WO2016174696A1 - 脱硫スラグの再使用方法 - Google Patents

脱硫スラグの再使用方法 Download PDF

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    • C21METALLURGY OF IRON
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    • C21C1/00Refining of pig-iron; Cast iron
    • C21C1/02Dephosphorising or desulfurising

Abstract

再使用する脱硫スラグの脱硫への寄与のバラツキを低減することができる脱硫スラグの再使用方法を提供すること。少なくとも石灰系の新規の脱硫剤を用いて溶銑収容容器(6)で溶銑(M)を脱硫処理し、複数のスラグ収容容器(5)のいずれか1つ以上に、脱硫処理により生じる脱硫スラグ(S2)を回収し、脱硫スラグ(S2)が収容された複数のスラグ収容容器(5)からいずれか1つ以上を再使用脱硫剤用として選択し、選択されたスラグ収容容器(5)に収容された脱硫スラグ(S2)を、その後の溶銑の脱硫処理にて再使用脱硫剤(S1)として用い、複数のスラグ収容容器(5)からいずれか1つ以上を再使用脱硫剤用として選択する際に、保持時間が第1の閾値Taより短いかまたは等しいスラグ収容容器(5)および石灰使用量が第2の閾値Xより多いかまたは等しいスラグ収容容器(5)の少なくともいずれかのスラグ収容容器(5)を優先して選択する。

Description

脱硫スラグの再使用方法
 本発明は、機械攪拌式脱硫装置にて石灰系脱硫剤を用いて溶銑収容容器内の溶銑を脱硫処理する際に生じる脱硫スラグを、脱硫処理における再使用脱硫剤として用いる、脱硫スラグの再使用方法に関する。
 鉄鋼業において、近年の鋼材の高純度化や高機能化の需要増加により極低硫鋼の比率が高まっている。これより、製鋼工程では、低硫鋼溶製のため、さらなる製鋼コストの削減やスラグ発生量を低減するための技術が必要となっている。一般的に、硫黄(S)は、コークス等の高炉で用いられる原料に起因して、高炉から出銑される溶銑中に含まれる。硫黄は、基本的に鋼の品質に悪影響を与える成分であるため、要求される鋼の品質に応じて、溶銑脱硫および溶鋼脱硫が行われる。このうち、溶銑脱硫では、溶銑に安価な生石灰(CaO)を主体とする石灰系脱硫剤を添加し、攪拌・混合する方法が用いられている。この場合の脱硫反応は、「CaO+S→CaS+O」に示される反応式に基づいて進行する。
 ところで、近年、省資源及び省エネルギーの推進が、製造コスト削減の目的のみならず、地球環境の保全の観点からも要求されており、石灰系脱硫剤に関しても脱硫処理で発生した脱硫スラグの再利用が行われるようになっている。
 例えば、特許文献1には、石灰系脱硫剤を用いた脱硫処理で発生した脱硫スラグを溶銑と分離して溶銑容器から排出させ、この脱硫スラグを別の溶銑容器内の溶銑上に脱硫剤の一部として投入し、その後、溶銑及び脱硫剤を機械的に攪拌して脱硫する方法が提案されている。
 さらに、脱硫スラグの再使用方法として、より高く、バラツキの少ない脱硫効率を実現するため、脱硫スラグを選別して再利用する技術も提案されている。
 例えば、特許文献2には、スラグ回収容器中に貯留された脱硫スラグのうちから高温かつ粉粒状の脱硫スラグのみを選別し、選別した脱硫スラグを再使用脱硫剤として新規の脱硫剤(脱硫処理で使用されていない未使用の脱硫剤)とともに溶銑に投入して機械攪拌する溶銑の脱硫方法が提案されている。
 また、特許文献3には、溶銑の脱硫処理で発生した脱硫スラグを石灰系の脱硫剤の一部として別の溶銑の脱硫処理で再使用するに当たり、スラグ組成のCaO/SiOが質量比で2.5以上、Al含有量が10質量%以下、硫黄含有量が5.0質量%以下である脱硫スラグを脱硫剤として再使用する方法が提案されている。
特開2004-76088号公報 特開2007-262465号公報 特開2007-262511号公報
 しかし、特許文献1の方法では、様々な操業条件の処理で発生した脱硫スラグを一律に再使用するため、再使用したスラグの脱硫への寄与のバラツキが大きく、新規の脱硫剤を効果的に削減することが困難であった。
 また、特許文献2の方法では、粒径50mmを超えるような地金や塊状物を除くようにスラグを掬い取って再使用することを提案しているが、現実的にはさらに大きな人頭大程度の塊状物を避ける程度が限度であった。このため、塊状物を除くような煩雑な操作を行ったとしても、再使用したスラグの脱硫への寄与のバラツキを低減するには不十分であり、新規の脱硫剤を効果的に削減することが困難であった。
 さらに、特許文献3の方法では、脱硫スラグの大半が固相であるため、スラグ組成のバラツキが大きく、スラグサンプルの代表性に問題があった。このため、再使用したスラグの脱硫への寄与のバラツキが大きくなり、新規の脱硫剤を効果的に削減することが困難であった。
 そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、再使用する脱硫スラグの脱硫への寄与のバラツキを低減することが可能な脱硫スラグの再使用方法を提供することを目的としている。また、これによって、新規の石灰系脱硫剤の使用量削減を可能とし、石灰石を焼成して生石灰を得るのに多大なエネルギーを要する石灰系脱硫剤を製造するためのエネルギー消費量の削減にも寄与することを目的としている。
 上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る脱硫スラグの再使用方法は、少なくとも石灰系の新規の脱硫剤を用いて溶銑収容容器で溶銑を脱硫処理し、複数のスラグ収容容器のいずれか1つ以上に、脱硫処理により生じる脱硫スラグを溶銑収容容器から排出して回収し、脱硫スラグが収容された複数のスラグ収容容器からいずれか1つ以上を再使用脱硫剤用として選択し、再使用脱硫剤用として選択されたスラグ収容容器に収容された脱硫スラグを、その後の溶銑の脱硫処理にて再使用脱硫剤として用い、複数のスラグ収容容器からいずれか1つ以上を再使用脱硫剤用として選択する際に、複数のスラグ収容容器のそれぞれに脱硫スラグが収容されてからの経過時間である複数のスラグ収容容器の各々に対応する保持時間、および複数のスラグ収容容器にそれぞれ収容された脱硫スラグが発生した脱硫処理における石灰使用量である複数のスラグ収容容器の各々に対応する石灰使用量の少なくともいずれか一方に基づいて、保持時間が第1の閾値Tより短いかまたは等しいスラグ収容容器および石灰原単位が第2の閾値Xより多いかまたは等しいスラグ収容容器の少なくともいずれかのスラグ収容容器を再使用脱硫剤用として優先して選択することを特徴とする。
 本発明に係る脱硫スラグの再使用方法によれば、再使用する脱硫スラグの脱硫への寄与のバラツキを低減して、平均的に向上することができ、新規の脱硫剤を効果的に削減することができる。また、これによって、石灰系脱硫剤の製造に要するエネルギー消費の削減も可能となる。
本発明の第1実施形態の脱硫処理設備を示す模式図である。 第1実施形態の溶銑の脱硫処理方法を説明する模式図である。 第1実施形態の脱硫スラグの回収方法を示すフローチャートである。 第1実施形態の脱硫スラグの再使用方法を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態の脱硫処理設備を示す模式図である。 第2実施形態の脱硫スラグの回収方法を示すフローチャートである。 脱硫処理設備の変形例を示す模式図である。 実施例における脱硫石灰効率を示すグラフである。 実施例および比較例における再使用脱硫剤のCaO置換率を示すグラフである。 石灰原単位の違いによる保持時間とCaO置換率との関係を示すグラフである。
 <第1実施形態>
 以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態に係る溶銑の脱硫処理方法では、石灰系脱硫剤を用いた溶銑の機械攪拌による脱硫処理で生成される脱硫スラグを、脱硫処理における脱硫剤または焼結鉱の原料として再度利用する。
 石灰系脱硫剤を用いた溶銑の脱硫処理方法としては、一般的に、脱硫剤吹込法や機械攪拌式脱硫法等がある。脱硫剤吹込法では、粉末の石灰系脱硫剤をアルゴンガスや窒素ガスなどの不活性ガスを搬送用ガスと一緒に溶銑中に吹き込んで脱硫処理をする。
 脱硫剤吹込法において脱硫スラグを脱硫剤として再使用する場合、回収した脱硫スラグを粉砕・分級しなければいけないため、再使用する際には脱硫スラグの温度が低下し、脱硫スラグの熱エネルギーを回収することができない。また、脱硫剤吹込法において脱硫スラグを脱硫剤として再使用する場合、脱硫スラグを回収および再生する工程が煩雑であることから、却ってコスト高となることがある。
 一方、本発明の第1実施形態で用いる機械攪拌式脱硫法では、耐火物製の攪拌体によって機械的に溶銑を攪拌することで、溶銑の浴面上に添加された石灰系脱硫剤と溶銑とを反応させて脱硫処理をする。機械攪拌式脱硫法において脱硫スラグを脱硫剤として再使用する場合、回収した脱硫スラグを粉砕・分級する必要がないため、脱硫スラグの温度が高いまま再使用でき、熱エネルギーを回収することができる。
 [脱硫処理設備]
 はじめに、図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態の脱硫処理設備について説明する。第1実施形態の脱硫処理設備は、図1に示すように、溶銑脱硫処理建屋1と、スラグ収容容器置き建屋2と、排滓ヤード3とからなる。
 溶銑脱硫処理建屋1には、溶銑払出し場11と、脱硫スラグ投入場12と、機械攪拌式脱硫装置13と、除滓場14とが設けられる。
 溶銑払出し場11は、高炉から出銑された溶銑を収容・搬送するトピードカー4から、溶銑収容容器である溶銑鍋6に溶銑を払い出す作業が行われる場所である。溶銑を払い出す作業では、溶銑鍋6は、溶銑鍋台車111に載せられ、溶銑鍋台車111が移動することで溶銑払出し場11へと移動し、トピードカー4から払い出される溶銑を受ける。
 脱硫スラグ投入場12は、溶銑鍋6に収容された溶銑に、スラグ収容容器5に収容された脱硫スラグS2を再使用脱硫剤S1として添加する作業が行われる場所である。脱硫スラグ投入場12では、バックフォー等の重機121を用いて、脱硫スラグS2が溶銑鍋6に添加される。
 機械攪拌式脱硫装置13は、溶銑鍋6に収容された溶銑Mを脱硫処理する装置である。溶銑脱硫処理が行われる際、溶銑鍋6は、溶銑鍋台車131に載せられ、溶銑鍋台車131が移動することで機械攪拌式脱硫装置13の処理位置へと移動し、収容された溶銑Mが脱硫処理される。機械攪拌式脱硫装置13は、図2に示すように、回転軸132と攪拌体133とフード134とを有する。回転軸132は、軸方向を図2(b)の上下方向、即ち鉛直方向として保持される部材であり、中心軸回りに回転可能、且つ上下方向に昇降可能に設けられる。攪拌体133は、攪拌羽根或いはインペラとも称される、耐火物製の部材であり、回転軸132の下側の一端に固定されて設けられる。フード134は、溶銑鍋6の上部の開口部を覆う蓋であり、中心部には回転軸132が貫通して設けられる。また、機械攪拌式脱硫装置13は、不図示の複数の添加ホッパーと、投入シュートとを有する。機械攪拌式脱硫装置13の複数の添加ホッパーは、フード134よりも上方に設けられ、内部には後述する新規の脱硫剤や脱硫用添加剤等の脱硫処理に用いられる材料がそれぞれ収容される。添加ホッパーに収容された材料は、必要に応じて、必要な量だけ切り出される。投入シュートは、添加ホッパーから切り出される材料を、フード134に設けられた不図示の開口部を通じて溶銑鍋6の内部へと添加するシュートである。
 除滓場14は、機械攪拌式脱硫装置13で脱硫処理された溶銑鍋から脱硫スラグS2を排出する処理が行われる場所である。除滓場14では、図2(c)に示すように、傾動させた溶銑鍋6からスラグ掻き出し機141を用いて脱硫スラグS2を掻き出し、排出させる。排出された脱硫スラグS2は、溶銑鍋6の下方に配されたスラグ収容容器5へと回収される。スラグ収容容器5には、鉄製のスラグポットや耐火物が施工された取鍋型の容器などを用いることができる。
 スラグ収容容器置き建屋2は、脱硫スラグS2を収容した複数のスラグ収容容器5を内部に保管することができる。図1では、スラグ収容容器置き建屋2は、溶銑脱硫処理建屋1とは異なる建屋として示したが、溶銑脱硫処理建屋1と同一の建屋内の面積に余裕があれば、溶銑脱硫処理建屋1と同一の建屋内に脱硫スラグS2を収容した複数のスラグ収容容器5を保管する場所を設けても良い。
 排滓ヤード3は、スラグ収容容器5に収容された脱硫スラグS2のうち、再使用脱硫剤S1として用いられない脱硫スラグS2を排出して保管する場所である。排滓ヤード3に排出された脱硫スラグS3は、さらに製鉄所内あるいは製鉄所外の他のプロセスに搬送して、石灰源として利用できる。
 なお、溶銑脱硫処理建屋1内において、溶銑鍋台車111,131に載せられた場合を除き、溶銑鍋6の移動や傾動等のハンドリングには、溶銑脱硫処理建屋1に設けられた不図示の天井クレーンが用いられる。また、スラグ収容容器5のハンドリングには、スラグ収容容器5を運搬・傾動可能な不図示の重機が主に用いられる。
 [脱硫処理方法]
 次に、図1および図2を参照して本発明の第1実施形態の脱硫処理方法を説明する。
 まず、図2(a)に示すように、溶銑鍋6に収容された溶銑Mに、スラグ収容容器5に収容された再使用脱硫剤S1を、重機121を用いて添加する。再使用脱硫剤S1は、脱硫処理によって発生した脱硫スラグS2であり、詳細については後述する。溶銑Mは、高炉から出銑される溶銑であり、例えばトピードカー4のような溶銑搬送容器にて搬送され、溶銑払出し場11にて溶銑鍋6に払い出される。また、溶銑Mは、払い出される前に、脱珪処理や脱燐処理等が施されていてもよい。脱珪処理は、脱燐処理に先立ち行われる酸化精錬処理であり、溶銑Mに酸素ガスや鉄鉱石等の酸素源が添加されることで、主に溶銑中のSiが除去される処理である。脱燐処理は、脱珪処理後に行われる酸化精錬処理であり、溶銑Mに酸素ガスや鉄鉱石等の酸素源が添加されるとともに、生成するPを吸収するための脱燐用フラックスとして石灰源が添加されることで、主に溶銑中のPを除去する処理である。つまり、脱硫処理に用いられる溶銑Mは、どのような成分であってもよい。なお、機械攪拌式脱硫装置13にて脱硫処理される溶銑Mは、溶銑鍋6に1杯分毎に「チャージ」という単位で脱硫処理される。
 次いで、溶銑Mの脱硫処理が行われる。まず、溶銑鍋6を水平方向に移動して機械攪拌式脱硫装置13の処理位置に配した後、回転軸132を下降させることで攪拌体133を溶銑Mに浸漬させる。溶銑鍋6の処理位置は、回転軸132の平面上の位置が溶銑鍋6の略中心となる位置である。攪拌体133を溶銑Mに浸漬させた後、回転軸132を回転させることで攪拌体133を回転させ、所定の回転数となるまで昇速させる。攪拌体133の回転数が所定の回転数に達したならば、新規の脱硫剤をホッパーから切り出して、溶銑Mの上に投入して添加する。新規の脱硫剤は、CaOを含む石灰系脱硫剤であり、CaOが含有され、溶銑Mの脱硫処理ができるものであれば特にCaOの含有量に制約はない。例えば、新規の脱硫剤には、CaO単味、またはCaOを50質量%以上含有し、必要に応じてその他の成分としてAl、CaF、MgO、SiOなどの滓化促進成分などを含有するものが用いられる。新規の脱硫剤のCaO源としては、生石灰(CaO)を使用することができる。また、新規の脱硫剤の粒径は、1mm以下或いは数mm以下である。脱硫処理では、再使用脱硫剤S1および新規の脱硫剤が、攪拌体133によって攪拌されている溶銑Mに巻き込まれることで、脱硫反応が進行する。なお、以下では、再使用脱硫剤S1および新規の脱硫剤をまとめて脱硫剤とも称する。また、溶銑Mへと添加された脱硫剤は、溶銑Mや熱による反応によって脱硫スラグS2となる。
 なお、脱硫処理をする際に、脱硫反応を促進させるために、新規の脱硫剤の添加と同時、新規の脱硫剤の添加前後のタイミング、または脱硫処理中の任意の期間に、脱硫用添加剤を溶銑Mに上添加することが好ましい。ここで、脱硫用添加剤とは、溶銑Mの内部または上部に存在するスラグに含まれる酸素と優先的に反応して、溶銑M及びスラグの酸素ポテンシャルを低減させ、脱硫剤による脱硫反応を促進させるための添加剤である。脱硫用添加剤としては、主としてアルミ灰が使用される。アルミ灰とは、一般にAlの精錬過程で発生するスラグであり、金属アルミ:10~50質量%、Al:50~90質量%を含有するものが、脱硫促進効果および材料の費用の観点から好適である。脱硫用添加剤と新規の脱硫剤とを異なるホッパーから別々に添加する必要はなく、予め混合したものを添加しても構わない。さらに、高水準の脱硫効率を得るため、添加する新規の脱硫剤中の石灰の量とアルミ灰の添加量との比である、「石灰/アルミ灰」が4.0以上5.0以下となるように、新規の脱硫剤およびアルミ灰を添加することが望ましい。
 所定量の新規の脱硫剤が投入された後、所定の処理時間が経過するまで、攪拌体133の回転動作が継続される。所定の時間が経過した後、攪拌体133の回転数を減少させていき、最終的に攪拌体133の回転を停止させる。攪拌体133の回転が停止した後は、回転軸132および攪拌体133を上昇させることで、溶銑Mの脱硫処理が終了する。このとき、生成した脱硫スラグS2は、浮上して浴面を覆い、静止した状態となる。
 脱硫処理が終了した後、図2(c)に示すように、溶銑Mを収容した溶銑鍋6を除滓場14に搬送し、傾けた溶銑鍋6から脱硫スラグS2を排出させ、スラグ収容容器5に回収する。
 [脱硫スラグの再使用方法]
 次に、図3および図4を参照して、第1実施形態に係る脱硫スラグS2の再使用方法について説明する。第1実施形態では、脱硫処理にて生成された脱硫スラグS2をスラグ収容容器5に回収し、回収した脱硫スラグS2の一部を、その後の脱硫処理において脱硫剤の一部として使用する。まず、脱硫スラグS2の回収方法について説明する。
 図3に示すように、上記のように脱硫処理後の溶銑鍋6からスラグ収容容器5に脱硫スラグS2を回収する(S100)。図3に示す処理は、1チャージの脱硫処理で発生する脱硫スラグS2を回収する処理手順となる。第1実施形態では、ステップS100の処理が繰り返し行われることで、機械攪拌式脱硫装置13で連続して処理される複数チャージの溶銑の脱硫処理で発生する脱硫スラグS2を1つのスラグ収容容器5に回収してもよい。スラグ収容容器5は、1~5チャージ程度、より望ましくは2または3チャージの溶銑Mの脱硫処理で発生する脱硫スラグS2を収容できることが望ましい。また、スラグ収容容器5の搬送をできるだけ省略する観点から、スラグ収容容器5の容量で収容可能な限りの複数チャージ分の脱硫スラグS2を回収することが望ましい。スラグ収容容器5の容量が小さいと、運搬などの作業が煩雑となるため、溶銑収容容器からの除滓や脱硫スラグS2の再使用を円滑に行うのに支障をきたすおそれがある。また、スラグ収容容器5の容量が大きすぎると、保持時間が延長する傾向となり、スラグ収容容器5に収容される脱硫スラグS2に、石灰使用量の少ない脱硫処理で発生した脱硫スラグS2が混入する割合が増加する傾向となるため、新規の脱硫剤の使用量を削減するのに有利な条件で再使用脱硫剤S1として使用できる脱硫スラグS2の量が減少する傾向となる。
 次に、図4を参照して、回収した脱硫スラグS2の再使用方法について説明する。まず、除滓場14またはスラグ収容容器置き建屋2にある、脱硫スラグS2が収容された複数のスラグ収容容器5を、複数のスラグ収容容器にそれぞれ収容された脱硫スラグが発生した脱硫処理における石灰使用量、および複数のスラグ収容容器のそれぞれに脱硫スラグが収容されてからの経過時間である脱硫スラグS2の保持時間に基いて区分けする(S102)。
 ここで、石灰使用量は、各チャージ毎の溶銑量が一定でない場合には、石灰原単位で評価することが望ましい。石灰原単位[kg/t]は、各チャージの脱硫処理において、1トンの溶銑M当たりに添加される、新規の脱硫剤や再使用脱硫剤S1等の添加剤中の石灰量であり、下記(1)式にて算出される。ステップS102では、スラグ収容容器5に収容された脱硫スラグS2が複数チャージの脱硫処理で発生した場合には、この複数チャージの脱硫処理のうち、最も石灰原単位の少ないチャージの石灰原単位を、代表値としてスラグ収容容器5を区分けする。なお、石灰原単位の単位において、tは溶銑トン(溶銑Mの質量)を示す。さらに、(1)式において、Aは石灰原単位[kg/t]、xは新規の脱硫剤の石灰含有率[質量%]、Bは新規の脱硫剤の添加量[kg]、yは再使用脱硫剤S1の置換率[%]、Cは再使用脱硫剤S1の添加量[kg]、Dは溶銑鍋6に収容された溶銑Mの質量[t]をそれぞれ示す。新規の脱硫剤の石灰含有率xは、脱硫剤の仕様や分析値等から予め設定される値である。再使用脱硫剤S1の置換率yは、再使用脱硫剤S1に含まれる脱硫剤として有効な石灰分を示す比率であり、再使用脱硫剤S1を脱硫剤の一部として使用した脱硫処理における石灰効率の実績等から予め定数あるいは関数値として設定される。また、再使用脱硫剤S1の置換率yは、後述する石灰原単位の区分等に応じて、スラグ収容容器5毎に異なる置換率が設定されてもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
 また、脱硫スラグS2が収容されたスラグ収容容器5に対応する保持時間は、脱硫スラグS2がスラグ収容容器5に収容されてからの経過時間であり、複数チャージの脱硫処理で発生した脱硫スラグS2が収容される場合には、最初のチャージの脱硫処理で発生した脱硫スラグS2が収容されてからの経過時間とする。
 ステップS102では、脱硫スラグS2が収容された複数のスラグ収容容器5を、各々のスラグ収容容器に対応する保持時間および石灰原単位(石灰使用量)に基いて、保持時間の第1の閾値Tおよび石灰原単位の第2の閾値Xを用いて、第1区分~第3区分の3つに区分に分ける。第1区分には、石灰原単位が第2の閾値X以上、且つ保持時間が第1の閾値T以下となるスラグ収容容器5が区分けされる。第2区分には、石灰原単位が第2の閾値X未満、且つ保持時間が第1の閾値T以下となるスラグ収容容器5が区分けされる。第3区分には、保持時間が第1の閾値T超となるスラグ収容容器5が区分けされる。なお、本実施形態における各閾値の一例を挙げると、第1の閾値Tは72時間であり、第2の閾値Xは石灰原単位7.0kg/tである。
 次いで、ステップS102で区分けされたスラグ収容容器5のうち、保持時間がT以下の区分のスラグ収容容器5が選択される(S104)。つまり、ステップS100では、第1区分~第3区分のスラグ収容容器5のうち、第1区分および第2区分の収容容器が選択される。
 さらに、ステップS104で選択されたスラグ収容容器5のうち、石灰原単位の多い区分のスラグ収容容器5からいずれか1つ以上が再使用脱硫剤用として選択される(S106)。つまり、ステップS104で第1区分および第2区分の両方のスラグ収容容器5が選択される場合、ステップS106では石灰原単位の多い区分である第1区分のスラグ収容容器5からいずれか1つ以上が再使用脱硫剤用として選択される。一方、ステップS104で第1区分または第2区分のいずれか一方のみのスラグ収容容器5が選択される場合、ステップS106ではステップS104で選択されたいずれか一方の区分のスラグ収容容器5からいずれか1つ以上が再使用脱硫剤用として選択される。また、ステップS106では、同一の区分に属する複数のスラグ収容容器5から再使用脱硫剤用のスラグ収容容器5が選択される際、選択されるスラグ収容容器5は、上記の同一の区分のものであればどれでもよいが、好ましくは、石灰原単位が多いか、あるいは保持時間が短いものが優先して選択されることが好適である。
 その後、ステップS106で再使用脱硫剤用として選択されたスラグ収容容器5に収容された脱硫スラグS2が再使用脱硫剤S1として使用される(S108)。ステップS108では、ステップS106で選択されたスラグ収容容器5が、脱硫スラグ投入場12へと搬送される。そして、重機121を用いた上述の方法で、スラグ収容容器5に収容された脱硫スラグS2が再使用脱硫剤S1として、溶銑鍋6に添加される。つまり、第1実施形態では、再使用脱硫剤S1として使用する脱硫スラグS2として、保持時間がT以下で、且つ石灰原単位が多い区分のスラグ収容容器5に収容された脱硫スラグS2が優先的に選択され、使用される。再使用脱硫剤用として選択されたスラグ収容容器5に収容された脱硫スラグS2が、全て再使用脱硫剤S1として使用された後、空になったスラグ収容容器5は、再び脱硫処理後の溶銑鍋6から排出する脱硫スラグS2を回収するために用いられる。また、その後の溶銑の脱硫処理のために、脱硫スラグS2が収容された複数のスラグ収容容器5から、図4に示すステップS102,S104およびS106の手順によって、再使用脱硫剤用のスラグ収容容器5が新たに選択される。
 再使用脱硫剤S1を用いた脱硫処理においては、新規な脱硫剤のみを使用する場合に比べて、再使用脱硫剤の使用量と後述するCaO置換率とを乗算した値の分だけ、新規の脱硫剤に含まれる石灰使用量を削減することが可能となる。ここで、CaO置換率は、スラグ収容容器の区分毎に、各区分に対応する再使用脱硫剤のうちでCaO置換率が最も低い場合のCaO置換率の値が基準値として設定されることで、目標値以下への脱硫処理を確実に行うとともに、新規の脱硫剤の使用量を効果的に削減することが可能となる。
 なお、脱硫スラグS2の再使用方法において、保持時間が長くなり、第3区分となったスラグ収容容器5に収容された脱硫スラグS2は、脱硫処理には用いられず、石灰源として、例えば焼結鉱の原料として再使用される。この際、第3区分のスラグ収容容器5は、脱硫スラグ排出用として選択され、排滓ヤード3に搬送される。そして、搬送されたスラグ収容容器5に収容された脱硫スラグS2が排滓ヤード3へと排出される。排滓ヤード3へ排出された脱硫スラグS3は、冷却・分級等の所定の工程を経て、石灰源として焼結鉱の原料となる。脱硫スラグS3は、金属鉄も含有することから、焼結鉱製造時の鉄源および熱源としても有効利用できる。ここで、保持時間が長くなるに従って、脱硫スラグS2の粉化が進んで、再使用脱硫剤S1として用いた脱硫スラグS2が脱硫処理中に排気設備に吸い込まれ易くなるため、脱硫効率が低下する傾向がある。特に、保持時間がTよりも長くなる第3区分の場合、その傾向が大きくなることから、第1実施形態では第3区分の脱硫スラグS2については再使用脱硫剤として用いないことが望ましい。脱硫スラグS2が排出された空のスラグ収容容器5は、ステップS100の処理で繰り返し使用される。
 また、スラグ収容容器5の数には限りがあるため、スラグ収容容器5に空きがない場合には、新たなチャージの溶銑の脱硫処理で発生する脱硫スラグS2を収容するために、いずれかのスラグ収容容器5から脱硫スラグS2を排出して空にし、除滓場14に搬送する。この際、保持時間がT超えの第3区分のスラグ収容容器5が無い場合には、第1区分または第2区分のスラグ収容容器5であっても、脱硫スラグ排出用として選択され、収容された脱硫スラグS2を排滓ヤード3へ排出する作業が行われる。この際、保持時間が長いスラグ収容容器5および石灰原単位が少ない区分のスラグ収容容器5の少なくとも一方のスラグ収容容器5が、優先して脱硫スラグ排出用として選択されることが望ましい。
 <第2実施形態>
 次に、図5および図6を参照して、本発明の第2実施形態に係る脱硫スラグS2の再使用方法について説明する。第2実施形態の脱硫処理設備は、図5に示すように、第1実施形態と同様の構成を有する。つまり、第2実施形態の脱硫処理設備は、溶銑脱硫処理建屋1と、スラグ収容容器置き建屋2と、排滓ヤード3とからなる。溶銑脱硫処理建屋1には、溶銑払出し場11と、脱硫スラグ投入場12と、機械攪拌式脱硫装置13と、除滓場14とが設けられる。また、第2実施形態では、図2に示した第1実施形態と同様の脱硫処理方法を用いて、溶銑Mの脱硫処理が行われる。
 第2実施形態に係る脱硫スラグS2の再使用方法では、第1実施形態と異なり、図6に示す処理手順で脱硫スラグS2が回収される。まず、第2実施形態では、複数のスラグ収容容器5から、第2の閾値X以上の石灰原単位の脱硫処理によって生じた脱硫スラグS2を回収するためのスラグ収容容器5、および第2の閾値X未満の石灰原単位の脱硫処理によって生じた脱硫スラグS2を回収するためのスラグ収容容器5の2種類のスラグ収容容器5をそれぞれ1つ以上選択して分類する。なお、第2の閾値Xの例としては石灰原単位7.0kg/tとする。そして、直後に回収する脱硫スラグS2が生成された脱硫処理の石灰原単位を参照し、分類されたスラグ収容容器5のうち、参照された石灰原単位に対応する分類のスラグ収容容器5から1つを脱硫スラグ回収用として選択する。さらに、脱硫スラグ回収用として選択したスラグ収容容器5を、除滓場14に準備する(S200)。ステップS200の作業は、除滓場14での除滓が行われる前に行われ、機械攪拌式脱硫装置13での脱硫処理が終了した後、または脱硫処理での石灰原単位が溶銑条件等から予測された後に行われる。また、ステップS200において、石灰原単位に応じた分類のスラグ収容容器5を除滓場14に準備する際、分類の異なるスラグ収容容器5を除滓場14から搬出することが必要となる場合がある。この場合、除滓場14から搬出されたスラグ収容容器5は、容量に余裕がある場合でも、スラグ収容容器置き建屋2に運ばれ、仮置きされる。
 ステップS200の後、除滓場14にて脱硫処理後の溶銑鍋6から、ステップS200で準備されたスラグ収容容器5に脱硫スラグS2を回収する(S202)。ステップS202は、ステップS100と同様に行われる。第2実施形態では、ステップS200~S202の処理が繰り返し行われることで、機械攪拌式脱硫装置13で連続して処理される複数チャージの脱硫スラグS2を2種類のスラグ収容容器5に分けて回収する。また、各スラグ収容容器5には、チャージ単位で収容可能な限りの脱硫スラグS2が回収される。
 上記の方法で脱硫スラグS2を回収した後、第1実施形態と同様に、回収した脱硫スラグS2を再使用脱硫剤S1または焼結鉱の原料として使用する。つまり、図4に示すステップS102,S104,S106,S108と同様な処理が行われることで、脱硫スラグS2が再使用される。第2実施形態では、脱硫処理の石灰原単位に応じて2種類のスラグ収容容器5に分けて脱硫スラグS2を回収する。このため、第1実施形態に比べ、脱硫スラグS2が収容されたスラグ収容容器5のうち、石灰原単位の多い区分のスラグ収容容器5が発生する割合を増加させることができる。
 なお、第1実施形態と同様に、スラグ収容容器5の数には限りがあるため、新たなチャージの溶銑の脱硫処理で発生する脱硫スラグS2を収容するためのスラグ収容容器5がない場合には、第1区分または第2区分のスラグ収容容器5であっても、スラグ収容容器5を空にする作業が行われてもよい。また、脱硫スラグS2を全て使用あるいは排出して、一旦空になったスラグ収容容器5は、収容していた脱硫スラグS2に対応する石灰原単位による分類に拠らず、上記の何れの石灰原単位による分類のスラグ収容容器5として用いてもよい。
 <実施形態の変更例>
 以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、各種の変更例または修正例を実施し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものである。
 例えば、上記実施形態では、ステップS102において、複数のスラグ収容容器5を、第2の閾値Xを用いて2つの石灰原単位に区分するとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、石灰原単位に関する閾値X(jは1以上の整数)を第2の閾値Xに加えて用い、複数のスラグ収容容器5を、3つ以上の石灰原単位の区分に分けてもよい。このとき、3つ以上の石灰原単位の区分のうち、石灰原単位の大きな区分のスラグ収容容器5に収容された脱硫スラグS2が再使用脱硫剤S1として優先的に用いられる。
 また、上記実施形態では、第2の閾値Xを7.0kg/tとしたが、本発明はかかる例に限定されない。第2の閾値Xおよび閾値Xは、再使用脱硫剤S1として使用する脱硫スラグS2の使用量に対する、これと等価な新規の脱硫剤中の生石灰量の質量比率として定義されるCaO置換率と、この脱硫スラグS2が生成された脱硫処理における石灰使用量との関係を参照することにより、石灰使用量がこれらの閾値より多いかまたは等しい場合においてCaO置換率がより高位となるように、適宜設定することができる。ここで、脱硫スラグS2の使用量と等価な新規の脱硫剤中の生石灰量は、所定量の脱硫スラグS2を新規の脱硫剤と併用して使用をした場合の脱硫処理前後での溶銑の脱硫率と、新規の脱硫剤のみを使用してその使用量を変更した場合の脱硫処理前後での溶銑の脱硫率とを比較することにより導出できる。CaO置換率と脱硫スラグS2が生成された脱硫処理における石灰使用量との関係は、添加剤の組成や溶銑温度、脱硫処理後の溶銑のS濃度の目標値などの脱硫処理の条件によって影響を受けることが考えられる。従って、第2の閾値Xおよび閾値Xは、これらの脱硫処理の条件等に応じて、適宜調整されることが好ましく、好ましくは5kg/t以上、10kg/t以下の範囲の値に設定される。
 さらに、上記実施形態では、ステップS102において、複数のスラグ収容容器5を、第1の閾値Tを用いて2つの石灰原単位に区分するとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、保持時間が第1の閾値T以下の複数のスラグ収容容器5を、さらに第3の閾値Tを用いて複数の区分に分けてもよい。なお、第3の閾値Tは、第1の閾値Tよりも短い時間であり、さらに保持時間に関する1つ以上の閾値を追加して、スラグ収容容器5の保持時間に関する区分を追加してもよい。この際、ステップS104では、保持時間が短い区分のスラグ収容容器5が優先的に選択されてもよい。また、ステップS106では、石灰原単位および保持時間の2つのパラメータに基いて異なる区分のスラグ収容容器5が選択され得るが、石灰原単位および保持時間のどちらの区分を優先してスラグ収容容器5が選択されるかは、各区分における脱硫効率等の実績等から適宜選択することができる。例えば、ステップS102において、第1の閾値Tが72時間の場合に、第3の閾値Tを48時間とし、複数のスラグ収容容器5を、第1区分~第5区分の5つの区分に分けてもよい。このとき、第1区分は、石灰原単位が7.0kg/t以上且つ保持時間が48時間以下である。第2区分は、石灰原単位が7.0kg/t以上且つ保持時間が48時間超72時間以下である。第3区分は、石灰原単位が7.0kg/t未満且つ保持時間が48時間以下である。第4区分は、石灰原単位が7.0kg/t未満且つ保持時間が48時間超72時間以下である。第5区分は、保持時間が72時間超である。そして、例えば、第1区分、第2区分、第3区分、および第4区分の順に優先して再使用脱硫剤用のスラグ収容容器5が選択され、これに収容された脱硫スラグS2が再使用脱硫剤S1として使用される。
 さらに、上記実施形態では、第1の閾値Tを72時間としたが、本発明はかかる例に限定されない。第1の閾値Tは、保持時間が長くなることで、粉化により所望する脱硫効率が得られなくなる保持時間の値を調査して、これに基いて適宜設定することができる。第1の閾値Tの適性値は、用いられる添加剤の種類や脱硫処理条件、スラグ収容容器5の容量等の条件によって影響を受けることが考えられるので、これらの条件に応じて適宜適当な値に調整されることが好ましく、好ましくは、48時間以上72時間以下の範囲の値に設定される。
 再使用脱硫剤S1を使用することによって新規の脱硫剤の使用量を効果的に削減させるためには、再使用脱硫剤S1のCaO置換率を増大させるとともに、再使用脱硫剤S1の使用量を増大させることが望ましい。第1の閾値Tを適正な値に設定するとともに、保持時間がT以下の区分のスラグ収容容器のみを再使用脱硫剤用として選択することにより、再使用脱硫剤S1のCaO置換率を適正な範囲とすることができるが、これによって再使用可能な脱硫スラグS2の対象量を減少させないようにすることが望ましい。このためには、第1の閾値Tの設定値に応じて、脱硫処理における溶銑1チャージ当たりの再使用脱硫剤S1の使用量を適宜調整して、再使用脱硫剤S1の総使用量を調整することが好ましい。また、これにより、再使用脱硫剤S1の平均使用量を、新規の脱硫剤の平均使用量100質量部に対して50質量部~150質量部の範囲に調節することが好ましい。
 さらに、上記実施形態では、複数のスラグ収容容器5を、保持時間および石灰原単位の条件に応じた複数の区分に分け、各区分の優先順に応じてスラグ収容容器5を再使用脱硫剤用として選択し、これに収容された脱硫スラグS2をその後の脱硫処理にて用いるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、複数のスラグ収容容器5を区分けせずに、スラグ収容容器5に収容された脱硫スラグS2の保持時間および石灰原単位の少なくともいずれか一方に基づいて、複数のスラグ収容容器5のうち1つ以上のスラグ収容容器5を再使用脱硫剤用として選択してもよい。この際、保持時間が第1の閾値T以下のスラグ収容容器5および石灰原単位が第2の閾値X以上のスラグ収容容器5の少なくとも一方のスラグ収容容器5が、再使用脱硫剤用として優先して選択される。
 さらに、上記実施形態では、脱硫スラグ排出用として選択されたスラグ収容容器5から排滓ヤード3に排出された脱硫スラグS3を焼結鉱の原料として用いる構成としたが、本発明はかかる例に限定されない。排滓ヤード3に排出された脱硫スラグS3は、焼結鉱の原料以外のセメントクリンカーの原料等の用途に用いられてもよい。
 さらに、第2実施形態では、脱硫処理の石灰原単位に応じて、除滓場14に準備されたスラグ収容容器5を入れ替える場合がある。この際、スラグ収容容器5の入れ替えは、重機等を用いて、除滓場14とスラグ収容容器置き建屋2との間で行われることとなるが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、図7に示すように、溶銑脱硫処理建屋1内に、ターンテーブル等を有し、少なくとも2つのスラグ収容容器5を入れ替え可能な不図示の入れ替え装置が設けられてもよい。この場合、分類された複数のスラグ収容容器5が、除滓場14の周辺に準備され、これらのうち、直後に除滓する溶銑収容容器で行った脱硫処理の石灰原単位に対応する分類の1つのスラグ収容容器5が、入れ替え装置によって、除滓場14に準備される。
 さらに、上記実施形態では、石灰原単位は、新規の脱硫剤に含まれる石灰含有量および再使用脱硫剤S1に含まれる脱硫剤として有効な石灰量から算出されるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、石灰を含有するドロマイト等の他の添加剤が用いられる場合には、これらの添加剤を含めたすべての添加剤に含まれる石灰含有量や脱硫剤として有効な石灰量から、石灰原単位が算出される。
 さらに、上記実施形態では、添加剤がシュートによって上添加される構成としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、添加剤が、溶銑鍋6の上方に設けられたランスから、搬送ガスと一緒に吹き付けられる投射設備によって添加されてもよい。
 さらに、上記実施形態では、再使用脱硫剤S1として用いる脱硫スラグが重機121で溶銑鍋6に添加されるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、再使用脱硫剤S1として用いる脱硫スラグは、機械攪拌式脱硫装置13に設けられたホッパーやシュート等の慣用の供給装置を用いて添加されてもよい。
 さらに、上記実施形態では、脱硫スラグS2が収容されたスラグ収容容器5は、スラグ収容容器置き建屋2に保管されるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。脱硫スラグS2が収容されたスラグ収容容器5は、専用の蓋等が被せられ、雨等で濡れない処置が施されれば、屋外等の他の場所に保管されてもよい。脱硫スラグS2が雨等で濡れた場合、脱硫スラグS2が再使用脱硫剤として溶銑Mに添加される際に、突沸や発塵が発生するおそれがある。
 さらに、上記実施形態では、機械攪拌式脱硫装置13にて脱硫処理をする構成としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、脱硫処理をする方法として、ガスを吹き込み攪拌させながら脱硫処理を行う、バブリング方式やガスインジェクション方式等の装置を用いて、溶銑収容容器となるトピードカー4や溶銑鍋6に収容された溶銑を処理する方法等を選択することもできる。他の脱硫処理の方法を用いた場合についても、上記実施形態と同様に、溶銑収容容器から脱硫スラグS2が回収され、その後、再使用脱硫剤や焼結鉱の原料として再使用される。
 さらに、上記実施形態では、ステップS102において、脱硫スラグS2を収容した複数のスラグ収容容器5を、石灰原単位と保持時間とに基づいて、複数の区分に分ける構成としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、脱硫スラグS2を収容した複数のスラグ収容容器5を、石灰原単位および保持時間のどちらか一方に基づいて、複数の区分に分ける構成としてもよい。この際、複数のスラグ収容容器5を区分した後に、石灰原単位の大きい区分および保持時間の短い区分のいずれかの条件に合う区分のスラグ収容容器5を、優先的に再使用脱硫剤用として選択して、ステップS108で用いる。石灰原単位および保持時間は、共に再使用脱硫剤S1による脱硫効率に影響する。このため、上記構成とすることで、石灰原単位および保持時間で区分しない場合に比べ、再使用脱硫剤S1の脱硫への寄与のバラツキを低減することができる。
 さらに、上記実施形態では、スラグ収容容器5に脱硫スラグS2を、チャージ単位で収容可能な限り収容するとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、スラグ収容容器5の数に余裕がある場合には、除滓場14に配置した脱硫スラグS2を収容したスラグ収容容器5の容量に余裕があっても、このスラグ収容容器5をステップS102で区分する対象としてもよい。特に、このスラグ収容容器5が他と比べて優先的に再使用脱硫剤用として選択される条件である場合には、望ましい実施形態である。
 さらに、上記実施形態では、1チャージの脱硫処理にて発生した脱硫スラグS2が複数のスラグ収容容器5のうちいずれか1つに回収されるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、1チャージの脱硫処理にて発生した脱硫スラグS2は、複数のスラグ収容容器5に分けて回収されてもよい。
 さらに、上記実施形態のステップS106では、再使用脱硫剤用のスラグ収容容器5として、1つのスラグ収容容器5が選択されるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、再使用脱硫剤用のスラグ収容容器5として選択されるスラグ収容容器5は、複数であってもよい。
 <実施形態の効果>
 (1)本発明の実施形態に係る脱硫スラグS2の再使用方法は、少なくとも石灰系の新規の脱硫剤を用いて溶銑収容容器6で溶銑Mを脱硫処理し、複数のスラグ収容容器5のいずれか1つ以上に、脱硫処理により生じる脱硫スラグS2を溶銑収容容器6から排出して回収し(ステップS100)、脱硫スラグS2が収容された複数のスラグ収容容器5からいずれか1つ以上を再使用脱硫剤用として選択し、再使用脱硫剤用として選択されたスラグ収容容器5に収容された脱硫スラグS2を、その後の溶銑の脱硫処理にて再使用脱硫剤S1として用い、複数のスラグ収容容器5からいずれか1つ以上を再使用脱硫剤用として選択する際に、複数のスラグ収容容器5のそれぞれに脱硫スラグS2が収容されてからの経過時間である複数のスラグ収容容器の各々に対応する保持時間、および複数のスラグ収容容器5にそれぞれ収容された脱硫スラグS2が発生した脱硫処理における石灰使用量である複数のスラグ収容容器5の各々に対応する石灰使用量の少なくともいずれか一方に基づいて、保持時間が第1の閾値Tより短いかまたは等しいスラグ収容容器5および石灰使用量が第2の閾値Xより多いかまたは等しいスラグ収容容器5の少なくとも一方のスラグ収容容器5を再使用脱硫剤用として優先して選択する。
 ここで、脱硫反応は未反応のCaOにより進行する。このため、脱硫スラグS2中に未反応のCaOが存在しなければ脱硫反応には寄与しない。また、脱硫スラグ中に未反応のCaOが多いほど脱硫能は高く、脱硫剤として使用した際に新規の脱硫剤の添加量を削減することができる。しかし、様々な条件の脱硫処理で生成された脱硫スラグS2を回収し、脱硫スラグS2を分別することなく再使用脱硫剤S1として再使用する場合、再使用脱硫剤S1の脱硫能が大きく変動する。このため、再使用脱硫剤S1を使用した脱硫処理で常に良好な脱硫処理結果を得るには、脱硫スラグS2のうち、例えば石灰使用量が少ない脱硫処理で生成された、未反応CaO分の少ない脱硫スラグS2を再使用した場合を基準として脱硫処理を行う必要がある。したがって、このような脱硫処理では、新規の脱硫剤の添加量が必要以上に多くなってしまうことが多い。
 これに対して、上記構成によれば、保持時間および石灰使用量の少なくとも一方に基いて選択されたスラグ収容容器5に収容された、脱硫能が高い条件の脱硫スラグS2が優先的に再使用脱硫剤S1として使用されるため、再使用脱硫剤S1の脱硫への寄与のバラツキを低減することができる。このため、再使用脱硫剤S1を用いた脱硫処理において、脱硫剤を過剰に使用することなく処理後の溶銑のS濃度を目標とする濃度範囲に制御することができる。また、溶銑収容容器から排滓後の経過時間の短い脱硫スラグおよび石灰使用量の多い溶銑の脱硫処理で生成された脱硫スラグの少なくとも一方を優先して、再使用脱硫剤として用いることにより、再使用脱硫剤の平均的な脱硫能を向上させることができる。これらの効果によって、新規の脱硫剤の使用量を削減できるため、鉄鋼製造コストを低減することができ、石灰系脱硫剤の製造に要するエネルギー消費量の削減に寄与することができる。また、新規の脱硫剤の使用量が削減されることで、脱硫処理工程における脱硫スラグの発生量を低減させることができる。
 さらに、上記構成によれば、特許文献3のように、スラグのサンプリングや分析といった煩雑な作業を行わなくてもいいため、作業者の負担や処理に掛かる時間を低減することができる。
 (2)複数のスラグ収容容器5からいずれか1つ以上を再使用脱硫剤用として選択する(ステップS104,106)前に、脱硫スラグS2が収容された複数のスラグ収容容器5を、第1の閾値Tに基づく保持時間に応じた区分、および第2の閾値Xに基づく石灰使用量に応じた区分の少なくともいずれか一方の複数の区分に分け(ステップS102)、複数のスラグ収容容器5からいずれか1つ以上を再使用脱硫剤用として選択する(ステップS104,106)際に、保持時間の短い区分および石灰使用量の多い区分の少なくともいずれか一方の区分のスラグ収容容器5を再使用脱硫剤用として選択する。
 上記構成によれば、上記(1)の構成による場合と同様に、再使用脱硫剤S1の脱硫への寄与のバラツキを低減することができ、新規な脱硫剤の使用量を減少させることができる。
 (3)複数のスラグ収容容器5を区分する(ステップS102)際に、第1の閾値Tに基づいて複数のスラグ収容容器5を区分し、スラグ収容容器5を再使用脱硫剤用として選択する(ステップS104,106)際に、保持時間が第1の閾値Tより短いかまたは等しい区分のスラグ収容容器5のみを再使用脱硫剤用として選択する。
 上記構成によれば、保持時間が短く、粉化による脱硫効率への影響がない脱硫スラグS2のみを再使用脱硫剤S1として用いることができるため、再使用脱硫剤S1の脱硫への寄与のバラツキをさらに低減することができる。
 (4)複数のスラグ収容容器5を区分する(ステップS102)際に、第2の閾値Xに基づいて複数のスラグ収容容器5をさらに区分し、スラグ収容容器5を再使用脱硫剤用として選択する(ステップS104,106)際に、石灰使用量の多い区分のスラグ収容容器5を優先して再使用脱硫剤用として選択する。
 上記構成によれば、回収された脱硫スラグS2のうち、脱硫効率の高いものから順に使用する傾向となるため、第1の閾値Tに基づいてスラグ収容容器5を区分するのみで第2の閾値Xに基づいてスラグ収容容器5をさらに区分しない場合に比べ、新規の脱硫剤の添加量を低減することができる。
 (5)複数のスラグ収容容器5を区分する(ステップS102)際に、第1の閾値Tよりも短い第3の閾値Tに基づいて複数のスラグ収容容器5をさらに区分し、スラグ収容容器5を再使用脱硫剤用として選択する(ステップS104,106)際に、保持時間が短く、石灰使用量が多い区分のスラグ収容容器5を優先して再使用脱硫剤用として選択する。
 (6)複数のスラグ収容容器5を区分する(ステップS102)際に、第1の閾値Tよりも短い第3の閾値Tに基づいて複数のスラグ収容容器5をさらに区分し、スラグ収容容器5を再使用脱硫剤用として選択する(ステップS104,106)際に、保持時間の短い区分のスラグ収容容器5を優先して再使用脱硫剤用として選択する。
 上記(5)または(6)の構成によれば、保持時間に応じたより細かな区分に基いて再使用脱硫剤用のスラグ収容容器を選択するため、より脱硫効率の高い脱硫スラグを優先して使用することができる。このため、新規の脱硫剤の添加量を低減することができる。
 (7)第3の閾値Tを、24時間以上、48時間以下とする。
 上記構成によれば、通常の機械攪拌式脱硫装置13で生成した脱硫スラグS2を収容したスラグ収容容器5を保持時間に基いて区分する際に、閾値Tを上記範囲とすることで、Tに関して保持時間が短い区分の、優先的に再使用脱硫剤用として選択されるスラグ収容容器5に収容された脱硫スラグS2において、脱硫能を効果的に向上することを可能としつつ、再使用脱硫剤S1として使用するのに適切な量を得ることができる。このため、新規の脱硫剤の添加量を効果的に低減することができる。
 (8)第1の閾値Tを、48時間以上、72時間以下とする。
 上記構成によれば、一般的な機械攪拌式脱硫装置13で生成した脱硫スラグS2を収容したスラグ収容容器5を保持時間に基いて区分する際に、閾値Tを上記範囲とすることで、Tに関して保持時間が短い区分の、優先的に再使用脱硫剤用として選択されるスラグ収容容器5に収容された脱硫スラグS2において、脱硫能のバラツキを効果的に低減することが可能となる。特に、上記(3)の構成と組み合わせることにより、保持時間が第1の閾値Tより短いかまたは等しい区分のスラグ収容容器5のみが再使用脱硫剤用として選択されるので、再使用脱硫剤S1の脱硫能のバラツキが効果的に低減され、新規の脱硫剤の添加量を効果的に低減することができる。
 第1の閾値Tの適性値は、用いられる添加剤の種類や脱硫処理条件、スラグ収容容器5の容量等の条件によって影響を受けることが考えられるので、これらの条件に応じて適宜適当な値に調整されることが好ましく、好ましくは、48時間以上72時間以下の範囲の値に設定される。なお、保持時間が72時間超となる場合には、脱硫スラグS2の粉化による影響から、脱硫能が低下する可能性が高くなる。また、保持時間が48時間未満であれば、上記の条件に拠らず、粉化による脱硫能への悪影響は低位である。
 (9)第2の閾値Xを、5kg/t以上、10kg/t以下とする。
 上記構成によれば、通常の機械攪拌式脱硫装置13で生成した脱硫スラグS2を収容したスラグ収容容器5を石灰使用量に基いて区分する際に、閾値Xを上記範囲とすることで、Xに関して石灰原単位が多い区分の、優先的に再使用脱硫剤用として選択されるスラグ収容容器5に収容された脱硫スラグS2において、脱硫能を効果的に向上することを可能としつつ、再使用脱硫剤S1として使用するのに適切な量を得ることができる。このため、新規の脱硫剤の添加量を効果的に低減することができる。
 (10)脱硫スラグS2が収容された複数のスラグ収容容器5のうち、保持時間が第1の閾値Tよりも長いスラグ収容容器5および石灰使用量が第2の閾値X未満のスラグ収容容器5の少なくとも一方のスラグ収容容器5から、このスラグ収容容器に収容された脱硫スラグS2を排出し、排出した脱硫スラグS3を焼結鉱の原料として用い、脱硫スラグS2を排出した上記スラグ収容容器5を、再び溶銑収容容器6から排出した脱硫スラグS2を収容するのに用いる。
 上記構成によれば、再使用脱硫剤S1として使用する場合に脱硫能の低い脱硫スラグS2を優先的に焼結鉱の原料として使用することが可能となるので、相対的に脱硫能の高い脱硫スラグS2を温存しつつ、空のスラグ収容容器5を準備して、新たに溶銑収容容器6から排出される脱硫スラグS2を受滓する操業を、スムースに行うことができる。
 (11)溶銑収容容器6から排出される脱硫スラグS2を複数のスラグ収容容器5のいずれか1つ以上に回収する前に、脱硫スラグS2が収容された複数のスラグ収容容器5からいずれか1つ以上を脱硫スラグ排出用として選択し、脱硫スラグ排出用として選択されたスラグ収容容器5に収容された脱硫スラグS2を、スラグ収容容器5から排出することで、脱硫スラグ排出用として選択されたスラグ収容容器5を空にし、溶銑収容容器6から排出される脱硫スラグS2を複数のスラグ収容容器5のいずれか1つ以上に回収する際に、脱硫スラグ排出用として選択した後に空にしたスラグ収容容器5を用い、複数のスラグ収容容器5からいずれか1つ以上を脱硫スラグ排出用として選択する際に、保持時間が第1の閾値Tよりも長いスラグ収容容器5および石灰使用量が第2の閾値X未満のスラグ収容容器5の少なくとも一方のスラグ収容容器5を脱硫スラグ排出用として優先して選択する。
 上記構成によれば、スラグ収容容器5に空きがない状態においても、空のスラグ収容容器5を準備することができるため、脱硫処理を継続してスムースに行うことができる。
 (12)脱硫スラグ排出用として選択されたスラグ収容容器5から排出された脱硫スラグS3を焼結鉱の原料として用いる。
 上記構成によれば、脱硫処理にて発生する脱硫スラグS2を全て製鉄所内で再使用し、脱硫スラグよりも環境負荷の小さい高炉スラグ製品としたうえで、製鉄所外での有効利用を図ることができる。
 (13)溶銑収容容器6から排出される脱硫スラグS2を複数のスラグ収容容器5のいずれか1つ以上に回収する(ステップS202)前に、石灰使用量で複数のスラグ収容容器5を分類し、溶銑収容容器6から排出される脱硫スラグS2を複数のスラグ収容容器5のいずれか1つ以上に回収する際に、脱硫スラグS2が発生した脱硫処理における石灰使用量を参照して、複数のスラグ収容容器5から、脱硫処理における石灰使用量に対応する分類のスラグ収容容器5を脱硫スラグ回収用として選択し(ステップS200)、脱硫スラグ回収用として選択されたスラグ収容容器5に溶銑収容容器6から排出される脱硫スラグS2を回収する。
 上記構成によれば、石灰使用量の異なる脱硫処理を連続して行う場合においても、対応する石灰使用量の分類のスラグ収容容器5に分けて回収することができ、石灰使用量の大きい区分のスラグ収容容器5に収容される脱硫スラグS2の質量比率を増加させることができる。このため、CaO置換率の高い再使用脱硫剤S1の使用量を増大することができるので、新規の脱硫剤の使用量をさらに低減することができる。
 (14)スラグ収容容器5に複数チャージの溶銑の脱硫処理で発生した脱硫スラグS2を回収し、スラグ収容容器に対応する保持時間を、スラグ収容容器5に収容された上記の複数チャージ分の脱硫スラグS2のうち、最初のチャージの脱硫スラグS2を収容してからの経過時間とし、スラグ収容容器に対応する石灰使用量を、上記の複数チャージの溶銑の脱硫処理のうち最も石灰使用量が少ないチャージにおける石灰使用量とする。
 上記構成によれば、複数チャージ分の脱硫スラグS2をスラグ収容容器5に回収するため、スラグ収容容器5の移動に掛かる作業時間を短縮することができる。また、この場合に、スラグ収容容器5に収容された脱硫スラグS2の脱硫能を過大に評価して、溶銑の脱硫処理において脱硫不足を招くおそれが無い。
 (15)石灰使用量を、脱硫処理に再使用脱硫剤S1が用いられない場合には、新規の脱硫剤に含まれる生石灰の使用量とし、脱硫処理に再使用脱硫剤S1が用いられる場合には、新規の脱硫剤に含まれる生石灰の使用量と、再使用脱硫剤S1として使用する脱硫スラグS2の使用量に所定の置換率を乗算した値との合計とする。
 上記構成によれば、新規の脱硫剤と再使用脱硫剤S1とを併用する脱硫処理において生成された脱硫スラグS2の場合においても、再使用脱硫剤S1として再使用した場合の脱硫能を適正に評価できる。
 (16)脱硫処理をする際に、新規の脱硫剤と、再使用脱硫剤S1と、アルミ灰とを用い、新規の脱硫剤中の石灰と、アルミ灰との質量比率である石灰/アルミ灰を4.0以上5.0以下とする。
 上記構成によれば、脱硫効率を維持しながらも、新規の脱硫剤の添加量の削減に伴って、アルミ灰の添加量も削減することができるため、鉄鋼製造コストを削減することができる。
 以下に本発明の実施例を示す。高炉で出銑した溶銑Mをトピードカー4で受銑し、トピードカー4で溶銑の脱珪・脱燐処理を行って溶銑Mの燐濃度を0.07質量%以下まで低減させた。その後、溶銑Mをトピードカー4から溶銑鍋6へと払い出し、溶銑量約320tを収容した溶銑鍋6において機械攪拌式脱硫装置13を用いて溶銑Mの脱硫処理を行った。脱硫処理前の溶銑温度は1240℃~1320℃の範囲であった。
 実施例では、第1実施形態の脱硫スラグS2の再使用方法を用いて、脱硫処理を行った。具体的には、まず、脱硫処理で発生した脱硫スラグS2を回収した(ステップS100)。次いで、それぞれ2チャージ~3チャージ分の溶銑の脱硫処理で生成された脱硫スラグS2が収容された複数のスラグ収容容器5を、第1の閾値T=72時間および第2の閾値X=7.0kg/tを用いて、保持時間および石灰使用量に基いて前述のように第1~第3区分の3つの区分に分けた(ステップS102)。ここで、スラグ収容容器5は合計で6つ使用した。さらに、ステップS104~S108の手順を行い、再使用脱硫剤用として選択された第1区分または第2区分のスラグ収容容器5に収容された脱硫スラグS2を、再使用脱硫剤S1としてその後の脱硫処理に用い、第3区分のスラグ収容容器5に収容された脱硫スラグS2については、排滓ヤード3に排出した後、焼結鉱の原料として使用した。また、比較例として、スラグ収容容器5を区分することなく再使用脱硫剤用のスラグ収容容器5を無作為に選択して、収容された脱硫スラグS2を再使用脱硫剤S1として用いるとともに、空のスラグ収容容器5が不足した場合には脱硫スラグ排出用のスラグ収容容器5を無作為に選択して、収容された脱硫スラグS2を排滓ヤード3に排出した場合を実施した。なお、脱硫処理では、新規の脱硫剤中の石灰とアルミ灰との質量比率を4.0以上5.0以下として、新規の脱硫剤とアルミ灰とを同時に投入した後、11~15分間機械式攪拌を行って、脱硫処理を終了した。1チャージ当たりの再使用脱硫剤S1の添加量は1600kg以上3200kg以下とした。再使用脱硫剤S1を添加する際には、重機121を用いて添加を行い、バケット1杯当たり800kgの添加量で、1チャージ当たりバケット2杯~4杯の再使用脱硫剤S1を添加した。再使用脱硫剤S1および新規の脱硫剤の添加量は、脱硫処理前の溶銑のS濃度および脱硫処理後の溶銑のS濃度の目標値などに応じて、石灰原単位を4.5kg/t~9.0kg/tの範囲で調整した。ここで、石灰原単位は、前述の(1)式において、置換率yを23[%]で一定として計算した値である。
 図8には、実施例の脱硫処理の結果として、第1区分および第2区分のスラグ収容容器5から使用した再使用脱硫剤S1における、溶銑M中の処理前S濃度[質量%]と脱硫石灰効率[%]との関係をそれぞれ示す。再使用脱硫剤S1の脱硫石灰効率とは、再使用脱硫剤S1の原単位に置換率yを乗じて得られる、再使用脱硫剤S1中の有効石灰分の原単位に対する、脱硫反応に実際に使われた石灰の原単位の比率を、再使用脱硫剤S1と新規の脱硫剤を併用した脱硫処理結果と新規の脱硫剤のみを使用した脱硫処理結果との比較により求めた結果である。実施例の結果、石灰原単位の大きな第1区分の再使用脱硫剤を用いることで、第2区分の再使用脱硫剤を用いる場合に比べて、再使用脱硫剤S1の脱硫石灰効率が平均で約2%高くなることを確認した。
 また、この結果と新規な脱硫剤のみを使用した場合の脱硫石灰効率との比較から、各区分のスラグ収容容器5から使用した再使用脱硫剤S1を脱硫能が等価な新規の脱硫剤に置換した場合のCaO置換率を、それぞれ算出し直した。実施例の第1区分および第2区分のスラグ収容容器5に対応する再使用脱硫剤S1、および比較例の再使用脱硫剤S1のCaO置換率の平均値の算出結果を図9に示す。計算の結果、平均のCaO置換率は、第2区分および比較例の場合の23%に比べ第1区分の場合の方が7%高いことを確認した。つまり、実施例では、第1区分のスラグ収容容器5の脱硫スラグS2を再使用脱硫剤S1として用いることで、第2区分あるいは比較例の場合よりも、平均のCaO置換率を7%増大することが可能となり、これに対応する分だけ新規の脱硫剤の使用量の削減が可能となる。これは、石灰原単位をバケット1杯の添加量(約2.5kg/t)で比べた場合に、新規の脱硫剤の石灰原単位を約0.15kg/t削減できる効果に相当することを確認した。また、比較例の場合には、CaO置換率のばらつきが大きいため、脱硫処理を行う際に基準とする再使用脱硫剤S1のCaO置換率はさらに低い値を用いる必要がある。したがって、上記の実施形態の脱硫スラグS2の再使用方法では、CaO置換率の大きい第1区分のスラグ収容容器5の脱硫スラグS2を優先して使うことにより、脱硫スラグS2を分別して回収しない場合に比べて再使用脱硫剤S1の脱硫能が向上することが確認できた。
 さらに、発明者らは、上記の実施例と同様の方法を用いて脱硫スラグS2を再使用した場合と、回収した脱硫スラグS2を区分けせずに再使用した比較例の場合との2つの再使用方法の条件による新規の脱硫剤の原単位の違いを調査した。各条件では、処理前の溶銑M中のS濃度や、目標とする脱硫処理後の溶銑M中のS濃度等を同様な処理条件とし、20チャージずつ脱硫処理を行った。なお、実施例の再使用方法を用いた場合では、石灰原単位の区分に応じて、石灰原単位が大きい区分のスラグ収容容器5からの再使用脱硫剤S1ではCaO置換率が高くなるように、再使用脱硫剤S1のCaO置換率を変えた。一方、脱硫スラグS2を区分けせずに再使用した比較例の場合では、再使用脱硫剤S1のCaO置換率を、経験的に得られる最低レベルのCaO置換率で一定とした。実施例および比較例とも、再使用脱硫剤S1の使用量とCaO置換率との積に応じて新規の脱硫剤の使用量を減少させた。脱硫処理の結果、いずれのチャージでも、処理後の溶銑M中のS濃度を目標値以下まで下げることができた。また、実施例の再使用方法を用いた場合、新規の脱硫剤の平均原単位が4.2kg/tとなり、脱硫スラグS2を区分けせずに再使用した比較例の場合、新規の脱硫剤の平均原単位が4.9kg/tとなった。この結果から、実施例の再使用方法を用いることにより、再使用脱硫剤S1の脱硫効率のバラツキが低減して、新規の脱硫剤の原単位を0.7kg/t低減できることを確認した。
 さらに、保持時間の脱硫能に対する影響を確認するため、石灰原単位が同じ条件の脱硫処理で生成した脱硫スラグS2を再使用脱硫剤S1として用いた場合の、CaO置換率に及ぼす保持時間の影響を調査した。この際、石灰原単位の条件は、実施例の第1区分に対応する7.0kg/tと実施例の第2区分に対応する3.0kg/tの2条件とした。図10には、脱硫スラグS2を再使用脱硫剤S1として用いた際の保持時間と、その脱硫処理の結果から得られたCaO置換率との関係を示す。第1区分に対応する石灰原単位7.0kg/tの保持時間72時間以内のプロットと、第2区分に対応する石灰原単位3.0kg/tの保持時間72時間以内のプロットとを比べると、石灰原単位の大きい第1区分の方が高いCaO置換率を示し、高い脱硫効率を示すことが確認できた。ここで、これらの石灰原単位は、各区分に対応する石灰原単位のうち最も低いレベルの石灰原単位であり、図10に基いて各区分に対応するCaO置換率を設定することで、実際に各区分のスラグ収容容器5からの再使用脱硫剤S1を使用した場合には、より高い脱硫効率が得られ、目標値以下までの確実な脱硫が可能となる。また、保持時間が72時間以内であれば、保持時間に応じたCaO置換率となり、再使用する際に脱硫効率のバラツキを低減できることを確認した。一方、保持時間が72時間超となるものについては、CaO置換率が急激な低下がみられ、使用する際に脱硫効率のバラツキが増大する可能性があることを確認した。
 また、例えば、第3の閾値Tを36時間とし、これを用いて上記の第1区分および第2区分のスラグ収容容器5を保持時間に基いてさらに区分する場合には、各区分に対応する再使用脱硫剤S1のCaO置換率を個別に設定することにより、さらに新規の脱硫剤の使用量を削減することができる。また、再使用脱硫剤S1に対応するスラグ収容容器5の石灰使用量および保持時間に基いて関数式によりCaO置換率を設定し、これに基いて新規の脱硫剤の使用量を決定するようにしてもよい。
 以上の結果から、本発明に係る脱硫スラグS2の再使用方法によれば、再使用する脱硫スラグの脱硫への寄与のバラツキを低減することが可能なり、効果的に脱硫剤を削減することが可能となることを確認した。
 1 :溶銑脱硫処理建屋
 11 :溶銑払出し場
 111 :溶銑鍋台車
 12 :脱硫スラグ投入場
 121 :重機
 13 :機械攪拌式脱硫装置
 131 :溶銑鍋台車
 132 :回転軸
 133 :攪拌体
 134 :フード
 14 :除滓場
 141 :スラグ掻き出し機
 2 :スラグ収容容器置き建屋
 3 :排滓ヤード
 4 :トピードカー
 5 :スラグ収容容器
 6 :溶銑鍋
 M :溶銑
 S1 :再使用脱硫剤
 S2,S3 :脱硫スラグ

Claims (16)

  1.  少なくとも石灰系の新規の脱硫剤を用いて溶銑収容容器で溶銑を脱硫処理し、
     複数のスラグ収容容器のいずれか1つ以上に、前記脱硫処理により生じる脱硫スラグを溶銑収容容器から排出して回収し、
     前記脱硫スラグが収容された前記複数のスラグ収容容器からいずれか1つ以上を再使用脱硫剤用として選択し、
     再使用脱硫剤用として選択された前記スラグ収容容器に収容された前記脱硫スラグを、その後の溶銑の脱硫処理にて再使用脱硫剤として用い、
     前記複数のスラグ収容容器からいずれか1つ以上を再使用脱硫剤用として選択する際に、前記複数のスラグ収容容器のそれぞれに前記脱硫スラグが収容されてからの経過時間である前記複数のスラグ収容容器の各々に対応する保持時間、および前記複数のスラグ収容容器にそれぞれ収容された前記脱硫スラグが発生した前記脱硫処理における石灰使用量である前記複数のスラグ収容容器の各々に対応する石灰使用量の少なくともいずれか一方に基づいて、前記保持時間が第1の閾値Tより短いかまたは等しいスラグ収容容器および前記石灰使用量が第2の閾値Xより多いかまたは等しいスラグ収容容器の少なくともいずれかの前記スラグ収容容器を再使用脱硫剤用として優先して選択することを特徴とする脱硫スラグの再使用方法。
  2.  前記複数のスラグ収容容器からいずれか1つ以上を再使用脱硫剤用として選択する前に、前記脱硫スラグが収容された前記複数のスラグ収容容器を、前記第1の閾値Tに基づく前記保持時間に応じた区分、および前記第2の閾値Xに基づく前記石灰使用量に応じた区分の少なくともいずれか一方の複数の区分に分け、
     前記複数のスラグ収容容器からいずれか1つ以上を再使用脱硫剤用として選択する際に、前記保持時間の短い区分および前記石灰使用量の多い区分の少なくともいずれか一方の区分の前記スラグ収容容器を再使用脱硫剤用として選択することを特徴とする請求項1に記載の脱硫スラグの再使用方法。
  3.  前記複数のスラグ収容容器を区分する際に、前記第1の閾値Tに基づいて前記複数のスラグ収容容器を区分し、
     前記スラグ収容容器を再使用脱硫剤用として選択する際に、前記保持時間が前記第1の閾値Tより短いかまたは等しい区分の前記スラグ収容容器のみを再使用脱硫剤用として選択することを特徴とする請求項2に記載の脱硫スラグの再使用方法。
  4.  前記複数のスラグ収容容器を区分する際に、前記第2の閾値Xに基づいて前記複数のスラグ収容容器をさらに区分し、
     前記スラグ収容容器を再使用脱硫剤用として選択する際に、前記石灰使用量の多い区分の前記スラグ収容容器を優先して再使用脱硫剤用として選択することを特徴とする請求項3に記載の脱硫スラグの再使用方法。
  5.  前記複数のスラグ収容容器を区分する際に、前記第1の閾値Tよりも短い第3の閾値Tに基づいて前記複数のスラグ収容容器をさらに区分し、
     前記スラグ収容容器を再使用脱硫剤用として選択する際に、前記保持時間が短く、前記石灰使用量が多い区分の前記スラグ収容容器を優先して再使用脱硫剤用として選択することを特徴とする請求項4に記載の脱硫スラグの再使用方法。
  6.  前記複数のスラグ収容容器を区分する際に、前記第1の閾値Tよりも短い第3の閾値Tに基づいて前記複数のスラグ収容容器をさらに区分し、
     前記スラグ収容容器を再使用脱硫剤用として選択する際に、前記保持時間の短い区分の前記スラグ収容容器を優先して再使用脱硫剤用として選択することを特徴とする請求項3に記載の脱硫スラグの再使用方法。
  7.  前記第3の閾値Tを、24時間以上、48時間以下とすることを特徴とする請求項5または6に記載の脱硫スラグの再使用方法。
  8.  前記第1の閾値Tを、48時間以上、72時間以下とすることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の脱硫スラグの再使用方法。
  9.  前記石灰使用量を前記脱硫処理における石灰原単位で評価し、前記第2の閾値Xを、5kg/t以上、10kg/t以下とすることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の脱硫スラグの再使用方法。
  10.  前記脱硫スラグが収容された前記複数のスラグ収容容器のうち、前記保持時間が前記第1の閾値Tよりも長いスラグ収容容器および前記石灰使用量が前記第2の閾値Xより少ないスラグ収容容器の少なくとも一方の前記スラグ収容容器から、前記スラグ収容容器に収容された前記脱硫スラグを排出し、
     排出した前記脱硫スラグを焼結鉱の原料として用い、
     前記脱硫スラグが排出された前記スラグ収容容器を、再び溶銑収容容器から排出される脱硫スラグを収容する際に用いることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の脱硫スラグの再使用方法。
  11.  前記溶銑収容容器から排出される前記脱硫スラグを前記複数のスラグ収容容器のいずれか1つ以上に回収する前に、前記脱硫スラグが収容された前記複数のスラグ収容容器からいずれか1つ以上を脱硫スラグ排出用として選択し、
     脱硫スラグ排出用として選択された前記スラグ収容容器に収容された前記脱硫スラグを、前記スラグ収容容器から排出することで、脱硫スラグ排出用として選択された前記スラグ収容容器を空にし、
     前記溶銑収容容器から排出される前記脱硫スラグを前記複数のスラグ収容容器のいずれか1つ以上に回収する際に、脱硫スラグ排出用として選択した後に空にした前記スラグ収容容器を用い、
     前記複数のスラグ収容容器からいずれか1つ以上を脱硫スラグ排出用として選択する際に、前記保持時間が前記第1の閾値Tよりも長いスラグ収容容器および前記石灰使用量が前記第2の閾値Xより少ないスラグ収容容器の少なくとも一方の前記スラグ収容容器を脱硫スラグ排出用として優先して選択することを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の脱硫スラグの再使用方法。
  12.  脱硫スラグ排出用として選択された前記スラグ収容容器から排出された前記脱硫スラグを、焼結鉱の原料として用いることを特徴とする請求項11に記載の脱硫スラグの再使用方法。
  13.  前記溶銑収容容器から排出される前記脱硫スラグを前記複数のスラグ収容容器のいずれか1つ以上に回収する前に、石灰使用量で前記複数のスラグ収容容器を分類し、
     前記溶銑収容容器から排出される前記脱硫スラグを前記複数のスラグ収容容器のいずれか1つ以上に回収する際に、前記脱硫スラグが発生した前記脱硫処理における石灰使用量を参照して、前記複数のスラグ収容容器から、前記脱硫処理における石灰使用量に対応する分類のスラグ収容容器を脱硫スラグ回収用として選択し、
     脱硫スラグ回収用として選択された前記スラグ収容容器に前記溶銑収容容器から排出される前記脱硫スラグを回収することを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の脱硫スラグの再使用方法。
  14.  前記スラグ収容容器に複数チャージの溶銑の前記脱硫処理で発生した前記脱硫スラグを回収し、
     前記スラグ収容容器に対応する前記保持時間を、前記スラグ収容容器に収容された複数チャージ分の前記脱硫スラグのうち、最初のチャージの前記脱硫スラグを収容してからの経過時間とし、
     前記スラグ収容容器に対応する前記石灰使用量を、前記複数チャージの溶銑の前記脱硫処理のうち最も石灰使用量が少ないチャージにおける石灰使用量とすることを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の脱硫スラグの再使用方法。
  15.  前記石灰使用量を、
     前記脱硫処理に前記再使用脱硫剤が用いられない場合には、前記新規の脱硫剤に含まれる生石灰の使用量とし、
     前記脱硫処理に前記再使用脱硫剤が用いられる場合には、前記新規の脱硫剤に含まれる生石灰の使用量と、前記再使用脱硫剤として使用する前記脱硫スラグの使用量に所定の置換率を乗算した値との合計とすることを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の脱硫スラグの再使用方法。
  16.  前記脱硫処理をする際に、前記新規の脱硫剤と、前記再使用脱硫剤と、アルミ灰とを用い、前記新規の脱硫剤中の石灰と、アルミ灰との質量比率である石灰/アルミ灰を4.0以上5.0以下とすることを特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載の脱硫スラグの再使用方法。
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