WO2017122475A1

WO2017122475A1 - ゴンドラ装置

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Publication number: WO2017122475A1
Application number: PCT/JP2016/086745
Authority: WO
Inventors: 忠政大和久; 純比留間
Original assignee: 日綜産業株式会社
Priority date: 2016-01-15
Filing date: 2016-12-09
Publication date: 2017-07-20
Also published as: CA3011212A1; KR20180077264A; KR102127056B1; JP2017125363A; US10801220B2; DK3404169T3; CA3011212C; US20190010714A1; AU2016386566A1; EP3404169B1; EP3404169A4; CN108431346A; AU2016386566B2; EP3404169A1; CN108431346B; JP6154921B1

Abstract

上記ブレード（３）の背部に対向する水平なフロント側足場枠（４）と、上記フロント側足場枠（４）に水平方向移動自在に取り付けられた第１および第２のサイド側足場枠（５），（６）と、上記フロント側足場枠（４）の両側に伸縮自在に取り付けられて上記タワー（１）の外面に当接する揺れ止め部材（７）と、上記フロント側足場枠（４）に設けた第１の昇降装置（９）と、上記第１および第２のサイド側足場枠（５），（６）にそれぞれ揺動自在に取り付けた第２および第３の昇降装置（１０），（１１）と、上記フロント側足場枠４に設けられて上記第１および第２のサイド側足場枠（５），（６）をそれぞれ水平方向に駆動する第１および第２の駆動装置（１５），（１６）と、上記第１、第２および第３の昇降装置（９），（１０），（１１）と上記ナセル（２）側吊元との間に設けた第１、第２および第３の牽引ロープ（１２），（１３），（１４）とを備えている。

Description

ゴンドラ装置

　本発明は、風力発電装置におけるブレードのメンテナンスに適したゴンドラ装置に関する。

　この種の風力発電装置は、柱状のタワーと、タワーの上に搭載したナセルと、ナセルに設けたブレードとを有し、ブレードを回転させて発電機を稼働させるものである。

　上記ブレードは、建設後数年経過すると風圧、落雷、紫外線に晒されて外面の塗装が剥がれ、或いは劣化してブレードの機能を損ねるばかりでなく外観も好ましくない。

　そのため、このブレードの外面塗装、修理等のメンテナンスが必要であり、そのため、ＪＰ２００４－２９３４５５（Ａ）やＪＰ２０１２－７５２５（Ａ）に開示されているように、メンテナンス用のゴンドラ装置が開発されている。

　ＪＰ２００４－２９３４５５（Ａ）に示されたゴンドラ装置は、タワーの外面にシリンダで角度調整自在にしたガイドレールに沿って取付けたゴンドラをナセル側から吊り下げたワイヤロープを介してブレードに対する作業位置まで昇降させるものである。

　同じく、ＪＰ２０１２－７５２５（Ａ）に示されたメンテナンス用のゴンドラ装置は、タワーの外面にラックレールに取付けた作業台をナセルから吊り下げた吊りワイヤを介してブレードの作業位置まで昇降させるものである。

　しかしながら、上記の従来のメンテナンス用ゴンドラ装置は、タワーにガイドやラックレールを設けて、このガイドやラックレールにゴンドラを取付けるため、装置が大がかりであって構造が複雑であり、装置の組み付け作業や撤去作業が困難で加工性、経済性、作業性に不利な点が多い。

　そこで、昇降機と牽引ロープのみでゴンドラを昇降させるブレードメンテナンス用のゴンドラ装置が開発されている。例えば、図１１および図１２に示したゴンドラ装置１００は、タワー１０１の外面に沿って昇降する左右一対のプラットフォーム１０２，１０３と、これらのプラットフォーム１０２，１０３の両側に起立した左右一対のホイスト台形サポート１０４，１０５と、これらのサポート１０４，１０５の上部中央に設けた左右一対の平行四辺形の平行フレーム１０６と、ナセル１０１Ａから吊り下げられて上記平行フレーム１０６，１０６の中央に設けた昇降機１０７にそれぞれ巻き付けた左右一対の牽引ロープ１０８と、上記各平行フレーム１０６の両側と上記ホイスト台形サポート１０４，１０５との間に架設した長さ調整自在な一対のワイヤ１０９、１１０と、左右のプラットフォーム１０２，１０３の下部に設けた伸縮自在な左右一対のサポートフレーム１１２と、各サポートフレーム１１２の端部に設けられてタワー１０１の外面に当接する押えローラ１１３を備えたものである。

　このゴンドラ装置１００は、図１２に示すように、二本の牽引ロープ１０８、１０８で吊り下げられて左右のプラットフォーム１０２，１０３をブレード１１４の両側に配置させ、併せて押えフレーム１１２を伸長して揺れ止め用のローラ１１３をタワー１０１の外面に当接させ、昇降機１０７を駆動してブレード１１に対する所定のメンテナンス作業位置まで左右のプラットフォーム１０２，１０３を昇降されるものである。

　そして、図１２に示すように、左右プラットフォーム１０２，１０３を任意の作業位置にまで昇降させたとき、その昇降位置に応じてサポートフレーム１１２の伸長量を変化させてタワー１０１に当接させる。

　このため、プラットフォーム１０２，１０３が図１２において左右に移動するのでその都度牽引ロープ１０８の傾斜角度が変化し、同時にサポートフレーム１１２が伸びた分、索引ロープ１０８の張力の影響により時計回り方向のモーメントが増加して時計回り方向に傾斜する恐れがある。

　そこで、図１１に示すゴンドラ装置では、例えば調整具１１１によって一方のワイヤ１１０を伸長し、他方のワイヤ１０９を短縮して平行フレーム１０６の角度を変化させることにより牽引ロープ１０８の角度を補正し、ゴンドラ装置が傾斜するのを防止している。

　他方、図１３に示したゴンドラ２００はタワー１０１と交差する方向に延びる水平な作業床２０１と、作業床２０１に設けた前後一対の昇降機２０２と、各昇降機２０２のハウジングに起立した支柱２０３と、各支柱２０２の上部に設けたシーブ２０４と、ナセル１０１Ａから吊り下げて上記シーブ２０４を介して上記昇降機２０２に巻きつけた前後一対の牽引ロープ２０５と、作業床２０１の両側に設けた筒体２０６に伸縮自在に挿入したサポートフレーム２０７とサポートフレーム２０７の先端に設けたカウンターウエイト２０８と、サポートフレーム２０７の基端に設けられてタワー１０１の外面に転動自在に当接する揺れ止め用のローラ２０９とを備えたものである。

　そして、このゴンドラ２００は、ナセル１０１Ａから釣り下げた牽引ロープ２０５を介して吊り下げて作業床２０１をブレード１１４の外側又は内側に配置させ、昇降機２０２を駆動して所定の作業位置に昇降させるものである。

　そして、例えば、図１４に示すように、ゴンドラをブレード１１４の外側に配置した場合、サポートフレーム２０７をタワー１方向に延ばしてローラ２０９をタワー１に当接させるが、その伸ばした分、時計回り方向へのモーメントが増加して作業床２０１が時計方向に傾斜する恐れがあって水平維持が困難となるのでカウンターウエイト２０８をサポートフレーム２０７と反対方向に伸ばして増加モーメントとの均衡を図り、作業床２０１の水平を常に維持するようにしている。

　しかしながら、上記従来の各ゴンドラ装置は牽引ロープを介して昇降させるものであるから、上記特許文献１、２に示すゴンドラ装置に比べて構造の簡素化が図れる反面この牽引ロープが二本であることから水平維持が困難であるのでその水平維持を行う補正手段が必要となる不具合がある。

　即ち、図１２のゴンドラ装置１００は平行四辺形の平行フレーム１０６とその両側の長さ調整自在なワイヤ１０９，１１０を必要とするからその分構造が複雑となり、ワイヤの伸縮操作もその都度プラットフォーム上で行う必要があり、加工性、経済性、作業性において不利である。

　また、図１４に示すゴンドラ装置２００も水平維持を行うためにカウンターウエイト２０８を設けているからその分構造が複雑となり、その伸縮操作もその都度行う必要があり、やはり加工性、経済性、作業性において不利である。

　しかも、このゴンドラ装置２００は作業床をブレード１１４の外側又は内側のみにしか配置できないので、ブレード１１４に対する作業範囲が限定されるばかりでなく、例えば、外側に配置した場合は、牽引ロープ２０５がブレード１１４を斜めに横切り両者が干渉してブレード１１４や牽引ロープ２０５を損傷させる恐れがあるという不具合もある。

　そこで、水平維持が容易な図１５図に示すような他のゴンドラ装置も開発されている。

　このゴンドラ装置３００は平面視Ｕ字状の作業床３０１，３０２，３０３と、各作業床３０１，３０２，３０３の中央に設けた昇降機３０４と、各昇降機３０４のハウジングから起立する支柱３０５と、各支柱３０５の上端に設けたシーブ３０６と、ナセル側の吊元から吊り下げられて上記シーブ３０６を介して上記各昇降機３０４にまかれた三本の牽引ロープ３０７とからなるものである。

　上記図１５に示すゴンドラ装置３００は吊り下げた時、図１６に示すように各作業床３０１，３０２，３０３がブレード１１４の外周に配置されるので作業面積を大きくでき、しかも、三角形の頂点で三本の牽引ロープ３０７を介して吊り下げているので昇降時どの位置でも水平維持が可能であり水平維持を行うための余分な装置が必要でなく、上記図１１や図１３に示すゴンドラの不具合を解消できる。

　しかしながら、このゴンドラ装置３００においては、平面視でＵ字状に成形されているので図１６に示すように各作業床３０１，３０２，３０３をブレード１１４の外周に配置した時、ブレード１１４は断面積が太い部分と薄い部分があって水平断面で視ると涙滴状に形成されているので上方から牽引ロープ３０７で吊り下げただけでは各部位に、特に薄い部分に対して各作業床３０１、３０２、３０３を近づけることが出来ない。このため、ゴンドラ装置３００から図示しない介錯ロープを吊り下げ、この介錯ロープを地上で操作して各作業床３０１、３０２、３０３の作業位置を調整している。そのため、介錯ロープの操作が面倒であり、安全性を損なう恐れもある。

　しかも各作業床をＵ字状に組み付けていることから前後方向の作業床３０１と左右方向の作業床３０２，３０３との結合部分であるコーナの床面積が大きくなり、この部分に作業者が来たり、作業用工具を置いたりするとこの部分が重くなりゴンドラ装置３００が転倒する恐れもあるばかりでなく傾き方向の荷重を担う中央の一本の牽引ロープ３０７に無理な荷重がかかりその耐久性を損なう恐れがありその改善が望まれている。

　そこで本発明の目的は上記従来の各ゴンドラ装置の良いところを採用しながらそれぞれの不具合を解消できる風力発電装置におけるブレードのメンテナンス用ゴンドラ装置を提供することである。

　すなわち、本発明の第１の目的はゴンドラ装置全体の水平維持が容易であること、第２の目的は水平を維持するための余分な補正手段や作業を不要とすること、第３の目的はブレードの水平断面視で太い部分と薄い部分に対応して足場板の位置を調整できるようにすること、第４の目的は特定の一本の牽引ロープに無理な荷重を掛けず、そのロープの耐久性を向上させことである。

　上記の目的を達成するため、本発明は、柱状のタワーと、上記タワーの上に搭載したナセルと、上記ナセルに回転自在に設けたブレードとを有し、上記ブレードを回転させて発電機を稼働させる風力発電装置におけるブレードのメンテナンスに用いるゴンドラ装置において、上記ブレードの背部に対向して上記タワーに対して交差する方向に伸びる水平なフロント側足場枠と、上記フロント側足場枠に水平方向移動自在に取り付けられて上記ブレードの側面に対向する一対の第１および第２のサイド側足場枠と、上記フロント側足場枠の両側に伸縮自在に取り付けられて上記タワーの外面に当接する揺れ止め部材と、上記フロント側足場枠に設けた第１の昇降装置と、上記第１および第２のサイド側足場枠にそれぞれ揺動自在に設けた第２および第３の昇降装置と、上記フロント側足場枠に設けられて上記第１および第２のサイド側足場枠をそれぞれ水平方向に駆動する第１および第２の駆動装置と、上記第１、第２および第３の昇降装置と上記ナセル側吊元との間に設けた第１、第２および第３の牽引ロープと、を備えたことを特徴とする。

図１は、本発明のゴンドラ装置の一部を略した全体斜視図である。図２は、本発明のゴンドラ装置の平面図である。図３は、ゴンドラ装置の正面図である。図４は、図３の一部左側面図である。図５は、本発明のゴンドラ装置を風力発電機に取付けた時の配置状態を示す正面図である。図６（Ａ）は、は図５の（Ａ）の位置に配置したゴンドラ装置の平面図である。図６（Ｂ）は、は図５の（Ｂ）の位置に配置したゴンドラ装置の平面図である。図６（Ｃ）は、は図５の（Ｃ）の位置に配置したゴンドラ装置の平面図である。図７は、駆動装置を示す平面図である。図８は、揺れ止め装置とその駆動部の平面図である。図９は、サイド側支柱のガイド機構を示す斜視図である。図１０（Ａ）は、サイド側第２、第３の昇降装置の揺動状態を示す正面図である。図１０（Ｂ）は、サイド側第２、第３昇降装置を固定した状態を示す正面図である。図１１は、従来のゴンドラ装置の斜視図である。図１２は、図１１に示した従来のゴンドラ装置を風力発電機に配置した状態の正面図である。他の従来のゴンドラ装置の斜視図である。図１４は、図１３に示した他の従来のゴンドラ装置を風力発電機に配置した状態の正面図である。図１５は、さらに他の従来のゴンドラ装置の斜視図である。図１６は、図１５に示したさらに他の従来のゴンドラ装置をブレードの外周に配置した略示平面図である。

　以下、本発明の実施の一例を図に基づいて説明する。本発明は、図５に示すように、柱状のタワー１と、タワー１の上に搭載したナセル２と、ナセル２に回転自在に設けたブレード３とを有する風力発電装置のメンテナス用に適用され、特にそのブレード３のメンテナンス作業を行うのに適するゴンドラ装置Ａである。

　すなわち、このゴンドラ装置Ａは、図５に示すようにナセル２から吊り下げた三本の牽引ロープ１２，１３，１４で吊り下げられた足場枠４，５，６を、牽引ロープ１２，１３，１４を巻きつけたエンドレスタイプ等の公知の昇降機で地上Ｃの位置から中間の位置Ｂや上方の位置Ａまで昇降させる。例えば中間位置Ｂ、上方位置Ａ等で足場枠４，５，６を停止させて、その都度ブレード３の外周面の塗装、修理等のメンテナンス作業を行う。

　このゴンドラ装置Ａは、後述するように伸縮自在な揺れ止め部材７を備えており、この揺れ止め部材７はゴンドラ装置Ａが地上Ｃに位置するときは図６（Ｃ）に示すように短縮してタワー１の外面に当接させ、中間位置Ｂに位置するときは図６（Ｂ）に示すように伸長して足場枠４，５，６をブレード３の細い先端近傍の作業位置に近づけ、ブレード３の太い部分の作業位置に対応する位置Ａでは図６（Ａ）に示すように再び揺れ止め部材７を短縮してタワー１側に近づけるようにしている。

　ゴンドラ装置Ａの説明に当たり、ゴンドラ装置Ａおよびゴンドラ装置Ａを構成する各部材についての前後方向は、図３の正面図を基準としており、前後方向との表現は、他図を参照しての説明であっても図３中に示した正面図における紙面を貫く方向を指している。

　ゴンドラ装置Ａの基本構造は、図１、図２に示すように、風力発電装置のブレード３の背部であるタワー側に対向して前後方向、すなわちタワー１と交差する方向に伸びる水平なフロント側足場枠４と、このフロント側足場枠４に前後方向移動自在に取り付けられて上記ブレード３の側面に対向する一対の第１、第２のサイド側足場枠５，６と、フロント側足場枠４の左右両側に伸縮自在に取り付けられて上記タワー１の外面に当接する揺れ止め部材７と、フロント側足場枠４に設けた第１の昇降装置９と、一対のサイド側足場枠５、６にそれぞれ揺動自在に取り付けた第２、第３の昇降装置１０，１１と、フロント側足場枠４に設けられて上記サイド側足場枠５，６をそれぞれ水平方向に駆動する第１、第２の駆動装置１５，１６と、上記第１、第２、第３の昇降装置９，１０，１１と上記ナセル２側吊元との間に設けた第１、第２、第３の牽引ロープ１２，１３，１４とを備えている。

　上記フロント側足場枠４は、足場板４ａと足場板４ａの外周に起立した手摺４ｂとで構成されている。同じく、上記各サイド側足場枠５，６がそれぞれ足場板５ａ，６ａと足場板５ａ，６ａの外周に起立した手摺５ｂ，６ｂとで構成され、各足場板５ａ，６ａの先端と各手摺５ｂ、６ｂの先端は図示のようにブレード３に向けて屈曲させている。

　第１のサイド側足場枠５と第２のサイド側足場枠６の基端は、それぞれ第１、第２の駆動装置１５，１６を介して上記フロント側足場枠４に連結されると共に、先端側を基端からＶ字状に伸ばして上記ブレード３の側面に対向させている。

　したがって、左右の足場枠５，６はブレード３の外面に近づけたり、離したりすることができるばかりでなく、例えば、図１５に示す断面涙滴状のブレード３に対応する場合、水平断面から見てブレード３の太い部分と薄い部分に対応して配置でき、介錯ロープなどで地上から位置合わせする必要がない。

　上記第１の昇降装置９はエンドレスタイプの第１の昇降機９ａと、第１の昇降機９ａのハウジングからそれぞれ上方に起立するフロント側支柱９ｂと、上記支柱９ｂの上端に上記第１の牽引ロープ１２を案内するシーブ９ｃとを備えている。

　同じく、上記第２、第３の昇降装置１０，１１はそれぞれエンドレスタイプの第２、第３の昇降機１０ａ，１１ａと、上記各昇降機１０ａ，１１ａのハウジングからそれぞれ上方に起立するサイド側支柱１０ｂ，１１ｂと、各サイド側支柱１０ｂ，１１ｂの上端に上記第２、第３の牽引ロープ１３，１４をそれぞれ案内する左右一対のシーブ１０ｃ，１１ｃとを備えている。

　このため、各牽引ロープ１２、１３，１４は各支柱９ｂ、１０ｂ、１１ｂに沿って引き上げられるので各手摺４ｂ、５ｂ、６ｂと干渉するのが防止され、作業者が歩行中引っ掛かるのも防止され安全である。

　牽引ロープ１２，１３，１４は直接昇降機９ａ，１０ａ，１１ａに巻き付けても良いが、上記のように牽引ロープ１２，１３，１４が手摺４ｂ,５ｂ，６ｂと干渉する恐れがあるので支柱９ｂ，１０ｂ，１１ｂとシーブ９ｃ，１０ｃ，１１ｃを介して引き上げるのが好ましい。

　第２、第３の昇降機１０ａ，１１ａの下端はそれぞれブラケット１０ｄ，１１ｄとピンを介して各サイド側足場枠５、６に揺動自在に連結させている。なお、第２、第３の昇降機１０ａ，１１ａは巻き取り式の昇降機でも良い。また、これらの昇降機１０ａ，１１ａの下端は、ユニバーサルジョイントを介してサイド側足場枠５，６に連結しても良い。

　本発明の昇降装置は揺動自在であるが、図１０（Ｂ）の参考例に示すように、昇降機１０ａ，１１ａの基端を固定し、サイド側支柱１０ｂ，１１ｂも固定して垂直に起立しておいても使用可能である。

　即ち、図１０（Ｂ）のゴンドラ装置は図１５に示す従来タイプに相当するものであって、使用は可能である。しかしながら、このような昇降装置が固定式の構造であると、第２、第３の牽引ロープ１３，１４が図１０（Ｂ）に図示したように傾斜する場合、平行で逆向きの水平方向の力Ｐがシーブ部Ｐ１とローラ部Ｐ２に作用する。

　すると、作用点であるＰ１とＰ２との間にはサイド側支柱１０ｂ，１１ｂの長さ分の高低差があるので、ゴンドラ装置Ａを時計回りに回転させようとするモーメントが発生し、このモーメントに抗する引っ張り方向の力が第１の牽引ロープ１２に付加される。このため、このモーメントに耐える剛性の高い牽引ロープ１２を使用する必要があるし、その耐久性も損なわれる。

　これに対して、本発明の実施の形態に係るゴンドラ装置では、図１、図１０（Ａ）に示すように、第２、第３の昇降装置１０，１１全体がブラケット１０ｄ，１１ｄに設けたピンを介して揺動自在となっていて、言い換えれば、昇降機１０ａ、１１ｂとサイド側支柱１０ｂ，１１ｂが揺動するので、作用点がピン部Ｐ３となり、この位置は図１０（Ｂ）の作用点Ｐ１に比べて下方に下がる。

　従って、作用点であるＰ２とＰ３との間の高低差が図１０（Ｂ）の場合に比べて小さくなり、ゴンドラ装置Ａに作用する回転方向のモーメントを小さくできるので、フロント側足場枠４の第１の牽引ロープ１２に余分な荷重が付加されるのが防止されその耐久性が損なわれるのを防止でき、剛性の小さい材料で成形することが可能となる。

　併せて、サイド側支柱１０ｂ，１１ｂも図１０（Ａ）に示すように搖動して傾斜するからこれに作用する負荷を軽減し、その破損を防止し、耐久性を向上できる。

　なお、図９に示すように、第１と第２のサイド側足場枠５、６の各手摺５ｂ、６ｂの内側にガイドフレーム５ｃ、６ｃを設け、サイド側支柱１０ｂ，１１ｂにブラケットＢを介してローラＲを設け、各ガイドフレーム５ｃ、６ｃにローラＲを介してサイド側支柱１０ｂ，１１ｂの揺動をそれぞれ案内して各支柱１０ｂ，１１ｂの安定化を図り、作業者との干渉も防止している。

　次に、第１、第２の駆動装置１５，１６はそれぞれフロント側足場枠４に設けた水平な上下一対のガイド支柱１７ａ，１７ｂと、第１および第２のサイド側足場枠５，６の基端にそれぞれブラケット２２，２２を介して取付けられて上記各ガイド支柱１７ａ，１７ｂにそれぞれスライド自在に挿入した上下一対のガイドローラ１８ａ，１８ｂと、上記各下側のガイドローラ１８ｂ，１８ｂと上記フロント側足場枠４との間に設けた一対のシリンダ１９，１９とで構成されている。

　そして、図７に示すように、シリンダ１９，１９を伸縮させるとそれぞれの第１および第２のサイド側足場枠５，６がガイドローラ１８ａ，１８ｂを介して各ガイド支柱１７ａ，１７ｂに沿ってフロント側足場枠４に対して水平に移動する。このように、第１のサイド側足場枠５と第２のサイド側足場枠６は、フロント側足場枠４に対して水平方向に移動自在に取付けられているため、第１および第２のサイド側足場枠５，６をブレード３の厚みに対応して近づけたり、離したりして作業位置を調節できる。

　揺れ止め部材７は、上記フロント側足場枠４の前後両側に設けた一対のガイド筒７ａ、上記各ガイド筒７ａ内にピニオン７ｄで駆動されて伸縮自在に挿入されたラック７ｂと、ラック７ｂの端部に設けられた揺動自在なブラケット７ｃと、各ブラケット７ｃ，７ｃに設けられて上記タワー１の外面に転動自在に当接するローラ８とで構成されている。

　上記ピニオン７ｄは、図８に示すように、フロント側足場枠４に設けられたモータＭとこのモータＭで回転駆動されるプロペラシャフトＰＳで回転駆動されている。

　そのため、モータＭを駆動して揺れ止め部材７の伸縮操作が可能で、操作性を向上させている。モータＭを駆動することで、揺れ止め部材７は、タワー１側へ向けて伸縮でき、足場枠４，５，６をブレード３のメンテナンスに当たり最適な位置へ移動できる。また、ローラ８は、水平方向への角度変更可能なブラケット７ｃを介してラック７ｂに連結されている。なお、ローラ８の設置数は、任意に設計変更できる。

　ブラケット７ｃは、ラック７ｂの端部に設けたアーム７ｅにボルト又はピンを介して位置調整自在に連結されている。このため、取付け位置を変更することでいろいろな風力発電機のタワー１の外径に合わせてローラ８の位置を調整できるようにしている。

　サイド側足場枠５，６とガイド筒７ａの下部には複数のキャスタ２０，２１がそれぞれ設けられており、このキャスタ２０，２１でゴンドラ装置Ａ自体を所定の場所に移動できるようになっている。

　本発明によれば次の効果を達成できる。

　１）ブレード３の背部に対向してタワー１に対して交差方向に伸びる水平なフロント側足場枠４と、フロント側足場枠４に互いに水平方向移動自在に取り付けられてブレード３の側面に対向する第２および第３のサイド側足場枠５，６とを備えているのでブレード３の外周全域に足場板４，５，６を配置できる。
２）フロント側足場枠４の両側にタワー１へ向けて伸縮自在に取り付けられてタワー１の外面に当接する揺れ止め部材７を設けているから足場枠４，５，６の揺れを防止しながらタワー１に沿って昇降させることが出来る。
３）第１、第２および第３の昇降装置９，１０，１１とナセル側吊元との間に第１、第２および第３の牽引ロープ１２，１３，１４を吊り下げているから各足場枠４，５，６が３本の牽引ロープ１２，１３，１４で均一に吊り下げられ、安定して水平に維持される。そのため、各足場枠４，５，６を水平に維持するための装置やその操作が不要となる。
４）第２および第３の昇降装置１０，１１がサイド側足場枠５，６にそれぞれ揺動自在に取り付けられているからサイド側の第２および第３の牽引ロープ１３，１４によって水平方向の力が第２および第３の昇降装置１０，１１に作用してゴンドラ装置全体に偶力による回転モーメントが作用しようとしても、この第２および第３の昇降装置１０，１１が揺動して第２および第３の牽引ロープ１３，１４の昇降装置１０，１１に対する作用点を下げ、回転モーメントを小さくできるので余分な荷重がフロント側の第１の牽引ロープ１２に付加されるのを抑制でき又は小さくでき、その耐久性が損なわれるのを防止でき、その結果剛性の小さい材料で成形することが可能となる。
５）サイド側足場枠５，６をそれぞれ水平方向に駆動する第１および第２の駆動装置１５，１６を備えているので、サイド側足場枠５，６をブレード３の外面に沿って近づけたり、離したりできるからブレード３の涙滴状の断面形状に対応してサイド側足場枠５，６を配置できる。そのため、ブレード３に近づける介錯ロープやその操作作業が不要となる。

　しかも、サイド足場枠５，６の基端をフロント側足場枠４の中央寄りに移動した時、フロント側足場枠４の両端部の積載荷重が無くなり、ゴンドラ装置全体の揺れや傾きが防止される。

　以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形および変更が可能である。

　本願は、２０１６年１月１５日に日本国特許庁に出願された特願２０１６－００５８０８に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。

Claims

　柱状のタワーと、上記タワーの上に搭載したナセルと、上記ナセルに回転自在に設けたブレードとを有し、上記ブレードを回転させて発電機を稼働させる風力発電装置におけるブレードのメンテナンスに用いられるゴンドラ装置において、
　上記ブレードの背部に対向して上記タワーに対して交差する方向に伸びる水平なフロント側足場枠と、上記フロント側足場枠に互いに水平方向移動自在に取り付けられて上記ブレードの側面に対向する第１のサイド側足場枠５と第２のサイド側足場枠と、
　上記フロント側足場枠の両側にタワー１へ向けて伸縮自在に取り付けられて上記タワー１の外面に当接する揺れ止め部材と、
　上記フロント側足場枠に設けた第１の昇降装置と、上記第１と第２のサイド側足場枠にそれぞれ揺動自在に取り付けた第２および第３の昇降装置と、
　上記フロント側足場枠に設けられて上記サイド側足場枠をそれぞれ水平方向に駆動する第１および第２の駆動装置と、
　上記第１、第２および第３の昇降装置と上記ナセル２側吊元との間に設けた第１、第２および第３の牽引ロープとを備えた
　ことを特徴とするゴンドラ装置。
　第１および第２のサイド側足場枠は、フロント側足場枠に対してＶ字状に設けられる
　ことを特徴とする請求項１に記載のゴンドラ装置。
　上記フロント側足場枠が足場板と上記足場板の外周に起立した手摺とで構成され、
　上記第１のサイド側足場枠５と第二サイド側足場枠は、それぞれ足場板と上記足場板の外周に起立した手摺とで構成され、
　上記第１および第２のサイド側足場枠は、それぞれ基端が上記第１および第２の駆動装置を介して上記フロント側足場枠に連結され、先端側が基端からＶ字状に伸びて上記ブレードの側面に対向している
　ことを特徴とする請求項１に記載のゴンドラ装置。
　上記第１の昇降装置がエンドレスタイプの第１の昇降機と、上記昇降機のハウジングからそれぞれ上方に起立するフロント側支柱と、上記支柱の上端に上記第１の牽引ロープを案内するシーブとを備え、
　上記第２および第３の昇降装置がそれぞれエンドレスタイプの昇降機と、上記昇降機のハウジングからそれぞれ上方に起立するサイド側支柱と、上記支柱の上端に上記第２、第３の牽引ロープをそれぞれ案内する左右一対のシーブと、を備え、
　上記第２の昇降機の下端をブラケット又はユニバーサルジョイントを介して上記第１サイド側足場枠に揺動自在に連結し、
　上記第３の昇降機の下端をブラケット又はユニバーサルジョイントを介して上記第２のサイド側足場枠に揺動自在に連結した
　ことを特徴とする請求項１に記載のゴンドラ装置。
　上記第１および第２のサイド側足場枠の各手摺の内側にガイドフレームを設け、上記各ガイドフレームにローラを介して上記第１および第２のサイド側支柱の揺動をそれぞれ案内している
　ことを特徴とする請求項４に記載のゴンドラ装置。
　上記第１および第２の駆動装置は、それぞれ上記フロント側足場枠４に設けた水平な上下一対のガイド支柱と、上記第１および第２のサイド側足場枠の基端にそれぞれブラケットを介して取付けられて上記各ガイド支柱にそれぞれスライド自在に挿入した上下一対のガイドローラと、上記各下側のガイドローラと上記フロント側足場枠４との間に設けた一対のシリンダとを備えた
　ことを特徴とする請求項１に記載のゴンドラ装置。
　上記揺れ止め部材は、上記第１の足場枠４の両側に設けた一対のガイド筒と、上記各ガイド筒内にピニオンで駆動されて伸縮自在に挿入されたラックと、上記ラックの端部に設けられた揺動自在なブラケットと、上記各ブラケットに設けられて上記タワーの外面に転動自在に当接するローラとを備え
　上記ピニオンは、上記第１のフロント側足場枠に設けられたモータと上記モータで回転駆動されるプロペラシャフトで回転駆動される
　ことを特徴とする請求項１に記載のゴンドラ装置。