WO2019131726A1 - メチオニンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、母液を濃縮することで発生するガスからアンモニアを効率よく回収し、利用することができる、メチオニンの製造方法を提供することを目的とする。この製造方法は、母液の濃縮工程で発生するガスを、水を循環させたガス洗浄塔内に導入して当該ガスと水とを接触させて、当該ガスに含まれるアンモニアを回収する回収工程を含み、前記ガス洗浄塔に導入されるガスの流量に対する水の流量の比が、質量比で、2以上である。好ましくは、ガス洗浄塔から排出された水が当該ガス洗浄塔に導入される前に冷却される。

Description

メチオニンの製造方法
 本特許出願は日本国特許出願第2017-253846号(出願日:2017年12月28日)についてパリ条約上の優先権を主張するものであり、ここに参照することによって、その全体が本明細書中へ組み込まれるものとする。
 本発明は、メチオニンの製造方法に関する。
 メチオニンの製造方法では、5-(2-メチルメルカプトエチル)ヒダントイン(以下、メチオニンヒダントインと記すことがある。)が準備される。このメチオニンヒダントインは、例えば、3-メチルメルカプトプロピオンアルデヒドシアンヒドリン(以下、メチオニンシアンヒドリンと記すことがある。)を水中で二酸化炭素及びアンモニアと反応させる方法により得られる。このメチオニンヒダントインは、3-メチルメルカプトプロピオンアルデヒド(以下、メチオニンアルデヒドと記すことがある。)を、青酸、二酸化炭素及びアンモニアと反応させる方法によっても得ることができる。
 この製造方法では、メチオニンヒダントインは加水分解される。これにより、メチオニン塩を含む液(以下、加水分解反応液と記すことがある。)が得られる。この加水分解反応液に二酸化炭素を導入することによりメチオニンが析出され、メチオニンのスラリーが得られる。このスラリーは、メチオニンと母液とに分離される。
 母液には、メチオニンが溶解している。この製造方法では、このメチオニンの回収のために、母液は加熱され濃縮される。得られた濃縮液に二酸化炭素を導入することにより、メチオニンが析出され回収される。この母液からのメチオニンの回収率を向上させるために、様々な検討が行われている(例えば、特許文献1)。
 特許文献1では、メチオニンの回収率を向上させるために、加水分解温度と、母液の加熱処理温度を特定温度以下に精密にコントロールすることが試みられている。
特開2012-201672公報
 メチオニンヒダントインを得る反応(以下、ヒダントイン化反応と記すことがある。)では通常、過剰量のアンモニアが用いられる。前述の母液には、アンモニアが残存していることがあり、この場合、母液を濃縮して発生するガスには、二酸化炭素以外にアンモニアが含まれる。アンモニアは、メチオニンの析出効率だけでなく、製品メチオニンの収率や純度にも影響する。このため、母液を濃縮して発生するガスから二酸化炭素を回収して利用する場合には、このガス中に含まれるアンモニアの量は極力少ない方が好ましい。
 前述の特許文献1には、母液の濃縮によりこの母液から二酸化炭素を留去することができ、加水分解反応に有利なリサイクル液が得られることが示されている。しかし、この特許文献1には、母液を濃縮して発生するガスをどのように処理したかについての開示はない。
 アンモニアは、環境への影響が考慮され、そのまま大気に放出することはできない。このため、メチオニンの製造方法には、アンモニアを排出して環境を損なうことがないよう、環境への配慮が強く求められている。
 本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、母液を濃縮することで発生するガスからアンモニアを効率よく回収し、利用することができる、メチオニンの製造方法を提供することを目的としている。
 本発明者らは、ヒダントイン化反応においてアンモニアは必須の成分であることに着目し、環境への配慮が可能な技術について鋭意検討した結果、母液を濃縮して発生するガスに含まれるアンモニアを再利用できる技術を見出し、本発明を完成するに至った。つまり、本発明に係るメチオニンの製造方法は、
・3-メチルメルカプトプロピオンアルデヒド及び青酸を、又はこれらを反応させて得られる化合物を、二酸化炭素及びアンモニアと反応させることにより、5-(2-メチルメルカプトエチル)ヒダントインを含む液を得るヒダントイン化工程、
・前記5-(2-メチルメルカプトエチル)ヒダントインを加水分解する加水分解工程、
・前記加水分解工程で得られるメチオニン塩を含む液に二酸化炭素を導入して、メチオニンを析出させる晶析工程、
・前記晶析工程で得られるメチオニンのスラリーを固液分離する分離工程、及び、
・前記分離工程で得られる母液を濃縮する濃縮工程
を含む、メチオニンの製造方法であって、該方法はさらに、
 前記濃縮工程で発生するガスを、水を循環させたガス洗浄塔内へ導入して当該ガスと水とを接触させて、当該ガスに含まれるアンモニアを回収する回収工程を含み、
 前記ガス洗浄塔に導入されるガスの流量に対する水の流量の比が、質量比で、2以上であることを特徴とする。
 この製造方法では、回収工程において、濃縮工程で発生するガス(以下、濃縮工程排ガスと記すことがある。)からアンモニアが回収される。この製造方法は、水を循環させて使用するので、水の使用量を削減できる。さらにガス洗浄塔に導入される濃縮工程排ガスの流量に対するガス洗浄塔を循環している水の流量の比が、質量比で、2以上であるので、濃縮工程排ガスと水との接触が促され、濃縮工程排ガスからアンモニアが効率よく回収される。回収したアンモニアは、例えば、ヒダントイン化工程において、再利用することができる。この製造方法は、メチオニンの製造設備から排出されるアンモニアの量の低減を図ることができる。この製造方法では、環境への配慮が考慮されたメチオニンの製造が可能である。
 このメチオニンの製造方法では、好ましくは、前記ガス洗浄塔から排出された水は当該ガス洗浄塔に導入される前に冷却される。
 この製造方法では、濃縮工程排ガスの温度は高い。このため、ガス洗浄塔で水を循環させて使用していると、水の温度が上昇し、アンモニアの回収率が低下する恐れがある。しかし、この製造方法では、ガス洗浄塔から排出された水はこのガス洗浄塔に導入される前に冷却される。冷却した水がガス洗浄塔に導入されるので、水を循環させて使用しても、ガス洗浄塔内の水の温度が適切に維持される。濃縮工程排ガスに含まれるアンモニアの水への溶解が促されるので、この製造方法は、濃縮工程排ガスからアンモニアを効率よく回収できる。
 以上の説明から明らかなように、本発明のメチオニンの製造方法は、濃縮工程排ガスからアンモニアを効率よく回収し、利用することができる。この製造方法は、排出されるアンモニアの量の低減を図ることができる。この製造方法では、環境への配慮が考慮されたメチオニンの製造が可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係るメチオニンの製造方法で用いられる設備の一部が示された概略図である。
 以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。なお、本明細書においては、本発明の説明に必要な部分を除いて、従来から公知の部分の内容に関しては詳細な説明は省略する。
[メチオニンの製造方法]
 本発明の一実施形態に係るメチオニンの製造方法では、メチオニンアルデヒドを出発原料として、メチオニンが得られる。この製造方法は、ヒダントイン化工程、加水分解工程、晶析工程、分離工程、濃縮工程及び回収工程を含む。メチオニンアルデヒドは、例えば、メチルメルカプタン及びアクロレインを反応させて得ることができる。
[ヒダントイン化工程]
 ヒダントイン化工程では、反応槽内において、メチオニンアルデヒド及び青酸を、又はこれらの成分を反応させて得られる化合物、例えば、メチオニンシアンヒドリンを、二酸化炭素及びアンモニアと水存在下で反応させることで、メチオニンヒダントインを含む液(以下、ヒダントイン液と記すことがある。)が得られる。具体的には、ヒダントイン液を得る方法として、メチオニンアルデヒド、青酸、二酸化炭素及びアンモニアを反応させる方法、並びに、メチオニンシアンヒドリン、二酸化炭素及びアンモニアを反応させる方法が挙げられる。なお、本発明においては、二酸化炭素は炭酸イオン及び/又は炭酸水素イオンの形でも存在し得る。アンモニアは、アンモニウムイオンの形でも存在し得る。
 メチオニンシアンヒドリンからメチオニンヒダントインを得る反応は、二酸化炭素及びアンモニアが溶解した水に、メチオニンシアンヒドリンを混合し、濃縮することにより行うことができる。反応温度は通常、50~90℃である。反応時間は通常、0.5~6時間である。
 メチオニンシアンヒドリンからメチオニンヒダントインを得る反応では、水の使用量は通常、メチオニンシアンヒドリンの量の3~4重量倍である。
 二酸化炭素の使用量は、メチオニンシアンヒドリン1モルに対して、通常1~5モル、好ましくは1.5~3モルである。
 アンモニアの使用量は、メチオニンシアンヒドリン1モルに対して、通常は2モルを超える過剰量、好ましくは3~5モルである。
 二酸化炭素及びアンモニアに代えて炭酸アンモニウムを用いる場合には、炭酸アンモニウムの使用量は通常、メチオニンシアンヒドリンの量の0.7~3重量倍、好ましくは0.9~2重量倍である。
 ヒダントイン液のメチオニンヒダントイン濃度は、通常1~50質量%であり、好ましくは、10~20質量%である。本発明においてメチオニンヒダントイン濃度は、液体クロマトグラフィーにより測定することができる。
 ヒダントイン化工程では、通常、過剰量のアンモニアが用いられる。このため、ヒダントイン液には、未反応のアンモニアが残存している。このヒダントイン液は、アンモニアを含んでいる。このヒダントイン液のアンモニア濃度は、通常2~7質量%であり、好ましくは、3~6質量%である。ヒダントイン液に含まれるアンモニアの量は、メチオニンヒダントイン1モルに対しては、通常1~4モル、好ましくは2~3モルである。本発明においてアンモニア濃度は、イオンクロマトグラフィーにて測定したアンモニウムイオンの量をアンモニアの量に換算することにより得られる。アンモニウムイオン量を測定するための分析条件は、次の通りである。
(イオンクロマトグラフィー分析条件)
 カラム:Dionex IonPac CS12A
 カラムサイズ:内径4mm、長さ250mm
 溶離液:20mmol/L メタンスルホン酸
 ヒダントイン液には、通常、アンモニア以外に二酸化炭素が含まれている。このヒダントイン液の二酸化炭素濃度は、通常2~7質量%である。二酸化炭素濃度は、ガスクロマトグラフィーにより測定することができる。
[加水分解工程]
 加水分解工程では、メチオニンヒダントインは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ化合物の存在下で加水分解させられる。これにより、メチオニン塩を含む液(以下、加水分解反応液と記すことがある。)が得られる。加水分解工程では、圧力は通常、約0.5~1.0MPaGの範囲で設定される。温度は、150~200℃の範囲で設定される。加水分解反応液はアンモニアを含んでおり、この加水分解反応液のアンモニア濃度は通常、0.2~1質量%である。なお、このアンモニア濃度は、前述のイオンクロマトグラフィーにより測定することができる。
[晶析工程]
 晶析工程では、加水分解工程で得た加水分解反応液に二酸化炭素が導入される。これにより、メチオニンが析出し、メチオニンのスラリーが得られる。晶析工程では、晶析温度は通常0~50℃、好ましくは10~30℃である。晶析時間は、二酸化炭素が反応液に飽和してメチオニンが十分に析出するまでの時間を目安とするが、通常30分~24時間である。
[分離工程]
 分離工程では、晶析工程で得たメチオニンのスラリーが、固液分離機、例えば、遠心分離機によって、固体成分であるメチオニンのケーキと、液体成分である母液とに固液分離される。この製造方法では、この分離工程で得たメチオニンのケーキを水洗水で洗浄して精製した後、このケーキは乾燥される。これにより、製品としての粉体のメチオニンが得られる。
[濃縮工程]
 分離工程で得られる母液には、メチオニン及び重炭酸カリウムが溶解している。メチオニンの製造において、メチオニン及び重炭酸カリウムは有価成分である。このため、濃縮工程では、メチオニン及び重炭酸カリウムを回収するために、母液は濃縮される。母液を加熱することにより、母液に含まれる水等の成分が蒸発させられ、この母液が濃縮される。この濃縮工程では、母液の加熱温度は通常、100~140℃である。
 前述したように、濃縮工程では、母液の濃縮により、この母液に含まれる水等の成分が蒸発する。言い換えれば、この濃縮工程においては、蒸気を主成分とするガスが発生する。晶析工程において二酸化炭素が吹き込まれるので、母液には二酸化炭素が含まれている。前述したように、加水分解反応液にはアンモニアが含まれている。このため、母液には微量のアンモニアが残存している。したがって、濃縮工程排ガスには、二酸化炭素と、微量のアンモニアとが含まれている。この製造方法では、次の回収工程において、濃縮工程排ガスを水と接触させることにより、この濃縮工程排ガスに含まれるアンモニアが回収される。
 [回収工程]
 図1には、本発明の一実施形態に係るメチオニンの製造方法で用いられる設備2の一部が示されている。この製造方法では、濃縮工程排ガスの処理は、この設備2を用いて行われる。この設備2は、ガス洗浄塔4と、ポンプ6と、冷却器8とを備えている。この設備2においては、ガス洗浄塔4、ポンプ6及び冷却器8はそれぞれ、液体を流す液管10で繋げられている。
 この製造方法では、濃縮工程排ガスは下部からガス洗浄塔4に導入される。濃縮工程排ガスは、ガス洗浄塔4内を下部から上部に向かって移動し、このガス洗浄塔4の頂部から排出される。
 この製造方法では、このガス洗浄塔4には、その上部から水が導入される。水は、ガス洗浄塔4内を上部から下部に向かって移動し、このガス洗浄塔4の底部から排出される。
 この製造方法では、ガス洗浄塔4に導入される水に特に制限はない。この水としては、純水、イオン交換水、水道水、工業用水等が挙げられる。
 回収工程では、濃縮工程排ガスと水とをガス洗浄塔4に導入し、このガス洗浄塔4内において、濃縮工程排ガスが水と接触させられる。これにより、濃縮工程排ガスに含まれているアンモニアが水に溶解させられる。このため、ガス洗浄塔4から排出されるガスのアンモニア濃度は、このガス洗浄塔4に導入される濃縮工程排ガスのアンモニア濃度よりも低い。ガス洗浄塔4から排出される水のアンモニア濃度は、このガス洗浄塔4に導入される水のアンモニア濃度よりも高い。この回収工程では、ガス洗浄塔4において、濃縮工程排ガスに含まれているアンモニアが水に回収される。
 この回収工程では、濃縮工程排ガスと接触することでアンモニアが溶解した水は、ガス洗浄塔4の底部から排出される。この回収工程では、このガス洗浄塔4の底部から排出された水は、ポンプ6及び冷却器8を経由してガス洗浄塔4に再び導入される。
 この製造方法は、ガス洗浄塔4において、水を循環させて使用する。この製造方法では、水はガス洗浄塔4を繰り返し通過する。バランス上、一部は排水として処理されるが、水のアンモニア濃度が所定濃度以上に到達した時点で、このアンモニアを含んだ水は、例えば、ヒダントイン化反応で用いられる炭酸アンモニウム水が調製される貯槽に導入される。そして、ガス洗浄塔4内の水の量を安定に保持するために、ガス洗浄塔4にはその上部から水が新たに導入される。
 この製造方法では、前述したように、ガス洗浄塔4の底部から排出された水は、ポンプ6及び冷却器8を経由してガス洗浄塔4に導入される。この回収工程においては、ガス洗浄塔4から排出された水は、ガス洗浄塔4に導入される前に冷却器8において冷却される。
 この製造方法では、ガス洗浄塔4から排出された水を冷却できるのであれば、この冷却器8に特に制限はない。図示されていないが、この製造方法では、冷却器8は、その内部に冷却水が流されており、熱交換によって、ガス洗浄塔4から排出された水を冷却できるように構成されている。
 この製造方法では、回収工程において、濃縮工程排ガスからアンモニアが回収される。
この製造方法は、水を循環させて使用するので、水の使用量を削減できる。さらに、ガス洗浄塔4に導入される濃縮工程排ガスの流量に対するガス洗浄塔4を循環している水の流量の比が、質量比で、2以上であるので、濃縮工程排ガスと水との接触が促され、濃縮工程排ガスからアンモニアが効率よく回収される。回収したアンモニアは、例えば、ヒダントイン化工程において、再利用することができる。この製造方法は、メチオニンの製造設備から排出されるアンモニアの量の低減を図ることができる。この製造方法では、環境への配慮が考慮されたメチオニンの製造が可能である。
 この製造方法では、濃縮工程排ガスの量が多いため、ガス洗浄塔4で使用される水の量は多い方が好ましい。濃縮工程排ガスからアンモニアがさらに効率よく回収されるという観点から、ガス洗浄塔4に導入される濃縮工程排ガスの流量に対するガス洗浄塔4を循環している水の流量の比は、質量比で、好ましくは5以上、10以上、20以上、30以上、40以上又は50以上である。なお、この比の上限は、圧力損失等の、ガス洗浄塔4の設備上の制約により決まり、通常は1000以下である。
 この製造方法では、濃縮工程排ガスの温度は、例えば105~110℃である。このため、水を循環させて使用していると、水の温度が上昇し、アンモニアの回収率が低下する恐れがある。しかし、前述したように、この製造方法では、ガス洗浄塔4から排出された水はガス洗浄塔4に導入される前に冷却される。冷却した水がガス洗浄塔4に導入されるので、水を循環させて使用しても、ガス洗浄塔4内の水の温度が適切に維持される。濃縮工程排ガスに含まれるアンモニアの水への溶解が促されるので、この製造方法は、濃縮工程排ガスからアンモニアを効率よく回収できる。したがって、この製造方法では、濃縮工程排ガスからアンモニアを効率よく回収できる観点から、ガス洗浄塔4から排出された水はガス洗浄塔4に導入される前に冷却されるのが好ましい。アンモニアの回収率の向上の観点から、ガス洗浄塔4に導入される直前の水の温度は40℃以下がより好ましい。
 前述したように、この製造方法では、ガス洗浄塔4においてアンモニアを回収した水は、例えば、ヒダントイン化反応で用いられる炭酸アンモニウム水が調製される貯槽にそのまま導入される。水の使用量を効果的に削減でき、しかも、貯槽における炭酸アンモニウム水の調製に貢献できる観点から、ガス洗浄塔4から貯槽に導入される水に含まれるアンモニアの濃度は、0.1質量%以上が好ましい。言い換えれば、ガス洗浄塔4における水の循環は、この水に溶解したアンモニアの濃度が0.1質量%以上になるまで続けられるのが好ましい。また、この水に溶解したアンモニアの濃度は1質量%以下が好ましい。
 以上の説明から明らかなように、本発明のメチオニンの製造方法は、濃縮工程排ガスから、アンモニアを効率よく回収し、利用することができる。この製造方法は、排出されるアンモニアの量の低減を図ることができる。この製造方法では、環境への配慮が考慮されたメチオニンの製造が可能である。
 以下、実施例などにより、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
 [メチオニンの製造]
 メチオニンアルデヒド及び青酸を常温及び常圧下で反応させてメチオニンシアンヒドリンを合成した。このメチオニンシアンヒドリンに対し、炭酸アンモニウムを水中で、75℃で2.5時間反応させて、メチオニンヒダントインを15質量%、アンモニアを3.6質量%含む液、すなわち、ヒダントイン液を得た。
 このヒダントイン液に不活性ガスとして窒素ガスを吹き込んだ。
 窒素ガスの吹き込みが行われたヒダントイン液に、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム及び水酸化カリウムを含む塩基性カリウム化合物を混合して得られた液(カリウム濃度:約7.5質量%)をオートクレーブの上部より連続して供給し(供給速度700g/時間)、圧力1.0MPaG、温度180℃に保持しながら加水分解反応を行い、メチオニン塩を含む液(以下、加水分解反応液)を得た。
 加水分解反応液には、0.35MPaG、20℃で二酸化炭素が導入された。これにより、メチオニンを析出させ、メチオニンのスラリーを得た。
 メチオニンのスラリーについては、遠心ろ過機(コクサン(株)H-112)を用いて固液分離を行なった。具体的には、メチオニンのスラリーを、1700毎分で回転させている遠心ろ過機に600g/毎分で流し込み、粗製メチオニンをろ布に張り付けた。次いで、回転数を3800毎分とし2分間水分を振り切った。これにより、メチオニンのスラリーを固液分離して、メチオニンのケーキと母液とを得た。なお、メチオニンのケーキについてメチオニン純分を測定すると49.0gであった(HPLC測定による換算)。
 メチオニンのケーキについては、洗浄液を吹き付けて洗浄して精製した後、微減圧下において85~105℃の温度下で乾燥することで、製品としての粉体メチオニン(純度=99.6%、収率=97%)を得た。母液については、濃縮器に導入し、0.2MPaGの加圧下で115℃、次いで140℃に加熱し、濃縮した。詳述しないが、この濃縮により得た濃縮液についても、晶析及び固液分離を行い、濃縮液に含まれるメチオニンが回収された。
 [アンモニアの回収]
 図1に示された構成を有する設備において、水を循環させて使用し、濃縮工程排ガスからアンモニアを回収した。ガス洗浄塔としては、充填塔を用いた。このガス洗浄塔内で、濃縮工程排ガスを水と接触させた。ガス洗浄塔に導入された濃縮工程排ガスの温度は、105~110℃であった。ガス洗浄塔から排出された水は冷却器を用いて40℃以下に冷却された。この実施例では、ガス洗浄塔に導入される濃縮工程排ガスの流量に対するガス洗浄塔を循環している水の流量の比は、質量比で、75に設定された。
 [アンモニアの回収率]
 ガス洗浄塔に導入される濃縮工程排ガスに含まれるアンモニア量、及び、このガス洗浄塔において回収されたアンモニア量を計測した。次の式に基づいて、このガス洗浄塔におけるアンモニアの回収率(%)を得た。
 (アンモニアの回収率)=[(洗浄塔において回収されたアンモニア量)/(洗浄塔に導入されるアンモニア量)]×100
 その結果、ガス洗浄塔におけるアンモニア回収率は99.9%以上であった。この評価結果から、本発明では、濃縮工程排ガスに含まれるアンモニアのほぼ全てが回収され、回収されたアンモニアはメチオニンの製造に再利用できる、すなわち、本発明の製造方法では、環境への配慮が考慮されたメチオニンの製造が可能であることは明らかである。
 以上説明されたメチオニンの製造方法によれば、環境への配慮が考慮されたメチオニンの製造技術を提供することができる。
 2・・・設備
 4・・・ガス洗浄塔
 6・・・ポンプ
 8・・・冷却器
 10・・・液管

Claims (2)

  1.  3-メチルメルカプトプロピオンアルデヒド及び青酸を、又はこれらを反応させて得られる化合物を、二酸化炭素及びアンモニアと反応させることにより、5-(2-メチルメルカプトエチル)ヒダントインを含む液を得るヒダントイン化工程、
     前記5-(2-メチルメルカプトエチル)ヒダントインを加水分解する加水分解工程、 前記加水分解工程で得られるメチオニン塩を含む液に二酸化炭素を導入して、メチオニンを析出させる晶析工程、
     前記晶析工程で得られるメチオニンのスラリーを固液分離する分離工程、及び、
     前記分離工程で得られる母液を濃縮する濃縮工程
    を含む、メチオニンの製造方法であって、該方法はさらに、
     前記濃縮工程で発生するガスを、水を循環させたガス洗浄塔内へ導入して当該ガスと水とを接触させて、当該ガスに含まれるアンモニアを回収する回収工程を含み、
     前記ガス洗浄塔に導入されるガスの流量に対する水の流量の比が、質量比で、2以上である、前記方法。
  2.  前記ガス洗浄塔から排出された水が当該ガス洗浄塔に導入される前に冷却される、請求項1に記載の方法。
PCT/JP2018/047758 2017-12-28 2018-12-26 メチオニンの製造方法 WO2019131726A1 (ja)

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