WO2018198453A1 - レーダ回路、レーダシステム、及びレーダプログラム - Google Patents
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Abstract
周波数変調方式を用いて距離や相対速度を計測するレーダ技術に関して、SN比の劣化を抑制しつつ距離分解能を上げることができる技術を提供する。レーダ回路は、送信波のための送信信号を発生する信号発生部と、送信信号の周波数変調を制御する変調制御部と、受信波の受信信号と送信信号との差分周波数に基づいた検出信号を検出する受信側回路部と、検出信号に基づいて解析処理を行って距離及び相対速度を計算する信号処理部とを備える。送信信号の周波数変調の波形は、変調周波数の傾きが正または負である、複数(n)のサブ波形(直線部301~30n)を有し、それぞれの隣り合うサブ波形において、例えば傾きが正の場合には、後のサブ波形の開始周波数が、前のサブ波形の終了周波数よりも大きい(例えばFs2>Fe1)。
Description
本発明は、レーダ(Radar:Radio Detecting and Ranging)技術に関し、ミリ波レーダの距離分解能向上等のために適用して有効な技術に関する。
対象物体(物標と記載する場合がある)との距離等を計測するレーダ技術として、車載のレーダシステム等が挙げられる。レーダシステムのレーダ回路は、例えば、周波数変調(FM:Frequency Modulation)を用いた送信信号に基づいて送信波を送信し、物標からの反射波を受信波として受信信号を受信する。レーダ回路は、送信信号と受信信号との差分周波数を用いて、物標との距離等を計算する。
レーダにおける一般的な変調方式としては、周波数変調連続波レーダ(FMCW:Frequency Modulated Continuous Wave radar)方式等が挙げられる。FMCW方式では、所定の周波数変調の波形を時間軸で連続的に繰り返す。
上記周波数変調を用いるレーダに係わる先行技術例として、国際公開第2016/184850号(特許文献1)、米国特許第9134415号明細書(特許文献2)が挙げられる。特許文献1には、複数のFMCW変調を組み合わせた車載レーダシステムを提供する旨が記載されている。特許文献2には、複数のFMCW変調(リニア周波数変調:LFM)を組み合わせて広帯域を実現するSAR(synthetic aperture radar)イメージングレーダを提供する旨が記載されている。
従来技術例のレーダとして、周波数変調方式を用いて距離や相対速度を計測するレーダでは、特に比較的近距離にある物標との距離や相対速度を計測する場合、距離分解能及び信号雑音比(SN比)の点で課題がある。従来の一般的なFMCW方式(比較例の第1方式)では、周波数帯域が狭いので、距離分解能を上げるためには不足である。
FMCW方式を用いたレーダにおいて、距離分解能を上げるためには、複数の変調周波数波形を組み合わせてつなぎ合わせることで広周波数帯域の送信信号を構成する方式(比較例の第2方式)が挙げられる。しかしながら、その方式で、その送信信号に基づいた受信信号の処理の際に、雑音が増大してSN比が劣化し、距離や相対速度の検知感度や精度が低下する課題がある。即ち、距離分解能を上げようとするとSN比が劣化する、言い換えれば、SN比を劣化させずに距離分解能を上げることが難しいという課題がある。
本発明の目的は、周波数変調方式を用いて距離や相対速度を計測するレーダ技術に関して、SN比の劣化を抑制しつつ距離分解能を上げることができる技術を提供することである。
本発明のうち代表的な実施の形態は、レーダ回路等であって、以下に示す構成を有することを特徴とする。
一実施の形態のレーダ回路は、周波数変調方式を用いて物標との距離及び前記物標の相対速度を検知するレーダ回路であって、送信波のための送信信号を発生する信号発生部と、前記送信信号の周波数変調を制御する変調制御部と、前記送信波に対する受信波の受信信号と前記送信信号との差分周波数に基づいた検出信号を検出する受信側回路部と、前記検出信号に基づいて解析処理を行って前記距離及び前記相対速度を計算する信号処理部と、を備え、前記送信信号の周波数変調の波形は、変調周波数の傾きが正または負である、複数(n)のサブ波形を有し、前記複数(n)のサブ波形のそれぞれの隣り合うサブ波形において、前記傾きが正の場合には、後のサブ波形の開始周波数が、前のサブ波形の終了周波数よりも大きく、前記傾きが負の場合には、前記後のサブ波形の開始周波数が、前記前のサブ波形の終了周波数よりも小さい。
本発明のうち代表的な実施の形態によれば、周波数変調方式を用いて距離や相対速度を計測するレーダ技術に関して、SN比の劣化を抑制しつつ距離分解能を上げることができる技術を提供することである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
[課題等]
本発明の実施の形態のレーダ回路等の前提技術や課題等について、比較例のレーダ技術を用いながら補足説明する。
本発明の実施の形態のレーダ回路等の前提技術や課題等について、比較例のレーダ技術を用いながら補足説明する。
図16は、比較例のレーダ回路90の構成を示す。このレーダ回路90を含むレーダシステムは、FMCW変調方式を用いて、物標との距離、及び物標の相対速度を計測、検知する。レーダシステムは、レーダ回路90、送信アンテナ41、受信アンテナ42を有する。レーダ回路90は、信号処理部91、変調制御部92、PLL回路21を含む信号発生部20、増幅器31、低雑音増幅器32、ダウンコンバータ33、アナログ・デジタル変換器(ADC)34等を備える。
信号処理部91は、CPU等で構成され、FMCW変調方式の周波数変調を用いた距離及び相対速度等の計測、検知を制御する。信号処理部91は、周波数変調の制御信号C1を変調制御部92に与える。変調制御部92は、制御信号C1に従って、周波数変調を制御するための変調制御信号SMを信号発生部20に与える。信号発生部20は、変調制御信号SMに従い、PLL回路21を用いて、所定の周波数の送信信号STを生成し出力する。送信信号STは、増幅器31及びダウンコンバータ33に入力される。増幅器31は、送信信号STを増幅した信号(送信波出力信号)TXOUTを、送信アンテナ41に出力する。送信アンテナ41は、信号TXOUTを、電波である送信波として外部へ照射する。
送信波は、一部が物標に当たって反射された電波である反射波となって返ってくる。受信アンテナ42は、反射波を受信波として受信し、信号(受信波入力信号)RXINとして出力する。低雑音増幅器32は、信号RXINを増幅して受信信号SRとして出力する。ダウンコンバータ33は、受信信号SR及び送信信号STを入力し、受信信号SRと送信信号STとの乗算によって、受信信号SRと送信信号STとの差分周波数を表す差分信号SDを検出する。ADC34は、アナログ信号である差分信号SDをデジタル信号に変換し、検出信号SFとして出力する。信号処理部91は、その検出信号SFを入力し、FFT(高速フーリエ変換)等の解析処理を行った結果(周波数スペクトル)に基づいて、物標との距離及び物標の相対速度を計算、検知する。信号処理部91は、検知した距離及び相対速度等を含む検知情報を出力する。
このように、比較例のレーダ回路90において物標の距離及び相対速度を検知する際には、信号発生部20のPLL回路21の出力信号に周波数変調をかける変調方式が用いられている。従来、主な変調方式としては、CW変調、FMCW変調、ステップ変調、2FCW変調等が挙げられる。比較例及び実施の形態1では、最も一般的なFMCW変調方式を用いる場合を示す。
図17は、比較例のレーダ回路90におけるFMCW変調を用いた送信信号の設計等を示す。図17の(A)は、FMCW変調の波形(変調周波数波形)の周波数-時間の特性を示す。実線は、送信信号STに対応する送信信号910の特性を示し、破線は、受信信号SRに対応する受信信号920の特性を示す。送信信号910は、信号発生部20でFMCW変調がかけられた信号である。(A)の特性は、その信号における周波数(Fとする)の時間遷移を示す。送信信号910では、変調期間TMにおいて、時間に線形で比例して周波数が高くなるように周波数変調がかけられている。なお、図示しないが、時間に比例して周波数が低くなる周波数変調も同様に可能である。
レーダ回路90は、このような周波数変調がかけられた送信信号910に基づいた送信波を送信し、物標からの反射波を受信信号920として受信する。受信信号920は、送信信号910に対して遅延時間TDだけ経過して遅延した信号である。遅延時間TDは、送信波が送信されてから物標で反射されて戻ってきた受信波を受信するまでの時間である。
FMCW変調方式では、連続波として、上記のような周波数変調の波形が時間軸で同様に繰り返される。(A)の例では、最初の変調期間TMの後、所定の休止時間TRの後に、次の変調期間TMで同様に周波数変調の信号が出力されている。複数の各々の変調期間TMでの周波数変調の波形は、同じ所定の周波数帯域W0を有する。
図17の(B)は、(A)の受信信号920と送信信号910との差分周波数(FDとする)を持つ差分信号を示す。ダウンコンバータ33は、受信信号920と送信信号910との乗算によって、受信信号920の周波数と送信信号910の周波数との差分周波数FDを表す差分信号SDを出力する。差分周波数FDは、遅延時間TDに比例している。そのため、信号処理部91は、差分信号SDに基づいて差分周波数FDを知ることで、物標との距離を計算できる。信号処理部91は、差分信号SDに基づいた検出信号SFから、FFT等の解析処理を行って、その結果のFFTスペクトルからピーク周波数を検出する。FFTのピーク周波数から距離を計算できる。これにより、各変調期間TMの信号毎に、距離の情報が抽出される。
一方、物標の相対速度については、公知のドップラーシフト(ドップラー効果)を検出することで計算できる。その計算方法としては、いくつかあるが、ここでは、2次FFTによる計算方法を説明する。物標に相対速度が存在する場合、即ちレーダ回路90の速度に対して物標の速度が異なる場合で、その相対速度を計算する場合には、(A)の送信信号910のように、時間軸で複数回の周波数変調の繰り返しの連続波を用いる。各回を、(1),(2),……,(N)として示す。まず、各回の周波数変調の信号に基づいて、上記のように、各回の距離を計算できる。相対速度が存在する場合、時間軸で次第に各回の距離が変化してゆく。それによって、得られたFFTのピーク周波数の値である複素数の位相が変化してゆく。信号処理部91は、この位相変化を検出することで、相対速度を計算できる。なお、本例では、相対速度に変化が無い場合を図示している。
上記のようなFMCW変調方式で計算できる、物標の最大検知距離をD_MAXとし、距離分解能をRES_Dとし、最大相対速度をV_MAXとし、相対速度分解能をRES_Vとする。D_MAX,RES_D,V_MAX,RES_Vは、下記の式(1)~(4)で表わされる。
ここで、fsは、FFTのサンプリング周波数[Hz]である。fcは、信号発生部20から出力される信号(送信信号ST)の中心周波数[Hz]である。Δfは、変調帯域幅[Hz]である。cは、光速[m/s]である。Tmodは、変調時間[sec]である。Trestは、変調待機時間(休止時間)[sec]である。Nchirpは、チャープの回数[回]である。なお、チャープは、図17の(A)の送信信号910の波形のように、周波数が時間で増加することを示す。
図18は、上記比較例のレーダ回路90における波形の設計の第1方式及び第2方式を示す。図18の(A)は、比較例の第1方式として、比較的狭い周波数帯域W0とする設計例を示す。これは、図17の(A)と同様であり、変調期間TMに対応する複数(n)の各回の変調時間Tm{Tm1,Tm2,……,Tmn}で、同様の繰り返しの周波数変調の波形を有する。各回の変調時間Tmでは、波形として直線部901,902,……,90nを有する。各回の変調時間Tmの間には、各回の休止時間Tr{Tr1,Tr2,……,Trn}を有する。各回の変調時間Tmの波形及び周波数帯域W0は同じである。
例えば、最初の変調時間Tm1の直線部901は、開始周波数Fs1から終了周波数Fe1まで時間に対し周波数が線形に増加し、所定の傾きを持つ。同様に、次の変調時間Tm2の直線部902は、開始周波数Fs2から終了周波数Fe2まで周波数が同様の傾きで増加する。直線部902の開始周波数Fs2及び終了周波数Fe2は、直線部901の開始周波数Fs1及び終了周波数Fe1と同じである。
連続波として時間軸で複数回の送受信を繰り返すことで、複数回の距離の検知、及び複数回の距離を用いた相対速度の検知を実現し、また、SN比を上げることができる。
上記のように、レーダ回路90によって距離及び相対速度を計算し検知することが可能である。このようなレーダシステムは、自動車分野では、例えば衝突防止や運転アシスト等に利用されている。このような背景で、近年では、レーダにおいて、例えば10cm以下の高い距離分解能で、比較的近距離の物体の距離を検知したいというニーズが高まっている。例えば、駐車場で自車に対して近い位置にある他車等の物体との距離を検知して駐車制御を行う機能が挙げられる。従来よりも近距離の検知を可能とするためには、従来よりも距離分解能を上げる必要がある。例えば、従来方式では距離分解能として10cm以上の単位であったのに対し、距離分解能として10cm未満あるいは5cm未満の単位を実現したい。
上記の式(2)に示すように、基本的には、変調帯域幅(Δf)を拡大することで、距離分解能を上げることができる。例えば、将来的に、周波数として77~81GHzを用いるレーダシステムでは、4GHzの変調帯域幅が許容される見通しである。このような4GHzでの周波数変調が実現される場合、単純計算としては、距離分解能として4cm以下の単位が実現できる。しかしながら、4GHzもの広帯域の周波数変調を実現するためには、PLL回路21を含む信号発生部20の周波数変調範囲を4GHz以上に広くする必要がある。このように周波数変調範囲を広くする場合、位相雑音の悪化や、PLLのロック状態が不安定になる等の悪影響の恐れがある。
周波数帯域W0に関する広い周波数変調範囲を実現するための従来技術例として、特許文献2等に示されるチャープ・スティッチング(Chirp stitching)技術が挙げられる。この技術では、設計上の必要な変調帯域を、複数の変調帯域に分割する。この技術では、各々の変調帯域に、各々の周波数変調の信号を設け、それらを組み合わせて送信信号として用いる。この技術では、受信信号においては、各々の周波数変調の信号に対応して得られた複数の信号をつなぎ合わせて、必要な変調帯域分の信号を生成する。そして、その信号を用いて、距離等が計算される。
図18の(B)は、上記従来技術例に対応する比較例の第2方式における、送信信号910の設計例を示す。これは、比較的広い周波数帯域W0を実現する。(B)の波形(変調周波数波形)は、変調期間TMに対応する部分の波形を示す。この波形は、時間軸で、複数(n)の周波数変調の波形部分である直線部(サブ波形)に分けられている。(A)と同様に、時間軸で、休止時間Tr及び変調時間Tmの繰り返しを有する。各変調時間Tmでの直線部として、直線部901,902,……,90nを有する。これらの複数(n)の直線部は、周波数帯域が異なる。例えば、最初(1回目)の変調時間Tm1の直線部901は、開始周波数Fs1から終了周波数Fe1まで周波数が所定の傾きで線形に増加する。次(2回目)の変調時間Tm2の直線部902は、開始周波数Fs2から終了周波数Fe2まで同様の傾きで増加する。2回目の直線部902の開始周波数Fs2は、1回目の直線部901の終了周波数Fe1と同じである。2回目の直線部902の周波数範囲は、1回目の直線部901の周波数範囲とは異なり、より高い帯域になっている。変調期間TMの全体の波形でみると、複数(n)の直線部の組み合わせによって、周波数帯域W0は、(A)の第1方式よりも広い帯域が実現されている。
このような第2方式を用いることで、設計上、所要の広い周波数変調帯域(周波数帯域W0)を実現できる。即ち、第2方式では、第1方式よりも距離分解能を上げることができる。しかしながら、第2方式を用いて距離分解能を上げる場合でも、物標に相対速度がある場合には、SN比の点で課題があることが分かった。第2方式の送信信号に基づいた受信信号を用いて距離及び相対速度を計算する場合、上記(B)の波形の複数(n)の信号をつなぎ合わせた信号を用いて、FFT等の計算を行う必要がある。相対速度がある場合には、受信信号において、複数の周波数変調の間隙時間(休止時間Tr)中にも距離が変わってしまい、位相がずれてゆく。即ち、受信信号における複数の信号において、時間軸でのコヒーレンスが保たれない。その結果、複数の信号をつなぎ合わせた部分では、不連続点が生じる。信号処理部91では、そのような不連続点を持つ検出信号を用いてFFT等の解析処理を行うと、結果のFFTスペクトルにおいて、雑音フロアが増大し、SN比が劣化してしまう。したがって、その結果、距離及び相対速度の検知感度や精度が低下してしまうことになる。上記のように、比較例のレーダ技術では、SN比を劣化させずに距離分解能を上げることが難しい。
(実施の形態1)
図1~図10を用いて、本発明の実施の形態1のレーダ回路等について説明する。実施の形態1のレーダ回路は、SN比の劣化を抑制しつつ距離分解能を上げることができる方式を実現する。
図1~図10を用いて、本発明の実施の形態1のレーダ回路等について説明する。実施の形態1のレーダ回路は、SN比の劣化を抑制しつつ距離分解能を上げることができる方式を実現する。
[車載システム及びレーダシステム]
図1は、実施の形態1のレーダ回路10及びレーダシステム1を含んで構成される、車載システム100の構成を示す。図1の左側には、車載システム100を示す。図1の右側には、自車と物標との距離等について示す。自車には、車載システム100が搭載されている。物標は、距離等の計測及び検知の対象物体であり、例えば他車である。自車の位置M1、他車の位置M2、自車のレーダ回路10から物標までの距離D、方位、自車に対する物標の相対速度Vを示す。
図1は、実施の形態1のレーダ回路10及びレーダシステム1を含んで構成される、車載システム100の構成を示す。図1の左側には、車載システム100を示す。図1の右側には、自車と物標との距離等について示す。自車には、車載システム100が搭載されている。物標は、距離等の計測及び検知の対象物体であり、例えば他車である。自車の位置M1、他車の位置M2、自車のレーダ回路10から物標までの距離D、方位、自車に対する物標の相対速度Vを示す。
車載システム100は、ECU(Engine Control Unit)101、センサ部102、通信部103、カーナビ部104、出力部105、操作部106、その他図示しない電源部等を備え、それらが車載バス及びCAN(Car Area Network)110を通じて接続されている。
ECU101は、エンジン制御部、言い換えると車両制御部であり、エンジン制御を含め、自車及び車載システム100の全体を制御する。ECU101は、レーダシステム1を制御してレーダシステム1から検知情報として物標との距離等を取得し、自車の制御に用いることができる。ECU101の制御の一例は以下である。ECU101は、レーダシステム1から、他車等の物標との距離D、方位、及び相対速度V等を取得する。ECU101は、それらの情報から、判断に基づいて、ハンドル操舵やブレーキのオン/オフ等を制御する。制御例としては、駐車場のスペースへの駐車の際に、近距離の他車等の物体との距離Dを用いて、接触しないように駐車させる制御が挙げられる。また、走行中に中距離の他車との相対速度Vに応じたブレーキ自動制御やアラート出力制御が挙げられる。
センサ部102は、車に搭載されている公知のセンサ群を有し、検出情報を出力する。ECU101は、その検出情報を用いて制御を行う。センサ部102に含むセンサデバイスの例として、車速計、加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ、エンジン始動センサ、温度センサ等がある。加速度センサ及びジャイロセンサは、自車の加速度、角速度及び角度等を検出する。なお、レーダシステム1は、距離や方位等を計測する機能を有するので、無線電波方式の距離センサ等と言い換えることもできる。
通信部103は、車外の移動体網やインターネット等に対する通信を行う通信インタフェース装置を含む部分である。通信部103は、ECU101やレーダシステム1等からの制御に基づいて、例えばインターネット上のサーバ等と通信ができる。カーナビ部104は、GPS受信器を含み、車に搭載されている既存のカーナビゲーションシステムの部分である。カーナビ部104は、地図情報や、GPS受信器によって取得した位置情報(例えば緯度、経度、高度)等を用いて、公知のナビゲーション処理を行う。出力部105は、表示機器や音声出力機器等を含み、運転者等の利用者に対する情報表示や音声出力を行う。操作部106は、例えば操作パネルや操作ボタン等を含み、利用者による操作入力を受け付ける。
レーダシステム1は、自車と物標との距離D、物標の相対速度V、物標の方位等を検知する機能を有する。レーダシステム1は、レーダ回路10、送信アンテナ41、受信アンテナ42を備える。レーダシステム1は、その他、ECU101等との通信インタフェース部や、利用者に対するユーザインタフェース部等を備えてもよいし、そのようなインタフェース機能については車載システム100が持つ機能としてもよい。実施の形態1のレーダシステム1は、車載システム100の一部として接続される形態としているが、これに限らず、独立の装置として実装された形態としてもよい。また、レーダシステム1は、車載に限らず、他の乗り物等の用途にも適用可能である。また、レーダシステム1は、検知した距離D等を用いて所定の制御を行う機能等を備えていてもよい。
レーダ回路10は、信号処理部11、RF回路部12、メモリ13、設定インタフェース部14等を備える。レーダ回路10は、半導体チップ等で実装されるレーダ装置である。レーダ回路10は、周波数変調方式を用いて距離D等を計測する。
信号処理部11は、CPU、ROM、RAM等のハードウェア及び対応するソフトウェアで実装され、ソフトウェアプログラム処理によって機能を実現する。信号処理部11は、マイコンやFPGA等のハードウェアによって実装されてもよい。信号処理部11の機能は、特にFMCW変調方式を用いて、無線電波の送信及び受信に基づいて、物標との距離D及び相対速度V等を計算し検知する機能を含む。信号処理部11は、例えばCPU16によってメモリ13に格納されているプログラムを読み出してプログラムに従った処理を実行することで、その機能に対応する処理部を実現する。信号処理部11は、必要に応じて、データや情報を、内部または外部のメモリに格納し、読み書きを行う。
信号処理部11は、RF回路部12や他の各部と電気的に接続されており、また、車載バス及びCAN110を通じてECU101等と通信可能に接続されている。信号処理部11は、ECU101からの制御に従って、距離D等の計測を制御する。信号処理部11は、RF回路部12に制御信号を与えて、RF回路部12の送信信号に基づいて、送信アンテナ41からの送信波の送信を制御する。また、信号処理部11は、受信アンテナ42での受信波の受信から、RF回路部12の受信信号に基づいて、得られた検出信号を用いて、距離D等を計算し、距離D等を含む検知情報を、ECU101等へ出力する。
RF回路部12は、比較的高い周波数及び広い周波数帯域の信号を扱う高周波回路部である。RF回路部12は、信号処理部11からの制御に従って、周波数変調がかけられた送信信号を生成し、送信アンテナ41から送信波を送信させる。送信波は、一部が物標に当たって反射されて反射波が受信波として返ってくる。RF回路部12は、受信アンテナ42で受信した受信波の受信信号と、送信信号とから、差分周波数に基づいた検出信号を得て、信号処理部11へ出力する。信号処理部11は、その検出信号に基づいて、周波数の解析処理を行って、距離D等を計算する。
メモリ13には、例えば予め製品出荷時にプログラム及び設定情報が格納されている。このプログラムは、実施の形態1のレーダプログラムに相当し、レーダ回路10に所定の機能を実現するための処理を行わせる。このプログラムには、設定情報を有する。もしくは、プログラム内にその設定情報が記述されている。この設定情報は、後述の周波数変調の設計を規定する情報を含む。
この設定情報は、利用者によるユーザ設定情報を含んでもよい。このプログラム及び設定情報は、製造者等による固定の設計情報としてもよいが、製品出荷後にも製造者や利用者による設定を可能としてもよい。その場合、設定インタフェース部14を用いてその設定、即ちプログラム及び設定情報の更新が可能である。このプログラム及び設定情報は、通信網上のサーバ等からダウンロード等によって設定されてもよい。例えば、製造者等がこのプログラム及び設定情報を設定する場合、車載システム100の操作部106、出力部105、通信部103等を通じて、レーダシステム1に対する設定作業を行う。この設定作業に応じて、レーダ回路10は、設定インタフェース部14を通じて、例えば設定更新のためのプログラム及び設定情報を入力し、メモリ13のプログラム及び設定情報を更新する。なお、プログラムのみや設定情報のみの更新も可能である。信号処理部11は、更新されたプログラム及び設定情報を用いて機能を実現する。また、ECU101が、必要に応じて、レーダ回路10のプログラム及び設定情報を設定してもよい。
[レーダ回路]
図2は、レーダシステム1のレーダ回路10のうち、主にRF回路部12の構成を示す。実施の形態1の図2のレーダ回路10の実装構成例として、信号処理部11が第1半導体チップTP1で実装されており、RF回路部12が別の第2半導体チップTP2で実装されており、両者が相互接続されている。この形態では、信号処理部11からRF回路部12を制御することで機能を実現する。この形態では、第2半導体チップTP2において、インタフェース回路17を有する。インタフェース回路17は、信号処理部11とRF回路部12との間を接続し、両者の間で信号をやり取りするための所定の通信インタフェースで通信処理を行う。なお、他の実装構成例としては、信号処理部11及びRF回路部12を含めて1つの半導体チップで実装された形態も可能である。その形態の場合、インタフェース回路17は不要である。
図2は、レーダシステム1のレーダ回路10のうち、主にRF回路部12の構成を示す。実施の形態1の図2のレーダ回路10の実装構成例として、信号処理部11が第1半導体チップTP1で実装されており、RF回路部12が別の第2半導体チップTP2で実装されており、両者が相互接続されている。この形態では、信号処理部11からRF回路部12を制御することで機能を実現する。この形態では、第2半導体チップTP2において、インタフェース回路17を有する。インタフェース回路17は、信号処理部11とRF回路部12との間を接続し、両者の間で信号をやり取りするための所定の通信インタフェースで通信処理を行う。なお、他の実装構成例としては、信号処理部11及びRF回路部12を含めて1つの半導体チップで実装された形態も可能である。その形態の場合、インタフェース回路17は不要である。
信号処理部11は、CPU16を有する。CPU16は、タイマ15を含む。タイマ15は、CPU16のクロックに基づいて時間を計測する。CPU16は、タイマ15の時間に基づいて制御を行う。CPU16は、上位システムである車載システム100のECU101等から指示等の情報201を入力して制御を行う。CPU16は、検知した距離Dや相対速度V等を含む検知情報202を、ECU101等へ出力する。CPU16は、インタフェース回路17を介して、RF回路部12を制御する。CPU16は、インタフェース回路17を通じて、変調制御部22へ制御信号C1を与え、出力制御部24へ制御信号C2を与える。CPU16は、インタフェース回路17を介して、RF回路部12から信号を取得する。CPU16は、インタフェース回路17を介して、状態検出部23から状態検出信号SSを入力し、ADC34から検出信号SFを入力する。
信号処理部11のCPU16で実現される個別の処理としては、計測全体制御処理、送信制御処理、受信制御処理、距離や相対速度の計算処理、検知情報出力処理等がある。
RF回路部12は、PLL回路21を含む信号発生部20、変調制御部22、状態検出部23、出力制御部24、増幅器31、低雑音増幅器32、ダウンコンバータ33、アナログ・デジタル変換器(ADC)34を有する。送信側回路部としては、信号発生部20や増幅器31等を有する。受信側回路部としては、低雑音増幅器32、ダウンコンバータ33、ADC34等を有する。
変調制御部22は、CPU16からの制御信号C1に従って、信号発生部20の周波数変調を制御するための変調制御信号SMを生成し、PLL回路21へ出力する。変調制御信号SMは、例えばPLL回路21のPLL設定信号であって、波形データを含む。PLL回路21は、その変調制御信号SMのPLL設定信号に従って、PLLの周波数等が設定される。
信号発生部20は、変調制御部22からの変調制御信号SMに基づいて、PLL回路21を用いて周波数変調がかけられた送信信号STを発生する。送信信号STは、周波数変調後の信号であり、増幅器31及びダウンコンバータ33に入力される。
PLL回路21は、PLL状態信号SPを出力する機能を有する。PLL状態信号SPは、例えば、PLLにおけるロック状態またはアンロック状態を表す2値信号である。例えば、ロック状態の時には値1、アンロック状態の時には値0が出力される。なお、アンロック状態は、言い換えると、遷移中状態や出力不安定状態である。
増幅器31は、送信信号STを増幅して、送信波出力信号TXOUTとして出力する。送信アンテナ41は、送信波出力信号TXOUTを送信波として外部へ照射する。送信波は、一部が物標に当たって反射されて反射波として返ってくる。受信アンテナ42は、反射波を受信波として受信し、受信波入力信号RXINとして出力する。低雑音増幅器32は、受信波入力信号RXINを増幅して、受信信号SRとして出力する。ダウンコンバータ33は、受信信号SRと送信信号STとを入力し、それらの乗算によって、差分周波数を表す差分信号SDを出力する。ADC34は、差分信号SDをアナログ・デジタル変換して、デジタル信号である検出信号SFとして、CPU16へ出力する。
状態検出部23は、PLL回路21からのPLL状態信号SPに基づいて、PLL回路21の状態であるロック状態またはアンロック状態を検出し、その状態を表す状態検出信号SSをCPU16へ出力する。状態検出部23は、言い換えるとロック検出部である。
状態検出信号SSは、例えば、ロック状態またはアンロック状態を表す2値信号である。なお、状態検出部23を省略した形態としてもよい。CPU16は、状態検出信号SSによってPLL回路21の状態を把握し、その状態に応じて、後述する送信波出力オフ制御を行う。その際、CPU16は、送信波出力オフ制御のための制御信号C2を出力制御部24へ与える。
出力制御部24は、CPU16からの制御信号C2に従って、送信波出力オフ制御のための出力制御信号SOを生成し、増幅器31へ与える。出力制御信号SOは、増幅器31の出力(増幅)をオン/オフすることで送信アンテナ41からの送信波の出力(送信)をオン/オフするための信号である。例えば、出力制御信号SOが値1の場合には増幅器31の出力が通常のオン状態であり、送信信号STに基づいた送信波が出力される。出力制御信号SOが値0の場合には増幅器31の出力がオフ状態とされ、送信波が出力されない。
CPU16は、ADC34からの検出信号SFを入力し、検出信号SFに対し、FFT等の解析処理を行って、その結果のFFTスペクトル及びピーク周波数等を得る。CPU16は、そのピーク周波数等から、物標との距離Dを計算し、また、各時点の距離Dに基づいて、物標の相対速度Vを計算する。CPU16は、計算によって検知した距離Dや相対速度Vを含む検知情報202を、ECU101等へ出力する。
[周波数変調(1)]
図3は、実施の形態1のレーダ回路10における、周波数変調の波形(変調周波数波形)の設計概略を示す。図3の(A)は、送信信号STの波形の周波数F[Hz]-時間[秒]の特性を示す。この波形は、図17の比較例の1回の変調期間TMの部分を拡大した波形に対応する。この波形は、複数(n)の各々の変調時間Tm毎に分けられた、複数の副次的な周波数変調波形(説明上、サブ波形と記載する)である複数の直線部を有し、それらの複数の直線部の組み合わせで構成されている。nは、2以上の整数である。
図3は、実施の形態1のレーダ回路10における、周波数変調の波形(変調周波数波形)の設計概略を示す。図3の(A)は、送信信号STの波形の周波数F[Hz]-時間[秒]の特性を示す。この波形は、図17の比較例の1回の変調期間TMの部分を拡大した波形に対応する。この波形は、複数(n)の各々の変調時間Tm毎に分けられた、複数の副次的な周波数変調波形(説明上、サブ波形と記載する)である複数の直線部を有し、それらの複数の直線部の組み合わせで構成されている。nは、2以上の整数である。
この波形は、時間軸では、変調待機時間である休止時間Trと、変調時間Tmとの繰り返しを有する。即ち、休止時間Tr{Tr1,Tr2,……,Trn}、変調時間Tm{Tm1,Tm2,……,Tmn}を有する。変調時間Tmの時には、実線で示す直線部を有し、休止時間Trの時には、間隙となっている。変調時間Tmの時に、直線部301,302,……,30nを有する。
一点鎖線で示す直線300は、この周波数変調制御の基準直線である。直線300は、時間に対して所定の傾きで周波数が線形に増加する直線である。この直線300上に、複数(n)の直線部301,302,……,30nが重なるように有する。各直線部は、直線300と同じ傾きを有し、同じ時間幅である変調時間Tmを有し、同じ所定の周波数範囲である範囲Fxを有する。休止時間Trに対応する間隙では、同じ所定の周波数範囲である範囲Fyを有する。
実施の形態1の送信信号STの波形の設計における特有の構成として以下の点を含む。複数(n)の直線部(サブ波形)は、それぞれの隣り合う直線部において、後の直線部の開始周波数は、前の直線部の終了周波数よりも大きく、所定の範囲Fyを有する。例えば、第1の直線部301と第2の直線部302との関係をみる。直線部301は、時間方向での開始点である開始周波数Fs1と、終了点である終了周波数Fe1とを有する。同様に、直線部302は、開始周波数Fs2と、終了周波数Fe2とを有する。第2の直線部302の開始周波数Fs2は、第1の直線部301の終了周波数Fe1よりも大きい(Fs2>Fe1)。開始周波数Fs2と終了周波数Fe1との差が範囲Fyである(Fs2-Fe1=Fy)。このような設計により、実施の形態1のレーダ回路10では、前述の比較例の設計よりも、物標に相対速度がある場合のSN比の劣化を抑制、改善しつつ、距離分解能を上げる、及び確保することができる。
図18の比較例の波形の設計では、第1方式及び第2方式を含め、複数の直線部における隣り合う直線部において、後の直線部(例えば第2の直線部)の開始周波数は、前の直線部(例えば第1の直線部)の終了周波数以下である(例えばFs2≦Fe1)。例えば、第1方式では、第2の直線部902の開始周波数Fs2は、第1の直線部901の終了周波数Fe1よりも小さく、開始周波数Fs1と同じである(Fs2=Fs1)。第2方式では、第2の直線部902の開始周波数Fs2は、第1の直線部901の終了周波数Fe1と同じである(Fs2=Fe1)。このように、実施の形態1の波形の設計は比較例とは異なっている。
実施の形態1のレーダ回路10は、上記設計に従い、送信信号STの変調周波数波形が直線状になるように制御する。即ち、図3の(A)のように、波形の複数の各々の直線部は、時間に対して理想的には基準の直線300上に重なるように制御される。変調制御部22からは、上記波形の設計に対応する変調制御信号SMが信号発生部20のPLL回路21へ与えられる。PLL回路21では、PLL設定信号に従ってPLLの周波数が設定される。これにより、信号発生部20の出力である送信信号STは、上記のような直線状の波形となる。
実施の形態1の上記波形の設計では、各回の変調期間TMに対応する全体の時間において、複数の直線部(サブ波形)の組み合わせによって、広い周波数帯域W1が実現されている。なお、周波数帯域W1のうち、各間隙の範囲Fyの周波数は使用されない。広い周波数帯域W1を用いることで、近距離の検知の際にも距離分解能を高くすることができる。
実施の形態1の周波数変調の設計は、図3の(A)のように、基準の直線300上の完全な直線状の設計が好適であるが、この設計に限定されるわけではなく、後述するように各種の設計が可能である。実装回路上の信号の揺らぎ等によって実際の信号波形が直線300からある程度ずれる場合も許容できる。
[周波数変調(2)]
図3の(B)は、実施の形態1(後述の補間機能が無い場合)における受信信号SRに対応する受信信号の電圧[V]-時間[秒]の特性を示す。この受信信号では、図3の(A)の波形の複数の各々の直線部及び変調時間Tmに対応して得られる、それぞれの波形部分を有し、信号IF{IF1,IF2,……,IFn}として示す。送信信号に対し、受信信号の信号IFは、物標に相対速度があってドップラーシフトによる位相シフトがある場合でも、コヒーレンス(位相の揃い)が保たれている。全体の変調時間Tmで、複数の信号IFは、所定の波(一般にAsinωtで表せる)の上に乗っており、時間軸でコヒーレンスが保たれている。即ち、時間軸で信号IFの位相が揃っている。これらの複数の信号IFは、その状態で、対応する検出信号SFとされて、CPU16へ出力される。時間軸で受信信号の各信号IFのコヒーレンスが保持されているので、CPU16が検出信号SFからFFT等の解析処理によって距離等を計算する際には、SN比の劣化を抑制しつつ、所定の距離分解能で計算できる。
図3の(B)は、実施の形態1(後述の補間機能が無い場合)における受信信号SRに対応する受信信号の電圧[V]-時間[秒]の特性を示す。この受信信号では、図3の(A)の波形の複数の各々の直線部及び変調時間Tmに対応して得られる、それぞれの波形部分を有し、信号IF{IF1,IF2,……,IFn}として示す。送信信号に対し、受信信号の信号IFは、物標に相対速度があってドップラーシフトによる位相シフトがある場合でも、コヒーレンス(位相の揃い)が保たれている。全体の変調時間Tmで、複数の信号IFは、所定の波(一般にAsinωtで表せる)の上に乗っており、時間軸でコヒーレンスが保たれている。即ち、時間軸で信号IFの位相が揃っている。これらの複数の信号IFは、その状態で、対応する検出信号SFとされて、CPU16へ出力される。時間軸で受信信号の各信号IFのコヒーレンスが保持されているので、CPU16が検出信号SFからFFT等の解析処理によって距離等を計算する際には、SN比の劣化を抑制しつつ、所定の距離分解能で計算できる。
ここで、実施の形態1では、図3の(A)のように複数のすべてのサブ波形が直線300上にあるように制御しているため、隣り合うサブ波形の間には、間隙が生じている。その間隙に対応する休止時間Trでは、送信波が送信されていない。言い換えると、送信波上において意味ある周波数を持っていない。そのため、図3の(B)のように、受信信号の複数の信号IFにおいても、対応する間隙が生じている。この信号IFの間隙では、受信波が受信されていない。言い換えれば、受信波上において、意味ある周波数を持っていない。なお、この間隙の時間で、全体の波(Asinωt)に対応する部分を点線で示している。また、図3等では、電波伝播遅延時間については省略している。
上記のように、受信信号の複数の信号IFには間隙があるので、CPU16が解析処理に用いる検出信号SFにおいては、複数の信号IFのつなぎ合わせが必要である。即ち、CPU16における解析処理対象の信号は、複数の信号IFをつなぎ合わせた信号とされる。なお、このつなぎ合わせは、CPU16が1つの処理として行ってもよいし、RF回路部12内に、信号IFのつなぎ合わせ処理のための回路部を設けてもよい。実施の形態1では、つなぎ合わせの内容については限定しない。
[周波数変調(2)]
図4は、図3の波形の設計に基づいて、更に時間方向で複数回(Nとする)の波形の繰り返しの送信信号STとする制御例及び設計例を示す。即ち、FMCW方式の連続波を示す。変調期間TM毎に同様の波形をN回繰り返しである。図4の(A)は、第1設計例として、変調期間TM毎に図3の(A)の傾きが正の波形を1単位として同様にN回繰り返しとする場合を示す。N回の各サイクルの波形は同じであり、同じ周波数帯域W1を有する。各回の変調期間TMとして、変調期間TM1,TM2,……,TMNを示す。各回の変調期間TM毎の波形として、波形401,402,……,40Nを有する。波形401等の内容は、図3の通りである。基準の直線300及び各サブ波形の傾きが正である。このように、時間軸でN回の波形の連続波を用いることで、相対速度Vの検知が可能である。
図4は、図3の波形の設計に基づいて、更に時間方向で複数回(Nとする)の波形の繰り返しの送信信号STとする制御例及び設計例を示す。即ち、FMCW方式の連続波を示す。変調期間TM毎に同様の波形をN回繰り返しである。図4の(A)は、第1設計例として、変調期間TM毎に図3の(A)の傾きが正の波形を1単位として同様にN回繰り返しとする場合を示す。N回の各サイクルの波形は同じであり、同じ周波数帯域W1を有する。各回の変調期間TMとして、変調期間TM1,TM2,……,TMNを示す。各回の変調期間TM毎の波形として、波形401,402,……,40Nを有する。波形401等の内容は、図3の通りである。基準の直線300及び各サブ波形の傾きが正である。このように、時間軸でN回の波形の連続波を用いることで、相対速度Vの検知が可能である。
図4の(B)は、第2設計例を示す。第2設計例は、第1設計例との違いとして、直線部の傾きが負である。なお、この場合の波形の設計としては、例えば第1の直線部301と第2の直線部302との関係において、第2の直線部302の開始周波数Fs2が、第1の直線部301の終了周波数Fe1よりも小さい。このような制御でも同様の効果が得られる。レーダとしては、周波数変調の傾きが正でも負でも、ドップラーシフトによる位相回転の向きが逆になる以外は同等の結果が得られる。
図4の(C)は、他の設計例として、変調期間TM毎に、(A)の傾きが正の波形と(B)の傾きが負の波形とを交互に繰り返す第3設計例を示す。このような制御でも同様の効果が得られる。
[送信波出力オフ制御(1)]
上記比較例の第2方式や、実施の形態1のように、周波数変調として、複数のサブ波形の組み合わせによって比較的広い周波数帯域を確保する場合、近距離の検知に好適な距離分解能を実現できる。ただし、PLL回路21を用いて周波数変調を実現するので、SN比の点で課題がある。周波数変調を掛けるには、PLL回路(PLL:Phase Locked Loop)を用いて行うことが一般的である。実施の形態1では、前述のように、PLL回路21に対する変調制御によって、所定の設計で周波数変調が掛けられた送信信号STが生成される。
上記比較例の第2方式や、実施の形態1のように、周波数変調として、複数のサブ波形の組み合わせによって比較的広い周波数帯域を確保する場合、近距離の検知に好適な距離分解能を実現できる。ただし、PLL回路21を用いて周波数変調を実現するので、SN比の点で課題がある。周波数変調を掛けるには、PLL回路(PLL:Phase Locked Loop)を用いて行うことが一般的である。実施の形態1では、前述のように、PLL回路21に対する変調制御によって、所定の設計で周波数変調が掛けられた送信信号STが生成される。
図3のような波形の変調周波数制御を行うためには、PLL回路21のPLL設定を、それぞれの変調時間Tmのサブ波形(直線部)毎に変更する必要がある。各サブ波形の周波数範囲が異なるので、PLL設定状態を変更する必要がある。
ただし、一般的に、PLL回路21では、出力が安定するまでの遷移中にPLLのアンロック状態が存在し、アンロック状態時の出力周波数は不安定である。PLL設定による変調周波数の変更の際には、所定の遷移時間が必要である。遷移時間は、PLLが不安定なアンロック状態から安定なロック状態になるまでに要する時間である。サブ波形の間隙(休止時間Tr)は、このPLLの遷移時間に対応付けられている。PLL回路21は、遷移時間の時には、周波数が不安定なアンロック状態であり、アンロック状態では、周波数を完全に安定には制御できない。そのため、アンロック状態の時には、信号発生部20から、所定の周波数以外の不安定な周波数が出力される可能性がある。国や地域によっても違いがあるが、各国や地域で電波法や規格によって使用可能な周波数範囲や出力電力等が規定されている。PLL回路21のアンロック状態で不安定な周波数の信号を出力することは、電波法等を満たさない可能性があるため、問題である。したがって、アンロック状態中に周波数が不安定な送信波を出力しないようにする必要がある。
[送信波出力オフ制御(2)]
そこで、実施の形態1のレーダ回路10では、上記送信信号STの波形の設計に対応して、送信波の出力(送信)のオン/オフを制御する機能も備えている。この機能は、PLL回路21のアンロック状態に対応する遷移時間(休止時間Tr)では、送信波の出力をオフ状態にするように制御する機能である。この機能により、レーダシステム1の実装上、電波法等を満たし、安定な送信波を出力できる。実施の形態1では、送信波の周波数としては、電波法や規格に合わせて例えば77~81GHzを想定している。実施の形態1では、その周波数範囲内での周波数を持つ送信波を送信し、その周波数範囲外となるような不安定な送信波の送信を防止するように、送信波出力オフ制御を行う。この機能は、図2では、前述のように、CPU16の制御に基づいて状態検出部23及び出力制御部24を用いて実現される。
そこで、実施の形態1のレーダ回路10では、上記送信信号STの波形の設計に対応して、送信波の出力(送信)のオン/オフを制御する機能も備えている。この機能は、PLL回路21のアンロック状態に対応する遷移時間(休止時間Tr)では、送信波の出力をオフ状態にするように制御する機能である。この機能により、レーダシステム1の実装上、電波法等を満たし、安定な送信波を出力できる。実施の形態1では、送信波の周波数としては、電波法や規格に合わせて例えば77~81GHzを想定している。実施の形態1では、その周波数範囲内での周波数を持つ送信波を送信し、その周波数範囲外となるような不安定な送信波の送信を防止するように、送信波出力オフ制御を行う。この機能は、図2では、前述のように、CPU16の制御に基づいて状態検出部23及び出力制御部24を用いて実現される。
図5は、実施の形態1で、送信波出力オフ制御のための各信号の構成、タイミングチャートを示す。時間軸では、図3と同様に変調時間Tm及び休止時間Trを有する。図5で、上から、状態検出信号SS、出力制御信号SO、送信波出力信号TXOUTを示す。
CPU16は、状態検出部23からの状態検出信号SSの値を参照して、PLL回路21のロック状態、アンロック状態を把握する。CPU16は、PLL回路21がアンロック状態の時には送信波を出力させないようにするための制御信号C2を生成する。具体的には、CPU16は、状態検出信号SSが値1のロック状態から値0のアンロック状態に変わることに応じて、送信波出力信号TXOUTをオン状態からオフ状態に切り替えるための制御信号C2を、出力制御部24に与える。出力制御部24は、制御信号C2に従い、出力制御信号SOを値1のオン状態から値0のオフ状態へ切り替える。増幅器31では、出力制御信号SOのオフ状態に応じて、増幅がオフにされて、送信波出力TXOUTがオフ状態になる。これにより、送信信号STにおいて、休止時間Trでは、送信アンテナ41から送信波が出力(送信)されない。
そして、当然、対応する受信波において、休止時間Trでは、受信波入力信号RXINも生じない。このように、実施の形態1のレーダ回路10では、送信波出力オフ制御によって、PLL回路21のアンロック状態に対応した不安定な周波数を持つ送信波の送信が防止される。これにより、アンロック状態中には確実に電波(送信波)を輻射しないようにし、電波法違反等を防止して、安定な周波数の送信波を用いた好適な計測が実現できる。
また、図5では、より好適な制御例として、オン/オフのタイミングに関する制御例を示している。即ち、この制御例では、状態検出信号SSが値0のアンロック状態になる時点(例えばt4)よりも少し前の時点(例えばt3)で、出力制御信号SOを値1のオン状態から値0のオフ状態になるように切り替えている。また、状態検出信号SSが値1のロック状態になる時点(例えばt5)よりも少し後の時点(例えばt6)で、出力制御信号SOを値0のオフ状態から値1のオン状態になるように切り替えている。
送信波出力オフ制御を含む制御の詳細は以下である。レーダ回路10では、周波数変調による計測を開始する場合、CPU16からインタフェース回路17を介して変調制御部22へ、制御信号C1の内容の1つとして変調開始信号が送信される。変調開始信号に従い、変調制御部22において、PLL回路21の変調周波数を制御する。CPU16は、タイマ15の時間を基準にして、図3の変調周波数波形が終了する前の時点で、出力制御部24へ、送信波出力信号TXOUTをオフ状態にするための制御信号C2を送信する。出力制御部24は、制御信号C2に従い、出力制御信号SOを増幅器31へ与える。これにより、送信波出力信号TXOUTがオフ状態になる。
変調周波数波形を切り替えている途中の遷移時間(休止時間Tr)では、PLL回路21がアンロック状態である。状態検出部23は、PLL回路21からのPLL状態信号SPに基づいてアンロック状態を検出し、対応する状態検出信号SSを出力する。CPU16は、その状態検出信号SSに基づいて、ロック状態からアンロック状態への変化に応じて、送信波出力信号TXOUTをオフにするための制御信号C2を与える。
遷移時間を通じてPLL回路21が再度ロック状態になると、状態検出部23がそのロック状態を検出し、対応する状態検出信号SSを出力する。CPU16は、その状態検出信号SSに基づいて、アンロック状態からロック状態への変化に応じて、送信波出力信号TXOUTをオンするための制御信号C2を与える。
なお、増幅器31の出力(増幅)をオン/オフするための出力制御信号SOは、急峻にオン/オフさせた場合、AM変調(振幅変調)によってスペクトルが広がり、所定の周波数帯域外の信号を出力してしまう恐れがある。これを防ぐために、時間軸で緩やかに出力をオン/オフさせる必要がある。そのため、上記出力制御信号SOでは、オン状態とオフ状態との切り替えの際に傾きを持つ信号となっている。
[効果等]
上記のように、実施の形態1のレーダ回路10等によれば、周波数変調方式を用いて距離D及び相対速度Vを計測する際に、SN比の劣化を抑制しつつ、距離分解能を上げることができる。実施の形態1によれば、特に、図3のような波形の設計に基づいて、広い周波数帯域を用いて近距離を好適に検知できる。
上記のように、実施の形態1のレーダ回路10等によれば、周波数変調方式を用いて距離D及び相対速度Vを計測する際に、SN比の劣化を抑制しつつ、距離分解能を上げることができる。実施の形態1によれば、特に、図3のような波形の設計に基づいて、広い周波数帯域を用いて近距離を好適に検知できる。
図6及び図7は、実施の形態1の効果等に関して比較例との比較で説明するための図である。図6では、実施の形態1と第1比較例及び第2比較例とで、周波数変調の設計の結果のFFTスペクトルを示す。図6のFFTスペクトルの横軸は、計測対象の物標との距離に比例する値(Distance BIN)であり、図示の左側ほど近距離、右側ほど遠距離を示す。縦軸は、信号処理部11での周波数解析結果のFFTパワー[dB]を示し、FFTピークを0dBとした時のFFT信号強度である。
図6の(A)は、第1比較例及び第2比較例の結果を示す。実線で示す結果601は、第1比較例として、図7の(A)の波形の設計とした場合の特性を示す。破線で示す結果602は、第2比較例として、図7の(B)の波形の設計とした場合の特性を示す。第2比較例は、シミュレーションによる理想的な特性を示す。距離値≒32の付近には、FFTパワーのピーク(周波数ピーク)がある。
図7の(A)の第1比較例の波形の設計では、変調期間TMにおいて、n=2個のサブ波形(直線部)として第1の直線部701及び第2の直線部702を有する。第2の直線部702の開始周波数Fs2が第1の直線部701の終了周波数Fe1と同じ場合である(Fs2=Fe1)。2つのサブ波形は同じ傾きg0を持つ。図7の(B)の第2比較例の波形の設計では、対応する同じ変調期間TMにおいて、1個の直線部700を有し、傾きg0を持つ。この波形は、サブ波形には分割されておらず、1本の直線で規定できる理想的な波形である。
図6の(A)のように、第2比較例の理想的な結果602に対し、第1比較例の結果601では、ピーク以外の箇所において、FFTパワーがより大きい。第1比較例の結果601では、高周波、即ち遠距離では、第2比較例の理想的な結果602に比べて、雑音フロアが増加している。雑音フロアの増加によって、第1比較例では、遠距離の物標を検知する場合にSN比が劣化してしまう課題がある。同様に、近距離や中距離でも雑音フロアが増加している。第1比較例では、第2比較例よりも、雑音フロアが広く、SN比が低い。
図6の(B)は、実施の形態1及び第1比較例の結果を示す。実線で示す結果603は、実施の形態1のレーダ回路10の結果を示し、図7の(C)の波形の設計とした場合の特性を示し、補間機能が無い場合である。
図7の(C)の実施の形態1の波形の設計では、変調期間TMにおいて、n=2個のサブ波形(直線部)として、第1の直線部301、第2の直線部302を有する。この設計は、前述の図3でn=2とした場合に対応する。それらの2つの直線部は、基準の直線300上に配置されており、同じ傾きg0を持つ。第2の直線部302の開始周波数Fs2は、第1の直線部301の終了周波数Fe1よりも大きい(Fs2>Fe1)。
図6の(B)のように、実施の形態1の結果603は、高周波、即ち遠距離で、第1比較例の結果601よりも、FFTパワーがより小さく、雑音フロアの増大が抑えられている。同様に、近距離や中距離でも雑音フロアが抑えられている。即ち、実施の形態1のレーダ回路10では、第1比較例に比べて、SN比の劣化が抑制されている効果がある。
ただし、実施の形態1の結果603では、ピーク付近に示すように、サイドローブ605が発生している。細かくみると、ピークを含め、3つの山として観察できる。そのため、CPU16の解析処理にもよるが、その3つの山が3つのピークとして判断される可能性もある。CPU16の解析処理上で、このサイドローブ605の影響を問題としない場合にはよいが、問題とする場合には改善する必要がある。この改善手段として、実施の形態1の第1変形例の補間機能が挙げられる。
[変形例(1)-波形補間機能]
実施の形態1の変形例のレーダ回路10として以下が挙げられる。
実施の形態1の変形例のレーダ回路10として以下が挙げられる。
第1変形例のレーダ回路10では、図3の受信信号の複数の信号IFのつなぎ合わせのために、間隙の波形を補間する機能を有する。この補間機能は、例えばCPU16のソフトウェア処理で実現される。あるいは、RF回路部12内に、補間処理を行うための回路部を追加で設けてもよい。
図3の(C)は、第1変形例のレーダ回路10における、受信信号の複数の信号IFとして、補間後の波形を示す。第1変形例のレーダ回路10は、複数の信号IFのつなぎ合わせの際に、間隙における波形データを補間する。休止時間Trに対応付けられる各信号IFの間隙において、補間波形を有する。補間波形を、信号IP1,IP2,……,IPnとして示す。
CPU16では、受信信号SRに基づいた検出信号SFを処理する際に、(C)のような波形の補間を行い、補間後の信号を用いて、複数の信号IFの部分をつなぎ合わせた信号を作成する。そして、CPU16は、そのつなぎ合わせた信号を用いて、FFT等の解析処理を行って、距離D及び相対速度V等を計算する。これにより、物標に相対速度があってドップラーシフトによる位相シフトがある場合でも、コヒーレンスを保持したまま、複数の信号IFのつなぎ合わせの不連続点を無くすことができる。これにより、CPU16の解析処理では、SN比の劣化を抑制しつつ、広い周波数帯域W1の信号を用いて高い距離分解能で距離D等を計算できる。
この波形データの補間は、様々な方式が適用可能である。例えば、過去の波形データを利用して補間する方式、スプライン補間方式、過去の波形データの機械学習によって未来の波形を予測して補間する方式等が適用可能である。例えば、過去の波形データを利用して補間する方式を適用する場合、以下のように実現できる。CPU16は、いずれかのメモリに、受信信号の各信号IFに対応する検出信号を一時的に保持する。CPU16は、メモリに保持した信号IFの波形を用いて、その後の間隙(休止時間Tr)の波形を補間するための補間波形を作成する。例えば、CPU16は、第1の変調時間Tm1に対応する信号IF1の波形、次の第2の変調時間Tm2に対応する信号IF2の波形、といったように順に保持する。なお、信号IFの波形には、図示省略するが詳しくは様々な周波数の波形が含まれている。CPU16は、例えば、信号IF1の波形及び信号IF2の波形に基づいて、それらの間隙の補間波形の信号IP1を作成する。CPU16は、信号IF1の波形を用いて、補間波形の信号IP1を作成し、信号IF1の後にその補間波形の信号IP1を不連続点が無いようにつなげ、かつ、信号IF2の前にその補間波形の信号IP1を不連続点が無いようにつなげる。CPU16は、つなぎ合わせ及び補間後の信号を用いて、FFT等の解析処理を行う。
図6の(C)は、実施の形態1の第1変形例として補間有りの場合の結果を比較で示す。実線で示す結果604は、第1変形例の場合の特性を示す。第1変形例の結果604では、波形の設計については図7の(C)と同じであり、受信信号において波形データの補間が行われている。波形データの補間は、過去の波形を再利用して補間波形を作成する方式を用いた。結果604では、ピーク付近でサイドローブ605は生じていないため、CPU16の解析処理上で、距離計算結果への悪影響等を避けることができる。結果604では、各距離において、FFTパワーは、一点鎖線で示す第1比較例の結果601と破線で示す実施の形態1の結果603との中間にあり、第1比較例よりも雑音フロアが抑えられている。第1変形例では、SN比劣化抑制効果とサイドローブ防止効果との両方をバランスよく実現できる。
[変形例(2)-ステップ形状の波形]
実施の形態1の変形例のレーダ回路10として、上記送信信号STの変調周波数波形の設計に関する変形例を以下に示す。
実施の形態1の変形例のレーダ回路10として、上記送信信号STの変調周波数波形の設計に関する変形例を以下に示す。
図8は、第2変形例のレーダ回路10において、送信信号STの変調周波数波形の設計における周波数-時間の特性を図3と同様に示す。基準の直線300は図3と同じである。直線300上に、複数(n)の各々のサブ波形として、直線部301,……,30nを有する。各直線部を拡大し、(A)、(B)に示す。(A)は、前述の実施の形態1の図3の波形の場合であり、所定の傾きg0を持つリニアの直線である。(B)は、第2変形例の場合であり、階段形状(ステップ形状)を有する。この第2変形例の波形の設計では、階段の横幅h1である所定の時間、及び縦幅h2である所定の周波数範囲が規定されている。この階段形状の直線部は、概略的にみれば、直線300に沿っており、(A)の傾きg0と同じである。なお、同様に、負の傾きを持つ階段形状も可能である。(A)の実施の形態1の場合、距離分解能の点で有利である。(B)の第2変形例の場合、相対速度Vの検知性能の点で有利である。(B)の変調を用いる場合、(A)のような変調(リニア周波数変調)を用いる場合よりも、ドップラーシフトの検出が容易であるため、相対速度Vを高精度に検知できる。
[変形例(3)-概略直線状の波形]
周波数変調の波形の設計は、図3のように完全な直線状の特性に限らず、それに近い略直線状の特性の設計としてもよく、同様及び相応の効果が得られる。上記波形の複数の直線部は、概略的に基準の直線300に沿って配置されていればよく、直線300に対してある程度までの許容範囲内で周波数のずれを持って配置されていてもよい。上記波形の複数の直線部は、全体として、直線300に対する所定の周波数範囲の基準領域内において概略直線状に配置されていればよい。
周波数変調の波形の設計は、図3のように完全な直線状の特性に限らず、それに近い略直線状の特性の設計としてもよく、同様及び相応の効果が得られる。上記波形の複数の直線部は、概略的に基準の直線300に沿って配置されていればよく、直線300に対してある程度までの許容範囲内で周波数のずれを持って配置されていてもよい。上記波形の複数の直線部は、全体として、直線300に対する所定の周波数範囲の基準領域内において概略直線状に配置されていればよい。
図9は、第3変形例のレーダ回路10における波形の設計を示す。図9の(A)は、図3の実施の形態1の完全な直線状の設計の場合よりも、複数の各直線部の周波数の増加の度合いが小さい概略直線状の設計例を示す。この設計では、基準の直線300に対し、直線部が次第に少し下にずれる位置に配置されている。この設計では、複数の直線部の間隙(休止時間Tr)における周波数の増加量に対応する範囲が、図3の場合の範囲よりも小さい。複数の各直線部は、同じ傾きであり、隣り合う直線部の関係は、実施の形態1と同様である。例えば、第1の直線部301の終了周波数Fe1に対し、第2の直線部302の開始周波数Fs2は、前述の条件(Fs2>Fe1)を満たす。この設計で、間隙の周波数範囲を範囲Fy2とする。範囲Fy2は、図3の範囲Fyよりも小さい(Fy2<Fy)。これにより、第2の直線部302は、直線300の少し下にずれて配置されている。この増加量及びずれは、所定の許容範囲内にある。許容範囲に対応する周波数範囲を範囲Fzで示す。開始周波数は、この範囲Fz内にあればよい。
変調期間TMの全体において、複数の直線部301~30nは、概略直線状となっている。破線の三角形で示す領域350は、直線300及び範囲Fzに対応する許容範囲領域(基準領域)を示す。この領域350内に複数の直線部が入っていればよい。
図9の(B)は、同様であるが、他の設計例として、図3の場合よりも、複数の各直線部の周波数の増加の度合いが大きい略直線状の設計例を示す。この設計では、基準の直線300に対し、直線部が次第に少し上にずれる位置に配置されている。この設計で、間隙の周波数範囲を範囲Fy3とする。範囲Fy3は、図3の範囲Fyよりも大きい(Fy3>Fy)。これにより、第2の直線部302は、直線300の少し上にずれて配置されている。この増加量及びずれは、所定の範囲Fz内にある。
[変形例(4)-傾きが変化する波形]
図10は、第4変形例のレーダ回路10における波形の設計を示す。図10の(A)は、変調期間TMの複数(n)の直線部において、傾きが異なり、時間軸で傾きが次第に増加する設計例を示す。この設計では、複数(n)の直線部は、概略的に、漸増する二次曲線を構成する。隣り合う直線部の周波数の関係は前述と同様である。各直線部の傾きは次第に増加している。例えば、第1の直線部301では傾きg1、第2の直線部302では傾きg1よりも大きい傾きg2である(g2>g1)。複数の直線部は、所定の領域350内に入っている。同様に、直線部の傾きが減少する設計等も可能である。
図10は、第4変形例のレーダ回路10における波形の設計を示す。図10の(A)は、変調期間TMの複数(n)の直線部において、傾きが異なり、時間軸で傾きが次第に増加する設計例を示す。この設計では、複数(n)の直線部は、概略的に、漸増する二次曲線を構成する。隣り合う直線部の周波数の関係は前述と同様である。各直線部の傾きは次第に増加している。例えば、第1の直線部301では傾きg1、第2の直線部302では傾きg1よりも大きい傾きg2である(g2>g1)。複数の直線部は、所定の領域350内に入っている。同様に、直線部の傾きが減少する設計等も可能である。
メモリ13のプログラム及び設定情報において、各実施の形態や各変形例の波形の設計のいずれを適用するかを設定可能である。また、メモリ13において複数種類の波形の設計のプログラムや設定情報を保持しておき、ユーザ設定や制御に応じてそれらから選択して利用する形態としてもよい。
(実施の形態2)
図11を用いて、本発明の実施の形態2のレーダ回路等について説明する。実施の形態2等の基本的な構成は実施の形態1と同様であり、以下では実施の形態2等における実施の形態1とは異なる構成部分について説明する。実施の形態2は、実施の形態1における送信波出力オフ制御機能を実現する別の形態として、RF回路部12内のシーケンス制御で実現する形態を示す。
図11を用いて、本発明の実施の形態2のレーダ回路等について説明する。実施の形態2等の基本的な構成は実施の形態1と同様であり、以下では実施の形態2等における実施の形態1とは異なる構成部分について説明する。実施の形態2は、実施の形態1における送信波出力オフ制御機能を実現する別の形態として、RF回路部12内のシーケンス制御で実現する形態を示す。
[送信波出力オフ制御]
図11は、実施の形態2のレーダ回路10におけるRF回路部12等の構成を示す。この構成では、CPU16側ではなくRF回路部12側を主体として、PLL回路21のアンロック状態中の送信波出力オフを制御する。この構成は、図2の構成に対して異なる要素として、RF回路部12内に、シーケンス制御部26、タイマ25を有する。この構成では、前述の状態検出部23は不要である。
図11は、実施の形態2のレーダ回路10におけるRF回路部12等の構成を示す。この構成では、CPU16側ではなくRF回路部12側を主体として、PLL回路21のアンロック状態中の送信波出力オフを制御する。この構成は、図2の構成に対して異なる要素として、RF回路部12内に、シーケンス制御部26、タイマ25を有する。この構成では、前述の状態検出部23は不要である。
タイマ25は、RF回路部12で発生するクロックCLK2を入力し、そのクロックCLK2を基準にして時間を計測する。なお、実施の形態2では、RF回路部12内のPLL回路21の動作時間に基づいて制御する必要があるので、CPU16のタイマ15ではなく、RF回路部12内のタイマ25を用いる。
シーケンス制御部26は、タイマ25の時間を基準にして、周波数変調のシーケンスを制御するシーケンサである。シーケンス制御部26は、タイマ25の時間に基づいて、変調制御部22及び出力制御部24の制御内容を時間軸でシーケンス制御する。シーケンス制御部26は、時間軸上で、信号発生部20の周波数変調、及び送信波出力オフを制御するための制御信号C4を生成する。シーケンス制御部26は、プログラムや設定情報によって予め定められたシーケンス通りに、タイマ25の時間を基準にした制御信号C4を生成し、変調制御部22及び出力制御部24に送信する。また、シーケンス制御部26は、CPU16からの指示(制御信号)の通りに、タイマ25の時間を基準にした制御信号C4を生成し送信することもできる。制御信号C4の内容は、変調制御部22への制御信号と、出力制御部24への制御信号とを含む。
実施の形態2のレーダ回路10における、送信波出力オフ制御のためのシーケンス制御の信号の構成は、図3の(A)の送信信号STの波形、図5の出力制御信号SO、及び送信波出力信号TXOUT等と同様である。即ち、PLL回路21のアンロック状態に対応する休止時間Trの開始時点では、出力制御信号SOがオフにされ、休止時間Trの終了時点では、出力制御信号SOがオンにされる。これにより、アンロック状態に対応する休止時間Trでは、送信波出力信号TXOUTがオフ状態にされ、送信波が送信されない。
[シーケンス制御の設定]
実施の形態2のレーダ回路10では、前述のメモリ13のプログラム及び設定情報に関する設定機能を用いて、シーケンス制御部26によるシーケンス制御内容を設定(またはプログラミング)できる。シーケンス制御部26からの変調制御部22及び出力制御部24への制御信号C4の内容やタイミングを設定可能である。予め、PLL回路21の特性として、PLL状態がロック状態とアンロック状態との間で切り替わる時点や遷移時間が把握される。その特性の把握に基づいて、シーケンスが設定される。例えば、製造者が製造時に設定する。例えば、前述の図5の出力制御信号SOのオン/オフのタイミングも設定可能である。例えば、図5のように、サブ波形が終了する少し前の時点(アンロック状態に変わる少し前の時点)で送信波出力信号TXOUTがオフ状態になるように設定可能である。また、サブ波形が開始した少し後の時点(ロック状態に変わって少し後の時点)で送信波出力信号TXOUTがオン状態になるように設定可能である。
実施の形態2のレーダ回路10では、前述のメモリ13のプログラム及び設定情報に関する設定機能を用いて、シーケンス制御部26によるシーケンス制御内容を設定(またはプログラミング)できる。シーケンス制御部26からの変調制御部22及び出力制御部24への制御信号C4の内容やタイミングを設定可能である。予め、PLL回路21の特性として、PLL状態がロック状態とアンロック状態との間で切り替わる時点や遷移時間が把握される。その特性の把握に基づいて、シーケンスが設定される。例えば、製造者が製造時に設定する。例えば、前述の図5の出力制御信号SOのオン/オフのタイミングも設定可能である。例えば、図5のように、サブ波形が終了する少し前の時点(アンロック状態に変わる少し前の時点)で送信波出力信号TXOUTがオフ状態になるように設定可能である。また、サブ波形が開始した少し後の時点(ロック状態に変わって少し後の時点)で送信波出力信号TXOUTがオン状態になるように設定可能である。
シーケンス制御部26は、予め設定されているシーケンス、及びタイマ25の時間に基づいて、現在のPLL状態を把握して、PLL状態に応じた内容の制御信号C4を出力する。変調制御部22は、制御信号C4の内容及びタイミングに従って、前述と同様に変調制御信号SMを用いて周波数変調を制御する。出力制御部24は、制御信号C4の内容及びタイミングに従って、前述と同様に出力制御信号SOを用いて送信波出力オン/オフを制御する。
[効果等]
上記のように、実施の形態2のレーダ回路10等によれば、実施の形態1と同様の効果が得られる。実施の形態2では、シーケンス制御によって、PLL回路21のアンロック状態中には不安定な周波数の送信波を輻射しないように制御し、電波法等を満たすことができる。実施の形態2によれば、特に、信号処理部11側とRF回路部12側との通信を少なくして距離検知を実現できる。
上記のように、実施の形態2のレーダ回路10等によれば、実施の形態1と同様の効果が得られる。実施の形態2では、シーケンス制御によって、PLL回路21のアンロック状態中には不安定な周波数の送信波を輻射しないように制御し、電波法等を満たすことができる。実施の形態2によれば、特に、信号処理部11側とRF回路部12側との通信を少なくして距離検知を実現できる。
なお、実施の形態2の変形例のレーダ回路10として、実施の形態1と同様に状態検出部23(またはシーケンス制御部26自身)を用いてPLL回路21のPLL状態を検出して把握する方式を適用してもよい。この場合、シーケンス制御部26は、その検出したPLL状態に応じて、同様に規定のシーケンスを制御する。
更に、実施の形態2の変形例のレーダ回路10として、信号発生部20及びPLL回路21の出力の後段の箇所、または信号発生部20及びPLL回路21の内部の箇所に、図11の出力オフ回路29を設けた構成としてもよい。出力オフ回路29は、PLL回路21の出力信号のオン/オフの状態が切り替え可能な回路である。この場合、出力制御部24は、出力制御信号SOを出力オフ回路29に与えることで、PLL回路21の出力の送信信号STをオフ状態にする。
(実施の形態3)
図12~図15を用いて、本発明の実施の形態3のレーダ回路等について説明する。実施の形態3のレーダシステム1及びレーダ回路10は、送信側において、複数の送信チャネルを有し、距離計測に係わるモードに応じて使用する送信チャネルを切り替える機能を有する。また、実施の形態3では、受信側において、フェーズドアレイアンテナ構成を有する。即ち、実施の形態3は、フェーズドアレイレーダ(位相配列レーダ)の場合を示す。
図12~図15を用いて、本発明の実施の形態3のレーダ回路等について説明する。実施の形態3のレーダシステム1及びレーダ回路10は、送信側において、複数の送信チャネルを有し、距離計測に係わるモードに応じて使用する送信チャネルを切り替える機能を有する。また、実施の形態3では、受信側において、フェーズドアレイアンテナ構成を有する。即ち、実施の形態3は、フェーズドアレイレーダ(位相配列レーダ)の場合を示す。
[レーダ回路]
図12は、実施の形態3のレーダシステム1及びレーダ回路10の構成を示す。実施の形態3のレーダ回路10は、基本構成として、実施の形態2のレーダ回路10(図11)と同様にシーケンス制御部26を用いて制御する構成を適用した場合である。これに限らず、実施の形態3のレーダ回路10は、実施の形態1のレーダ回路10(図2)と同様にCPU16から制御する構成も適用可能である。
図12は、実施の形態3のレーダシステム1及びレーダ回路10の構成を示す。実施の形態3のレーダ回路10は、基本構成として、実施の形態2のレーダ回路10(図11)と同様にシーケンス制御部26を用いて制御する構成を適用した場合である。これに限らず、実施の形態3のレーダ回路10は、実施の形態1のレーダ回路10(図2)と同様にCPU16から制御する構成も適用可能である。
レーダシステム1は、送信アンテナ41側において、2つの送信チャネルに対応した2つの送信アンテナを有する。2つの送信チャネルとして、第1送信チャネルCH1、第2送信チャネルCH2を有する。第1送信チャネルCH1用の第1送信アンテナTXA1、第2送信チャネルCH2用の第2送信アンテナTXA2を有する。送信チャネルに対応させて、増幅器31として、第1増幅器PA1、第2増幅器PA2を有する。第1増幅器PA1に第1送信アンテナTXA1が、第2増幅器PA2に第2送信アンテナTXA2が接続されている。第1送信チャネルCH1は、第1増幅器PA1、第1送信アンテナTXA1から成る。第2送信チャネルCH2は、第2増幅器PA2、第2送信アンテナTXA2から成る。送信チャネルに対応させて、送信波出力信号TXOUT1,TXOUT2を有する。PLL回路21からの送信信号STは、第1増幅器PA1、第2増幅器PA2、及び複数(k)のダウンコンバータ33に入力される。出力制御部24からの出力制御信号SOとして、出力制御信号SO1,SO2を有する。
実施の形態3のレーダシステム1は、距離計測に係わる2つのモードを設け、モードに応じて2つの送信チャネルを使い分けるように制御する機能を有する。このモードは、検知対象距離の遠近の度合いに応じたモードである。実施の形態3では、モードとして、第1モード、第2モードを設け、それらに対応させて、第1送信チャネルCH1、第2送信チャネルCH2を有する。第1モードは、近距離検知モード(ショートレンジレーダモード:Short range radar mode)であり、第1送信チャネルCH1を用いる。第1モードは、第2モードに対して相対的に近接位置や至近距離にある物標の近距離(短距離)の検知に好適なモードであり、特に、第2モードよりも高い距離分解能で近距離を検知可能とするモードである。第1モードでは、そのための第1波形の設計を用いる。第2モードは、中距離検知モード(ミドルレンジレーダモード:Middle range radar mode)であり、第2送信チャネルCH2を用いる。第2モードは、第1モードに対して相対的に中距離にある物標の中距離の検知に好適なモードである。第2モードでは、そのための第2波形の設計を用いる。変調制御部22は、シーケンス制御に従い、モードに応じた波形の変調制御信号SMをPLL回路21へ与える。
それぞれのモードで、送信アンテナ41に要求される指向性や送信出力の大きさが異なる。図12のように、1つのレーダシステム1において、2つの送信チャネルの構成として、2つのモードによる2種類の距離計測を実現できる。即ち、実施の形態3では、近距離も中距離も両方を好適に検知できる。
また、実施の形態3では、受信アンテナ42側において、フェーズドアレイアンテナ500の構成を有する。フェーズドアレイアンテナ500は、複数(kとする)の受信アンテナとして、受信アンテナRXA1~RXAkを有する。レーダ回路10は、複数(k)の受信アンテナに対応させて、複数(k)の低雑音増幅器32{LNA1~LNAk}、複数(k)のダウンコンバータ33{DC1~DCk}、複数(k)のADC34{ADC1~ADCk}を有する。複数(k)の受信アンテナに対応させて、複数(k)の受信波入力信号RXIN1~RXINk、複数(k)の受信信号SR1~SRk、複数(k)の差分信号SD1~SDk、複数(k)の検出信号SF1~SFkを有する。検出信号SFとして複数(k)の検出信号SF1~SFkが信号処理部11に送信される。
フェーズドアレイアンテナ500では、複数(k)の受信チャネルのブロックを有し、各受信チャネルは、受信アンテナ41、低雑音増幅器32、ダウンコンバータ33、ADC34から成る。なお、受信チャネルと送信チャネルは別の概念である。フェーズドアレイアンテナ500の構成では、公知技術として、検出信号SFの処理に基づいて、受信波(到来波)の角度推定が可能であり、それにより物標の方位が検知可能である。レーダシステム1の信号処理部11は、フェーズドアレイアンテナ500を用いた検出信号SFに基づいて、物標の方位を計算する。検知情報202は、その方位の情報を含む。フェーズドアレイアンテナ500の受信チャネル数を増やすほど、複数の物標の角度分離が可能となるため、より高精度に物標の角度(方位)を検知可能である。
なお、実施の形態1等でもフェーズドアレイアンテナ500の構成を同様に適用可能である。
[周波数変調]
図13は、実施の形態3で、モード毎の送信信号STの変調期間TMの周波数変調の波形の設計を示す。図13の(A)は、第1モード用の第1波形を示す。図13の(B)は、第2モード用の第2波形を示す。
図13は、実施の形態3で、モード毎の送信信号STの変調期間TMの周波数変調の波形の設計を示す。図13の(A)は、第1モード用の第1波形を示す。図13の(B)は、第2モード用の第2波形を示す。
(A)の第1波形の構成は、図3の(A)の実施の形態1の波形と同様とした場合である。基準の直線300上に複数のサブ波形として直線部301~30nを有し、全体として周波数帯域W1を有する。
(B)の第2波形の構成は、図18の(A)の比較例の第1方式の波形と同様とした場合である。複数のサブ波形として直線部901~90nを有し、全体として周波数帯域W0を有する。
周波数帯域W1は、周波数帯域W0よりも広い(W1>W0)。第1モードの波形は第2モードの波形よりも広帯域であるため、相対的に距離分解能を高くでき、近距離の検知に好適である。
[モード制御(1)]
実施の形態3のレーダシステム1は、第1モードの使用時には第1送信チャネルCH1をオン状態とし、第2モードの使用時には第2送信チャネルCH2をオン状態にするようにモード切り替えを制御する。
実施の形態3のレーダシステム1は、第1モードの使用時には第1送信チャネルCH1をオン状態とし、第2モードの使用時には第2送信チャネルCH2をオン状態にするようにモード切り替えを制御する。
図14は、2つのモードの切り替えの制御に係わるタイミングチャート等を示す。図14では、モード毎に、送信波出力オフ制御に係わる出力制御信号SO及び送信波出力信号TXOUTの例を示す。図14は、上から、第1モードの第1送信チャネルCH1の出力制御信号SO1、第2モードの第2送信チャネルCH2の出力制御信号SO2、第1モードの第1送信チャネルCH1の送信波出力信号TXOUT1、第2モードの第2送信チャネルCH2の送信波出力信号TXOUT2を示す。本例では、第1モードをオン状態(有効)、第2モードをオフ状態(無効)に制御する場合の信号を示す。
第1モード使用時には、各々のサブ波形に対応する変調期間Tm毎に、第1送信チャネルCH1の出力制御信号SO1がオン状態にされ、休止時間Tr毎にオフ状態にされる。これにより、変調期間Tm毎に、第1増幅器PA1からの送信波出力信号TXOUT1がオン状態になり、PLLのアンロック状態に対応する休止時間Trではオフ状態になる。この制御内容は図5と同様である。一方、第2送信チャネルCH2の出力制御信号SO2がオフ状態にされ、これにより、第2増幅器PA2からの送信波出力信号TXOUT2がオフ状態になる。このように、第1モード使用時には、第1送信アンテナTXA1のみから送信波の電波が輻射される。
図示しないが、第2モード使用時には、上記と同様で逆の信号となる。即ち、第2モード使用時には、第2送信チャネルCH2の出力制御信号SO2においてオン/オフが繰り返される信号とされ、第1送信チャネルCH1の出力制御信号SO1がオフ状態にされる。これにより、第2送信アンテナTXA2のみから送信波が送信される。第2モードは、例えば、近距離を検知する必要が無く、中距離を検知する際の距離分解能も第1モードの近距離の距離分解能ほど必要無いものとして設計される。そのため、第2モードの波形は、比較例と同様の設計を適用している。これに限らず、第2モードでは、検知対象距離等の設計に応じて、比較例とは異なる波形を適用してもよい。例えば、第2モードで、実施の形態1や変形例の波形と同様で第1モードとは異なる傾きや周波数帯域等の設定とした波形を適用してもよい。
なお、シーケンス制御部26またはCPU16は、現在の使用するモードを表す制御信号を発生させて、モード切り替えを制御してもよい。
実施の形態3の変形例として、2つのモード及び送信チャネルの構成に限らず、3つ以上のモード及び送信チャネルの構成が可能である。例えば、追加で、第3モードとして、遠距離検知モード、及び対応する第3送信チャネルを設けてもよい。この場合、第3送信アンテナとしては、遠距離の検知に好適な、アンテナ利得が高いものが用いられる。他のモード及び送信アンテナとしては、輻射ビームを絞った狭角照射モード等に対応できるものを用いてもよい。このように、各モードに応じて波形及び送信チャネルを切り替える構成によって、1つのレーダシステム1で、各種の距離を好適に検知でき、高機能のレーダシステム1を提供できる。
[モード制御(2)]
実施の形態3のレーダシステム1は、モードの切り替えの方式としては、以下が適用可能である。まず、予め、複数のモードをシーケンシャルに切り替えるように、プログラムや設定情報で設定しておく方式が可能である。例えば、シーケンス制御部26(またはCPU16)は、その設定に基づいて、時間軸で所定時間毎や所定時点でモードを切り替えるように制御信号を生成する。
実施の形態3のレーダシステム1は、モードの切り替えの方式としては、以下が適用可能である。まず、予め、複数のモードをシーケンシャルに切り替えるように、プログラムや設定情報で設定しておく方式が可能である。例えば、シーケンス制御部26(またはCPU16)は、その設定に基づいて、時間軸で所定時間毎や所定時点でモードを切り替えるように制御信号を生成する。
図15は、モード切り替え制御の例を示す。図15の(A)は、第1例として、予めの設定に基づいて時分割で2つのモードを切り替える場合の時間遷移を示す。例えば、所定時間毎に、第1モード、第2モードが交互に使用されている。予め、第1モード期間、第2モード期間としてモード継続時間等が設定されており、その設定は可変である。なお、2つのモードの切り替えの際の間に所定の切り替え遷移中時間Tswを有する。切り替え遷移中時間Tswでは、前述の周波数変調の波形の設定や使用する送信チャネルの設定が切り替えられる。このような時分割のモード切り替え制御によって、近距離及び中距離の2種類の距離を殆ど同時に所定の精度で検知できる。
図15の(B)は、モード切り替え制御の第2例として、上位システムからの指示等に応じたタイミングでモードを切り替える場合を示す。例えば、上位システムである車載システム100のECU101から、レーダシステム1の信号処理部11へ、距離計測に係わるモード、または指示、または他の情報が入力される。CPU16は、その入力情報に従って、複数のモードを切り替える。
(B)の例では、ある第1時点tx1で、CPU16は、ECU101から指示等の情報を入力している。その情報は、例えば、第2モードを使用する指示である。CPU16は、その指示に応じて、第2モードへ切り替えるように、RF回路部12へ制御信号を与える。これにより、所定の切り替え遷移中時間Tsw後に第2モードがオン状態になる。また、その後、第2時点tx2で、CPU16は、ECU101から指示等の情報を入力している。その情報は、例えば、第1モードを使用する指示である。CPU16は、その指示に応じて、第1モードへ切り替えるように、RF回路部12へ制御信号を与える。これにより、所定の切り替え遷移中時間Tsw後に第1モードがオン状態になる。このようなモード切り替え制御によって、上位システムの都合に合わせて、任意時点で、近距離及び中距離の距離計測が実現できる。
上位システムからの入力情報は、直接的なモードの指示に限らず可能である。例えば、CPU16は、ECU101からの車速等の入力情報に基づいて、いずれのモードを使用するべきか判断処理を行って、モードを切り替えてもよい。また、CPU16は、上位システムからの指示等の入力情報が無い場合でも、自らの判断に基づいて、モードを切り替えるようにしてもよい。また、指示や設定に応じて、複数のモードのうちの特定のモードを使用し続けることも勿論可能である。
図15の(C)は、モード切り替え制御の第3例として、車載システム100のレーダシステム1において、ECU101からの車速(自車速度、Vehicle speed)の入力情報に基づいて、CPU16が自動的に判断して2つのモードを切り替える制御例を示す。(C)で、上側には車速[m/sec]の時間遷移例を示し、下側には対応するモードの切り替え例を示す。
CPU16は、入力された車速を基準にして、その大小に応じて、2つのモードを切り替える。本例では、その際、CPU16は、車速の閾値を用いたヒステリシス制御によって2つのモードを切り替える。本例では、第1閾値H1、第2閾値H2を示す(H1<H2)。CPU16は、第1モードの状態から車速が第2閾値H2を上回る場合には第2モードを使用し、第2モードの状態から車速が第1閾値H1を下回る場合には第1モードを使用するように切り替える。なお、閾値近辺で車速が上下に変化する場合に頻繁にモード切り替えが起こってしまうことを避けるため、公知のヒステリシス制御を用いている。本例では、最初、車速が比較的高い状態であるため、第2モードで中距離の検知が行われている。ある時点ty1で車速が第1閾値H1を下回っている。これにより、第2モードから第1モードに切り替えられて、第1モードで近距離の検知が行われている。その後のある時点ty2で車速が第2閾値H2を上回っている。これにより、第1モードから再び第2モードに切り替えられている。
このようなモード切り替え制御によって、走行時の車速の状態に応じて検知対象距離を変えて的確に検知できる。比較的低速走行時には、第1モードで近距離を対象に検知でき、比較的高速走行時には、第2モードで中距離を対象に検知できる。例えば、駐車場でスペースに自車を駐車する際に、近接位置にある他車等の物体との近距離を、比較的高い距離分解能で検知できる。車載システム100は、レーダシステム1によって検知したその近距離の情報を用いて、例えば駐車運転制御としてブレーキ等の制御を行うことができる。利用する入力情報は、車速に限らず、他のセンサの検出情報等を用いて同様にモード切り替え制御が可能である。
[効果等]
上記のように、実施の形態3のレーダ回路10等によれば、実施の形態1や2と同様の効果が得られる。実施の形態3によれば、特に、検知対象距離の大きさ(遠近)に応じた好適な波形のモードを使用して好適な距離検知が実現できる。また、その検知距離を上位システムで利用して好適な制御が実現できる。
上記のように、実施の形態3のレーダ回路10等によれば、実施の形態1や2と同様の効果が得られる。実施の形態3によれば、特に、検知対象距離の大きさ(遠近)に応じた好適な波形のモードを使用して好適な距離検知が実現できる。また、その検知距離を上位システムで利用して好適な制御が実現できる。
距離と変調周波数との関係等について補足する。上記第1モードの例のように、比較的近距離を検知対象とする場合、距離分解能をなるべく高くしたい。例えば、自車が比較的低速で走行している状態で、自車に対して比較的近接位置にある他車等の物体との近距離を検知する場合、従来技術例であれば数十cm~数cmの距離分解能である。それに対し、実施の形態1~3を用いることで、数cm以下の距離分解能が実現できる。図3のように、複数のサブ波形の組み合わせによる波形の設計によって、周波数変調の広帯域を確保して、距離分解能を高めることができる。
上記第2モードの例のように、比較的中距離を検知対象とする場合、上記第1モードの近距離の場合ほどの距離分解能は必須ではない。そのため、前述の比較例のような波形も適用できる。第2モードの場合、変調周波数が狭帯域であるため、周波数変調時間が短くて済む利点もある。物標の相対速度Vが大きい場合には第2モードの方が検知しやすい。
実施の形態3のレーダ回路10等の変形例として、以下も可能である。モード及び送信チャネル毎に、独立した回路部を設けてもよい。例えば、第1モード用に第1PLL回路及びその設定回路等を設け、第2モード用に第2PLL回路及びその設定回路等を設けてもよい。それらの複数の系統の回路部の出力が1つに合流される。モードに応じて出力が切り替えられる。変調期間TMの複数のサブ波形の設計についても、並列の複数の回路部を用いて実現してもよい。例えば、第1の直線部の周波数変調は第1PLL回路等で実現され、第2の直線部の周波数変調は第2PLL回路等で実現されるといった構成である。
以上、本発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は前述の実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。実施の形態の構成要素の追加や削除、分離や併合、置換、組合せ等が可能である。実施の形態の機能等は、一部または全部が集積回路等のハードウェアで実現されてもよいし、ソフトウェアプログラム処理で実現されてもよい。各ソフトウェアは、製品出荷時点で予め装置内に格納されていてもよいし、製品出荷後に外部装置から通信を介して取得されてもよい。実施の形態の具体例の数値や形状は一例である。本発明は、車載システムに限らず、各種の用途に適用可能である。
1…レーダシステム、10…レーダ回路、11…信号処理部、12…RF回路部、13…メモリ、14…設定インタフェース部、15…タイマ、16…CPU、17…インタフェース回路、20…信号発生部、21…PLL回路、22…変調制御部、23…状態検出部、24…出力制御部、31…増幅器、32…低雑音増幅器、33…ダウンコンバータ、34…ADC、41…送信アンテナ、42…受信アンテナ、100…車載システム。
Claims (15)
- 周波数変調方式を用いて物標との距離及び前記物標の相対速度を検知するレーダ回路であって、
送信波のための送信信号を発生する信号発生部と、
前記送信信号の周波数変調を制御する変調制御部と、
前記送信波に対する受信波の受信信号と前記送信信号との差分周波数に基づいた検出信号を検出する受信側回路部と、
前記検出信号に基づいて解析処理を行って前記距離及び前記相対速度を計算する信号処理部と、
を備え、
前記送信信号の周波数変調の波形は、変調周波数の傾きが正または負である、複数(n)のサブ波形を有し、
前記複数(n)のサブ波形のそれぞれの隣り合うサブ波形において、前記傾きが正の場合には、後のサブ波形の開始周波数が、前のサブ波形の終了周波数よりも大きく、前記傾きが負の場合には、前記後のサブ波形の開始周波数が、前記前のサブ波形の終了周波数よりも小さい、
レーダ回路。 - 請求項1記載のレーダ回路において、
前記送信信号は、1回の変調期間において、前記波形の前記複数のサブ波形の組み合わせによる所定の周波数帯域を実現し、前記波形を複数(N)回繰り返す信号である、
レーダ回路。 - 請求項1記載のレーダ回路において、
前記波形の前記複数のサブ波形は、基準直線上に配置されている、または前記基準直線に対して所定の周波数範囲の基準領域内において概略直線状に配置されている、
レーダ回路。 - 請求項1記載のレーダ回路において、
前記送信波の出力のオン/オフを制御する出力制御部を備え、
前記出力制御部は、前記信号発生部のPLL回路のロック状態の時に前記送信波の出力をオン状態にし、アンロック状態の時に前記送信波の出力をオフ状態にするように制御する、
レーダ回路。 - 請求項4記載のレーダ回路において、
前記複数のサブ波形の隣り合うサブ波形の間に、前記アンロック状態に対応した休止時間を有し、
前記出力制御部は、前記休止時間の時に前記送信波の出力をオフ状態にするように制御する、
レーダ回路。 - 請求項1記載のレーダ回路において、
前記信号処理部は、タイマの時間に基づいて、前記周波数変調を制御するための制御信号を生成し、前記変調制御部へ与える、
レーダ回路。 - 請求項1記載のレーダ回路において、
前記周波数変調を制御するためのシーケンス制御部を備え、
前記シーケンス制御部は、前記信号処理部とは異なる高周波回路部内のタイマの時間に基づいて、前記周波数変調を制御するための制御信号を生成し、前記変調制御部へ与える、
レーダ回路。 - 請求項1記載のレーダ回路において、
前記受信信号における前記複数のサブ波形に対応する複数の信号の間隙時間の波形データを補間し、
前記信号処理部は、前記複数の信号をつなぎ合わせた信号を用いて前記解析処理を行う、
レーダ回路。 - 請求項1記載のレーダ回路において、
前記サブ波形は、所定の時間幅及び周波数幅を単位とするステップ形状を有する、
レーダ回路。 - 請求項1記載のレーダ回路において、
複数の送信アンテナに対応させた複数の送信チャネルを持つ送信側回路部を備え、
前記変調制御部は、前記送信信号の前記波形として、第1波形及び第2波形を含む複数種類の波形を制御し、
第1モードの時には、前記第1波形による前記送信信号に基づいて、第1送信アンテナから前記送信波を送信させ、第2モードの時には、前記第2波形による前記送信信号に基づいて、第2送信アンテナから前記送信波を送信させる、
レーダ回路。 - 請求項10記載のレーダ回路において、
前記第1波形による前記送信波は、第1周波数帯域を有し、前記第2波形による前記送信波は、第2周波数帯域を有し、前記第1周波数帯域は、前記第2周波数帯域よりも広く、
検知対象距離または上位システムからの入力情報に応じて、前記第1モード、前記第2モードを切り替える、
レーダ回路。 - 請求項10記載のレーダ回路において、
前記第1波形による前記送信波は、第1周波数帯域を有し、前記第2波形による前記送信波は、第2周波数帯域を有し、前記第1周波数帯域は、前記第2周波数帯域よりも広く、
時分割で、前記第1モード、前記第2モードを切り替える、
レーダ回路。 - 請求項10記載のレーダ回路において、
前記第1波形による前記送信波は、第1周波数帯域を有し、前記第2波形による前記送信波は、第2周波数帯域を有し、前記第1周波数帯域は、前記第2周波数帯域よりも広く、
上位システムからの車速を含む入力情報に応じて、前記第1モード、前記第2モードを切り替える、
レーダ回路。 - 周波数変調方式を用いて物標との距離及び前記物標の相対速度を検知するレーダシステムであって、
レーダ回路、送信アンテナ、及び受信アンテナを有し、
前記レーダ回路は、
送信波のための送信信号を発生する信号発生部と、
前記送信信号の周波数変調を制御する変調制御部と、
前記送信波に対する受信波の受信信号と前記送信信号との差分周波数に基づいた検出信号を検出する受信側回路部と、
前記検出信号に基づいて解析処理を行って前記距離及び前記相対速度を計算する信号処理部と、
を備え、
前記送信信号の周波数変調の波形は、変調周波数の傾きが正または負である、複数(n)のサブ波形を有し、
前記複数(n)のサブ波形のそれぞれの隣り合うサブ波形において、前記傾きが正の場合には、後のサブ波形の開始周波数が、前のサブ波形の終了周波数よりも大きく、前記傾きが負の場合には、前記後のサブ波形の開始周波数が、前記前のサブ波形の終了周波数よりも小さい、
レーダシステム。 - 周波数変調方式を用いて物標との距離及び前記物標の相対速度を検知するレーダ回路に処理を実行させるレーダプログラムであって、
前記レーダ回路に実行させる処理として、
送信波のための送信信号を発生する信号発生処理と、
前記送信信号の周波数変調を制御する変調制御処理と、
前記送信波に対する受信波の受信信号と前記送信信号との差分周波数に基づいた検出信号を検出する受信側処理と、
前記検出信号に基づいて解析処理を行って前記距離及び前記相対速度を計算する信号処理と、
を有し、
前記送信信号の周波数変調の波形は、変調周波数の傾きが正または負である、複数(n)のサブ波形を有し、
前記複数(n)のサブ波形のそれぞれの隣り合うサブ波形において、前記傾きが正の場合には、後のサブ波形の開始周波数が、前のサブ波形の終了周波数よりも大きく、前記傾きが負の場合には、前記後のサブ波形の開始周波数が、前記前のサブ波形の終了周波数よりも小さい、
レーダプログラム。
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Legal Events
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---|---|---|---|
121 | Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application |
Ref document number: 18791206 Country of ref document: EP Kind code of ref document: A1 |
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122 | Ep: pct application non-entry in european phase |
Ref document number: 18791206 Country of ref document: EP Kind code of ref document: A1 |