒子はバインダーによって結合されているので、陰極層は、これより高い線膨張係数を有すると考えられる。また、樹脂外装体に一般に使用されているエポキシ樹脂の線膨張係数は、40〜80×10−6(K−1)であり、相対的に高い線膨張係数を有している。本発明においては、相対的に線膨張係数が小さい誘電体層の上に設けられる第1の電解質領域の線膨張係数を最も小さくしている。第2の電解質領域は、第1の電解質領域の上に設けられ、かつ陰極層と接するように設けられる。第2の電解質領域は、陽極より一般に線膨張係数が大きい陰極層と接するように設けられる。本発明においては、第2の電解質領域の線膨張係数を、第1の電解質領域の線膨張係数よりも大きくすることにより、陰極層との線膨張係数の差が大きくならないように設定している。
第3の電解質領域は、陰極層が形成されていない領域において、第2の電解質領域または第1の電解質領域と接するように設けられている。陰極層が形成されている領域においては、陰極層が樹脂外装体と接するが、陰極層が形成されていない領域においては、樹脂外装体が電解質層と接する。本発明においては、陰極層が形成されていない領域に第3の電解質領域を設けており、第3の電解質領域の線膨張係数を第2の電解質領域及び第1の電解質領域の線膨張係数よりも大きくしている。このため、固体電解コンデンサの中で一般に最も大きい線膨張係数を有する樹脂外装体に近い線膨張係数を有する第3の電解質領域を、樹脂外装体と接するように設けることができ、互いに接する材料間での線膨張係数の差を小さくすることができる。従って、本発明によれば、高温に晒された際の、各部材間における剥離や、欠陥の生成を低減することができ、静電容量の低下や、ESRや漏れ電流の増大などを抑制することができる。従って、本発明によれば、高温における信頼性を高めることができる。
本発明においては、陽極の側面に、陽極リードがその一部を埋め込むように設けられていてもよい。なお、本発明において、陽極の「側面」は、陽極の外形形状の側面を意味している。陽極の外形形状は、後述するように陽極が多孔質体から形成されている場合、孔の存在を無視した外形の形状である。陽極リードが埋め込まれる陽極の側面には、一般に陰極層が形成されない。従って、このような場合、陽極の側面に第3の電解質領域が設けられる。樹脂外装体を形成する際、陽極リードが埋め込まれた部分には特に応力がかかりやすくなる。陽極の側面に第3の電解質領域が設けられることにより、樹脂外装体を形成する際の応力を低減することができ、漏れ電流の増大をさらに抑制することができる。
本発明において、第1の電解質領域の線膨張係数は、10×10−6(K−1)以下であることが好ましい。上述のように、ニオブの線膨張係数は7.1×10−6(K−1)であり、タンタルの線膨張係数は6.5×10−6(K−1)であるので、このような陽極材料の線膨張係数に近い線膨張係数を有することが好ましい。また、第1の電解質領域の線膨張係数は、5×10−6(K−1)以上であることが好ましい。
本発明において、第2の電解質領域の線膨張係数は、陰極層の線膨張係数よりも小さいことが好ましい。これにより、第1の電解質領域から陰極層にかけて線膨張係数の整合性がよくなり、陰極層と第2の電解質領域との界面や、第1の電解質領域と第2の電解質領域との界面の剥離等を抑制することができる。
本発明において、第3の電解質領域の線膨張係数は、樹脂外装体の線膨張係数よりも小さいことが好ましい。これにより、樹脂外装体〜第3の電解質領域〜第2の電解質領域または第1の電解質領域にかけての線膨張係数の整合性がよくなり、各材料間において剥離等の発生を抑制することができる。
本発明において、第3の電解質領域の線膨張係数は、30×10−6(K−1)〜40×10−6(K−1)の範囲内であることが好ましい。上述のように、樹脂外装体として一般に用いられるエポキシ樹脂の線膨張係数が40×10−6(K−1)〜80×10−6(K−1)であるので、このような線膨張係数より小さい範囲を有することが好ましい。
本発明において、第2の電解質領域の線膨張係数は、10×10−6(K−1)〜30×10−6(K−1)の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは12×10−6(K−1)〜25×10−6(K−1)の範囲内であることが好ましい。
本発明によれば、熱サイクル試験により、静電容量の低下や、ESR及び漏れ電流の増大などのコンデンサ特性が低下するのを抑制することができ、高温における信頼性を高めることができる。
以下、本発明に従う実施形態に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。また、本明細書において積層構造を説明する場合における「上」の表現は、必ずしも直接その上に設けられる場合だけを示すものではなく、間接的に他の層を介在させて設ける場合も含まれる。例えば、第1層上に第2層を形成するという説明においては、第1層と第2層の間に他の層が介在していてもよい。
図1は、本発明に従う一実施形態の固体電解コンデンサを示す断面図である。
図1に示すように、陽極2の側面2aには、一部を埋め込むように陽極リード1が設けられている。陽極2は、外形形状が略直方体になるように弁作用金属またはその合金からなる粉末を成形し、その後その成形体を真空中で焼結することにより形成された多孔質体から形成されている。このような多孔質体には、焼結した粉末の間に連続した孔が形成されており、この孔は外部と連通している。なお、同図において多孔質体の孔は省略している。弁作用金属としては、ニオブ、タンタル、チタン、アルミニウム等の金属が挙げられる。また、弁作用金属の合金としては、これらの金属を主成分とする合金が挙げられる。特に、弁作用金属としてニオブを用いた場合、ニオブを陽極酸化して形成される誘電体層は、タンタルなどから形成する誘電体層に比べて強度が低く、熱サイクル試験等により誘電体層に損傷が生じやすいため、本発明の効果がより一層発揮される。
図2は、陽極2の外形形状を示す斜視図である。図2に示すように、陽極2は、略直方体の外形形状を有している。なお、同図において多孔質体の孔は省略している。図1及び図2に示すように、陽極2は、陽極リード1が埋め込まれた側面2aと、側面2aに対向する側面2bと、これらの側面2a及び2bに挟まれる4つの外周面2cを有している。
図1を参照して、陽極2の表面には、主に酸化物からなる誘電体層3が形成されている。誘電体層3は、一般に、陽極2の表面を陽極酸化することにより形成されている。
図3は、図1に示すA−A間の模式的な拡大断面図である。陽極2は、上述のように、多孔質体から形成されており、外部に連通した微細な孔が形成されている。図3に示すように、陽極2の表面に、誘電体層3が形成されている。また、陽極2の側面2aに埋め込まれた陽極リード1の一部の表面にも誘電体層3が形成されている。
陽極2の表面においては、図3に示すように、誘電体層3と接するように第1の電解質領域4aが形成されている。
図1を参照して、陽極2の外周面2c及び側面2a,2b上における誘電体層3の上に形成された第1の電解質領域4a上には、第2の電解質領域4bが形成されている。さらに、陽極の側面2a上の第2の電解質領域4b上には、第3の電解質領域4cが形成されている。
陽極2の外周面2c及び側面2b上における誘電体層3上に形成された第1の電解質領域4a上の第2の電解質領域4b上には、カーボン層5aが形成されている。カーボン層5aの上には、銀層5bが形成されている。カーボン層5a及び銀層5bから陰極層5が構成されている。このとき、図1に示すように、第3の電解質領域4c上には陰極層5が形成されていない。なお、同図において、第3の電解質領域4cの端部は陰極層5と接しているが、これに限らず、陰極層5と第3の電解質領域4cの端部との間に間隔があってもよい。
図4は、図1に示すB−B間の模式的な拡大断面図である。図4に示すように、陽極2の外形形状をなす1つの面である外周面2cは、陽極2において外側に配置された焼結した粒子によって構成されている。外周面2c上に形成された誘電体層3上には、陰極層5に向って、第1の電解質領域4aと第2の電解質領域4bとが順次形成されている。また、図1に示すように、側面2b上にも、外周面2c上と同様に、第1の電解質領域4aと第2の電解質領域4bとが順次形成されている。なお、第2の電解質領域4bは、図3に示す陽極2の孔の壁面上の第1の電解質領域4aの上に設けられていてもよい。
図5は、図1に示すC−C間を示す模式的な拡大断面図である。図5に示すように、陽極2の外形形状をなす1つの面である側面2aは、陽極2において外側に配置された焼結した粒子によって構成される。図5に示すように、陽極2の側面2a上の誘電体層3の上には、第1の電解質領域4a及び第2の電解質領域4bが形成されており、第2の電解質領域4bの上に、第3の電解質領域4cが形成されている。第3の電解質領域4cの上には、樹脂外装体9が形成されている。従って、側面2a上に形成された誘電体層3の上には、樹脂外装体9に向って、第1の電解質領域4aと第2の電解質領域4bと第3の電解質領域4cとが順次形成されている。なお、本実施形態においては、第3の電解質領域4cが、第2の電解質領域4bの上に形成されているが、側面2a上に形成された誘電体層の上に、第1の電解質領域4aのみを形成し、第1の電解質領域4aの上に第3の電解質領域4cを形成してもよい。この場合、側面2a上に形成された誘電体層3上には、樹脂外装体9に向って、第1の電解質領域4a及び第3の電解質領域4cが順次形成される。
図3〜図5において、陽極2の孔は、第1の電解質領域4aで充填されているがこれに限らず、陽極2の孔に第1の電解質領域4aが十分に充填されず間隙を生じる場合には、この間隙に第2の電解質領域4bが形成されていてもよい。
本実施形態において、電解質層は、第1の電解質領域4a、第2の電解質領域4b、及び第3の電解質領域4cから構成される。
コンデンサ素子10aは、陽極2、陽極リード1、誘電体層3、電解質層4a,4b,4c、及び陰極層5から構成される。コンデンサ素子10aの陰極層5には、図1に示すように、導電性接着層6を介して陰極端子7が接続される。また、陽極リード1には、溶接などによって陽極端子8が接続される。陰極端子7及び陽極端子8を接続したコンデンサ素子10a全体を覆うように、樹脂外装体9が形成される。樹脂外装体9は、陰極端子7及び陽極端子8の端部が露出するように形成される。
本実施形態の固体電解コンデンサ10は、以上のように構成されている。
本実施形態においては、第1の電解質領域4a、第2の電解質領域4b、第3の電解質領域4cの順に、これらの電解質領域の線膨張係数が大きくなっている。これらの電解質領域を、導電性高分子から形成する場合、それぞれの電解質領域を形成する導電性高分子の種類や重合方法、並びに添加剤を代えることにより、線膨張係数を変化させることができる。例えば、添加剤として、導電性高分子中に種々の線膨張係数を有する微粒子を混合することによって、これを含有する導電性高分子の線膨張係数を変化させることができる。
線膨張係数を小さくする場合には、負の線膨張係数を有する材料や、形成する導電性高分子より小さい線膨張係数を有する材料からなる添加剤を混合することができる。負の線膨張係数を有する材料としては、銅・ゲルマニウム・マンガン窒化物(Mn(Cu0.5Ge0.5)N)、タングステン酸ジルコニウム(ZrW)、β−ユークリプタイト(LiO・Al・2SiO)などが挙げられる。
比較的小さい線膨張係数を有する材料として、単一元素では、クロム、珪素、ゲルマニウム、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどが挙げられる。また、合金としては、インバー合金などが挙げられる。さらに、シリカなどの酸化物や窒化珪素などの窒化物も、小さい線膨張係数を有する材料として用いることができる。
線膨張係数の大きな材料としては、例えば、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素系樹脂などを用いることができる。
線膨張係数を制御するための上記の添加剤は、一般には微粒子として添加することができる。微粒子の平均粒子径は、例えば、0.01〜1μmの範囲のものが好ましく用いられる。また、導電性高分子を形成するためのモノマー溶液中に溶解させることができるものは、溶解させて用いることができる。
第1の電解質領域4a、第2の電解質領域4b、及び第3の電解質領域4cを、上述のように、導電性高分子から形成する場合、以下のようにして形成することができる。
第1の電解質領域4aは、例えば、陽極2に導電性高分子を形成するためのモノマー溶液を含浸した後、重合することにより形成することができる。第2の電解質領域4bは、第1の電解質領域4aを形成した陽極2を、導電性高分子のモノマー溶液中に浸漬し、陽極2の外周面2cの表面にモノマー溶液を付着させた後、重合させることにより形成することができる。また、モノマー溶液を、陽極2の外周面2c上に塗布して付着させた後、重合させて第2の電解質領域4bを形成してもよい。
第3の電解質領域4cは、陽極2の側面2a上に、導電性高分子のモノマー溶液を塗布した後、重合させることにより形成することができる。陽極2の側面2a上に、第2の電解質領域4bが形成されている場合には、第2の電解質領域4bの上に第3の電解質領域4cが形成される。陽極2の側面2a上に第2の電解質領域4bが形成されていない場合には、陽極2の側面2aの上に第3の電解質領域4cが形成される。
カーボン層5aは、陽極2の外周面2cの上の第2の電解質領域4bの上に、カーボンペーストを塗布し、乾燥することにより形成することができる。
銀層5bは、カーボン層5aの上に銀ペーストを塗布し、乾燥することにより形成することができる。
導電性接着層6は、導電性ペーストを用いて形成することができる。
樹脂外装体9は、コンデンサ素子10aに、陰極端子7及び陽極端子8を接続した後、エポキシ樹脂などの樹脂をモールド成形することにより形成することができる。
本発明においては、電解質層を、第1の電解質領域、第2の電解質領域、及び第3の電解質領域に分割して設け、陽極内部から、陽極内部の樹脂外装体に近づくにつれて、各電解質領域の線膨張係数が大きくなるように設定されている。このため、熱サイクル試験により、固体電解コンデンサが加熱された際に、固体電解コンデンサを構成する各部材における線膨張係数の差による歪みの発生を抑制することができ、静電容量の低下、ESR及び漏れ電流の増大などのコンデンサ特性の低下を抑制することができる。
なお、本発明において、第1の電解質領域4a、第2の電解質領域4b、及び第3の電解質領域4cにおける線膨張係数は、各電解質領域の膜厚方向に均一でなくてもよく、例えば、第1の電解質領域4a、第2の電解質領域4b、及び第3の電解質領域4cの順に、各電解質領域の内部においても線膨張係数が徐々に大きくなるように変化する構造を有していてもよい。
(予備実験)
以下の実施例において電解質領域を形成する材料として用いる導電性高分子の線膨張係数の測定方法について以下に説明する。
<線膨張係数を小さくする場合の例>
導電性高分子であるポリピロールの線膨張係数は、約30×10−6(K−1)である。この導電性高分子の線膨張係数を小さくするため、負の線膨張係数を有する銅・ゲルマニウム・マンガン窒化物(Mn(Cu0.5Ge0.5)N)の微粒子(平均粒子径約0.1μm)を用意し、これを適当量導電性高分子に混合することにより、導電性高分子の線膨張係数を所望の値に調整した。ここで用いた銅・ゲルマニウム・マンガン窒化物の線膨張係数は、−11.5×10−6(K−1)であった。
まず、重合性モノマーとしてのピロール1重量%を含有したエタノール溶液100gに、銅・ゲルマニウム・マンガン窒化物の粒子状粉末150mgと、酸化剤兼用ドーパント付与剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III)2gとを均一に混合し、化学重合液を調製した。この化学重合液に、誘電体層を形成した陽極を浸漬し、陽極の表面に化学重合液を付着させた後、室温(25℃)で放置することにより重合反応を進行させ、陽極の誘電体層の表面にポリピロールからなる導電性高分子膜を形成させた。なお、ここで用いた陽極は、化学重合液をその表面に付着させて重合させるための支持体として用いている。形成された導電性高分子膜を陽極の誘電体層の表面から剥ぎ取り、これを粉末化したものをプレス成形することにより、線膨張係数測定のための試験片とした。これを分析サンプルS1とした。
線膨張係数は、試料を熱機械分析法(TMA:Thermo−Mechanical Analysis)により、試料に対して測定荷重2g重を加えた状態で、空気中において50℃から100℃まで昇温速度5℃/分で昇温し、その際の試料の長さの変化を測定した。各測定値から、以下の式(1)により線膨張係数を算出した。試料3個の平均値を、試料の線膨張係数とした。
線膨張係数=ΔL/(L×ΔT) ・・・(1)
ここで、Lは50℃における試料の長さ、ΔLは50℃と100℃における試料の長さの差、ΔTは50℃と100℃の温度差(50℃)である。
以上のようにして、分析サンプルS1の線膨張係数を測定したところ、約20×10−6(K−1)であった。
<線膨張係数を大きくする場合の例>
導電性高分子の線膨張係数を大きくするため、大きな線膨張係数を有するシリコーン樹脂(商品名「TSE3250」、GE東芝シリコーン社製)の微粒子を用意し、これを適当量混合することにより、線膨張係数を所望の値に調整した。ここで用いたシリコーン樹脂の線膨張係数は、250×10−6(K−1)である。
まず、重合性モノマーとしてピロール1重量%を含有したエタノール溶液100gに、シリコーン樹脂の粒子状粉末25mgと、酸化剤兼用ドーパント付与剤としてのp−トルエンスルホン酸(III)2gとを均一に混合し、化学重合液を調製した。この化学重合液を用いて、上記と同様にして、陽極の誘電体層の表面に化学重合液を付着させ、室温(25℃)で放置することにより、重合反応を進行させ、陽極の誘電体層の上にポリピロールからなる導電性高分子膜を形成した。この導電性高分子膜を、陽極の誘電体層から剥ぎ取り、上記と同様にして、分析サンプルS2とした。
分析サンプルS2について、上記と同様にして線膨張係数を測定したところ、約40×10−6(K−1)であった。
〔固体電解コンデンサの作製〕
以下の実施例及び比較例においては、上記の予備実験において説明したように、導電性高分子層に含有させる微粒子の種類及び量により、第1の電解質領域、第2の電解質領域、及び第3の電解質領域の各線膨張係数を制御した。
〔実施例1及び比較例1〜7〕
(実施例1)
図1に示す固体電解コンデンサを以下のようにして作製した。
(ステップ1)
CV値が100,000μF・V/gとなるニオブ金属粉末を用意した。このニオブ金属粉末を用いてニオブ製リードからなる陽極リードの一部を埋め込むように略直方体形状(サイズ:4.5mm×3.3mm×1.0mm)に成形した。この成形体を、真空中にて焼結し、多孔質体からなる陽極を作製した。なお、陽極の線膨張係数は7.1×10−6(K−1)である。
(ステップ2)
この陽極を、約60℃に保持した約0.1重量%のリン酸水溶液中において、10Vの定電圧で約10時間陽極酸化を行った。これにより、陽極の表面に五酸化ニオブからなる誘電体層が形成された。
(ステップ3)
次に、重合性モノマーとしてピロール1重量%を含有するエタノール溶液に、所定の線膨張係数の導電性高分子が得られるように、銅・ゲルマニウム・マンガン窒化物の粒子状粉末、またはシリコーン樹脂の微粒子を添加して混合し、酸化剤兼用ドーパント付与剤としてのp−トルエンスルホン酸鉄(III)と均一に混合し、化学重合液を調製した。本実施例では、導電性高分子の線膨張係数が7×10−6(K−1)となるように化学重合液を調製した。従って、添加する粉末としては、銅・ゲルマニウム・マンガン窒化物の粒子状粉末を用いた。所定の線膨張係数を得るための添加量については、添加量を変化させて上記予備実験と同様の実験を行うことにより求めることができる。
得られた化学重合液を、誘電体層を形成した陽極に含浸させ、室温(25℃)で放置することにより、重合反応を進行させ、誘電体層の上にポリピロールからなる導電性高分子膜を形成した。この導電性高分子膜が、第1の電解質領域4aとなる。
(ステップ4)
次に、第2の電解質領域4bの所定の線膨張係数となるように化学重合液を調製し、この重合液を用いて、第1の電解質領域4aの上に、第2の電解質領域4bを形成した。具体的には、この化学重合液中に、第1の電解質領域4aを形成した陽極を浸漬し、化学重合液を付着させた後、重合させて第2の電解質領域4bを形成した。なお、第2の電解質領域4bの、陽極2の外周面2c上の厚みは約50μmであった。なお、第2の電解質領域4bの線膨張係数は、添加剤として銅・ゲルマニウム・マンガン窒化物を用い、15×10−6(K−1)となるように調整した。
(ステップ5)
次に、陽極2の側面2a上の第2の電解質領域4bの上に、第3の電解質領域4cを形成した。具体的な形成方法としては、陽極2の側面2a上の第2の電解質領域4b以外の領域の第2の電解質領域2a上に、レジスト膜を被覆し、レジスト膜を被覆した状態で、化学重合液中に浸漬し、第3の電解質領域4cを形成した。なお、第3の電解質領域4cは、熱膨張係数が30×10−6(K−1)となるように化学重合液を調製した。すなわち、添加剤を添加せずにポリピロールのみからなる導電性高分子層を形成した。
なお、第3の電解質領域4cの厚みは約50μmとなるように形成した。
(ステップ6)
次に、陽極2の側面2a以外の外周面2c上の第2の電解質領域4bの上を覆うように、カーボンペーストを塗布した後、乾燥し、カーボン層5aを形成した。次に、カーボン層5aの上に、銀ペーストを塗布した後、乾燥し、銀層5bを形成した。なお、カーボン層5aの線膨張係数は8×10−6(K−1)であり、銀層5bの線膨張係数は20×10−6(K−1)である。
(ステップ7)
次に、銀層5bの上に、導電性接着層6を介して陰極端子7を接続し、陽極リード1に陽極端子8を溶接することにより、それぞれの端子をコンデンサ素子10aに電気的に接続した。
(ステップ8)
次に、陰極端子7の端部及び陽極端子8の端部が露出するように、トランスファーモールド法により、エポキシ樹脂を主剤とした樹脂組成物を用いて、コンデンサ素子10aを覆うように、樹脂外装体9を形成した。なお、樹脂外装体9の線膨張係数は40×10−6(K−1)である。
以上のようにして、本実施例の固体電解コンデンサ10を作製した。
(比較例1)
比較例1では、図7に示すように、第3の電解質領域4cを形成せずに固体電解コンデンサを作製した。また、第1の電解質領域4aと、第2の電解質領域4bが、同じ線膨張係数(30×10−6(K−1))となるように導電性高分子を形成した。
(比較例2)
第1の電解質領域4aと第2の電解質領域4bが同じ線膨張係数(7×10−6(K−1))となるように導電性高分子を形成する以外は、比較例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(比較例3)
第1の電解質領域4aの線膨張係数が7×10−6(K−1)、第2の電解質領域4bの線膨張係数が15×10−6(K−1)となるように形成する以外は、比較例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(比較例4)
第1の電解質領域4aの線膨張係数が7×10−6(K−1)、第2の電解質領域4bの線膨張係数が30×10−6(K−1)となるように形成する以外は、比較例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(比較例5)
第1の電解質領域4aの線膨張係数が15×10−6(K−1)、第2の電解質領域4bの線膨張係数が30×10−6(K−1)となるように形成する以外は、比較例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(比較例6)
第1の電解質領域4aの線膨張係数が7×10−6(K−1)、第2の電解質領域4bの線膨張係数が15×10−6(K−1)、第3の電解質領域4cの線膨張係数が7×10−6(K−1)となるように形成する以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(比較例7)
第1の電解質領域4aの線膨張係数が30×10−6(K−1)、第2の電解質領域4bの線膨張係数が15×10−6(K−1)、第3の電解質領域4cの線膨張係数が30×10−6(K−1)となるように形成する以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
〔熱サイクル試験評価〕
作製した各固体電解コンデンサについて、熱サイクル試験を行った。熱サイクル試験は、−55℃(30分)→+105℃(30分)を1サイクルとして、500サイクル繰り返した。静電容量、等価直列抵抗(ESR)、及び漏れ電流を、熱サイクル試験前及び試験後においてそれぞれ測定し、熱サイクル試験前の値と熱サイクル試験後の値から、以下の式(2)より算出した。
各評価結果の値(%)=(熱サイクル試験後の値/熱サイクル試験前の値)×100 ・・・(2)
従って、各評価結果の値は、熱サイクル試験前の値を100として評価した値となる。
なお、静電容量、等価直列抵抗(ESR)、及び漏れ電流は、以下のようにして測定した。
静電容量の測定:
周波数120Hzでの静電容量をLCRメーターで測定した。
ESRの測定:
100kHzにおけるESRを測定した。
漏れ電流:
2.5Vの電圧を印加し、5分後の漏れ電流を測定した。
測定結果を表1に示す。
Figure 2010109265
表1に示すように、本発明に従い、第1の電解質領域、第2の電解質領域、及び第3の電解質領域を設け、これらの線膨張係数を、第1の電解質領域、第2の電解質領域、第3の電解質領域の順に大きくした実施例1においては、熱サイクル試験後においても、高い静電容量と、低いESR及び漏れ電流が得られており、熱サイクル試験による静電容量の低下、ESR及び漏れ電流の増大が抑制され、高温における高い信頼性が得られている。比較例1及び2においては、第3の電解質領域を設けずに、第1の電解質領域と第2の電解質領域に同じ線膨張係数を有する導電性高分子層を形成している。比較例1では、第1の電解質領域及び第2の電解質領域の線膨張係数を30×10−6(K−1)としており、誘電体層と電解質層の線膨張係数に大きな差があるため、誘電体層と電解質層との間で剥離が生じたため、コンデンサ特性が劣化したと思われる。また、比較例2では、第1の電解質領域及び第2の電解質領域の線膨張係数を7×10−6(K−1)としており、樹脂外装体との線膨張係数の差が大きいため、電解質層と陽極リード付近の樹脂外装体とが剥離したため、コンデンサ特性が劣化したと思われる。
比較例3においては、陽極の側面を覆う第2の電解質領域の線膨張係数と、樹脂外装体との線膨張係数との差が大きいため、第2の電解質領域と樹脂外装体との間で剥離が生じたため、コンデンサ特性が劣化したと思われる。
比較例4においては、誘電体層と電解質層との間の剥離や、第2の電解質領域と樹脂外装体との間での剥離は抑制されたと思われるが、第1の電解質領域と第2の電解質領域の間や、第2の電解質領域と陰極層との間で剥離が生じ、コンデンサ特性が劣化したものと思われる。
比較例5においては、誘電体層と第1の電解質領域との剥離が生じたため、コンデンサ特性が劣化したものと思われる。
比較例6〜7と実施例1との比較から明らかなように、第1の電解質領域、第2の電解質領域、及び第3の電解質領域の線膨張係数は、第1の電解質領域、第2の電解質領域、第3の電解質領域の順に大きくなることが好ましいことがわかる。
〔実施例2〜4〕
(実施例2)
第1の電解質領域の線膨張係数が5×10−6(K−1)、第2の電解質領域の線膨張係数が15×10−6(K−1)、第3の電解質領域の線膨張係数が30×10−6(K−1)となるようにする以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(実施例3)
第1の電解質領域の線膨張係数が10×10−6(K−1)、第2の電解質領域の線膨張係数が15×10−6(K−1)、第3の電解質領域の線膨張係数が30×10−6(K−1)となるようにする以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(実施例4)
第1の電解質領域の線膨張係数が12×10−6(K−1)、第2の電解質領域の線膨張係数が15×10−6(K−1)、第3の電解質領域の線膨張係数が30×10−6(K−1)となるようにする以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
〔熱サイクル試験評価〕
上記と同様にして、熱サイクル試験を行い、静電容量、ESR、及び漏れ電流を評価した。測定結果を表2に示す。
Figure 2010109265
表2に示す結果から明らかなように、第1の電解質領域の線膨張係数は、陽極を形成するニオブの線膨張係数(7.1×10−6(K−1))に近いことが好ましく、10×10−6(K−1)以下であることが好ましいことがわかる。
〔実施例5〜7〕
(実施例5)
第1の電解質領域の線膨張係数が7×10−6(K−1)、第2の電解質領域の線膨張係数が15×10−6(K−1)、第3の電解質領域の線膨張係数が20×10−6(K−1)となるようにする以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(実施例6)
第1の電解質領域の線膨張係数が7×10−6(K−1)、第2の電解質領域の線膨張係数が15×10−6(K−1)、第3の電解質領域の線膨張係数が40×10−6(K−1)となるようにする以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
(実施例7)
第1の電解質領域の線膨張係数が7×10−6(K−1)、第2の電解質領域の線膨張係数が15×10−6(K−1)、第3の電解質領域の線膨張係数が50×10−6(K−1)となるようにする以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
〔熱サイクル試験評価〕
上記と同様にして、各固体電解コンデンサについて、熱サイクル試験を行い、静電容量、ESR、及び漏れ電流を評価した。測定結果を表3に示す。
Figure 2010109265
実施例6のように第3の電解質領域の線膨張係数と樹脂外装体の線膨張係数とは同程度であっても第3の電解質領域と樹脂外装体とは良好な密着性を得ることができ、剥離等の発生を抑制することができることがわかった。また、第3の電解質領域の線膨張係数は樹脂外装体の線膨張係数と同程度であっても、第3の電解質領域と第2の電解質領域及び第1の電解質領域とは同じ導電性高分子で形成されているため比較的良い密着性を得ることができる。よって、高温における信頼性を得ることができることがわかった。
実施例1、5〜6の結果から、第3の電解質領域の線膨張係数は樹脂外装体の線膨張係数より小さいことが好ましいことがわかる。また、より好ましい範囲としては30×10−6〜40×10−6(K−1)の範囲であることがわかる。
〔第3の電解質領域に代えて絶縁性樹脂層を形成した比較例〕
(比較例8)
第1の電解質領域の線膨張係数を7×10−6(K−1)、第2の電解質領域の線膨張係数を10×10−6(K−1)とし、さらに第3の電解質領域に代えて、液状のエポキシ樹脂を塗布することによって絶縁性樹脂層を形成した以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを作製した。なお、絶縁性樹脂層の線膨張係数は30×10−6(K−1)であった。
〔熱サイクル試験評価〕
上記のようにして作製した固体電解コンデンサについて、熱サイクル試験を行い、静電容量、ESR、及び漏れ電流を評価した。測定結果を表4に示す。
Figure 2010109265
表4に示す結果から明らかなように、実施例1と比較して、ESR及び漏れ電流が大きく上昇している。これは、第3の電解質領域の部分に形成した絶縁性樹脂層が、導電性を有していないため、ESRが高くなったと思われる。また、絶縁性樹脂層が、第2の電解質領域と構成成分が異なるため、これらの間の界面で不整合となり、剥離が生じたため、ESR及び漏れ電流が高くなったと思われる。
(他の実施形態)
上記の実施形態及び実施例においては、陽極2の側面2aの上に、第2の電解質領域4bが形成されているが、本発明は、これに限定されるものではない。図6に示すように、陽極2の側面2aの上に第2の電解質領域4bが形成されておらず、陽極2の側面2aの上に直接第3の電解質領域4cが形成されていてもよい。このような固体電解コンデンサは、例えば、実施例1のステップ4において、第2の電解質領域を形成するための化学重合液中に陽極を浸漬する際、陽極2の側面2aの上に化学重合液が接しないようにすることにより作製することができる。
本発明に従う一実施形態(実施例1)の固体電解コンデンサを示す断面図。 図1に示す実施形態における陽極を示す斜視図。 図1に示すA−A間を示す断面図。 図1に示すB−B間を示す断面図。 図1に示すC−C間を示す断面図。 本発明に従う他の実施形態の固体電解コンデンサを示す断面図。 比較例1〜5の固体電解コンデンサを示す断面図。
符号の説明
1…陽極リード
2…陽極
2a…陽極の側面
2c…陽極の外周面
3…誘電体層
4a…第1の電解質領域
4b…第2の電解質領域
4c…第3の電解質領域
5…陰極層
5a…カーボン層
5b…銀層
6…導電性接着層
7…陰極端子
8…陽極端子
9…樹脂外装体
10…固体電解コンデンサ
10a…コンデンサ素子

Claims (6)

  1. 弁作用金属またはその合金から形成された陽極と、
    前記陽極の表面に形成された誘電体層と、
    前記誘電体層の上に形成された電解質層と、
    前記電解質層の上に形成された陰極層と、
    前記陽極、前記誘電体層、前記電解質層、及び前記陰極層から構成されるコンデンサ素子を覆う樹脂外装体とを備える固体電解コンデンサであって、
    前記電解質層が、前記誘電体層の上に設けられる第1の電解質領域と、前記第1の電解質領域の上に設けられ、かつ前記陰極層と接するように設けられる第2の電解質領域と、前記陰極層が形成されていない領域において、前記第2の電解質領域または前記第1の電解質領域と接するように設けられる第3の電解質領域から構成されており、
    これらの電解質領域の線膨張係数が、第1の電解質領域、第2の電解質領域、第3の電解質領域の順に大きくなっていることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 前記陰極層が形成されていない領域が、前記陽極の側面であり、前記陽極の側面に、陽極リードがその一部を埋め込むように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記第1の電解質領域の線膨張係数が、10×10−6(K−1)以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 前記第2の電解質領域の線膨張係数が、前記陰極層の線膨張係数より小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  5. 前記第3の電解質領域の線膨張係数が、前記樹脂外装体の線膨張係数より小さいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  6. 前記第3の電解質領域の線膨張係数が、30×10−6(K−1)〜40×10−6(K−1)の範囲内であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
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