WO2017077800A1

WO2017077800A1 - 車両の側部車体構造

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Publication number: WO2017077800A1
Application number: PCT/JP2016/079390
Authority: WO
Inventors: 繁中内; 伸之中山; 隆行中前
Original assignee: マツダ株式会社
Priority date: 2015-11-06
Filing date: 2016-10-04
Publication date: 2017-05-11
Also published as: JP2017087867A; CN108349546A; JP6304505B2; DE112016000647T5; CN108349546B; US10173731B2; US20170282975A1

Abstract

本出願は、車両の側部車体構造を開示する。側部車体構造は、エプロンレインフォースメント部材と、エプロンレインフォースメント部材の外側を覆うフェンダパネルと、フェンダパネルに接続される複数のブラケットと、を備える。複数のブラケットのうち少なくとも１つのブラケットは、フェンダパネルを支持する支持部を有する本体部と、車幅方向における本体部の内側部分の前端部から下方に延び、エプロンレインフォースメント部材に取り付けられた前側脚部と、本体部の後端部から下方に延び、エプロンレインフォースメント部材に取り付けられた後側脚部と、を含む。前側脚部には、車幅方向に延びる長軸を有する内長孔部、及び、内長孔部よりも車幅方向において外側に形成され、且つ、内長孔部の長軸よりも長い長軸を有する外長孔部が形成されている。

Description

車両の側部車体構造

　本発明は、フェンダパネルが、エプロンレインフォースメント部材に、複数のブラケットを介して支持された車両の側部車体構造に関する。

　フェンダパネルが、車体の前後方向に延びるエプロンレインフォースメント部材の上端部に、ブラケットを介して取り付けられた構造は、従来から知られている（特許文献１を参照）。フェンダパネルを支持するという基本的なフェンダ支持機能に加えて、車両に衝突され、ボンネット上に跳ね上げられた衝突体（たとえば、歩行者）へのダメージを軽減する機能、すなわち、衝突体が、ボンネットから受ける衝撃力を吸収する衝撃力吸収機能が、上述のブラケットに求められる。ボンネットストッパが、ブラケットに取り付けられるならば、これらの機能に加えて、ボンネットを閉めるときに生じる荷重を受け止める荷重受け止め機能がブラケットに要求される。

　特許文献２の車両の側部車体構造は、エプロンレインフォースメント部材と、ブラケットを介してエプロンレインフォースメント部材に支持されたフェンダパネルと、を備える。エプロンレインフォースメント部材の前端部は、フロントサイドフレームに連結されている。ブラケットは、複数の脚部と取付面部とを有する。複数の脚部は、車幅方向において外側、且つ、斜め上方に延びる。複数の脚部は、エプロンレインフォースメント部材の上面に接合される。取付面部には、フェンダパネルを支持する支持部が形成される。

　ボンネットストッパは、取付面部の支持部よりも、車幅方向において内側の部位に配置される。したがって、フェンダパネルの前端側の部分が、エプロンレインフォースメント部材の前端側の部分よりも車幅方向において外側に配設されていても、特許文献２の車両の側部車体構造は、衝突荷重を分散させる性能と、ブラケットを容易に変形させる性能と、ボンネットが閉じられる時の衝撃に耐える性能と、を有することができる。

　車両のデザインは、多様化している。これらのデザインの中には、フェンダパネルの前端側部分がエプロンレインフォースメント部材の前端側の部分に近接するように配設された構造が存在している。このような構造に関して、フェンダパネルの前端側部分とエプロンレインフォースメント部材の前端側の部分との間の上下方向の離隔距離が短すぎることもある。この場合、衝突体がボンネットから受ける衝撃力は、特許文献１及び２のブラケットの構造によっては、十分に吸収されないこともある。

　特許文献１及び２のブラケットが衝撃力を吸収するメカニズムに関して、ブラケットの上方から下向きの荷重がブラケットに作用したとき、脚部は、座屈変形或いは潰れ変形される。これらのブラケットの衝撃力吸収機能は、フェンダパネルの前端側の部分とエプロンレインフォースメント部材の前端側の部分との間の離隔距離（変形ストローク）に依存する。変形ストローク（所謂、ブラケットの上下長）が不十分であるならば、衝撃力は、十分に吸収されない。

特開２０１５－１１２９１８号公報特開２０１２－１７６６３６号公報

　本発明の目的は、衝撃力を十分に吸収することができる車両の側部車体構造を提供することである。上下長が小さいブラケットが、側部車体構造に用いられても、衝撃力は、十分に吸収される。

　本発明の一局面に係る車両の側部車体構造は、車体の前後方向に延びるエプロンレインフォースメント部材と、車幅方向における前記エプロンレインフォースメント部材の外側を覆うように配設されたフェンダパネルと、前記フェンダパネルに接続される複数のブラケットと、を備える。前記フェンダパネルは、前記複数のブラケットを介して、前記エプロンレインフォースメント部材に支持される。前記複数のブラケットのうち少なくとも１つのブラケットは、（ｉ）前記フェンダパネルを支持する支持部を有する本体部と、（ｉｉ）前記車幅方向における前記本体部の内側部分の前端部から鉛直下方に延び、前記エプロンレインフォースメント部材に取り付けられた前側脚部と、（ｉｉｉ）前記本体部の後端部から鉛直下方に延び、前記エプロンレインフォースメント部材に取り付けられた後側脚部と、を含む。前記支持部は、前記車幅方向における前記本体部の外側部位に形成される。前記前側脚部には、（ａ）前記車幅方向に延びる長軸を有する内長孔部、及び、（ｂ）前記内長孔部よりも車幅方向において外側に形成され、且つ、内長孔部の長軸よりも長い長軸を有する外長孔部が形成されている。

　上述の車両の側部車体構造は、上下長が小さいブラケットが、側部車体構造に用いられても、衝撃力を、十分に吸収することができる。

　本発明の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。

例示的な側部車体構造の斜視図（前方且つ右側）である。図１に示される側部車体構造の斜視図であり、バンパフェイシャ及びオーバーフェンダは、側部車体構造から除去されている。図２に示される側部車体構造の斜視図（エンジンルーム側）である。図２に示される側部車体構造の正面図である。図３に示される側部車体構造の斜視図であり、エッジカバーは、側部車体構造から除去されている。第１ブラケットの平面図である。第１ブラケットの斜視図（前側且つ上方）である。第１ブラケットの左側面図である。第１ブラケットの背面図である。

　車両の例示的な側部車体構造が、図面を参照して、説明される。しかしながら、本実施形態の原理は、以下の説明に表される構造や形状に限定されない。当業者は、以下に説明される構造や形状を変更し、様々な側部車体構造を構築することができる。

　図１は、側部車体構造の斜視図であり、車両Ｖの前部の右側部分を示す。図１を参照して、車両Ｖが説明される。

　車両Ｖは、２つのフロントサイドパネル１と、２つのエプロンレインフォースメント部材２と、２つのフロントフェンダパネル（以下、「フェンダパネル３」と称される）と、ボンネット（図示せず）と、を備える。２つのフロントサイドフレーム１のうち一方は、車両Ｖの左側部位において、車両Ｖの前後方向に延びる。２つのフロントサイドフレーム１のうち他方は、車両Ｖの右側部位において、車両Ｖの前後方向に延びる。２つのエプロンレインフォースメント部材２のうち一方は、車両Ｖの左側部位において、車両Ｖの前後方向に延びる。２つのエプロンレインフォースメント部材２のうち他方は、車両Ｖの右側部位において、車両Ｖの前後方向に延びる。２つのフェンダパネル３のうち一方は、車両Ｖの左側部位を形成し、車幅方向において車両Ｖの外側を覆う。２つのフェンダパネル３のうち他方は、車両Ｖの右側部位を形成し、車幅方向において車両Ｖの外側を覆う。ボンネットは、エンジンルームＥの上方に配置され、エンジンルームＥを覆う。

　２つのフロントサイドパネル１、２つのエプロンレインフォースメント部材２及び２つのフェンダパネル３は、対称的な構造を形成する。以下、右側の構造が、主に説明される。右側の構造に関する説明は、左側の構造にも適用可能である。図面に示される矢印Ｆは、前方を意味する。図面に示される矢印Ｌは、左方を意味する。図面に示される矢印Ｕは、上方を意味する。

　図２は、側部車体構造の斜視図である。バンパフェイシャ４及びオーバーフェンダ５は、図２に示される側部車体構造から除去されている。図３は、側部車体構造の斜視図である。図３は、エンジンルームＥを主に示す。図４は、側部車体構造の正面図である。図５は、側部車体構造の斜視図である。エッジカバー１５は、図５に示される側部車体構造から除去されている。図１乃至図５を参照して、フロントサイドフレーム１が説明される。

　２つのフロントサイドフレーム１それぞれは、略矩形状の断面を有する（閉断面構造）。２つのフロントサイドフレーム１それぞれは、車室の前端を仕切るダッシュパネル（図示せず）の前側に配置される。２つのフロントサイドフレーム１のうち一方は、エンジンルームＥの左側において、車両Ｖの前後方向に延びる。２つのフロントサイドフレーム１のうち一方は、エンジンルームＥの右側において、車両Ｖの前後方向に延びる。

　２つのフロントサイドフレーム１は、車両Ｖの前端位置から後方へ向かって略水平に延びる。２つのフロントサイドフレーム１それぞれの後端に近い部分は、ダッシュパネルの縦壁部に接合される。２つのフロントサイドフレーム１それぞれの後端部分は、フロアパネル（図示せず）の下面に沿って延びる。２つのフロントサイドフレーム１それぞれの後端部分は、後方に向かうにつれて下方に傾斜する。２つのフロントサイドフレーム１それぞれの後端部分は、ダッシュパネルに接合されている。

　クラッシュカン（図示せず）の後端部分は、２つのフロントサイドフレーム１それぞれの前端部に、セットプレート６を介して固定されている。軽衝突等のように小さな衝撃荷重がクラッシュカンに作用すると、クラッシュカンのみが潰れ、衝撃エネルギが吸収される。この場合、フロントサイドフレーム１は、破損しない。

　バンパレインフォースメント部材（図示せず）は、車両Ｖの左側部位及び右側部位に配置されたクラッシュカンの前端部に装着されている。バンパレインフォースメント部材は、車幅方向（左右）に延びる。

　バンパフェイシャ４は、バンパレインフォースメント部材の前方に配置される。バンパフェイシャ４は、バンパレインフォースメント部材の前側領域を覆う。長手方向におけるバンパフェイシャ４の途中部は、バンパレインフォースメント部材によって支持される。バンパフェイシャ４の左端部及び右端部は、フェンダパネル３によって支持される。

　図１乃至図５を参照して、エプロンレインフォースメント部材２が説明される。

　２つのエプロンレインフォースメント部材２は、２つのフロントサイドフレーム１よりも上方に配置される。左側のエプロンレインフォースメント部材２は、左側のフロントサイドフレーム１よりも左方に配置される。右側のエプロンレインフォースメント部材２は、右側のフロントサイドフレーム１よりも右方に配置される。２つのエプロンレインフォースメント部材２は、２つのヒンジピラー７の付け根部分から直線状に延びる。２つのエプロンレインフォースメント部材２それぞれの端部は、車両Ｖの前後方向において、クラッシュカンの後端部と略同位置にある。エプロンレインフォースメント部材２は、上側パネルと下側パネルとを含む。上側パネルは、内壁部を含むエプロンレインフォースメント部材２の上半部を形成する。下側パネルは、外壁部を含むエプロンレインフォースメント部材２の下半部を形成する。上側パネル及び下側パネルは、閉断面を形成する。上側パネルと下側パネルとによって形成される閉断面は、車両Ｖの前後方向に延びる。

　エプロンレインフォースメント部材２は、略矩形状の閉断面を形成する。閉断面は、エプロンレインフォースメント部材２の後端部分から前端近傍まで延びる。柱状のサスペンションタワー８及びエンジンマウントフレーム９は、エプロンレインフォースメント部材２の閉断面の後端部分に配置される。サスペンションタワー８及びエンジンマウントフレーム９は、フロントサイドフレーム１とエプロンレインフォースメント部材２との間で架け渡される。

　エプロンレインフォースメント部材２は、略矩形状の閉断面部に加えて、略三角形状の閉断面を形成する。略三角形状の閉断面は、略矩形状の閉断面の前方に位置する。略三角形状の閉断面よりも前方では、上側パネルのみが延設される。ラジエータを支持するラジエータシュラウド（図示せず）が取り付けられる取付部２ａは、上側パネルの前端の内側部分に形成されている。

　図１乃至図５に示される如く、エプロンレインフォースメント部材２の前端部は、連結フレーム１０を介して、フロントサイドフレーム１の前端部に連結されている。

　図４に示される如く、連結フレーム１０は、金属製板材をプレス加工することにより成形される。連結フレーム１０は、正面視において、逆Ｌ字状に形成されている。連結フレーム１０の上端部分は、略Ｃ字状の断面を有する。連結フレーム１０の上端部分は、エプロンレインフォースメント部材２の上側パネルと下側パネルとの間に挟着される。連結フレーム１０、上側パネル及び下側パネルは、３重接合されている。連結フレーム１０の下端部分は、略Ｌ字状の断面を有する。連結フレーム１０の下端部分は、フロントサイドフレーム１の前端部の右側部分に接合されている。

　フェンダステー１１は、連結フレーム１０の後側に配設されている。フェンダステー１１の下端部は、フロントサイドフレーム１の前端部の右側部分に接合される。フェンダステー１１は、上方に向かうにつれて右方に位置する。フェンダステー１１の上端部は、連結フレーム１０の上端部よりも下方且つ右側に配設されている。

　図１を参照して、バンパフェイシャ４及びオーバーフェンダ５が説明される。

　合成樹脂製のバンパフェイシャ４の中間部分は、平面視において、前方に突出するように湾曲している。グリル開口部は、バンパフェイシャ４の正面部分に形成される。走行風は、グリル開口部を通じて、エンジンルームＥ内に導入される。バンパフェイシャ４の中間部分は、バンパレインフォースメント部材によって支持される。バンパフェイシャ４の左端部分及び右端部分は、フェンダパネル３によって支持されている。

　バンパフェイシャ４の左端部分及び右端部分は、車幅方向において内側に屈曲され、縦壁部を形成する。バンパフェイシャ４の縦壁部は、フェンダパネル３の縦壁部と、僅かな隙間を空けて対向する。バンパフェイシャ４の縦壁部の先端部は、前方に屈曲され、フランジ部を形成する。左右のフランジ部は、２つのクリップを介してフェンダパネル３の上下１対の支持部に連結されている。

　合成樹脂製のオーバーフェンダ５は、側面視において、部分円環状に形成されている。オーバーフェンダ５の左端部分及び右端部分は、車幅方向において内側に屈曲され、縦壁部を形成する。オーバーフェンダ５の縦壁部は、フェンダパネル３の縦壁部（後述される）と、僅かな隙間を空けて対向する。オーバーフェンダ５の縦壁部の先端部は、下方に屈曲され、フランジ部を形成する。オーバーフェンダ５のフランジ部は、複数（例えば、１４個）のクリップを介して、フェンダパネル３の支持部に連結されている。

　図１乃至図５を参照して、フェンダパネル３が説明される。

　フェンダパネル３は、エプロンレインフォースメント部材２の右側を上方から下方に亘って覆う。フェンダパネル３は、金属製板材（例えば、アルミ合金製板材）を、金型を用いたプレス加工によって単一部品として成形されている。

　フェンダパネル３は、平面視において、前方に向かうにつれて、エプロンレインフォースメント部材２から右方に離隔する。フェンダパネル３は、側壁部２１、第１フランジ部２５、第２フランジ部２６及び第３フランジ部２７を備える。側壁部２１は、車両Ｖの右側意匠面である。第１フランジ部２５、第２フランジ部２６及び第３フランジ部２７は、側壁部２１から縦壁部を介して連なる。

　側壁部２１は、先細り形状の先端部と、直線部と、アーチ部と、を含む。先端部は、側壁部２１の前端側の上部分に形成される。先端部は、縦長のヘッドランプの内側に沿ってバンパレインフォースメント部材の後端の近傍位置まで延びる。直線部は、側壁部２１の前端側の下部分に位置する。直線部は、前方に向かうにつれて上方へ傾斜する。アーチ部は、側壁部２１の下端側部分において、ホイールアーチを形成する。

　図２に示されるように、第１フランジ部２５は、左右方向に対して略直交する平坦面部を含む。ボルト穴は、平坦面部に形成される。第１フランジ部２５は、フェンダステー１１の上端部に、ボルトｂ１によって、締結されている。

　第２フランジ部２６は、左右方向に対して略直交する平坦面部と、平坦面部に形成されたボルト穴と、を備えている。第２フランジ部２６の前側の下端部は、フェンダステー１１の上端部にボルトｂ１によって締結される。第２フランジ部２６の後側の下端部は、ヒンジピラー７に設けられたブラケットにボルトｂ２によって締結されている。

　図５に示されるように、第３フランジ部２７は、エプロンレインフォースメント部材２の上側パネルから上方に離間する。第３フランジ部２７は、側壁部２１の上端部に連なる縦壁部の下端部から左方に延びる。第３フランジ部２７は、エプロンレインフォースメント部材２の上側パネルに固着された第１～第３ブラケット１２～１４に、ボルトｂ３によって締結されている。

　３つの取付部２７ａ～２７ｃ及び４つの支持部２７ｄ～２７ｇは、第３フランジ部２７に形成されている。

　前側取付部２７ａは、第１ブラケット１２に対応した位置にボルト穴を有する。中間取付部２７ｂは、第２ブラケット１３に対応した位置にボルト穴を有する。後側取付部２７ｃは、第３ブラケット１４に対応した位置にボルト穴を有する。

　４つの支持部２７ｄ～２７ｇは、複数のクリップ穴を有する。複数のクリップ穴は、前後方向に略等間隔に形成される。４つの支持部２７ｄ～２７ｇは、エッジカバー１５を、４つのクリップを用いて、支持している。

　図１乃至図５を参照して、第２ブラケット１３及び第３ブラケット１４が、説明される。

　第２ブラケット１３及び第３ブラケット１４は、構造において略同一である。第２ブラケット１３及び第３ブラケット１４は、本体部と、前側脚部１３ａ，１４ａと、後側脚部１３ｂ，１４ｂと、をそれぞれ含む。第２ブラケット１３及び第３ブラケット１４の本体部は、中間取付部２７ｂ及び後側取付部２７ｃにそれぞれ重なり合う。前側脚部１３ａ，１４ａは、これらの本体部の前端部から下方に延び、エプロンレインフォースメント部材２に接合される。後側脚部１３ｂ，１４ｂは、本体部の後端部から下方に延び、エプロンレインフォースメント部材２に接合される。

　縦長の開口部は、前側脚部１３ａ，１４ａ及び後側脚部１３ｂ，１４ｂそれぞれに形成されている。したがって、所定の大きさを超える荷重が、フェンダパネル３の中間取付部２７ｂ及び後側取付部２７ｃに下方に作用したとき、これら脚部１３ａ，１３ｂ，１４ａ，１４ｂは、潰れ変形することができる。

　図１乃至図５を参照して、第１ブラケット１２が説明される。

　所定の大きさの荷重が、フェンダパネル３の前側取付部２７ａに下方に作用すると、第１ブラケット１２は、潰れ変形する。所定の荷重よりも大きな荷重が作用すると、折れ変形が、潰れ変形に引き続いて、第１ブラケット１２に生ずる。

　図１乃至図５に示されるように、第１ブラケット１２は、エプロンレインフォースメント部材２と連結フレーム１０との間の連結部位において、エプロンレインフォースメント部材２の上側パネルによって支持されている。

　図６は、第１ブラケット１２の平面図である。図７は、第１ブラケット１２の斜視図（前側且つ上方）である。図８は、第１ブラケット１２の左側面図である。図９は、第１ブラケット１２の背面図である。図５乃至図９を参照して、第１ブラケット１２が更に説明される。

　第１ブラケット１２は、金属製板材をプレス加工することにより、一体的に成形される。第１ブラケット１２は、本体部３１と、前側脚部３２と、後側脚部３３と、を含む。前側脚部３２は、本体部３１の前端部分に連なる。後側脚部３３は、本体部３１の後端部分に連なる。

　本体部３１は、略水平に配置される。本体部３１は、第１支持部３１ａと、第２支持部３１ｂと、ストッパ取付部３１ｃと、第１開口部３１ｄ（脆弱部）と、第２開口部３１ｅ（脆弱部）と、を有する。第１支持部３１ａは、前側取付部２７ａのボルト穴に挿通されたボルトｂ３を介して、前側取付部２７ａ（図５を参照）を支持する。第２支持部３１ｂは、ヘッドライトユニット（図示せず）を、ボルトを介して支持する。ストッパ取付部３１ｃは、ボンネットストッパ１６（図７を参照）を支持する。

　図６に示されるように、ストッパ取付部３１ｃは、本体部３１の基準部位に配置される。ストッパ取付部３１ｃは、本体部３１の前端の左方部位に形成されている。第１支持部３１ａ及び第２支持部３１ｂは、本体部３１の基準部位から上方に突出する。第１支持部３１ａは、本体部３１の前端の右方部位に配置される。第２支持部３１ｂは、第１支持部３１ａとストッパ取付部３１ｃとの間に配置されている。第１支持部３１ａ及び第２支持部３１ｂを含む面部は、前方に向かって僅かに傾斜する。したがって、第１ブラケット１２は、衝撃力を、効率的に吸収することができる。エプロンレインフォースメント部材２の上側パネル及び連結フレーム１０のボンネットストッパ１６の下端部に対応した開口部（図示せず）は、ストッパ取付部３１ｃの下方に形成されている。したがって、第１ブラケット１２が下方に潰れ変形したとき、ボンネットストッパ１６は、エプロンレインフォースメント部材２の上側パネルに干渉しにくい。

　第１開口部３１ｄ及び第２開口部３１ｅは、第１支持部３１ａ及び第２支持部３１ｂよりも後方の傾斜部分に形成されている。第１開口部３１ｄは、第２支持部３１ｂの後側に配置される。第２開口部３１ｅは、第２支持部３１ｂとストッパ取付部３１ｃとの間の中間部の後方に配置されている。第１開口部３１ｄ及び第２開口部３１ｅは、第１ブラケット１２の軽量化に寄与する。

　本体部３１は、縦壁部３１ｆと、後側縦壁部３１ｇと、を含む。縦壁部３１ｆは、本体部３１の右端部分の前端部から鉛直下方に延び、前側脚部３２に連なる。後側縦壁部３１ｇは、本体部３１の左端部分及び右端部分の後端部から鉛直下方に延び、後側脚部３３に連なる。

　前側脚部３２は、本体部３１の左端部分の前端部から鉛直下方に延び、エプロンレインフォースメント部材２の上側パネルに連結されている。図７に示されるように、前側脚部３２は、第１長孔部３２ａ（外長孔部）と、第２長孔部３２ｂ（内長孔部）と、中間壁部３２ｃと、フランジ部３２ｆと、を有する。

　第１長孔部３２ａは、前側脚部３２の中段部の右端部分に形成される。第１長孔部３２ａの長軸は、左右に延びる。第２長孔部３２ｂは、第１長孔部３２ａの左側に形成される。第２長孔部３２ｂの長軸は、第１長孔部３２ａの長軸と略同一直線上に位置する。第２長孔部３２ｂの長軸は、第１長孔部３２ａの長軸よりも短い。第１長孔部３２ａ及び第２長孔部３２ｂの長軸、並びに、縦壁部３１ｆは、車幅方向において外側に向かうにつれて上方に傾斜してもよい。縦壁部３１ｆの車幅方向における内側から半分以上は、第１長孔部３２ａの上縁と同一線上に位置してもよい。したがって、フェンダパネル３は、ボンネットストッパ１６の支持位置よりも高い位置で支持される。

　中間壁部３２ｃは、第１長孔部３２ａと第２長孔部３２ｂとの間に形成される。中間壁部３２ｃの左右中心線の左右方向位置は、ストッパ取付部３１ｃの中心の左右方向位置と略同じ位置になる。したがって、ボンネットが閉じられるときにボンネットストッパ１６に入力された荷重は、本体部３１、中間壁部３２ｃ、エプロンレインフォースメント部材２の順に伝搬され、車体側に分散される。

　フランジ部３２ｆは、前側脚部３２の下端部から前方に延びる。フランジ部３２ｆは、エプロンレインフォースメント部材２の上側パネルに溶接されている。

　後側脚部３３は、本体部３１の中央部分の後端部から鉛直下方に延び、エプロンレインフォースメント部材２の上側パネルに連結されている。図９に示されるように、後側脚部３３は、後側長孔部３３ａと、フランジ部３３ｆと、を含む。

　後側長孔部３３ａは、後側脚部３３の中段部の中央部分に形成される。後側長孔部３３ａの長軸は、左右に延びる。後側長孔部３３ａの左右方向位置は、第２開口部３１ｅの中心の左右方向位置と重なるように設定される。加えて、後側長孔部３３ａの左右方向位置は、第１開口部３１ｄの左右方向位置と部分的に重なるように設定されている。フランジ部３３ｆは、後側脚部３３の下端部から後方に延びる。フランジ部３３ｆは、エプロンレインフォースメント部材２の上側パネルに溶接されている。したがって、前側脚部３２及び後側脚部３２による潰れ変形後、第１長孔部３２ａの近傍部位、且つ、第１開口部３１ｄ及び第２開口部３１ｅの近傍部位を起点とする折れ変形が生じる。

　車両Ｖの側部車体構造の作用・効果が説明される。

　第２長孔部３２ｂ及び第１長孔部３２ａは、第１ブラケット１２の前側脚部３２に形成される。第２長孔部３２ｂは、左右に延びる長軸を有する。第１長孔部３２ａは、第２長孔部３２ｂよりも右側に形成される。第１長孔部３２ａの長軸は、第２長孔部３２ｂの長軸よりも長い。したがって、下向きの荷重が、第１ブラケット１２の上方から第１ブラケットにボンネットを介して作用すると、第１ブラケット１２の変形の前半時期には、前側脚部３２が下方に潰れ変形し、衝撃力を吸収する。第１ブラケット１２の変形の後半時期には、本体部３１は、第１長孔部３２ａの近傍部位を起点として折れ変形し、衝撃力を吸収する。この結果、設計者は、第１ブラケット１２の上下長を短くしても、第１ブラケットに衝撃力を効果的に吸収させることができる。

　側部車体構造は、ボンネットストッパ１６が取り付けられるストッパ取付部３１ｃを備える。ストッパ取付部３１ｃは、第１長孔部３２ａと第２長孔部３２ｂとの間に設けられた中間壁部３２ｃの左右方向位置に対応した部位に形成される。したがって、ボンネットが閉じられるときに生じた荷重は、中間壁部３２ｃを介して、エプロンレインフォースメント部材２に逃げることができる。したがって、前側脚部３２の潰れ変形は、阻害されず、側部車体構造は、ボンネットからの荷重を効果的に受け止めることができる。

　縦壁部３１ｆは、本体部３１の右側部分の前端部から鉛直下方に延び、前側脚部３２に連なる。縦壁部３１ｆの下端部は、第１長孔部３１ａ及び第２長孔部３１ｂの高さ位置と略同じ高さ位置に設定されているので、第１長孔部３１ａ及び第２長孔部３１ｂは、前側脚部３２の縦壁部３１ｆに対応する部位を利用して形成される。したがって、前側脚部３２の潰れ変形は、阻害されず、側部車体構造は、フェンダを適切に支持することができる。

　第１開口部３１ｄ及び第２開口部３１ｅは、本体部３１の前側脚部３２よりも右側、且つ、第１支持部３１ａよりも左側に形成される。下向きの荷重が、第１ブラケット１２の上方から第１ブラケット１２に作用すると、本体部３１は、前側脚部３２よりも右側、且つ、第１支持部３１ａよりも左側の位置を起点として、折れ変形される。

　上述の実施形態が、部分的に変更された変形例が、説明される。

　（１）上述の実施形態に関連して、フェンダパネルの上端部分を支持する３つのブラケットのうち前側（第１）ブラケットが説明されている。上述の実施形態に関連して説明されたブラケットの構造は、前側ブラケット及び中間（第２）ブラケットに適用されてもよい。上述の実施形態に関連して説明されたブラケットの構造は、３つ以上のブラケットに適用されてもよい。

　（２）上述の実施形態に関連して説明された第１長孔部及び第２長孔部は、楕円形状である。しかしながら、水平な長軸と鉛直の短軸を有する孔部が、楕円形状の孔部に代えて用いられてもよい。たとえば、孔部は、扁平であってもよい。

　（３）上述の実施形態に関して、第１開口部及び第２開口部が脆弱部として用いられている。しかしながら、他の部位よりも脆弱な構造が、第１開口部及び第２開口部に代えて、脆弱部として用いられてもよい。脆弱部は、複数の小孔が形成された領域であってもよい。代替的に、脆弱部は、他の部位よりも薄い領域であってもよい。

　（４）当業者は、本発明の趣旨を逸脱することなく、上述の実施形態に種々の変更を付加してもよい。上述の実施形態の原理は、そのような変更形態も包含する。

　上述の実施形態に関連して説明された例示的な側部車体構造は、以下の特徴を主に備える。

　上述の実施形態に関連して説明された車両の側部車体構造は、車体の前後方向に延びるエプロンレインフォースメント部材と、車幅方向における前記エプロンレインフォースメント部材の外側を覆うように配設されたフェンダパネルと、前記フェンダパネルに接続される複数のブラケットと、を備える。前記フェンダパネルは、前記複数のブラケットを介して、前記エプロンレインフォースメント部材に支持される。前記複数のブラケットのうち少なくとも１つのブラケットは、（ｉ）前記フェンダパネルを支持する支持部を有する本体部と、（ｉｉ）前記車幅方向における前記本体部の内側部分の前端部から鉛直下方に延び、前記エプロンレインフォースメント部材に取り付けられた前側脚部と、（ｉｉｉ）前記本体部の後端部から鉛直下方に延び、前記エプロンレインフォースメント部材に取り付けられた後側脚部と、を含む。前記支持部は、前記車幅方向における前記本体部の外側部位に形成される。前記前側脚部には、（ａ）前記車幅方向に延びる長軸を有する内長孔部、及び、（ｂ）前記内長孔部よりも車幅方向において外側に形成され、且つ、内長孔部の長軸よりも長い長軸を有する外長孔部が形成されている。

　上述の構成によれば、ブラケットの前側脚部には、車幅方向に延びる長軸を有する内長孔部、及び、内長孔部よりも車幅方向において外側に形成され、且つ、内長孔部の長軸よりも長い長軸を有する外長孔部が形成されるので、ブラケットの上方からブラケットに作用する下向きの荷重によって生じたブラケットの変形の前半時期には、下方への潰れ変形が、前側脚部に生ずる。この結果、前側脚部は、衝撃力を吸収することができる。ブラケットの変形の後半時期には、外長孔部の近傍部位を起点とした折れ変形が、本体部に生じ、衝撃力が、吸収される。したがって、設計者は、衝撃力を効果的に吸収することができるブラケットの上下長を短くすることができる。

　上記の構成に関して、前記本体部は、ボンネットストッパが取り付けられるストッパ取付部を含んでもよい。前記前側脚部は、前記内長孔部と前記外長孔部との間に設けられた中間壁部を含んでもよい。前記ストッパ取付部は、前記車幅方向において前記中間壁部に対応する位置に形成されてもよい。

　上記の構成によれば、ボンネットが閉じられた時に発生した荷重は、中間壁部を介してエプロンレインフォースメント部材に逃げることができる。したがって、側部車体構造は、前側脚部の潰れ変形を阻害することなく、ボンネットからの荷重を適切に受け止めることができる。

　上記の構成に関して、前記本体部は、前記前側脚部に連なる縦壁部を含んでもよい。前記縦壁部は、前記車幅方向における前記本体部の外側部分の前端部から鉛直下方に延び、且つ、前記内長孔部及び外長孔部の高さ位置と略同じ高さ位置に位置する下端部を含んでもよい。

　上記の構成によれば、内長孔部及び外長孔部は、縦壁部の下端部と略同じ高さ位置に形成されるので、側部車体構造は、前側脚部の潰れ変形を阻害することなく、フェンダパネルを適切に支持することができる。

　上記の構成に関して、前記本体部は、前記本体部の他の部位よりも脆弱な脆弱部を含んでもよい。前記脆弱部は、前記前側脚部よりも車幅方向において外側に位置し、且つ、前記支持部よりも車幅方向において内側に位置してもよい。

　上記の構成によれば、ブラケットの上方からブラケットに作用する下向きの荷重の存在下で、本体部は、車幅方向において、前側脚部よりも外側、且つ、支持部よりも内側部位を起点として折れ変形することができる。

　上述の実施形態の原理は、様々な車両の設計に好適に利用される。

Claims

　車両の側部車体構造であって、
　車体の前後方向に延びるエプロンレインフォースメント部材と、
　車幅方向における前記エプロンレインフォースメント部材の外側を覆うように配設されたフェンダパネルと、
　前記フェンダパネルに接続される複数のブラケットと、を備え、
　前記フェンダパネルは、前記複数のブラケットを介して、前記エプロンレインフォースメント部材に支持され、
　前記複数のブラケットのうち少なくとも１つのブラケットは、
　（ｉ）前記フェンダパネルを支持する支持部を有する本体部と、
　（ｉｉ）前記車幅方向における前記本体部の内側部分の前端部から鉛直下方に延び、前記エプロンレインフォースメント部材に取り付けられた前側脚部と、
　（ｉｉｉ）前記本体部の後端部から鉛直下方に延び、前記エプロンレインフォースメント部材に取り付けられた後側脚部と、を含み、
　前記支持部は、前記車幅方向における前記本体部の外側部位に形成され、
　前記前側脚部には、（ａ）前記車幅方向に延びる長軸を有する内長孔部、及び、（ｂ）前記内長孔部よりも前記車幅方向において外側に形成され、且つ、前記内長孔部の長軸よりも長い長軸を有する外長孔部が形成されている
　車両の側部車体構造。
　前記本体部は、ボンネットストッパが取り付けられるストッパ取付部を含み、
　前記前側脚部は、前記内長孔部と前記外長孔部との間に設けられた中間壁部を含み、
　前記ストッパ取付部は、前記車幅方向において前記中間壁部に対応する位置に形成される
　請求項１に記載の車両の側部車体構造。
　前記本体部は、前記前側脚部に連なる縦壁部を含み、
　前記縦壁部は、前記車幅方向における前記本体部の外側部分の前端部から鉛直下方に延び、且つ、前記内長孔部及び前記外長孔部の高さ位置と略同じ高さ位置に位置する下端部を含む
　請求項１又は２に記載の車両の側部車体構造。
　前記本体部は、前記本体部の他の部位よりも脆弱な脆弱部を含み、
　前記脆弱部は、前記前側脚部よりも前記車幅方向において外側に位置し、且つ、前記支持部よりも前記車幅方向において内側に位置する
　請求項１乃至３のいずれか１項に記載の車両の側部車体構造。