WO2018117258A1 - 蓄冷材及びその製造方法、蓄冷器並びに冷凍機 - Google Patents

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Abstract

充填率を向上させることができ、しかも、適切な範囲の充填率を有しているので蓄冷器における冷媒ガスの圧力損失を抑制しやすい蓄冷材及びその製造方法を提供する。 本発明の蓄冷材は、希土類元素を含む粒子の焼結体を含み、前記焼結体の空隙率が30~40%である。本発明の蓄冷材の製造方法は、希土類元素を含む原料粒子を焼結する工程を具備し、前記原料粒子は、D50が100~320μmであり、D90/D10が1.5~2.5である(ただし、D10、D50、D90はそれぞれ粒度分布曲線の全粒子数の10%目、50%目、90%目に該当する平均粒子径である)。

Description

蓄冷材及びその製造方法、蓄冷器並びに冷凍機
 本発明は、蓄冷材及びその製造方法、蓄冷器並びに冷凍機に関する。
 現在、医療分野で断層写真を撮影する超電導MRI(核磁気共鳴イメージング)装置、磁気浮上列車、超電導電力貯蔵装置(SMES)等において超電導磁石が実用化され又は実用化への応用が進められている。ここで、超電導磁石は、液体ヘリウム(He)の沸点である4.2K(約-269℃)の極低温に冷却されなければならないところ、液体ヘリウムは高価であるとともに取扱いに高度な技術を必要とするため、液体ヘリウムに代わる冷却手段として、高性能な小型冷凍機の開発が行われている。実用化されている小型冷凍機としては、例えば、ギブフォード・マクマホン型の小型ヘリウム冷凍機(いわゆるGM冷凍機)が知られている。
 このような冷凍機では、蓄冷器内に蓄冷材が充填されており、この蓄冷材により、冷凍機の極低温領域の冷凍機能が発揮されている。蓄冷材としては、従来、Cu又はPbなどが主に用いられてきたが、近年では、さらなる極低温を実現させるべく、HoCuなどのように希土類元素を有する蓄冷材が使用されている。蓄冷材は粒状に形成されている。この粒状の蓄冷材が蓄冷器内に充填され、該蓄冷材を、圧縮された冷媒ガス(例えば、ヘリウムガス)が通過しながら冷媒ガスが膨張し、蓄冷材と熱交換することにより蓄冷材が冷却する、というサイクルを重ねることにより極低温状態が実現される。
 冷凍機においては、冷媒ガス(例えば、ヘリウムガス)の圧力振動、各種応力及び衝撃力等によって蓄冷材が損傷し、これによって、冷媒ガスの圧力損失が生じるため、熱交換効率が低下する等の問題がある。このような問題を防止すべく、最近では、蓄冷性能がさらに高められた蓄冷材の開発が盛んに行われている。例えば、特許文献1には、蓄冷材の粒子径及び形状を調節することで、蓄冷材の微粉化を防止して耐熱衝撃性等を向上させ、これにより、低温度域において高い冷凍能力を発揮させる技術が開示されている。
特開2010-77447号公報
 蓄冷材を用いた冷凍機の高性能化の手段としては、蓄冷材充填部(蓄冷材が充填される部分をいう)の所定温度における熱容量の向上とともに、蓄冷材と冷媒との熱交換性の向上が挙げられる。本願発明者らは、圧縮された冷媒が蓄冷材を通過する時に、適切に膨張して効率よく蓄冷材を冷却するためには、冷媒が蓄冷材充填部を通過するために必要な通気抵抗(すなわち冷媒通過時の圧力損失)を適切な値にすること、また、蓄冷材と冷媒との熱交換面積(比表面積)を大きくすること、が重要であることを見出している。蓄冷材充填部には適度な連通状の流路を持たせる必要が有り、空間占有率が高い蓄冷材充填部は望ましくない。その反面、蓄冷材充填部の高熱容量化には、所定温度で高い比熱を有する材料を用いるとともに、より多くの蓄冷材を充填すること、すなわち蓄冷材を高い空間占有率で充填することも重要となる。
 特許文献1に開示のような粒状の蓄冷材を充填させる場合、充填率を一定以上に高くすることが難しい。また、粒子径の大きい蓄冷材を用いた場合では比表面積が低下し、これによる圧損の低下が起こることから、所定の熱交換性能を確保することが難しい。このため、冷媒ガスの通気性が高くなり過ぎて冷媒ガスの冷却作用が発揮される前に蓄冷材を通過してしまい、冷凍機を所望の極低温領域に到達させられないという課題があった。例えば粒径200μm程度の球状の蓄冷材を用いることにより、圧力損失は適正化できるが、蓄冷材の充填率は向上せず、やはり蓄熱材充填部の能力向上を図れないという課題があった。
 この点、例えば、粒状の蓄冷材にさらに微細粉末を併用して、蓄冷材の充填率を高めることが考えられるが、この場合、微細粉末による流路閉塞が起こることがあり、また、微細粉末が吹き出してバルブによる噛み込みが原因で冷凍機の動作不良が起こるおそれがあり、充填率も所望の範囲に制御しにくいという問題がある。しかも、微細粉末を含む蓄冷材を得るための粒度分布の調節が難しいため、生産性の低下も課題である。さらに、微細粉末を含む蓄冷材を使用すると、充填率が逆に高くなり過ぎてしまう場合があり、これにより冷媒ガスが通過しにくくなって、所望の冷却性能を発揮しにくくなるという問題もあった。このように、微細粉末を使用して粒度を調整する場合も依然として、所望の極低温領域を実現しにくいという課題が残されていた。
 本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、充填率を向上させることができ、しかも、適切な範囲の充填率を有しているので蓄冷器における冷媒ガスの圧力損失を抑制しやすい蓄冷材及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、前記蓄冷材を備える蓄冷器及び冷凍機を提供することを目的とする。
 本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の粒度分布を有する希土類元素含有粒子の焼結体とすることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
 すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の主題を包含する。
項1
希土類元素を含む粒子の焼結体を含み、前記焼結体の空隙率が30~40%である、蓄冷材。
項2
前記焼結体の少なくとも側面が焼結層で被覆されており、当該焼結層が前記焼結体よりも低い空隙率を有する、項1に記載の蓄冷材。
項3
前記焼結体はテーパー状に形成されている、項1又は2に記載の蓄冷材。
項4
前記希土類元素は、Ho,Er,Dy,Tb,Yb及びGdからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、項1~3のいずれか1項に記載の蓄冷材。
項5
項1~4のいずれか1項に記載の蓄冷材の製造方法において、
希土類元素を含む原料粒子を焼結する工程を具備し、
前記原料粒子は、D50が100~320μmであり、D90/D10が1.5~2.5であり、D10、D50、D90はそれぞれ粒度分布曲線の全粒子数の10%目、50%目、90%目に該当する平均粒子径を表す、製造方法。
項6
項1~4のいずれか1項に記載の蓄冷材を備える。蓄冷器。
項7
項6に記載の蓄冷器を備える、冷凍機。
 本発明の蓄冷材は、蓄冷材充填部への充填率を向上させることができ、しかも、適切な範囲の充填率を有していることで、適度な通気性を有していることから、蓄冷器における冷媒ガスの圧力損失も適正な範囲となる。よって、本発明の蓄冷材は、高い冷凍能力を発揮することができ、この蓄冷材を充填容器に備える冷凍機は高い冷凍能力を発揮することができる。
 本発明の蓄冷材の製造方法は、上記蓄冷材を製造する方法として適した方法である。
本発明の蓄冷材の実施形態の一例を示し、その断面を示す電子顕微鏡画像である。 各種材料の比熱(J/K・cm)と温度(K)との関係を示すグラフである。 本発明の蓄冷材の他の実施形態を示す概略図である。 本発明の蓄冷材の他の実施形態を示す概略図である。 圧力損失測定に使用した装置の概略図である。
 以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
 1.蓄冷材
 本実施形態の蓄冷材は、希土類元素を含む粒子の焼結体を含み、前記焼結体の空隙率が30~40%である。当該蓄冷材は、所定の空隙率を有する焼結体を構成要素とすることで、例えば、蓄冷器に充填された場合に、充填率を向上させることができ、しかも、適切な範囲の充填率を有していることで、適度な通気性を有していることから、蓄冷器における冷媒ガスの圧力損失も適正な範囲とすることができる。よって、本発明の蓄冷材は、高い冷凍能力を発揮することができ、この蓄冷材を充填容器(蓄冷容器ともいう)に備える冷凍機は高い冷凍能力を発揮することができる。
 図1は、本実施形態の蓄冷材の一例であり、その断面構造の走査型微鏡画像(SEM画像)である。
 前記蓄冷材は、焼結体10を構成要素として有する。図1に示されるように、焼結体10は、焼結部11と空隙部12とを有して形成されている。
 焼結部11は、希土類元素を含む粒子13どうしが焼結によって結合されて形成される。従って、焼結部11は希土類元素を含む。具体的に焼結部11は、希土類元素を含む合金で形成されている。
 希土類元素の種類は特に限定されず、Y及びランタノイド元素を挙げることができる。希土類元素としては、優れた蓄冷効果を発揮しやすくなるという観点から、Ho,Er,Dy,Tb,Yb及びGdからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
 空隙部12は、焼結部11中に形成された空間であり、焼結体10において多数形成されている。
 焼結体10の空隙率は、30~40%である。ここでいう「焼結体の空隙率」とは、焼結体の見かけ体積に対する空隙部12の総体積の割合をいう。焼結体の空隙率は、下記式(1)から算出することができる。
焼結体の空隙率(%)={1-A/(B×C)}×100  (1)
ここで、Aは焼結体の実測重量、Bは焼結体の見かけ体積、Cは焼結体の比重である。焼結体の見かけ体積は、例えば、焼結体の寸法から計測すればよい。
 焼結体10の空隙率が上記範囲であることで、本実施形態の蓄冷材は、高い充填率で蓄冷器に充填され得る。例えば、焼結体10から構成される蓄冷材を、蓄冷器が備える充填容器に充填すると、60~70%の充填率(充填率=100-焼結体の空隙率)をもたらし得るものであり、従来の微細粉末を充填してなる蓄冷材に比べても高い充填率を有することができる。
 なお、焼結体としての空隙率の確認検査の手法の一つに、画像ソフトを用いて断面写真における空隙率確認を用いても良い。
 次に、焼結体10の空隙部12の特徴を説明する。
 蓄冷材の冷却は、蓄冷材に対して圧縮された冷媒が空隙部を通過し、膨張しながら蓄冷材と熱交換することに起因する。このため、空隙部は、冷媒流路として連通していることが好ましい。冷媒が蓄冷材で閉塞されず、通過不能にならないこと、すなわち、非連通の空隙部でないことが熱交換の観点において好ましい。
 非連通である空隙部、あるいは熱交換への寄与が乏しい空隙部であるかどうかは、次のように判定することができる。まず、蓄冷材の重量を比重で割った真の蓄冷材の体積(V1)と、アルキメデス法などで求めた非連通空隙も含む蓄冷材の体積(V2)とを求める。そして、熱交換の観点から(V1):(V2)の比が1:1.2以下、すなわち、V2/V1の値が1.2以下となる場合、焼結体は非連通になりにくく、かつ、空隙部の熱交換への寄与が乏しくなりにくい。よって、(V1):(V2)の比が1:1.2以下となるように、原料の選択や製造条件を選択して焼結体を製造することが好ましい。
 蓄冷材の比熱容量は、充填率と比例関係にあるので、従来のような微細粉末を充填して形成させた蓄冷材に比べると、本実施形態の蓄冷材は比熱容量の値も高い。そのため、本実施形態の蓄冷材では、発生冷熱の脈動を抑えることができ、安定した冷却性能を発揮することができる。
 また、本実施形態の蓄冷材では、充填率の下限及び上限が適切に設定されているので、蓄冷材の過充填による冷媒ガスの通過量の低下、これに伴う冷凍機の性能低下、蓄冷材充填量不足による冷媒ガス速度の上昇、並びにこれに伴う冷媒ガスと蓄冷材の熱交換不足を防ぐことができる。この結果、一サイクル当たりの冷媒と蓄冷材との熱の移動量を増やせる為、冷凍機を所望の温度に到達させやすく、冷凍機の性能を向上できる。
 以上のように、本実施形態の蓄冷材が上記のような優れた冷却性能を有するのは、適度な充填率をもたらし得ることで、冷媒ガスの圧力損失を適切な範囲にすることができるためである。
 焼結体10の空隙率は、30~37%であることが好ましく、30~35%であることが特に好ましい。これらの場合、蓄冷器における圧力損失をさらに適切な範囲にすることができ、冷却性能(蓄冷性能)を向上させることができる。
 焼結体10は、種々の方法によって製造することができる。
 例えば、焼結体10は、希土類元素を含む粒子(以下、「希土類元素を含む原料粒子」又は単に「原料粒子」という)を焼結することで製造することができる。
 前記希土類元素の種類は特に限定されない。希土類元素としては、優れた蓄冷効果を発揮しやすくなるという観点から、Ho,Er,Dy,Tb,Yb及びGdからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
 希土類元素を含む原料粒子は、希土類元素を含む限りは特にその組成は限定されない。例えば、希土類元素を含む粒子は、下記一般式(1)
RM   (1)
(式(1)中、Rは希土類元素から選ばれる少なくとも1種であり、MはNi,Co,Cu,Ag,Al,Ru,In,Ga,Ge,SiおよびRhから選択される少なくとも1種であり、aは原子比で0≦a≦9.0を満足する。)
で表わされる組成を有することができる。
 式(1)中、aが0である場合は、式(1)で表される組成は希土類元素単体であり、aが0を超過する場合は、式(1)で表される組成は金属の複合材料である。
 式(1)で表される材料としては、例えば、HoCu系、ErNi系、ErNi系等を挙げることができる。
 また、希土類元素を含む原料粒子は、下記一般式(2)
 Er1-xNi1+α  (2)
〔式中、xは0<x<1、αは-1<α<1を示す。Rは希土類元素から選ばれる少なくとも一種を示す。〕
で表される化合物であってもよい。
 (1)式及び(2)式において、希土類元素としては、Y及びランタノイド元素(但しErを除く)を挙げることができる。ランタノイド元素としては、具体的にLa(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)及びLu(ルテチウム)が挙げられる。Rは、これらの元素のうちの一種であってもよく、二種以上の複合置換であってもよい。Rは、例えば、Dy、Gd又はDy及びGdの複合置換とすることもできる。
 図2(a)~(d)には、各材料の比熱(J/K・cm)と温度(K)との関係を示している。
 式(2)においてRがDyである化合物においては、ErNiに対して比熱ピークが高温側にシフトすることが分かる(図2(b))。また、Dyの置換量が10モル%、15モル%、25モル%と増加するにつれて比熱ピークが高温側にシフトするとともにピーク形状がファセット状に変化することが分かる。
 式(2)においてRがGdである化合物においては、ErNiに対して、比熱ピークは高温側にシフト(約8K)しているが、
1)明確なファセット状の比熱ピークは認められない、
2)20K以下では鉛より比熱が大きい、
3)比熱ピークより高温側での比熱低下が大きい、
4)9K付近における比熱はHoCuの高温側比熱ピークとほぼ同等の比熱である、等の特徴を有する(図2(c))。
 特に、Erの25モル%をGdに置換した化合物は、ErNiと比べて比熱ピークは大幅に高温側にシフト(ピークは30Kよりも高温側)しているが、
1)それにより、明確なファセット状の比熱ピークは認められない、
2)約23K以下では鉛より比熱が大きい、
3)30K以下での極端な比熱低下は見られない、
4)9K付近における比熱はHoCuの高温側比熱ピークに比べ小さい、
等の特徴を有する(図2(c))。
 式(2)においてRがDy及びGdに置換した化合物(すなわち、ErNiのErの一部をDy及びGdに複合置換した化合物)は、ErNiと比べて比熱ピークが高温側にシフトするとともにピーク形状がファセット状に変化することが分かる(図2(d))。具体的には、
1)10~25K付近にファセット状の比熱ピークを有する、
2)25K以下で鉛より比熱が大きい、
3)比熱ピークより高温側での比熱低下が僅かである、
4)9K付近の比熱はHoCuの比熱に近い、
等の特徴を有する(図2(d))。
 希土類元素を含む原料粒子を形成する材料は、上記式(1)及び式(2)の化合物に限定されず、その他の化合物を使用又は併用することもできる。例えば、希土類元素を含む原料粒子を形成する材料は、2種以上の希土類元素と式(1)におけるMを含む化合物を使用することができ、また、希土類元素を含む酸化物を使用することもでき、あるいは、これらの混合物を使用することもできる。
 なお、原料粒子には、本発明の効果が阻害されない程度であれば、その他の材料が含まれていてもよい。
 希土類元素を含む原料粒子の形状は、例えば、球状であるが、これに限らず、楕円形状であってもよいし、球状又は楕円形状が歪んだいわゆる異形状であってもよい。
 焼結体の比表面積を調整するため、あるいは、圧力損失を調整するには、原料粒子の平均粒子径、および粒度分布を制御することが好ましい。特に、焼結体の比表面積を調整するには、原料粒子のD50を制御することが、圧力損失を調整するには、原料粒子のD90/D10を制御することが有効である。
 ここで、D10、D50、D90はそれぞれ粒度分布曲線の全粒子数の10%目、50%目、90%目に該当する平均粒子径を示す。本明細書では、D10、D50、D90は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製「MICROTRAC3000」)を用いて測定した値をいう。
 焼結体の比表面積を適切な範囲に制御しやすいという観点から、原料粒子のD50は、100~320μmとすることができ、120~320μmであることが好ましく、150~300μmであることが特に好ましい。
 同様の観点から、D90/D10は、1.5~2.5とすることができる。D90/D10の下限値は、1.7であることが好ましく、1.75であることが特に好ましい。D90/D10の上限値は2.2であることが好ましく、2.0であることがより好ましく、1.9であることが特に好ましい。D90/D10が小さい程、粒度分布がシャープになる。同じ空隙率の焼結体どうしを比べた場合、D90/D10が小さい方が圧損は大きい傾向にあり、D90/D10が大きい方が圧損は小さい傾向にある。
 さらに、充填率を上記範囲により調節しやすいという観点から、前記原料粒子は、D10がD50×0.2~D50×0.99μmであることがより好ましく、D50×0.5~50×0.99μmであることが特に好ましい。また、充填率を上記範囲により調節しやすいという観点から、前記原料粒子は、D90がD50×1.01~D50×3.0μmであることがより好ましく、D50×1.01~D50×2.5μmであることが特に好ましい。
 さらに、充填率を上記範囲により調節しやすいという観点から、前記原料粒子は、D90/D50は、1.01~3.0であることがより好ましく、1.01~2.5であることが特に好ましい。また、充填率を上記範囲により調節しやすいという観点から、前記原料粒子は、D10/D50は、0.20~0.99であることが好ましい。
 前記原料粒子の焼結条件は、得られる焼結体の空隙率が30~40%を満たすための条件で行う限りは、適宜の条件とすることができる。
 例えば、焼結温度は、原料粒子の合金の融点の80~99%とすることができ、より好ましくは融点の85~95%である。融点は、原料粒子のDTA(示差熱分析)あるいはDSC(示差走査熱量計)により計測すればよい。
 焼結時間は、焼結体の空隙率が目的の範囲となるように適宜調整すればよく、例えば、0.01~100時間とすることができる。前述のように、焼結温度を原料粒子の合金の融点の80~99%とする場合は、例えば、焼結時間は2.5時間以上が好ましく、3時間以上がより好ましく、10時間以内が好ましく、8時間以内がより好ましい。なお、焼結温度がネッキング可能かつ緻密化しすぎない温度であったとしても、焼結時間を延ばせば焼結体を緻密化させることができ、圧力損失を上昇させることが可能である。
 焼結は、空気の存在下又は不活性ガスの雰囲気下で行うことができる。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン等を例示することができる。焼結は、減圧した不活性ガス中にて実施しても構わない。また、焼結時、必要に応じて、とも粉を併用することもできる。とも粉とは、ゲッター材とも呼ばれ、焼結対象(つまり、原料粒子)の表面に同じ材質の粉を余分に加えて、焼結対象の酸化を防ぐための添加剤であり、これにより、極微量酸素の存在に起因する表面の色彩悪化が防止されやすくなる。
 原料粒子を焼結するにあたって使用する容器は、例えば、冶金学的に原料粒子と合金を形成しない金属材料あるいはセラミックス系材料製であることが好ましい。焼結を行う際の装置は、特に限定されず、市販の加熱炉等を使用すればよい。
 得られた焼結体は、必要に応じて機械加工により外形調整してもよいし、酸洗浄などを行ってもよい。
 焼結体の形状及び大きさは特に制限されず、冷凍機に供えられた蓄冷材の充填容器の形状に応じて適宜選択することができる。例えば、焼結体の形状としては、円柱、角柱等を挙げることができ、その他、噛合などを考慮して、後述するようなテーパー形状も挙げることができる。焼結体の形状及び大きさは、冷凍機に供えられた蓄冷材の充填容器の充填部の形状及び大きさに合致していることが好ましい。
 焼結体の形状は、上記原料粒子の焼結時に、原料粒子を所望形状の充填容器に充填して焼結することで調節することができる。例えば、焼結体の形状が円柱であれば、筒状の充填容器に原料粒子を充填して焼結を行えばよい。
 焼結体は、多層構造とすることもできる。ここでいう多層構造とは、例えば、複数の層構成で形成された構造をいう。このような多層構造としては、例えば、空隙率が異なる複数の層で形成された構造が挙げられ、例えば、後述する図3の形態の焼結体がその例である。あるいは、多層構造としては、材料の種類が異なる複数の層で形成された構造であってもよい。その他、多層構造としては、例えば、比熱特性の異なる複数の層が順に積み重ねられた積層体とすることもできる。
 本実施形態の蓄冷材は、本発明の効果が阻害されない程度であれば、上記焼結体と、これ以外の他の材料とが組み合わせられていてもよい。例えば、本実施形態の蓄冷材と、粒子を充填させてなる他の蓄冷材料との組み合わせも可能である。また、本実施形態の蓄冷材と、ワイヤー状、メッシュ状あるいはパンチングメタル状に充填された他の蓄冷材料との組み合わせも可能である。他の蓄冷材料としては、例えば銅線や銅のからなるメッシュやパンチングメタル、前記形状を有する、ビスマスを含有する材料を用いても良い。もちろん、本実施形態の蓄冷材は上記焼結体のみで形成されていてもよい。
 本実施形態の蓄冷材は、例えば、蓄冷器等に備えられている充填容器内に充填して使用することができる。焼結体の形状は、充填率を所望の範囲に調整しやすいという観点から、充填容器の内部の形状と合致していることが好ましく、充填容器内部の壁面と密着できる程度に焼結体が形成されていることもより好ましい。焼結体の形状を機械加工で仕上げても良い。機械加工する場合は、加工性を向上させるために切削される部位の空隙率を下げても良い。
 蓄冷材を充填容器に充填するにあたっては、蓄冷器と蓄冷材との間の隙間が広くなりすぎると、圧縮された冷媒がこの隙間を通過し、蓄冷材を通過しにくくなる。そこで、焼結体(蓄冷材)の側面または充填容器内部の壁面に、接着剤(例えば、エポキシ系接着剤)を塗布して、蓄冷材を充填容器内の壁面に接着させてもよい。この場合、蓄冷材と蓄冷材充填容器との隙間部は接着剤などにより塞がれ、冷凍機における冷媒は蓄冷材焼結体を通過する。なお、焼結体の側面とは、焼結体が充填容器に充填された場合に、充填容器内部の壁面に接触する面のことをいう。
 また、蓄冷材外周に蓄冷材よりも柔らかい(すなわちヤング率の小さい)材料、例えばフェルトなどを巻きつけて蓄冷材を充填容器内部に充填してもよい。また、蓄冷材と充填容器との隙間にフェルトなどの冷媒が流れにくい材料が充填されても良い。また、蓄冷材を充填容器内部に充填後、蓄冷材と充填容器との隙間に蓄冷材粉などの粉末を充填し、蓄冷材と充填容器との隙間部の流れ抵抗が蓄冷材より大きくなるように構成しても良い。
 蓄冷材が充填された部分と充填容器との空隙を低減するため、あるいは冷凍機などへの組み込み性を向上するために、蓄冷材を充填容器と共に焼結することができ、あるいは、加工代を有する充填容器と共に焼結を行い、焼結後そのまま使用又は最終形状への加工を行うことができる。
 図3は、本実施形態の蓄冷材の他例を示す模式図である。この図では、焼結体10を有して形成されている蓄冷材が、充填容器20内に充填されている状態を示している。
 図3の形態における蓄冷材は、焼結体10と、その側面を被覆する焼結層15を有している。なお、焼結体10の側面とは、円柱状に形成された焼結体10の曲面部分をいう。焼結層15は、焼結体10とは異なる空隙率を有する。例えば、焼結層15は、焼結体10よりも低い空隙率を有する。つまり、焼結層15は、焼結体10よりも密に形成されている。あるいは、焼結層15は、焼結体10よりも高い空隙率を有していてもよい。
 以上のように、図3の形態の蓄冷材では、30~40%の空隙率を有する層(焼結体10)の表面を、この層とは異なる空隙率を有する他の層で被覆された、いわゆる二層構造として形成されている。図3の形態の蓄冷材は、円柱状に形成されている。
 図3の蓄冷材にあっては、焼結体10の少なくとも側面が、当該焼結体10よりも低い空隙率を有する焼結層15で被覆されていることが好ましい。このような形態の蓄冷材が、蓄冷器の充填容器20に充填されると、充填容器20と接触する側の空間占有率が高くなり、容器に接触する部位の蓄冷材の加工性が向上する。また、外周形状の調整により充填容器20への蓄冷材の充填性がさらに向上し得る。蓄冷材が二層構造である場合、二つの層の空隙率の差は特に限定されず、例えば、目的の機械的特性に応じて適宜設定することができる。
 焼結層15は、焼結体10と異なる空隙率を有している限りは、例えば、焼結体10と同様の材料で形成することができる。
 焼結層15の空隙率は、焼結体10と同じく、30~40%であってもよいし、この範囲から外れていてもよい。
 図3の形態の蓄冷材は適宜の方法で製造することができる。例えば、内部に円柱状の空洞を有する焼結体を、上述の焼結条件であらかじめ形成し、この空洞内に上記原料粒子を充填し、さらに焼結を行うことで、図3の形態のような二層構造の蓄冷材が製造され得る。これにより、焼結体の側面が焼結層で被覆された蓄冷材が得られる。内部に円柱状の空洞を有する焼結体は、例えば、円柱状の芯を有する容器に、焼結層を形成するための材料(例えば、前記原料粒子)を充填し、これを焼結することで製造される。焼結後は、芯を除することで、容器内の芯の部分が焼結層内の空洞をもたらす。
 二層構造の蓄冷材を製造するにあたっては、先に空隙率の高い層を形成し、次いで、空隙率の低い層を形成しても構わないし、その逆でも構わない。
 図4は、本実施形態の蓄冷材のさらなる他例を示す模式図である。この図では、焼結体10を有して形成されている蓄冷材が、充填容器20内に充填されている状態を示している。
 図4の形態の蓄冷材のように、焼結体10はテーパー状に形成されていてもよい。この場合、蓄冷材と充填容器との隙間が小さくなりやすく、空隙部の通気抵抗が低くなりにくいため、(圧縮された)冷媒が空隙を優先して通るのを抑制できる。その結果、蓄冷材を通過する冷媒量が減少しにくく、蓄冷材は所望の性能を発揮しやすくなる。具体的に図4の形態の蓄冷材では、円柱形状の一端が先細りになっている形状を有する。この形状に合わせて充填容器もテーパー状に仕上げることができる。
 焼結体10がテーパー状に形成されている蓄冷材では、充填容器20への充填性をさらに向上させることが可能となる。このような形状の焼結体で構成される蓄冷材にあっては、充填容器20の内部もテーパー状に形成された充填容器20を選定すればよい。焼結体10がテーパー状に形成されている蓄冷材は、充填容器20の所定の位置に蓄冷材を設置することで、蓄冷材と充填容器との適切な噛合がなされやすい。その結果、蓄冷材の充填作業が容易となり得る。
 2.蓄冷材の製造方法
 蓄冷材は、例えば、希土類元素を含む原料粒子を焼結する工程を具備する方法によって製造することができる。
 ここでいう希土類元素を含む原料粒子は、上述した原料粒子と同様である。すなわち、上記工程で使用する原料粒子は、特定の粒子径(D50)及び粒度分布(D90/D10)を有する。このような原料粒子を使用して蓄冷材を製造することで、上記した所定の空隙率の範囲となる焼結体が形成される。
 なお、原料粒子の製造方法は特に限定されず、例えば、公知の製造方法が挙げられる。HoCu、(Er、Dy、Gd)Niなどの粒子であれば、プラズマ回転電極法やガスアトマイズ法を始めとする各種アトマイズ法により調製した特定サイズの粒子の溶湯を凝固させる方法、鋳塊を粉砕し、所定形状の粒状粉化する方法等を挙げることができる。
 原料粒子の粒子径及び粒度分布の制御方法も特に限定されない。例えば、1)原料粒子の製造段階での調整(例えばアトマイズ法などでの鋳造パラメータの調整、回転電極法における電極回転速度の調整)などにより目的粒径に近づける工程と、2)得られた原料粒子を分級する工程と、必要に応じ、3)粒度分布調整のための混合を行う工程(例えば、分級された粉を用いて調整混合を行う工程)により、原料粒子の粒子径及び粒度分布の制御することが可能である。
 焼結条件についても、前述の焼結体を得るための焼結条件(前記原料粒子の焼結条件)と同様である。
 上記の工程を経ることで、希土類元素を含む粒子の焼結体が形成される。得られた焼結体をそのまま蓄冷材として得ることができ、もしくは、その他の構成材料と組み合わせることで、蓄冷材として得ることもできる。
 上記の製造方法では、蓄冷材を簡便なプロセスで製造することができる。しかも、製造に使用する原料粒子も、粒子径及び粒度分布をそれぞれ適宜の範囲に調整することで容易に調製できるので、原料粒子の歩留りも向上できる。
 3.蓄冷器及び冷凍機
 上述のように、本発明の蓄冷材は、単独又は他の蓄冷材と組み合わせて充填することにより蓄冷器を構成することができる。例えば、蓄冷器に備え付けられている充填容器に蓄冷材を充填することで、蓄冷器を構成することができる。
 上記蓄冷材は、特定の空隙率を有する焼結体を含むので、蓄冷器における蓄冷材の充填率が60~70%となり得る。これにより、蓄冷器における冷媒ガスの圧力損失が適正な範囲となり、結果として、極低温状態を実現することが可能となる。
 従って、上記蓄冷器は各種の冷凍機に適用することができる。冷凍機としては、液体水素製造用冷凍機(20K特化冷凍機)、10K特化冷凍機、4KGM冷凍機等を挙げることができる。冷凍機は上記蓄冷器を備えることで、極低温状態を効率よく実現することが可能となる。
 以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
 (実施例1~8、比較例1~3)
 公知のアトマイズ法によりHoCu粒子を製造し、得られたHoCu粒子に対して100μmおよび300μmの篩(実施例1~5、比較例1,3)又は200μmおよび400μmの篩(実施例6~8、比較例2)により、微粒子および粗大粒子の除去を行った。これにより、後記表1に示す粒子径及び粒度分布を有する原料粒子を得た。得られた原料粒子のDTA(示差熱分析)を行うことで、HoCu粒子の融点を求めた。
 次いで、内径29.8mmの石英管を焼結体成形用の型とし、これに200gの原料粒子を充填し、熱処理炉に装填した後、アルゴン雰囲気下にて焼結を行った。これにより、焼結体を得た。焼結温度及び焼結時間は表1に示す通りとした。焼結温度は、前記で求めた融点に基づき、融点の99%以下となるように設定した。例えば、実施例1では用いた原料粒子の融点は約1188K(約915℃)であったことから、焼結温度は1168K(895℃)とした。
 (圧力損失測定)
 実施例及び比較例で得られた焼結体の圧力損失を圧力損失評価装置で測定した。
 図5の概略図は、上記測定で使用した圧力損失評価装置30を示している。内径φ28mmのプラスチック製の管31に各種焼結体32を挿入して蓄冷材(焼結体)をセットし、流体(冷媒ガスG)としてアルゴン(Ar)を使用し、流量-圧力損失試験を行った。試験試料入口側の圧力計33の数値をP1、出口側の圧力計(図示せず)の数値をP2とし、試験試料前後の圧力降下ΔP(ΔP=P1-P2)を測定した。また、冷媒ガスGの流量を流量計35で計測しつつ、マスフローコントローラ(図示せず)にて流量を調整すると共に、また、圧力調整器36を調節することで入り口側の圧力(P1)が一定となるようにした。
 前記測定装置により、圧力損失を計測し、下記判定基準に基づいて、蓄冷性能を評価した。
<判定基準>
◎:空隙率が参考例1の球状粉より低く、圧力損失が0.050MP以上、0.070MP以下である。
○:空隙率が参考例1の球状粉と同じ又は低く、圧力損失が0.040MPa以上、0.050MPa未満である。
△:空隙率が参考例1の球状粉と同じ又は高く、圧力損失が0.035MPa以上、0.040MPa未満、もしくは、空隙率が参考例1の球状粉より低いが、圧力損失が0.070MPaを超え、0.075MP以下である。
×:空隙率が30%を下回り、又は、圧力損失が0.035Mpa未満である、もしくは、空隙率が40%を超え、圧力損失が0.075MPa越える。
 なお、圧力損失は、熱交換の性能を見極めるための指標である。例えば、上記の測定装置の管31に嵌り込むように形成された焼結体又は粉末(いずれも200g)を管31に収容し、窒素50NL/minを流した時に、圧力損失が0.035~0.07MPa、より望ましくは0.04~0.07MPaの範囲であれば、蓄冷材は優れた蓄冷性能を有するといえる。
 (空隙率)
 蓄冷材(焼結体)の空隙率は、下記式(1)から算出した。
焼結体の空隙率(%)={1-A/(B×C)}×100  (1)
ここで、Aは焼結体の実測重量、Bは焼結体の見かけ体積、Cは焼結体の比重である。焼結体の見かけ体積は、焼結体の寸法から計測した。
 (参考例1)
 実施例1と同様の方法でHoCu粒子を製造し、後記表1に示す粒子径及び粒度分布を有する原料粒子を得た。得られた原料粒子は、焼結処理を行わずに、内径φ28mmのプラスチック製の管31に充填した。この充填にあたっては、通気性の高い(つまり、圧力損失の低い)フェルトをフィルターとし、金網をバックアップとして共に管31に挿入した後、その上に上記原料粒子200gを投入して充填し、さらに充填した原料粒子の上に前記同様のフェルト及び金網を挿入して、一対のフェルトで原料粒子を挟み込むように保持させた。このように原料粒子を充填した状態で、前記の圧力損失測定を行った。なお、この場合の空隙率は、フェルト間の距離および管31の直径から原料粒子の充填部の見かけ体積を求め、原料粒子200g分の体積を見かけ体積で除することにより算出した。
 表1には、各実施例及び比較例で得られた焼結体のD10(μm)、D50(μm)、D90(μm)、D90/D10の値、焼結温度、焼結時間、焼結体の空隙率(%)、蓄冷器に充填した際の充填率(%)、圧力損失(圧損)及び蓄冷性能の評価結果を示している。
 実施例では、充填率が30~40%の範囲にあることで、いずれも優れた蓄冷性能を有していることを確認した。
 参考例1のような、焼結体ではなく従来の球状粉等を使用するのみでは、充填率を高くしにくく、また、D90/D10の値が大きいと、所定の充填率に制御することも難しかったが、実施例では、幅広いD90/D10の範囲において充填率を制御(高く)することができた。参考例1は焼結体でないため、微細粉末による流路閉塞等の問題をおこしやすいが、実施例のような焼結体ではそのような問題を起こしにくい。圧力損失を適正範囲に制御できる実施例の焼結体では、所望の極低温領域を実現するための蓄冷材として適しているといえる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
  10:焼結体
  11:焼結部
  12:空隙部
  13:粒子

Claims (7)

  1. 希土類元素を含む粒子の焼結体を含み、前記焼結体の空隙率が30~40%である、蓄冷材。
  2. 前記焼結体の少なくとも側面が焼結層で被覆されており、当該焼結層が前記焼結体よりも低い空隙率を有する、請求項1に記載の蓄冷材。
  3. 前記焼結体はテーパー状に形成されている、請求項1又は2に記載の蓄冷材。
  4. 前記希土類元素は、Ho,Er,Dy,Tb,Yb及びGdからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の蓄冷材。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄冷材の製造方法において、
    希土類元素を含む原料粒子を焼結する工程を具備し、
    前記原料粒子は、D50が100~320μmであり、D90/D10が1.5~2.5であり、D10、D50、D90はそれぞれ粒度分布曲線の全粒子数の10%目、50%目、90%目に該当する平均粒子径を表す、製造方法。
  6. 請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄冷材を備える。蓄冷器。
  7. 請求項6に記載の蓄冷器を備える、冷凍機。
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