WO2016185795A1

WO2016185795A1 - クローラトラクタ

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Publication number: WO2016185795A1
Application number: PCT/JP2016/059505
Authority: WO
Inventors: 藤木　勝美
Original assignee: ヤンマー株式会社
Priority date: 2015-05-20
Filing date: 2016-03-24
Publication date: 2016-11-24
Also published as: KR102043536B1; KR20180008777A; CN107531293B; EP3299264A1; US20180154956A1; CN107531293A; US10450015B2; EP3299264A4; EP3299264B1

Abstract

フレーム構成をホイルトラクタと共通化してコスト低減化を図ることができるクローラトラクタを提供することを課題とする。エンジン（３）の動力をミッションケース（５）及びフロントドライブアクスル（６）を介してクローラ式走行装置（２）の駆動輪（２２）に伝えるクローラトラクタであって、一対のメインフレーム（１０）と、ク一対のトラックフレーム（２１）、一対のロアフレーム（２７）と、一対のリアビーム（３３）と、一対のリヤハウジング（３４）と、を備え、一対のメインフレーム（１０）の前部は、フロントドライブアクスル（６）を介して、一対のトラックフレーム（２１）の前部に連結固定され、一対のメインフレーム（１０）の前後中途部は、一対ロアフレーム（２７）に連結固定され、一対のメインフレーム（１０）の後部は、一対のリアビーム（３３）を介して、一対のリヤハウジング（３４）に連結固定される、クローラトラクタ。

Description

クローラトラクタ

　本発明は、クローラ式走行装置上にトラクタの本体部を固定する技術に関する。

　従来、クローラフレームの前部にエンジンを固定し、クローラフレームの後部にミッションケースを固定し、エンジンとミッションケースの間を枠フレームにより連結した技術が公知となっている（例えば、特許文献１参照）。

特許第４６７２８８６号公報

　特許文献１に開示されるクローラトラクタでは、フレーム構成がクローラトラクタ専用に設計されている。そのため、例えばフレーム構成を他のトラクタのフレームに流用するようなコスト低減化を図ることができなかった。また、特許文献１に開示されるクローラトラクタのフレーム構成は、生産数が少ないため、生産期間と生産期間との間隔が長くなっていた。そのため、品質にばらつきが生じ易く、ばらつきによる不具合が発生するおそれがあった。

　本発明の課題は、フレーム構成をホイルトラクタと共通化してコスト低減化を図ることができるクローラトラクタを提供することである。

　本発明のクローラトラクタは、エンジンの動力をミッションケース及びフロントドライブアクスルを介してクローラ式走行装置の駆動輪に伝えるクローラトラクタであって、前後方向に延設される一対のメインフレームと、前記クローラ式走行装置を構成し、かつ、前後方向に延設される一対のトラックフレームと、前記一対のトラックフレーム同士を連結し、かつ、左右方向に延設される一対のロアフレームと、前記一対のトラックフレームの後部から左右中央側に向かって突設した一対のビームと、前記ミッションケースの左右両側に固定された一対のリヤハウジングと、を備え、前記一対のメインフレームの後部には、前記ミッションケースが固定され、前記一対のメインフレームの前部は、前記フロントドライブアクスルを介して、前記一対のトラックフレームの前部に連結固定され、前記一対のメインフレームの前後中途部は、前記一対ロアフレームに連結固定され、前記一対のメインフレームの後部は、前記一対のビームを介して、前記一対のリヤハウジングに連結固定されるものである。

　本発明のクローラトラクタにおいては、前記ミッションケースの後部の左右両側には、一対の後部マウントが取り付けられ、前記一対の後部マウント上には、前記キャビンの後部が固定され、かつ、燃料タンクが固定されることが好ましい。

　本発明のクローラトラクタにおいては、前記一対のメインフレームの前部と、前記フロントドライブアクスルと、前記ロアフレームと、フロントドーザブラケットと、が固定され、前記フロントドーザブラケットには、フロントドーザが取り付け可能とされることが好ましい。

　本発明のクローラトラクタにおいては、ミッションケースと、前記ミッションケースに取り付けられる一対のメインフレームと、前記一対のメインフレームに取り付けられるフロントドーザブラケットと、を備え、前記フロントドーザブラケットによってフロントドライブアクスルが支持されるクローラトラクタであって、前記フロントドライブアクスルには、フロントアクスルケースが付設され、前記フロントアクスルケースは、前記メインフレームに固定されることが好ましい。

　本発明のクローラトラクタにおいては、一対のトラックフレームをさらに備え、前記一対のトラックフレームは、前記フロントアクスルケースに固定されることが好ましい。

　本発明のクローラトラクタにおいては、前記一対のメインフレームに取り付けられる一対の連結ブラケットと、前記一対のトラックフレームに取り付けられる一対のロアフレームと、をさらに備え、前記トラックフレームは、前記一対のロアフレームを介して、前記一対の連結ブラケットに固定されることが好ましい。

　本発明のクローラトラクタにおいては、前記ミッションケースに取り付けられる一対のリヤハウジングと、前記一対のトラックフレームに取り付けられる一対のリヤビームと、
　をさらに備え、前記一対のトラックフレームは、前記一対のリヤビームを介して、前記一対のリヤハウジングに固定されることが好ましい。

　本発明のクローラトラクタにおいては、前記ミッションケースには、直進用無段変速装置が設けられ、前記フロントドライブアクスルには、旋回用無段変速装置が設けられ、前記直進用無段変速装置には、油圧ポンプと油圧モータとがポンプ軸上にて直列配置され、前記直進用無段変速装置の出力軸となるモータ軸は、前記ポンプ軸上に配置され、前記モータ軸の動力は、前後進切替装置及び副変速装置を介して、前記フロントドライブアクスルに伝達されることによって前記クローラ式走行装置が作動されることが好ましい。

　本発明のクローラトラクタによれば、フレーム構成をホイルトラクタと共通化してコスト低減化を図ることができる。

本発明の実施形態に係るクローラトラクタの側面図。クローラトラクタのクローラベルトとドアガラスを外した状態の斜視図。メインフレームにトラックフレームとエンジンとミッションケースを取り付けた斜視図。メインフレームにトラックフレームとエンジンとミッションケースと燃料タンクを取り付けた斜視図。トラクタの運転座席とその周囲を示す平面図。オペレータの視界を示す図。メインフレームの前部にフロントトーザを取り付けた状態の斜視図。フロントドーザの取り付けブラケットの斜視図。動力伝達機構図。油圧回路図。油圧配管を示す平面図。バッテリをステップ前方に配置した実施例を示す斜視図。

　図１乃至図６を用いて、クローラトラクタ１の全体構成について説明する。
　なお、以下の説明においては、Ｆ方向を前方向として説明する。また、一部の図では、説明を分かり易くするため、後部マウント３５又は燃料タンク３６の一方の図示を省略している。

　クローラトラクタ１は、クローラ式走行装置２上に、一対のメインフレーム１０を介して、エンジン３又はキャビン４等の本体部（上部構造）が固定されている。エンジン３は、ボンネット３０によって覆われている。

　キャビン４の内側は、操縦室として構成され、運転座席８が配置されている。運転座席８の周囲には、ステアリングハンドル９４、アクセルペダル９５、シフトレバー９６、ブレーキペダル９７、クラッチペダル９８及び前後進切替レバー９９等が配置されている。オペレータは、運転座席８に座った状態でアクセルペダル９５又はシフトレバー９６等を操作し、クローラトラクタ１を操縦することができる（図５及び図６参照）。

　一対のメインフレーム１０は、一対のフロントフレーム１１と一対のリヤフレーム１２とから構成されている。一対のフロントフレーム１１及び一対のリヤフレーム１２は、前後方向に延設される一対の板体と、左右方向に配設され、かつ、一対の板体を連結する補強体と、から構成されている。一対のフロントフレーム１１の前端には、バンパー１９が連結されている。一対のフロントフレーム１１の後部には、一対のリヤフレーム１２の前部が固設されている。

　一対のフロントフレーム１１の間には、エンジン３が固定されている。一対のリヤフレーム１２の後部の間には、ミッションケース５が固定されている。一対のメインフレーム１０とミッションケース５とを固設することによって、剛性が高い機体フレームが形成される。一対のフロントフレーム１１の前下部には、フロントドライブアクスル６が左右方向に固設されている。

　クローラ式走行装置２は、一対のトラックフレーム２１と、一対の駆動輪２２と、一対のテンションローラ２３と、複数の遊転輪２４と、一対のガイドローラ２５と、一対のクローラベルト２６と、を備えている。一対のトラックフレーム２１は、前後方向に延設され、一対のメインフレーム１０の両外側に配置されている。一対のトラックフレーム２１のそれぞれは、左右方向に延設される一対のロアフレーム２７によって連結されている。一対の駆動輪２２は、フロントドライブアクスル６の左右両側より側方に突出した駆動軸２８に固設されている。

　一対のテンションローラ２３は、一対のテンションフレーム２９の後端に回転自在に支持される。一対のテンションフレーム２９は、一対のトラックフレーム２１の後端より後方に伸縮可能に構成されている。複数の遊転輪２４は、複数のイコライザフレーム３１の前後に回転自在に支持される。イコライザフレーム３１は、一対のトラックフレーム２１の下部に前後揺動自在に支持されている。複数のガイドローラ２５は、一対のトラックフレーム２１の前後中途部上に回転自在に支持される。一対のクローラベルト２６は、一対の駆動輪２２、一対のテンションローラ２３、複数の遊転輪２４及び複数のガイドローラ２５に巻回されている。

　クローラ式走行装置２と機体フレーム（一対のメインフレーム１０とミッションケース５）との連結構成では、一対のトラックフレーム２１の前端がフロントドライブアクスル６及び一対のロアフレーム２７を介して一対のメインフレーム１０に固定され、後部は一対のリヤビーム３３及び一対のリヤハウジング３４を介してミッションケース５に固定されている。

　フロントドライブアクスル６では、左右中央にギヤボックス６ａが形成され（図１１参照）、ギヤボックス６ａの左右両側に一対のフロントアクスルケース６ｂが付設されている。一対のフロントアクスルケース６ｂの左右中央側には、一対のフロントフレーム１１に固設されている。一対のフロントアクスルケース６ｂの外側端の後面には、一対のトラックフレーム２１の前端が固設されている。

　一対のロアフレーム２７の左右中央部の上面には、後面視で逆Ｔ字状に構成された一対の連結ブラケット３２が固設されている。一対の連結ブラケット３２の上部は、一対のフロントフレーム１１の後部側面にボルト等によって固設されている。

　このような構成とすることで、機体フレームとクローラ式走行装置２とは、強固に連結固定される。そのため、クローラトラクタ１の剛性を向上することができる。

　また、一対のリヤハウジング３４及び一対のリヤビーム３３の後面には、作業機装着装置１３を構成する一対のロワリンク１５及び一対のチェックチェーン１６の前端が連結されている。作業機装着装置１３のトップリンク１７は、ミッションケース５の上面に固定された油圧ケースの後面に連結される。一対のリフトアーム１４（図２参照）は、油圧ケースの側面から後方に突出している。一対のリフトアーム１４の後端は、リフトリンクを介して一対のロワリンク１５に連結されている。一対のリフトアーム１４は、油圧シリンダによって昇降駆動される。

　一対のリヤハウジング３４の外側面には、一対の後部マウント３５が固設されている。後部マウント３５は、平板部と、支柱部と、を備えている。支柱部は、リヤハウジング３４に固設されている。支柱部は、平板部の機体左右内側下面に垂設されている。平板部の上面には、燃料タンク３６が取り付けられている。燃料タンク３６は、結束ベルト等により固定されている。燃料タンク３６は、ホイル型トラクタのフェンダーの形状に合わせた形状とされ、フェンダー内に配置され、外側面はカバーによって覆われている。

　一対の後部マウント３５の上面には、一対の弾性部材を介してキャビン４の後下部が固定されている。つまり、一対の後部マウント３５では、燃料タンクブラケットとキャビンマウントとが一体的に構成されている。キャビン４の前下部は、キャビンブラケット（図示なし）を介して一対のリヤフレーム１２の側面に固定されている。

　すなわち、ミッションケース５の後部の左右両側には、一対のリヤハウジング３４を介して、一対の後部マウント３５が設けられている。一対の後部マウント３５上には、一対の燃料タンク３６とキャビン４の後部とが固定されている。

　このような構成とすることで、燃料タンク３６とキャビン４の取付部材とが一体的に構成され、部品点数を削減でき、コスト低減化が図れる。

　図１、図２及び図４を用いて、バッテリ４３の配置について説明する。
　バッテリ４３は、セルモータの駆動、ライト、室内照明及び制御装置等の電装品に電力を供給するものである。バッテリ４３は、タンクカバー３７内に配置されている。タンクカバー３７は、操縦部の側部に配置される燃料タンク３６を覆うものである。操縦部を覆うキャビン４内の運転座席８の左右両側には、一対のフェンダー９が配置されている。

　本実施形態のクローラトラクタ１の上部構造は、ホイルトラクタと共通としているため、ホイルトラクタの後輪の上方を覆う一対のフェンダー９を備えている。一対のフェンダー９内には、一対の燃料タンク３６が配置されている。一対の燃料タンク３６の外側側面は、一対のタンクカバー３７によって覆われている。左右一方（左側または右側）のフェンダー９内には、バッテリ４３が収納されている。バッテリ４３は、バッテリ載置台４２上に載置されている。バッテリ載置台４２は、後部マウント３５の前部より前方に延設されている。

　なお、燃料タンク３６の上部の前後中央には、燃料を補給するための供給口が設けられている。タンクカバー３７の上部の前後中央に設けた蓋３７ａを開けることによって、供給口が露出される。

　このような構成とすることで、一対のフェンダー９の内部空間を有効に利用することができる。また、燃料タンク３６の前方のタンクカバー３７内にバッテリ４３が配置される構成とすることによって、タンクカバー３７を開けることでバッテリ４３をメンテナンスできる。バッテリ載置台４２は後部マウント３５と一体的に構成できるため、簡易構成によって十分な強度が得られる。また、バッテリ４３がボンネット３０内に配置されないことによって、ラジエータ前方を遮るものがなくなり、ラジエータの冷却効率を向上できる。また、バッテリ４３がボンネット３０内に配置されないことによって、エンジンルームを小さく構成することができ、前方視界を拡げることができる。

　図１２を用いて、バッテリ４３の別の配置について説明する。
　バッテリ４３は、キャビン４の外側、ステップ４１の前方かつクローラベルト２６の上方に配置しても良い。バッテリ載置台４２は、キャビン４の前下側部に設けたステップ４１の前方に設けられている。この場合には、ボンネット３０を開けることなく外側のクローラベルト２６上でメンテナンスが行え、メンテナンス作業が容易に行える。

　図１、図７及び図８を用いて、フロントドーザ５０を装着する構成について説明する。
　フロントドーザ５０は、クローラトラクタ１の前部に装着可能に構成されている。一対のメインフレーム１０の前部側面、フロントドライブアクスル６、及び一対のロアフレーム２７には、一対のフロントドーザブラケット５１が固定されている。このような構成とすることで、一対のフロントドーザブラケット５１にフロントドーザ５０を取り付け可能としている。

　フロントドーザ５０は、一対の支持フレーム５２と、支持アーム５３と、ブレード５４と、一対の昇降シリンダ５５と、一対のアングルシリンダ５６と、傾斜シリンダ５７と、ブレード取付体５８と、を備えている。支持フレーム５２は、板状に構成されて、その後部がフロントドーザブラケット５１の外側端にボルトにより固定されている。

　一対の支持フレーム５２の前下部には、平面視略コ字状に構成された支持アーム５３の左右両側後端が上下回動自在に枢支されている。一対の支持フレーム５２の前上部と支持アーム５３の前部両側との間には、一対の昇降シリンダ５５が介装されている。このような構成とすることで、昇降シリンダ５５の伸縮によって支持アーム５３が昇降可能とされている。

　支持アーム５３の前端の左右中央と、板状のブレード取付体５８の左右中央後面とが、左右回動自在に枢支されている。支持アーム５３の左右両側後部とブレード取付体５８の左右両側後面との間には、一対のアングルシリンダ５６が介装されている。一対のアングルシリンダ５６を互いに反対方向に伸縮させることによって、ブレード取付体５８が左右回動可能とされている。

　ブレード取付体５８の前面には、ブレード５４の後面が傾倒可能に支持されている。ブレード５４の左右中央上部とブレード取付体５８の左右一側との間には、傾斜シリンダ５７が介装されている。傾斜シリンダ５７を伸縮させることによって、ブレード５４が傾倒可能とされている。このような構成とすることで、ブレード５４が昇降及び前後傾斜及び上下傾斜可能とされる。

　図７及び図8を用いて、フロントドーザブラケット５１の構成について説明する。
　フロントドーザブラケット５１は、フロントフレーム１１、フロントドライブアクスル６及びロアフレーム２７に固定されている。フロントドーザブラケット５１は、メインフレーム取付板５１ａと、アクスル取付板５１ｂと、ロアフレーム取付板５１ｃと、ドーザ取付板５１ｄと、連結板５１ｅと、連結板５１ｆと、補強ステー５１ｇと、を備えている。

　メインフレーム取付板５１ａと、アクスル取付板５１ｂと、ロアフレーム取付板５１ｃとは、上下前後方向に配置した連結板５１ｅによって連結固定されている。メインフレーム取付板５１ａとドーザ取付板５１ｄとは、水平左右方向に配置した連結板５１ｆによって連結固定される。メインフレーム取付板５１ａ、アクスル取付板５１ｂ、ロアフレーム取付板５１ｃ、ドーザ取付板５１ｄ及び連結板５１ｅ、５１ｆには、それぞれ適宜補強ステー５１ｇが固設されている。

　フロントドーザブラケット５１の前部のメインフレーム取付板５１ａと、連結板５１ｅの前後中途部とは、ボルトによって、フロントフレーム１１に固定されている。フロントドーザブラケット５１の前後中途部の下部のアクスル取付板５１ｂは、ボルトによって、フロントドライブアクスル６に固定されている。フロントドーザブラケット５１の後下部のロアフレーム取付板５１ｃは、ボルトによって、一対のロアフレーム２７に固定されている。フロントドーザブラケット５１の外側のドーザ取付板５１ｄは、ボルトによって、フロントドーザ５０の支持フレーム５２固定されている。

　このような構成とすることで、一対のメインフレーム１０の前部と、フロントドライブアクスル６と、一対のロアフレーム２７とに、一対のフロントドーザブラケット５１を固定し、一対のフロントドーザブラケット５１にフロントドーザ５０を取り付けることによって、一対のフロントドーザブラケット５１が一対のメインフレーム１０、フロントドライブアクスル６及びクローラ式走行装置２の一対のロアフレーム２７の３体に強固に固定され、フロントドーザ５０の重作業に耐える強度を確保できる。

　図９を用いて、動力伝達機構について説明する。
　エンジン３の後出力軸３ａには、ユニバーサルジョイントを介して、ミッションケース５の入力軸６１が連結されている。入力軸６１の後端から伝動歯車６２、６３を介してポンプ軸６４及びＰＴＯクラッチ８０に動力が伝達される。ポンプ軸６４上には、ポンプ・モータ直列配置型の直進用無段変速装置６５（以下、直進ＨＳＴ６５とする）が配置されている。直進ＨＳＴ６５は、油圧ポンプ６６を駆動し、主変速装置６０を構成するものである。直進ＨＳＴ６５は、可変容量型の油圧ポンプ６６と、固定容量型の油圧モータ６７と、を備えている。主変速装置６０では、シフトレバー９６の操作によって油圧ポンプ６６の斜板を傾倒して吐出量を無段階に変更して変速可能としている。

　直進系伝動経路７９について、説明する。
　油圧ポンプ６６と油圧モータ６７とは、同一軸上に直列に配置されている。油圧ポンプ６６及び油圧モータ６７のプランジャー（ピストン）は、一つのシリンダブロックに配置されている。油圧モータ６７のモータ軸６８は、パイプ状に構成され、ポンプ軸６４上に配置されている。モータ軸６８上に配置した歯車からの出力は、変速軸６９上に設けた１速クラッチ７１、２速クラッチ７２又は後進クラッチ７３に伝達可能とされている。１速クラッチ７１及び２速クラッチ７２は、速度に応じて自動的に切り替えられる。１速クラッチ７１、２速クラッチ７２及び後進クラッチ７３は、前後進切替レバー９９によって切替可能とされている。

　１速クラッチ７１、２速クラッチ７２及び後進クラッチ７３は、前後進切替装置７０を構成している。１速クラッチ７１、２速クラッチ７２又は後進クラッチ７３からの出力は、伝動軸又は伝動歯車等を介して、副変速装置７４に伝達される。副変速装置７４は、副変速レバーによって変速可能とされている。副変速装置７４からの出力は、ユニバーサルジョイント７５を介してフロントドライブアクスル６の入力軸７６に伝達される。

　ＰＴＯクラッチ８０からの動力は、ＰＴＯ変速装置７７によって変速されて、ミッションケース５の後面より後方に突出されるＰＴＯ軸７８に伝達可能とされている。ＰＴＯ変速装置７７は、ＰＴＯ変速レバーの操作によって変速可能とされている。ＰＴＯ軸７８からの動力は、ユニバーサルジョイントを介して、作業機装着装置１３に装着される作業機に伝達可能とされている。

　主変速装置６０、副変速装置７４、前後進切替装置７０、ＰＴＯ変速装置７７及び一対のメインフレーム１０はホイルトラクタとクローラトラクタで共用可能な構成とされている。つまり、デフ装置と前輪駆動部を除くトランスミッションはホイル型とクローラ型とで同じ構成とすることによって、部品を共通化してコスト低減化を図っている。

　旋回系伝動経路１００について、説明する。
　エンジン３の前出力軸３ｂは、歯車等を介して、旋回用無段変速装置８１（以下、旋回ＨＳＴ８１とする）の油圧ポンプに入力されている。旋回ＨＳＴ８１は、可変容量型の油圧ポンプと、固定容量型の油圧モータと、を備え、フロントドライブアクスル６の前面に付設されている。旋回ＨＳＴ８１の油圧ポンプの可動斜板は、ステアリングハンドル９４に連係されている。油圧モータのモータ軸８２は、フロントドライブアクスル６内に挿入されている。モータ軸８２の先端には、ベベルギヤ８３が固設される。ベベルギヤ８３は、一対のベベルギヤ８４と歯合されている。モータ軸８２の回転は、一対のベベルギヤ８４を介して、一のベベルギヤ８４には正転、他のベベルギヤ８４には逆転として伝達される。

　一対のベベルギヤ８４からの動力は、強制デフを形成する左右の遊星歯車機構８５のキャリア８６に伝達可能とされている。つまり、ステアリングハンドル９４が回転していない場合には、旋回ＨＳＴ８１が中立とされ、モータ軸８２が回転されない。ステアリングハンドル９４が回転された場合には、その回転方向及び回動量に合わせて斜板が傾倒され、その傾倒方向及び傾倒量に合わせて旋回ＨＳＴ８１のモータ軸８２の回転方向及び回転数が変更される。

　フロントドライブアクスル６の入力軸７６からの動力は、歯車及びベベルギヤを介して、遊星歯車機構８５のデフ入力軸８７に伝達される。デフ入力軸８７の端部には、遊星歯車機構８５のサンギヤ８８が固設されている。サンギヤ８８は、プラネタリギヤ８９と歯合されている。プラネタリギヤ８９は、キャリア８６のキャリア軸に回転自在に支持されている。遊星歯車機構８５からの動力は、最終減速機構９０を介して駆動軸２８に伝達され、駆動輪２２を駆動可能としている。

　このような構成とすることで、ステアリングハンドル９４が回転されない場合には、旋回ＨＳＴ８１は中立となっておりモータ軸８２は回転されず、ミッションケース５により変速された後の出力回転が左右の最終減速機構９０を介して駆動軸２８に伝達され、左右同数の回転数となって直進される。

　ステアリングハンドル９４が回転された場合には、その回転方向及び回転角度に応じて斜板が傾倒され、その斜板の傾倒に応じて出力回転方向及び回転数がモータ軸８２に出力される。そして、モータ軸８２から左右一方のベベルギヤ８４に正転の回転が遊星歯車機構８５に加えられて駆動軸２８は増速され、左右他方の遊星歯車機構８５には逆回転が加えられて駆動軸２８は減速される。こうして、クローラトラクタ１はステアリングハンドル９４が回転された減速側に旋回される。なお、ステアリングハンドル９４が回転されると、その回転角度に応じて主変速装置６０は減速され、急旋回しないようにしている。

　このような構成とすることで、ミッションケース５の左右方向をコンパクトに構成することができる。

　前後進切替装置７０は、オペレータの指示に基づいて、前進から後進、或いは、後進から前進に切り替えられる。このような構成とすることで、クローラトラクタ１では、前進から後進、或いは、後進から前進への切り替わりが早くなる。

　クローラトラクタ１は、前後進切替レバー９９を備えている。前後進切替装置７０は、オペレータによる前後進切替レバー９９の操作に基づいて、前進から後進、或いは、後進から前進に切り替えられる。このような構成とすることで、クローラトラクタ１では、前進から後進、或いは、後進から前進への切り替え操作が簡単にできる。

　クローラトラクタ１では、前後進切替レバー９９は、ハンドルコラム１００に設けられている（図５及び図６参照）。このような構成とすることで、クローラトラクタ１では、前進から後進、或いは、後進から前進への切り替え操作が早くかつ容易にできる。

　図１０及び図１１を用いて、油圧回路について説明する。
　図１０に示すように、ミッションケース５内に貯留された潤滑油は、直進ＨＳＴ６５、旋回ＨＳＴ８１、昇降装置又は油圧クラッチの作動油として利用される。エンジン３の後出力軸３ａの出力によって、歯車等を介して、油圧ポンプ１０１、１０２、１０３が駆動される。油圧ポンプ１０１から吐出される圧油によって１速クラッチ７１、２速クラッチ７２及び後進クラッチ７３が作動可能とされる。油圧ポンプ１０２から吐出される圧油によって作業機を昇降する昇降シリンダ、傾斜シリンダ又は外部油圧装置が作動可能とされる。油圧ポンプ１０３から吐出される圧油によって直進ＨＳＴ６５又はＰＴＯクラッチ８０が作動可能とされる。

　エンジン３の前出力軸３ｂの出力によって、歯車等を介して、油圧ポンプ１０４が駆動される。油圧ポンプ１０４は、ミッションケース５内の潤滑油が作動油としてサクションフィルタ９１を介して吸入する。油圧ポンプ１０４から吐出された圧油は、ラインフィルタ９２を介して、旋回ＨＳＴ８１の閉回路にチャージ油圧として供給される。

　図１１に示すように、油圧ポンプ１０４は、フロントドライブアクスル６のギヤボックス６ａの左右中央前面に取り付けられた旋回ＨＳＴ８１の前部に配設されている。サクションフィルタ９１は、一対のメインフレーム１０の左右一側の前外側面に取り付けられている。ラインフィルタ９２は、左右他側の一対のメインフレーム１０の前外側面に取り付けられている。サクションフィルタ９１は、配管１０５を介して、ミッションケース５の側面に連通されている。

　配管１０５は、一対のメインフレーム１０の左右一側の外側面に沿って前後方向に配設されている。サクションフィルタ９１は、配管１０６を介して、油圧ポンプ１０４の吸入口と接続されている。油圧ポンプ１０４の吐出口は、配管１０７を介して、ラインフィルタ９２と接続されている。ラインフィルタ９２と旋回ＨＳＴ８１と、配管１０８によって接続されている。旋回ＨＳＴ８１の戻り油は、配管１０９によってミッションケース５に戻される。配管１０９は左右他側の一対のメインフレーム１０の外側面に沿って配設されている。

　このような構成とすることで、一対のメインフレーム１０の前側面は側方に開放されているため、サクションフィルタ９１及びラインフィルタ９２は、空間に配置することができ、外側より容易にメンテナンスができる。また、サクションフィルタ９１及びラインフィルタ９２の前方には、バンパー１９が配置され、サクションフィルタ９１及びラインフィルタ９２を前方からの障害物に対して保護できる。

　本発明は、クローラトラクタに利用可能である。

　１　　クローラトラクタ
　２　　クローラ式走行装置
　３　　エンジン
　５　　ミッションケース
　６　　フロントドライブアクスル
　１０　メインフレーム
　２１　トラックフレーム
　２２　駆動輪
　２７　ロアフレーム
　３３　リヤビーム
　３４　リヤハウジング　

Claims

　エンジンの動力をミッションケース及びフロントドライブアクスルを介してクローラ式走行装置の駆動輪に伝えるクローラトラクタであって、
　前後方向に延設される一対のメインフレームと、
　前記クローラ式走行装置を構成し、かつ、前後方向に延設される一対のトラックフレームと、
　前記一対のトラックフレーム同士を連結し、かつ、左右方向に延設される一対のロアフレームと、
　前記一対のトラックフレームの後部から左右中央側に向かって突設した一対のビームと、
　前記ミッションケースの左右両側に固定された一対のリヤハウジングと、
　を備え、
　前記一対のメインフレームの後部には、前記ミッションケースが固定され、
　前記一対のメインフレームの前部は、前記フロントドライブアクスルを介して、前記一対のトラックフレームの前部に連結固定され、
　前記一対のメインフレームの前後中途部は、前記一対ロアフレームに連結固定され、
　前記一対のメインフレームの後部は、前記一対のビームを介して、前記一対のリヤハウジングに連結固定される、クローラトラクタ。
　請求項１に記載のクローラトラクタであって、
　前記ミッションケースの後部の左右両側には、一対の後部マウントが取り付けられ、
　前記一対の後部マウント上には、前記キャビンの後部が固定され、かつ、燃料タンクが固定される、クローラトラクタ。
　請求項１に記載のクローラトラクタであって、
　前記一対のメインフレームの前部と、前記フロントドライブアクスルと、前記ロアフレームと、フロントドーザブラケットと、が固定され、
　前記フロントドーザブラケットには、フロントドーザが取り付け可能とされる、クローラトラクタ。
　ミッションケースと、前記ミッションケースに取り付けられる一対のメインフレームと、前記一対のメインフレームに取り付けられるフロントドーザブラケットと、を備え、前記フロントドーザブラケットによってフロントドライブアクスルが支持されるクローラトラクタであって、
　前記フロントドライブアクスルには、フロントアクスルケースが付設され、
　前記フロントアクスルケースは、前記メインフレームに固定される、クローラトラクタ。
　請求項４に記載のクローラトラクタであって、
　一対のトラックフレームをさらに備え、
　前記一対のトラックフレームは、前記フロントアクスルケースに固定される、クローラトラクタ。
　請求項５に記載のクローラトラクタであって、
　前記一対のメインフレームに取り付けられる一対の連結ブラケットと、
　前記一対のトラックフレームに取り付けられる一対のロアフレームと、
　をさらに備え、
　前記トラックフレームは、前記一対のロアフレームを介して、前記一対の連結ブラケットに固定される、クローラトラクタ。
　請求項５に記載のクローラトラクタであって、
　前記ミッションケースに取り付けられる一対のリヤハウジングと、
　前記一対のトラックフレームに取り付けられる一対のリヤビームと、
　をさらに備え、
　前記一対のトラックフレームは、前記一対のリヤビームを介して、前記一対のリヤハウジングに固定される、クローラトラクタ。
　請求項１又は４に記載のクローラトラクタであって、
　前記ミッションケースには、直進用無段変速装置が設けられ、
　前記フロントドライブアクスルには、旋回用無段変速装置が設けられ、
　前記直進用無段変速装置には、油圧ポンプと油圧モータとがポンプ軸上にて直列配置され、
　前記直進用無段変速装置の出力軸となるモータ軸は、前記ポンプ軸上に配置され、
　前記モータ軸の動力は、前後進切替装置及び副変速装置を介して、前記フロントドライブアクスルに伝達されることによって前記クローラ式走行装置が作動される、クローラトラクタ。