WO2018155723A1 - 変形試験器 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1は、試験体の『彎曲試験を機械でできるようにしたもので、これにおいて、彎曲の曲率半径や弧長が違っていても、わずかな調整で機械が作動できるようにした』(特許文献1の段落番号0005)変形試験器を提供するためになされたものであり、具体的には、『略四角形のフレームの中に固定壁と移動壁とを対向して設け、両壁の頂上にワークを取り付ける取付部を固定壁と移動壁に対してそれぞれ鉛直面内で回動可能に設けるとともに、両取付部にワークとワークの他に板ばねのそれぞれ両端を取り付けて固定壁と移動壁との間に彎曲状態に渡し、移動壁を固定壁に対して遠近させてワークを繰り返し彎曲することを特徴とする彎曲試験機』(特許文献1の請求項1)を開示している。かかる変形試験器(特許文献1では彎曲試験機)によれば『固定壁と移動壁に薄いガラス板や樹脂板といったワークを彎曲状態で渡し、移動壁を固定壁に対して遠近させてワークを繰り返して彎曲するものである。このとき、ワークの彎曲の曲率半径等の形状要件を変えることがあるが、移動壁を移動させるアクチュエータによるストロークと両壁の初期位置を変えること等でそれを可能にする。また、ワークを取り付ける取付部が移動壁又は固定壁に対して鉛直面内で回動可能(相手方に向かって傾動可能なこと)にすることで内部応力を残さずにストローク変化にも対応できるようにしている。さらに、彎曲の速度も調整できなければならないが、アクチュエータの速さを変えることでそれができる』(特許文献1の段落番号0008)というものである。
そこで、本発明では、変形試験を開始した後に試験体を取り外す必要がなく、変形試験において試験体が取り得るいずれかの形状状態を保持しつつ試験体を観察や分析等を行うことができる変形試験器を提供することを目的とする。
脱着部分は第1部と第2部とを含んでなる。第1部が有する第1取付部と、第2部が有する第2取付部と、に、試験体の異なる少なくとも2の部分それぞれが取り付けられる(該少なくとも2の部分の1の部分が第1取付部に取り付けられ、該少なくとも2の部分の他の部分が第2取付部に取り付けられる。また、「少なくとも2の部分」であるので、試験体の3以上の部分が脱着部分に取り付けられてもよい。)。そして、第1部に対する第2部の相対的な変位(第1部のみが変位をし第2部は静止している場合、第2部のみが変位をし第1部は静止している場合、そして第1部及び第2部いずれもが変位をする場合の3の場合を含む。)である変位サイクルを繰り返すことで、第1形状状態から第2形状状態を経て再び第1形状状態に戻る所定の変形サイクル(例えば、折り曲げ、彎曲、捻り、引っ張り、圧縮等の変形を含む。)を試験体に生じさせる。本体部分は、脱着部分が着脱自在に取り付けられる。
そして、本試験器においては、状態保持手段が、本体部分に取り付けられた脱着部分に着脱自在であると共に、状態保持手段が装着された脱着部分が本体部分に脱着自在である。ここに状態保持手段は、第1形状状態から第2形状状態を経て再び第1形状状態に戻る所定の変形サイクルにおいて試験体が取り得る形状状態のうち少なくとも1の形状状態における第1部に対する第2部の相対的な位置を固定する。
状態保持手段は、試験体が取り得る形状状態のうち少なくとも1の形状状態における第1部に対する第2部の相対的な位置を固定するものであれば何ら限定されるものではなく、例えば、脱着部分の第1部及び第2部をそれぞれ挟んで取り付けられるものや、脱着部分の第1部及び第2部に吸引される磁石により取り付けられるものや、脱着部分の第1部及び第2部に外嵌して取り付けられるもの等であってもよい。しかしながら、状態保持手段を取り付けるための状態保持手段取付部を脱着部分が有するようにすれば、脱着部分に状態保持手段を確実に装着することができる。状態保持手段取付部と、状態保持手段取付部に取り付けられる状態保持手段が有するものと、の一方と他方との組み合わせの例としては、一方が雄ねじであり他方が該雄ねじが螺合可能な雌ねじである場合、一方が嵌入凸部であり他方が該嵌入凸部が嵌入される嵌入凹部である場合、一方が面ファスナーであり他方が該面ファスナーに係合可能な面ファスナーである場合等を例示的に挙げることができる。
所定の変形サイクルにより試験体に生じる第1形状状態から第2形状状態への遷移過程において、第1部と第2部との間の距離が減少する場合、脱着部分が付勢手段を有し、該付勢手段が、第2形状状態から第1形状状態へ該距離を増加させるよう第1部及び/又は第2部を付勢するものとし、状態保持手段が、該距離が増加することを禁止する距離増加禁止手段とすれば、状態保持手段たる距離増加禁止手段が該距離の増加を禁止する方向に第1部及び/又は第2部の変位を制限すればよいので、状態保持手段を簡単に構成することができる。
所定の変形サイクルにより試験体に生じる第1形状状態から第2形状状態への遷移過程において、第1部と第2部との間の距離が増加する場合、脱着部分が付勢手段を有し、該付勢手段が、第2形状状態から第1形状状態へ該距離を減少させるよう第1部及び/又は第2部を付勢するものとし、状態保持手段が、該距離が減少することを禁止する距離減少禁止手段とすれば、状態保持手段たる距離減少禁止手段が該距離の減少を禁止する方向に第1部及び/又は第2部の変位を制限すればよいので、状態保持手段を簡単に構成することができる。
こうすることで、一端側着脱部により状態保持部材の一端側を第1部に着脱自在に取り付けると共に、他端側着脱部により状態保持部材の他端側を第2部に着脱自在に取り付けることで、状態保持部材がその一端側が第1部に着脱自在に取り付けられると共にその他端側が第2部に着脱自在に取り付けられるので、状態保持手段たる距離増加禁止手段(距離増加禁止本試験器の場合)又は距離減少禁止手段(距離減少禁止本試験器の場合)を簡単に構成することができる。
こうすることで、試験体が取り得る形状状態の全ての形状状態における第1部に対する第2部の相対的な位置を固定することができるので、変形試験を開始した後、試験体が取り得るいずれの形状状態においても形状状態を保持しつつ試験体の観察や分析等を行うことができる。
こうすることで、脱着部分が本体部分に取り付けられた状態(以下、「取り付け状態」という。)においては、脱着部分を本体部分に対して所定方向(以下、「取り外し方向」という。)に移動させることで、脱着部分を本体部分から取り外すことができる。しかしながら取り付け状態において、脱着部分と本体部分との当接により、該所定方向(取り外し方向)とは反対方向に脱着部分を本体部分に対して移動させることは禁止される。そして、取り付け状態において、脱着部分と本体部分との当接により、該所定方向(取り外し方向)に垂直な平面に沿ったいずれの方向にも脱着部分を本体部分に対して移動することは禁止される。このため取り付け状態においては、脱着部分を本体部分に対して該所定方向(取り外し方向)に移動させ取り外すことはできるが、該所定方向(取り外し方向)以外の方向への移動は禁止され、脱着部分を本体部分に取り付けた状態を容易に保持することができる。そして、本体部分から取り外された脱着部分を、該所定方向(取り外し方向)とは反対方向に本体部分に対して(前記当接が形成されるまで)移動させることで、該垂直な平面に沿った脱着部分の本体部分に対する位置決め(該垂直な平面への脱着部分の正投影が、該垂直な平面への本体部分の正投影に対する相対位置が所定の位置に定まる)と該所定方向(取り外し方向)に沿った脱着部分の本体部分に対する位置決めとの両方を容易かつ確実に行うことができる。
こうすることで、移動制限手段は、脱着部分が本体部分に取り付けられた取り付け状態において脱着部分が本体部分に対して前記所定方向(取り外し方向)に移動することを制限するので、不意に脱着部分が本体部分から脱落等することを防止又は減少させることができる。なお、ここにいう前記所定方向への本体部分に対する脱着部分の移動の制限とは、前記所定方向への本体部分に対する脱着部分の移動を完全に禁止するもののみならず、脱着部分が本体部分から脱落しない程度の前記所定方向への本体部分に対する脱着部分の移動を許容するものも含む。
移動制限手段は、取り付け状態において脱着部分が本体部分に対して前記所定方向(取り外し方向)に移動することを制限するものであればよく、例えば、脱着部分と本体部分とを係止するピンとそれを嵌入する嵌入孔、脱着部分と本体部分とに設けられる互いに係合する一対の面ファスナー、脱着部分と本体部分とを係止する雄ネジとそれに螺合する雌ネジ、脱着部分と本体部分とを連結する連結ベルト等を挙げることができるが、前記所定方向(取り外し方向)とは反対方向が鉛直下方向への成分を有する際(即ち、前記所定方向(取り外し方向)とは反対方向への脱着部分の移動により脱着部分の重心位置が降下する)の脱着部分の重力とすれば格別の構成を要さないので本試験器を容易かつ簡潔に構成することができ、さらに脱着部分及び本体部分のいずれか一方に設けられ他方を吸引する磁力発生手段(例えば、永久磁石や電磁石)とすれば脱着部分及び本体部分が互いに近接した際に格別の操作を要することなく両者が引き合うので本試験器の操作を容易ならしめる。また、移動制限手段がこれら脱着部分の該重力と該磁力発生手段との両方を含むものであってもよい。
このように脱着部分及び本体部分のいずれか一方が、前記所定方向(該一方が本体部分)又はその逆方向(該一方が脱着部分)に突出する突出部材を有し、該いずれか他方が、該突出部材を前記所定方向(該他方が脱着部分)又はその逆方向(該他方が本体部分)に嵌入する嵌入孔を有することによって、突出部材とそれを嵌入する嵌入孔という簡単な構成により、取り付け状態から脱着部分を本体部分に対して前記所定方向に移動させ脱着部分を本体部分から取り外すことができると共に、取り付け状態において前記所定方向に垂直な平面に沿ったいずれの方向にも脱着部分を本体部分に対して移動することを禁止(例えば、該いずれの方向に脱着部分が本体部分に対して移動しても、突出部材の外面と嵌入孔の内面とが当接するようにしてもよい。)することができる。
こうすることで、本体部分が第1部取付部分と第2部取付部分と駆動手段とを含み、駆動手段が、第1部が取り付けられた第1部取付部分と、第2部が取り付けられた第2部取付部分と、を、第1部と第2部とが変位サイクルを繰り返すように相対的に繰り返して変位させる。第1部と第2部とを相対的に変位させる駆動手段は、本試験器において重量及び/又は体積に関して比較的大きな割合を占めることが多く、かかる駆動手段を本体部分に含めて脱着部分に含めないようにすることで脱着部分を小形軽量に構成できるので、脱着部分を本体部分から取り外して試験体の観察や分析等を容易に行うことができる。
本試験器11は、大まかには、試験器本体91と、試験カートリッジ20と、状態保持部30と、を備えてなる。
フレーム92は、中空かつ開放された直方体形状に鋼材によって形成され、水平面である載置面201に下部が当接している。
また、別の側面からは、板状の試験体101の湾曲試験を行う変形試験機は、試験器本体91及び試験カートリッジ20を含む。ほぼ直方体における辺の部分を構成し試験機本体の概形を構成するフレーム92と、試験器本体91をほぼ水平な載置面に配置したとき上面視でほぼ長方形空間の輪郭を形成するフレーム92が囲んで規定する長方形の仮想面の1つの辺に沿った側に備えられる固定支持部93と、この1つの辺の両端からそれぞれ垂直に延びる別の2つの辺(フレーム92で形成されていてもよい)に沿って延びる一対のスライドレール85a、85bと、長方形の仮想面を挟んで対向する互いにほぼ平行なスライドレール85a、85bの間を跨がるように備えられる基礎部95bを含む移動支持部95と、移動支持部95を前記スライドレール85a、85bに沿った方向(上述する別の2つの辺に沿う方向)に往復動させる駆動部97と、を含む。
また、別の側面からは、固定支持部93は、長方形の仮想面の1つの辺を形成するフレーム92に沿って備えられる長板状の基礎部93b(1つの板面(上面)を上に向けてほぼ水平に配置)と、基礎部93bの長手方向(上述する1つの辺に沿う方向)の中ほどに所定の距離を隔てて基礎部93bの上面に取り付けられた一対のアングル部材93a1、93a2(垂直な線分の下端及び水平な線分の左端で結合されて構成される「L」字形状を持つが、この「L」字をひっくり返して、試験器本体91のほぼ長方形の仮想面の内部側から基礎部93bに近接させ水平な線分に相当する部材の下面を基礎部93bの上面に当接させて取り付け、垂直な線分に相当する部材を基礎部93bの内部側に垂直方向下向きに垂らしたもの)と、アングル部材93a1、93a2の水平な線分に相当する部材の上面であって上述する長方形の仮想面の内部側に寄る位置に上方に突出するように備えられる嵌入ピン94a、94bと、基礎部93bの上面であってアングル部材93a1、93a2の水平な線分に相当する部材の外側(基礎部93bの長手方向のそれぞれの端部側)にそれぞれその部材に沿って備えられる2つの永久磁石94mと、を含む。
また、別の側面からは、移動支持部95は、一対のスライドレール85a、85bの間に跨がるように備えられスライドレール85a、85bに沿ってスライド可能にマウントされるマウント部をそれぞれのスライドレール85a、85bに対するように両端近傍に備える長板状の基礎部95b(1つの板面(上面)を上に向けてほぼ水平に配置)と、基礎部95bの長手方向(一対のスライドレール85a、85bを跨ぐ方向)の中ほどに所定の距離を隔てて基礎部95bの上面に取り付けられた一対のアングル部材95a1、95a2(垂直な線分の下端及び水平な線分の左端で結合されて構成される「L」字形状を持つが、この「L」字をひっくり返して、試験器本体91のほぼ長方形の仮想面の内部側から基礎部95bに近接させ水平な線分に相当する部材の下面を基礎部95bの上面に当接させて取り付け、垂直な線分に相当する部材を基礎部95bの内部側に垂直方向下向きに垂らしたもの)と、アングル部材95a1、95a2の水平な線分に相当する部材の上面であって上述する長方形の仮想面の内部側に寄る位置に上に突出するように備えられる嵌入ピン96a、96bと、基礎部95bの上面であってアングル部材95a1、95a2の水平な線分に相当する部材の外側(基礎部95bの長手方向のそれぞれの端部側)にそれぞれその部材に沿って備えられる2つの永久磁石96mと、を含む。
また、別の側面からは、駆動部97は、フレーム92による直方体形状の外側において載置面201に配置されるが、一端が移動支持部95に連結されスライドレール85a、85bに平行な方向である変位方向に延びる連結棒97aと、連結棒97aの他端である基端側に変位方向に沿った方向(連結棒97aの軸方向)に連結棒97aを移動させる駆動ユニット97bを含む。フレーム92から構成される部分と駆動ユニット97bとは、連結棒97aの移動(例えば、往復動)や連結棒97aの一端が連結される移動支持部95の移動が生じても移動しないように、それぞれ載置面201において固定されている。
そして、第1本体24が固定支持部93に取り付けられた際(嵌入ピン94a、94bが嵌入孔24ha、24hbに嵌入される)、永久磁石94mが第1本体24(磁石に吸引される鋼材により形成されている)を吸引することで、第1本体24の固定支持部93への取り付けを確実ならしめる。
また、試験体支持部21aが、第1本体24に対して第1回動軸C1を中心に回動することを規制する回動ストッパー29a、29bが第1本体24の下面に板バネ22a、22bが延びる方向(又は変位方向)に沿って延びるように配設されているが、アングル部材93a1、93a2との干渉を避けるように、第1本体24の「C」字形状の背部に沿う方向において、所定の距離隔てて設けられた1対のアングル部材93a1、93a2の外側壁の位置よりも幅広に隔てられている(図4A及び図5参照)。回動ストッパー29a、29bは、試験体支持部21aが第1回動軸C1を中心に回動すると、先端29aa、29baが、試験体支持部21aの小延長部の下面又は小延長部に連結・固定される外側に向かって延びる小片からなる板バネ固定片の下面に当接することでさらなる回動を禁止する。
そして、試験体支持部21aには、回動ストッパー29a、29bの外側壁の位置よりもクリアランスを加えて更に幅広に隔てられて、板バネ22a、22bが延びる方向(又は変位方向)に沿って延びるように、一対の引っ張りばね21asの1つの端が掛けられる取付突起がその下面に配設され、他方の端は、第1本体24の下面に配設される取付突起に掛けられる。この一対の引っ張りばね21asは、第1回動軸C1より下方に設置されているので、試験体支持部21aが下方に向けて回動するように引っぱられており、試験体支持部21aが第1回動軸C1を中心に上方に回動することを防止し、試験体101が常に下方向に彎曲するようになっている(この引っ張りばね21asは、特許文献1において取付部5、6を下方に引っぱるばね11に相当する。)。
そして、第2本体26が移動支持部95に取り付けられた際(嵌入ピン96a、96bが、第2本体26の下面の一対の嵌入孔に嵌入される)、永久磁石96mが第2本体26(磁石に吸引される鋼材により形成されている)を吸引することで、第2本体26の移動支持部95への取り付けを確実ならしめる。
また、試験体支持部21bが、第2本体26に対して第2回動軸C2を中心に回動することを規制する回動ストッパー29a、29bが第2本体26の下面に板バネ22a、22bが延びる方向(又は変位方向)に沿って延びるように配設されているが、アングル部材95a1、95a2との干渉を避けるように、第2本体26の「C」字形状の背部に沿う方向において、所定の距離隔てて設けられた1対のアングル部材95a1、95a2の外側壁の位置よりも幅広に隔てられている。該回動ストッパーは、前述の回動ストッパー29a、29bと同様のものであり、試験体支持部21bが第2回動軸C2を中心に回動すると、その先端が試験体支持部21bの小延長部の下面又は小延長部に連結・固定される外側に向かって延びる小片からなる板バネ固定片の下面に当接することでさらなる回動を禁止する。
そして、試験体支持部21bには、回動ストッパー29a、29bの外側壁の位置よりもクリアランスを加えて更に幅広に隔てられて、板バネ22a、22bが延びる方向(又は変位方向)に沿って延びるように、一対の引っ張りばね21bsの1つの端が掛けられる取付突起がその下面に配設され、他方の端は、第2本体26の下面に配設される取付突起に掛けられる。この一対の引っ張りばね21bsは、第2回動軸C2より下方に設置されているので、試験体支持部21bが下方に向けて回動するように引っぱられており、試験体支持部21bが第2回動軸C2を中心に上方に回動することを防止し、試験体101が常に下方向に彎曲するようになっている(この引っ張りばね21bsは、特許文献1において取付部5、6を下方に引っぱるばね11に相当する。)。
試験体101は、第1部の試験体支持部21aの表面(ここでは上面)と、第2部の試験体支持部21bの表面(ここでは上面)と、に試験体101の両縁近傍(両縁から所定の幅の部分)が接着することにより取り付けられている。
そして、第1部分23と第2部分25とに、重力以外の力が加わっていない場合には、試験体101の両主表面が平面に略沿っている(前述の如く、厳密には引っ張りばね21as、21bsの引っ張りにより試験体101の両主表面は下方に僅かに彎曲している。)。
第2に、試験体101の両縁近傍を試験体支持部21a、21bの表面(ここでは上面)に接着することにより取り付ける。通常は、試験体支持部21aの表面(上面)と、試験体支持部21bの表面(上面)と、が一平面(互いに平行な第1回動軸C1及び第2回動軸C2を含む平面)にほぼ属する状態において、試験体101の両主表面が該一平面にほぼ沿うように取り付ける(前述の通り、厳密には、引っ張りばね21as、21bsの引っ張りに試験体支持部21aの表面(上面)と試験体支持部21bの表面(上面)とは僅かに下方に回動すると共に、試験体101の両主表面は下方に僅かに彎曲している。)。
第3に、駆動部97により、移動支持部95を所定の振幅及び周波数で矢印Sと平行方向に往復動させる(このときは状態保持部30を装着していない)。移動支持部95の往復動は、移動支持部95に取り付けられた第2部分25を該所定の振幅及び周波数で矢印Sと平行方向に往復動させる。なお、第1部分23は固定されているので、第2部分25の該往復動により、第1部分23と第2部分25との間の距離が増減し(板バネ22a、22bの付勢力に抗して該距離が減少する)、第1部分23と第2部分25との間に取り付けられた試験体101は屈伸される(このとき引っ張りばね21as、21bsによって試験体101は常に下方向に彎曲する。)。
試験器本体91から取り外した試験カートリッジ20は、それに装着した状態保持部30により、第1部分23と第2部分25との間の距離の変化が禁止され、試験体101の所望の彎曲状態が保持されるので、該所望の彎曲状態のまま試験体101の観察や分析等を行うことができる。
そして、状態保持部30を試験カートリッジ20から取り外す(取付ねじ35a、36aを雌ねじ27a、27bから抜き取ると共に取付ねじ35b、36bを雌ねじ28a、28bから抜き取る。)。こうすることで第1部分23と第2部分25との間の距離の変化が許容されるので、駆動部97により、移動支持部95を所定の振幅及び周波数で矢印Sと平行方向に往復動させることで、試験体101の彎曲試験を続行することができる。また、この彎曲試験の後、上述と同様に何度でも、試験カートリッジ20を試験器本体91から取り外して、試験体101の観察や分析等を適宜行うことができる。
そして、前述の通り、試験体101の観察や分析等の後、状態保持部30を装着した試験カートリッジ20を再び試験器本体91に取り付け、状態保持部30を試験カートリッジ20から取り外して、再度、試験体101の彎曲試験を行うことができる。このように試験体101の彎曲試験と試験体101の観察分析等(試験カートリッジ20は試験器本体91から取り外し状態)とを自由に何度でも行うことができる。
本試験器11においては、状態保持手段(状態保持部30)が、一端側が第1部(第1部分23)に取り付けられると共に他端側が第2部(第2部分25)に取り付けられる状態保持部材(ここでは保持板31、32)と、状態保持部材(保持板31、32)の該一端側を第1部(第1部分23)に着脱自在に取り付ける一端側着脱部(ここでは取付ねじ35a、36a)と、状態保持部材(保持板31、32)の該他端側を第2部(第2部分25)に着脱自在に取り付ける他端側着脱部(ここでは取付ねじ35b、36b)と、を含んでなる。
本試験器11においては、状態保持手段(状態保持部30)が、試験体101が取り得る形状状態の全ての形状状態における第1部(第1部分23)に対する第2部(第2部分25)の相対的な位置を固定することができるものである(ここでは長穴31h、32hの長手方向のどこにおいても、取付ねじ35a、36a、35b、36bを締めることで保持板31、32に第1部分23及び第2部分25を係止できる。)。
本試験器11においては、移動制限手段が、前記所定方向(矢印Kにて示す鉛直上方向)とは反対方向が鉛直下方向への成分を有する際(ここでは該反対方向が鉛直下方向である。)の脱着部分(試験カートリッジ20)の重力と、脱着部分(試験カートリッジ20)及び本体部分(試験器本体91)のいずれか一方(ここでは試験器本体91)に設けられ他方(ここでは試験カートリッジ20)を吸引する磁力発生手段(ここでは永久磁石94m、96m)と、の少なくとも一方(ここでは両方)を含む。
本試験器11においては、本体部分(試験器本体91)が、第1部(第1部分23)を取り付ける第1部取付部分(ここでは固定支持部93)と、第2部(第2部分25)を取り付ける第2部取付部分(ここでは移動支持部95)と、第1部取付部分(固定支持部93)に取り付けられた第1部(第1部分23)と第2部取付部分(移動支持部95)に取り付けられた第2部(第2部分25)とが変位サイクルを繰り返すように第1部取付部分(固定支持部93)と第2部取付部分(移動支持部95)とを相対的に繰り返して変位させる駆動手段(ここでは駆動部97)と、を含んでなる。
また、別の実施例においては、第1部(第1部分23)を取り付ける第1部取付部分を移動可能にすることもでき、その際には、第1部取付部分との距離が相対的に繰り返して変化することができるのであれば、第2部取付部分を固定してもよく、或いは、移動可能にしてもよい。
少なくとも1つの方向(例えば、S)において、互いの距離が繰り返して相対的に変化し得る第1部取付部分(93)及び第2部取付部分(95)と、
前記第1部取付部分(93)及び前記第2部取付部分(95)の間の相対的な距離を繰り返して変化させることができる駆動部(97)と、
前記第1部取付部分(93)及び前記第2部取付部分(95)に係合して前記試験体を彎曲させるように保持する試験カートリッジ(20)と、を含み、
前記試験カートリッジ(20)は、
前記第1部取付部分(93)に係合する第1部分(23)と、
前記第2部取付部分(95)に係合する第2部分(25)と、
前記第1部分(23)及び前記第2部分(25)の間に前記少なくとも1つの方向(例えば、S)に沿って無負荷で所定の距離を維持可能に架け渡される弾性体(例えば、板バネ22a、22b)と、
前記少なくとも1つの方向(例えば、S)に沿って、負荷又は無負荷で前記第1部分(23)及び前記第2部分(25)の間の相対的な距離を固定して保持可能な状態保持部(30)と、を含み、
前記第1部分(23)は、
前記第1部取付部分(93)と係合し前記少なくとも1つの方向(例えば、S)に沿って係合固定したまま前記第1部取付部分(93)と一緒に移動し得るように構成される第1本体(24)と、
前記第1本体(24)に、前記少なくとも1つの方向に実質的に垂直な回動軸(C1)を介して、回動自在に接続されるように構成される第1試験体支持部(21a)と、を含み、
前記第1本体(24)は、前記少なくとも1つの方向(例えば、S)に実質的に垂直な方向の移動により、前記第1部取付部分(93)に装着可能な及び装脱可能な係合部材(例えば、嵌入孔24ha、24hb)を、及び、前記第1部取付部分(93)は、その係合部材に対応可能な対応部材(例えば、嵌入ピン94a、94b)を、備え、
前記第2部分(25)は、
前記第2部取付部分(95)と係合し前記少なくとも1つの方向に沿って係合固定したまま前記第2部取付部分(95)と一緒に移動し得るように構成される第2本体(26)と、
前記第2本体(26)に、前記少なくとも1つの方向(例えば、S)に実質的に垂直な回動軸C2を介して、回動自在に接続されるように構成される第2試験体支持部(21b)と、を含み、
前記第2本体(26)は、前記少なくとも1つの方向(例えば、S)にほぼ垂直な方向の移動により、前記第2部取付部分(95)に装着可能な及び装脱可能な係合部材(例えば、嵌入孔26ha、26hb)を、及び、前記第2部取付部分(95)は、その係合部材に対応可能な対応部材(例えば、嵌入ピン96a、96b)を、備え、
前記第1試験体支持部(21a)及び前記第2試験体支持部(21b)は、前記試験体(101)の異なる部分を保持可能に構成され、そして、前記第1試験体支持部(21a)及び前記第2試験体支持部(21b)の間は、かかる保持により、前記試験体(101)を配置することができるように構成され、そして、
前記状態保持部(30)は、前記弾性体(例えば、板バネ22a、22b)の復元力に抗して、相対的な距離を固定することができるように構成される。
ここで、上記状態保持部(30)は、上記弾性体(例えば、板バネ22a、22b)及び上記試験体(101)の復元力に抗して十分耐えうる構造及び/又は材料並びにそれら弾性体及び試験体をその状態で前記状態保持部に固定可能な固定装置(例えば、ファスナー、ネジ、ボルト、凸部、及び対応するファスナー、ネジ穴、ナット、凹部等)を含みことができる。また、前記状態保持部(30)は、上記試験カートリッジ(20)を取り出す際に、上記係合部材(例えば、嵌入孔24ha、24hb)及び上記対応部材(例えば、嵌入ピン94a、94b)並びに上記係合部材(例えば、嵌入孔26ha、26hb)及び上記対応部材(例えば、嵌入ピン96a、96b)の係合を解除する際に、適度なクリアランスを供給することができる。
更に、前記試験カートリッジ(20)は、上記少なくとも1つの方向(例えば、S)における任意の位置で、上記第1部取付部分(93)及び上記第2部取付部分(95)が停止可能に構成されており、その状態で、上記状態保持部(30)は、上記弾性体(例えば、板バネ22a、22b)及び上記試験体(101)を固定することができる。
21a 試験体支持部 21as 引っ張りばね
21b 試験体支持部 21bs 引っ張りばね
22a、22b 板バネ 23 第1部分
24 第1本体 24ha、24hb 嵌入孔
25 第2部分 26 第2本体
27a、27b 雌ねじ 28a、28b 雌ねじ
29a、29b 回動ストッパー 29aa、29ba 先端
30 状態保持部 31、32 保持板
31h、32h 長穴 35a、35b 取付ねじ
36a、36b 取付ねじ 81 固定板状部材
83 移動板状部材 85a、85b スライドレール
91 試験器本体 92 フレーム 93 固定支持部
93a1、93a2 アングル部材 93b 基礎部
94a、94b 嵌入ピン 94m 永久磁石
95 移動支持部 95a1、95a2 アングル部材
95b 基礎部 96a、96b 嵌入ピン
96m 永久磁石 97 駆動部 97a 連結棒
97b 駆動ユニット 101 試験体
201 載置面
Claims (14)
- 試験体の異なる少なくとも2の部分それぞれが第1部の第1取付部及び第2部の第2取付部に取り付けられ、第1形状状態から第2形状状態を経て再び第1形状状態に戻る所定の変形サイクルを試験体に生じさせる第1部に対する第2部の相対的な変位である変位サイクルを繰り返す脱着部分と、
脱着部分が着脱自在に取り付けられる本体部分と、
を備えてなる変形試験器であって、
試験体が取り得る形状状態のうち少なくとも1の形状状態における第1部に対する第2部の相対的な位置を固定する状態保持手段が、本体部分に取り付けられた脱着部分に着脱自在であると共に、状態保持手段が装着された脱着部分が本体部分に脱着自在なものである、変形試験器。 - 脱着部分が、状態保持手段を取り付けるための状態保持手段取付部を有してなるものである、請求項1に記載の変形試験器。
- 第1形状状態から第2形状状態に遷移する際に、第1部と第2部との間の距離が減少するものであり、
脱着部分が、第2形状状態から第1形状状態へ該距離を増加させるよう第1部及び/又は第2部を付勢する付勢手段を有してなり、
状態保持手段が、該距離が増加することを禁止する距離増加禁止手段である、請求項1又は2に記載の変形試験器。 - 第1形状状態から第2形状状態に遷移する際に、第1部と第2部との間の距離が増加するものであり、
脱着部分が、第2形状状態から第1形状状態へ該距離を減少させるよう第1部及び/又は第2部を付勢する付勢手段を有してなり、
状態保持手段が、該距離が減少することを禁止する距離減少禁止手段である、請求項1又は2に記載の変形試験器。 - 状態保持手段が、一端側が第1部に取り付けられると共に他端側が第2部に取り付けられる状態保持部材と、状態保持部材の該一端側を第1部に着脱自在に取り付ける一端側着脱部と、状態保持部材の該他端側を第2部に着脱自在に取り付ける他端側着脱部と、を含んでなる、請求項3又は4に記載の変形試験器。
- 状態保持手段が、試験体が取り得る形状状態の全ての形状状態における第1部に対する第2部の相対的な位置を固定することができるものである、請求項1乃至5のいずれか1に記載の変形試験器。
- 脱着部分が本体部分に取り付けられたとき、脱着部分を本体部分に対して所定方向に移動させ脱着部分を本体部分から取り外すことができるが、脱着部分と本体部分とが当接することで該所定方向とは反対方向に脱着部分を本体部分に対して移動させることは禁止されると共に該所定方向に垂直な平面に沿ったいずれの方向にも脱着部分を本体部分に対して移動させることは禁止されるものである、請求項1乃至6のいずれか1に記載の変形試験器。
- 前記所定方向への本体部分に対する脱着部分の移動を制限する移動制限手段を備えるものである、請求項7に記載の変形試験器。
- 移動制限手段が、前記所定方向とは反対方向が鉛直下方向への成分を有する際の脱着部分の重力と、脱着部分及び本体部分のいずれか一方に設けられ他方を吸引する磁力発生手段と、の少なくとも一方を含む、請求項8に記載の変形試験器。
- 脱着部分及び本体部分のいずれか一方が、前記所定方向又はその逆方向に突出する突出部材を有し、該いずれか他方が、該突出部材を前記所定方向又はその逆方向に嵌入する嵌入孔を有するものである、請求項7乃至9のいずれか1に記載の変形試験器。
- 本体部分が、第1部を取り付ける第1部取付部分と、第2部を取り付ける第2部取付部分と、第1部取付部分に取り付けられた第1部と第2部取付部分に取り付けられた第2部とが変位サイクルを繰り返すように第1部取付部分と第2部取付部分とを相対的に繰り返して変位させる駆動手段と、を含んでなる、請求項1乃至10のいずれか1に記載の変形試験器。
- 請求項1乃至11のいずれか1に記載の変形試験器を構成する脱着部分。
- 請求項1乃至11のいずれか1に記載の変形試験器を構成する本体部分。
- 請求項1乃至11のいずれか1に記載の変形試験器に装着される状態保持手段。
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