WO2020209338A1 - 排ガス処理装置および排ガス処理方法 - Google Patents
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Abstract
排ガス処理装置(4)の吸着剤供給部(41)は、排ガスが流れる煙道(3)において、排ガスに水銀吸着剤を供給する。バグフィルタ(42)は、煙道(3)に設けられ、複数のろ布列(422)により水銀吸着剤を捕集するとともに、複数のろ布列(422)のそれぞれに対する逆洗動作により、ろ布列(422)から水銀吸着剤を払い落とす。上流側水銀濃度計(45)は、複数のろ布列(422)に対して排ガスの流れ方向上流側における排ガスの水銀濃度を、上流側水銀濃度として測定する。制御部(40)は、上流側水銀濃度が第1閾値以上となった異常時において、上流側水銀濃度が第2閾値以上の値から第2閾値未満となる際に、通常時において複数のろ布列(422)に対して逆洗動作を順に実行する設定周期よりも短周期での逆洗動作を開始する。
Description
本発明は、排ガス処理装置および排ガス処理方法に関する。
[関連出願の参照]
本願は、2019年4月11日に出願された日本国特許出願JP2019-75313からの優先権の利益を主張し、当該出願の全ての開示は、本願に組み込まれる。
[関連出願の参照]
本願は、2019年4月11日に出願された日本国特許出願JP2019-75313からの優先権の利益を主張し、当該出願の全ての開示は、本願に組み込まれる。
都市ごみ等の一般廃棄物を焼却した場合に、水銀を含む排ガスが発生することがある。この場合、排ガス中の水銀を除去するため、活性炭等の水銀吸着剤が排ガスに供給される。例えば、特開2009-291734号公報(文献1)では、バグフィルタに対して排ガスの流れ方向下流側に設けられる配管内の水銀濃度に基づいて、上流側に設けられる配管内に活性炭を供給する排ガス処理装置が開示されている。また、下流側の水銀濃度が設定値を超えた場合に、バグフィルタの逆洗動作を実施する手法も記載されている。特開2016-7572号公報(文献2)では、バグフィルタに対し所定の低サイクルタイムで低速逆洗を行っている場合に、バグフィルタの下流側における排ガスの水銀濃度が所定値を超えると、バグフィルタに対し当該低サイクルタイムよりも短い高サイクルタイムで高速逆洗を行う手法が開示されている。
既述のように、文献1および2では、バグフィルタの下流側における排ガスの水銀濃度が高くなった際に逆洗動作が開始される。このとき、水銀吸着剤を含む堆積物が複数のろ布から順に短期間に払い落とされるが、バグフィルタの上流側における水銀濃度が高い状態である場合、水銀吸着剤があまり堆積していない複数のろ布を、水銀濃度が高い排ガスが通過する。この場合、下流側における水銀濃度が大幅に上昇してしまう。
本発明は、排ガス処理装置に向けられており、水銀吸着剤が堆積していないろ布を、水銀濃度が高い排ガスが通過することによる下流側の水銀濃度の上昇を抑制することを目的としている。
本発明に係る一の排ガス処理装置は、排ガスが流れる煙道において、前記排ガスに水銀吸着剤を供給する吸着剤供給部と、前記煙道に設けられ、複数のろ布群により前記水銀吸着剤を捕集するとともに、前記複数のろ布群のそれぞれに対する逆洗動作により、ろ布群から前記水銀吸着剤を払い落とす吸着剤捕集部と、前記複数のろ布群に対して前記排ガスの流れ方向上流側における前記排ガスの水銀濃度を、上流側水銀濃度として測定する上流側水銀濃度計と、通常時において前記複数のろ布群に対して前記逆洗動作を設定周期にて順に実行するとともに、前記上流側水銀濃度が第1閾値以上となった異常時において、前記上流側水銀濃度が第2閾値以上の値から前記第2閾値未満となる際に、前記設定周期よりも短周期での前記逆洗動作を開始する制御部とを備える。
本発明に係る他の排ガス処理装置は、排ガスが流れる煙道において、前記排ガスに水銀吸着剤を供給する吸着剤供給部と、前記煙道に設けられ、複数のろ布群により前記水銀吸着剤を捕集するとともに、前記複数のろ布群のそれぞれに対する逆洗動作により、ろ布群から前記水銀吸着剤を払い落とす吸着剤捕集部と、前記複数のろ布群に対して前記排ガスの流れ方向上流側における前記排ガスの水銀濃度を、上流側水銀濃度として測定する上流側水銀濃度計と、前記複数のろ布群に対して前記排ガスの流れ方向下流側における前記排ガスの水銀濃度を、下流側水銀濃度として測定する下流側水銀濃度計と、通常時において前記複数のろ布群に対して前記逆洗動作を設定周期にて順に実行するとともに、前記下流側水銀濃度が第3閾値以上となった異常時において、前記上流側水銀濃度が第4閾値未満である場合に、前記設定周期よりも短周期での前記逆洗動作を開始する制御部とを備える。
本発明に係る排ガス処理装置では、水銀吸着剤が堆積していないろ布群を、水銀濃度が高い排ガスが通過することによる下流側水銀濃度の上昇を抑制することができる。
本発明の一の好ましい形態では、前記制御部が、前記短周期での前記逆洗動作を前記複数のろ布群の半分以上に対して順に行う。
本発明の他の好ましい形態では、排ガス処理装置が、前記ろ布群から払い落とされた前記水銀吸着剤を回収吸着剤として回収するとともに、循環用貯留部と排出用貯留部とに分配する分配部と、前記複数のろ布群に対して前記排ガスの流れ方向上流側における前記排ガスに、前記循環用貯留部に貯留された前記回収吸着剤を供給する回収吸着剤供給部とをさらに備え、前記短周期での前記逆洗動作において回収された前記回収吸着剤が、前記分配部により前記排出用貯留部に供給される。
好ましくは、前記上流側水銀濃度計が、前記排ガスの0価水銀濃度を前記上流側水銀濃度として測定する。
本発明は、排ガス処理装置における排ガス処理方法にも向けられている。本発明に係る一の排ガス処理方法では、排ガス処理装置が、排ガスが流れる煙道において、前記排ガスに水銀吸着剤を供給する吸着剤供給部と、前記煙道に設けられ、複数のろ布群により前記水銀吸着剤を捕集するとともに、前記複数のろ布群のそれぞれに対する逆洗動作により、ろ布群から前記水銀吸着剤を払い落とす吸着剤捕集部とを備え、前記排ガス処理方法が、前記複数のろ布群に対して前記排ガスの流れ方向上流側における前記排ガスの水銀濃度を、上流側水銀濃度として測定する工程と、前記上流側水銀濃度が第1閾値以上となった異常時において、前記上流側水銀濃度が第2閾値以上の値から前記第2閾値未満となる際に、通常時において前記複数のろ布群に対して前記逆洗動作を順に実行する設定周期よりも短周期での前記逆洗動作を開始する工程とを備える。
本発明に係る他の排ガス処理方法では、排ガス処理装置が、排ガスが流れる煙道において、前記排ガスに水銀吸着剤を供給する吸着剤供給部と、前記煙道に設けられ、複数のろ布群により前記水銀吸着剤を捕集するとともに、前記複数のろ布群のそれぞれに対する逆洗動作により、ろ布群から前記水銀吸着剤を払い落とす吸着剤捕集部とを備え、前記排ガス処理方法が、前記複数のろ布群に対して前記排ガスの流れ方向下流側における前記排ガスの水銀濃度を、下流側水銀濃度として測定するとともに、前記複数のろ布群に対して前記排ガスの流れ方向上流側における前記排ガスの水銀濃度を、上流側水銀濃度として測定する工程と、前記下流側水銀濃度が第3閾値以上となった異常時において、前記上流側水銀濃度が第4閾値未満である場合に、通常時において前記複数のろ布群に対して前記逆洗動作を順に実行する設定周期よりも短周期での前記逆洗動作を開始する工程とを備える。
上述の目的および他の目的、特徴、態様および利点は、添付した図面を参照して以下に行うこの発明の詳細な説明により明らかにされる。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る焼却設備1の構成を示す図である。焼却設備1は、都市ごみ等の廃棄物を焼却処理する設備である。焼却設備1は、焼却炉21と、煙道3と、排ガス処理装置4と、煙突22とを備える。焼却炉21では、廃棄物の燃焼と、廃棄物から発生した可燃性ガスの燃焼とが行われる。煙道3は、焼却炉21から煙突22まで連続するガス流路である。排ガス処理装置4は、煙道3に設けられる。煙道3には、図示省略の誘引通風機も設けられる。当該誘引通風機により、焼却炉21にて発生する排ガス(燃焼ガス)が煙道3へと排出され、排ガス処理装置4を介して煙突22へと導かれる。焼却設備1では、煙道3を流れる排ガスに対して排ガス処理装置4により所定の処理が行われる。図1では、煙道3を太い実線にて示している。以下の説明では、煙突22の内部も煙道3の一部と捉えられるものとする。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る焼却設備1の構成を示す図である。焼却設備1は、都市ごみ等の廃棄物を焼却処理する設備である。焼却設備1は、焼却炉21と、煙道3と、排ガス処理装置4と、煙突22とを備える。焼却炉21では、廃棄物の燃焼と、廃棄物から発生した可燃性ガスの燃焼とが行われる。煙道3は、焼却炉21から煙突22まで連続するガス流路である。排ガス処理装置4は、煙道3に設けられる。煙道3には、図示省略の誘引通風機も設けられる。当該誘引通風機により、焼却炉21にて発生する排ガス(燃焼ガス)が煙道3へと排出され、排ガス処理装置4を介して煙突22へと導かれる。焼却設備1では、煙道3を流れる排ガスに対して排ガス処理装置4により所定の処理が行われる。図1では、煙道3を太い実線にて示している。以下の説明では、煙突22の内部も煙道3の一部と捉えられるものとする。
排ガス処理装置4は、制御部40(後述の図2参照)と、吸着剤供給部41と、バグフィルタ42と、回収灰分配部441と、循環用貯留部442と、回収灰供給部443と、排出用貯留部444と、上流側水銀濃度計45と、下流側水銀濃度計46とを備える。制御部40は、例えば、CPU等を備えるコンピュータであり、排ガス処理装置4の全体制御を担う。制御部40は、焼却設備1の制御部を兼ねてもよい。バグフィルタ42は、煙道3に設けられる。バグフィルタ42に対して排ガスの流れ方向上流側に位置する煙道3の部分31(以下、「上流側煙道31」という。)には、上流側水銀濃度計45の取込口、回収灰供給部443の供給口、および、吸着剤供給部41の供給口が設けられ、バグフィルタ42に対して流れ方向下流側に位置する煙道3の部分32(以下、「下流側煙道32」という。)には、下流側水銀濃度計46の取込口が設けられる。図1では、下流側水銀濃度計46の取込口は、煙突22に設けられる。
吸着剤供給部41は、例えばテーブルフィーダ等を有し、上流側煙道31を流れる排ガスに粉状の水銀吸着剤を供給する(吹き込む)。水銀吸着剤は、例えば活性炭である。水銀吸着剤として、活性炭の表面に例えばヨウ素や硫黄を添着した添着活性炭等が用いられてもよい。排ガス処理装置4では、上流側煙道31を流れる排ガスにアルカリ薬剤を供給するアルカリ薬剤供給部が設けられてもよい。アルカリ薬剤は、脱塩および脱硫用の薬剤であり、例えば粉状の消石灰等である。
図2は、バグフィルタ42の構成を示す図である。図2では、排ガス処理装置4の他の一部の構成もブロックにて示している。バグフィルタ42は、ケーシング421と、複数のろ布列422と、逆洗部43とを備える。ケーシング421は、上流側煙道31に接続される。複数のろ布列422は、ケーシング421の内部に設けられる。各ろ布列422は、複数のろ布を含むろ布群である。各ろ布は、例えば袋状(典型的には、有底円筒状)である。ろ布列422では、複数のろ布が一列に並ぶ。複数のろ布列422における複数のろ布の内部空間は、下流側煙道32に接続される。上流側煙道31を流れる排ガスは、複数のろ布列422に含まれるいずれかのろ布を通過して下流側煙道32に流入する。排ガスに含まれる飛灰および水銀吸着剤等は、複数のろ布列422により捕集される。飛灰および水銀吸着剤等は、ろ布上に堆積する。バグフィルタ42は、水銀吸着剤を捕集する吸着剤捕集部である。
ケーシング421の内部では、排ガスがろ布を通過する際に、当該ろ布に堆積する水銀吸着剤が排ガスに含まれる水銀を吸着する。水銀吸着剤における水銀の吸着は、上流側煙道31においても生じる。水銀吸着剤が、排ガスに含まれるダイオキシン類等をさらに吸着してもよい。なお、既述のアルカリ薬剤が供給される場合には、当該アルカリ薬剤もろ布に捕集される。排ガスに含まれる酸性ガス(塩化水素、硫黄酸化物等)とろ布上のアルカリ薬剤との反応が生じることにより、排ガスから当該酸性ガスが除去される。
逆洗部43は、エアコンプレッサ431と、圧縮空気管432と、複数のバルブ434とを備える。エアコンプレッサ431は、圧縮空気(パルスジェット)を発生させる。エアコンプレッサ431は、圧縮空気管432の一端に接続される。圧縮空気管432の他端は、複数の分岐管433に分岐する。複数の分岐管433には、複数のバルブ434がそれぞれ設けられる。各分岐管433は、複数のノズルを有し、当該複数のノズルは、1つのろ布列422に含まれる複数のろ布の内部空間にそれぞれ対向する。後述するように、当該ろ布列422に含まれる複数のろ布の内部空間には、エアコンプレッサ431にて発生させた圧縮空気が当該分岐管433を介して吹き込まれる。複数の分岐管433は、複数のろ布列422にそれぞれ対応する。
バグフィルタ42では、各ろ布列422のろ布に堆積した飛灰および水銀吸着剤等が、圧縮空気を利用した逆洗動作により、払い落とされる。具体的に、各ろ布列422に対する逆洗動作では、当該ろ布列422に対応する分岐管433のバルブ434を開き、残りのバルブ434を閉じた状態で、エアコンプレッサ431が圧縮空気を圧縮空気管432に供給する。これにより、当該ろ布列422に含まれる複数のろ布の内部空間に向かって、圧縮空気が吹き込まれる。換言すると、当該ろ布列422の各ろ布に対し、排ガスの流れ方向における下流側から上流側に向かって圧縮空気が供給される。その結果、当該ろ布列422に堆積した飛灰および水銀吸着剤等、すなわち、当該ろ布列422による捕集物が払い落とされる。逆洗部43では、空気以外の圧縮ガスが利用されてもよい。また、他の手法により、ろ布列422から飛灰および水銀吸着剤等が払い落とされてもよい。
図1の回収灰分配部441は、例えばコンベアおよびゲートを有する。回収灰分配部441は、ろ布列422から払い落とされた飛灰および水銀吸着剤等を回収灰として回収するとともに、循環用貯留部442と排出用貯留部444とに分配する。排出用貯留部444は、回収灰分配部441により供給された回収灰を貯留する。排出用貯留部444では、重金属安定剤であるキレート剤を回収灰に混合するキレート処理等が必要に応じて施され、その後、当該回収灰が廃棄される。循環用貯留部442は、回収灰分配部441により供給された回収灰を貯留する。回収灰供給部443は、例えばテーブルフィーダ等を有し、循環用貯留部442に貯留された回収灰を上流側煙道31に供給する。回収灰には、水銀吸着剤が含まれているため、回収灰は、回収吸着剤と捉えることができる。また、循環用貯留部442および回収灰供給部443は、それぞれ回収吸着剤貯留部および回収吸着剤供給部である。
上流側水銀濃度計45および下流側水銀濃度計46は、煙道3を流れる排ガスの一部を取り込んで分析を行うことにより、排ガス中の水銀濃度の測定値を取得する。既述のように、排ガスの流れ方向においてバグフィルタ42の上流側(上流側煙道31)に上流側水銀濃度計45の取込口が配置され、バグフィルタ42の下流側(下流側煙道32)に下流側水銀濃度計46の取込口が配置される。図1の例では、上流側水銀濃度計45の取込口は、回収灰供給部443の供給口、および、吸着剤供給部41の供給口よりも上流側(焼却炉21側)に位置する。
ここで、排ガスに含まれる水銀は、主に、0価である原子状水銀(以下、「0価水銀」という。)、および、塩化水銀等の水銀化合物を構成する2価の水銀(以下、「2価水銀」という。)として存在している。また、上流側水銀濃度計45および下流側水銀濃度計46は、紫外線吸収法等により、0価水銀に基づいて水銀濃度の測定値を取得する濃度取得部を備える。
下流側水銀濃度計46は、排ガスに含まれる2価水銀を0価水銀に還元する還元触媒をさらに含み、還元後のガスに含まれる0価水銀の濃度(すなわち、排ガスに元から含まれる0価水銀、および、2価水銀を還元して得られる0価水銀の総濃度であり、以下、「全水銀濃度」という。)を下流側水銀濃度として測定する。排ガス処理装置4では、下流側水銀濃度計46により下流側水銀濃度が継続的に測定される。
一方、上流側水銀濃度計45は、還元触媒を含まず、排ガスに含まれる2価水銀を0価水銀に還元しない状態で、排ガスに元から含まれる0価水銀の濃度を上流側水銀濃度として測定する。上流側水銀濃度計45では、2価水銀を0価水銀に還元するために要する時間を省略して、上流側水銀濃度を迅速に測定することが可能となる。排ガス処理装置4では、上流側水銀濃度計45により上流側水銀濃度が継続的に測定される。
排ガス処理装置4の設計によっては、上流側水銀濃度計45において、還元触媒が設けられ、全水銀濃度が上流側水銀濃度として測定されてもよい。全水銀濃度の測定では、0価水銀および2価水銀の双方を検出するため、上流側水銀濃度を正確に測定することが可能となる。同様に、下流側水銀濃度計46において、0価水銀濃度が下流側水銀濃度として測定されてもよい。また、上流側水銀濃度計45および下流側水銀濃度計46では、0価水銀濃度と全水銀濃度とが選択的に測定可能であってもよい。
次に、排ガス処理装置4の基本動作について説明する。まず、吸着剤供給部41では、上流側水銀濃度計45における上流側水銀濃度(の測定値)に基づいて水銀吸着剤の供給量が制御される。例えば、上流側水銀濃度が比較的高い場合に、水銀吸着剤の供給量が増大され、上流側水銀濃度が比較的低い場合に、水銀吸着剤の供給量が低減される。なお、水銀吸着剤が活性炭である場合、活性炭はダイオキシン類も吸着するため、排ガスが煙道3を流れる間、所定量以上の水銀吸着剤が煙道3に常時供給されることが好ましい。排ガス処理装置4では、吸着剤供給部41による水銀吸着剤の供給量を制御することにより、下流側煙道32を流れる排ガス中の水銀濃度を低下することが可能となる。排ガス処理装置4では、上流側水銀濃度に基づいて、回収灰供給部443による回収灰の供給量も制御されてよい。また、下流側水銀濃度計46における下流側水銀濃度に基づいて、水銀吸着剤および回収灰の供給量が制御されてもよい。
バグフィルタ42では、複数のろ布列422に対して逆洗動作が一定の周期(例えば、数十分の間隔であり、以下、「設定周期」という。)にて順に実行される。典型的には、一のろ布列422に対して逆洗動作が実行されると、設定周期の経過後に、ろ布列422の配列順序の次のろ布列422に対して逆洗動作が実行される。複数のろ布列422に対して逆洗動作を行う順序は、配列順序以外であってもよい。また、バグフィルタ42の近傍では、上流側煙道31と下流側煙道32との差圧が測定されている。当該差圧(の測定値)が所定値以上となる場合には、一のろ布列422に対する逆洗動作から設定周期の経過前であっても、次のろ布列422に対して逆洗動作が実行される。以下の説明では、差圧が所定値以上となる場合の逆洗動作を「差圧に基づく逆洗動作」という。
回収灰分配部441では、逆洗動作により払い落とされた飛灰および水銀吸着剤等(すなわち、回収灰)が、所定の比率にて循環用貯留部442と排出用貯留部444とに分配される。既述のように、循環用貯留部442にて貯留される回収灰は、回収灰供給部443により上流側煙道31に供給される。また、排出用貯留部444にて貯留される回収灰には、必要に応じてキレート処理等が施され、その後、回収灰が廃棄される。
次に、上流側水銀濃度が高くなった異常時における排ガス処理装置4の動作について説明する。図3は、異常時に係る排ガス処理装置4の動作の流れを示す図である。異常時では、主としてバグフィルタ42および回収灰分配部441の動作が、異常時以外である通常時の動作と相違する。吸着剤供給部41および回収灰供給部443では、異常時においても通常時と同様に、上流側水銀濃度(および/または下流側水銀濃度)に基づいて水銀吸着剤および回収灰の供給量が制御される。なお、吸着剤供給部41および回収灰供給部443の動作が、通常時と異常時とで変更されてもよい。例えば、異常時において、吸着剤供給部41からの新たな水銀吸着剤を優先的に供給するため、回収灰の供給量が低減されてもよい。
既述のように、上流側水銀濃度計45では、上流側煙道31における上流側水銀濃度が継続的に測定される(ステップS11)。上流側水銀濃度が所定の第1閾値以上となると(ステップS12)、制御部40では、異常時となり、強制逆洗の実行を確定させる条件(以下、「強制逆洗の実行確定条件」という。)が成立したと判定される。強制逆洗は、設定周期よりも短周期で逆洗動作を実行する処理である。上流側水銀濃度が第1閾値以上となった直後では、後述する強制逆洗の実行開始条件が成立していないため、強制逆洗は行われない。既述のように、吸着剤供給部41では、上流側水銀濃度が高くなるに従って、水銀吸着剤の供給量が増大される。また、後述するように、排ガスの水銀濃度が高くなるに従って、水銀吸着剤における水銀の平衡吸着量が大きくなる。その結果、下流側水銀濃度(の測定値)が上昇することが抑制される。
図4は、上流側水銀濃度の変化の一例を示す図である。図4の例では、時刻T1において上流側水銀濃度が第1閾値V1以上となる。強制逆洗の実行確定条件が成立した後、制御部40では、上流側水銀濃度が第2閾値V2以上の値から第2閾値V2未満となったか否か、すなわち、強制逆洗の実行を開始する実行開始条件が成立したか否かが確認される。ここでは、第2閾値V2が第1閾値V1よりも大きいが、第2閾値V2が第1閾値V1以下であってもよい。上流側水銀濃度が0価水銀濃度である場合、第2閾値V2は、例えば3~100μg/m3Nである。上流側水銀濃度が全水銀濃度である場合、第2閾値V2は、例えば30~500μg/m3Nである。
図4の例では、上流側水銀濃度は、第1閾値V1以上となった時刻T1の直後も上昇傾向にあり、第2閾値V2以上となる。この時点では、強制逆洗の実行開始条件が成立しないため、強制逆洗は開始されない。換言すると、上流側水銀濃度が高い状態で強制逆洗が行われることはない。その後、上流側水銀濃度が第2閾値V2以上である期間がある程度続き、時刻T2において上流側水銀濃度が第2閾値V2未満となる(ステップS13)。これにより、強制逆洗の実行開始条件が成立し、強制逆洗が開始される(ステップS14)。
強制逆洗では、設定周期よりも短周期(短い間隔)での逆洗動作が、複数のろ布列422の全部または一部に対して順に行われる。これにより、上流側水銀濃度が高い状態(異常時)においてろ布列422に堆積していた、水銀の吸着量が多い水銀吸着剤が迅速に払い落とされる。後述するように、水銀の吸着量が多い水銀吸着剤では、上流側水銀濃度の低下に伴って水銀が脱離しやすくなるが、排ガス処理装置4では、上流側水銀濃度が第2閾値V2未満となる際に、強制逆洗が行われる。これにより、ろ布列422上の水銀吸着剤から水銀が脱離して、下流側水銀濃度が高くなることが防止または抑制される。
強制逆洗では、例えば、バグフィルタ42における複数のろ布列422の1/10以上に対して逆洗動作が行われる。好ましくは、複数のろ布列422の半分以上に対して逆洗動作が行われ、より好ましくは、複数のろ布列422の全てに対して逆洗動作が行われる。以下の説明では、強制逆洗において、複数のろ布列422の全てに対して逆洗動作が行われるものとする。強制逆洗における逆洗動作は、複数のろ布列422に対して1巡以上行われてもよい。強制逆洗における逆洗動作の周期は、エアコンプレッサ431において所定量の圧縮空気を繰り返し発生させることが可能な範囲で決定される。逆洗動作の周期は、例えば設定周期の1/2以下であり、好ましくは1/5以下であり、より好ましくは1/10以下である。
強制逆洗においてろ布列422から払い落とされて回収された回収灰(飛灰および水銀吸着剤等)は、回収灰分配部441により排出用貯留部444に供給される。原則として、回収灰は排出用貯留部444のみに分配される。したがって、水銀の吸着量が多い水銀吸着剤が、循環用貯留部442に貯留されて煙道3に供給されることはない。
好ましい排出用貯留部444では、強制逆洗において供給される回収灰が、通常時の逆洗動作において供給される回収灰と区別して貯留される。例えば、排出用貯留部444では、強制逆洗において供給される回収灰を加熱することにより、回収灰に含まれる水銀(水銀吸着剤に吸着された水銀)を揮発させる水銀除去処理が行われる。続いて、キレート剤を回収灰に混合するキレート処理が施され、その後、回収灰が廃棄される。回収灰が多くの水銀を含む場合に、キレート処理において回収灰から水銀が溶出することがあるが、強制逆洗において排出される回収灰に対して水銀除去処理を施すことにより、水銀除去処理後のキレート処理において、水銀が溶出することが防止される。
強制逆洗が完了すると、バグフィルタ42および回収灰分配部441が通常時の動作に戻される。バグフィルタ42では、強制逆洗における最後の逆洗動作が行われたろ布列422の次のろ布列422に対して、当該最後の逆洗動作から設定周期の経過後に、逆洗動作が実行される。なお、強制逆洗において一部のろ布列422のみに対して逆洗動作を行う場合、回収灰分配部441では、強制逆洗の実行開始条件の成立後、全てのろ布列422に対して逆洗動作(設定周期に基づく逆洗動作、および、差圧に基づく逆洗動作を含む。)が完了した後に、通常時の動作に戻される。これにより、上流側水銀濃度が高い状態(異常時)においてろ布列422に堆積していた水銀吸着剤が、循環用貯留部442に貯留されることが防止される。
なお、バグフィルタ42では、異常時において設定周期に基づく逆洗動作、および、差圧に基づく逆洗動作が、通常時と同様にして実行されてよい。設定周期に基づく逆洗動作、および、差圧に基づく逆洗動作では、一のろ布列422に対する逆洗動作から、次のろ布列422に対する逆洗動作までの期間が、強制逆洗における逆洗動作の周期に比べて十分に長い。したがって、異常時において設定周期に基づく逆洗動作、および、差圧に基づく逆洗動作を実行しても、問題とはならない。
次に、比較例の排ガス処理装置について述べる。比較例の排ガス処理装置では、上流側水銀濃度が第1閾値V1以上となった直後に、強制逆洗が行われる。強制逆洗では、複数のろ布列422に対する逆洗動作が短周期で順に行われる。したがって、複数のろ布列422上に堆積する水銀吸着剤の量が一時的に少なくなる。一方、上流側水銀濃度が第1閾値以上となった直後では、上流側水銀濃度が上昇傾向にあり、上流側水銀濃度が高い状態である。よって、水銀吸着剤がほとんど堆積していないろ布列422を、水銀濃度が高い排ガスが通過し、下流側水銀濃度が大幅に上昇してしまう。
これに対し、排ガス処理装置4では、上流側水銀濃度が第1閾値以上となった異常時において(すなわち、強制逆洗の実行確定条件の成立後に)、上流側水銀濃度が第2閾値以上の値から第2閾値未満となる際に、通常時において複数のろ布列422に対して逆洗動作を順に実行する設定周期よりも短周期での逆洗動作(強制逆洗)が開始される。これにより、水銀吸着剤が堆積していないろ布列422を、水銀濃度が高い排ガスが通過することによる下流側水銀濃度の上昇を抑制することができる。
図5は、気相水銀濃度と平衡吸着量の関係を示す図である。図5中の実線は、水銀を含む模擬排ガスを水銀吸着剤に所定時間通気する吸着実験により得られる気相水銀濃度と平衡吸着量の関係を示し、以下、「吸着側の曲線」という。図5中の破線は、水銀を吸着した水銀吸着剤に、水銀を含まない模擬排ガスを所定時間通気する脱離実験により得られる気相水銀濃度と平衡吸着量の関係を示し、以下、「脱離側の曲線」という。図5に示すように、吸着側の曲線および脱離側の曲線のいずれも、気相水銀濃度が高くなるに従って、平衡吸着量が大きくなる。また、一の平衡吸着量で比較した場合、脱離側の曲線が示す気相水銀濃度が、吸着側の曲線が示す気相水銀濃度よりも低くなる。したがって、ある水銀濃度において平衡吸着量の水銀を吸着した水銀吸着剤は、当該水銀濃度よりも低い水銀濃度において、水銀の脱離を開始する。
図4のように、時刻T3で上流側水銀濃度が最大となった後、上流側水銀濃度が低下する場合、時刻T3の直後に水銀が脱離することはないが、上流側水銀濃度の低下に伴って水銀が脱離しやすくなる。実際には、排ガスの水銀濃度は変動するため、必ずしも水銀吸着剤により平衡吸着量の水銀が吸着される訳では無い。排ガス処理装置4では、水銀吸着剤からの水銀の脱離量が大きくなる前に強制逆洗を開始するための適切な第2閾値V2が、実験等に基づいて予め設定されており、上流側水銀濃度が第2閾値V2未満となる際に、強制逆洗が開始される。これにより、上流側水銀濃度が高い状態においてろ布列422上の水銀吸着剤に吸着された水銀が、上流側水銀濃度の低下に伴って水銀吸着剤から脱離することによる下流側水銀濃度の上昇を抑制することが可能となる。
異常時となった後、ろ布列422上の水銀吸着剤が水銀の脱離を開始する排ガスの水銀濃度は、平均水銀濃度、平均排ガス流量、水銀吸着剤の平均供給量、異常時である状態の継続時間等に依存すると考えられる。例えば、水銀の脱離を開始する水銀濃度は、平均水銀濃度が高い場合、平均排ガス流量が大きい場合、および、異常時の継続時間が長い場合のそれぞれでは高くなり、水銀吸着剤の平均供給量が大きい場合には低くなる。したがって、これらの値に基づいて、制御部40において適切な第2閾値が適宜求められてもよい。すなわち、第2閾値は、変動してもよい。
好ましい強制逆洗では、短周期での逆洗動作が複数のろ布列422の半分以上に対して順に行われる。これにより、ろ布列422上の水銀吸着剤から水銀が脱離することによる下流側水銀濃度の上昇をより確実に抑制することができる。より好ましくは、短周期での逆洗動作が複数のろ布列422の全てに対して行われる。これにより、下流側水銀濃度の上昇をさらに抑制することができる。
排ガス処理装置4では、循環用貯留部442において貯留された回収灰が、回収灰供給部443により上流側煙道31に供給される。これにより、水銀吸着剤の消費量を削減しつつ、下流側水銀濃度を低下することができる。また、短周期での逆洗動作において回収された回収灰(回収吸着剤)が、回収灰分配部441により排出用貯留部444に供給される。これにより、水銀の吸着量が多い回収吸着剤が煙道3に供給されることを防止することができる。
また、上流側水銀濃度計45が、排ガスの0価水銀濃度を上流側水銀濃度として測定する。これにより、上流側水銀濃度を迅速に測定することができ、上流側水銀濃度に基づく各種制御の応答性を向上することができる。
(第2の実施の形態)
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る排ガス処理装置4の動作の流れを示す図である。図6では、下流側水銀濃度が高くなった異常時に係る排ガス処理装置4の動作の流れを示している。
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る排ガス処理装置4の動作の流れを示す図である。図6では、下流側水銀濃度が高くなった異常時に係る排ガス処理装置4の動作の流れを示している。
既述のように、下流側水銀濃度計46では、下流側煙道32における下流側水銀濃度が継続的に測定される。また、図3のステップS11と同様に、上流側水銀濃度計45では、上流側煙道31における上流側水銀濃度が継続的に測定される(ステップS21)。ろ布列422上の堆積物に含まれる水銀吸着剤において水銀が適切に除去されない場合、下流側水銀濃度が所定の第3閾値以上となる(ステップS22)。これにより、制御部40では、異常時となり、強制逆洗の実行確定条件が成立したと判定される。
強制逆洗の実行確定条件が成立した後、制御部40では、上流側水銀濃度が第4閾値未満であるか否か、すなわち、強制逆洗の実行開始条件が成立しているか否かが確認される。上流側水銀濃度が0価水銀濃度である場合、第4閾値は、例えば3~100μg/m3Nである。上流側水銀濃度が全水銀濃度である場合、第4閾値は、例えば30~500μg/m3Nである。上流側水銀濃度が第4閾値以上である場合には、強制逆洗の実行開始条件が成立しないため、強制逆洗は開始されない。換言すると、上流側水銀濃度が高い状態で強制逆洗が行われることはない。この場合でも、下流側水銀濃度が高くなるに従って、吸着剤供給部41による水銀吸着剤の供給量を増大することにより、下流側水銀濃度が大幅に上昇することが防止される。上流側水銀濃度が第4閾値未満となると(ステップS23)、強制逆洗の実行開始条件が成立し、強制逆洗が開始される(ステップS24)。
強制逆洗では、第1の実施の形態と同様に、設定周期よりも短周期での逆洗動作が、複数のろ布列422の全部(一部であってもよい。)に対して順に行われる。これにより、上流側水銀濃度の低下に伴ってろ布列422上の水銀吸着剤から水銀が脱離することによる、下流側水銀濃度の上昇が抑制される。なお、強制逆洗の実行確定条件が成立した際に、上流側水銀濃度が第4閾値未満である場合には、強制逆洗は直ぐに開始される。
第1の実施の形態と同様に、強制逆洗では、ろ布列422から払い落とされて回収された回収灰(飛灰および水銀吸着剤等)が、回収灰分配部441により排出用貯留部444のみに供給される。好ましい排出用貯留部444では、強制逆洗において供給される回収灰が、通常時の逆洗動作において供給される回収灰と区別して貯留される。また、強制逆洗において供給される回収灰に対して、水銀除去処理やキレート処理等が施される。強制逆洗が完了すると、バグフィルタ42および回収灰分配部441が通常時の動作に戻される。
ここで、下流側水銀濃度が第3閾値以上となった直後に、強制逆洗を行う比較例の処理を想定する。比較例の処理では、強制逆洗により、複数のろ布列422上に堆積する水銀吸着剤の量が一時的に少なくなる。この場合に、上流側水銀濃度が第4閾値以上である、すなわち、上流側水銀濃度が高い状態であるときには、水銀吸着剤がほとんど堆積していない複数のろ布列422を、水銀濃度が高い排ガスが通過し、下流側水銀濃度がさらに上昇する可能性がある。
これに対し、排ガス処理装置4では、下流側水銀濃度が第3閾値以上となった異常時において(すなわち、強制逆洗の実行確定条件の成立後に)、上流側水銀濃度が第4閾値未満である場合に、通常時において複数のろ布列422に対して逆洗動作を順に実行する設定周期よりも短周期での逆洗動作(強制逆洗)が開始される。これにより、水銀吸着剤が堆積していないろ布列422を、水銀濃度が高い排ガスが通過することによる下流側水銀濃度の上昇を抑制することができる。
また、短周期での逆洗動作において回収された回収灰(回収吸着剤)が、回収灰分配部441により排出用貯留部444に供給される。これにより、水銀の吸着量が多い回収吸着剤が煙道3に供給されることを防止することができる。
排ガス処理装置4および排ガス処理方法では様々な変形が可能である。
排ガス処理装置4では、上流側水銀濃度が第1閾値以上となった場合に(図3のステップS12)、ステップS13,S14の動作が行われ、下流側水銀濃度が第3閾値以上となった場合に(図6のステップS22)、ステップS23,S24の動作が行われてもよい。
バグフィルタ42において、逆洗動作が同時に行われるろ布群は、必ずしも一列に並ぶ複数のろ布(ろ布列)である必要はなく、例えば、行方向および列方向に互いに隣接して配置される複数のろ布の集合であってもよい。また、バグフィルタ42の設計によっては、1つのろ布が、逆洗動作の実行単位である、ろ布群として捉えられてもよい。
図1の排ガス処理装置4では、焼却炉21と吸着剤供給部41との間に、他のバグフィルタが配置されてもよい。この場合、当該他のバグフィルタにより、排ガスに含まれる飛灰が捕集され、バグフィルタ42では、吸着剤供給部41により煙道3に供給された水銀吸着剤が主として捕集される。バグフィルタ42のろ布列422から払い落とされた水銀吸着剤は、回収灰分配部441において回収吸着剤として回収され、循環用貯留部442と排出用貯留部444とに分配される。また、排ガス処理装置4において、バグフィルタ42、吸着剤供給部41、回収灰分配部441、循環用貯留部442、排出用貯留部444および回収灰供給部443と同様の組合せが、煙道3におけるバグフィルタ42と煙突22との間に追加されてもよい。
排ガス処理装置4において、循環用貯留部442および回収灰供給部443が省略され、全ての回収灰が排出用貯留部444に供給されてもよい。
上流側水銀濃度計45では、複数のろ布列422に対して排ガスの流れ方向上流側における排ガスの水銀濃度が測定可能であるならば、上流側水銀濃度計45の取込口は、任意の位置に設けられてよい。下流側水銀濃度計46も同様に、複数のろ布列422に対して排ガスの流れ方向下流側における排ガスの水銀濃度が測定可能であるならば、下流側水銀濃度計46の取込口は、任意の位置(例えば、煙突22以外の下流側煙道32)に設けられてよい。
回収灰供給部443では、複数のろ布列422に対して排ガスの流れ方向上流側における排ガスに、循環用貯留部442に貯留された回収吸着剤(回収灰)を供給することが可能であるならば、回収灰供給部443の供給口は、任意の位置(例えば、ケーシング421の内部)に設けられてよい。吸着剤供給部41において同様である。
排ガス処理装置4は、焼却設備1以外の設備において用いられてもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
発明を詳細に描写して説明したが、既述の説明は例示的であって限定的なものではない。したがって、本発明の範囲を逸脱しない限り、多数の変形や態様が可能であるといえる。
3 煙道
4 排ガス処理装置
40 制御部
41 吸着剤供給部
42 バグフィルタ
45 上流側水銀濃度計
46 下流側水銀濃度計
422 ろ布列
441 回収灰分配部
442 循環用貯留部
443 回収灰供給部
444 排出用貯留部
S11~S14,S21~S24 ステップ
4 排ガス処理装置
40 制御部
41 吸着剤供給部
42 バグフィルタ
45 上流側水銀濃度計
46 下流側水銀濃度計
422 ろ布列
441 回収灰分配部
442 循環用貯留部
443 回収灰供給部
444 排出用貯留部
S11~S14,S21~S24 ステップ
Claims (7)
- 排ガス処理装置であって、
排ガスが流れる煙道において、前記排ガスに水銀吸着剤を供給する吸着剤供給部と、
前記煙道に設けられ、複数のろ布群により前記水銀吸着剤を捕集するとともに、前記複数のろ布群のそれぞれに対する逆洗動作により、ろ布群から前記水銀吸着剤を払い落とす吸着剤捕集部と、
前記複数のろ布群に対して前記排ガスの流れ方向上流側における前記排ガスの水銀濃度を、上流側水銀濃度として測定する上流側水銀濃度計と、
通常時において前記複数のろ布群に対して前記逆洗動作を設定周期にて順に実行するとともに、前記上流側水銀濃度が第1閾値以上となった異常時において、前記上流側水銀濃度が第2閾値以上の値から前記第2閾値未満となる際に、前記設定周期よりも短周期での前記逆洗動作を開始する制御部と、
を備える。 - 排ガス処理装置であって、
排ガスが流れる煙道において、前記排ガスに水銀吸着剤を供給する吸着剤供給部と、
前記煙道に設けられ、複数のろ布群により前記水銀吸着剤を捕集するとともに、前記複数のろ布群のそれぞれに対する逆洗動作により、ろ布群から前記水銀吸着剤を払い落とす吸着剤捕集部と、
前記複数のろ布群に対して前記排ガスの流れ方向上流側における前記排ガスの水銀濃度を、上流側水銀濃度として測定する上流側水銀濃度計と、
前記複数のろ布群に対して前記排ガスの流れ方向下流側における前記排ガスの水銀濃度を、下流側水銀濃度として測定する下流側水銀濃度計と、
通常時において前記複数のろ布群に対して前記逆洗動作を設定周期にて順に実行するとともに、前記下流側水銀濃度が第3閾値以上となった異常時において、前記上流側水銀濃度が第4閾値未満である場合に、前記設定周期よりも短周期での前記逆洗動作を開始する制御部と、
を備える。 - 請求項1または2に記載の排ガス処理装置であって、
前記制御部が、前記短周期での前記逆洗動作を前記複数のろ布群の半分以上に対して順に行う。 - 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の排ガス処理装置であって、
前記ろ布群から払い落とされた前記水銀吸着剤を回収吸着剤として回収するとともに、循環用貯留部と排出用貯留部とに分配する分配部と、
前記複数のろ布群に対して前記排ガスの流れ方向上流側における前記排ガスに、前記循環用貯留部に貯留された前記回収吸着剤を供給する回収吸着剤供給部と、
をさらに備え、
前記短周期での前記逆洗動作において回収された前記回収吸着剤が、前記分配部により前記排出用貯留部に供給される。 - 請求項1ないし4のいずれか1つに記載の排ガス処理装置であって、
前記上流側水銀濃度計が、前記排ガスの0価水銀濃度を前記上流側水銀濃度として測定する。 - 排ガス処理装置における排ガス処理方法であって、
前記排ガス処理装置が、
排ガスが流れる煙道において、前記排ガスに水銀吸着剤を供給する吸着剤供給部と、
前記煙道に設けられ、複数のろ布群により前記水銀吸着剤を捕集するとともに、前記複数のろ布群のそれぞれに対する逆洗動作により、ろ布群から前記水銀吸着剤を払い落とす吸着剤捕集部と、
を備え、
前記排ガス処理方法が、
前記複数のろ布群に対して前記排ガスの流れ方向上流側における前記排ガスの水銀濃度を、上流側水銀濃度として測定する工程と、
前記上流側水銀濃度が第1閾値以上となった異常時において、前記上流側水銀濃度が第2閾値以上の値から前記第2閾値未満となる際に、通常時において前記複数のろ布群に対して前記逆洗動作を順に実行する設定周期よりも短周期での前記逆洗動作を開始する工程と、
を備える。 - 排ガス処理装置における排ガス処理方法であって、
前記排ガス処理装置が、
排ガスが流れる煙道において、前記排ガスに水銀吸着剤を供給する吸着剤供給部と、
前記煙道に設けられ、複数のろ布群により前記水銀吸着剤を捕集するとともに、前記複数のろ布群のそれぞれに対する逆洗動作により、ろ布群から前記水銀吸着剤を払い落とす吸着剤捕集部と、
を備え、
前記排ガス処理方法が、
前記複数のろ布群に対して前記排ガスの流れ方向下流側における前記排ガスの水銀濃度を、下流側水銀濃度として測定するとともに、前記複数のろ布群に対して前記排ガスの流れ方向上流側における前記排ガスの水銀濃度を、上流側水銀濃度として測定する工程と、
前記下流側水銀濃度が第3閾値以上となった異常時において、前記上流側水銀濃度が第4閾値未満である場合に、通常時において前記複数のろ布群に対して前記逆洗動作を順に実行する設定周期よりも短周期での前記逆洗動作を開始する工程と、
を備える。
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