WO2016194794A1 - ハイドロハロフルオロオレフィンの製造方法 - Google Patents

ハイドロハロフルオロオレフィンの製造方法 Download PDF

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Definitions

  • Patent Document 4 discloses a method for producing Z-1,3,3,3-tetrafluoropropene from E-1,3,3,3-tetrafluoropropene using a metal compound containing metal as a catalyst. It is disclosed.
  • the hydrohalofluoroolefin isomer (isomer 1) is preferably a hydrohalofluoroolefin containing 2 to 6 carbon atoms.
  • the process of the present invention is suitable for isomerizing hydrohalofluoroolefins containing 3 to 6 carbon atoms, ie hydrohalofluoropropenes, hydrohalofluorobutenes, hydrohalofluoropentenes and hydrohalofluorohexenes. And is particularly suitable for isomerizing hydrohalofluoropropenes.
  • hydrohalofluoropropene represented by the following general formula (3), that is, 1-chloro-3,3,3-trifluoropropene (CF 3 CH ⁇ CHCl), 1,3 3,3-tetrafluoropropene (CF 3 CH ⁇ CHF).

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Abstract

【課題】 触媒性能の低下を抑制し、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を効率的に異性化し、対応するハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を製造する方法を提供することを課題とする。 【解決手段】 以下の工程1を含む、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を異性化して、対応するハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を製造する方法。 工程1: 水分濃度を100ppm以下に調整したハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物を、気相中で触媒と接触させて、反応物を得る工程。

Description

ハイドロハロフルオロオレフィンの製造方法
 本発明は、ハイドロハロフルオロオレフィンを製造する方法に関する。
 多くのハイドロハロフルオロオレフィンは、二重結合の周囲にある置換基の配置に応じて、E/Z異性体で存在できる。E/Z異性体は、一般的には、異なった物理特性、化学特性を有する。そのため、特定の用途では、一方の異性体の方が、他方よりも好ましい場合がある。このことから、一方のE/Z異性体を、他方のE/Z異性体に転化できることが望ましい場合がある。
 このような背景のもと、ハイドロハロフルオロオレフィンの異性化による相互変換が試みられ、特許文献1には、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペンにおけるシス異性体対トランス異性体の比を増減できることが記載されている。これは、AlF3上または炭素上に担持された触媒を使用することにより可能であるとされており、この触媒は、SbClw5-w、TiClx4-x、SnCly4-yおよびTaClz5-zから選択され、ここで、wは0~4、xは0~3、yは0~3、zは0~4である。さらに、特許文献2には、粉砕した酸化クロムゲルペレット触媒上での、E-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンからZ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンへの部分的異性化が記載されている。
 特許文献3には、平衡反応を利用して、ルイス酸触媒、クロミア含有触媒などの触媒とE-(ヒドロ)ハロフルオロアルケンを接触させ、Z-(ヒドロ)ハロフルオロアルケンに異性化する方法が開示されている。
 特許文献4には、金属を含む金属化合物などを触媒として用いて、E-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンからZ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法が開示されている。
 特許文献5には、金属酸化物、その部分フッ素化物、あるいは全フッ素化物などを触媒として、Z-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンからE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法が開示されている。
国際公開2008/008351号公報 国際公開2008/030443号公報 特表2010-523635号公報 特開2014-28799号公報 特開2009-108049号公報
 本発明は、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を効率的に異性化し、対応するハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を製造する方法において、触媒性能の低下を抑制する方法を提供することを課題とする。
 本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、気相中、触媒との接触によるハイドロハロフルオロオレフィンの異性化反応において、該ハイドロハロフルオロオレフィンに含まれ得る水分濃度を所定濃度以下に管理することで、該触媒の性能低下を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
 すなわち、本発明は、以下の各発明を含む。
[発明1]
 以下の工程1を含む、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を異性化して、対応するハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を製造する方法。
 工程1: 水分濃度を100ppm以下に調整した、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物を、気相中で触媒と接触させて、生成物を得る工程。
[発明2]
 水分濃度を50ppm以下に調整した、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物を用いる、発明1に記載の方法。
[発明3]
 接触を、0~600℃の温度、かつ、0.01~500秒の接触時間で行う、発明1または2に記載の方法。
[発明4]
 接触を、20~550℃の温度、かつ、1~150秒の接触時間で行う、発明1または2に記載の方法。
[発明5]
 温度と接触時間とは、トレードオフの関係である、発明3または4に記載の方法。
[発明6]
 触媒が、アルミニウム、クロム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、マグネシウム、ジルコニウム、モリブデン、亜鉛、スズ、ランタン、ニオブ、タンタルおよびアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属酸化物である、発明1~5の何れかに記載の方法。
[発明7]
 触媒が、アルミニウム、クロム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、マグネシウム、ジルコニウム、モリブデン、亜鉛、スズ、ランタン、ニオブ、タンタルおよびアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む、一部または全てがフッ素化された金属フッ素化物である、発明1~5の何れかに記載の方法。
[発明8]
 触媒が、アルミニウム、クロム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、マグネシウム、ジルコニウム、モリブデン、亜鉛、スズ、ランタン、ニオブ、タンタルおよびアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属化合物を担持した担持触媒である、発明1~5の何れかに記載の方法。
[発明9]
 触媒が、さらにフッ素化処理を施した触媒である、発明6~8の何れかに記載の方法。
[発明10]
 ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)が、炭素数2~6のハイドロハロフルオロオレフィンである発明1~9の何れかに記載の方法。
[発明11]
 ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)が、下記一般式(1)で表されるハイドロハロフルオロオレフィンである、発明1~10の何れかに記載の方法。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
(一般式(1)中、X1~X6はそれぞれ独立してH、F、ClまたはBrであり、X1~X6のうち、1~5個はFであり、残りはH、ClまたはBrであり、少なくとも1個はHである。)
[発明12]
 ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)が、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1-クロロ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、2-クロロ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンまたは1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペンである、発明1~11の何れかに記載の方法。
[発明13]
 以下の工程2をさらに含む、発明1~12の何れかに記載の方法。
 工程2: 工程1で得られた生成物から酸分を除去し、該酸分を除去した生成物からハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を分離する工程。
[発明14]
 以下の工程3および4をさらに含む、発明1~13の何れかに記載の方法。
 工程3: 工程1で得られた生成物から酸分を除去し、該酸分を除去した生成物からハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物を分離する工程、
 工程4: 工程3で分離したハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物を、工程1のハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物として再利用する工程。
[発明15]
 水分濃度の調整を、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物を、蒸留することで行う、もしくは、脱水剤と接触させることで行う、または、その両方により行う、発明1~14の何れかに記載の方法。
[発明16]
 水分濃度の調整を、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物を蒸留し、かつ、該蒸留の少なくとも前に、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物を脱水剤と接触させることで行う、発明15に記載の方法。
[発明17]
 一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体1)を触媒と接触させて対応するハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体2)を製造する方法であって、水分濃度を100ppm以下に調整した、ハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物を、気相中で0~600℃の温度、かつ、0.01~500秒の接触時間で触媒と接触させることを含む、方法。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
(一般式(3)中、X7はFまたはClである。)
[発明18]
 触媒が、アルミニウム、クロム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、マグネシウム、ジルコニウム、モリブデン、亜鉛、スズ、ランタン、ニオブ、タンタルおよびアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む、一部または全てがフッ素化された金属フッ素化物である、発明17に記載の方法。
[発明19]
 一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体1)がE体であり、接触を、200~550℃の温度、かつ、0.1~250秒の接触時間で行う、発明17または18に記載の方法。
[発明20]
 一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体1)がZ体であり、接触を、50~300℃の温度、かつ、15~200秒の接触時間で行う、発明17または18に記載の方法。
[発明21]
 温度と接触時間とは、トレードオフの関係である、発明19または20に記載の方法。
[発明22]
 気相中、触媒と接触させてハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を異性化して、対応するハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を製造するために用いる、水分濃度が100ppm以下に調整された、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物。
[発明23]
 気相中、触媒と接触させてハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を異性化して、対応するハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を製造するために、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物の水分濃度を100ppm以下に調整して異性化反応系に供給する方法。
 本明細書において開示するように、反応系に持ち込まれ得る水分量が、触媒性能の低下に大きく関与することが判明した。このことは、特許文献1~5に記載も示唆もない。
 本明細書において、「異性化」は、E体とZ体の比が、反応前後において変化すること(例えば、反応後のZ体の割合が反応前よりも増加すること)を意味する。
 本明細書において、ハイドロハロフルオロオレフィンとは、分子中に、水素原子を少なくとも1個有し、フッ素原子を少なくとも1個有し、炭素-炭素二重結合を少なくとも1個有する、不飽和炭化水素化合物を意味し、フッ素原子以外のハロゲン原子として塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を有していてもよい。すなわち、このハイドロハロフルオロオレフィンには、一般的にハイドロフルオロオレフィンと呼ばれる化合物も含まれる。
 本明細書において、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)とは、本発明の方法に係る出発物質であり、E体またはZ体のハイドロハロフルオロオレフィンを意味し、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)とは、本発明の方法に係る生成物質であり、該異性体1がE体の場合にはZ体のハイドロハロフルオロオレフィンを意味し、該異性体1がZ体の場合にはE体のハイドロハロフルオロオレフィンを意味する。
 本明細書において、「金属フッ素化物」とは、金属とフッ素原子との結合を少なくとも有する化合物を指し、他の非金属原子を含むこともできる。
 本発明によれば、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を効率的に異性化し、対応するハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を製造する方法において、触媒性能の低下を抑制する方法を提供することができる。
実施例1~3および比較例1における、導入した原料であるE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの導入積算量と、目的物であるZ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの収率との関係を示す図である。 実施例4~5および比較例2における、導入した原料であるE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの導入積算量と、目的物であるZ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの収率との関係を示す図である。 実施例6および比較例3における、導入した原料であるZ-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの導入積算量と、目的物であるE-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの収率との関係を示す図である。 実施例7および比較例4における、導入した原料であるZ-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの導入積算量と、目的物であるE-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの収率との関係を示す図である。 実施例8および比較例5における、導入した原料であるZ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの導入積算量と、目的物であるE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの収率との関係を示す図である。
 以下、本発明について詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施の形態および実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。
 本発明は、所定のハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物を気相中、触媒と接触させることで、該触媒の性能低下を抑制し、対応するハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を効率的に製造する方法である。
(ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)の製造方法)
 本発明のハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を異性化して、対応するハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を製造する方法は、以下の工程1を少なくとも含む:
 工程1: 水分濃度を100ppm以下に調整した、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物を、気相中で触媒と接触させて、生成物を得る工程。
[ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)]
 本発明の方法に係るハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)は、2~6個の炭素原子を含むハイドロハロフルオロオレフィンが好ましい。中でも、本発明の方法は、3~6個の炭素原子を含むハイドロハロフルオロオレフィン、すなわち、ハイドロハロフルオロプロペン、ハイドロハロフルオロブテン、ハイドロハロフルオロペンテンおよびハイドロハロフルオロヘキセンを異性化するのに好適であり、ハイドロハロフルオロプロペンを異性化するのに特に好適である。
 本発明の方法により異性化するのに好適なハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)は、1~11個のフッ素原子、ClおよびBrから選択される0~3個のハロゲン原子、および残数の水素原子を含むものであってもよい(ただし、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)は、水素原子を少なくとも1個含む。)。中でも、ハイドロハロフルオロプロペンは、1~5個のフッ素原子を有し、H、ClおよびBrから選択される1~5個の原子を有し、少なくとも1個のHを有するものが好ましく、3~5個のフッ素原子を有し、H、ClおよびBrから選択される1~3個の原子を有し、少なくとも1個のHを有するものが特に好ましい。ハイドロハロフルオロブテンは、1~7個のフッ素原子を有し、H、ClおよびBrから選択される1~7個の原子を有し、少なくとも1個のHを有するものが好ましく、5~7個のフッ素原子を有し、H、ClおよびBrから選択される1~3個の原子を有し、少なくとも1個のHを有するものが特に好ましい。ハイドロハロフルオロペンテンは、1~9個のフッ素原子を有し、H、ClおよびBrから選択される1~9個の原子を有し、少なくとも1個のHを有するものが好ましく、7~9個のフッ素原子を有し、H、ClおよびBrから選択される1~3個の原子を有し、少なくとも1個のHを有するものが特に好ましい。ハイドロハロフルオロヘキセンは、1~11個のフッ素原子を有し、H、ClおよびBrから選択される1~11個の原子を有し、少なくとも1個のHを有するものが好ましく、9~11個のフッ素原子を有し、H、ClおよびBrから選択される1~3個の原子を有し、少なくとも1個のHを有するものが特に好ましい。
 したがって、本発明の方法により異性化するのに好適なハイドロハロフルオロプロペンの好ましい群は、下記一般式(1)で表すことができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
 一般式(1)中、X1~X6はそれぞれ独立してH、F、ClまたはBrであり、X1~X6のうち、1~5個はFであり、残りはH、ClまたはBrであり、少なくとも1個はHである。
 本発明の方法により異性化するハイドロハロフルオロプロペンは、下記一般式(2)で表されるハイドロハロフルオロプロペンであってもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
 一般式(2)中、X2~X6はそれぞれ独立してH、F、ClまたはBrであり、X2~X6のうち少なくとも1個はFであり、少なくとも1個はHである。
 特に好ましいハイドロハロフルオロプロペンとしては、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(CF3CH=CHCl)および1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(CF3CCl=CHCl)から選択されるトリフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CF3CH=CHF)、1-クロロ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CF3CH=CClF)、2-クロロ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CF3CCl=CHF)および1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CF3CF=CHCl)から選択されるテトラフルオロプロペン、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(CF3CF=CHF)から選択されるペンタフルオロプロペンが挙げられる。
 さらに好ましいハイドロハロフルオロプロペンとしては、下記一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン、すなわち、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(CF3CH=CHCl)、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CF3CH=CHF)が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
 一般式(3)中、X7はFまたはClである。
 本発明に係るハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物(以下、「本発明に係る組成物」と称することがある。)は、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも5質量%以上含み、好ましくは30重量%以上含み、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を主成分として含むことがさらに好ましい。ここで、「ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を主成分として含む」とは、組成物中にハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を50質量%以上含むことをいい、70質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがさらに好ましい。また、本発明に係る組成物は、実質的にハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)のみからなることが特に好ましい。ここで、「実質的にハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)のみからなる」とは、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)が、本発明に係る組成物中に、95質量%以上含まれることを意味する。
 本発明に係る組成物には、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)の他に、対応するハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)が含まれていてもよい。ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)は目的物であり、その含有量は特に限定されない。また、本発明に係る組成物には、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)と対応するハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)以外に、「その他の成分」が含まれていてもよい。ここで、「その他の成分」の種類は特に限定されず、種々の化合物であってもよく、単種類でもよいし、複数種類であってもよい。「その他の成分」の具体例としては、ハイドロハロフルオロオレフィンがフッ素化されたハイドロハロフルオロカーボンもしくはハイドロフルオロカーボンなどが挙げられるが、これらに限定されない。「その他の成分」が含まれる場合のその含有量は、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下が特に好ましい。
 本発明に係るハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物は、水分濃度が100ppm以下であるものを用い、70ppm以下のものが好ましく、50ppm以下のものが特に好ましく、30ppm以下のものがさらに好ましい。水分濃度の下限値は特に限定されない。すなわち、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物の水分濃度は0~100ppmであってもよく、0~70ppmが好ましく、0~50ppmが特に好ましく、0~30ppmがさらに好ましい。
 ここで、本発明に係る組成物の水分濃度(水分含有量)は、カールフィッシャー水分計によって測定することができる。試料が沸点の高い物質である場合には、液体試料を注射器で一定量採取して、カールフィッシャー水分計の滴定液中にそのまま導入して測定することが好ましい。試料が沸点の低い物質である場合には、液体試料が気化することがあるため、試料が直接導入されるように、試料容器と水分計の導入部をチューブで予め接続しておき、試料が途中で気化してもそのまま導入できる仕様にして測定することが好ましい。また市販の気化装置を用いて、試料を導入して測定することもできる。
 本発明に係るハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)は、Z体またはE体であってもよい。また、本発明に係る組成物には、本発明に係るハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)の他に、その他の成分として、対応するハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)が含まれてもよく、ハイドロハロフルオロオレフィンがフッ素化されたハイドロハロフルオロカーボンもしくはハイドロフルオロカーボンを含むことがある。
 本発明に係る組成物の水分濃度を100ppm以下、好ましくは70ppm以下、特に好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは30ppm以下に調整するために、本発明に係る組成物に脱水処理を施して水分濃度を低減させてもよい。
 この脱水処理の方法は特に限定されない。例えば、蒸留による方法や脱水剤による方法が適用できる。蒸留を施すことで、本発明に係る組成物を脱水処理することができるとともに、本発明に係る組成物におけるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)の含有割合を高めることもできる。
 この脱水剤による方法では、本発明に係る組成物を脱水剤と接触させてその水分濃度を低減させる。この脱水剤の種類は特に限定されない。例えば、ゼオライト、モレキュラーシーブ、アロフェンなどが挙げられる。ゼオライトの形状としては、例えば、粉状、顆粒状、ペレット状、球状、棒状等のものを使用することができ、成形・焼成した球状または棒状のものが取り扱い易く好ましい。また、ゼオライト、モレキュラーシーブの細孔径は特に限定されず、種々の細孔径のゼオライト、モレキュラーシーブを使用することができる。中でも、本発明に係る組成物から水を選択的に分離しやすいことから2.0~6.0Å程度が好ましい。本発明に係る組成物と脱水剤との接触方法については特に限定されない。本発明に係る組成物と脱水剤との静置による接触であってもよく、脱水剤を充填した容器に本発明に係る組成物をガス状または液状で流通させて、該脱水剤と接触させるのが効率的で好ましい。さらに、アロフェンの場合、脱水性能と共に脱酸性能も併せ持つため、水洗の工程を経ることなく、ガス状または液状で流通させて、脱酸を行うことが可能である。アロフェンを用いた脱酸方法では、水を接触させないプロセス、ドライプロセスの構築・操業が可能である。アロフェンの場合、例えば、粉状、粒状、顆粒状、ペレット状等の形状で使用することができ、市販製品の具体例として、品川化成株式会社製のセカードが挙げられる。
 また、本発明に係る組成物の脱水処理の方法として、より高い脱水能を示すことから、蒸留による方法と脱水剤による方法を併用してもよく、本発明に係る組成物に蒸留を施し、かつ、その蒸留の前、後もしくは前後において、上述の脱水剤と接触させる方法を採用することが好ましい。これにより、本発明に係る組成物の水分濃度をより低く調整することができる。ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)の種類によっては、水と共沸組成物もしくは共沸様組成物を形成する場合がある(例えば、E-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(特開2013-525486号公報参照)や、E-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(特開2012-506944号公報参照)など)。そのため、本発明に係る組成物の脱水処理の方法として、本発明に係る組成物を蒸留し、かつ、該蒸留の少なくとも前に、本発明に係る組成物を脱水剤と接触させる方法を採用することが特に好ましく、その蒸留の後にさらに脱水剤と接触させる方法を採用することがさらに好ましい。
 所望の水分濃度に調整された本発明に係る組成物は、その後、異性化反応系に供給される。なお、本発明に係る組成物が所定の水分濃度であることが確認できれば、上述のような脱水処理を施すことは必ずしも必要ではなく、そのまま異性化反応系に供給することができる。このような態様も、本発明の一態様として当然に含まれる。
 本発明に係る異性化の反応形式は、気相反応、液相反応のいずれも採用することができる。また、処理形式は流通式、半バッチ式もしくはバッチ式であってもよく、これらの反応形式および処理形式を組み合わせた形式を適宜採用できる。反応に関与する化学物質の沸点が低い場合、実用的には気相流通形式が最も好ましい。気相流通形式では、触媒の保持方法は固定床、流動床、移動床などいずれの形式でもかまわないが、固定床で行うのが簡便であるので、好ましい。
[触媒]
 本発明において使用する触媒は、気相中、本発明に係る組成物をその触媒と接触させることで本発明に係る組成物中のハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を異性化することができるものであればよい。触媒は、非担持触媒であってもよく、担持触媒であってもよい。
 非担持触媒としては、金属酸化物、一部または全てがフッ素化された金属フッ素化物などの金属化合物が好ましい。これらの金属化合物に含まれる金属の種類は特に限定されない。例えば、アルミニウム、クロム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、マグネシウム、ジルコニウム、モリブデン、亜鉛、スズ、ランタン、ニオブ、タンタルおよびアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属が挙げられ、中でも、アルミニウム、クロム、マンガン、ジルコニウム、チタンおよびマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属が好ましい。金属は単独であってもよく、二種以上の金属が複合した複合金属であってもよい。
 金属フッ素化物を調製するための材料は特に限定されず、例えば、金属酸化物などを用いてもよい。この金属酸化物の種類は特に限定されない。例えば、アルミニウム、クロム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、マグネシウム、ジルコニウム、モリブデン、亜鉛、スズ、ランタン、ニオブ、タンタルおよびアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属の酸化物が挙げられ、中でも、アルミニウム、クロム、マンガン、ジルコニウム、チタンおよびマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属の酸化物が好ましい。金属酸化物に含まれる金属は単独であってもよく、二種以上の金属が複合した複合金属の酸化物として使用されてもよい。金属フッ素化物は、これらの金属酸化物などにフッ素化処理を行うことによって得られる。金属フッ素化物を得る際の材料として用いる金属酸化物には、結晶系の異なるものが存在するが、何れも使用できる。
 複合金属としては、アルミニウム、クロム、マンガン、ジルコニウム、チタンおよびマグネシウムからなる群より選ばれる一種の金属を主とし、アルミニウム、クロム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、銅、コバルト、マグネシウム、ジルコニウム、モリブデン、亜鉛、スズ、ランタン、ニオブ、タンタルおよびアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を副成分として含むものが好ましい。
 このような複合金属の酸化物としては、例えば、アルミナとクロミア、アルミナとジルコニア、アルミナとチタニア、アルミナとマグネシアがそれぞれ複合したものが好ましいものとして挙げられ、いずれもアルミニウムを50原子%以上含むものが特に好ましく、80原子%以上含むものがより好ましい。50原子%以上であれば、異性化反応を良好な転化速度で進行させることができる。
 金属フッ素化物の材料として用いられる金属酸化物は、一種以上の結晶形を取ることがあり、例えば、アルミナにはγ-アルミナとα-アルミナがあり、チタニアにはアナターゼとルチルの結晶形のものがある。金属酸化物の結晶形はいずれであってもよいが、アルミナではγ-アルミナは表面積が大きく好ましい。
 金属フッ素化物の調製方法は、特に限定されない。例えば、フッ化水素、フッ素化炭化水素、フッ素化塩素化炭化水素などのフッ素化剤と、前述した金属の酸化物又は複合金属の酸化物とを接触させることにより行ってもよい。このフッ素化処理は、通常、段階的に行うのが好ましい。フッ化水素を用いてフッ素化処理する場合、大きな発熱を伴うので、最初は希釈されたフッ化水素ガスにより比較的低温度で金属酸化物(複合金属酸化物)をフッ素化し、徐々に濃度および/または温度を高くしながら行うのが好ましい。最終段階は、異性化反応の反応温度以上で行うのが好ましいが、この条件に加えて、安定的に反応を進行させるために、フッ素化処理温度は200℃以上で行い、400℃以上、さらに好ましくは500℃以上においてフッ化水素でフッ素化処理するのが好ましい。温度の上限は特にないが、900℃を超えると、フッ素化処理装置の耐熱性の点から困難であり、実用的には600℃以下で行うのが好ましい。このように、安定的に反応を進行させるために、使用の前に所定の反応温度以上の温度で予めフッ化水素、フッ素化炭化水素、フッ素化塩素化炭化水素などのフッ素化剤で金属酸化物(複合金属酸化物)をフッ素化処理した金属フッ素化物を触媒として用いることが好ましい。
 本発明に用いる金属酸化物や金属フッ素化物などの触媒は、使用に際してフッ素化剤でフッ素化処理を施すことが好ましい。このフッ素化処理は、上述の金属フッ素化物の調製方法の例に準じて施すことができる。
 本発明に係る触媒として、金属化合物を担持した担持触媒を用いてもよい。この担持触媒の担体としては、炭素または非担持触媒として上述した金属(複合金属を含む。)を使用してもよい。担体として用いられる金属は、非担持触媒として上述した金属酸化物であってもよいし、金属フッ素化物であってもよい。具体的には、アルミニウム、クロム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、マグネシウム、ジルコニウム、モリブデン、亜鉛、スズ、ランタン、ニオブ、タンタルおよびアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属の酸化物、好ましくは、アルミニウム、クロム、マンガン、ジルコニウム、チタンおよびマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属の酸化物が、単独で担体として用いられてもよく、複合金属の酸化物が担体として用いられてもよいし、これらの一部または全てがフッ素化されたフッ素化物が担体として用いられてもよい。複合金属の酸化物としては、例えば、アルミニウム、クロム、マンガン、ジルコニウム、チタンおよびマグネシウムからなる群より選ばれる一種の金属を主とし、アルミニウム、クロム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、銅、コバルト、マグネシウム、ジルコニウム、モリブデン、亜鉛、スズ、ランタン、ニオブ、タンタルおよびアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属を副成分として含む酸化物が好ましい。
 担持させる金属化合物に含まれる金属としては、アルミニウム、クロム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、マグネシウム、ジルコニウム、モリブデン、亜鉛、スズ、ランタン、ニオブ、タンタル、アンチモンなどが挙げられる。これらのうち、アルミニウム、クロム、チタン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、ジルコニウム、亜鉛、スズ、ランタン、ニオブ、タンタル、アンチモンが好ましい。これらの金属はフッ化物、塩化物、フッ化塩化物、オキシフッ化物、オキシ塩化物、オキシフッ化塩化物等として担持される。金属化合物は単独で担持させてもよいし、2種以上を併せて担持させてもよい。
 担持させる金属化合物としては、具体的には、硝酸クロム、三塩化クロム、重クロム酸カリウム、三塩化チタン、硝酸マンガン、塩化マンガン、塩化第二鉄、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、硝酸コバルト、塩化コバルト、五塩化アンチモン、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩化銅(II)、塩化亜鉛(II)、硝酸ランタン、四塩化スズなどを用いることができるが、これらに限定されない。
 担体に前述の金属化合物を担持して調製した触媒は、安定的に反応を進行させるために、使用の前にフッ素化処理を施してもよく、そうすることが好ましい。すなわち、本発明に係る触媒は、担体に、金属化合物を担持した担持触媒にフッ素化処理を施した触媒であってもよい。この場合、前述の金属酸化物のフッ素化処理と同様の方法により、使用の前に所定の反応温度以上の温度で予めフッ化水素、フッ素化炭化水素、フッ素化塩素化炭化水素などのフッ素化剤で処理しておくことが好ましい。
 ここで、担体が金属酸化物であり、且つ担持物である金属化合物の層が担体を全体的に覆っている場合は、フッ素化処理工程において、担体よりも担持物が主としてフッ素化処理され、担持物が主として異性化反応の触媒として作用する。担体が金属酸化物であり、担持物である金属化合物の層が担体を全体的に覆っていない場合は、フッ素化処理工程において、担持物とともに担体もフッ素化処理され、異性化反応において、担持物とともに担体も触媒として作用することもあり得る。このように、担体が担持物とともに触媒として作用する場合は、担持触媒としてではなく、複合金属のフッ素化物として、非担時触媒と同様に作用することがある。
 本発明に係る異性化反応の触媒としては、フッ素化アルミナ、フッ素化ジルコニア、フッ素化クロミア、クロム担持活性炭が好ましい具体例として挙げられ、フッ素化アルミナ、フッ素化ジルコニア、フッ素化クロミアが特に好ましい。これらの触媒は反応の前に予めフッ素化処理をしておくことが好ましい。
 担体及び担持物を含めた触媒の全質量に対する金属の質量の割合は、0.1~80質量%、好ましくは1~50質量%である。0.1質量%以上であれば良好な触媒効果が得られ、80質量%以下であれば安定に担持させることができる。なお、担持物が固体金属塩である場合、触媒の全質量に対する金属の質量の割合は、0.1~40質量%、好ましくは1~30質量%である。
[接触温度(反応温度)]
 異性化反応における接触温度(反応温度)は、下限温度が反応原料の物性(沸点など)に依存するが、0~600℃であってもよく、20~550℃が好ましく、50~500℃が特に好ましい。接触温度が600℃超の場合は、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)や目的物であるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)が触媒上で分解したり、コーキングしたりすることがある。また、必要以上に接触温度を高く設定することはエネルギーの無駄であり、装置への負荷も大きくなる。接触温度が0℃未満の場合は、反応操作における取り扱いの観点から実用的ではない。
 接触温度と、本発明に係る組成物を触媒に接触させる接触時間とはトレードオフの関係であり、接触温度が高い場合には接触時間が短いこと、接触温度が低い場合には接触時間が長いことが、本発明に係る組成物中のハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)の異性化効率の面でより好ましい。
[接触時間]
 本明細書において、本発明に係る反応の「接触時間」を次のように定義する。すなわち、接触時間は触媒の容積A(mL)を原料供給速度B(mL/秒)で除した数値(秒)で表される。また、Bの値は「毎秒あたりに反応器に導入される原料気体の容積」を示すが、この場合、原料気体を理想気体とみなして、原料気体のモル数、圧力および温度からBの値を算出する。反応器中では、原料や目的物以外の他の化合物の副生や、モル数の変化も起こり得るが、「接触時間」の計算に際しては考慮しないものとする。
 接触時間の決定に関しては、本発明に用いる反応原料、反応器の温度(接触温度)や形状、触媒の種類に依存する。そのため、反応原料、反応装置の設定温度、反応器の形状、触媒の種類ごとに、反応原料の供給速度を適宜調整し、接触時間を最適化することが望ましい。各異性体の比率は熱力学的な平衡に支配されるので、転化率はおおよそ決定されるが、通常は、未反応原料の回収、再利用の観点から10%以上の原料転化率が得られる接触時間の採用が好ましい。さらには15%以上の転化率となるように接触時間が最適化されるのが好ましい。
 本発明における最適な接触時間は0.01~500秒であり、好ましくは0.1~250秒、より好ましくは、1~150秒である。一般にこれらよりも接触時間が短いと熱力学的平衡組成から大きく乖離した転化率しか示さないことがある。逆に、これらよりも長い場合は、平衡組成に近い転化率を示しても、生産性が悪くなったり、タール化したりすることがある。尚、上記の接触時間は反応圧力に応じて適宜変更されてもよい。
 本発明に係る異性化反応において、接触温度(反応温度)と接触時間との適切な組み合わせが重要な要素であり、反応温度が0℃以上600℃以下の場合、接触時間は0.01秒以上500秒以下が好ましく、20℃以上550℃以下の場合、0.1秒以上250秒以下が好ましく、50℃以上500℃以下の場合、1秒以上150秒以下とすることが好ましい。特に、副生物の生成を低減し、効率的に目的物を生成するという観点から、反応温度が高温度においては接触時間が短く、反応温度が低温度においては接触時間が長いことがより好ましい。
[その他、反応圧力など]
 本発明に係る異性化反応において、反応圧力は特に制限が無いが、常圧近傍での操業が容易である。但し、1MPa以上の加圧反応は高価な耐圧性の装置が必要となるだけでなく、原料もしくは生成物の重合が懸念される。装置の加熱方法は特に制限されないが、電気ヒーターやバーナーなどで直接加熱する方法、あるいは、溶融塩、砂などを用いて間接的に加熱する方法が好ましい。
 異性化反応後の生成物には、目的物であるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)が少なくとも含まれる。このハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)は、異性化反応後の生成物から分離することが好ましい。ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を異性化反応後の生成物から分離する方法は特に限定されず、例えば蒸留によって異性化反応後の生成物からハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を分離することができる。
 また、異性化反応後の生成物には、目的物であるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)の他に、触媒フッ素化処理、異性化反応の過程で、使用、生成し得る酸分が含まれることもある。生成物中の不純物の蓄積を防ぐため、ならびに装置・設備へのダメージを軽減するため、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を異性化反応後の生成物から分離する前に、この酸分を生成物中から除去することが好ましい。
 異性化反応後の生成物から酸分を除去する方法は特に制限されない。例えば、水などを用いて洗浄処理を施して該生成物から酸分を除去してもよい。また、異性化反応後の生成物には、脱水処理を施して水分を除去してもよく、酸分を除去する方法と組み合わせて採用してもよい。この脱水処理の方法は特に限定されない。例えば、蒸留による方法や脱水剤による方法が適用でき、これらの方法を併用してもよいし、複数回行ってもよい。効率の面から脱水剤による方法が好ましい。脱水剤による方法では、異性化反応後の生成物と脱水剤とを接触させる。この脱水剤の種類は特に限定されないが、例えば、ゼオライト、モレキュラーシーブ、アロフェンなどが挙げられる。ゼオライトの形状としては、例えば、粉状、顆粒状、ペレット状、球状、棒状等のものを使用することができ、成形・焼成した球状または棒状のものが取り扱い易く好ましい。また、ゼオライト、モレキュラーシーブの細孔径は、特に限定されないが、2.0~6.0Å程度が好ましい。ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を少なくとも含む組成物と脱水剤との接触方法については特に限定されないが、通常は脱水剤を充填した容器にハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を少なくとも含む組成物を、ガス状または液状で流通させるのが効率的に好ましい。さらに、アロフェンの場合、脱水性能と共に脱酸性能も併せ持つため、水洗の工程を経ることなく、ガス状または液状で流通させて、脱酸を行うことが可能である。アロフェンを用いた脱酸方法では、水を接触させないプロセス、ドライプロセスの構築・操業が可能である。アロフェンの場合、例えば、粉状、粒状、顆粒状、ペレット状等の形状で使用することができ、市販製品の具体例として、品川化成株式会社製のセカードが挙げられる。また、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を少なくとも含む組成物の水分濃度をより低く調整するため、本発明に係る組成物を蒸留し、かつ、該蒸留の少なくとも前に、本発明に係る組成物を脱水剤と接触させる方法を採用することが特に好ましく、その蒸留の後にさらに脱水剤と接触させる方法を採用することがさらに好ましい。また、この脱水処理における蒸留において、水分の除去を行うとともに、異性化反応後の生成物からハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)の分離を行ってもよい。
 これらの酸分を除去する方法や水分を除去する方法は、それぞれ繰り返し行ってもよく、段階的に行ってもよい。最終的に、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を少なくとも含む組成物に含まれ得る酸分と水分を除去することが好ましく、分離・回収されたハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を含む原料組成物の水分濃度が所望の水分濃度になっていれば良い。
 これらの反応後の後処理方法に基づいて、本発明の方法は、以下の工程2をさらに含んでいてもよい:
 工程2: 工程1で得られた生成物から酸分を除去し、該酸分を除去した生成物からハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を分離する工程。
 異性化反応後の生成物には、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)が含まれることがある。このハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を異性化反応後の生成物から分離して、本発明に係る異性化反応の原料として再利用してもよい。この場合においても、触媒フッ素化処理、異性化反応の過程で、使用、生成し得る酸分が含まれることがあり、生成物中の不純物の蓄積を防ぐため、ならびに装置・設備へのダメージを軽減するため、この酸分を生成物中から除去してからハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を再利用することが好ましい。
 異性化反応後の生成物から酸分を除去する方法は特に制限されない。例えば、水などを用いて洗浄処理を施して該生成物から酸分を除去してもよい。また、異性化反応後の生成物には、脱水処理を施して水分を除去してもよく、上述の酸分を除去する方法と組み合わせて採用してもよい。この脱水処理の方法は特に限定されない。例えば、上述の脱水処理の方法と同様の方法を採用することができ、この方法を採用することが好ましい。また、これらの酸分を除去する方法や水分を除去する方法は、それぞれ繰り返し行ってもよく、段階的に行ってもよい。最終的に、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)に含まれ得る酸分と水分が除去されることが好ましい。
 本発明に係る異性化反応の原料として再利用するハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)は、その他の成分と共存してもよい。すなわち、このハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)は、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物であってもよい。ここで言うハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物は、上述の本発明に係る組成物と同義であってもよい。このハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物は、この段階で所定の水分濃度に調整してもよいし、工程1に供してから調整してもよい。
 このようなハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)の再利用方法に基づいて、本発明の方法は、以下の工程3および工程4をさらに含んでいてもよい:
 工程3: 工程1で得られた生成物から酸分を除去し、該酸分を除去した生成物からハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物を分離する工程、
 工程4: 工程3で分離したハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物を、工程1のハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物として再利用する工程。
[触媒の賦活]
 本発明の製造方法を採用すれば、触媒の性能低下を抑制することができるが、経時的要素などに起因して、触媒の性能が低下することがある。このような場合、触媒を賦活させることで、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を効率的に製造することができる。性能が低下した触媒は通常、高温度下での焼成によって賦活させることができるが、性能の低下の原因が主として水分の影響によるものと推測される場合には、高温にて触媒をガス流通させて焼成することが効率的で好ましく、本発明に係る方法においては、この触媒の賦活方法を採用することが特に好ましい。焼成時のガスは限定されるものではないが、不活性ガス下で行うことが好ましく、窒素存在下で行うことが特に好ましい。焼成温度は異性化の反応温度よりも高いことが好ましいが、0℃以上で行ってもよく、200℃以上が好ましく、400℃以上が特に好ましく、500℃以上がさらに好ましい。また、性能の低下の原因がコーキングによるものと推測される場合には、高温にて空気焼成すると、コーキング物を除去することができる。この場合の焼成温度も異性化の反応温度よりも高いことが好ましいが、0℃以上で行ってもよく、200℃以上が好ましく、400℃以上が特に好ましく、500℃以上がさらに好ましい。空気焼成によって、触媒のフッ素化度が低下し、反応中の経時的な挙動変化など反応への影響が懸念される場合には、続いてフッ素化剤による触媒のフッ素化を行うことで、再度、異性化反応を安定的に行うことができる。触媒のフッ素化処理温度は異性化反応の反応温度以上で行うのが好ましいが、0℃以上で行ってもよく、200℃以上が好ましく、400℃以上が特に好ましく、500℃以上がさらに好ましい。温度の上限は特に限定されないが、900℃を超えると、フッ素化処理装置の耐熱性の点から困難であり、実用的には前記各温度を下限として600℃以下で行うのが好ましい。
(一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体1)の異性化)
 一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体1)を異性化して対応する一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体2)を製造する方法について説明する。
 水分濃度を100ppm以下、好ましくは70ppm以下、特に好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは30ppm以下に確保した一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物を、気相中、触媒と接触させることで該ハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体1)を異性化し、対応するハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体2)を製造する。所定の水分濃度に調整した、一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体1)を少なくとも組成物を用いることで、触媒の性能低下を抑制し、対応するハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体2)を効率的に製造することができる。
 一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体1)は、E-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンであってもよく、Z-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンであってもよく、E-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンであってもよく、Z-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンであってもよい。対応する一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体2)は、一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体1)がE体の1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの場合にはZ体の1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを意味し、該異性体1がZ体の1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの場合にはE体の1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを意味し、該異性体1がE体の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの場合にはZ体の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを意味し、該異性体1がZ体の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの場合にはE体の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを意味する。低温で異性化を行う場合は、一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体1)のうちのZ体を異性化させることが熱力学的な平衡により優位に働くが、高温で行う場合には、一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体1)のうちのE体を異性化させるのが同様の観点から考えると好ましい。
 一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物は、一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも5質量%以上含み、好ましくは30重量%以上含み、一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を主成分として含むことがさらに好ましい。ここで、「一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を主成分として含む」とは、組成物中に一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を50質量%以上含むことをいい、70質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがさらに好ましい。また、一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物は、実質的に一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)のみからなることが特に好ましい。ここで、「実質的に一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)のみからなる」とは、一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)が、組成物中に95質量%以上含まれることを意味する。
 一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物には、一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)の他に、対応する一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)が含まれていてもよい。対応する一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)は目的物であり、その含有量は特に限定されない。また、一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物には、一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)と対応する一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)以外に、「その他の成分」が含まれていてもよい。ここで、「その他の成分」の種類は特に限定されず、種々の化合物であってもよく、単種類でもよいし、複数種類であってもよい。「その他の成分」の具体例としては、ハイドロハロフルオロオレフィンがフッ素化されたハイドロハロフルオロカーボンもしくはハイドロフルオロカーボンなどが挙げられるが、これらに限定されない。「その他の成分」が含まれる場合のその含有量は、一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)に対して、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下が特に好ましい。
 一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物には、一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)以外に、その他の成分が含まれてもよい。ここで、その他の成分の種類は特に限定されず、種々の化合物であってもよく、単種類でもよいし、複数種類であってもよい。その他の成分が含まれる場合のその含有量は、組成物中に、50質量%以下含まれ、30質量%以下含まれることが好ましく、10質量%以下含まれることがさらに好ましい。また、その他の成分は、組成物中に実質的に含まれないことが特に好ましい。ここで、「実質的にその他の成分が含まれない」とは、その他の成分が、組成物中に5質量%以下含まれることを意味する。ただし、その他の成分が水分である場合については、一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物が所定の水分濃度であることを要する。
 一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体1)を異性化して対応する一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体2)を製造する方法は、前述のハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を異性化して対応するハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を製造する方法に準じて説明することができる。すなわち、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体1)に置き換え、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体2)に置き換えることで、説明することができる。
 異性化反応における接触温度(反応温度)についても同様であるが、一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体1)がE体(すなわち、E-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンまたはE-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)である場合、接触温度は150~600℃であってもよく、200~550℃が好ましく、250~500℃が特に好ましい。この場合の接触時間との適切な組み合わせとしては、接触温度が150℃以上600℃以下の場合、接触時間は0.01秒以上500秒以下が好ましく、200℃以上550℃以下の場合、0.1秒以上250秒以下が好ましく、250℃以上500℃以下の場合、1秒以上150秒以下が好ましい。特に、副生物の生成を低減し、効率的に目的物を生成するという観点から、反応温度が高温度においては接触時間が短く、反応温度が低温度においては接触時間が長いことがより好ましい。同様に、一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体1)がZ体(すなわち、Z-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンまたはZ-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)である場合、接触温度は40~500℃であってもよく、45~400℃が好ましく、50~300℃が特に好ましい。この場合の接触時間との適切な組み合わせとしては、接触温度が40℃以上500℃以下の場合、接触時間は5秒以上400秒以下が好ましく、45℃以上400℃以下の場合、10秒以上300秒以下が好ましく、50℃以上300℃以下の場合、15秒以上200秒以下が好ましい。特に、副生物の生成を低減し、効率的に目的物を生成するという観点から、反応温度が高温度においては接触時間が短く、反応温度が低温度においては接触時間が長いことがより好ましい。
 尚、前述の反応条件は常圧近傍での操業を想定したものであるが、反応圧力に応じて接触温度や接触時間の範囲が変動することは十分に有り得る。
 以下、組成分析値に係る「GC%」は、反応混合物をガスクロマトグラフィー(検出器:FID)によって測定して得られた組成の「面積%」を表す。なお、表示桁数以下は四捨五入した。例えば、表1中の0.01GC%は、0.005面積%以上、0.015面積%未満であることを示している。
[調製例1]
 電気炉を備えた直径2cm、長さ40cmの円筒形ステンレス鋼(SUS316L)製反応管に、50mLの粒状ジルコニア(サンゴバン社製、型番:SZ-31163)を充填し、窒素ガスを流しながら200℃まで反応管内を昇温した。反応管内から水の留出が見られなくなった時点で、窒素ガスにフッ化水素(HF)を同伴させ、その濃度を徐々に高めた。充填された粒状ジルコニアのフッ素化によるホットスポットが反応管出口端に達したところで、反応管内温度を100℃刻みで段階的に昇温し、各段階温度で1時間ずつ保持し、最終的に500℃に上げ、その状態を1時間保持した。このようにして、フッ素化処理を施した粒状ジルコニア(以下、「触媒1」と称することがある。)を調製した。
[調製例2]
 粒状ジルコニアの代わりに、γ-アルミナ(住化アルケム社製、型番:KHS-46)を充填した以外は、調製例1と同様にして、フッ素化処理を施したγ-アルミナ(以下、「触媒2」と称することがある。)を調製した。
[実施例1]
 脱水剤として200gのゼオラムA-3(東ソー社製)を充填した乾燥塔に、20kgのE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンをポンプで送液・循環させて脱水処理を行った。脱水処理後のE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンについて、気化装置を備えたカールフィッシャー水分計で水分濃度を測定したところ、水分濃度は1ppm未満であった。ここで、カールフィッシャー水分計には、微量水分測定装置(三菱化学アナリテック社製、CA-200型)を使用し、試料導入部には液化ガス気化装置(同社製、型番:VG-200型)を接続し、予め設定した量の試料を気化させて、水分計に自動注入した。
 続いて、調製例1で調製した50mLの触媒1を、電気炉を備えた直径2cm、長さ40cmの円筒形ステンレス鋼(SUS316L)製反応管に充填し、約100mL/分の流量で窒素ガスを流しながら、反応管内の温度を300℃に昇温した。
 次に、前述の脱水処理後のE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(水分濃度:1ppm未満)を予め気化させて、触媒との接触時間(15秒間)に基づいて計算された速度で反応管への供給を開始した。有機物の流量が安定したところで、窒素ガスの導入は停止した。
 反応管出口から流出するガス混合物を水中に吹き込んで、酸性ガスを除去した後、得られた生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。これらの結果を表1に示す。表中、1234ze(E)はE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを、1234zcは1,1,3,3-テトラフルオロプロペンを、245faは1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンを、1234ze(Z)はZ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを表す。以下同じ。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
[実施例2]
 脱水処理したE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(水分濃度:1ppm未満)の代わりに、水分調整したE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(水分濃度:37ppm)を用いる以外は、実施例1と同様にして異性化反応を行った。その結果を表2に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
[実施例3]
 脱水処理したE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(水分濃度:1ppm未満)の代わりに、水分調整したE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(水分濃度:61ppm)を用いる以外は、実施例1と同様にして異性化反応を行った。その結果を表3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
[比較例1]
 脱水処理したE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(水分濃度:1ppm未満)の代わりに、脱水処理を施していないE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(水分濃度:133ppm)を用いる以外は、実施例1と同様にして異性化反応を行った。その結果を表4に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011
[実施例4]
 実施例1と同様にして脱水処理したE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(水分濃度:1.5ppm)を用い、触媒1の代わりに、調製例2で調製した触媒2を用いた以外は、実施例1と同様にして異性化反応を行った。その結果を表5に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000012
[実施例5]
 脱水処理したE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(水分濃度:1.5ppm)の代わりに、水分調整したE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(水分濃度:47ppm)を用いる以外は実施例4と同様にして異性化反応を行った。その結果を表6に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000013
[比較例2]
 脱水処理したE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(水分濃度:1.5ppm)の代わりに、脱水処理を施していないE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(水分濃度:129ppm)を用いる以外は実施例4と同様にして異性化反応を行った。その結果を表7に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000014
 実施例1~3および比較例1について、一定量の原料を導入した時点(原料導入積算量)におけるZ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの収率をプロットした結果を図1に示す。実施例4~5および比較例2についても同様にしてプロットした結果を図2に示す。
 図1に示すように、水分濃度が1ppm未満のE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを原料として用いると、目的物であるZ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの収率低下は見られず、触媒の失活は見られなかった。水分濃度が37ppm、61ppmのものを用いた場合も、原料導入積算量が増えるに連れて若干の収率低下が見られるものの、触媒の性能は維持されていた。しかしながら、水分濃度が133ppmのものを用いた場合には、原料導入開始後、早期の段階から収率低下が見られ、触媒性能が著しく低下した。
 同様に、図2に示すように、水分濃度が1.5ppmのE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを原料として用いると、目的物であるZ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの収率低下は見られず、触媒の失活は見られなかった。水分濃度が47ppmのものを用いた場合も、目的物であるZ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの収率低下はほとんど見られず、触媒の性能は維持されていた。しかしながら、水分濃度が129ppmのものを用いた場合には、原料導入開始後、早期の段階から収率低下が見られ、触媒性能が著しく低下した。
[実施例6]
 脱水剤として1kgのゼオラムA-3(東ソー社製)を、10kgのZ-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを充填した密閉容器に入れ1日静置することで脱水処理を行った。脱水処理後のZ-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンについて、カールフィッシャー水分計で水分濃度を測定したところ、水分濃度は2.0ppmであった。ここで、カールフィッシャー水分計は、微量水分測定装置(三菱化学アナリテック社製、CA-200型)を使用し、所定量の液体試料を注射器で水分計に注入した。
 続いて、調製例2で調製した50mLの触媒2を、電気炉を備えた直径2cm、長さ40cmの円筒形ステンレス鋼(SUS316L)製反応管に充填し、約20mL/分の流量で窒素ガスを流しながら、反応管内の温度を60℃に昇温した。
 次に、前述の脱水処理後のZ-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(水分濃度:2.0ppm)を予め気化させて、触媒との接触時間(180秒間)に基づいて計算された速度で反応管への供給を開始した。有機物の流量が安定したところで、窒素ガスの導入は停止した。
 反応管出口から流出するガス混合物を水中に吹き込んで、酸性ガスを除去した後、得られた生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。これらの結果を表8に示す。表中、1233zd(Z)はZ-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを、244faは3-クロロ-1,1,1,3-テトラフルオロプロパンを、1233zd(E)はE-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを、その他は前記3種の化合物を除く微量の化合物を表す。以下同じ。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000015
[比較例3]
 脱水処理したZ-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(水分濃度:2.0ppm)の代わりに、脱水処理を施していないZ-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(水分濃度:120ppm)を用いる以外は、実施例6と同様にして異性化反応を行った。その結果を表9に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000016
[実施例7]
 調製例2で調製した50mLの触媒2を、電気炉を備えた直径2cm、長さ40cmの円筒形ステンレス鋼(SUS316L)製反応管に充填し、約20mL/分の流量で窒素ガスを流しながら、反応管内の温度を200℃に昇温した。
 次に、前述の脱水処理後のZ-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(水分濃度:4.5ppm)を予め気化させて、触媒との接触時間(60秒間)に基づいて計算された速度で反応管への供給を開始した。有機物の流量が安定したところで、窒素ガスの導入は停止した。
 反応管出口から流出するガス混合物を水中に吹き込んで、酸性ガスを除去した後、得られた生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。これらの結果を表10に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000017
[比較例4]
 脱水処理したZ-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(水分濃度:4.5ppm)の代わりに、脱水処理を施していないZ-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(水分濃度:130ppm)を用いる以外は、実施例7と同様にして異性化反応を行った。その結果を表11に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000018
 実施例6および比較例3について、一定量の原料を導入した時点(原料導入積算量)におけるE-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの収率をプロットした結果を図3に示す。実施例7および比較例4についても同様にしてプロットした結果を図4に示す。
 図3に示すように、水分濃度が2.0ppmのZ-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを原料として用いた場合、原料導入積算量が増えるに連れて目的物であるE-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの若干の収率低下が見られるものの、触媒の性能は維持されていた。しかしながら、水分濃度が120ppmのものを用いた場合には、原料導入開始後、早期の段階から収率低下が見られ、触媒性能が大きく低下した。
 同様に、図4に示すように、水分濃度が4.5ppmのZ-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを原料として用いると、目的物であるE-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの収率低下は見られず、触媒の失活は見られなかった。しかしながら、水分濃度が130ppmのものを用いた場合には、原料導入開始直後では収率が維持されていたものの、その後収率低下が見られ、触媒性能が著しく低下した。
[実施例8]
 脱水剤として200gのゼオラムA-3(東ソー社製)を充填した乾燥塔に、20kgのZ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンをポンプで送液・循環させて脱水処理を行った。脱水処理後のZ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンについて、気化装置を備えたカールフィッシャー水分計で水分濃度を測定したところ、水分濃度は2.4ppmであった。ここで、カールフィッシャー水分計は、微量水分測定装置(三菱化学アナリテック社製、CA-200型)を使用し、試料導入部には液化ガス気化装置(同社製、型番:VG-200型)を接続し、予め設定した量の試料を気化させて、水分計に自動注入した。
 続いて、調製例2で調製した50mLの触媒2を、電気炉を備えた直径2cm、長さ40cmの円筒形ステンレス鋼(SUS316L)製反応管に充填し、約20mL/分の流量で窒素ガスを流しながら、反応管内の温度を200℃に昇温した。
 次に、前述の脱水処理後のZ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(水分濃度:2.4ppm)を予め気化させて、触媒との接触時間(60秒間)に基づいて計算された速度で反応管への供給を開始した。有機物の流量が安定したところで、窒素ガスの導入は停止した。
 反応管出口から流出するガス混合物を水中に吹き込んで、酸性ガスを除去した後、得られた生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。これらの結果を表12に示す。表中、1234ze(E)はE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを、1234zcは1,1,3,3-テトラフルオロプロペンを、245faは1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンを、1234ze(Z)はZ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを表す。以下同じ。
[比較例5]
 脱水処理したZ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(水分濃度:2.4ppm)の代わりに、脱水処理を施していないZ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(水分濃度:148ppm)を用いる以外は、実施例8と同様にして異性化反応を行った。その結果を表13に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000020
 実施例8および比較例5について、一定量の原料を導入した時点(原料導入積算量)におけるE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの収率をプロットした結果を図5に示す。
 図5に示すように、水分濃度が2.4ppmのZ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを原料として用いると、目的物であるE-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの収率低下は見られず、触媒の失活は見られなかった。しかしながら、水分濃度が148ppmのものを用いた場合には、原料導入開始直後では収率が維持されていたものの、その後収率低下が見られ、触媒性能が著しく低下した。
 以上の実施例1~8および比較例1~5の結果から、原料とともに反応系に導入される水分が一定濃度を超えると、基質の種類および異性体比によらず、顕著な触媒性能の低下をもたらすことは明らかであった。

Claims (23)

  1.  以下の工程1を含む、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を異性化して、対応するハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を製造する方法。
     工程1: 水分濃度を100ppm以下に調整した、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物を、気相中で触媒と接触させて、生成物を得る工程。
  2.  水分濃度を50ppm以下に調整した、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物を用いる、請求項1に記載の方法。
  3.  接触を、0~600℃の温度、かつ、0.01~500秒の接触時間で行う、請求項1または2に記載の方法。
  4.  接触を、20~550℃の温度、かつ、1~150秒の接触時間で行う、請求項1または2に記載の方法。
  5.  温度と接触時間とは、トレードオフの関係である、請求項3または4に記載の方法。
  6.  触媒が、アルミニウム、クロム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、マグネシウム、ジルコニウム、モリブデン、亜鉛、スズ、ランタン、ニオブ、タンタルおよびアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属酸化物である、請求項1~5の何れかに記載の方法。
  7.  触媒が、アルミニウム、クロム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、マグネシウム、ジルコニウム、モリブデン、亜鉛、スズ、ランタン、ニオブ、タンタルおよびアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む、一部または全てがフッ素化された金属フッ素化物である、請求項1~5の何れかに記載の方法。
  8.  触媒が、アルミニウム、クロム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、マグネシウム、ジルコニウム、モリブデン、亜鉛、スズ、ランタン、ニオブ、タンタルおよびアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属化合物を担持した担持触媒である、請求項1~5の何れかに記載の方法。
  9.  触媒が、さらにフッ素化処理を施した触媒である、請求項6~8の何れかに記載の方法。
  10.  ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)が、炭素数2~6のハイドロハロフルオロオレフィンである請求項1~9の何れかに記載の方法。
  11.  ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)が、下記一般式(1)で表されるハイドロハロフルオロオレフィンである、請求項1~10の何れかに記載の方法。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    (一般式(1)中、X1~X6はそれぞれ独立してH、F、ClまたはBrであり、X1~X6のうち、1~5個はFであり、残りはH、ClまたはBrであり、少なくとも1個はHである。)
  12.  ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)が、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1-クロロ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、2-クロロ-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンまたは1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペンである、請求項1~11の何れかに記載の方法。
  13.  以下の工程2をさらに含む、請求項1~12の何れかに記載の方法。
     工程2: 工程1で得られた生成物から酸分を除去し、該酸分を除去した生成物からハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を分離する工程、
  14.  以下の工程3および4をさらに含む、請求項1~13の何れかに記載の方法。
     工程3: 工程1で得られた生成物から酸分を除去し、該酸分を除去した生成物からハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物を分離する工程、
     工程4: 工程3で分離したハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物を、工程1のハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物として再利用する工程。
  15.  水分濃度の調整を、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物を、蒸留することで行う、もしくは、脱水剤と接触させることで行う、または、その両方により行う、請求項1~14の何れかに記載の方法。
  16.  水分濃度の調整を、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物を蒸留し、かつ、該蒸留の少なくとも前に、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物を脱水剤と接触させることで行う、請求項15に記載の方法。
  17.  一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体1)を触媒と接触させて対応するハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体2)を製造する方法であって、水分濃度を100ppm以下に調整した、ハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物を、気相中で0~600℃の温度、かつ、0.01~500秒の接触時間で触媒と接触させることを含む、方法。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
    (一般式(3)中、X7はFまたはClである。)
  18.  触媒が、アルミニウム、クロム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、銅、マグネシウム、ジルコニウム、モリブデン、亜鉛、スズ、ランタン、ニオブ、タンタルおよびアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む、一部または全てがフッ素化された金属フッ素化物である、請求項16に記載の方法。
  19.  一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体1)がE体であり、接触を、200~550℃の温度、かつ、0.1~250秒の接触時間で行う、請求項17または18に記載の方法。
  20.  一般式(3)で表されるハイドロハロフルオロプロペン異性体(異性体1)がZ体であり、接触を、50~300℃の温度、かつ、15~200秒の接触時間で行う、請求項17または18に記載の方法。
  21.  温度と接触時間とは、トレードオフの関係である、請求項19または20に記載の方法。
  22.  気相中、触媒と接触させてハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を異性化して、対応するハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を製造するために用いる、水分濃度が100ppm以下に調整された、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物。
  23.  気相中、触媒と接触させてハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を異性化して、対応するハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体2)を製造するために、ハイドロハロフルオロオレフィン異性体(異性体1)を少なくとも含む組成物の水分濃度を100ppm以下に調整して異性化反応系に供給する方法。
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