WO2019221289A1

WO2019221289A1 - 包装容器およびスパウト付き包装容器の製造方法

Info

Publication number: WO2019221289A1
Application number: PCT/JP2019/019761
Authority: WO
Inventors: 佐々木　規行
Original assignee: 凸版印刷株式会社
Priority date: 2018-05-18
Filing date: 2019-05-17
Publication date: 2019-11-21
Also published as: CN112105564B; EP3795486A1; EP3795486A4; CN112105564A; US20230107089A1; US20200062440A1

Abstract

箱型の状態と平坦な状態との間で変形をさせることができ、かつ、意匠性が高い包装容器を提供する。包装容器は、互いに重なる第１の部分と第２の部分とを備え、第１の部分および第２の部分はそれぞれ、凸多角形面と、等脚台形面と、折り返し罫線の形成された折り返し面とを含み、折り返し罫線の長さは、平坦な状態において、折り返し罫線を、折り返し面の所定の方向に隣接する側辺を軸辺として線対称に反転させて、所定の方向に隣接する等脚台形面の軸辺の対辺を含む直線と交差するまで伸ばした線よりも短い。

Description

包装容器およびスパウト付き包装容器の製造方法

　本発明は、包装容器に関するものである。

　シート材を箱型に折り曲げ、端部を重ね合わせてシールすることにより形成される包装容器が知られている。

　例えば、特許文献１には、紙を基材とするシート材を用いた容器本体のサイドシールに剥離可能なプルタブを設けて、プルタブが、易剥離性のテープ状フィルムによる剥離層を介して剥離可能に設けられている包装容器（液体包装用紙容器）が開示されている。この包装容器は、プルタブを引っ張ることによってサイドシール部を剥離して、あるいは側面板に設けたプルタブを引っ張ることによって側面板を切り破って、それをきっかけとして解体することができる。

特開平９－２９０８２２号公報

　特許文献１の包装容器は廃棄に際して解体が容易であるため、ゴミの減容化に有用であるが、一度解体した包装容器を再度組立てて使用することはできなかった。

　また、特許文献１のようにシート材を折り曲げて箱型に形成される包装容器は、シンプルな構造で組み立てが容易である反面、形状の自由度が低く、意匠性の高い形状を採用し難かった。

　本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、箱型の状態と平坦な状態との間で変形をさせることができ、一度平坦な状態に潰した後でも再び箱型の状態に戻すことにより再使用することが可能であり、かつ、意匠性が高い包装容器を提供することを目的とする。

　上記課題を解決するための本発明の一局面は、シート材で形成され、箱型の状態と平坦な状態との間で変形可能な包装容器であって、平坦な状態において互いに重なる第１の部分と第２の部分とを備え、第１の部分に開口が形成され、第１の部分および第２の部分はそれぞれ、凸多角形状の凸多角形面と、凸多角形面の各辺から延出し、各辺を平行な２辺のうちの１辺とする等脚台形状の等脚台形面と、隣接する各等脚台形面の間に設けられた複数の折り返し面と、外縁の全周にわたる周縁部と、を有し、複数の折り返し面および周縁部は、それぞれ、各凸多角形面の頂点から周縁部に向かって、折り返し面に隣接する等脚台形面と折り返し面とが共有する第１の側辺および第２の側辺により形成される角を２等分して延出する折り返し罫線を備え、折り返し罫線の長さは、いずれも、平坦な状態において、折り返し罫線を、第１の側辺および第２の側辺のうちそれぞれ所定の方向に隣接する側辺を軸辺として線対称に反転させて、所定の方向に隣接する等脚台形面の軸辺の対辺を含む直線と交差するまで伸ばした線よりも短く、第１の部分および第２の部分は、周縁部において、互いにシールされたサイドシール部、または、シート材が折り返された接続部のいずれかによって接続しており、開口を除いて密閉性を有し、平坦な状態において、周縁部においてシート材を折り曲げ、またはさらに、接続部においてシート材を伸展させて、第１の部分と第２の部分との間に空隙を形成するとともに、第１の部分の開口を含む凸多角形面である上面と、第２の部分の凸多角形面であり上面に対向する下面と、等脚台形面により形成される複数の側面と、折り返し面および周縁部を折り返し罫線で折り畳んだ折り返し片と、を形成し、折り返し片を、それぞれ所定の方向の側面に沿わせて重ねることにより、折り返し片の先端が対辺から突出することなく箱型の状態に変形することができ、箱型の状態において、折り返し片を、側面から離脱させ、折り返し片を伸展させ、周縁部においてシート材を伸展させ、またはさらに、伸展された接続部においてシート材を折り返して、第１の部分と第２の部分との間の空隙を解消し、第１の部分と第２の部分とを互いに重ねることにより、平坦な状態に変形することができる、包装容器である。

　本発明によれば、箱型の状態と平坦な状態との間で変形をさせることができ、一度平坦な状態に潰した後でも再び箱型の状態に戻すことにより再使用することが可能であり、かつ、意匠性の高い包装容器を提供することができる。

図１は、本発明の第１の実施形態に係る包装容器の箱型の状態を示す斜視図および側面図である。図２は、本発明の第１の実施形態に係る包装容器の平坦な状態を示す斜視図である。図３は、本発明の第１の実施形態に係る包装容器のブランクの平面図である。図４は、比較形態に係る包装容器の箱型の状態を示す斜視図である。図５は、折り返し罫線の長さについて説明をするための平面図である。図６は、本発明の第１の実施形態に係る包装容器の変形手順を示す図である。図７は、ブランクの変形例を示す平面図である。図８は、本発明の第２の実施形態に係る包装容器の天部側シートの平面図である。図９は、本発明の第２の実施形態に係る包装容器の底部側シートの平面図である。図１０は、本発明の第２の実施形態に係る包装容器の平坦な状態の平面図である。図１１は、本発明の第２の実施形態に係る包装容器の箱型の状態の斜視図である。図１２は、本発明の第２の実施形態に係る包装容器の第１の変形例に係り、１枚のシートで天部側シートと底部側シートの双方を構成した場合の平面図である。図１３は、本発明の第２の実施形態に係る包装容器の第２の変形例の天部側シートの平面図である。図１４は、本発明の第２の実施形態に係る包装容器の第２の変形例の底部側シートの平面図である。図１５は、本発明の第２の実施形態に係る包装容器の第２の変形例の箱型の状態の斜視図である。図１６は、本発明の第２の実施形態に係る包装容器の第３の変形例の天部側シートの平面図である。図１７は、本発明の第２の実施形態に係る包装容器の第３の変形例の底部側シートの平面図である。図１８は、本発明の第２の実施形態に係る包装容器の第３の変形例の箱型の状態の斜視図である。図１９は、本発明の第３の実施形態に係る包装容器の天部側シートの平面図である。図２０は、本発明の第３の実施形態に係る包装容器の底部側シートの平面図である。図２１は、本発明の第３の実施形態に係る包装容器の平坦な状態の平面図である。図２２は、本発明の第３の実施形態に係る包装容器の箱型の状態の斜視図である。図２３は、本発明の第３の実施形態に係る包装容器の第１の変形例に係り、１枚のシートで天部側シートと底部側シートの双方を構成した場合の平面図である。図２４は、本発明の第３の実施形態に係る包装容器の第２の変形例の天部側シートの平面図である。図２５は、本発明の第３の実施形態に係る包装容器の第２の変形例の底部側シートの平面図である。図２６は、本発明の第３の実施形態に係る包装容器の第２の変形例の箱型の状態の斜視図である。図２７は、本発明の第３の実施形態に係る包装容器の第３の変形例の天部側シートの平面図である。図２８は、本発明の第３の実施形態に係る包装容器の第３の変形例の底部側シートの平面図である。図２９は、本発明の第３の実施形態に係る包装容器の第３の変形例の箱型の状態の斜視図である。図３０は、本発明に係るスパウト付き包装容器の製造方法に用いることができるスパウトの斜視図である。図３１は、本発明に係るスパウト付き包装容器の製造方法のスパウト付き第１の部分製造工程の説明用斜視図である。図３２は、本発明に係るスパウト付き包装容器の製造方法の固定工程の説明用斜視図である。

　本発明の実施形態に係る包装容器について、図を参照して説明する。なお、実施形態及び変形例において、同一または対応する構成には、同一の参照符号を付して適宜説明を省略する。また、以下の説明では、便宜上、包装容器を箱型の状態として正立させた状態での上下を上下方向と呼ぶ。

＜第１の実施形態＞
　本発明の第１の実施形態に係る包装容器１１００は、シート材を所定の形状に裁断したブランクの端部を重ね合わせてシールすることにより形成された、箱型の状態と平坦な状態との間で変形可能な容器である。

　図１に箱型の状態にある包装容器１１００の斜視図（図１の（ａ））および側面図（図１の（ｂ））を示し、図２に平坦な状態にある包装容器１１００の斜視図を示す。また、図３に包装容器１１００のブランクの一例の平面図を示す。図２の（ａ）は、平坦な状態にある包装容器１１００の上面１１１０を上方にした状態を示す斜視図であり、図２の（ｂ）は、平坦な状態にある包装容器１１００の下面１１３０を上方にした状態を示す斜視図である。なお、図１の（ｂ）では、包装容器１１００の形状を明確にするため、図１の（ａ）に示したサイドシール部１１４０および折り返し片１１５０の図示を省略する。

（箱型の状態）
　図１に示すように、箱型の状態にある包装容器１１００は、上面１１１０と、下面１１３０と、側面１１２０とにより空隙（収容空間）が形成される。側面１１２０の外周面には、サイドシール部１１４０および折り返し片１１５０が沿うように設けられている。包装容器１１００では、一例としてサイドシール部１１４０は、端縁が上面１１１０側に向いた状態で側面１１２０に沿っている例を示したが、サイドシール部１１４０は、端縁が下面１１３０側に向いた状態で側面１１２０に沿っていても良い。

（平坦な状態）
　図２に示すように、平坦な状態にある包装容器１１００は、互いに重なる第１の部分１１７０ａと第２の部分１１７０ｂとにより構成される。図３に示すように、包装容器１１００を形成するためのブランクは、第１の部分１１７０ａに対応するブランク１１０１ａと、第２の部分１１７０ｂに対応するブランク１１０１ｂとにより構成される。

　第１の部分１１７０ａは、上面１１１０と、上面１１１０の各辺から延出する複数の上側等脚台形面１１２０ａと、隣接する各上側等脚台形面１１２０ａの間に形成された複数の上側折り返し面１１５０ａと、上側等脚台形面１１２０ａおよび上側折り返し面１１５０ａの上面１１１０と反対側の端縁に沿って、第１の部分１１７０ａの外縁の全周にわたる周縁部を構成する上側シール代１１４０ａとを含む。

　第２の部分１１７０ｂは、下面１１３０と、下面１１３０の各辺から延出する複数の下側等脚台形面１１２０ｂと、隣接する各下側等脚台形面１１２０ｂの間に形成された複数の下側折り返し面１１５０ｂと、下側等脚台形面１１２０ｂおよび下側折り返し面１１５０ｂの下面１１３０と反対側の端縁に沿って、第２の部分１１７０ｂの外縁の全周にわたる周縁部を構成する下側シール代１１４０ｂとを含む。

　上面１１１０および下面１１３０は凸多角形状の面である。包装容器１１００では一例として、上面１１１０と下面１１３０とは合同な形状に形成されている。上面１１１０と下面１１３０とは、一例として面積が異なる互いに相似な形状であってもよい。上面１１１０および下面１１３０の形状は、凸多角形状であれば限定されない。上面１１１０および下面１１３０の形状は、実施形態として示した六角形以外に箱型状態での積載効率、部材の取り都合等の面から四角形も有用である。上面１１１０には、開口１１１１が形成されている。

　複数の上側等脚台形面１１２０ａおよび複数の下側等脚台形面１１２０ｂは、箱型の状態にある包装容器１１００の側面１１２０を構成する面である。包装容器１１００では、一例として上側等脚台形面１１２０ａおよび下側等脚台形面１１２０ｂは矩形状である。上側等脚台形面１１２０ａおよび下側等脚台形面１１２０ｂの少なくともいずれかは、矩形ではない等脚台形状であってもよい。

　上側等脚台形面１１２０ａは、上面１１１０（凸多角形状の面）の各辺から延出し、平行な２辺のうちの１辺を上面１１１０の各辺とする。また、下側等脚台形面１１２０ｂは、下面１１３０（凸多角形状の面）の各辺から延出し、平行な２辺のうちの１辺を下面１１３０の各辺とする。また、図１の（ｂ）に示すように上側等脚台形面１１２０ａの上側シール代１１４０ａ側の辺と、下側等脚台形面１１２０ｂの下側シール代１１４０ｂ側の辺とが同じ長さに形成されている。

　上側折り返し面１１５０ａおよび下側折り返し面１１５０ｂは、箱型の状態にある包装容器１１００の折り返し片１１５０を構成する面であり、後述する変形の過程において折り畳まれる面である。

　上側折り返し面１１５０ａおよび下側折り返し面１１５０ｂは、変形の過程における折り畳みを容易にするために、図３に点線で示すように、上面１１１０および下面１１３０の各頂点から、第１の部分１１７０ａおよび第２の部分１１７０ｂの周縁部に向かって延出する折り返し罫線１１５１を備える。

　図３に示すように、上側折り返し面１１５０ａに形成される折り返し罫線１１５１は、上側折り返し面１１５０ａに隣接する上側等脚台形面１１２０ａと上側折り返し面１１５０ａとが共有する第１の側辺１１２１ａおよび第２の側辺１１２２ａにより形成される角を２等分して延出する。また、下側折り返し面１１５０ｂに形成される折り返し罫線１１５１も同様に、下側折り返し面１１５０ｂに隣接する下側等脚台形面１１２０ｂと下側折り返し面１１５０ｂとが共有する第１の側辺１１２１ｂおよび第２の側辺１１２２ｂにより形成される角を２等分して延出する。

　上側シール代１１４０ａおよび下側シール代１１４０ｂは、第１の部分１１７０ａと第２の部分１１７０ｂとを周縁部において接続するために設けられる帯状の面である。第１の部分１１７０ａと第２の部分１１７０ｂとを接続する際には、第１の部分１１７０ａと第２の部分１１７０ｂとを互いに重ね合せて、上側シール代１１４０ａと下側シール代１１４０ｂとが対向する面を互いにシール、接着等してサイドシール部１１４０を形成する。上側シール代１１４０ａおよび下側シール代１１４０ｂの形状は、重ね合せてサイドシール部１１４０を形成するために、互いに重なるシール代があればよく、任意に設定できる。

　サイドシール部１１４０の幅、すなわち上側シール代１１４０ａおよび下側シール代１１４０ｂの幅は、第１の部分１１７０ａと第２の部分１１７０ｂとを接続することができれば一定であってもよいし、一定でなくてもよく、端縁は直線状でなくてもよい。例えば、上側シール代１１４０ａおよび下側シール代１１４０ｂの幅をそれぞれ、上側折り返し面１１５０ａおよび下側折り返し面１１５０ｂの外方において、折り返し罫線１１５１に向かって所定の角度で外方に拡がるように形成してもよい。このように形成することで、後述するように、複数の上側等脚台形面１１２０ａおよび複数の下側等脚台形面１１２０ｂを矩形ではない形状として、側面１１２０にテーパーを設けた包装容器１１００を箱型の状態にした場合に、周縁部を上面１１１０および下面１１３０の各辺と平行な直線上にそろえて形成でき、意匠性を向上させることができる。

　シールをする領域は、例えば図３にハッチングを付して示すように、所定幅の帯状領域とすることができる。このようにして形成された包装容器１１００は、開口１１１１を除いて密閉性を有している。

　ブランク１１０１ａ、１１０１ｂは、例えばシート材を所定形状に裁断し、図３に細線および点線で示すように罫線を設けることにより各面を構成する領域を区画して形成することができる。

　ブランク１１０１ａ、１１０１ｂに用いるシート材としては、特に限定されないが、例えば紙製の基材層に、熱可塑性樹脂層やシーラント層を積層した積層フィルムを好適に用いることができる。これ以外にも、必要な機能に応じて、バリア層や機能性フィルム等を適宜追加してもよい。

（折り返し罫線の長さについて）
　包装容器１１００は、折り返し罫線１１５１が所定の長さよりも長い場合に、折り返し片１１５０の先端が隣接する折り返し片１１５０の延出する辺から突出する場合がある。図４に、折り返し片１１５０の先端が隣接する折り返し片１１５０の延出する辺から突出した、比較形態に係る包装容器１５００の斜視図を示す。このように、折り返し片１１５０が突出すると包装容器１１００の見栄えが悪くなる。また、突出した折り返し片１１５０を隣接する折り返し片１１５０の表面に沿って折り返した場合も、包装容器１１００の厚みが増えて見栄えがよくない。さらに、シート材に厚みがあると、折り返し片１１５０を複数枚重ねることが困難となる場合もある。

　これを防ぐために、包装容器１１００では、折り返し罫線１１５１は、次のように設定される。すなわち、折り返し罫線１１５１は、いずれも、包装容器１１００が平坦な状態において、折り返し罫線１１５１を、第１の側辺１１２１ａ、１１２１ｂおよび第２の側辺１１２２ａ、１１２２ｂのうちそれぞれ所定の方向に隣接する側辺を軸辺として線対称に反転させて、所定の方向に隣接する上側等脚台形面１１２０ａおよび下側等脚台形面１１２０ｂの軸辺の対辺を含む直線と交差するまで伸ばした線よりも短くなるように設定される。

　ブランク１１０１ａを用いて折り返し罫線１１５１の長さについて具体的に説明する。図５に、包装容器１１００のブランク１１０１ａの部分拡大図を示す。

　図５に太線で示した長さＬ１の折り返し罫線１１５１を例にして説明をする。初めに、折り返し罫線１１５１を、所定の方向（一例として図５において、第１の側辺１１２１ａの方向）へ隣接する側辺（第１の側辺１１２１ａ）を軸辺として、白矢印で示すように線対称に反転させた線分を想定する。そして、反転した線分を、上述の所定の方向に隣接する下側等脚台形面１１２０ａの軸辺の対辺（第２の側辺１１２２ａ）を含む直線と交差するまで伸ばすことにより長さＬ２の線分１１５１’を求める。この結果として得られる、線分１１５１’の長さＬ２と、折り返し罫線１１５１の長さＬ１との関係が、Ｌ１＜Ｌ２となるように包装容器１１００の各部の寸法が決定される。

　なお、上述の説明では、「所定の方向」を折り返し罫線１５１から見て第１の側辺１１２１ａの方向（図５の紙面左側）としたが、これとは反対の第２の側辺１１２２ａの方向（図５の紙面右側）を「所定の方向」としてもよい。

　折り返し罫線１１５１の長さＬ１を線分１１５１’の長さＬ２よりも短くするためには、具体的には、例えば、上面１１１０および下面１１３０の各辺の長さを長くしつつ、上側等脚台形面１１２０ａおよび下側等脚台形面１１２０ｂの高さ（包装容器１１００の上下方向における長さ）を低く設定する。これにより、包装容器１１００の内容量を一定にしながら、折り返し片１１５０の先端が隣接する折り返し片１１５０が延出する辺から突出することを防ぐことができる。これにより、折り返し片１１５０どうしが重なる領域の面積を無くすことができるため、内容量を一定にしながら、包装容器１１００の製造に必要となるブランク１１０１ａ、１１０１ｂの量も減らすことができる。

（変形方法）
　次に、平坦な状態にある包装容器を箱型の状態へ変形させる方法の一例を、包装容器１１００を用いて説明する。図６の（ａ）から図６の（ｄ）に、容器本体１００の変形方法の一例を説明する図を示す。

　初めに、図６の（ａ）に示すように、平坦な状態にある包装容器１１００の第１の部分１１７０ａおよび第２の部分１１７０ｂを周縁部において（詳細には、サイドシール部１１４０と上側等脚台形面１１２０ａおよび下側等脚台形面１１２０ｂとの間の罫線に沿って）折り曲げて、第１の部分１１７０ａと第２の部分１１７０ｂとを引き離す。これにより、第１の部分１１７０ａと第２の部分１１７０ｂとの間に空隙を形成するとともに、上面１１１０と、下面１１３０と、側面１１２０とを形成する。同時に、上側折り返し面１１５０ａおよび下側折り返し面１１５０ｂのそれぞれは隣接する上側等脚台形面１１２０ａと下側等脚台形面１１２０ｂと共有する辺（第１の側辺１１２１ａ、１１２１ｂおよび第２の側辺１１２２ａ、１１２２ｂ）どうしが近づく。これにより、上側折り返し面１１５０ａおよび下側折り返し面１１５０ｂは、折り返し罫線１１５１が空隙の外方へ向かうように折り畳まれて、折り返し片１１５０となる。

　次に、図６の（ｂ）に示すように、サイドシール部１１４０を上面１１１０に向けて側面１１２０に沿わせる。なお、サイドシール部１１４０は下面１１３０に向けて側面１１２０に沿わせてもよい。

　次に、図６の（ｃ）に示すように、折り返し片１１５０を側面１１２０の外周面に沿わせる。折り返し片１１５０を沿わせる方向は限定されず、図６の（ｃ）に示すように、複数の折り返し片１１５０を側面１１２０の周方向に沿って同一の方向へ向かって沿わせてもよいし、それぞれの折り返し片１１５０を異なる方向へ沿わせてよい。

　この際、折り返し片１１５０を、側面１１２０の表面へ貼り付けてもよい。折り返し片１１５０を側面１１２０へ貼り付ける方法としては、例えば、ヒートシール、ホットメルト接着剤等を用いる方法がある。また、面ファスナー、スナップボタン等の着脱可能な接合部材によって貼り付けることで、箱型の状態から平坦な状態へ変形させた包装容器１１００を再び箱型の状態として使用することができるため、平坦な状態にした包装容器１１００の再使用が可能となる。

　以上の手順により、図６の（ｄ）に示すように、平坦な状態であった包装容器１１００を箱型の状態へ変形させることができる。

　箱型の状態の包装容器１１００は、上述と反対の手順により平坦な状態にすることができる。

　具体的には、初めに、箱型の状態の包装容器１１００の折り返し片１１５０を側面１１２０から離脱させる。

　次に、周縁部において（詳細には、サイドシール部１１４０と側面１１２０との間の罫線に沿って）第１の部分１１７０ａと第２の部分１１７０ｂとを伸展させる。

　次に、第１の部分１１７０ａと第２の部分１１７０ｂとの間の空隙を解消し、第１の部分１１７０ａと第２の部分１１７０ｂとを互いに重ねることにより、包装容器１１００を平坦な状態に変形することができる。

＜変形例＞
　以上の実施形態では、第１の部分１１７０ａおよび第２の部分１１７０ｂに対応する２枚のブランク１１０１ａ、１１０１ｂを用いて包装容器を形成する例を示したが、これらのブランクを一体に形成してもよい。図７に変形例に係るブランク１１０２を示す。ブランク１１０２は、図７に示すように第１の部分１１７０ａおよび第２の部分１１７０ｂに対応するブランクの周縁部の一部が接続部１１８０により接続されている。

　ブランク１１０２を用いて包装容器１１００を形成する場合には、例えば接続部１１８０で折り返すことにより、周縁部が円形状に形成された第１の部分１１７０ａと第２の部分１１７０ｂとを重ね、その後、上側シール代１１４０ａおよび下側シール代１１４０ｂをシールする。このようにブランクを一体に形成することで、例えばシート材を打ち抜いてブランクを形成する場合に、１枚のシート材から多くのブランクを打ち抜くことができるため、低コストで包装容器を製造することができる。

　なお、ブランク１１０２を用いて形成された包装容器１１００の第１の部分１１７０ａと第２の部分１１７０ｂとを引き離して箱型の状態に変形するときには、接続部１１８０は伸展させられる。また、平坦な状態に変形するときには、接続部１１８０は折り返される。

　また、上述の実施の形態、変形例において、上側等脚台形面１１２０ａおよび下側等脚台形面１１２０ｂの少なくともいずれかを矩形ではない等脚台形面に形成してもよい。上側等脚台形面１１２０ａおよび下側等脚台形面１１２０ｂをこのように形成することで、箱型の状態とした包装容器の側面１１２０のサイドシール部１１４０よりも上方および下方の少なくともいずれかの側面を順テーパーまたは逆テーパー形状とすることができる。これにより、さらに意匠性の高い形状を有する包装容器を提供することができる。

　また、本発明の包装容器の開口１１１１にスパウトを取り付けてもよい。開口１１１１にキャップを装着することのできるスパウトを取り付けることにより、開口１１１１の密閉が容易となる。また、スパウトを取り付けることで、例えば平坦な状態に折り畳まれた包装容器を箱型に変形させ、液体等の内容物を充填した後に、キャップ等を使用して開口１１１１を密閉することができる。このため、例えば内容物の充填ラインにおいて密閉性を確保するためのシール工程がなくなり、充填ラインでのシール性の保証が不要となる。このため、本発明の包装容器を用いれば、効率的に内容物を充填することが可能となる。

　また、本発明の包装容器によれば、包装容器を平坦な状態にして運搬できるため、包装容器の積載効率がよく、運搬、保管費用を低減することができる。

＜第２の実施形態＞
　以下、図面を参照して本発明の第２の実施形態に係る包装容器を説明する。図８～１１は本発明の第２の実施形態に係る包装容器２１およびこれを形成するためのシート材を示す図であり、図８及び図９は、それぞれ、天部側シート２１Ａ及び底部側シート２１Ｂを示している。

　まず、天部側シート２１Ａは、その中央に多角形状の天面２１Ａ１０を有している。この例では、長方形状である。そして、この天面２１Ａ１０には開口部２１Ａ１１が設けられている。この開口部２１Ａ１１に口栓を装着しておくこともできる。

　次に、天部側シート２１Ａは、多角形状の天面２１Ａ１０の各辺を折り曲げ用罫線として、この天面２１Ａ１０の各辺を一辺とする四角形状の天部側側面２１Ａ２１～２１Ａ２４を有している。天部側側面２１Ａ２１～２１Ａ２４の数は、多角形状天面２１Ａ１０の辺の数と同じである。この例では天面２１Ａ１０は四角形状であるから、この四角形状天面２１Ａ１０の辺の数は４であり、天部側側面２１Ａ２１～２１Ａ２４の数も４である。

　また、天部側シート２１Ａは、互いに隣接する各天部側側面の間に、この天部側側面２１Ａ２１～２１Ａ２４同士を繋ぐ天部側つなぎ片２１Ａ３１～２１Ａ３４を有している。すなわち、天部側側面２１Ａ２１と天部側側面２１Ａ２２との間は天部側つなぎ片２１Ａ３１で繋がれている。また、天部側側面２１Ａ２２と天部側側面２１Ａ２３との間は天部側つなぎ片２１Ａ３２で繋がれている。その他の天部側側面についても同様である。なお、各天部側側面２１Ａ２１～２１Ａ２４と天部側つなぎ片２１Ａ３１～２１Ａ３４との間には折り曲げ用罫線が設けられている。

　そして、この天部側つなぎ片２１Ａ３１～２１Ａ３４によって、天部側側面２１Ａ２１～２１Ａ２４の間は閉塞されている。図示のように、この例では、天部側側面２１Ａ２１～２１Ａ２４と天部側つなぎ片２１Ａ３１～２１Ａ３４とを併せた部分の外形は長方形を構成しており、各天部側つなぎ片２１Ａ３１～２１Ａ３４はその角部に位置して、天部側側面２１Ａ２１～２１Ａ２４の間を閉塞している。例えば、天部側側面２１Ａ２１と天部側側面２１Ａ２２との間は天部側つなぎ片２１Ａ３１で閉塞している。

　この天部側つなぎ片２１Ａ３１～２１Ａ３４は、天面２１Ａ１０の各頂点から、天部側つなぎ片２１Ａ３１～２１Ａ３４を二等分する天部側二つ折り用罫線を有している。すなわち、図８に拡大して示すように、例えば、天部側側面２１Ａ２３と天部側側面２１Ａ２４とは、天面２１Ａ１０の頂点２１Ａ１０ｂを共有している。天部側側面２１Ａ２３を構成する辺のうち、天面２１Ａ１０の頂点２１Ａ１０ｂを共有している辺には、符号２１Ａ２３ｂを付して示している。また、天部側側面２１Ａ２４を構成する辺のうち、天面２１Ａ１０の頂点２１Ａ１０ｂを共有している辺には、符号２１Ａ２４ｂを付して示している。そして、この辺２１Ａ２３ｂと辺２１Ａ２４ｂとがなす角を二等分する天部側二つ折り用罫線２１Ａ３３ｃが設けられている。すなわち、図において、辺２１Ａ２３ｂと二つ折り用罫線２１Ａ３３ｃとがなす角α１と、辺２１Ａ２４ｂと天部側二つ折り用罫線２１Ａ３３ｃとがなす角α２とは等しい。以上天部側つなぎ片２１Ａ３３を例として天部側二つ折り用罫線２１Ａ３３ｃについて説明したが、その他の天部側つなぎ片２１Ａ３１～２１Ａ３２，２１Ａ３４にも同様に天部側二つ折り用罫線２１Ａ３１ｃ～２１Ａ３２ｃ，２１Ａ３４ｃが設けられている。

　次に、天部側シート２１Ａは、これら天部側側面２１Ａ２１～２１Ａ２４と天部側つなぎ片２１Ａ３１～２１Ａ３４とを併せた長方形の部分の外側に、底部側シート２１Ｂと固定する天部側固定部２１Ａ４０を有している。この例では、天部側固定部２１Ａ４０は、全周にわたってヒートシール領域で構成しているが、後述する変形例のように、天部側シート２１Ａと底部側シート２１Ｂの両者を１枚のシートで構成する場合には、天部側固定部２１Ａ４０の一部を天部側シート２１Ａと底部側シート２１Ｂとを区画する折り曲げ用罫線２１ＡＢで構成することも可能である。

　図から分かるように、この天部側固定部２１Ａ４０の端縁２１Ａｙは、天部側固定部２１Ａ４０の外形線を構成すると共に、天部側シート２１Ａの端縁（外形線）を構成している。この例では、天部側シート２１Ａの端縁２１Ａｙの形状は略長方形で、その角は面取りして鋭利な部分を除去してある。

　そして、底部側シート２１Ｂと重ね合わせる際の位置合わせのため、この天部側固定部２１Ａ４０の端縁２１Ａｙには、位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ａｙ２が２箇所に設けられている。この位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ａｙ２は、いずれも、前記端縁２１Ａｙから内側に窪んだ凹部で構成されており、その深さ２１ＤＡは０．５ｍｍ以上であることが必要である。位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ａｙ２のうち、いずれか一方の深さ２１ＤＡが０．５ｍｍに満たない場合、後述する実施例から分かるように、確実に位置合わせすることができず、このため、箱型の状態とした包装容器２１に歪みを生じ易い。なお、位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ａｙ２の深さ２１ＤＡは、望ましくは１．０ｍｍ以上である。

　この位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ａｙ２を、前記端縁２１Ａｙから外側に突出した凸部で構成することもできるが、この場合には、その凸部の高さを０．５ｍｍ以上とする必要がある。望ましくは１．０ｍｍ以上である。

　なお、２以上の前記位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ａｙ２のうち、一部を凹部で構成し、残部を凸部で構成することも可能である。また、３以上の位置合わせマークを設けてもよいことはもちろんである。

　なお、図８においては、天部側固定部２１Ａ４０にハッチングを施して示し、この天部側固定部２１Ａ４０と天部側側面２１Ａ２１～２１Ａ２４との境界、及び天部側固定部２１Ａ４０と天部側つなぎ片２１Ａ３１～２１Ａ３４との境界を破線２１Ａｘによって示しているが、これらは説明の便宜のために施したものである。後述する底部側シート２１Ｂの底部側固定部２１Ｂ４０と底部側側面２１Ｂ２１～２１Ｂ２４との境界２１Ｂｘと異なり、天部側固定部２１Ａ４０と天部側側面２１Ａ２１～２１Ａ２４との境界には折り曲げ用罫線は存在しない。天部側固定部２１Ａ４０と天部側つなぎ片２１Ａ３１～２１Ａ３４との境界にも折り曲げ用罫線は存在しない。

　次に、底部用シート２１Ｂは天部側シート２１Ａと同様の構造を有している。すなわち、まず、底部用シート２１Ｂは中央に多角形状の底面２１Ｂ１０を有している。この多角形状底面２１Ｂ１０は天面２１Ａ１０と同形同大（合同）である。

　また、底部用シート２１Ｂは、多角形状の底面２２１Ｂ１０の各辺を折り曲げ用罫線として、この各辺を一辺とする四角形状の底部側側面２１Ｂ２１～２１Ｂ２４を、前記多角形状底面２１Ｂ１０の辺の数と同じ数だけ有している。これら底部側側面２１Ｂ２１～２１Ｂ２４も、それぞれ、天部側側面２１Ａ２１～２１Ａ２４と同形同大である。

　また、底部用シート２１Ｂは、互いに隣接する各底部側側面２１Ｂ２１～２１Ｂ２４の間に、この底部側側面２１Ｂ２１～２１Ｂ２４同士を繋いでしかも閉塞する底部側つなぎ片２１Ｂ３１～２１Ｂ３４を有している。これら底部側つなぎ片２１Ｂ３１～２１Ｂ３４は天部側つなぎ片２１Ａ３１～２１Ａ３４と同形同大である。

　また、各底部側側面２１Ｂ２１～２１Ｂ２４と底部側つなぎ片２１Ｂ３１～２１Ｂ３４との間には折り曲げ用罫線が設けられている。また、各底部側つなぎ片２１Ｂ３１～２１Ｂ３４には、底面２１Ｂ１０の各頂点から、底部側つなぎ片２１Ｂ３１～２１Ｂ３４を二等分する底部側二つ折り用罫線２１Ｂ３１ｃ～２１Ｂ３４ｃが設けられている。

　次に、底部側シート２１Ｂは、これら底部側側面２１Ｂ２１～２１Ｂ２４と底部側つなぎ片２１Ｂ３１～２１Ｂ３４とを併せた長方形の部分の外側に、天部側シート２１Ａと固定する底部側固定部２１Ｂ４０を有している。この例では、底部側固定部２１Ｂ４０は、全周にわたってヒートシール領域である。

　図から分かるように、この底部側固定部２１Ｂ４０の外形線２１Ｂｙは、底部側固定部２１Ｂ４０の外形線を構成すると共に、底部側シート２１Ｂの端縁（外形線）を構成している。この例では、その外形は略長方形である。

　そして、この底部側シート２１Ｂの外形は、一例として天部側シート２１Ａの外形より小さく構成されている。

　図８において２１ＬＡは天部側シート２１Ａの横方向の長さを示し、図９において２１ＬＢは底部側シート２１Ｂの横方向の長さを示している。そして、その差、すなわち、天部側シート２１Ａの横方向の長さ２１ＬＡと底部側シート２１Ｂの横方向の長さ２１ＬＢとの差は、０．６ｍｍ以上であることが望ましい。後述するように、天部側シート２１Ａと底部側シート２１Ｂとを位置合わせして重ねたとき、天部側シート２１Ａの横方向の長さ２１ＬＡと底部側シート２１Ｂの横方向の長さ２１ＬＢとの差が０．６ｍｍ以上ある場合には、両シート２１Ａ，２１Ｂの端縁が０．３ｍｍ以上ずれて配置される。このため、底部側シート２１Ｂの端縁２１Ｂｙは天部側シート２１Ａに覆われるため、底部側シート２１Ｂの端縁２１Ｂｙが露出することがない。天部側シート２１Ａと底部側シート２１Ｂとの間に多少の位置ずれが生じた場合でも、底部側シート２１Ｂの端縁２１Ｂｙが露出することはないのである。なお、天部側シート２１Ａの横方向の長さ２１ＬＡと底部側シート２１Ｂの横方向の長さ２１ＬＢとの差は１．０ｍｍ以上あることが望ましい。

　また、図８において２１ＨＡは天部側シート２１Ａの縦方向の長さを示し、図８において２１ＨＢは底部側シート２１Ｂの縦方向の長さを示している。その差、すなわち、天部側シート２１Ａの縦方向の長さ２１ＨＡと底部側シート２１Ｂの縦方向の長さ２１ＨＢとの差も、０．６ｍｍ以上であることが望ましい。なお、その差も１．０ｍｍ以上あることが望ましい。

　このように、縦横共に天部側シート２１Ａの長さが底部側シート２１Ｂの長さより長い場合には、どの方向でも、天部側シート２１Ａの長さが底部側シート２１Ｂの長さより長いことになる。このため、全周のいずれの位置においても、多少の位置ずれが生じた場合でも、底部側シート２１Ｂの端縁２１Ｂｙが露出することがない。

　なお、底部側シート２１Ｂの底部側固定部２１Ｂ４０と底部側側面２１Ｂ２１～２１Ｂ２４との境界、及び底部側固定部２１Ｂ４０と底部側つなぎ片２１Ｂ３１～２１Ｂ３４との境界には折り曲げ用罫線２１Ｂｘが設けられている。天部側シート２１Ａの天部側固定部２１Ａ４０の境界には折り曲げ用罫線が存在しないから、この両シート２１Ａ，２１Ｂを重ねて固定し、箱型の状態としたとき、互いに固定された両固定部２１Ａ４０，２１Ｂ４０は折り曲げ用罫線２１Ｂｘによって底部側シート２１Ｂ側に折り曲げられ、その外側を天部側シート２１Ａが覆うことになる。そして、このため、箱型の状態においても、底部側シート２１Ｂの端縁２１Ｂｙが包装容器２１の外面に露出することがないのである。

　ところで、天部側シート２１Ａと重ね合わせる際の位置合わせのため、この底部側固定部２１Ｂ４０の端縁２１Ｂｙには、位置合わせマーク２１Ｂｙ１，２１Ｂｙ２が２箇所に設けられている。

　この２つの位置合わせマーク２１Ｂｙ１，２１Ｂｙ２は、天部側シート２１Ａの位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ａｙ２に対応する位置に配置されている必要がある。すなわち、天部側シート２１Ａと底部側シート２１Ｂとを正確に位置合わせして重ね合わせたとき、この両位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ａｙ２及び２１Ｂｙ１，２１Ｂｙ２は互いに同一の位置に位置する。この例では、底部側シート２１Ｂの外形は天部側シート２１Ａの外形より小さく構成されているから、天部側シート２１Ａの上に底部側シート２１Ｂを重ねたときには、図１０に示すように、底部側シート２１Ｂの端縁２１Ｂｙの外側に天部側シート２１Ａの２つの位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ａｙ２が見えることになる。もちろん、底部側シート２１Ｂの２つの位置合わせマーク２１Ｂｙ１，２１Ｂｙ２も見えるから、この両位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ａｙ２及び２１Ｂｙ１，２１Ｂｙ２を互いに位置整合させることは容易である。そして、このように両位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ａｙ２及び２１Ｂｙ１，２１Ｂｙ２を互いに位置整合させることによって、天部側シート２１Ａと底部側シート２１Ｂとは正確に位置合わせすることができるのである。

　この位置合わせマーク２１Ｂｙ１，２１Ｂｙ２は、位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ａｙ２と同様に、端縁２１Ｂｙから内側に窪んだ凹部又は端縁２１Ａｙから外側に突出した凸部で構成することができる。凹部で位置合わせマーク２１Ｂｙ１，２１Ｂｙ２を構成した場合、位置合わせマーク２１Ｂｙ１，２１Ｂｙ２の深さ２１ＤＢは０．５ｍｍ以上である必要があり、望ましくは１ｍｍ以上であることも位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ａｙ２と同様である。凸部で位置合わせマーク２１Ｂｙ１，２１Ｂｙ２を構成した場合には、その高さを０．５ｍｍ以上とする必要があり、望ましくは１ｍｍ以上である。位置合わせマーク２１Ｂｙ１，２１Ｂｙ２のうち、一部を凹部で構成し、残部を凸部で構成してもよいし、３以上の位置合わせマークを設けてもよい。

　この包装容器２１は次のように製造することができる。

　すなわち、まず、天部側シート２１Ａと底部側シート２１Ｂとを位置合わせして重ね、両固定部２１Ａ４０，２１Ｂ４０同士をヒートシールすることにより、平坦な状態の包装容器２１を製造することができる（図１０参照）。なお、底部側シート固定部２１Ｂ４０の幅は天部側固定部２１Ａ４０より狭いから、その全幅に渡ってヒートシールする必要はないが、全周に渡って固定できるようにヒートシールすることが望ましい。以下、両固定部２１Ａ４０，２１Ｂ４０同士がヒートシールされて形成された部分を容器固定部２１４０と呼ぶ。

　天部側シート２１Ａと底部側シート２１Ｂとを重ねて位置合わせする際には、外形の小さい底部側シート２１Ｂを外形の大きい天部側シート２１Ａの上に重ねることが望ましい。このように外形の小さい底部側シート２１Ｂを上側として重ねることにより、天部側シート２１Ａの位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ａｙ２は底部側シート２１Ｂの端縁２１Ｂｙの外側に突出して見えるから、両位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ａｙ２及び２１Ｂｙ１，２１Ｂｙ２を互いに位置整合させることにより、天部側シート２１Ａと底部側シート２１Ｂとを正確に位置合わせすることが容易である。

　天面２１Ａ１０と底面２１Ｂ１０とは同形同大であり、天部側側面２１Ａ２１～２１Ａ２４も底部側側面２１Ｂ２１～２１Ｂ２４と同形同大であるから、天部側シート２１Ａと底部側シート２１Ｂとを正確に位置合わせして重ねたとき、これらは互いに正確に重ね合わされる。また、天部側つなぎ片２１Ａ３１～２１Ａ３４と底部側つなぎ片２１Ｂ３１～２１Ｂ３４も同形同大であるから、これらも正確に重なり合う。これら天部側つなぎ片２１Ａ３１～２１Ａ３４に設けられた天部側二つ折り用罫線２１Ａ３１ｃ～２１Ａ３４ｃも、底部側つなぎ片２１Ｂ３１～２１Ｂ３４に設けられた底部側二つ折り用罫線２１Ｂ３１ｃ～２１Ｂ３４ｃと正確に重なり合い、天部側シート２１Ａにおける天部側固定部２１Ａ４０の前記境界２１Ａｘと、底部側シート２１Ｂにおける底部側固定部２１Ｂ４０の前記境界２１Ｂｘも正確に重なり合う。このように、天面２１Ａ１０と底面２１Ｂ１０、天部側側面２１Ａ２１～２１Ａ２４と底部側側面２１Ｂ２１～２１Ｂ２４、天部側つなぎ片２１Ａ３１～２１Ａ３４と底部側つなぎ片２１Ｂ３１～２１Ｂ３４、天部側シート２１Ａにおける天部側固定部２１Ａ４０の前記境界２１Ａｘと、底部側シート２１Ｂにおける底部側固定部２１Ｂ４０の前記境界２１Ｂｘが、いずれも正確に重なり合うから、包装容器２１を箱型の状態にしたときにも、この包装容器２１に歪みを生じることなく、設計とおりの包装容器２１を得ることができる。

　もっとも、天部側シート２１Ａの端縁（外形線）２１Ａｙは底部側シート２１Ｂの端縁（外形線）２１Ｂｙより大きく構成されているから、この両端縁２１Ａｙ，２１Ｂｙの位置は一致せず、その全周に渡って、天部側シート２１Ａの端縁２１Ａｙは底部側シート２１Ｂの端縁２１Ｂｙの外側に位置する。この例では、天部側シート２１Ａの横方向の長さ２１ＬＡと底部側シート２１Ｂの横方向の長さ２１ＬＢとの差は０．６ｍｍ以上であるから、天部側シート２１Ａの端縁２１Ａｙと底部側シート２１Ｂの端縁２１Ｂｙとの間の横方向の距離２ｄＬは０．３ｍｍ以上である。また、天部側シート２１Ａの縦方向の長さ２１ＨＡと底部側シート２１Ｂの縦方向の長さ２１ＨＢとの差も０．６ｍｍ以上であるから、天部側シート２１Ａの端縁２１Ａｙと底部側シート２１Ｂの端縁２１Ｂｙとの間の縦方向の距離２ｄＨも０．３ｍｍ以上であり、天部側シート２１Ａの端縁２１Ａｙと底部側シート２１Ｂの端縁２１Ｂｙとは、位置合わせマーク部以外の全周に渡って、０．３ｍｍ以上ずれて構成される。

　次に、この平坦な状態の包装容器２１を箱型の状態に変形させる方法を説明する。図１１に、箱型の状態に変形させ、各つなぎ片２１Ａ３１～２１Ａ３４，２１Ｂ３１～２１Ｂ３４を外面に折り重ねた状態の包装容器２１を示す。

　平坦な状態の包装容器２１を箱型の状態に変形させるためには、天部側つなぎ片２１Ａ３１～２１Ａ３４及び底部側つなぎ片２１Ｂ３１～２１Ｂ３４を、その中央に位置する天部側二つ折り用罫線２１Ａ３１ｃ～２１Ａ３４ｃと底部側二つ折り用罫線２１Ｂ３１ｃ～２１Ｂ３４ｃがいずれも容器外面に対して山折りになるように二つ折りすればよい。この二つ折りによって、天部側シート２１Ａの天部側側面２１Ａ２１～２１Ａ２４のうち、互いに隣接する側面を構成する辺同士が重なり合う。図８の拡大図を参照して天部側つなぎ片２１Ａ３３について説明すると、この天部側つなぎ片２１Ａ３３を天部側二つ折り用罫線２１Ａ３３ｃで二つ折りすることにより、この天部側つなぎ片２１Ａ３３の両側に位置する天部側側面２１Ａ２３の辺２１Ａ２３ｂと天部側側面２１Ａ２４の辺２１Ａ２４ｂとが互いに重なり合う。

　ところで、平坦な状態の包装容器２１においては、天部側シート２１Ａの天部側つなぎ片２１Ａ３３と底部側シート２１Ｂの底部側つなぎ片２１Ｂ３３とは正確に重なり合い、その天部側二つ折り用罫線２１Ａ３３ｃと底部側二つ折り用罫線２１Ｂ３３ｃも互いに正確に重なり合っており、天部側シート２１Ａの天部側つなぎ片２１Ａ３３を天部側二つ折り用罫線２１Ａ３３ｃで二つ折りするとき、底部側シート２１Ｂの底部側つなぎ片２１Ｂ３３も底部側二つ折り用罫線２１Ｂ３３ｃで二つ折りされる。このため、底部側つなぎ片２１Ｂ３３の両側に位置する底部側側面２１Ｂ２３の辺２１Ｂ２３ｂと底部側側面２１Ｂ２４の辺２１Ｂ２４ｂも互いに重なり合う。

　そして、天部側シート２１Ａの天部側側面２１Ａ２３と底部側シート２１Ｂの底部側側面２１Ｂ２３とは容器固定部２１４０を介して連続しているから、この両側面２１Ａ２３，２１Ｂ２３によって箱型の状態の包装容器２１の側面２１２３が構成される。

　また、天部側シート２１Ａの天部側つなぎ片２１Ａ３３と底部側シート２１Ｂの底部側つなぎ片２１Ｂ３３も容器固定部２１４０を介して連続しているから、この両つなぎ片２１Ａ３３，２１Ｂ３３で構成された部分を容器つなぎ片２１３３と呼ぶと、この容器つなぎ片２１３３によって前記側面同士を繋いでしかも閉塞する。すなわち、天部側側面２１Ａ２３と底部側側面２１Ｂ２３とで構成される側面２１２３と、天部側側面２１Ａ２４と底部側側面２１Ｂ２４とで構成される側面２１２４との間を、容器つなぎ片２１３３で繋いで、しかも、ここに隙間が生じることがないように閉塞するのである。

　以上、天部側つなぎ片２１Ａ３３及び底部側つなぎ片２１Ｂ３３で構成された容器つなぎ片２１３３を二つ折りする場合を例として説明したが、その他のつなぎ片についても同様である。すなわち、天部側つなぎ片２１Ａ３１及び底部側つなぎ片２１Ｂ３１で構成された容器つなぎ片２１３１を、その中央の天部側二つ折り用罫線２１Ａ３１ｃ及び底部側二つ折り用罫線２１Ｂ３１ｃがいずれも容器外面に対して山折りになるように二つ折りすることにより、天部側側面２１Ａ２１と底部側側面２１Ｂ２１とで構成される側面２１２１及び天部側側面２１Ａ２２と底部側側面２１Ｂ２２とで構成される側面２１２２が構成され、これら側面２１２１と側面２１２２との間を容器つなぎ片２１３１で繋いで閉塞する。また、天部側つなぎ片２１Ａ３２及び底部側つなぎ片２１Ｂ３２で構成された容器つなぎ片２１３２を、その中央の天部側二つ折り用罫線２１Ａ３２ｃ及び底部側二つ折り用罫線２１Ｂ３２ｃがいずれも容器外面に対して山折りになるように二つ折りすることにより、天部側側面２１Ａ２２と底部側側面２１Ｂ２２とで構成される側面２１２３及び天部側側面２１Ａ２３と底部側側面２１Ｂ２３とで構成される側面２１２３が構成され、これら側面２１２２と側面２１２３との間を容器つなぎ片２１Ｂ３２で繋いで閉塞する。また、天部側つなぎ片２１Ａ３４及び底部側つなぎ片２１Ｂ３４で構成されたつなぎ片２１３４を、その中央の天部側二つ折り用罫線２１Ａ３４ｃ及び底部側二つ折り用罫線２１Ｂ３４ｃがいずれも容器外面に対して山折りになるように二つ折りすることにより、天部側側面２１Ａ２４と底部側側面２１Ｂ２４とで構成される側面２１２４及び天部側側面２１Ａ２１と底部側側面２１Ｂ２１とで構成される側面２１２１が構成され、これら側面２１２４と側面２１２１との間を容器つなぎ片２１３４で繋いで閉塞する。

　そして、このようにすべての容器つなぎ片２１３１～２１３４を二つ折りすることにより、各側面２１２１～２１２４が形成されるから、これに伴って所定の折り曲げ用罫線で折り曲げられ、箱型の状態の包装容器２１を製造することができる。この箱型の状態の包装容器２１は、天面２１Ａ１０と底面２１Ｂ１０とを有し、その周囲に側面２１２１～２１２４が設けられており、しかも、側面２１２１～２１２４の間を容器つなぎ片２１３１～２１３４が閉塞しているから、前記開口部２１Ａ１１を除いて密封された状態にある。

　なお、底部側シート２１Ｂの底部側固定部２１Ｂ４０の前記境界２１Ｂｘには折り曲げ用罫線が設けられており、天部側シート２１Ａの天部側固定部２１Ａ４０の前記境界２１Ａｘには折り曲げ用罫線が設けられていないから、両固定部２１Ａ４０，２１Ｂ４０がヒートシールされて形成された容器固定部２１４０は、底部側シート２１Ｂの方向に折り曲げられる。すなわち、底部側固定部２１Ｂ４０は前記境界２１Ｂｘに設けられた折り曲げ用罫線で底部側シート２１Ｂの方向に折り曲げられ、天部側シート２１Ａの天部側固定部２１Ａ４０は、その境界２１Ａｘで折り曲げられることなく、底部側シート２１Ｂの底部側固定部２１Ｂ４０の外面側に重ねられる。そして、このため、底部側シート２１Ｂの端縁２１Ｂｙは天部側シート２１Ａの天部側固定部２１Ａ４０に覆われて外面に露出することがない。

　なお、このようにつなぎ片２１３１～２１３４を二つ折りして箱型の状態の包装容器２１を製造する際には、開口部２１１から空気等を吹き込みながら二つ折りすることが望ましい。

　次に、このように箱型の状態に変形された状態では、二つ折りされたつなぎ片２１３１～２１３４が、包装容器２１の外面に突出している。そこで、このつなぎ片２１３１～２１３４を包装容器２１の各側面２１２１～２１２４に折り重ねることによって、その外観を整えることが望ましい。図１１はこのようにつなぎ片２１３１～２１３４を包装容器１の各側面２１２１～２１２４に折り重ねた状態の包装容器２１を示している。つなぎ片２１３１～２１３４は、接着剤、接着テープあるいは面ファスナーやスナップボタン等の接合部材によって、各側面２１２１～２１２４に着脱自在に固定することができる。また、各シートの表面にあらかじめヒートシール性の樹脂を積層しておくことで、ホットエアー等の熱と加圧により固定することができる。また、この箱型の状態の包装容器２１に筒状のスリーブを被せて、つなぎ片２１３１～２１３４を包装容器２１の各側面２１２１～２１２４に折り重ねることも可能である。

　次に、箱型の状態の包装容器２１を平坦な状態に変形させるためには、容器固定部２１４０を把持して、包装容器２１の外方に引っ張ればよい。容器固定部２１４０を外方に引っ張ることにより、二つ折りされたつなぎ片２１３１～２１３４が開き、包装容器２１を平坦な状態に変形する。

　この包装容器２１は、次にように使用することができる。

　すなわち、まず、この包装容器２１を平坦な状態で製造し、かつ、この状態で保管し、内容物充填工程まで移送することが望ましい。そして、内容物充填工程にて包装容器２１を箱型の状態に変形した後、開口部２１Ａ１１から内容物を充填し、開口部２１Ａ１１を閉塞することにより、内容物入りの包装体とすることができる。

　こうして箱型の状態で内容物を収容した包装体は、この内容物を排出した後、再度平坦な状態に戻すことができる。このようにこの包装体は繰り返して箱型の状態と平坦な状態に変形することが可能である。

　なお、天部側シート２１Ａや底部側シート２１Ｂとしては、例えば、紙製の基材層に、熱可塑性樹脂層やシーラント層を積層した積層フィルムを好適に用いることができる。これ以外にも、必要な機能に応じて、バリア層や機能性フィルム等を適宜追加してもよい。また、天部側シート２１Ａや底部側シート２１Ｂの端部は、既知の方法で端面保護されていてもよい。

　次に、図１２を参照して、包装容器２１の第１の変形例を説明する。この包装容器２１は、１枚のシートで天部側シート２１Ａと底部側シート２１Ｂの双方を構成し、折り曲げ用罫線２１ＡＢでこれら天部側シート２１Ａと底部側シート２１Ｂとを区分したもので、その他は上述の実施形態と同様である。このため、天部側シート２１Ａの天部側固定部はこの折り曲げ用罫線２１ＡＢとヒートシール領域とで構成されており、この折り曲げ用罫線２１ＡＢとヒートシール領域との両者を併せて、天部側シート２１Ａの全周囲を包囲するように構成されている。同様に底部側シート２１Ｂの底部側固定部はこの折り曲げ用罫線２１ＡＢとヒートシール領域とで構成され、この折り曲げ用罫線２１ＡＢとヒートシール領域との両者を併せて、底部側シート２１Ｂの全周囲を包囲するように構成されている。そして、この折り曲げ用罫線２１ＡＢで折り曲げることにより、天部側シート２１Ａと底部側シート２１Ｂとを重ね合わせることができる。

　次に、図１３～図１５を参照して、第２の変形例を説明する。この包装容器２２は、天部側シート２２Ａの天面２２Ａ１０を正六角形状とし、底部側シート２２Ｂの底面２２Ｂ１０を天面２２Ａ１０と同形同大の正六角形状に構成したもので、これら天部側シート２２Ａの端縁２２Ａｙ及び底部側シート２２Ｂの端縁２２Ｂｙには、それぞれ、深さ０．５ｍｍ以上の凹部２２Ａｙ１，２２Ａｙ２及び２２Ｂｙ１，２２Ｂｙ２から成る位置合わせマークが２個以上設けられている。天部側シート２２Ａの端縁２２Ａｙ及び底部側シート２２Ｂの端縁２２Ｂｙはいずれも円状であるが、天部側シート２２Ａの横方向の長さ２２ＬＡは底部側シート２２Ｂの横方向の長さ２２ＬＢより長く、その差は０．３ｍｍ以上である。また、天部側シート２２Ａの縦方向の長さ２２ＨＡも底部側シート２２Ｂの縦方向の長さ２２ＨＢより長く、その差も０．３ｍｍ以上である。このため、天部側シート２２Ａは、どの方向でも、その長さが底部側シート２２Ｂの長さより０．３ｍｍ以上長い。このため、この包装容器２２は、箱型の状態と平坦な状態とのいずれの状態においても、底部側シート２２Ｂの端縁２２Ｂｙが天部側シート２２Ａに覆われて露出することがない。なお、この包装容器２２も、第１の変形例と同様の方法で箱型の状態と平坦な状態との間で繰り返して変形させることができる。

　次に、図１６～及び図１８を参照して、第３の変形例を説明する。この包装容器２３は、天部側シート２３Ａの天面２３Ａ１０を正三角形状とし、底部側シート２３Ｂの底面２３Ｂ１０を天面２３Ａ１０と同形同大の正三角形状に構成したもので、これら天部側シート２３Ａの端縁２３Ａｙ及び底部側シート２３Ｂの端縁２３Ｂｙには、それぞれ、深さ０．５ｍｍ以上の凹部２３Ａｙ１，２３Ａｙ２及び２３Ｂｙ１，２３Ｂｙ２から成る位置合わせマークが２個以上設けられている。天部側シート２３Ａの外形線２３Ａｙ及び底部側シート２３Ｂの端縁２３Ｂｙは、いずれも、３本の円弧をつないで構成したものであるが、天部側シート２３Ａの横方向の長さ２３ＬＡは底部側シート２３Ｂの横方向の長さ２３ＬＢより長く、その差は０．３ｍｍ以上である。このため、天部側シート２３Ａは、どの方向でも、その長さが底部側シート２３Ｂの長さより０．３ｍｍ以上長く、この包装容器２３は、箱型の状態と平坦な状態とのいずれの状態においても、底部側シート２３Ｂの端縁２３Ｂｙが天部側シート２３Ａに覆われて露出することがない。この包装容器２３も、第１の変形例や第２の変形例と同様の方法で箱型の状態と平坦な状態との間で繰り返して変形させることができる。

＜実施例＞
　（実施例２－１）
　図８及び図９に示すように、略長方形状の天部側シート２１Ａと底部側シート２１Ｂとを使用した。天部側シート２１Ａは、その端縁２１Ａｙの２箇所に、内側に窪んだ凹部から成る位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ａｙ２を有しており、この位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ａｙ２の深さ２１ＤＡは、いずれも、５．０ｍｍである。また、底部側シート２１Ｂは、その端縁２１Ｂｙであって前記位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ａｙ２に対応する位置に、内側に窪んだ凹部から成る２つの位置合わせマーク２１Ｂｙ１，２１Ｂｙ２を有している。この位置合わせマーク２１Ｂｙ１，２１Ｂｙ２の深さ２１ＤＢは、いずれも、３．５ｍｍである。

　なお、天部側シート２１Ａの横方向の長さ２１ＬＡは１８０．０ｍｍ、縦方向の長さ２１ＨＡは２００．０ｍｍである。また、底部側シート２１Ｂの横方向の長さ２１ＬＢは１７７．０ｍｍ、縦方向の長さ２１ＨＢは１９７．０ｍｍで、縦横いずれの方向でも、天部側シート２１Ａは底部側シート２１Ｂよりも３．０ｍｍ長い。このため、両シート２１Ａ，２１Ｂを位置ずれなく正確に重ね合わせた場合には、天部側シート２１Ａの端縁２１Ａｙと底部側シート２１Ｂの端縁２１Ｂｙと距離は１．５ｍｍとなる。

　そして、このような天部側シート２１Ａと底部側シート２１Ｂとを重ね合わせ、位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ａｙ２及び２１Ｂｙ１，２１Ｂｙ２を利用して位置合わせした後、周縁の固定部２１Ａ４０，２１Ｂ４０を互いにヒートシールして、平坦な状態の包装容器１を製造した。

　続いて、すべてのつなぎ片２１３１～２１３４を二つ折りすることにより箱型の状態の包装容器２１を製造し、最後につなぎ片２１３１～２１３４を包装容器１の各側面２１２１～２１２４に折り重ねた。

　このように箱型の状態の包装容器２１を合計１０個製造し、天部側シート２１Ａと底部側シート２１Ｂとの位置ずれの有無及び箱型の状態の包装容器２１の歪みの有無を調べた。なお、位置ずれの有無については、天部側シート２１Ａと底部側シート２１Ｂと間で０．５ｍｍ以上の位置ずれがある場合を「位置ずれあり」と評価して、この「位置ずれあり」の包装容器１の数を数えた。また、歪みの有無についても、歪みが発生した包装容器１の数を数えた。この結果を表１に示す。

　（実施例２－２）
　天部側シート２１Ａの２つの位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ａｙ２のうち、位置合わせマーク２１Ａｙ１を内側に窪んだ凹部、位置合わせマーク２１Ａｙ２を外側に突出した凸部とし、また、底部側シート２１Ｂの２つの位置合わせマーク２１Ｂｙ１，２１Ｂｙ２のうち、位置合わせマーク２１Ｂｙ１を外側に突出した凸部、位置合わせマーク２１Ｂｙ２を内側に窪んだ凹部としたほかは、実施例２―１と同様に箱型の状態の包装容器２１を製造し、最後につなぎ片２１３１～２１３４を包装容器１の各側面２１２１～２１２４に折り重ねた。なお、位置合わせマーク２１Ｂｙ１は位置合わせマーク２１Ａｙ１に対応し、位置合わせマーク２１Ｂｙ２は位置合わせマーク２１Ａｙ２に対応するものである。また、凹部から成る位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ｂｙ２の深さは、いずれも、３．５ｍｍ、凸部から成る位置合わせマーク２１Ａｙ２，２１Ｂｙ１の高さは５．０ｍｍである。

　実施例２－１と同様に位置ずれの有無及び包装容器２１の歪みの有無を調べた結果を表１に示す。

　（実施例２－３）
　天部側シート２１Ａ及び底部側シート２１Ｂのいずれにも位置合わせマークを設けなかった。その他の点については、実施例２－１と同様である。位置ずれの有無及び包装容器２１の歪みの有無の結果を表１に示す。

　（実施例２－４）
　この例は、天部側シート２１Ａの２つの位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ａｙ２及び底部側シート２１Ｂの２つの位置合わせマーク２１Ｂｙ１，２１Ｂｙ２を、内側に窪んだ凹部としたが、その一部の位置合わせマークの深さを０．５ｍｍ未満とした例である。

　すなわち、位置合わせマーク２１Ａｙ１，２１Ｂｙ２の深さを０．６ｍｍとしたが、位置合わせマーク２１Ａｙ２，２１Ｂｙ１の深さは０．３ｍｍとした。その他の点については、実施例２－１と同様である。位置ずれの有無及び包装容器１の歪みの有無の結果を表１に示す。

　（実施例２－５）
　この例は、天部側シート２１Ａ及び底部側シート２１Ｂのいずれにも、位置合わせマークを１つしか設けなかった例である。天部側シート２１Ａの位置合わせマークは深さ５．０ｍｍの凹部で構成した。また、底部側シート２１Ｂの位置合わせマークは深さ３．５ｍｍの凹部で構成した。その他の点については、実施例２－１と同様である。位置ずれの有無及び包装容器２１の歪みの有無の結果を表１に示す。

　位置合わせマークを設けない場合（実施例２－３）には、全数が天部側シート２１Ａと底部側シート２１Ｂと間に０．５ｍｍ以上の位置ずれを示し、これに伴って、包装容器２１を箱型の状態としたとき、包装容器としての機能は損なわれなかったもののその形状に歪みを発生する。

　位置合わせマークを設けた場合には位置ずれや歪みは軽減されるが、その一部の位置合わせマークの深さが０．５ｍｍに満たない場合（実施例２－４）、あるいは位置合わせマークを１つしか設けない場合（実施例２－５）には、位置ずれを生じるものがあり、これに伴って、包装容器２１を箱型の状態としたとき、包装容器としての機能は損なわれなかったもののその形状に歪みを発生する。

　これに対し、天部側シートの端縁及び底部側シートの端縁に、それぞれ、２以上の位置合わせマークを設け、そのいずれについても、深さ又は高さを０．５ｍｍ以上とした場合（実施例２－１，２）には、０．５ｍｍ以上の位置ずれを生じることがなく、また、箱型の状態の包装容器２１に歪みを生じることもない。

　この結果から次のことが分かる。

　すなわち、まず、包装容器を箱型の状態としたとき、その形状に歪みを生じる原因は、天部側シートと底部側シートとの間に０．５ｍｍ以上の位置ずれがあることである。天部側シートと底部側シートとの間に０．５ｍｍ以上の位置ずれがなければ、箱型の状態の包装容器に歪みを生じることがない。

　そして、両シートの端縁に、それぞれ、深さ又は高さが０．５ｍｍ以上の位置合わせマークを２以上設けることにより、天部側シートと底部側シートとの間の０．５ｍｍ以上の前記位置ずれを防止することができる。そして、これに伴って、前記歪みも防止することが可能である。

　以上説明したように天部側シート２１Ａと底部側シート２１Ｂの両者には２以上の位置合わせマークが設けられており、しかも、この位置合わせマークは端縁から窪んだ凹部又は突出した凸部で構成されて、その深さ又は高さが０．５ｍｍ以上であることから、両位置合わせマークがその端部に見えることになる。このため、これらのシート材を容易かつ正確に位置合わせすることが可能となる。そして、このため、箱型の状態としたとき、包装容器２１に歪みを生じることがないのである。

　なお、以上では、底部側シート２１Ｂの外形が天部側シート２１Ａの外形より小さく形成された包装容器２１を用いて説明をしたが、位置合わせマーク２１Ａｙ１、２１Ａｙ２、２１Ｂｙ１、２１Ｂｙ２を備えれば、天部側シート２１Ａの外形と底部側シート２１Ｂの外形とは同じであってもよい。

＜第３の実施形態＞
　以下、図面を参照して本発明の第３の実施形態に係る包装容器を説明する。図１９～２９は本発明の第３の実施形態に係る包装容器３１およびこれを形成するためのシート材を示す図であり、図１９及び図２０は、それぞれ、天部側シート３１Ａ及び底部側シート３１Ｂを示している。

　まず、天部側シート３１Ａは、その中央に多角形状の天面３１Ａ１０を有している。この例では、長方形状である。そして、この天面３１Ａ１０には開口部３１Ａ１１が設けられている。この開口部３１Ａ１１に口栓を装着しておくこともできる。

　次に、天部側シート３１Ａは、多角形状の天面３１Ａ１０の各辺を折り曲げ用罫線として、この天面３１Ａ１０の各辺を一辺とする四角形状の天部側側面３１Ａ２１～３１Ａ２４を有している。天部側側面３１Ａ２１～３１Ａ２４の数は、多角形状天面３１Ａ１０の辺の数と同じである。この例では天面３１Ａ１０は四角形状であるから、この四角形状天面３１Ａ１０の辺の数は４であり、天部側側面３１Ａ２１～３１Ａ２４の数も４である。

　また、天部側シート３１Ａは、互いに隣接する各天部側側面の間に、この天部側側面３１Ａ２１～３１Ａ２４同士を繋ぐ天部側つなぎ片３１Ａ３１～３１Ａ３４を有している。すなわち、天部側側面３１Ａ２１と天部側側面３１Ａ２２との間は天部側つなぎ片３１Ａ３１で繋がれている。また、天部側側面３１Ａ２２と天部側側面３１Ａ２３との間は天部側つなぎ片３１Ａ３２で繋がれている。その他の天部側側面についても同様である。なお、各天部側側面３１Ａ２１～３１Ａ２４と天部側つなぎ片３１Ａ３１～３１Ａ３４との間には折り曲げ用罫線が設けられている。

　そして、この天部側つなぎ片３１Ａ３１～３１Ａ３４によって、天部側側面３１Ａ２１～３１Ａ２４の間は閉塞されている。図示のように、この例では、天部側側面３１Ａ２１～３１Ａ２４と天部側つなぎ片３１Ａ３１～３１Ａ３４とを併せた部分の外形は長方形を構成しており、各天部側つなぎ片３１Ａ３１～３１Ａ３４はその角部に位置して、天部側側面３１Ａ２１～３１Ａ２４の間を閉塞している。例えば、天部側側面３１Ａ２１と天部側側面３１Ａ２２との間は天部側つなぎ片３１Ａ３１で閉塞している。

　この天部側つなぎ片３１Ａ３１～３１Ａ３４は、天面３１Ａ１０の各頂点から、天部側つなぎ片３１Ａ３１～３１Ａ３４を二等分する天部側二つ折り用罫線を有している。すなわち、図１９に拡大して示すように、例えば、天部側側面３１Ａ２３と天部側側面３１Ａ２４とは、天面３１Ａ１０の頂点３１Ａ１０ｂを共有している。天部側側面３１Ａ２３を構成する辺のうち、天面３１Ａ１０の頂点３１Ａ１０ｂを共有している辺には、符号３１Ａ２３ｂを付して示している。また、天部側側面３１Ａ２４を構成する辺のうち、天面３１Ａ１０の頂点３１Ａ１０ｂを共有している辺には、符号３１Ａ２４ｂを付して示している。そして、この辺３１Ａ２３ｂと辺３１Ａ２４ｂとがなす角を二等分する天部側二つ折り用罫線３１Ａ３３ｃが設けられている。すなわち、図において、辺３１Ａ２３ｂと二つ折り用罫線３１Ａ３３ｃとがなす角α１と、辺３１Ａ２４ｂと天部側二つ折り用罫線３１Ａ３３ｃとがなす角α２とは等しい。以上天部側つなぎ片３１Ａ３３を例として天部側二つ折り用罫線３１Ａ３３ｃについて説明したが、その他の天部側つなぎ片３１Ａ３１～３１Ａ３２，３１Ａ３４にも同様に天部側二つ折り用罫線３１Ａ３１ｃ～３１Ａ３２ｃ，３１Ａ３４ｃが設けられている。

　次に、天部側シート３１Ａは、これら天部側側面３１Ａ２１～３１Ａ２４と天部側つなぎ片３１Ａ３１～３１Ａ３４とを併せた長方形の部分の外側に、底部側シート３１Ｂと固定する天部側固定部３１Ａ４０を有している。この例では、天部側固定部３１Ａ４０は、全周にわたってヒートシール領域で構成しているが、後述する変形例のように、天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂの両者を１枚のシートで構成する場合には、天部側固定部３１Ａ４０の一部を天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂとを区画する折り曲げ用罫線３１ＡＢで構成することも可能である。

　図から分かるように、この天部側固定部３１Ａ４０の端縁３１Ａｙは、天部側固定部３１Ａ４０の外形線を構成すると共に、天部側シート３１Ａの端縁（外形線）を構成している。この例では、天部側シート３１Ａの端縁３１Ａｙの形状は略長方形で、その角は面取りして鋭利な部分を除去してある。

　なお、図１９においては、天部側固定部３１Ａ４０にハッチングを施して示し、この天部側固定部３１Ａ４０と天部側側面３１Ａ２１～３１Ａ２４との境界、及び天部側固定部３１Ａ４０と天部側つなぎ片３１Ａ３１～３１Ａ３４との境界を破線３１Ａｘによって示しているが、これらは説明の便宜のために施したものである。後述する底部側シート３１Ｂの底部側固定部３１Ｂ４０と底部側側面３１Ｂ２１～３１Ｂ２４との境界３１Ｂｘと異なり、天部側固定部３１Ａ４０と天部側側面３１Ａ２１～３１Ａ２４との境界には折り曲げ用罫線は存在しない。天部側固定部３１Ａ４０と天部側つなぎ片３１Ａ３１～３１Ａ３４との境界にも折り曲げ用罫線は存在しない。

　次に、底部用シート３１Ｂは天部側シート３１Ａと同様の構造を有している。すなわち、まず、底部用シート３１Ｂは中央に多角形状の底面３１Ｂ１０を有している。この多角形状底面３１Ｂ１０は天面３１Ａ１０と同形同大である。

　また、底部用シート３１Ｂは、多角形状の底面３１Ｂ１０の各辺を折り曲げ用罫線として、この各辺を一辺とする四角形状の底部側側面３１Ｂ２１～３１Ｂ２４を、前記多角形状底面１Ｂ１０の辺の数と同じ数だけ有している。これら底部側側面３１Ｂ２１～３１Ｂ２４も、それぞれ、天部側側面３１Ａ２１～３１Ａ２４と同形同大である。

　また、底部用シート３１Ｂは、互いに隣接する各底部側側面３１Ｂ２１～３１Ｂ２４の間に、この底部側側面３１Ｂ２１～３１Ｂ２４同士を繋いでしかも閉塞する底部側つなぎ片３１Ｂ３１～３１Ｂ３４を有している。これら底部側つなぎ片３１Ｂ３１～３１Ｂ３４は天部側つなぎ片３１Ａ３１～３１Ａ３４と同形同大である。

　また、各底部側側面３１Ｂ２１～３１Ｂ２４と底部側つなぎ片３１Ｂ３１～３１Ｂ３４との間には折り曲げ用罫線が設けられている。また、各底部側つなぎ片３１Ｂ３１～３１Ｂ３４には、底面３１Ｂ１０の各頂点から、底部側つなぎ片３１Ｂ３１～３１Ｂ３４を二等分する底部側二つ折り用罫線３１Ｂ３１ｃ～３１Ａ３４Ｂが設けられている。

　次に、底部側シート３１Ｂは、これら底部側側面３１Ｂ２１～３１Ｂ２４と底部側つなぎ片３１Ｂ３１～３１Ｂ３４とを併せた長方形の部分の外側に、天部側シート３１Ａと固定する底部側固定部３１Ｂ４０を有している。この例では、底部側固定部３１Ｂ４０は、全周にわたってヒートシール領域である。

　図から分かるように、この底部側固定部３１Ｂ４０の外形線３１Ｂｙは、底部側固定部３１Ｂ４０の外形線を構成すると共に、底部側シート３１Ｂの端縁（外形線）を構成している。この例では、その外形は略長方形である。

　そして、この底部側シート３１Ｂの外形は、天部側シート３１Ａの外形より小さく構成されている。

　図１９において３１ＬＡは天部側シート３１Ａの横方向の長さを示し、図２０において３１ＬＢは底部側シート３１Ｂの横方向の長さを示している。そして、その差、すなわち、天部側シート３１Ａの横方向の長さ３１ＬＡと底部側シート３１Ｂの横方向の長さ３１ＬＢとの差は、０．６ｍｍ以上であることが望ましい。後述するように、天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂとを位置合わせして重ねたとき、天部側シート３１Ａの横方向の長さ３１ＬＡと底部側シート３１Ｂの横方向の長さ３１ＬＢとの差が０．６ｍｍ以上ある場合には、両シート３１Ａ，３１Ｂの端縁が０．３ｍｍ以上ずれて配置される。このため、両者３１Ａ，３１Ｂに多少の位置ずれが生じた場合であっても、底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙは天部側シート３１Ａに覆われるため、底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙが露出することがない。なお、後述する実施例から分かるように、天部側シート３１Ａの横方向の長さ３１ＬＡと底部側シート３１Ｂの横方向の長さ３１ＬＢとの差は１．０ｍｍ以上あることが望ましい。

　また、図１９において３１ＨＡは天部側シート３１Ａの縦方向の長さを示し、図２０において３１ＨＢは底部側シート３１Ｂの縦方向の長さを示している。その差、すなわち、天部側シート３１Ａの縦方向の長さ３１ＨＡと底部側シート３１Ｂの縦方向の長さ３１ＨＢとの差も、０．６ｍｍ以上であることが望ましい。なお、その差も１．０ｍｍ以上あることが望ましい。

　このように、縦横共に天部側シート３１Ａの長さが底部側シート３１Ｂの長さより長い場合には、どの方向でも、天部側シート３１Ａの長さが底部側シート３１Ｂの長さより長いことになる。このため、両者３１Ａ，３１Ｂに多少の位置ずれが生じた場合であっても、全周のいずれの位置でも、底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙが露出することがない。

　なお、底部側シート３１Ｂの底部側固定部３１Ｂ４０と底部側側面３１Ｂ２１～３１Ｂ２４との境界、及び底部側固定部３１Ｂ４０と底部側つなぎ片３１Ｂ３１～３１Ｂ３４との境界には折り曲げ用罫線３１Ｂｘが設けられている。天部側シート３１Ａの天部側固定部３１Ａ４０の境界には折り曲げ用罫線が存在しないから、この両シート３１Ａ，３１Ｂを重ねて固定し、箱型の状態としたとき、互いに固定された両固定部３１Ａ４０，３１Ｂ４０は折り曲げ用罫線３１Ｂｘによって底部側シート３１Ｂ側に折り曲げられ、その外側を天部側シート３１Ａが覆うことになる。そして、このため、箱型の状態においても、底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙが包装容器３１の外面に露出することがないのである。

　この包装容器３１は次のように製造することができる。

　すなわち、まず、天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂとを位置合わせして重ね、両固定部３１Ａ４０，３１Ｂ４０同士をヒートシールすることにより、平坦な状態の包装容器３１を製造することができる（図２１参照）。なお、底部側シート固定部３１Ｂ４０の幅は天部側固定部３１Ａ４０より狭いから、その全幅に渡ってヒートシールする必要はないが、全周に渡って固定できるようにヒートシールすることが望ましい。以下、両固定部３１Ａ４０，３１Ｂ４０同士がヒートシールされて形成された部分を容器固定部３１４０と呼ぶ。

　天面３１Ａ１０と底面３１Ｂ１０とは同形同大であり、天部側側面３１Ａ２１～３１Ａ２４も底部側側面３１Ｂ２１～３１Ｂ２４と同形同大であるから、天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂとを位置合わせして重ねたとき、これらは互いに正確に重ね合わされる。また、天部側つなぎ片３１Ａ３１～３１Ａ３４と底部側つなぎ片３１Ｂ３１～３１Ｂ３４も同形同大であるから、これらも正確に重なり合う。これら天部側つなぎ片３１Ａ３１～３１Ａ３４に設けられた天部側二つ折り用罫線３１Ａ３１ｃ～３１Ａ３４ｃも、底部側つなぎ片３１Ｂ３１～３１Ｂ３４に設けられた底部側二つ折り用罫線３１Ｂ３１ｃ～３１Ｂ３４ｃと正確に重なり合い、天部側シート３１Ａにおける天部側固定部３１Ａ４０の前記境界３１Ａｘと、底部側シート３１Ｂにおける底部側固定部３１Ｂ４０の前記境界３１Ｂｘも正確に重なり合う。ただし、天部側シート３１Ａの端縁（外形線）３１Ａｙは底部側シート３１Ｂの端縁（外形線）３１Ｂｙより大きく構成されているから、この両端縁３１Ａｙ，３１Ｂｙの位置は一致せず、その全周に渡って、天部側シート３１Ａの端縁３１Ａｙは底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙの外側に位置する。この例では、天部側シート３１Ａの横方向の長さ３１ＬＡと底部側シート３１Ｂの横方向の長さ３１ＬＢとの差は０．６ｍｍ以上であるから、天部側シート３１Ａの端縁３１Ａｙと底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙとの間の横方向の距離３ｄＬは０．３ｍｍ以上である。また、天部側シート３１Ａの縦方向の長さ３１ＨＡと底部側シート３１Ｂの縦方向の長さ３１ＨＢとの差も０．６ｍｍ以上であるから、天部側シート３１Ａの端縁３１Ａｙと底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙとの間の縦方向の距離３ｄＨも０．３ｍｍ以上であり、天部側シート３１Ａの端縁３１Ａｙと底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙとは、全周に渡って、０．３ｍｍ以上ずれて構成される。

　仮に、天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂとを正確に位置合わせすることができず、両者の間にずれが生じた場合には、このずれに伴って、天面３１Ａ１０と底面３１Ｂ１０との位置にもずれが生じ、天部側側面３１Ａ２１～３１Ａ２４と底部側側面３１Ｂ２１～３１Ｂ２４との間、天部側つなぎ片３１Ａ３１～３１Ａ３４と底部側つなぎ片３１Ｂ３１～３１Ｂ３４との間、天部側二つ折り用罫線３１Ａ３１ｃ～３１Ａ３４ｃと底部側二つ折り用罫線３１Ｂ３１ｃ～３１Ｂ３４ｃとの間、天部側固定部３１Ａ４０の前記境界３１Ａｘと底部側固定部３１Ｂ４０の前記境界３１Ｂｘとの間にも、それぞれ、ずれが生じる。また、天部側シート３１Ａの端縁３１Ａｙと底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙとの間の距離も、そのずれの方向に応じて、設計値より大きく、あるいは小さくなる。しかしながら、天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂとの間のずれがわずかで、ずれの大きさが０．３ｍｍ以内の場合には、底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙが天部側シート３１Ａの端縁３１Ａｙの外側に突出することがない。なお、天面３１Ａ１０と底面３１Ｂ１０との間の位置ずれや天部側側面３１Ａ２１～３１Ａ２４と底部側側面３１Ｂ２１～３１Ｂ２４との間の位置ずれも、そのずれが０．３ｍｍ以内であれば、この包装容器３１を箱型の状態に変形させる障害とはならない。なお、前述のとおり、望ましくは０．５ｍｍ以上である。

　次に、この平坦な状態の包装容器１を箱型の状態に変形させる方法を説明する。図２２に、箱型の状態に変形させ、各つなぎ片３１Ａ３１～３１Ａ３４，３１Ｂ３１～３１Ｂ３４を外面に折り重ねた状態の包装容器３１を示す。

　平坦な状態の包装容器１を箱型の状態に変形させるためには、天部側つなぎ片３１Ａ３１～３１Ａ３４及び底部側つなぎ片３１Ｂ３１～３１Ｂ３４を、その中央に位置する天部側二つ折り用罫線３１Ａ３１ｃ～３１Ａ３４ｃと底部側二つ折り用罫線３１Ｂ３１ｃ～３１Ｂ３４ｃがいずれも容器外面に対して山折りになるように二つ折りすればよい。この二つ折りによって、天部側シート３１Ａの天部側側面３１Ａ２１～３１Ａ２４のうち、互いに隣接する側面を構成する辺同士が重なり合う。図２２の拡大図を参照して天部側つなぎ片３１Ａ３３について説明すると、この天部側つなぎ片３１Ａ３３を天部側二つ折り用罫線３１Ａ３３ｃで二つ折りすることにより、この天部側つなぎ片３１Ａ３３の両側に位置する天部側側面３１Ａ２３の辺３１Ａ２３ｂと天部側側面３１Ａ２４の辺３１Ａ２４ｂとが互いに重なり合う。

　ところで、平坦な状態の包装容器３１においては、天部側シート３１Ａの天部側つなぎ片３１Ａ３３と底部側シート３１Ｂの底部側つなぎ片３１Ｂ３３とは正確に重なり合い、その天部側二つ折り用罫線３１Ａ３３ｃと底部側二つ折り用罫線３１Ｂ３３ｃも互いに正確に重なり合っており、位置ずれがあってもわずかであるから、天部側シート３１Ａの天部側つなぎ片３１Ａ３３を天部側二つ折り用罫線３１Ａ３３ｃで二つ折りするとき、底部側シート３１Ｂの底部側つなぎ片３１Ｂ３３も底部側二つ折り用罫線３１Ｂ３３ｃで二つ折りされる。このため、底部側つなぎ片３１Ｂ３３の両側に位置する底部側側面３１Ｂ２３の辺３１Ｂ２３ｂと底部側側面３１Ｂ２４の辺３１Ｂ２４ｂも互いに重なり合う。

　そして、天部側シート３１Ａの天部側側面３１Ａ２３と底部側シート３１Ｂの底部側側面３１Ｂ２３とは容器固定部３１４０を介して連続しているから、この両側面３１Ａ２３，３１Ｂ２３によって箱型の状態の包装容器１の側面３１２３が構成される。

　また、天部側シート３１Ａの天部側つなぎ片３１Ａ３３と底部側シート３１Ｂの底部側つなぎ片３１Ｂ３３も容器固定部３１４０を介して連続しているから、この両つなぎ片３１Ａ３３，３１Ｂ３３で構成された部分を容器つなぎ片３１３３と呼ぶと、この容器つなぎ片３１３３によって前記側面同士を繋いでしかも閉塞する。すなわち、天部側側面３１Ａ２３と底部側側面３１Ｂ２３とで構成される側面３１２３と、天部側側面３１Ａ２４と底部側側面３１Ｂ２４とで構成される側面３１２４との間を、容器つなぎ片３１３３で繋いで、しかも、ここに隙間が生じることがないように閉塞するのである。

　以上、天部側つなぎ片３１Ａ３３及び底部側つなぎ片３１Ｂ３３で構成された容器つなぎ片３１３３を二つ折りする場合を例として説明したが、その他のつなぎ片についても同様である。すなわち、天部側つなぎ片３１Ａ３１及び底部側つなぎ片３１Ｂ３１で構成された容器つなぎ片３１３１を、その中央の天部側二つ折り用罫線３１Ａ３１ｃ及び底部側二つ折り用罫線３１Ｂ３１ｃがいずれも容器外面に対して山折りになるように二つ折りすることにより、天部側側面３１Ａ２１と底部側側面３１Ｂ２１とで構成される側面３１２１及び天部側側面３１Ａ２２と底部側側面３１Ｂ２２とで構成される側面３１２２が構成され、これら側面３１２１と側面３１２２との間を容器つなぎ片３１３１で繋いで閉塞する。また、天部側つなぎ片３１Ａ３２及び底部側つなぎ片３１Ｂ３２で構成された容器つなぎ片３１３２を、その中央の天部側二つ折り用罫線３１Ａ３２ｃ及び底部側二つ折り用罫線３１Ｂ３２ｃがいずれも容器外面に対して山折りになるように二つ折りすることにより、天部側側面３１Ａ２２と底部側側面３１Ｂ２２とで構成される側面３１２３及び天部側側面３１Ａ２３と底部側側面３１Ｂ２３とで構成される側面３１２３が構成され、これら側面３１２２と側面３１２３との間を容器つなぎ片３１Ｂ３２で繋いで閉塞する。また、天部側つなぎ片３１Ａ３４及び底部側つなぎ片３１Ｂ３４で構成されたつなぎ片３１３４を、その中央の天部側二つ折り用罫線３１Ａ３４ｃ及び底部側二つ折り用罫線３１Ｂ３４ｃがいずれも容器外面に対して山折りになるように二つ折りすることにより、天部側側面３１Ａ２４と底部側側面３１Ｂ２４とで構成される側面３１２４及び天部側側面３１Ａ２１と底部側側面３１Ｂ２１とで構成される側面３１２１が構成され、これら側面３１２４と側面３１２１との間を容器つなぎ片３１３４で繋いで閉塞する。

　そして、このようにすべての容器つなぎ片３１３１～３１３４を二つ折りすることにより、各側面３１２１～３１２４が形成されるから、これに伴って所定の折り曲げ用罫線で折り曲げられ、箱型の状態の包装容器３１を製造することができる。この箱型の状態の包装容器３１は、天面３１Ａ１０と底面３１Ｂ１０とを有し、その周囲に側面３１２１～３１２４が設けられており、しかも、側面３１２１～３１２４の間を容器つなぎ片３１３１～３１３４が閉塞しているから、前記開口部３１Ａ１１を除いて密封された状態にある。

　なお、底部側シート３１Ｂの底部側固定部３１Ｂ４０の前記境界３１Ｂｘには折り曲げ用罫線が設けられており、天部側シート３１Ａの天部側固定部３１Ａ４０の前記境界３１Ａｘには折り曲げ用罫線が設けられていないから、両固定部３１Ａ４０，３１Ｂ４０がヒートシールされて形成された容器固定部３１４０は、底部側シート３１Ｂの方向に折り曲げられる。すなわち、底部側固定部３１Ｂ４０は前記境界３１Ｂｘに設けられた折り曲げ用罫線で底部側シート３１Ｂの方向に折り曲げられ、天部側シート３１Ａの天部側固定部３１Ａ４０は、その境界３１Ａｘで折り曲げられることなく、底部側シート３１Ｂの底部側固定部３１Ｂ４０の外面側に重ねられる。そして、このため、底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙは天部側シート３１Ａの天部側固定部３１Ａ４０に覆われて外面に露出することがない。仮に、天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂとの間に位置ずれがあった場合でも、そのずれが０．３ｍｍ以内であれば、底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙが、天部側シート３１Ａからはみだして露出することがないのである。

　なお、このようにつなぎ片３１３１～３１３４を二つ折りして箱型の状態の包装容器３１を製造する際には、開口部３１１から空気等を吹き込みながら二つ折りすることが望ましい。

　次に、このように箱型の状態に変形された状態では、二つ折りされたつなぎ片３１３１～３１３４が、包装容器１の外面に突出している。そこで、このつなぎ片３１３１～３１３４を包装容器３１の各側面３１２１～３１２４に折り重ねることによって、その外観を整えることが望ましい。図２２はこのようにつなぎ片３１３１～３１３４を包装容器１の各側面３１２１～３１２４に折り重ねた状態の包装容器１を示している。つなぎ片３１３１～３１３４は、接着剤、接着テープあるいは面ファスナーやスナップボタン等の接合部材によって、各側面３１２１～３１２４に着脱自在に固定することができる。

　次に、箱型の状態の包装容器３１を平坦な状態に変形させるためには、容器固定部３１４０を把持して、包装容器３１の外方に引っ張ればよい。容器固定部３１４０を外方に引っ張ることにより、二つ折りされたつなぎ片３１３１～３１３４が開き、包装容器３１を平坦な状態に変形する。

　この包装容器３１は、次にように使用することができる。

　すなわち、まず、この包装容器３１を平坦な状態で製造し、かつ、この状態で保管し、内容物充填工程まで移送することが望ましい。そして、内容物充填工程にて包装容器３１を箱型の状態に変形した後、開口部３１Ａ１１から内容物を充填し、開口部３１Ａ１１を閉塞することにより、内容物入りの包装体とすることができる。

　なお、天部側シート３１Ａや底部側シート３１Ｂとしては、例えば、紙製の基材層に、熱可塑性樹脂層やシーラント層を積層した積層フィルムを好適に用いることができる。これ以外にも、必要な機能に応じて、バリア層や機能性フィルム等を適宜追加してもよい。また、天部側シート３１Ａや底部側シート３１Ｂの端部は、既知の方法で端面保護されていてもよい。

　次に、図２２を参照して、包装容器３１の第１の変形例を説明する。この包装容器３１は、１枚のシートで天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂの双方を構成し、折り曲げ用罫線３１ＡＢでこれら天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂとを区分したもので、その他は第１の具体例と同様である。このため、天部側シート３１Ａの天部側固定部はこの折り曲げ用罫線３１ＡＢとヒートシール領域とで構成されており、この折り曲げ用罫線３１ＡＢとヒートシール領域との両者を併せて、天部側シート３１Ａの全周囲を包囲するように構成されている。同様に底部側シート３１Ｂの底部側固定部はこの折り曲げ用罫線３１ＡＢとヒートシール領域とで構成され、この折り曲げ用罫線３１ＡＢとヒートシール領域との両者を併せて、底部側シート３１Ｂの全周囲を包囲するように構成されている。そして、この折り曲げ用罫線３１ＡＢで折り曲げることにより、天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂとを重ね合わせることができる。

　次に、図２４～図２６を参照して、第２の変形例を説明する。この包装容器３２は、天部側シート３２Ａの天面３２Ａ１０を正六角形状とし、底部側シート３２Ｂの底面３２Ｂ１０を天面３２Ａ１０と同形同大の正六角形状に構成したものである。また、天部側シート３２Ａの端縁３２Ａｙ及び底部側シート３２Ｂの端縁３２Ｂｙはいずれも円状であるが、天部側シート３２Ａの横方向の長さ３２ＬＡは底部側シート３２Ｂの横方向の長さ３２ＬＢより長く、その差は０．３ｍｍ以上である。また、天部側シート３２Ａの縦方向の長さ３２ＨＡも底部側シート３２Ｂの縦方向の長さ３２ＨＢより長く、その差も０．３ｍｍ以上である。このため、天部側シート３２Ａは、どの方向でも、その長さが底部側シート３２Ｂの長さより０．３ｍｍ以上長い。このため、この包装容器３２は、箱型の状態と平坦な状態とのいずれの状態においても、底部側シート３２Ｂの端縁３２Ｂｙが天部側シート３２Ａに覆われて露出することがない。なお、この包装容器３２も、上記の実施形態と同様の方法で箱型の状態と平坦な状態との間で繰り返して変形させることができる。

　次に、図２７～及び図２９を参照して、第３の変形例を説明する。この包装容器３３は、天部側シート３３Ａの天面３３Ａ１０を正三角形状とし、底部側シート３３Ｂの底面３３Ｂ１０を天面３３Ａ１０と同形同大の正三角形状に構成したものである。また、天部側シート３３Ａの外形線３３Ａｙ及び底部側シート３３Ｂの端縁３３Ｂｙは、いずれも、３本の円弧をつないで構成したものであるが、天部側シート３３Ａの横方向の長さ３３ＬＡは底部側シート３３Ｂの横方向の長さ３３ＬＢより長く、その差は０．３ｍｍ以上である。このため、天部側シート３３Ａは、どの方向でも、その長さが底部側シート３３Ｂの長さより０．３ｍｍ以上長く、この包装容器３３は、箱型の状態と平坦な状態とのいずれの状態においても、底部側シート３３Ｂの端縁３３Ｂｙが天部側シート３３Ａに覆われて露出することがない。この包装容器３３も、第１の変形例や第２の変形例と同様の方法で箱型の状態と平坦な状態との間で繰り返して変形させることができる。

＜実施例＞
　（実施例３－１）
　図１９及び図２０に示すように、略長方形状の天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂとを使用した。なお、天部側シート３１Ａの横方向の長さ３１ＬＡは１８０．０ｍｍ、縦方向の長さ３１ＨＡは２００．０ｍｍである。また、底部側シート３１Ｂの横方向の長さ３１ＬＢは１７９．４ｍｍ、縦方向の長さ３１ＨＢは１９９．４ｍｍで、縦横いずれの方向でも、天部側シート３１Ａは底部側シート３１Ｂよりも０．６ｍｍ長い。このため、両シート３１Ａ，３１Ｂを位置ずれなく正確に重ね合わせた場合には、天部側シート３１Ａの端縁３１Ａｙと底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙと距離は０．３ｍｍとなる。

　そして、このような天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂとを重ね合わせ、周縁の固定部３１Ａ４０，３１Ｂ４０を互いにヒートシールして、平坦な状態の包装容器３１を製造した。

　続いて、すべてのつなぎ片３１３１～３１３４を二つ折りすることにより箱型の状態の包装容器３１を製造し、最後につなぎ片３１３１～３１３４を包装容器１の各側面３１２１～３１２４に折り重ねた。

　このように箱型の状態の包装容器３１を合計１０個製造し、底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙが天部側シート３１Ａの端縁３１Ａｙからはみ出して、外面に露出した包装容器３１の数を数えたところ、これら１０個の包装容器１のうち、２個の包装容器３１において、底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙが天部側シート３１Ａの端縁３１Ａｙからはみ出して、外面に露出していた。残る８個の包装容器３１においては、端縁３１Ｂｙが天部側シート３１Ａに覆われており、外面に露出していなかった。

　（実施例３－２）
　底部側シート３１Ｂの横方向の長さ３１ＬＢを１７８．０ｍｍ、縦方向の長さ３１ＨＢを１９８．０ｍｍとした他は実施例３－１と同様に箱型の状態の包装容器３１を製造し、底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙが天部側シート３１Ａの端縁３１Ａｙからはみ出して、外面に露出した包装容器３１の数を数えたところ、これら１０個の包装容器３１のすべて（１０個）において、端縁３１Ｂｙが天部側シート３１Ａに覆われており、外面に露出していなかった。なお、両シート３１Ａ，３１Ｂを位置ずれなく正確に重ね合わせた場合には、天部側シート３１Ａの端縁３１Ａｙと底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙと距離は０．５ｍｍである。

　（実施例３－３）
　底部側シート３１Ｂの横方向の長さ３１ＬＢを１７４．０ｍｍ、縦方向の長さ３１ＨＢを１９４．０ｍｍとした他は実施例３－１と同様に箱型の状態の包装容器１を製造し、底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙが天部側シート３１Ａの端縁３１Ａｙからはみ出して、外面に露出した包装容器３１の数を数えたところ、これら１０個の包装容器３１のすべて（１０個）において、端縁３１Ｂｙが天部側シート３１Ａに覆われており、外面に露出していなかった。なお、両シート３１Ａ，３１Ｂを位置ずれなく正確に重ね合わせた場合には、天部側シート３１Ａの端縁３１Ａｙと底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙと距離は３．０ｍｍである。

　（実施例３－４）
　底部側シート３１Ｂの横方向の長さ３１ＬＢを１８０．０ｍｍ、縦方向の長さ３１ＨＢを２００．０ｍｍとした他は実施例３－１と同様に箱型の状態の包装容器３１を製造し、底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙが天部側シート３１Ａの端縁３１Ａｙからはみ出して、外面に露出した包装容器３１の数を数えたところ、これら１０個の包装容器３１のすべて（１０個）において、底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙが天部側シート３１Ａの端縁３１Ａｙからはみ出して、外面に露出していた。なお、底部側シート３１Ｂは天部側シート３１Ａと同形同大で、両シート３１Ａ，３１Ｂを位置ずれなく正確に重ね合わせた場合には、天部側シート３１Ａの端縁３１Ａｙと底部側シート３１Ｂの端縁１Ｂｙと距離は０．０ｍｍである。

　この結果から分かるように、天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂとを重ね合わせたとき、わずかではあるが、両シート３１Ａ，３１Ｂの間に位置ずれが生じ易く、このため、同形同大の天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂとを使用した場合には、ほぼ例外なく、底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙが天部側シート３１Ａの端縁３１Ａｙからはみ出して、外面に露出する。

　これに対して、底部側シート３１Ｂとして天部側シート３１Ａより小さいものを使用した場合（実施例３－１～３）には、多少の位置ずれが起きた場合でも、底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙは天部側シート３１Ａに覆われて外面に露出することがない。もっとも、位置ずれが大きい場合には底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙが天部側シート３１Ａの端縁３１Ａｙからはみ出して、外面に露出することがある（実施例３－１）から、天部側シート３１Ａの端縁３１Ａｙと底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙと距離を０．５ｍｍ以上とすることが望ましい。この場合（実施例３－２～３）には、例外なく、底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙが外面に露出することはないのである。

　以上説明したように包装容器６１は、天部側シート３１Ａの外形と底部側シート３１Ｂの外形のうち、一方が他方より大きいため、これらを重ね、その周縁で全周に渡って互いに固定したとき、外形の大きいシートによって、外形の小さいシートの端縁を覆うことができる。このように外形の小さいシートの端縁が包装容器３１外面に露出することがないので、美麗な外観を呈することができる。

　なお、この包装容器３１は、箱型の状態と平坦な状態との間で変形をさせることができるが、そのいずれの状態においても、外形の小さいシートの端縁が包装容器外面に露出することがない。

＜第４の実施形態＞
　以下、包装容器３１を例にして、容器固定部の剥離強度を所定の範囲に規定した本発明の第４の実施形態に係る包装容器４１を説明する。

　包装容器４１では、天部側シート３１Ａの固定部３１Ａ４０と底部側シート３１Ｂの固定部３１Ｂ４０とがヒートシールされて形成されたヒートシール領域（包装容器１１００のサイドシール部に相当）、すなわち、容器固定部３１４０は、その剥離強度が９Ｎ以上である。剥離強度が９Ｎ以上である場合、後述するように空気等の流体を吹き込みながら平坦な状態から箱型の状態に変形した場合でも、容器固定部３１４０にピンホールを生じることがない。一方、剥離強度が９Ｎより小さい場合には、空気等の流体を吹き込みながら平坦な状態から箱型の状態に変形すると、包装容器４１にピンホールを生じることがある。

　ヒートシール領域、すなわち、容器固定部３１４０の剥離強度は、望ましくは２０Ｎ以上である。その剥離強度が２０Ｎ以上である場合には、空気等の流体を吹き込みながら平坦な状態から箱型の状態に変形した後、平坦な状態に戻し、次に空気等の流体を吹き込みながら箱型の状態に再度変形した場合でも、包装容器４１にピンホールを生じることがない。

　なお、両固定部３１Ａ４０，３１Ｂ４０を互いにヒートシールする際の温度、圧力、時間等のヒートシール条件を調整することによって、その剥離強度を調整することが可能である。

　包装容器４１も包装容器３１と同様に、つなぎ片３１３１～３１３４を二つ折りすることにより平坦な状態から箱型の状態に変形する際には、その内容積が急激に増大することから、開口部３１１から空気等の流体に圧力をかけて吹き込みながら二つ折りすることが望ましい。空気のほか、任意のガスであってもよい。また、収容する内容物が液体である場合には、この液体内容物を加圧して開口部１１から充填することにより、包装容器４１を膨らませながらつなぎ片３１３１～３１３４を二つ折りすることにより箱型の状態に変形することができる。このようにガスあるいは液体を加圧して吹き込んだ場合でも、容器固定部３１４０の剥離強度が９Ｎ以上である場合には、包装容器４１にピンホールを生じることがない。

　また、繰り返して包装容器４１を箱型の状態と平坦な状態に変形する場合には、容器固定部３１４０の剥離強度が２０Ｎ以上であることが望ましい。剥離強度が２０Ｎ以上である場合には、空気等の流体を吹き込みながら平坦な状態から箱型の状態に変形した後、平坦な状態に戻し、次に空気等の流体を吹き込みながら箱型の状態に再度変形した場合でも、包装容器４１にピンホールを生じることがない。

　また、図２３に示した、包装容器３１の第１の変形例においては、容器固定部３１４０は、折り曲げ用罫線３１ＡＢと、天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂとをヒートシールして形成されたヒートシール領域との両者で構成されている。折り曲げ用罫線３１ＡＢの位置にピンホールを生じることはないから、容器固定部３１４０のうち折り曲げ用罫線３１ＡＢを除く前記ヒートシール領域の剥離強度が９Ｎ以上であれば、空気等の流体を吹き込みながら平坦な状態から箱型の状態に変形する場合でも、包装容器４１にピンホールを生じることがない。この場合も、望ましい剥離強度は２０Ｎ以上である。

＜実施例＞
　（実施例４－１）
　図１９及び図２０に示すように、略長方形状の天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂとを使用した。これら天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂは、いずれも、包装容器外面側から、ポリエチレン樹脂層（厚さ２５μｍ）、紙（坪量２５０ｇ／ｍｍ^２）、ポリエチレン樹脂層（厚さ２５μｍ）、アルミニウム箔（厚さ６μｍ）、ポリエステルフィルム（厚さ１２μｍ）、ポリエチレン樹脂層（厚さ４０μｍ）の層構成を有している。また、図１９及び図２０に示すように、天部側シート３１Ａは、その端縁３１Ａｙの２箇所に、内側に窪んだ凹部から成る位置合わせマーク３１Ａｙ１，３１Ａｙ２を有しており、底部側シート３１Ｂも、その端縁３１Ｂｙであって前記位置合わせマーク３１Ａｙ１，３１Ａｙ２に対応する位置に、内側に窪んだ凹部から成る２つの位置合わせマーク３１Ｂｙ１，３１Ｂｙ２を有している。

　なお、天部側シート３１Ａの横方向の長さ３１ＬＡは１８０．０ｍｍ、縦方向の長さ３１ＨＡは２００．０ｍｍである。また、底部側シート３１Ｂの横方向の長さ３１ＬＢは１７７．０ｍｍ、縦方向の長さ３１ＨＢは１９７．０ｍｍで、縦横いずれの方向でも、天部側シート３１Ａは底部側シート３１Ｂよりも３．０ｍｍ長い。このため、両シート３１Ａ，３１Ｂを位置ずれなく正確に重ね合わせた場合には、天部側シート３１Ａの端縁３１Ａｙと底部側シート３１Ｂの端縁３１Ｂｙと距離は１．５ｍｍとなる。

　そして、このような天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂとを重ね合わせ、位置合わせマーク３１Ａｙ１，３１Ａｙ２及び３１Ｂｙ１，３１Ｂｙ２を利用して位置合わせした後、周縁の固定部３１Ａ４０，３１Ｂ４０を互いにヒートシールして、平坦な状態の包装容器４１を製造した。ヒートシールで形成した容器固定部３１４０の剥離強度を、包装容器４１の各辺ごとに５点（包装容器４１の２０点）で測定したところ、その平均は３０Ｎであった。なお、剥離強度は、ＪＩＳ　Ｚ０２３８「ヒートシール軟包装袋及び半剛性容器の試験方法」の「袋のヒートシール強さ試験」に従って測定した。

　続いて、空気に圧力をかけて吹き込みながらすべてのつなぎ片３１３１～３１３４を二つ折りすることにより箱型の状態の包装容器４１を製造し、最後につなぎ片３１３１～３１３４を包装容器４１の各側面３１２１～３１２４に折り重ねた。

　このように箱型の状態の包装容器４１を合計１０個製造し、ヒートシールで形成した容器固定部３１４０にピンホールが発生した包装容器４１の数を数えた。この結果を、１回目の箱型の状態でピンホールが発生した包装容器４１の数として、表１に示す。

　次に、こうして箱型の状態とした包装容器４１の容器固定部３１４０を引っ張って平坦な状態に戻した後、空気に圧力をかけて吹き込みながらすべてのつなぎ片３１３１～３１３４を二つ折りして再び箱型の状態に変形した。こうして、再度箱型の状態とした包装容器４１のうち、前記容器固定部３１４０にピンホールが発生した包装容器４１の数を数えた。この結果を、２回目の箱型の状態でピンホールが発生した包装容器４１の数として、併せて表２に示す。

　（実施例４－２）
　ヒートシールで形成した容器固定部３１４０の剥離強度を平均２０Ｎとしたほか、実施例４－１と同様に箱型の状態の包装容器４１を製造し、容器固定部３１４０にピンホールが発生した包装容器４１の数（１回目）を数えた。また、平坦な状態に戻した後、再度箱型の状態とした包装容器４１のうち、前記容器固定部３１４０にピンホールが発生した包装容器４１の数（２回目）を数えた。この結果を表２に示す。

　（実施例４－３）
　ヒートシールで形成した容器固定部３１４０の剥離強度を平均１５Ｎとしたほか、実施例４－１と同様に箱型の状態の包装容器４１を製造し、容器固定部１４０にピンホールが発生した包装容器４１の数（１回目）を数えた。また、平坦な状態に戻した後、再度箱型の状態とした包装容器４１のうち、前記容器固定部３１４０にピンホールが発生した包装容器４１の数（２回目）を数えた。この結果を表２に示す。

　（実施例４－４）
　ヒートシールで形成した容器固定部３１４０の剥離強度を平均１０Ｎとしたほか、実施例４－１と同様に箱型の状態の包装容器４１を製造し、容器固定部３１４０にピンホールが発生した包装容器４１の数（１回目）を数えた。また、平坦な状態に戻した後、再度箱型の状態とした包装容器４１のうち、前記容器固定部３１４０にピンホールが発生した包装容器４１の数（２回目）を数えた。この結果を表２に示す。

　（実施例４－５）
　ヒートシールで形成した容器固定部３１４０の剥離強度を平均９Ｎとしたほか、実施例４－１と同様に箱型の状態の包装容器４１を製造し、容器固定部３１４０にピンホールが発生した包装容器４１の数（１回目）を数えた。また、平坦な状態に戻した後、再度箱型の状態とした包装容器１のうち、前記容器固定部３１４０にピンホールが発生した包装容器４１の数（２回目）を数えた。この結果を表２に示す。

　（実施例４－６）
　ヒートシールで形成した容器固定部３１４０の剥離強度を平均８Ｎとしたほか、実施例４－１と同様に箱型の状態の包装容器３１を製造し、容器固定部３１４０にピンホールが発生した包装容器３１の数（１回目）を数えた。また、平坦な状態に戻した後、再度箱型の状態とした包装容器３１のうち、前記容器固定部３１４０にピンホールが発生した包装容器３１の数（２回目）を数えた。この結果を表２に示す。

　（実施例４－７）
　天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂとして、包装容器外面側から、ポリエチレン樹脂層（厚さ２５μｍ）、紙（坪量２５０ｇ／ｍｍ^２）、ポリエチレン樹脂層（厚さ４０μｍ）の層構成を有する積層シートを使用した。そして、ヒートシールで形成した容器固定部３１４０の剥離強度を平均８Ｎとしたほか、実施例４－１と同様に箱型の状態の包装容器３１を製造し、容器固定部１４０にピンホールが発生した包装容器３１の数（１回目）を数えた。また、平坦な状態に戻した後、再度箱型の状態とした包装容器３１のうち、前記容器固定部１４０にピンホールが発生した包装容器３１の数（２回目）を数えた。この結果を表２に示す。

　実施例４－１～５と実施例４－６、７とを対比して分かるように、ヒートシールで形成した容器固定部３１４０の剥離強度が９Ｎ以上である場合には、空気に圧力をかけて吹き込みながら包装容器を平坦な状態から箱型の状態に変形しても、この容器固定部３１４０にピンホールを生じることはない。一方、剥離強度がこれより低い場合には、この変形を繰り返した際にピンホールを生じることがあり、安定して変形することができない。

　また、実施例４－６と実施例４－７とを対比すると、この結果が天部側シート３１Ａや底部側シート３１Ｂの材質に依存しないことも理解できる。

　なお、実施例４－１，２と実施例４－３～５とを対比することにより、前記剥離強度が２０Ｎ以上の場合には、繰り返して箱型の状態と平坦な状態に変形させた場合にも、ピンホールを生じないことが分かる。

　このように、本発明の包装容器は、変形方法は限定されないが、空気等の流体を吹き込んで膨らませることによって変形させるができる。そして、天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂとをヒートシールして形成されたヒートシール領域の剥離強度が９Ｎ以上である場合（実施例４－１～５）、空気等の流体を吹き込みながら平坦な状態から箱型の状態に変形した場合でも、包装容器にピンホールを生じることがない。

　なお、ヒートシール領域の剥離強度が２０Ｎ以上である場合（実施例４－１～２）には、空気等の流体を吹き込みながら平坦な状態から箱型の状態に変形した後、平坦な状態に戻し、次に空気等の流体を吹き込みながら箱型の状態に再度変形した場合でも、包装容器にピンホールを生じることがない。

＜スーパー付き包装容器の製造方法＞
　以下、図面を参照してこれまで説明した包装容器を用いたスパウト付き包装容器の製造方法の一例を、包装容器３１を例にして説明する。以下で説明するスーパー付き包装容器の製造方法では、少なくとも天部側シート３１Ａ（包装容器１１００の第１の部分に相当）、底部側シート３１Ｂ（包装容器１１００の第２の部分に相当）、スパウト３１Ｃの三部品が用いられる。図３０はスパウト３１Ｃの斜視図である。

　なお、天部側シート３１Ａは任意の素材で構成することができるが、包装容器３１の内面側となる表面（内表面）にヒートシール性の樹脂層を有することが望ましい。この内表面のヒートシール性樹脂層は２つの役割を果たすものである。すなわち、第１にスパウト３１Ｃの、後述するフランジ部３１Ｃ２と溶着してこれを固定する。また、第２に、天部側シート３１Ａの天部側固定部３１Ａ４０と底部側シート３１Ｂの底部側固定部３１Ｂ４０とを互いにヒートシールして、包装容器３１の固定部３１４０を形成する。ヒートシール性の樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂を採用することができる。

　例えば、この天部側シート３１Ａとして、紙製の基材層に、熱可塑性樹脂層やヒートシール性の樹脂層を積層した積層フィルムを好適に用いることができる。これ以外にも、必要な機能に応じて、バリア層や機能性フィルム等を適宜追加してもよい。例えば、紙の外面側にポリエチレン樹脂層を積層し、内面側に、順次、ポリエチレン樹脂層、アルミニウム箔、ポリエステル樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂層を積層して、内表面をポリエチレン樹脂層で構成した天部側シート３１Ａである。なお、天部側シート３１Ａは、その端部が既知の方法で端面保護されていてもよい。

　底部側シート３１Ｂも任意の素材で構成することができるが、包装容器３１の内面側となる表面（内表面）にヒートシール性の樹脂層を有することが望ましい。この内表面のヒートシール性樹脂層は、天部側シート３１Ａの天部側固定部３１Ａ４０と底部側シート３１Ｂの底部側固定部３１Ｂ４０とを互いにヒートシールして、包装容器３１の固定部３１４０を形成する役割を有するものである。

　例えば、この底部側シート３１Ｂとして、天部側シート３１Ａと同様に、紙製の基材層に、熱可塑性樹脂層やヒートシール性の樹脂層を積層した積層フィルムを好適に用いることができる。これ以外にも、必要な機能に応じて、バリア層や機能性フィルム等を適宜追加してもよい。また、底部側シート３１Ｂの端部も既知の方法で端面保護されていてもよい。

　（スパウト６１Ｃ）
　スパウト３１Ｃは、筒状胴部３１Ｃ１とフランジ部３１Ｃ２とを備えて構成されている。

　筒状胴部３１Ｃ１は天部側シート３１Ａの開口部３１Ａ１１に挿入されるもので、その中央に上下方向に貫通する流路が設けられており、この流路を通じて内容物を包装容器３１に充填し、あるいは包装容器１内部の内容物を注出することができる。

　また、フランジ部３１Ｃ２は筒状胴部３１Ｃ１の端部から外側に向けて張り出したもので、このフランジ部３１Ｃ２を天部側シート３１Ａの開口部３１Ａ１１周縁に溶着することにより、スパウト３１Ｃを天部側シート３１Ａに固定することができる。

　本製造方法は、スパウト付き天部側シート製造工程と、スパウト付き天部側シートの端縁と、固定工程とを含む。

　（スパウト付き天部側シート製造工程）
　スパウト付き天部側シート製造工程は天部側シート３１Ａの前記開口部３１Ａ１１に前記スパウト３１Ｃを装着することによりスパウトを装着した天部側シートを製造する工程である。

　天部側シート３１Ａを製造した後にスパウト３１Ｃを装着してもよいが、次の方法でスパウト付き天部側シートを製造することもできる。

　すなわち、まず、天部側１シート３１Ａを形成する枚葉状又は巻取り状のシートの所定位置に前記開口部３１Ａ１１を設け、この開口部３１Ａ１１に前記スパウト３１Ｃを装着した後、このシートを打ち抜いてスパウト付き天部側シートを製造することができる。また、各折り曲げ用罫線はその任意の工程で形成することができる。例えば、枚葉状又は巻取り状の前記シートに前記開口部３１Ａ１１を設けると同時に各折り曲げ用罫線を形成することもできるし、スパウト３１Ｃを装着した後各折り曲げ用罫線を形成し、次いでシートを打ち抜いてスパウト３１Ｃを装着した天部側シート３１Ａを製造することもできる。また、シートを打ち抜いてスパウト３１Ｃを装着した天部側シート３１Ａを製造すると同時に各折り曲げ用罫線を形成してもよい。あるいは、スパウト３１Ｃを装着する工程とシートの打ち抜き工程の間で各折り曲げ用罫線を形成してもよいし、シートを打ち抜いた後に各折り曲げ用罫線を形成してもよい。

　天部側シート３１Ａを製造した後スパウト３１Ｃを装着する場合を例として説明すると、この工程は、図３１に示すように、天部側シート３１Ａの両面のうち、包装容器３１の内面側となる表面（内表面）側からスパウト３１Ｃの筒状胴部３１Ｃ１を挿入し、開口部３１Ａ１１にフランジ部３１Ｃ２を溶着することにより行うことができる。天部側シート３１Ａ又は筒状胴部３１Ｃ１のいずれか一方又は双方から熱圧することによって両者を溶着することもできるし、超音波溶着することも可能である。

　（固定工程）
　固定工程は、天部側シート３１Ａの前記天部側固定部３１Ａ４０と底部側シート１Ｂの前記底部側固定部３１Ｂ４０とを互いに固定する工程である。この工程はスパウト付き天部側シート製造工程の後に行う必要がある。すなわち、この工程で使用する天部側シート３１Ａは、スパウト３１Ｃを装着したものである。

　この固定工程は、図３１に示すように、天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂとを位置合わせして重ね、両固定部３１Ａ４０，３１Ｂ４０同士をヒートシールすることにより、行うことができる。天部側シート３１Ａ又は底部側シート３１Ｂのいずれか一方又は双方から熱圧することによって両者を溶着することもできるし、超音波照射してヒートシールすることもできる。なお、両固定部３１Ａ４０，３１Ｂ４０は、その全幅に渡ってヒートシールする必要はないが、両シート３１Ａ，３１Ｂを全周に渡って互いに固定できるようにヒートシールする必要がある。その剥離強度は９Ｎ以上であることが望ましい。

　この工程によって、平坦な状態の包装容器３１を製造することができる。その平面図は天部側シート３１Ａの平面図（図１９）と同様である。

　本製造方法においては、天部側シート３１Ａの開口部３１Ａ１１にスパウト３１Ｃを装着した後、天部側シート３１Ａと底部側シート３１Ｂとを互いに固定するため、形成された包装容器３１を箱型の状態と平坦な状態との間で変形をさせることができ、しかもスパウト３１Ｃを装着した包装容器３１を製造することが可能となる。

　本発明は、包装容器に好適に用いることができる。

　１１００、１５００　　包装容器
　１１０１ａ、１１０１ｂ　　ブランク
　１１１０　　上面
　１１１１　　開口
　１１２０　　側面
　１１２０ａ　　上側等脚台形面
　１１２０ｂ　　下側等脚台形面
　１１３０　　下面
　１１４０　　サイドシール部
　１１４０ａ　　上側シール代
　１１４０ｂ　　下側シール代
　１１５０　　折り返し片
　１１５０ａ　　上側折り返し面
　１１５０ｂ　　下側折り返し面
　１１５１　　折り返し罫線
　１１５１’　　線分
　１１７０ａ　　第１の部分
　１１７０ｂ　　第２の部分
　１１８０　　接続部
　２１　　包装容器
　２１Ａ　　天部側シート
　２１Ａ１０　　天面
　２１Ａ１１　　開口部
　２１Ａ２１～２１Ａ２４　　天部側側面
　２１Ａ３１～２１Ａ３４　　天部側つなぎ片
　２１Ａ３３ｃ　　天部側二つ折り用罫線
　２１Ａｙ　　天部側シートの端縁
　２１Ａｙ１，２１Ａｙ２　　位置合わせマーク
　２１ＤＡ　　位置合わせマークの深さ
　２１ＬＡ　　天部側シート２１Ａの横方向の長さ
　２１ＨＡ　　天部側シート２１Ａの縦方向の長さ
　２１Ｂ　　底部側シート
　２１Ｂ１０　　底面
　２１Ｂ２１～２１Ｂ２４　　底部側側面
　２１Ｂ３１～２１Ｂ３４　　底部側つなぎ片
　２１Ｂ３３ｃ　　底部側二つ折り用罫線
　２１Ｂｙ　　底部側シートの端縁
　２１Ｂｙ１，２１Ｂｙ２　　位置合わせマーク
　２１ＤＢ　　位置合わせマークの深さ
　２１ＬＢ　　底部側シート２１Ａの横方向の長さ
　２１ＨＢ　　底部側シート２１Ａの縦方向の長さ
　２２　　包装容器
　２３　　包装容器
　３１　　包装容器
　３１Ａ　　天部側シート
　３１Ａ１０　　天面
　３１Ａ１１　　開口部
　３１Ａ２１～３１Ａ２４　　天部側側面
　３１Ａ３１～３１Ａ３４　　天部側つなぎ片
　３１Ａ３３ｃ　　天部側二つ折り用罫線
　３１Ａｙ　　天部側シートの端縁
　３１ＬＡ　　天部側シート３１Ａの横方向の長さ
　３１ＨＡ　　天部側シート３１Ａの縦方向の長さ
　３１Ｂ　　底部側シート
　３１Ｂ１０　　底面
　３１Ｂ２１～３１Ｂ２４　　底部側側面
　３１Ｂ３１～３１Ｂ３４　　底部側つなぎ片
　３１Ｂ３３ｃ　　底部側二つ折り用罫線
　３１Ｂｙ　　底部側シートの端縁
　３１ＬＢ　　底部側シート３１Ａの横方向の長さ
　３１ＨＢ　　底部側シート３１Ａの縦方向の長さ
　３２　　包装容器
　３３　　包装容器
　３１Ｃ　　スパウト
　３１Ｃ１　　筒状胴部
　３１Ｃ２　　フランジ部
　４１　　包装容器

Claims

　シート材で形成され、箱型の状態と平坦な状態との間で変形可能な包装容器であって、
　前記平坦な状態において互いに重なる第１の部分と第２の部分とを備え、
　前記第１の部分に開口が形成され、
　前記第１の部分および前記第２の部分はそれぞれ、凸多角形状の凸多角形面と、前記凸多角形面の各辺から延出し、前記各辺を平行な２辺のうちの１辺とする等脚台形状の等脚台形面と、隣接する各前記等脚台形面の間に設けられた複数の折り返し面と、外縁の全周にわたる周縁部と、
を有し、
　前記複数の折り返し面および前記周縁部は、それぞれ、各前記凸多角形面の頂点から前記周縁部に向かって、前記折り返し面に隣接する等脚台形面と前記折り返し面とが共有する第１の側辺および第２の側辺により形成される角を２等分して延出する折り返し罫線を備え、
　前記折り返し罫線の長さは、いずれも、前記平坦な状態において、前記折り返し罫線を、前記第１の側辺および前記第２の側辺のうちそれぞれ所定の方向に隣接する側辺を軸辺として線対称に反転させて、前記所定の方向に隣接する前記等脚台形面の前記軸辺の対辺を含む直線と交差するまで伸ばした線よりも短く、
　前記第１の部分および前記第２の部分は、
　　前記周縁部において、互いにシールされたサイドシール部、または、前記シート材が折り返された接続部のいずれかによって接続しており、前記開口を除いて密閉性を有し、
　前記平坦な状態において、
　前記周縁部において前記シート材を折り曲げ、またはさらに、前記接続部において前記シート材を伸展させて、前記第１の部分と前記第２の部分との間に空隙を形成するとともに、前記第１の部分の前記開口を含む前記凸多角形面である上面と、前記第２の部分の前記凸多角形面であり前記上面に対向する下面と、前記等脚台形面により形成される複数の側面と、前記折り返し面および前記周縁部を前記折り返し罫線で折り畳んだ折り返し片と、を形成し、
　前記折り返し片を、それぞれ前記所定の方向の前記側面に沿わせて重ねることにより、前記折り返し片の先端が前記対辺から突出することなく前記箱型の状態に変形することができ、
　前記箱型の状態において、
　前記折り返し片を、前記側面から離脱させ、
　前記折り返し片を伸展させ、
　前記周縁部において前記シート材を伸展させ、またはさらに、伸展された前記接続部において前記シート材を折り返して、前記第１の部分と前記第２の部分との間の空隙を解消し、
　前記第１の部分と第２の部分とを互いに重ねることにより、前記平坦な状態に変形することができる、包装容器。
　前記第１の部分または前記第２の部分の前記箱型の状態において前記側面となる部分の少なくとも一部およびこれに重なる部分に、互いに着脱可能な接合部材を有する、請求項１に記載の包装容器。
　前記第１の部分の端縁及び前記第２の部分の端縁に、それぞれ、２以上の位置合わせマークを有し、かつ、前記第１の部分の位置合わせマークと前記第２の部分の位置合わせマークとが互いに対応する位置に配置されており、
　前記第１の部分の位置合わせマークおよび前記第２の部分の位置合わせマークが前記第１の部分および前記第２の部分それぞれの前記端縁から窪んだ凹部又は突出した凸部で構成されており、その深さ又は高さが０．５ｍｍ以上である、請求項１または２に記載の包装容器。
　前記凹部の深さ又は凸部の高さが１．０ｍｍ以上である、請求項３に記載の包装容器。
前記第１の部分の外形と前記第２の部分の外形とは、一方が他方より大きい、請求項１から４のいずれかに記載の包装容器。
　前記第１の部分の外形と前記第２の部分の外形との差が、０．６ｍｍ以上である、請求項５に記載の包装容器。
前記サイドシール部の剥離強度が９Ｎ以上である、請求項１から６のいずれかに記載の包装容器。
　前記サイドシール部の前記剥離強度が２０Ｎ以上である、請求項７に記載の包装容器。
請求項１から８のいずれかに記載の包装容器と、前記包装容器の開口に取付けられたスパウトとを含むスパウト付き包装容器の製造方法であって、
　前記第１の部分の前記開口に前記スパウトが装着された前記スパウト付き第１の部分を製造するスパウト付き第１の部分製造工程と、
　前記スパウト付き第１の部分の端縁と、前記包装容器の第２の部分の端縁とをそれぞれ固定する固定工程と、を備えるスパウト付き包装容器の製造方法。
　前記スパウト付き第１の部分製造工程において、シート材を用いて前記第１の部分を形成した後、形成された前記第１の部分に前記スパウトを装着して前記スパウト付き第１の部分を形成する、請求項９に記載のスパウト付き包装容器の製造方法。
　前記スパウト付き第１の部分製造工程において、前記開口を設けたシート材に前記スパウトを装着した後、前記シート材を打ち抜いて前記スパウト付き第１の部分を形成する、請求項９に記載のスパウト付き包装容器の製造方法。
　前記スパウトが筒状胴部と、前記筒状胴部の端部から外側に向けて張り出したフランジ部とを有しており、前記スパウト付き第１の部分製造工程において、前記スパウトの前記フランジ部を前記包装容器の内面側に溶着する、請求項９～１１のいずれかに記載のスパウト付き包装容器の製造方法。