WO2018179850A1

WO2018179850A1 - 乗員保護装置

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Publication number: WO2018179850A1
Application number: PCT/JP2018/003876
Authority: WO
Inventors: 優斗小林
Original assignee: オートリブディベロップメントエービー; 優斗小林
Priority date: 2017-03-30
Filing date: 2018-02-05
Publication date: 2018-10-04
Also published as: EP3604047A4; CN110431052A; US11235724B2; EP3604047A1; EP3604047B1; CN110431052B; JP6748294B2; US20210162942A1; KR102257441B1; JPWO2018179850A1; KR20200012832A

Abstract

【課題】エアバッグ展開初期の段階で速やか且つ適切に乗員を拘束可能なサイドエアバッグ装置及び、これを備えた乗員保護装置を提供すること。【解決手段】本発明に係るサイドエアバッグ装置は、膨張展開することで乗員を拘束するエアバッグと；前記エアバッグに対して膨張ガスを供給するインフレータとを備える。前記エアバッグは、前記インフレータを収容し、前記フレーム側壁部の車幅方向外側で展開する第１チャンバと；前記フレーム側壁部の車幅方向内側で展開する第２チャンバとを備える。そして、前記第１チャンバは、車両側方から見て少なくとも一部が前記フレーム側壁部に重なるように展開する。このとき、車両側方から見て、前記第２チャンバの膨張領域の後端部分は、前記第１チャンバの後端部分よりも前方に形成される。

Description

乗員保護装置

　本発明は、車両のシート側部で展開することで乗員を保護するサイドエアバッグ装置を備えた乗員保護装置に関する。

　車両の事故発生時に乗員を保護するために１つまたは複数のエアバッグを車両に設けることは周知である。エアバッグは、例えば、自動車のステアリングホイールの中心付近から膨張して運転者を保護する、いわゆる運転者用エアバッグや、自動車の窓の内側で下方向に展開して車両横方向の衝撃や横転、転覆事故時に乗員を保護するカーテンエアバッグや、車両横方向の衝撃時に乗員を保護すべく乗員の側部（シートの側部）で展開するサイドエアバッグなどの様々な形態がある。本発明は、車両用シートに備えられるサイドエアバッグ装置に関するものである。

下記特許文献１に記載されたサイドエアバッグ装置は、主エアバッグと補助エアバッグとを備えている。そして、主エアバッグに先行して補助エアバッグを膨張展開させることにより、乗員を早期に拘束するようにしている。特許文献１に記載された発明以外にも、主エアバッグに加えて補助エアバッグを備えたサイドエアバッグ装置が提案されている。このようなサイドエアバッグ装置においては、設置領域における制約が大きいため、装置のコンパクト化の要請が強い。
　また、展開速度の向上や展開挙動、展開形状の安定化による適切な乗員保護性能が要求される。

特開２００９－０２３４９４号公報

　本発明は上記のような状況に鑑みてなされたものであり、速やか且つ適切に乗員を拘束可能なサイドエアバッグ装置を備えた乗員保護装置を提供することを目的とする。
　また、装置のコンパクト化に寄与するサイドエアバッグ装置を備えた乗員保護装置を提供することを他の目的とする。

　上記目的を達成する本発明は、座面を形成するシートクッションと背もたれを形成するシートバックとを有する車両シートと、当該シートに収容されるサイドエアバッグ装置とを備えた乗員保護装置に適用される。
　ここで、前記シートバックは、車幅方向側部（端部）において車両進行方向（車両前方）に膨出したサイドサポート部を備える。
　前記サイドサポート部の内部には、水平断面を上方から見たときに車両進行方向に沿って延びるフレーム側壁部を有するサイドフレーム部が配置される。
　前記サイドエアバッグ装置は、膨張展開することで乗員を拘束するエアバッグと；前記エアバッグに対して膨張ガスを供給するインフレータとを備える。
　前記エアバッグは、前記インフレータを収容し、前記フレーム側壁部の車幅方向外側で展開する第１チャンバと；前記フレーム側壁部の車幅方向内側で展開する第２チャンバとを備える。
　そして、前記第１チャンバは、車両側方から見て少なくとも一部が前記フレーム側壁部に重なるように展開する。このとき、車両側方から見て、前記第２チャンバの膨張領域の後端部分は、前記第１チャンバの後端部分よりも前方に形成される。

　なお、フレーム側壁部の車幅方向内側とは、シートの中心側（乗員側）を意味し、フレーム側壁部の車幅方向外側とは、シートの横方向外側（ドア側、センターコンソール側）を意味するものとする。

　上記のような構成の本発明によれば、エアバッグ装置の作動初期の段階においてサイドサポート部の外側で第１チャンバが展開する。このとき、第１チャンバは、車両側方から見てフレーム側壁部に重なるように展開するため、フレーム側壁部が第１チャンバ展開時の反力を受け止めた状態で、確実に展開する。その後、第２チャンバが展開して、乗員が車両幅方向外側に移動するのを速やかに拘束する。このとき、第２チャンバのフレーム側の面は当該フレーム側壁部と既に展開し始めている第１チャンバの両方または、第１チャンバのみによって支持される格好となり、フレーム側壁部と第１チャンバの両方または第１チャンバが第２チャンバ展開時の反力を受け止める。このため、乗員が第２チャンバに侵入したときに、乗員からの圧力をフレーム側壁部で受け止めることができ、乗員をシート中心方向に対して確実に拘束することが可能となる。

　前記第１チャンバと前記第２チャンバは、前記フレーム側壁部を挟持するように設けることができる。
　このように構成することにより、第１チャンバがフレーム側壁部の車幅方向外側で確実に展開し、第２チャンバがフレーム側壁部の車幅方向内側で確実に展開するため、各チャンバの展開位置の制御が容易となる。

　前記第２チャンバは、車両側方から見て前記フレーム側壁部に重ならないように展開させることができる。
　この場合、フレーム側壁部に重なる場合に比べて、第２チャンバの展開位置が前方にシフトするため、エアバッグ全体の形状を前方に広げやすいというメリットがある。

　前記第１チャンバと前記第２チャンバとの境界部分には、前記第１チャンバ内部のガスが前記第２チャンバに流れ込むように少なくとも１つの第１内部ベントホールを形成することが好ましい。
　第１内部ベントホールの存在により、エアバッグ全体に膨張ガスを速やかに充填させることができる。

　前記第１チャンバと前記第２チャンバを、１つのチャンバとして構成することができる。
　この場合、エアバッグを構成するパネルの数を減らすことができ、全体のパネル構造が簡素となる。

　前記第２チャンバを、前方チャンバ部分と後方チャンバ部分とに区画し、当該区画部分に少なくとも１つの第２内部ベントホールを設けることができる。

　前記第２チャンバの前端部分を、前記第１チャンバの前端部分よりも前方に位置させることができる。
　このように、乗員に近い側の第２チャンバの前端部が前に出ることにより、例えば、前かがみの状態で着座している乗員も拘束でき、乗員の拘束範囲を広げることが可能となる。

　前記第１チャンバの前記第２チャンバと反対側において、当該第１チャンバと連結された第３チャンバを更に備えることができる。
　このような構成を採用することにより、単一のチャンバで広い範囲を保護する場合に比べて、エアバッグの展開挙動を把握しやすく、エアバッグの展開形状、展開姿勢をより正確に制御可能となる。

　ここで、前記第１チャンバと前記第３チャンバとの境界部分には、前記第１チャンバ内部のガスが前記第３チャンバに流れ込むように少なくとも１つの第３内部ベントホールを形成することができる。
　この場合、第１チャンバから分岐した膨張ガスが第２チャンバと第３チャンバに各々別々に送り込まれるため、第２チャンバ及び第３チャンバの速やかな展開に寄与する。

　また、前記第３チャンバの前端部分が、前記第１チャンバ及び前記第２チャンバの前端部分よりも前方に位置する構成とすることができる。
　この場合、エアバッグ全体の展開形状として見たときに、比較的容易に前後方向の幅を大きくすることが可能となる。

　更に、前記第３チャンバを前方チャンバ部分と後方チャンバ部分とに区画し、当該区画部分には少なくとも１つの第４内部ベントホールを設けることができる。こうすると、更に前後方向の幅を大きくすることが可能となる。

　前記第１チャンバの前方で前記第２チャンバの側面に連結された第４チャンバを更に備えることができる。
　そして、前記第２チャンバと前記第４チャンバとの境界部分に、前記第２チャンバ内部のガスが前記第４チャンバに流れ込むように少なくとも１つの第５内部ベントホールを形成することができる。
　このような構成を採用することにより、膨張ガスが第１チャンバ、第２チャンバ、第４チャンバの順に流れて、その順番で膨張展開するため、早い段階で第１及び第２チャンバによって乗員を速やかに拘束するとともに、第４チャンバによって拘束範囲を広く確保することが可能となる。

　あるいは、前記第４チャンバと前記第１チャンバとの境界部分には、前記第１チャンバ内部のガスが前記第４チャンバに流れ込むように少なくとも１つの第６ベントホールを形成することもできる。

　また、前記サイドフレームの外側において、前記第４チャンバの後方部分は前記第２チャンバの車幅方向外側を覆うように設けられ、前記第１チャンバは前記第２チャンバへのガスガイドとして機能させることができる。

　前記サイドフレームの外側において、前記第４チャンバの後方部分は前記第１チャンバの車幅方向外側を覆うように設けられ、前記第１チャンバは前記第２チャンバへのガスガイドとして設けることができる。

　前記第２チャンバの側面の車幅方向外側に連結された第４チャンバを更に備え、前記第１チャンバは、前記第４チャンバの内部にバッグインバッグの形態で設けることができる。
　ここで、前記第４チャンバが前記サイドフレーム部の前側に位置するように設けることができる。また、前記第２チャンバと前記第４チャンバとの境界部分に、前記第２チャンバ内部のガスが前記第４チャンバに流れ込むように少なくとも１つの第５内部ベントホールを形成することが好ましい。

　前記第４チャンバの前端部分が、前記第２チャンバの前端部分よりも前方に位置する構成とすることができる。ここで、前記第４チャンバは、前記第１チャンバの前端部と前記第２チャンバの側面に連結された構造とすることができる。

　前記第２チャンバの一部には、後方に突出して膨張展開する突出膨張部を形成することができる。ここで、前記第２チャンバの前記突出膨張部は、側方から見たときに前記インフレータと重ならない配置に形成することが好ましい。
　通常、第２チャンバの後方部分はインフレータを取り付けるスペースと重なるため、第２チャンバの後端部がインフレータよりも前方にあるように配置する必要がある。しかしながら、上記のような突出膨張部を形成することにより、インフレータ（スタッドボルト）よりも後方まで第２チャンバを延ばすことができる。そうすると、第２チャンバをサイドフレームと十分にオーバーラップさせることができ、膨張展開時にサイドフレームからの反力を利用することができ、挙動、姿勢の安定した展開を行うことが可能となる。

　前記エアバッグを構成する各チャンバの中で、最も前方にあるチャンバの先端に、膨張ガスを外部に排出する外部ベントホールを設けることができる。

　前記第２チャンバの後方側に連結された前端部を有するストラップを更に備え、前記ストラップの後端部を、前記サイドフレーム又は前記インフレータを前記サイドフレームに取り付けるためのスタッドボルトに連結する構造とすることができる。あるいは、前記第２チャンバの前記膨張領域の後方には非膨張領域が形成され、当該非膨張領域が、前記サイドフレーム又は前記インフレータを前記サイドフレームに取り付けるためのスタッドボルトに連結する構造とすることができる。
　この場合、第２チャンバの前後方向の展開挙動、展開形状、展開姿勢を制御することが可能となる。

（本発明の実施形態）
　本発明に係るサイドエアバッグは、シートのドア側（外側）に展開するタイプの他、シートの車両中心側に展開するタイプを含むものとする。なお、シートの車両中心側に展開するタイプのサイドエアバッグは、例えば、ファーサイドエアバッグ、フロントセンターエアバッグ、リアセンターエアバッグ等と称される。

図１は、本発明に係る乗員保護装置に使用される車両用シートの主に外観形状を示す斜視図であり、エアバッグユニットの図示は省略する。図２は、図１に示す車両用シートの骨組みとして機能する内部構造体（シートフレーム）を示す斜視図であり、エアバッグユニットの図示は省略する。図３は、本発明に係る乗員保護装置の概略側面図であり、エアバッグユニットが収容された状態を車幅方向の外側から観察した様子を示す。図４は、本発明に係る乗員保護装置の構造を示す断面図であり、図３のＡ１－Ａ１方向の断面の一部に対応する。図５は、本発明に係る乗員保護装置の概略側面図であり、エアバッグが展開した状態を車幅方向の外側から観察した様子を示す。図６は、本発明の第１実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。図７は、本発明の第２実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。図８は、本発明の第３実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。図９は、本発明の第４実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。図１０は、本発明の第５実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。図１１（Ａ），（Ｂ）は、本発明の第６実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。図１２（Ａ），（Ｂ）は、本発明の第７実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。図１３は、本発明の第８実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。図１４は、本発明の第９実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。図１５（Ａ），（Ｂ）は、本発明の第１０実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。図１６は、図１５に示すエアバッグ装置の展開状態を平面的に示す側面図であり、エアバッグを構成するパネルの配置、形状を示すものである。図１７（Ａ），（Ｂ）は、本発明の第１１実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。図１８（Ａ），（Ｂ）は、本発明の第１２実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。図１９は、図１８に示すエアバッグ装置の展開状態を平面的に示す側面図であり、エアバッグを構成するパネルの配置、形状を示すものである。

本発明の実施形態に係るサイドエアバッグ装置を搭載した車両用シートについて、添付図面に基づいて説明する。なお、各図に表示する「前」とは車両の前方（進行方向）、「後」とは車両の後方（進行方向と反対側）、「内」とは車幅方向の内側（乗員側）、「外」とは車幅方向外側（ドアパネル側）をそれぞれ示す。

　図１は、本発明の第１実施例に係る乗員保護装置に使用される車両用シートの主に外観形状を示す斜視図であり、エアバッグ装置（２０）の図示は省略する。図２は、図１に示す車両用シートの骨組みとして機能する内部構造体（シートフレーム）を示す斜視図であり、ここでも、エアバッグ装置（２０）の図示は省略する。図３は、第１実施例に係る乗員保護装置の概略側面図であり、車両用シートのドアに近い側面（ニアサイド）にエアバッグ装置２０が収容された状態を車幅方向の外側から観察した様子を示す。

　本発明は、車両シートと、当該シートに収容されるサイドエアバッグ装置（２０）とを備えた乗員保護装置である。本実施例に係る車両シートは、部位として観たときには、図１及び図２に示すように、乗員が着座する部分のシートクッション２と；背もたれを形成するシートバック１と、シートバック１の上端に連結されるヘッドレスト３とによって構成されている。

　シートバック１の内部にはシートの骨格を形成するシートバックフレーム１ｆが設けられ、その表面及び周囲にはウレタン発泡材等からなるパッドが設けられ、当該パッドの表面は皮革、ファブリック等の表皮１４によって覆われている。シートクッション２の底側には着座フレーム２ｆが配置され、その上面及び周囲にはウレタン発泡材等からなるパッドが設けられ、当該パッドの表面は皮革、ファブリック等の表皮１４（図４）によって覆われている。着座フレーム２ｆとシートバックフレーム１ｆとは、リクライニング機構４を介して連結されている。

　シートバックフレーム１ｆは、図２に示すように、左右に離間して配置され上下方向に延在するサイドフレーム１０と、このサイドフレーム１０の上端部を連結する上部フレームと、下端部を連結する下部フレームとにより枠状に構成されている。ヘッドレストフレームの外側にクッション部材を設けることでヘッドレスト３が構成される。

　図４は、本発明に係る乗員保護装置の構造を示す断面図であり、図３のＡ１－Ａ１方向の断面の一部に対応する。図５は、本発明に係る乗員保護装置の概略側面図であり、エアバッグが展開した状態を車幅方向の外側から観察した様子を示す。

　サイドフレーム１０は、樹脂又は金属によって成形され、図４に示すようにＬ字断面形状又はコの字断面形状とすることができる。サイドフレーム１０は、水平断面を上方から見たときに車両進行方向に沿って延びるフレーム側壁部１０ａを備えている。そして、このフレーム側壁部１０ａの車幅方向外側にエアバッグモジュール（サイドエアバッグ装置）２０が固定される。

　図４に示すように、シートバック１は、車幅方向側部（端部）において車両進行方向（車両前方）に膨出したサイドサポート部１２を備える。サイドサポート部１２の内部には、ウレタンパッド１６が配置されていない隙間にサイドエアバッグ装置２０が収容される。サイドエアバッグ装置２０は、膨張展開することで乗員を拘束するエアバッグ３４と；エアバッグ３４に対して膨張ガスを供給するインフレータ３０とを備える。

　シートバック１の表皮１４の継ぎ目１８，２２，２４は内側に織り込まれて縫製によって連結されている。なお、前方の継ぎ目１８は、エアバッグが展開した時に開裂するようになっている。
　また、サイドサポート部１２には、第２チャンバ（Ｃ２）の膨張によってサイドサポート部１２が乗員側に折れ曲がる際の起点となる起点領域２６が形成されている。起点領域２６としては、切り込み、凹部又は薄肉領域の何れか又は組み合わせとすることができる。起点領域２６は、サイドサポート部１２内部のウレタン１６部分にのみ形成されていても良い。また、起点領域２６を省略することも可能である。

　エアバッグ３４は、ファブリック製の柔軟なカバー２０ａによって覆われている。エアバッグ３４は、例えば、蛇腹状に折り畳むもしくはロールする（「折り畳み」にはロールすることも含む）他、適宜最適な圧縮方法を採用することができる。図４において、符号２５はドアトリムを示す。後で詳細に説明するが、エアバッグ３４が折り畳まれた収納状態においては、膨張展開時の位置関係を保持するように、インフレータ３０を収容した第１チャンバ（Ｃ１）側がフレーム側壁部１０ａの車幅方向外側に位置し、当該第１チャンバ（Ｃ１）と連結された第２チャンバ（Ｃ２）がフレーム側壁部１０ａの車幅方向内側に配置される。

　図５に示すように、エアバッグ３４は、サイドサポート部１２の前方に向かって展開する第１チャンバＣ１と；第１チャンバＣ１の車幅方向内側で展開する第２チャンバＣ２とを備える。

　第２チャンバＣ２は、サイドサポート部１２の少なくとも前側部分１４を乗員側に向かって突出変形させるようになっている。また、第２チャンバＣ２はサイドサポート部１２の下方に配置され（図５参照）、当該第２チャンバＣ２の展開により、サイドサポート部１２が乗員の腰部に接触、押圧するようになっている。人間の身体における重心に近い腰部を押すことにより、事故発生時の初期段階における乗員拘束性能が向上する。第２チャンバＣ２の容量は第１チャンバＣ１の容量よりも小さく設定されている。

　なお、第２チャンバＣ２の形状と容量を調節して、第２チャンバＣ２が、サイドサポート部１２の内部でのみで展開するようにしてもよい。言い換えると、展開した第２チャンバＣ２は、開裂したサイドサポート部１２の前端部よりも車両前方にはみ出さないようにしてもよい。また、第１チャンバＣ１及び第２チャンバＣ２の展開挙動は、エアバッグの折り畳み方、折り畳まれたエアバッグ３４の配置、インフレータ３０のガス噴射方向の設定、第１チャンバＣ１と第２チャンバＣ２間のガスの流れる方向などによって調整可能である。

（符号、記号の説明）
　以下に本発明の実施例について説明するが、添付図面において、便宜上、所定のルールに従って参照符号をしているため、その点について最初に説明する。
　エアバッグを構成するチャンバについては、概ね膨張ガスの流れに沿ってＣ１～Ｃ６としているが、一部ガスの流れと必ずしも一致しない部分もある。また、１つのチャンバを前後に分割する場合には、前方のチャンバ部分に対しては「Ｆ」を付け、後方のチャンバ部分に対しては「Ｒ」を付けている。例えば、第２チャンバＣ２を前後に２分割した場合には、前方のチャンバ部分を「Ｃ２Ｆ」、後方のチャンバ部分を「Ｃ２Ｒ」としている。

　各チャンバ間に設けられる内部ベントホールについては、連結するチャンバの番号を用い、例えば、第１チャンバと第２チャンバとの間の内部ベントについては、「Ｖ１－２」としている。他も同様のルールに従っている。外部にガスを排出するベントホールについては、設けられている場所にかかわらず、便宜上、「ＶＦ」という符号で統一している。
　車両の進行方向に沿った前後方向のチャンバの端部の位置については、前方の端部には「ｆ」を付け、後方の端部には「ｒ」を付けている。そしてｆ、ｒの後にチャンバの番号（Ｃ２等）に対応した番号（２）を付けている。

　なお、各実施例間において、同一の構成要素については同一の符号を付けるが、同一でなくても類似の構成要素についても同一の符号を付けている場合がある。

（第１実施例）
　図６は、本発明の第１実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。本実施例に係るサイドエアバッグ装置２０は、膨張展開することで乗員を拘束するエアバッグ３４と；エアバッグ３４に対して膨張ガスを供給するインフレータ３０とを備える。エアバッグ３４は、インフレータ３０を収容し、フレーム側壁部１０ａの車幅方向外側で展開する第１チャンバＣ１と；フレーム側壁部１０ａの車幅方向内側で展開する第２チャンバＣ２とを備える。そして、第１チャンバＣ１は、車両側方から見て後方部分がフレーム側壁部１０ａに重なるように展開する。一方、第２チャンバＣ２の膨張領域の後端部分ｒ２は、車両側方から見て、第１チャンバＣ１の後端部分ｒ１よりも前方に位置するように展開する。

　図６に示すように、本実施例においては、インフレータ３０は第１チャンバＣ１の内部に収容される。インフレータ３０は、例えば、円柱状のシリンダータイプのインフレータを使用することができる。インフレータ３０の外周部からは、車幅方向内側に向かって上下一対のスタッドボルト３２が突出している。これらのスタッドボルト３２は、ナットによってサイドフレーム１０に取り付けられている（締結固定されている）。インフレータ３０には、周方向に並んだ複数のガス噴出口が形成されており、当該ガス噴出口から放射状にガスが噴出される。なお、必要に応じてガスの流れを制御するディフューザを設けることができる。

このインフレータ３０には、車両に搭載されたエアバッグ制御用ＥＣＵ（図示せず）が電気的に接続されている。このエアバッグ制御用ＥＣＵには、側面衝突を検知するサテライトセンサが電気的に接続されている。このサテライトセンサからの信号に基づいてエアバッグ制御用ＥＣＵが側面衝突を検知した際にインフレータ３０を作動するように構成することができる。

　第１チャンバＣ１と第２チャンバＣ２との間には、ベントホールＶ１－２が形成されている。本実施例においては、第２チャンバＣ２の前端部ｆ２が第１チャンバＣ１の前端部ｆ１よりも前方に位置している。膨張ガスの流れは、破線の矢印で示すとおり、第１チャンバＣ１からベントホールＶ１－２を介して第２チャンバＣ２に流れ、その後、第２チャンバＣ２の前端部に形成された外部ベントホールＶＦから排気されるようになっている。

　上記のような構成の本実施例によれば、エアバッグ装置の作動初期の段階においてサイドサポート部の外側で第１チャンバＣ１が展開する。このとき、第１チャンバＣ１は、車両側方から見てフレーム側壁部１０ａに重なるように展開するため、フレーム側壁部１０ａが第１チャンバＣ１展開時の反力を受け止めた状態で、確実に展開する。その後、第２チャンバＣ２が展開して、乗員Ｐが車両幅方向外側に移動するのを速やかに拘束する。このとき、第２チャンバＣ２のフレーム側の面は当該フレーム側壁部と既に展開し始めている第１チャンバの両方によって支持される格好となり、フレーム側壁部１０ａと第１チャンバＣ１の両方が第２チャンバ展開時の反力を受け止める。このため、乗員Ｐが第２チャンバＣ２に侵入したときに、乗員Ｐからの圧力をフレーム側壁部１０ａで受け止めることができ、乗員Ｐをシート中心方向に対して確実に拘束することが可能となる。

（第２実施例）
　図７は、本発明の第２実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。本実施例に係るサイドエアバッグ装置２０は、膨張展開することで乗員を拘束するエアバッグ３４と；エアバッグ３４に対して膨張ガスを供給するインフレータ３０とを備える。エアバッグ３４は、インフレータ３０を収容し、フレーム側壁部１０ａの車幅方向外側で展開する第１チャンバＣ１と；フレーム側壁部１０ａの車幅方向内側で展開する第２チャンバＣ２とを備える。そして、第１チャンバＣ１は、車両側方から見て後方部分がフレーム側壁部１０ａに重なるように展開する。一方、第２チャンバＣ２の膨張領域の後端部分ｒ２は、車両側方から見て、第１チャンバＣ１の後端部分ｒ１よりも前方に位置するように展開する。

　本実施例と上述した第１実施例との相違点は、第２チャンバＣ２の後端部に設けられたストラップ（帯状部材）３６のみである。ストラップ３６は、第２チャンバＣ２の後端部とスタッドボルト３２とを連結している。なお、ストラップ３６の後端部を、サイドフレーム１０に連結することもできる。このような構成により、第２チャンバＣ２の前後方向の展開挙動、展開形状、展開姿勢を制御することが可能となる。

　なお、本実施例及び以下に説明する他の実施例において、ストラップ３６に代えて他の連結構造を採用することができる。例えば、第２チャンバＣ２の膨張領域の後方に非膨張領域を形成し、当該非膨張領域を、サイドフレーム１０又はインフレータ３０をサイドフレーム１０に取り付けるためのスタッドボルト３２に連結するように構成することができる。

（第３実施例）
　図８は、本発明の第３実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。本実施例に係るサイドエアバッグ装置２０は、膨張展開することで乗員を拘束するエアバッグ３４と；エアバッグ３４に対して膨張ガスを供給するインフレータ３０とを備える。エアバッグ３４は、インフレータ３０を収容し、フレーム側壁部１０ａの車幅方向外側で展開する第１チャンバＣ１と；フレーム側壁部１０ａの車幅方向内側で展開する第２チャンバＣ２とを備える。そして、第１チャンバＣ１は、車両側方から見て後方部分がフレーム側壁部１０ａに重なるように展開する。一方、第２チャンバＣ２の膨張領域の後端部分ｒ２は、車両側方から見て、第１チャンバＣ１の後端部分ｒ１よりも前方に位置するように展開する。

　本実施例は上述した第２実施例の変形例であり、相違点は第２チャンバＣ２が前後に区画されて、前方チャンバ部分Ｃ２Ｆと後方チャンバ部分Ｃ２Ｒとが形成されていることである。これら前方チャンバ部分Ｃ２Ｆと後方チャンバ部分Ｃ２Ｒとの境界部分には仕切りパネルＰ２が配置され、一部にはベントホールＶ２が形成されている。

　本実施例によれば、上述した第１及び第２実施例の効果に加え、第２チャンバＣ２を前方チャンバ部分Ｃ２Ｆと後方チャンバ部分Ｃ２Ｒとに分割することにより、第２チャンバＣ２の前後方向の幅を拡大することが容易となる。

（第４実施例）
　図９は、本発明の第４実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。本実施例に係るサイドエアバッグ装置２０は、膨張展開することで乗員を拘束するエアバッグ３４と；エアバッグ３４に対して膨張ガスを供給するインフレータ３０とを備える。エアバッグ３４は、インフレータ３０を収容し、フレーム側壁部１０ａの車幅方向外側で展開する第１チャンバＣ１と；フレーム側壁部１０ａの車幅方向内側で展開する第２チャンバＣ２とを備える。そして、第１チャンバＣ１は、車両側方から見て後方部分がフレーム側壁部１０ａに重なるように展開する。一方、第２チャンバＣ２の膨張領域の後端部分ｒ２は、車両側方から見て、第１チャンバＣ１の後端部分ｒ１よりも前方に位置するように展開する。
　本実施例においては、更に、第１チャンバＣ１の第２チャンバＣ２と反対側（外側）において、当該第１チャンバＣ１と連結された第３チャンバＣ３を備えている。
　このような構成を採用することにより、単一のチャンバで広い範囲を保護する場合に比べて、エアバッグの展開挙動を把握しやすく、エアバッグの展開形状、展開姿勢をより正確に制御可能となる。

　第１チャンバＣ１と第３チャンバＣ３との境界部分には、第１チャンバＣ１内部のガスが第３チャンバＣ３に流れ込むように内部ベントホールＶ１－３が形成されている。このため、第１チャンバＣ１から分岐した膨張ガスが第２チャンバＣ２と第３チャンバＣ３に各々別々に送り込まれるため、第２チャンバＣ２及び第３チャンバＣ３の速やかな展開に寄与する。

　第３チャンバＣ３の前端部分が、第１チャンバＣ１及び第２チャンバＣ２の前端部分よりも前方に位置するため、エアバッグ全体の展開形状として見たときに、比較的容易に前後方向の幅を大きくすることが可能となる。

（第５実施例）
　図１０は、本発明の第５実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。本実施例に係るサイドエアバッグ装置２０は、膨張展開することで乗員を拘束するエアバッグ３４と；エアバッグ３４に対して膨張ガスを供給するインフレータ３０とを備える。エアバッグ３４は、インフレータ３０を収容し、フレーム側壁部１０ａの車幅方向外側で展開する第１チャンバＣ１と；フレーム側壁部１０ａの車幅方向内側で展開する第２チャンバＣ２とを備える。そして、第１チャンバＣ１は、車両側方から見て後方部分がフレーム側壁部１０ａに重なるように展開する。一方、第２チャンバＣ２の膨張領域の後端部分ｒ２は、車両側方から見て、第１チャンバＣ１の後端部分ｒ１よりも前方に位置するように展開する。

　本実施例は、上述した第４実施例の変形例であり、殆どの構成は同一である。相違点は、仕切りパネルＰ６により、第３チャンバＣ３を前方チャンバ部分Ｃ３Ｆと後方チャンバ部分Ｃ３Ｒとに区画し、当該仕切りパネルＰ６にベントホールＶ３が設けられていることである。

　本実施例によれば、上述した第４実施例の効果に加え、第３チャンバＣ３を前方チャンバ部分Ｃ３Ｆと後方チャンバ部分Ｃ３Ｒとに分割することにより、第３チャンバＣ３の前後方向の幅を拡大することが容易となる。

（第６実施例）
　図１１（Ａ）、（Ｂ）は、本発明の第６実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。（Ａ）図と（Ｂ）図に示した例は、何れも同様のコンセプトに基づいて構成されているが、第４チャンバＣ４の配置、構造が異なる。

　本実施例に係るサイドエアバッグ装置２０は、膨張展開することで乗員を拘束するエアバッグ３４と；エアバッグ３４に対して膨張ガスを供給するインフレータ３０とを備える。エアバッグ３４は、インフレータ３０を収容し、フレーム側壁部１０ａの車幅方向外側で展開する第１チャンバＣ１と；フレーム側壁部１０ａの車幅方向内側で展開する第２チャンバＣ２とを備える。そして、第１チャンバＣ１は、車両側方から見て後方部分がフレーム側壁部１０ａに重なるように展開する。一方、第２チャンバＣ２の膨張領域の後端部分ｒ２は、車両側方から見て、第１チャンバＣ１の後端部分ｒ１よりも前方に位置し、フレーム側壁部１０ａにも殆ど重ならないように展開する。

　本実施例においては、第１チャンバＣ１の前端部と第２チャンバＣ２の側面に連結された第４チャンバＣ４を更に備えている。そして、第２チャンバＣ２と第４チャンバＣ４との境界部分に、第２チャンバＣ２内部のガスが第４チャンバＣ４に流れ込むように内部ベントホールＶ２－４が形成されている。なお、第１のチャンバＣ１と第４チャンバＣ４同士は完全に分離している。

　（Ａ）図に示す例では、第４チャンバＣ４はサイドフレーム１０の外側に位置し、第１チャンバＣ１の前方であり、且つ、第２チャンバＣ２の外側で展開するようになっている。
　他方、（Ｂ）図に示す例では、第４チャンバＣ４は第１チャンバの前方であり、サイドフレーム１０の前方で展開し、部分的には第２チャンバＣ２の前方に位置する。（Ｂ）図のような構造とすることで、第１チャンバＣ１から第２チャンバＣ２を介して第４チャンバＣ４に達するガスの流れがスムーズになる等のメリットがある。

　本実施例においては、膨張ガスが第１チャンバＣ１、第２チャンバＣ２、第４チャンバＣ４の順に流れて、その順番で膨張展開する。このため、早い段階で第１チャンバＣ１及び第２チャンバＣ２によって乗員Ｐを速やかに拘束するとともに、第４チャンバＣ４によって拘束範囲を広く確保することが可能となる。

（第７実施例）
　図１２（Ａ），（Ｂ）は、本発明の第７実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。（Ａ）図と（Ｂ）図に示した例は、何れも同様のコンセプトに基づいて構成されているが、第４チャンバＣ４の配置、構造が異なる。
　本実施例に係るサイドエアバッグ装置２０は、膨張展開することで乗員を拘束するエアバッグ３４と；エアバッグ３４に対して膨張ガスを供給するインフレータ３０とを備える。エアバッグ３４は、インフレータ３０を収容し、フレーム側壁部１０ａの車幅方向外側で展開する第１チャンバＣ１と；フレーム側壁部１０ａの車幅方向内側で展開する第２チャンバＣ２とを備える。そして、第１チャンバＣ１は、車両側方から見て後方部分がフレーム側壁部１０ａに重なるように展開する。一方、第２チャンバＣ２は、車両側方から見て前方部分が第１チャンバＣ１に重ならず、後方部分がフレーム側壁部１０ａに重なるように展開する。

　本実施例に係るサイドエアバッグ装置の最大の特徴は、フレーム側壁部１０ａの外側において、第１チャンバＣ１を収容する第４チャンバＣ４を更に備えたことである。第４チャンバＣ４の存在により、第１チャンバＣ１の容量を比較的小さくすることができ、インフレータ３０から放出されたガスを所望の方向に導きやすくなり、ガスの整流効果が向上する。

　第４チャンバＣ４は、前方チャンバ部分Ｃ４Ｆと後方チャンバ部分Ｃ４Ｒとに区画されており、当該区画部分には内部ベントホールＶ４が設けられている。また、前記１チャンバＣ１と第２チャンバＣ２との境界部分にはベントホールＶ１－２、第２チャンバＣ２と第４チャンバＣ４の後方チャンバ部分Ｃ４Ｒとの境界部分にはベントホールＶ２－４が形成されている。そして、インフレータから放出されたガスは、第１チャンバＣ１、第２チャンバＣ２、第４チャンバＣ４の後方チャンバ部分Ｃ４Ｒ、第４チャンバＣ４の前方チャンバ部分Ｃ４Ｆを順に流れることになる。

　（Ａ）図に示す例では、第４チャンバＣ４（Ｃ４Ｆ，Ｃ４Ｒ）はサイドフレーム１０の外側に位置し、第１チャンバＣ１の前方であり、且つ、第２チャンバＣ２の外側で展開するようになっている。
　他方、（Ｂ）図に示す例では、第４チャンバＣ４（特に、Ｃ４Ｆ）は第１チャンバの前方であり、サイドフレーム１０の前方で展開し、部分的には第２チャンバＣ２の前方に位置する。（Ｂ）図のような構造とすることで、第１チャンバＣ１から第２チャンバＣ２を介して第４チャンバＣ４に達するガスの流れがスムーズになる等のメリットがある。

（第８実施例）
　図１３は、本発明の第８実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。本実施例に係るサイドエアバッグ装置２０は、膨張展開することで乗員を拘束するエアバッグ３４と；エアバッグ３４に対して膨張ガスを供給するインフレータ３０とを備える。エアバッグ３４は、インフレータ３０を収容し、フレーム側壁部１０ａの車幅方向外側で展開する第１チャンバＣ１と；フレーム側壁部１０ａの車幅方向内側で展開する第２チャンバＣ２とを備える。そして、第１チャンバＣ１は、車両側方から見て後方部分がフレーム側壁部１０ａに重なるように展開する。一方、第２チャンバＣ２は、車両側方から見て第１チャンバＣ１の後方部分とは重ならないように展開する。

　本実施例の最大の特徴は、第１チャンバＣ１と第２チャンバＣ２を、１つのチャンバとして構成することである。単一のチャンバを折りたたむことで、フレーム側壁部１０ａを挟持するようになる。本実施例によれば、エアバッグ３４を構成するパネルの数を減らすことができ、全体のパネル構造が簡素となる。

　エアバッグ３４は、更に、第１チャンバＣ１の外側に連結された第３チャンバＣ３を備えており、第１チャンバＣ１と第３チャンバＣ３との間には内部ベントホールＶ１－３が設けられている。

　本実施例においては、インフレータ３０から放出されたガスは、第１チャンバＣ１の内部を通過し、フレーム側壁部１０ａの前端付近で第２チャンバＣ２側と第３チャンバＣ３側とに分岐される。

（第９実施例）
　図１４は、本発明の第９実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。本実施例に係るサイドエアバッグ装置２０は、膨張展開することで乗員を拘束するエアバッグ３４と；エアバッグ３４に対して膨張ガスを供給するインフレータ３０とを備える。エアバッグ３４は、インフレータ３０を収容し、フレーム側壁部１０ａの車幅方向外側で展開する第１チャンバＣ１と；フレーム側壁部１０ａの車幅方向内側で展開する第２チャンバＣ２とを備える。そして、第１チャンバＣ１は、車両側方から見て後方部分がフレーム側壁部１０ａに重なるように展開する。一方、第２チャンバＣ２は、車両側方から見て第１チャンバＣ１の後方部分とは重ならないように展開する。

　本実施例は、上述した第８実施例の変形例であり、殆どの構成は同一である。相違点は、第３チャンバＣ３を、前方チャンバ部分Ｃ３Ｆと後方チャンバ部分Ｃ３Ｒとに区画し、当該区画部分に内部ベントホールＶ３を設けたことである。

（第１０実施例）
　図１５（Ａ），（Ｂ）は、本発明の第１０実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。（Ａ）図と（Ｂ）図に示した例は、何れも同様のコンセプトに基づいて構成されているが、第４チャンバＣ４の配置、構造が異なる。図１６は、図１５に示すエアバッグ装置の展開状態を平面的に示す側面図であり、エアバッグを構成するパネルの配置、形状を示すものである。

　本実施例に係るサイドエアバッグ装置２０は、膨張展開することで乗員を拘束するエアバッグ３４と；エアバッグ３４に対して膨張ガスを供給するインフレータ３０とを備える。エアバッグ３４は、インフレータ３０を収容し、フレーム側壁部１０ａの車幅方向外側で展開する第１チャンバＣ１と；フレーム側壁部１０ａの車幅方向内側で展開する第２チャンバＣ２とを備える。そして、第１チャンバＣ１は、車両側方から見て後方部分がフレーム側壁部１０ａに重なるように展開する。一方、第２チャンバＣ２の膨張領域の後端部分ｒ２は、車両側方から見て、第１チャンバＣ１の後端部分ｒ１よりも若干前方に位置するが、概ねスタッドボルト３２の位置まで後方に延びている。

　本実施例は、上述した第９実施例の変形例であり、殆どの構成は同一である。相違点は、第２チャンバＣ２の後方に突出膨張部Ｃ２Ｐが形成されていることである。なお、本実施例に採用する第２チャンバＣ２の突出膨張部Ｃ２Ｐについては、上述した第１乃至第９実施例にも同様に適用可能であることは言うまでもない。

　図１６（Ｂ）に示すように、突出膨張部Ｃ２Ｐは、スタッドボルト３２用の２つの孔３２Ｕ，３２Ｌの上方に位置する部分Ｃ２ＰＵと、下方に位置する部分Ｃ２ＰＬに分かれている。そして、スタッドボルト３２用の孔３２Ｕ，３２Ｌの位置、すなわち、インフレータ３０を取り付ける位置を避けるように、突出膨張部Ｃ２ＰＵ，Ｃ２ＰＬが形成されている。これら２つの突出膨張部Ｃ２ＰＵ，Ｃ２ＰＬとの間に位置するのが、非膨張領域１３６であり、この非膨張領域１３６がスタッドボルト３２に締め付け固定される。

　なお、非膨張領域１３６は、上述した他の実施例におけるストラップ３６と同様に機能する。すなわち、非膨張領域１３６をスタッドボルト３２に連結固定することにより、第２チャンバＣ２の前後方向の展開挙動、展開形状、展開姿勢を制御することが可能となる。

　図１５（Ａ）図に示す例では、第４チャンバＣ４（Ｃ４Ｆ，Ｃ４Ｒ）はサイドフレーム１０の外側に位置し、第１チャンバＣ１の前方であり、且つ、第２チャンバＣ２の外側で展開するようになっている。
　他方、図１５（Ｂ）図に示す例では、第４チャンバＣ４（特に、Ｃ４Ｆ）は第１チャンバの前方であり、サイドフレーム１０の前方で展開し、部分的には第２チャンバＣ２の前方に位置する。（Ｂ）図のような構造とすることで、第１チャンバＣ１から第２チャンバＣ２を介して第４チャンバＣ４に達するガスの流れがスムーズになる等のメリットがある。

（第１１実施例）
　図１７は、本発明の第１１実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。（Ａ）図と（Ｂ）図に示した例は、何れも同様のコンセプトに基づいて構成されているが、第４チャンバＣ４の配置、構造が異なる。なお、本実施例は、図１１に示した第６実施例と共通の部分が多いため、理解を容易にするために、第６実施例との差異を中心に説明する。

　本実施例に係るサイドエアバッグ装置は、第４チャンバＣ４と第１チャンバＣ１との境界部分に、第１チャンバＣ１内部のガスが第４チャンバＣ４に流れ込むように少なくとも１つのベントホールＶ１－４が形成されている。一方、図１１に示す例の場合に存在していた、第２チャンバＣ２と第４チャンバＣ４との境界部分のベントホールＶ２－４は、本実施例においては設けられていない。

　本実施例においては、膨張ガスが第１チャンバＣ１から、第２チャンバＣ２及び第４チャンバＣ４に流れるように構成されているため、第２チャンバＣ２と第４チャンバＣ４が略同時に膨張展開する。このため、第４チャンバ（メインチャンバ）Ｃ４と、第２チャンバ（プリプッシュチャンバ）Ｃ２による乗員の保護を略同時に行うことができるというメリットがある。例えば、乗員Ｐがシートの座面先端側に浅く腰掛けており、第２チャンバＣ２による拘束が十分に行えないような状況でも、第４チャンバＣ４によって乗員Ｐ４を衝突初期の段階で速やか且つ確実に拘束することが可能となる。

　（Ａ）図に示す例では、第４チャンバＣ４（Ｃ４Ｆ，Ｃ４Ｒ）はサイドフレーム１０のフレーム側壁部１０ａに対して外側に位置し、第１チャンバＣ１の前方であり、且つ、第２チャンバＣ２の外側で展開するようになっている。
　他方、（Ｂ）図に示す例では、第４チャンバＣ４（特に、Ｃ４Ｆ）は第１チャンバの前方であり、サイドフレーム１０のフレーム側壁部１０ａの前方で展開し、部分的には第２チャンバＣ２の前方に位置する。

（第１２実施例）
　図１８は、本発明の第１２実施例に係るエアバッグ装置の展開状態を示す概略図であり、図３のＡ２－Ａ２方向の断面に対応する。（Ａ）図と（Ｂ）図に示した例は、何れも同様のコンセプトに基づいて構成されているが、第４チャンバＣ４の配置、構造が異なる。図１９は、図１８に示すエアバッグ装置の展開状態を平面的に示す側面図であり、エアバッグを構成するパネルの配置、形状を示すものである。なお、本実施例は、図１５に示した第１０実施例と共通の部分が多いため、理解を容易にするために、第１０実施例との差異を中心に説明する。

　第１０実施例と異なり、本実施例においては、展開した状態のエアバッグを車両幅方向から観察したときに、第２チャンバＣ２がサイドフレーム１０のフレーム側壁部１０ａと重ならないように構成されている。フレーム側壁部１０ａの前端部には、車両の内側（車幅方向内側）に向かって突出した前方壁部２１０が形成され、当該前方壁部２１０に対して第２チャンバＣ２の後端部分が当接して支持されるようになっている。

　また、第１チャンバＣ１は、第４チャンバＣ４とは別に、所謂バッグ・イン・バッグの形態でインフレータ３０を包囲するように設けられている。

　図１９（Ｂ）を参照すると、第２チャンバＣ２の後縁部の特定の範囲２００が、サイドフレーム１０の側壁部１０ａの滑らかに膨らんだ前縁形状に沿うように湾曲して成形される。このような構造とすることにより、第２チャンバＣ２が側壁部１０ａの前縁に密着するように展開し、当該密着した領域で反力を得ることができ、第２チャンバＣ２の展開形状が安定する他に、前方への展開を速やか且つ確実に行うことが可能となる。

　図１８（Ａ）に示す例では、第４チャンバＣ４（Ｃ４Ｆ，Ｃ４Ｒ）はサイドフレーム１０の外側に位置し、第１チャンバＣ１の前方であり、且つ、第２チャンバＣ２の外側で展開するようになっている。
　他方、図１８（Ｂ）に示す例では、第４チャンバＣ４（特に、Ｃ４Ｆ）は第１チャンバの前方であり、サイドフレーム１０の前方で展開し、部分的には第２チャンバＣ２の前方に位置する。（Ｂ）図のような構造とすることで、第１チャンバＣ１から第２チャンバＣ２を介して第４チャンバＣ４に達するガスの流れがスムーズになる等のメリットがある。

（本発明の技術的範囲の解釈）
　本発明を上記の例示的な実施形態と関連させて説明してきたが、当業者には本開示により多くの等価の変更および変形が自明であろう。したがって、本発明の上記の例示的な実施形態は、例示的であるが限定的なものではないと考えられる。本発明の精神と範囲を逸脱することなく、記載した実施形態に様々な変化が加えられ得る。例えば、発明を実施するための形態では、ニアサイドのサイドエアバッグについて重点的に述べたが、ファーサイドエアバッグ（車両用シートの車両ドアから遠い側の面）や、スモールモビリティなど超小型車両等における単座の車両（ドアの有る無しにかかわらず一列にシートが一つしかない部分を含むような車両）等にも用いることが可能である。

Claims

　座面を形成するシートクッションと背もたれを形成するシートバックとを有する車両シートと、当該シートに収容されるサイドエアバッグ装置とを備えた乗員保護装置において、
　前記シートバックは、車幅方向側部（端部）において車両進行方向（車両前方）に膨出したサイドサポート部を備え、
　前記サイドサポート部の内部には、水平断面を上方から見たときに車両進行方向に沿って延びるフレーム側壁部を有するサイドフレーム部が配置され、
　前記サイドエアバッグ装置は、膨張展開することで乗員を拘束するエアバッグと；前記エアバッグに対して膨張ガスを供給するインフレータとを備え、
　前記エアバッグは、前記インフレータを収容し、前記フレーム側壁部の車幅方向外側で展開する第１チャンバと；前記フレーム側壁部の車幅方向内側で展開する第２チャンバとを備え、
　前記第１チャンバは、車両側方から見て少なくとも一部が前記フレーム側壁部に重なるように展開し、
　車両側方から見て、前記第２チャンバの膨張領域の後端部分は、前記第１チャンバの後端部分よりも前方に形成されることを特徴とする乗員保護装置。
　前記第１チャンバと前記第２チャンバは、前記フレーム側壁部を少なくとも部分的に挟持するように設けられることを特徴とする請求項１に記載の乗員保護装置。
　前記第２チャンバの一部には、後方に突出して膨張展開する突出膨張部が形成されていることを特徴とする請求項２に記載の乗員保護装置。
　前記第２チャンバの前記突出膨張部は、側方から見たときに前記インフレータと重ならない配置に形成されていることを特徴とする請求項３に記載の乗員保護装置。
　前記第２チャンバは、車両側方から見て前記フレーム側壁部に重ならないように展開することを特徴とする請求項１に記載の乗員保護装置。
　前記第１チャンバと前記第２チャンバとの境界部分には、前記第１チャンバ内部のガスが前記第２チャンバに流れ込むように少なくとも１つの第１内部ベントホールが形成されていることを特徴とする請求項１乃至５の何れか一項に記載の乗員保護装置。
　前記第１チャンバと前記第２チャンバが、１つのチャンバとして構成されていることを特徴とする請求項１乃至５の何れか一項に記載の乗員保護装置。
　前記第２チャンバが、前方チャンバ部分と後方チャンバ部分とに区画されており、
　当該区画部分には少なくとも１つの第２内部ベントホールが設けられていることを特徴とする請求項１乃至７の何れか一項に記載の乗員保護装置。
　前記第２チャンバの前端部分が、前記第１チャンバの前端部分よりも前方に位置することを特徴とする請求項１乃至８の何れか一項に記載の乗員保護装置。
　前記第１チャンバの前記第２チャンバと反対側において、当該第１チャンバと連結された第３チャンバを更に備えたことを特徴とする請求項１乃至９の何れか一項に記載の乗員保護装置。
　前記第１チャンバと前記第３チャンバとの境界部分には、前記第１チャンバ内部のガスが前記第３チャンバに流れ込むように少なくとも１つの第３内部ベントホールが形成されていることを特徴とする請求項１０に記載の乗員保護装置。
　前記第３チャンバの前端部分が、前記第１チャンバ及び前記第２チャンバの前端部分よりも前方に位置することを特徴とする請求項１０又は１１に記載の乗員保護装置。
　前記第３チャンバが、前方チャンバ部分と後方チャンバ部分とに区画されており、
　当該区画部分には少なくとも１つの第４内部ベントホールが設けられていることを特徴とする請求項１０乃至１２の何れか一項に記載の乗員保護装置。
　前記第１チャンバの前方に位置し、前記第２チャンバの側面に連結された第４チャンバを更に備えたことを特徴とする請求項１乃至９の何れか一項に記載の乗員保護装置。
　前記第１チャンバ及び前記サイドフレーム部の前側に位置し、前記第２チャンバに連結された第４チャンバを更に備えたことを特徴とする請求項１乃至９の何れか一項に記載の乗員保護装置。
　前記第２チャンバと前記第４チャンバとの境界部分には、前記第２チャンバ内部のガスが前記第４チャンバに流れ込むように少なくとも１つの第５内部ベントホールが形成されていることを特徴とする請求項１４又は１５に記載の乗員保護装置。
　前記第４チャンバと前記第１チャンバとの境界部分には、前記第１チャンバ内部のガスが前記第４チャンバに流れ込むように少なくとも１つの第６ベントホールが形成されていることを特徴とする請求項１４又は１５に記載の乗員保護装置。
　前記サイドフレームの外側において、前記第４チャンバの後方部分は前記第２チャンバの車幅方向外側を覆うように設けられ、前記第１チャンバは前記第２チャンバへのガスガイドとして設けられたことを特徴とする請求項１４乃至１６の何れか一項に記載の乗員保護装置。
　前記サイドフレームの外側において、前記第４チャンバの後方部分は前記第１チャンバの車幅方向外側を覆うように設けられ、前記第１チャンバは前記第２チャンバへのガスガイドとして設けられたことを特徴とする請求項１４乃至１６の何れか一項に記載の乗員保護装置。
　前記第２チャンバの側面の車幅方向外側に連結された第４チャンバを更に備え、前記第１チャンバは、前記第４チャンバの内部にバッグインバッグの形態で設けられることを特徴とする請求項１乃至９のいずれか一項に記載の乗員保護装置。
　前記第４チャンバが前記サイドフレーム部の前側に位置するように設けたことを特徴とする請求項２０に記載の乗員保護装置。
　前記第２チャンバと前記第４チャンバとの境界部分には、前記第２チャンバ内部のガスが前記第４チャンバに流れ込むように少なくとも１つの第５内部ベントホールが形成されていることを特徴とする請求項２０又は２１に記載の乗員保護装置。
　前記第４チャンバの前端部分が、前記第２チャンバの前端部分よりも前方に位置することを特徴とする請求項１４乃至２２のいずれか一項に記載の乗員保護装置。
　前記第４チャンバは、前記第１チャンバの前端部と前記第２チャンバの側面に連結されたことを特徴とする請求項１４乃至２３の何れか一項に記載の乗員保護装置。
　前記第４チャンバが、前方チャンバ部分と後方チャンバ部分とに区画されており、
　当該区画部分には少なくとも１つの第６内部ベントホールが設けられていることを特徴とする請求項１４乃至２４の何れか一項に記載の乗員保護装置。
　前記１チャンバと前記第２チャンバとの境界部分、前記第２チャンバと前記第４チャンバの前記後方チャンバ部分との境界部分には、各々ベントホールが形成され、
　前記膨張ガスが、前記第１チャンバ、前記第２チャンバ、前記第４チャンバの後方チャンバ部分、前記第４チャンバの前方チャンバ部分を順に流れることを特徴とする２５に記載の乗員保護装置。
　前記エアバッグの最前部に、膨張ガスを外部に排出する外部ベントホールが設けられていることを特徴とする請求項１乃至２６の何れか一項に記載の乗員保護装置。
　前記第２チャンバの後方側に連結された前端部を有するストラップを更に備え、
　前記ストラップの後端部が、前記サイドフレーム又は前記インフレータを前記サイドフレームに取り付けるためのスタッドボルトに連結されていることを特徴とする請求項１乃至２７の何れか一項に記載の乗員保護装置。
　前記第２チャンバの前記膨張領域の後方には非膨張領域が形成され、当該非膨張領域が、前記サイドフレーム又は前記インフレータを前記サイドフレームに取り付けるためのスタッドボルトに連結されていることを特徴とする請求項１乃至２７の何れか一項に記載の乗員保護装置。
　請求項１乃至２９の何れか一項に記載の乗員保護装置に装備されるサイドエアバッグ装置。