JP5750917B2 - シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法 - Google Patents

シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法に関し、より詳しくは、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、1,3,3,3−テトラクロロプロペンまたは1,1,3,3−テトラクロロプロペンをフッ素化し、次いで得られた生成物を異性化してシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを製造する方法に関する。
特許文献1に、気相で1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンをフッ化水素と反応させて1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを得る方法が記載されている。また、特許文献2に、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンを無触媒でフッ素水素と反応させて1,1,1−トリフルオロ−3−クロロ−2−プロペン(1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン)を得る方法が記載されている。特許文献3では、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法として、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンを反応容器中、ルイス酸触媒またはルイス酸触媒の混合物の存在下、150℃より低い温度で、液相で反応させること、反応容器中で生成した塩化水素及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを連続的に取り出すこと、及び前工程で得られた1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを単離する方法が記載されている。
しかしながら、これらの方法では1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが、通常、シス体とトランス体の混合物として得られ、一方の異性体のみを利用する場合には不都合である。
そこで、異性化による相互変換が試みられ、特許文献4には平衡反応を利用してトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンをシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンに変換する方法が記載されている。
また、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの異性化に関しては、特許文献5にはトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンをフッ素化して1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを製造する際に、副反応として異性化反応が起こり、その結果、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが生成した旨が実施例に記載されている。
特開平9−183740号公報 特開平11−180908号公報 国際公開2005−014512号公報 米国特許出願公開第2010/0152504号明細書 特開2007−38216号公報
1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、1,1,3,3−テトラクロロプロペンなどの前駆体をフッ化水素でフッ素化してシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを効率よく製造する方法を提供する。
ペンタクロロプロパンなどの塩素化プロパン、その一部の塩素がフッ素で置換された塩素化フッ素化プロパン、またはテトラクロロプロペンなどの塩素化プロペン、その一部の塩素がフッ素で置換された塩素化フッ素化プロペンをフッ化水素でフッ素化すると1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが得られる。この1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは、トランス体とシス体の混合物として得られるため、シス体の収率を高めるためにトランス体をシス体へ変換する異性化反応を適用するのが有効である。この異性化反応による生成物分布は熱平衡で決定され、シス体の最大組成は平衡状態で得られるが、触媒の使用で平衡への到達時間を短縮でき単位時間当たりの収量を増大させることができる。フッ素化反応により生成した混合物には、一般にトランス体とシス体以外に未反応のフッ化水素などの他成分も含むが、それらのうちトランス体(沸点、20.8℃)とフッ化水素(沸点、20℃)とは蒸留で分離することができないため、フッ化水素が混合したトランス体は水洗等の手段によりフッ化水素を除く必要であった。
しかしながら、本発明者らは、フッ素化反応で生成するフッ化水素を含んだトランス体を精製せずそのまま異性化触媒に接触させると、トランス体とシス体の組成をほぼ平衡状態にできる上に、フッ化水素を反応系中に伴わない場合と異なり、触媒が劣化しないことを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は次のとおりである。
[発明1]
1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、1,1,3,3−テトラクロロプロペンまたは1,3,3,3−テトラクロロプロペンをフッ化水素でフッ素化してシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンおよびトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む第一組成物を得る工程A、
第一組成物から蒸留によりフッ化水素とトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとを含む第二組成物を得る工程B、
二層を形成した第二組成物から層分離によりトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを主とする層を第三組成物として得る工程C、
第三組成物を触媒と接触させてシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む第四組成物を得る工程D、および
第四組成物からシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを得る工程E、を含むシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
[発明2]
工程Dにおいて、触媒がアルミナまたはジルコニウム担持アルミナである発明1。
[発明3]
工程Dにおいて、接触が酸素の存在下で行われる発明1または2。
本発明は、対応するクロロプロパンまたはクロロプロペンなどをフッ化水素でフッ素化してシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを選択的に製造する方法において、フッ素化反応工程と異性化反応工程の中間でフッ化水素を除去する必要がなく、効率よく製造することができる。また、反応時にフッ化水素を存在させるため触媒寿命の長期化に有利である。したがって、本発明の方法は工業的に好ましい製造方法である。
本明細書において、「1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン」は、「シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンまたはトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン」、または「シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの混合物」をいう。
本発明のシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法は、
(1)工程A
1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンまたは1,1,3,3−テトラクロロプロペンをフッ化水素でフッ素化して1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む第一組成物を得る工程
(2)工程B
第一組成物から蒸留により実質上フッ化水素とトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとからなる第二組成物を得る工程
(3)工程C
二層を形成した第二組成物から層分離によりトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを主とする層を第三組成物として得る工程
(4)工程D
第三組成物を触媒と接触させてシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む第四組成物を得る工程
(5)工程E
第四組成物からシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを得る工程
を含む方法である。
(1)工程A
工程Aはフッ素化反応工程である。具体的には、工程Aのフッ素化反応工程は、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、1,3,3,3−テトラクロロプロペンまたは1,1,3,3−テトラクロロプロペン(以下、「原料有機物」ということがある。)をフッ化水素でフッ素化して1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む第一組成物を得る工程である。この工程には、いくつかの反応方法が知られているが、その何れによってもよい。次にいくつかの方法を例示するが、これらの方法に限られない。
原料有機物およびその一部フッ素化物は、公知の方法で製造することができる。例えば、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンは、塩化ビニルへのクロロホルム付加により、1,1,3,3−テトラクロロプロペンは、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンを熱分解またはアルカリ金属水酸化物による脱塩化水素で得ることができる。
気相で行う場合、流通法で行うのが好ましく、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンまたは1,1,3,3−テトラクロロプロペンとフッ化水素をフッ素化触媒と接触させて反応させる(特許文献1)。フッ素化触媒は、水酸化クロム(III)や3フッ化クロム(III)の水和物を熱処理したものをフッ化水素でフッ素化したフッ化酸化クロム、アルミナをフッ化水素でフッ素化したフッ化アルミナ、Cr、Zn、Ti、V、Zr、Mo、Ge、Sn及びPbから選ばれる少なくとも1種の元素をフッ素化アルミナ等に担持した担持触媒などが使用できる。フッ素化反応工程では、フッ化水素を原料有機物の3倍モル〜20倍モル用い、反応温度は、100〜400 ℃、好ましくは 200℃〜300 ℃である。 反応圧力は、常圧〜2MPa程度である。接触時間は標準状態において、通常0.1〜500秒、好ましくは3〜100秒である。
反応後得られる生成物中の有機物の組成は、反応条件により異なるが、通常は平衡組成となる。有機物中の1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは70〜95モル%、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンは1〜10モル%、1,1,1,3−テトラフルオロ−2−プロパンは1〜10モル%程度であり、その他に低フッ素化の塩素化フッ素化プロパンまたは塩素化フッ素化プロペンが含まれることがある。また、原料有機物とフッ化水素の組成比により異なるが、通常、有機物1モルに対し、未反応フッ化水素15〜20モル、塩化水素は2〜4モルが含まれる。
液相で行う場合、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンまたは1,1,3,3−テトラクロロ−プロペンを反応容器中、無触媒またはルイス酸触媒の存在下、フッ化水素と反応させる(特表2007−501843、特表平2001−526624)。ルイス酸触媒としては、チタン、スズおよび鉄のハロゲン化物、具体的には、四塩化チタン、四塩化スズおよび塩化鉄、また、SbCl、SbCl、TaCl、NbCl、MoCl等を用いることができる。ルイス酸触媒は、任意の適切な触媒量で使用する。反応温度は、40〜150℃、反応圧力は、0.3〜10MPaで行い、フッ化水素を原料有機物の3倍モル〜30倍モル用いる。反応時間は、10分〜10時間で行う。反応は、密閉式の自圧で行ってもよいが、生成する塩化水素を連続的または断続的に抜き出し反応圧力を一定に保って行うのが好ましい。
反応後得られる生成物の組成は、反応条件により異なるが、通常は平衡組成となる。有機物中の1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは70〜95モル%、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンは1〜10モル%、1,1,1,3−テトラフルオロ−2−プロパンは1〜10モル%程度であり、その他に低フッ素化の塩素化フッ素化プロパンまたは塩素化フッ素化プロペンが含まれることがある。また、有機物1モルに対し、未反応フッ化水素5〜30モルと塩化水素が含まれる。
(2)工程B
工程Bは蒸留工程である。具体的には、工程Bはフッ素化反応工程で得られた第一組成物から蒸留によりフッ化水素とトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む第二組成物を得る工程である。
フッ素化工程で得られる第一組成物に含まれる1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは、反応条件に依存するが、シス体70〜95%とトランス体5〜30%からなっている。蒸留は公知の方法で行えばよい。充填塔、泡鐘塔などいずれの形式でもよく、充填材はヘリパック、ラシッヒリング、ポールリングなど特に限定されない。蒸留は、大気圧でもよいが、加圧下で行うこともできる。塩化水素は、他の成分と沸点が大きく異なるので深冷分離などの単蒸留で除去してから、有機成分の蒸留を行ってもよい。第一組成物を蒸留すると、約20℃の留分としてフッ化水素とトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとからなる第二組成物が得られる。第二組成物は塩化水素、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、副生成物などからは容易に分離できるが、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの沸点(20.8℃)がフッ化水素の沸点(20℃)と近接しておりこれらは分離できず混合物として得られる。第二組成物は、実質上フッ化水素とトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとからなることが好ましい。
(3)工程C
工程Cは、層分離工程である。具体的には、工程Cは蒸留で得られた第二組成物を静置して二層を形成させ、層分離によりトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを主とする第三組成物を得る工程である。
第二組成物は、フッ素化反応工程で使用した1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンまたは1,1,3,3−テトラクロロ−プロペンとフッ化水素のモル比で決まる過剰分のフッ化水素に依存するが、通常、第二組成物は飽和溶解度以上のフッ化水素を含む。飽和溶解度に満たない場合は二層を形成せず分離する必要はないので、この工程は省略することができる。飽和溶解度を超えるフッ化水素を含む場合、第二組成物は直ちに二層を形成し、通常、下層がトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを主とする組成物(第三組成物)となるので、この層を分離・取得すれば容易に第三組成物を得ることができる。第三組成物に含まれるフッ化水素の量は、温度により異なるが、常温(25℃をいう。)で、約14モル%である。上層として得られるフッ化水素を主とする組成物は、フッ素化反応工程の原料として使用できる。
ニ層を形成した第ニ組成物は、フッ化水素を主とする層と第三組成物に分離することなく、そのまま容器に留め、使用に際して下層(第三組成物)を抜き出すのが好ましい。
(4)工程D
工程Dは異性化反応工程である。具体的には、工程Dは第三組成物を触媒と接触させ、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを異性化してシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとし、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む第四組成物を得る工程である。
反応形式は、気相反応、液相反応のいずれも採用できる。また、接触形式は流通式もしくはバッチ式であってもよく、これらの反応形式および処理形式を組み合わせた形式を適宜採用できる。反応に関与する化学物質の沸点が低いことから、実用的には気相流通形式が最も好ましい。気相流通形式では、触媒の保持方法は固定床、流動床、移動床などいずれの形式でもかまわないが、固定床で行うのが簡便であるので、好ましい。
以下の説明においては、気相反応について述べるが、液相で行う場合については、当業者は適宜技術常識に基づいて変更を加え最適化を図ることができる。
異性化反応は、フッ化水素に対して実質的に不活性な材質で造られた反応器を用い、温度の調節された触媒の充填された反応領域へ第三組成物を導入することで行われる。容器は通常、管状であってステンレス鋼、ハステロイ(TM)、モネル(TM)、白金、炭素、フッ素樹脂またはこれらをライニングした材料で製作されたものが用いられる。
触媒は、金属酸化物または金属化合物を担持した担持触媒が好ましい。金属酸化物は、アルミニウム、クロム、ジルコニウム、チタンおよびマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属の酸化物であり、単独で使用することができ二種以上の金属の複合した複合酸化物として使用することもできる。本明細書においては、「金属酸化物」は金属酸化物の酸素原子の一部がフッ素で置換された「金属フッ素化酸化物」をも含むことがある。金属酸化物は、結晶系の異なるものがあるが、何れも使用できる。アルミナではγ−アルミナは表面積が大きく好ましい。
複合酸化物は、アルミニウム、クロム、ジルコニウム、チタンおよびマグネシウムの酸化物を主成分とし、副成分としてアルミニウム、クロム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、マグネシウム、ジルコニウムおよびアンチモンなどの酸化物を含むものが好ましい。
このような複合酸化物としては、例えば、アルミナとクロム、アルミナとジルコニア、アルミナとチタニア、アルミナとマグネシアの複合酸化物が好ましいものとして挙げられる。これらは、いずれもアルミニウムを50原子%以上含むものが好ましく、80原子%以上含むものがより好ましい。50原子%未満では異性化の転化速度が遅く好ましくない。
金属酸化物は一種以上の結晶形を取ることがあり、たとえば、アルミナにはγ−アルミナとα−アルミナ、チタニアにはアナタ−ゼとルチルの結晶形のものがある。金属酸化物の結晶形はいずれであってもよいが、アルミナではγ−アルミナは表面積が大きく好ましい。
異性化反応において、金属酸化物は通常金属フッ素化酸化物として使用する。フッ素化されていない金属の酸化物を用いた場合には、フッ化水素および1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンがフッ素化剤として作用するため、経時的に金属フッ素化酸化物に転化し、反応が安定しない傾向があるので、金属酸化物は予め金属フッ素化酸化物としたものか、反応の前にフッ素化剤と接触させたものが好ましい。酸素原子がフッ素原子に置換した比率は特に限定されず、広い範囲のものが使用できる。
金属フッ素化酸化物の調製は、フッ化水素、フッ素化炭化水素、フッ素化塩素化炭化水素などのフッ素化剤と接触させることにより行われる。フッ素化処理は、通常段階的におこなうのが好ましい。フッ化水素でフッ素化処理する場合、大きな発熱を伴うので、最初は希釈されたフッ酸水溶液やフッ化水素ガスにより比較的低温度でフッ素化し、徐々に濃度および/または温度を高くしながら行うのが好ましい。最終段階は、異性化反応の反応温度以上で行うのが好ましいが、この条件に加えて、反応中の経時変化を予防するためにはフッ素化温度は200℃以上で行い、400℃以上、さらに好ましくは500℃以上においてフッ化水素でフッ素化処理するのが好ましい。温度の上限は特にないが、900℃を超えるのはフッ素化処理装置の耐熱性の点から困難であり、実用的には600℃以下で行うのが好ましい。
このような金属酸化物は、金属フッ素化酸化物であっても、さらに反応中の触媒の組成変化を防止するために、使用の前に所定の反応温度以上の温度で予めフッ化水素、フッ素化炭化水素、フッ素化塩素化炭化水素などのフッ素化剤で処理しておくことが好ましい。
本発明で用いる金属を担持した担持触媒は、担体としては、炭素または前記した金属酸化物(複合酸化物を含む。)もしくはそれをフッ素化した金属フッ素化酸化物が使用できる。
担持させる金属としては、アルミニウム、クロム、チタン、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、マグネシウム、ジルコニウムおよびアンチモンなどが挙げられる。これらのうち、アルミニウム、クロム、チタン、ジルコニウム、アンチモンが好ましい。これらの金属は酸化物、フッ化物、塩化物、フッ化塩化物、オキシフッ化物、オキシ塩化物、オキシフッ化塩化物等として担持に用いられ、2種以上の金属化合物を併せて担持させてもよい。
金属担持量(触媒の質量に対する金属の質量の割合で示す。以下同じ。)は0.1〜80質量%、好ましくは1〜50質量%である。0.1質量%未満では触媒効果が低く、80質量%を超えるのは安定に担持させることが困難であるので、それぞれ好ましくない。
担持させる金属化合物としては、硝酸クロム、三塩化クロム、三酸化クロム、重クロム酸カリウム、三塩化チタン、硝酸マンガン、塩化マンガン、二酸化マンガン、塩化第二鉄、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、硝酸コバルト、塩化コバルト、五塩化アンチモン、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウムなどを用いることができる。
金属化合物を担持して調製した触媒は、異性化反応中の触媒の組成変化を防止するために金属酸化物について説明したのと同様の方法により、使用の前に所定の反応温度以上の温度で予めフッ化水素、フッ素化炭化水素、フッ素化塩素化炭化水素などのフッ素化剤で処理しておくことが好ましい。
異性化反応の触媒としては、アルミナ、ジルコニウム担持アルミナ、クロム担持活性炭を好ましい具体例として挙げられ、アルミナ、ジルコニウム担持アルミナが特に好ましい。当然、これらの触媒は反応の前に予めフッ素化処理をしておくことが好ましい。
金属酸化物、担持触媒など何れの触媒の場合も、反応中に空気、酸素、塩素などのガスを反応器中に供給することは触媒寿命の延長に有効である。また、第三組成物に加えフッ化水素または塩化水素を別途加えることもできる。塩化水素の存在は、フッ素化反応を抑制する効果を有する。酸素または塩素は、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン100モル当たり0.1〜100モルとし、0.5〜10モルが好ましい。
異性化反応において、反応領域へ供給する第三組成物は、反応に関与しない窒素、ヘリウム、アルゴンなどのガスと共に供給してもよい。このようなガスは、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン100モル当たり100モル以下の比率とし、10モル以下が好ましく、通常は使用しないのがよい。
異性化反応を行う温度は特に限定されないが、−10〜400℃であり、0〜350℃が好ましく、10〜300℃がさらに好ましい。反応温度が−10℃よりも低いと反応装置に特別の冷却設備を設ける必要があり、エネルギ−効率的にも有利でないので好ましくない。一方、反応温度が400℃を超えても特に反応率は向上せず、分解生成物が生成してシス−1−クロロ3,3,3−トリフルオロプロペンの選択率が低下するので好ましくない。気相で行う場合には、前記温度範囲のうち、−10〜400℃であり、0〜350℃が好ましく、10〜300℃がさらに好ましい。気相を想定してよいのでは?気相について説明する、と前置きしてあるので。または、液相と別に規定する。
異性化反応は、圧力については特に限定されないので、気相で行う場合は、特に加圧または減圧などの圧力調節をすることなく行うことができるが、装置の面から0.01〜1MPa(絶対圧、以下同じ。)で行うのが好ましい。圧力を決定する場合、系内に存在する原料などの有機物が、反応系内で液化しないような条件を選ぶことが望ましい。液相で行う場合は、原料の1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの沸点が低いので、0.1〜10PMaの加圧系で行うのが好ましい。
異性化反応の接触時間は標準状態において、通常0.1〜500秒、好ましくは3〜100秒である。接触時間が短いと反応率が低下し、接触時間が長すぎると副反応が起こるので好ましくない。
活性が低下した触媒は、乾燥空気またはフッ化水素と200〜600℃と接触させることで再活性化することができる。最初に乾燥空気を用い、次いでフッ化水素を用いることも好ましく。乾燥空気とフッ化水素を同時に使用することも好ましい。
(5)工程E
工程Eは第四組成物からシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを得る工程である。
異性化反応により異性化されて反応器より流出するシス−1−クロロ3,3,3−トリフルオロプロペンを主成分とする第四組成物は、公知の方法で分離・精製することができる。
第四組成物は、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、フッ化水素などが含まれる。シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの比率は通常熱平衡組成で定まる。シス体/トランス体のモル比は、150〜300℃で概ね10/90である。
精製方法は限定されないが、水洗浄、アルカリ洗浄、乾燥、蒸留、不純物吸着などの公知の方法を適用すればよい。例えば、生成物を最初に水または/およびアルカリ性溶液で洗浄してフッ化水素などの酸性物質を除去し、乾燥の後、蒸留に付して低沸点成分としてトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンなどを除いた後、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを得ることで行うことができる。分離されたトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンなどの有機成分は、再度異性化反応工程またはフッ素化工程に戻すことができ、また硬質ウレタンフォーム発泡剤などとして製品化することもできる。
(6)用途
シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンは硬質ポリウレタンフォ−ムの発泡剤、溶剤、洗浄剤、冷媒、作動流体、噴射剤または機能性物質やフッ素樹脂の原料等として有用である。
以下に本発明を、例を挙げて具体的に説明するが、これらによって本発明は限定されるものではない。ここで、組成分析値の「%」は、反応混合物をガスクロマトグラフィー(別途記述のない場合、検出器はFIDである。)によって測定して得られた組成の「面積%」を表す。単位時間あたりの転化率の低下速度、およびシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン選択率の低下速度は、時間−転化率または時間−選択率を一次関数とみなして近似式より求めた。
[調製例1]
4.5gの特級試薬オキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl・8HO)を30mlのエタノールに溶かした。この溶液に直径5mm、粒状γ−アルミナ(住化アルケム、KHS−46)50mlを浸漬し、一昼夜放置した。次にエタノールを留去し150℃減圧下乾燥した。得られたジルコニウム担持アルミナを電気炉を備えた直径2cm長さ40cmの円筒形ステンレス鋼(SUS316L)製反応管に充填し、窒素ガスを流しながら200℃まで昇温し、水の流出が見られなくなった時点で、窒素ガスにフッ化水素(HF)を同伴させその濃度を徐々に高めた。充填されたジルコニウム担持アルミナのフッ素化によるホットスポットが反応管出口端に達したところで反応器温度を450℃に上げ、その状態を1時間保ち触媒反応の触媒の調製を行った。
[調製例2]
三菱化学カルゴン製椰子殻破砕炭100g(PCB 4×10メッシュ)を純水150gに浸漬し、別途40gの特級試薬CrCl・6H2Oを100gの純水に溶かし調製した溶液と混合攪拌し、一昼夜放置した。次に濾過して活性炭を取り出し、電気炉中で200℃に保ち、2時間焼成した。得られたクロム担持活性炭を、電気炉を備えた直径5cm長さ30cmの円筒形SUS316L製反応管に充填し、窒素ガスを流しながら200℃まで昇温し、水の流出が見られなくなった時点で、窒素ガスにフッ化水素を同伴させその濃度を徐々に高めた。充填されたクロム担持活性炭へのフッ化水素の吸着によるホットスポットが反応管出口端に達したところで反応器温度を400℃に上げ、その状態を2時間保ち触媒の調製を行った。
[調製例3]
粒状γ−アルミナ(住化アルケム、KHS−46)50mlを電気炉を備えた直径2cm長さ40cmの円筒形ステンレス鋼(SUS316L)製反応管に充填し、窒素ガスを流しながら200℃まで昇温し、水の流出が見られなくなった時点で、窒素ガスにフッ化水素(HF)を同伴させその濃度を徐々に高めた。充填されたアルミナのフッ素化によるホットスポットが反応管出口端に達したところで反応器温度を450℃に上げ、その状態を1時間保ち触媒反応の触媒の調製を行った。
[フッ素化反応]
2000mlのステンレス鋼製オートクレーブに1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン433g(2モル)とフッ化水素300g(15モル)を仕込み、オートクレーブを200℃に加熱し圧力を約10MPaで5時間保った。
反応後、オートクレーブをドライアイス−アセトン浴で冷却し塩化水素をパージしてから、内容物をフッ素樹脂製の蒸留塔に移し、蒸留したところ、沸点約20℃の留分332gが得られた。この留分は二層に分離しており、下層の有機層について滴定法で酸分を測定したところフッ化水素が2.4質量%(14モル%)含まれていた。また、この下層を水で洗浄しガスクロマトグラフで分析したところ、成分はトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンであり、他の成分は検出できなかった。
以後の異性化反応の実験には、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンにフッ化水素を添加して、2.4重量%のフッ化水素を含むトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを調製して使用した。
[実施例1]
外部加熱装置を備えた円筒形反応管からなる気相反応装置(SUS316L製、直径2.5cm、長さ40cm)に調製例1で調製した触媒50mlを充填し、窒素を100ml/分の流量で流しながら昇温し370℃に達した後その温度で1時間焼成した。次に一旦反応管を280℃に下げ、触媒温度が400℃を超えない様に窒素とフッ化水素を流しながら反応管温度を徐々に350℃まで上げ、350℃で1時間保った。その後、窒素のみを260ml/分の流量で一時間流し、残存するフッ化水素を除いて触媒の前処理を終えた。
次に、窒素を50ml/分の流量とし、反応管温度を300℃に設定した。300℃に達してから、HFを14mol%混合して調製したトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを4.5g/分の流量で予め気化させて導入し始めた直後、窒素の供給を止め、異性化反応を行った。反応管出口ガスをサンプリングし酸除去したガスをガスクロマトグラフで分析した。経過時間ごとの反応管出口ガス組成を表1に示した。
反応管出口ガスに含まれる有機成分は、水トラップ、塩化カルシウム乾燥管に通じた後、ドライアイス−アセトントラップで冷却したガラス製トラップで回収した。回収した有機成分は3510gであり、組成は、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが10.7%、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンが84.8%、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンが0.2%、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンが0.9%、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンが3.4%であった。これを蒸留して99.9%のシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを304g得た。
表1に示したデータに基づくと、単位時間当たりのトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン転化率の低下は0.30%/Hr、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの選択率の低下は0.18%/Hrであった。
Figure 0005750917
[実施例2]
実施例1と同様に触媒の前処理を行った後、窒素を50ml/分の流量とし、反応管温度を300℃に設定した。300℃に達してから、乾燥空気を38.8ml/分の流量で流し、HFを14mol%混合して調製したトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを4.5g/分の流量で予め気化させて導入し始めた直後、窒素の供給を止め、異性化反応を行った。反応管出口ガスをサンプリングし酸除去したガスをガスクロマトグラフで分析した。経過時間ごとの反応管出口ガス組成を表2に示した。
表2に示したデータに基づくと、単位時間当たりのトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン転化率の低下は0.09%/Hr、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの選択率の低下は0.04%/Hrであった。
Figure 0005750917
[比較例1]
実施例1と同様に触媒の前処理を行った後、窒素を50ml/分の流量とし、反応管温度を300℃に設定した。300℃に達してから、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを4.5g/分の流量で予め気化させて導入し始めた直後、窒素の供給を止め、異性化反応を行った。反応管出口ガスをサンプリングし酸除去したガスをガスクロマトグラフで分析した。経過時間ごとの反応管出口ガス組成を表3に示した。
表3に示したデータに基づくと、単位時間当たりのトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン転化率の低下は0.34%/Hr、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの選択率の低下は0.29%/Hrであった。
Figure 0005750917
[比較例2]
実施例1と同様に触媒の前処理を行った後、窒素を50ml/分の流量とし、反応管温度を300℃に設定した。300℃に達してから、乾燥空気を7.5ml/分の流量で流し、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを4.5g/分の流量で予め気化させて導入し始めた直後、窒素の供給を止め、異性化反応を行った。反応管出口ガスをサンプリングし酸除去したガスをガスクロマトグラフで分析した。経過時間ごとの反応管出口ガス組成を表4に示した。
表4に示したデータに基づくと、単位時間当たりのトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン転化率の低下は0.33%/Hr、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの選択率の低下は0.28%/Hrであった。
Figure 0005750917
[比較例3]
実施例1と同様に触媒の前処理を行った後、窒素を50ml/分の流量とし、反応管温度を300℃に設定した。300℃に達してから、乾燥空気を38.8ml/分の流量で流し、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを4.5g/分の流量で予め気化させて導入し始めた直後、窒素の供給を止め、異性化反応を行った。反応管出口ガスをサンプリングし酸除去したガスをガスクロマトグラフで分析した。経過時間ごとの反応管出口ガス組成を表5に示した。
表5に示したデータに基づくと、単位時間当たりのトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン転化率の低下は0.58%/Hr、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの選択率の低下は0.55%/Hrであった。
Figure 0005750917
実施例1、2および比較例1〜3について、単位時間あたりのトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの転化率の低下、およびシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの選択率の低下を表6に示した。実施例1と2は各比較例と比較して、転化率、選択率とも低下の傾向が低いことが分かる。
Figure 0005750917
[実施例3]
実施例1で使用した反応管に調整例2で調製したクロム担持活性炭を用いて、実施例1と同様に触媒の前処理を行った後、窒素を50ml/分の流量とし、反応管温度を300℃に設定した。300℃に達してから、HFを14mol%混合して調製したトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを0.2g/分の流量で予め気化させて導入し始めた直後、窒素の供給を止め、異性化反応を行った。反応開始から3時間後、反応管出口ガスをサンプリングし酸除去したガスをガスクロマトグラフで分析したところ、1,1,,3,3,3−ペンタフルオロプロパン0.24%、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン1.02%、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン83.23%、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン11.26%であった。
[実施例4]
実施例1で使用した反応管に調整例3で調製したフッ素化アルミナを用いて、実施例1と同様に触媒の前処理を行った後、窒素を50ml/分の流量とし、反応管温度を300℃に設定した。300℃に達してから、HFを14mol%混合して調製したトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを3.23g/分の流量で予め気化させて導入し始めた直後、窒素の供給を止め、異性化反応を行った。反応開始から3時間後、反応管出口ガスをサンプリングし酸除去したガスをガスクロマトグラフで分析したところ、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン0.01%、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン1.08%、トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン84.01%、シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン10.71%であった。
本発明の方法は、シ硬質ポリウレタンフォームの発泡剤、溶剤、洗浄剤、冷媒、作動流体、噴射剤、フッ素樹脂の原料等を工業的生産するのに適する。

Claims (3)

  1. 1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン、1,1,3,3−テトラクロロプロペンまたは1,3,3,3−テトラクロロプロペンをフッ化水素でフッ素化してシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンおよびトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む第一組成物を得る工程A、
    第一組成物から蒸留によりフッ化水素とトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとを含む第二組成物を得る工程B、
    二層を形成した第二組成物から層分離によりトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを主としフッ化水素を含む層を第三組成物として得る工程C、
    第三組成物を触媒と接触させてシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを含む第四組成物を得る工程D、および
    第四組成物からシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを得る工程E、を含むシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  2. 工程Dにおいて、触媒がアルミナまたはジルコニウム担持アルミナである請求項1に記載のシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
  3. 工程Dにおいて、接触が酸素の存在下で行われる請求項1または2に記載のシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの製造方法。
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