WO2017086134A1

WO2017086134A1 - 長尺物の案内装置及びガイドレール

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Publication number: WO2017086134A1
Application number: PCT/JP2016/082194
Authority: WO
Inventors: 貴之手塚
Original assignee: 株式会社椿本チエイン
Priority date: 2015-11-16
Filing date: 2016-10-31
Publication date: 2017-05-26
Also published as: JP2017089848A; JP6421109B2; TWI674369B; US20180320757A1; DE112016005254T5; KR102125801B1; KR20180083355A; TW201723345A; CN108350985B; CN108350985A; DE112016005254B4

Abstract

長尺物の案内装置（１１）は、保護案内部（１３）と、ガイドレール（１４）とを備える。保護案内部（１３）は、直列に配置された状態で互いに回動可能に連結されるリンク（１２）を有する。複数のリンク（１２）は、内部に長尺物（ＴＫ）を収容可能な収容空間（ＳＫ）を形成する。保護案内部（１３）は、収容空間（ＳＫ）に収容された長尺物（ＴＫ）を保護しながら案内する。ガイドレール（１４）は、保護案内部（１３）が湾曲部分（Ｗ）を形成しながら長手方向（Ｘ）に沿って往復移動する際に、保護案内部（１３）をガイドしながら往復移動する。保護案内部（１３）は複数の係合部（１５）を有する。ガイドレール（１４）は複数の係合部（１５）と係合して保護案内部（１３）をガイド可能に長手方向（Ｘ）に沿って延びるガイド溝（１６）を有する。ガイド溝（１６）は、保護案内部（１３）が往復移動する際に、複数の係合部（１５）の長手方向（Ｘ）と交差する方向への移動を阻害し、且つ複数の係合部（１５）の長手方向（Ｘ）への移動を許容する。

Description

長尺物の案内装置及びガイドレール

　本発明は、工作機械などの移動部に給電や給液などを行う可撓性のケーブルやホースなどの長尺物を収容した状態で、移動部の移動に合わせて保護しながら案内する長尺物の案内装置及び当該装置に備えられるガイドレールに関する。

　従来、この種の長尺物の案内装置として、例えば特許文献１に記載のエネルギー案内チェーンが知られている。このエネルギー案内チェーンは、電気エネルギーなどのエネルギーを伝送するためのケーブル等の長尺物を案内するためのものであり、複数のチェーンリンクを有する。各チェーンリンクは、一対の平行な帯体と、その一対の帯体を連結する横方向部材とにより構成されている。エネルギー案内チェーンは、直列方向において隣り合うチェーンリンクの帯体同士が互いに関節式に連結されることで、長尺状に形成されている。

　このエネルギー案内チェーンは、その長手方向の途中で折り返されることにより、複数のチェーンリンクの一部で構成される上側条体と、複数のチェーンリンクの他の一部で構成される下側条体と、これら２つの条体を直列に連結する屈曲部とを形成する。エネルギー案内チェーンの移動時には屈曲部が上側条体と共に移動する。

　この場合、上側条体は下側条体の上に載せられている。上側条体及び下側条体にはいくつかのローラが設けられている。上側条体に設けられたローラは、エネルギー案内チェーンの移動時に対向する下側条体のチェーンリンクに設けられた走行面上を転動できるように配置されている。下側条体に設けられたローラは、エネルギー案内チェーンの移動時に対向する上側条体のチェーンリンクに設けられた走行面上を転動できるように配置されている。

特開２００５－４８９５３号公報

　ところで、特許文献１に開示されるエネルギー案内チェーンでは、上側条体が下側条体上に載せられているだけなので、エネルギー案内チェーンの移動時には、上側条体が下側条体上から浮き上がってしまうことがある。このため、エネルギー案内チェーンの移動時の軌道が不安定になるおそれがある。

　本発明は、このような実情に着目してなされたものである。本発明の目的は、長尺物を保護しながら案内する保護案内部の移動時の軌道を安定させることができる長尺物の案内装置及びガイドレールを提供することにある。

　以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
　上記課題を解決する長尺物の案内装置は、直列に配置された状態で互いに回動可能に連結され、かつ内部に長尺物を収容可能な収容空間を形成する複数のリンクを有し、前記収容空間に収容された前記長尺物を保護しながら案内する保護案内部と、前記保護案内部が湾曲部分を形成しながら長手方向に沿って往復移動する際に、前記保護案内部をガイドしながら往復移動するガイドレールと、を備える。前記保護案内部は、前記ガイドレールと係合可能に前記長手方向に沿って並ぶように配置された複数の係合部を有する。前記ガイドレールは、前記複数の係合部と係合して前記保護案内部をガイド可能に前記長手方向に沿って延びるガイド溝を有する。前記ガイド溝は、前記保護案内部が往復移動する際に、前記複数の係合部の前記長手方向と交差する方向への移動を阻害し、且つ前記複数の係合部の前記長手方向への移動を許容する。

　この構成によれば、保護案内部が長手方向に沿って往復移動する際に、保護案内部は複数の係合部においてガイド溝によって長手方向と交差する方向への移動が阻害される。したがって、長尺物を保護しながら案内する保護案内部の移動時の軌道を安定させることができる。

　上記長尺物の案内装置において、前記複数の係合部は、前記複数のリンクのうちの少なくとも一部に設けられており、各リンクと前記ガイドレールとの間には、隙間が形成されていることが好ましい。

　この構成によれば、保護案内部及びガイドレールが移動する際に、保護案内部を構成するリンクとガイドレールとが擦れ合うことを抑制できるので、リンク及びガイドレールが摩耗することを抑制できる。

　上記長尺物の案内装置において、各係合部は、前記複数のリンクのうちの対応する１つのリンクと一体に設けられたアームと、前記アームの先端部に取着されて前記ガイド溝内に移動可能に収容される被収容部とを有していることが好ましい。

　この構成によれば、例えばリンクにアームを一体成形することで、アームの先端部に被収容部を取着するだけで保護案内部に対して係合部を容易に設けることができる。
　上記長尺物の案内装置において、前記ガイドレールは、互いに着脱可能に連結される複数のガイドレール構成部材に分割されていることが好ましい。

　この構成によれば、保護案内部の長さに合わせてガイドレールの長さを容易に調節することができる。
　上記長尺物の案内装置において、前記ガイドレールと前記保護案内部とは連動しており、前記ガイドレールが１往復するときの移動距離は、前記保護案内部が１往復するときの移動距離よりも短いことが好ましい。

　この構成によれば、ガイドレールを移動機構によって移動させるように構成することで、保護案内部を移動機構によって移動させるように構成する場合に比べて、移動機構の大きさを小さくすることができる。

　上記課題を解決するガイドレールは、上記構成を有する長尺物の案内装置に備えられる。
　この構成によれば、上記長尺物の案内装置と同様の作用効果を得ることができる。

　本発明によれば、長尺物を保護しながら案内する保護案内部の移動時の軌道を安定させることができる。

第１実施形態の長尺物の案内装置が前進限位置に配置されたときの状態を示す斜視図。第１実施形態の係合部が設けられた係合リンクの斜視図。図２を反対側から見たときの斜視図。第１実施形態のノーマルリンクの斜視図。図４を反対側から見たときの斜視図。第１実施形態における係合リンクとノーマルリンクとが直線姿勢に配置されたときの断面図。第１実施形態における係合リンクとノーマルリンクとが屈曲姿勢に配置されたときの断面図。第１実施形態のガイドレールの斜視図。第１実施形態において、係合リンクに設けられた係合部がガイドレールに係合したときの状態を示す正面図。第１実施形態の長尺物の案内装置が中間位置に配置されたときの状態を示す斜視図。第１実施形態の長尺物の案内装置が後進限位置に配置されたときの状態を示す斜視図。第２実施形態の長尺物の案内装置の斜視図。第２実施形態の係合部が設けられた係合リンクの斜視図。図１３を反対側から見たときの斜視図。第２実施形態のガイドレールの分解斜視図。第２実施形態において、係合リンクに設けられた係合部がガイドレールに係合したときの状態を示す正面図。変更例の係合部が設けられた係合リンクの斜視図。変更例の係合部が設けられた係合リンクの斜視図。変更例の長尺物の案内装置の斜視図。更なる変更例の係合部が設けられた係合リンクの斜視図。図２０の要部を拡大して示す断面図。

　（第１実施形態）
　以下、長尺物の案内装置の第１実施形態を図面に従って説明する。
　図１に示すように、長尺物の案内装置１１は、長尺状の保護案内部１３を備えている。保護案内部１３は、直列に配置された状態で互いに回動可能に連結される複数のリンク１２を有する保護案内部１３を備えている。複数のリンク１２は、内部に長尺物ＴＫを収容可能な収容空間ＳＫを形成している。保護案内部１３は、収容空間ＳＫに収容された長尺物ＴＫを保護しながら案内する。

　保護案内部１３は、長尺物の案内装置１１が組み付けられる装置本体（図示略）上に、中間部に湾曲部分Ｗが形成されるように配置されている。この場合、保護案内部１３における長手方向Ｘの第１端部１３ａには長手方向Ｘに沿って往復移動する移動体（図示略）が連結され、保護案内部１３における長手方向Ｘの第２端部１３ｂは装置本体（図示略）に固定される。

　長尺物ＴＫとしては、例えば、移動体（図示略）に給電や信号伝送を行う電気ケーブルや光ファイバーケーブル、移動体（図示略）に気体（例えば、空気など）や液体（例えば、水や油など）などを供給するホース、フレキシブルに屈曲可能な長尺状の多関節部材などが挙げられる。

　また、長尺物の案内装置１１は、保護案内部１３がその中間部に湾曲部分Ｗを形成しながら長手方向Ｘに沿って往復移動する際に、保護案内部１３をガイドしながら長手方向Ｘに沿って往復移動する長尺状のガイドレール１４を備えている。この場合、保護案内部１３の湾曲部分Ｗは、移動体（図示略）の長手方向Ｘへの往復移動に合わせて長手方向Ｘに沿って移動する。

　保護案内部１３は、ガイドレール１４と係合可能に長手方向Ｘに沿って等間隔で並ぶように配置された複数対の係合部１５を有している。ガイドレール１４は、複数対の係合部１５と係合して保護案内部１３をガイド可能に長手方向Ｘに沿って延びる一対のガイド溝１６を有している。

　複数のリンク１２は、一対の係合部１５がそれぞれ設けられた複数の係合リンク１７と、係合部１５が設けられていない複数のノーマルリンク１８とから構成されている。すなわち、各係合リンク１７は一対の係合部１５を有し、各ノーマルリンク１８は係合部１５を有さない。本実施形態の保護案内部１３は、係合リンク１７とノーマルリンク１８とが長手方向Ｘに沿って交互に直列に配置された状態で互いに回動可能に連結されることによって形成される。したがって、複数のリンク１２のうちのほぼ半数のリンク１２に一対の係合部１５が設けられている。

　図２及び図３に示すように、各係合リンク１７は、例えば合成樹脂材料によって構成され、幅方向Ｙにおいて対向する板状の一対のリンク部２０を備えている。幅方向Ｙは、長手方向Ｘと直交する方向に対応する。一対のリンク部２０は、高さ方向Ｚの両側において略矩形板状の第１連結部材２１及び略矩形板状の第２連結部材２２によってそれぞれ連結されている。高さ方向Ｚは、長手方向Ｘ及び幅方向Ｙの双方と直交する方向に対応する。

　この場合、第１連結部材２１は一対のリンク部２０に対して着脱自在に取り付けられる一方、第２連結部材２２は一対のリンク部２０と一体に形成されている。そして、第１連結部材２１と第２連結部材２２とは高さ方向Ｚにおいて互いに対向している。一対のリンク部２０、第１連結部材２１、及び第２連結部材２２で囲まれる空間は、収容空間ＳＫを構成する。

　各リンク部２０の外側面において、長手方向Ｘの一方側の部分には略円柱状の凸部２３が形成され、他方側の部分には円形の貫通孔２４が形成されている。各リンク部２０の貫通孔２４には、長手方向Ｘにおいて隣り合う他のリンク部２０の凸部２３が相対的に回動可能に挿嵌される。各リンク部２０の長手方向Ｘの一方側の端面における凸部２３よりも第１連結部材２１に近接した箇所には第１ストッパー面２５が形成され、リンク部２０の当該端面における凸部２３よりも第２連結部材２２に近接した箇所には第２ストッパー面２６が形成されている。

　各リンク部２０の長手方向Ｘの中央部における貫通孔２４よりも第１連結部材２１に近接した箇所には、長手方向Ｘにおいて隣り合う他のリンク部２０の第１ストッパー面２５が当接可能な第１当接面２７が形成されている。一方、各リンク部２０の長手方向Ｘの中央部における貫通孔２４よりも第２連結部材２２に近接した箇所には、長手方向Ｘにおいて隣り合う他のリンク部２０の第２ストッパー面２６が当接可能な第２当接面２８が形成されている。

　各リンク部２０の高さ方向Ｚにおける第２連結部材２２側の端部には、係合部１５が設けられている。係合部１５は、幅方向Ｙの内側に向かって直角に屈曲するＬ字状のアーム３０と、アーム３０の先端部に回転可能に取着されたローラ３１とを備えている。ローラ３１は、ガイド溝１６（図１参照）内に移動可能に収容される被収容部として機能する。

　すなわち、アーム３０は、リンク部２０から高さ方向Ｚに延びる支持部３０ａと、支持部３０ａの先端部の内側面から幅方向Ｙの内側に向かって延びる略円柱状のピン部３０ｂとを有している。そして、ピン部３０ｂの先端部にローラ３１が回転可能に支持されている。ピン部３０ｂにおけるローラ３１よりも先端側の位置には、ピン部３０ｂからローラ３１が脱落することを抑制するためのＥリング３２が取着されている。アーム３０は、係合リンク１７のリンク部２０に例えば一体成形することによって、リンク部２０に一体に形成される。

　図４及び図５に示すように、ノーマルリンク１８は、図２及び図３に示される係合リンク１７において係合部１５を省略したものである。したがって、ノーマルリンク１８においては、係合リンク１７と同一の部分においては同一の符号を付し、その構成の説明を省略する。

　図６及び図７に示すように、長手方向Ｘにおいて隣り合う係合リンク１７及びノーマルリンク１８は、これら係合リンク１７及びノーマルリンク１８のうちの一方のリンクのリンク部２０の貫通孔２４に他方のリンクのリンク部２０の凸部２３を回動可能に挿嵌することによって連結される。そして、これら係合リンク１７及びノーマルリンク１８を連結した状態では、これら係合リンク１７及びノーマルリンク１８のリンク部２０同士が、図６に示すように直線状に配置される直線姿勢と、図７に示すように屈曲するように配置される屈曲姿勢との間で、貫通孔２４及び凸部２３を回動中心として回動可能である。

　本実施形態において、リンク部２０は、長手方向Ｘにおいて隣り合う係合リンク１７及びノーマルリンク１８が直線姿勢に配置されたときのこれら係合リンク１７及びノーマルリンク１８のリンク部２０同士のなす角度が０度となり、且つ長手方向Ｘにおいて隣り合う係合リンク１７及びノーマルリンク１８が屈曲姿勢に配置されたときのこれら係合リンク１７及びノーマルリンク１８のリンク部２０同士のなす角度が３０度となるように構成されている。

　具体的には、長手方向Ｘにおいて隣り合う係合リンク１７及びノーマルリンク１８が直線姿勢に配置されたときには、図６に示すように、これら係合リンク１７及びノーマルリンク１８のうちの一方のリンクのリンク部２０の第１ストッパー面２５が他方のリンクのリンク部２０の第１当接面２７に当接し、且つ一方のリンクのリンク部２０の第２ストッパー面２６が他方のリンクのリンク部２０の第２当接面２８から離間する。

　一方、長手方向Ｘにおいて隣り合う係合リンク１７及びノーマルリンク１８が屈曲姿勢に配置されたときには、図７に示すように、これら係合リンク１７及びノーマルリンク１８のうちの一方のリンクのリンク部２０の第１ストッパー面２５が他方のリンクのリンク部２０の第１当接面２７から離間し、且つ一方のリンクのリンク部２０の第２ストッパー面２６が他方のリンクのリンク部２０の第２当接面２８に当接する。

　したがって、第１ストッパー面２５及び第２ストッパー面２６が第１当接面２７及び第２当接面２８にそれぞれ当接することで、本実施形態では、長手方向Ｘにおいて隣り合う係合リンク１７及びノーマルリンク１８の回動範囲が０～３０度の角度範囲に規制される。

　図８に示すように、ガイドレール１４は、長手方向Ｘに長い略直方体状をなしており、幅方向Ｙにおける両側面にそれぞれガイド溝１６を有している。すなわち、ガイドレール１４における幅方向Ｙの両側面には、一対のガイド溝１６が形成されている。ガイドレール１４における長手方向Ｘの第１端側の端面は平面１４ａにより構成され、長手方向Ｘの第２端側の端面は円弧状の曲面１４ｂにより構成されている。

　図８に示すように、ガイド溝１６は、ガイドレール１４の長手方向Ｘにおける第１端から第２端まで真っ直ぐに延びた後、Ｕターンして第１端まで真っ直ぐに延びている。すなわち、一対のガイド溝１６の各々は、平面１４ａから曲面１４ｂに向かって真っ直ぐに延びる上側直線部１６ａと、上側直線部１６ａの下側に位置して平面１４ａから曲面１４ｂに向かって真っ直ぐに延びる下側直線部１６ｂと、ガイドレール１４の長手方向Ｘにおける第２端において上側直線部１６ａ及び下側直線部１６ｂを連結するＵ字状の湾曲部１６ｃとを備えている。

　湾曲部１６ｃは曲面１４ｂの内側に沿うように湾曲しており、上側直線部１６ａ及び下側直線部１６ｂは互いに同一の構成を有している。そして、一対のガイド溝１６は、ガイドレール１４の平面１４ａにおいてそれぞれ開口している。

　図９に示すように、ガイドレール１４における幅方向Ｙの幅は、係合リンク１７における一対のリンク部２０の間の間隔よりも若干狭くなるように設定されている。ガイド溝１６内は、係合部１５のピン部３０ｂにおけるローラ３１よりも先端側の部分及びローラ３１を若干の遊びを持たせた状態で収容可能な広さに設定されている。ガイド溝１６における幅方向Ｙ側の開口部１６ｄの幅は、係合部１５のピン部３０ｂにおけるローラ３１よりも基端側の部分の外径よりも広く、且つローラ３１の外径よりも狭くなるように設定されている。

　したがって、ガイド溝１６は、保護案内部１３が長手方向Ｘに沿って往復移動する際に、複数の係合部１５の長手方向Ｘと交差する方向への移動を阻害し、且つ複数の係合部１５の長手方向Ｘへの移動を許容する。すなわち、ガイド溝１６は、保護案内部１３が長手方向Ｘに沿って往復移動する際に、複数の係合部１５のガイド溝１６に沿う方向以外の方向への移動を阻害し、且つ複数の係合部１５のガイド溝１６に沿う方向への移動を許容する。

　図９に示すように、ガイドレール１４と係合リンク１７（第２連結部材２２）との間には、隙間Ｓが形成されている。そして、ノーマルリンク１８は、長手方向Ｘの両側に係合リンク１７が連結されるので、ガイドレール１４とノーマルリンク１８（第２連結部材２２）との間にも隙間Ｓが形成される。つまり、ガイドレール１４とリンク１２との間に隙間Ｓが形成される。

　次に、長尺物の案内装置１１の使用時の作用について説明する。
　さて、移動体（図示略）が連結された保護案内部１３の第１端部１３ａが移動体とともに長手方向Ｘに沿って往復移動すると、保護案内部１３の第２端部１３ｂは装置本体（図示略）に固定されているため、長尺物の案内装置１１はその湾曲部分Ｗが移動体に追従して変位するようにして長手方向Ｘに沿って往復移動する。

　この場合、長尺物の案内装置１１は、図１に示すようにガイドレール１４の平面１４ａ側の端部に保護案内部１３の第１端部１３ａが位置する前進限位置と、図１１に示すようにガイドレール１４の平面１４ａ側の端部に保護案内部１３の第２端部１３ｂが位置する後進限位置との間で往復移動する。すなわち、前進限位置と後進限位置との間の図１０に示す位置を中間位置と称すると、長尺物の案内装置１１は、移動体（図示略）の往復移動に伴って、前進限位置から中間位置を経由して後進限位置に移動することと、後進限位置から中間位置を経由して前進限位置に移動することとを繰り返し行う。

　すると、長尺物の案内装置１１により、収容空間ＳＫに収容された長尺物ＴＫが移動体（図示略）の往復移動に合わせて保護されながら案内される。このとき、長尺物の案内装置１１は、湾曲部分Ｗの往復移動に伴って長手方向Ｘにおいて隣り合う係合リンク１７とノーマルリンク１８とが、図６に示す直線姿勢と、図７に示す屈曲姿勢との間で繰り返し回動される。

　また、長尺物の案内装置１１の往復移動時には、保護案内部１３の各係合部１５のローラ３１がガイド溝１６内をガイド溝１６に沿って転動する。そして、長尺物の案内装置１１が前進限位置から後進限位置へ移動する場合には、ガイド溝１６の上側直線部１６ａに位置する保護案内部１３の複数の係合部１５のローラ３１が、移動体（図示略）の移動に伴う保護案内部１３の移動により、湾曲部１６ｃを経由して下側直線部１６ｂに順次転がりながら移動する。

　このとき、湾曲部１６ｃに位置するローラ３１は湾曲部１６ｃ内の外周面を押圧するため、これらローラ３１の押圧力によってガイドレール１４が後進限位置に向かって移動される。つまり、ガイドレール１４は保護案内部１３の後進限位置に向けた移動に伴って後進限位置に向かって移動する。

　一方、長尺物の案内装置１１が後進限位置から前進限位置へ移動する場合には、ガイド溝１６の下側直線部１６ｂに位置する保護案内部１３の複数の係合部１５のローラ３１が、移動体（図示略）の移動に伴う保護案内部１３の移動により、湾曲部１６ｃを経由して上側直線部１６ａに順次転がりながら移動する。

　このとき、湾曲部１６ｃに位置するローラ３１は湾曲部１６ｃ内の内周面を押圧するため、これらローラ３１の押圧力によってガイドレール１４が前進限位置に向かって移動される。つまり、ガイドレール１４は保護案内部１３の前進限位置に向けた移動に伴って前進限位置に向かって移動する。

　このように、保護案内部１３の往復移動に伴ってガイドレール１４が往復移動するため、ガイドレール１４と保護案内部１３とは連動していると言える。また、保護案内部１３は、ガイドレール１４の高さ方向Ｚの両面及び曲面１４ｂに沿ってＵ字状に折り返すように配置された状態で、各係合部１５がガイド溝１６と係合している。このため、長尺物の案内装置１１が前進限位置と後進限位置との間で１往復移動する際には、ガイドレール１４の移動距離が保護案内部１３の移動距離の約半分になる。つまり、ガイドレールが１往復するときの移動距離は、保護案内部１３が１往復するときの移動距離よりも短くなる。

　以上詳述した第１実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
　（１）長尺物の案内装置１１において、ガイド溝１６は、保護案内部１３が往復移動する際に、複数の係合部１５の長手方向Ｘと交差する方向への移動を阻害し、且つ複数の係合部１５の長手方向Ｘへの移動を許容する。このため、保護案内部１３は、長手方向Ｘに沿って往復移動する際に、複数の係合部１５においてガイド溝１６によって長手方向Ｘと交差する方向への移動が阻害される。したがって、長尺物ＴＫを保護しながら案内する保護案内部１３の移動時の軌道を安定させることができる。

　（２）長尺物の案内装置１１において、係合部１５は係合リンク１７に設けられている。係合リンク１７及びノーマルリンク１８の各々とガイドレール１４との間には、すなわち、各リンク１２とガイドレール１４との間には、隙間Ｓが形成されている。このため、保護案内部１３及びガイドレール１４が移動する際に、保護案内部１３を構成するリンク１２とガイドレール１４とが擦れ合うことを抑制できるので、リンク１２及びガイドレール１４が摩耗することを抑制できる。

　（３）長尺物の案内装置１１において、係合部１５は、係合リンク１７と一体に設けられたアーム３０と、アーム３０の先端部に取着されてガイド溝１６内に移動可能に収容されるローラ３１とを有している。このため、係合リンク１７にアーム３０を一体成形することで、アーム３０の先端部にローラ３１を取着するだけで保護案内部１３に対して係合部１５を容易に設けることができる。

　（４）長尺物の案内装置１１において、ガイドレール１４と保護案内部１３とは連動しており、ガイドレール１４が１往復するときの移動距離は、保護案内部１３が１往復するときの移動距離よりも短い。このため、ガイドレール１４を移動機構（図示略）によって移動させるように構成することで、保護案内部１３を移動機構によって移動させるように構成する場合に比べて、移動機構の大きさを小さくすることができる。この場合、ガイドレール１４を移動機構（図示略）によって移動させることで、保護案内部１３とともに移動体（図示略）が移動される。

　（５）長尺物の案内装置１１において、ガイドレール１４が保護案内部１３を支持するため、保護案内部１３の垂れ下がりを抑制しつつ長ストローク化を実現できる。また、保護案内部１３の垂れ下がりが抑制されるので、保護案内部１３の垂れ下がりに起因する製品の劣化が抑制され、製品の長寿命化を図ることができる。さらに、保護案内部１３がガイドレール１４に支持されるので、長尺物ＴＫの反発力によって保護案内部１３が外側に膨らむように湾曲することが抑制され、製品を設置する際の省スペース化に貢献できる。この場合、ガイドレール１４以外に保護案内部１３をガイドする部材が不要となる。

　（第２実施形態）
　次に、長尺物の案内装置の第２実施形態を図面に従って説明する。
　図１２に示すように、第２実施形態の長尺物の案内装置４１は、上記第１実施形態の長尺物の案内装置１１において、係合リンク１７に設ける一対の係合部１５を１つの係合部４２に変更し、且つガイドレール１４をガイドレール４３に変更したものである。したがって、第２実施形態では、同一の部材については同一の符号を使用し、第１実施形態と重複する説明は省略する。

　図１３及び図１４に示すように、係合リンク１７の一対のリンク部２０のうちの一方のリンク部２０の高さ方向Ｚにおける第２連結部材２２側の端部には、係合部４２が設けられている。係合部４２は、幅方向Ｙの内側に向かって屈曲する略Ｌ字状のアーム４４と、アーム４４の先端部に回転可能に取着されたローラ３１とを備えている。

　すなわち、アーム４４は、リンク部２０から幅方向Ｙの内側に向かって斜めに延びる支持部４４ａと、支持部４４ａの先端部における内側面から幅方向Ｙの内側に向かって延びる略円柱状のピン部４４ｂとを有している。そして、ピン部４４ｂの先端部にローラ３１が回転可能に支持されている。

　図１４に示すように、ピン部４４ｂにおけるローラ３１よりも先端側の位置には、ピン部４４ｂからローラ３１が脱落することを抑制するためのＥリング３２が取着されている。この場合、ローラ３１は、係合リンク１７における幅方向Ｙの中央部と高さ方向Ｚにおいて対向するように配置される。アーム４４は、係合リンク１７のリンク部２０に例えば一体成形することによって、リンク部２０に一体に形成される。

　図１２及び図１５に示すように、ガイドレール４３は、長手方向Ｘに長い略直方体状をなしており、幅方向Ｙにおける片方の側面にガイド溝４５を有している。ガイドレール４３における長手方向Ｘの第１端側の端面は平面４３ａにより構成され、長手方向Ｘの第２端側の端面は円弧状の曲面４３ｂにより構成されている。

　ガイド溝４５は、ガイドレール４３の第１端から第２端まで真っ直ぐに延びた後、Ｕターンして第１端まで真っ直ぐに延びている。すなわち、ガイド溝４５は、平面４３ａから曲面４３ｂに向かって真っ直ぐに延びる上側直線部４５ａと、上側直線部４５ａの下側に位置して平面４３ａから曲面４３ｂに向かって真っ直ぐに延びる下側直線部４５ｂと、ガイドレール４３の長手方向Ｘの第２端において上側直線部４５ａ及び下側直線部４５ｂを連結するＵ字状の湾曲部４５ｃとを備えている。

　この場合、湾曲部４５ｃは曲面４３ｂの内側に沿うように湾曲しており、上側直線部４５ａ及び下側直線部４５ｂは互いに同一の構成を有している。ガイド溝４５は、ガイドレール４３の平面４３ａにおいて開口している。

　ガイドレール４３は、互いに着脱可能に直列に連結される複数のガイドレール構成部材に分割されている。本実施形態におけるガイドレール構成部材は、湾曲部４５ｃが形成された１つの第１ガイドレール構成部材４６と、上側直線部４５ａ及び下側直線部４５ｂが形成された３つの第２ガイドレール構成部材４７とによって構成されている。第１ガイドレール構成部材４６における曲面４３ｂとは反対側の面には矩形板状の突片４８が形成されている。

　第２ガイドレール構成部材４７の長手方向Ｘにおける一方側の端面には突片４８が形成され、第２ガイドレール構成部材４７の長手方向Ｘにおける他方側の端面には突片４８が挿抜自在に挿嵌される挿入孔４９が形成されている。そして、第１ガイドレール構成部材４６の突片４８を１つ目の第２ガイドレール構成部材４７の挿入孔４９に挿嵌し、その１つ目の第２ガイドレール構成部材４７の突片４８を２つ目の第２ガイドレール構成部材４７の挿入孔４９に挿嵌し、その２つ目の第２ガイドレール構成部材４７の突片４８を３つ目の第２ガイドレール構成部材４７の挿入孔４９に挿嵌することでガイドレール４３が組み立てられる。

　図１６に示すように、ガイドレール４３における幅方向Ｙの幅は、係合リンク１７における一対のリンク部２０の間の間隔よりも狭くなるように設定されている。ガイド溝４５内は、係合部４２のピン部４４ｂにおけるローラ３１よりも先端側の部分及びローラ３１を若干の遊びを持たせた状態で収容可能な広さに設定されている。ガイド溝４５における幅方向Ｙ側の開口部４５ｄの幅は、係合部４２のピン部４４ｂにおけるローラ３１よりも基端側の部分の外径よりも広く、且つローラ３１の外径よりも狭くなるように設定されている。

　したがって、ガイド溝４５は、保護案内部１３が長手方向Ｘに沿って往復移動する際に、複数の係合部４２の長手方向Ｘと交差する方向への移動を阻害し、且つ複数の係合部４２の長手方向Ｘへの移動を許容する。すなわち、ガイド溝４５は、保護案内部１３が長手方向Ｘに沿って往復移動する際に、複数の係合部４２のガイド溝４５に沿う方向以外の方向への移動を阻害し、且つ複数の係合部４２のガイド溝４５に沿う方向への移動を許容する。

　図１６に示すように、ガイドレール４３と係合リンク１７（第２連結部材２２）との間には、隙間Ｓが形成されている。そして、ノーマルリンク１８は、長手方向Ｘの両側に係合リンク１７が連結されるので、ガイドレール４３とノーマルリンク１８（第２連結部材２２）との間にも隙間Ｓが形成される。つまり、ガイドレール４３とリンク１２との間に隙間Ｓが形成される。

　以上詳述した第２実施形態によれば、上記（１）～（５）の効果に加えて、次のような効果が発揮される。
　（６）長尺物の案内装置４１において、ガイドレール４３は、互いに着脱可能に連結される１つの第１ガイドレール構成部材４６と、３つの第２ガイドレール構成部材４７とに分割されている。このため、第２ガイドレール構成部材４７の数を変更するだけで、ガイドレール４３の長さを保護案内部１３の長さに容易に合わせることができる。すなわち、保護案内部１３の長さに合わせてガイドレール４３の長さを容易に調節することができる。

　（７）長尺物の案内装置４１において、各係合リンク１７には係合部４２が１つだけ設けられている。このため、第１実施形態の長尺物の案内装置１１に比べて使用するローラ３１の数を半減させることができる。

　（変更例）
　上記各実施形態は次のように変更してもよい。
　・第１実施形態の長尺物の案内装置１１において、各係合リンク１７に設けられた一対の係合部１５のうちの一方の係合部１５を省略した図１７に示す係合リンク１７Ａと、他方の係合部１５を省略した図１８に示す係合リンク１７Ｂとを直列に交互に配置した状態で回動可能に連結することにより保護案内部１３を形成してもよい。このようにすれば、図１９に示すように、保護案内部１３の複数の係合部１５が長手方向Ｘに沿って千鳥状に配列されるので、ガイドレール１４によって保護案内部１３を複数の係合部１５においてバランスよく支持することができる。

　・図２０に示すように、第１実施形態における係合リンク１７に設けた係合部１５のローラ３１の代わりに、ガイド溝１６内に摺動可能に収容される直方体状の摺動部材５０を被収容部として用いてもよい。この場合、図２１に示すように、摺動部材５０は中心から少しずれた位置に四角形状の貫通孔５０ａを有している。そして、ピン部３０ｂにおける摺動部材５０を支持する部分の断面形状は貫通孔５０ａと対応する四角形状をなしている。したがって、摺動部材５０は、保護案内部１３が移動する際に、回転することなくガイド溝１６内を摺動する。

　・第１及び第２実施形態において、長手方向Ｘで隣り合う係合リンク１７とノーマルリンク１８との回動可能範囲（例えば、－２°～３０°）を、長尺物の案内装置１１，４１の使用時における長手方向Ｘで隣り合う係合リンク１７とノーマルリンク１８との回動範囲（例えば、０°～２８°）よりも若干広くなるように設定してもよい。すなわち、長尺物の案内装置１１，４１の使用時に、長手方向Ｘにおいて隣り合う係合リンク１７とノーマルリンク１８とが、直線姿勢に配置される直前の姿勢と、屈曲姿勢に配置される直前の姿勢との間で回動するように、保護案内部１３及びガイド溝１６，４５を構成してもよい。このようにすれば、長尺物の案内装置１１，４１の使用時に、長手方向Ｘにおいて隣り合う係合リンク１７及びノーマルリンク１８のうちの一方のリンクのリンク部２０の第１ストッパー面２５及び第２ストッパー面２６が他方のリンクのリンク部２０の第１当接面２７及び第２当接面２８にそれぞれぎりぎり当接しない程度に接近する。このため、長尺物の案内装置１１，４１の使用時に、第１ストッパー面２５が第１当接面２７に当接するときに発生する衝突音や第２ストッパー面２６が第２当接面２８に当接するときに発生する衝突音をほぼ無くすことができる。

　・第１及び第２実施形態において、係合リンク１７及びノーマルリンク１８の第１ストッパー面２５、第１当接面２７、第２ストッパー面２６、及び第２当接面２８のうちの少なくとも１つを省略してもよい。

　・第１実施形態のガイドレール１４を、第２実施形態のガイドレール４３のように、複数のガイドレール構成部材に分割できるように構成してもよい。
　・第１及び第２実施形態における係合リンク１７及びノーマルリンク１８において、第２連結部材２２を一対のリンク部２０に対して着脱自在に構成してもよい。

　・第２実施形態において、ガイドレール４３を構成する３つの第２ガイドレール構成部材４７は、互いに長手方向Ｘの長さが異なっていてもよい。
　・第２実施形態において、ガイドレール４３は、必ずしも複数のガイドレール構成部材に分割できるように構成する必要はない。

　・第１実施形態において、保護案内部１３を構成する全てのリンク１２に係合部１５を設けてもよい。第２実施形態において、保護案内部１３を構成する全てのリンク１２に係合部４２を設けてもよい。

　・第１及び第２実施形態において、保護案内部１３は、係合リンク１７が長手方向Ｘに沿って２つおきに配置される構成であってもよいし、係合リンク１７が長手方向Ｘに沿って３つおきに配置される構成であってもよい。すなわち、保護案内部１３において、長手方向Ｘに互いに最も近くに位置する２つの係合リンク１７の間に配置されるノーマルリンク１８の数は、２つであってもよいし、３つであってもよい。

　１１，４１…長尺物の案内装置、１２…リンク、１３…保護案内部、１４，４３…ガイドレール、１５，４２…係合部、１６，４５…ガイド溝、２０…リンク部、３０，４４…アーム、３１…被収容部としてのローラ、４６…ガイドレール構成部材を構成する第１ガイドレール構成部材、４７…ガイドレール構成部材を構成する第２ガイドレール構成部材、５０…被収容部としての摺動部材、ＳＫ…収容空間、ＴＫ…長尺物、Ｘ…長手方向、Ｗ…湾曲部分。

Claims

　直列に配置された状態で互いに回動可能に連結され、かつ内部に長尺物を収容可能な収容空間を形成する複数のリンクを有し、前記収容空間に収容された前記長尺物を保護しながら案内する保護案内部と、
　前記保護案内部が湾曲部分を形成しながら長手方向に沿って往復移動する際に、前記保護案内部をガイドしながら往復移動するガイドレールと、
を備え、
　前記保護案内部は、前記ガイドレールと係合可能に前記長手方向に沿って並ぶように配置された複数の係合部を有し、
　前記ガイドレールは、前記複数の係合部と係合して前記保護案内部をガイド可能に前記長手方向に沿って延びるガイド溝を有し、
　前記ガイド溝は、前記保護案内部が往復移動する際に、前記複数の係合部の前記長手方向と交差する方向への移動を阻害し、且つ前記複数の係合部の前記長手方向への移動を許容することを特徴とする長尺物の案内装置。
　前記複数の係合部は、前記複数のリンクのうちの少なくとも一部に設けられており、
　各リンクと前記ガイドレールとの間には、隙間が形成されていることを特徴とする請求項１に記載の長尺物の案内装置。
　各係合部は、前記複数のリンクのうちの対応する１つのリンクと一体に設けられたアームと、前記アームの先端部に取着されて前記ガイド溝内に移動可能に収容される被収容部とを有していることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の長尺物の案内装置。
　前記ガイドレールは、互いに着脱可能に連結される複数のガイドレール構成部材に分割されていることを特徴とする請求項１～請求項３のうちいずれか一項に記載の長尺物の案内装置。
　前記ガイドレールと前記保護案内部とは連動しており、
　前記ガイドレールが１往復するときの移動距離は、前記保護案内部が１往復するときの移動距離よりも短いことを特徴とする請求項１～請求項４のうちいずれか一項に記載の長尺物の案内装置。
　請求項１～請求項５のうちいずれか一項に記載の長尺物の案内装置に備えられたガイドレール。