WO2018135360A1 - タッチパネル用フィルム積層体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、高温高湿環境下等で変形し得るフィルムに導電層が直接形成された場合であっても、導電層にクラックが発生することを防止する技術を提供する。本発明のタッチパネル用フィルム積層体は、導電層付フィルム基材と、該導電層付フィルム基材の一方の側に積層された低透湿性基材と、を備える、タッチパネル用フィルム積層体であって、該導電層付フィルム基材が、樹脂フィルムを含むフィルム基材と、該フィルム基材の少なくとも一方の面に直接設けられた導電層とを有し、該低透湿性基材の40℃、92%R.H.における透湿度が、1.0g/(m・day)以下である。

Description

タッチパネル用フィルム積層体
 本発明は、タッチパネル用フィルム積層体に関する。
 近年、スマートフォンに代表されるスマートデバイス、またデジタルサイネージ、ウィンドウディスプレイ等の表示装置が強い外光の下使用される機会が増加している。それに伴い、表示装置自体または表示装置に用いられるタッチパネル部やガラス基板、金属配線等の反射体による外光反射や背景の映り込み等の問題が生じている。特に、近年実用化されてきている有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置は、反射性の高い金属層を有するため、外光反射や背景の映り込み等の問題を生じやすい。そこで、位相差フィルム(代表的にはλ/4板)を有する円偏光板を視認側に反射防止フィルムとして設けることにより、これらの問題を防ぐことが知られている。
 さらに、近年、スマートフォンに代表されるように、画像表示装置がタッチパネル型入力装置を兼ねるタッチパネル型入力表示装置が急増している。特に、表示セル(例えば、液晶セル、有機ELセル)と偏光板との間にタッチセンサが組み込まれた、いわゆるインナータッチパネル型入力表示装置が実用化されている。このようなインナータッチパネル型入力表示装置においては、タッチパネル電極として機能する透明導電層は、等方性基材上に形成され、等方性基材付導電層として位相差フィルム(代表的にはλ/4板)に積層されることにより導入されている。表示装置の薄型化の観点からは透明導電層を位相差フィルムに直接形成することが望ましいが、透明導電層を形成する際のスパッタリングおよびその後処理における高温環境で位相差フィルムの光学特性が所望の特性から大きくずれてしまうので、スパッタリング用の基材を用いざるを得ないからである。
特開2005-189645号公報 特開2006-171235号公報
 上記要望に対して、透明導電層を位相差フィルムに直接形成する(接着層を介在させることなく積層する)技術が開発されつつある。しかしながら、本発明者らの検討によれば、透明導電層を位相差フィルムに直接形成すると、高温高湿環境下等において、位相差フィルムが変形(例えば、延伸により配向が制御された位相差フィルムが収縮または膨張)する一方で、透明導電層は該変形に追従できず、クラックが発生するという環境耐久性の問題が生じる場合があることがわかった(例えば、図5)。
 本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、高温高湿環境下等で変形し得るフィルムに導電層が直接形成された場合であっても、導電層にクラックが発生することを防止する技術を提供することにある。
 本発明によれば、導電層付フィルム基材と、該導電層付フィルム基材の一方の側に積層された低透湿性基材と、を備える、タッチパネル用フィルム積層体が提供される。本発明のタッチパネル用フィルム積層体においては、該導電層付フィルム基材が、樹脂フィルムを含むフィルム基材と、該フィルム基材の少なくとも一方の面に直接設けられた導電層とを有し、該低透湿性基材の40℃、92%R.H.における透湿度が、1.0g/(m・day)以下である。
 1つの実施形態においては、上記低透湿性基材が、支持基材と、該支持基材の一方の側に設けられた無機薄膜と、を備える。
 1つの実施形態においては、上記無機薄膜が、酸化物、窒化物、水素化物およびその複合化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機化合物を含む。
 1つの実施形態においては、上記フィルム基材が、85℃、85%R.H.環境下で、少なくとも一方向に収縮する。
 1つの実施形態においては、上記樹脂フィルムの面内位相差Re(550)が、100nm~180nmである。
 1つの実施形態においては、上記フィルム基材が、上記樹脂フィルムの少なくとも一方の面に設けられた機能層をさらに含み、上記導電層が、上記フィルム基材の該機能層上に直接設けられている。
 1つの実施形態においては、上記フィルム積層体は、偏光板をさらに含む。
 1つの実施形態においては、上記偏光板、上記導電層付フィルム基材および上記低透湿性基材が、接着層を介して、視認側からこの順に積層されている。
 1つの実施形態においては、上記偏光板と上記導電層付フィルム基材との間に介在する接着層および上記導電層付フィルム基材と上記低透湿性基材との間に介在する接着層のいずれか一方または両方の40℃、92%R.H.における透湿度が、100g/(m・day)以下である。
 1つの実施形態においては、上記偏光板が、偏光子と位相差フィルムとを含む。
 本発明によれば、フィルム基材に導電層が直接形成された導電層付フィルム基材の周辺部材の透湿度を制御することにより、導電層にクラックが発生することを防止することができる。
本発明の1つの実施形態におけるタッチパネル用フィルム積層体の概略断面図である。 本発明の別の実施形態におけるタッチパネル用フィルム積層体の概略断面図である。 本発明のさらに別の実施形態におけるタッチパネル用フィルム積層体の概略断面図である。 本発明のさらに別の実施形態におけるタッチパネル用フィルム積層体の概略断面図である。 (a)は、フィルムの膨張に起因する導電層の開裂型クラックの顕微鏡写真であり、(b)は、フィルムの収縮に起因する導電層の座屈型クラックの顕微鏡写真である。
 以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
(用語および記号の定義)
 本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
 「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
 「Re(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定したフィルムの面内位相差である。例えば、「Re(450)」は、23℃における波長450nmの光で測定したフィルムの面内位相差である。Re(λ)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、式:Re=(nx-ny)×dによって求められる。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
 「Rth(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定したフィルムの厚み方向の位相差である。例えば、「Rth(450)」は、23℃における波長450nmの光で測定したフィルムの厚み方向の位相差である。Rth(λ)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、式:Rth=(nx-nz)×dによって求められる。
(4)Nz係数
 Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
(5)角度
 本明細書において角度に言及するときは、特に明記しない限り、当該角度は時計回りおよび反時計回りの両方の方向の角度を包含する。
A.タッチパネル用フィルム積層体の全体構成
 図1~図4はそれぞれ、本発明の1つの実施形態によるタッチパネル用フィルム積層体(以下、単に「フィルム積層体」と称する場合がある)の概略断面図である。図1に示すフィルム積層体100aは、フィルム基材11とその一方の面に直接設けられた導電層12とを有する導電層付フィルム基材10と、導電層付フィルム基材10の導電層12側の面に接着層30を介して積層された低透湿性基材20と、を備える。低透湿性基材20は、支持基材21と、支持基材21の一方の側に設けられた無機薄膜22と、を備える。図2に示すフィルム積層体100bは、フィルム基材11とその一方の面に直接設けられた導電層12とを有する導電層付フィルム基材10と、導電層付フィルム基材10のフィルム基材11側の面に接着層30を介して積層された低透湿性基材20と、を備える。図3に示すフィルム積層体100cは、フィルム基材11とその両面に直接設けられた導電層12a、12bとを有する導電層付フィルム基材10と、導電層付フィルム基材10の導電層12a側の面に接着層30を介して積層された低透湿性基材20と、を備える。これらの実施形態において、フィルム基材11は、位相差フィルムであってもよい樹脂フィルム13によって構成されている。また、図示しないが、低透湿性基材20の支持基材21と無機薄膜22との間には、必要に応じて、アンカーコート層を介在させてもよい。
 本発明のフィルム積層体は、任意の構成要素である偏光板をさらに含み得る。例えば、図4に示すフィルム積層体100dは、偏光板40をさらに含む。偏光板40は、接着層30bを介して導電層付フィルム基材10の視認側に積層されている。すなわち、フィルム積層体100dにおいては、偏光板40、接着層30b、導電層付フィルム基材10、接着層30aおよび低透湿性基材20が、視認側からこの順で積層されている。該実施形態において、フィルム基材11は、位相差フィルムであってもよい樹脂フィルム13とその表示セル(例えば、液晶セル、有機ELセル)側の面に設けられた機能層14とによって構成されており、導電層12は、フィルム基材11の機能層14側の面に直接設けられている。このような構成によれば、フィルム積層体100dは、表示セルと偏光子との間にタッチセンサが組み込まれた、いわゆるインナータッチパネル型入力表示装置に好ましく適用され得る。
 上記図示例とは異なり、機能層は、フィルム基材の視認側のみに設けられていてもよく、また、フィルム基材の両面に設けられていてもよい。
 上記のとおり、本発明において、導電層は、フィルム基材の少なくとも一方の面に直接設けられている。本明細書において「直接設けられている」とは、接着層を介在させることなく積層されていることをいう。
 上記フィルム積層体における導電層付フィルム基材から低透湿性基材までの合計厚み(導電層付フィルム基材と低透湿性基材とその間に介在する接着層の合計厚み)は、好ましくは25μm~300μmであり、より好ましくは50μm~200μmである。本発明の実施形態によれば、導電層がフィルム基材表面に直接設けられることから、顕著な薄型化を実現することができる。
 1つの実施形態においては、本発明のフィルム積層体は長尺状である。長尺状のフィルム積層体は、例えば、ロール状に巻回されて保管および/または運搬され得る。
 上記の実施形態は適宜組み合わせてもよく、上記の実施形態における構成要素に当業界で自明の改変を加えてもよく、上記の実施形態における構成を光学的に等価な構成に置き換えてもよい。
 以下、フィルム積層体の構成要素について説明する。
B.導電層付フィルム基材
B-1.フィルム基材
 フィルム基材は、任意の適切な樹脂フィルムを含む。1つの実施形態において、85℃、85%R.H.環境下で、実質的に変形を生じない樹脂フィルム(例えば、下記変形率が0.01%未満の樹脂フィルム)が用いられ得る。このような樹脂フィルムを用いる場合、導電層におけるクラックの発生が防止され得る。別の実施形態においては、85℃、85%R.H.環境下で、少なくとも一方向に変形する樹脂フィルムが用いられ得る。このような樹脂フィルムを用いる場合、本発明の効果がより好適に発揮され得る。変形は、代表的には、収縮または膨張である。樹脂フィルムが延伸フィルムである場合、延伸方向と平行な方向への収縮、延伸方向と直交する方向への膨張が生じやすい傾向にある。85℃、85%R.H.環境下に4時間曝露後の樹脂フィルムの少なくとも一方向への変形率(収縮率[(元の寸法-曝露後の寸法)/元の寸法×100]または膨張率[(曝露後の寸法-元の寸法)/元の寸法×100])は、一般的には0.01%以上であり、例えば0.03%~1%、また例えば0.05%~0.5%であり得る。
 樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは150℃以上であり、より好ましくは155℃以上、さらに好ましくは158℃以上、さらにより好ましくは160℃以上、特に好ましくは163℃以上である。一方、該ガラス転移温度は、好ましくは180℃以下であり、より好ましくは175℃以下、さらに好ましくは170℃以下である。ガラス転移温度が低すぎると、導電層を形成するためのスパッタリングおよびそれに付随する後処理の高温環境において光学特性に所望でない変化が生じる場合がある。ガラス転移温度が高すぎると、成形安定性が悪くなる場合があり、また、透明性を損なう場合がある。なお、ガラス転移温度は、JIS K 7121(1987)に準じて求められる。
 樹脂フィルムの光弾性係数の絶対値は、好ましくは20×10-12(m/N)以下であり、より好ましくは1.0×10-12(m/N)~15×10-12(m/N)であり、さらに好ましくは2.0×10-12(m/N)~12×10-12(m/N)である。光弾性係数の絶対値がこのような範囲であれば、スパッタリング前後の色味の変化を抑制することができる。
 樹脂フィルムは、光学的に等方性であり得る。あるいは、樹脂フィルムは、複屈折を有し、光学的に異方性であってもよい。光学的に異方性である樹脂フィルムは、光学補償機能を発揮し得る位相差フィルムであり得る。このような樹脂フィルム(位相差フィルム)を含むフィルム基材に直接導電層を形成することにより、スパッタリング用の基材を別途に設ける必要性がなくなるので、フィルム積層体(最終的には画像表示装置)のより一層の薄型化が可能となる。なお、本明細書において「光学的に等方性である」とは、面内位相差Re(550)が0nm~10nmであり、厚み方向の位相差Rth(550)が-10nm~+10nmであることをいう。
 樹脂フィルムに光学補償機能を付与する場合(すなわち、樹脂フィルムが位相差フィルムである場合)、その面内位相差Re(550)は、例えば100nm~180nmであり、好ましくは120nm~160nmであり、より好ましくは135nm~155nmである。すなわち、樹脂フィルムは、いわゆるλ/4板として機能し得る。以下、樹脂フィルムが位相差フィルムである場合における樹脂フィルムの光学特性について説明する。
 樹脂フィルムは、好ましくはRe(450)<Re(550)<Re(650)の関係を満たす。すなわち、樹脂フィルムは、位相差値が測定光の波長に応じて大きくなる逆分散の波長依存性を示す。樹脂フィルムのRe(450)/Re(550)は、好ましくは0.8以上1.0未満であり、より好ましくは0.8~0.95である。Re(550)/Re(650)は、好ましくは0.8以上1.0未満であり、より好ましくは0.8~0.97である。
 樹脂フィルムは、代表的には屈折率特性がnx>nyの関係を示し、遅相軸を有する。樹脂フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は、例えば35°~55°であり、好ましくは38°~52°であり、より好ましくは42°~48°であり、さらに好ましくは約45°である。当該角度がこのような範囲であれば、樹脂フィルムをλ/4板とすることにより、非常に優れた円偏光特性(結果として、非常に優れた反射防止特性)を有するフィルム積層体が得られ得る。
 樹脂フィルムは、nx>nyの関係を有する限り、任意の適切な屈折率楕円体を示す。好ましくは、樹脂フィルムの屈折率楕円体は、nx>ny≧nzまたはnx>nz>nyの関係を示す。なお、ここで「ny=nz」はnyとnzが完全に等しい場合だけではなく、実質的に等しい場合を包含する。したがって、本発明の効果を損なわない範囲で、ny<nzとなる場合があり得る。Nz係数は、好ましくは0.2~2.0であり、より好ましくは0.2~1.5であり、さらに好ましくは0.2~1.0である。このような関係を満たすことにより、フィルム積層体を画像表示装置に用いた場合に、非常に優れた反射色相を達成し得る。
 樹脂フィルムの厚みは、任意の適切な値に設定され得る。樹脂フィルムがλ/4板等の位相差フィルムとして機能する場合、その厚みは、所望の面内位相差が得られるように設定され得る。具体的には、樹脂フィルムの厚みは、例えば、10μm~200μmであり、なかでも、位相差フィルムとしての厚みは、好ましくは10μm~80μmであり、さらに好ましくは10μm~60μmであり、最も好ましくは30μm~50μmである。
 樹脂フィルムは、上記のような特性を満足し得る任意の適切な樹脂を含む。該樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、シクロオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、セルロースエステル系樹脂等が挙げられる。好ましくは、ポリカーボネート樹脂である。ポリカーボネート樹脂は、複数種のモノマーを用いて共重合体を合成することが比較的容易であり、種々の物性バランスを調整するための分子設計が可能である。また、耐熱性や延伸性、機械物性なども比較的良好である。尚、本発明においてポリカーボネート樹脂とは、構造単位にカーボネート結合を有する樹脂のことを総称し、例えば、ポリエステルカーボネート樹脂を含む。ポリエステルカーボネート樹脂とは、当該樹脂を構成する構造単位としてカーボネート結合およびエステル結合を有する樹脂のことを言う。
 ポリカーボネート樹脂は、下記式(1)又は(2)で表される構造単位を少なくとも含有することが好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
(式(1)及び(2)中、R~Rは、それぞれ独立に、直接結合、置換基を有していてもよい炭素数1~4のアルキレン基であり、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4~10のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数1~10のアシル基、置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1~10のアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよい炭素数1~10のビニル基、置換基を有していてもよい炭素数1~10のエチニル基、置換基を有する硫黄原子、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基である。ただし、R~Rは、互いに同一であっても、異なっていてもよく、R~Rのうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成していてもよい。)
 上記構造単位は樹脂中の含有量が少量でも効率良く逆波長分散性を発現させることができる。また、上記構造単位を含有する樹脂は耐熱性も良好で、延伸することによって高い複屈折が得られるため、上記位相差フィルムとして適した特性を有している。
 前記式(1)又は(2)で表される構造単位の樹脂中の含有量は、位相差フィルムとして最適な波長分散特性を得るためには、ポリカーボネート樹脂を構成する全ての構造単位、及び連結基の重量の合計量を100重量%とした際に、1重量%以上、50重量%以下含有することが好ましく、3重量%以上、40重量%以下がより好ましく、5重量%以上、30重量%以下が特に好ましい。
 前記式(1)及び(2)で表される構造単位のうち、好ましい構造としては具体的に下記[A]群に例示される骨格を有する構造が挙げられる。
[A]
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
 上記[A]群の中でも、(A1)及び(A2)のジエステル構造単位の性能が高く、(A1)が特に好ましい。前記特定のジエステル構造単位は、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物由来の構造単位よりも熱安定性が良好であり、逆波長分散の発現性や光弾性係数などの光学特性についても良好な特性を示す傾向がある。尚、ポリカーボネート樹脂がジエステルの構造単位を含有する場合、そのような樹脂をポリエステルカーボネート樹脂と称する。
 ポリカーボネート樹脂は、前記式(1)又は(2)で表される構造単位とともに、他の構造単位を共に含有することで、上記位相差フィルムに要求される種々の物性を満足する樹脂を設計することができる。特に重要な物性である高い耐熱性を付与するためには、下記式(3)で表される構造単位を含有することが好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
(式(3)中、R10~R15はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~12のアルキル基、アリール基、炭素数1~12のアルコキシ基、又はハロゲン原子を示す。)
 前記式(3)で表される構造単位は高いガラス転移温度を有する成分であり、さらに、芳香族構造にも関わらず、光弾性係数が比較的低く、上記樹脂フィルムに求められる特性を満足している。
 前記式(3)で表される構造単位の樹脂中の含有量は、ポリカーボネート樹脂を構成する全ての構造単位、及び連結基の重量の合計量を100重量%とした際に、1重量%以上、30重量%以下含有することが好ましく、2重量%以上、20重量%以下がより好ましく、3重量%以上、15重量%以下が特に好ましい。この範囲であれば、十分な耐熱性を付与しつつ、樹脂が過度に脆くならず、加工性に優れた樹脂を得ることができる。
 前記式(3)で表される構造単位は、該構造単位を含有するジヒドロキシ化合物を重合することで樹脂中に導入することができる。該ジヒドロキシ化合物としては、物性が良好であり、入手のしやすさの観点からも、6,6’-ジヒドロキシ-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダンを用いることが特に好ましい。
 ポリカーボネート樹脂は、下記式(4)で表される構造単位をさらに含有することが好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
 前記式(4)で表される構造単位は、樹脂を延伸した時の複屈折の発現性が高く、光弾性係数も低い特性を有している。前記式(4)で表される構造単位を導入可能なジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド(ISB)、イソマンニド、イソイデットが挙げられるが、これらの中でも、入手及び重合反応性の観点からISBを用いるのが最も好ましい。
 ポリカーボネート樹脂は、要求される物性に応じて、前述した構造単位以外に、その他の構造単位を含んでいてもよい。その他の構造単位を含有するモノマーとしては、例えば、脂肪族ジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物、アセタール環を含有するジヒドロキシ化合物、オキシアルキレングリコール類、芳香族成分を含有するジヒドロキシ化合物、ジエステル化合物等が挙げられる。種々の物性のバランスが良好であることや、入手のしやすさの観点から、1,4-シクロヘキサンジメタノール(以下、CHDMと略記することがある)、トリシクロデカンジメタノール(以下、TCDDMと略記することがある)、スピログリコール(以下、SPGと略記することがある)等のジヒドロキシ化合物が好ましく用いられる。
 ポリカーボネート樹脂には本発明の目的を損なわない範囲で、通常用いられる熱安定剤、酸化防止剤、触媒失活剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、染顔料、衝撃改良剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤、核剤、難燃剤、無機充填剤、発泡剤等が含まれても差し支えない。
 ポリカーボネート樹脂は、機械特性や耐溶剤性等の特性を改質する目的で、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル、アモルファスポリオレフィン、ABS、AS、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート等の合成樹脂やゴム等の1種又は2種以上と混練してなるポリマーアロイとしてもよい。
 前記の添加剤や改質剤は、樹脂に前記成分を同時に、又は任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。中でも押出機、特には二軸押出機により混練することが、分散性向上の観点から好ましい。
 ポリカーボネート樹脂の分子量は、還元粘度で表すことができる。還元粘度は、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート樹脂濃度を0.6g/dLに精密に調製し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定される。還元粘度の下限は、通常0.25dL/g以上が好ましく、0.30dL/g以上がより好ましく、0.32dL/g以上が特に好ましい。還元粘度の上限は、通常0.50dL/g以下が好ましく、0.45dL/g以下がより好ましく、0.40dL/g以下が特に好ましい。還元粘度が前記下限値より小さいと成形品の機械的強度が小さくなるという問題が生じる場合がある。一方、還元粘度が前記上限値より大きいと、成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性が低下するという問題が生じる場合がある。
 ポリカーボネート樹脂は、測定温度240℃、剪断速度91.2sec-1における溶融粘度が、3000Pa・s以上、7000Pa・s以下であることが好ましい。溶融粘度の下限は4000Pa・s以上がより好ましく、4500Pa・s以上が特に好ましい。溶融粘度の上限は6500Pa・s以下がより好ましく、6000Pa・s以下が特に好ましい。
 樹脂フィルムには高い耐熱性が求められており、通常、耐熱性(ガラス転移温度)を高くするほど樹脂は脆くなる方向であるが、上記のような溶融粘度範囲とすることで、樹脂の加工時に最低限必要な機械物性を保持しつつ、樹脂を溶融加工することも可能となる。
 ポリカーボネート樹脂は、ナトリウムd線(589nm)における屈折率が、1.49以上、1.56以下であることが好ましい。さらに好ましくは、屈折率は1.50以上、1.55以下である。
 樹脂フィルムに位相差フィルムとして求められる光学特性を付与するためには、樹脂中に芳香族構造を導入する必要がある。しかし、芳香族構造は屈折率を高めることで樹脂フィルムの透過率の低下を招く。また、一般的に芳香族構造は高い光弾性係数を有しており、光学特性を全般的に低下させる。上記ポリカーボネート樹脂には、求められる特性を効率良く発現する構造単位を選択し、樹脂中の芳香族構造の含有量を最小限に抑えることが好ましい。
 上記樹脂フィルムは、例えば、上記ポリカーボネート樹脂等の樹脂をフィルム成形することによって得られる。フィルムを形成する方法としては、任意の適切な成形加工法が採用され得る。具体例としては、圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、粉末成形法、FRP成形法、キャスト塗工法(例えば、流延法)、カレンダー成形法、熱プレス法等が挙げられる。中でも得られるフィルムの平滑性を高め、良好な光学的均一性を得ることができる押出成形法、又はキャスト塗工法が好ましい。キャスト塗工法では残存溶媒による問題が生じるおそれがあるため、特に好ましくは押出成形法、中でもTダイを用いた溶融押出成形法がフィルムの生産性や、後の延伸処理のし易さの観点から好ましい。成形条件は、使用される樹脂の組成や種類、位相差フィルムとして所望される特性等に応じて適宜設定され得る。
 フィルム成形によって得られた樹脂フィルムは、必要に応じてさらに延伸される。
 上記延伸は、任意の適切な延伸方法、延伸条件(例えば、延伸温度、延伸倍率、延伸方向)が採用され得る。具体的には、自由端延伸、固定端延伸、自由端収縮、固定端収縮などの様々な延伸方法を、単独で用いることも、同時もしくは逐次で用いることもできる。延伸方向に関しても、長さ方向、幅方向、厚さ方向、斜め方向等、様々な方向や次元に行なうことができる。
 上記延伸方法、延伸条件を適宜選択することにより、上記所望の光学特性(例えば、屈折率特性、面内位相差、Nz係数)を有する位相差フィルムを得ることができる。
 1つの実施形態においては、位相差フィルムは、樹脂フィルムを一軸延伸もしくは固定端一軸延伸することにより作製される。固定端一軸延伸の具体例としては、樹脂フィルムを長手方向に走行させながら、幅方向(横方向)に延伸する方法が挙げられる。延伸倍率は、好ましくは1.1倍~3.5倍である。
 別の実施形態においては、位相差フィルムは、長尺状の樹脂フィルムを長手方向に対して所定の角度の方向に連続的に斜め延伸することにより作製され得る。斜め延伸を採用することにより、フィルムの長手方向に対して所定の角度の配向角(所定の角度の方向に遅相軸)を有する長尺状の延伸フィルムが得られ、例えば、偏光子との積層に際してロールトゥロールが可能となり、製造工程を簡略化することができる。さらに、導電層が樹脂フィルム(位相差フィルム)に直接形成できることとの相乗的な効果により、製造効率が格段に向上し得る。なお、上記所定の角度は、フィルム積層体において偏光子の吸収軸と位相差フィルムの遅相軸とがなす角度であり得る。当該角度は、上記のとおり、好ましくは35°~55°であり、より好ましくは38°~52°であり、さらに好ましくは42°~48°であり、特に好ましくは約45°である。
 斜め延伸に用いる延伸機としては、例えば、横および/または縦方向に、左右異なる速度の送り力もしくは引張り力または引き取り力を付加し得るテンター式延伸機が挙げられる。テンター式延伸機には、横一軸延伸機、同時二軸延伸機等があるが、長尺状の樹脂フィルムを連続的に斜め延伸し得る限り、任意の適切な延伸機が用いられ得る。
 上記延伸機において左右の速度をそれぞれ適切に制御することにより、上記所望の面内位相差を有し、かつ、上記所望の方向に遅相軸を有する位相差フィルム(実質的には、長尺状の位相差フィルム)が得られ得る。
 斜め延伸の方法としては、例えば、特開昭50-83482号公報、特開平2-113920号公報、特開平3-182701号公報、特開2000-9912号公報、特開2002-86554号公報、特開2002-22944号公報等に記載の方法が挙げられる。
 上記フィルムの延伸温度は、位相差フィルムに所望される面内位相差値および厚み、使用される樹脂の種類、使用されるフィルムの厚み、延伸倍率等に応じて変化し得る。具体的には、延伸温度は、好ましくはTg-30℃~Tg+30℃、さらに好ましくはTg-15℃~Tg+15℃、最も好ましくはTg-10℃~Tg+10℃である。このような温度で延伸することにより、本発明において適切な特性を有する位相差フィルムが得られ得る。なお、Tgは、フィルムの構成材料のガラス転移温度である。
 必要に応じて、樹脂フィルムの表面に機能層が設けられ得る。機能層は、樹脂フィルムの一方の面に設けられてもよく、両面に設けられてもよい。また、機能層は、単層構造であってもよく、2層以上の多層構造であってもよい。
 機能層としては、ハードコート層、防眩処理層および反射防止層、インデックスマッチング層、アンチブロッキング層、オリゴマー防止層等を挙げることができる。これらの層の形成材料は、当該分野において公知であるので、その詳細説明は省略する。
 機能層は、例えば、各層を形成することができる材料を用いて、グラビアコート法、バーコート法等の塗工法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等によって樹脂フィルム表面に直接形成することができる。
 1つの実施形態において、防眩処理層、反射防止層、またはインデックスマッチング層は、樹脂フィルムの導電層が設けられる側の面に形成され、ハードコート層またはブロッキング防止層は、いずれか一方の面または両面に形成され得る。
 機能層の厚み(多層構造の場合は、合計厚み)は、例えば10nm~5μm、好ましくは20nm~4μmであり得る。
B-2.導電層
 導電層は、代表的には透明導電層である。導電層の全光線透過率は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。
 導電層は、必要に応じてパターン化され得る。パターン化によって、導通部と絶縁部とが形成され得る。結果として、電極が形成され得る。電極は、タッチパネルへの接触を感知するタッチセンサ電極として機能し得る。パターンの形状はタッチパネル(例えば、静電容量方式タッチパネル)として良好に動作するパターンが好ましい。具体例としては、特表2011-511357号公報、特開2010-164938号公報、特開2008-310550号公報、特表2003-511799号公報、特表2010-541109号公報に記載のパターンが挙げられる。
 導電層の密度は、好ましくは1.0g/cm~10.5g/cmであり、より好ましくは1.3g/cm~8.0g/cmである。
 導電層の表面抵抗値は、好ましくは0.1Ω/□~1000Ω/□であり、より好ましくは0.5Ω/□~500Ω/□であり、さらに好ましくは1Ω/□~250Ω/□である。
 導電層の代表例としては、金属酸化物を含む導電層が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、インジウム-スズ複合酸化物、スズ-アンチモン複合酸化物、亜鉛-アルミニウム複合酸化物、インジウム-亜鉛複合酸化物が挙げられる。なかでも好ましくは、インジウム-スズ複合酸化物(ITO)である。
 導電層の厚みは、好ましくは0.01μm~0.06μmであり、より好ましくは0.01μm~0.045μmである。このような範囲であれば、導電性および光透過性に優れる導電層を得ることができる。
 導電層は、代表的には、フィルム基材の表面にスパッタリングにより形成され得る。
C.低透湿性基材
 低透湿性基材の40℃、92%R.H.における透湿度(水蒸気透過率)は、1.0g/(m・day)以下であり、好ましくは0.2g/(m・day)以下であり、より好ましくは0.1g/(m・day)以下であり、さらに好ましくは0.05g/(m・day)以下である。透湿度がこのような範囲であれば、吸湿に伴うフィルム基材の変形、例えば収縮を好適に抑制することができ、結果として、該変形に伴って導電層にクラックが生じるのを防止することができる。透湿度は、理想的には、水蒸気を全く透過させないこと(すなわち、0g/(m・day))が好ましい。
 低透湿性基材の全光線透過率は、光学特性の点から、好ましくは70%以上であり、より好ましくは75%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。
 低透湿性基材としては、上記所望の特性を有する限り、任意の適切な構成を採用することができる。低透湿性基材は、1つの実施形態においては、支持基材と、該支持基材の一方の側に設けられた無機薄膜と、を備える。無機薄膜は、支持基材上に直接設けられてもよい。あるいは、支持基材上にアンカーコート層を介して設けられてもよい。
 上記支持基材は、好ましくは透明である。支持基材は、可視光(例えば、波長550nmの光)の全光線透過率が、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは95%以上である。
 1つの実施形態においては、支持基材は、光学的に等方性である。このような構成であれば、フィルム積層体を画像表示装置に適用した場合に当該画像表示装置の表示特性に対する悪影響を防止できる。
 支持基材の平均屈折率は、好ましくは1.7未満であり、より好ましくは1.59以下であり、さらに好ましくは1.4~1.55である。平均屈折率がこのような範囲であれば、裏面反射を抑制でき、高い光透過率を達成できるという利点を有する。
 支持基材を構成する材料としては、上記特性を満足し得る任意の適切な材料を用いることができる。具体例としては、例えば、ノルボルネン系樹脂やオレフィン系樹脂などの共役系を有さない樹脂、ラクトン環やグルタルイミド環などの環状構造をアクリル系主鎖中に有する樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が挙げられる。このような材料であれば、支持基材を形成した際に、分子鎖の配向に伴う位相差の発現を小さく抑えることができる。
 支持基材の厚みは、好ましくは10μm~50μmであり、より好ましくは20μm~35μmである。
 上記無機薄膜は、任意の適切な無機化合物で形成される。無機薄膜は、好ましくは、酸化物、窒化物、水素化物およびその複合化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機化合物を含む。具体的には、無機化合物は、酸化物、窒化物または水素化物単体である場合だけでなく、酸化物、窒化物および/または水素化物の複合化合物であり得る。このような化合物を用いることにより、透明性にさらに優れ得る。無機薄膜を形成する無機化合物は、任意の適切な構造を有し得る。具体的には、完全な結晶構造を有していてもよいし、アモルファス構造を有していてもよい。
 上記無機化合物を構成する元素としては、炭素(C)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、炭化水素、ならびに、これらの酸化物、炭化物、窒化物およびそれらの混合物が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上組み合わせて用いられ得る。これらの中でも、炭素、ケイ素、アルミニウムが好ましく用いられる。無機化合物の具体例としては、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、ケイ素窒化物(SiNx)、ケイ素酸化物(SiOy)、アルミニウム酸化物(AlOz)、アルミニウム窒化物等が挙げられる。SiNxのxの値としては、好ましくは0.3~2である。SiOyのyの値としては、好ましくは1.3~2.5である。AlOzのzの値としては、好ましくは0.7~2.3である。ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物が特に好ましい。高いガスバリア性が安定して維持できるからである。
 無機薄膜の厚みは、好ましくは0.1nm~5000nm、より好ましくは0.5nm~1000nm、さらに好ましくは10nm~1000nm、特に好ましくは30nm~500nm、とりわけ好ましくは50nm~200nmである。このような範囲であれば、十分なバリア性を有し、亀裂や剥離が発生せず、透明性に優れた無機薄膜が得られ得る。
 無機薄膜は、任意の適切な構成が採用され得る。具体的には、無機薄膜は、単一層で形成されていてもよいし、複数層の積層体であってもよい。無機薄膜が積層体である場合の1つの具体例としては、無機酸化物層/無機窒化物層/無機酸化物層(例えば、SiOy層/SiNx層/SiOy層)の3層構成が挙げられる。また、無機薄膜が積層体である場合の別の具体例としては、ZnO、AlおよびSiOを含む第1の酸化物層/SiOで構成された第2の酸化物層の2層構成が挙げられる。当該構成においては、第1の酸化物層が支持基材側に配置される。
 上記第1の酸化物層は、上記のとおり、ZnO、AlおよびSiOを含む。第1の酸化物層は、全重量に対して、Alを好ましくは2.5重量%~3.5重量%、SiOを好ましくは20.0重量%~62.4重量%の割合で含む。ZnOは、好ましくは残量である。ZnOをこのような範囲で含有することにより、非晶性、バリア性、屈曲性および耐熱性に優れた層を形成することができる。Alをこのような範囲で含有することにより、第1の酸化物層は代表的にはスパッタリングで形成されるところ、ターゲットの導電率を増大させることができる。SiOをこのような範囲で含有することにより、異常放電を発生させることなく、かつ、バリア性を損なうことなく、第1の酸化物層の屈折率を小さくすることができる。
 第1の酸化物層の厚みは、好ましくは10nm~100nmであり、より好ましくは10nm~60nmであり、さらに好ましくは20nm~40nmである。厚みがこのような範囲であれば、高い光透過性と優れたバリア性とを両立できるという利点を有する。
 第1の酸化物層の平均屈折率は、好ましくは1.59~1.80である。平均屈折率がこのような範囲であれば、高い光透過性を達成できるという利点を有する。
 第1の酸化物層は、好ましくは透明である。第1の酸化物層は、可視光(例えば、波長550nmの光)の全光線透過率が、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは95%以上である。
 上記第2の酸化物層は、SiOで構成される(不可避の不純物も含まれ得る)。このような第2の酸化物層を第1の酸化物層の表面に形成することにより、第1の酸化物層による良好な特性を維持しつつ、低透湿性基材全体としての耐薬品性および透明性を格段に向上させることができる。さらに、第2の酸化物層は低屈折率層として機能し得るので、低透湿性基材に良好な反射防止特性を付与し得る。
 第2の酸化物層の厚みは、好ましくは10nm~100nmであり、より好ましくは50nm~100nmであり、さらに好ましくは60nm~100nmである。厚みがこのような範囲であれば、高い光透過性と優れたバリア性と優れた耐薬品性とを両立できるという利点を有する。
 第2の酸化物層の平均屈折率は、好ましくは1.44~1.50である。その結果、第2の酸化物層は、低屈折率層(反射防止層)として良好に機能し得る。
 第2の酸化物層は、好ましくは透明である。第2の酸化物層は、可視光(例えば、波長550nmの光)の全光線透過率が、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは95%以上である。
 無機薄膜の形成方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、蒸着法、コーティング法が挙げられる。バリア性の高い均一な薄膜が得られるという点で蒸着法が好ましい。蒸着法は、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等のPVD(物理的気相蒸着法)、CVD(化学的気相蒸着法)を包含する。
 上記第1の酸化物層および第2の酸化物層の形成方法について、以下により詳細に説明する。第1の酸化物層は、代表的にはスパッタリングにより支持基材上に形成され得る。第1の酸化物層は、例えば、Al、SiOおよびZnOを含むスパッタリングターゲットを用い、酸素を含有させた不活性ガス雰囲気下において、スパッタリング法により形成され得る。スパッタリングの方法としては、マグネトロンスパッタリング法、RFスパッタリング法、RF重畳DCスパッタリング法、パルススパッタ法、デュアルマグネトロンスパッタリング法などを採用することができる。基板の加熱温度は例えば-8℃~200℃である。酸素と不活性ガスとの雰囲気ガス全体に対する酸素のガス分圧は、例えば0.05以上である。
 第1の酸化物層を構成するAZO膜およびその製造方法の詳細については、例えば特開2013-189657号公報に記載されている。当該公報の記載は、本明細書に参考として援用される。
 第2の酸化物層は、代表的にはスパッタリングにより第1の酸化物層上に形成され得る。第2の酸化物層は、例えば、Si、SiC、SiNまたはSiOをターゲットとし、酸素を含有した不活性ガス(例えば、アルゴン、窒素、CO、CO、およびこれらの混合ガス)を用いてスパッタを行うことにより形成され得る。第1の酸化物層および第2の酸化物層はいずれもSiOを含むので、第1の酸化物層と第2の酸化物層との密着性は非常に優れたものとなる。このことから、第1の酸化物層と第2の酸化物層との界面で十分なバリア機能を発現させるためには、第1の酸化物層の厚みは、上記のとおり10nm以上であることが好ましい。その理由としては、成長初期膜である、いわゆるインキュベーションレイヤーの割合を十分小さくでき、目的の物性を有する酸化物層を形成できるからである。また、第1の酸化物層と第2の酸化物層とのトータル厚みは、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは140nm以下である。
 アンカーコート層の形成材料としては、任意の適切な材料が採用され得る。当該材料としては、樹脂、炭化水素、金属、金属酸化物および金属窒化物が挙げられる。アンカーコート層の形成材料および形成方法については、例えば特開2016-105166号公報に記載されている。当該公報の記載は、本明細書に参考として援用される。
 低透湿性基材の表面(無機薄膜側表面または支持基材側表面)に保護層を形成してもよい。保護層は、代表的には樹脂で形成される。保護層を形成する樹脂は、溶剤性であってもよく水性であってもよい。具体例として、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体、エチレンビニルアルコール系樹脂、ビニル変性樹脂、ニトロセルロース系樹脂、シリコン系樹脂、イソシアネート系樹脂、エポキシ系樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、変性スチレン系樹脂、変性シリコン系樹脂、アルキルチタネートが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく組み合わせて用いてもよい。保護層には、バリア性、耐摩耗性、滑り性向上のために無機粒子を添加してもよい。無機粒子としては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル、粒子状無機フィラーおよび層状無機フィラーが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく組み合わせて用いてもよい。無機粒子は、混合により添加してもよく、無機粒子存在下で上記樹脂のモノマーを重合することにより添加してもよい。
 保護層の形成方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。樹脂組成物を用いる場合、形成方法としては、例えばコーティングおよび浸漬が挙げられる。コーティング方法の具体例としては、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクタコーター、スプレイおよび刷毛が挙げられる。塗布または浸漬後、塗布層または浸漬により形成された層に任意の適切な乾燥処理を行って溶媒を蒸発させることにより、均一な保護層が形成され得る。乾燥処理としては、例えば、熱風乾燥や熱ロール乾燥などの加熱乾燥、赤外線乾燥が挙げられる。加熱温度は、例えば80℃~200℃程度である。形成された保護層には、耐水性、耐久性を高めるために、エネルギー線照射による架橋処理を行ってもよい。
 保護層の厚みは、好ましくは0.05μm~10μm、さらに好ましくは0.1μm~3μmである。
 上記アンカーコート層と無機薄膜と任意の保護層とを1つの構成単位層とした場合、低透湿性基材には、1層または複数層の構成単位層が設けられ得る。構成単位層が複数層設けられる場合、構成単位層の層数は、好ましくは1層~10層であり、より好ましくは1層~5層である。この場合、それぞれの構成単位層は、同一であってもよく異なっていてもよい。
 上記低透湿性基材は、代表的には、接着層を介して導電層付フィルム基材に積層される。このとき、無機薄膜側が接着層と対向するように積層されてもよく、支持基材側が接着層と対向するように積層されてもよい。
D.偏光板
 偏光板は、代表的には、偏光子とその一方の側(視認側)に設けられた第1の保護フィルムとを含む。偏光板は、必要に応じて、偏光子の他方の側(導電層付フィルム基材側)に設けられた第2の保護フィルムをさらに含み得る。また、該第2の保護フィルムの偏光子と反対側に位相差フィルムをさらに含む位相差フィルム付偏光板(第1の保護フィルム/偏光子/第2の保護フィルム/位相差フィルムの構成)であってもよい。
 偏光子としては、任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、偏光子は、(i)ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂フィルムに代表される単層の樹脂フィルムをヨウ素等の二色性物質で染色および延伸して得られる偏光子であり得る。また例えば、偏光子は、(ii)樹脂基材と当該樹脂基材に積層されたPVA系樹脂層(PVA系樹脂フィルム)との積層体を二色性物質で染色および延伸して得られる偏光子、あるいは、(iii)樹脂基材と当該樹脂基材に塗布されたPVA系樹脂層との積層体を二色性物質で染色および延伸して得られる偏光子であり得る。(iii)の偏光子の製造方法の詳細は、例えば特開2012-73580号公報に記載されている。当該公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
 偏光子の厚みは、好ましくは15μm以下であり、より好ましくは1μm~12μmであり、さらに好ましくは3μm~10μmであり、特に好ましくは3μm~8μmである。偏光子の厚みがこのような範囲であれば、加熱時のカールを良好に抑制することができ、および、良好な加熱時の外観耐久性が得られる。さらに、偏光子の厚みがこのような範囲であれば、フィルム積層体(結果として、画像表示装置)の薄型化に貢献し得る。
 偏光子は、好ましくは、波長380nm~780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光子の単体透過率は、好ましくは43.0%~46.0%であり、より好ましくは44.5%~46.0%である。偏光子の偏光度は、好ましくは97.0%以上であり、より好ましくは99.0%以上であり、さらに好ましくは99.9%以上である。
 第1の保護フィルムは、偏光子の保護フィルムとして使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001-343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN-メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
 偏光子が、上記(iii)樹脂基材と当該樹脂基材に塗布されたPVA系樹脂層との積層体を二色性物質で染色および延伸して得られる偏光子である場合、該樹脂基材を偏光子から剥離することなく、第1の保護フィルムとして用いることができる。
 本発明のフィルム積層体は、後述するように代表的には画像表示装置の視認側に配置され、その際、第1の保護フィルムは、その視認側に配置される。したがって、第1の保護フィルムには、必要に応じて、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、アンチグレア処理等の表面処理が施されていてもよい。さらに/あるいは、第1の保護フィルムには、必要に応じて、偏光サングラスを介して視認する場合の視認性を改善する処理(代表的には、(楕)円偏光機能を付与すること、超高位相差を付与すること)が施されていてもよい。このような処理を施すことにより、偏光サングラス等の偏光レンズを介して表示画面を視認した場合でも、優れた視認性を実現することができる。したがって、本発明のフィルム積層体は、屋外で用いられ得る画像表示装置にも好適に適用され得る。
 第1の保護フィルムの厚みは、好ましくは10μm~200μm、より好ましくは20μm~100μm、さらに好ましくは25μm~95μmである。
 第2の保護フィルムは、光学的に等方性であり得る。あるいは、第2の保護フィルムは、複屈折を有し、光学的に異方性であってもよい。光学的に異方性である第2の保護フィルムは、光学補償機能を発揮し得る位相差フィルムであり得る。第2の保護フィルムの材料および厚み等は、第1の保護フィルムに関して説明したとおりである。また、第2の保護フィルムが光学補償機能を発揮し得る位相差フィルムである場合、その光学特性(屈折率楕円体、位相差等)および偏光子との軸関係は、後述する任意の構成要素である位相差フィルムに関して説明するとおりである。なお、第2の保護フィルムが光学補償機能を発揮し得る位相差フィルムである実施形態は、偏光板が位相差フィルムを含む実施形態に包含される。
 上記第2の保護フィルムの偏光子と反対側に設けられ得る位相差フィルムは、目的等に応じて、所望の屈折率楕円体および位相差を有するように作製される。
 1つの実施形態において、上記位相差フィルムは、λ/2板として機能し得る。該実施形態において、位相差フィルムの面内位相差Re(550)は、180nm~320nmであり、より好ましくは200nm~290nmであり、さらに好ましくは230nm~280nmである。位相差フィルムは、代表的にはnx>ny=nzまたはnx>ny>nzの屈折率楕円体を有し、そのNz係数は、例えば0.9~2であり、好ましくは1~1.5であり、より好ましくは1~1.3である。
 上記位相差フィルムは、位相差値が測定光の波長に応じて大きくなる逆分散波長特性を示してもよく、位相差値が測定光の波長に応じて小さくなる正の波長分散特性を示してもよく、位相差値が測定光の波長によってもほとんど変化しないフラットな波長分散特性を示してもよい。フラットな波長分散特性を示すことが好ましい。フラットな波長分散特性を有するλ/2板(位相差フィルム)を採用することにより、優れた反射防止特性および斜め方向の反射色相を実現することができる。位相差フィルムのRe(450)/Re(550)は好ましくは0.99~1.07であり、Re(650)/Re(550)は好ましくは0.98~1.07である。
 上記位相差フィルムは、任意の適切な樹脂をフィルム成形し、必要に応じて延伸することによって作成され得る。樹脂としては、好ましくは環状オレフィン系樹脂が用いられ得る。延伸方法としては、上記B-1.項に記載の方法が用いられ得る。
 別の実施形態において、上記位相差フィルムは、nz>nx=nyの屈折率楕円体を有するポジティブCプレートであり得る。ここで、「nx=ny」は、nxとnyが厳密に等しい場合のみならず、nxとnyが実質的に等しい場合も包含する。すなわち、Reが10nm未満であることをいう。当該フィルムの厚み方向の位相差Rthは、例えば-20nm~-200nm、さらに好ましくは-40nm~-180nm、特に好ましくは-40nm~-160nmである。
 上記位相差フィルムの具体例としては、ホメオトロピック配向に固定(固化または硬化)された液晶材料から形成されるフィルム(ホメオトロピック配向液晶フィルム)が挙げられる。このようなフィルムを用いれば、画像表示装置に用いた場合に、斜め方向から視認した場合の色味向上、ならびに、反射防止特性向上に寄与し得るフィルム積層体を得ることができる。本明細書において、「ホメオトロピック配向」とは、液晶材料(液晶化合物)の長軸方向が、偏光子の主面に対して90°±30°である配向状態をいう。言い換えれば、「ホメオトロピック配向」は、純粋な垂直配向のみならず、所定の傾斜配向を包含する。なお、傾斜配向のチルト角は、例えば、Journal  of  Applied  Physics,  Vol.  38  (1999),  P.748に記載の手順で求めることができる。
 上記ホメオトロピック配向を形成し得る液晶材料(液晶化合物)は、液晶モノマーであっても液晶ポリマーであってもよい。代表的な液晶化合物としては、例えば、ネマチック液晶化合物が挙げられる。このような液晶化合物の配向技術に関する概説は、例えば、化学総説44(表面の改質、日本化学会編、156~163頁)に記載されている。
 上記ホメオトロピック配向に固定された液晶材料を含むフィルムの詳細は、例えば特開2008-216782号公報に記載されている。当該公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
 上記ホメオトロピック配向に固定された液晶材料を含むフィルムは、例えば、基材上に液晶材料(液晶化合物)を含む液晶性組成物を塗工し、これらが液晶相を呈する状態においてホメオトロピック配向させ、その配向を維持した状態で硬化処理を施すことにより形成され得る。得られたフィルムは、代表的には、基材から剥離されて、第2の保護フィルムに転写される。
 上記位相差フィルムの厚みは、形成材料、目的等に応じて任意の適切な値に設定され得る。具体的には、λ/2板として機能する位相差フィルムの厚みは、好ましくは10μm~60μmであり、より好ましくは30μm~50μmである。また、ポジティブCプレートである位相差フィルムの厚みは、好ましくは0.5μm~60μmであり、さらに好ましくは0.5μm~50μmであり、最も好ましくは0.5μm~40μmである。
 偏光板は、代表的には、各層を任意の適切な粘着剤層または接着剤層を介して貼り合わせることによって得られ得る。
E.接着層
 接着層としては、本発明の効果を損なわない限りにおいて、任意の適切な接着層を用いることができる。なかでも、40℃、92%R.H.における透湿度が100g/(m・day)以下である接着層が好ましく用いられる。接着層の透湿度を上記値以下に制御することにより、吸湿に伴うフィルム基材の変形、例えば収縮をより一層抑制することができ、結果として、該変形に伴って導電層にクラックが生じるのをより好適に防止することができる。ここで、「透湿度」は、接着層の40℃、92%R.H.条件下での水蒸気透過率(透湿度)を意味する。また、「接着層」とは、接着剤層または粘着剤層のことをいう。
 上記偏光板と導電層付フィルム基材との間に介在する接着層と、導電層付フィルム基材と低透湿性基材との間に介在する接着層とは、同一の接着層であってもよく、異なる接着層であってもよい。好ましくは、いずれか一方の接着層が、上記透湿度を充足し、より好ましくは両方の接着層が上記透湿度を充足する。
 接着層の40℃、92%R.H.における透湿度は、より好ましくは50g/(m・day)以下、さらに好ましくは40g/(m・day)以下、さらにより好ましくは30g/(m・day)以下、さらにより好ましくは20g/(m・day)以下である。透湿度は、理想的には、水蒸気を全く透過させないこと(すなわち、0g/(m・day))が好ましい。
E-1.接着剤層
 接着剤層としては、任意の適切な接着剤組成物からなる層が採用され得る。このような接着剤組成物としては、例えば、天然ゴム接着剤組成物、α-オレフィン系接着剤組成物、ウレタン樹脂系接着剤組成物、エチレン-酢酸ビニル樹脂エマルション接着剤組成物、エチレン-酢酸ビニル樹脂系ホットメルト接着剤組成物、エポキシ樹脂系接着剤組成物、塩化ビニル樹脂溶剤系接着剤組成物、クロロプレンゴム系接着剤組成物、シアノアクリレート系接着剤組成物、シリコーン系接着剤組成物、スチレン-ブタジエンゴム溶剤系接着剤組成物、ニトリルゴム系接着剤組成物、ニトロセルロース系接着剤組成物、反応性ホットメルト接着剤組成物、フェノール樹脂系接着剤組成物、変性シリコーン系接着剤組成物、ポリエステル系ホットメルト接着剤組成物、ポリアミド樹脂ホットメルト接着剤組成物、ポリイミド系接着剤組成物、ポリウレタン樹脂ホットメルト接着剤組成物、ポリオレフィン樹脂ホットメルト接着剤組成物、ポリ酢酸ビニル樹脂溶剤系接着剤組成物、ポリスチレン樹脂溶剤系接着剤組成物、ポリビニルアルコール系接着剤組成物、ポリビニルピロリドン樹脂系接着剤組成物、ポリビニルブチラール系接着剤組成物、ポリベンズイミダゾール接着剤組成物、ポリメタクリレート樹脂溶剤系接着剤組成物、メラミン樹脂系接着剤組成物、ユリア樹脂系接着剤組成物、レゾルシノール系接着剤組成物等が挙げられる。このような接着剤組成物は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
 接着剤層の厚みは、目的等に応じて任意の適切な厚みが選択され得る。接着剤層の厚みは、例えば0.01~10μm、好ましくは0.05~8μmであり得る。
E-2.粘着剤層
 粘着剤層としては、任意の適切な粘着剤組成物からなる層が採用され得る。粘着剤組成物としては、例えば、ゴム系粘着剤組成物、アクリル系粘着剤組成物、シリコーン系粘着剤組成物、ウレタン系粘着剤組成物、ビニルアルキルエーテル系粘着剤組成物、ポリビニルアルコール系粘着剤組成物、ポリビニルピロリドン系粘着剤組成物、ポリアクリルアミド系粘着剤組成物、セルロース系粘着剤組成物等を挙げることができるが、これらの中でも、上記透湿度を充足する観点から、ゴム系粘着剤組成物であることが好ましい。
 ゴム系粘着剤組成物は、好ましくは室温付近の温度域においてゴム弾性を示すゴム系ポリマーをベースポリマーとして含む。ゴム系ポリマーの具体例としては、スチレン系熱可塑性エラストマー、イソブチレン系ポリマー等を挙げることができる。これらは、各々単独で、または、組み合わせて使用することができる。
 スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS、SISの水添物)、スチレン-エチレン-プロピレンブロック共重合体(SEP、スチレン-イソプレンブロック共重合体の水添物)、スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)等のスチレン系ブロックコポリマー等が挙げられる。
 イソブチレン系ポリマーとしては、イソブチレンの単独重合体であるポリイソブチレン(PIB)、イソブチレンとノルマルブチレンとの共重合体、イソブチレンとイソプレンとの共重合体(例えば、レギュラーブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、部分架橋ブチルゴム等のブチルゴム類)、これらの加硫物や変性物(例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の官能基で変性したもの)等が挙げられる。なかでも、耐候性の観点から、ポリイソブチレン(PIB)を用いることが好ましい。ポリイソブチレンは、主鎖の中に二重結合を含まないため、耐光性が優れる。
 上記ポリイソブチレンとしては、例えば、BASF社製のOPPANOL等の市販品を用いることができる。
 上記ポリイソブチレンの重量平均分子量(Mw)は、10万以上であることが好ましく、30万以上であることがより好ましく、60万以上であることがさらに好ましく、70万以上であることが特に好ましい。また、重量平均分子量の上限値は、例えば500万以下であり、300万以下が好ましく、200万以下がより好ましい。上記ポリイソブチレンの重量平均分子量を10万以上とすることで高温保管時の耐久性がより優れるゴム系粘着剤組成物とすることができる。
 ゴム系粘着剤組成物の全固形分中におけるゴム系ポリマーの含有量は、50重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらにより好ましく、80重量%以上であることがさらにより好ましく、85重量%以上であることがさらにより好ましく、90重量%以上であることが特に好ましい。ゴム系ポリマーの含有量の上限は、例えば99重量%以下であり、好ましくは98重量%以下である。スチレン系熱可塑性エラストマーおよびイソブチレン系ポリマーに代表されるゴム系ポリマーを上記範囲で含むことで、優れた低透湿性が得られ得る。
 ゴム系粘着剤組成物は、上記スチレン系熱可塑性エラストマーおよびイソブチレン系ポリマー以外のポリマー、エラストマー等をさらに含むこともできる。具体例としては、ブチルゴム(IIR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、EPR(二元系エチレン-プロピレンゴム)、EPT(三元系エチレン-プロピレンゴム)、アクリルゴム、ウレタンゴム、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリプロピレンとEPT(三元系エチレン-プロピレンゴム)とのポリマーブレンド等のブレンド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらは、本発明の効果を損なわない範囲で用いることができ、その配合量は、スチレン系熱可塑性エラストマーおよび/またはイソブチレン系ポリマーの合計100重量部に対して0重量部~10重量部であり得る。
 ゴム系ポリマーとしてポリイソブチレンを用いる場合、粘着剤組成物は、水素引抜型光重合開始剤をさらに含むことが好ましい。水素引抜型光重合開始剤とは、活性エネルギー線を照射することで、開始剤自身は開裂することなく、ポリイソブチレンより水素を引き抜き、ポリイソブチレンに反応点を作ることができるものである。当該反応点形成により、ポリイソブチレンの架橋反応を開始することができる。
 光重合開始剤としては、上記水素引抜型光重合開始剤の他に、活性エネルギー線の照射により、光重合開始剤自身が開裂分解してラジカルを発生させる開裂型光重合開始剤も知られている。しかしながら、ポリイソブチレンに、開裂型光重合開始剤を用いると、ラジカルが発生した光重合開始剤によりポリイソブチレンの主鎖が切断されてしまい、架橋することができないものである。これに対し、水素引抜型光重合開始剤を用いることで、上述の通りポリイソブチレンの架橋をすることができる。
 水素引抜型光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル-4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、4,4’-ジクロルベンゾフェノン、4,4’-ジメチルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアンスラキノン、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン等;アセトナフトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等の芳香族ケトン化合物;テレフタルアルデヒド等の芳香族アルデヒド、メチルアントラキノン等のキノン系芳香族化合物が挙げられる。これらは1種単独で、又は、2種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、反応性の点から、ベンゾフェノン系化合物が好ましく、ベンゾフェノンがより好ましい。
 水素引抜型光重合開始剤の含有量は、ポリイソブチレン100重量部に対して、0.001~10重量部であることが好ましく、0.005~10重量部であることがより好ましく、0.01~10重量部であることがさらに好ましい。水素引抜型光重合開始剤を上記範囲で含むことで、架橋反応を目的の密度まで進行させることができる。
 ゴム系粘着剤組成物は、さらに多官能ラジカル重合性化合物を含むことができる。多官能ラジカル重合性化合物はポリイソブチレンの架橋剤として機能し得る。
 多官能ラジカル重合性化合物は、(メタ)アクリロイル基又はビニル基等の不飽和二重結合を有するラジカル重合性の官能基を少なくも2つ有する化合物である。多官能ラジカル重合性化合物の具体例としては、例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2-エチル-2-ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオぺンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物、9,9-ビス[4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン等を挙げることができる。これらを1種単独で、又は2種以上の混合物として用いることができる。これらの中でも、ポリイソブチレンに対する相溶性の観点から、(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物が好ましく、(メタ)アクリロイル基を2つ有する2官能(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基を3つ以上有する3官能(メタ)アクリレートがより好ましく、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
 多官能ラジカル重合性化合物の含有量は、ポリイソブチレン100重量部に対して20重量部以下であることが好ましく、15重量部以下であることがより好ましく、10重量部以下であることがさらに好ましい。また、多官能ラジカル重合性化合物の含有量の下限値は特に限定されるものではないが、例えば、前記ポリイソブチレン100重量部に対して0.1重量部以上であることが好ましく、0.5重量部以上であることがより好ましく、1重量部以上であることがさらに好ましい。多官能ラジカル重合性化合物の含有量が前記範囲にあることで、得られたゴム系粘着剤層の耐久性の観点から好ましい。
 多官能ラジカル重合性化合物の分子量は、例えば、1000以下程度であることが好ましく、500以下程度であることがより好ましい。
 ゴム系粘着剤組成物は、テルペン骨格を含む粘着付与剤、ロジン骨格を含む粘着付与剤、及びこれらの水添物からなる群から選択される少なくとも1種の粘着付与剤を含むことができる。ゴム系粘着剤組成物が粘着付与剤を含むことで、各種被着体に対して高い接着性を有し、かつ、高温環境下においても高い耐久性を有するゴム系粘着剤層を形成することができる。
 テルペン骨格を含む粘着付与剤としては、例えば、α-ピネン重合体、β-ピネン重合体、ジペンテン重合体等のテルペン重合体や、前記テルペン重合体を変性(フェノール変性、スチレン変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性等)した変性テルペン樹脂等が挙げられる。上記変性テルペン樹脂の例には、テルペンフェノール樹脂、スチレン変性テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂(水素化テルペン樹脂)等が含まれる。ここでいう水素添加テルペン樹脂の例には、テルペン重合体の水素化物及び他の変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂の水素添加物が含まれる。これらの中でも、ゴム系粘着剤組成物への相溶性や粘着特性の観点から、テルペンフェノール樹脂の水素添加物が好ましい。
 粘着特性の観点から、粘着付与剤がシクロヘキサノール骨格を含むことが好ましい。フェノール骨格に比べてシクロヘキサノール骨格は、上記ベースポリマー、特にポリイソブチレンとの相溶性のバランスに優れ得る。シクロヘキサノール骨格を含む粘着付与剤としては、例えば、テルペンフェノール樹脂、ロジンフェノール樹脂等の水添物が好ましく、テルペンフェノール樹脂、ロジンフェノール樹脂等の完全水素添加物がより好ましい。
 粘着付与剤の添加量は、ポリイソブチレン等のベースポリマー100重量部に対して、40重量部以下であることが好ましく、30重量部以下であることがより好ましく、20重量部以下であることがさらに好ましい。また、粘着付与剤の添加量は、例えば0.1重量部以上、好ましくは1重量部以上、より好ましくは5重量部以上である。粘着付与剤の添加量を上記範囲にすることで、粘着特性を向上できる。粘着付与剤の添加量が上記範囲を超えて多量添加となると、粘着剤組成物の凝集力が低下してしまう傾向がある。
 ゴム系粘着剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、希釈剤(例えば、トルエン、キシレン、n-ヘプタン、ジメチルエーテル等の有機溶媒)、軟化剤、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート、エポキシ化合物、アルキルエーテル化メラミン化合物等)、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤等の任意の適切な添加剤を添加することができる。添加剤の種類、組み合わせ、添加量等は、目的に応じて適切に設定され得る。
 粘着剤層は、例えば、セパレーター等の任意の適切な樹脂フィルムに上記粘着剤組成物を塗布し、必要に応じて、乾燥(加熱乾燥)、活性エネルギー線の照射等を行うことによって作製される。塗布方法、乾燥条件、活性エネルギー線照射条件等は、ゴム系粘着剤組成物の組成等に応じて、適切な方法または条件を選択することができる。
 粘着剤層は、例えば、セパレーター上に形成されてから導電層付フィルム基材に貼り合わせられてもよく、導電層付フィルム基材上に直接形成されてもよい。粘着剤層は、使用時までセパレーターによってその露出面を保護され得る。
 粘着剤層の厚みは、目的等に応じて適切な値に設定され得る。該厚みは、250μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、55μm以下であることがさらに好ましい。また、該厚みは、耐久性の観点から、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましい。
 粘着剤層のゲル分率は、耐久性と粘着力との両立の観点から、好ましくは10%~98%であり、より好ましくは25%~98%、さらに好ましくは45%~90%である。
F.画像表示装置
 上記フィルム積層体は、画像表示装置に適用され得る。したがって、本発明は、上記フィルム積層体を用いた画像表示装置を包含する。画像表示装置の代表例としては、液晶表示装置、有機EL表示装置が挙げられる。本発明の実施形態による画像表示装置は、その視認側に上記フィルム積層体を備え、フィルム積層体は、導電層が偏光子と表示セルとの間になるように配置される。このようにフィルム積層体を配置することにより、画像表示装置をインナータッチパネル型入力表示装置とすることができる。
 以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各特性の測定方法は以下の通りである。
(1)厚み
 導電層については、透過型電子顕微鏡(日立製作所製「H-7650」)を用いて断面を観察し、測定を行なった。その他基材の厚みは膜厚計(Peacock社製「デジタルダイアルゲージDG-205」)を用いて測定した。
(2)位相差値
 実施例および比較例で用いた樹脂フィルム(位相差フィルム)の屈折率nx、nyおよびnzを、自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製,自動複屈折計KOBRA-WPR)により計測した。面内位相差Reの測定波長は450nmおよび550nmであり、厚み方向位相差Rthの測定波長は550nmであり、測定温度は23℃であった。
(3)光弾性係数
 実施例および比較例で用いた樹脂フィルムを、20mm×100mmのサイズに切り出して試料を作製した。この試料をエリプソメーター(日本分光社製、M-150)により波長550nmの光で測定し、光弾性係数を得た。
(4)還元粘度
 樹脂試料を塩化メチレンに溶解させ、精密に0.6g/dLの濃度の樹脂溶液を調製した。森友理化工業社製ウベローデ型粘度管を用いて、温度20.0℃±0.1℃で測定を行い、溶媒の通過時間t、及び溶液の通過時間tを測定した。得られたt及びtの値を用いて次式(i)により相対粘度ηrelを求め、さらに、得られた相対粘度ηrelを用いて次式(ii)により比粘度ηspを求めた。
  ηrel=t/t  (i)
  ηsp=(η-η)/η=ηrel-1  (ii)
その後、得られた比粘度ηspを濃度c[g/dL]で割って、還元粘度ηsp/cを求めた。
(5)ガラス転移温度
 エスアイアイ・ナノテクノロジー社製示差走査熱量計DSC6220を用いて測定した。約10mgの樹脂試料を同社製アルミパンに入れて密封し、50mL/分の窒素気流下、昇温速度20℃/分で30℃から220℃まで昇温した。3分間温度を保持した後、30℃まで20℃/分の速度で冷却した。30℃で3分保持し、再び220℃まで20℃/分の速度で昇温した。2回目の昇温で得られたDSCデータより、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度である、補外ガラス転移開始温度を求め、それをガラス転移温度とした。
(6)溶融粘度
 ペレット状の樹脂試料を90℃で5時間以上、真空乾燥させた。乾燥したペレットを用いて、(株)東洋精機製作所製キャピラリーレオメーターで測定を行った。測定温度は240℃とし、剪断速度9.12~1824sec-1間で溶融粘度を測定し、91.2sec-1における溶融粘度の値を用いた。尚、オリフィスには、ダイス径がφ1mm×10mmLのものを用いた。
(7)屈折率
 後述の実施例と比較例において作製した未延伸フィルムから、長さ40mm、幅8mmの長方形の試験片を切り出して測定試料とした。589nm(D線)の干渉フィルターを用いて、(株)アタゴ製多波長アッベ屈折率計DR-M4/1550により屈折率nを測定した。測定は界面液としてモノブロモナフタレンを用い、20℃で行った。
(モノマーの合成例)
[合成例1]ビス[9-(2-フェノキシカルボニルエチル)フルオレン-9-イル]メタン(BPFM)の合成
 特開2015-25111号公報に記載の方法で合成した。
[合成例2]6,6’-ジヒドロキシ-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン(SBI)の合成
 特開2014-114281号公報に記載の方法で合成した。
[ポリカーボネート樹脂の合成例、及び特性評価]
以下の実施例、及び比較例で用いた化合物の略号等は以下の通りである。
・BPFM:ビス[9-(2-フェノキシカルボニルエチル)フルオレン-9-イル]メタン
・BCF:9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製)
・BHEPF:9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製)
・ISB:イソソルビド(ロケットフルーレ社製、商品名:POLYSORB)
・SBI:6,6’-ジヒドロキシ-3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインダン
・SPG:スピログリコール(三菱ガス化学(株)製)
・PEG:ポリエチレングリコール 数平均分子量:1000(三洋化成(株)製)
・DPC:ジフェニルカーボネート(三菱化学(株)製)
[実施例1]
1-1.導電層付フィルム基材の作製
 SBI 6.04重量部(0.020mol)、ISB 59.58重量部(0.408mol)、BPFM 34.96重量部(0.055mol)、DPC 79.39重量部(0.371mol)、及び触媒として酢酸カルシウム1水和物7.53×10-4重量部(4.27×10-6mol)を反応容器に投入し、反応装置内を減圧窒素置換した。窒素雰囲気下、150℃で約10分間、攪拌しながら原料を溶解させた。反応1段目の工程として220℃まで30分かけて昇温し、60分間常圧にて反応した。次いで圧力を常圧から13.3kPaまで90分かけて減圧し、13.3kPaで30分間保持し、発生するフェノールを反応系外へ抜き出した。次いで反応2段目の工程として熱媒温度を15分かけて245℃まで昇温しながら、圧力を0.10kPa以下まで15分かけて減圧し、発生するフェノールを反応系外へ抜き出した。所定の撹拌トルクに到達後、窒素で常圧まで復圧して反応を停止し、生成したポリエステルカーボネート樹脂を水中に押し出し、ストランドをカッティングしてペレットを得た。得られた樹脂の還元粘度は0.375dL/g、ガラス転移温度は165℃、溶融粘度は5070Pa・s、屈折率は1.5454、光弾性係数は14×10-12/Nであった。
 100℃で5時間以上、真空乾燥をした樹脂ペレットを、いすず化工機(株)製単軸押出機(スクリュー径25mm、シリンダー設定温度:255℃)を用い、Tダイ(幅200mm、設定温度:250℃)から押し出した。押し出したフィルムを、チルロール(設定温度:155℃)により冷却しつつ巻取機でロール状にし、未延伸フィルムを100μm厚のフィルムを作製した。上記のようにして得られたポリカーボネート樹脂フィルムを、120mm×150mmの長方形の試験片を安全カミソリで切り出し、バッチ式二軸延伸装置(ブルックナー社製)で、長手方向に延伸温度161℃、延伸速度5mm/secで1×1.25倍の一軸延伸を行った。
 以上のようにして得られた樹脂フィルム(厚み89μm)をフィルム基材として用いた。得られた樹脂フィルムのRe(550)は130nm、Rth(550)は130nmであり、nx>ny=nzの屈折率特性を示した。また、得られた樹脂フィルムのRe(450)/Re(550)は0.86であった。樹脂フィルムの遅相軸方向は、長手方向に対して0°であった。また、得られた樹脂フィルムを85℃、85%R.H.環境下に曝露した際の変形量は、遅相軸方向へ0.35%の収縮および進相軸方向へ0.16%の膨張であった。
 上記樹脂フィルム(位相差フィルム)表面に、インジウム-スズ複合酸化物からなる透明導電層(厚み25nm)をスパッタリングにより形成し、樹脂フィルム(位相差フィルム)/導電層の積層構造を有する導電層付フィルム基材を作製した。具体的な手順は以下のとおりである:ArおよびO(流量比はAr:O=99.9:0.1)を導入した真空雰囲気下(0.40Pa)で、10重量%の酸化スズと90重量%の酸化インジウムとの焼結体をターゲットとして用いて、フィルム温度を130℃とし、水平磁場を100mTとするRF重畳DCマグネトロンスパッタリング法(放電電圧150V、RF周波数13.56MHz、DC電力に対するRF電力の比(RF電力/DC電力)は0.8)を用いた。得られた透明導電層を150℃温風オーブンにて加熱して結晶転化処理を行った。
1-2.偏光板の作製
 厚み30μmのポリビニルアルコール(PVA)系樹脂フィルム(クラレ製、製品名「PE3000」)の長尺ロールを、ロール延伸機により長手方向に5.9倍になるように長手方向に一軸延伸しながら同時に膨潤、染色、架橋、洗浄処理を施し、最後に乾燥処理を施すことにより厚み12μmの偏光子を作製した。
 具体的には、膨潤処理は20℃の純水で処理しながら2.2倍に延伸した。次いで、染色処理は得られる偏光子の単体透過率が45.0%になるようにヨウ素濃度が調整されたヨウ素とヨウ化カリウムの重量比が1:7である30℃の水溶液中において処理しながら1.4倍に延伸した。更に、架橋処理は、2段階の架橋処理を採用し、1段階目の架橋処理は40℃のホウ酸とヨウ化カリウムを溶解した水溶液において処理しながら1.2倍に延伸した。1段階目の架橋処理の水溶液のホウ酸含有量は5.0重量%で、ヨウ化カリウム含有量は3.0重量%とした。2段階目の架橋処理は65℃のホウ酸とヨウ化カリウムを溶解した水溶液において処理しながら1.6倍に延伸した。2段階目の架橋処理の水溶液のホウ酸含有量は4.3重量%で、ヨウ化カリウム含有量は5.0重量%とした。また、洗浄処理は、20℃のヨウ化カリウム水溶液で処理した。洗浄処理の水溶液のヨウ化カリウム含有量は2.6重量%とした。最後に、乾燥処理は70℃で5分間乾燥させて偏光子を得た。
 上記偏光子の片側に、ポリビニルアルコール系接着剤を介して、TACフィルムを貼り合わせ、保護フィルム/偏光子の構成を有する偏光板を得た。
1-3.低透湿性基材の作製
 市販のCOPフィルム(日本ゼオン株式会社製、商品名「ゼオノア」、厚み40μm)を支持基材として、Al、SiOおよびZnOを含むスパッタリングターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタリング法により基材上に第1の酸化物層(厚み30nm)を形成した。次に、Siターゲットを用いて、基材/第1の酸化物層の積層体の第1の酸化物層上に第2の酸化物層(50nm)を形成した。このようにして、支持基材/第1の酸化物層(AZO)/第2の酸化物層(SiO)の構成を有する低透湿性基材を作製した。得られた低透湿性基材の透湿度は0.01g/(m・day)であった。なお、透湿度は以下の測定方法によって測定した。
<低透湿性基材の透湿度の測定>
 低透湿性基材を10cmΦの円状に切り出し、測定試料とした。この測定試料について、MOCON社製水蒸気透過試験機「PREMATRAN-W 3/33」を用い、JIS K7129Bに準じた試験方法で、40℃、92%R.H.における透湿度を測定した。
1-4.アクリル系粘着剤層の作製
 温度計、攪拌機、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに、モノマー成分として、ブチルアクリレート(BA)99重量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)1重量部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.2重量部及び重合溶媒として酢酸エチルを固形分が20%になるように投入した後、窒素ガスを流し、攪拌しながら約1時間窒素置換を行った。その後、60℃にフラスコを加熱し、7時間反応させて重量平均分子量(Mw)110万のアクリル系ポリマーを得た。上記アクリル系ポリマー溶液(固形分100重量部)に、イソシアネート系架橋剤としてトリメチロールプロパントリレンジイソシアネート(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン工業(株)製)0.8重量部、シランカップリング剤(商品名:KBM-403、信越化学(株)製)0.1重量部を加えてアクリル系粘着剤組成物を調製した。
 得られたアクリル系粘着剤組成物(溶液)を、片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイルMRF、三菱樹脂(株)製)の剥離処理面に塗布して塗布層を形成し、120℃で3分乾燥させた。該塗布層表面に、上記片面をシリコーンで剥離処理した厚み38μmのポリエステルフィルム(商品名:ダイアホイルMRF、三菱樹脂(株)製)を、剥離処理面と塗布層表面とが接するように貼り合せて、セパレーター/アクリル系粘着剤層(厚み50μm)/セパレーターからなる粘着シートを得た。得られたアクリル系粘着剤層の透湿度は、1000g/(m・day)以上であった。透湿度の測定方法は、以下のとおりである。
<粘着剤層の透湿度の測定>
 得られた粘着シート(粘着剤層の厚み:50μm)の一方の剥離ライナーを剥がして露出した粘着面に、トリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム、厚み:25μm、コニカミノルタ(株)製)に貼り合わせた。その後、他方の剥離ライナーを剥がして、測定用サンプルを得た。次に、この測定用サンプルを用いて、下記条件で、透湿度試験方法(カップ法、JIS Z 0208に準じる)により、透湿度(水蒸気透過率)を測定した。
  測定温度:40℃
  相対湿度:92%
  測定時間:24時間
  測定の際には、恒温恒湿槽を使用した。
1-5.フィルム積層体の作製
 上記偏光板の偏光子面に上記アクリル系粘着剤層を転写し、該アクリル系粘着剤層を介して、上記導電層付フィルム基材を貼り合わせた。このとき、樹脂フィルム(位相差フィルム)の遅相軸と偏光子の吸収軸が45度の角度をなすように、かつ、偏光子の吸収軸が長手方向に平行となるように配置した。また、偏光子面と樹脂フィルム面とが対向するように貼り合わせた。
 次いで、得られた積層体の導電層面に上記アクリル系粘着剤層を転写し、該アクリル系粘着剤層を介して、上記低透湿性基材を貼り合わせた。このとき、支持基材面と導電層面とが対向するように貼り合わせた。このようにして、[保護フィルム/偏光子/アクリル系粘着剤層/樹脂フィルム(位相差フィルム)/導電層/アクリル系粘着剤層/低透湿性基材]の構成を有するフィルム積層体を得た。
[比較例1]
 低透湿性基材の代わりに、市販のシクロオレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン株式会社製、商品名「ゼオノア」、厚み40μm)をそのまま用いたこと以外は実施例1と同様にして、[保護フィルム/偏光子/アクリル系粘着剤層/樹脂フィルム(位相差フィルム)/導電層/アクリル系粘着剤層/COP基材]の構成を有するフィルム積層体を得た。実施例1と同様に透湿度を測定したところ、該シクロオレフィン系樹脂フィルムの透湿度は、10g/(m・day)であった。
[比較例2]
 低透湿性基材の代わりに、市販のポリイミド系樹脂フィルム(株式会社アイ・エス・テイ社製、商品名「トーメッド」、厚み25μm)をそのまま用いたこと以外は実施例1と同様にして、[保護フィルム/偏光子/アクリル系粘着剤層/樹脂フィルム(位相差フィルム)/導電層/アクリル系粘着剤層/ポリイミド基材]の構成を有するフィルム積層体を得た。MOCON社製「PERMTRAN」を用いたこと以外は実施例1と同様に透湿度を測定したところ、該ポリイミド系樹脂フィルムの透湿度は、100g/(m・day)であった。
 上記実施例および比較例で得られたフィルム積層体を耐久性試験に供した。結果を表1に示す。
 <耐久性試験>
 実施例及び比較例で得られたフィルム積層体を所定のサイズの四角形に切り出し、偏光板側にアクリル系粘着剤層(実施例1で作製したアクリル系粘着剤層)を介してカバーガラス(松浪硝子工業社製、商品名「マイクロスライドグラス」、厚み1.3μm)を積層して試験片とした。該試験片を、85℃、85%R.H.の環境下に投入し、240時間経過後に取り出して、導電層におけるクラック発生の有無を、レーザー顕微鏡(Keyence社製、「VK-X200」)を用いて確認した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011
 表1から明らかなとおり、実施例のフィルム積層体においては、クラックが発生しておらず、優れた耐久性を有することがわかる。一方、比較例のフィルム積層体においては、クラックが発生しており、耐久性に問題があることがわかる。
 本発明のフィルム積層体は、タッチパネル型入力表示装置に好適に用いられる。
10    導電層付フィルム基材
11    フィルム基材
12    導電層
13    樹脂フィルム
14    機能層
20    低透湿性基材
21    支持基材
22    無機薄膜
30    接着層
40    偏光板
100   フィルム積層体
 

Claims (10)

  1.  導電層付フィルム基材と、該導電層付フィルム基材の一方の側に積層された低透湿性基材と、を備える、タッチパネル用フィルム積層体であって、
     該導電層付フィルム基材が、樹脂フィルムを含むフィルム基材と、該フィルム基材の少なくとも一方の面に直接設けられた導電層とを有し、
     該低透湿性基材の40℃、92%R.H.における透湿度が、1.0g/(m・day)以下である、
     タッチパネル用フィルム積層体。
  2.  前記低透湿性基材が、支持基材と、該支持基材の一方の側に設けられた無機薄膜と、を備える、
     請求項1に記載のタッチパネル用フィルム積層体。
  3.  前記無機薄膜が、酸化物、窒化物、水素化物およびその複合化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の無機化合物を含む、
     請求項2に記載のタッチパネル用フィルム積層体。
  4.  前記フィルム基材が、85℃、85%R.H.環境下で、少なくとも一方向に収縮する、
     請求項1から3のいずれかに記載のタッチパネル用フィルム積層体。
  5.  前記樹脂フィルムの面内位相差Re(550)が、100nm~180nmである、
     請求項1から4のいずれかに記載のタッチパネル用フィルム積層体。
  6.  前記フィルム基材が、前記樹脂フィルムの少なくとも一方の面に設けられた機能層をさらに含み、
     前記導電層が、前記フィルム基材の該機能層上に直接設けられている、
     請求項1から5のいずれかに記載のタッチパネル用フィルム積層体。
  7.  偏光板をさらに含む、
     請求項1から6のいずれかに記載のタッチパネル用フィルム積層体。
  8.  前記偏光板、前記導電層付フィルム基材および前記低透湿性基材が、接着層を介して、視認側からこの順に積層されている、
     請求項7に記載のタッチパネル用フィルム積層体。
  9.  前記偏光板と前記導電層付フィルム基材との間に介在する接着層および前記導電層付フィルム基材と前記低透湿性基材との間に介在する接着層のいずれか一方または両方の40℃、92%R.H.における透湿度が、100g/(m・day)以下である、
     請求項8に記載のタッチパネル用フィルム積層体。
  10.  前記偏光板が、偏光子と位相差フィルムとを含む、
     請求項7から9のいずれかに記載のタッチパネル用フィルム積層体。
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